JP4630521B2 - 使い捨てオムツ - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明はイラストを備えた使い捨てオムツであって、さらに詳しくは折り畳まれたオムツを広げることによって、イラストが変化する使い捨てオムツに関する。
【０００２】
【従来の技術】
オムツ交換を嫌がって暴れる赤ちゃんのオムツを換えることは、交換者にとって、体力的、精神的に大きな負担である。そして、このような負担を軽減するために、子供が喜ぶであろうと考えられる絵柄をオムツに付すようなことが行われている。実際に、かわいらしいキャラクターの絵柄を表裏に付したような紙オムツも出回っている。
【０００３】
しかしながら、このような紙オムツには、実際には、期待したほどの効果はなく、実際には、乳幼児（特に、手足が動かせる、ハイハイができる、歩いたり、走ったりできる、というような運動レベルに発達した子供）は、オムツ換えを嫌がり、逃げたり暴れたりするので、交換者のオムツ換え負担の問題は解決されていなかった。
【０００４】
なお、これに関する従来例としては、以下のようなものがある。
【０００５】
特許文献１には、交換者が子供を楽しませたり、トイレトレーニングをする子供のモチベーションを高める目的で、描かれたイラストのインパクトを弱めないように、バックシートにおける不織布の光透過率を８０％以上にしたものが記載されている。
【０００６】
また、この特許文献１には、体重１５ｋｇ以上の幼児を対象としたトレーニングパンツに、子供のトイレトレーニングのモチベートを向上させるために、濡れたら消えるお知らせデザインを取り入れたものも記載されている。
【０００７】
【特許文献１】
国際公開第０１／４９２３０号パンフレット
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来例にあっては、「子供＋パンツ」の意匠性が、母親を満足させているというだけであって、期待するほど、子供心を惹きつけてはいない。こうしたことから実際は、子供の興味や関心が他に行ってしまうような事態も生じていた。
【０００９】
本発明は以上のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、母親を満足させるのではなく、知能がある程度発達した乳幼児の興味・関心を確実に惹きつけ、オムツ交換時の労力の負担を軽減することができるような形態の使い捨てオムツを提供することにある。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
以上のような課題を解決するために、本発明においては、図柄を使い捨てオムツの表、裏の少なくともいずれかの面に配置し、オムツを折り曲げた状態で少なくとも図柄の一部が隠れており、着用時に広げることによって現れる、あるいは、オムツを折り曲げた状態で見えている絵柄が着用時に広げることによって、別の図柄が現れることで変化が楽しめるオムツとし、このオムツを心理発達の成長段階にあった幼児に提供するものである。
【００１１】
ここで、一般的に言われていることとして、乳幼児の視力は６ヶ月で０．０４〜０．０８、１２ヶ月で０．２〜０．２５、２４ヶ月で０．５から０．６程度しかなく、キャラクターの違いがわかるのは１歳を過ぎてからである。また、出願人らの独自の調査により、「特に、６ヶ月〜１７ヶ月の幼児は、ガラガラや吊るしメリーといった、音が出たり、カラフルに色づけされた、おもちゃの動きを興味深く眺め、特に、１８ヶ月〜２４ヶ月の幼児は、イナイイナイバアといった、簡単なストーリー展開を認識して喜ぶ」ということが判明した。
【００１２】
これに関して言えば、濡れたら消えるお知らせデザインなどというものがあるがゆえに、ある程度知能の発達した子供などは、目的とすべき「オムツ離れ」とは違った方向に誘導されてしまう（例えば、色が変わるのを面白がって、オムツにわざとおしっこをする）可能性を否定できない。子供のオムツ使用において起こりうるであろう、幅広い状況、子供の行動パターンの中での、問題行動に基づいて活路を見出したというのは、出願人らの大いなる成果である。
【００１３】
更に言えば、オムツ交換時における交換者（特に母親）の体力的、精神的負担を低減し、子供の健全な発育を促進させるため、オムツ交換時における親子のコミュニケーションの質を向上させる工夫が必要であるが、これらの背景からオムツを使用する月齢の幼児を喜ばせるには、数多くのイラストバリエーションよりも、子供を喜ばせたいそのときに、動きがあって、ドラスティックな変化を与えることが重要であるということが、本出願人らの研究によって明らかになり、それに基づいて本発明を完成するに至ったのである。そして、この工夫は、楽しくオムツ換えができ、子供の心理発達に悪い影響を与えにくいものとなりうる。
