JP4635580B2 - エッチング液及びその製造方法、並びに液体噴射ヘッドの製造方法 - Google Patents

エッチング液及びその製造方法、並びに液体噴射ヘッドの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、酸化膜からなる所定形状のマスクパターンを介してシリコン基板をウェットエッチングする際に用いられるエッチング液及びその製造方法、並びに液体噴射ヘッドの製造方法に関する。
従来から、シリコン基板のエッチング加工技術として、シリコン基板のアルカリ性溶液に対するエッチングレートの違いを利用して行われる異方性エッチング加工技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この異方性エッチング加工では、シリコン基板の表面に酸化膜からなる所定形状のマスクパターンを形成し、このマスクパターンを介して露出したシリコン基板にエッチング液を接触させることで行われる。その際、マスクパターンがエッチング液によって僅かではあるがエッチング除去されてしまうという問題がある。
このように、マスクパターンが除去されてしまうと、所定形状の凹部等を良好に形成することができないため、従来では、マスクパターンがエッチング除去される量(厚さ)を考慮して、マスクパターンの膜厚を所定の厚さ以上に形成していた。しかしながら、このマスクパターンは、凹部等を形成した後、必要に応じて除去しており、このようなマスクパターンを厚膜で形成することは、製造効率が非常に悪く、処理工程で必要とされる供給酸素量や供給電力等のコストがかかることや、厚膜であることによりマスクパターンを形成させるときのサイドエッチング量が大きくパターン精度が低下するという問題がある。
同様に、凹部等を形成したシリコン基板を用いて製造される機器、例えば、インクジェット式記録ヘッド等の液体噴射ヘッド、圧力センサ用ダイアフラム等の製造においても、製造効率が非常に悪く、処理工程で必要とされる供給酸素量や供給電力等のコストがかかることや、厚膜であることによりマスクパターンを形成するときのサイドエッチング量が大きくなって、パターン精度が低下するという問題がある。
なお、上述した異方性エッチング加工に用いるエッチング液としては、例えば、シリコン基板の(100)面である表面とエッチング成分との間のエッチング反応を抑制する金属成分の濃度を所定の範囲に調整したものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、この公報に記載のエッチング液は、酸化膜からなるマスクパターンがエッチング除去される上記の問題を解決するものではない。
特開平06−071882号公報 特開平10‐112458号公報
本発明は上述した事情に鑑み、酸化膜からなる所定形状のマスクパターンを介してシリコン基板をウェットエッチングする際に、マスクパターンのエッチングによる膜減り量を抑制し、又はマスクパターンのエッチグレートのばらつきを低減することができるエッチング液及びその製造方法、並びに液体噴射ヘッドの製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、酸化膜からなる所定形状のマスクパターンを介してシリコン基板をウェットエッチングする際に用いられ且つNi、Cuの濃度が200ppb以下であるアルカリ性溶液にCaが添加されたエッチング液にある。
かかる第1の態様では、アルカリ性溶液を含有するエッチング液にCaが含まれているので、マスクパターンを介してシリコン基板をウェットエッチングする際に、マスクパターンがエッチング除去されるのを防止、又はマスクパターンのエッチングレートのばらつきを低減することができる。またNi、Cuの濃度が200ppb以下であるアルカリ性溶液を含有するエッチング液にCaが含まれているので、マスクパターンを介してシリコン基板をウェットエッチングする際に、マスクパターンのエッチングによる膜減り量を抑制し、又はマスクパターンのエッチングレートのばらつきを低減することができる。
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記Caの添加量が、100ppb以上であることを特徴とするエッチング液にある。
かかる第2の態様では、Caの下限値を100ppb以上と規定することで、少なくとも、マスクパターンのエッチングレートのばらつきをより効果的に防止することができる。
本発明の第3の態様は、第1、2の何れかの態様において、前記Caの添加量が、500ppb以上であることを特徴とするエッチング液にある。
