JP4611491B2 - ビデオ型立体顕微鏡 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、観察対象物を拡大して立体画像としてビデオ撮影するビデオ型立体顕微鏡に関し、特に、視野絞り位置で一旦被写体像を結像させ、この被写体像を視野絞りの像とともに撮像面に再結像させるビデオ型立体顕微鏡に、関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のビデオ型立体顕微鏡は、例えば、脳神経外科手術のように微細な組織を処置する際に使用される。
【0003】
即ち、脳のように微細な組織からなる器官は、その構造組織を肉眼で識別することが困難であるために、このような器官の処置は、顕微鏡下で行わざるを得ない。しかも、単眼の顕微鏡では組織の立体的構造を認識することが不可能であるので、組織を立体的に拡大観察させて正確な処置を可能とするため、このような処置には双眼顕微鏡が用いられていた。
【0004】
ところで、従来用いられていた双眼の光学顕微鏡では、手術を担当する主術者(場合によってはそのその助手)は顕微鏡画像を見ることができるものの、それ以外の者(例えば、麻酔医,看護婦,研修医,遠隔地に居るアドバイザー)は、同じ顕微鏡画像を見ることができないので、迅速且つ的確な分担作業を行ったり遠隔地からの的確な助言を行うことができなかった。そのため、近年では、双眼の光学顕微鏡に代わって、双眼顕微鏡による左右の被写体像をビデオ撮影して複数のモニタでの立体観察に供するビデオ型立体顕微鏡が、提案されているのである。
【0005】
例えば、特許掲載公報第2607828号では、双眼顕微鏡の左右の対物光学系の光軸を、多数のレンズ及びプリズムによって同一の撮像装置の撮像面上に並べて到達させ、この撮像面上に左右の被写体像を並べて結像させるビデオ型立体顕微鏡が、記載されている。
【0006】
但し、この公報ではビデオ型立体顕微鏡の構造が詳細に記載されていないが、アスペクト比に制限がある撮像面に効率よく左右の被写体像同士を並べ、しかもこれら左右の被写体像同士が互いに重ならないようにするには、撮像面における左右の被写体像の撮像領域を区切る境界線を定義するとともに、左右の対物光学系によって夫々空中で一旦結像させ、この空中像のうち撮像面上に定義された境界線をはみ出す部分をナイフエッジ状の視野絞りによって遮蔽し、リレーレンズによって残りの部分を撮像面の夫々の撮像領域に再結像させることが、考えられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このような構成を採用する場合、撮像面の左右の撮像領域に夫々結像された観察対象物の二次像は共にピントがあった状態でなければならないのは言うまでもないが、これを撮像して得られた映像に基づく観察者による立体視を容易にするには、これらの二次像は互いに同じ大きさとならなければならず、また、夫々の中心が撮像面の境界線に対して線対称の位置になければならない。
【0008】
本発明は、このような問題意識に鑑みてなされたものであり、その課題は、各撮影光学系によって撮像装置の撮像面に夫々結像される観察対象物の像のピント状態,大きさ,及び位置を夫々調整することができる立体顕微鏡の、提供である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を達成するため、本発明のビデオ型立体顕微鏡は、所定の基線長を隔てて配置された一対の対物光学系によって同一物体の一次像を夫々結像し、一対のリレー光学系によって前記各一次像を撮像装置の撮像面における前記基線長の方向において区分された二つの領域に夫々リレーし、前記撮像装置によって同時に撮像するビデオ型立体顕微鏡であって、各リレー光学系は、夫々、全体としての物体側焦点位置が各対物光学系による一次像の結像面に略一致する固定の正レンズ群である第1群及び可動な正レンズ群である第2群と、この第2群から射出された平行光を前記撮像面上に収束させる可動な正レンズ群である第3群とからなり、前記第1群を保持する第1レンズ枠は、フレームに対して固定され、前記第2群を保持する第2レンズ枠は、前記フレームに対してその光軸に直交する面方向にシフト可能に保持された第1取付環に対して光軸方向へ進退自在に嵌合しており、前記第3群を保持する第3レンズ枠は、前記第2レンズ枠と一体の第2取付環に対して光軸方向へ進退自在に嵌合していることを、特徴とする。
【0010】
このように構成されると、各対物光学系は、同一の観察対象物の像を一次像として夫々結像する。このようにして各対物光学系によって結像された各一次像から発散した光は、リレー光学系の第1群及び第2群を順番に透過して、この第2群から平行光として射出される。この平行光は、次に第3群によって収束される。このリレー光学系の倍率は第1群及び第2群の合成焦点距離に依存するので、第2レンズ枠を第1取付枠に対して進退させて第2群を軸方向に移動させることにより、その倍率調整が可能になる。また、このリレーレンズによって形成される二次像の結像位置は第3群の像側焦点位置であるので、第3レンズ枠を第2取付枠に対して回転させて第3群を軸方向に進退させることにより、撮像面に対する二次像のピント状態の調整が可能になる。また、第1レンズ群の光軸に対して第2レンズ群及び第3レンズ群を一体として偏心させると、その光軸が偏向されるので、第1取付枠をフレームに対して軸に直交する面方向に移動させて第2群をシフトさせることにより、リレーレンズによって形成される二次像の結像位置を撮像面の面方向において調整することができる。
【0011】
本発明において、第1取付環は、フレームに対して直接取り付けられても良いが、フレームに対して固定された比較的大径のディセンタ調整環を介して、このディセンタ調整環の外周面からその中心軸に向けてねじ込まれた少なくとも3本のネジの先端によってその外周面が支持されるように構成されても良い。このように構成すれば、各ネジのねじ込み量を適宜調整することにより、第1取付枠の軸に直交する面内での位置を容易に調整することができる。また、この場合、1本のネジをボールプランジャとすれば、他の二本のネジの調整のみで、第1取付枠の軸に直交する面内での位置を調整することができる。なお、このような支持構成とした場合、第1取付枠の支持強度が不足することも考えられるが、これらネジによる位置調整が完了した時点で第1取付枠をフレームに対して直接ネジ止め固定するようにすれば、支持強度を強くすることができる。
【0012】
また、第2レンズ枠は第1取付環の内側に螺合していても良いし、外側に螺合していても良い。
【0013】
また、第2レンズ枠と第2取付環は、別体であっても同一部材であっても良い。前者の場合、第2取付環を第2レンズ枠に対して回転自在且つ軸方向に進退不能に構成しておけば、第2取付環内に明るさ絞り等を設ける場合において、第2レンズ枠の回転に拘わらず第2取付環の回転方向を一定に保つことができる。
【0014】
また、第3レンズ枠は第2取付環の内側に螺合していても良いし、外側に螺合していても良い。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
以下に説明する実施形態によるビデオ型立体顕微鏡(以下、単に「立体顕微鏡」という)は、例えば脳神経外科手術の際に用いられる手術支援システムに組み込まれて使用される。この手術支援システムは、立体顕微鏡によって患者の組織をビデオ撮影して得られた立体映像(ステレオ映像)を、予め得られていた患部のデータに基づいて作成したCG(コンピュータグラフィック)映像と合成して、手術者専用の立体視ビューアーや他のスタッフ用のモニタ等に表示し、また、録画装置に録画するシステムである。
(手術支援システムの全体構成)
図1は、この手術支援システムの概略を示すシステム構成図である。この図1に示されるように、手術支援システムは、立体顕微鏡101と、この立体顕微鏡101の背面の上端近傍に取り付けられたハイビジョンCCDカメラ102と、同じく下端近傍に取り付けられた顕微鏡位置測定装置103と、立体顕微鏡101の上面に取り付けられたカウンターウェイト104と、このカウンターウェイト104に開けられた貫通孔を貫通して立体顕微鏡101の内部に導通されたライトガイドファイバ105と、このライトガイドファイバ105を通じて立体顕微鏡101に照明光を導入する光源装置106と、ディスク装置107を有する手術計画用コンピュータ108と、顕微鏡位置測定装置103及び手術計画用コンピュータ108に接続されたリアルタイムCG作成装置109と、このリアルタイムCG作成装置109及びハイビジョンCCDカメラ102に接続された画像合成装置110と、この画像合成装置110に接続された分配器111と、この分配器111に接続された録画装置115,モニタ114及び立体視ビューア113等から、構成されている。