【００１４】
より具体的には、本発明においては以下のようなものを提供する。
【００１５】
（１） 所定のイラスト表示がなされているイラスト表示部を少なくとも一つ備える使い捨てオムツであって、前記イラスト表示部には、所定の図柄が配置されており、前記使い捨てオムツが所定の形で折り畳みをしたときに、前記図柄の少なくとも一部が隠れており、着用する際に広げることによって、隠れた図柄が露出するように配置されたものである使い捨てオムツ。
【００１６】
本発明によれば、イラスト表示部が使い捨てオムツに少なくとも一つ以上存在しており、該イラスト表示部に表示されている各イラストの間には、所定の形で折り畳みをしたときに所定の図柄が配置されているので、オムツを折り畳んだ状態で隠された図柄の一部がオムツを着用する際に、オムツを広げることによって図柄が現れる。あるいは、別の図柄に変化することになる。このように、オムツの片面にある一番目のイラストを見せて、次にオムツを広げて２番目のイラストを子供に見せることによって、図柄の変化とストーリーの展開を認識させて興味を抱かせることができる。
【００１７】
ここで、着用する際に広げるとは、所定の形で折り畳んだおむつを着用時に展開することを意味する。
【００１８】
（２） 前記図柄は、使い捨てオムツが着用された際に、「自然な形態」で前側領域になる着用時腹側表示面、または後側領域になる着用時背側表示面に配置されており、使い捨てオムツを所定の形に折り畳んだときに、所定の図柄が形成されるように各イラストが配置されている（１）記載の使い捨てオムツ。
【００１９】
本発明によれば、オムツに表示された図柄は、着用された際に、「自然な形態」で前側領域になる着用時腹側表示面、または後側領域になる着用時背側表示面に配置されており、使い捨てオムツを所定の形に折り畳んだときに、前記図柄の少なくとも一部が隠れており、着用することによって隠れた図柄が露出するように配置されているので、折り畳まれた状態では図柄が明確に認識できないが、広げることによって、「自然な形態」で前側領域になる着用時腹側表示面、または後側領域になる着用時背側表示面に表示された図柄が現れてきて、明確に認識できるようになる。これによって、オムツを取り替える際に幼児にどのような図柄が現れるのかについて興味を持ち、それに母親が答えることにより、互いの声かけ、アイコンタクトが自然に増えるので、コミュニケーションの質が向上することになる。
【００２０】
なお、「表示面」というのは、使い捨てオムツを、ある「自然な形態」としたときに、当該ある「自然な形態」に対応して使用者の目に見えることとなる表面のことを意味する。「自然な形態」とは、オムツがパッケージに挿入されている際の折り曲げられた状態、広げられた状態、パッケージに挿入されている状態から、装着に適した状態に広げられる過程の中の途中状態すべてを意味し、「表面」というのは、使用者の目に見えるところを意味する。使い捨てオムツが「自然な形態」となっているときには、その「自然な形態」に対応して表面に現出する、使い捨てオムツが自然な形態であるときに使用者に見える表面である表示面が、使用者の目に付くことになる。
【００２１】
尚、オムツを所定の形で折り畳まれた状態とは、ウエスト開口部に並行な折れ線で、腹側−腹側、背側−背側いずれかのアウター外側同士が接触するように折る方法、ウエスト開口部に並行な折れ線に沿って、オムツのウエスト開口部を内側から外側へ一部折り返す方法、ウエスト開口部に垂直な折れ線で腹側−腹側、背側−背側のいずれかのアウター外側同士が接触するように折る方法、ウエスト開口部に垂直な折れ線に沿って、内側に折り込む方法、及びこれらの折り畳み方法を組み合わせた方法で折り畳まれた状態を意味する。
【００２２】
（３） 前記使い捨てオムツは，ウエスト開口部に並行する折れ線で、腹側−腹側、背側−背側いずれかのアウター外側同士が接触するように折る方法、ウエスト開口部に並行する折れ線に沿って、オムツのウエスト開口部を内側から外側へ一部折り返す方法、ウエスト開口部にほぼ直交する折れ線で腹側−腹側、背側−背側のいずれかのアウター外側同士が接触するように折る方法、ウエスト開口部にほぼ直交する折れ線に沿って、内側に折り込む方法、及びこれらを組み合わせた方法で折り畳まれたものである（１）または（２）に記載の使い捨てオムツ。
【００２３】
ここで、腹側とは着用時に身体の腹側に位置する側を意味し、背側とは着用時に身体の背側に位置する側を意味する。
【００２４】
（４） 前記着用時腹側表示面、または前記着用時背側表示面に、それ単独で完成された一連の第１の図柄が配置された第１面があり、該第１面とは異なる面に、第２の図柄が配置された第２面があり、このオムツを所定の形に折って、第１面の第１の図柄の一部または全てを覆うように、第２面の第２の図柄の少なくとも一部を重ねることにより、第１面に配置された図柄と異なる、一連の第３の図柄が完成することを特徴とする、（１）から（３）いずれか記載の使い捨てオムツ。
