JP4606592B2 - 開放毛管及び閉鎖毛管を持つ立体的弾性ポリマーフィルム並びにこのフィルムを含む改良バックシートを持つ吸収物品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、通気性であるが、水性流体の少なくとも一方向への透過に対して抵抗を示す立体的弾性有孔プラスチックウェブに関する。本発明によれば、有孔プラスチックウェブは、毛管を持つ液体不透過性ポリマーフィルムを含む。毛管は、層の一方の表面から延びており、層の反対側の表面に孔が設けられた第1端及び第2端を有する。これらの毛管のうちの5%乃至50%は、第2端に第2孔を有する。これらの毛管は、更に、好ましくは、第2孔を持たない毛管よりも高い。本発明は、更に、乳児用おむつ、成人失禁者用物品、及び詳細には、好ましくは通気性を提供するために前記ウェブを含むバックシートを持つ衛生ナプキン又はパンティライナ等の吸収物品に関する。
【0002】
【従来の技術】
特に衛生ナプキン、生理用品、又はパンティライナ等の吸収物品の分野における開発の根底にある消費者の主要なニーズは、保護及び快適性の両方のレベルが高い製品を提供することである。
【0003】
吸収物品で消費者に快適性の利点を提供するための一つの手段は、通気性製品を提供することによる。通気性は、代表的には、いわゆる「通気性バックシート」を吸収物品に組み込むことに集中している。一般的に使用されている通気性バックシートは、例えば米国特許第4,591,523号に開示された、指向的流体移行性を持つ微孔質フィルム及び有孔付形フィルムである。これらの種類の通気性バックシートは、両方とも蒸気透過性であり、気体を環境と交換できる。これは、これによって、コア内に蓄えられた流体の一部を蒸発でき、吸収物品内での空気の循環を高める。空気の循環を高めることは、有孔付形フィルム又はフィルム状トップシートを持つ物品の着用者が経験する、又はこのような物品と関連したべとべとした汚れた感じを減少するため、特に有利である。
【0004】
有孔フィルムトップシートを使用することは、この層を通って吸収体構造に流入する液体を制御する上で特定の利点を提供し、吸収体構造から外に着用者の皮膚に向かう液体の流れを減少すると、長い間考えられてきた。これに関し、有孔フィルムトップシートは、吸収物品、特に衛生ナプキンの着用者に全く濡れていない快適性を提供する。しかしながら、この快適性の利点は、着用者の運動(物品と向き合った皮膚から更に強い蒸散を生ぜしめる)、物品に大きな負荷が加わること、又は長期間に亘る着用等でこのような物品に応力が加わった状態にある場合に徐々に消え去る。
【0005】
吸収物品で通気性バックシートを使用することと関連した欠点は、滲み通し性(wet through)として知られる使用者の衣料上への漏れによる保護レベル性能に及ぼされる負の効果である。原理的には通気性バックシートは気体状の物質のみを通すものであるが、押し出し、拡散、及び毛管作用等の物理的機構によって、吸収コアからの流体がバックシートを通って使用者の衣料に移行してしまう可能性がある。詳細には、これらの機構は、製品を肉体労働中に使用する場合又は大量の排出量に対処する場合又は長期に亘って使用する場合に更に重要になる。このように吸収物品に通気性バックシートを組み込むことは快適性の観点から非常に望ましいのであるが、バックシートの主な役割があくまでも液体の漏れを防止することにあるため、従来の通気性バックシートは製品に上手く組み込まれていなかった。
【0006】
このような通気性バックシートを吸収物品に組み込むことによる使用者の衣料への滲み通し性の問題点は、従来技術でも認識されていた。この問題点を解決するための試みは、気体透過性で疎水性のポリマー繊維製布でできた外層、指向的流体移行性を持つ有孔付形フィルムでできた内層を含む通気性バックシートを開示する米国特許第4,341,216号、同様の欧州特許出願第710471号に示されているように、主として多数のバックシート層を使用することである。バックシート構造は、好ましくは、特定の試験条件下で液体移送性/滲み通し性を持たない。更に、欧州特許出願第710472号には、コア領域上で互いに取り付けられていない少なくとも二つの通気性層を持つ通気性バックシートが開示されている。バックシート構造は、好ましくは特定の試験条件下で液体移送性/滲み通し性を持たない。
【0007】
米国特許第4,713,068号には、吸収物品用外カバーとして使用するための通気性布様障壁が開示されている。この障壁は少なくとも二つの層を含み、第1層は、特定の坪量、繊維直径、及び孔径を持ち、第2層は特定の厚さを持つ連続したポリ(ビニルアルコール)フィルムでできている。障壁は、更に、特定の水蒸気透過率及び不透過性レベルを有する。
【0008】
しかしながら、これらの提案された解決策は、応力が加わった状態での通気性バックシートの滲み通し性の問題に対し、完全に満足のいく解決策を提供できなかった。しかし、特にこのような応力が加わった状態での通気性は、特にフィルムトップシートを持つ物品に対し、最も大きな快適性の利点を提供する。このような物品に対し、被る又は仮定されるべたつき、剛さ、又はフィルムと皮膚との間の汚れ残滓は、応力が加わった状態で最大である。
【0009】
米国特許第5,591,510号並びにWO97/03818及びWO97/03795には、フィルムの平面に対して毛管が所定角度で配置された有孔フィルム層が開示されている。このフィルムは、傾斜毛管フィルムと呼ばれる。このフィルム構造は、通気性であるが液体を着用者に向かって通さない衣服及び衣料に組み込むための改良として提供される。更に、このような傾斜毛管フィルムの使用は、このような傾斜毛管フィルム及び吸収体材料の組み合わせを開示する米国特許第5,591,510号の特に図16に、吸収物品に関してトップシートとして、しかしながら、本発明による使い捨て吸収物品についてではなく、示されている。
【0010】
「傾斜毛管孔を持つ一つの層を含む通気性二層バックシートを持つ吸収物品」という標題の欧州特許出願第98101867.4号、及び「傾斜毛管孔及び有孔フィルムトップシートを持つ通気性バックシートを持つ吸収物品」という標題の第98101868.2号の夫々には、乳児用おむつ、成人失禁者用物品、及び特定的には衛生ナプキン又はパンティライナ等の使い捨て吸収物品が記載されている。代表的には、このような物品は、物品の着用者対向面を形成する液体透過性トップシート、吸収コア、及び物品の衣料対向面を形成する通気性バックシートを含む。吸収コアは、トップシートとバックシートとの間に配置される。
【0011】
通気性バックシートは、吸収コアの衣料対向面上に配置され、少なくとも一つのバックシート層を含む。バックシートは、液体不透過性ポリマーバックシートフィルムを含む立体的弾性ウェブを構成する。バックシートフィルムは、孔を備えている。これらの孔は毛管を形成する。毛管の側壁は、バックシートフィルムの着用者対向面から遠ざかる方向に吸収コアに向かって延び、ウェブを立体的にする。毛管は、バックシートフィルムの衣料対向面の第1開口部及びバックシートフィルムの着用者対向面から間隔が隔てられた端部の第2開口部を有する。毛管は傾斜しており、即ちバックシートフィルムの着用者対向面から遠ざかる方向にバックシートフィルムの平面に関して90°よりも小さい所定の角度で延び、又は他の実施形態では、バックシートフィルムの平面に向かって湾曲し即ち曲がっている。更に、変形例では、又はこれに加えて、毛管は、形態、形状、大きさ、又はこれらの組み合わせが異なる第1部分及び第2部分を有するのがよい。
【0012】
更に、少なくとも幾つかの毛管の第2開口部は、スリットとして設けられているのがよい。これらのスリットは、開口部の長い方の寸法が開口部の短い方の長さの少なくとも5倍の形態であると考えられる。
【0013】
ポリマーバックシートフィルムが液体を指向性をもって移送できるため、及び角度をなした毛管から得ることのできる圧力が作用した状態で閉鎖できるため、上述の欧州特許出願の通気性バックシートは、漏れ通し保護が良好であると同時に快適性を改良するための最適の通気性を維持する衛生ナプキンを提供する。
【0014】
しかしながら、毛管、好ましくは上述の傾斜毛管を形成する孔を持つ立体的弾性ポリマーフィルムの性能は、毛管の潰れによる圧潰に対する立体的構造の抵抗に関して改良できる。毛管の潰れは、例えば、前記立体的弾性ポリマーフィルムをバックシート構造に含む好ましい吸収物品の使用中に被る特に過酷な着用条件によって、使用中に、立体的弾性フィルムに及ぼされる大きな圧縮力及び応力により生じる。このように抵抗を大きくすることは、本出願人が本願と同時に出願した「毛管孔を持つ立体的弾性ポリマーフィルム」という標題の欧州特許出願第99105197.0号(プロクターアンドギャンブル事件番号CM2063F)及び「毛管孔を持つ改良バックシートを含む吸収物品」という標題の欧州特許出願第99106116.9号(プロクターアンドギャンブル事件番号CM2062F)に記載されているように曲げを容易にするため、立体的弾性ポリマーフィルムが、毛管、好ましくは特に細い、即ちポリマーバックシートフィルムの第1ベース面の第1開口部の夫々の寸法と比較して長い傾斜毛管を有する場合に更に望ましい。圧潰抵抗が向上すると、この様な立体的弾性ポリマーフィルムは、実際、圧力の作用で閉鎖する性能が向上すると同時に、構造が潰れる危険が低下し、及び従って加えられた圧力が解放された後、毛管の変形していない初期状態を回復できる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、圧縮が加わった状態での圧潰及び毛管の潰れに対する抵抗が高い毛管を形成する孔を持つ改良された立体的弾性ポリマーフィルムを提供することである。
【0016】
更に、毛管、及び好ましくは上文中に説明した傾斜した毛管を形成する孔を備えた立体的弾性ポリマーフィルムを含む好ましくは通気性のバックシートを持つ使い捨て吸収物品の性能を、毛管の潰れによる圧潰に対する立体的構造の抵抗に関して向上させることができる。毛管の潰れは、前記バックシートを含む吸収物品の使用中に被る特に過酷な着用状態によって生じる大きな圧縮力及び応力により生じる。
【0017】
