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単一プローブ分析を用いるc型肝炎ウイルスタイピングのためのプローブおよび方法

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Description

本発明は、ウイルス診断手法に関する。具体的には、本発明はC型肝炎ウイルスタイピング(例えば、ゲノタイピングおよびサブタイピング)に関する。本発明は、例えば、患者からの試料におけるHCVタイピングのための組成物および方法を提供する。
〔従来の技術〕
米国特許第6,548,244号 国際特許出願WO96/13590号 国際特許出願WO94/25601号 米国特許第6,171,785号 米国特許第5,994,056号 米国特許出願第2004/009626号 米国特許第6,465,175号 米国特許第5,366,806号 米国特許第5,847,162号 米国特許第5,936,087号 米国特許第6,051,719号 米国特許第6,191,278号 米国特許第5,188,934号 米国特許第6,008,379号 米国特許第6,020,481号 米国特許第6,140,500号 米国特許第5,863,727号 米国特許第5,800,966号 米国特許第5,945,526号 米国特許出願第10/719,257号
C型肝炎ウイルス(HCV)感染は増大する世界的な関心事である。HCV感染は一般に持続性があり、肝臓の硬変および肝臓細胞癌腫において発現される慢性肝臓病を誘導する。HCVは合衆国において肝臓移植のための主導的原因である。世界的には、ほぼ100万の新しいHCV感染が毎年報告されている。合衆国単独において、推定400万人の人々が感染しており、3万の新しい感染が毎年起こる。
現在、HCVは合衆国において毎年推定8000〜1万人の死亡の原因である。改良された診断剤および治療剤の開発なしでは、その数は次の10〜20年において3倍となることが予測される(National Institutes of Health Concensus Development Conference Panel(1997)National Institutes of Health Concensus Development Conference Panel statement:「Management of Hepatitis C」,Hepatology 26(Suppl.1):2S−10S)。
HCVゲノムは高度に多形であって、(遺伝子型およびサブタイプといわれる)多数の株が特徴付けられている。異なるウイルスのタイプは異なる病気の結果および治療計画に対する異なる応答性に相関する。感染に存在するウイルス遺伝子型(および/またはサブタイプ)を知ることは、臨床家に、感染した患者についての治療の最適なコースを決定するための重要なインジケーターを提供する。しかしながら、益々増大する数の公知のHCVタイプを識別することができる単純な診断方法の開発は挑戦的となった。
HCV診断のための改良された方法を開発する当分野における要望が存在する。益々増大する数の、遺伝子型サブタイプを含む公知のHCV遺伝子型単離体を識別できる改良された方法に対する要望が存在する。さらに、HCV感染を同時に遺伝子型分けし、定量する(例えば、ウイルス負荷またはコピー数を測定する)ことができる方法に対する当分野における要望も存在する。本発明は、これらの要望を満足し、ならびにさらなる利点を提供する新規な組成物および方法を提供する。
本発明の詳細な記載に先立って、HCV命名法および生物学の関連態様を以下に議論する。本発明を理解するのに必要なこれらのトピックスはHCVゲノムの議論、HCVタイピングの命名法、HCVタイピングの臨床的関連性およびHCVタイピング方法を含む。
HCVゲノム
HCVゲノム(図1参照)は、PestivirusおよびFlavivirus属のメンバーのゲノムに対して顕著な同様性を持つ長さがほぼ10kbの正−センス一本鎖RNAゲノムを有する。元のHCV単離体(HCV−1)は3’末端においてポリ(A)テイルを含有するほぼ9.4kBゲノムを有した(Choo et al.(1991)「Genetic organization and diversity of the hepatitis C virus」,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:2451−2455)。HCV−1配列は341塩基の5’非翻訳領域(5’−UTR)、3,011アミノ酸のポリプロテインをコードする長いオープンリーディングフレームおよび約27塩基の3’非翻訳領域(3’−UTR)を含んだ。図1におけるHCVゲノムおよびポリプロテインの模式図参照。
ウイルスRNAゲノムは宿主翻訳装置によって単一ポリプロテイン産物として翻訳され、これは、次いで、タンパク質分解プロセッシングに付されて、ウイルスタンパク質を生じる。各遺伝子型のオープンリーディングフレーム(ORF)の長さは特徴的に異なる。例えば、タイプ1単離体におけるオープンリーディングフレームは長さがほぼ9,400リボヌクレオチドであり、他方、タイプ2単離体のそれは典型的には9,099ヌクレオチドであって、タイプ3単離体のそれは典型的には9,063ヌクレオチドである(Bukh et al.(1995)「Genetic heterogeneity of hepatitis C virus:quasispecies and genotypes」,Semin.Liver Dis.,15:41−63)。
HCVゲノム構造/組織化はFlaviviridae科のそれと非常に似ている。ほとんどのflavivirusタンパク質の公知の機能と合致して、N末端HCVタンパク質は同様な構造であり(C(キャプシド/コア)、E1およびE2エンベロープタンパク質を含む)、NS2(メタロプロテアーゼ、NS3(セリン−プロテアーゼ/ヘリカーゼ)、NS4およびNS5(NS5B RNAポリメラーゼ)を含めたC末端非構造タンパク質はウイルス複製において機能すると考えられる。HCV RNAゲノムおよびコードされたポリペプチドの組織化を示す模式図を図1に掲げる。
プロトタイプHCV単離体(今日HCV 1aといわれる)の同定および特徴付けに続いて、世界中からの他の単離体が同定され(継続して同定され)ている。配列の比較は、これらのユニークな単離体はHCVゲノムの全長にわたって35%と高いヌクレオチド非同一性によって相互と異なり得る(Okamoto et al.(1992)Virology 188:331−341)。配列の変動はウイルスゲノム全体で観察され、いくつかの領域は他よりも大きな変動を示す。例えば、一般的には、高い配列保存は5’−UTR領域に観察され;逆に、エンベロープ(E)領域を含むいくつかの領域は超可変ヌクレオチド配列を示す。
HCVタイピング命名法
HCVタイピング命名法の理解が、本発明の議論に先立って必要である。歴史的には、研究者はいくつかの分類系および命名法を用いて種々のHCV株を特徴付けてきたが、その結果、科学文献において困難を生じた。コンセンサスHCV遺伝子型/サブタイプ命名法系がいまや採用された(Simmonds et al.(1994)Letter,Hepatology 19:1321−1324;また、Zein(2000)「Clinical Significance of Hepatitis C Virus Genotypes」,Clinical Microbiol. Reviews 13(2):223−235;Maertens and Stuyver(1997)「Genotypes and Genetic Variation of Hepatitis C Virus」,p.182−233,In Harrison,and Zuckerman(編),The Molecular Medicine of Viral Hepatitis,John Wiley & Sons,Ltd.,Chichester,Englandも参照されたい)。この系に従うと、HCV単離体は、遺伝子型といわれる主要な遺伝子の群へのヌクレオチド配列の発散に基づいて分類される。これらの遺伝子型は、一般に、その発見の順序で(アラビア数字で)ナンバリングされる。遺伝子型内で相互により密接に関連するHCV株はサブタイプといわれ、これは、一般にはその発見の順番に、小文字文字が割り当てられる。個体単離体内で見出される遺伝的変種は疑似種といわれる。HCVの疑似種は、おそらくは、宿主中でのウイルス複製の間における突然変異の蓄積からの結果である。
いずれかの2つのHCV単離体の間の関連度合いは、例えば、ゲノムの全長にわたって2つのゲノムの間のヌクレオチド同一性のパーセンテージを測定することによって定量することができる。この関連性分析、およびどのようにして命名法を用いてウイルス単離体関連性を反映するかの1つの例は図2に示される(Zein(2000)「Clinical Significance of Hepatitis C Virus Genotypes」,Clinical Microbiol.Reviews 13(2):223−235から適合)。Simmonds et al.(1994,Letter,Hepatology 19:1321−1324)によって提案された命名法を用い、遺伝子型、サブタイプおよび疑似種の間の非関連性の増大する程度が、完全なゲノムにわたってのヌクレオチド配列同一性のパーセンテージにおいて観察できる。図2中の表は、疑似種であるHCV単離体が関連性の最大程度を共有し、遺伝子型内の同一サブタイプの単離体が、やはりその遺伝子型内の異なるサブタイプの単離体よりも大きな配列同一性を共有するという提案を反映している。
別法として、HCV単離体の間の関連性は、例えば、図3に示されたように、ゲノムのより小さなドメインにわたってゲノム同一性を調べることによって定量することができる。この比較はウイルスNS5オープンリーディングフレーム(プロトタイプHCV遺伝子型1a単離体におけるヌクレオチド位置7975−8196)に由来する222ヌクレオチドセグメントを用いる。配列同一性のこの比較は、1つのサブタイプのHCV単離体が、いずれかの他の遺伝子型からの単離体に対するよりは、その同一遺伝子型の他のサブタイプに対してより密接に関連するというSimmonds et al.(1994,Letter,Hepatology 19:1321−1324)の提案をやはり支持する。
現在、11のHCV遺伝子型が世界中で認識されている。しかしながら、異なる遺伝子型の間の進化的(系統発生)関連性が再度調べられ、HCV単離体が分類され/帰属される認識された遺伝子型の数は再度評価すべきである公表された提案がある。いくつかの報告は、HCV遺伝子型のサブセットが他のより距離がある関連遺伝子型に対してよりも相互に対してより密接に関連することを示唆しており、これは、修飾されたHCV命名法に反映させるべきである。11の遺伝子型は6つのHCVクレードに再度グループ分けすることができることが提案されている。クレードのグループ分けは遺伝子型の間の系統発生関係を反映し、そこでは、遺伝子型1、2、4および5は全て区別されるクレードを表すが、遺伝子型3および10は単一のクレード3に入れられ、遺伝子型6、7、8、9および11は単一のクレード6に入れられる(Robertson et al.,(1998)Arch.Virol.,143(12):2493−2503;Zein(2000)「Clinical Significance of Hepatitics C Virus Genotypes」,Clinical Microbiol.Reviews 13(2):223−235)。
全ての11の遺伝子型を含むほぼ78のHCVサブタイプが世界中で知られている。これらのサブタイプのいくつかの要約を図4に示す。この表はいくつかの(全てではない)HCVタイプ、特に、頻繁な臨床的な単離体のように見えるサブタイプのリストを提供する。当分野で知られたプロトタイプおよび/または代表的な単離体の名称を掲げる。
多くのHCV単離体がその全体が配列決定されている。図5は、臨床的に関連するHCV単離体のいくつかの5’−UTRにおける33のヌクレオチドドメインのコンセンサス配列を示す表を掲げる。HCVタイプ1aヌクレオチド配列と同一であるヌクレオチド位置をダッシュ記号で示す。HCVタイプ1aとは異なるヌクレオチド位置をヌクレオチドの変化で示す。
本明細書中におけるHCV遺伝子型、サブタイプおよび疑似種に対する全ての言及はSimmonds et al.,1994に記載された系に従っており(Letter,Hepatology 19:1321−1324)、また、例えば、Zein(2000)「Clinical Significance of Heptitis C Virus Genotypes」,Clinical Microbiol.Reviews 13(2):223−235;Maertens and Stuyver(1997)「Genotypes and Genetic Variation of Hepatitis C Virus」,p.182−233,In Harrison,and Zuckerman(編),The Molecular Medicine of Viral Hepatitis,John Wiley & Sons,Ltd.,Chichester,Englandに記載されている。
HCVタイピングの臨床的関連
患者におけるHCV感染のタイピングは依然として感染の攻撃性についての重要な予言者、ならびに種々の治療計画に応答する感染についての能力である。HCV遺伝子型1はより攻撃的な株およびHCV遺伝子型2または3よりもαインターフェロン(INF−α)処置(およびリバビリンとの組合せ療法)により応答しないようである株を表す(Nolte,「Hepatitis C Virus Genotyping:Clinical Implications and Methods」,Molecular Diagnosis 6(4):265−277[2001];Dufour 「Hepatitis C:Laboratory Tests for Diagnosis and Monitoring of Infection」,Clinical Laboratory News,November 2002,p.10−14;Pawlotsky 「Use and Interpretation of Hepatitis C Virus Diagnostic Assays」,Clinics in Liver Disease,Vol.7,Number 1[Feburary 2003])。HCV感染をタイプ分けする目標は、しばしば、他のHCVタイプで感染されたものとは反対にHCV遺伝子型1に感染した患者を同定することである。さらに、公知のHCVサブタイプの拡大するリストの同定に関しては、臨床的および研究的目的双方のためのHCV系統発生の複雑性を識別できる単純なHCVタイピング方法に対する当分野における要望が存在する。また、同時にHCV負荷情報(例えば、コピー数およびウイルスゲノム定量)を提供するHCVタイピング方法に対する当分野における要望も存在する。
実質的な領域的差がHCVタイプの分布に存在する。HCVサブタイプ1aおよび1bは合衆国および欧州において最も普通のサブタイプである。日本においては、サブタイプ1bはHCV感染の場合の73%までを担う。HCVサブタイプ2aおよび2bは南米、欧州および日本では比較的普通であり、サブタイプ2cは北部イタリアで普通に見出される。HCV遺伝子型3aは欧州および合衆国において静脈内薬物乱用者において特に蔓延している。HCV遺伝子型4は北アフリカおよび中近東において優勢なように見え、遺伝子型5および6は、各々、南アフリカおよび香港に限られるようである。HCV遺伝子型7、8および9はベトナムの患者においてのみ同定されており、遺伝子型10および11はインドネシアからの患者で同定された(Nolte,「Hepatitis C Virus Genotyping:Clinical Implications and Methods」,Molecular Diagnosis 6(4):265−277[2001];Pawlotsky「Hepatitis C Virus Genetic Variability:Pathogenic and Clinical Implications」,Clinics in Liver Disease,Vol.7,Number 1[Feburary 2003];Zein「Clinical Significance of Hepatitis C Virus Genotypes」,Clinical Microbiol.Reviews 13(2):223−235[2000]参照)。
区別されるHCV遺伝子型およびサブタイプの地理的クラスタリングのため、HCVタイピングは所与の集団におけるHCV突発の源を追跡するにおける有用な疫学マーカーでもあり得る。例えば、HCVタイピングを用いて、汚染した抗D免疫グロブリンに対するアイルランド婦人の群におけるHCV感染の源を追跡した(Power et al.,(1995)「Molecular epidemiology of an outbreak of infection with hepatitis C virus in recipients of anti−D immunoglobruin」 Lancet 345:1211−1213)。疫学マーカーとしてのHCVタイピングを用いるさらなる例も知られている(例えば、Hohne et al.,(1994)「Sequence Variability in the env−coding region of hepatitis C virus isolated from patients infected during a single source outbreak」,Arch.Virol.,137:25−34;およびBronowicki et al.,(1997)「Patient−to−patient transmission of hepatitis C virus during colonoscopy」,N.Engl.J.Med.,337:237−240参照)。
HCVタイピング方法
いずれかの所与の感染で見出されるHCV単離体は地理的株分布、病気の結果、および抗HCV療法に対する応答における差によって変化する。HCV遺伝子型を決定するための信頼性のある方法は重要な臨床試験である。さらに、多数のかつ区別されるHCV種の同定に関しては、HCVタイピング方法が多数のHCVタイプ(遺伝子型およびサブタイプ)を識別する能力を有することが重要である。例えば、少なくとも5以上の遺伝子型を識別することができるのがHCVゲノタイピングテストで有用である。別法として、少なくとも6以上のサブタイプの間を識別できるのがHCVタイピングで有用である。HCVタイピングのための核酸塩基の方法を以下にまとめる。
ヌクレオチド配列決定
HCVゲノタイピングおよびサブタイピングについての参照標準は、(例えば、患者からの臨床検体から)HCVゲノムRNAのRT−PCR、続いての系統発生帰属によるHCVゲノムに由来するアンプリコンのヌクレオチド配列決定である。しかしながら、直接的配列決定は、(非放射性試薬を用いる自動配列決定装置の導入に関してさえ)低いスループットおよび特殊化された器具についての要件のため非現実的である。さらに、混合感染の場合のゲノタイピングおよびサブタイピングについての配列決定方法を用いるのは曖昧な結果をもたらしかねない。
PCRベースのHCVゲノタイピング
いくつかのタイピング方法は、タイプ特異的PCRプライマーを用いるPCR再増幅を用いる。タイピングは、ユニバーサルコンセンサスプライマー(すなわち、HCVタイプにかかわらずHCVゲノムアンプリコンを生じるプライマー)での一次PCR増幅、続いての、タイプ特異的プライマーでのネステッドPCR、例えば、コア領域内のタイプ特異的プライマーによって達成される。これらのアッセイは、十分なタイプ特異的PCRアンプリコンを生じて、遺伝子型/サブタイプ帰属をなすためにPCRプライマーの複数の組を必要とする。これらの方法は、HCVタイピングを達成するのにPCRプライマーの複数の組を必要とし、しばしば、感度および特異性を欠くという欠点を有する(Xavier and Bukh(1998)「Methods for determining the hepatitis C genotype」,Viral Hepatitis Rev.,4.1−19;Zein(2000)「Clinical Significance of Hepatitis C Virus Genotypes」,Clinical Microbiol. Reviews 13(2):223−235;Okamoto et al.,(1992)「Typing hepatitis C virus by polymerase chain reaction with type−specific primers: Application to clinical surveys and tracing infectious sources」,J.Gen.Virol.,73:673−679;Widell et al.,(1994)「Genotyping of hepatitis C virus isolates by a modified polymerase chain reaction assay using type specific primers: epidemiological applications」,J.Med.Virol.,44:272−279)。
ハイブリダイゼーションベースのHCVゲノタイピング
HCV単離体のタイピングは、複数のタイプ特異的ハイブリダイゼーションプローブを用いることによって達成することができる。このウイルスタイピングは、ユニバーサルプライマーを用いる一次PCR増幅、引き続いての、タイプ特異的ハイブリダイゼーションプローブとのハイブリダイゼーションを用いる。タイプ特異的プローブとのこのハイブリダイゼーションは、固定されたハイブリダイゼーション条件で行い、所与のハイブリダイゼーション条件下でのハイブリダイゼーション複合体の存在または非存在をスコア採りする。アッセイにおけるいずれか1つのプローブは、複数の遺伝子型/サブタイプ内から明確に識別することができず、従って、遺伝子型/サブタイプ帰属を行うのに多数のプローブの使用を必要とする。このアプローチは、HCVタイピングプロセスで用いるのに複数のプローブを必要とする欠点に悩んでいる。
HCVタイプ特異的ハイブリダイゼーションアッセイの1つの適用は、種々の源に記載されているように、ライン−プローブアッセイ(LiPA)である(Stuyver et al.,(1993)「Typing of hepatitis C virus isolates and characterization of new subtypes using a line probe asssay」,J.Gen.Virol.,74:1093−1102;Stuyver et al.,(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:10134−10138;Andonov and Chaudhary(1995)Jour.Clin.Microboil.,33(1):254−256;Stuyver et al.,(1996)Jour.Clin.Microbiol.,34(9):2259−2266;Stuyver et al.,(2000)Jour.Clin.Microbiol.,38(2):702−707;および、例えば、Maertens and Stuyver(1997)「Genotypes and Genetic variation of hepatitis C virus」,p.182−233,In Harrison and Zuckerman(編),The Molecular Medicine Of Viral Hepatitis,John Wiley & Sons,Ltd.,Chichester,Englandにレビューされている。この技術を一体化させる市販のキットはInnogeneticsによって生産される(Zwijnaarde,Belgium;「PROCESS FOR TYPING HCV ISOLATES」と題されたMadrtems et al.,に対する2003年4月15日に発行された米国特許第6,548,244号;「NEW SEQUENCES OF HEPATITIS C VIRUS GENOTYPES AND THEIR USE AS PROPHYLACTIC,THERAPEUTIC AND DIAGNOSTIC AGENTS」と題されたMaertens and Stuyverによる1996年5月9日に発行された公開PCT国際出願No.WO96/13590;「NEW SEQUENCES OF HEPATITIS C VIRUS GENOTYPES AND THEIR USE AS THERAPEUTIC AND DIAGNOSTIC AGENTS」と題されたMaertens and Stuyverによる1994年11月10日に公開された公開PCT国際出願No.WO94/25601)。ライン−プローブアッセイはドットブロットまたはスロットブロットタイプのアッセイにおいて基材(テストストリップ)に固定化された(21のプローブほども)複数のタイプ特異的プローブを用いる。臨床検体から生じたHCV 5’−UTR領域から由来するHCVアンプリコンは、静的ハイブリダイゼーション条件下で種々のプローブに同時にハイブリダイズし、ハイブリダイゼーション複合体の得られたパターンはウイルスのタイプを明らかにする。
このライン−プローブアッセイは、前記アッセイにおけるいずれかの1つのプローブは遺伝子型帰属をなすことができないので、試料中のHCV遺伝子型および/またはのHCVサブタイプを決定するのに複数のプローブの使用を必要とする欠点に悩んでいる(事実、21のプローブほども)。
幾つかのレポートは、1つのプローブ(または少数のプローブ)を利用して、HCV感染を少数のサブタイプのうちの1つに分類するHCVタイピング方法を用いる。これらのレポートで用いるプローブは、ハイブリダイゼーション条件を操作することによって複数の遺伝子型/サブタイプにハイブリダイズできる点で「タイプ特異的」ではない。しかしながら、当分野で報告されたプローブのこれらのタイプ(例えば、Schroter et al.,(2002)Jour.Clin.Microbiol.,40(6):2046−2050;Bullock et al.,(2002)Clinical Chemistry 48(12):2147−2154)は、それらが識別できる遺伝子型/サブタイプの数が限定されている。
エンドヌクレアーゼ切断(RFLP)ベースのHCVゲノタイピング
HCVのタイピングは、伝統的な制限断片長多形(RFLP)アッセイの異形によっても試みられてきた。このHCVアッセイは、遺伝子型特異的切断部位を認識する制限エンドヌクレアーゼでのユニバーサルPCRアンプリコンの消化を用いる(例えば、Nakao et al.,(1991)「Typing of hepatitic C virus genomes by distriction fragment length polymorphism」,J.Gen.Virol.,72:2105−2112;Murphy et al.,(1994)Letter,J.Infect.Dis.,169:473−475参照)。タイプ特異的制限部位はNS5および5’−UTRドメインで起こることが知られている。ゲノタイピング/サブタイピングでのこのアッセイの使用は、制限部位の変化をもたらす限定された数の多形遺伝子座のため制限される。
本発明は、HCVタイピングのための組成物および方法を提供し、さらに、当分野で知られた他のHCVタイピング法よりも優れた利点を有するHCVタイピングのための組成物および方法を提供する。本発明はHCV単離体をタイピングする方法を提供し、そこでは、前記方法は、少なくとも5つのHCV遺伝子型および/または少なくとも6つのHCVサブタイプを識別できる単一HCVタイピングプローブを用いる。さらに、本発明は、同時に、(例えば、HCVに感染した患者からの)HCV単離体をタイプ分けでき、ならびに試料中のHCVゲノム材料を定量できる(例えば、ウイルス負荷またはコピー数を決定する)方法を提供する。また、本発明によって教示される組成物および方法は、本発明の記載を読めば明らかである他の利点も提供する。
本発明は、HCVタイピング、例えば、ゲノタイピングおよび/またはサブタイピングのための組成物および方法を提供し、ここに、前記方法はHCV遺伝子型またはサブタイプ帰属を行うのに単一のタイピングプローブのみを必要とする。本発明の組成物および方法を用いて、HCV試料を(例えば、遺伝子型1、2、3、4、5または6から選択される)少なくとも5つのHCV遺伝子型の1つに帰属させ、または(例えば、サブタイプ1a/b/c、2a/c、2b、3a、4a,5aまたは6aから選択される)少なくとも6つのサブタイプの1つにHCV試料を帰属させることができ、本発明の方法はHCVタイプ帰属をなすのに単一のタイピングプローブのみを使用する。また、本発明の方法は混合HCV感染の場合にも用いることができ、そこでは、試料に存在する各HCV種をHCVタイプ(遺伝子型またはサブタイプ)に帰属する。本発明は、遺伝子型またはサブタイプ帰属をなすのに複数のプローブの使用を必要とする、あるいは単一のプローブが5以上の遺伝子型または6以上のサブタイプ内から識別できない当分野で現在知られたHCVタイピングのための方法よりも利点を提供する。