【００２５】
本発明によれば、オムツを着用した際の着用時腹側表示面、または着用時背側表示面に、それ単独で完成された一連の第１の図柄が配置された第１面があり、該第１面とは異なる面に、第２の図柄が配置された第２面があり、このオムツを所定の形に折り畳んで第１面の第１の図柄の一部または全てを覆うようにして、第２面の第２の図柄の少なくとも一部を重ねることにより、第１面に配置された図柄と異なる一連の第３の図柄が形成されるので、着用時のオムツが折り畳まれた状態では、幼児は第３の図柄を認識しているが、オムツを広げることにより第３の図柄は少しづつ形を変えていき、完全にオムツを広げると第１面に表示された第１の図柄に変化することになる。これにより、最初に認識した図柄がオムツを広げるにつれて図柄が変化していき、最終的には別の図柄になるといった図柄の変化に幼児は興味を持つことになる。さらに、この変化する図柄がストーリー性を有するものにすることにより、より一層興味を持せることになる。
【００２６】
（５） 前記第１の図柄が配置された第１面と、第２の図柄が配置された第２面とが前記着用時腹側表示面と、前記着用時背側表示面との関係であって、第１面のバックシート外面同士が接するようにして所定の形に折り畳み、第１面の第１の図柄の一部または全てを覆うようにして、第２面の第２の図柄の少なくとも一部を重ねることにより、第１面に配置された図柄と異なる一連の第３の図柄が形成された（４）に記載の使い捨てオムツ。
【００２７】
本発明によれば、オムツを着用した際の着用時腹側表示面、または着用時背側表示面のいずれか一方に、それ単独で完成された一連の第１の図柄が配置された第１面があり、該第１面とは異なる表示面に、第２の図柄が配置された第２面があり、この第１面と第２面はオムツを着用した際の着用時腹側表示面と着用時背側表示面との関係にあって、しかも、このオムツを所定の形に折り畳んで第１面の第１の図柄の一部または全てを覆うようにして、第２面の第２の図柄の少なくとも一部を重ねることにより、第１面に配置された図柄と異なる一連の第３の図柄が形成されるので、第１面のバックシート外面同士が接するようにして所定の形に折り畳むことで第２の図柄が形成されている。従って、着用時のオムツが折り畳まれた状態では、第３の図柄が見えることになるので、幼児はまず第３の図柄を認識しているが、オムツを広げることにより第３の図柄は少しづつ形を変えて、完全にオムツを広げると第１面に表示された第１の図柄に変化することになる。これにより、幼児は最初に認識した図柄が、オムツを広げるにつれて次第に変化していき、最終的には別の図柄になるといった図柄の変化に興味を持つことになる。さらに、この変化する図柄がストーリー性を有するものにすることにより、より一層興味を持つことになる。
【００２８】
この際の折り畳み方法としては、ウエスト開口部に並行な折れ線、または、ウエスト開口部に垂直な折れ線で、腹側−腹側、背側−背側のいずれかのアウター外側同士が接触するように折る、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【００２９】
（６） 上記使い捨てオムツは、ウエスト開口部に並行する折れ線、または、ウエスト開口部にほぼ直交する折れ線で、腹側−腹側、背側−背側のいずれかのアウター外側同士が接触するように折る、またはこれらの組み合わせた折り方で折り畳まれたものである（５）に記載の使い捨てオムツ。
【００３０】
（７） 前記第１の図柄が配置された表示面の着用した際に肌に接触するオムツの内面に、第２の図柄が配置された第２面を有する使い捨てオムツであって、該オムツのウエスト開口部を、該ウエスト開口部に並行する折れ線に沿って、内側から外側へ一部折り返して、第１の図柄の上に第２の図柄の少なくとも一部を重ねることによって、第１面に配置された図柄と異なる第３の図柄を形成している（１）から（３）いずれか記載の使い捨てパンツオムツ。
【００３１】
本発明によれば、使い捨てオムツのウエスト開口部部分を該開口部に並行な折れ線に沿って、第２の図柄が表示されたオムツの内側面が外側にくるように折り返して第１の図柄の上に第２の図柄の少なくとも一部を重ねて第１の図柄とは異なる第３の図柄を形成しているので、オムツをウエスト開口部部分でウエスト開口部に平方する線に沿って折り曲げられた部分を広げて自然な状態とした際に、折り畳まれて表示されている第３の図柄と異なる第１の図柄と変化する。これによって、前述のように幼児はまず最初に認識した図柄がオムツを広げるにつれて図柄が変化して、最終的には別の図柄になるといった図柄の変化に興味を持つことになる。さらに、この変化する図柄がストーリー性を有するものにすることにより、より一層興味を持つことになる。