立体的弾性ポリマーバックシートフィルムについての、圧力の作用による圧潰及び毛管潰れに対する抵抗の増大は、更に、通気性とは別に、例えば、代表的には、フィルム表面に対して垂直に及ぼされる圧縮力に応じたこれらの構造の弾性が改良されるという利点を得るため、前記フィルムを含み且つ使い捨て吸収物品で使用されるバックシートで望ましい。
【0018】
本発明の別の目的は、圧縮力の作用による圧潰及び毛管の潰れに対する抵抗が大きい毛管を形成する孔を備えた立体的弾性ポリマーフィルムを含むバックシートを持つ通気性吸収物品を提供することである。
【0019】
本発明の更に別の目的は、快適性が改善されていると同時に更に良好な漏れ抵抗を維持し、即ち使用中に被る応力及び圧力が作用した状態での滲み通し抵抗が優れた、好ましくは通気性の使い捨て吸収物品を提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明は、第1面、第2面、及び複数の毛管を持つ液体不透過性ポリマーフィルムを含む立体的弾性有孔プラスチックウェブに関する。毛管は、フィルムの第2面から遠ざかる方向に延びる側壁を有し、これらの側壁によりウェブが立体的になる。毛管は、フィルムの第1面に第1開口部を持つ第1端及びフィルムの第2面から間隔が隔てられた第2端を持ち、各毛管は、第1端、第2端、及び側壁が構成する導管を画成する。
【0021】
複数の毛管の少なくとも50%は第2端が閉鎖した閉鎖毛管であり、複数の毛管の少なくとも5%は第2端に第2開口部を持つ開放毛管である。開放毛管は、更に、フィルムの第2面から遠ざかる方向で閉鎖毛管よりも大きく延びている。
【0022】
本発明は、更に、乳児用おむつ、成人失禁者用物品、及び特に好ましくは通気性の衛生ナプキン又はパンティライナ等の層状構造の使い捨て吸収物品に関する。脇下汗取りパッドやスカラーシャツ等の物品も本発明の利点を享受できる。代表的には、このような物品が層状構造であり、各層又は層群は、物品の使用中に衣料の方向に向くように配向された衣料対向面、及び逆方向に向いた着用者対向面を有する。代表的には、このような物品は、物品の着用者対向面を形成する液体透過性トップシート、吸収コア、及び物品の衣料対向面を形成する好ましくは通気性のバックシートを含む。吸収コアは、トップシートとバックシートとの間に配置される。
【0023】
好ましくは通気性のバックシートは、吸収コアの衣料対向面上に配置され、少なくとも一つのバックシート層を形成する。バックシートは、液体不透過性ポリマーバックシートフィルムを含む立体的弾性ウェブを有する。バックシートフィルムは、上文中に説明したように、衣料対向面、着用者対向面、及び毛管を有する。毛管は、バックシートフィルムの着用者対向面から吸収コアに向かって遠ざかる方向に延びる側壁を有し、これによりウェブは立体的になる。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の方法は、毛管を持ち耐圧潰性が高く且つ毛管の潰れに対する抵抗が高い液体不透過性ポリマーフィルムからなる立体的弾性有孔プラスチックウェブに関する。更に簡単に言うと、本発明のウェブは、毛管を持つ立体的弾性ポリマーウェブである。本発明の好ましい実施形態では、立体的弾性有孔プラスチックウェブは、身体の流体を吸収するための使い捨て吸収物品、例えば衛生ナプキン、パンティライナ、失禁者用製品、及び乳児用おむつに含まれ、更に好ましくは、このような使い捨て吸収物品の通気性バックシート構造に含まれる。
【0025】
本発明は、更に、身体の流体を吸収するための前記使い捨て吸収物品、例えば衛生ナプキン、パンティライナ、失禁者用製品、汗取りパッド、及び乳児用おむつに関する。代表的には、このような物品は、液体透過性トップシート、バックシート、及び前記トップシートとバックシートとの中間の吸収コアを含む。本発明によれば、トップシート、バックシート、コアは、快適性及び保護についての所望の性能上の必要条件及び下文中及び特許請求の範囲に記載した条件を満たす場合には、これらの構成要素のうちの任意の既知の種類の構成要素から選択できる。
【0026】
しかしながら、本発明の立体的弾性有孔プラスチックウェブは、任意の他の種類の物品に含まれることができ、又は通気性、即ち水蒸気透過性及び好ましくは空気透過性及び指向的液体移送性を提供するウェブとして、例えば農業で使用できる。
【0027】
例えば、本発明による立体的弾性有孔プラスチックウェブは、例えば、使い捨て吸収物品とは別個の他の物品、例えばガウン、フェースマスク、包帯等の、特に大きな応力が加わった状態での通気性及び少なくとも一方向での流体の透過に対する抵抗が非常に望ましい物品に含まれる場合、流体の透過に対して少なくとも一方向で抵抗を示し、代表的には水蒸気及び好ましくは空気に対して透過性であり、耐圧潰性及び毛管の潰れに対する抵抗を高めるという利点が得られる。更に、本発明を脇下汗取りパッドやスカラーシャツ等の物品で使用した場合に利点が得られる。
【0028】
圧力が加わった状態での耐圧潰性が高く且つ毛管の潰れに対する抵抗が高い本発明による立体的弾性有孔プラスチックウェブは、更に、有利には、通気性以外でも有利に使用できる。例えば、代表的には使用時にフィルム表面に対して垂直方向に及ぼされる圧縮力に応じたこれらの構造の弾性を改善するという利点を得るために使用できる。立体的弾性有孔プラスチックウェブは、例えば、弾性及び緩衝効果を提供するために使い捨て吸収物品の非通気性のバックシートで使用できる。これは、特に本発明のウェブの構造が圧潰及び毛管潰れに対して高い抵抗を示すことによる。
【0029】
本発明の立体的弾性有孔プラスチックウェブの好ましい実施形態を以下に説明する。これらの実施形態では、本発明のプラスチックウェブは、好ましくは、衛生ナプキン等の使い捨て吸収物品の好ましくは通気性のバックシート構造を構成するが、本発明のウェブは、バックシート構造とは別のエレメント、例えば使い捨て吸収物品のトップシートを構成することもでき、又は上文中に例示した他の種類の物品のエレメントを構成することもできる。従って、以下の説明において、本発明の立体的弾性有孔プラスチックウェブをポリマー製バックシートフィルムと言うのは、本発明の好ましい実施形態の一例を示すに過ぎない。
【0030】
代表的には、このような好ましい使い捨て吸収物品は、液体透過性トップシート、バックシート、及び前記トップシートと前記バックシートとの間の吸収コア等のエレメントを含む。本発明の好ましい実施形態によれば、トップシート、バックシート、及びコアは、快適さ及び保護性能についての所望の必要条件及び下文中及び添付の特許請求の範囲に記載の条件を満たす場合には、既知の種類のこれらの構成要素のうちの任意の構成要素から選択できる。
【0031】
一般的には、トップシートは、トップシートが設けられている場合には、表面を乾いた状態に維持することによって着用者の皮膚を乾いた状態に維持するような液体保持性能を持たなければならず、吸収コアは、十分な吸収力を提供し、蒸気及び/又は空気を通すことができる必要があり、バックシートは、吸収した流体を保持するため、湿潤透過(液体透過性)を阻止しなければならず、更に、好ましくは通気性である。更に、個々のエレメントは、好ましくは、最終製品が所望の快適性及び性能レベルを持つように、何等かの技術を使用して接合できる。
【0032】
本発明の以下の説明では、着用者の方向に面する表面を着用者対向面と呼ぶ。図面では、この方向を矢印20で示す。更に、衣料の方向に面する表面を衣料対向面と呼び、図面においてこの方向を矢印21で示す。
【0033】
使い捨て吸収物品を本発明の好ましい実施形態を参照して以下に説明する。この実施形態では、物品は通気性であり、本発明の、毛管を含み耐圧潰性が高い立体的弾性ウェブを含む通気性バックシートを有する。しかしながら、毛管を持ち、バックシートを構成する立体的弾性ポリマーウェブは、特にポリマーウェブの構造の圧潰及び毛管の潰れに対する高い抵抗により、例えば、代表的には使用時にウェブ表面に対して垂直方向に及ぼされる圧縮力に応じた弾性及び緩衝効果を改善するために、非通気性吸収物品でも使用できる。
【0034】
吸収物品構成要素
トップシート
本発明の好ましい実施形態によれば、吸収物品は、通常、トップシートを有する。使い捨て吸収物品では、トップシートは、一般的にはトップシート層即ち着用者の身体と直接的に接触するようになった層を含む。本発明で使用するのに適したトップシートは、当該技術分野で既知の任意のトップシートである。図1では、トップシートに参照番号30が付してある。
【0035】
本発明で使用するのに適したトップシートは、単一の層でできていてもよいし、多数の層からできていてもよい。好ましい実施形態では、トップシートは、トップシートの使用者対向面を提供する第1層、及びこの第1層と吸収体構造/コアとの間の第2層を含む。第1層の着用者対向面上に設けられているが中央ゾーン内だけで又は物品の周囲ゾーンの幾つかの部分内だけで延びる別の層を設け、最高の軟らかさ又は最高の液体取り扱い性/液体保持性を提供するのが望ましい(この設計は、通常、「ハイブリッドトップシート」と呼ばれる)。トップシートは、代表的には、吸収体構造全体に亘って延びており、好ましいサイドフラップ側方包囲エレメント、又はウィングの一部又は全部内に延びてこれらの一部又は全部を形成できる。更に、トップシート(というよりはむしろその少なくとも一つの層)が吸収コアを包むことにより、トップシート層及びバックシートの一部であると考えられる層を提供できる。
【0036】
トップシート全体及び従って各層個々は、柔軟で軟らかな触感を持ち、着用者の皮膚を刺激しない必要がある。更に、一つの方向又は二つの方向に伸ばすことができるように弾性を備えているのがよい。本発明で使用されているように、トップシートは、従って、着用者から吸収コアに向かう液体の捕捉及び移送、及び吸収コアの包含を主な機能とする、任意の層又は層の組み合わせに関する。更に、本発明のトップシートは、蒸気透過性、好ましくは空気透過性もまた高くなければならない。
【0037】