いくつかの実施形態において、試料中のC型肝炎ウイルス(HCV)のタイプを決定するための本発明の方法は以下の工程、(a)試料からのHCVゲノムの部分を増幅し、それにより、少なくとも1つのアンプリコンを生じさせ;(b)前記アンプリコンを第一のプローブ(HCVタイピングプローブ)とハイブリダイズさせて、標的ハイブリダイゼーション複合体を形成し、ここに、(i)第一のプローブはHCVゲノム内のヌクレオチド配列に対して相補的であるか、あるいは部分的に相補的であり;(ii)ハイブリダイゼーション複合体の領域の相補性または部分的相補性は、少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCVサブタイプ内で配列不均一性を示し;および(iii)第一のプローブおよび少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのサブタイプを含むハイブリダイゼーション複合体は、HCV遺伝子型またはHCVサブタイプの各々を識別する識別ハイブリダイゼーション特性を有し;(c)標的ハイブリダイゼーション複合体の識別ハイブリダイゼーションの特性を判定し;次いで,(d)標的ハイブリダイゼーション複合体の識別ハイブリダイゼーション特性に基づき、標的ハイブリダイゼーション複合体の測定された識別ハイブリダイゼーション特性をHCV遺伝子型またはサブタイプに相関させることを有する。
この方法を用い、同定されるHCV遺伝子型は遺伝子型1、2、3、4、5および6から選択することができる。同定されるHCVサブタイプは遺伝子型1、2、3、4、5および6のいずれのサブタイプでもあり得る。例えば、HCVサブタイプは1a、1b、1c、2a、2b、2c、3a、4a、5aおよび6aから選択することができる。しかしながら、本発明は、本明細書中に列挙したHCVタイプに限定されることを意図しない。というのは、本発明の組成物および方法はいずれのHCVタイプにも適用できるからである。
幾つかの実施形態において、アッセイでテストされる試料はヒト血液またはヒト血清を含むか、またはそれに由来する。
これらの方法のいくつかの実施形態において、HCV遺伝子材料を増幅する工程はポリメラーゼ鎖反応(PCR)と組み合わせた逆転写(RT)によるものである。このPCRは、例えば、配列番号39および40のヌクレオチド配列を含むプライマー対を用いることができる。いくつかの態様において、PCRは、複数のC型肝炎ウイルス遺伝子型からPCRアンプリコンを生じるプライマーを用いる。
種々の実施形態において、HCVタイピングプローブを増幅工程の間に存在させ、あるいは別法として、増幅工程の後に加える。いくつかの実施形態において、HCVタイピングプローブはHCVゲノムの5’−UTRまたはNS5領域内のヌクレオチド配列に対して相補的であるか、あるいは部分的に相補的である。例えば、タイピングプローブは配列番号8〜27から選択される核酸配列を含む。タイピングプローブはFRETドナー、FRETクエンチャーまたは双方を含むことができる。いくつかの態様において、タイピングプローブはFRETドナー部分を含む。他の態様において、ハイブリダイジング工程は、FRETドナータイピングプローブを可溶性FRETクエンチャーと混合することを含む。可溶性FRETクエンチャーは、例えば、チアジン色素とすることができる。タイピングプローブの化学構造は特に限定されず、例えば、前記プローブは天然に生じるヌクレオチド、修飾されたヌクレオチド、ヌクレオチドアナログ、1つ以上の非天然塩基、非天然ヌクレオチド間結合、非天然ヌクレオチド骨格またはそのいずれかの組合せを含むヌクレオチドオリゴマーとすることができる。
HCVタイピングプローブはHCV標的(典型的には、HCVアンプリコン)とでハイブリダイゼーション複合体を形成する。このハイブリダイゼーション複合体は、HCVタイプ(例えば、HCV遺伝子型)にしたがってユニークである特性を有する。このハイブリダイゼーション複合体は種々の特性のいずれかによって特徴付けることができ、これらの特性を用いて、異なるHCVタイプを含む複合体から前記複合体を識別することができる。したがって、そのような特性は識別ハイブリダイゼーション特性といわれる。いくつかの態様において、識別ハイブリダイゼーション特性は温度依存性ハイブリダイゼーション特性である。例えば、温度依存性ハイブリダイゼーション特性は融解温度(Tm)であり得る。Tmを識別特性として用いる場合、測定工程はある範囲の温度で標的ハイブリダイゼーション複合体を検出し、それにより、標的ハイブリダイゼーション複合体のTmを決定することを含む。
これらの方法を用い、実験試料につき測定されるハイブリダイゼーション特性を、公知のHCVタイプまたは対照試料のハイブリダイゼーション特性と比較することができる。この比較を行うことによって、実験試料をベストフィットマッチに基づいて公知のHCVタイプに帰属させることができる。すなわち、いくつかの実施形態において、相関させる工程は、標的ハイブリダイゼーション複合体の識別ハイブリダイゼーション特性を、タイピングプローブ、および少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCVサブタイプの各々を含むハイブリダイゼーション複合体の識別ハイブリダイゼーションのプローブと比較することを含む。
いくつかの実施形態において、HCVタイピングのための方法はさらにHCV定量を、好ましくは、同一反応ミックスに組み込み、従って、クローン化された系を可能とすることができる。実験試料におけるHCV定量のための方法は、TaqManタイプのプローブを用いて、HCV RT−PCRアンプリコン蓄積をモニターして、CT値を誘導することができる。HCV定量は、実験CT値を、既知のHCVウイルス負荷の対照試料についてのCT値と比較してなすことができる。すなわち、HCVタイピング方法は、さらに、試料中のHCVのウイルス負荷を決定するのに用いることができ、増幅工程は、さらに、アンプリコン蓄積のリアルタイム検出用の試薬を用いてアンプリコンの蓄積速度をモニターし、アンプリコンの蓄積速度をウイルス負荷と相関させることを含む。アンプリコン蓄積のリアルタイム検出用の試薬は、典型的には、アンプリコン定量プローブ、例えば、配列番号41のヌクレオチド配列を含むアンプリコン定量プローブを含む。アンプリコン定量プローブはFRETドナー部分およびFRETクエンチャー部分を含むことができ、そこではアンプリコン定量プローブは、塩基対合が起こる条件下でアンプリコンとで定量ハイブリダイゼーション複合体を形成する。この場合、増幅工程は増幅工程の間にドナー部分を検出することを含む。
また、本発明は、HCVタイピング、例えば、ゲノタイピングおよび/またはサブタイピングのための組成物および方法を提供し、そこでは、前記方法はHCV遺伝子型またはサブタイプ帰属をなすのに単一のタイピングプローブのみを必要とし、HCVアンプリコンを生じさせるのにRT−PCR増幅工程を必要としない。これらの実施形態において、試料材料(または任意で試料材料から精製された、またはそれから誘導された材料)をタイピング分析で用いる。試料中のC型肝炎ウイルス(HCV)のタイプを決定するためのこれらの方法は、一般には、工程、(a)HCVに由来する核酸を第一のプローブ(HCVタイピングプローブ)とハイブリダイズさせ、標的ハイブリダイゼーション複合体を形成し、ここに(i)第一のプローブはHCVゲノム内のヌクレオチド配列に対して相補的であるか、または部分的に相補的であり;(ii)ハイブリダイゼーション複合体の領域の相補性または部分的相補性は、少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCVサブタイプ内で配列不均一性を示し;および(iii)第一のプローブおよび少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCVサブタイプを含むハイブリダイゼーション複合体は、HCV遺伝子型またはサブタイプの各々を識別する識別ハイブリダイゼーション特性を有し;(b)標的ハイブリダイゼーション複合体の識別ハイブリダイゼーション特性を測定し、次いで(c)標的ハイブリダイゼーション複合体の識別ハイブリダイゼーションの特性に基づき、標的ハイブリダイゼーション複合体の測定された識別ハイブリダイゼーション特性をC型肝炎ウイルスのタイプと相関させることを含む。これらの方法で用いられるHCVタイピングプローブは特に限定されず、例えば、タイピングプローブは配列番号8〜27から選択される核酸配列を含むことができる。
本発明は、本明細書中で記載するHCVタイピング方法で用いることができるプローブを提供する。これらのプローブは、任意で、本発明の方法でのそれらの使用を容易とする種々の他の成分のいずれかと組み合わせることができる。いくつかの態様において、本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)ゲノム内のヌクレオチド配列に対して相補的であるか、または部分的に相補的であるヌクレオチド配列を含むプローブ(すなわち、HCVタイピングプローブ)を含む組成物を提供し、ここに、プローブの領域の相補性または部分的相補性は少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCVサブタイプ内で配列不均一性を示し;およびここに、プローブおよびHCV遺伝子型またはサブタイプの各々を含むハイブリダイゼーション複合体は、遺伝子型またはサブタイプの各々を識別する識別ハイブリダイゼーション特性を有する。そのようなHCVタイピングプローブの例は、限定されるものではないが、配列番号8〜27から選択される核酸配列を含むプローブを含む。いくつかの態様において、プローブ/標的ハイブリダイゼーション複合体、識別ハイブリダイゼーション特性は融解温度(Tm)である。
HCVタイピングプローブを含む本発明の組成物は、任意で逆転写酵素、およびHCVゲノムの逆転写の開始に適したプライマーを含むこともできる。HCVタイピングプローブを含む組成物は、任意で、(a)プローブ中のヌクレオチド配列に対して相補的であるか、または部分的に相補的であるヌクレオチド配列を含むHCVアンプリコン;(b)HCVアンプリコンを生じさせることができる増幅プライマー;または(c)HCVアンプリコンを生じさせることができる増幅プライマー対のいずれかである核酸を含むこともでき;プライマーおよびプライマー対は熱安定性DNA依存性DNAポリメラーゼ、遊離デオキシリボヌクレオチド三リン酸および適当なDNAポリメラーゼ反応緩衝液と混合される。
他の態様において、本発明は、標識されたHCVタイピングプローブおよび適当な可溶性クエンチャーを含む組成物を提供し、プローブおよび可溶性クエンチャー上の標識はFRET対を形成する。例えば、本発明は、(a)C型肝炎ウイルス(HCV)ゲノム内のヌクレオチド配列に対して相補的であるか、または部分的に相補的であるFRETドナー部分で標識されたプローブ、ここに、プローブの領域の相補性または部分的相補性は少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCVサブタイプ内で配列不均一性を示し;およびここに、プローブおよび複数のHCV遺伝子型またはサブタイプを含むハイブリダイゼーション複合体は、少なくとも2つのHCV遺伝子型または少なくとも2つのHCVサブタイプを識別する識別ハイブリダイゼーションプローブを有し;および(b)チアジン色素を含む可溶性FRETクエンチャー、ここに、FRETクエンチャーは、FRETドナー部分を消光することができる;を含む組成物を提供する。幾つかの実施形態において、識別ハイブリダイゼーション特性は融解温度(Tm)である。いくつかの実施形態において、これらの組成物は、任意で、さらに逆転写酵素、およびHCVゲノムの逆転写の開始に適したプライマーを含む。なお他の実施形態において、HCVタイピングプローブおよび可溶性クエンチャーを含む組成物は、さらに、(c)(i)プローブ中のヌクレオチド配列に対して相補的であるか、または部分的に相補的であるヌクレオチド配列を含むHCVアンプリコン;(ii)HCVアンプリコンを生じさせることができる増幅プライマー;または(iii)HCVアンプリコンを生じさせることができる増幅プライマー対のいずれかである核酸を含み;ここに、前記プライマーおよびプライマー対は熱安定性DNA依存性DNAポリメラーゼ、遊離デオキシリボヌクレオチド三リン酸、および適当なDNAポリメラーゼ反応緩衝液と混合される。
また、本発明は、キット、例えば、少なくとも1つのHCVタイピングプローブを含む診断キットを提供する。これらのキットは、試料中のHCVタイプを決定するのに用いることができる。例えば、いくつかの態様においては、HCVタイピング診断キットは(a)HCVゲノム内のヌクレオチド配列に対して相補的であるか、または部分的に相補的である少なくとも1つの標的プローブ(すなわち、HCVタイピングプローブ)、標的プローブの領域の相補性または部分的相補性は少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCVサブタイプの各々内で配列不均一性を示し、および標的プローブおよびHCV遺伝子型またはサブタイプの各々を含むハイブリダイゼーション複合体は異なる識別ハイブリダイゼーション特性を有し;および(b)標的プローブを含むハイブリダイゼーション複合体の識別ハイブリダイゼーション特性を測定するための指示書を含む。これらのキットは、例えば、配列番号8〜27から選択される核酸配列を含むHCVタイピングプローブを含有することができる。
いくつかの実施形態において、診断キットはHCV定量(すなわち、ウイルス負荷の決定)を行うための試薬も含有する。例えば、そのようなキットはさらに(c)HCVアンプリコンを生じさせることができる増幅プライマー対、ここに、前記アンプリコンは標的プローブ中のヌクレオチド配列に対して相補的であるか、または部分的に相補的である核酸配列を含み;および(d)アンプリコン蓄積のリアルタイム検出のためのアンプリコン定量プローブ、ここに、前記アンプリコン定量プローブは、塩基対合が起こる条件下でアンプリコンとで定量ハイブリダイゼーション複合体を形成する;を含むことができる。例えば、増幅プライマー対は配列番号39および40のプライマーを含むことができ、アンプリコン定量プローブは配列番号41のヌクレオチド配列を含むことができる。
いくつかの実施形態において、本発明の診断キットは1つ以上の容器にパッケージされる。いくつかの実施形態において、HCVタイピングプローブはFRET標識部分を含み、前記キットは、さらに、可溶性FRETクエンチャー、例えば、FRET標識部分を消光することができるチアジン色素を含む。他の実施形態において、前記キットは、任意でさらに、1つ以上の更なる成分を含有する。例えば、診断キットは、さらに、別法として、あるいはいずれかの組合せにおいて、逆転写酵素、C型肝炎ウイルスゲノムからの逆転写酵素開始に適した少なくとも1つのプライマー、熱安定性DNA依存性DNAポリメラーゼ、遊離デオキシリボヌクレオチド三リン酸、標準化試料、陽性対照試料、陰性対照試料、酵素反応に適した緩衝液、試料収集チューブ、増幅反応チューブおよびマルチウェルプレートを含むことができる。
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明のHCVタイピング方法の種々の態様を取り込み、それらの使用を容易とするシステムを提供する。HCVハイブリダイゼーション分析(例えば、HCVタイピングプローブ)を実行するのに必要な試薬に加えて、本発明の一体化されたシステムは、任意で、例えば、コンピュータハードウエア、ソフトウエア、またはHCVタイピングを行うための他の機器を含むことができる。例えば、本発明は、シグナルの検出をC型肝炎ウイルス(HCV)タイプと相関させるシステムを提供し、ここに、前記システムは、(a)シグナルを検出するためのディテクター、ここに、シグナルはハイブリダイゼーション複合体の識別ハイブリダイゼーション特性に相関し、ハイブリダイゼーション複合体がHCVゲノム内のヌクレオチド配列に対して相補的であるかまたは部分的に相補的であるプローブおよびHCVヌクレオチド配列を含むアンプリコンを含み;および(b)ディテクターに作用可能式にカップリングされた相関モジュール、ここに、前記相関モジュールは、HCV遺伝子型またはサブタイプの各々を含むハイブリダイゼーション複合対の識別ハイブリダイゼーション特性を検出する場合に観察されるシグナルと比較することによって、少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCVサブタイプの1つにシグナルを相関させること;を含む。任意で、本発明のシステムにおいては、識別ハイブリダイゼーション特性は融解温度(Tm)であって、相関モジュールは、プローブおよび少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCVサブタイプの各々を含むハイブリダイゼーション複合体についての予測されたまたは実験的に決定されたTm値のデータセットを含み、ここに、データセットはコンピュータリーダブルフォーマットである。
1つの実施形態において、本発明は、もし存在すれば、試料中のC型肝炎ウイルス(HCV)のタイプを決定する方法を提供し、前記方法は、a)試料からHCVゲノムの部分を増幅し、それにより、少なくとも1つのアンプリコンを生じさせ;b)前記アンプリコンを第一のプローブとハイブリダイズさせて、標的ハイブリダイゼーション複合体を形成し、ここに、i)第一のプローブはHCVゲノム内のヌクレオチド配列に対して相補的であるか、または部分的に相補的であり;ii)HCVゲノム内のヌクレオチド配列は少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCVサブタイプ内で配列不均一性を示し、およびiii)第一のプローブ、および少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCBサブタイプのヌクレオチド配列を含むハイブリダイゼーション複合体は、HCV遺伝子型またはHCVサブタイプの各々を識別する識別ハイブリダイゼーション特性を有し;c)標的ハイブリダイゼーション複合体の識別ハイブリダイゼーションの特性を測定し;d)標的ハイブリダイゼーション複合体の識別ハイブリダイゼーション特性に基づいて、標的ハイブリダイゼーション複合体の測定された識別ハイブリダイゼーション特性のHCV遺伝子型またはサブタイプと相関させることを含む。
もう1つの実施形態において、本発明は、試料中のC型肝炎ウイルス(HCV)のタイプを決定する方法を提供し、前記方法は、a)HCVに由来する核酸を第一のプローブとハイブリダイズさせて、標的ハイブリダイゼーション複合体を形成させ、ここに、i)前記第一のプローブはHCVゲノム内のヌクレオチド配列に対して相補的であるか、あるいは部分的に相補的であり;ii)HCVゲノム内のヌクレオチド配列は少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCVサブタイプ内で配列不均一性を示し;およびiii)第一のプローブおよび、少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCVサブタイプのヌクレオチド配列を含むハイブリダイゼーション複合体は、HCV遺伝子型またはサブタイプの各々を識別する識別ハイブリダイゼーション特性を有し;b)標的ハイブリダイゼーション複合体の識別ハイブリダイゼーション特性を測定し;次いで、c)標的ハイブリダイゼーション複合体の識別ハイブリダイゼーション特性に基づいて、標的ハイブリダイゼーション複合体の測定された識別ハイブリダイゼーション特性をC型肝炎ウイルスタイプに相関させることを含む。
もう1つの実施形態において、本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)ゲノム内のヌクレオチド配列に対して相補的であるか、または部分的に相補的であるヌクレオチド配列を含むプローブを含む組成物を提供し、ここに、プローブの領域の相補性または部分的相補性は少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCVサブタイプ内で配列不均一性を示し;およびここに、プローブ、およびHCV遺伝子型またはサブタイプの各々を含むハイブリダイゼーション複合体は遺伝子型またはサブタイプの各々を識別する識別ハイブリダイゼーション特性を有する。
もう1つの実施形態において、本発明は、a)C型肝炎ウイルス(HCV)ゲノム内のヌクレオチド配列に対して相補的であるか、または部分的に相補的であるFRETドナーで標識されたプローブ、ここに、プローブの領域の相補性または部分的相補性は少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCVサブタイプの間で配列不均一性を示し;およびここに、プローブ、および複数のHCV遺伝子型またはサブタイプを含むハイブリダイゼーション複合体は少なくとも2つのHCV遺伝子型または少なくとも2つのHCVサブタイプを識別する識別ハイブリダイゼーション特性を有し;およびb)チアジン色素を含む可溶性FRETクエンチャー、ここに、前記FRETクエンチャーはFRETドナー部分を消光することができる;を含む組成物を提供する。
もう1つの実施形態において、本発明は、a)HCVゲノム内のヌクレオチド配列に対して相補的であるか、または部分的に相補的である少なくとも1つの標的プローブ、ここに、標的プローブの領域の相補性または部分的相補性は少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCVサブタイプの各々の間で配列不均一性を示し、および標的プローブHCV遺伝子型およびサブタイプの各々を含むハイブリダイゼーション複合体は異なる識別ハイブリダイゼーション特性を有し;およびb)標的プローブを含むハイブリダイゼーション複合体の識別ハイブリダイゼーション特性を測定するための指示書を含む、試料中のC型肝炎ウイルス(HCV)のタイプを決定するための診断キットを提供する。
もう1つの実施形態において、本発明は、シグナルの検出をC型肝炎ウイルス(HCV)タイプと相関させるシステムを提供し、前記システムはa)シグナルを検出するためのディテクター、ここに、前記シグナルはハイブリダイゼーション複合体の識別ハイブリダイゼーションプローブと相関し、ここに、ハイブリダイゼーション複合体はHCVゲノム内のヌクレオチド配列に対して相補的である、または部分的に相補的であるプローブ、およびHCVヌクレオチド配列を含むアンプリコンを含み;およびb)ディテクターに作用可能式にカップリングされた相補性モジュール、ここに、前記相補性モジュールは、HCV遺伝子型またはサブタイプの各々を含むハイブリダイゼーション複合体の識別ハイブリダイゼーションの特性に関連する先に測定されたシグナルを比較することによって、シグナルを少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCVサブタイプの1つと相関させること;を含む。
もう1つの実施形態において、本発明は、配列番号8〜27のいずれかのオリゴヌクレオチドを提供する。
定義
本発明を詳細に記載する前に、本発明は、もちろん変化し得る特定の実施形態に限定されないことは理解されるべきである。また、本明細書中で用いる専門用語は特定の実施形態を記載する目的であり、限定的なことを意図しないことは理解されるべきである。本明細書中および添付の請求の範囲で用いるように、単数の用語および単数形態「ある」および「前記」は、例えば、文脈が明らかに他のことを指示している以外は、複数の言及を含む。従って、例えば、「核酸」への言及は複数の核酸分子も含み;用語「プローブ」の使用は、現実的には、多くのプローブ分子等を含む。
特記しない限り、核酸は5’〜3’の向きに左側から右側に書き、アミノ酸配列はアミノ(N末端)〜カルボキシ(C末端)の向きに左側から右側に書く。本明細書内で引用された数値範囲は範囲を定義する数を含み、定義された範囲内で各整数およびいずれかの非整数分数を含む。
特記しない限り、本明細書中で用いる全ての技術および科学用語は、本発明が属する分野における当業者によって通常理解されるのと同一の意味を有する。本明細書中に記載されたものと同様または同等ないずれの方法および材料も本発明のテストを実行するのに用いることができるが、好ましい材料および方法は本明細書中に記載する。本発明を記載し、特許請求するにおいて、以下の用語を後に記載する定義に従って用いる。
本明細書中で用いるように、用語「塩基」とは、相補的塩基または塩基アナログとの対合においてワトソン・クリックタイプの水素結合を形成することができるいずれの窒素含有複素環部分もいう。多数の天然および合成(非天然(non−natural)、または非天然(unnatural))塩基、塩基アナログおよび塩基誘導体が知られている。塩基の例はプリンおよびピリミジン、およびその修飾された形態を含む。天然に生じる塩基は限定されるものではないが、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、ウラシル(U)およびチミン(T)を含む。本明細書中で用いるように、本発明は天然に生じる塩基に限定する意図はない。というのは、本発明で用いられる多数の非天然(天然に生じない)塩基およびそれらの各非天然ヌクレオチドは当業者に知られているからである。そのような非天然塩基の例は以下に掲げる。
用語「ヌクレオシド」とは、糖、例えば、リボースまたはデオキシリボースのC−1’炭素に連結した塩基からなる化合物をいう。
用語「ヌクレオチド」とは、モノマー単位として、またはポリヌクレオチド内のヌクレオシドのリン酸エステルをいう。「ヌクレオチド5’−三リン酸」とは、糖5’−炭素位置に付着した三リン酸エステル基を持つヌクレオチドをいい、時々、「NTP」または「dNTP」および「ddNTP」と示される。修飾されたヌクレオチドは、典型的には、塩基部分の修飾によって化学的に修飾されたいずれかのヌクレオチド(例えば、ATP、TTP、GTPまたはCTP)である。修飾されたヌクレオチドは、例えば、限定されるものではないが、メチルシトシン、6−メルカプトプリン、5−フルオロウラシル、5−ヨード−2’−デオキシウリジンおよび6−チオグアニンを含む。本明細書中で用いるように、用語「ヌクレオチドアナログ」とは、天然に生じないいずれのヌクレオチドもいう。
用語「ポリヌクレオチド」、「核酸」、「オリゴヌクレオチド」、「オリゴマー」、「オリゴ」または同等な用語は、本明細書中で用いるように、ヌクレオチド塩基の配列に対応させることができるモノマーのポリマー配置、例えば、DNA、RNA、ペプチド核酸等をいう。ポリヌクレオチドは一本鎖または二本鎖とすることができ、例えば、遺伝子配列のセンスまたはアンチセンス鎖に対して相補的とすることができる。ポリヌクレオチドは標的ポリヌクレオチドの相補的部分とハイブリダイズして、二本鎖を形成することができ、これはホモデュプレックスまたはヘテロデュプレックスであり得る。ポリヌクレオチドの長さはいずれの点においても限定されない。ヌクレオチドの間の結合はヌクレオチドの間のタイプのホスホジエステルの結合またはいずれかのタイプの結合であり得る。「ポリヌクレオチド配列」とは、ポリマーに沿ったヌクレオチドモノマーの配列をいう。「ポリヌクレオチド」はいずれかの特定の長さまたは範囲のヌクレオチド配列に制限されない。というのは、用語「ポリヌクレオチド」はいずれの長さのヌクレオチドのポリマー形態も含むからである。ポリヌクレオチドは生物学的手段(例えば、酵素的)によって生産することができ、あるいは無酵素システムを用いて合成することができる。ポリヌクレオチドは酵素により延長することができ、あるいは酵素により延長できない。
3’−5’ホスホジエステル結合によって形成されたポリヌクレオチドは5’末端および3’末端を有するといわれる。なぜならば、反応してポリヌクレオチドを作成するヌクレオチドモノマーは、1つのモノヌクレオチドペントース環の5’リン酸がホスホジエステル結合を介して1つの方向にてその隣接するものの3’酸素(ヒドロキシル)に結合するように結合するからである。従って、ポリヌクレオチド分子の5’末端はヌクレオチドのペントース環の5’位置において遊離リン酸基またはヒドロキシル基を有し、他方、ポリヌクレオチド分子の3’末端はペントース環の3’位置において遊離リン酸またはヒドロキシル基を有する。ポリヌクレオチド分子内では、もう1つの位置または配列に対して5’向きである位置または配列は「上流」に位置するといわれ、他方、もう1つの位置に対して3’側である位置は「下流」であるといわれる。この用語は、ポリメラーゼが鋳型鎖に沿って5’〜3’の様式にてポリヌクレオチド鎖を進行させ、延長するという事実を反映する。特に断りのない限り、ポリヌクレオチド配列が表される場合は常に、ヌクレオチドは左から右へ5’〜3’の向きであると理解される。