【００３２】
（８） 前記図柄は、複数の前記サブイラスト表示部に表示されている各イラストの間で簡単なストーリーを表現するものである（１）から（７）いずれか記載の使い捨てオムツ。
【００３３】
本発明によれば、着用時に折り畳んだオムツを広げる際、折り畳まれた状態で認識できる図柄が、オムツを広げていくにつれて図柄が変化し、オムツを完全に広げた際には別の図柄へと変化するので、幼児はこの図柄の変化に興味を持つことになるが、さらに、この図柄の変化がストーリー性を表現するものであれば、一層興味を持つことになる。
【００３４】
（９） 前記ストーリー性は、前記第１の図柄から前記第３の図柄で構成され、前記第３の図柄がストーリー上の一番目、前記第１の図柄がストーリー上の二番目、前記第２の図柄がストーリー上の三番目の順である（８）記載の使い捨てオムツ。
【００３５】
本発明によれば、上記の第１の図柄、第２の図柄、および第３の図柄はストーリー性を有し、さらにそのストーリーの内容が、折り畳んだ状態で表示されている第３の図柄、広げた状態でオムツの表示面に表示された第１の図柄、広げた状態で第１の図柄が表示された別の表示面に表示された第２の図柄の順にストーリー性が構成されているので、オムツを着用するに当たり、折り畳んだ状態から広げるにつれて第３の図柄から第１の図柄に変化し、さらに、広げた状態で別の表示面、例えば裏側を見せることにより第２の図柄と変化し、ストーリーが認識されることになる。さらに、母親がこの図柄の変化について話しかけることにより、コミュニケーションの質も向上する。
【００３６】
（１０） 月齢３６ヶ月以下幼児用使い捨てオムツである（１）から（９）いずれか記載の使い捨てオムツ。
【００３７】
本発明の使い捨てオムツは、図柄を識別して、簡単なイラストのストーリー性に特に興味を示す幼児を対象とするものであって、この対象となる幼児は月齢が３６ヶ月以下である。
【００３８】
（１１） 体重１５ｋｇ未満の幼児用使い捨てオムツである（１）から（１０）いずれか記載の使い捨てオムツ。
【００３９】
本発明の使い捨てオムツは、図柄を識別して、簡単なイラストのストーリー性に特に興味を示す月齢３６ヶ月以下の幼児を対象とするものであって、この対象者は通常体重が１５ｋｇ未満である。
【００４０】
（１２） 前記使い捨てオムツがパンツ型オムツである（１）から（１１）いずれか記載の使い捨てオムツ。
【００４１】
（１３） 前記使い捨てオムツがテープ型オムツである（１）から（１１）いずれか記載の使い捨てオムツ。
【００４２】
本発明の使い捨てオムツは、テープ型のオムツやパンツ型のオムツに適用できる。ここで、テープ型オムツとは、止着テープで、脇を止めることによって装着できる形状のオムツをいう。
【００４３】
【発明を実施するための形態】
図１、２はこの発明の実施の形態を示す図である。
【００４４】
図１で示されるのはオムツである。オムツ１の構成は特に限定しないが、例えば、ウエスト開口部２と脚開口部３を有するアウター部４と、アウター部４の股間部近傍に具備された、インナー部５からなり、インナー部５をアウター部４に接着して、オムツ１を形成することができる。アウター部４とインナー部５を組み立てる際には、ヒートシール、超音波シール、ホットメルト接着剤などを用いることができる。
【００４５】
インナー部５は、肌接触面に具備されたトップシートと吸収体からなる。トップシートには、親水性の不織布や、開孔プラスチックなどの液透過性シートを用いる。ここでいう不織布は、スパンボンド、スパンレース、ニードルパンチ、メルトブローン、サーマルボンド、ケミカルボンド、エアースルーなどの製法で作られたもので、不織布の繊維には、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系の繊維、または、ポリエチレン、ポリプロピレンやエステルで形成された、シースコア型複合繊維、または、サイドバイサイド型繊維を使うことができる。
【００４６】
吸収体は、親水性繊維と高吸収性ポリマーからなる。親水性繊維は、パルプ、レーヨン、アセテート、コットン等の吸収性繊維、熱可塑性合成樹脂繊維を親水化した繊維などが採用される。保持した体液を漏らさないために、プラスチックフィルムを具備することができる。
【００４７】
アウター部４は、耐液性、肌触りのよさ、通気性を両立させる為、１枚または複数のシートから構成される。例えば、疎水性の不織布、不透水性のプラスチックフィルム、これらを貼り合わせたシートを用いることができる。上記プラスチックフィルムは、フィラーを混入した後、延伸することで、通気性、透湿性を高めることができる。
【００４８】