本発明の好ましい実施形態によれば、トップシートは、この目的について利用できる、当該技術分野で既知の、織布、不織布、フィルム、又はこれらの組み合わせ等の任意の材料から形成できる。本発明の好ましい実施形態では、トップシートの層の少なくとも一つが液体透過性有孔ポリマーフィルムでできている。着用者対向面から吸収体構造に向かう液体の移送を容易にするために設けられた有孔フィルム材料によって、一つの層、しかし好ましくは着用者に面し接触する層を提供する。このような液体透過性有孔フィルムは当該技術分野で既知である。このようなフィルムは、立体的弾性繊維様構造を提供する。このようなフィルムは、例えば、米国特許第3,929,135号、米国特許第4,151,240号、米国特許第4,319,868号、米国特許第4,324,246号、米国特許第4,342,314号、米国特許第4,591,523号、米国特許第4,609,518号、米国特許第4,629,643号、米国特許第4,695,422号、又はWO96/00548に詳細に開示されている。
【0038】
このようなフィルムの一例は、米国オハイオ州シンシナチのプロクターアンドギャンブル社からドライウィーブの商標で入手できる。更に、このようなフィルムは、イタリア国ピストイアのパンテックス社から「PF−フィルム」の表示で入手できる。更に、通気性バックシートの層として使用することが記載された米国特許第5,591,510号又はWO97/03818及びWO97/03795によるフィルムを使用できるが、トップシート及びこのトップシートを構成する層の主な目的である着用者対向面から吸収コアへの液体透過性を確保するため、孔を変更する必要がある。このような変更は、例えば、フィルムの表面張力の勾配を発生することによって液体を孔内に及び孔を通して積極的に押しやるように表面エネルギを変更することである。表面液体勾配を提供する方法は、例えば、WO96/00548に開示されている。
【0039】
この場合、特に好ましい設計は、追加の層が設けられた同じフィルムをトップシート及びバックシートの両方について使用することである。このようなフィルムを例えば吸収コアに巻付けてこのコアを包囲し、液体を吸収コア内に移送する処理をトップシートと対応する領域に施すが、長さ方向側部及びバックシートと対応する領域にはこの処理を施さない(或いは液体が吸収コアからバックシートを通って移動しないように処理する)。トップシートと対応する領域に施される処理は、例えば、疎水性シリコーンの不連続コーティングを、WO96/00548に従って、着用者対向面に設けることによって行うことができる。更に、又は別態様では、トップシートと対応するフィルム領域で孔の性質を変える(即ち液体を透過するように変える)ことができる。
【0040】
吸収コア
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明で使用するのに適した吸収コアは、当該技術分野で既知の吸収コア又はコアシステムのうちの任意のものから選択できる。本明細書中で使用されているように、吸収コアという用語は、流体を吸収し、貯蔵し、分配することを主な機能とする任意の材料又は多数の材料層に関する。図1には、三つの層40、42、及び44を含む吸収体構造が示してある。
【0041】
本発明の吸収コアは、高い蒸気透過性及び好ましくは高い空気透過性を備えていなければならない。吸収コアのキャリパ即ち厚さは、好ましくは、12mmよりも小さく、好ましくは8mmよりも小さく、更に好ましくは5mmよりも小さく、最も好ましくは4mm乃至2mmである。
【0042】
本発明の好ましい実施形態によれば、吸収コアは、以下の構成要素を含む。即ち、(a)随意の一次流体分配層及び好ましくは随意の二次流体分配層、(b)流体貯蔵層、(c)貯蔵層の下側の随意の繊維(「ダスティング」)層、及び(d)他の随意の構成要素を含む。
【0043】
一次/二次流体分配層
図1に層40として示す本発明による吸収コアの一つの随意の構成要素は、一次流体分配層及び二次流体分配層である。一次分配層は、代表的には、トップシートの下にあり、トップシートと流体連通している。トップシートは、捕捉した流体を、最終的に貯蔵層に分配するためにこの一次分配層に移送する。一次分配層を通したこの流体移送は、厚さ方向だけで起こるのではなく、吸収製品の長さ方向及び幅方向に沿っても生じる。これもまた随意であるが、好ましい二次分配層は、代表的には、一次分配層の下にあり、これと流体連通している。この二次分配層の目的は、一次分配層から流体を容易に捕捉し、これを下側の貯蔵層に迅速に移行することである。これは、下側の貯蔵層の流体容量を一杯に使用することを補助する。流体分配層は、このような分配層について代表的な任意の材料でつくることができる。
【0044】
b流体貯蔵層
流体貯蔵層42が、一次分配層及び二次分配層と流体連通して、代表的にはこれらの分配層の下に配置される。流体貯蔵層は、任意の通常の吸収体材料又はその組み合わせでできているのがよい。好ましくは、「ヒドロゲル」、「超吸収体」、「ヒドロコロイド」と通常呼ばれる吸収ゲル化剤を図1に粒子43として示す適当なキャリヤと組み合わせて含む。
【0045】
吸収ゲル化剤は大量の水性体液を吸収でき、更に、このような吸収された流体を中程度の圧力が加わった状態で保持できる。吸収ゲル化剤は、適当なキャリヤで均等に又は非均等に分散できる。適当なキャリヤは、それ自体が吸収性である場合には、単独で使用することもできる。
【0046】
本発明で使用するのに適した吸収ゲル化剤は、多くの場合、実質的に水不溶性の僅かに架橋した部分的に中和したポリマーゲル化剤でできている。この材料は、水との接触時にヒドロゲルを形成する。このようなポリマー材料は、当該技術分野で既知の重合可能な不飽和の酸含有モノマーから製造できる。
【0047】
適当なキャリヤは、吸収体構造で従来使用された天然繊維、改質繊維、又は合成繊維等の材料、特にフラッフ及び/又はティッシュの形態の改質セルロース繊維又は非改質セルロース繊維を含む。適当なキャリヤは吸収ゲル化剤とともに使用できるが、これらのキャリヤは、単独でも又は組み合わせでも使用できる。衛生ナプキン及びパンティライナでは、ティッシュ又はティッシュ積層体が最も好ましい。
【0048】
本発明に従って形成した吸収体構造の一実施形態は、二層ティッシュ積層体でできている。これらの層は、例えば接着剤によって、又はポリマー粉体バインダー(例えばPEパウダー)を溶融することによって、機械的相互係止によって、又は水素結合(hydrogen bridge bends)によって接合できる。吸収ゲル化剤又は他の随意の材料は層間に置くことができる。
【0049】
補剛セルロース繊維等の改質セルロース繊維もまた使用できる。合成繊維もまた使用でき、これらの合成繊維には、酢酸セルロース、ポリビニルフルオライド、ポリ塩化ビニリデン、アクリル樹脂(オルロン等)、ポリ酢酸ビニル、不溶性ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド(ナイロン等)、ポリエステル、異相構造繊維、三要素構造繊維、これらの混合物等が含まれる。好ましくは、繊維表面には、伸長性であるか或いは伸長性であるように処理が施してある。貯蔵層は、液体保持性を改善するため、真珠岩、珪藻土、蛭石、等の充填材を更に含むのがよい。
【0050】
吸収ゲル化剤がキャリヤに非均等に分散されている場合、貯蔵層は、それにも拘わらず局部的に均等である、即ち貯蔵層の寸法内で二つの又は幾つかの方向に分配勾配を持つのがよい。非均等分配は、更に、吸収ゲル化剤を部分的に又は完全に包囲するキャリヤの積層体に関する。
【0051】
変形例は、液体貯蔵体としてのフォーム状構造又は実際にフォーム状の構造である。液体を吸収し、圧力が作用している液体を化学的相互作用又は表面相互作用により保持する連続気泡フォームがある。このような代表的なフォームは、例えば、PCT公開WO93/03699、WO93/04092、WO93/04113に開示されているフォームである。
【0052】
c随意の繊維質(ダスティング)層
本発明による吸収コアに含まれる随意の構成要素は、貯蔵層と隣接した、代表的には貯蔵層の下に設けられた参照番号44を付した繊維質層である。この下側の繊維質層は、代表的にはダスティング層と呼ばれる。これは、吸収コアの製造中に貯蔵層の吸収ゲル化剤を付着させる基材を提供するためである。確かに、吸収ゲル化剤が繊維、シート、又はストリップ等の巨視的構造の形態をなしている場合には、この繊維質「ダスティング」層を設ける必要はない。しかしながら、この「ダスティング」層は、毛管現象によって流体をパッドの長さに沿って迅速に移動するといった幾つかの追加の流体取り扱い性能を提供する。
【0053】
d吸収体構造の他の随意の構成要素
本発明の好ましい実施形態による吸収コアは、吸収ウエブに通常設けられた他の随意の構成要素を含む。例えば、吸収コアの夫々の層内に又は夫々の層間に強化スクリムを配置できる。このような強化スクリムは、流体の移行に対して界面障壁を形成しないような形体でなければならない。通常は熱結合によって生じる構造的一体性が与えられている場合には、強化スクリムは、通常は、熱結合吸収体構造に必要とされない。
【0054】
本発明による吸収コアに含まれているのがよく、好ましくは一次又は二次流体分配層又は流体貯蔵層の近くに又はこれらの層の一部として設けられる別の構成要素は、ゼオライト、カーボン黒、シリケート、EDTA又は他のキレート等の臭気制御剤である。このような薬剤は、好ましくは、粒子の形体で又は粒子の一部として提供され、上述の吸収ゲル化剤とともに提供できる。
【0055】
バックシート
本発明の好ましい実施形態による吸収物品は、好ましくは通気性のバックシートを更に含む。バックシートは、第1に、吸収コア内に吸収され且つ包含された滲出物が、吸収製品と接触したアンダーパンツ、パンツ、パジャマ、下着、及びシャツ又はジャケット等の物品を濡らすことがないようにしなければならず、これによって流体移送に対する障壁として作用する。しかしながら、本発明の好ましい通気性バックシートは、少なくとも水蒸気を通すことができ、好ましくは水蒸気及び空気を通すことができ、及びかくして空気を物品内部に及び水蒸気を物品外部に循環できる。バックシートは、代表的には吸収体構造全体に亘って延びており、サイドフラップ、サイド包囲エレメント、又は設けられている場合にはウィングの全て内に延びることができ、これらの部分を形成できる。
【0056】