本明細書中で用いるように、用語「ポリヌクレオチド」は、天然に生じるポリヌクレオチド配列またはポリヌクレオチド構造、天然に生じる骨格または天然に生じるヌクレオチド間結合に限定されることを意図しない。当業者であれば、本発明で用いられる、広く種々のポリヌクレオチドアナログ、非天然ヌクレオチド、非天然ホスホジエステル結合およびヌクレオチド間アナログは周知である。そのような非天然構造の非限定的例は非リボース糖骨格、3’−5’および2’−5’ホスホジエステル結合、ヌクレオチド間逆転結合(例えば、3’−3’および5’−5’)および分岐構造を含む。さらに、非天然結合は非天然ヌクレオチド間アナログ、例えば、ペプチド核酸(PNA)、ロックされた核酸(LNA)、メチルホスホネートのようなC1−C4アルキルホスホネート結合、ホスホルアミデート、C1−C6アルキル−ホスホトリエステル、ホスホロチオエート、およびホスホロジチオエートヌクレオチド間結合を含む。さらに、ポリヌクレオチドは全部が単一タイプのモノマーサブユニットおよび1つのタイプの結合からなることができるか、あるいは異なるタイプのサブユニットおよび異なるタイプの結合の混合物または組合せからなることができる(ポリヌクレオチドはキメラ分子であり得る)。本明細書中で用いるように、ポリヌクレオチドアナログはそれらが天然に生じるポリヌクレオチドと同様に一本鎖核酸標的にハイブリダイズする点で天然ポリヌクレオチドの必須の性質を保持する。
本明細書中で用いるように、用語「ポリヌクレオチドの配列」、[核酸配列]、「ポリヌクレオチド配列」、および同等または同様なフレーズとは、ポリヌクレオチドにおけるヌクレオチドの順序をいう。幾つかの場合において、「配列」とは、より具体的には、各々ヌクレオチドに結合した塩基の順序および同一性をいう。配列は、典型的には、5’〜3’方向で読まれ(書かれ)る。特に断りのない限り、本発明の特定のポリヌクレオチド配列は、任意で、明示的に示された配列に加えて相補的な配列を含む。
本明細書中で用いるように、用語「増幅」、「増幅する」等は、一般には、分子または関連分子の組のコピー数の増加をもたらすいずれのプロセスもいう。それはポリヌクレオチド分子に適用できるので、増幅は、典型的にはポリヌクレオチド(例えば、ウイルスゲノム)の少量から出発する、ポリヌクレオチド分子、またはポリヌクレオチド分子の部分の複数のコピーの生産を意味し、ここに、増幅された材料(例えば、ウイルスPCRアンプリコン)が典型的には検出可能である。ポリヌクレオチドの増幅は、種々の化学的および酵素的プロセスを含む。ポリメラーゼ鎖反応(PCR)、鎖置換増幅(SDA)反応、転写媒介増幅(TMA)反応、核酸配列ベースの増幅(NASBA)反応、またはリガーゼ鎖反応(LCR)の間における1または少数コピーの鋳型DNA分子からの複数のDNAコピーの複製は増幅の形態である。増幅は出発分子の厳密な複製に限られない。例えば、RT−PCRを用いる試料中の限定された量のウイルスDNAからの複数のDNA分子の創製は増幅の形態である。さらに、転写のプロセスの間における単一DNA分子からの複数のRNA分子の創製もまた増幅の形態である。
幾つかの実施形態において、増幅は、任意でさらなる工程、例えば、限定されるものではないが、標識、配列決定、精製、単離、ハイブリダイゼーション、サイズ分解、発現、検出および/またはクローニングによって行う。
本明細書中で用いるように、用語「ポリメラーゼ鎖反応」(PCR)とは、試料中の標的ポリヌクレオチドのセグメントの濃度を増加させるための当分野で周知の増幅のための方法をいい、試料は単一ポリヌクレオチド種、または複数ポリヌクレオチドであり得る。一般には、PCRプロセスはモル過剰の2以上の延長可能なオリゴヌクレオチドプライマーを所望の標的配列を含む反応混合物に導入することからなり、ここに、プライマーは二本鎖標的配列の対向鎖に対して相補的である。反応混合物をDNAポリメラーゼの存在下で熱的サイクリングのプログラムに付し、その結果、DNAプライマーが近接する所望の標的配列の増幅がもたらされる。逆転写酵素PCR(RT−PCR)は、RNA鋳型および逆転写酵素、または逆転写酵素活性を有する酵素を用いて、まず、DNA依存性DNAポリメラーゼプライマー伸張の複数サイクルに先立って、一本鎖DNA分子を生じさせる。多重PCRとは、典型的には、2を超えるプライマーを単一反応に含めることによって、単一反応において1を超える増幅された産物を生じるPCR反応をいう。広く種々のPCR適用のための方法は当分野で広く知られており、多くの源、例えば、Ausubel et al.(編),Current Protocols in Molecular Biology,Section 15,John Wiley & Sons,Inc.,New York(1994)に記載されている。
本明細書中で用いるように、表現「非対称PCR」とは、それらが不均等となるようにプライマー対におけるプライマーのモル濃度を調整することによるDNA標的の一本鎖の優先的PCR増幅をいう。非対称PCR反応は、不均一プライマー濃度の結果として、圧倒的に一本鎖産物および少量の二本鎖産物を生じる。非対称PCRが進むにつれ、より低い濃度のプライマーが二本鎖DNAアンプリコンに定量的に取り込まれるが、より高い濃度のプライマーはDNA合成の起点となり、その結果、一本鎖産物の継続した蓄積が起こる。
本明細書中で用いるように、用語「DNA依存性DNAポリメラーゼ」とは、相補的かつ逆平行DNA鎖の合成用の鋳型としてデオキシリボ核酸(DNA)を用いるDNAポリメラーゼ酵素をいう。熱安定性DNA依存DNAポリメラーゼはPCR増幅反応に用途を見出す。DNA依存性DNAポリメラーゼ酵素および、事実、いずれかのポリメラーゼ酵素についての適当な反応条件(または反応緩衝液)は当分野において広く知られており、多数の源に記載されている(例えば、Ausubel et al.(編),Current Protocols in Molecular Biology,Vol.1−4,John Wiley & Sons,Inc.,New York[1994;2004年9月まで補充]参照)。DNA依存性DNAポリメラーゼ酵素のための反応緩衝液は、例えば、遊離デオキシリボヌクレオチド三リン酸、塩および緩衝剤を含むことができる。
本明細書中で用いるように、用語「DNA依存性RNAポリメラーゼ」とは、RNA鎖の合成用の鋳型としてデオキシリボ核酸(DNA)を用いるRNAポリメラーゼ酵素をいう。DNA依存性RNAポリメラーゼによって媒介されるプロセスを「転写」と通常はいう。
本明細書中で用いるように、用語「RNA依存性DNAポリメラーゼ」とは、相補的かつ逆平行DNA鎖の合成用の鋳型としてリボ核酸(RNA)を用いるDNAポリメラーゼ酵素をいう。RNA分子のDNAコピーを生じさせるプロセスは、通常「逆転写」または「RT」および「逆転写酵素」であることを達成する酵素と呼ぶ。幾つかの天然に生じるおよび突然変異したDNAポリメラーゼもまた逆転写活性を保有する。
本明細書中で用いるように、酵素に適用される用語「熱安定性」とは、上昇した温度において(例えば、55度以上において)その生物学的活性を保有し、または加熱および冷却の反復サイクルに続いてその生物学的活性を保有する酵素をいう。熱安定性ポリヌクレオチドポリメラーゼはPCR増幅反応において特別な用途を見出す。
本明細書中で用いるように、用語「プライマー」とは、標的配列の相補的プライマー特異的部分と逆平行にハイブリダイズするよう設計された規定された配列を一般に持つ、酵素的に延長可能なオリゴヌクレオチドをいう。さらに、プライマーは鋳型依存的にヌクレオチドの重合を開始して、標的ポリヌクレオチドに対して相補的であるポリヌクレオチドを生じる。標的にアニーリングされたプライマーの延長は適当な反応条件において適当なDNAまたはRNAポリメラーゼを用いる。当業者であれば、重合反応条件および試薬は当分野でよく確立されており、種々の源に記載されていることが周知である。
プライマー核酸は、プライマー伸張が起こるためにはその鋳型配列に対して100%相補性を有する必要は無く;100%未満の相補性を持つプライマーはハイブリダイゼーションおよびポリメラーゼ伸張が起こるのに十分であり得る。任意で、プライマー核酸を所望であれば標識することができる。プライマーで用いる標識はいずれの適当な標識とすることもでき、例えば、分光的、光化学、生化学、免疫化学、化学または他の検出手段によって検出することができる。
本明細書中で用いるように、表現「増幅プライマー」とは、一般に、その標的ポリヌクレオチド配列に対してモル過剰であり、鋳型依存的酵素DNA合成および標的配列(およびハイブリダイゼーションの部位から下流の配列)の増幅の起点となり、一本鎖アンプリコンを生じるプライマーをいう。
本明細書中で用いるように、表現「増幅プライマー対」とは、それらの標的ポリヌクレオチド配列に対して一般にモル過剰であって、一緒に、鋳型依存性酵素DNA合成および標的配列の増幅の起点となって、二本鎖アンプリコンを生じる2つのプライマーの組をいう。
本明細書中で用いるように、用語「アンプリコン」とは、特定の標的核酸の増幅に続いて生じたポリヌクレオチド分子(または集合的に複数の分子)をいう。アンプリコンを生じさせるために用いる増幅方法は、最も典型的には、例えば、PCR方法を用いることによりいずれの適当な方法でもあり得る。アンプリコンは、典型的には、限定されるものではないがDNAアンプリコンである。アンプリコンは、一本鎖または二本鎖、あるいはいずれかの濃度比率のその混合物であり得る。
本明細書中で用いるように、表現「アンプリコン増幅のリアルタイム検出」とは、特異的アンプリコンまたはアンプリコンの検出、典型的には、その定量をいう。というのは、アンプリコンは増幅の完了に続いて検出または定量工程の必要性なしで生じる(典型的にはPCRによる)。用語「リアルタイムPCR」または「キネティックPCR」とは、PCRにおいて生じたアンプリコンのリアルタイム検出および/または定量をいう。
アンプリコン蓄積のリアルタイムの検出のための通常の方法は、蛍光性5’−ヌクレアーゼアッセイともいわれる5’−ヌクレアーゼアッセイ、例えば、TaqMan分析による;Holland et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:7276−7280(1991);およびHeid et al.,Genome Research 6:986−994(1996)参照。前記TaqMan PCR手法においては、2つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、PCR反応に特異的なアンプリコンを生じさせる。2つのPCRプライマーの間に位置するアンプリコンにおけるヌクレオチド配列にハイブリダイズさせる、第三のオリゴヌクレオチド(TaqManプローブ)を設計する。前記プローブはPCR反応で用いるDNAポリメラーゼによって延長できず、典型的には(必要ではないが)、相互に近接した蛍光レポーター色素およびクエンチャー部分で共標識される構造を有することができる。レポーター色素からの発光は、フルオールおよびクエンチャーが近接する場合、それらがプローブ上に存在するので、消光部分によって消光される。いくつかの場合において、プローブは蛍光レポーター色素またはもう1つの検出可能部分のみで標識することができる。
TaqMan PCR反応は5’−3’ヌクレアーゼ活性を保有する熱安定性DNA依存性DNAポリメラーゼを用いる。PCR増幅反応の間に、DNAポリメラーゼの5’−3’ヌクレアーゼ活性は、鋳型依存的にアンプリコンにハイブリダイズされる標識されたプローブを切断する。得られたプローブ断片はプライマー/鋳型複合体から解離され、次いで、レポーター色素はクエンチャー部分の消光効果から解放される。レポーター色素のほぼ1つの分子が各新しい合成されたアンプリコン分子につき解放され、未消光レポーター色素の検出は、放出された蛍光レポーター色素の量がアンプリコン鋳型の量に直接的に比例するように、データの定量的解釈のための基礎を提供する。
TaqManアッセイデータの1つの尺度は、典型的には、閾値サイクル(CT)として発現される。蛍光レベルは各PCRサイクルの間に記録され、増幅反応におけるその点まで増幅された産物の量に比例する。PCRサイクルは、蛍光シグナルがまず統計学的に有意であると記録されると、あるいは蛍光シグナルがいくつかの他の任意レベル(例えば、任意蛍光レベル、またはAFL)を超える場合には、閾値サイクル(CT)である。
5’−ヌクレアーゼアッセイのためのプロトコルおよび試薬は当業者に周知であり、種々の源に記載されている。例えば、5’−ヌクレアーゼ反応およびプローブはGelfand et al.に対して2001年4月10日に発行された「HOMOGENEOUS ASSAY SYSTEM」と題された米国特許第6,214,979号、Gelfand et al.に対して1998年9月8日に発行された「REACTION MIXTURES FOR DETECTION OF TARGET NUCLEIC ACIDS」と題された米国特許第5,804,375号;Gelfand et al.に対して1996年1月30日に発行された「NUCLEIC ACID DETECTION BY THE 5’−3’ EXONUXLEASE ACTIVITY OF POLYMERASES ACTING ON ADJACENTLY HYBRIDIZED OLIGONUCLEOTIDES」;Gelfand et al.に対して1993年5月11日に発行された「HOMOGENEOUS ASSAY SYSTEM USING THE NUCLEASE ACTIVITY OF A NUCLEIC ACID POLYMERASE」と題された米国特許第5,210,015号に記載されている。
リアルタイムアンプリコン検出のための方法における変動もまた知られており、特に、5’−ヌクレアーゼプローブが、増幅反応に存在する二本鎖アンプリコンの量に依存する蛍光を結果としてもたらす二本鎖DNAインターカレーティング色素によって置き換えられる場合である。例えば、Higuchiに対して2001年1月9日に発行された「METHODS AND DEVICES FOR HOMOGENEOUS NUCLEIC ACID AMPLIFICATION AND DETECTOR」と題された米国特許第6,171,785号;およびHiguchiに対して1999年11月30日に発行された「HOMOGENEOUS METHODS FOR NUCLEIC ACID AMPLIFICATION AND DETECTION」と題された米国特許第5,994,056号参照。
TaqMan(登録商標)PCRは、例えば、ABI PRISM(登録商標)7700配列検出システム(Applied Biosystems,Foster City,Calif.)、またはLightCycler(登録商標)(Roche Applied Sciences,Mannheim,Germany)のような商業的に入手可能なキットおよび機器を用いて行うことができる。好ましい実施形態において、5’ヌクレアーゼアッセイ手法はABI PRISM(登録商標)7700配列検出システムのようなリアルタイム定量的PCRデバイスで行われる。前記システムはサーモサイクラー、レーザー、電荷結合素子(CCD)、カメラおよびコンピュータからなる。前記システムはサーモサイクラーにて96ウェルマイクロタイタープレート様式で試料を増幅する。増幅の間、レーザー誘導蛍光シグナルが全ての96ウェルについての光ファイバーケーブルを通じてリアルタイムに収集され、CCDカメラで検出される。前記システムは機器を実行するためおよびデータを解析するためのソフトウエアを含む。
本明細書中で用いるように、用語「ハイブリダイゼーション」および「アニーリング」等は互換的に用いられ、典型的には、ハイブリダイゼーション複合体といわれるデュプレックスまたは他のより高次の構造形成をもたらす1つのポリヌクレオチドともう1つのポリヌクレオチド(典型的には、逆平行ポリヌクレオチド)との塩基対合相互作用をいう。逆平行ポリヌクレオチド分子の間の一次相互作用は、ワトソン/クリックおよび/またはHoogsteen−typeの水素結合による典型的には、塩基特異的な、例えば、A/TおよびG/Cである。2つのポリヌクレオチドがハイブリダイゼーションを達成するためにそれらの全長にわたって100%相補性を有するのは要件とされない。いくつかの態様において、ハイブリダイゼーション複合体は、分子間相互作用から形成できるか、あるいは別法として、分子内相互作用から形成することができる。
本明細書中で用いるように、フレーズ「特異的にハイブリダイズする」、「特異的ハイブリダイゼーション」等とは、アニーリング対が相補性を示し、好ましくは、ハイブリダイゼーション反応における他の潜在的結合パートナーを排除して優先的に結合する複合体をもたらすハイブリダイゼーションをいう。用語「特異的にハイブリダイズする」は、得られたハイブリダイゼーション複合体が100%相補性を有することを必要とせず;ミスマッチを有するハイブリダイゼーション複合体もまた特異的にハイブリダイズでき、ハイブリダイゼーション複合体を形成できることに注意すべきである。ハイブリダイゼーションの特異性の程度は、識別ハイブリダイゼーション特異性、例えば、ハイブリダイゼーション複合体の融解温度(Tm)を用いて測定することができる。
本明細書中で用いるように、フレーズ「塩基対合が起こる条件」とは、相補的ポリヌクレオチドまたは部分的に相補的なポリヌクレオチドが安定なハイブリダイゼーション複合体を形成できるようにするいずれのハイブリダイゼーション条件もいう。
本明細書中で用いるように、用語「ストリンジェント」、「ストリンジェントな条件」、「高ストリンジェンシー」等は、当分野で周知のように、一般的には低イオン強度および高温のハイブリダイゼーション条件を示す。例えば、本明細書に参照により組み込む、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第3版,Cold Spring Harbor Laboratry Press,Cold Spring Harbor,New York(2001);Current Protocols in Molecular Biology(Ausubel et al.編,J.Wiley & Sons Inc.,New York,1997)参照。一般には、ストリンジェントな条件は、規定されたイオン強度およびpHにおける特定の配列を含むハイブリダイゼーション複合体のための熱融解点(Tm)よりも約5〜30℃低くなるように選択される。別法として、ストリンジェントな条件は、規定されたイオン強度およびpHにおいて特定の配列につきTmよりも約5〜15℃低くなるように選択される。Tmは相補的(または部分的に相補的)ポリヌクレオチドを含むハイブリダイゼーション複合体の50%が解離するようになる(規定されたイオン強度、pHおよび核酸濃度下での)温度である。
本明細書中で用いるように、表現「低ストリンジェンシー」は、一般には高いイオン強度およびより低い温度のハイブリダイゼーション条件を示す。低ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件の下では、不完全な相補性を持つポリヌクレオチドはより容易にハイブリダイゼーション複合体を形成することができる。
本明細書中で用いるように、用語「相補的」または「相補性」は、ワトソン・クリックおよびHoogsteen−タイプの塩基対合則に関連するポリヌクレオチドの逆平行鎖に対する言及で用いられる。例えば、配列5’−AGTTC−3’は配列5’GAACT−3’に対して相補的である。用語「完全に相補的」または「100%相補的」等とは、逆平行鎖の間の塩基の完全なワトソン・クリック対合を有する相補的配列をいう(ポリヌクレオチドデュプレックスにミスマッチ無し)。しかしながら、相補性は完全である必要はなく;安定なデュプレックスは、例えば、ミスマッチした塩基対合またはマッチしない塩基を含むことができる。用語「部分的相補性」、「部分的に相補的な」、「不完全な相補性」、または「不完全に相補的な」等とは、100%未満の完全性である逆平行ポリヌクレオチド鎖の間の塩基のいずれかの整列をいう(例えば、ポリヌクレオチドデュプレックス中に少なくとも1つのミスマッチまたはマッチしていない塩基が存在している)。例えば、逆平行ポリヌクレオチド鎖の間の塩基の整列は、少なくとも99%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%または50%、またはその間のいずれかの値であり得る。
さらに、標的ポリヌクレオチドの「相補体」とは、標的ポリヌクレオチドの少なくとも部分と逆平行会合にて合わすことができる(例えば、ハイブリダイズすることができる)ポリヌクレオチドをいう。逆平行会合は、例えば、核酸分子内のヘアピンループの形態である分子内であり得るか、あるいは2以上の一本鎖核酸分子は相互にハイブリダイズする場合のような分子内であり得る。
本明細書中で用いるように、「標的」、「標的ポリヌクレオチド」、「標的配列」等とは、相補的ポリヌクレオチド、例えば、標識されたプローブまたはDNAポリメラーゼプライマーとのハイブリダイゼーションの対象である特異的ポリヌクレオチド配列をいう。ポリヌクレオチドとその標的とのアニーリングの結果として形成されたハイブリダイゼーション複合体を「標的ハイブリダイゼーション複合体」ともいう。ハイブリダイゼーション複合体は溶液中で形成することができ、(従って可溶性である)、またはハイブリダイゼーション複合体の1つ以上の成分を固相に付着させることができる(例えば、ドットブロットに、ビーズシステムに付着させ、標的ハイブリダイゼーション複合体の除去または単離を容易にし、あるいはマイクロアレイにおけるものである)。標的配列の構造は限定されるものではなく、DNA、RNA、そのアナログ、またはその組合せからなることができ、一本鎖または二本鎖であり得る。標的ポリヌクレオチドは、例えば、限定されるものではないが、原核生物、真核生物、植物、動物、およびウイルスを含むいずれかの生きた、または一旦生きていた生物、ならびに合成および/または組換え標的配列を含むいずれかの源に由来することができる。例えば、本明細書中に記載したように、ウイルスゲノム配列に由来するPCRアンプリコンは標的として働くことができる。
いくつかの態様において、ハイブリダイゼーション複合対中の標的ポリヌクレオチドは「鋳型」として働き、ここに、延長可能なポリヌクレオチドプライマーは鋳型に結合し、相補的ポリヌクレオチドの合成用のパターンとして鋳型の塩基配列を用いてヌクレオチド重合を開始させる。
本明細書中で用いるように、用語「プローブ」とは、典型的には、注目する標的核酸にハイブリダイズできるポリヌクレオチドをいう。典型的には、限定されるものではないが、プローブは、前記プローブ(および、従って、その標的)が検出され、可視化され、測定され、および/または定量され得るように、適当な標識またはレポーター部分と会合させる。標識されたプローブのための検出系は、限定されるものではないが、蛍光、(例えば、FRET対検出系を用いる場合の)蛍光消光、酵素活性、吸光度、分子量、放射能、ルミネセンスまたはレポーターの特異的結合を可能とする結合条件(例えば、レポーターが抗体である場合)を含む。いくつかの実施形態において、プローブは、注目する核酸ヌクレオチド配列に対する結合特異性を有する、ポリヌクレオチドよりはむしろ抗体であり得る。本発明はいずれかの特定のプローブ標識またはプローブ検出系に限定されることを意図しない。プローブで用いられるポリヌクレオチドの源は限定されず、非酵素系において合成により生じさせることができるか、あるいは生物学的(例えば、酵素的)系(例えば、細菌細胞中)を用いて生産されるポリヌクレオチド(またはポリヌクレオチドの部分)であり得る。
典型的には、プローブは核酸に含まれる特異的標的配列に十分に相補的であって、限定されるものではないが、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件のような選択されたハイブリダイゼーション条件下で標的配列とで安定なハイブリダイゼーション複合体を形成する。十分にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でプローブを用いて行われるハイブリダイゼーションアッセイは、特異的標的配列の選択的検出を可能とする。
本明細書中で用いるように、用語「標識」または「レポーター」は、その最も広い意味においては、それと会合するものを検出可能であるか、またはその検出を可能とするいずれの部分または特性もいう。例えば、標識を含むポリヌクレオチドは検出可能である(いくつかの態様においては、プローブといわれる)。理想的には、標識されたポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドを含むハイブリダイゼーション複合体の検出を可能とする。いくつかの態様において、例えば、標識はポリヌクレオチドに(共有結合により、または非共有結合により)付着される。種々の態様において、標識は、別法として、あるいは組み合わせて、(i)検出可能なシグナルを提供することができ;(ii)第二の標識と相互作用して、第二の標識、例えば、FRETによって提供される検出可能なシグナルを修飾することができ;(iii)ハイブリダイゼーション、例えば、デュプレックス形成を安定化させることができ;(iv)捕獲機能、例えば、疎水性アフィニティー、抗体/抗原、イオン複合体化を付与することができ、または(v)電気泳動移動度、疎水性、親水性、溶解度、またはクロマトグラフィー挙動のような物理的特性を変化させることができる。標識はそれらの構造およびそれらの作用メカニズムが広く変化する。
標識の例は、限定されるものではないが、(例えば、クエンチャーまたは吸収体を含めた)蛍光標識、非蛍光標識、比色標識、化学発光標識、生物発光標識、放射性標識、質量修飾基、抗体、抗原、ビオチン、ハプテン、(例えば、ペルオキシダーゼ、ホスファターゼ等を含む)酵素等を含む。さらに説明するために、蛍光標識は、フルオレセインファミリーの色素のような負に荷電した色素、またはローダミンファミリーの色素のような電荷が中性である色素、またはシアニンファミリーの色素のような正に荷電した色素を含むことができる。フルオレセインファミリーの色素は、例えば、FAM、HEX、TET、JOE、NANおよびZOEを含む。ローダミンファミリーの色素は、例えば、テキサスレッド、ROX、R110、R6G、およびTAMRAを含む。FAM、HEX、TET、JOE、NAN、ZOE、ROX、R110、R6G、およびTAMRAは、例えば、Perkin−Elmer,Inc.(Wellesley,MA,USA)から商業的に入手可能であり、テキサスレッドは、例えば、Molecular Probes,Inc.Eugene,OR)から商業的に入手可能である。シアニンファミリーの色素は、例えば、Cy2、Cy3、Cy5、Cy5.5およびCy7を含み、例えば、Amersham Biosciences Corp.(Piscataway,NJ,USA)から商業的に入手可能である。
本明細書中で用いるように、用語「FRET」(蛍光共鳴エネルギー移動)および同等な用語は、一般には、ドナー分子からフォトンの発光なしでエネルギーがドナー分子からアクセプター分子へ移動する2つの色素分子の電子状態の間の動的距離依存性相互作用をいう。FRETの効率は色素の間の分子間分離の逆に依存し、これは、それを、生物学的高分子の寸法に匹敵する距離にわたって有用とする。一般的には、FRETは、慣用的な光学顕微鏡観察の限界を超える空間的分解能でもって、イメージング、動的分析および/または共局所化分子の定量または単一分子における立体配座変化を可能とする。一般には、FRETは(a)ドナーおよびアクセプター分子が近接しなければならない(典型的には、例えば、10〜100Å)、(b)アクセプターの吸収スペクトルがドナーの蛍光発光スペクトルと重ならなければならない、および(c)ドナーおよびアクセプターの遷移二極の向きがほぼ平行でなければならないことを必要とする。
ほとんどのFRET適用においては、ドナーおよびアクセプター色素は異なり、その場合、FRETはアクセプターの感作された蛍光の出現によって、またはドナー蛍光の消光によって検出することができる。いくつかの場合において、ドナーおよびアクセプターが同一であり、FRETが得られた蛍光脱分極によって検出することができる。FRET系における単一のドナー/アクセプター分子の使用は、例えば、「COMPOSITIONS FOR THE DETECTION OF ENZYME ACTIVITY IN BIOLOGICAL SAMPLES AND METHODS OF USE THEREOF」と題された2004年5月20日に公開された、Packard and Komoriyaによる公開された米国特許出願第2004/0096926号に記載されている。
FRETは、分子近接性の変化によって特徴付けられる種々の生物学的現象を調査するための重要な技術となった。FRET技術が多くの生物学的実験室において今日普及しており、限定されるものではないが、核酸ハイブリダイゼーションの検出、リアルタイムPCRアッセイおよびSNP検出、タンパク質の構造および立体配座、タンパク質複合体の空間的分布および組立、受容体/リガンド相互作用、イムノアッセイ、単一分子のプロービング相互作用、核酸の構造および立体配座、突然変異を検出するためのプライマー延長アッセイ、自動DNA配列決定、脂質の分布および輸送、膜融合アッセイ(膜融合の脂質混合アッセイ)、膜ポテンシャル検知、発蛍光性プロテアーゼ基質、および環状AMPおよび亜鉛についてのインジケーターを含む種々の生物学的系で用いるのに適合されてきた。
