いくつかの実施形態において、試料中のC型肝炎ウイルス(HCV)のタイプを決定するための本発明の方法は以下の工程、(a)試料からのHCVゲノムの部分を増幅し、それにより、少なくとも1つのアンプリコンを生じさせ;(b)前記アンプリコンを第一のプローブ(HCVタイピングプローブ)とハイブリダイズさせて、標的ハイブリダイゼーション複合体を形成し、ここに、(i)第一のプローブはHCVゲノム内のヌクレオチド配列に対して相補的であるか、あるいは部分的に相補的であり;(ii)ハイブリダイゼーション複合体の領域の相補性または部分的相補性は、少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCVサブタイプ内で配列不均一性を示し;および(iii)第一のプローブおよび少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのサブタイプを含むハイブリダイゼーション複合体は、HCV遺伝子型またはHCVサブタイプの各々を識別する識別ハイブリダイゼーション特性を有し;(c)標的ハイブリダイゼーション複合体の識別ハイブリダイゼーションの特性を判定し;次いで,(d)標的ハイブリダイゼーション複合体の識別ハイブリダイゼーション特性に基づき、標的ハイブリダイゼーション複合体の測定された識別ハイブリダイゼーション特性をHCV遺伝子型またはサブタイプに相関させることを有する。
この方法を用い、同定されるHCV遺伝子型は遺伝子型1、2、3、4、5および6から選択することができる。同定されるHCVサブタイプは遺伝子型1、2、3、4、5および6のいずれのサブタイプでもあり得る。例えば、HCVサブタイプは1a、1b、1c、2a、2b、2c、3a、4a、5aおよび6aから選択することができる。しかしながら、本発明は、本明細書中に列挙したHCVタイプに限定されることを意図しない。というのは、本発明の組成物および方法はいずれのHCVタイプにも適用できるからである。
幾つかの実施形態において、アッセイでテストされる試料はヒト血液またはヒト血清を含むか、またはそれに由来する。
これらの方法のいくつかの実施形態において、HCV遺伝子材料を増幅する工程はポリメラーゼ鎖反応(PCR)と組み合わせた逆転写(RT)によるものである。このPCRは、例えば、配列番号39および40のヌクレオチド配列を含むプライマー対を用いることができる。いくつかの態様において、PCRは、複数のC型肝炎ウイルス遺伝子型からPCRアンプリコンを生じるプライマーを用いる。
種々の実施形態において、HCVタイピングプローブを増幅工程の間に存在させ、あるいは別法として、増幅工程の後に加える。いくつかの実施形態において、HCVタイピングプローブはHCVゲノムの5’−UTRまたはNS5領域内のヌクレオチド配列に対して相補的であるか、あるいは部分的に相補的である。例えば、タイピングプローブは配列番号8〜27から選択される核酸配列を含む。タイピングプローブはFRETドナー、FRETクエンチャーまたは双方を含むことができる。いくつかの態様において、タイピングプローブはFRETドナー部分を含む。他の態様において、ハイブリダイジング工程は、FRETドナータイピングプローブを可溶性FRETクエンチャーと混合することを含む。可溶性FRETクエンチャーは、例えば、チアジン色素とすることができる。タイピングプローブの化学構造は特に限定されず、例えば、前記プローブは天然に生じるヌクレオチド、修飾されたヌクレオチド、ヌクレオチドアナログ、1つ以上の非天然塩基、非天然ヌクレオチド間結合、非天然ヌクレオチド骨格またはそのいずれかの組合せを含むヌクレオチドオリゴマーとすることができる。
HCVタイピングプローブはHCV標的(典型的には、HCVアンプリコン)とでハイブリダイゼーション複合体を形成する。このハイブリダイゼーション複合体は、HCVタイプ(例えば、HCV遺伝子型)にしたがってユニークである特性を有する。このハイブリダイゼーション複合体は種々の特性のいずれかによって特徴付けることができ、これらの特性を用いて、異なるHCVタイプを含む複合体から前記複合体を識別することができる。したがって、そのような特性は識別ハイブリダイゼーション特性といわれる。いくつかの態様において、識別ハイブリダイゼーション特性は温度依存性ハイブリダイゼーション特性である。例えば、温度依存性ハイブリダイゼーション特性は融解温度(Tm)であり得る。Tmを識別特性として用いる場合、測定工程はある範囲の温度で標的ハイブリダイゼーション複合体を検出し、それにより、標的ハイブリダイゼーション複合体のTmを決定することを含む。
これらの方法を用い、実験試料につき測定されるハイブリダイゼーション特性を、公知のHCVタイプまたは対照試料のハイブリダイゼーション特性と比較することができる。この比較を行うことによって、実験試料をベストフィットマッチに基づいて公知のHCVタイプに帰属させることができる。すなわち、いくつかの実施形態において、相関させる工程は、標的ハイブリダイゼーション複合体の識別ハイブリダイゼーション特性を、タイピングプローブ、および少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCVサブタイプの各々を含むハイブリダイゼーション複合体の識別ハイブリダイゼーションのプローブと比較することを含む。
いくつかの実施形態において、HCVタイピングのための方法はさらにHCV定量を、好ましくは、同一反応ミックスに組み込み、従って、クローン化された系を可能とすることができる。実験試料におけるHCV定量のための方法は、TaqManタイプのプローブを用いて、HCV RT−PCRアンプリコン蓄積をモニターして、CT値を誘導することができる。HCV定量は、実験CT値を、既知のHCVウイルス負荷の対照試料についてのCT値と比較してなすことができる。すなわち、HCVタイピング方法は、さらに、試料中のHCVのウイルス負荷を決定するのに用いることができ、増幅工程は、さらに、アンプリコン蓄積のリアルタイム検出用の試薬を用いてアンプリコンの蓄積速度をモニターし、アンプリコンの蓄積速度をウイルス負荷と相関させることを含む。アンプリコン蓄積のリアルタイム検出用の試薬は、典型的には、アンプリコン定量プローブ、例えば、配列番号41のヌクレオチド配列を含むアンプリコン定量プローブを含む。アンプリコン定量プローブはFRETドナー部分およびFRETクエンチャー部分を含むことができ、そこではアンプリコン定量プローブは、塩基対合が起こる条件下でアンプリコンとで定量ハイブリダイゼーション複合体を形成する。この場合、増幅工程は増幅工程の間にドナー部分を検出することを含む。
また、本発明は、HCVタイピング、例えば、ゲノタイピングおよび/またはサブタイピングのための組成物および方法を提供し、そこでは、前記方法はHCV遺伝子型またはサブタイプ帰属をなすのに単一のタイピングプローブのみを必要とし、HCVアンプリコンを生じさせるのにRT−PCR増幅工程を必要としない。これらの実施形態において、試料材料(または任意で試料材料から精製された、またはそれから誘導された材料)をタイピング分析で用いる。試料中のC型肝炎ウイルス(HCV)のタイプを決定するためのこれらの方法は、一般には、工程、(a)HCVに由来する核酸を第一のプローブ(HCVタイピングプローブ)とハイブリダイズさせ、標的ハイブリダイゼーション複合体を形成し、ここに(i)第一のプローブはHCVゲノム内のヌクレオチド配列に対して相補的であるか、または部分的に相補的であり;(ii)ハイブリダイゼーション複合体の領域の相補性または部分的相補性は、少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCVサブタイプ内で配列不均一性を示し;および(iii)第一のプローブおよび少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCVサブタイプを含むハイブリダイゼーション複合体は、HCV遺伝子型またはサブタイプの各々を識別する識別ハイブリダイゼーション特性を有し;(b)標的ハイブリダイゼーション複合体の識別ハイブリダイゼーション特性を測定し、次いで(c)標的ハイブリダイゼーション複合体の識別ハイブリダイゼーションの特性に基づき、標的ハイブリダイゼーション複合体の測定された識別ハイブリダイゼーション特性をC型肝炎ウイルスのタイプと相関させることを含む。これらの方法で用いられるHCVタイピングプローブは特に限定されず、例えば、タイピングプローブは配列番号8〜27から選択される核酸配列を含むことができる。
本発明は、本明細書中で記載するHCVタイピング方法で用いることができるプローブを提供する。これらのプローブは、任意で、本発明の方法でのそれらの使用を容易とする種々の他の成分のいずれかと組み合わせることができる。いくつかの態様において、本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)ゲノム内のヌクレオチド配列に対して相補的であるか、または部分的に相補的であるヌクレオチド配列を含むプローブ(すなわち、HCVタイピングプローブ)を含む組成物を提供し、ここに、プローブの領域の相補性または部分的相補性は少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCVサブタイプ内で配列不均一性を示し;およびここに、プローブおよびHCV遺伝子型またはサブタイプの各々を含むハイブリダイゼーション複合体は、遺伝子型またはサブタイプの各々を識別する識別ハイブリダイゼーション特性を有する。そのようなHCVタイピングプローブの例は、限定されるものではないが、配列番号8〜27から選択される核酸配列を含むプローブを含む。いくつかの態様において、プローブ/標的ハイブリダイゼーション複合体、識別ハイブリダイゼーション特性は融解温度(Tm)である。
HCVタイピングプローブを含む本発明の組成物は、任意で逆転写酵素、およびHCVゲノムの逆転写の開始に適したプライマーを含むこともできる。HCVタイピングプローブを含む組成物は、任意で、(a)プローブ中のヌクレオチド配列に対して相補的であるか、または部分的に相補的であるヌクレオチド配列を含むHCVアンプリコン;(b)HCVアンプリコンを生じさせることができる増幅プライマー;または(c)HCVアンプリコンを生じさせることができる増幅プライマー対のいずれかである核酸を含むこともでき;プライマーおよびプライマー対は熱安定性DNA依存性DNAポリメラーゼ、遊離デオキシリボヌクレオチド三リン酸および適当なDNAポリメラーゼ反応緩衝液と混合される。