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明で使用するための好ましくは通気性の適当なバックシートは、少なくとも一つの液体不透過性ポリマーバックシート層を含む。バックシートは、本発明による立体的弾性有孔ウェブを含み、このウェブは、毛管孔を持つ空気透過性の液体不透過性フィルムでできている。本発明で使用するための好ましい通気性バックシートは、水蒸気交換度が高く、最も好ましくは水蒸気交換度及び空気交換度の両方が高い。毛管を持つフィルムは、吸収コアから外側に向かう液体の通過を遅らせるか或いは阻止すると同時に空気を自由に透過するように配向される。
【0057】
本発明の好ましい実施形態によれば、物品の通気性を支持するように、任意の追加のバックシート層に水蒸気透過性を与える必要がある。物品の通気性により得られる快適さの利点を更に改善するため、空気透過性を更に支持するのが、必要ではないけれども望ましい。これに関し、水蒸気及び空気に対して透過性の適当な層は、微小な孔又は巨視的孔が設けられた平面的フィルムを含み、これらのフィルムは、微視的に又は巨視的に膨張させたフィルムであってもよく、更に、有孔フィルム及びモノリシックフィルム並びに不織布又は織布を含む。このようなフィルムは、例えばEP293482及びその中で引用された文献、又は米国特許第3,929,135号、米国特許第4,637,819号、及び米国特許第4,591,523号に詳細に開示されている。
【0058】
本発明の好ましい実施形態による立体的弾性ポリマーウェブは、有孔であることにより、空気及び水蒸気に対する透過性を提供する。図1に示す本発明の好ましい実施形態では、例えば衛生ナプキン又はパンティライナである通気性使い捨て吸収物品は、バックシート50を含む。このバックシートもまた通気性である。この通気性バックシート50は、本発明の立体的弾性ポリマーウェブによって形成された液体透過性の立体的弾性ポリマーバックシートフィルム55を含む。この実施形態では、第1面が衣料対向面と対応し、第2面が着用者対向面と対応し、両面とも平らであり、互いに平行であり、更にバックシートフィルム55の平面Pと平行である。図1に示す本発明の実施形態では、平面Pは、バックシートフィルム55の衣料対向面と実際に対応する。
【0059】
「平らな」という用語及び「平面」という用語は、本明細書中で使用されているように、例えば本発明の変形例による平らでない吸収物品に含まれている場合にはバックシートフィルム55が平らでないとしてもバックシートフィルム55だけを平らな表面に置いたときのバックシートフィルム55の形体に関する。
【0060】
バックシートフィルム55は、毛管54を更に含み、これらの毛管は、バックシートフィルム55の着用者対向面から遠ざかる方向に吸収コア40、42、44に向かって延びる側壁56を備えている。各毛管54は、第1開口部57を持つ第1端60をバックシートフィルム55の衣料対向面に備えており、バックシートフィルム55の衣料対向面から間隔が隔てられた第2端62を備えている。各毛管54は、第1端60、第2端62、及び側壁56によって構成された導管70を画成する。
【0061】
図1に示すように、液体不透過性の立体的弾性ポリマーバックシートフィルム55の毛管54の一部は、第2端62が閉鎖された閉鎖毛管54’であり、毛管54の残りの部分は夫々の第2端62に第2開口部58を持つ開放毛管54’’である。更に、開放毛管54’’は、好ましくは、閉鎖毛管54’よりも高く、即ち、開放毛管54’’は、好ましくは、バックシートフィルム55の着用者対向面から吸収コア40、42、44に向かって閉鎖毛管54’よりも大きく延びている。閉鎖毛管54’は、本発明による吸収物品の好ましくは通気性のバックシート50に含まれる液体不透過性の立体的弾性ポリマーバックシートフィルム55の毛管54の総数の50%乃至95%を占める。好ましくは、閉鎖毛管54’は、毛管54の総数の50%乃至80%を占める。閉鎖毛管54’は、好ましくは、液体不透過性の立体的弾性ポリマーバックシートフィルム55の開放毛管54’’の間に均等に分配されているのがよく、又は変形例では、バックシートフィルム55のよく画成された領域内に、例えば一つ又はそれよりも多くのストライプをなして配置されているのがよい。この場合、開放毛管54’’は全て、隣接した平行なストライプ内に纏められている。
【0062】
図1に示すような本発明の好ましい実施形態では、液体不透過性の立体的弾性ポリマーバックシートフィルム55の開放毛管54’’は全て実質的に同じであり、閉鎖毛管54’もまた全て互いに実質的に同じである。更に、図1に示すフィルム55の開放毛管54’’及び閉鎖毛管54’は、実質的に同じ形状及び大きさの第1開口部57を有する。別の態様では、大きさが異なる及び/又は第1開口部57が異なる開放毛管54’’及び閉鎖毛管54’も可能である。このような好ましい実施形態では、開放毛管54’’及び閉鎖毛管54’の夫々の高さの間の関係は、バックシートフィルム55の見掛けの厚さT及び閉鎖毛管54’の高さHに関して以下に定義するように表現できる。
【0063】
液体不透過性の立体的弾性ポリマーバックシートフィルム55の見掛けの厚さTは、毛管54の第1端60を含む、実際にポリマーバックシートフィルム55の衣料対向面の平面と対応し及び従ってバックシートフィルム55の平面Pと対応する第1平面64と、この第1平面64と平行であり、第1平面64から最も遠い第2端62の箇所を含む第2平面66との間で計測した距離と定義できる。閉鎖毛管54’の高さHは、同様に、第1平面64と、第1及び第2の平面64及び66の両方と平行であり且つ第1平面64から最も遠い閉鎖毛管54’の第2端62の箇所を含む第3平面68との間で計測した距離と定義できる。
【0064】
図1に示す本発明の実施形態では、バックシートフィルム55の開放毛管54’’及び閉鎖毛管54’の両方が規則的形状を持ち、夫々の毛管は第1平面64に対して垂直な同じ直円筒形であり、平らで規則的な第2端62を備えている。この場合、開放毛管54’’は平滑な縁部を備えた第2開口部58を更に有し、第2平面66は、実際上、開放毛管54’’の第2開口部58を夫々含む第2端62の全てを含み、第3平面68は、同様に、閉鎖毛管54’の平らな第2端62を含む。
【0065】
本発明の好ましい実施形態によれば、閉鎖毛管54’の高さHはバックシートフィルム55の見掛けの厚さTの50%よりも小さく、好ましくは見掛けの厚さTの30%乃至40%である。
【0066】
本発明のポリマーバックシートフィルム55の毛管54が例えば図3乃至図7に示す本発明のフィルム55の開放毛管54’’についての変形例のように様々な形体をとる本発明の変形例では、第1、第2、及び第3の平面64、66、及び68は、以上の説明に従って、及び例えば変形例の毛管を備えた、使い捨て吸収物品のバックシート構造に含まれたフィルム55を示す図8に示すように定義でき、見掛けの厚さT及び高さHがこれに従って求められる。
【0067】
異なる平面64、66、及び68の定義及び本発明によるフィルム55のT及びHの計測値は、当該技術分野で既知の方法で、例えば、走査型電子顕微鏡で撮影したポリマーフィルム55の電子顕微鏡写真について画像分析を行うことによって得られる。
【0068】
規則的でない構造の場合、例えば、本発明のあまり好ましくない実施形態において、フィルム55が、夫々が互いに対して実質的に同じ閉鎖毛管54’及び開放毛管54’’を含まない場合、又は、更に、既知の製造方法でポリマーフィルム構造に形成された既知の実際の開放毛管の場合によく起こるように開放毛管54’’がそれらの第2開口部58に平滑な縁部を持たない場合、このような計測を行うため、当業者は必要な調節を行うことができる。こうした場合、本明細書中に定義した第2及び第3平面を、上文中に説明したように直ちに確認できない(これとは対照的に、第1平面は、所与の立体的ポリマーフィルムについて常に積極的に確認できる)場合、フィルム55の見掛けの厚さTは、画像分析によって、又はこの分野について当該技術分野で使用されている機械的厚さ計測装置の一つ、例えば米国ニューヨーク州アミティヴィルのプレシジョン・マイクロメーター・テスティング・マシーン社が販売しているマイクロメーターTMI49型乃至61型等を用いて、毛管、特に、代表的には閉鎖毛管よりも変形し易い開放毛管の立体的構造の変形を最小にするために非常に低い計測圧力、例えば14.7g/cm2 を用いて平均値として計測でき、好ましくは計測プロセス中、それらよりも高い。高さHもまた、画像分析手段によって平均値として求めることができる。
【0069】
何等かの理論に括ることなく、閉鎖毛管54’の構造は、本発明の好ましい実施形態によるフィルム55がバックシート50に設けられた吸収物品の使用中に代表的に遭遇する、代表的にはフィルム55の平面に対して垂直方向に及ぼされる圧縮力に対し、及び液体不透過性の立体的弾性ポリマーフィルム55に加えられた曲げ力に対し、閉鎖毛管よりも高い開放毛管54’’の構造よりも抵抗が大きい。これは、閉鎖毛管54’の閉鎖構造のためであり、及び閉鎖毛管54’の好ましい低い高さのためであり、そのため、閉鎖毛管は、曲げ又は圧潰を被り難く、又は応力の作用で変形する全ての場合を被り難い。更に、閉鎖毛管54’の好ましい構造のフィルム層の厚さは、代表的には、開放毛管54’’の構造のフィルム層の厚さよりも厚い。これは、毛管が、一般的には、加熱した熱可塑性フィルムを有孔フォーミングスクリーン上で例えば差圧によって延伸することによって得られるためである。好ましくは短い閉鎖毛管54’では、フィルムの延伸の程度は、開放した長い毛管54’’よりも小さく、及び従って、フィルムの厚さが大きく、及び従って、閉鎖毛管構造の抵抗も大きい。
【0070】
液体不透過性の立体的弾性ポリマーフィルム55の閉鎖毛管54’の圧縮に対する高い抵抗により、例えば使い捨て吸収物品のバックシート構造に含まれる場合に使用中に生じる応力が作用した状態でのフィルム55の安定性が向上する。長い開放毛管54’’は、圧力の作用で曲がったり変形したりするが、潰れることはない。これは、開放毛管がそれらの復原性を越えて曲がったり変形したりしないようにする強化構造を閉鎖毛管54’が提供するためである。従って、応力解放後、開放毛管は、応力が加わっていないそれらの元の状態を回復し、これによって、特に上文中に説明した液体不透過性の立体的弾性ポリマーフィルムが好ましくは使い捨て吸収物品の通気性バックシート構造に含まれている場合に利点が提供される。これは、毛管が圧力の作用で閉鎖し、従って、応力が加わった状態で起こり易い滲み通しの危険を最小にするが、これと同時に、圧力の作用で潰れず、及び従って、応力が解放された後に元の構造を取り戻し、通気性を完全に回復することができるためである。