本明細書中で用いるように、用語「FRETドナー」とは、典型的には、十分に近接した適当なFRETアクセプターに移動させることができる、放射線、例えば、蛍光またはルミネセント放射の検出可能な発光を生じる部分をいう。発現「FRETドナー」は「FRET標識」または「FRET標識部分」と互換的に用いることができる。
本明細書中で用いるように、用語「クエンチャー」、「クエンチャー部分」、「アクセプター」、「アクセプター部分」および「発光モディファイアー」および同様なおよび同等な用語が、一般には、放射線、例えば、限定されるものではないが、蛍光またはルミネセント放射の、この放射線を発光するであろう源からの検出可能な発光を減少させ、および/またはそれを低下させることができる部分をいう。一般には、クエンチャーとは、発光を低下させることができるいずれの部分も言う。消光の程度は、消光効果が、いずれの検出機器を用いての最小限検出可能であることを除いて、それ自体は制限されない。いくつかの態様において、クエンチャーは源から発せられた検出可能な放射線を少なくとも50%、別法として少なくとも80%、別法としてかつ最も好ましくは少なくとも90%だけ低下させる。
いくつかの実施形態において、クエンチャーはドナーからの蛍光発光の低下をもたらし、従って、ドナー/クエンチャーはFRET対を形成し、クエンチャーは「FRETクエンチャー」または「FRETアクセプター」といわれ、ドナーは「FRETドナー」である。
用語「クエンチャー」はFRETクエンチャーに限定されることを意図しない。例えば、消光は、限定されるものではないが、光電子移動、光結合電子移動、近くに位置したフルオロフォアの間のダイマー形成、一過性励起状態相互作用、衝突消光、または非蛍光基底状態種の形成を含むいずれのタイプのエネルギー移動も含むことができる。いくつかの実施形態において、クエンチャーとは光発光を低下させることができる分子をいう。フルオロフォアおよびクエンチャーの間のスペクトル重複について要件はない。本明細書中で用いるように、「消光」は動的(Foerster−Dexterエネルギー移動等)、および静的(基底状態複合体)を含むいずれのタイプの消光も含む。別法として、依然として、クエンチャーは蛍光色素からの吸収されたエネルギーを光以外の形態、例えば、熱として消散させることができる。
いくつかの実施形態において、いくつかのクエンチャーはFRETドナー発光から区別できる波長において、または前記区別できるシグナルタイプを用い、およびそのクエンチャーに特徴的であり、従って、この点において、クエンチャーは「標識」でもあり得る波長において、またはそのようなシグナルタイプにおいてFRETドナーから吸収されたエネルギーを再度発することができる。
蛍光プローブ系の使用についての一般的議論については、例えば、Joseph R.Lakowicz Plenum Publishing Corporation,第2版 July1(1999)によるPrinciples of Fluorescence SpectroscopyおよびMolecular Probesによって公表されたRichard P.HauglandによるHandbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals,第6版(1996)参照。
本明細書中で用いるように、表現「可溶性アクセプター」、「可溶性クエンチャー」、「可溶性発光モディファイアー」等とは、いずれかの他の分子に結合しておらず、大いに可溶性であるか、あるいはそうでなければいずれかの他の分子または固相に結合しないアクセプター部分をいう。例えば、いくつかのチアジン色素、例えば、ニューメチレンブルーを可溶性クエンチャーとして用いることができる。幾つかの実施形態において、可溶性クエンチャーは可溶性FRETクエンチャーであり、ここに、可溶性FRETクエンチャーは、FRETドナーも含む機能的FRET対の一部である。
本明細書中で用いるように、用語「チアジン(thiazine)色素」および「チアジン(thiazin)色素」(これらの用語が同義であって、当分野においては互換的に用いられる)とは、1つの硫黄原子、1つの窒素原子、および4つの炭素原子からなる環を含む有機化学化合物のクラスのいずれかをいう。可溶性クエンチャーとして用いることができるチアジン色素の例は、例えば、メチレンブルー(C1618ClN3S)、メチレングリーン(C1617ClN42S)、チオニン(C1210ClN3S)、sym−ジメチルチオニン、トルイジンブルーO(C15163SCl)、ニューメチレンブルー(C1822ClN3S)、メチレンバイオレットベルンスゼン、アズールA(C1414ClN3S)、アズールB(C1516ClN3S)、アズールC、1,9−ジメチルメチレンブルー、トルイジンブルーO、およびメチレンバイオレットベルンズセンを含む。これらの化合物のいくつかの化合物を図8に示す。
本明細書中で用いるように、表現「FRET対」および同様なおよび同等な用語とは、ドナーおよびアクセプターが相互に対して適当に近接している場合にFRETが観察されるように、FRETドナー部分およびFRETアクセプター部分の対合をいう。一般に、限定されるものではないが、ドナー部分およびアクセプター部分は注目する種々の分子(例えば、ポリヌクレオチドプローブ)に結合される。
他の試薬および検出/イメージング機器と共に、広く種々の色素、フルオロ、クエンチャーおよび蛍光タンパク質がFRET分析で用いるために開発されており、広く商業的に入手可能である。当業者であれば、いずれの特定の分析で用いるためにも適切なFRETプロトコル、試薬および機器を認識する。
FRETで通常用いられる分子は、例えば、限定されるものではないが、フルオロセイン、FAM、JOE、ローダミン、R6G、TAMRA、ROX、DABCYL、およびEDANSを含む。蛍光色素が標識またはクエンチャーであるかは、その励起および発光スペクトルによって、およびそれが対となる蛍光色素によって規定される。例えば、FAMは488nmの波長で光によって最も効果的に励起され、500〜650nmのスペクトル、および525nmの発光最大を持つ光を発する。FAMは、その励起最大514nmにおいて有する、例えば、クエンチャーとしてのTAMRAとで用いる適当なドナー標識である。蛍光色素から吸収されたエネルギーを消散する非蛍光または暗いクエンチャーの例はBiosearch Technologies,Inc.(Novato,CA,USA)によって市販されるBlack Hole Quenchers(商標)を含む。前記Black Hole Quenchers(商標)は置換されたまたは置換されていないアリールまたはヘテロアリール化合物、またはその組合せから選択される少なくとも3つの基を含む構造であり、ここに、残基の少なくとも2つは外環ジアゾ結合を介して連結されている(例えば、本明細書に参照により組み込む、Cook et al.によって2001年11月15日に公開された、「DARK QUENCHERS FOR DONOR−ACCEPTOR ENERGY TRANSFER」と題された国際公開No.WO 01−86001参照)。クエンチャーの例は、例えば、Horn et al.に対して2002年10月15日に発行された「OLIGONUCLEOTIDE PROBES BEARING QUENCHABLE FLUORESCENT LABELS,AND METHODS OF USE THEREOF」と題された米国特許第6,465,175号にも提供されている。
本明細書中で用いるように、「部分」または「基」とは、大きな分子または複合体の部分または構成要素部分をいう。例えば、オリゴヌクレオチドプローブは標識部分を含むことができる。
本明細書中で用いるように、「識別ハイブリダイゼーション特性」とは、もう1つの複合体またはいずれかの数の他の複合体から1つの複合体を識別するのに用いることができるハイブリダイゼーション複合体のいずれかの特性をいう。1つの一本鎖核酸分子は種々の標的分子との多数のハイブリダイゼーション複合体に参画することができ、ここに、ヌクレオチド塩基ミスマッチ(もしあれば)の数、位置およびタイプは変化する。識別ハイブリダイゼーション特性の例は、例えば、限定されるものではないが、融解分析(例えば、Tm分析)、HMA(ヘテロデュプレックス移動度分析;White et al.,J Clin Microbiol(2000)38:477−482)、DHPLC(変性HPLC)、CFLP(切断断片長多形;Marshall et al.,J Clin Microbiol(1997)35:3156−3162)、TGCE(熱的グラジエント毛細管電気泳動);SURVEYOR(商標)ヌクレアーゼ突然変異検出キット、SSCP(一本鎖立体配座多形)を含む。
本明細書中で用いるように、「温度依存性ハイブリダイゼーション特性」とは、ハイブリダイゼーション複合体のいずれの定量的温度依存性特徴も言う。例えば、融解温度(Tm)は温度依存性識別ハイブリダイゼーション特性である。しかしながら、温度依存性ハイブリダイゼーション特性はTmに限定されない。例えば、ホモデュプレックスまたはヘテロデュプレックスにおける二本鎖ポリヌクレオチドまたは核酸塩基オリゴマー(例えば、ハイブリダイゼーション複合体)の集団の25%が一本鎖に解離される温度(T25)もまたハイブリダイゼーション複合体の規定する特徴である。同様に、ホモデュプレックスまたはヘテロデュプレックスにおける二本鎖ポリヌクレオチドまたは核酸塩基オリゴマー(例えば、ハイブリダイゼーション複合体)の集団の75%が一本鎖に解離される温度(T75)もまたハイブリダイゼーション複合体の規定する特性である。別法として、いずれかの規定された温度におけるハイブリダイゼーション複合体の解離のパーセンテージは定量的温度依存性ハイブリダイゼーション特性である。別法として、依然として、(融解曲線と反対に)「アニーリング曲線」を用いて、ハイブリダイゼーション複合体を特徴付けすることができる。アニーリング曲線分析においては、標的およびプローブポリヌクレオチド鎖の挙動は(融解曲線分析で用いられる上昇温度とは反対に)温度を低下させつつ観察される。ハイブリダイゼーション複合体の解離またはアニーリングの程度を測定する方法は当業者に周知である。
本明細書中で用いるように、用語「Tm」は「融解温度」に言及するのに用いられる。融解温度は、ホモデュプレックスまたはヘテロデュプレックスにおける二本鎖ポリヌクレオチドまたは核酸塩基オリゴマー(例えば、ハイブリダイゼーション複合体)の集団の1/2が一本鎖に解離するようになる温度である。デュプレックスポリヌクレオチドのTmの予測は、塩基配列ならびにオリゴマー結合の構造および配列特徴および性質を含めた他の因子を考慮する。Tmを予測し、実験的に決定するための方法は当分野で知られている。例えば、Tmは融解曲線によって伝統的には決定され、そこでは、デュプレックス核酸分子を制御された温度プログラムで加熱し、デュプレックス中の2つの一本鎖の会合/解離の状態をモニターし、2つの鎖が完全に解離する温度に到達するまでプロットする。Tmはこの融解曲線から読む。別法として、Tmはアニーリング曲線によって決定することができ、そこでは、デュプレックス核酸分子を、2つの鎖が完全に解離する温度まで完全に加熱する。次いで、温度を制御された温度プログラムで降下させ、デュプレックスにおける2つの一本鎖の会合−解離の状態をモニターし、2つの鎖が完全にアニールする温度に到達するまでプロットする。Tmはこのアニーリング曲線から読む。
本明細書中で用いるように、用語「試料」は最も広い意味で用いられ、分析に供するいずれの材料も言う。用語「試料」は典型的には生物学的起源のいずれのタイプの材料も言い、例えば、動物または植物から得られたいずれのタイプの材料も言う。試料は、例えば、血液または血清のようないずれの流体または組織とすることもでき、さらに、ヒト血液またはヒト血清であり得る。試料は培養された細胞または組織、微生物(原核生物または真核生物)の培養、または(生きたまたは一旦生きていた)生物学的材料から生産された、またはそれから由来するいずれかの画分または産物であり得る。任意で、試料は精製し、部分的に精製し、未精製、豊富化または増幅したものとすることができる。試料が精製されたまたは豊富化された場合、試料は主として1つの成分、例えば、核酸を含むことができる。より具体的には、例えば、精製または増幅された試料は全細胞RNA、全細胞mRNA、cDNA、cRNA、またはそこから由来する増幅された産物を含むことができる。
本発明の方法で用いる試料はいずれの源からのものとすることもでき、限定されるものではない。そのような試料は、限定されるものではないが、例えば、皮膚、血漿、血清、全血、血液産物、脊髄液、唾液、腹腔液、リンパ液、水性または硝子体液、滑液、尿、涙、血球、血液産物、精子、精液、膣液、肺滲出物、漿膜液、器官、気管支肺胞洗液、腫瘍、パラフィン包埋組織等を含めた個体または複数個体から単離されたある量の組織または流体であり得る。試料は、限定されるものではないが、細胞培養基における細胞、組換細胞、細胞成分の増殖から得られる条件培地を含むインビトロ細胞培養の構成要素および成分を含むこともできる。
本明細書中で用いるように、用語「ゲノム」とは、(ウイルスを含む)生物によって保有された遺伝子的情報または遺伝物質、すなわち、生物またはウイルスの全遺伝補充物をいう。ゲノムのサイズは、一般には、(一本鎖ゲノムを記載する場合は)ヌクレオチドまたは塩基、あるいは(二本鎖ゲノムを記載する場合は)塩基対のその合計数として与えられる。ゲノムはRNAまたはDNAを含むことができる。ゲノムは線状、環状とすることができ、および/または染色体のような区別されるユニット上に存在することができる。
本明細書中で用いるように、表現「配列不均一性」とは、異なる源に由来する2以上の相同ヌクレオチド配列の間の塩基配列発散をいう。配列発散は塩基対不適合(ミスマッチ)、ギャップ、挿入および/またはゲノム再編成において反映され得る。本明細書中で用いるように、1つのHCVゲノム、またはゲノムの部分は第2の(またはそれ以上の)HCVゲノム(またはその部分)と整列させることができ、配列不均一性につき分析することができる。例えば、ウイルスゲノムの収集は、もしそれらが、例えば、5’−UTR、または5’−UTRの部分において、特定のドメイン中の配列発散を示すならば、配列不均一性を示す。
本明細書中で用いるように、表現「C型肝炎ウイルスタイプ」とは、そのゲノム組織化(例えば、系統発生分析)に基づいて、C型肝炎ウイルス(HCV)のカテゴリー化をいう。HCV単離体の特定のタイプカテゴリーへのカテゴリー化は他のHCV単離体へのそのゲノムの関連性および他のHCV単離体へのその比較的低い関連性を反映する。本明細書中で用いるように、HCVタイピング命名法はSimmonds et al(1994)Letter,Hepatology 19:1321−1324によって提案された広く適合される命名法に合致する。また、Zein(2000)「Clinical Significance of Hepatitis C Virus Genotypes」,Clinical Microbiol.Reviews 13(2):223−235;Maertens and Stuyver(1997)「Genotypes and Genetic Variation of Hepatitis C Virus」,p.182−233,In Harrison,and Zuckerman(編),The Molecular Medicine of Viral Hepatitis,John Wiley & Sons,Ltd.,Chichester,England)も参照されたい。Simmonds et al(1994)の系は公知のHCV単離体を11のHCV遺伝子型、すなわち、遺伝子型1〜11の内の1つに入れる。各遺伝子型は、さらに、同一遺伝子型の株内の関連性を反映するグルーピングといわれるサブタイプに小分けされる。HCVサブタイプは遺伝子型、例えば、サブタイプ1a、サブタイプ1c、サブタイプ6a等に従って小文字ローマ文字によって書かれる。個々の単離体内で見出される遺伝的変種を疑似種といわれる。全ての11の遺伝子型を含むほぼ78のHCVサブタイプは世界中で知られており;サブタイプの数は静的ではなく;より多くのHCV単離体が調べられ、配列決定されるにつれ、さらなるサブタイプ(およびおそらくは遺伝子型)も認識できるようである。
本明細書中で用いるように、用語「ウイルスタイプ」とは遺伝子型またはサブタイプいずれかを言うことができる。本明細書中で用いるように、用語「HCVタイプ」はHCV遺伝子型またはHCVサブタイプを意味することができるのに注意されたい。本明細書中で用いるように、用語「HCVタイピング」は実験的(例えば、未知のタイプ)HCVを公知の遺伝子型(例えば、1、2、3、4、5または6、またはそのサブセット)に割り当てる、または実験的HCVを公知のサブタイプ(例えば、1a、1b、1c、2a、2b、2c等、またはそのサブセット)に割り当てることを意味する。対照的に、当分野で通常用いられているように、用語「HCVゲノタイピング」は、最も頻繁には、HCVのいずれかのサブタイプ、例えば、最も典型的には、1a、1b、1c、2a、2b、2c等の1つにHCVを割り当てることを言うのに注意されたい。しかしながら、本明細書中で用いるように、用語「ゲノタイピング」とは1、2、3、4、5または6のみへの割り当てをいう。
いくつかのレポート(例えば、Robertson et al.,(1998)Arch.Virol.,143(12):2493−2503)は、ウイルスゲノム組織化がウイルスクレードの創製によって最良に表され、いくつかのHCV遺伝子型が他のHCV遺伝子型よりも相互により密接に関連するという観察を反映すると提唱している。この系においては、クレード1、2、4および5は遺伝子型1、2、4および5に対応し、他方、クレード3は遺伝子型3および10を含み、クレード6は遺伝子型6、7、8、9および11を含む。本発明の記載はクレード命名法を用いない。
本明細書中で用いるように、表現「機能的プローブ」とはHCVタイピングプローブを言い、ここに、そのプローブが少なくとも5つの異なるHCV遺伝子型(例えば、1、2、3、4、5および6から選択される遺伝子型)または少なくとも6つの異なるHCVサブタイプ(例えば、1a、1b、1c、2a、2b、2c、3a、4a、5aおよび6aから選択されるサブタイプ)とでハイブリダイゼーション複合体を形成した場合、いくつかのハイブリダイゼーション特性の異なる値または規定する特徴は各HCVタイプに対応して区別することができ、したがって、プローブは各HCVタイプを識別することができる。
本明細書中で用いるように、表現「非機能的プローブ」とはHCVタイピングプローブを言い、そこでは、そのプローブが少なくとも5つの異なるHCV遺伝子型(例えば、1、2、3、4、5および6から選択される遺伝子型)または少なくとも6つの異なるHCVサブタイプ(例えば、1a、1b、1c、2a、2b、2c、3a、4a、5aおよび6aから選択されるサブタイプ)とでハイブリダイゼーション複合体を形成する場合、いくつかのハイブリダイゼーション特性の異なる値または規定する特徴を各ハイブリダイゼーション複合体につき区別することができず、従って、プローブはHCV遺伝子型またはHCVサブタイプの各々を区別することができない。
本明細書中で用いるように、表現「に由来する」とは、特定の試料、分子、生物、あるいは特定の分子または生物からの情報から単離された、またはそれを用いて作成された成分をいう。例えば、C型肝炎ウイルスに由来する核酸分子はHCVゲノムの分子であり得、あるいは別法として、HCVゲノムからの転写体であり得る。
本明細書中で用いるように、表現「ウイルス負荷」、「ウイルス負担」、「ウイルスコピー数」および同等または同様な表現は、試料中のウイルスゲノムの定量的評価をいう。ウイルス負荷は試料容量の単位当たりのウイルス粒子(例えば、ビリオン)の数として表すことができる。別法として、ウイルス負荷は容量の単位当たりの試料中のウイルスゲノム粒子の数として表すことができる。例えば、試料中のHCVのウイルス負荷は試料容量の単位当たりのRNAゲノム分子の数として表すことができる。
本明細書中で用いるように、用語「サブ配列」、「断片」または「部分」等とは、完全な配列までの、かつそれを含む、より大きな配列(例えば、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列)のいずれかの部分をいう。サブ配列の最小長は、最小長がその意図された機能に鑑みて有用であろう以外は、一般には制限されない。例えば、ポリヌクレオチド部分はウイルスゲノムから増幅して、アンプリコンを生産することができ、これは、今度は、ポリヌクレオチドプローブを含むハイブリダイゼーション反応で用いることができる。従って、この場合には、増幅された部分はポリヌクレオチドプローブに特異的にハイブリダイズするのに十分な長さとすべきである。ポリヌクレオチドの部分はいずれの長さ、例えば、少なくとも5、10、15、20、25、30、40、50、75、100、150または200ヌクレオチド以上の長さとすることもできる。
本明細書中で用いるように、用語「モニターする」とは、周期的または連続的監視、テスト、データ収集および/または定量をいう。モニタリングは自動化することができ、モニタリングの間に集めた情報(例えば、データセット)は印刷することができ、あるいはコンピュータリーダブルおよび/またはコンピュータストアラブルフォーマットとして編集することができる。
本明細書中で用いるように、用語「相関する」とは、2以上の変数、値または存在の間の関係を作り出すことをいう。2つの変数が相関するならば、それらの変数の内の1つの同定を用いて、残りの変数の値を決定することができる。
本明細書中で用いるように、用語「キット」は、試料のプロセス、方法、アッセイ、分析または操作を容易とする製品の組合せに言及するのに用いる。キットは前記キットをどのようにして用いるかを記載する書面による指示書(例えば、本発明の方法を記載する指示書)、前記方法で必要な化学試薬または酵素、プライマーおよびプローブ、ならびにいずれかの他の成分を含むことができる。いくつかの実施形態において、本発明はRT−PCRを使用する「閉じたチューブ」HCVタイピングのためのキットを提供する。これらのキットは、例えば、限定されるものではないが、試料収集(例えば、血液試料の収集)のための試薬、血液からのRNAの収集および精製のための試薬、逆転写酵素、逆転写に適したプライマー、およびHCVアンプリコンを生産するための第一鎖および第二鎖cDNA合成、熱安定性DNA依存性DNAポリメラーゼ、および遊離デオキシビボヌクレオチド三リン酸を含むことができる。いくつかの実施形態において、逆転写酵素活性および熱安定性DNA依存性DNAポリメラーゼ活性を含む酵素は同一酵素、例えば、Thermus sp.ZO5ポリメラーゼまたはThermus thermophilusポリメラーゼである。
(例えば、患者からの試料中の)HCV単離体のタイピングは、療法のための最も適切なコースを決定するにおいて価値ある臨床的ツールである。感染におけるHCVのタイプ(遺伝子型および/またはサブタイプ)を知ることもまた、疫学的分析(例えば、特定のHCV勃発の源および/または拡大の判断)を含めた他の利点も有する。
HCVタイピングのための現在の方法は種々の制限に直面している。当分野における現在の制限を克服し、現在満たされていない要求を満足する組成物および方法を提供し、およびさらなる利点を有するタイピング方法を提供するためのHCVタイピング用の改良された方法を提供する目的で、本出願はHCVタイピング分析のための組成物および方法を提供し、ここに、本明細書中に記載される方法は試料中のHCVを少なくとも5つの遺伝子型の1つ、または少なくとも6つのサブタイプの1つに帰属させるのに単一プローブのみを必要とする(例えば、6つの最も普通のHCVサブタイプ単離体)。HCV含有試料を、少なくとも5つのHCV遺伝子型から、または少なくとも6つのサブタイプから選択されるHCVタイプに帰属させるための単一プローブの使用が、当分野で現在知られた方法よりも優れた利点を提供する。
単一タイピングプローブを用いるHCVタイピング
本発明は、HCVタイピングのための組成物および方法を提供し、そこでは、用いる前記方法はHCV遺伝子型またはサブタイプの帰属を行うのにただ1つの単一プローブを用いる。本発明の組成物および方法を用いて、HCVを、少なくとも5つのHCV遺伝子型(例えば、遺伝子型1、2、3、4、5または6から選択される)の1つに帰属させ、あるいはHCVを、少なくとも6つのサブタイプ(例えば、サブタイプ1a/b/c、2a/b/c、3a、4a、5aまたは6aから選択される)の1つに帰属させることができる。また、本発明の方法は、混合HCV感染の場合に用いることができ、試料に存在する各HCV種はHCVタイプ(遺伝子型またはサブタイプ)に帰属される。
本発明、すなわち、少なくとも5つのHCV遺伝子型の1つ、または少なくとも6つのサブタイプの1つから選択される遺伝子型への帰属を行うために単一プローブを用いることに関する組成物および方法が、遺伝子型またはサブタイプ帰属を行うのに複数のプローブの使用を必要とし、あるいはここにプローブが5つの遺伝子型または6つのサブタイプを超える中から識別できない、当分野で現在知られたHCVタイピングのための方法よりも優れた利点を提供する。
一般に、1つの態様において、本発明のHCVタイピング方法は後に概説する工程を含む。
(A)任意で、試料からのHCVゲノムの部分の増幅
いくつかの実施形態において、未知タイプのC型肝炎ウイルスを含む試料を(増幅工程の必要なしで)タイピング分析で直接用いる。この場合、HCVゲノム材料、または別法としてHCV転写体は、任意で、例えば、いずれかの適当な核酸単離技術を用いて試料から単離することができる。その単離された材料は引き続いての分析で用いることができる。非常に低いコピー数での核酸(の、例えば、蛍光検出)の分析のための技術は、当分野で知られており、本発明で用途を見出す。例えば、Mirkin et al.,「PCR−Less detection of genomic DNA with nanoparticle probes」,Abstracts of Papers,222nd ACS National Meeting,Chicago,IL,合衆国(2001年8月26日〜30日)参照。
いくつかの実施形態において、HCV増幅工程は、任意で、タイピング分析に先立って使用する。この増幅は、典型的には、非対称RT−PCR反応によるものであり、そこでは、増幅された領域は、各タイプ(遺伝子型またはサブタイプ)の仮定アンプリコンが他のタイプに対してユニークなヌクレオチド配列を示すように、十分な変動性のドメインを含む。増幅される領域は特に制限されず、ウイルスゲノムのいずれかの適当な部分からのものとすることができる。増幅された領域は高度に保存された領域(例えば、5’−UTR領域)または超可変領域(例えば、HCVポリメラーゼをコードするNS5B領域)であると認識されているものに存在できる。別法として、コアまたはE1領域を用いることもできる。いくつかの実施形態において、HCVアンプリコンを作り出すのに用いられるPCRプライマーは「ユニバーサルプライマー」であり、そこでは、プライマーはHCV遺伝子型またはサブタイプに関わらずアンプリコンを生じさせるであろう。ユニバーサルHCVアンプリコンを生じさせるのに適したユニバーサルタイプHCVプライマー(およびHCV特異的PCRキット)は広く知られており、やはり商業的に入手可能である(例えば、Roche COBAS AMPLICOR(商標)HCV MONITORテストキット(Roche Molecular Systems,Inc,Pleasanton,CA参照)。他の実施形態において、プライマーの2以上の組を用いることができる。
PCR反応で用いられるDNAポリメラーゼは特に限定されるものではない。PCRアンプリコンはHCV RNAゲノム材料から生じるので、PCR反応は、RT活性も有する熱安定性ポリメラーゼを用いる1工程逆転写(RT)PCR反応であり得る(例えば、Thermus sp.株ZO5,Roche Molecular Systems)。別法として、RT−PCRは2つの異なる酵素を用いる段階的反応であり得、1つはcDNAを生じさせるための逆転写工程であり、他方は増幅工程のためである。ある実施形態において、PCR増幅プライマーの1つは、HCV cDNA第一鎖を作り出すためのRT活性の起点となるよう働く。PCRおよびRT−PCR試薬および方法は当分野で広く知られたルーチン的なものである。
RT−PCR反応は、任意で、dTTPの代わりにdUTPを、他のデオキシリボヌクレオチドよりも高いモル濃度で含有することができる。これは、外因性DNAでのPCRの交差汚染を妨げるのに有用な、dUTP含有アンプリコンの創製で用いることができる。dUTP含有アンプリコンを利用する系においては、HCV逆転写および増幅に先立っての、ウラシルN−グルコシラーゼ(UNG)ヌクレアーゼ消化、引き続いての、UNG不活化は、他のdUTP含有ポリヌクレオチドからの交差−汚染を排除することができる。そのような系は当分野で通常用いられており、種々の源から入手可能である(例えば、Roche Diagnostics AmpErase(登録商標)参照)。