かかる第3の態様では、所定の各種金属濃度の下限値を500ppb以上と規定するこ
とで、少なくとも、マスクパターンのエッチングレートのばらつきをより効果的に防止す
ることができる。
本発明の第4の態様は、第1〜3の何れかの態様において、前記Caの添加量が、1000ppb以上であることを特徴とするエッチング液にある。
かかる第4の態様では、所定の各種金属濃度の下限値を1000ppb以上と規定する
ことで、少なくとも、マスクパターンのエッチングレートのばらつきをより効果的に防止
することができる。
本発明の第5の態様は、第1〜4の何れかの態様において、前記アルカリ性溶液が、K
OHを少なくとも含有する水溶液であることを特徴とするエッチング液にある。
かかる第5の態様では、シリコン基板に凹部を良好に形成することができる。
本発明の第6の態様は、酸化膜からなる所定形状のマスクパターンを介してシリコン基板をウェットエッチングする際に用いられ且つNi、Cuの濃度が200ppb以下であるアルカリ性溶液にCaを添加して製造することを特徴とするエッチング液の製造方法にある。
かかる第6の態様では、Ni、Cuの濃度が200ppb以下であるアルカリ性溶液に、Caを制限なく添加することで、所定形状のマスクパターンを介してシリコン基板をウェットエッチングする際に、マスクパターンのエッチングによる膜減り量を抑制し、又はマスクパターンのエッチングレートのばらつきを低減することができるエッチング液を実現することができる。
本発明の第7の態様は、シリコン基板の一方面側に形成される酸化膜からなる所定形状のマスクパターンを介して前記シリコン基板をウェットエッチングして、液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室とその圧力発生室に対して圧力変化を生じさせる振動板とを形成する第1工程と、前記シリコン基板の他方面側に電極を有する電極基板を接合する第2工程とを少なくとも有し、前記第1工程では、Ni、Cuの濃度が200ppb以下であるアルカリ性溶液にCaが添加されたエッチング液を、前記マスクパターンを介して前記シリコン基板の一方面側に接触させて前記ウェットエッチングを実施することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第7の態様では、Ni、Cuの濃度が200ppb以下であるアルカリ性溶液を含有するエッチング液にCaが含まれているので、マスクパターンを介してシリコン基板をウェットエッチングする際に、マスクパターンがエッチング除去されるのを防止、又はマスクパターンのエッチングレートのばらつきを低減することができる。これにより、液体噴射ヘッドを製造する際に、マスクパターンを厚膜で形成しなくてもよいため、製造効率を上げ、コストを削減でき、マスクパターンを形成するときのサイドエッチング量を小さく(パターン精度を良く)できる。
本発明の第8の態様は、第7の態様において、前記第1工程では、前記エッチング液を100℃以下の温度として前記ウェットエッチングを実施することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第12の態様では、ウェットエッチング加工を良好に実施することができ、シリ
コン基板に所定形状の圧力発生室を確実に形成することができる。
本発明の第9の態様は、第7、8の何れかの態様において、前記第1工程では、前記酸化膜として前記シリコン基板の一方面を酸化することで酸化シリコン膜を形成することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる第9の態様では、酸化シリコン膜のエッチングによる膜減り量を有効に抑制できる。

以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
本発明に係るエッチング液は、酸化シリコン膜等の酸化膜からなる所定形状のマスクパターンを介してシリコン単結晶基板を含むシリコン基板をウェットエッチングする際に用いられるアルカリ性溶液を含有すると共に、Pb、Al、Ca、Mg、Zn又はSnの少なくとも1種の金属を含有するものである。
そして、このような本発明のエッチング液を用いてシリコン基板をウェットエッチング、具体的には、異方性エッチング加工し、そのシリコン基板に凹部を形成する際に、マスクパターンがエッチング除去されるのを防止、又はマスクパターンのエッチングレートのばらつきを低減することができる。