【0017】
上述したディスク装置107には、患者Pの患部を予め様々な撮影装置で撮影することによって得られた画像(CTスキャン画像,MRI画像,SPECT画像,血管造影画像,等)が格納されているとともに、これらの各種画像に基づいて予め作成された患部及び周辺組織の3次元データが格納されている。なお、この3次元データは、患者の外皮又は内部組織の特定部位に設定された基準点(マーキング等)を原点として定義された3次元ローカル座標上で、患部及び周辺組織の形状,大きさ及び位置を、ベクトル形式又はマップ形式で特定するデータとなっている。
【0018】
また、上述した立体顕微鏡101は、その背面に取付られたマウントを介して、第1スタンド100のフリーアーム100aの先端に、着脱自在に固定されている。従って、この立体顕微鏡101は、第1スタンド100のフリーアーム100aの先端が届く半径内で、移動自在であるとともに、任意の向きに向くことができる。但し、ここでは、便宜上、立体顕微鏡101に対するその被写体の向きを「下」と定義し、逆向きを「上」と定義するものとする。
【0019】
この立体顕微鏡101内の光学構成については後で詳しく説明するが、その概略構成を述べると、図2に示すように、観察対象物は、単一の光軸を持つ大径のクローズアップ光学系210,及びこのクローズアップ光学系210における互いに異なる箇所を透過した光を夫々収束させる左右一対のズーム光学系220,230からなる対物光学系によって、左右の視野絞り270,271の位置に、夫々、一次像として結像される。これら左右の一次像は、左右一対のリレー光学系240,250によってリレーされてハイビジョンCCDカメラ102内に導入され、ハイビジョンサイズ(縦横のアスペクト比=9:16)の撮像面を有する撮像装置としてのCCD116における左右の各撮像領域(縦横のアスペクト比=9:8)に、夫々二次像として再結像される。この光学系におけるクローズアップ光学系210,一方のズーム光学系220及び一方のリレー光学系240は一方の撮影光学系をなし、該クローズアップ光学系210,他方のズーム光学系230及び他方のリレー光学系250は他方の撮影光学系をなし、併せて、所定の基線長を隔てて配置された一対の撮影光学系をなす。
【0020】
このような一対の撮影光学系によってCCD116の撮像面上における左右の各撮像領域(撮像面における基線長の方向において区分された二つの領域)に形成された像は、所定の基線長を隔てた二箇所から夫々撮影した画像を左右に並べたステレオ画像と等価である。そして、このCCD116の出力信号は、画像プロセッサ117によってハイビジョン信号として生成されて、ハイビジョンCCDカメラ102から画像合成装置110へ向けて出力される。
【0021】
なお、この立体顕微鏡101内には、クローズアップ光学系210の焦点位置近傍に存在する観察対象物を照明する照明光学系300(図6参照)が内蔵されている。そして、この照明光学系300には、光源装置106からライトガイドファイババンドル105を介して照明光が導入される。
【0022】
図1に戻り、立体顕微鏡101に取り付けられた顕微鏡位置測定装置103は、クローズアップ光学系210の光軸上に存在する観察対象物までの距離,クローズアップ光学系210の光軸の立体的な向き,上記基準点の位置を測定し、測定したこれら情報に基づいて上記ローカル座標における観察対象物の位置を算出する。そして、これら光軸の向き及び観察対象物の位置の情報を、リアルタイムCG作成装置109に通知する。
【0023】
このリアルタイムCG作成装置109は、顕微鏡位置測定装置103から通知された光軸の向き及び観察対象物の位置の情報,及び手術計画用コンピュータ108からダウンロードした3次元データに基づいて、この光軸の向きから患部(例えば腫瘍)を立体視したのと等価なCG画像(例えば、ワイヤフレーム画像)をリアルタイムに生成する。このCG画像は、立体顕微鏡101内の光学系と同じ基線長,及び同じ被写体距離での立体画像(ステレオ画像)として生成される。そして、リアルタイムCG作成装置109は、このようにして生成したCG画像を示すCG画像信号を、随時、画像合成装置110に入力する。
【0024】
この画像合成装置110は、ハイビジョンCCDカメラ102から入力された実際の観察対象物のハイビジョン信号に、リアルタイムCG作成装置109から得られたCG画像信号を、縮尺を調整してスーパーインポーズする。このようなCG画像信号のスーパーインポーズがなされたハイビジョン信号が示す画像においては、実際に撮影して得られた画像中で、患部の形状,大きさ及び位置が、ワイヤフレーム等のCG画像として示されている。このスーパーインポーズのなされたハイビジョン信号は、分配器111によって、主術者D用の立体視ビューワ113,その他の手術スタッフ用又は遠隔地に居るアドバイザ用のモニタ114,及び、録画装置115へ、夫々供給される。
【0025】
立体視ビューワ113は、第2スタンド112のフリーアーム112aの先端から垂下して取り付けられている。従って、主術者Dが処置を施し易い姿勢に合わせて、立体視ビューワ113を配置することが可能になっている。この立体視ビューワ113の概略構成を図3に示す。この図3に示されるように、立体視ビューワ113は、ハイビジョンサイズのLCDパネル120を、モニタとして内蔵している。このLCDパネル120に分配器からのハイビジョン信号による映像が表示された場合には、図4の平面図に示すように、LCDパネル120の左半分120bには、CCD116における左側撮像領域にて撮影された映像が表示され、右半分120aには、CCD116における右側撮影領域にて撮影された映像が表示される。これら左右の映像の境界線120cは、後述する視野絞り270,271の位置調整如何により、ずれたり傾むいたりする。立体視ビューワ113内の光路は、視野絞り270,271が正確に調整された際における境界線120cに対して垂直に設置された隔壁121により、左右に区分けされている。この隔壁121の両側には、夫々、LCDパネル120側から順番に、楔プリズム119及び接眼レンズ118が配置されている。この接眼レンズ118は、LCDパネル120に表示された映像の虚像を、観察眼Iの前方約1m(−1ディオプトリ)の位置に拡大して形成するレンズである。また、楔プリズム119は、観察眼Iの輻輳角が1m先に存在する物体を観察するのと等しい角度になるように光の進行方向を補正し、自然な立体観察を可能としている。
【0026】
このような立体視ビューワ113によって立体視される映像,又は、モニタ114に表示される映像においては、上述したように、予め各種撮影装置によって撮影された画像に基づいて検出されていた腫瘍等の患部の形状,大きさ及び位置を示すワイヤフレーム等のCGがスーパーインポーズされている。従って、これらを観察している主術者D又はその他の手術スタッフは、実際の映像中では識別が困難である患部を、容易に識別することができる。これにより、正確且つ迅速な処置が可能となるのである。
(立体顕微鏡の構成)
次に、上述した立体顕微鏡101(ハイビジョンCCDカメラ102を含む)の具体的な構成を、詳細に説明する。この立体顕微鏡101は、図5の斜視図に示すように、ハイビジョンCCDカメラ102が取り付けられた背面が扁平であり、且つ、表面(背面の反対側面)の両側縁が面取りされた略角柱形状を有する。そして、その上面の中央に、開口が円形の凹部101aが形成されている。この凹部101aの中心には、ライトガイドファイババンドル105の先端が挿通固定された円筒部材であるガイドパイプ122が挿入される挿入口(図示略)が形成されている。なお、この挿入口の開口に取り付けられた円環状の部材(ファイバガイド挿入部)123は、挿入口に挿入されたガイドパイプ122を固定するチャックである。