他の態様において、本発明は、標識されたHCVタイピングプローブおよび適当な可溶性クエンチャーを含む組成物を提供し、プローブおよび可溶性クエンチャー上の標識はFRET対を形成する。例えば、本発明は、(a)C型肝炎ウイルス(HCV)ゲノム内のヌクレオチド配列に対して相補的であるか、または部分的に相補的であるFRETドナー部分で標識されたプローブ、ここに、プローブの領域の相補性または部分的相補性は少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCVサブタイプ内で配列不均一性を示し;およびここに、プローブおよび複数のHCV遺伝子型またはサブタイプを含むハイブリダイゼーション複合体は、少なくとも2つのHCV遺伝子型または少なくとも2つのHCVサブタイプを識別する識別ハイブリダイゼーションプローブを有し;および(b)チアジン色素を含む可溶性FRETクエンチャー、ここに、FRETクエンチャーは、FRETドナー部分を消光することができる;を含む組成物を提供する。幾つかの実施形態において、識別ハイブリダイゼーション特性は融解温度(Tm)である。いくつかの実施形態において、これらの組成物は、任意で、さらに逆転写酵素、およびHCVゲノムの逆転写の開始に適したプライマーを含む。なお他の実施形態において、HCVタイピングプローブおよび可溶性クエンチャーを含む組成物は、さらに、(c)(i)プローブ中のヌクレオチド配列に対して相補的であるか、または部分的に相補的であるヌクレオチド配列を含むHCVアンプリコン;(ii)HCVアンプリコンを生じさせることができる増幅プライマー;または(iii)HCVアンプリコンを生じさせることができる増幅プライマー対のいずれかである核酸を含み;ここに、前記プライマーおよびプライマー対は熱安定性DNA依存性DNAポリメラーゼ、遊離デオキシリボヌクレオチド三リン酸、および適当なDNAポリメラーゼ反応緩衝液と混合される。
また、本発明は、キット、例えば、少なくとも1つのHCVタイピングプローブを含む診断キットを提供する。これらのキットは、試料中のHCVタイプを決定するのに用いることができる。例えば、いくつかの態様においては、HCVタイピング診断キットは(a)HCVゲノム内のヌクレオチド配列に対して相補的であるか、または部分的に相補的である少なくとも1つの標的プローブ(すなわち、HCVタイピングプローブ)、標的プローブの領域の相補性または部分的相補性は少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCVサブタイプの各々内で配列不均一性を示し、および標的プローブおよびHCV遺伝子型またはサブタイプの各々を含むハイブリダイゼーション複合体は異なる識別ハイブリダイゼーション特性を有し;および(b)標的プローブを含むハイブリダイゼーション複合体の識別ハイブリダイゼーション特性を測定するための指示書を含む。これらのキットは、例えば、配列番号8〜27から選択される核酸配列を含むHCVタイピングプローブを含有することができる。
いくつかの実施形態において、診断キットはHCV定量(すなわち、ウイルス負荷の決定)を行うための試薬も含有する。例えば、そのようなキットはさらに(c)HCVアンプリコンを生じさせることができる増幅プライマー対、ここに、前記アンプリコンは標的プローブ中のヌクレオチド配列に対して相補的であるか、または部分的に相補的である核酸配列を含み;および(d)アンプリコン蓄積のリアルタイム検出のためのアンプリコン定量プローブ、ここに、前記アンプリコン定量プローブは、塩基対合が起こる条件下でアンプリコンとで定量ハイブリダイゼーション複合体を形成する;を含むことができる。例えば、増幅プライマー対は配列番号39および40のプライマーを含むことができ、アンプリコン定量プローブは配列番号41のヌクレオチド配列を含むことができる。
いくつかの実施形態において、本発明の診断キットは1つ以上の容器にパッケージされる。いくつかの実施形態において、HCVタイピングプローブはFRET標識部分を含み、前記キットは、さらに、可溶性FRETクエンチャー、例えば、FRET標識部分を消光することができるチアジン色素を含む。他の実施形態において、前記キットは、任意でさらに、1つ以上の更なる成分を含有する。例えば、診断キットは、さらに、別法として、あるいはいずれかの組合せにおいて、逆転写酵素、C型肝炎ウイルスゲノムからの逆転写酵素開始に適した少なくとも1つのプライマー、熱安定性DNA依存性DNAポリメラーゼ、遊離デオキシリボヌクレオチド三リン酸、標準化試料、陽性対照試料、陰性対照試料、酵素反応に適した緩衝液、試料収集チューブ、増幅反応チューブおよびマルチウェルプレートを含むことができる。
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明のHCVタイピング方法の種々の態様を取り込み、それらの使用を容易とするシステムを提供する。HCVハイブリダイゼーション分析(例えば、HCVタイピングプローブ)を実行するのに必要な試薬に加えて、本発明の一体化されたシステムは、任意で、例えば、コンピュータハードウエア、ソフトウエア、またはHCVタイピングを行うための他の機器を含むことができる。例えば、本発明は、シグナルの検出をC型肝炎ウイルス(HCV)タイプと相関させるシステムを提供し、ここに、前記システムは、(a)シグナルを検出するためのディテクター、ここに、シグナルはハイブリダイゼーション複合体の識別ハイブリダイゼーション特性に相関し、ハイブリダイゼーション複合体がHCVゲノム内のヌクレオチド配列に対して相補的であるかまたは部分的に相補的であるプローブおよびHCVヌクレオチド配列を含むアンプリコンを含み;および(b)ディテクターに作用可能式にカップリングされた相関モジュール、ここに、前記相関モジュールは、HCV遺伝子型またはサブタイプの各々を含むハイブリダイゼーション複合対の識別ハイブリダイゼーション特性を検出する場合に観察されるシグナルと比較することによって、少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCVサブタイプの1つにシグナルを相関させること;を含む。任意で、本発明のシステムにおいては、識別ハイブリダイゼーション特性は融解温度(Tm)であって、相関モジュールは、プローブおよび少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCVサブタイプの各々を含むハイブリダイゼーション複合体についての予測されたまたは実験的に決定されたTm値のデータセットを含み、ここに、データセットはコンピュータリーダブルフォーマットである。
1つの実施形態において、本発明は、もし存在すれば、試料中のC型肝炎ウイルス(HCV)のタイプを決定する方法を提供し、前記方法は、a)試料からHCVゲノムの部分を増幅し、それにより、少なくとも1つのアンプリコンを生じさせ;b)前記アンプリコンを第一のプローブとハイブリダイズさせて、標的ハイブリダイゼーション複合体を形成し、ここに、i)第一のプローブはHCVゲノム内のヌクレオチド配列に対して相補的であるか、または部分的に相補的であり;ii)HCVゲノム内のヌクレオチド配列は少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCVサブタイプ内で配列不均一性を示し、およびiii)第一のプローブ、および少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCBサブタイプのヌクレオチド配列を含むハイブリダイゼーション複合体は、HCV遺伝子型またはHCVサブタイプの各々を識別する識別ハイブリダイゼーション特性を有し;c)標的ハイブリダイゼーション複合体の識別ハイブリダイゼーションの特性を測定し;d)標的ハイブリダイゼーション複合体の識別ハイブリダイゼーション特性に基づいて、標的ハイブリダイゼーション複合体の測定された識別ハイブリダイゼーション特性のHCV遺伝子型またはサブタイプと相関させることを含む。
もう1つの実施形態において、本発明は、試料中のC型肝炎ウイルス(HCV)のタイプを決定する方法を提供し、前記方法は、a)HCVに由来する核酸を第一のプローブとハイブリダイズさせて、標的ハイブリダイゼーション複合体を形成させ、ここに、i)前記第一のプローブはHCVゲノム内のヌクレオチド配列に対して相補的であるか、あるいは部分的に相補的であり;ii)HCVゲノム内のヌクレオチド配列は少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCVサブタイプ内で配列不均一性を示し;およびiii)第一のプローブおよび、少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCVサブタイプのヌクレオチド配列を含むハイブリダイゼーション複合体は、HCV遺伝子型またはサブタイプの各々を識別する識別ハイブリダイゼーション特性を有し;b)標的ハイブリダイゼーション複合体の識別ハイブリダイゼーション特性を測定し;次いで、c)標的ハイブリダイゼーション複合体の識別ハイブリダイゼーション特性に基づいて、標的ハイブリダイゼーション複合体の測定された識別ハイブリダイゼーション特性をC型肝炎ウイルスタイプに相関させることを含む。
もう1つの実施形態において、本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)ゲノム内のヌクレオチド配列に対して相補的であるか、または部分的に相補的であるヌクレオチド配列を含むプローブを含む組成物を提供し、ここに、プローブの領域の相補性または部分的相補性は少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCVサブタイプ内で配列不均一性を示し;およびここに、プローブ、およびHCV遺伝子型またはサブタイプの各々を含むハイブリダイゼーション複合体は遺伝子型またはサブタイプの各々を識別する識別ハイブリダイゼーション特性を有する。
