JP4629533B2 - 液圧制御装置及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、パワーステアリング装置に関し、特にモータにより操舵力をアシストする電動パワーステアリング装置に関する。

従来、特許文献1に開示されるパワーステアリング装置は、モータで駆動される可逆式ポンプからの液圧をパワーシリンダの左右のシリンダ室にそれぞれ選択的に供給することにより操舵アシスト力を得ている。よって、モータが直接操舵軸に接続される電動パワーステアリング装置に比べ、同型のモータでより大きなアシスト力を得ることを可能としている。

しかしながら、近年の搭載対象車両の拡大に伴い、大きな操舵アシスト力が必要とされるようになり、更なるモータの出力アップが要求されるようになってきた。そこで、特許文献2に記載の技術では、昇圧回路を用いることにより、モータの出力アップを図っている。また、モータの回転速度に基づき昇圧タイミングを切り換え制御することにより、昇圧回路の動作頻度を抑え、バッテリの消耗を抑制している。
特開2003−137117号公報 特開2003−33077号公報

しかしながら、特許文献1に記載のパワーステアリング装置では、モータ駆動によるポンプの回転により液圧を昇圧させ、この液圧によりパワーシリンダを駆動する構成であるため、液圧が所定値に到達するまではモータ回転速度が速く、この所定値に達した後は、モータ回転速度が低下するという特性となっている。よって、液圧が所定値に到達するまでのモータ回転速度変化が非常に大きく、この回転速度変化が得られないと、所望の液圧が得られずアシスト不足が発生する。ここで、モータ回転速度に基づき昇圧タイミングを切り換え制御した場合、モータ回転速度が所定速度に到達する間に液圧の応答遅れが発生してしまい、所定速度から昇圧を開始しても、所望の液圧応答性や目標の液圧が得られない。また、モータ回転数が所定速度に達した時の液圧の状態によって、昇圧を開始した後の必要なモータ回転速度変化が大きく異なるため、モータ回転速度を急激に上昇させた場合には、十分な電圧の昇圧が得られなかったり、不必要な昇圧を実施する可能性がある。そこで、昇圧を開始するモータ回転速度閾値を低く設定した場合には、不必要な場合においても頻繁に昇圧が実施されるため、昇圧回路の動作頻度が増加し、バッテリの負担が大きくなると言う問題があった。

本発明は、上述の従来の問題点に着目して成されたもので、モータにより油圧ポンプを駆動し、パワーシリンダの両圧力室に対し選択的に油圧を供給して操舵アシスト力を付与する際、バッテリの負担が大きくなることなく、良好な操舵フィーリングを達成可能なパワーステアリング装置を提供することを目的としている。

上述の目的を達成するため、第1の発明のパワーステアリング装置では、ステアリングホイールに接続された操舵軸と、前記操舵軸と転舵輪とを連結する操舵機構に設けられたパワーシリンダと、前記パワーシリンダの両圧力室に対し選択的に油圧を供給する油圧ポンプと、前記油圧ポンプを駆動するモータと、前記転舵輪に与える操舵アシスト力に応じて、前記モータに駆動信号を出力するモータ制御手段と、前記操舵軸の操舵角を検出する操舵角検出手段と、前記モータに電力を供給する電源の電圧を昇圧する昇圧回路と、
前記操舵角検出手段によって検出された操舵角から操舵角加速度を演算又は推定する操舵角加速度演算手段と、前記操舵角加速度演算手段によって算出された操舵角加速度に基づき、前記昇圧回路を駆動制御する昇圧回路制御手段と、を有することを特徴とする。
また第2の発明のパワーステアリング装置では、転舵輪に連結された操舵機構の操舵力を補助するパワーシリンダと、前記パワーシリンダの両圧力室に対し選択的に油圧を供給する油圧ポンプと、前記油圧ポンプを駆動するモータと、前記転舵輪に与える操舵アシスト力に応じて、前記モータにPWMデューティ信号を出力するモータ制御手段と、前記モータに電力を供給する電源の電圧を昇圧する昇圧回路と、前記PWMデューティ信号変化率に基づき、前記昇圧回路を駆動制御する昇圧回路制御手段と、を有することを特徴とする。
また第3の発明のパワーステアリング装置では、転舵輪に連結された操舵機構の操舵力を補助するパワーシリンダと、前記パワーシリンダの両圧力室に対し選択的に油圧を供給する油圧ポンプと、前記油圧ポンプを駆動するモータと、前記転舵輪に与える操舵アシスト力に応じて、前記モータに駆動信号を出力するモータ制御手段と、前記モータに流れる電流値を検出する電流値検出手段と、前記モータに電力を供給する電源の電圧を昇圧する昇圧回路と、前記駆動信号と前記電流値との偏差を演算する電流値偏差演算手段と、前記偏差が所定値以上大きいとき、前記昇圧回路を駆動する昇圧回路制御手段と、を有することを特徴とする。

よって、モータの角加速度に基づき昇圧タイミングを決定するため、昇圧の遅れによるモータの応答性低下や、不必要な昇圧によるバッテリの消耗を防止することができる。

以下に、本発明を実施する最良の形態を実施例として図面に基づいて説明する。

図1は実施例1のパワーステアリング装置の全体構成を表すシステム図である。ステアリングホイールa1には、ステアリングシャフトb1が連結されている。ステアリングシャフトb1には、ユニバーサルジョイントを介して中間シャフトb2が接続されている。中間シャフトb2には、ユニバーサルジョイントを介してピニオンシャフトb3が接続されている。ピニオンシャフトb3上には、ステアリングホイールa1と図外の操向輪との間に作用するトルク(運転者の操舵トルクに相当)を検出するトルクセンサb4が設けられている。また、ピニオンシャフトb3の端部にはピニオンb5が設けられている。このピニオンb5と後述するラック歯23aにより周知のラック&ピニオン機構c1が構成され、ステアリングホイールa1の回転運動を軸方向運動に変換する。