オムツ１の胴回りの部分８には、ウエスト開孔部２に沿って、延びる弾性体９が複数設けられている。これら弾性体９，１０はアウター部４を構成する複数のシートの間に設けられており、挟み込んだ２枚のシートの間に弾性体が伸長した状態で、ホットメルトによって接合されている。
【００４９】
弾性体９，１０としては、天然ゴム、合成ゴム、熱可塑性合成樹脂からなるプラスチックシートが採用可能である。
【００５０】
図柄１１は、オムツ１を装着したときの着用時腹側表示面、着用時背側表示面になる位置のいずれかまたは両方において、アウター部４の外から見える位置に配置している。
【００５１】
次に、図３から図７でオムツ１を折り畳んだ状態と開いた状態とにおける図柄の変化の状況およびオムツの折り畳み方法について説明する。
【００５２】
図３は、上記の第１の実施形態を示すもので、オムツ１の着用時腹側には、図３（ｂ）に示すように第１の図柄である図柄１１が表示されたもので、オムツ１が所定の方法で折り畳まれた状態では、図３（ａ）に示すように第１の図柄である図柄１１の一部が隠れた状態であり、着用するために、オムツを広げることによって、図３（ｂ）に示すように着用時腹側表示面に図柄１１の全体が現れる。
【００５３】
また、図４は、図３の第１の実施形態の別の態様を示すもので、図４（ａ）に示すように、オムツ１が所定の方法で折り畳まれた状態では第１の図柄１１は隠されており、着用するためにオムツを広げることによって図４（ｂ）に示すように着用時腹側表示面に図柄１１の全体が現れる。
【００５４】
また、図５は、上記の第２の実施形態を示すものであって、オムツ１の着用時腹側には、図５（ｂ）に示すように第１の図柄である図柄１１が表示され、着用時背側には、図５図（ｃ）に示すように第２の図柄である図柄１３が表示されたものであって、オムツ１が所定の方法で折り畳まれた状態では、図５（ａ）に示すように実質完成された別の図柄１４（第３の図柄）が存在している。従って、このオムツを着用するために、オムツを広げると、図５（ｂ）に示すように着用時腹側表示面に図柄１１の全体が現れる。
【００５５】
また、図６は、図５の第２の実施形態の別の態様を示すもので、オムツ１の着用時腹側には、図６（ｂ）に示すように図柄１１（第１の図柄）が表示され、着用時背側には、図６（ｃ）に示すように図柄１３（第２の図柄）が表示されたものであって、オムツ１が所定の方法で折り畳まれた状態では、図６（ａ）に示すように図柄１１とは関係のない別の図柄１４（第３の図柄）が存在している。従って、オムツを着用する際に、オムツを広げると、図６（ｂ）に示すように着用時腹側表示面に図柄１１の全体が現れる。この場合、前述折り畳まれた状態で実質完成された図柄１４は、図柄１１の一部と組み合わせて完成された図柄でも、図柄１１と全く共通しない図柄でもよい。
【００５６】
尚、上記のこれら実施形態は、図柄１１（第１の図柄）が着用時腹側に表示されてオムツを腹側方向に折り畳むようにしているが、図柄１１（第１の図柄）が着用時背側に表示されてオムツを背側方向に折り畳むようにしてもよい。
【００５７】
図柄１４の一部もしくは全体は、オムツ１を所定の方法で折り畳まれたときに、図柄１４を外側から確認できるよう、外郭外面、または、外郭内面に配置することができる。上記所定の折り方法は、図７に示したような方法を使うことができる。即ち、▲１▼ウエスト開口部２に並行な折れ線で、腹側−腹側、背側−背側のいずれかのアウター部４外側同士が接触するように折る方法（図７（ａ））。この場合は、オムツの腹側に表示された図柄１４に、背側に表示された図柄が重なりあって、別の図柄１４が完成する。▲２▼ウエスト開口部２に並行な折れ線に沿って、オムツのウエスト開口部を内側から外側へ一部折り返す方法（図７（ｂ））。この場合は、腹側に表示された図柄１１に、オムツ１の内側に表示された図柄が重なりあって、別の図柄１４が完成する。▲３▼ウエスト開口部２に垂直な折れ線で腹側−腹側、背側−背側のいずれかのアウター部４外側同士が接触するように折る方法（図７（ｃ）（ｄ））。この場合、（ｃ）のように、腹側に表示された図柄１１に、オムツ１の内側に表示された図柄が重なりあって、別の図柄１４が完成する。また、（ｄ）のように、背側には図柄が表示されていないので、腹側に表示された図柄１１が隠れる。▲４▼ウエスト開口部２に垂直な折れ線に沿って、内側に折り込む方法（図７（ｅ））。この場合、腹側に表示された図柄１１は、オムツ１が折れ線に沿って、内側に折り込まれ、折り込まれた中に隠れる。このように、折り方法と腹側または背側に表示する図柄とを適宜設定することにより、任意に折り畳まれたオムツを広げて図柄を変化させることが出来る。
【００５８】
また、オムツを折り畳むことで実質完成された図柄１４と、腹側、背側に描かれた図柄１１が、簡単なストーリー性を持つと、交換者が見せた際に子供が喜ぶので一層好ましい。