もう1つの実施形態において、本発明は、a)C型肝炎ウイルス(HCV)ゲノム内のヌクレオチド配列に対して相補的であるか、または部分的に相補的であるFRETドナーで標識されたプローブ、ここに、プローブの領域の相補性または部分的相補性は少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCVサブタイプの間で配列不均一性を示し;およびここに、プローブ、および複数のHCV遺伝子型またはサブタイプを含むハイブリダイゼーション複合体は少なくとも2つのHCV遺伝子型または少なくとも2つのHCVサブタイプを識別する識別ハイブリダイゼーション特性を有し;およびb)チアジン色素を含む可溶性FRETクエンチャー、ここに、前記FRETクエンチャーはFRETドナー部分を消光することができる;を含む組成物を提供する。
もう1つの実施形態において、本発明は、a)HCVゲノム内のヌクレオチド配列に対して相補的であるか、または部分的に相補的である少なくとも1つの標的プローブ、ここに、標的プローブの領域の相補性または部分的相補性は少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCVサブタイプの各々の間で配列不均一性を示し、および標的プローブHCV遺伝子型およびサブタイプの各々を含むハイブリダイゼーション複合体は異なる識別ハイブリダイゼーション特性を有し;およびb)標的プローブを含むハイブリダイゼーション複合体の識別ハイブリダイゼーション特性を測定するための指示書を含む、試料中のC型肝炎ウイルス(HCV)のタイプを決定するための診断キットを提供する。
もう1つの実施形態において、本発明は、シグナルの検出をC型肝炎ウイルス(HCV)タイプと相関させるシステムを提供し、前記システムはa)シグナルを検出するためのディテクター、ここに、前記シグナルはハイブリダイゼーション複合体の識別ハイブリダイゼーションプローブと相関し、ここに、ハイブリダイゼーション複合体はHCVゲノム内のヌクレオチド配列に対して相補的である、または部分的に相補的であるプローブ、およびHCVヌクレオチド配列を含むアンプリコンを含み;およびb)ディテクターに作用可能式にカップリングされた相補性モジュール、ここに、前記相補性モジュールは、HCV遺伝子型またはサブタイプの各々を含むハイブリダイゼーション複合体の識別ハイブリダイゼーションの特性に関連する先に測定されたシグナルを比較することによって、シグナルを少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCVサブタイプの1つと相関させること;を含む。
もう1つの実施形態において、本発明は、配列番号8〜27のいずれかのオリゴヌクレオチドを提供する。
定義
本発明を詳細に記載する前に、本発明は、もちろん変化し得る特定の実施形態に限定されないことは理解されるべきである。また、本明細書中で用いる専門用語は特定の実施形態を記載する目的であり、限定的なことを意図しないことは理解されるべきである。本明細書中および添付の請求の範囲で用いるように、単数の用語および単数形態「ある」および「前記」は、例えば、文脈が明らかに他のことを指示している以外は、複数の言及を含む。従って、例えば、「核酸」への言及は複数の核酸分子も含み;用語「プローブ」の使用は、現実的には、多くのプローブ分子等を含む。
特記しない限り、核酸は5’〜3’の向きに左側から右側に書き、アミノ酸配列はアミノ(N末端)〜カルボキシ(C末端)の向きに左側から右側に書く。本明細書内で引用された数値範囲は範囲を定義する数を含み、定義された範囲内で各整数およびいずれかの非整数分数を含む。
特記しない限り、本明細書中で用いる全ての技術および科学用語は、本発明が属する分野における当業者によって通常理解されるのと同一の意味を有する。本明細書中に記載されたものと同様または同等ないずれの方法および材料も本発明のテストを実行するのに用いることができるが、好ましい材料および方法は本明細書中に記載する。本発明を記載し、特許請求するにおいて、以下の用語を後に記載する定義に従って用いる。
本明細書中で用いるように、用語「塩基」とは、相補的塩基または塩基アナログとの対合においてワトソン・クリックタイプの水素結合を形成することができるいずれの窒素含有複素環部分もいう。多数の天然および合成(非天然(non−natural)、または非天然(unnatural))塩基、塩基アナログおよび塩基誘導体が知られている。塩基の例はプリンおよびピリミジン、およびその修飾された形態を含む。天然に生じる塩基は限定されるものではないが、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、ウラシル(U)およびチミン(T)を含む。本明細書中で用いるように、本発明は天然に生じる塩基に限定する意図はない。というのは、本発明で用いられる多数の非天然(天然に生じない)塩基およびそれらの各非天然ヌクレオチドは当業者に知られているからである。そのような非天然塩基の例は以下に掲げる。
用語「ヌクレオシド」とは、糖、例えば、リボースまたはデオキシリボースのC−1’炭素に連結した塩基からなる化合物をいう。
用語「ヌクレオチド」とは、モノマー単位として、またはポリヌクレオチド内のヌクレオシドのリン酸エステルをいう。「ヌクレオチド5’−三リン酸」とは、糖5’−炭素位置に付着した三リン酸エステル基を持つヌクレオチドをいい、時々、「NTP」または「dNTP」および「ddNTP」と示される。修飾されたヌクレオチドは、典型的には、塩基部分の修飾によって化学的に修飾されたいずれかのヌクレオチド(例えば、ATP、TTP、GTPまたはCTP)である。修飾されたヌクレオチドは、例えば、限定されるものではないが、メチルシトシン、6−メルカプトプリン、5−フルオロウラシル、5−ヨード−2’−デオキシウリジンおよび6−チオグアニンを含む。本明細書中で用いるように、用語「ヌクレオチドアナログ」とは、天然に生じないいずれのヌクレオチドもいう。
用語「ポリヌクレオチド」、「核酸」、「オリゴヌクレオチド」、「オリゴマー」、「オリゴ」または同等な用語は、本明細書中で用いるように、ヌクレオチド塩基の配列に対応させることができるモノマーのポリマー配置、例えば、DNA、RNA、ペプチド核酸等をいう。ポリヌクレオチドは一本鎖または二本鎖とすることができ、例えば、遺伝子配列のセンスまたはアンチセンス鎖に対して相補的とすることができる。ポリヌクレオチドは標的ポリヌクレオチドの相補的部分とハイブリダイズして、二本鎖を形成することができ、これはホモデュプレックスまたはヘテロデュプレックスであり得る。ポリヌクレオチドの長さはいずれの点においても限定されない。ヌクレオチドの間の結合はヌクレオチドの間のタイプのホスホジエステルの結合またはいずれかのタイプの結合であり得る。「ポリヌクレオチド配列」とは、ポリマーに沿ったヌクレオチドモノマーの配列をいう。「ポリヌクレオチド」はいずれかの特定の長さまたは範囲のヌクレオチド配列に制限されない。というのは、用語「ポリヌクレオチド」はいずれの長さのヌクレオチドのポリマー形態も含むからである。ポリヌクレオチドは生物学的手段(例えば、酵素的)によって生産することができ、あるいは無酵素システムを用いて合成することができる。ポリヌクレオチドは酵素により延長することができ、あるいは酵素により延長できない。
3’−5’ホスホジエステル結合によって形成されたポリヌクレオチドは5’末端および3’末端を有するといわれる。なぜならば、反応してポリヌクレオチドを作成するヌクレオチドモノマーは、1つのモノヌクレオチドペントース環の5’リン酸がホスホジエステル結合を介して1つの方向にてその隣接するものの3’酸素(ヒドロキシル)に結合するように結合するからである。従って、ポリヌクレオチド分子の5’末端はヌクレオチドのペントース環の5’位置において遊離リン酸基またはヒドロキシル基を有し、他方、ポリヌクレオチド分子の3’末端はペントース環の3’位置において遊離リン酸またはヒドロキシル基を有する。ポリヌクレオチド分子内では、もう1つの位置または配列に対して5’向きである位置または配列は「上流」に位置するといわれ、他方、もう1つの位置に対して3’側である位置は「下流」であるといわれる。この用語は、ポリメラーゼが鋳型鎖に沿って5’〜3’の様式にてポリヌクレオチド鎖を進行させ、延長するという事実を反映する。特に断りのない限り、ポリヌクレオチド配列が表される場合は常に、ヌクレオチドは左から右へ5’〜3’の向きであると理解される。
本明細書中で用いるように、用語「ポリヌクレオチド」は、天然に生じるポリヌクレオチド配列またはポリヌクレオチド構造、天然に生じる骨格または天然に生じるヌクレオチド間結合に限定されることを意図しない。当業者であれば、本発明で用いられる、広く種々のポリヌクレオチドアナログ、非天然ヌクレオチド、非天然ホスホジエステル結合およびヌクレオチド間アナログは周知である。そのような非天然構造の非限定的例は非リボース糖骨格、3’−5’および2’−5’ホスホジエステル結合、ヌクレオチド間逆転結合(例えば、3’−3’および5’−5’)および分岐構造を含む。さらに、非天然結合は非天然ヌクレオチド間アナログ、例えば、ペプチド核酸(PNA)、ロックされた核酸(LNA)、メチルホスホネートのようなC1−C4アルキルホスホネート結合、ホスホルアミデート、C1−C6アルキル−ホスホトリエステル、ホスホロチオエート、およびホスホロジチオエートヌクレオチド間結合を含む。さらに、ポリヌクレオチドは全部が単一タイプのモノマーサブユニットおよび1つのタイプの結合からなることができるか、あるいは異なるタイプのサブユニットおよび異なるタイプの結合の混合物または組合せからなることができる(ポリヌクレオチドはキメラ分子であり得る)。本明細書中で用いるように、ポリヌクレオチドアナログはそれらが天然に生じるポリヌクレオチドと同様に一本鎖核酸標的にハイブリダイズする点で天然ポリヌクレオチドの必須の性質を保持する。