パワーシリンダ20内には、図外の操向輪とタイロッド等を介して連結されたラック23と、このラック23と一体に移動するピストン24が収装されている。図1中、パワーシリンダ20内であってピストン24よりも左側には、ラック23の第1の方向への移動をアシストする第1シリンダ室21が設けられている。同様に、パワーシリンダ20内であってピストン24よりも右側には、ラック23の第2の方向への移動をアシストする第2シリンダ室22が設けられている。

モータ1は正逆回転可能なブラシレスモータである。このモータ1には回転角を検出するモータ回転角センサ6が設けられ、U,V,W相にスイッチング回路から回転角に応じた電圧を供給ことで回転駆動する。尚、モータ回転角センサ6としては、レゾルバや、円周上に配置された複数のホール素子等でもよく、特に限定しない。このモータ1には、モータ1の回転方向に応じて油の吐出方向を切り換え可能な双方向型のポンプ2が接続されている。このポンプ2には、油の吸入・吐出を行う第1ポート2a及び第2ポート2bが設けられている。

第1ポート2aには、第1シリンダ室21と接続する第1油路10が接続されている。第1油路10には、分岐油路10aが接続され、この分岐油路10aはチェック弁3を介してリザーバタンク5と接続されている。同様に、第2ポート2bには、第2シリンダ室22と接続する第2油路11が接続されている。第2油路11には、分岐油路11aが接続され、この分岐油路11aはチェック弁4を介してリザーバタンク5と接続されている。尚、チェック弁3,4は、リザーバタンク5からの油の流れのみを許容する構成とされている。

コントローラ30には、トルクセンサb4,モータ回転角センサ6,車速センサ7及びモータ1の電流値を検出する電流検出手段8からのセンサ信号が入力され、モータ1の駆動を制御する。

図2は実施例1のコントローラ30の構成を表すブロック図である。コントローラ30内には、車速センサ7及びトルクセンサb4の信号に基づいて操舵アシストトルクを演算するアシスト量演算手段31が設けられている。また、演算されたアシスト量を得るように電流検出手段8からの電流値とのサーボ制御によってモータ駆動回路51に制御信号を出力するモータ駆動制御手段32が設けられている。また、モータ回転角センサ6の回転角信号からモータ回転角加速度を検出するモータ回転角加速度検出手段331が設けられている。また、検出されたモータ回転角加速度に基づいて昇圧回路50の駆動を制御する昇圧回路制御手段34が設けられている。

昇圧回路50は、バッテリ52を所定の電圧に昇圧する回路であり、昇圧したバッテリ電圧をモータ駆動回路51に供給する。尚、この昇圧回路50はコントローラ30の外部に設けた構成を示したが、内部に設けてもよく特に限定しない。

モータ駆動回路51は、モータ1に対し所望の回転数及びトルクを達成する電力を供給するスイッチング回路から構成され、モータ駆動制御手段32によりスイッチング制御を行うことで、モータ1の駆動状態を制御する。

図3は、コントローラ30において行われるパワーステアリング装置の制御内容を表すフローチャートである。
ステップ101では、アシスト制御処理を実行し、平行してステップ102では、昇圧制御処理を実行する。尚、アシスト制御処理とは、アシスト量演算手段31により演算された目標アシスト量を演算する処理を表す。アシスト量の演算については、運転者の操舵トルクが所望の値となるように適宜演算される公知の技術であり、特に言及しない。

ステップ103では、モータ駆動制御処理を実行する。尚、モータ駆動制御処理とは、モータ駆動制御手段32において実行されるサーボ制御処理を表す。具体的には、アシスト量演算手段31によりアシスト量が演算されると、このアシスト量を達成するモータ1の目標電流値が設定される。モータ1に流れる実電流値がこの目標電流値となるようにモータ駆動回路51に対し制御信号を出力する処理を表す。

ステップ104では、システム終了要求があるかどうかを判断し、システム終了要求がないときはステップ101〜103を繰り返し、システム終了要求がないときは本制御を終了する。尚、システムの終了要求とは、例えば通常制御時であればイグニッションがオフであり、システムに異常が発生した場合には、フェール信号等である。

図4は、モータ回転角加速度検出手段331及び昇圧回路制御手段34の制御内容を表すフローチャートである。
ステップ201では、モータ回転角センサ6のセンサ信号からモータ回転角を読み込む。
ステップ202では、モータ回転角加速度αmを演算する。尚、モータ回転角加速度αmとは前回のモータ回転角値に対する今回のモータ回転角値の単位時間当たりの変化量を表す。
ステップ203では、昇圧制御開始判断として、モータ回転角加速度αmの絶対値が閾値αmf以上かどうかを判断し、閾値αmf以上のときはステップ204へ進み、それ以外のときはステップ205へ進む。尚、絶対値を比較したのはモータ1の正逆回転に対応したものである。また、閾値αmfとは、アシスト力不足によって運転者の操舵トルクが予め設定された所望の値以上となる虞のある閾値であ。
ステップ204では、昇圧制御をオンとし、昇圧回路50から出力される昇圧電圧Vdを目標昇圧電圧Vdtに昇圧する。
ステップ205では、昇圧制御をオフとし、昇圧回路50から出力される昇圧電圧Vdを電源電圧Veとして出力する。