【0071】
好ましくは吸収物品のバックシートに含まれる上文中に説明した本発明による液体不透過性の立体的弾性ポリマーフィルムは、有利には、欧州特許出願第98101867.4号及び第98101868.2号に記載された好ましい構造を持つ開放毛管54’’を含むのがよい。上掲の特許出願によれば、毛管はバックシートフィルムの着用者対向面からバックシートフィルムの平面に関して90°よりも小さい角度で遠ざかる方向に延びており、又は他の実施形態では、バックシートフィルムの平面に向かって湾曲しているか或いは曲がっている。更に好ましくは、本発明によるポリマーフィルム55に含まれる開放毛管54’’は、本出願人が本願と同時に出願した「毛管孔を持つ立体的弾性ポリマーフィルム」という標題の欧州特許出願第99105197.0号(プロクターアンドギャンブル事件番号CM2063F)及び「毛管孔を持つ改良バックシートを含む吸収物品」という標題の欧州特許出願第99106116.9号(プロクターアンドギャンブル事件番号CM2062F)に従って形成できる。これらは、長さと第1開口部57の寸法との間に好ましい比を持つ。
【0072】
図1のポリマーバックシートフィルム55の開放毛管54’’と対応する一つの毛管の断面図を示す図2に更に良好に示してあるように、開放毛管54’’は、ポリマーバックシートフィルム55の着用者対向面から遠ざかる方向に吸収コア40、42、44に向かって延びる側壁56を有する。開放毛管54’’は、ポリマーバックシートフィルム55の衣料対向面の平面に第1開口部57を有し、ポリマーバックシートフィルム55の着用者対向面から間隔が隔てられた毛管54の端部に第2開口部58を有する。各開放毛管54’’は、第1開口部57、第2開口部58、及び側壁56が構成する導管70を画成する。各毛管54は、導管70の幾何学的軸線と定義される中心線Aを更に有する。図2の実施形態では、導管70は円筒形形状であり、中心線Aは円筒体の軸線を構成する直線と対応し、バックシートフィルム55の平面Pに対して垂直である。
【0073】
本発明の変形例では、開放毛管54’’が画成する導管70の形状は、例えば図3乃至図7に示すように異なっていてもよく、中心線Aは必ずしも直線でなくてもよく、少なくとも一部がソリッドジオメトリーから既知であることが明らかな導管の幾何学的軸線と対応する曲線であってもよい。
【0074】
図2乃至図7の断面図がバックシートフィルムの平面Pに対して垂直な対称平面から取り出した図である添付図面に示す本発明の最も好ましい実施形態では、導管70の中心線Aをこれらの同じ断面図に基づいて更に容易に同定できる。これは、前記中心線A全体がこの対称平面内にあるためである。例えば、図3乃至図7において導管70がバックシートフィルム55の平面Pと合一する領域では、導管70の幾何学的軸線としての中心線Aの同定は、導管70が、代表的には、この領域で、導管70全体が円筒体又は截頭円錐体として画成された場合及び中心線Aが真っ直ぐ延びるようになった場合の開放毛管54’’の残りの部分と比較して、一定の形状を備えていないということを考慮して行わなければならない。この合一領域で中心線Aを同定するための良好な近似は、平面Pと平行に平面Pから様々な距離のところで取った導管70の幾つかの区分の中心点を連結することである(表面は、勿論、図の断面図における平面Pと平行なセグメントと対応する)。この実際的な方法は、図3乃至図7に示す導管70の中心線を引くのに使用できる。これは、更に、以下に説明するように、中心線Aとバックシートフィルム55の平面P内の第1開口部57の表面との間の交差点の同定と矛盾がない。
【0075】
ポリマーバックシートフィルム55の衣料対向面の開放毛管54’’の第1開口部57は、最小寸法Dmin 及び最大寸法Dmax を有し、これらは、夫々、ポリマーバックシートフィルム55の衣料対向面の平面(平面P)の、即ちポリマーバックシートフィルム55の前記衣料対向面を平らな表面に載せた状態で計測した第1開口部57の領域内の最小値及び最大値と定義される。最小寸法Dmin 及び最大寸法Dmax は、当該技術分野で既知の手段で、例えば画像分析技術等によって求めることができる。
【0076】
更に、ポリマーバックシートフィルム55の衣料対向面の平面内の第1開口部57と同じ断面を持つ導管の流体直径(hydraulic diameter)と対応する平均寸法Davを第1開口部57について求めることができる。前記第1開口部57の全周を流体で濡らして。勿論「流体直径」の概念は、本明細書中、単に定義の目的で使用される。これは、毛管54の導管70が液体を移送するようになっていないためである。「流体」という用語は、従って、気体状流体即ち空気及び/又は水蒸気を含む広い意味で使用される。水力学から既知のように、所定の断面及び所定の湿潤周囲を持つ導管の流体直径は、前記断面積と前記湿潤周囲との比の4倍と対応し、即ち、ここでは、第1開口部57の断面領域の全周と対応する。
【0077】
図2に示す実施形態では、導管70は所定直径の円筒体形状を有し、ポリマーバックシートフィルム55の衣料対向面の第1開口部57は、例えばポリマーバックシートフィルム55の形成に使用された製造方法及び製造装置によってフィルム55の第1開口部の周囲に付けられた湾曲のため、代表的には、円筒形導管70の直径よりも僅かに大きい直径を持つ円形形状である。
【0078】
この場合、第1開口部57の最大寸法Dmax と対応するのはこの大きな直径である。勿論、第1開口部57が円形形状の図2の場合には、Dmin 、Dav、及びDmax の値は一致する。
【0079】
各開放毛管54’’は、更に、第1開口部57と第2開口部58との間で中心線Aに沿って計測した長さLを有する。長さLは、以下に定義する二つの交差点P1 及びP2 間で中心線Aに沿って計測されるようになっている。
【0080】
第1点P1 は、前記中心線Aと第1開口部57の表面S1 との交差点と対応する。前記表面S1 は添付図面に示す実施形態でわかるように平らであり、ポリマーバックシートフィルム55の衣料対向面の平面(平面P)に含まれる。実際上の観点から見て、図2乃至図7に示す本発明の実施形態では、第1点P1 は、様々な形状の開放毛管54’’の導管70の中心線Aの同定に関して上文中に説明したように、第1表面S1 の中央と対応する。
【0081】
第2点P2 は、導管70の中心線Aと平らな表面S2 との交差点と対応する。平らな表面S2 は、前記中心線に対して垂直であり、開放毛管54’’の夫々の第1開口部57に近い第2開口部58の周囲上の一つ又はそれよりも多くの点を通過する。前記距離は、開放毛管54’’の側壁56の内面に沿って求められる。
【0082】
これらの計測値は当該技術分野で既知の方法で得ることができ、例えば、走査型電子顕微鏡で撮影したポリマーバックシートフィルム55の電子顕微鏡写真について画像分析を行うことによって得ることができる。
【0083】
図2の実施形態において、開放毛管54’’は正円筒形形状を有し、第2開口部58もまた正円周を有し、交差点P2 を構成する中心線Aに対して垂直な平らな表面S2 は、第2開口部58の全周を通る平らな円形の表面と対応する。一般的には、前記第2開口部58は、開放毛管54’’の第2開口部58の端部のところで延長エレメント間で吸収物品の吸収コア44の液体移送エンタングルメントが生じないようにできるだけ滑らかであるのが好ましい。これとは対照的に、このような緩いエレメントが液体の移送を高める吸引体脚部の機能を提供する有孔フィルムトップシートとしてこのようなフィルムを使用するのが望ましい。しかしながら、他の場合には、及びポリマーバックシートフィルム55の形成に使用される方法に応じて、第2孔58の周囲及び形状を変えることができる。
【0084】
例えば、第2開口部58の縁部は、凸凹があってもよいし不均等であってもよく、図4に示すように開口部の縁部から延びる緩いエレメントを含む。この実施形態では、表面S1 は、勿論、図2の対応する表面S1 のように、ポリマーバックシートフィルム55の衣料対向面の平面内にあり、この際、第2点P2 の同定に関して上文中に説明したように定義した表面S2 は、図4に破線で断面として示してある。
【0085】
図3乃至図7には、様々な正形状でない開放毛管54’’の中心線A及び対応する特徴S1 、S2 、P1 、P2 が、ポリマーフィルム55の平面に対して垂直な直線状円筒形の正形状と比較して例として示してある。通常、中心線Aは、平面形状から既知のように表面S1 の正形状及び非正形状について同定された表面S1 の中心と対応する第1点P1 を通過する。図6の断面図では、第1開口部57の寸法Dmin 、Dav、及びDmax は、図2の開放毛管54’’の場合と同様に一致する。これは、第1開口部57が前記図面で円形形状を持つと考えられるためである。
【0086】
これとは逆に、図3、図4、図5、及び図7では、表面S1 は、代表的には、楕円形形状を有し、長軸が断面図に示してある。これらの場合には、これらの図に示す寸法は、本明細書中で定義した最大寸法Dmax と対応する。
【0087】
本発明の通気性吸収物品に含まれるポリマーバックシートフィルム55の各開放毛管54’’について、開放毛管54’’の長さLと夫々の第1開口部57の寸法Dとの間で所定の比を定義できる。ここで、Dは、Dmin 、Dav、又はDmax である。
【0088】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、この比を選択することによって、本発明による立体的弾性ポリマーウェブの性能を改良できる。本発明によるウェブは、好ましくは、開放毛管54’’を持つポリマーバックシートフィルム55として、圧力及び応力が加わった状態で立体的弾性ポリマーウェブの構造の通気性の向上並びに良好な滲み通し抵抗に関して上文中に説明された使い捨て吸収物品の通気性バックシートに組み込まれる。圧力及び応力は、例えば、立体的弾性ポリマーウェブをバックシート構造に組み込んだ、例えば衛生ナプキンやパンティライナ等の使い捨て吸収物品に、代表的には使用者により着用時に及ぼされる。