1つの態様において、試料は患者からの血液または血液産物(例えば、血漿)試料であり、ここに、患者がHCV感染を有することが判明しているか、あるいはHCV感染を有する疑いがあるものである。典型的には、要件ではなく、試料はHCVゲノム材料を含有するであろう試料のRNA成分を豊富化する目的で少なくとも部分的に精製される。いずれの適当なRNA精製方法も用いることができ、全RNA精製またはポリA RNA精製いずれかであり得る。好ましくは、RNAを豊富化するのに用いられる方法は、高スループット方法またはロボット系で用いるのに適したように提供できる迅速な方法である。例えば、QIAmp(登録商標)ウイルスRNAミニキット(QIAGEN N.V.Venlo,the Netherlands)および高純粋RNA単離キット(Roche Applied Sciences,Indianapolis,IN)。
(B)標的ハイブリダイゼーション複合体を形成するための、HCV材料と第一のプローブとのハイブリダイジング
次いで、HCV材料(例えば、単離された資料材料、またはRT−PCR増幅から生じたHCVアンプリコン)をHCVタイピングプローブとのハイブリダイゼーション反応で用いて、ハイブリダイゼーション複合体を形成する。HCVタイピングプローブは、(i)プローブ配列はHCVアンプリコン内のヌクレオチド配列に対して少なくとも部分的に相補的であり、ここに、少なくとも非ストリンジェント条件下でのハイブリダイゼーションを可能とするのに十分な相補性があり;(ii)ハイブリダイゼーション複合体の領域の相補性は少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCVサブタイプ内で配列不均一性(例えば、少なくとも1つのヌクレオチドの差)を示し;(iii)タイピングプローブ、および少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのウイルスサブタイプを含むハイブリダイゼーション複合体は、残りのタイプから各々を識別する識別ハイブリダイゼーション特性を有することを含めた、種々の考慮でもって設計される。
従って、プローブが特定のHCV遺伝子型またはサブタイプとでハイブリダイゼーション複合体を形成する場合、得られたハイブリダイゼーション複合体は、その特定の遺伝子型またはサブタイプに特徴的であって、他の遺伝子型またはサブタイプとで形成することができるハイブリダイゼーション複合体の特性とは異なるユニークな特性を有する。
いくつかの実施形態において、識別ハイブリダイゼーション特性が融解温度(Tm)である。Tmのイン・シリコ予測および実験的決定のための方法は当業者に周知である。しかしながら、本発明は唯一の識別ハイブリダイゼーション特性としてのTmの使用に制限されることは意図されない。他の技術も、ハイブリダイゼーション複合体の間の差を識別するのに用いることができる。例えば、識別ハイブリダイゼーション特性はT25またはT75であり得る。他の実施形態において、(例えば、HCVタイピングプローブを含む)異なるハイブリダイゼーション複合体は、ヘテロデュプレックス移動度分析(HMA)、変性HPLC(DHPLC)、切断断片長多形(CFLP)または熱的グラジエント毛細管電気泳動(TGCE)を用いることによって相互から識別することができる。加えて、異なる識別ハイブリダイゼーション特性を組み合わせて、ハイブリダイゼーション複合体の分解能を増強させることができる。機能的プローブの例は図6に掲げる。
図6および実施例6に示すように、配列の一部として蛍光標識をやはり示すプローブ配列が供される。例えば、図6における文字「F」は標識「FAM」を示す。しかしながら、これらのプローブの塩基配列はFAM標識に制限されることを意図しない。当業者であれば、当分野で知られた種々の標識のいずれかはこれらのプローブの塩基配列の関係での用途を見出すことを認識する。
本発明で用いられるように、用語ハイブリダイゼーションは可溶性−相ハイブリダイゼーションに制限されることを意図しない。当業者であれば、種々の代替ハイブリダイゼーション方法は本発明で用途を見出すことを認識する。例えば、固相ハイブリダイゼーション技術は、膜、ろ紙、ビーズ、ゲル等を含めた種々の表面で行うことができる。ハイブリダイゼーションプローブは、固相の表面に共有結合、または非共有結合させることができる。別法として、捕獲オリゴヌクレオチドが、HCVハイブリダイゼーション複合体の形成に関与しないハイブリダイゼーションプローブの部分にハイブリダイズすることができ、あるいはハイブリダイゼーションプローブのそのような部分に対して特異的な捕獲抗体を固相に付着させることができる。
(C)ハイブリダイゼーション複合体のハイブリダイゼーション特性の測定
一旦HCVアンプリコンおよびHCVタイピングプローブの間のハイブリダイゼーション複合体が形成されれば、識別ハイブリダイゼーション特性が測定される。1つの態様において、前記したように、ハイブリダイゼーション特性はTmであって、Tm融解曲線分析を行う。しかしながら、本発明は識別特性としてTmの使用に限定されることを意図しない。事実、単独、または組み合わせられた、他の特性の使用(測定)は、特に、高スループット適用で有利であり得る。
いくつかの実施形態において(例えば、Tmが識別特性として用いられる場合)、RT−PCR反応、プローブ/標的ハイブリダイゼーション反応およびTmの測定は、RT−PCR反応の開始後にさらに試薬を加える必要なしで単一の「閉じたチューブ」系で行う。閉じたチューブ系においては、各工程で必要な全ての試薬は分析の着手からチューブに存在させる。例えば、閉じたチューブRT−PCRおよびTm系はRNA試料、ユニバーサルRT−PCRプライマー、(好ましくはRT活性を持つ)DNAポリメラーゼ、デオキシリボヌクレオチド、適当なHCVタイピングプローブ(任意で、プローブが1つ以上の適当なFRET成分で標識されている場合)および、任意で可溶性FRETクエンチャーを含有するであろう。ある実施形態において、閉じたチューブRT−PCRおよびTm系は適当なサーモサイクラーに入れることができ、RT−PCR、ハイブリダイゼーションおよびTm融解曲線分析の進行は、反応および分析の異なる段階用の反応容器を移動させる必要なしで、単に、反応容器の温度を制御することによって制御される。同様に、いくつかの実施形態において、サーモサイクラーは、融解/アニーリング曲線分析蛍光モニタリングが反応容器を移動させることなく行うことができるように、適当な蛍光分光計とカップリングさせる。
本発明はTmの決定用のいずれかの特定の方法に制限されることを意図しない。Tmの実験的決定のための方法は当分野で広く知られており、種々の源、例えば、Liew et al.,「Genotyping of Single−Nucleotide Polymorphism by High−Resolution Melting of Small Amplicons」,Clinical Chemistry 50(7):1156−1164(2004);Reed and Wittwer 「Sensitivity and Specificity of Single−Nucleotide Polymorphism Scanning by High−Resolution Melting Analysis」,Clinical Chemistry 50(10):1748−1754(2004);Zhou et al.,「Closed−Tube Genotyping with Unlabeled Oligonucleotide Probes and a Saturating DNA Dye」,Clinical Chemistry 50(8):1328−1335(2004);およびZhou et al.,「High−resolution DNA melting curve analysis to establish HLA genotypic identity」,Tissue Antigens 64:156−164(2004)に記載されている。融解曲線分析の機器は種々の製造業者から商業的に入手可能である。異なる融解曲線機器は異なる感度を有することができることは認識されている。例えば、1つの機器はTmを±0.5℃まで分解することができ、他方、異なる装置はTmを±0.1℃まで分解することができる。従って、0.2℃の分離でもって各HCVタイプのTm値を理論的に生じさせることができる1つのHCVタイピングプローブを、Tm機器の1つのメークおよびモデルで効率的に用いることができるが、必要な感度を有しないもう1つのHCV機器ではできない。
(D)測定されたハイブリダイゼーション特性(例えば、T m )とHCVタイプとの相関
一旦ハイブリダイゼーション特性が(C)に記載されたように測定されたならば、その情報を用いて、測定されたハイブリダイゼーション特性の値に基づいて、HCVタイプを試料中のHCVに帰属させる。例えば、Tmが測定された識別特性である場合、標準化されたTm値のテーブルを、実験試料の分析に先立ってアセンブルする。標準化されたTmのテーブルは、実験試料の分析で用いる同一ハイブリダイゼーション条件下で各HCV遺伝子型またはサブタイプについて予め決定されたTm値からなるであろう。一旦実験試料についてのTm値が測定されたならば、その値をTm値の標準化されたテーブルと比較する。標準化されたおよび実験試料についての同一または近い同一値は、その標準タイプおよび実験タイプの間の対応性を示す。
別法として、各HCV遺伝子型またはサブタイプの標準化された試料を実験試料と平行して分析することができ、HCVタイプ帰属は、アッセイの時点で測定された標準値(例えば、Tm値)と実験値とを比較することを基づいてなすことができる。
いくつかの実施形態において、HCVタイピングについての方法はHCVウイルス負荷を決定するための方法にカップリングされる。同一アッセイにおける定性的(タイピング)および定量的(ウイルス濃度)HCV分析の組合せは、患者を治療している臨床化にとって大いに有益である。HCV定量のための方法は当分野で周知であり、例えば、COBAS AMPLICOR(商標)HCV MONITORキット(Roche Molecular Systems,Inc.,Pleasanton,CA)。これらの商業的システムは、典型的には、PCR反応でTaqMan−タイププローブを用いて、RT−PCR反応においてユニバーサルHCVアンプリコンのリアルタイム蓄積をモニターする。
PCRアンプリコン蓄積の速度は、TaqManプローブ蛍光によってモニターして、試料中のRNAゲノム出発材料の量に直接比例する。適当なHCV濃度標準をTaqMan PCR反応に含めることによって、どれくらい多くのHCVゲノム分子が出発反応に存在するかを決定することができる。その知識でもって、実験試料中のHCVゲノム粒子の濃度を外挿することができる。
本発明のいくつかの実施形態において、TaqMan−タイププローブをRT−PCR反応ミックスに含め、PCRアンプリコンのリアルタイム蓄積をモニターする。その情報から、試料中のHCVゲノムの濃度を計算する。ある実施形態において、HCV定量を閉じたチューブの系においてHCVゲノタイピングとカップリングさせ、そこでは、TaqMan−タイププローブを、RT−PCR増幅およびハイブリダイゼーション特徴付け(例えば、Tm融解曲線分析)のための全ての試薬を含有する反応ミックスに含める。定量的HCV分析をHCVタイピングとカップリングさせる場合、非対称PCR反応は、典型的には、RT−PCR増幅反応で用いられる。その場合、TaqMan−タイプ検出プローブは、限定的アンプリコン鎖に相補的であるように設計され、HCVタイピングプローブは、豊富な過剰なアンプリコン鎖に対して相補的であるように設計される。さらに、TaqMan定量プローブは、前記プローブがいずれかのHCVタイプのゲノムにハイブリダイズするように、HCVアンプリコンの保存された領域にハイブリダイズするように設計される。ある実施形態において、プローブは同等な親和性でもって全てのHCVタイプアンプリコン配列にハイブリダイズするであろう。ウイルス負荷の計算は、蛍光誘導体プロット(例えば、第一の誘導体または第二の誘導体プロット)を用いて、なすことができる。
本発明のHCVタイピングプローブの設計
一般に、本発明のHCVタイピングプローブは以下のガイドラインを用いて設計される:
1)少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCVサブタイプ内で不均一性を示すHCVゲノム候補標的の同定
ハイブリダイゼーションのためのHCV標的配列は特に制限されない。プローブを、十分な不均一性(例えば、5’−UTR)を有し、HCVゲノム中のより可変なドメイン内に存在する比較的保存されたドメインにハイブリダイズすることができる。適当なプローブ標的が同定される場合、適切なユニバーサル増幅プライマーの使用も考えられ、そこでは、HCVアンプリコンはプローブ標的配列を含有しなければならないが、また、プローブ標的配列に近接する配列は、HCVタイプに関わらずHCVアンプリコンを生じさせるであろうユニバーサルPCRプライマーの使用を可能とするのに十分に保存されていなければならない。不均一性の領域にハイブリダイズするだろう候補HCVタイピングプローブが設計される。
種々の商業的プログラムがハイブリダイゼーションプローブの設計のために広く入手可能である。そのような商業的に入手可能なプログラムの例はVisual OMP(DNA Software,Inc.,Ann Arbor,MI)、およびIdaho Technology,Inc.(Salt Lake City,UT)からのTm利用性ツールを含む。本発明はプローブ配列を設計するためのいずれかの特定のソフトウェアの使用に制限されることを意図しない。
本発明のHCVタイピングプローブが、いずれか1つのHCVタイプと同一である(100%相補性)ヌクレオチド配列を有することは要件ではない。本発明のHCVタイピングプローブは、各HCVゲノムタイプに対して意図的に100%相補性未満であるヌクレオチド配列を有することができる。その場合は、プローブがHCVタイプの各々の間で識別できるようにするそのプローブの所望のハイブリダイゼーション特性を与える目的で望ましいであろう。例えば、得られたハイブリダイゼーション複合体Tmを変化させる目的で、ミスマッチを意図的にプローブに設計することができる。機能的HCVタイピングプローブの例は、図6に掲げる。
2)候補タイピングプローブ配列をイン・シリコでテストする。
一旦候補プローブ配列が同定されれば、その配列を、任意で、既知のHCVタイプ配列の各々にハイブリダイズする場合の識別特性を呈するその能力につきイン・シリコでテストする。例えば、候補プローブ配列が同定された場合、イン・シリコモデリングを用いて、そのプローブおよび既知のHCVタイプの各々における相補的標的での仮定ハイブリダイゼーション複合体Tmを予測することができる。効果的なプローブ候補は、HCVタイプの各々が効果的であって、十分に識別される特性(例えば、Tm)を呈しなければならない。
種々の商業的プログラムが、特定のハイブリダイゼーション複合体Tmの予測のために広く入手できる。例えば、Visual OMP(DNA Software,Inc.,Ann Arbor,MI)、およびIdaho Technology,Inc.(Salt Lake City,UT)からのTm有用性ツール。本発明は、Tmを予測するためのいずれかの特定のソフトウェアの使用に制限されることを意図しない。種々のプローブのための予測された(および実験的に観察された)Tm値の例を図7に示す。
候補HCVタイピングプローブのイン・シリコテストは、効果的 vs 効果的でないプローブを同定するにおいて初期のガイダンスのためのものである。イン・シリコスクリーニングは、HCVタイピングプローブのハイブリダイゼーション特性を実験的にテストし、測定する工程に進める前に厳格には必要とされない。さらに、Tm値のイン・シリコ予測は近似的なものに過ぎず、実験的観察および確認が必要であることが理解される。
3)候補プローブをインビトロでテストする。
プローブ設計における最後の工程として、タイピングプローブを、各HCVタイプを識別するその能力につきインビトロでテストする。この工程は、プローブ挙動を予測するにおいて100%の精度を有しないイン・シリコの予測の結果を確認するのに必要である。Tm値が決定されるいくつかの実施形態において、プローブは、各HCVタイプに対応するヌクレオチド配列を有する(化学的に合成された)人工合成HCV標的での融解曲線分析で用いる。タイピングプローブおよび各HCV合成鋳型を含む核ハイブリダイゼーション複合体についてのTmを実験的に決定する。HCVアンプリコンを生じるためのRT−PCR反応はこれらのアッセイで必要とされない。機能的(成功した)プローブは、少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCVサブタイプの各々について異なるかつ識別可能なTm値を生じるプローブである。合成(化学的に合成された)HCV鋳型を用いるTm値の実験的決定は実施例1に記載される。これらのプローブは、HCV合成鋳型の各々での実験的に観察されたTmの十分な分離を示した。
確認テストの第2のレベルを任意で用いることができる。例えば、前記した人工鋳型を用いるTm融解曲線分析を適合させて、化学的に合成された人工鋳型の代わりに既知のHCV単離体からの(例えば、インビトロ転写によって酵素的に合成された)合成転写体を用いることができる。例えば、人工転写体は、既知の遺伝子型およびサブタイプのHCVゲノムインサートを運ぶプラスミドからインビトロ転写によって生産させることができる。
予測されたおよび実験的に観察されたTm値の間の比較の例を図7に示す。実験的に観察されたTm値は、インビトロ転写されたHCVゲノム材料からのRNA鋳型から生じたRT−PCRアンプリコンを用いる融解分析実験で得られた。
プローブおよびプライマーの合成
また、本発明は、多数のプローブおよびプライマー、例えば、HCVタイピングプローブ、HCV定量(TaqMan(登録商標)−タイプ)プローブおよびHCV増幅プライマー(RT−PCRで用いるためのもの)も提供する。これらのプローブおよびプライマーを作成するのに用いられる方法は何らか制限されていることは意図されない。当業者であれば、広く種々の化学合成戦略、およびプローブおよびプライマーを生産するための試薬に良く精通している。
また、本発明のHCVタイピングプローブおよびプライマーは天然に生じるヌクレオチド構造または天然に生じる塩基(例えば、アデニン、グアニン、チニン、シトシン、およびウラシル)に制限されることを意図しない。核酸に典型的には見出される天然に生じる複素環塩基に加えて、非天然核酸アナログもまた本発明で用いられる。非天然アナログは天然で生じない複素環または他の修飾された塩基を含む。特に、多くの天然に生じない塩基は、例えば、Seela et al.(1991)Helv.Chim.Acta 74:1790,Grein et al.(1994)Bioorg.Med.Chem.Lett.4:971−976、およびSeela et al.(1999)Helv.Chim.Acta 82:1640に記載されている。さらに説明すると、融解温度(Tm)モディファイアーとして作用するヌクレオチドで用いられるある種の塩基が任意で含まれる。例えば、これらのいくつかは7−デアザプリン(例えば、7−デアザグアニン、7−デアザアデニン等)、ピロロ[3,4−d]ピリミジン、プロピニル−dN(例えば、プロピニル−dU、プロビニル−dC等)等を含む。例えば、Seelaに対して1999年11月23日に発行された、「SYNTHESIS OF 7−DEAZA−2’−DEOXYGUANOSINE NUCLEOTIDES」と題された米国特許第5、990、303号参照。他の代表的な複素環塩基は、例えば、ヒポキサンチン、イノシン、キサンチン;2−アミノプリン、2,6−ジアミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、ヒポキサンチン、イノシンおよびキサンチンの8−アザ誘導体;アデニン、グアニン、2−アミノプリン、2,6−ジアミノプリン、2−アミノ−6―クロロプリン、ヒポキサンチン、イノシンおよびキサンチンの7−デアザ−8−アザ誘導体;6−アザシトシン;5−フルオロシトシン;5−クロロシトシン;5−ヨードシトシン;5−ブロモシトシン;5−メチルシトシン;5−プロピニルシトシン;5−ブロモベニルウラシル;5−フルオロウラシル;5−クロロウラシル;5−ヨードウラシル;5−ブロモウラシル;5−トリフルオロメチルウラシル;5−メトキシメチルウラシル;5−エチニルウラシル;5−プロピルウラシル、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、ベータ−D−ガラクトシルケオシン、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、7−デアザアデニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−メチルアデニン、7−メチルグアニン、7−デアザグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、ベータ−Dマンノシルケオシン、5’−メトキシカルボキシメチルウラシン、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、wyブトキシ、シウドウラシル、ケオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、2,6−ジアミノオプリン、および5−プロピニルピリミジン等を含む。さらに説明すると、修飾されたオリゴヌクレオチドの他の例は1つ以上のロックされた核酸(LNA(商標))モノマー(Exiqon A/S、Vedbaek、Denmarkからのライセンス下で、例えば、Link Technologies、Ltd.、Lanarkshire Scotlandから入手可能なLNA(商標)モノマーを含むオリゴヌクレオチド)を含む。これらのようなヌクレオチドアナログは、例えば、Kochkine et al.に対して2003年10月28日に発行された「SYNTHESIS OF [2.2.1]BICYCLO(登録商標) NUCLEOSIDES」と題された米国特許第6、639、059号、Skouvに対して2001年10月16日に発行された「ONE STEP SAMPLE PREPARATION AND DETECTION OF NUCLEIC ACIDS IN COMPLEX BIOLOGICAL SAMPLES」と題された米国特許第6、303、315号、および2003年5月15日に公開された、Kochkine et al.による「SYNTHESIS OF [2.2.1]BICYCLO(登録商標) NUCLEOSIDES」と題された米国特許出願公開No.2003/0092905に記載されている。
オリゴヌクレオチドプローブおよびプライマーは当分野で知られたいずれかの技術を用いて調製することができる。ある実施形態において、例えば、オリゴヌクレオチドプローブおよびプライマーは、例えば、Beaucage and Caruthers(1981)Tetrahedron Letts.22(20):1859−1862によって記載された固相ホスホルアミダイト方法に従うことを含めた、いずれかの核酸合成方法を用いて化学的に合成される。さらに説明すると、オリゴヌクレオチドはトリエステル方法を用いて合成することもできる(例えば、Capaldi et al.(2000)「Highly efficient solid phase synthesis of oligonucleotide analogs containing phosphorodithioate linkages」Nucleic Acids Res.28(9):e40 and Eldrup et al.(1994)「Preparation of oligodeoxyribonucleoside phosphorodithioates by a triester method」Nucleic Acids Res.22(10):1797−1804参照)。また、当分野で知られた他の合成技術を利用することもでき、例えば、Needham−VanDevanter et al.(1984)Nucleic Acids Res.12:6159−6168に記載されているような自動化シンセサイザーの使用を含む。広く種々の機器が自動化オリゴヌクレオチド合成のために商業的に入手可能である。マルチ−ヌクレオチド合成アプローチ(例えば、トリ−ヌクレオチド合成等)もまた任意で利用される。さらに、プライマー核酸は、任意で、種々の修飾を含む。ある実施形態において、例えば、プライマーは、例えば、引き続いてのアンプリコンクローリング等を容易とするために制限部位リンカーを含む。さらに説明すると、プライマーを任意で修飾して、例えば、Willに対して1999年12月14日に発行された「MODIFIED NUCLEIC ACID AMPLIFICATION PRIMERS」と題された米国特許第6、001、611号に記載されたように増幅反応の特異性を改良する。また、プライマーおよびプローブは本明細書中に記載された、またはそうでなければ当分野で知られた種々の他の修飾で合成することもできる。
本発明の反応混合物、方法、および他の態様で利用されるプローブは、典型的には、標識されて、プローブ−標的ハイブリダイゼーションデュプレックスの検出を可能とする。標識は、当分野で知られた種々の技術によって直接的または間接的にオリゴヌクレオチドに付着させることができる。説明すると、用いる標識のタイプに応じて、標識は(オリゴヌクレオチドプライマーおよび/またはプローブの5’または3’末端)または非末端ヌクレオチドに付着させることができ、種々のサイズおよび組成のリンカーまたはスペーサーアームを通じて間接的に付着させることができる。商業的に入手可能なホスホルアミダイト試薬を用い、適切に保護されたホスホルアミダイトを介して5’または3’末端いずれかにおいて官能基(例えば、チオールまたは第一級アミン)を含有するオリゴヌクレオチドを生産することができ、例えば、Innis et al.(編)PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications,Elsevier Science & Technology Books(1990)(Innis)に記載されているプロトコルを用いてそのようなヌクレオチドを標識することができる。
実質的にいずれの核酸(標準または非標準、標識されたまたは標識されていない)を、The Midland Certified Regent Company(Midland,TX),Operon Technologies Inc.(Huntsville,AL),Proligo LLC(Boulder,CO)、および多くの他のもののような種々の商業的源のいずれかから慣用的または標準的に注文することができる。
標識
また、本発明は、本発明と組み合わせて用いる多数のプローブ、例えば、HCVタイピングプローブおよびHCV定量(TaqMan−タイプ)プローブを提供する。プローブとして、これらの分子は、典型的には、適当な標識を含む。標識、標識検出システムまたは標識検出および定量のための機器はとにかく制限されることを意図しない。当業者であれば、適切に標識されたポリヌクレオチドを生産するための広く種々の標識戦略および試薬に良く精通している。
標識は、別法として、または組み合わせて:(i)検出可能なシグナルを供することができ;(ii)第二の標識と相互作用して、前記第二の標識例えば、FRETによって供される検出可能なシグナルを修飾することができ;(iii)ハイブリダイゼーション、すなわち、デュプレックス形勢を安定化させることができ;(iv)捕獲機能、すなわち、疎水性親和性、抗体/抗原、イオン複合体化を付与することができ、または(v)電気泳動移動度、疎水性、親水性、溶解性、またはクロマトグラフィー挙動のような物理的特性を変化させることができる。標識は公知の標識、結合、連結基、試薬、反応条件、および分析および精製方法を使用する非常に多数の公知の技術のうちのいずれか1つを用いて達成することができる。標識は検出可能な蛍光、化学発光、または生物発光シグナルを発生させ、または消光する発光性または光吸収性化合物を含む(Kricka,L.in Nonisotopic DNA Probe Techniques(1992),Academic Press,San Diego,pp.3−28)。