〔操舵に伴う基本的作用について〕
次に、上記構成の基本的な作用について説明する。イグニッションがオンされた後、トルクセンサb4のセンサ信号に基づいて、モータ1に駆動電流が供給される。モータ1は駆動電流に応じたトルクを発生し、モータ1に連結されたポンプ2が回転し、回転数に応じた流量を吐出する。

ポンプ2により吐出された作動油は、例えば第1油路10側に吐出されたとすると、第1油路10を通り、第1シリンダ室21に供給されることで第1シリンダ室21に油圧が発生する。この油圧がステアリングホイールa1を操作する力のアシスト力となり、運転者のステアリングホイール操作力とアシスト力の合力が操向輪に作用する負荷に打ち勝つことによりラック23が移動し、操向輪が操舵方向に転舵される。

ラック23の変位と共にピストン24が移動するため、第1シリンダ室21は容積が大きくなり、第2シリンダ室22は容積が小さくなる。第2シリンダ室22の容積が小さくなることによって排出される作動油は第2油路11を通ってポンプ2へ戻り、ポンプ2から容積が大きくなった第1シリンダ室21へと供給される。

すなわち、実施例1のパワーステアリング装置は、ステアリングホイールa1とモータ1とが油を介して接続された構成である。言い換えると、ステアリングホイールa1とモータ1とが積分要素(パワーシリンダ20とは、モータ1が回転し、油の移動を行うことで体積変化を達成する要素である)を介して接続されていることとなる。よって、ステアリングホイールa1の回転よりも、モータ1を速く回転させて初めて所望のアシスト特性を得ることが可能となる。

〔モータの基本的な特性〕
ここで、モータ1の基本的な特性について特性図と共に説明する。図5はモータ1の特性を表す特性図である。図5中、横軸はモータトルクを表し、左側の縦軸はモータ回転数を表し、右側の縦軸はモータ電流を表す。尚、VM1>VM2>VM3である。この関係から分かるように、ある電圧に対する回転数とトルクの関係は逆起電力の発生により反比例の関係であり、一定電圧においてトルクが増大すると回転数が低下する。逆に回転数が増大するとトルクが低下する。

電圧VM2において、モータ回転数がN2のときには、モータトルクはT2となり、モータ電流はI2である。この状態で、モータ回転数をN2からN1に引き上げると、逆起電力の増大に伴い、モータ電流はI2からI1に減少し、モータトルクはT2からT1に減少する。すなわち、トルクT2のアシスト力が必要な時にモータ回転数を上昇させると、トルクT2を維持できずに低下してしまう。

そこで、モータ回転数がN2,モータトルクT2の時に、モータトルクをT2のまま維持しつつ、回転数を増大させるには、電圧をVM1に昇圧する。すると、逆起電力が発生したとしてもモータ電流をI1に増大させることが可能となり、モータトルクをT2に維持したままモータ回転数をN1に増大させることができる。尚、電圧がVM2からVM3に低下した場合、モータ回転数をN2に維持しようとすると、トルクはT1に低下してしまう。このような場合にも昇圧することで回転数とトルクの両方を維持することが可能となる。

〔操舵速度違いによる作用について〕
上記モータの特性をふまえて、操舵速度が異なる場合の作用について説明する。図6は操舵速度が速い場合と遅い場合の各構成要素の状態変化を表すタイムチャート、図6中、点線は操舵速度が大きく昇圧回路による昇圧無しの場合のタイムチャートであり、実線は操舵速度が大きく昇圧回路により昇圧した場合のタイムチャートであり、一点鎖線は操舵速度が小さく昇圧回路による昇圧無しのタイムチャートである。

ステアリングホイールa1の操舵速度が小さいときは、ピストン24の移動速度が小さく、各シリンダ室21,22の容積変化速度も小さい。よって容積変化速度に追従してポンプ2から作動油が吐出され、油圧発生が遅れることがなく、過大な操舵トルクの発生を抑制してスムーズなアシスト力が得られている。

ステアリングホイールa1の操舵速度が速いときは、ピストン24の移動速度が速くなり、各シリンダ室21,22の容積変化速度も大きくなる。この容積変化速度に追従してポンプ2から作動油が吐出されないと、油圧発生が遅れ、アシスト力が不足し、大きなステアリングホイール操作力が必要となる。

ここで、モータ1の回転数の動きについて説明する。モータ1の回転角速度は次式により決定される。
(式1)
Tm=J*dωm/dt+D*ωm+Tp
Tm:モータトルク
J:モータ慣性モーメント
D:減衰係数
ωm:モータ回転角速度
dωm/dt:モータ回転角速度
Tp:ポンプ負荷トルク(ポンプ2に作用する負荷トルクであり、油圧に比例して大きくなる)
である。

前記式(1)より、モータ1に駆動電流が加えられたモータトルクTmが発生すると、まだ油圧が発生していないためモータ回転角加速度dωm/dtが大きく、回転角速度ωmも大きくなる。

油圧の上昇と共に、ポンプ負荷トルクTpが大きくなり、モータトルクTmとポンプ負荷トルクTpの差が小さくなると、モータ回転角速度ωmは徐々に小さくなる。つまり、モータ1の回転角速度(回転数)はモータトルクTmとポンプ負荷トルクTpの偏差に応じて決定される。

図6の一点鎖線で示すように、操舵速度が遅いときは、モータ駆動電流の上昇も緩やかなため、モータ発生トルクも緩やかになる。同時にシリンダ速度も遅いので、モータトルクTmに対して油圧の発生する虞が少なく、モータのモータ回転角加速度は小さくなる。よって、運転者の操舵トルクを十分にアシストすることができる。