<光学構成>
次に、立体顕微鏡101内の光学構成を、図6乃至図9を参照して説明する。図6は顕微鏡光学系の全体構成を示す斜視図、図7は側面図、図8は正面図、図9は平面図である。
【0027】
顕微鏡光学系は、図6に示すように、被写体の像を電子的に撮影する撮影光学系(左右一対の撮影光学系)200と、ライトガイドファイババンドル105により光源装置106から導かれた照明光により被写体を照明する照明用光学系300とから構成されている。
【0028】
撮影光学系(左右一対の撮影光学系)200は、全体として、前記のように、左右で共用される一つのクローズアップ光学系210、及び左右一対のズーム光学系220,230から構成される対物光学系と、この対物光学系により形成された被写体の一次像をリレーして被写体の二次像を形成する左右一対のリレー光学系240,250と、これらのリレー光学系240,250からの被写体光を互いに近接させる光軸間距離縮小素子としての輻輳寄せプリズム260とを備えている。
【0029】
また、ズーム光学系220,230による一次像の形成位置には、視野絞り270,271がそれぞれ配置されており、リレー光学系240,250には光路を直角に偏向する光路偏向素子としてのペンタプリズム272,273がそれぞれ配置されている。
【0030】
このような構成により、CCDカメラ102内に配置されたCCD116上の隣接した2つの領域に、所定の視差を持つ左右の被写体像を形成することができる。なお、光学系の説明においては、「左右」はCCD116上に投影された際にその撮像面の長手方向に一致する方向、「上下」はCCD116上で左右方向に直交する方向とする。以下、各光学系の構成を順に説明する。
【0031】
クローズアップ光学系210は、図6、図7、図8に示すように、物体側から順に負の第1レンズ211と正の第2レンズ212とが配列して構成される。第2レンズ212は、光軸方向に移動可能であり、その移動調整により異なる距離の被写体に対して焦点を合わせることができる。
【0032】
すなわち、クローズアップ光学系210は、被写体がその焦点位置に位置するよう調整され、被写体からの発散光をほぼ平行光に変換するコリメート機能を有する。
【0033】
クローズアップ光学系210の第1,第2レンズ211,212は、光軸方向から見た平面形状がいずれもDカットされたほぼ半円形状であり、このカットされた部分に照明光学系300が配置されている。
【0034】
一対のズーム光学系220,230は、クローズアップ光学系210からの無限遠結像の被写体光を視野絞り270,271の位置にそれぞれ結像させる。
【0035】
一方のズーム光学系220は、図6〜図8に示すように、クローズアップ光学系210側から順に、正、負、負、正のパワーをそれぞれ有する第1〜第4レンズ群221,222,223,224により構成され、第1,第4レンズ群221,224を固定し、第2,第3レンズ群222,223を光軸方向に移動させてズーミングを行う。主に第2レンズ群222の移動により倍率を変化させ、第3レンズ群223の移動により焦点位置を一定に保つ。
【0036】
他方のズーム光学系230も、上記のズーム光学系220と同一構成であり、第1〜第4レンズ群231,232,233,234から構成される。これらのズーム光学系220,230は、図示せぬ駆動機構により連動し、左右の画像の撮影倍率を同時に変化させることができる。
【0037】
ズーム光学系220,230の光軸Ax2,Ax3は、クローズアップ光学系210の光軸Ax1に対して平行であり、かつ、ズーム光学系220,230の光軸Ax2,Ax3を含む平面が、この平面と平行でクローズアップ光学系210の光軸を含む平面に対し、Dカット部の反対側にΔだけ離れている。
【0038】
なお、クローズアップ光学系210の直径は、ズーム光学系220,230の最大有効径と照明光学系300の最大有効径を内包する円の直径より大きく設定されている。上記のようにズーム光学系220,230の光軸Ax2,Ax3をクローズアップ光学系210の光軸Ax1よりもDカット部から離れた位置に設定することにより、照明光学系300をもクローズアップ光学系210の占める径内に収めることができ、全体をコンパクトにまとめることができる。
【0039】
視野絞り270,271は、ズーム光学系220,230により形成される一次像の位置に配置されている。視野絞り270,271は、図6に示すように、外形が円形状で左右方向のそれぞれ内側に半円形の開口を有している。各視野絞り270,271は、この開口の直線状のエッジがCCD116上での左右画像の境界線に相当する方向に一致し、それより内側の光束のみを透過させるように配置されている。
【0040】
前述のように、実施形態の顕微鏡は、左右の二次像を単一のCCD116上の隣接領域に形成させるため、CCD116上での左右の画像の境界を明確にして画像の重なりを防ぐ必要がある。このため、一次像の位置に視野絞り270,271が配置されている。半円開口の直線エッジをいわゆるナイフエッジとして機能させ、それより内側の光束のみを透過させることにより、CCD116上での左右の画像の境界を明確にすることができる。
【0041】
なお、視野絞り270,271上に形成される一次像は、リレー光学系240,250により再結像されて二次像となり、一次像と二次像とでは上下、左右が反転する。したがって、一次像の位置で左右方向の外側を規定するナイフエッジは、二次像の位置では左右方向の内側、すなわち左右の画像の境界を規定することとなる。
【0042】
リレー光学系240,250は、上述のようにズーム光学系220,230により形成された一次像を再結像させる作用を持ち、いずれも3枚の正レンズ群により構成される。
【0043】
一方のリレー光学系240は、図6及び図7に示すように、単一の正メニスカスレンズから構成される第1レンズ群241と、全体として正のパワーを持つ第2レンズ群242と、単一の両凸レンズから構成される第3レンズ群243とから構成されている。このうち第1レンズ群241及び第2レンズ群242は、その全体としての物体側焦点をズーム光学系220による一次像の結像面(視野絞り271と同じ平面)に一定させている。また、第3レンズ群243は、第2レンズ群242から射出された平行光をCCD116の撮像面上に収束させる。そして、第1レンズ群241と第2レンズ群242との間には、光路を直角に偏向するペンタプリズム272が配置され、第2レンズ群242と第3レンズ群243との間には光量調節用の明るさ絞り244が設けられている。
【0044】
他方のリレー光学系250も、上記のリレー光学系240と同一構成であり、第1、第2、第3レンズ群251,252,253から構成され、第1レンズ群251と第2レンズ群252との間には、ペンタプリズム273が配置され、第2レンズ群252と第3レンズ群253との間には明るさ絞り254が設けられている。
【0045】
視野絞り270,271を通過した発散光は、リレー光学系の第1レンズ群241,251及び第2レンズ群242,252により再びほぼ平行光に変換され、明るさ絞り244,254を通過した後、第3レンズ群243,253により再度結像して二次像を形成する。
【0046】
リレー光学系240,250中にペンタプリズム272,273を配置することにより、クローズアップ光学系210の光軸方向に沿った撮影光学系200の全長を短くすることができる。
【0047】
なお、リレー光学系240,250は、その第2レンズ242,252と第3レンズ243,253が光軸方向、及び光軸に垂直な方向に調整自在である。これらの第2,第3レンズ群242,252,243,253を光軸方向に移動させて第1レンズ群241,251及び第2レンズ群242,252の合成焦点距離を変化させることにより、リレー光学系240,250全体の倍率(二次像の像高)を調整することができる。また、第3レンズ群243,253のみを光軸方向に移動させることにより、リレー光学系のバックフォーカスを変化させ、CCD116に対する焦点調節が可能となる。さらに、第2レンズ群242,252及び第3レンズ群243,253を一体にして光軸と垂直な方向に調整することにより、二次像の光軸に直交する面内での位置を調整することができる。このような調整のため、第2レンズ群242,252と第3レンズ群243,253とは一体の外鏡筒(第2レンズ枠32及び第3レンズ取付枠34)に保持され、第3レンズ群243,253は更にこの鏡筒に対して光軸方向に移動可能な内鏡筒(第3レンズ枠35)に保持されている。