【0089】
ポリマーフィルムの表面に対して実質的に垂直方向に及ぼされた圧縮力に応じた弾性及び緩衝効果もまた本発明に従って改善できる。この効果は、非通気性構造、例えば非通気性バックシートでも望ましい。
【0090】
従って、開放毛管54’’の長さLと第1開口部57の最小寸法Dmin との比は、好ましくは、2よりも大きい。更に好ましくは、長さLと第1開口部57の平均寸法Davとの比は2よりも大きくなければならず、更に好ましくは長さLと第1開口部57の最大寸法Dmax との比は2よりも大きくなければならない。最も好ましくは、長さLとDmin 、Dav、又はDmax のうちの任意の値との比は2.5よりも大きい。
【0091】
理論によって括ろうとするものではないが、本発明の好ましい実施形態による使い捨て吸収物品の好ましくは通気性のバックシートの好ましいポリマーバックシートフィルムの毛管により、空気及び水蒸気に対する透過性が得られると同時に、好ましいL/D比のため、着用中に使用者によって着用者対向面から及ぼされた圧力の作用で容易に曲がることができると考えられる。曲げにより毛管が圧力の作用で閉鎖し、毛管を通って上文中に説明した好ましい実施形態の物品の外側に向かう液体の移送がほぼ不可能になる。従って、本発明の立体的弾性ポリマーウェブは、通気性吸収物品に関して非常に好ましい。更に、これにより、好ましい実施形態のポリマーバックシートフィルム55と対応する本発明の立体的弾性ポリマーウェブに良好な弾性を与え、使用時に圧力が作用した状態で緩衝効果を提供できる。
【0092】
上文中に説明したように、円形の第1開口部57を持つ毛管の場合には、Dmin 、Dav、及びDmax 間の区別は必要なく、又は第1開口部57の三つの関連した寸法Dが互いに対応するために可能である。
【0093】
第1孔57が円形以外の形状を持つ開放毛管54’’の場合には、三つの関連した寸法Dmin 、Dav、及びDmax は実際に互いに異なる。好ましいL/D比を持つ毛管が外圧の作用で容易に曲がることを更によく説明するため、第1孔の三つの関連した寸法のうちの一つを、前記第1開口部の特定の形状に応じて、即ち正形状又は非正形状のいずれであるのかに応じて、又は内部が全体に凹状をなした例えば円形、楕円形、長円形等の周囲を持つか或いは部分的に凹状をなし且つ部分的に凸状をなしているのかに応じて、表示できる。
【0094】
上述のように、図3乃至図8に示す本発明の特に好ましい実施形態では、ポリマーバックシートフィルム55の開放毛管54’’もまた傾斜しているのがよく、即ちポリマーバックシートフィルムの平面に対して90°よりも小さい角度で配置されている。
【0095】
好ましくは、ポリマーバックシートフィルム55には、上掲の米国特許第5,591,510号又はPCT WO97/03818及びWO97/03795による開放毛管54’’が設けられているのがよい。図3乃至図7には、このような開放毛管の変形例が示してある。好ましくは、開放毛管は層の全面に亘って均等に分配されており、全く同じである。しかしながら、表面の特定の領域だけに、例えば吸収コアの中央負荷ゾーンと整合した領域の外側の領域だけに開放毛管が設けられた層に本発明による開放毛管を設けることができる。
【0096】
開放毛管及び閉鎖毛管を持つこのような立体的ポリマーフィルムの製造方法は、上掲の有孔フィルムトップシートの文献、有孔成形フィルムの文献、及び微視的/巨視的に膨張させたフィルムの文献に記載されているのと実質的に同じである。代表的には、ポリエチレン(LDPE、LLDPE、MDPE、HDPE、又はその積層体)等のポリマーフィルムをほぼその融点まで加熱し、フォーミングスクリーンを通して吸引力に露呈する。吸引力は、力に露呈された領域を、フィルムを所定形状に形成するように付形されたフォーミング孔に引き込む。吸引力が十分高い場合には、フィルムの端部が壊れ、これにより開放毛管と対応するフィルムを通る孔が形成される。閉鎖毛管は、同様に、例えばこれらの毛管と対応する適当な手段で吸引力を減少することによって、従って、ポリマーフィルムを部分的に第2端を壊すことなく伸長することによって形成される。更に、閉鎖毛管は、好ましくは、上文中に説明した開放毛管よりも短い。他のフィルム材料には、例えば、ポリエステル、ポリエーテル、ポリビニルアルコール、等が含まれる。
【0097】
更に、本発明による開放毛管及び閉鎖毛管を持つ立体的ポリマーフィルムの製造に、実質的に液体不透過性であるがそれ自体が水蒸気透過性の親水性フィルムを使用できる。このようなフィルムは、材料の開孔又は小孔を通る水蒸気の流れを許容しないが、水蒸気濃度が高い方のフィルムの一方の側部で水を吸収し、水蒸気濃度が高い方のフィルムの他方の側部で水を取り除き又は気化することによって、大量の水蒸気をフィルムを通して移行させる。モノリシックフィルムと呼ばれるこれらのフィルムは、当該技術分野で既知であり、例えば米国のデュポン社のハイトレル(ハイトレル(Hytrel)は登録商標である)である。
【0098】
本発明による開放毛管及び閉鎖毛管を持つ立体的ポリマーフィルムをモノリシックフィルムを使用して製造する場合、特に応力が加わる使用条件で例えば使用者により及ぼされた高い圧力で毛管が曲げにより完全に閉鎖したフィルムの領域でも、及び閉鎖毛管と対応する領域でも、毛管を持つポリマーフィルムの通気性を維持できる。
【0099】
毛管の様々な形態、形状、大きさ、及び形体が可能であり、これを以下に図3乃至図7を参照して論じる。
【0100】
図5は、米国特許第5,591,510号、PCT WO97/03818、WO97/03795に従って形成された、好ましいポリマーバックシートフィルム55の単一の傾斜した開放毛管54’’の断面図を示す。この開放毛管は、長さLと本発明による第1開口部57の寸法Dとの間に好ましい比を有する。図2において既に説明したエレメントと対応するエレメントには同じ参照番号が付してある。中心線Aは、その長さの少なくとも一部に沿って、フィルム55の衣料対向面と同じ平面であるフィルムの平面Pに関して90°よりも小さい角度を形成する。この角度は、好ましくは、85°乃至20°であり、更に好ましくは65°乃至25°であり、最も好ましくは55°乃至30°である。
【0101】
平面Pに関して90°よりも小さい角度は、図3及び図4に示すように中心線Aが実質的に直線状である場合、又は図5におけるように中心線Aがその長さの大部分に沿って直線状である場合、開放毛管の中心線Aの全長に沿って形成できる。この角度は、傾斜した開放毛管の角度と実際に対応するということができる。
【0102】
例えば図6及び図7に示す実施形態のように開放毛管54’’の中心線Aが全体に又は部分的に湾曲した変形例では、中心線Aの角度は、形状からわかるように、添付図面に示す断面図で計測した所与の点での中心線Aに対する接線の角度と対応する。勿論、これらの場合において、角度は中心線Aの長さに沿って変化する。中心線Aがその長さの少なくとも一部に沿って90°よりも小さい角度を形成するということが本発明の範疇に含まれるが、中心線Aのほぼ全体又は少なくともその大部分が図3、図4、及び図5に示すように平面Pに関して90°よりも小さい一定の角度を形成するのが好ましく、又は別の態様では、角度が例えば図6(湾曲した開放毛管)に示すように中心線Aの全長に沿って連続的に変化するのが好ましい。
【0103】
勿論、中心線Aに対して垂直な平面内での開口部の大きさを考えた場合に第2開口部58が第1開口部57よりも(大幅に)小さいように毛管を漏斗形状にすることもできる。このような実施形態を図4及び図3に示す。図3には、毛管の壁56が、第2開口部58で、開口部が中心線Aに対して垂直な表面を形成するように終端するのではなく、フィルム55の着用者対向面から大きく離れた毛管の一部の壁が開口部を越えて延びることにより、液体がフィルム55の着用者対向面にある吸収コアから毛管を通ってフィルムの衣料対向面まで移動し(漏れを生じる)可能性を小さくするのを更に補助するのがよいということもまた示してある。
【0104】
図6には、本発明にとって有用な毛管の別の実施形態が示してある。この毛管はその長さに沿って、フィルム55の着用者対向面に向かって湾曲している。これには、図3に示すように壁56を延長するのと同様の効果がある。
【0105】
図7には、本発明による毛管の別の実施形態が示してある。この毛管は、第1部分257及び第2部分258を有し、毛管の第1部分257は毛管54の第2部分258と方向が異なる。この相違は、液体が着用者対向側部から衣料対向側部に向かう方向でフィルムを通過しないようにしつつ所望レベルの通気性を得るため、毛管の一部の形状、大きさ、及び形体における相違であってもよい。
【0106】
傾斜した毛管を持つポリマーバックシートフィルム55として立体的弾性ポリマーウェブを含む本発明の好ましい実施形態では、前記毛管により空気及び水蒸気に対する透過性が提供され、この透過性が毛管が所定角度で傾斜していることによって、又は上述の形状によって妨げられないと考えられる。これと同時に、本発明に従って傾斜させること及び付形することによって、長さLと第1開口部57の寸法Dとの間に好ましい比を持つ毛管を、それらの着用者対向側から及ぼされた圧力の作用で閉鎖し、物品の外側に向かって毛管を通って液体が移送されることをほぼ不可能にするのを更に補助する。従って、これらの立体的に形成されたフィルム層は、通気性吸収物品において非常に好ましい。
【0107】
傾斜した開放毛管を持ち、使い捨て吸収物品のバックシートに含まれる立体的弾性ポリマーウェブと関連した別の利点は、このような立体的フィルムは、その厚さを通した、即ちフィルム全面に対して垂直方向に沿った、直接の通過を許容しないということである。従って、これにより、別の層の部分又は傾斜した毛管を持つ立体的ポリマーフィルムの一方の表面と隣接した又はこの表面に加えられた材料の部分が、フィルムの厚さを通して、即ち傾斜した開放毛管を通して反対側の表面に直接アクセスすることがないようにする。これは、通気性バックシートについて特に有用である。傾斜した開放毛管は、実際に、例えば隣接した繊維質層の繊維が毛管の孔に入り込んで反対側の表面と隣接した別の層と接触して流体用の好ましい通路を形成するといったような、立体的ポリマーフィルムの二つの表面間におけるブリッジの形成を防止することができる。更に、立体的ポリマーフィルムを隣接した層に接合するのに接着剤を使用する場合、開放毛管が傾斜した形状をなしているため、接着剤が開放毛管を通って侵入して反対側の表面上に出て別の層と接触して立体的フィルムを通るブリッジを形成するようなことがない。