これに対し、図6の点線で示すように、操舵速度が速い時に昇圧制御を行わないときは、モータ駆動電流、モータトルクの上昇が早くなり、また、ピストン速度も速いため、油圧の発生遅れが生じ、モータトルクTmとポンプ負荷トルクTpの偏差が大きく、モータ回転角加速度dωm/dtが大きくなる。モータ回転角加速度dωm/dtが大きくなると同時に、最大モータ回転角速度も大きくなる。モータ回転数ωmが大きくなると、モータ1に発生する逆起電圧も大きくなり、モータに電流を流すのに必要な電圧が不足してしまう。したがって、早い操舵時には回転数上昇に伴いモータ駆動電流不足が発生する。これに伴い、モータトルク不足や、モータ回転数不足が発生し、ポンプ2の発生油圧不足によって、結果的にアシスト力が不足する。

そこで、アシスト力不足が発生しそうな時には、電源電圧を昇圧し、モータ1への印可電圧を大きくして、モータ回転数の不測を補うこととした。実施例1では、アシスト力不足が発生しそうな時として、モータ回転角加速度αmが閾値αmf以上のときとした。よって、図6の実線で示すように、時刻t1においてモータ回転角加速度αmが閾値αmfを越えると、昇圧回路50がオンとなり、モータ回転数をより高く上昇させることができる。これに伴って、運転者の操舵トルクも小さくなり、応答遅れを回避することができる。また、単に回転数が高いだけでは昇圧制御が成されないため、不要な昇圧による昇圧回路の耐久性の低下及びバッテリ52の消耗を抑制することができる。

また、実施例1のように、非操舵時にはモータ1の駆動を停止し、操舵時のアシスト要求に応じて正・逆回転駆動によりモータ1を制御するパワーステアリング装置では、モータ回転数が0の状態から最高回転速度まで一気に回転速度を上昇させる必要がある。このとき、モータ回転角加速度に基づいて回転数上昇の要求を早期に検知することは特に有利である。

次に、実施例2について説明する。基本的な構成は実施例1と同じであるため、異なる点についてのみ説明する。実施例1では、モータ回転角加速度αmによって昇圧回路50を制御した。これに対し、実施例2では、運転者の操舵トルク変化率ΔTsによって昇圧回路50を制御する点が異なる。

図7は実施例2のコントローラ30の構成を表すブロック図である。トルクセンサb4の操舵トルク信号から操舵トルク変化率ΔTsを推定するトルク変化率推定手段332が設けられている。また、検出された操舵トルク変化率ΔTsに基づいて昇圧回路50の駆動を制御する昇圧回路制御手段34が設けられている。

図8は、トルク変化率推定手段332及び昇圧回路制御手段34の制御内容を表すフローチャートである。
ステップ301では、トルクセンサb4のセンサ信号から操舵トルクTsを読み込む。
ステップ302では、操舵トルク変化率ΔTsを演算する。尚、操舵トルク変化率ΔTsとは前回の操舵トルク値に対する今回の操舵トルク値の単位時間当たりの変化量を表す。
ステップ203では、昇圧制御開始判断として、操舵トルク変化率ΔTsの絶対値が閾値Tsf以上かどうかを判断し、閾値Tsf以上のときはステップ304へ進み、それ以外のときはステップ305へ進む。尚、絶対値を比較したのはモータ1の正逆回転に対応したものである。また、閾値Tsfとは、アシスト力不足によって運転者の操舵トルクが予め設定された所望の値以上となる虞のある閾値であ。
ステップ304では、昇圧制御をオンとし、昇圧回路50から出力される昇圧電圧Vdを目標昇圧電圧Vdtに昇圧する。
ステップ305では、昇圧制御をオフとし、昇圧回路50から出力される昇圧電圧Vdを電源電圧Veとして出力する。

上記制御フローの作用について説明する。基本的に、アシスト量演算手段31では、運転者の操舵トルクTsから目標アシスト力を演算している。このとき、入力された操舵トルク変化率ΔTsが大きいときには、演算される目標アシスト力の変化量も大きくなる。このことは、モータ回転角加速度が大きくなることを表し、実施例1で説明したように、応答遅れを引き起こす虞がある。

そこで、実施例2では、操舵トルク変化率ΔTsが大きいときは、昇圧回路50をオンとすることで、実施例1と同様の作用効果を得ることができる。尚、トルクセンサb4の変化率は、モータ回転角加速度よりも位相として速い段階で検出できる値であるため、ノイズ等の対策は必要となるものの、より応答性のよい制御を実現できる。

次に、実施例3について説明する。基本的な構成は実施例1と同じであるため、異なる点についてのみ説明する。実施例1では、モータ回転角加速度αmによって昇圧回路50を制御した。これに対し、実施例3では、運転者の操舵角加速度vθによって昇圧回路50を制御する点が異なる。

図9は実施例3のパワーステアリング装置の全体構成を表すシステム図である。ステアリングシャフトb1には、ステアリングホイールa1の操舵角を検出する舵角センサb6が設けられている。他の構成については実施例1と同じであるため、説明を省略する。

図10は実施例3のコントローラ30の構成を表すブロック図である。舵角センサb6の舵角信号から操舵角加速度vθを推定する操舵角加速度演算手段333が設けられている。また、検出された操舵角加速度vθに基づいて昇圧回路50の駆動を制御する昇圧回路制御手段34が設けられている。