【0048】
このように2レンズ群242,252と第3レンズ群243,253とは調整のために移動するため、これらのレンズ群の間にペンタプリズム272,273を設けると調整機構が複雑化する。そこで、ペンタプリズム272,273は、視野絞り270,271と第2レンズ群242,252との間に設けることが望ましい。さらに、第1レンズ群241,251により被写体光の発散度合いが弱められるため、ペンタプリズムの有効径を小さくするためには、実施形態のようにペンタプリズム272,273を第1レンズ群241,251と第2レンズ群242,252との間に設けることが望ましい。
【0049】
リレー光学系240,250とCCDカメラ102との間に配置された輻輳寄せプリズム260は、それぞれのリレー光学系240,250からの被写体光の左右の間隔を狭める機能を有する。立体視による立体感を得るためには左右のズーム光学系220,230、リレー光学系240,250の間には所定の基線長が必要である。他方、CCD116上の隣接した領域に二次像を形成するためには光軸間の距離を基線長より小さくする必要がある。そこで、輻輳寄せプリズム260により、リレー光学系の光軸をそれぞれ内側にシフトさせることにより、所定の基線長を確保しつつ同一CCD上への結像を可能としている。
【0050】
輻輳寄せプリズム260は、図6及び図9に示すように、五角柱の左右対称な光軸シフトプリズム261,262を、0.1mm程度の隙間を開けて対向配置することによって、構成されている。
【0051】
光軸シフトプリズム261,262は、図9に示すように、互いに平行な入射端面と射出端面とを備え、かつ、内側と外側とに互いに平行な第1,第2反射面を備えている。また、これらの光軸シフトプリズム261,262は、入射、射出端面や反射面に対して垂直な方向で平面的に見ると、平行四辺形の鋭角の頂角の一方を射出端面に直交する線で切り取って形成された五角形状であり、切り取られて形成された面が接合面となっている。
【0052】
リレー光学系240,250からの被写体光は、各光軸シフトプリズム261,262の入射端面から入射し、外側の反射面で反射されて左右方向で内側に向けられ、内側の反射面で再び入射時と同じ光軸方向に反射され、射出端面から射出してCCDカメラ102に入射する。この結果、左右の被写体光はその進行方向を変えずに左右の間隔のみが狭められ、同一のCCD116上に二次像を形成する。
【0053】
照明光学系300は、被写体に照明光を投影する機能を有し、図6及び図7に示すように、ライトガイドファイバーバンドル105から射出する発散光の発散度合いを調整する照明レンズ310と、照明範囲と撮影範囲とを一致させるための楔プリズム320とから構成されている。照明レンズ310の光軸Ax4は、図7に示すようにクローズアップ光学系210の光軸Ax1と平行であり、かつ、所定量偏心しているため、このままでは照明範囲の中心と撮影範囲の中心とが一致せず、照明光量が無駄になる。楔プリズム310を設けることにより、上記の不一致を解消でき、照明光量を有効に利用することができる。
<光学系保持機構>
次に、上述した撮影光学系のうち視野絞り270,271以降の光学系を保持する機構の機械構成を説明する。図10に示すように、上述した左右一対の視野絞り270,271,並びに、ペンタプリズム272,273及び明るさ絞り244,254を含むリレー光学系240,250は、予め一体のユニット(リレー部ユニット1)として組み立てられた後に、立体顕微鏡101の筐体内部に取り付けられる。
【0054】
図11は、このリレー部ユニット1を前方斜め上方から見下ろした状態を示す斜視図であり、図12は、このリレー部ユニット1を前方斜め下方から見上げた状態を示す斜視図である。これら図11及び図12に示されるように、このリレー部ユニット1は、立体顕微鏡101の筐体内部に固定される基準フレーム2に、夫々左右一対の視野絞りホルダ3,4,前方鏡筒,5,6,ペンタプリズム272,273,及び後方鏡筒7,8を組み付けることによって、構成されている。以下、リレー部ユニット1を構成するこれら各部の説明を、順番に行う。
【0055】
まず、基準フレーム2は、リレー光学系240(250)におけるペンタプリズム272(273)の前後における光軸Ax2(Ax3)を含む面における断面形状が略L字型をなすように、第1レンズ群241(251)の光軸に直交する板状のペンタベース部21とこのペンタベース部21の後端(第2レンズ群242(252)側の縁)から垂直に立ち上がったマウント部22とを一体化した概略形状を有する。
【0056】
このマウント部22の後端面(第2レンズ群242(252)側の面)22aは、基準フレーム2のみを当該後端面側から見下ろした斜視図である図13に示されるように、矩形の平坦面として加工されており、両ズーム光学系220,230の光軸Ax2,Ax3を共に含む平面に対して正確に平行となるように、立体顕微鏡101の筐体内部に形成された図示せぬ基準面に当て付けられて、位置決めされる。従って、この後端面22aがリレー部ユニット1における全ての加工の基準となるので、以下、「加工基準面22a」と称される。
【0057】
この加工基準面22aには、リレー部ユニット1を立体顕微鏡101のハウジングに固定した時に各プリズム272,273によって直角に曲げられた光軸Ax2,Ax3を通過させるために、これら各光軸Ax2,Ax3の通過位置を中心とした断面円形の貫通孔22b,22bが、左右対称となるように開けられている。そして、これら各貫通孔22bの加工基準面22a側の開口周辺は、各後方鏡筒7,8を固定するために、貫通孔22bと同軸であり且つその3倍程度の内径を有する受け座22cとして加工されている。なお、各光軸Ax2,Ax3は、加工基準面22aにおける上下方向の中心からやや下端側に偏奇した位置を通過するので、各受け座22cの一部は、マウント部22の下縁(ペンタベース部21の下面)に達して、C字に開いている。
【0058】
また、加工基準面22aにおける各受け座22cの周囲には、夫々、後述する各後方鏡筒7,8のディセンタ調整環30(図20,図21参照)のネジ止め固定用ネジ孔22dが、各貫通孔22bの中心に対して等角度間隔で3箇所形成されている。さらに、各受け座22cの底面には、後述する各後方鏡筒7,8の第2レンズ枠取付環31(図20,図21参照)の固定用透孔22eが、各受け座22cの中心に対して等角度間隔で3箇所形成されている。
【0059】
一方、ペンタベース部21の上面及び下面は、加工基準面22aに対して正確に垂直且つ両貫通孔22bの中心軸を含む平面に対して正確に平行となるように、加工されている。また、このペンタベース部2の外縁は、立体顕微鏡101の筐体内部形状に沿って、左右対称に成形されている。
【0060】
また、図20に示すように、このペンタベース部21には、リレー部ユニット1を立体顕微鏡101のハウジングに固定した時に各ズーム光学系220,230の光軸Ax2,Ax3を通過させるために、これら光軸Ax2,Ax3の通過位置を中心とした断面円形の貫通孔21a,21aが、左右対称となるように開けられている。各貫通孔21aにおける上側半分は雌ネジとして形成され、下側半分は受け座として形成されている。そして、各貫通孔21a,21aには、その下面側の開口から、夫々、各前方鏡筒5,6がねじ込まれて固定されている。この前方鏡筒5,6は、その内部にリレー光学系240,250の第1レンズ群241,251を保持する第1レンズ枠としての円筒であり、その後端に形成された若干小径の雄ネジが上記貫通孔21a,21aの雌ネジにねじ込まれることによって、ペンタベース部21に固定されている。
【0061】