【0108】
吸収物品の好ましくは通気性のバックシート構造に含まれる立体的ポリマーフィルム55を構成する立体的弾性ポリマーウェブの開放毛管54’’の好ましい形状及び大きさは、上文中に説明した本発明の好ましい実施形態によれば、ポリマーウェブの最終的な用途を考慮に入れて、このようなウェブを含むバックシート構造に例えば良好な水蒸気透過性、好ましくは空気透過性を提供するため、当業者が決定できる。
【0109】
好ましくは開放毛管54’’は、約0.2mm乃至5mmの寸法Dを持つ第1開口部57を有する。Dは、上文中に定義したように、最小寸法Dmin 、平均寸法Dav、及び最大寸法Dmax を持つ。第1開口部57が円形形状である場合には、寸法Dmin 、Dav、及びDmax は前記寸法Dと一致し且つ対応する。これらの寸法は、好ましくは0.4mm乃至2mmであり、更に好ましくは0.7mm乃至1.5mmである。好ましい場合、第1開口部57が実質的に楕円形形状であり、Dmin 及びDmax が楕円の二つの軸線と対応する場合には、Dmin 及びDmax は、両方とも、更に好ましくは、0.7mm乃至1.5mmである。
【0110】
好ましくは、閉鎖毛管54’は、開放毛管54’’と同じ形状及び大きさの第1開口部57を有する。これは、好ましくは吸収物品に含まれる本発明の立体的ポリマーフィルム55の製造に使用された既知のプロセスで容易に行うことができるためである。
【0111】
上文中に定義した開放毛管54’’の長さL、及びこの長さLと関連した立体的ポリマーフィルム55の見掛けの厚さTは、第1開口部57の大きさの関数として決定できる。開放毛管54’’の長さLが上文中に説明した好ましいL/D比を満たすのが特に好ましい。
【0112】
本発明による好ましい例では、立体的弾性ポリマーウェブは、好ましくは、傾斜した毛管54を持つ立体的ポリマーバックシートフィルム55としてバックシート構造に含まれ、図8に示す実施形態と同様であるが、図8に実際に示してあるのとは異なり、立体的ポリマーウェブは、更に、好ましいL/D比を持つ開放毛管54’’を備えていることを特徴とする。
【0113】
実質的に図4に示す形状と対応する漏斗形状を有し、中心線Aがフィルムの平面Pと約35°の角度をなす開放毛管54’’では、Dmin は0.9mmであり、Dmax は1.1mmであり、Lは1.9mmである。立体的ポリマーフィルムの見掛けの厚さTは、1.4mmである。
【0114】
閉鎖毛管54’は、形状及び大きさが閉鎖毛管の第1開口部と同じ第1開口部を有し、0.5mmの高さを有する。閉鎖毛管は、立体的ポリマーフィルムの毛管の総数の65%を占め、開放毛管の間に均等に分配されている。
【0115】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、好ましくは、二層複合材料又は多層複合材料である好ましくは通気性のバックシート50を吸収物品で使用できる。従って、本発明で使用するための適当な通気性バックシートは、上文中に説明したポリマーバックシートフィルム55等の第1層及び第2層を含み、前記第1層が空気透過性層である。好ましい通気性複合バックシートは、蒸気交換性が高く最も好ましくは蒸気交換性及び空気交換性の両方が高い。
【0116】
図8に示すように、第1層は、図1を参照して上文中に説明したのと同様のポリマーバックシートフィルム55であるが、このフィルムに設けられた毛管54は、開放毛管54’’及び閉鎖毛管54’の両方が傾斜している。閉鎖毛管54’のこの特定の形状は特に好ましい形状ではないけれどもプロセスの理由によりこのようになる。閉鎖毛管54’は、実際には対称形状であるのが好ましい。これは、変形に対して更に良好な抵抗を提供できるためである。図8のポリマーバックシートフィルム55は、実際には、本明細書中上文中に説明した好ましいL/D比を示さないということに着目しなければならない。ポリマーバックシート55は、吸収コア40、42、44の衣料対向面と図8で参照番号52を付した第2層の着用者対向面との間に配置される。吸収コア40、42、44から外側に向かう液体の通過を遅らせるか或いは無くすと同時に空気を自由に流通させるように配向されている。
【0117】
第2層52は、物品の通気性を支持するように少なくとも水蒸気透過性を備えている必要がある。物品の通気性により得られる快適性の利点を更に改善するため、空気透過性も備えていることが、必要ではないが望ましい。これに関し、適当な水蒸気透過層及び空気透過層は、微視的孔又は巨視的孔を備えた平面的フィルムを含む。これらのフィルムは、微視的に又は巨視的に膨張できるフィルム、付形有孔フィルム、及びモノリシックフィルム、並びに不織布又は織布である。
【0118】
バックシートの適当な平らな平面的層は、当該技術分野で既知の任意の材料でできているのがよいが、好ましくは、一般的に利用できるポリマー材料から製造される。適当な材料は、例えば、いわゆる通気性衣料での用途で当該技術分野で既知のゴアテックス(ゴアテックス(Goretex)は登録商標である)又はシンパテックス(シンパテックス(Sympatex)は登録商標である)型である。他の適当な材料には、米国ミネソタ州セントポールの3M社のXMP−1001、及びエクソン化学社が供給するイグザイア(Exxaire)XBF−101Wが含まれる。本明細書中で使用されているように、平らな平面的層という用語は、1mmよりも小さく、好ましくは0.5mmよりも小さい深さを持ち、孔が層の平面の外に突出していない層に関する。本発明のバックシートとして使用するための有孔材料は、当該技術分野で既知の任意の方法を使用して、例えば欧州特許第293482号の方法を使用して製造できる。同特許に触れたことにより、その特許に開示されている内容は本明細書中に組入れたものとする。更に、この方法で形成した孔の寸法は、バックシート層の平面を横切って力を加えることによって(即ち層を延伸することによって)大きくできる。
【0119】
適当な有孔成形フィルムは、層の衣料対向面の水平平面を越えてコアに向かって延び、これによりプロチュバランスを形成する別個の孔を持つフィルムを含む。プロチュバランスの末端にはオリフィスが配置されている。好ましくは、前記プロチュバランスは、米国特許第3,929,135号に記載されているのと同様の漏斗形状を持つプロチュバランスである。平面内に配置された孔及びプロチュバランス自体の末端に配置されたオリフィスは、プロチュバランス末端のオリフィスの断面寸法又は面積が層の衣料対向面内に配置された孔の断面寸法又は面積よりも小さければ、円形であってもなくてもよい。好ましくは、前記有孔予備成形フィルムは、バックシートを通って液体が失われ(漏れ)ないように液体を指向的に移送する。本発明で使用するための巨視的に拡張させた適当なフィルムには、例えば米国特許第4,637,819号及び米国特許第4,591,523号に記載のフィルムが含まれる。
【0120】
適当なモノリシックフィルムは、米国のデュポン社から得られるハイトレル(ハイトレル(Hytrel)は登録商標である)、及びスイスにあるデュポン社の国際S.A.での1993年度大会のセッション7AのJ−C.カージナル及びY.トロイヘットの「不織布に対する付加値」に記載された他のこのような材料を含む。適当な不織布及び/又は織布は、当該技術分野で既知である。バイダーとともに又はバイダーなしで熱結合、空気堆積、乾式積層、又は湿式堆積したスパンボンデッド不織布、溶融吹き出し不織布、又はカーデッド不織布等の不織布を使用できる。特に好ましい不織布は、微細な溶融吹き出し繊維及び不織布層の衣料対向面を形成する溶融吹き出し繊維を含む比較的粗いスパンボンデッド繊維でできた複合体等の多層不織布である。
【0121】
吸収物品構造
本発明の別の特徴は、本発明の立体的弾性ポリマーウェブがそのように使用されるのでなく実際に物品に含まれる場合に、例えばトップシート、バックシート、及び吸収コア等のエレメントを接合し、本発明の立体的弾性ポリマーウェブを含む物品、例えば上文中に説明した使い捨て吸収物品を提供することに関する。本発明によれば、物品のエレメントのうちの少なくとも二つ、好ましくは全てのエレメントを接合する。
【0122】
少なくとも一つの層を構成する前記エレメントの各々は、着用者対向面及び衣料対向面を有する。代表的には、隣接した衣料対向面は、隣接したエレメント即ち層の着用者対向面と共通の界面を形成する。エレメント即ち層は、この共通の界面に亘って互いに接合される。この方法では、トップシートが吸収コアに接合され、このコアがバックシートに接合される。更に、前記トップシートエレメント、バックシートエレメント、及びコアエレメントの各々は一つよりも多くの層を含んでもよく、これらの層は同様に接合されていてもよい。更に、トップシートは、吸収コアを包含するため、吸収物品の周囲でバックシートに直接的に又は間接的に接合されているのがよい。
【0123】
エレメント及びその層は、二つの隣接した材料層を取り付けるための当該技術分野で既知の任意の手段で、層が互いに直接的に取り付けられるように、又は接合手段を介して互いに直接的に取り付けられるように接合されているのがよい。適当な接合手段には、接着剤、融着結合、超音波結合、縫い付け、熱(例えば繊維を交差部のところで溶接することによる熱結合又はポリマーを溶融して繊維又はフィルムを互いに取り付ける)、エンボス加工、クリンプ止め、圧力結合、動的機械的結合、又はこれらの組み合わせが含まれる。本発明の一実施形態によれば、好ましい接合手段は接着剤である。適当な接着剤には、非感圧性常温接着剤が含まれる。接着剤は、通気性吸収物品の本発明の好ましい実施形態における通気性及び物品のエレメントの他の機能を接着剤が大幅に損なわない場合、螺旋状塗布、スロットコーティング、スプレー塗布、螺旋状スプレー塗布、カーテンコーティング、接触コーティング、及び印刷等の当該技術分野で既知の任意の手段によって付けることができる。