【００５９】
図柄の配置方法は、図柄を見る側から見て、一番外側の不織布、またはフィルムに直接印刷されていてもよいし、あらかじめ図柄を印刷したフィルムを貼り付けても良い。また、これらの図柄は、４ｃｍ四方の枠外で配置されていることが望ましく、さらに好ましくは、ＪＩＳ Ｚ８７２６に示されるＬ^＊ａ^＊ｂ^＊表色系のａ^＊またはｂ^＊の絶対値が２０以上の色が少なくとも１色以上用いて描かれていることが望ましい。オムツのターゲット月齢（３６ヶ月以下）の乳幼児は、６ヶ月で０．０４〜０．０８、１２ヶ月で０．２〜０．２５、２４ヶ月で０．５〜０．６程度の視力であるため、上記で指定した大きさより小さい、上記で指定した色相の色よりも色相の低い色のみで描かれた絵柄は、視力が未発達な幼児には認識しにくいといわれている。
【００６０】
物理的摩擦による印刷の脱落を防ぐ為に、上から不織布を貼り付けてもよい。この際、図柄がよく透けて見えるよう、不織布の目付は５ｇ／ｍ^２以上２５ｇ／ｍ^２未満が望ましい。アウター部外側表面の一部には、オムツを廃棄する際に丸めて止める為のテープ１４が接着されている。子供が接着中にいたずらをしないために、実質背側にあたる表面に具備されているほうが好ましく、また、使用後のオムツを確実に処理する為に、テープ１４は二つ以上具備されていてもよい。
【００６１】
テープ１４は、プラスチックフィルムに粘着剤が塗布されており、つかみ部を確保する為に、片端に粘着剤非塗工部が存在する。テープ１４は外郭外側表面に直接固定された、離形性のあるフィルム上にテープ１４の粘着剤が当たるように具備されている。必要なテープ長さを確保できるよう、Ｚ折り形状に固定していても良いし、伸縮性のあるテープ基材を用いても良い。このテープ１４は、外郭外側表面に配置された図柄に重ならない、もしくは、少なくとも、図柄にかかる部分が透明な方が、イラストが見やすくなるので、好ましい。
【００６２】
ここで、本実施例におけるオムツの交換時に使用したときの母子コミュニケーション評価の結果を示す。
【００６３】
以下のサンプルを用いてオムツ交換を行った(図８）。
【００６４】
【表１】

【００６５】
イラストはほぼ中央に、８ｃｍ×８ｃｍの枠いっぱいに収まる大きさに配置した。
【００６６】
以下の過程をオムツ交換の時間とした。
【００６７】
【表２】

【００６８】
オムツの交換時間内のコミュニケーションを定量化するために、母子相互作用という指標を用いた。
【００６９】
【数１】

【００７０】
シグナル値とは、子供、または母親から発信されて泣く、笑う、声を発する、など自身の意思を相手に伝えるための働きかけ全てを指す。
【００７１】
子供から発信された場合を１とし、喜び、快感等ポジティブな感情に伴うものをプラス、不快、苦痛等ネガティブな感情につながるものをマイナスと定義した。この具体例を図９に示す。さらに、この子供から発信されたシグナルに対する母親のレスポンスが認められた場合、その絶対値を２とカウントした。
【００７２】
例えば、母親が子供を誘導している間、泣いて逃げた子供を母親が押さえつける状況が３０秒、新しいオムツに取り替えている間に子供が笑い、母親が声をかける状況が２０秒、母親がオムツを捨てに行っている間、子供がバブバブと機嫌よく声を発しているのが１０秒であった場合、
【００７３】
【数２】
母子相互作用値＝（−２）×３０＋（＋２）×２０＋（＋１）×１０＝−１０
となる。
【００７４】
母子相互作用値がプラス方向に数字が高いほど、母と子のコミュニケーションがより長時間継続したことを意味する。
【００７５】
上記サンプル、方法で、６ヶ月以上１２ヶ月未満、１２ヶ月以上１８ヶ月未満、１８ヶ月以上２４ヶ月未満、２４ヶ月以上３６ヶ月未満の幼児と母親各２親子に検証を行った結果を図１０に示した。
【００７６】
母子相互作用値は、従来例≪実施例１＜実施例２の順に高く、従来例より実施例のほうが、オムツ換え時間中に、より質の高いコミュニケーションが取れることが証明された。
【００７７】
オムツを折り畳んだ状態、広げた状態で現れる複数の絵柄の関連性は、例えば以下のものを挙げることができる（図１１〜２０）。
【００７８】
【表３】

【００７９】
これによって、折り畳まれたオムツを開くことによって、隠れた図柄が出てくる。また、折り畳まれた状態において、全体に図柄があることによって、２コマのストーリー展開が表現できる。
【００８０】
次に本発明に係る使い捨てオムツの第二の実施形態について説明する。
【００８１】
図２１は、本発明に係る使い捨てオムツの第二の実施形態を示す図で、図２２は、図２１の別の実施態様を示す図である。
【００８２】