実質的にいずれの標識部位も任意で利用して、当分野でよく知られた技術によってプローブおよび/またはプライマーを標識する。いくつかの実施形態において、例えば、標識は蛍光色素(例えば、ローダミン色素、例えば、R6G、R110、TAMRA、ROX等、米国特許第5、366、860号;第5、847、162号;第5、936、087号;第6、051、719号;第6、191、278号参照)、フルオレセイン色素(例えば、JOE、VIC、TET、HEX、FAM等;6−カルボキシフルオロセイン;2’,4’,1,4−テトラクロロフルオレセイン;および2’,4’,5’,7’,1,4−ヘキサクロロフルオロセイン;米国特許第5、188、934号;第6、008、379号;第6、020、481号)、ベンゾフェノキサジン(米国特許第6、140、500号)、ハロフルオロセイン色素、シアニン色素(例えば、CY3、CY3.5、CY5、CY5.5、CY7等、Kubistaによる公開された国際出願No.WO 97/45539参照)、BODIPY(登録商標)色素(例えば、FL、530/550、TR、TMR等)、ALEXA FLUOR(登録商標)色素(例えば、488、532、546、568、594、555、653、647、660、680等)、ジクロロローダミン色素、エネルギー移動色素(例えば、BIGDYE(商標)v1色素、BIGDYE(商標)v2色素、BIGDYE(商標)v3色素等)、Lucifer色素(例えば、Lucifer yellow等)、CASCADE BLUE(登録商標)、Oregon Green等を含む。蛍光色素のさらなる例は、例えば、Haugland,Molecular Probes Handbook of Fluorescent Probes and Research Products,第9版(2003)およびその最新版に供されている。蛍光色素は、一般に、例えば、Molecular Probes,Inc.(Eugene,OR)、Amersham Biosciences Corp.(Piscataway NJ),Applied Biosystems(Foster City,CA)等を含めた種々の商業的供給業者から容易に入手可能である。
FRET標識技術はリアルタイムアンプリコン定量に、および核酸プローブハイブリダイゼーションをモニターするために通常用いられる。いくつかの好ましい実施形態において、FRET標識系は本発明のプローブと共に用いられる。本発明はいずれかの特定のFRET対系に限定されることを意図しない。当業者であれば、本発明のプローブで用いることができる広い範囲のFRET標識を認識するであろう。ドナーおよびアクセプターの蛍光エネルギー−移動色素対は、例えば、米国特許第5、863、727号;第5、800、996号;第5、945、526号、ならびに検出可能なシグナルを発生させることができるいずれかの他の蛍光標識を含む。
蛍光色素が標識またはクエンチャーであるかは、一般には、その励起および発光スペクトル、およびそれが対合する蛍光色素によって規定される。プローブおよびプライマーにおいてクエンチャー部位として通常用いられる蛍光分子は、例えば、フルオロセイン、FAM、JOE、ローダミン、R6G、TAMRA、ROX、DABCYL、およびEDANSを含む。これらの化合物の多くは先に言及した商業的供給業者から入手することができる。蛍光色素から吸収されたエネルギーを消散する非蛍光または暗いクエンチャーの例はBlack Hole Quenchers(商標)またはBHQ(商標)を含み、これらはBiosearch Technologies,Inc.(Novato,CA,USA)から商業的に入手可能である。他のクエンチャーはIowa Blackクエンチャー(例えば、Iowa Black FQ(商標)およびIowa Black RQ(商標))およびEclipse(登録商標)ダーククエンチャー(Epoch Biosciences,Inc,Bothell,WA)を含む。
本明細書中に掲げる実施例は、FRETドナー部位で標識され、可溶性クエンチャーと組み合わせて用いられるHCVタイピングプローブを記載する。しかしながら、本発明はプローブ立体配置のそれらのタイプに制限されることを意図しない。例えば、本発明のHCVタイピングプローブはプローブの分子ビーコンタイプとすることができ、ここに、前記プローブが当分野で知られたようにドナーおよびクエンチャー部位を共に含む。別法として、本発明のHCVタイピングプローブはTaqManタイププローブとすることができ、ここに、前記プローブはドナーおよびクエンチャー部位を共に含む(しかし、介入ステム構造を必ずしも有さず、エキソヌクレアーゼ活性をもつポリメラーゼによって切断されない)。
別法として、本発明のドナー−標識HCVタイピングプローブは、可溶性クエンチャーの代わりにクエンチャー−標識アンカープローブと組み合わせて用いることができる。このシナリオにおいて、アンカープローブは、HCVタイピングプローブに直ぐに隣接した保存されたHCV領域にハイブリダイズするように設計され、ここに、アンカープローブは適当なクエンチャー部位で標識される。双方のプローブがそれらの各標的にハイブリダイズされると、FRETドナー消光が起こる。融解曲線分析の間の条件の間に、HCVタイピングプローブは、結局は、その標的配列から解離し、HCVアンプリコンに結合したアンカープローブのみが残り、その結果、ドナー蛍光が増加する。アンカープローブFRET系は当分野で知られており、例えば、Schroter et al.、(2002)Jour.Clin.Microbiol.、40(6):2046−2050に記載されている。
他の標識は、例えば、ビオチン、弱い蛍光標識(Yin et al.(2003)Appl Environ Microbiol.69(7):3938.Babendur et al.(2003)Anal.Biochem.317(1):1、およびJankowiak et al.(2003)Chem Res Toxicol.16(3):304)、非蛍光標識、比色標識、化学発光標識(Wilson et al.(2003)Analyst.128(5):480およびRoda et al.(2003)Luminescence 18(2):72,ラーマン標識、電気化学標識、生物発光標識(Kitayama et al.(2003)Photochem Photobiol.77(3):333,Arakawa et al.(2003)Anal.Biochem.314(2):206およびMaeda(2003)J.Pharm.Biomed.Anal.30(6):1725)、および、例えば、2003年11月21日に出願された米国特許出願第10/719、257号を含む。
標識のもう1つのクラスはデュプレックス、例えば、インターカレーター、従たる溝バインダー、および架橋官能基を増強し、安定化し、または影響するハイブリダイゼーション−安定化部位である(Blackburn,G.and Gait,M.編,「DNA and RNA structure」 in Nucleic Acids in Chemistry and Biology,2.sup.nd Edition,(1996)Oxford University Press,pp.15−81)。
標識のさらにもう1つのクラスは特異的または非特異的捕獲による分子、例えば、ビオチン、ジゴキシゲニン、および他のハプテンの分離または固定化に影響する(Andrus、「Chemical methods for 5’non−isotopic labelling of PCR probes and primers」(1995)in PCR2:A Practical Approach,Oxford University Press,Oxford,pp.39−54)。
非放射性標識方法、技術、および試薬は、Non−Radioactive Labelling,A Practical Introduction,Garman,A.J.(1997)Academic Press,San Diegoにレビューされている。
いくつかの実施形態において、本発明で用いられる2つのタイプのプローブ、すなわち、HCVタイピングプローブおよびHCV定量プローブは同一標識、例えば、フルオレセイン標識を用いる。これは種々の利点を提供する。というのは、HCV定量アッセイおよびHCVタイピングアッセイは同一ディテクター、例えば、蛍光分光光度計で読むことができるからである。しかしながら、本発明はそのタイプの立体配置に制限されることを意図しない。例えば、2つの異なるプローブは、同一ではない発光スペクトル(または蛍光および非蛍光標識系のような異なる標識系さえを)有する2つの異なる蛍光標識を用いることができる。
可溶性クエンチャー技術の使用
いくつかの実施形態において、FRET標識系は、本発明のプローブ、例えば、TaqMan−タイプのプローブおよびHCV定量プローブと共に用いられる。しかしながら、本発明はFRETドナー/クエンチャー系の使用に制限されることを意図しない。事実、FRET系は、単に、本発明に用途を見出す可能なエネルギー移動系のサブセットであり(例えば、非蛍光エネルギー移動系は当分野で知られている)、本発明はいずれかの特定のFREに制限されない。いくつかの実施形態において、可溶性クエンチャーを用いるFRET系が利用される。
本明細書中で用いるように、表現「可溶性アクセプター」または「可溶性クエンチャー」などとは、いずれかの他の分子に付着させず、かつかなり可溶性であるか、またはそうでなければいずれかの他の分子または固相に結合されないアクセプター部位をいう。いくつかの実施形態において、可溶性クエンチャーはFRET対の一部であり得、ここに、可溶性クエンチャーはFRETクエンチャーであって、機能的FRET対においてFRETドナーと相互作用することができる。例えば、臭化エチジウムおよびいくつかのチアジン色素、例えば、メチレンブルー、アズールA、アズールB、アズールC、チオニン、およびニューメチレンブルーを可溶性クエンチャーとして用いることができる。
チアジン色素可溶性クエンチャーは、二本鎖核酸に結合することによって作用するが、一本鎖核酸に対する低下した親和性を有する。いずれかの特定の理論に拘束されるつもりはないが、支配的な結合態様はインターカレーションを介するものであるが、配列の関係およびハイブリダイゼーション条件に応じて、従たるおよび主たる溝結合も可能であると考えられている(Rohs et al.(2000)J.Am.Chem.Soc.,122:2860−2866;およびTuite et al.(1994)J.Am.Chem.Soc.,116:7548−7556参照)。従って、標的ポリヌクレオチドとでハイブリダイゼーション複合体を形成するプローブに結合した蛍光ドナー標識は、プローブ上のドナー部位に対するクエンチャーの近接性により二本鎖核酸に対する親和性を有する可溶性クエンチャーをインターカレーティングすることによって、消光効果に従う。もしハイブリダイゼーション複合体を含有する溶液が(融解曲線分析におけるように)加熱されれば、プローブは、結局は、標的ポリヌクレオチドから解離され、それにより、核酸に対するクエンチャーの親和性を低下させ、その結果、プローブドナーに対する可溶性クエンチャーの近接性が低下し、ドナーからの蛍光が増加する。従って、反応におけるハイブリダイゼーション複合体の形成/解離は、可溶性FRETクエンチャーを有するFRET系の使用によってモニターすることができる。
特定のHCVタイピング反応で用いられる可溶性クエンチャーの濃度は制限されず、効果的な濃度の範囲は当業者に明らかであろう。例えば、チアジン色素可溶性クエンチャーを用いる場合、いくつかの実施形態において、5μg/mLおよび100μg/mLによって規定され、それを含む範囲が考えられる。いくつかの実施形態において、好ましい範囲は10〜50μg/mLであり、あるいは10〜25μg/mLである。別法として、依然として、チアジン色素可溶性クエンチャーの25μg/mLの濃度が用いられる。
閉じた系対開いた系のタイピングアッセイ
また、本発明は、HCVタイピングのための方法を提供し、また、同時HCVタイピングおよびHCV定量のための方法を提供する。ある実施形態において、HCVタイピングおよびHCVタイピング/定量のための反応は「閉じたチューブ」システムである(実施例3および5参照)。
閉じたチューブシステムにおいては、各工程で必要な全ての試薬は分析の開始からチューブに存在させる。対照的に、「開いたチューブ」システムはHCVタイピング分析の開始後における試薬またはさらなる成分の添加を必要とする。閉じたチューブシステムは開いたチューブシステムよりもある種の利点を有する。というのは、閉じたチューブのシステムはオペレーターの介入の必要性を低下させ、かなり平行した迅速なスループットを可能とするからである。また、閉じたチューブシステムは「キット」のような商業的適用ではかなり好ましい。というのは、キットの使用者に供される指令書はより簡単であり、より少数の工程を含み、かつ前記方法は、ユーザー−エラーまたは汚染が導入されかねない可能な機会がより少ないからである。幾つかの状況において、開いたチューブシステムは、例えば、不適合試薬の使用を可能とするのに有利であり得る。
例えば、本発明の幾つかの好ましい実施形態において、HCVタイピングおよびHCV定量同時分析は閉じたチューブシステムとして実行される。そのようなシステムにおいては、反応チューブ(または反応ウェルまたはチャンバー)は、開始から、例えば、HCVアンプリコンを生じさせるためのユニバーサルRT−PCRプライマー、RT活性を有するDNAポリメラーゼ、デオキシリボヌクレオチド、HCVアンプリコン定量のためのTaqMan(登録商標)−タイプのプローブ、可溶性HCVタイピングプローブ(任意で、ここに、前記プローブは適当なFRET成分で標識されている)、および可溶性FRETクエンチャーを含むであろう。これらの試薬をチューブに入れて、反応は、HCVアンプリコン生産、HCVアンプリコン蓄積のリアルタイムモニタリング、およびHCVタイプ同定のためのHCV融解曲線Tm分析に必要な全ての成分を有する。
キットおよび製品
本発明は製品、例えば、キット、特に、診断キットおよびHCVゲノタイピングのためのキットを提供する。これらのキットは、本明細書中に記載された方法を用い、HCV感染のタイピングに必要な材料を提供する。これらのキットは、ウイルスのタイプ(例えば、遺伝子型またはサブタイプ)に基づいて種々の処置に対する特定のHCV感染の応答性を予測するのに診療所においてHCVタイピング情報を用いることができる臨床家のために用途を見出す。本発明は、本発明の方法、例えば、試料中のHCVをタイピングするための方法を提供する。これらの方法を行うための材料および試薬は、本発明の実行を容易とするためにキットに供することができる。
いくつかの実施形態において、キットは診断キットであり、ここに、前記キットにより可能とされた方法を実行することから得られた情報を用いて、患者から採取された試料におけるHCV感染のタイプを同定する。
ある実施形態において、本発明は、本明細書中に記載されたような、RT−PCRを使用する「閉じたチューブ」HCVゲノタイピングに適したキットを提供する。他の実施形態において、本発明は、HCV定量と共にRT−PCRを使用する閉じたチューブのHCVタイピングに適したキットを提供する。
本発明のキットは、本明細書中に記載された方法で用いる合成オリゴヌクレオチドのいずれかまたは全てを提供することができる。例えば、前記キットは、HCV RNA分子からの逆転写の起点となって、HCV cDNAを生じさせるのに適したオリゴヌクレオチドプライマーを提供することができる。前記キットは、HCVゲノムのいずれかの適当な部分、例えば、5’−UTRドメイン中の配列の増幅に適した増幅プライマーを提供することができる。本発明は、本発明のキットに含めることができる適当なHCV増幅プライマーを提供する。本発明は本明細書中に引用されたプライマーに制限されないと理解される。というのは、いずれの他の適当な増幅プライマーもまた用途を見出すだろうからである。
本発明のキットは、HCVタイピング融解曲線分析に適したオリゴヌクレオチドプローブを含めることができる。本発明は、多数の適当なプローブ、例えば、図6に提供される機能的プローブを提供する。しかしながら、本発明のキットは図6に提供された機能的プローブに制限されないのは理解される。というのは、本発明はさらなる適当なプローブの同定および合成のためのガイダンスを供するからである。本発明のキットで提供されたプローブは標識することができ、または未標識とすることができる。任意で、本発明のキットで提供されたHCVタイピングプローブは、当分野で知られているように、適当なFRETドナー部位で標識することができる。任意で、本発明のキットで提供されたHCVタイピングドナーは、ドナーおよびクエンチャー部位を共に含むTaqMan−タイププローブであり得る(この場合、可溶性クエンチャーは必要ではないであろう)。任意で、本発明のキットは適当な可溶性クエンチャー、例えば、ニューメチレンブルーのようなチアジン色素を含むことができる。任意で、いずれかの適当なFRET対系が本発明のキットで提供され得る。
いくつかの実施形態において、本発明のキットは、HCVアンプリコン定量に適したオリゴヌクレオチドプローブ、例えば、HCVアンプリコン内に位置したHCV塩基配列に特異的なTaqMan−タイプのプローブを含むことができる。例えば、本発明は配列番号41のHCVプローブを提供する。しかしながら、本発明のキットはこの1つの定量プローブに制限されないと理解される。というのは、当業者であれば、本発明(および本発明のキット)がいずれかの適当な定量プローブを含むことができるのを認識するだろうからである。
加えて、本発明のキットは、例えば、限定されるものではないが、試料収集および/または試料増幅(例えば、血液試料からのRNAの単離)のための装置および試薬、試料チューブ、ホールダー、トレイ、ラック、皿、プレート、キットユーザーに対する指令書、溶液、緩衝液または他の化学試薬、標準化、正規化のために用いられる適当な試料、および/または対照試料(例えば、陽性対照、陰性対照またはキャリブレーション対照)を含むこともできる。本発明のキットは、例えば、蓋を有する容器中にて便宜な貯蔵および出荷のためにパッケージングすることもできる。キットの成分はキット内の1つ以上の容器中で供することができ、成分は別々の容器中にパッケージすることができるか、あるいはいずれかの様式で組合すことができる。いくつかの実施形態において、本発明のキットは、適当な蛍光分光光度計で読むことができるマルチウェルプレートのような、複数試料の高スループット分析を容易とするための材料を提供することができる。
本発明の検出/相関システム
いくつかの実施形態において、本発明は、シグナルの検出をC型肝炎ウイルスタイプに相関させるための一体的システムを提供する。前記システムは収集されたデータを解釈し、分析するための機器および手段を含むことができ、特に、ここに、HCVタイプを誘導する手段はアルゴリズムおよび/または電子的に貯蔵された情報(例えば、収集された蛍光データ、所定のHCVタイプ相関など)を含む。一体化されたシステムの各部分は機能的に相互連結しており、ある場合には、物理的に結合している。いくつかの実施形態において、一体化されたシステムは自動化され、そこでは、HCVタイピング分析の開始後にオペレーターによる試料または機器のいずれの操作についても要件はない。
本発明のシステムは機器を含むことができる。例えば、本発明は蛍光ディテクター(例えば、蛍光分光光度計)のようなディテクターを含むことができる。ディテクターまたは複数ディテクターは本発明と組み合わせて用いて、例えば、(Tmを測定している場合の融解曲線分析の間における)HCVタイピングプローブとHCV標的アンプリコンとのハイブリダイゼーションをモニターし/測定し、任意で、(例えば、TaqMan−タイプのプローブでの)HCV定量の間にHCVアンプリコンの蓄積を測定することができる。ディテクターは、HCVタイピングアッセイの高スループット能力を容易とするためのマルチウェルプレートリーダーの形態とすることができる。
いくつかの実施形態において、一体化されたシステムは、例えば、RT−PCR反応の相の間に、またはTmが測定されるべき場合の融解分析の間に、反応の温度を制御する目的で、サーマルサイクリングデバイス、またはサーモサイクラーを含む。いくつかの実施形態において、サーマルサイクリングデバイスおよびディテクターは一体化された機器であり、ここに、サーマルサイクリングおよび発光検出(例えば、蛍光検出)は同一デバイスで行われる。
分光光度計操作パラメーター(例えば、励起の波長および/または検出された発光の波長)を収集し、および/またはディテクターから収集されたデータ(例えば、融解曲線分析の間の蛍光測定)を貯蔵するために、ディテクター、例えば、蛍光分光光度計をコンピューターに連結することができる。前記コンピューターはサーマルサイクリングデバイスに作用可能式に連結して、システムにおける温度、タイミング、および/または温度変化の速度を制御することもできる。一体化されたコンピューターは「相関モジュール」を含むこともでき、ここでは、ディテクターから収集されたデータを分析し、試料のHCVタイプを(電子的に)決定する。いくつかの実施形態において、相関モジュールは、ディテクターからの蛍光の予備に基づいてTmを計算し、さらに、蛍光およびTmのデータに基づいて未知の試料のHCVタイプを誘導するコンピュータープログラムを含む。いくつかの実施形態において、相関モジュールは未知の試料のハイブリダイゼーション特性(例えば、Tm)を、既知のHCVタイプについての値のデータベース(またはテーブル)と比較して、未知の試料のハイブリダイゼーション特性および未知の試料のHCVタイプの間の相関を行う。
いくつかの実施形態において、システムにおける相関モジュールはHCVのタイプを決定し、そこでは、タイプは5つの遺伝子型の1つ、または6つのサブタイプの1つから選択される。相関モジュールは、特徴の中でも、既知のHCVタイプを含むハイブリダイゼーション複合体のハイブリダイゼーション特性についての実験的に予め決定された値を含むことができ、あるいは相関モジュールは既知のHCVタイプを含むハイブリダイゼーション複合体のハイブリダイゼーション特性についての予測された値を含むことができる。別法として、相関モジュールは、未知のタイプのHCVに関する実験試料と同時に得られた既知のHCVタイプを含むハイブリダイゼーション複合体のハイブリダイゼーション特性についての実験的に決定された値に依拠することができる。
適当な相関モジュールおよび適当なプローブでもって、本発明のシステムはタイプを試料中のHCVに帰属させ、ここに、前記タイプは5を超える遺伝子型から、好ましくは、11つ以上もっと多くの遺伝子型から選択される。例えば、用いる機器に依存して、特定のハイブリダイゼーション複合体のTmは可変程度の精度でもって決定することができる。例えば、1つの製造業者からのいくつかのTm装置(組み合わせたサーマルサイクリング装置およびカップリングされた蛍光分光光度計は±1.0℃の精度を有することができ、他方、異なる製造業者からの第二の装置は±0.1℃の精度を有することができる。より感度の良い装置の使用は、もしTm値が一緒に近くでクラスターとなっていれば、多数のHCVタイプの識別を可能とする。同様に、適当な感度の装置を用い、試料中のHCVのタイプを決定することができる潜在能力があり、ここに、78以上と多くの既知のHCVサブタイプがあるので、タイプは6をはるかに超えるサブタイプに帰属させることができる。
本発明のシステムは、ハイブリダイゼーション複合体の唯一の識別ハイブリダイゼーション特性としてのTmの使用に制限されない。例えば、HMA(ヘテロデュプレックス移動度分析)、DHPLC(変性HPLC)、CFLP(切断断片長多形)、TGCE(熱的グラジエント毛細管電気泳動);SURVEYOR(商標)ヌクレアーゼ突然変異検出キット、およびSSCP(一本鎖立体配座多形)は、全て、異なる特性を持つハイブリダイゼーション複合体を識別するのに用いることができ、従って、1つ以上のタイプ命名をHCV試料に帰属させるのに用いることができる。
本発明の典型的なシステムは1つ以上のHCVタイピングプローブ(例えば、図6で提供された機能的プローブ参照)、1つ以上のHCV定量プローブ(例えば、配列番号41の定量プローブ)、HCV増幅に適したプライマー、(一体化されたサーマルサイクリング機器の有りまたは無しにて)適当なディテクター、相関モジュールを備えたコンピューター、およびシステムユーザーのための(電子的または印刷された)指令書を含むことができる。典型的には、前記システムは、HCVタイピングプローブおよび/またはHCV定量プローブの組からの1つ以上のシグナル出力を検出するように配置されたディテクターを含む。いくつかの実施形態において、HCVタイピングプローブおよびHCV定量プローブは同一シグナル出力を有し(従って、同一ディテクターを用いることができる)。いくつかの実施形態において、前記システムは、さらに、HCVタイピングまたはHCVタイピング/定量分析で用いる試薬を含有することができる。これらは、限定されるものではないが、RT活性を持つDNAポリメラーゼ、適当な緩衝液、汚染制御試薬(例えば、dUTPおよび/またはUNGヌクレアーゼ)、安定化剤、dNTP、可溶性クエンチャーなどの1つ以上を含むことができる。キットは、本発明の1つ以上のシステムと組み合わせて操作するように供給することができる。
光電子増倍管、分光光度計、CCDアレイ、スキャンニングディテクター、フォトチューブおよびフォトダイオード、顕微鏡ステーション、ガルボ−スキャン、ミクロ流体核酸増幅検出アプライアンスなどを含めた、広く種々のシグナル検出装置が入手可能である。ディテクターの正確な立体配置は、部分的には、HCVタイピングおよび/または定量プローブと共に使用される標識のタイプに依存するであろう。蛍光、リン光、放射能、pH、電荷、吸光度、ルミネセンス、温度、磁性などを検出するディテクターを用いることができる。典型的なディテクターの実施形態は光(例えば、蛍光)ディテクターまたは放射能ディテクターを含む。例えば、光発光(例えば、蛍光発光)または他のプローブ標識はマーカー対立遺伝子の存在または非存在の指標である。蛍光検出は、通常、増幅された核酸の検出で用いられる(しかしながら、上流および/または下流操作をアンプリコンで行うこともでき、これは他の検出方法を含むこともできる)。一般に、ディテクターはプローブ標識からの1つ以上の(例えば、光)発光を検出する。
ディテクターは、任意で、増幅反応からの1つまたは複数のシグナルをモニターする。例えば、ディテクターは、HCV定量(TaqMan−タイプ)プローブに関するように、「リアルタイム」増幅アッセイ結果に対応する光学シグナルをモニターすることができる。
検出されたシグナルをHCVタイプ(例えば、遺伝子型またはサブタイプ)に相関させるシステム指令書もまた本発明の特徴である。例えば、指令書は、検出されたシグナルおよびHCVタイプの間の相関を含む少なくとも1つの早見表を含むことができる。指令書の正確な形態は、システムの構成要素に依存して変化することができ、例えば、指令書はシステムの1つ以上の一体化されたユニット(例えば、マイクロプロセッサー、コンピューターまたはコンピューターリーダブル媒体)におけるシステムソフトウェアとして存在させることができ、あるいはディテクターに作用可能式にカップリングされた1つ以上のユニット(例えば、コンピューターまたはコンピューターリーダブル媒体)にて存在させることができる。前記したように、1つの典型的な実施形態において、システム指令書は検出されたシグナルおよびHCVタイプの間の相関を含む少なくとも1つの早見表を含む。指令書は、典型的には、例えば、ユーザーが試料分析の結果を見ることができ、パラメーターをシステムに入力することができるようにするために、ユーザーインターフェースにシステムを供給する指示書も含む。
システムは、典型的には、例えば、自動システムにおいて、本発明の方法によって検出されたコンピューターリーダブルデータを貯蔵しまたは伝達するための構成要素を含む。コンピューターリーダブル媒体は、コンピューターコードの貯蔵のための、キャッシュメモリー、メインメモリーおよび貯蔵メモリーおよび/または他の電子データ貯蔵構成要素(ハードドライブ、フロッピー(登録商標)ドライブ、貯蔵ドライブなど)を含むことができる。本発明の方法によってHCVタイプを表すデータもまた、イントラネットまたはインターネットまたはその組合せのようなネットワークにわたる伝達媒体に具体化されたコンピューターデータシグナルにて電子的に、光学的にまたは磁気的に伝達することができる。前記システムは、別法として、ワイアレス、IR、または他の利用可能な伝達代替物を介してデータを伝達することもできる。
操作の間に、システムは、典型的には、患者からの血液または血液産物のような、分析すべき試料を含む。試料を含む材料を単離し、または部分的に精製し、または精製することができる。いくつかの態様において、試料材料はRNA、ポリA RNA、cRNA、全RNA、cDNA、増幅されたcDNAなどを含む。