本明細書中で用いるように、用語「ポリヌクレオチドの配列」、[核酸配列]、「ポリヌクレオチド配列」、および同等または同様なフレーズとは、ポリヌクレオチドにおけるヌクレオチドの順序をいう。幾つかの場合において、「配列」とは、より具体的には、各々ヌクレオチドに結合した塩基の順序および同一性をいう。配列は、典型的には、5’〜3’方向で読まれ(書かれ)る。特に断りのない限り、本発明の特定のポリヌクレオチド配列は、任意で、明示的に示された配列に加えて相補的な配列を含む。
本明細書中で用いるように、用語「増幅」、「増幅する」等は、一般には、分子または関連分子の組のコピー数の増加をもたらすいずれのプロセスもいう。それはポリヌクレオチド分子に適用できるので、増幅は、典型的にはポリヌクレオチド(例えば、ウイルスゲノム)の少量から出発する、ポリヌクレオチド分子、またはポリヌクレオチド分子の部分の複数のコピーの生産を意味し、ここに、増幅された材料(例えば、ウイルスPCRアンプリコン)が典型的には検出可能である。ポリヌクレオチドの増幅は、種々の化学的および酵素的プロセスを含む。ポリメラーゼ鎖反応(PCR)、鎖置換増幅(SDA)反応、転写媒介増幅(TMA)反応、核酸配列ベースの増幅(NASBA)反応、またはリガーゼ鎖反応(LCR)の間における1または少数コピーの鋳型DNA分子からの複数のDNAコピーの複製は増幅の形態である。増幅は出発分子の厳密な複製に限られない。例えば、RT−PCRを用いる試料中の限定された量のウイルスDNAからの複数のDNA分子の創製は増幅の形態である。さらに、転写のプロセスの間における単一DNA分子からの複数のRNA分子の創製もまた増幅の形態である。
幾つかの実施形態において、増幅は、任意でさらなる工程、例えば、限定されるものではないが、標識、配列決定、精製、単離、ハイブリダイゼーション、サイズ分解、発現、検出および/またはクローニングによって行う。
本明細書中で用いるように、用語「ポリメラーゼ鎖反応」(PCR)とは、試料中の標的ポリヌクレオチドのセグメントの濃度を増加させるための当分野で周知の増幅のための方法をいい、試料は単一ポリヌクレオチド種、または複数ポリヌクレオチドであり得る。一般には、PCRプロセスはモル過剰の2以上の延長可能なオリゴヌクレオチドプライマーを所望の標的配列を含む反応混合物に導入することからなり、ここに、プライマーは二本鎖標的配列の対向鎖に対して相補的である。反応混合物をDNAポリメラーゼの存在下で熱的サイクリングのプログラムに付し、その結果、DNAプライマーが近接する所望の標的配列の増幅がもたらされる。逆転写酵素PCR(RT−PCR)は、RNA鋳型および逆転写酵素、または逆転写酵素活性を有する酵素を用いて、まず、DNA依存性DNAポリメラーゼプライマー伸張の複数サイクルに先立って、一本鎖DNA分子を生じさせる。多重PCRとは、典型的には、2を超えるプライマーを単一反応に含めることによって、単一反応において1を超える増幅された産物を生じるPCR反応をいう。広く種々のPCR適用のための方法は当分野で広く知られており、多くの源、例えば、Ausubel et al.(編),Current Protocols in Molecular Biology,Section 15,John Wiley & Sons,Inc.,New York(1994)に記載されている。
本明細書中で用いるように、表現「非対称PCR」とは、それらが不均等となるようにプライマー対におけるプライマーのモル濃度を調整することによるDNA標的の一本鎖の優先的PCR増幅をいう。非対称PCR反応は、不均一プライマー濃度の結果として、圧倒的に一本鎖産物および少量の二本鎖産物を生じる。非対称PCRが進むにつれ、より低い濃度のプライマーが二本鎖DNAアンプリコンに定量的に取り込まれるが、より高い濃度のプライマーはDNA合成の起点となり、その結果、一本鎖産物の継続した蓄積が起こる。
本明細書中で用いるように、用語「DNA依存性DNAポリメラーゼ」とは、相補的かつ逆平行DNA鎖の合成用の鋳型としてデオキシリボ核酸(DNA)を用いるDNAポリメラーゼ酵素をいう。熱安定性DNA依存DNAポリメラーゼはPCR増幅反応に用途を見出す。DNA依存性DNAポリメラーゼ酵素および、事実、いずれかのポリメラーゼ酵素についての適当な反応条件(または反応緩衝液)は当分野において広く知られており、多数の源に記載されている(例えば、Ausubel et al.(編),Current Protocols in Molecular Biology,Vol.1−4,John Wiley & Sons,Inc.,New York[1994;2004年9月まで補充]参照)。DNA依存性DNAポリメラーゼ酵素のための反応緩衝液は、例えば、遊離デオキシリボヌクレオチド三リン酸、塩および緩衝剤を含むことができる。
本明細書中で用いるように、用語「DNA依存性RNAポリメラーゼ」とは、RNA鎖の合成用の鋳型としてデオキシリボ核酸(DNA)を用いるRNAポリメラーゼ酵素をいう。DNA依存性RNAポリメラーゼによって媒介されるプロセスを「転写」と通常はいう。
本明細書中で用いるように、用語「RNA依存性DNAポリメラーゼ」とは、相補的かつ逆平行DNA鎖の合成用の鋳型としてリボ核酸(RNA)を用いるDNAポリメラーゼ酵素をいう。RNA分子のDNAコピーを生じさせるプロセスは、通常「逆転写」または「RT」および「逆転写酵素」であることを達成する酵素と呼ぶ。幾つかの天然に生じるおよび突然変異したDNAポリメラーゼもまた逆転写活性を保有する。
本明細書中で用いるように、酵素に適用される用語「熱安定性」とは、上昇した温度において(例えば、55度以上において)その生物学的活性を保有し、または加熱および冷却の反復サイクルに続いてその生物学的活性を保有する酵素をいう。熱安定性ポリヌクレオチドポリメラーゼはPCR増幅反応において特別な用途を見出す。
本明細書中で用いるように、用語「プライマー」とは、標的配列の相補的プライマー特異的部分と逆平行にハイブリダイズするよう設計された規定された配列を一般に持つ、酵素的に延長可能なオリゴヌクレオチドをいう。さらに、プライマーは鋳型依存的にヌクレオチドの重合を開始して、標的ポリヌクレオチドに対して相補的であるポリヌクレオチドを生じる。標的にアニーリングされたプライマーの延長は適当な反応条件において適当なDNAまたはRNAポリメラーゼを用いる。当業者であれば、重合反応条件および試薬は当分野でよく確立されており、種々の源に記載されていることが周知である。
プライマー核酸は、プライマー伸張が起こるためにはその鋳型配列に対して100%相補性を有する必要は無く;100%未満の相補性を持つプライマーはハイブリダイゼーションおよびポリメラーゼ伸張が起こるのに十分であり得る。任意で、プライマー核酸を所望であれば標識することができる。プライマーで用いる標識はいずれの適当な標識とすることもでき、例えば、分光的、光化学、生化学、免疫化学、化学または他の検出手段によって検出することができる。
本明細書中で用いるように、表現「増幅プライマー」とは、一般に、その標的ポリヌクレオチド配列に対してモル過剰であり、鋳型依存的酵素DNA合成および標的配列(およびハイブリダイゼーションの部位から下流の配列)の増幅の起点となり、一本鎖アンプリコンを生じるプライマーをいう。
本明細書中で用いるように、表現「増幅プライマー対」とは、それらの標的ポリヌクレオチド配列に対して一般にモル過剰であって、一緒に、鋳型依存性酵素DNA合成および標的配列の増幅の起点となって、二本鎖アンプリコンを生じる2つのプライマーの組をいう。
本明細書中で用いるように、用語「アンプリコン」とは、特定の標的核酸の増幅に続いて生じたポリヌクレオチド分子(または集合的に複数の分子)をいう。アンプリコンを生じさせるために用いる増幅方法は、最も典型的には、例えば、PCR方法を用いることによりいずれの適当な方法でもあり得る。アンプリコンは、典型的には、限定されるものではないがDNAアンプリコンである。アンプリコンは、一本鎖または二本鎖、あるいはいずれかの濃度比率のその混合物であり得る。
本明細書中で用いるように、表現「アンプリコン増幅のリアルタイム検出」とは、特異的アンプリコンまたはアンプリコンの検出、典型的には、その定量をいう。というのは、アンプリコンは増幅の完了に続いて検出または定量工程の必要性なしで生じる(典型的にはPCRによる)。用語「リアルタイムPCR」または「キネティックPCR」とは、PCRにおいて生じたアンプリコンのリアルタイム検出および/または定量をいう。
アンプリコン蓄積のリアルタイムの検出のための通常の方法は、蛍光性5’−ヌクレアーゼアッセイともいわれる5’−ヌクレアーゼアッセイ、例えば、TaqMan分析による;Holland et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:7276−7280(1991);およびHeid et al.,Genome Research 6:986−994(1996)参照。前記TaqMan PCR手法においては、2つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、PCR反応に特異的なアンプリコンを生じさせる。2つのPCRプライマーの間に位置するアンプリコンにおけるヌクレオチド配列にハイブリダイズさせる、第三のオリゴヌクレオチド(TaqManプローブ)を設計する。前記プローブはPCR反応で用いるDNAポリメラーゼによって延長できず、典型的には(必要ではないが)、相互に近接した蛍光レポーター色素およびクエンチャー部分で共標識される構造を有することができる。レポーター色素からの発光は、フルオールおよびクエンチャーが近接する場合、それらがプローブ上に存在するので、消光部分によって消光される。いくつかの場合において、プローブは蛍光レポーター色素またはもう1つの検出可能部分のみで標識することができる。
TaqMan PCR反応は5’−3’ヌクレアーゼ活性を保有する熱安定性DNA依存性DNAポリメラーゼを用いる。PCR増幅反応の間に、DNAポリメラーゼの5’−3’ヌクレアーゼ活性は、鋳型依存的にアンプリコンにハイブリダイズされる標識されたプローブを切断する。得られたプローブ断片はプライマー/鋳型複合体から解離され、次いで、レポーター色素はクエンチャー部分の消光効果から解放される。レポーター色素のほぼ1つの分子が各新しい合成されたアンプリコン分子につき解放され、未消光レポーター色素の検出は、放出された蛍光レポーター色素の量がアンプリコン鋳型の量に直接的に比例するように、データの定量的解釈のための基礎を提供する。