図11は、操舵角加速度演算手段333及び昇圧回路制御手段34の制御内容を表すフローチャートである。
ステップ401では、舵角センサb6のセンサ信号から操舵角θを読み込む。
ステップ402では、操舵角加速度vθを演算する。尚、操舵角加速度とは前回の操舵角に対する今回の操舵角の単位時間当たりの変化量を時間微分した状態量を表す。
ステップ403では、昇圧制御開始判断として、操舵角加速度vθの絶対値が閾値vθf以上かどうかを判断し、閾値vθf以上のときはステップ404へ進み、それ以外のときはステップ405へ進む。尚、絶対値を比較したのはモータ1の正逆回転に対応したものである。また、閾値vθfとは、アシスト力不足によって運転者の操舵トルクが予め設定された所望の値以上となる虞のある閾値である。
ステップ404では、昇圧制御をオンとし、昇圧回路50から出力される昇圧電圧Vdを目標昇圧電圧Vdtに昇圧する。
ステップ405では、昇圧制御をオフとし、昇圧回路50から出力される昇圧電圧Vdを電源電圧Veとして出力する。

上記制御フローの作用について説明する。基本的に、アシスト量演算手段31では、運転者の操舵トルクTsから目標アシスト力を演算している。このとき、操舵トルクTsは、操舵角θの二回微分値、すなわち操舵角加速度vθと略比例関係にあるため、入力された操舵角加速度vθが大きいときには、演算される目標アシスト力の変化量も大きくなる。このことは、モータ回転角加速度が大きくなることを表し、実施例1で説明したように、応答遅れを引き起こす虞がある。

そこで、実施例3では、操舵角加速度vθが大きいときは、昇圧回路50をオンとすることで、実施例1と同様の作用効果を得ることができる。

次に、実施例4について説明する。基本的な構成は実施例1と同じであるため、異なる点についてのみ説明する。実施例1では、モータ回転角加速度αmによって昇圧回路50を制御した。これに対し、実施例4では、モータ指令電流値であるPWMデューティの変化率によって昇圧回路50を制御する点が異なる。

図12は実施例4のコントローラ30の構成を表すブロック図である。モータ駆動制御手段32では、演算されたアシスト量からモータ1に供給するモータ指令電流値Imoを演算し、このモータ指令電流値Imoと実電流値Imとの偏差に基づいて、モータ駆動回路51のスイッチング回路に対しPWMデューティ信号Dutyを出力する。また、モータ駆動回路51に対して出力されたPWMデューティ信号Dutyを読み込み、このPWMデューティ信号Dutyの変化率を演算するPWMデューティ変化率演算手段334が設けられている。また、検出されたPWMデューティ変化率ΔDutyに基づいて昇圧回路50の駆動を制御する昇圧回路制御手段34が設けられている。

図13は、PWMデューティ変化率演算手段334及び昇圧回路制御手段34の制御内容を表すフローチャートである。
ステップ501では、モータ駆動制御手段32からPWMデューティ信号Dutyを読み込む。
ステップ502では、PWMデューティ変化率ΔDutyを演算する。尚、PWMデューティ変化率ΔDutyとは前回のDutyに対する今回のDutyの単位時間当たりの変化量を表す。
ステップ503では、昇圧制御開始判断として、PWMデューティ変化率ΔDutyが閾値Pd以上かどうかを判断し、閾値Pd以上のときはステップ504へ進み、それ以外のときはステップ505へ進む。
ステップ504では、昇圧制御をオンとし、昇圧回路50から出力される昇圧電圧Vdを目標昇圧電圧Vdtに昇圧する。
ステップ505では、昇圧制御をオフとし、昇圧回路50から出力される昇圧電圧Vdを電源電圧Veとして出力する。

上記制御フローの作用について説明する。基本的に、アシスト量演算手段31では、運転者の操舵トルクTsから目標アシスト力を演算している。そして、モータ駆動制御手段32において、この目標アシスト力に応じたモータ指令電流値Imoが出力される。このとき、操舵トルクTsの変化に応じてPWMデューティ信号も変化するため、PWMデューティ信号の変化率が大きいときには、モータ回転角加速度が大きくなることを表し、実施例1で説明したように、応答遅れを引き起こす虞がある。

そこで、実施例4では、PWMデューティ変化率ΔDutyが大きいときは、昇圧回路50をオンとすることで、実施例1と同様の作用効果を得ることができる。また、PWMデューティ信号は電気指令信号であるため、特別なセンサを設けることなく、昇圧タイミングを決定することができる。

次に、実施例5について説明する。基本的な構成は実施例1と同じであるため、異なる点についてのみ説明する。実施例1では、モータ回転角加速度αmによって昇圧回路50を制御した。これに対し、実施例5では、モータ指令電流値Imoと実電流値Imとの偏差ΔImによって昇圧回路50を制御する点が異なる。

図14は実施例5のコントローラ30の構成を表すブロック図である。モータ駆動制御手段32では、演算されたアシスト量からモータ1に供給するモータ指令電流値Imoを演算し、このモータ指令電流値Imoと実電流値Imとの偏差ΔImに基づいて、モータ駆動回路51のスイッチング回路に対しPWMデューティ信号Dutyを出力する。また、モータ駆動制御手段32からモータ指令電流値Imoと電流検出手段8により検出された実電流値Imとを読み込み、モータ指令電流値Imoと実電流値Imとの偏差ΔImを演算する電流値偏差演算手段335が設けられている。また、検出された偏差ΔImに基づいて昇圧回路50の駆動を制御する昇圧回路制御手段34が設けられている。尚、モータ駆動制御手段32内で演算された偏差ΔImを、直接昇圧回路制御手段34に出力してもよく、特に限定しない。