図２１で示されるのは、図柄がオムツのアウター部に表示された、止着テープ２２で脇を止めることによって装着できる形状のオムツ１６である。当該おむつ１６は、オムツの構成は特に限定しないが、装着した際に胴回り部分を構成する胴回り部１７、１７'を上下に有し、装着した際に脚部を形成する切り込みが形成された中間部１８を有する形状であって、装着した際に、図１に示すオムツのインナー部に相当する部分には肌接触面（身体面側）となるトップシートと吸収体からなる（図示せず）。
【００８３】
トップシートには、前述の実施形態で説明したように、親水性の不織布や、開孔プラスチックなどの液透過性シートを用いる。ここでいう不織布は、スパンボンド、スパンレース、ニードルパンチ、メルトブローン、サーマルボンド、ケミカルボンド、エアースルーなどの製法で作られたもので、不織布の繊維には、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系の繊維、または、ポリエチレン、ポリプロピレンやエステルで形成された、シースコア型複合繊維、または、サイドバイサイド型繊維を使うことができる。
【００８４】
また、吸収体は、トップシートの裏面側（反身体面側）に配置された前述したと同じく親水性繊維と高吸収性ポリマーからなる。親水性繊維は、パルプ、レーヨン、アセテート、コットン等の吸収性繊維、熱可塑性合成樹脂繊維を親水化した繊維などが採用される。保持した体液を漏らさないために、プラスチックフィルムを具備することができる。
【００８５】
また、反身体面側のアウター部１９は、耐液性、肌触りのよさ、通気性を両立させる為、１枚または複数のシートから構成されるバックシートからなる。例えば、疎水性の不織布、不透水性のプラスチックフィルム、これらを貼り合わせたシートを用いることができる。上記プラスチックフィルムは、フィラーを混入した後、延伸することで、通気性、透湿性を高めることができる。
【００８６】
それぞれの胴回り部１７、１７'の外先端縁には左右方向に亘って延びる弾性体２０が、また、中間部１８の両外端縁には切り込みに沿って延びる弾性体２１が複数設けられている。これら弾性体２０、２１はアウター部１９を構成する複数のシートの間に設けられており、挟み込んだ２枚のシートの間に弾性体が伸長した状態で、ホットメルトによって接合されている。
【００８７】
また、装着した際に後みごろ（背側）となる胴回り部１７には、長手方向の両先端に外方に延びる形で止着テープ２２が取付けられてある。また、装着した際に前みごろ（腹側）となる胴回り部１７'には、長手方向に止着テープ２２'が取付けられてある。尚、これらテープは使用後の後処理用のテープとしての役割を兼ねている。
【００８８】
アウター部１９には、図２１（ｃ）に示すように、胴周り部１７、１７'に図柄２３、２４が表示されている。この種のテープ型オムツは通常折り畳んだ状態で包装等がされているが、この折り畳んだ状態では図２１（ａ）の図柄が表示されている。そして、着用に当たっては折り畳んだ状態から広げることになるが、この際に図１７に示すように矢印に順に絵柄が変化する。すなわち、折り畳んだ状態から下方に広げると図２１（ｂ）に示すように逆さまになった顔のキャラクター２４が現れる。さらに、完全に広げると図２１（ｃ）に示すようにオムツ１６のアウター部１９に顔の図柄２３、２４がお互いに逆さになった形で現れる。このように、折り畳まれたオムツは広げられるにつれて，図柄が変化していく。
【００８９】
また、図２２は図２１の別の図柄の表示をしたものであって、図２２のテープ型おむつ１６は、図２２（ａ）のようにアウター部の胴回り部（背側）に上下無関係の図柄２５を表示したものである。尚、この表示は図２２（ｂ）のようにアウター部の胴回り部に表示してもよいし、いずれの胴回り部に表示してもよい。尚、当該オムツ１５の構成、材質他は、図１８に示したオムツと同様である。また、図２３（ａ）、図２３（ｂ）に示したように、折り畳まれたオムツが広げられるにつれて、追加されて見える図柄が一連のストーリーを表現しても良い。
【００９０】
このように、折り畳まれたオムツを一つづつ広げることで次の展開を見せると、子供が喜び、それに母親が答えることによって、互いの声かけ、アイコンタクトをとることができる。
【００９１】
これら絵柄の配置方法は、前述の実施形態で説明したように、オムツの外から確認できるように配置されていれば、特に限定されない。例えば、アウター部１９を構成する不織布、またはフィルムに直接印刷されていてもよいし、あらかじめイラストを印刷したフィルムをアウター部１９を構成しているフィルムに貼り付けても良い。また、インナー側に上記の方法で配置されていても良い。
【００９２】
また、止着テ−プ２２，２２'は、アウター部１９の外側表面の絵柄に重ならない、もしくは、少なくとも絵柄にかかる部分が透明な方が、より見やすくなる。