TaqManアッセイデータの1つの尺度は、典型的には、閾値サイクル(CT)として発現される。蛍光レベルは各PCRサイクルの間に記録され、増幅反応におけるその点まで増幅された産物の量に比例する。PCRサイクルは、蛍光シグナルがまず統計学的に有意であると記録されると、あるいは蛍光シグナルがいくつかの他の任意レベル(例えば、任意蛍光レベル、またはAFL)を超える場合には、閾値サイクル(CT)である。
5’−ヌクレアーゼアッセイのためのプロトコルおよび試薬は当業者に周知であり、種々の源に記載されている。例えば、5’−ヌクレアーゼ反応およびプローブはGelfand et al.に対して2001年4月10日に発行された「HOMOGENEOUS ASSAY SYSTEM」と題された米国特許第6,214,979号、Gelfand et al.に対して1998年9月8日に発行された「REACTION MIXTURES FOR DETECTION OF TARGET NUCLEIC ACIDS」と題された米国特許第5,804,375号;Gelfand et al.に対して1996年1月30日に発行された「NUCLEIC ACID DETECTION BY THE 5’−3’ EXONUXLEASE ACTIVITY OF POLYMERASES ACTING ON ADJACENTLY HYBRIDIZED OLIGONUCLEOTIDES」;Gelfand et al.に対して1993年5月11日に発行された「HOMOGENEOUS ASSAY SYSTEM USING THE NUCLEASE ACTIVITY OF A NUCLEIC ACID POLYMERASE」と題された米国特許第5,210,015号に記載されている。
リアルタイムアンプリコン検出のための方法における変動もまた知られており、特に、5’−ヌクレアーゼプローブが、増幅反応に存在する二本鎖アンプリコンの量に依存する蛍光を結果としてもたらす二本鎖DNAインターカレーティング色素によって置き換えられる場合である。例えば、Higuchiに対して2001年1月9日に発行された「METHODS AND DEVICES FOR HOMOGENEOUS NUCLEIC ACID AMPLIFICATION AND DETECTOR」と題された米国特許第6,171,785号;およびHiguchiに対して1999年11月30日に発行された「HOMOGENEOUS METHODS FOR NUCLEIC ACID AMPLIFICATION AND DETECTION」と題された米国特許第5,994,056号参照。
TaqMan(登録商標)PCRは、例えば、ABI PRISM(登録商標)7700配列検出システム(Applied Biosystems,Foster City,Calif.)、またはLightCycler(登録商標)(Roche Applied Sciences,Mannheim,Germany)のような商業的に入手可能なキットおよび機器を用いて行うことができる。好ましい実施形態において、5’ヌクレアーゼアッセイ手法はABI PRISM(登録商標)7700配列検出システムのようなリアルタイム定量的PCRデバイスで行われる。前記システムはサーモサイクラー、レーザー、電荷結合素子(CCD)、カメラおよびコンピュータからなる。前記システムはサーモサイクラーにて96ウェルマイクロタイタープレート様式で試料を増幅する。増幅の間、レーザー誘導蛍光シグナルが全ての96ウェルについての光ファイバーケーブルを通じてリアルタイムに収集され、CCDカメラで検出される。前記システムは機器を実行するためおよびデータを解析するためのソフトウエアを含む。
本明細書中で用いるように、用語「ハイブリダイゼーション」および「アニーリング」等は互換的に用いられ、典型的には、ハイブリダイゼーション複合体といわれるデュプレックスまたは他のより高次の構造形成をもたらす1つのポリヌクレオチドともう1つのポリヌクレオチド(典型的には、逆平行ポリヌクレオチド)との塩基対合相互作用をいう。逆平行ポリヌクレオチド分子の間の一次相互作用は、ワトソン/クリックおよび/またはHoogsteen−typeの水素結合による典型的には、塩基特異的な、例えば、A/TおよびG/Cである。2つのポリヌクレオチドがハイブリダイゼーションを達成するためにそれらの全長にわたって100%相補性を有するのは要件とされない。いくつかの態様において、ハイブリダイゼーション複合体は、分子間相互作用から形成できるか、あるいは別法として、分子内相互作用から形成することができる。
本明細書中で用いるように、フレーズ「特異的にハイブリダイズする」、「特異的ハイブリダイゼーション」等とは、アニーリング対が相補性を示し、好ましくは、ハイブリダイゼーション反応における他の潜在的結合パートナーを排除して優先的に結合する複合体をもたらすハイブリダイゼーションをいう。用語「特異的にハイブリダイズする」は、得られたハイブリダイゼーション複合体が100%相補性を有することを必要とせず;ミスマッチを有するハイブリダイゼーション複合体もまた特異的にハイブリダイズでき、ハイブリダイゼーション複合体を形成できることに注意すべきである。ハイブリダイゼーションの特異性の程度は、識別ハイブリダイゼーション特異性、例えば、ハイブリダイゼーション複合体の融解温度(Tm)を用いて測定することができる。
本明細書中で用いるように、フレーズ「塩基対合が起こる条件」とは、相補的ポリヌクレオチドまたは部分的に相補的なポリヌクレオチドが安定なハイブリダイゼーション複合体を形成できるようにするいずれのハイブリダイゼーション条件もいう。
本明細書中で用いるように、用語「ストリンジェント」、「ストリンジェントな条件」、「高ストリンジェンシー」等は、当分野で周知のように、一般的には低イオン強度および高温のハイブリダイゼーション条件を示す。例えば、本明細書に参照により組み込む、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第3版,Cold Spring Harbor Laboratry Press,Cold Spring Harbor,New York(2001);Current Protocols in Molecular Biology(Ausubel et al.編,J.Wiley & Sons Inc.,New York,1997)参照。一般には、ストリンジェントな条件は、規定されたイオン強度およびpHにおける特定の配列を含むハイブリダイゼーション複合体のための熱融解点(Tm)よりも約5〜30℃低くなるように選択される。別法として、ストリンジェントな条件は、規定されたイオン強度およびpHにおいて特定の配列につきTmよりも約5〜15℃低くなるように選択される。Tmは相補的(または部分的に相補的)ポリヌクレオチドを含むハイブリダイゼーション複合体の50%が解離するようになる(規定されたイオン強度、pHおよび核酸濃度下での)温度である。
本明細書中で用いるように、表現「低ストリンジェンシー」は、一般には高いイオン強度およびより低い温度のハイブリダイゼーション条件を示す。低ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件の下では、不完全な相補性を持つポリヌクレオチドはより容易にハイブリダイゼーション複合体を形成することができる。
本明細書中で用いるように、用語「相補的」または「相補性」は、ワトソン・クリックおよびHoogsteen−タイプの塩基対合則に関連するポリヌクレオチドの逆平行鎖に対する言及で用いられる。例えば、配列5’−AGTTC−3’は配列5’GAACT−3’に対して相補的である。用語「完全に相補的」または「100%相補的」等とは、逆平行鎖の間の塩基の完全なワトソン・クリック対合を有する相補的配列をいう(ポリヌクレオチドデュプレックスにミスマッチ無し)。しかしながら、相補性は完全である必要はなく;安定なデュプレックスは、例えば、ミスマッチした塩基対合またはマッチしない塩基を含むことができる。用語「部分的相補性」、「部分的に相補的な」、「不完全な相補性」、または「不完全に相補的な」等とは、100%未満の完全性である逆平行ポリヌクレオチド鎖の間の塩基のいずれかの整列をいう(例えば、ポリヌクレオチドデュプレックス中に少なくとも1つのミスマッチまたはマッチしていない塩基が存在している)。例えば、逆平行ポリヌクレオチド鎖の間の塩基の整列は、少なくとも99%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%または50%、またはその間のいずれかの値であり得る。
さらに、標的ポリヌクレオチドの「相補体」とは、標的ポリヌクレオチドの少なくとも部分と逆平行会合にて合わすことができる(例えば、ハイブリダイズすることができる)ポリヌクレオチドをいう。逆平行会合は、例えば、核酸分子内のヘアピンループの形態である分子内であり得るか、あるいは2以上の一本鎖核酸分子は相互にハイブリダイズする場合のような分子内であり得る。
本明細書中で用いるように、「標的」、「標的ポリヌクレオチド」、「標的配列」等とは、相補的ポリヌクレオチド、例えば、標識されたプローブまたはDNAポリメラーゼプライマーとのハイブリダイゼーションの対象である特異的ポリヌクレオチド配列をいう。ポリヌクレオチドとその標的とのアニーリングの結果として形成されたハイブリダイゼーション複合体を「標的ハイブリダイゼーション複合体」ともいう。ハイブリダイゼーション複合体は溶液中で形成することができ、(従って可溶性である)、またはハイブリダイゼーション複合体の1つ以上の成分を固相に付着させることができる(例えば、ドットブロットに、ビーズシステムに付着させ、標的ハイブリダイゼーション複合体の除去または単離を容易にし、あるいはマイクロアレイにおけるものである)。標的配列の構造は限定されるものではなく、DNA、RNA、そのアナログ、またはその組合せからなることができ、一本鎖または二本鎖であり得る。標的ポリヌクレオチドは、例えば、限定されるものではないが、原核生物、真核生物、植物、動物、およびウイルスを含むいずれかの生きた、または一旦生きていた生物、ならびに合成および/または組換え標的配列を含むいずれかの源に由来することができる。例えば、本明細書中に記載したように、ウイルスゲノム配列に由来するPCRアンプリコンは標的として働くことができる。