【0124】
これを行うための一つの手段は、共通の界面領域に接着剤が付かないようにすると同時に二つの隣接した層又はエレメントを必要なレベルで取り付け/接合状態に保持する開放接着剤塗布技術等の特別の接着剤塗布方法を使用することである。特に、螺旋状スプレー塗布が好ましい。
【0125】
吸収物品が衛生ナプキン又はパンティライナとして使用される本発明の好ましい実施形態では、吸収物品には、物品を下着に取り付けるためのパンティファスニング手段が更に設けられている。例えば、パンティファスニング手段は、ベルクロスナップ及びホルダの商標で販売されているファスニング手段等のフック−ループファスナ等の機械的ファスナでできているのがよい。別の態様では、物品は、バックシートに設けられたパンティファスニング接着剤によって下着に取り付けられる。パンティファスニング接着剤は、物品をパンティに固定するための手段を提供し、好ましくは、便利に廃棄するため、物品を汚れたときに折畳み−包みパッケージに固定するための手段を提供する。代表的には、バックシートの衣料対向面の少なくとも一部を接着剤でコーティングし、パンティファスニング接着剤を形成する。このような目的で当該技術分野で使用される任意の接着剤を、ここで述べるパンティファスニング接着剤として使用できる。感圧接着剤が最も好ましい。適当な接着剤には、オハイオ州コロンバスのセンチュリー接着剤社が販売しているセンチュリーA−305−IV、ニュージャージー州ブリッジウォーターのナショナルスターチアンドケミカル社が製造しているインスタントLOK34−2823、3シグマ社が製造している3シグマ3153、H.B.フューラー社が製造しているフューラーH−2238ZPが含まれる。
【0126】
好ましい通気性吸収物品のバックシートの(及びかくして物品の全体としての)通気性に及ぼされる悪影響を低減するため、接着剤は、好ましくは、バックシートの表面の少なくとも60%、好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%に接着剤が付けられていないように塗布される。必要な接着性は、薄いストリップ、接着剤の不連続ストリップ、断続的ドット、ランダムなパターン又は螺旋等の特定の分布を使用することによって、覆われる表面積を減少した場合でも得られる。
【0127】
パンティファスニング接着剤は、代表的には、接着剤が乾燥して役に立たなくなったり、使用前にパンティ以外の表面に付着したりしないようにするため、取り外し自在の剥離紙又はフィルムでコーティングしてある。商業的に入手できる任意の剥離紙又はフィルムを使用できる。適当な例は、アクロシル社から入手できるBL30MG−A SILOX EI/O及びBL30MG−A SILOX 4 P/Oである。
【0128】
本発明によれば、立体的弾性ポリマーウェブを衛生ナプキン、パンティライナ、失禁者用ブリーフ、汗取りパッド、及びおむつ等で有利に使用でき、ガウン、フェースマスク、及び包帯等の保護物品等でも有利に使用できる。しかしながら、衛生ナプキンが本発明に特に適している。かくして、使い捨て物品は、更に、それらを使用しようとする製品で代表的な全ての特徴及び部品を含むのがよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による立体的弾性有孔プラスチックウェブを含む吸収物品の全ての有用なエレメントを含む、吸収物品の断面を示す断面図である。
【図2】 本発明による立体的弾性有孔プラスチックウェブの毛管の拡大断面図である。
【図3】 本発明による立体的ウェブに使用する傾斜した毛管の実施形態の断面図である。
【図4】 本発明による立体的ウェブに使用する傾斜した毛管の実施形態の断面図である。
【図5】 本発明による立体的ウェブに使用する傾斜した毛管の実施形態の断面図である。
【図6】 本発明による立体的ウェブに使用する傾斜した毛管の実施形態の断面図である。
【図7】 本発明による立体的ウェブに使用する傾斜した毛管の実施形態の断面図である。
【図8】 変形例のバックシート構造に含まれる本発明による立体的弾性有孔プラスチックウェブの別の実施形態を含む、図1に示されているのと同様の吸収物品の断面図である。
Claims (10)
- 第1面、第2面、及び複数の毛管(54)を持つ液体不透過性のポリマーフィルム(55)を含み、前記毛管(54)は、前記バックシートフィルム(55)の前記第2面から遠ざかる方向に延びる側壁(56)を有し、前記毛管(54)は、前記フィルム(55)の前記第1面に第1開口部(57)を備えた第1端(60)、及び前記バックシートフィルム(55)の前記第2面から間隔が隔てられた第2端(62)を有し、前記複数の毛管(54)の各々は、前記第1端(60)、前記第2端(62)、及び前記側壁(56)によって構成された導管(70)を画成する、立体的弾性有孔プラスチックウェブにおいて、
前記複数の毛管(54)の少なくとも50%が、前記第2端(62)が閉鎖した閉鎖毛管(54’)であり、前記複数の毛管(54)の少なくとも5%が、前記第2端(62)に第2開口部(58)を持つ開放毛管(54’’)であり、
前記開放毛管(54’’)は前記フィルム(55)の前記第2面から遠ざかる方向に前記閉鎖毛管(54’)よりも大きく延びている、ことを特徴とする立体的弾性有孔プラスチックウェブ。 - 請求項1に記載の立体的弾性有孔プラスチックウェブにおいて、前記複数の毛管(54)の50%乃至80%が閉鎖毛管(54’)である、ことを特徴とする立体的弾性有孔プラスチックウェブ。
- 請求項1又は2に記載の立体的弾性有孔プラスチックウェブにおいて、前記液体不透過性ポリマーフィルム(55)は、前記毛管(54)の前記第1端(60)を含む第1平面と、この第1平面と平行であり前記第2端(62)の前記第1平面から最も離れた点を含む第2平面との間の距離と定義される見掛けの厚さTを有し、前記閉鎖毛管(54’)は、前記第1平面と、この第1平面と平行であり前記第1平面から最も離れた前記閉鎖毛管(54’)の前記第2端(62)の点を含む第3平面との間の距離と定義される高さHを有し、
前記閉鎖毛管(54’)の前記高さHは、前記液体不透過性ポリマーフィルム(55)の前記見掛けの高さTの50%よりも小さく、好ましくは前記見掛けの高さTの30%乃至40%である、ことを特徴とする立体的弾性有孔プラスチックウェブ。 - 請求項1乃至3のうちのいずれか一項に記載の立体的弾性有孔プラスチックウェブにおいて、前記複数の毛管(54)の各々は、前記導管(70)の幾何学的軸線と定義される中心線Aを有し、前記複数の毛管(54)の少なくとも幾つかは、前記中心線Aに対して垂直な面積を比較した場合に前記第2面から遠ざかる方向で一定の断面積を持つ円筒体を形成する、ことを特徴とする立体的弾性有孔プラスチックウェブ。
- 請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載の立体的弾性有孔プラスチックウェブにおいて、前記閉鎖毛管(54’)は全て実質的に同一であり、前記開放毛管(54’’)は全て、夫々実質的に同一であり、好ましくは前記開放毛管及び閉鎖毛管(54’、54’’)は、前記バックシートフィルム(55)に亘って均等に分配されている、ことを特徴とする立体的弾性有孔プラスチックウェブ。
- 請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載の立体的弾性有孔プラスチックウェブにおいて、前記開放毛管(54’’)は、前記第1開口部(57)と前記第2開口部(58)との間で前記中心線Aに沿って計測した長さL、及び前記第1開口部(57)の最大寸法Dを有し、前記長さLと前記最大寸法Dとの比は2よりも大きい、ことを特徴とする立体的弾性有孔プラスチックウェブ。
- 請求項1乃至6のうちのいずれか一項に記載の立体的弾性有孔プラスチックウェブにおいて、前記開放毛管(54’’)は、前記フィルム(55)の前記第2面から遠ざかる方向に、前記フィルム(55)の前記第1平面から計測して90°よりも小さい角度(59)で延びている、ことを特徴とする立体的弾性有孔プラスチックウェブ。
- 請求項1乃至7のうちのいずれか一項に記載の立体的弾性有孔プラスチックウェブにおいて、前記立体的弾性有孔プラスチックウェブは、通気性使い捨て吸収物品の通気性バックシート(50)に含まれる、ことを特徴とする立体的弾性有孔プラスチックウェブ。
- 使用中に衣料(21)の方向に向くように配向された衣料対向面、及び使用中に着用者(20)の方向に向くように配向された着用者対向面を持つ、使い捨て吸収物品であって、少なくとも、
液体透過性トップシート(30)、
バックシート(50)、
前記トップシート(30)と前記バックシート(50)との間に設けられた吸収コア(40、42、44)を含み、
前記バックシート(50)は立体的弾性ウェブを含み、このウェブは、衣料対向面、着用者対向面、及び複数の毛管(54)を持つ液体不透過性ポリマーバックシートフィルム(55)を含み、前記毛管(54)は、前記バックシートフィルム(55)の前記着用者対向面から遠ざかる方向に前記吸収コア(40、42、44)に向かって延びる側壁(56)を有し、前記毛管(54)は、前記バックシートフィルム(55)の前記衣料対向面に第1開口部(57)を備えた第1端(60)、及び前記バックシートフィルム(55)の前記着用者対向面から間隔が隔てられた第2端(62)を有し、前記複数の毛管(54)の各々は、前記第1端(60)、前記第2端(62)、及び前記側壁(56)によって構成された導管(70)を画成する、使い捨て吸収物品において、
前記複数の毛管(54)の少なくとも50%が、前記第2端(62)が閉鎖した閉鎖毛管(54’)であり、前記複数の毛管(54)の少なくとも5%が、前記第2端(62)に第2開口部(58)を持つ開放毛管(54’’)であり、
前記開放毛管(54’’)は前記フィルム(55)の前記第2面から遠ざかる方向に前記閉鎖毛管(54’)よりも大きく延びている、ことを特徴とする、使い捨て吸収物品。 - 請求項9に記載の使い捨て吸収物品において、前記使い捨て吸収物品は通気性であり、前記バックシート(50)もまた通気性である、ことを特徴とする使い捨て吸収物品。
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