これにより、マスクパターンを形成する際に、そのマスクパターンの膜厚を所定の厚さ以上に形成しなくてもよいので、凹部を形成する製造効率を高めることができる。また、マスクパターンを形成するのに要する時間を短縮することができ、製造コストを低減することができる。また、マスクパターンを形成するときのサイドエッチング量を小さくできるため、パターン精度を向上させることができる。
ここで、本発明においては、Pb、Al、Ca、Mg、Zn又はSnの少なくとも1種の金属濃度は、例えば、100ppb以上、好ましくは、500ppb以上、さらに好ましくは1000ppb以上である。また、ここで列挙した金属の中でも特に、Ca、Al、Pbの各金属については、アルカリ性溶液に1種以上、好ましくは、2種以上、さらに好ましくは全て含有されているのがよい。これにより、他の金属よりも、少なくとも、マスクパターンのエッチングレートのばらつきをより効果的に防止することができる。特に、Ca、Al、Pbをそれぞれ1000ppb添加することで、マスクパターンのエッチングによる膜減り量を有効に抑制することができる。
アルカリ性溶液としては、例えば、KOH、ヒドラジン、エチレンジアミンピロカテコール(EDP)、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)等が挙げられ、この中でも、KOHを少なくとも含有した水溶液を用いるのが好ましい。例えば、KOHと所定の溶液と水とを所定の割合で混合し、これによって得たエッチング液等が挙げられる。ここで、所定の溶液としては、少なくともアルコール、例えば、エタノール、メタノール等を含む溶液が挙げられる。
ここで、市販されている各種のKOH(隔膜法、水銀法等によって製造されたKOH、含有金属不純物を低減させたKOH等)について比較実験を実施した結果、そのKOHの種類によってマスクパターンのエッチングレートが異なっていること、同じ製品でも製造ロットによってマスクパターンのエッチングレートが異なっていること等が新たに明らかとなった。そして、本発明のエッチング液は、詳細は後述するが、例えば、KOH水溶液に所定の金属を制限なく添加することにより、このようなマスクパターンのエッチングによる膜減り量を抑制し、又はマスクパターンのエッチングレートのばらつきを低減することができるようにしたものである。
また、本発明において、所定の金属を添加する対象となるアルカリ性溶液としては、Ni又はCuの少なくとも1種の金属濃度が所定の濃度以下であるアルカリ性溶液であるのが好ましい。エッチング液に含まれるNi、Cuがマスクパターンのエッチングレートのばらつきを生じさせる原因となるからである。ここで、エッチング液に含まれるアルカリ性溶液のNi又はCuの濃度は、例えば、200ppb以下、好ましくは、100ppb以下、さらに好ましくは、20ppb以下である。但し、本発明では、Ni、Cuの濃度を所定の濃度に調整するのではなく、あくまでアルカリ性溶液のNi、Cuの濃度の上限値を規定したに過ぎず、エッチング液(アルカリ性溶液)として最も好ましいのは、これらNi、Cuがエッチング液に含まれていないものがよい。
以下、上述したエッチング液の製造方法について説明する。本発明のエッチング液は、シリコン基板を異方性エッチングする際に用いられる上記のアルカリ性溶液に、Pb、Al、Ca、Mg、Zn又はSnの少なくとも1種の金属を添加することで製造される。
ここで、本発明では、上記の金属をアルカリ性溶液に対して制限なく添加し、得られたエッチング液によってシリコン基板を異方性エッチングすることで、その際に、少なくとも、マスクパターンのエッチングレートがばらつくのを低減することができる。この「制限なく」とは、添加する金属の量を調整してエッチング液に含まれる金属の濃度を所定の範囲に調整することを意味しているのではなく、マスクパターンのエッチングレートがばらつくのを低減する点において金属を添加する量に上限がないことを意味している。例えば、アルカリ性溶液に対して上記の金属を添加し、得られたエッチング液のそれぞれの金属濃度が、例えば、100ppb以上、好ましくは、500ppb以上、さらに好ましくは1000ppb以上となっていればよい。すなわち、金属の添加量には、下限値はあっても上限値はない。
要するに、本発明のエッチング液は、Pb、Al、Ca、Mg、Zn又はSnの少なくとも1種の金属濃度を所定の範囲に調整することで得られるものではなく、上述したように、アルカリ性溶液に上記の金属を必要量以上添加して得られるものである。特に、アルカリ性溶液に対して、上述した金属の中でも特に、Ca、Al及びPbの各金属を1種以上、且つ上限なく添加することで、他の金属と比べて、マスクパターンエッチングによる膜減り量を抑制し、又はマスクパターンのエッチングレートのばらつきを効果的に低減することができるエッチング液を実現することができる。