いくつかの態様において、ハイブリダイゼーション複合対中の標的ポリヌクレオチドは「鋳型」として働き、ここに、延長可能なポリヌクレオチドプライマーは鋳型に結合し、相補的ポリヌクレオチドの合成用のパターンとして鋳型の塩基配列を用いてヌクレオチド重合を開始させる。
本明細書中で用いるように、用語「プローブ」とは、典型的には、注目する標的核酸にハイブリダイズできるポリヌクレオチドをいう。典型的には、限定されるものではないが、プローブは、前記プローブ(および、従って、その標的)が検出され、可視化され、測定され、および/または定量され得るように、適当な標識またはレポーター部分と会合させる。標識されたプローブのための検出系は、限定されるものではないが、蛍光、(例えば、FRET対検出系を用いる場合の)蛍光消光、酵素活性、吸光度、分子量、放射能、ルミネセンスまたはレポーターの特異的結合を可能とする結合条件(例えば、レポーターが抗体である場合)を含む。いくつかの実施形態において、プローブは、注目する核酸ヌクレオチド配列に対する結合特異性を有する、ポリヌクレオチドよりはむしろ抗体であり得る。本発明はいずれかの特定のプローブ標識またはプローブ検出系に限定されることを意図しない。プローブで用いられるポリヌクレオチドの源は限定されず、非酵素系において合成により生じさせることができるか、あるいは生物学的(例えば、酵素的)系(例えば、細菌細胞中)を用いて生産されるポリヌクレオチド(またはポリヌクレオチドの部分)であり得る。
典型的には、プローブは核酸に含まれる特異的標的配列に十分に相補的であって、限定されるものではないが、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件のような選択されたハイブリダイゼーション条件下で標的配列とで安定なハイブリダイゼーション複合体を形成する。十分にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でプローブを用いて行われるハイブリダイゼーションアッセイは、特異的標的配列の選択的検出を可能とする。
本明細書中で用いるように、用語「標識」または「レポーター」は、その最も広い意味においては、それと会合するものを検出可能であるか、またはその検出を可能とするいずれの部分または特性もいう。例えば、標識を含むポリヌクレオチドは検出可能である(いくつかの態様においては、プローブといわれる)。理想的には、標識されたポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドを含むハイブリダイゼーション複合体の検出を可能とする。いくつかの態様において、例えば、標識はポリヌクレオチドに(共有結合により、または非共有結合により)付着される。種々の態様において、標識は、別法として、あるいは組み合わせて、(i)検出可能なシグナルを提供することができ;(ii)第二の標識と相互作用して、第二の標識、例えば、FRETによって提供される検出可能なシグナルを修飾することができ;(iii)ハイブリダイゼーション、例えば、デュプレックス形成を安定化させることができ;(iv)捕獲機能、例えば、疎水性アフィニティー、抗体/抗原、イオン複合体化を付与することができ、または(v)電気泳動移動度、疎水性、親水性、溶解度、またはクロマトグラフィー挙動のような物理的特性を変化させることができる。標識はそれらの構造およびそれらの作用メカニズムが広く変化する。
標識の例は、限定されるものではないが、(例えば、クエンチャーまたは吸収体を含めた)蛍光標識、非蛍光標識、比色標識、化学発光標識、生物発光標識、放射性標識、質量修飾基、抗体、抗原、ビオチン、ハプテン、(例えば、ペルオキシダーゼ、ホスファターゼ等を含む)酵素等を含む。さらに説明するために、蛍光標識は、フルオレセインファミリーの色素のような負に荷電した色素、またはローダミンファミリーの色素のような電荷が中性である色素、またはシアニンファミリーの色素のような正に荷電した色素を含むことができる。フルオレセインファミリーの色素は、例えば、FAM、HEX、TET、JOE、NANおよびZOEを含む。ローダミンファミリーの色素は、例えば、テキサスレッド、ROX、R110、R6G、およびTAMRAを含む。FAM、HEX、TET、JOE、NAN、ZOE、ROX、R110、R6G、およびTAMRAは、例えば、Perkin−Elmer,Inc.(Wellesley,MA,USA)から商業的に入手可能であり、テキサスレッドは、例えば、Molecular Probes,Inc.Eugene,OR)から商業的に入手可能である。シアニンファミリーの色素は、例えば、Cy2、Cy3、Cy5、Cy5.5およびCy7を含み、例えば、Amersham Biosciences Corp.(Piscataway,NJ,USA)から商業的に入手可能である。
本明細書中で用いるように、用語「FRET」(蛍光共鳴エネルギー移動)および同等な用語は、一般には、ドナー分子からフォトンの発光なしでエネルギーがドナー分子からアクセプター分子へ移動する2つの色素分子の電子状態の間の動的距離依存性相互作用をいう。FRETの効率は色素の間の分子間分離の逆に依存し、これは、それを、生物学的高分子の寸法に匹敵する距離にわたって有用とする。一般的には、FRETは、慣用的な光学顕微鏡観察の限界を超える空間的分解能でもって、イメージング、動的分析および/または共局所化分子の定量または単一分子における立体配座変化を可能とする。一般には、FRETは(a)ドナーおよびアクセプター分子が近接しなければならない(典型的には、例えば、10〜100Å)、(b)アクセプターの吸収スペクトルがドナーの蛍光発光スペクトルと重ならなければならない、および(c)ドナーおよびアクセプターの遷移二極の向きがほぼ平行でなければならないことを必要とする。
ほとんどのFRET適用においては、ドナーおよびアクセプター色素は異なり、その場合、FRETはアクセプターの感作された蛍光の出現によって、またはドナー蛍光の消光によって検出することができる。いくつかの場合において、ドナーおよびアクセプターが同一であり、FRETが得られた蛍光脱分極によって検出することができる。FRET系における単一のドナー/アクセプター分子の使用は、例えば、「COMPOSITIONS FOR THE DETECTION OF ENZYME ACTIVITY IN BIOLOGICAL SAMPLES AND METHODS OF USE THEREOF」と題された2004年5月20日に公開された、Packard and Komoriyaによる公開された米国特許出願第2004/0096926号に記載されている。
FRETは、分子近接性の変化によって特徴付けられる種々の生物学的現象を調査するための重要な技術となった。FRET技術が多くの生物学的実験室において今日普及しており、限定されるものではないが、核酸ハイブリダイゼーションの検出、リアルタイムPCRアッセイおよびSNP検出、タンパク質の構造および立体配座、タンパク質複合体の空間的分布および組立、受容体/リガンド相互作用、イムノアッセイ、単一分子のプロービング相互作用、核酸の構造および立体配座、突然変異を検出するためのプライマー延長アッセイ、自動DNA配列決定、脂質の分布および輸送、膜融合アッセイ(膜融合の脂質混合アッセイ)、膜ポテンシャル検知、発蛍光性プロテアーゼ基質、および環状AMPおよび亜鉛についてのインジケーターを含む種々の生物学的系で用いるのに適合されてきた。
本明細書中で用いるように、用語「FRETドナー」とは、典型的には、十分に近接した適当なFRETアクセプターに移動させることができる、放射線、例えば、蛍光またはルミネセント放射の検出可能な発光を生じる部分をいう。発現「FRETドナー」は「FRET標識」または「FRET標識部分」と互換的に用いることができる。
本明細書中で用いるように、用語「クエンチャー」、「クエンチャー部分」、「アクセプター」、「アクセプター部分」および「発光モディファイアー」および同様なおよび同等な用語が、一般には、放射線、例えば、限定されるものではないが、蛍光またはルミネセント放射の、この放射線を発光するであろう源からの検出可能な発光を減少させ、および/またはそれを低下させることができる部分をいう。一般には、クエンチャーとは、発光を低下させることができるいずれの部分も言う。消光の程度は、消光効果が、いずれの検出機器を用いての最小限検出可能であることを除いて、それ自体は制限されない。いくつかの態様において、クエンチャーは源から発せられた検出可能な放射線を少なくとも50%、別法として少なくとも80%、別法としてかつ最も好ましくは少なくとも90%だけ低下させる。
いくつかの実施形態において、クエンチャーはドナーからの蛍光発光の低下をもたらし、従って、ドナー/クエンチャーはFRET対を形成し、クエンチャーは「FRETクエンチャー」または「FRETアクセプター」といわれ、ドナーは「FRETドナー」である。
用語「クエンチャー」はFRETクエンチャーに限定されることを意図しない。例えば、消光は、限定されるものではないが、光電子移動、光結合電子移動、近くに位置したフルオロフォアの間のダイマー形成、一過性励起状態相互作用、衝突消光、または非蛍光基底状態種の形成を含むいずれのタイプのエネルギー移動も含むことができる。いくつかの実施形態において、クエンチャーとは光発光を低下させることができる分子をいう。フルオロフォアおよびクエンチャーの間のスペクトル重複について要件はない。本明細書中で用いるように、「消光」は動的(Foerster−Dexterエネルギー移動等)、および静的(基底状態複合体)を含むいずれのタイプの消光も含む。別法として、依然として、クエンチャーは蛍光色素からの吸収されたエネルギーを光以外の形態、例えば、熱として消散させることができる。
いくつかの実施形態において、いくつかのクエンチャーはFRETドナー発光から区別できる波長において、または前記区別できるシグナルタイプを用い、およびそのクエンチャーに特徴的であり、従って、この点において、クエンチャーは「標識」でもあり得る波長において、またはそのようなシグナルタイプにおいてFRETドナーから吸収されたエネルギーを再度発することができる。