また、各貫通孔21a,21aは、ペンタベース部21の上面側においては、加工基準面22aに対して垂直に形成された二筋のプリズム固定溝21b,21bの底面に開口している。各プリズム固定溝21bは、各ペンタプリズム272,273と略同じ幅を有する横断面矩形状に形成されており、その底面はペンタベース部21の上面と平行である。そして、各ペンタプリズム272,273は、各プリズム固定溝21b,21bに填め込まれ、その入射面が各貫通孔21a,21aを塞いだ状態で各プリズム固定溝21b,21bの底面に当接している。そして、各ペンタプリズム272,273第1反射面と第2反射面との間の斜面に掛けられた固定バンド9によって、ペンタベース部21に固定されている。これにより、第1レンズ群241,251の光軸Ax2,Ax3は、ペンタベース部21の貫通孔21aの中心軸及びマウント部22の貫通孔22bの中心軸を含む面内で直角に偏向され、加工基準面22aに対して正確に直交して貫通する。
【0062】
さらに、このペンタベース部21の下面における左右方向の中央には、加工基準面22aと面一な後端面,この加工基準面22a及びペンタベース部21の下面に対して垂直な両側面,及び、ペンタベース部21の下面と平行な下面を有するホルダ支持部23が、一体に突出形成されている。このホルダ支持部23は、上述した左右一対の視野絞りホルダ3,4を、加工基準面22aに対して平行且つ両第1レンズ群241,251の光軸Ax2,Ax3と直交する方向にのみ位置調整自在に保持する。以下、これらホルダ支持部23及び両視野絞りホルダ3,4の構成を説明する。
【0063】
図14は、光軸Ax2が通る平面に沿った縦断面図であり、図15は、図14のXV−XV線に沿った横断面図であり、図16は、図15におけるXVIa−XVIa線に沿った縦断面及びXVIb−XVIb線に沿った縦断面の合成断面図である。これら各断面図及び図12の斜視図に示されるように、ホルダ支持部23には、その両側面に対して垂直な二つの軸受孔23a,23bが、両光軸Ax2,Ax3を含む平面に対して互いに対称となる位置関係で、夫々貫通して形成されている。これら各軸受孔23a,23bには、夫々、これら各軸受孔23a,23bと略同径のガイドピン10,11が、回転自在に挿入されている。
【0064】
これら各ガイドピン10,11は、互いに同形状の円柱形状を有しており、その一端近傍の外周面には雄ネジ10a,11aの山が突出形成されている。この雄ネジ10a,11aは各軸受孔C23bよりも大径であるので、各ガイドピン10,11は、この雄ネジ10a,11aが形成されていない方の端から、各軸23a,23bに挿入される。具体的には、加工基準面22aに近接した側の軸孔23aに対しては、ガイドピン10が図15における下側の開口から挿入され、他方の軸孔23bに対しては、ガイドピン11が図15における上側の開口から挿入されている。
【0065】
各視野絞りホルダ3,4は、左右方向の軸が前後方向の軸よりも短い扁平な概略直方体形状を有しており、その平面(ペンタベース部21の下面)の中央には、第1レンズ群241,251の外径とほぼ同じ内径の貫通孔3a,4aが、上下に貫通している。この貫通孔3a,4aにおけるペンタベース21側の開口は、若干大径な受け座として形成されている。また、この貫通孔3a,4aの両側には、この貫通孔3a,4aの中心軸に対して対称な位置関係,且つ、ホルダ支持部23の軸受孔23a,23bと同じ間隔で、ネジ孔3b,4bとストレート孔3c,4cとが開けられている。このネジ孔3b,4bは各ガイドピン10,11の雄ネジ10a,11aが螺合可能な内径を有しており、ストレート孔3c,4cは各ガイドピン10,11の先端とほぼ同じ内径を有している。そして、一方の視野絞りホルダ3は、そのネジ孔3bにガイドピン11の雄ネジ11aが螺合しているとともに、そのストレート孔3cにガイドピン10の先端が挿し込まれている。また、他方の視野絞りホルダ4は、そのネジ孔4bにガイドピン10の雄ネジ10aが螺合しているとともに、そのストレート孔4cにガイドピン11がし込まれている。
【0066】
なお、各ガイドピン10,11には、その雄ネジ10a,11aとホルダ支持部23の側面との間隔を一定に保った状態下でホルダ支持部23の側面(ガイドピン10の先端が突出している側面)に当接するEリング12が、填められている。また、ガイドピン10,11における雄ネジ10a,11aとホルダ支持部23の側面との間には、雄ネジ10a,11aの外径よりも内径が小さいワッシャ13が挿通されている。そして、このワッシャ13とホルダ支持部23の側面との間には、ガイドピン10,11が抜ける向きにワッシャ13を付勢する圧縮バネ14が、各ガイドピン10,11を巻回して装着されている。これによって、各ガイドピン10,11は、ホルダ支持部23の各軸受孔23a,23bに対して、軸方向に進退不可能となっている。
【0067】
以上のような構成により、一方のガイドピン11を回転させると、一方の視野絞りホルダ3が、加工基準面22aに沿って光軸Ax2に直交する方向に直進移動し、その途中において、その貫通孔3aの中心が光軸Ax2と交差する。また、他方のガイドピン10を回転させると、他方の視野絞りホルダ4が、加工基準面22aに沿って光軸Ax3に直交する方向に直進移動し、その途中において、その貫通孔4aの中心が光軸Ax3と交差する。
【0068】
なお、各Eリン12と各視野絞りホルダ3,4の側面との間には、各視野絞りホルダ3,4をホルダ支持部23から離間させる方向に付勢する圧縮バネ15が、各ガイドピン10,11を巻回して装着されている。これにより、各ガイドピン10,11の雄ネジ10a,11aと各視野絞りホルダ3,4のネジ孔3b,4bとの間のバックラッシに因る誤差が解消され、各視野絞りホルダ3,4の位置が一義的に定まる。
【0069】
上述した各視野絞りホルダ3,4の貫通孔3a,4aには、夫々、この貫通孔3a,4aの内径とほぼ同じ外径を有する筒状の視野絞り枠16が、貫通孔3a,4aに対して所定の摩擦を伴って回転可能に填め込まれている。各視野絞り枠16の上端(前方鏡筒5,6に対向する端)の外縁には、貫通孔3a,4aの受け座に填るフランジが形成されている。このフランジが貫通孔3a,4aの受け座に填った状態において、各視野絞り枠16の下端は、各視野絞りホルダ3,4の下面から若干量突出している。そして、この視野絞り枠16の下端には、マイナスドライバの先端に係合する切欠16aが、その中心軸に直交する方向に沿って形成されている。なお、各視野絞り枠16の上端の内縁には、他の部分よりも内径が若干大きい受け座16bが形成されている。この受け座16bに、上述した視野絞り270,271が、光軸Ax2,Ax3に対して直交するように固定されているのである。
【0070】
両視野絞り270,271の形状は全く同一であるので、以下、視野絞り270を代表として、その具体的形状を説明する。図17は、この視野絞り270の平面図である。この図17に示されるように、また、上述したように、各視野絞り270の外縁形状は円形である。そして、その内側には、直径を弦(即ち、ナイフエッジ270b)とするととともに外縁と同心の円弧を有する半円形の開口270aが、開けられている。
【0071】
上述したように、視野絞り270が所定位置に調整された後の通常使用状態においては、図18に示すように、この視野絞り270の像270’が、そのナイフエッジ270’bをCCD116の撮像面における左右の撮像領域の境界線と一致させた状態で、CCD116の撮像面と同一平面上に形成される。この時、視野絞り270における開口270aが開けられていない側の半分は、CCD116の撮像面の片側半分(自己に対応していない撮像領域)と共役な部分を遮蔽するが、リレー光学系240による開口270aの像270’aは、CCD116の撮像面の残り半分(自己に対応した撮像領域)を完全に覆う大きさとなっていなければならない。そのため、開口270aの円弧の半径Rは、図19に示すCCD116の撮像面の水平方向幅CCDHに対して、
2 >(CCD H /m) 2 +(CCD V /2m) 2 ……(1)
の関係を満たす大きさとなっている。但し、mは、リレー光学系240の倍率である。
【0072】
また、視野絞り270における開口270aが開けられていない側には、小径の円形孔をナイフエッジ270bと平行に3個並べてなる倍率調整用のマーキング270cが、形成されている。視野絞り270が所定位置に調整された後の通常使用状態においては、このマーキング270cのリレー光学系20による像270’cは、図18に示すように、CCD16の撮像面から外れていなければならない。そのため、マーキング270cとナイフエッジ270bとの間隔LHも、図19に示すCCD116の撮像面の水平方向幅CCDHに対して、