したがって、本発明では、アルカリ溶液に、上記の金属を含む標準液をマイクロピペット等によって添加するだけでエッチング液を作ることができ、その添加量によって金属濃度を調整しなくてもよいので、特別な装置を必要としない。このため、安価でエッチング液を効率よく作ることができるという効果もある。
以下、図1を参照しながら、本発明のエッチング液によって、表面が(100)面であるシリコン基板に凹部を形成する過程を説明する。図1は、シリコン基板の要部拡大断面図である。まず、図1(a)に示すように、シリコン基板1の一方面に酸化膜2を形成した後に、図1(b)に示すように、この酸化膜2をパターニングして所定形状のマスクパターン3を形成する。ここで、マスクパターン3としては、シリコン基板1を熱酸化処理して酸化シリコン膜からなる酸化膜2を形成し、この酸化膜2をフォトリソグラフィ法等により所定形状にパターニングすることで形成したものとした。
次に、図1(c)に示すように、シリコン基板1の一方面側に本発明のエッチング液を接触させて、所定形状のマスクパターン3の開口部3aを介して露出したシリコン基板1を異方性エッチング加工する。これにより、シリコン基板1に凹部4が形成される。このとき、本発明では、エッチング液に所定の金属が含まれているので、マスクパターン3がエッチングによる膜減り量を抑制し、又はマスクパターンのエッチングレートがばらつくのを低減することができる。
ここで、含有金属不純物を低減させたKOHと純水とエタノールとからなるアルカリ性水溶液に対して、Ni、Cu、Ca、Al、及びPbの各金属を500[ppb]、1000[ppb]加えて得たKOH濃度25w%のエッチング液の酸化シリコン膜のエッチングレートのばらつきσ[nm/min]を求めた。この「エッチングレートのばらつきσ」の算出方法は、特に限定されないが、ここでは、品質工学に基づいて算出した。具体的には、アルカリ性溶液に添加する金属の種類毎の添加量と、添加する金属の組み合わせとを適宜変えたものにおける酸化シリコン膜の膜減り量を示すエッチングレートをそれぞれ求め、その結果からSN比を求めて、このSN比から算出した推定ばらつきを「エッチンレートのばらつき」とした。また、ここでは、金属を別途添加していない、すなわち、無添加の上記KOHの水溶液からなるエッチング液の酸化シリコン膜に対するエッチングレートのばらつきσ[nm/min]についても求めた。その結果を図2に示す。図2は、各金属の添加量とエッチングレートのばらつきとの関係を示すグラフである。また、エッチング条件としては、エッチング液を約65℃に加熱した状態で行った。なお、シリコン基板としては、表面が(100)面であるシリコン単結晶基板(シリコンウェハ)を用いた。エッチングレートのばらつきの基準は、異方性エッチング前の酸化シリコン膜の寸法とした。
図2に示すように、Ni添加のエッチング液は、Niの添加量が増えるにつれて、酸化シリコン膜のエッチングレートのばらつきが大きくなることが分かった。また、Cu添加のエッチング液も同様に、Cuの添加量が増えるにつれて、酸化シリコン膜のエッチングレートのばらつきが大きくなることが分かった。特に、Ni、Cuの添加量が500ppb以上となると、酸化シリコン膜のエッチングレートが急激にばらつくことも分かった。
これに対し、Ca添加のエッチング液は、上述したNi、Cu添加のエッチング液と比べて、Caの添加量が増えるにつれて、酸化シリコン膜のエッチングレートのばらつきが小さく抑えられることが分かった。また、Al、Pb添加の各エッチング液についても、このCa添加のエッチング液と同様の挙動を示した。これらのことから、Ca、Al、Pbの添加量が増えるにつれて、酸化シリコン膜のエッチングレートのばらつきを効果的に低減できることが分かった。
特に、Ca、Al、Pbの添加量を1000ppbとした場合には、酸化シリコン膜はほとんどエッチングされておらず、酸化シリコン膜のエッチングによる膜減り量を有効に抑制できることも分かった。
なお、上述した本発明のエッチング液は、表面が(100)面であるシリコン基板を異方性エッチング加工する際に好適に用いられるものであるが、異方性エッチング加工後のシリコン基板は、例えば、インクジェット式記録ヘッド等の液体噴射ヘッド、圧力センサ用ダイアフラム等の機器を構成する部材として用いられる。以下、本発明を液体噴射ヘッドの1つであるインクジェット式記録ヘッドの製造方法を例示して説明する。
(実施形態2)