蛍光プローブ系の使用についての一般的議論については、例えば、Joseph R.Lakowicz Plenum Publishing Corporation,第2版 July1(1999)によるPrinciples of Fluorescence SpectroscopyおよびMolecular Probesによって公表されたRichard P.HauglandによるHandbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals,第6版(1996)参照。
本明細書中で用いるように、表現「可溶性アクセプター」、「可溶性クエンチャー」、「可溶性発光モディファイアー」等とは、いずれかの他の分子に結合しておらず、大いに可溶性であるか、あるいはそうでなければいずれかの他の分子または固相に結合しないアクセプター部分をいう。例えば、いくつかのチアジン色素、例えば、ニューメチレンブルーを可溶性クエンチャーとして用いることができる。幾つかの実施形態において、可溶性クエンチャーは可溶性FRETクエンチャーであり、ここに、可溶性FRETクエンチャーは、FRETドナーも含む機能的FRET対の一部である。
本明細書中で用いるように、用語「チアジン(thiazine)色素」および「チアジン(thiazin)色素」(これらの用語が同義であって、当分野においては互換的に用いられる)とは、1つの硫黄原子、1つの窒素原子、および4つの炭素原子からなる環を含む有機化学化合物のクラスのいずれかをいう。可溶性クエンチャーとして用いることができるチアジン色素の例は、例えば、メチレンブルー(C16H18ClN3S)、メチレングリーン(C16H17ClN4O2S)、チオニン(C12H10ClN3S)、sym−ジメチルチオニン、トルイジンブルーO(C15H16N3SCl)、ニューメチレンブルー(C18H22ClN3S)、メチレンバイオレットベルンスゼン、アズールA(C14H14ClN3S)、アズールB(C15H16ClN3S)、アズールC、1,9−ジメチルメチレンブルー、トルイジンブルーO、およびメチレンバイオレットベルンズセンを含む。これらの化合物のいくつかの化合物を図8に示す。
本明細書中で用いるように、表現「FRET対」および同様なおよび同等な用語とは、ドナーおよびアクセプターが相互に対して適当に近接している場合にFRETが観察されるように、FRETドナー部分およびFRETアクセプター部分の対合をいう。一般に、限定されるものではないが、ドナー部分およびアクセプター部分は注目する種々の分子(例えば、ポリヌクレオチドプローブ)に結合される。
他の試薬および検出/イメージング機器と共に、広く種々の色素、フルオロ、クエンチャーおよび蛍光タンパク質がFRET分析で用いるために開発されており、広く商業的に入手可能である。当業者であれば、いずれの特定の分析で用いるためにも適切なFRETプロトコル、試薬および機器を認識する。
FRETで通常用いられる分子は、例えば、限定されるものではないが、フルオロセイン、FAM、JOE、ローダミン、R6G、TAMRA、ROX、DABCYL、およびEDANSを含む。蛍光色素が標識またはクエンチャーであるかは、その励起および発光スペクトルによって、およびそれが対となる蛍光色素によって規定される。例えば、FAMは488nmの波長で光によって最も効果的に励起され、500〜650nmのスペクトル、および525nmの発光最大を持つ光を発する。FAMは、その励起最大514nmにおいて有する、例えば、クエンチャーとしてのTAMRAとで用いる適当なドナー標識である。蛍光色素から吸収されたエネルギーを消散する非蛍光または暗いクエンチャーの例はBiosearch Technologies,Inc.(Novato,CA,USA)によって市販されるBlack Hole Quenchers(商標)を含む。前記Black Hole Quenchers(商標)は置換されたまたは置換されていないアリールまたはヘテロアリール化合物、またはその組合せから選択される少なくとも3つの基を含む構造であり、ここに、残基の少なくとも2つは外環ジアゾ結合を介して連結されている(例えば、本明細書に参照により組み込む、Cook et al.によって2001年11月15日に公開された、「DARK QUENCHERS FOR DONOR−ACCEPTOR ENERGY TRANSFER」と題された国際公開No.WO 01−86001参照)。クエンチャーの例は、例えば、Horn et al.に対して2002年10月15日に発行された「OLIGONUCLEOTIDE PROBES BEARING QUENCHABLE FLUORESCENT LABELS,AND METHODS OF USE THEREOF」と題された米国特許第6,465,175号にも提供されている。
本明細書中で用いるように、「部分」または「基」とは、大きな分子または複合体の部分または構成要素部分をいう。例えば、オリゴヌクレオチドプローブは標識部分を含むことができる。
本明細書中で用いるように、「識別ハイブリダイゼーション特性」とは、もう1つの複合体またはいずれかの数の他の複合体から1つの複合体を識別するのに用いることができるハイブリダイゼーション複合体のいずれかの特性をいう。1つの一本鎖核酸分子は種々の標的分子との多数のハイブリダイゼーション複合体に参画することができ、ここに、ヌクレオチド塩基ミスマッチ(もしあれば)の数、位置およびタイプは変化する。識別ハイブリダイゼーション特性の例は、例えば、限定されるものではないが、融解分析(例えば、Tm分析)、HMA(ヘテロデュプレックス移動度分析;White et al.,J Clin Microbiol(2000)38:477−482)、DHPLC(変性HPLC)、CFLP(切断断片長多形;Marshall et al.,J Clin Microbiol(1997)35:3156−3162)、TGCE(熱的グラジエント毛細管電気泳動);SURVEYOR(商標)ヌクレアーゼ突然変異検出キット、SSCP(一本鎖立体配座多形)を含む。
本明細書中で用いるように、「温度依存性ハイブリダイゼーション特性」とは、ハイブリダイゼーション複合体のいずれの定量的温度依存性特徴も言う。例えば、融解温度(Tm)は温度依存性識別ハイブリダイゼーション特性である。しかしながら、温度依存性ハイブリダイゼーション特性はTmに限定されない。例えば、ホモデュプレックスまたはヘテロデュプレックスにおける二本鎖ポリヌクレオチドまたは核酸塩基オリゴマー(例えば、ハイブリダイゼーション複合体)の集団の25%が一本鎖に解離される温度(T25)もまたハイブリダイゼーション複合体の規定する特徴である。同様に、ホモデュプレックスまたはヘテロデュプレックスにおける二本鎖ポリヌクレオチドまたは核酸塩基オリゴマー(例えば、ハイブリダイゼーション複合体)の集団の75%が一本鎖に解離される温度(T75)もまたハイブリダイゼーション複合体の規定する特性である。別法として、いずれかの規定された温度におけるハイブリダイゼーション複合体の解離のパーセンテージは定量的温度依存性ハイブリダイゼーション特性である。別法として、依然として、(融解曲線と反対に)「アニーリング曲線」を用いて、ハイブリダイゼーション複合体を特徴付けすることができる。アニーリング曲線分析においては、標的およびプローブポリヌクレオチド鎖の挙動は(融解曲線分析で用いられる上昇温度とは反対に)温度を低下させつつ観察される。ハイブリダイゼーション複合体の解離またはアニーリングの程度を測定する方法は当業者に周知である。
本明細書中で用いるように、用語「Tm」は「融解温度」に言及するのに用いられる。融解温度は、ホモデュプレックスまたはヘテロデュプレックスにおける二本鎖ポリヌクレオチドまたは核酸塩基オリゴマー(例えば、ハイブリダイゼーション複合体)の集団の1/2が一本鎖に解離するようになる温度である。デュプレックスポリヌクレオチドのTmの予測は、塩基配列ならびにオリゴマー結合の構造および配列特徴および性質を含めた他の因子を考慮する。Tmを予測し、実験的に決定するための方法は当分野で知られている。例えば、Tmは融解曲線によって伝統的には決定され、そこでは、デュプレックス核酸分子を制御された温度プログラムで加熱し、デュプレックス中の2つの一本鎖の会合/解離の状態をモニターし、2つの鎖が完全に解離する温度に到達するまでプロットする。Tmはこの融解曲線から読む。別法として、Tmはアニーリング曲線によって決定することができ、そこでは、デュプレックス核酸分子を、2つの鎖が完全に解離する温度まで完全に加熱する。次いで、温度を制御された温度プログラムで降下させ、デュプレックスにおける2つの一本鎖の会合−解離の状態をモニターし、2つの鎖が完全にアニールする温度に到達するまでプロットする。Tmはこのアニーリング曲線から読む。
本明細書中で用いるように、用語「試料」は最も広い意味で用いられ、分析に供するいずれの材料も言う。用語「試料」は典型的には生物学的起源のいずれのタイプの材料も言い、例えば、動物または植物から得られたいずれのタイプの材料も言う。試料は、例えば、血液または血清のようないずれの流体または組織とすることもでき、さらに、ヒト血液またはヒト血清であり得る。試料は培養された細胞または組織、微生物(原核生物または真核生物)の培養、または(生きたまたは一旦生きていた)生物学的材料から生産された、またはそれから由来するいずれかの画分または産物であり得る。任意で、試料は精製し、部分的に精製し、未精製、豊富化または増幅したものとすることができる。試料が精製されたまたは豊富化された場合、試料は主として1つの成分、例えば、核酸を含むことができる。より具体的には、例えば、精製または増幅された試料は全細胞RNA、全細胞mRNA、cDNA、cRNA、またはそこから由来する増幅された産物を含むことができる。