H>CCDH /(2×m) ……(2)
の関係を満たす大きさとなっている。
【0073】
次に、後方鏡筒7,8の構成を説明するが、両後方鏡筒7,8は互いに全く同じ構成を有しているので、一方の後方鏡筒7の説明のみを行って、他方の後方鏡筒8の説明を省略する。
【0074】
図20は、一方のリレー光学系240の光軸Ax2を含む面に沿った断面図であり、図21は、この面で切断した場合における後方鏡筒7の断面斜視図である。これら両図においては、その右側を前方というとともに、その左側を後方というものとする。
図20及び図21に示されるように、後方鏡筒7は、加工基準面22aにおける受け座22cの周縁に固定されたディセンタ調整環30と、受け座22c及びディセンタ調整環30の内部において固定された第2レンズ枠取付環(第1取付環)31と、この第2レンズ枠取付環31の内部に螺合するとともにその内部に第2レンズ群242を保持する第2レンズ枠32と、この第2レンズ枠32の外面に螺合するとともに第2レンズ枠取付環31の後端面に当接する第2レンズ枠固定環33と、第2レンズ枠32の後端に回転調整のみ可能に嵌合された第3レンズ枠取付環(第2取付環)34と、この第3レンズ枠取付環34の内部に螺合するとともにその内部に第3レンズ群243を保持する第3レンズ枠35と、第3レンズ枠取付環34の内部に螺合するとともに第3レンズ枠35に対して後端側から当接する第3レンズ枠固定環36とを、主要部品として構成されている。なお、上述した各枠又は環30乃至36は、ネジ孔等の形状を除いて、何れも、回転対称な形状を有している。以下、夫々の具体的な形状を説明する。
【0075】
先ず、ディセンタ調整環30は、受け座22cの内径とほぼ同じ外径を有する円筒の先端に、受け座22cの内径よりも大径な取付フランジ30aが突出形成された形状を有する。また、この取付フランジ30aを含むディセンタ調整環30の先端面には、受け座22cの内径とほぼ同じ外径を有する環状突起30bが突出形成されている。この環状突起30bが受け座22c内に填り込むことにより、ディセンタ調整環30は加工基準面22aに対して位置決めされる。また、取付フランジ30aには、この状態において加工基準面22aの各ネジ孔22dに対応した位置に、夫々、透孔30cが形成されている。そして、ディセンタ調整環30は、各透孔30cを貫通して各ネジ孔22dにねじ込まれた固定ネジ37により、基準フレーム2のマウント部22に対して固定されている。
【0076】
また、ディセンタ調整環30における後方の筒状部分には、図22に示すように、その中心に対して互いに90度をなす位置関係で2つのビス(ディセンタ調整用セットビス)38,38が夫々ねじ込まれる比較的小径な2つのネジ孔と、これら各ビス38に対してともに135度をなす位置関係でボールプランジャ39がねじ込まれる比較的大径な1つのネジ孔とが、外周面における同一円周上の位置から中心に向けて、貫通形成されている。
【0077】
次に、第2レンズ枠取付環31は、貫通孔22bよりも大きい内径を有している。この第2レンズ枠取付環31の先端には、受け座22cの内径よりも若干小径な外径を有する取付フランジ31aが突出形成されているとともに、その後端には、ディセンタ調整環30の内径よりも若干小径な外径を有するディセンタ調整用フランジ31bが突出形成されている。
【0078】
取付フランジ31aには、その先端面が受け座22cの底面に当接した状態において受け座22cの各透孔22eに対応した位置に、夫々、この透孔22eよりも十分小径なネジ孔31cが形成されている。そして、この第2レンズ枠取付環31は、各透孔22eを貫通して各ネジ孔31cにねじ込まれた固定ネジ40によって、マウント部22に対して固定されている。但し、各固定ネジ40と各透孔22eとのクリアランスの範囲で、第2レンズ枠取付環31は、マウント部22に対して、軸に直交する面内での位置調整が可能となっている。
【0079】
また、ディセンタ調整用フランジ31bの外周面には、ディセンタ調整環30にねじ込まれた各ディセンタ調整用セットビス(ネジ)38の先端及びボールプランジャ(ネジ)39のボール39aの頂点よりも僅かに後方にその最深部が存在する環状V溝が形成されている。この環状V溝の内面に各セットビス38,38の先端テーパ面及びボールプランジャ39のボール39aが当接することにより、第2レンズ枠取付環31は、その軸に直交する面内において位置決めされる。従って、両セットビス38,38を適宜回転させて、ディセンタ調整用フランジ31bを押し引きすることにより、第2レンズ枠取付環31をその軸に直交する面内で位置調整することができる。なお、ボールプランジャ39のボール39aは、この位置調整の間中、ディセンタ調整用フランジ31bの動きに追従して没入又は突出し、常時ディセンタ調整用フランジ31bを両セットビス38,38に対して押し付ける。このボールプランジャ39のボール39aの追従範囲を超えて各セットビス38が調整される場合には、このボールプランジャ39自身を回転させて、各セットビス38の位置に合わせて位置調整すれば良い。
【0080】
また、第2レンズ枠取付環31の内周面における先端近傍には、雌ネジの山が突出形成されている。
【0081】
次に、第2レンズ枠32は、貫通孔22bよりも大径な内径を有する。そして、この第2レンズ枠32の内部に、上述した第2レンズ群242が保持されている。また、この第2レンズ枠32の外面は、第2レンズ枠取付環31の内径とほぼ同じ外径を有してこの第2レンズ枠取付環31に嵌入される小径部32a,この小径部32aよりも若干大径の雄ねじが形成された中間径部32b,及び、フランジ32cを介して中間径部32bに連なる大径部32dに、区分されている。
【0082】
この小径部32aの先端には、第2レンズ枠取付環31に形成された雌ネジに螺合した雄ねじが切られている。従って、第2レンズ枠32は、第2レンズ枠取付環31に対して回転されることによって、軸方向に位置調整可能となっている。
【0083】
また、中間径部32bの雄ねじには、第2レンズ枠固定環33の内面に形成された雌ネジが螺合している。従って、この第2レンズ枠固定環33を中間径部32bの雄ねじにねじ込んで第2レンズ枠取付環31の後端に当接させ、これにより第2レンズ枠取付環31の雌ネジに小径部32aの雄ねじを噛み付かせることによって、第2レンズ枠32を第2レンズ枠取付環31に対して固定することができる。
【0084】
また、大径部32dの外周面における軸方向の略中間には、その全周にわたって、環状のV字溝が形成されている。
【0085】
次に、第3レンズ枠取付環34は、第2レンズ枠32の大径部32dの外径と略同径の内径を有する小径部34aと、この小径部34aよりも十分に大径な大径部34bとに、区分されている。
【0086】
この小径部34aは、第2レンズ枠32の大径部32dに対して回転自在に嵌合し、その先端がフランジ32cに当接している。なお、小径部34aの先端がフランジ32cに当接した状態において、第2レンズ枠32のV溝と重なる位置には、セットビス41がねじ込まれるネジ孔が、周方向において複数個形成されている。このセットビス41が小径部34aのネジ孔にねじ込まれ、その先端が第2レンズ枠32のV溝内に入り込む事により、第3レンズ枠取付環34の第2レンズ枠32からの抜け止めがなされ、さらにセットビス41がねじ込まれ、その先端が第2レンズ枠32のV溝内面に当接することにより、第3レンズ枠取付環34の第2レンズ枠32に対する回転防止がなされる。
【0087】
また、大径部34bの内部には、上述した明るさ絞り244が固定されている。この明るさ絞り244からは、作動桿244aが延びており、この作動桿244aが大径部34bを貫通している。さらに、この大径部34bの内面における後端近傍には、雌ネジが切られている。
【0088】
次に、第3レンズ枠35は、第3レンズ取付34の大径部34bの内径とほぼ同じ外径の概略円板形状を有しており、その中心に、第3レンズ群243を同軸に保持している。また、この第3レンズ枠35の外周面には、第3レンズ取付34の大径部34bの雌ネジに螺合した雄ネジが形成されている。従って、第3レンズ枠35は、第3レンズ取付34に対して回転されることによって、軸方向に位置調整可能となっている。