図3は、液体噴射ヘッドの1つであるインクジェット式記録ヘッドの要部拡大断面図である。図3に示すインクジェット式記録ヘッドは、駆動手段に静電気力を利用したヘッドであり、具体的には、一方面が(100)面であるシリコン基板からなりその一方面側にインク滴を吐出する複数のノズル開口11に連通する圧力発生室(キャビティ)12等が並設されたキャビティ基板10を具備する。また、キャビティ基板10には、圧力発生室12のノズル開口11が連通する一端部とは反対側の他端部に連通するインク供給路13が設けられ、このインク供給路13の圧力発生室12側とは反対側には、各圧力発生室12に共通なインク室となる共通インク室14が設けられている。さらに、圧力発生室12の底壁は、詳細は後述するが、圧力発生室12に圧力変化を生じさせる振動板15となっている。
このようなキャビティ基板10の一方面には、接合基板20が接合されている。これにより、キャビティ基板10と接合基板20との間には、ノズル開口11に連通する圧力発生室12が画成され、さらに、この圧力発生室12にインク供給路13を介して各圧力発生室12の共通インク室14が連通したインク流路が形成される。
なお、接合基板20には、共通インク室14に対応する位置にインク導入口21が貫通して設けられている。そして、このインク導入口21には、一端部が図示しないインクタンクに接続されたインク導入部材50の他端部が接続されるようになっている。これにより、共通インク室14内には、インク導入部材50及びインク導入口21を介してインクが供給される。
一方、キャビティ基板10の他方面側には、電極31を有する電極基板30が接合されている。この電極基板30のキャビティ基板10に接合される側の表面には、凹部32が設けられ、この凹部32に電極31が形成されている。これにより、キャビティ基板10と電極基板30とを接合した状態においては、電極31とキャビティ基板10との間に所定の隙間35が設けられる。
このような構成のインクジェット式記録ヘッドでは、キャビティ基板10の端部と電極31とに駆動電圧パルスを印加する発振回路40が接続されており、この発振回路40によって電極31とキャビティ基板10との間の隙間35に静電気を発生させて、キャビティ基板10の圧力発生室12に対応する振動板15を図中上下に振動させる構造となっている。この振動板15の振動によって、圧力発生室12の容積が増減し、これによって圧力発生室12内のインクに圧力変化を生じさせ、圧力発生室12に連通しているノズル開口11からインク滴が吐出する。
以下、図4を参照して、上述したインクジェット式記録ヘッドの製造工程を説明する。なお、図4は、図3の圧力発生室の幅方向の要部拡大断面図である。まず、図4(a)に示すように、表面が(100)面であるシリコン基板からなるキャビティ基板10を熱酸化し、その外周面に酸化シリコン膜100を形成する。次に、図4(b)に示すように、酸化シリコン膜100をパターニングして、圧力発生室12が形成される領域に開口部111を有する所定形状のマスクパターン110を形成する。
次で、図4(c)に示すように、キャビティ基板10に圧力発生室12等を形成する。具体的には、キャビティ基板10の一方面側に形成したマスクパターン110を介して、その一方面側にエッチング液を供給し、開口部111を介して露出したキャビティ基板10を異方性エッチングする。このときのエッチング液の加熱温度は、例えば、100℃以下、好ましくは80℃以下であるのがよく、本実施形態では、65℃とした。これにより、エッチング液に含まれる溶媒の蒸発量が小さく抑えられ、エッチング液の組成変動を防止することができる。また、エッチング液としては、上述した実施形態1で説明したエッチング液であれば特に限定されないが、例えば、本実施形態では、含有金属不純物を低減させた状態で販売されているKOHと純水とエタノールとからなるアルカリ性水溶液にCa、Al、Pbの各金属を所定量添加することで得たKOH濃度25w%のエッチング液を用いた。
次に、図4(d)に示すように、キャビティ基板10の酸化シリコン膜100及びマスクパターン110を除去する。これにより、圧力発生室12等が形成されたキャビティ基板10が製造される。なお、その後は、図示しないが、このキャビティ基板10の圧力発生室12等が形成された一方面側に接合基板20を接合すると共に、キャビティ基板10の他方面側に電極基板30を接合することで、図3に示すようなインクジェット式記録ヘッドが完成する。