図15は、電流値偏差演算手段335及び昇圧回路制御手段34の制御内容を表すフローチャートである。
ステップ601では、モータ駆動制御手段32からモータ指令電流値Imoを読み込む。
ステップ602では、電流検出手段8から実電流値Imを読み込む。
ステップ603では、モータ指令電流値Imoと実電流値Imとの偏差を演算する。
ステップ604では、昇圧制御開始判断として、偏差Imが閾値Imf以上かどうかを判断し、閾値Imf以上のときはステップ605へ進み、それ以外のときはステップ606へ進む。
ステップ605では、昇圧制御をオンとし、昇圧回路50から出力される昇圧電圧Vdを目標昇圧電圧Vdtに昇圧する。
ステップ606では、昇圧制御をオフとし、昇圧回路50から出力される昇圧電圧Vdを電源電圧Veとして出力する。

上記制御フローの作用について説明する。基本的に、アシスト量演算手段31では、運転者の操舵トルクTsから目標アシスト力を演算している。そして、モータ駆動制御手段32において、この目標アシスト力に応じたモータ指令電流値Imoが出力される。このとき、操舵トルクTsの変化が大きいと、実電流値Imよりも大きなモータ指令電流値Imoが出力されるため、モータ指令電流値Imoと実電流値Imの偏差ΔImが大きくなる。このとき、偏差ΔImに追従するようにモータ駆動回路51を介して大きな電流値がモータ1に供給される。すると、結果としてモータ回転角加速度が大きくなると予想され、実施例1で説明したように、応答遅れを引き起こす虞がある。

そこで、実施例5では、偏差ΔImが閾値Imfより大きいときは、昇圧回路50をオンとすることで、実施例1と同様の作用効果を得ることができる。

次に、実施例6について説明する。基本的な構成は実施例1と同じであるため、異なる点についてのみ説明する。実施例1では、モータ回転角加速度αmが予め設定された1つの閾値αmf以上のときに昇圧回路50により昇圧制御をオンとした。これに対し、実施例6では、閾値αmfを電源電圧に応じて複数設定した点が異なる。

実施例6のコントローラ30は、基本的な構成は実施例1のコントローラと同じ構成であり、昇圧回路制御手段34に、電源電圧Veを読み込み可能なラインが付設されると共に、図17に示す電源電圧Ve-モータ回転角加速度閾値αmfマップが内蔵されている点が異なる。

図16は、モータ回転角加速度検出手段331及び昇圧回路制御手段34の制御内容を表すフローチャートである。尚、実施例1と同じ処理内容については同じステップ番号を付してある。
ステップ201では、モータ回転角センサ6のセンサ信号からモータ回転角を読み込む。
ステップ202では、モータ回転角加速度αmを演算する。尚、モータ回転角加速度αmとは前回のモータ回転角値に対する今回のモータ回転角値の単位時間当たりの変化量を表す。
ステップ202aでは、電源電圧Veを取り込む。
ステップ202bでは、電源電圧Veに応じた閾値αmfを図17に示すマップより検索する。
ステップ203では、昇圧制御開始判断として、モータ回転角加速度αmの絶対値が閾値αmf以上かどうかを判断し、閾値αmf以上のときはステップ204へ進み、それ以外のときはステップ205へ進む。尚、絶対値を比較したのはモータ1の正逆回転に対応したものである。また、閾値αmfとは、アシスト力不足によって運転者の操舵トルクが予め設定された所望の値以上となる虞のある閾値であ。
ステップ204では、昇圧制御をオンとし、昇圧回路50から出力される昇圧電圧Vdを目標昇圧電圧Vdtに昇圧する。
ステップ205では、昇圧制御をオフとし、昇圧回路50から出力される昇圧電圧Vdを電源電圧Veとして出力する。

基本的な作用効果は実施例1と同じであるため異なる作用効果について説明する。図17のマップに示すように、電源電圧VeがVE1〜VE5までのステップで設定され、それぞれの電源電圧Veに対応する閾値αmf1〜αmf5が設定されている。すなわち、電源電圧Veが低いときは、それだけ素早く昇圧制御をオンしてやらなければ、所望のモータ回転数及びモータトルクを得ることができない。一方、電源電圧Veが高いときは、昇圧が必要ない場合もある。すなわち、昇圧が必要な状態を特定することで、昇圧制御をオンする頻度を低下させることが可能となり、昇圧回路の耐久性の向上を図ることができる。

次に、実施例7について説明する。図18は実施例7のパワーステアリング装置の全体構成を表すシステム図である。基本的な構成は実施例1と同様であるため、異なる点についてのみ説明する。ステアリングシャフトb1には運転者のステアリングホイール操舵量を検出する舵角センサb6が設けられている。ピニオンシャフトb3上には、油圧を供給する経路を第1シリンダ室と第2シリンダ室との間で切り換える公知のロータリーバルブb4’が設けられている。

ロータリーバルブb4’には、一方向のみに油圧を吐出するポンプ2’が油路2αを介して接続され、第1シリンダ室21と油路10’を介して接続され、第2シリンダ室22と油路11’を介して接続されている。

コントローラ30には、舵角センサb6,モータ回転角センサ6,車速センサ7及びモータ1の電流値を検出する電流検出手段8からのセンサ信号が入力され、モータ1の駆動を制御する。

図19は実施例7のコントローラ30の構成を表すブロック図である。コントローラ30内には、車速センサ7及び舵角センサb6の信号に基づいてポンプ2’の吐出する油圧を演算する油圧演算手段31’が設けられている。また、演算された油圧を得るように電流検出手段8からの電流値とのサーボ制御によってモータ駆動回路51に制御信号を出力するモータ駆動制御手段32が設けられている。また、モータ回転角センサ6の回転角信号からモータ回転角加速度を検出するモータ回転角加速度検出手段331が設けられている。また、検出されたモータ回転角加速度に基づいて昇圧回路50の駆動を制御する昇圧回路制御手段34が設けられている。