【0089】
また、第3レンズ取付34の大径部34bの雌ネジには、さらに、第3レンズ枠35の外側から、第3レンズ枠固定環36の外面に形成された雄ネジが螺合している。従って、この第3レンズ枠固定環36を第3レンズ取付34の大径部34bの雌ネジにねじ込んで第3レンズ枠取付環35の後端に当接させて、第3レンズ枠取付環34の雌ネジに第3レンズ枠35の雄ネジを噛み付かせることにより、第3レンズ枠35を第3レンズ枠取付環34に対して固定することができる。
(ビデオ式立体顕微鏡の組立及び調整)
次に、上述した構成を有する立体顕微鏡101の組立及び調整の手順を説明する。最初に、組立作業者は、立体顕微鏡101の筐体の外部において、左右一対のズーム光学系220,230,クローズアップ光学系210,照明光学系300を、夫々に用意された鏡筒(図示略)内に個別に組み込んで、玉合わせを行っておく。また、左右一対のズーム光学系220,230の各鏡筒を、夫々のズーム倍率を一致させ且つ光軸同士を平行にした状態で、図示せぬブラケットに固定する。
【0090】
次に、組立作業者は、立体顕微鏡101の筐体の外部において、各ペンタプリズム272,273及び各後方鏡筒7,8を除き、上述したようにリレー部ユニット1を組み立てておく。
次に、組立作業者は、このリレー部ユニット1を、図示せぬX−Yテーブル上に固定する。このとき、基準フレーム2の加工基準面22aは、X−Yテーブルの表面に対して垂直に配置しておく。そして、組立作業者は、このX−Yテーブルを適宜位置調整することにより、このX−Yテーブルの表面に対して光軸が垂直となるようにこのX−Yテーブルのベースに固定された図示せぬ光学顕微鏡の視野内に、加工基準面22aを入れて、この加工基準面22aが所定の基準線に対してなす角度Aを測定する。
【0091】
次に、組立作業者は、X−Yテーブルを適宜位置調整することにより、一方の視野絞り270をその視野内に入れる。そして、その視野絞り270を保持している視野絞り枠16をマイナスドライバーによって適宜回転させることにより、その開口270aを他方の視野絞り271に近接した側に配置させるとともに、そのナイフエッジ270bを、所定の基準線に対して角度Aから90度ずれた方向に向ける。これによりナイフエッジ270bは、加工基準面22aに対して垂直となる。
【0092】
次に、組立作業者は、X−Yテーブルを適宜位置調整することにより、他方の視野絞り271をその視野内に入れる。そして、その視野絞り271を保持している視野絞り枠16をマイナスドライバーによって適宜回転させることにより、その開口271aを視野絞り270に近接した側に配置させるとともに、そのナイフエッジ271bを、所定の基準線に対して角度Aから90度ずれた方向に向ける。これによりナイフエッジ271bは、加工基準面22aに対して垂直となるとともに、他方の視野絞り270のナイフエッジ270bに対して平行となる
【0093】
以上のようにしてナイフエッジ270b,271bの角度調整が完了すると、組立作業者は、リレー部ユニット1に、両ペンタプリズム272,273を固定するとともに、両後方鏡筒7,8を固定する。但し、この時点においては、未だ調整前であるため、固定ネジ40は仮止め状態にして第2レンズ枠取付環31をマウント部22及びディセンタ調整環30に対して調整可能としておき、第2レンズ枠固定環33を緩めて第2レンズ枠32を第2レンズ枠取付環31に対して回転可能としておき、第3レンズ枠固定環36を緩めて第3レンズ枠35を第3レンズ枠取付環34に対して回転可能としておき、各セットビス41を緩めて第3レンズ枠取付環34を第2レンズ枠32に対して回転可能としておく。
【0094】
次に、組立作業者は、両ズーム光学系220,230の各鏡筒,及び、リレー部ユニット1を、夫々、双眼顕微鏡101の筐体内に固定するとともに、双眼顕微鏡101にハイビジョンCCDカメラ102を取り付ける。すると、このハイビジョンCCDカメラ102からのハイビジョン信号を受信したモニタ114上には、左右の像が、表示される。但し、この時点では、CCDの撮像面を含む面内において、両視野絞り270,271のナイフエッジ270b,271bは、互いに平行であるものの、その位置は、必ずしも一致していない。しかも、各リレーレンズ系240,250によるイメージサークルも、CCDの左右に並んでいるとも限らない。さらに、各イメージサークル(二次像)の大きさも、等しいとは限らない。
【0095】
そこで、組立作業者は、先ず、両第3レンズ枠35を第3レンズ取付34に対して夫々適宜回転させて、第3レンズ群243,253を光軸方向に移動させることにより、両視野絞り270,271の像の270’,271’のCCD116に対するピント状態を調整する。これにより、モニタ114上にこれら像270’,271’が明瞭に表示されるようになる。
【0096】
次に、組立作業者は、各ガイドピン10,11を適宜回転させて、各視野絞りホルダ3,4を移動させ(場合によっては、更に、各後方鏡筒7,8の各ディセンタ調整用セットビス38を調整することにより)、各視野絞り270,271のマーキング270c,271cを夫々の光軸Ax2,Ax3の近傍(リレー光学系240,250に関してCCD116の撮像面と共役となる位置)に配置し、各リレー光学系240,250によるその像270’c,271’cが、ともにCCD116によって撮像されるようにする。このとき、各視野絞り270,271を回転させる機構と各視野絞り270,271を直進させる機構とは互いに独立して動作するので、ナイフエッジ270b,271bを平行に保ったまま、各マーキング270,271を直進移動させることができる。
【0097】
以上のようにして、CCD116によって両マーキング270c,271cの像270’c,271’cが撮像されると、組立作業者は、モニタ114において、両マーキング270c,271cの像270’c,271’cの幅を測定する。そして、一方の後方鏡筒7(又は8)の第2レンズ枠32を回転させて第2レンズ群242(又は252)及び第3レンズ群243(又は253)を共に光軸方向に移動させて、第1レンズ241(又は251)及び第2レンズ群242(又は252)の合成焦点距離,即ち、リレー光学系240(又は250)の倍率を変化させる。なお、この第2レンズ枠32を回転させ終わると、第3レンズ取付34を第2レンズ枠32に対して回転させて、その回転位置(即ち、作動桿244aの向き)を元に戻す。そして、第3レンズ枠35を第3レンズ取付34に対して適宜回転させて、第3レンズ群243(又は253)を光軸方向に移動させることにより、像270’c(又は271’c)のCCD116に対するピント状態を再調整する。
【0098】
このようにして、両マーキング270c,271cの像270’c,271’cの大きさを調整し終わると、組立作業者は、再度、モニタ114に表示された両像270’c,271’cの大きさを再測定する。そして、両像270’c,271’cの大きさが一致するまで、上述した作業を繰り返す。このような作業を繰り返した結果、モニタ114上に表示された両マーキング270c,271cの像270’c,271’cの大きさが一致すると、両リレー光学系240,250の倍率が一致するとともに、両視野絞り270,271の位置とCCD116の撮像面の位置とが共役となる(即ち、両視野絞り270,271がCCD116に対してピントが合う)。そこで、組立作業者は、第2レンズ枠固定環33を締め込むことによって第2レンズ枠32を第2レンズ取付環31に対して固定し、各セットビス41を締め込むことによって第3レンズ取付環34を第2レンズ枠32に対して固定し、第3レンズ枠固定環36を締め込むことによって第3レンズ枠35を第3レンズ取付環34に対して固定する。
【0099】
以上のように、各リレー光学系240,250の倍率調整の基準として用いられ得るマーキング270c,271cが視野絞り270,271に形成されるので、このマーキング270c,271cの像270’c,271’cの大きさを相互に一致させるだけで、容易に両リレー光学系240,250の倍率を一致させることができる。
【0100】
次に作業者は、両ガイドピン10,11を適宜回転させて、各視野絞りホルダ3,4を互いに離反する方向に移動させ、各視野絞り270,271の開口270b,271bの像270’b,271’bを、CCD116の左右に並べて結像させる。但し、この時点では、両ナイフエッジ270c,271cの像は、必ずしも一致している必要はない。