以上説明したように、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドの製造方法では、エッチング液に所定の金属が添加されているので、キャビティ基板10に圧力発生室12等を形成する際の、少なくとも、マスクパターン110(酸化シリコン膜100)のエッチングレートのばらつきを低減することができる。
これにより、マスクパターン110を形成するのに、酸化シリコン膜100の膜厚を所定の厚さ以上に形成しなくてもよいので、マスクパターン110を形成して圧力発生室12を形成するまでの製造効率を高めることができる。また、マスクパターン110を形成するのに要する時間を短縮することができるため、製造コストを低減することができる。また、マスクパターンを形成させるときのサイドエッチング量を小さくできるため、パターン精度を向上させることができる。
なお、本発明は、上述したインクジェット式記録ヘッドの製造方法に限定されず、例えば、シリコン基板の少なくとも両面に酸化膜を形成し、シリコン基板の一方面側にマスクパターンを形成してその厚さ方向に他方面側の酸化膜に達するまで異方性エッチングし、その他方面側の酸化膜を少なくとも除去せずに、接合基板と電極基板とを接合するようにしてもよい。この他方面側の酸化膜は、振動板となる。この場合、本発明では、少なくとも、振動板のエッチングレートのばらつきを低減することができるため、振動板を所定の厚さで形成することができる。特に、エッチング液として、アルカリ性溶液にCa、Al、Pbをそれぞれ1000ppb添加することで作られたエッチング液を用いることで、マスクパターンだけでなく振動板の少なくとも圧力発生室側の面がエッチングされるのを有効に防止することができる。これにより、振動板の振動特性がばらついてしまうのを有効に防止することができる。したがって、ヘッドのインク吐出特性のばらつきを有効に防止することができる。
シリコン基板の要部拡大断面図である。 各金属の添加量とエッチングレートのばらつきとの関係を示すグラフである。 インクジェット式記録ヘッドの要部拡大断面図である。 圧力発生室の幅方向の要部拡大断面図である
符号の説明
1 シリコン基板、 2 酸化膜、 3 マスクパターン、 4 凹部、 10 キャビティ基板、 20 接合基板、 30 電極基板、 40 発振回路

Claims (7)

  1. 酸化膜からなる所定形状のマスクパターンを介してシリコン基板をウェットエッチングする際に用いられ、且つNi、Cuの濃度が200ppb以下であるアルカリ性溶液に500ppbから1000ppbのCaが添加されていることを特徴とするエッチング液。
  2. 請求項1において、前記Caの添加量が、1000ppb以上であることを特徴とするエッチング液。
  3. 請求項1、2の何れかにおいて、前記アルカリ性溶液が、KOHを少なくとも含有する水溶液であることを特徴とするエッチング液。
  4. 酸化膜からなる所定形状のマスクパターンを介してシリコン基板をウェットエッチングする際に用いられ、且つNi、Cuの濃度が200ppb以下であるアルカリ性溶液に500ppbから1000ppbのCaを添加して製造することを特徴とするエッチング液の製造方法。
  5. シリコン基板の一方面側に形成される酸化膜からなる所定形状のマスクパターンを介して前記シリコン基板をウェットエッチングして、液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室とその圧力発生室に対して圧力変化を生じさせる振動板とを形成する第1工程と、前記シリコン基板の他方面側に電極を有する電極基板を接合する第2工程とを少なくとも有し、前記第1工程では、Ni、Cuの濃度が200ppb以下であるアルカリ性溶液に500ppbから1000ppbのCaが添加されたエッチング液を、前記マスクパターンを介して前記シリコン基板の一方面側に接触させて前記ウェットエッチングを実施することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  6. 請求項5において、前記第1工程では、前記エッチング液を100℃以下の温度として前記ウェットエッチングを実施することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  7. 請求項5,6の何れかにおいて、前記第1工程では、前記酸化膜として前記シリコ
    ン基板の一方面を酸化することで酸化シリコン膜を形成することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
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