【００９３】
【発明の効果】
以上のような本発明に係る使い捨てオムツによれば、折り畳んだオムツを見せ、次いで、オムツを開いて現れた図柄を見せると、子供が喜び、それに母親が答えることによって、互いの声かけ、アイコンタクトが自然に増えるので、コミュニケーションの質が向上する。母親の子供に対する愛着心が深まり、幼児の健全な発育を促進させることができる。
【００９４】
また、幼児の機嫌が良い状態でオムツ交換できるので、オムツ交換による体力的、精神的負担を低減させる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 実施形態に係る紙オムツの全体構成を示す図である。
【図２】 実施形態に係る紙オムツのキャラクターを示す図である。
【図３】 実施形態に係る紙オムツの第１実施形態の動作を説明するための図で、（ａ）は折り畳まれた状態を示す図であり、（ｂ）は腹側に表示された図であり、（ｃ）は背側に表す図である。
【図４】 図３の実施形態に係る紙オムツの別態様の動作を説明するための図で、（ａ）は折り畳まれた状態を示す図であり、（ｂ）は腹側に表示された図であり、（ｃ）は背側に表す図である。
【図５】 実施形態に係る紙オムツの第２実施形態の動作を説明するための図で、（ａ）は折り畳まれた状態を示す図であり、（ｂ）は腹側に表示された図であり、（ｃ）は背側に表示された図である。
【図６】 図３の実施形態に係る紙オムツの別態様の動作を説明するための図で、（ａ）は折り畳まれた状態を示す図であり、（ｂ）は腹側に表示された図であり、（ｃ）は背側に表示された図である。
【図７】 本発明に係る紙オムツの折り畳み方法を説明する図である。
【図８】 実施例を説明するための図である。
【図９】 実施例の効果を示す図である。
【図１０】 実施例の結果を示す図である。
【図１１】 本発明の好適な一実施形態を示す図である。
【図１２】 本発明の好適な一実施形態を示す図である。
【図１３】 本発明の好適な一実施形態を示す図である。
【図１４】 本発明の好適な一実施形態を示す図である。
【図１５】 本発明の好適な一実施形態を示す図である。
【図１６】 本発明の好適な一実施形態を示す図である。
【図１７】 本発明の好適な一実施形態を示す図である。
【図１８】 本発明の好適な一実施形態を示す図である。
【図１９】 本発明の好適な一実施形態を示す図である。
【図２０】 本発明の好適な一実施形態を示す図である。
【図２１】 本発明に係る紙オムツの第二の実施形態の動作を説明するための図で、（ａ）はオムツが折り畳まれた状態の図であり、（ｂ）はおむつを一部広げた状体の図であり、（ｃ）はオムツを完全に広げた状態のアウター部側の図である。
【図２２】 図２１に示す紙オムツの別の図柄の表示をした実施形態を示す図である。
【図２３】 図２１に示す紙オムツの更に別の図柄の表示をした実施形態を示す図である。
【符号の説明】
１、１６ オムツ本体
２ ウエスト開口部
３ 脚開口部
４ アウター部
５ インナー部
８ 胴回り部分
９、１０、２０、２１ 弾性体
１１、２１ 図柄（第１の図柄）
１２ キャラクター
１３、２３ 第２の図柄
１４ 第３の図柄
１５ 後処理テープ
１７、１７' 胴回り部分
１８ 中間部
２２、２２' 止着テープ

Claims (7)

1. 腹側面および背側面を有すると共にウエスト開口部が設けられた使い捨てオムツであって、
   前記腹側面または前記背側面のうちの一方の面における外面である第１面に第１の図柄が配置され、該第１の図柄が配置された前記腹側面または前記背側面における内面である第２面に第２の図柄が配置されており、
   前記第１の図柄のうちの一部が前記第２面に覆われるように前記ウエスト開口部を折り返した状態において、前記第１の図柄のうちの前記第２面に覆われていない部分と、前記第２の図柄とにより、前記第１の図柄と関連性を有する第３の図柄が形成される使い捨てオムツ。
2. 前記第１の図柄、前記第２の図柄および前記第３の図柄により、簡単なストーリーが表現される請求項１に記載の使い捨てオムツ。
3. 前記ストーリーは、前記第３の図柄がストーリー上の一番目、前記第１の図柄がストーリー上の二番目、前記第２の図柄がストーリー上の三番目の順である請求項２記載の使い捨てオムツ。
4. 月齢３６ヶ月以下幼児用使い捨てオムツである請求項１〜３のいずれか記載の使い捨てオムツ。
5. 体重１５ｋｇ未満の幼児用使い捨てオムツである請求項１〜４のいずれか記載の使い捨てオムツ。
6. パンツ型オムツである請求項１〜５のいずれか記載の使い捨てオムツ。
7. テープ型オムツである請求項１〜５のいずれか記載の使い捨てオムツ。

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