【0101】
次に、組立作業者は、両ズーム光学系220,230の光軸Ax2,Ax3の前方に夫々オートコリメータを配置し、そのターゲット像を各ズーム光学系220,230に向けて投影する。しかしながら、この時点では、各ズーム光学系220,230のフランジバックは、必ずしも各視野絞り270,271の位置とは一致していないので、CCD116によって撮像されモニタ114上に表示されるターゲット像のピントは、必ずしも一致していない。そこで、組立作業者は、各ズーム光学系220,230の鏡筒を夫々図示せぬブラケットに対して光軸方向に進退させ、そのターゲットの一次像を視野絞り270,271と同一平面上に結像させ、その二次像をCCD116の撮像面上に結像させる。これにより、両ズーム光学系220,230のフランジバックの調整がなされる。
【0102】
なお、このときCCD116上に形成されている各ターゲット像の中心は、光軸Ax2,Ax3の位置を示す。そして、この光軸Ax2,Ax3の位置は、第2レンズ群242,252をその光軸に直交する方向に移動させることによって調整することができる。そこで、組立作業者は、一方の後方鏡筒7のディセンタ調整環30にねじ込まれた各ディセンタ調整用セットビス38,38を進退させて、第2レンズ枠取付環31を光軸に直交する面内で適宜移動させることにより、この後方鏡筒7内のリレー光学系240によって形成されるターゲット像(二次像)の中心を、CCD116の撮像面における左側の撮像領域の中心(即ち、モニタ114の左半分の中心)に合致させる。同様に、他方の後方鏡筒8のディセンタ調整環30にねじ込まれた各ディセンタ調整用セットビス38,38を進退させて、第2レンズ枠取付環31を光軸に直交する面内で適宜移動させることにより、この後方鏡筒8内のリレー光学系250によって形成されるターゲット像(二次像)の中心を、CCD116の撮像面における右側の撮像領域の中心(即ち、モニタ114の右半分の中心)に合致させる。
【0103】
以上の調整により、両リレー光学系240,250の光軸Ax2,Ax3同士が、互いに平行となる。そこで、組立作業者は、各固定ビス40を本締めすることにより、両後方鏡筒7,8の第2レンズ枠固定環31をマウント部22に対して固定する。
【0104】
次に、組立作業者は、各ガイドピン10,11を適宜回転させることにより、各視野絞りホルダ3,4を所定位置に移動させ、各視野絞り270,271のナイフエッジ270b,271bを、CCD116の撮像面の中心に合致させる(即ち、モニタ114の中心に合致させる)。すると、各視野絞り270,271の位置に形成されたイメージサークルの一部が、夫々のナイフエッジ270b,271bによって遮蔽される。このようにして一部が遮蔽された像が、各リレー光学系240,250によってCCD116の撮像面に再結像される。従って、CCD116上において、左右の像は互いに重ならずに左右に並ぶ。
【0105】
最後に、組立作業者は、クローズアップ光学系210の鏡筒を、双眼顕微鏡101の筐体に組み込む。これにより、双眼顕微鏡101が完成する。
【0106】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明のビデオ型立体顕微鏡によると、各撮影光学系によって撮像装置の撮像面に夫々結像される観察対象物の像のピント状態,大きさ,及び位置を、夫々調整することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態によるビデオ型立体顕微鏡を組み込んだ手術支援システムの全体構成を示す概略図
【図2】 ビデオ型立体顕微鏡内の光学構成の概略を示す光学構成図
【図3】 ビデオ型立体視ビューワの光学構成の概略を示す光学構成図
【図4】 LCDパネルの平面図
【図5】 立体顕微鏡の外観斜視図
【図6】 顕微鏡光学系の全体構成を示す斜視図
【図7】 顕微鏡光学系の全体構成を示す側面図
【図8】 顕微鏡光学系の全体構成を示す正面図
【図9】 顕微鏡光学系の全体構成を示す平面図
【図10】 ビデオ型立体顕微鏡の筐体内におけるリレー部ユニットの固定位置を示す透視図
【図11】 リレー部ユニットを前方斜め上方から見た斜視図
【図12】 リレー部ユニットを前方斜め下方から見た斜視図
【図13】 基準フレームを後方斜め上方から見た斜視図
【図14】 光軸Ax2に沿った縦断面を示す斜視図
【図15】 図14のXV−XV線に沿った横断面図
【図16】 図15のXVIa−XVIa線に沿った縦断面及びXVIb−XVIb線に沿った縦断面を示す合成断面図
【図17】 視野絞りの平面図
【図18】 リレーレンズ系による視野絞りの像とCCDの撮像面との位置関係を示す平面図
【図19】 CCDの撮像面の正面図
【図20】 光軸Ax2に沿った縦断面を示す斜視図
【図21】 図20に示す断面にて切断された後方鏡筒の斜視断面図
【図22】 ディセンタ調整用セットビス及びボールプランジャの配置を示す説明図
【図23】 実施形態による視野絞りの移動を示す説明図
【符号の説明】
2 基準フレーム
5,6 前方鏡筒
7,8 後方鏡筒
21 ペンタベース部
22 マウント部
30 ディセンタ調整環
31 第2レンズ取付環
32 第2レンズ枠
34 第3レンズ取付環
35 第3レンズ枠
38 ディセンタ調整用セットビス
39 ボールプランジャ
41 セットビス
200 撮影光学系
220,230 ズーム光学系
240,250 リレー光学系
241,251 第1レンズ群
242,252 第2レンズ群
243,253 第3レンズ群

Claims (8)

  1. 所定の基線長を隔てて配置された一対の対物光学系によって同一物体の一次像を夫々結像し、一対のリレー光学系によって前記各一次像を撮像装置の撮像面における前記基線長の方向において区分された二つの領域に夫々リレーし、前記撮像装置によって同時に撮像するビデオ型立体顕微鏡であって、
    各リレー光学系は、夫々、全体としての物体側焦点位置が各対物光学系による一次像の結像面に略一致する固定の正レンズ群である第1群及び可動な正レンズ群である第2群と、この第2群から射出された平行光を前記撮像面上に収束させる可動な正レンズ群である第3群とからなり、
    前記第1群を保持する第1レンズ枠は、フレームに対して固定され、
    前記第2群を保持する第2レンズ枠は、前記フレームに対してその光軸に直交する面方向にシフト可能に保持された第1取付環に対して、光軸方向へ進退自在に嵌合しており、
    前記第3群を保持する第3レンズ枠は、前記第2レンズ枠と一体の第2取付環に対して、光軸方向へ進退自在に嵌合している
    ことを特徴とするビデオ型立体顕微鏡。
  2. 前記フレームには、前記第1取付環の外径よりも一回り大きい内径を有するディセンタ調整環が固定されており、前記第1取付環は、前記ディセンタ調整環の外周面からその中心軸に向けてねじ込まれた少なくとも3個のネジの先端によってその外周面が支えられている
    ことを特徴とする請求項1記載のビデオ型立体顕微鏡。
  3. 前記3個のネジのうちの一つがボールプランジャである
    ことを特徴とする請求項2記載のビデオ型立体顕微鏡。
  4. 前記各ネジの先端によって支えられている前記第1取付環を前記フレームに固定するネジを
    更に備えることを特徴とする請求項2記載のビデオ型立体顕微鏡。
  5. 前記第2レンズ枠は前記第1取付環の内側に螺合している
    ことを特徴とする請求項1記載のビデオ型立体顕微鏡。
  6. 前記第3レンズ枠は前記第2取付枠の内側に螺合している
    ことを特徴とする請求項1記載のビデオ型立体顕微鏡。
  7. 前記第2取付枠は前記第2レンズ枠の外側に回転自在且つ軸方向に進退不能に嵌合している
    ことを特徴とする請求項1記載のビデオ型立体顕微鏡。
  8. 前記フレームには、更に、前記第1群の光軸を直角に折り曲げて前記第2群内に通す光路偏向素子が固定されている
    ことを特徴とする請求項1記載のビデオ型立体顕微鏡。
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