本発明の関係でフレーズ「相関させるシステム」とは、コンピューターにエンターされるデータがコンピューターに対して外部である物体またはプロセスまたは特性、例えば、C型肝炎ウイルス、およびコンピューター内で入力シグナルの異なる出力シグナルへの変換を引き起こすプロセスに対応するシステムをいう。換言すれば、入力データ、例えば、TM融解曲線からの蛍光読みは出力データ、例えば、遺伝子型またはサブタイプのようなHCVタイプに変換される。コンピューター内のプロセスは、指令の組、またはそれにより陽性増幅またはハイブリダイゼーションシグナルが一体化されたシステムによって認識され、HCVタイプとして個々の試料に帰属される「プログラム」である。さらなるプログラムは個々の試料の同一性を表現型値、例えば、統計学的方法に相関させる。加えて、計算するための多数のプログラム、例えば、GUIインターフェースのためのC/C++、Delphiおよび/またはJava(登録商標)プログラム、および関連HCVタイピングまたはHCV定量相関のチャーティングまたは創製早見表のための生産性ツール(例えば、Microsoft Excelおよび/またはSigmaPlot)がある。本発明の一体化されたシステムの関係での他の有用なソフトウェアツールはSAS、Genstat、Matlab、Mathematica、およびS−Plusのような統計学的パッケージ、およびQU−GENEのような遺伝子モデリングパッケージを含む。さらに、Visual Basicのようなさらなるプログラミング言語もまた本発明の一体化されたシステムで適切に使用される。
例えば、特定のHCVタイプに帰属されたHCVタイピングプローブTm値はコンピューターリーダブル媒体に記録することができ、それにより、TmをユニークなHCVタイプ(またはHCVタイプのサブセット)に対応させるデータを確立することができる。コンピューターリーダブル媒体にデータを記録するのに適した、いずれのファイルまたはホールダーも、カスタムメイドまたは(例えば、OracleまたはSybaseから)商業的に入手可能であるかを問わず、本発明の関係でデータベースとして許容することができる。本明細書中に記載されたHCVタイプ分析に関するデータは、同様に、コンピューターアクセシブルデータベースに記録することができる。任意で、HCVタイプを決定するのに用いられるアッセイ(または複数アッセイ)の1つ以上の態様を自動化する一体化されたシステムを用い、HCVタイピングデータを得ることができる。そのようなシステムにおいて、HCVタイプに対応する入力データをディテクター、例えば、アレイ、スキャナー、CCD、または他の検出デバイスから、中央プロセッシングユニットに接近可能なコンピューターリーダブル媒体中のファイルに直接リレーすることができる。次いで、TmおよびHCVタイプの間の相関をコードする(典型的には、1つ以上のプログラムに埋められた)システム指令の組を計算デバイスによって実行して、TmおよびHCVタイプの間の相関を同定することができる。
典型的には、システムは、例えば、ファイルを選択し、データを検索し、Tm値などのテーブルをレビューするためのキーボード、マウス、タッチスクリーンなどのようなユーザー入力デバイス、および統計学的分析の成果を考慮し、または回収するための出力デバイス(例えば、モニター、プリンターなど)を含むこともできる。
従って、1つの態様において、本発明は、所定のまたは実験的Tm値に対応する少なくとも1つのデータ組と共にファイルの組および/またはデータベースを含むコンピューターまたはコンピューターリーダブル媒体を含む一体化されたシステムを提供する。前記システムは、ユーザーが1つ以上のこれらのデータベースを選択的に考慮するのを可能とするユーザーインターフェースも含む。加えて、ワードプロセッシングソフトウェア(例えば、Microsoft Word(商標)またはCorel WordPerfect(商標))およびデータベースまたはスプレッドシートソフトウェア(例えば、Microsoft Excel(商標)、Corel Quattro Pro(商標)のようなスプレッドシートソフトウェア、またはMicrosoft Access(商標)またはParadox(商標)のようなデータベースプログラム)のような標準テキスト操作ソフトウェアをユーザーインターフェース(例えば、Windows(登録商標)、Macintosh(登録商標),Unix(登録商標)またはLinux(登録商標)システムのような標準操作システムにおけるGUI)と組み合わせて用いて、対立遺伝子に対応する性質のストリング、またはデータベースの他の特徴を操作することができる。
前記システムは、任意で、例えば、ロボットデバイスを取り込む試料操作用の構成要素を含む。例えば、源から目的地へ、例えば、マイクロタイタープレートからアレイ基剤へ溶液(例えば、試料)を移すためのロボット液体制御アーマチャーを、任意で、デジタルコンピューターに(または一体化されたシステム中のさらなるコンピューター)に連結させる。データをデジタルコンピューターにエンターして、ロボット液体制御アーマチャーによる高スループット液体移動を制御しおよび、任意で、アーマチャーによる固体支持体への移動を制御するための入力デバイスは一体化されたシステムの特徴であり得る。多くのそのような自動ロボット流体取り扱いシステムは商業的に入手可能である。例えば、典型的には、例えば、ロボティクスおよび流体取り扱いモジュールを含む種々のZymateシステムを利用する種々の自動システムがCaliper Technologies(Hopkinton,MA)から入手できる。同様に、例えば、マイクロタイタートレイ操作のための種々の実験室的システムで用いられる通常のORCA(登録商標)ロボットもまた、例えば、Beckman Coulter,Inc.(Fullerton,CA)から商業的に入手可能である。慣用的なロボティクスに対する代替物として、流体取り扱いおよび検出を行うためのミクロ流体システムが、今日、例えば、Caliper Technologies Corp.(Hopkinton,MA)およびAgilent Technologies(Palo Alto,CA)から広く入手可能である。
従って、本発明のHCVタイピングのためのシステムは、高スループット液体制御ソフトウェア、サーモサイクラー制御ソフトウェア、マーカーラベルからのデータを分析するためのイメージ分析ソフトウェア、データ解釈ソフトウェア、デジタルコンピューターに作用可能式に連結された目的地へ源から溶液を移動させるためのロボット液体制御アーマチャー、データをデジタルコンピューターにエンターして、ロボット液体制御アーマチャーによる高スループット液体移動を制御するための入力デバイス(例えば、コンピューターキーワード)および、任意で、標識されたプローブからの標識シグナルをデジタル化するためのイメージスキャナーの1つ以上を備えたデジタルコンピューターを含むことができる。イメージスキャナーはイメージ分析ソフトウェアとインターフェースして、HCV増幅の間に、またはHCV融解曲線分析の間に、例えば、核酸プローブ標識強度の測定を供し、ここに、プローブ標識強度測定をデータ解釈ソフトウェアによって解釈して、標識プローブが標的にハイブリダイズするか、およびそのハイブリダイズする程度を示す。次いで、そのように誘導されたデータを試料強度と相関させて、特定の試料中のHCVタイプを決定し、任意で、試料中のHCVの負荷(例えば、濃度)を決定する。
まとめると、本発明は、従って、もし存在すれば、試料(例えば、ヒト血液またはヒト血清)中のC型肝炎ウイルス(HCV)のタイプを決定するための方法に指向され、前記方法はa)試料からのHCVゲノムの部分を増幅し、それにより、少なくとも1つのアンプリコンを生じさせ;b)アンプリコンを第一のプローブとハイブリダイズさせて、標的ハイブリダイゼーション複合体を形成し、ここに:i)第一のプローブはHCVゲノム内のヌクレオチド配列に対して相補的であるか、または部分的に相補的であり;ii)HCVゲノム内のヌクレオチド配列は少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCVサブタイプ内で配列不均一性を示し;および、iii)第一のプローブ、および少なくとも5つのHCV遺伝子型、または少なくとも6つのHCVサブタイプのヌクレオチド配列を含むハイブリダイゼーション複合体は、HCV遺伝子型またはHCVサブタイプの各々を識別する識別ハイブリダイゼーション特性を有し;c)標的ハイブリダイゼーション複合体の識別ハイブリダイゼーション特性を測定し、次いで、d)標的ハイブリダイゼーション複合体の識別ハイブリダイゼーション特性に基づいて、標的ハイブリダイゼーション複合体の測定された識別ハイブリダイゼーション特性をHCV遺伝子型またはサブタイプと相関させることを含む。
前記本発明の方法の好ましい実施形態では、第一のプローブは配列番号8〜27から選択される核酸配列を含み、および/または第一のプローブは増幅工程の間に存在し、あるいは別法として、増幅工程の後に加える。さらに、第一のプローブのヌクレオチド配列は、HCVゲノムの5’−UTRまたはNS5領域内のヌクレオチド配列に対して相補的であるか、あるいは部分的に相補的であるのが好ましい。第一のプローブは、好ましくは、FRETドナー、FRETクエンチャー、または双方を含む。第一のプローブはFRETドナー部位を含み、ハイブリダイジング工程が第一のプローブを可溶性FRETクエンチャーと混合することを含むのがさらに好ましい。可溶性FRETクエンチャーは、例えば、チアジン色素である。
HCV遺伝子型は、特に、遺伝子型1、2、3、4、5および6から選択され,HCVサブタイプは遺伝子型1、2、3、4、5および6のいずれかのサブタイプから、あるいは1a、1b、1c、2a、2b、2c、3a、4a、5aおよび6aから選択される。増幅の工程は、例えば、逆転写およびポリメラーゼ鎖反応(RT−PCR)によって行われる。好ましくは、PCRは、配列番号39および40のヌクレオチド配列を含むプライマー対を用いる。
識別ハイブリダイゼーション特性は、通常、HCVのタイプを決定するための前記方法においては温度依存性ハイブリダイゼーション特性(例えば、融解温度(Tm))である。本発明の前記方法の測定工程は、ある範囲の温度において標的ハイブリダイゼーション複合体を検出し、それにより、標的ハイブリダイゼーション複合体のTmを決定することを含む。本発明の方法の相関工程は、標的ハイブリダイゼーション複合体の識別ハイブリダイゼーション特性を、第一のプローブ、および少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCVサブタイプの各々を含むハイブリダイゼーション複合体の識別ハイブリダイゼーション特性についての先に決定された値と比較することを含む。本発明の前記方法は、さらに、増幅工程の間におけるアンプリコンの蓄積の速度をモニターし、次いで、アンプリコン蓄積の速度をウイルス負荷と相関させることによって、試料中のHCVのウイルス負荷を決定することを含む。前記モニタリング工程は、好ましくは、アンプリコン定量プローブを用いて行われる。アンプリコン定量プローブは配列番号41および/またはFRETドナー部位およびFRETクエンチャー部位のヌクレオチド配列を含むのがさらに好ましい。そのような場合、増幅工程は、増幅工程の間にFRETドナー部位によって発せられたシグナルを検出することを含む。
本発明のもう1つの実施形態は、試料(例えば、ヒト血液またはヒト血清)中のC型肝炎ウイルス(HCV)のタイプを決定するための方法であり、前記方法は、a)HCVに由来する核酸を第一のプローブとハイブリダイズさせて、標的ハイブリダイゼーション複合体を形成し、ここに:i)前記第一のプローブはHCVゲノム内のヌクレオチド配列に対して相補的であるか、あるいは部分的に相補的であり;ii)HCVゲノム内のヌクレオチド配列は、少なくとも5つのHCVゲノムまたは少なくとも6つのHCVサブタイプ内で配列不均一性を示し;および、iii)第一のプローブ、および少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCVサブタイプのヌクレオチド配列を含むハイブリダイゼーション複合体は、HCV遺伝子型またはサブタイプの各々を識別する識別ハイブリダイゼーション特性を有し;b)標的ハイブリダイゼーション複合体の識別ハイブリダイゼーション特性を測定し;次いで、c)標的ハイブリダイゼーション複合体の識別ハイブリダイゼーション特性に基づいて、標的ハイブリダイゼーション複合体の測定された識別ハイブリダイゼーション特性をC型肝炎ウイルスのタイプと相関させることを含む。前記方法の1つの好ましい実施形態では、第一のプローブは配列番号8〜27から選択される核酸配列を含む。
本発明のもう1つの主題は、C型肝炎ウイルス(HCV)ゲノム内のヌクレオチド配列に対して相補的であるか、または部分的に相補的であるヌクレオチド配列を含むプローブを含む組成物であり、ここに、プローブの領域の相補性または部分的相補性は少なくとも5つのHCVゲノムまたは少なくとも6つのHCVサブタイプ内で配列不均一性を示し;およびここに、プローブ、およびHCV遺伝子型またはサブタイプの各々を含むハイブリダイゼーション複合体は、遺伝子型またはサブタイプの各々を識別する識別ハイブリダイゼーション特性を有する。前記組成物のプローブは、好ましくは、配列番号8〜27から選択される核酸配列を含む。識別ハイブリダイゼーション特性は融解温度(Tm)である。好ましい組成物は逆転写酵素、およびHCVゲノムの逆転写の開始に適したプライマーを含む。
さらに好ましい組成物は、a)プローブ中のヌクレオチド配列に対して相補的であるか、または部分的に相補的であるヌクレオチド配列を含むHCVアンプリコン;b)HCVアンプリコンを生じさせることができる増幅プライマー;またはc)HCVアンプリコンを生じさせることができる増幅プライマー対のいずれかである核酸を含み;ここに、プライマーおよびプライマー対は熱安定性DNA依存性DNAポリメラーゼ、遊離デオキシリボヌクレオチド三リン酸および適当なDNAポリメラーゼ反応緩衝液と混合される。もう1つのさらに好ましい組成物はa)C型肝炎ウイルス(HCV)ゲノム内のヌクレオチドに対して相補的であるか、または部分的に相補的であるFRETドナー部位を持つプローブ、ここに、プローブの領域の相補性または部分的相補性は少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCVサブタイプの間で配列不均一性を示し;およびここに、プローブおよび複数のHCV遺伝子型またはサブタイプを含むハイブリダイゼーション複合体は少なくとも2つのHCV遺伝子型または少なくとも2つのHCVサブタイプを識別する識別ハイブリダイゼーション特性を有し;およびb)チアジン色素を含む可溶性RFETクエンチャー、ここに、FRETクエンチャーはFRETドナー部位を消光することができる;を含む。後者の組成物のプローブは、例えば、配列番号8〜27から選択される核酸配列を含む。識別ハイブリダイゼーション特性は、好ましくは、融解温度(Tm)である。
前記組成物は、逆転写酵素、およびHCVゲノムの逆転写の開始に適したプライマーを含むことによってさらに修飾することができよう。本発明によると、前記組成物の好ましい実施形態はc)i)プローブ中のヌクレオチド配列に対して相補的であるか、または部分的に相補的であるヌクレオチド配列を含むHCVアンプリコン;ii)HCVアンプリコンを生じさせることができる増幅プライマー;またはiii)HCVアンプリコンを生じさせることができる増幅プライマー対のいずれかである核酸を含み;ここに、プライマーおよびプライマー組が熱安定性DNA依存性DNAポリメラーゼ、遊離デオキシリボヌクレオチド三リン酸および適当なDNAポリメラーゼ反応緩衝液と混合される。
本発明は、さらに、a)HCVゲノム内のヌクレオチド配列に対して相補的であるか、または部分的に相補的である少なくとも1つの標的プローブ、ここに、標的プローブの領域の相補性または部分的相補性は少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCVサブタイプの各々の間で配列不均一性を示し、および標的プローブ、およびHCV遺伝子型またはサブタイプの各々を含むハイブリダイゼーション複合体は異なる識別ハイブリダイゼーション特性を有し;およびb)標的プローブを含むハイブリダイゼーション複合体の識別ハイブリダイゼーション特性を測定するための指令書を含む、試料(例えば、ヒト血液またはヒト血清)中のC型肝炎ウイルス(HCV)のタイプを決定するための診断キットに指向される。前記キットの標的プローブは、好ましくは、配列番号8〜27から選択される核酸配列を含む。前記診断キットは、さらにc)HCVアンプリコンを生じさせることができる増幅プライマー対、ここに、前記アンプリコンは標的プローブ中のヌクレオチド配列に対して相補的であるか、または部分的に相補的であるヌクレオチド配列を含み;およびd)アンプリコン定量プローブを含む。前記キットの増幅プライマー対は、好ましくは、配列番号39および40のプライマーを含む。前記キットのもう1つの好ましい実施形態は、アンプリコン定量プローブが配列番号41のヌクレオチド配列を含むものである。前記キットの1つ以上の構成要素は1つ以上の容器にパッケージされるであろう。前記キットの標的プローブは、好ましくは、FRET標識部位を含み、ここに、前記キットはチアジン色素を含む可溶性FRETクエンチャーを含む。診断キットは、さらに、逆転写酵素、C型肝炎ウイルスゲノムからの逆転写酵素開始に適した少なくとも1つのプライマー、熱安定性DNA依存性DNAポリメラーゼ、遊離デオキシリボヌクレオチド三リン酸、標準化試料、陽性対照試料、陰性対照試料、酵素反応に適した緩衝液、試料収集チューブ、増幅反応チューブおよびマルチウェルプレートから選択される1つ以上のさらなる構成要素を含む。
本発明のもう1つの目的はシグナルの検出とC型肝炎ウイルス(HCV)タイプとを相関させるシステムであり、前記システムは、a)シグナルを検出するためのディテクター、ここに、前記シグナルはハイブリダイゼーション複合体の識別ハイブリダイゼーション特性と相関し、ここに、ハイブリダイゼーション複合体はHCVゲノム内のヌクレオチド配列に対して相補的であるか、または部分的に相補的であるプローブ、およびHCVヌクレオチド配列を含むアンプリコンを含み;およびb)ディテクターに作用可能式にカップリングされた相関モジュール、ここに、相関モジュールは、シグナルを、HCV遺伝子型またはサブタイプの各々を含むハイブリダイゼーション複合体の識別ハイブリダイゼーション特性に関連する先に測定されたシグナルと比較することによって、シグナルを、少なくとも1つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCVサブタイプの1つと相関させる;を含む。識別ハイブリダイゼーション特性が融解温度(Tm)であって、相関モジュールが、プローブ、および少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCVサブタイプの各々を含むハイブリダイゼーション複合体についての予測されたまたは実験的に測定されたTm値のデータセットを含み、ここに、データセットがコンピューターリーダブルフォーマットである適当なシステムが好ましい。
実施例
以下の実施例は説明のために掲げるが、特許請求される発明を限定するものではない。当業者であれば、特許請求された発明の範囲から逸脱することなく、改変することができる種々の非臨界的パラメーター、および利用することができる代替試薬を認識するであろう。
実施例1
合成HC部位標的配列を用いるHCVプローブ融解曲線分析(HCVタイピング)
本実施例は、(表1に示された)1つのHCVタイピングプローブ、および6つの異なるHCVタイプに由来する6つの合成鋳型を用いる融解曲線分析を記載する。少なくとも5つの遺伝子型および少なくとも6つのサブタイプを識別するためのこのプローブの有効性を評価した。
適当なHCVタイピングプローブのコレクションを設計し、合成した。これらのプローブの各々は、少なくとも5つの異なる遺伝子型および少なくとも6つの異なるサブタイプの間で配列不均一性を示す、HCVゲノムの5’−UTR内のドメインにハイブリダイズする(図5参照)。プローブAG0203Aを分析で用いた(図6に掲げたプローブ配列;および配列番号8参照)。プローブは単一のフルオレセイン(FAM)標識を含んだ。このプローブは、別法として、種々のHCVタイプに対応する6つの異なる合成一本鎖鋳型の各々とハイブリダイズした。これらの合成鋳型の配列は図5に示されたHCVタイプコンセンサス配列の逆構成要素であり;これらの合成鋳型は以下の表1に示される。
Figure 0004638388
プローブを以下の条件下で6つの別々の反応において6つの合成鋳型の各々にアニールさせた。
Figure 0004638388
Figure 0004638388
本反応混合物は融解分析のみで用いたが、それはRT−PCR HCVタイピング分析を刺激するためのさらなる成分も含有した。例えば、遊離ヌクレオチド、増幅プライマー、ウラシルN−グリコシラーゼ(UNG)ヌクレアーゼ、ZO5ポリメラーゼおよびEDTAは融解分析で必要なかったが、そうでなければ、RT−PCR反応で存在させるであろう。
融解分析では、種々のハイブリダイゼーション混合物を2分間で95℃まで加熱し、続いて、20℃まで冷却してアニーリングさせ、ハイブリダイゼーション複合体を形成させた。次いで、ハイブリダイゼーション複合体を含有する反応をほぼ76サイクルで加熱し、ここに、各サイクルは30秒間で温度1℃を上昇させる。蛍光を各30秒のサイクルの最後に50ミリ秒測定した。融解反応を96ウェルマイクロタイタープレートで実行し、ABI PRISM(登録商標)RTM7700配列検出システム(Applied Biosystems,Foster City,CA)を用いて蛍光をモニターした。蛍光は、20nmのバンド幅にて485nmにおける励起フィルター、および10nmバンド幅にて520nmの発光フィルターを用い、本実験(およびFAM−標識プローブを用いる全ての実験)で測定した。
ミックス中のハイブリダイゼーション複合体の形成/解離を、FRET系を用いることによってモニターした。プローブに共有結合したFAM標識は適当なドナー発光を与えた。消光作用は可溶性FRETアクセプターニューメチレンブルーによって供された(図8参照)。ニューメチレンブルーは、チアジン色素構造に基づいた可溶性クエンチャーのファミリーのメンバーである。ニューメチレンブルークエンチャーは二本鎖DNAに対する結合親和性を有し、それにより、プローブが標的とのデュプレックス構造である場合、プローブ上の蛍光標識に対するその近接性により消光効果をもたらす。しかしながら、可溶性クエンチャーは一本鎖DNAに対する親和性を低下させた。従って、プローブを含むハイブリダイゼーション複合体を含有する溶液を加熱し、結局は解離させる場合、核酸に対するクエンチャーの親和性は低下し、蛍光が増加する。前記ニューメチレンブルー可溶性クエンチャーは、一般に、0〜25μg/mLの範囲の種々の濃度で用いた。可溶性クエンチャーの最適濃度は経験的に決定した。重要なことには、Tm値の分解能(すなわち、種々のHCVタイプの間のTm値の間のより大きな分離)は、可溶性クエンチャー濃度を変化させることによっていくつかのHCVタイピングプローブで改良することができるのが観察された。
蛍光データは、(サーマルサイクル数の関数である)温度の関数として蛍光値をプロットすることによってグラフにより示すことができる。この場合、図9において、蛍光値はパーセント蛍光であり、ここに、パーセント蛍光は、実験的に測定された蛍光を、いずれものHCV標的配列の非存在下で、かついずれもの可溶性クエンチャーの非存在下で、一本鎖AG0203Aプローブのみを含有する対照チューブ中での蛍光値と比較することによって決定され、ここに、対照チューブは実験チューブと同一温度におけるものである。
図9に示すように、6つの別々の実験(1つは、AG0203Aプローブおよび各HCV合成鋳型を用いる各融解分析についての実験)の結果を同一プロットに重ねた。分かるように、各プローブ/鋳型複合体は加熱に際して区別される解離プロフィールを与えた。
図9におけるデータは、同一データの第一微分プロットを用いることによってより容易に解釈し(定量する)ことができる。図10は、第一微分プロットとしての図9におけるデータを示す。各曲線のピークは、特定のハイブリダイゼーション条件におけるハイブリダイゼーション複合体のTmを表す。分かるように、各HCV遺伝子型についてのTmはグラフ上で容易に識別することができる。
合成鋳型をdTの代わりにdUを用いて合成した以外は、同一プローブおよびHCV合成鋳型を用いることによってこの分析を反復した。これは潜在的に有用な実験適用である。というのは、それはUNGヌクレアーゼシステムを用いることによって実験の間でキャリー−オーバー汚染の排除を可能とするからである。その実験からの結果は、テストした6つのHCV遺伝子型合成鋳型の間の同等に成功した区別を示した(1a、2a/c、3a、4a、5aおよび6a;データは示さず)。
6つの遺伝子型を成功して識別したAG0203Aプローブに加えて、前記したように、同一5’−UTR領域にハイブリダイズする合計39の他のプローブもまた設計し、テストした。それらの39のプローブのうち、20は、Tm差に基づいて、6つの異なるHCV遺伝子型(1a、2a/c、3a、4a、5aおよび6a)を実験的に区別することができ(図6においては「機能的プローブ」と呼ぶ)。39のプローブのうち18は、それらは6つの遺伝子型を識別することができるというイン・シリコ予測にもかかわらず、合成鋳型またはRT−PCR−作成アンプリコンいずれかを使用する実験において全ての6つのHCV遺伝子型の間を識別することができなかった。(非機能的プローブともいわれる)これらの成功しなかったプローブ配列のいくつかの例もまた図6に掲げる。図6におけるプローブのいくつかについての予測されたおよび実験的に観察されたTm値の比較を図7に示す。実験的に観察されたTm値は、インビトロ転写されたHCVゲノム材料からのRNA鋳型から生じたRT−PCRアンプリコンを用いて融解分析実験で得られた。
図6に掲げた成功したプローブ配列の比較は、相対的融解挙動(および、その結果としての、Tm)が配列の長さを変化させることによって、または修飾された塩基(例えば、5−プロピニル−dUおよび5−Me−dC)を加えることによって修飾することができることを示す。例えば、HCVタイピングプローブAG0307DおよびAG0307Nは、共に、5−プロピニル−dUおよび5−Me−dCを含有し、双方のプローブは少なくとも5つのHCV遺伝子型および少なくとも6つのHCVサブタイプを効果的に分解する。
実施例2
タイピング試薬のPCR後添加と共にRT−PCR HCVアンプリコンを用いるHCVプローブ融解曲線(HCVタイピング)
本実施例は、RT−PCRによって生じたHCVアンプリコンを用い、続いて、HCVタイピング融解曲線試薬を加える融解曲線HCVタイピング分析を記載する。このシステムは「開いたチューブ」システムと考えられる。というのは、実験は、(タイピングプローブを含めた)タイピング試薬を加えるのにRT−PCR反応産物への接近を必要とするからである。実施例1で首尾よく用いられたAG0203A−FAMプローブを本実施例で用いる。少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つの異なるHCVサブタイプを識別するためのこのプローブの有効性は、RT−PCR産物の増幅によって生じたテスト物質を用いて評価した。
RT−PCRによってHCVアンプリコンを生じさせるための鋳型RNAは、タイプ1a、2a、3a、4a、5aおよび6aに対応するHCVゲノム材料インサートを運ぶプラスミドからのインビトロ転写によって誘導した。これらのインサートの配列は、タイプ2aを除いて、図5に記載された各タイプの各々のコンセンサス配列に対応する。HCVタイプ2aクローン化インサートは、AG0203A−FAMプローブによって標的化された5’−UTRドメインにおいて1つのヌクレオチド変異を有するタイプ2a疑似種変種である。このタイプ2a変種の5’−UTR配列の関連部分は図5および配列番号42に掲げる。HCVゲノム配列を単離し、サブクローンするのに用いる材料は患者試料であった。インビトロ転写に続き、オリゴ−dT−セファロースクロマトグラフィーによってRNAを精製した。各プラスミドインサートの遺伝子型/サブタイプは配列決定を含めた他のアッセイを用いて先に確認した。
用いたRT−PCR条件は以下の通りであった:
Figure 0004638388
Figure 0004638388
RT−PCRサーマルサイクリング条件は図18に示す。反応を50℃におけるUNG脱汚染工程で開始して、dU含有ポリヌクレオチドによるいずれのキャリー−オーバー汚染も排除した。次いで、逆転写酵素反応を59℃で行い、そこでは、PCR増幅プライマーの1つは逆転写の起点ともなる。RT−PCR反応は、示されたHCVタイプの各々に対応するクローン化されたHCVゲノム材料を運ぶプラスミドのインビトロ転写に由来するRNA転写体を用いた。RT−PCR反応で用いた増幅プライマーを示す。
RT−PCR反応は非対称反応であり、ここに、増幅プライマーの1つは反対プライマーよりも5倍過剰であり、その結果、HCVタイピングプローブにハイブリダイズするであろうHCVゲノム鎖の増幅の過剰豊富性がもたらされた。示されたプライマーでの増幅は、ほぼ200塩基アンプリコンを生じた。
RT−PCRサーマルサイクリングプログラムに続き、以下の試薬を融解分析開始の前に反応に加えた。EDTAを反応に加えて、Mgを隔離し、それにより、ZO5ポリメラーゼを不活化した。
Figure 0004638388
AG0203A−FAMプローブを、種々のHCVタイプに対応する6つの異なるHCVアンプリコンの各々での融解曲線分析で用いた。融解分析は、実施例1に記載されたのと同一サーマルサイクリングおよび蛍光測定条件を用いた。