本発明の方法で用いる試料はいずれの源からのものとすることもでき、限定されるものではない。そのような試料は、限定されるものではないが、例えば、皮膚、血漿、血清、全血、血液産物、脊髄液、唾液、腹腔液、リンパ液、水性または硝子体液、滑液、尿、涙、血球、血液産物、精子、精液、膣液、肺滲出物、漿膜液、器官、気管支肺胞洗液、腫瘍、パラフィン包埋組織等を含めた個体または複数個体から単離されたある量の組織または流体であり得る。試料は、限定されるものではないが、細胞培養基における細胞、組換細胞、細胞成分の増殖から得られる条件培地を含むインビトロ細胞培養の構成要素および成分を含むこともできる。
本明細書中で用いるように、用語「ゲノム」とは、(ウイルスを含む)生物によって保有された遺伝子的情報または遺伝物質、すなわち、生物またはウイルスの全遺伝補充物をいう。ゲノムのサイズは、一般には、(一本鎖ゲノムを記載する場合は)ヌクレオチドまたは塩基、あるいは(二本鎖ゲノムを記載する場合は)塩基対のその合計数として与えられる。ゲノムはRNAまたはDNAを含むことができる。ゲノムは線状、環状とすることができ、および/または染色体のような区別されるユニット上に存在することができる。
本明細書中で用いるように、表現「配列不均一性」とは、異なる源に由来する2以上の相同ヌクレオチド配列の間の塩基配列発散をいう。配列発散は塩基対不適合(ミスマッチ)、ギャップ、挿入および/またはゲノム再編成において反映され得る。本明細書中で用いるように、1つのHCVゲノム、またはゲノムの部分は第2の(またはそれ以上の)HCVゲノム(またはその部分)と整列させることができ、配列不均一性につき分析することができる。例えば、ウイルスゲノムの収集は、もしそれらが、例えば、5’−UTR、または5’−UTRの部分において、特定のドメイン中の配列発散を示すならば、配列不均一性を示す。
本明細書中で用いるように、表現「C型肝炎ウイルスタイプ」とは、そのゲノム組織化(例えば、系統発生分析)に基づいて、C型肝炎ウイルス(HCV)のカテゴリー化をいう。HCV単離体の特定のタイプカテゴリーへのカテゴリー化は他のHCV単離体へのそのゲノムの関連性および他のHCV単離体へのその比較的低い関連性を反映する。本明細書中で用いるように、HCVタイピング命名法はSimmonds et al(1994)Letter,Hepatology 19:1321−1324によって提案された広く適合される命名法に合致する。また、Zein(2000)「Clinical Significance of Hepatitis C Virus Genotypes」,Clinical Microbiol.Reviews 13(2):223−235;Maertens and Stuyver(1997)「Genotypes and Genetic Variation of Hepatitis C Virus」,p.182−233,In Harrison,and Zuckerman(編),The Molecular Medicine of Viral Hepatitis,John Wiley & Sons,Ltd.,Chichester,England)も参照されたい。Simmonds et al(1994)の系は公知のHCV単離体を11のHCV遺伝子型、すなわち、遺伝子型1〜11の内の1つに入れる。各遺伝子型は、さらに、同一遺伝子型の株内の関連性を反映するグルーピングといわれるサブタイプに小分けされる。HCVサブタイプは遺伝子型、例えば、サブタイプ1a、サブタイプ1c、サブタイプ6a等に従って小文字ローマ文字によって書かれる。個々の単離体内で見出される遺伝的変種を疑似種といわれる。全ての11の遺伝子型を含むほぼ78のHCVサブタイプは世界中で知られており;サブタイプの数は静的ではなく;より多くのHCV単離体が調べられ、配列決定されるにつれ、さらなるサブタイプ(およびおそらくは遺伝子型)も認識できるようである。
本明細書中で用いるように、用語「ウイルスタイプ」とは遺伝子型またはサブタイプいずれかを言うことができる。本明細書中で用いるように、用語「HCVタイプ」はHCV遺伝子型またはHCVサブタイプを意味することができるのに注意されたい。本明細書中で用いるように、用語「HCVタイピング」は実験的(例えば、未知のタイプ)HCVを公知の遺伝子型(例えば、1、2、3、4、5または6、またはそのサブセット)に割り当てる、または実験的HCVを公知のサブタイプ(例えば、1a、1b、1c、2a、2b、2c等、またはそのサブセット)に割り当てることを意味する。対照的に、当分野で通常用いられているように、用語「HCVゲノタイピング」は、最も頻繁には、HCVのいずれかのサブタイプ、例えば、最も典型的には、1a、1b、1c、2a、2b、2c等の1つにHCVを割り当てることを言うのに注意されたい。しかしながら、本明細書中で用いるように、用語「ゲノタイピング」とは1、2、3、4、5または6のみへの割り当てをいう。
いくつかのレポート(例えば、Robertson et al.,(1998)Arch.Virol.,143(12):2493−2503)は、ウイルスゲノム組織化がウイルスクレードの創製によって最良に表され、いくつかのHCV遺伝子型が他のHCV遺伝子型よりも相互により密接に関連するという観察を反映すると提唱している。この系においては、クレード1、2、4および5は遺伝子型1、2、4および5に対応し、他方、クレード3は遺伝子型3および10を含み、クレード6は遺伝子型6、7、8、9および11を含む。本発明の記載はクレード命名法を用いない。
本明細書中で用いるように、表現「機能的プローブ」とはHCVタイピングプローブを言い、ここに、そのプローブが少なくとも5つの異なるHCV遺伝子型(例えば、1、2、3、4、5および6から選択される遺伝子型)または少なくとも6つの異なるHCVサブタイプ(例えば、1a、1b、1c、2a、2b、2c、3a、4a、5aおよび6aから選択されるサブタイプ)とでハイブリダイゼーション複合体を形成した場合、いくつかのハイブリダイゼーション特性の異なる値または規定する特徴は各HCVタイプに対応して区別することができ、したがって、プローブは各HCVタイプを識別することができる。
本明細書中で用いるように、表現「非機能的プローブ」とはHCVタイピングプローブを言い、そこでは、そのプローブが少なくとも5つの異なるHCV遺伝子型(例えば、1、2、3、4、5および6から選択される遺伝子型)または少なくとも6つの異なるHCVサブタイプ(例えば、1a、1b、1c、2a、2b、2c、3a、4a、5aおよび6aから選択されるサブタイプ)とでハイブリダイゼーション複合体を形成する場合、いくつかのハイブリダイゼーション特性の異なる値または規定する特徴を各ハイブリダイゼーション複合体につき区別することができず、従って、プローブはHCV遺伝子型またはHCVサブタイプの各々を区別することができない。
本明細書中で用いるように、表現「に由来する」とは、特定の試料、分子、生物、あるいは特定の分子または生物からの情報から単離された、またはそれを用いて作成された成分をいう。例えば、C型肝炎ウイルスに由来する核酸分子はHCVゲノムの分子であり得、あるいは別法として、HCVゲノムからの転写体であり得る。
本明細書中で用いるように、表現「ウイルス負荷」、「ウイルス負担」、「ウイルスコピー数」および同等または同様な表現は、試料中のウイルスゲノムの定量的評価をいう。ウイルス負荷は試料容量の単位当たりのウイルス粒子(例えば、ビリオン)の数として表すことができる。別法として、ウイルス負荷は容量の単位当たりの試料中のウイルスゲノム粒子の数として表すことができる。例えば、試料中のHCVのウイルス負荷は試料容量の単位当たりのRNAゲノム分子の数として表すことができる。
本明細書中で用いるように、用語「サブ配列」、「断片」または「部分」等とは、完全な配列までの、かつそれを含む、より大きな配列(例えば、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列)のいずれかの部分をいう。サブ配列の最小長は、最小長がその意図された機能に鑑みて有用であろう以外は、一般には制限されない。例えば、ポリヌクレオチド部分はウイルスゲノムから増幅して、アンプリコンを生産することができ、これは、今度は、ポリヌクレオチドプローブを含むハイブリダイゼーション反応で用いることができる。従って、この場合には、増幅された部分はポリヌクレオチドプローブに特異的にハイブリダイズするのに十分な長さとすべきである。ポリヌクレオチドの部分はいずれの長さ、例えば、少なくとも5、10、15、20、25、30、40、50、75、100、150または200ヌクレオチド以上の長さとすることもできる。
本明細書中で用いるように、用語「モニターする」とは、周期的または連続的監視、テスト、データ収集および/または定量をいう。モニタリングは自動化することができ、モニタリングの間に集めた情報(例えば、データセット)は印刷することができ、あるいはコンピュータリーダブルおよび/またはコンピュータストアラブルフォーマットとして編集することができる。
本明細書中で用いるように、用語「相関する」とは、2以上の変数、値または存在の間の関係を作り出すことをいう。2つの変数が相関するならば、それらの変数の内の1つの同定を用いて、残りの変数の値を決定することができる。
本明細書中で用いるように、用語「キット」は、試料のプロセス、方法、アッセイ、分析または操作を容易とする製品の組合せに言及するのに用いる。キットは前記キットをどのようにして用いるかを記載する書面による指示書(例えば、本発明の方法を記載する指示書)、前記方法で必要な化学試薬または酵素、プライマーおよびプローブ、ならびにいずれかの他の成分を含むことができる。いくつかの実施形態において、本発明はRT−PCRを使用する「閉じたチューブ」HCVタイピングのためのキットを提供する。これらのキットは、例えば、限定されるものではないが、試料収集(例えば、血液試料の収集)のための試薬、血液からのRNAの収集および精製のための試薬、逆転写酵素、逆転写に適したプライマー、およびHCVアンプリコンを生産するための第一鎖および第二鎖cDNA合成、熱安定性DNA依存性DNAポリメラーゼ、および遊離デオキシビボヌクレオチド三リン酸を含むことができる。いくつかの実施形態において、逆転写酵素活性および熱安定性DNA依存性DNAポリメラーゼ活性を含む酵素は同一酵素、例えば、Thermus sp.ZO5ポリメラーゼまたはThermus thermophilusポリメラーゼである。