油圧演算手段31’では、車速と操舵角に基づいて、運転者が必要とする可能性のある最大油圧を演算する。具体的には、低車速時で操舵角変化量が大きいときには、高い油圧を設定し、低車速時で操舵角変化量が小さいときには、低い油圧を設定する。また、高車速時では、低車速時に比べて低い油圧を設定する。

このとき、実施例1と同様、実施例7のパワーステアリング装置は、ステアリングホイールa1とモータ1とが油を介して接続された構成である。言い換えると、ステアリングホイールa1とモータ1とが積分要素(パワーシリンダ20とは、モータ1が回転し、油の移動を行うことで体積変化を達成する要素である)を介して接続されていることとなる。よって、ステアリングホイールa1の回転よりも、モータ1を速く回転させて初めて所望のアシスト特性を得ることが可能となる。

したがって、低車速時で操舵角変化量が大きい場合などは、要求される油圧が高く、急激なモータ回転数の上昇が要求されるものの、回転数上昇に伴いモータ駆動電流不足が発生する。これに伴い、モータトルク不足や、モータ回転数不足が発生し、ポンプ2の発生油圧不足によって、結果的にアシスト力が不足する。

そこで、アシスト力不足が発生しそうな時には、電源電圧を昇圧し、モータ1への印可電圧を大きくして、モータ回転数の不測を補うこととした。実施例7では、アシスト力不足が発生しそうな時として、モータ回転角加速度αmが閾値αmf以上の時に昇圧制御をオンとした。よって、モータ回転数をより高く上昇させることが可能となり、運転者の操舵トルクも小さくなり、応答遅れを回避することができる。尚、他の実施例の構成によってアシスト力不足が発生しそうな時を特定してもよく、特に限定しない。

(他の実施例)
以上、実施例1〜7について説明してきたが、基本的には、下記に記載の要件を満たすものであれば本発明に含まれる。例えば、車速が、さほど大きな操舵トルクを必要としない所定値以上のときは、昇圧を禁止するように構成してもよい。基本的に車速が高いときに、急激なアシストを行うと車両の安定性が低下する虞があるため、このときは、昇圧を禁止することで、車両の安定性を確保することができる。また、各実施例では、昇圧量を電源電圧Veから昇圧電圧Vdに昇圧させたが、昇圧量を車両の走行状態に応じて多段階に制御しても良い。具体的には、ステアリングホイール操舵状態や車両速度、モータ1のモータ回転角加速度や、PWMデューティ等に応じて適宜設定すればよい。尚、多段階とは2段階及び無段階も含む。

また、モータ回転角加速度や、トルク変化率、舵角加速度、PWMデューティ変化率、モータ指令電流値と実電流値との偏差といった指標に基づいて、アシスト力不足が発生しそうな時を特定したが、これらのパラメータを複合的に備えた指標、もしくは、これらのパラーメータに加え、車速等のパラメータを備えた指標が閾値を超えたときに、昇圧制御をオンするようにしてもよい。このように、複合的な指標を備えることで、更に不要な昇圧を抑制することができる。

ここで、従来技術との対比により、本願発明の骨子を下記にまとめて記載する。
(1)モータの特性上、モータの回転数が上がると、逆起電力の発生によりトルクが不十分となる。
(2)従来技術では、モータ回転数が所定値以上となると、バッテリの電源電圧を昇圧してトルクを稼いでいた。
(3)ところが、ポンプを駆動し、液圧によってアシストするパワーシリンダを有する構成の場合、モータ回転数が所定値以上のときに昇圧し、トルクを稼いでも、液圧の応答が遅れる。
(4)すなわち、パワーシリンダは積分要素であり、ステアリングホイールの回転とモータの回転とが積分要素を介した関係となっているからである。
(5)このことは、パワーシリンダにおいて発生して欲しい液圧(目標液圧)に対応したモータ回転数とトルクを得るためには、積分要素の遅れを補うように、ステアリングホイールの回転変化以上に、モータ回転数を一気に上昇させなければならないことを意味する。
(6)この遅れは、ステアリングホイールの回転速度が速く、実液圧と目標液圧との偏差が大きいときに特に顕著である。
(7)そこで、ステアリングホイールの回転速度が速く、目標アシスト量と実アシスト量との偏差が大きくなるだろうと予測したときには、昇圧を開始することで、積分成分の遅れを補償することとした。

予測可能なパラメータとしては、目標アシスト量の演算に用いる値や、目標アシスト量の演算結果によって算出された値を適宜設定すればよい。言い換えると、ステアリングホイールを上流とし、操向輪を下流と定義したとき、このステアリング制御系内でパワーシリンダ(積分要素)よりも上流のパラメータ微分成分により昇圧タイミングを適宜設定すればよい。

上記実施例から把握しうる請求項以外の技術的思想について、以下にその効果と共に記載する。

(a)請求項1ないし7いずれか1つに記載のパワーステアリング装置において、
車速を検出する車速検出手段を設け、
前記昇圧回路制御手段は、前記車両速度が所定値以上の時、昇圧を禁止することを特徴とするパワーステアリング装置。

車両速度が低速のときほど操舵アシスト力を必要とし、高速走行時においては操舵アシスト力を必要としないため、低速時のみ昇圧を実施することで、不必要な昇圧を防止することができる。

(b)請求項1ないし7いずれか1つに記載のパワーステアリング装置において、
前記昇圧回路制御手段は、車両の走行状態に応じて昇圧量を多段階制御することを特徴とするパワーステアリング装置。