融解分析の収集された蛍光データを、図11に示すように、温度の関数としての生蛍光のプロットにてグラフで示す。6つの別々の実験(AG0203Aプローブおよび各HCVアンプリコンを用いる各融解分析のための実験)の結果を同一プロットに重ねた。理解できるように、各プローブ/鋳型は過熱に際して区別される解離プロフィールを与えた。
図12は、温度の関数としての第一微分プロットを用いて提示された図11におけるデータを示す。図12における各曲線のピークはそれらの特定のハイブリダイゼーション条件におけるハイブリダイゼーション複合体のTmを表す。理解できるように、各HCV遺伝子型についてのTmを微分し、グラフ上で他のピーク(Tm値)と区別することができる。
この分析は、全て、同一RT−PCR条件および融解曲線分析を用い、同一HC部位 RT−PCRアンプリコンおよびプローブAG0503A、AG0305B、AG0503D、AG0503E、AG0503F、AG0503G、およびAG0503Hを用いて反復した。この分析からの結果は、プローブAG0503D、AG0503EおよびAG0503Fを用いる、6つのHCV遺伝子型(1、2、3、4、5および6)およびサブタイプ(1a/b、2a/c、3a、4a、5aおよび6a)の間の成功した識別を示した。プローブAG0503A、AG0305B、AG0503GおよびAG0503HはHCVタイプ2aおよび3aの間を区別することができなかった。
実施例3
閉じたチューブシステムにおけるRT−PCR HCVアンプリコンを用いるHCVプローブ融解曲線(HCVタイピング)
本実施例は融解曲線HCVタイピング分析を記載し、ここに、HCV標的材料はRT−PCR増幅反応によって生じたアンプリコンであり、さらに、ここに、RT−PCRおよび融解曲線分析は、試薬のいずれのさらなる操作、例えば、HCVタイピングプローブの添加の必要性なしで単一反応ミックス中で行われる。このシステムは「閉じたチューブ」システムと考えられる。というのは、反応混合物は外部サーモサイクリング条件および蛍光測定以外のいずれのさらなる操作も必要としないからである。多数のプローブをこの分析で用いた。RT−PCRによって生じた種々のHCVアンプリコンを識別するための種々のプローブの効率を評価した。
RT−PCRによってHCVアンプリコンを生じさせるための鋳型RNAは、遺伝子型1a、2a、3a、4a、5aおよび6aに対応するHCVゲノム材料インサートを運ぶプラスミドからインビトロ転写によって誘導した。インビトロ転写に続き、オリゴ−dT−セファロースクロマトグラフィーによってRNAを精製した。
単一遺伝子型/融解分析反応は以下のように確立された:
Figure 0004638388
非対称RT−PCR反応は前記反応ミックスを用い、図18に示したサーマルサイクリング条件で実施した。これらのサーマルサイクリング条件の結果、HCVアンプリコンがRT−PCR増幅されたが、また、融解曲線分析に直接進行した。図13に記載された実験において、AG0203A−FAMプローブを、別法として、種々のHCVタイプに対応する6つの異なるHCVアンプリコンの各々で融解曲線分析にて用いた。融解分析は、実施例1に記載したのと同一のサーマルサイクリングおよび蛍光測定条件を用いた。
融解分析の収集された蛍光データは、温度の関数としての蛍光の第一微分プロットにて図13にグラフで示す。6つの別々のRT−PCRおよび融解分析(全てAG0203A−FAMプローブを用いる各HCVゲノムアンプリコンについてのもの)の結果を同一プロットに重ねた。理解できるように、各プローブ/アンプリコンは区別されるTmを与えた。
同一RT−PCR条件および融解曲線分析パラメーターを用いるこの閉じたチューブHCVゲノタイピングシステムにおいて他のプローブも用いた。さらなるプローブの結果を、第二の微分プロットを用いる図4(プローブAG0307M;配列番号14)および図15(プローブAG0307D;配列番号13)に示す。これらの2つのプローブ配列も図6に掲げる。これらの図面で理解できるように、これらの2つのプローブは、サーマルサイクリングおよび蛍光測定機器の精度内で識別できるHCVタイプの各々でTm値を生じた。
実施例4
HCVタイピングプローブ融解曲線に対する標的コピー数(ウイルス負荷)の効果
本実施例は、ウイルス標的鋳型濃度の広い範囲にわたってHCVタイピングアッセイの精度を確認するように設計した。(ウイルス鋳型およびHCVタイピングプローブを含む)HCVハイブリダイゼーション複合体融解温度(Tm値)に対する変化させるHCV鋳型濃度(コピー数)の効果を分析した。
1つの実験において、HCVサブタイプ1a RT−PCRアンプリコン標的での融解分析において、プローブAG0203A−FAMを用いた。標的のコピー数を反応当たり1,000コピー〜反応当たり1,000,000コピーの範囲で変化させ、他方、遺伝子型プローブの濃度は一定のままとした。アッセイは、25μg/mLの濃度におけるメチレンブルー可溶性クエンチャーを用いた。RT−PCRおよび融解曲線分析は、実施例3に記載したのと同一プロトコルを用いて組み合わされた閉じたチューブのシステムで行った。
この分析の結果は図16に示す。この図面で理解できるように、Tm値は、鋳型濃度における1,000倍範囲の関数として比較的小さな1.25℃間隔にわたって変化し、ここに、より小さな標的濃度においてTmの小さな減少がある。以前観察された異なるHCVタイプの間のかなり大きなTm差を考慮すると、この変動は十分に許容される範囲内にあった。
図16に示された実験は、遺伝子型5aおよび6aに対応する含まれたHCV標的まで拡大し、これは、複数HCVタイプを用いてTmに対する鋳型濃度(すなわち、コピー数)の効果を評価するために行った。このより広い実験において、プローブAG0203A−FAMを再度用いた。反応当たり103、104、105および106コピーであった4つの鋳型濃度を用いて、各HCVタイプをテストした。RT−PCRおよび融解曲線分析は、実施例3に記載したのと同一プロトコルを用い、組み合わされた閉じたチューブのシステムで行った。メチレンブルー可溶性クエンチャーは25μg/mLで用いた。この融解分析からの結果を図17に示す。図17に示されたグラフは図16に示された実験のより広い図面である。
理解できるように、1つのHCVタイプ内の各濃度のTmはわずかに変化したが、異なるタイプの融解点は全て十分に識別された。Tmは入力標的RNAコピー数に幾分依存するが、示された3つの遺伝子型は標的濃度の4つのlog範囲にわたって容易に識別される。
実施例5
単一の閉じたチューブアッセイシステムにおける同時HCVタイピングおよびウイルス定量
本実施例は、単一の閉じたチューブ反応におけるHCVウイルス負荷(すなわち、HCV定量)およびHCVタイプの同時測定のための方法を記載する。
HCVタイピングは、すなわち、RT−PCR反応においてHCVアンプリコンを生じさせ、続いて、(図6に掲げたような)適当なHCVタイピングプローブを用いて融解曲線分析を行うことによって実施例3に記載したようにして達成される。HCV定量は、(インビトロ転写産物に由来する)HCV RNA試料からのRT−PCRによって生じたHCVアンプリコンの蓄積をモニターする5’−ヌクレアーゼアッセイで用いるのに適したプローブ(例えば、TaqManプローブ)を含めることによって同一反応チューブで行う。このアプローチは、一旦反応ミックスが作成されたならば、いずれの精製工程または補充的成分の添加も必要としない「閉じたチューブ」のシステムとして理想的には適用することができる。
単一の閉じたチューブ定量/タイピング/融解分析反応は以下のように確立した:
Figure 0004638388
最初の実験において、RT−PCR、HCV定量およびHCVタイピング(融解曲線)を組み合わせた「閉じたチューブ」反応を、前記したように確立した。前記反応は、反応当たり1,000(103)〜1,000,000(106)コピーの範囲の4つの異なる鋳型濃度においてHCVサブタイプに対応する単一RT−PCR鋳型を用いた。反応で用いたサーマルサイクリングプログラムは図18に掲げる。
実験から収集された蛍光データを図19に示す。蛍光データはサイクル数の関数として相対的蛍光として示す。相対的蛍光は、各サイクルにおける観察された蛍光値を、(基礎またはバックグラウンド蛍光と考えられる)サイクル10〜15の間で測定された蛍光値の各々を平均することによって得られた蛍光値で割ることによって計算される。このグラフは任意の蛍光レベル(AFL)も示す。蛍光シグナルがいくつかの任意レベル(AFL)を超えるPCRサイクルは閾値サイクル(CT)である。入力コピー数はCTに逆比例する。
Rt−PCRはインビトロ転写によって生じたHCVタイプ1a RNA鋳型を用いた。前記反応は増幅プライマーST280ATBUA1(配列番号39)およびST778AATBA1(配列番号40)、およびTaqManプローブST650AAFBHQ2(配列番号41)も含んだ。非対称RT−PCR反応は、前記反応ミックスを用い、かつ図18に示されたサーマルサイクリング条件で実行した。TaqManプローブを含めると、RT−PCRの間に蓄積のリアルタイムモニタリングおよびHCVアンプリコンの定量を可能とした。TaqManプローブからの蛍光は、58℃の相における50サイクルで各PCR増幅サイクルの間に50ミリ秒の間測定した。
RT−PCRからのHCVアンプリコンの生成に続き、サーマルサイクリングは融解曲線分析に直接進めた。HCVタイピング融解曲線分析はニューメチレンブルー可溶性クエンチャーと共にAG0308F HCVタイピングプローブを用いた。各コピー数分析の結果を、図19における合計4つのプロットに対して、同一グラフ上に重ねる。グラフで理解できるように、各HCV 1a鋳型濃度は区別されるCT値を与えた。
図20は、第一微分プロットを用い、図19に記載したのと同一の閉じたチューブの組み合わせたRT−PCR、HCV定量およびHCVタイピング(融解曲線)分析の結果を含むグラフを掲げる。図21は、第二の微分プロットを用いる、図19に記載したのと同一の閉じたチューブの組み合わせたRT−PCR、HCV定量およびHCVタイピング(融解曲線)分析の結果を含むグラフを掲げる。この第二の微分プロットにおいては、各鋳型濃度に対することなるCT値を明瞭に識別することができた。HCVサブタイプ1aを各試料で用いたので、融解温度(Tm)は各試料について同一またはほとんど同一である。各ハイブリダイゼーション複合体のTmは、グラフがy−軸上の0と交わる点において、(サイクル数50後の)グラフの融解曲線部分におけるサイクル数から26を差し引くことによって決定することができる。
図22は、各々が反応当たり106コピーの鋳型濃度を用い、HCVサブタイプ1a/b、2a、3a、4a、5aおよび6aに対応するRT−PCR鋳型を用いる「閉じたチューブ」の組み合わせたRT−PCR、HCV定量およびHCVタイピング(融解曲線)分析の結果を含むグラフを掲げる。データは、サイクル数の関数として第一微分プロットで示される。RT−PCR反応は、前記したように、HCV RNA鋳型、増幅プライマーST280ATBUA1(配列番号39)およびST778AATBA1(配列番号40)、およびTaqManプローブST650AAFBHQ2(配列番号41)を用いた。ゲノタイピング融解曲線分析は、25μg/mLで用いたニューメチレンブルー可溶性クエンチャーと共にAG0308F HCVタイピングプローブ(配列番号16)を用いた。各サブタイプ分析の結果を、合計6つのプロットにつき、同一グラフに重ねる。
図23は、第二の微分プロットを用いる、同一の閉じたチューブの組み合わせられたRT−PCR、HCV定量およびHCVゲノタイピング(融解曲線)分析の結果を含むグラフを掲げる。
図24は、図23に示されたグラフのHCVタイピング融解曲線部分の詳細な図を掲げる。各ハイブリダイゼーション複合体のTmは、グラフがy−軸上の0と交わる点において、(サイクル数50後の)グラフの融解曲線部分におけるサイクル数から26を差し引くことによって決定することができる。第二の微分プロットのこの拡大された部分で理解できるように、各HCVタイプは明瞭に分解されたTm値を与える。
この同一分析は、前記したように、10の他のHCVタイピングプローブ(後にリストする)および同一の試薬およびサーマルサイクリング条件を用いて首尾よく反復された。
Figure 0004638388
これらのプローブは、閉じたチューブのHCV定量およびHCVタイピング分析において、少なくとも5つのHCV遺伝子型ならびに少なくとも6つのHCVサブタイプを区別することができたことが観察された。
これらの実験で理解できるように、単一の閉じたチューブの反応系においてHCV定量分析をHCVタイピングと組み合わされることが可能であり、ここに、RT−PCR、定量(TaqMan)分析およびHCVタイピング(融解分析)に必要な全ての試薬は、修飾(例えば、精製またはさらなる成分)を必要としない1つの反応混合物に含める。これらの反応の進行はサーマルサイクリング条件によって調節され、適当な反応容器の使用は、試料アリコットを除去することなく反応容器において直接的に蛍光の読みを可能とする。
実施例6
ヌクレオチド配列
本実施例は、本発明の記載で引用されたヌクレオチド配列を掲げる。以下の表2に掲げた配列は、例のみを掲げるつもりであり、本発明が表2において以下に掲げられた配列に断じて限定されることは意図されない。
Figure 0004638388
Figure 0004638388
Figure 0004638388
Figure 0004638388
Figure 0004638388
明瞭性および理解の目的で、これまでの発明を幾分詳細に記載してきたが、当業者には、この開示を読むと、本発明の真の範囲を逸脱することなく形態および詳細の種々の変化をなすことができるのは明らかであろう。例えば、前記した全ての技術および装置は種々の組合せで用いることができる。本出願で引用された全ての刊行物、特許、特許出願、および/または他の書類は、あたかも各個々の刊行物、特許、特許出願および/または他の書類がここに引用して全ての目的で個々に一体化されるよう示されるのと同一程度まで、ここに引用してその全体が全ての目的で一体化される。
HCVゲノムおよび各コードされたポリペプチドの模式図を掲げる。全長ゲノムおよびオープンリーディングフレームの適当な長さが与えられる。ポリプロテイン切断部位も示される。種々のゲノムドメインの正確なサイズは、HCV遺伝子型およびサブタイプに依存して変化するであろう。 HCVタイピング命名法を記載するテーブルである。 プロトタイプHCVウイルスゲノムの位置7975〜8196におけるNS5領域から誘導された222−ヌクレオチドセグメントにおける種々のHCVサブタイプの間のヌクレオチド配列同一性のパーセンテージを示すテーブルを掲げる。 種々のHCVサブタイプ、および既知の単離体の例をリストするテーブルを掲げる。 種々のHCVタイプ、および各サブタイプの各々の5’−UTR領域における33ヌクレオチドドメインのコンセンサスヌクレオチド配列をリストするテーブルを掲げる。 選択されたHCVタイピングプローブ、(ヌクレオチドで表した)それらの長さ、およびそれらの各塩基配列をリストするテーブルを掲げる。機能的プローブ、ならびに非機能的プローブの3つの例を掲げる。 プローブおよび示されたHCVタイプを含むハイブリダイゼーション複合体についてのそれらの予測されるおよび実験的に観察されるTm値と共に図6で記載したプローブのいくつかを列挙したテーブルを掲げる。実験的に観察されたTm値は、インビトロ転写されたHCVゲノム材料からのRNA鋳型から生じたRT−PCRアンプリコンを用いて融解分析実験で得られた。 チアジン色素可溶性クエンチャーの構造の例を掲げる。 温度の関数としてプロットされたパーセント蛍光を示す融解曲線分析の結果を含むグラフを掲げる。パーセント蛍光とは、いずれかの鋳型の非存在下であって、同一温度における未消光プローブの蛍光と比較した、観察された蛍光のパーセンテージをいう。実験はFAM−標識AG0203A HCVタイピングプローブ、および示されたHCVタイプに塩基配列が対応する合成鋳型を用いた。蛍光は、20nmバンド幅での485nmにおける励起フィルター、および10nmバンド幅での520nmにおける発光フィルターを用いる本実験(およびFAM−標識プローブを用いた全ての実験)において測定した。6つの別々の実験の結果を同一グラフ上で重ねる。データの代表的な組を示す。 (温度の関数としての)第一の微分プロットとしてデータを提示することを除いて、図9と同一の融解曲線実験データを示すグラフを掲げる。 「開いたチューブ」の組み合わされたRT−PCR、続いての、融解曲線分析の結果を含むグラフを掲げる。前記グラフは、温度の関するとしてプロットされた融解曲線生蛍光データを示す。融解曲線分析は、RT−PCRおよびAG0203A−FAMタイピングプローブで生じたタイプ特異的アンプリコンを用いた。6つの別々の実験の結果を同一のグラフ上で重ねる。データの代表的な組を示す。 (温度の関数としての)第一の微分プロットとしてデータを提示することを除いて、図11と同一の融解曲線実験データを示すグラフを掲げる。 「閉じたチューブ」の組み合わされたRT−PCRおよび融解曲線分析実験の結果を含むグラフを掲げ、ここに、前記グラフは、温度の関数としての融解曲線蛍光データの第一の微分をプロットする。前記RT−PCR反応は、5’−UTR内の領域を増幅した増幅プライマーヲ用いた。融解曲線分析はRT−PCR反応で生じたアンプリコンを用い、かつAG0203A−FAMタイピングプローブを用いた。6つの別々の実験の結果を同一グラフの上で重ねる。データの代表的な組を示す。 「閉じたチューブ」の組み合わされたRT−PCRおよび融解曲線分析実験の結果を含むグラフを掲げ、ここに、前記グラフは、温度の関数としての融解曲線蛍光データの第二の微分をプロットする。RT−PCR反応は、示されたHCVタイプの各々に対応するサブクローン化されたHCVゲノム材料を運ぶプラスミドのインビトロ転写から誘導されたRNA転写体を用いた。RT−PCR反応は、5’−UTR内の領域を増幅した増幅プライマーヲ用いた。融解曲線分析はRT−PCRで生じたタイプ特異的アンプリコン、およびAG0307Mタイピングプローブを用いた。6つの別々の実験の結果を同一グラフ上で重ねる。データの代表的な組を示す。 「閉じたチューブ」の組み合わせられたRT−PCRおよび融解曲線分析実験の結果を含むグラフを掲げ、ここに、前記グラフは、温度の関数としての融解曲線蛍光データの第二の微分をプロットする。RT−PCR反応は、示されたHCVタイプの各々に対応するサブクローン化されたHCVゲノム材料のインビトロ転写から誘導されたRNNA転写体を用いた。RT−PCR反応は、5’−UTR内の領域を増幅した増幅プライマーヲ用いた。融解曲線分析は、RT−PCRで生じたサブタイプ特異的アンプリコン、およびAG0307Dゲノタイピングプローブを用いた。6つの別々の実験の結果を同一グラフ上で重ねる。 m識別に対する入力標的RNAコピー数の効果をテストするために設計された、融解曲線分析実験の結果を含むグラフを掲げる。前記実験はAG0203A−FAMタイピングプローブ、および5’−UTR内の領域を増幅した増幅プライマーを用いた。RT−PCR反応についての鋳型材料は、HCVタイプ1aに対応するサブクローン化されたHCVゲノム材料を運ぶプラスミドのインビトロ転写から誘導されたRNA転写体を用いた。インビトロ転写されたRNAは、ハイブリダイゼーション反応当たり1,000コピー〜1,000,000コピーの範囲の4つの異なる濃度(すなわち、コピー数)で用いた。蛍光データは、温度の関数としての第二の微分プロットとして提示される。データの代表的組が示される。 m識別に対する入力標的RNAコピー数の効果をテストするために設計された、融解曲線分析実験の結果を含むグラフを掲げる。前記実験は、AG0203A−FAMタイピングプローブ、および5’−UTR内の領域を増幅した増幅プライマーヲ用いた。RT−PCR反応についての鋳型材料は、HCVタイプ1a、5aおよび6aに対応するサブクローン化されたHCVゲノム材料を運ぶプラスミドのインビトロの転写から誘導されたRNA転写体を用いた。インビトロ転写されたRNAは、ハイブリダイゼーション反応値1,000コピー〜1,000,000コピーの範囲の3つの異なる濃度(すなわち、コピー数)で用いた。蛍光データは、温度の関数としての第二の微分プロットとして提示した。データの代表的な組を示す。図17に示されるデータは、図16に示されたデータの詳細図である。 図19〜24で用いた、「閉じたチューブ」のRT−PCR、HCV定量およびHCVゲノタイピング(融解曲線)組合せ実験反応で用いたサーモサイクリング条件を詳細に示すダイアグラムを掲げる。本明細書中に記載された他の閉じたチューブの実験の(図13〜17)は、TaqManリアルタイムPCR定量を含まない以外は、同一のサーモサイクリング条件を用いた。 TaqManプローブ(ST650AAFBHQ2)の使用によってやはりHCV定量を取り込む「閉じたチューブ」のRT−PCRおよびHCVタイピング(誘拐曲線)分析の結果を含むグラフを掲げる。前記実験は、反応当たり1,000(103)〜1,000,000(106)コピーの範囲の4つの異なる鋳型濃度において(すなわち、4つの異なる刺激されたウイルスコピー数)HCVタイプ1aに対応するRT−PCR鋳型を用いた。RT−PCR反応についての鋳型材料は、HCVタイプ1aに対応するサブクローン化されたHCVゲノム材料、および5’−UTR内の領域を増幅したRT−PCR増幅プライマーを運ぶプラスミドのインビトロ転写から誘導されたRNA転写体を用いた。融解分析は、ニューメチレンブルー可溶性クエンチャーを用いた。データは、サイクル数の関数としての相対的蛍光として提示した。サーモサイクリングプログラムの融解分析部分はサイクル50で開始する。各コピー数分析の結果は同一グラフ上で重ねる。データの代表的な組を示す。 第一の微分プロットを用いる、図19に記載された、閉じたチューブの組み合わせられたRT−PCR、HCV定量およびHCVゲノタイピング(融解曲線)分析の結果を含むグラフを掲げる。 第二の微分プロットを用いる、図19に記載された、閉じたチューブの組み合わせられたRT−PCR、HCV定量およびHCVゲノタイピング(融解曲線)分析の結果を含むグラフを掲げる。各ハイブリダイゼーション複合体のTmは、サイクル数から26を差し引くことによって決定することができる。 各々が、反応当たり106コピーの鋳型濃度を用いる、HCVタイプ1a/b,2a、3a、4a、5aおよび6aに対応するRT−PCR鋳型を用いる、「閉じたチューブ」の組み合わされたRT−PCR、HCV定量およびHCVタイピング(融解曲線)分析の結果を含むグラフを掲げる。RT−PCR反応についての鋳型材料は、列挙したHCVタイプに対応するサブクローン化されたHCVゲノム材料、および5’−UTR内の領域を増幅したRT−PCR増幅プライマーを運ぶプラスミドのインビトロ転写から誘導されたRNA転写体を用いた。前記分析は、TaqMan定量プローブST650AAFBHQ2を用いた。HCVタイピング融解曲線分析は、ニューメチレンブルー可溶性クエンチャーと共にAG0308F HCVタイピングプローブを用いた。蛍光データは、サイクル数の関数としての第一の微分プロットとして提示される。各HCVタイプについての結果を同一グラフ上に重ねる。データの代表的な組が示される。 第二の微分プロットを用いる以外は、図22に記載された、閉じたチューブの組み合わせられたRT−PCR、HCV定量およびHCVゲノタイピング(融解曲線)分析の結果を含むグラフを掲げる。各ハイブリダイゼーション複合体のTmは、サイクル数から26を差し引くことによってけってすることができる。 図23に示されたグラフの融解曲線HCVタイピング部分の詳細な図を掲げる。

Claims (7)
Hide Dependent

  1. もし存在すれば、試料中のC型肝炎ウイルス(HCV)のタイプ及びHCVウイルス負荷を決定する単一の閉じたチューブ方法であって:
    a)試料からのHCVゲノムの部分を非対称PCRにより増幅し、それにより、限定的アンプリコン鎖及び過剰なアンプリコン鎖を生じさせ;
    b)前記限定的アンプリコン鎖を定量プローブとハイブリダイズさせて、前記限定的アンプリコン鎖を定量し、
    c)前記過剰なアンプリコン鎖をHCVタイピングプローブとハイブリダイズさせて、標的ハイブリダイゼーション複合体を形成し、
    i)前記HCVタイピングプローブはHCVゲノム内のヌクレオチド配列に対して相補的であるかまたは部分的に相補的であり;
    ii)前記HCVゲノム内のヌクレオチド配列は少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCVサブタイプ内で配列不均一性を示し;そして
    iii)前記HCVタイピングプローブおよび前記少なくとも5つのHCV遺伝子型または前記少なくとも6つのHCVサブタイプのヌクレオチド配列を含むハイブリダイゼーション複合体は、HCV遺伝子型またはHCVサブタイプの各々を識別する温度依存性ハイブリダイゼーション特性を有し;
    d)前記標的ハイブリダイゼーション複合体の温度依存性ハイブリダイゼーション特性を測定し;そして、
    e)前記標的ハイブリダイゼーション複合体の温度依存性ハイブリダイゼーション特性に基づいて、標的ハイブリダイゼーション複合体の測定された温度依存性ハイブリダイゼーション特性をHCV遺伝子型またはサブタイプと相関させる;
    ことを含む、方法。
  2. 前記HCVタイピングプローブのヌクレオチド配列がHCVゲノムの5’−UTRまたはNS5領域内のヌクレオチド配列に対して、相補的であるかまたは部分的に相補的である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記HCVタイピングプローブが配列番号8〜27から選択される核酸配列を含む請求項1に記載の方法。
  4. 定量プローブ及びHCVタイピングプローブを含む、試料中のC型肝炎ウイルス(HCV)のタイプ及びHCVウイルス負荷を決定するための組成物であって、ここで、前記定量プローブは、非対称PCRで増幅することにより生じる限定的アンプリコン鎖とハイブリダイズするものであり、前記HCVタイピングプローブは、C型肝炎ウイルス(HCV)ゲノム内のヌクレオチドに対して相補的であるかまたは部分的に相補的である、配列番号8〜27から選択される核酸配列を含み、ここで、プローブの領域の相補性または部分的相補性は少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCVサブタイプ内で配列不均一性を示し;そして前記プローブおよびHCV遺伝子型またはサブタイプの各々を含むハイブリダイゼーション複合体は、遺伝子型またはサブタイプの各々を識別する温度依存性ハイブリダイゼーション特性を有する、含む組成物。
  5. a)定量プローブ、ここで当該定量プローブは、非対称PCRで増幅することにより生じる限定的アンプリコン鎖とハイブリダイズするものである
    b)C型肝炎ウイルス(HCV)ゲノム内のヌクレオチド配列に対して相補的であるかまたは部分的に相補的であるFRET(蛍光共鳴エネルギー移動)ドナー部分で標識されたHCVタイピングプローブ、ここで前記プローブの領域の相補性または部分的相補性は少なくとも5つのHCV遺伝型または少なくとも6つのHCVサブタイプ内で配列不均一性を示し;そして前記プローブおよび複数のHCV遺伝子型またはサブタイプを含むハイブリダイゼーション複合体は、少なくとも2つのHCV遺伝子型または少なくとも2つのHCVサブタイプを識別する温度依存性ハイブリダイゼーション特性を有し、ここで、当該HCVタイピングプローブは配列番号8〜27から選択される核酸配列を含む;および
    c)チアジン色素を含む可溶性FRETクエンチャー、ここで前記FRETクエンチャーはFRETドナー部分を消光することができる;
    を含む組成物。
  6. 試料中のC型肝炎ウイルス(HCV)のタイプ及びHCVウイルス負荷を決定するための診断キットであって:
    a)HCVゲノム内のヌクレオチド配列に対して相補的であるかまたは部分的に相補的である少なくとも1つのHCVタイピングプローブ、ここで前記プローブの領域の相補性または部分的相補性は少なくとも5つのHCV遺伝子型または少なくとも6つのHCVサブタイプの各々内で配列不均一性を示し、そしてここで前記プローブおよびHCV遺伝子型またはサブタイプの各々を含むハイブリダイゼーション複合体は異なる温度依存性ハイブリダイゼーション特性を有し、ここで、当該HCVタイピングプローブは配列番号8〜27から選択される核酸配列を含む;
    b)標的プローブを含むハイブリダイゼーション複合体の温度依存性ハイブリダイゼーション特性を測定するための指示書;および
    c)アンプリコン定量プローブ、ここで当該定量プローブは、非対称PCRで増幅することにより生じる限定的アンプリコン鎖とハイブリダイズするものである
    を含む、キット。
  7. d)HCVタイピングプローブにおける核酸配列に対して相補的であるかまたは部分的に相補的である核酸配列を含む、HCVアンプリコンを創製することができる増幅プライマー対をさらに含む、請求項6に記載の診断キット。