車両の走行状態に応じて昇圧量を多段階制御するため、必要なときに必要な量だけ昇圧することが可能となり、バッテリの消耗をより抑制することができる。

(c)請求項1ないし3いずれか1つに記載のパワーステアリング装置において、
前記電動モータは回転子の回転位置を検出する回転位置センサを有するブラシレスモータであって、
前記モータ回転角加速度検出手段は、前記回転位置線あの位置信号に基づいて電動モータの回転加速度を推定することを特徴とするパワーステアリング装置。

特別に回転速度センサ等を設ける必要が無く、コスト面で有利である。

(d)請求項3に記載のパワーステアリング装置において、
前記電源の電圧を検出する電圧値検出手段を更に備え、
前記昇圧回路制御手段は、前記電源の電圧が低いほど前記所定閾値を下げるように補正することを特徴とするパワーステアリング装置。

昇圧する必要がないほど電源電圧が高い状態において昇圧を実施した場合、不必要な昇圧となるため、電源電圧に基づき閾値を補正するおkとにより、より適切な昇圧を行うことができる。

実施例1のパワーステアリング装置の全体構成を表すシステム図である。 実施例1のコントローラの構成を表すブロック図である。 実施例1のコントローラにおいて行われるパワーステアリング装置の制御内容を表すフローチャートである。 実施例1のモータ回転角加速度検出手段及び昇圧回路制御手段の制御内容を表すフローチャートである。 モータの特性を表す特性図である。 実施例1の操舵速度が速い場合と遅い場合の各構成要素の状態変化を表すタイムチャートである。 実施例2のコントローラの構成を表すブロック図である。 実施例2のトルク変化率推定手段及び昇圧回路制御手段の制御内容を表すフローチャートである。 実施例3のパワーステアリング装置の全体構成を表すシステム図である。 実施例3のコントローラの構成を表すブロック図である。 実施例3の操舵角加速度演算手段及び昇圧回路制御手段の制御内容を表すフローチャートである。 実施例4のコントローラの構成を表すブロック図である。 実施例4のPWMデューティ変化率演算手段及び昇圧回路制御手段の制御内容を表すフローチャートである。 実施例5のコントローラ30の構成を表すブロック図である。 実施例5の電流値偏差演算手段及び昇圧回路制御手段の制御内容を表すフローチャートである。 実施例6のモータ回転角加速度検出手段及び昇圧回路制御手段の制御内容を表すフローチャートである。 実施例6の電源電圧Ve-モータ回転角加速度閾値αmfマップである。 実施例7のパワーステアリング装置の全体構成を表すシステム図である。 実施例7のコントローラ30の構成を表すブロック図である。

符号の説明

1 モータ
2a 第1ポート
2b 第2ポート
2 ポンプ
3,4 チェック弁
5 リザーバタンク
6 モータ回転角センサ
7 車速センサ
8 電流検出手段
20 パワーシリンダ
21 第1シリンダ室
22 第2シリンダ室
23 ラック
24 ピストン
30 コントローラ
52 バッテリ
b1 ステアリングシャフト
b3 ピニオンシャフト
b4 トルクセンサ
b4’ ロータリーバルブ
b5 ピニオン
b6 舵角センサ
c1 ピニオン機構

Claims (3)

  1. ステアリングホイールに接続された操舵軸と、
    前記操舵軸と転舵輪とを連結する操舵機構に設けられたパワーシリンダと、
    前記パワーシリンダの両圧力室に対し選択的に油圧を供給する油圧ポンプと、
    前記油圧ポンプを駆動するモータと、
    前記転舵輪に与える操舵アシスト力に応じて、前記モータに駆動信号を出力するモータ制御手段と、
    前記操舵軸の操舵角を検出する操舵角検出手段と、
    前記モータに電力を供給する電源の電圧を昇圧する昇圧回路と、
    前記操舵角検出手段によって検出された操舵角から操舵角加速度を演算又は推定する操舵角加速度演算手段と、
    前記操舵角加速度演算手段によって算出された操舵角加速度に基づき、前記昇圧回路を駆動制御する昇圧回路制御手段と、
    を有することを特徴とするパワーステアリング装置。
  2. 転舵輪に連結された操舵機構の操舵力を補助するパワーシリンダと、
    前記パワーシリンダの両圧力室に対し選択的に油圧を供給する油圧ポンプと、
    前記油圧ポンプを駆動するモータと、
    前記転舵輪に与える操舵アシスト力に応じて、前記モータにPWMデューティ信号を出力するモータ制御手段と、
    前記モータに電力を供給する電源の電圧を昇圧する昇圧回路と、
    前記PWMデューティ信号変化率に基づき、前記昇圧回路を駆動制御する昇圧回路制御手段と、
    を有することを特徴とするパワーステアリング装置。
  3. 転舵輪に連結された操舵機構の操舵力を補助するパワーシリンダと、
    前記パワーシリンダの両圧力室に対し選択的に油圧を供給する油圧ポンプと、
    前記油圧ポンプを駆動するモータと、
    前記転舵輪に与える操舵アシスト力に応じて、前記モータに駆動信号を出力するモータ制御手段と、
    前記モータに流れる電流値を検出する電流値検出手段と、
    前記モータに電力を供給する電源の電圧を昇圧する昇圧回路と、
    前記駆動信号と前記電流値との偏差を演算する電流値偏差演算手段と、
    前記偏差が所定値以上大きいとき、前記昇圧回路を駆動する昇圧回路制御手段と、
    を有することを特徴とするパワーステアリング装置。
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