JP4601361B2 - 銀イオン水生成用材料とそれを用いる銀イオン水製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の銀イオン水生成用材料は、(1)Ti及びZrの少なくとも1種、(2)Ag並びに(3)C及びBNの少なくとも1種、を含む混合原料を燃焼合成することにより得られる、Ag含有量が1〜50重量%である多孔質セラミックからなることに特徴を有する。
本発明は、前記の本発明銀イオン水生成用材料と水とを混合することを特徴とする銀イオン水の製造方法を包含する。
本発明は、スプレーノズル付きの容器中に、前記の本発明銀イオン水生成用材料及び水を充填してなる銀イオン水スプレー装置も包含する。
1:1のモル比でTiとC粉末を秤量後、20wt%の銀粉末を添加した混合粉末を直径20mmで厚み5mmの形状にプレス成形した。空気中でこの成形体の一端をアーク放電着火すると燃焼合成が起こり、約5秒後に相対密度50%で質量4.5gのセラミック多孔質ペレットが得られた。ペレットに含まれる銀の量は0.75gであった。このペレットについてX線回折分析を行った結果、TiO2、TiC、Agと若干の残留Cから成ることがわかった。また、EDXによる元素分布を観察した結果、表面TiO2層及び内部TiC層のいずれの三次元網目構造においても、連続した細孔内壁面全体を覆うようにAgが均一に微細分散していることが判明した。このようにして、燃焼合成することにより銀イオン水生成用材料が短時間で製造することができた。
1:1のモル比でTiとC粉末を秤量後、20wt%となるように銀粉末を添加した混合粉末を直径20mmで厚み5mmにプレス成形した。アルゴン中でこの成形体の一端をYAGレーザーで着火すると燃焼合成が起こり、約5秒後に相対密度が50%のセラミック多孔質ペレットが得られた。このペレットについてX線回折分析を行った結果、TiC、Agと若干の残留Cから構成されており、実施例1と同様に微細なAgが均一に分散していた。
3:1のモル比でTiとBN粉末を秤量後、20wt%となるように銀粉末を添加した混合粉末を直径20mmで厚み5mmにプレス成形した。アルゴン中でこの成形体の一端をYAGレーザーで着火すると燃焼合成が起こり、約5秒後に相対密度が45%のセラミック多孔質ペレットが得られた。このペレットについてX線回折分析を行った結果、TiB、TiB2、TiN、Agから構成されており、実施例1と同様にセラミック多孔質の細孔内壁面にAgが均一に微細分散していた。
1リットルのガラスビーカーに水(約1L)を入れ、実施例1で得た銀イオン水生成用ペレットを1個投入して自然放置した。その結果、2時間後に25ppb、24時間後に40ppbの銀イオン水が得られた。銀イオン溶出量の時間変化を図1(A)に示す。
1リットルのガラスビーカーに水(約1L)を入れ、実施例2で得た銀イオン水生成用ペレットを1個投入して自然放置したところ、2時間後に90ppbの銀イオン水が製造できた。銀イオン溶出量の時間変化を図1(B)に示す。
図2に示す超音波発振装置を用いて超音波照射を実施した。この装置は、超音波発振機上に水槽が備えられている。図2のように、上記水槽に水を入れ、そこに1リットルのガラスビーカーを入れた。実施例2で得られた銀イオン水生成用ペレット1個と水とをビーカーに入れた。ビーカーごと超音波照射(周波数40KHz)を行うと、ビーカー内の水に銀イオン水生成用ペレットから銀イオンが溶出した。照射1分後には80〜100ppbの銀イオン水となり、その後20分間照射しても銀イオン濃度は一定の80〜100ppbであった。超音波照射を止めた後、別のビーカーに銀イオン水だけ取り出して放置し、銀イオン濃度の経時変化を測定した。その結果、3日後で80〜100ppbと保持でき、9日後でも濃度に大きな変化は認められなかった。
図2のように、超音波発振装置の水槽に水を入れ、その水槽に1リットルのガラスビーカーを入れた。このビーカーには、実施例1で得られた銀イオン水生成用ペレット1個と水(約1L)とが入っている。ビーカーごと超音波照射を行うと、ビーカー内の水に銀イオン水生成用ペレットから銀イオンが溶出し、20分間の照射後には80〜100ppbの銀イオン水が得られた。
2リットルのペットボトルに、実施例2で得られた銀イオン水生成用ペレット1個と水(約2L)を入れ、実施例6と同様に超音波照射を行った。その結果、照射1分後には80〜100ppbの銀イオン水が製造できた。超音波照射を止めた後、別のペットボトルに銀イオン水だけ取り出して放置し、銀イオン濃度の経時変化を測定したところ、1日後で80〜100ppbと保持でき、3日後でも同様の80〜100ppbとなり変化しなかった。
銀イオン濃度が40ppbとなった実施例4の銀イオン水を用い、生菌数検査を行った。その結果を表1に示す。
約4トンの水を入れた塩化ビニル樹脂製のプールに超音波照射を実施した。周波数40KHzで最大高周波出力300Wの超音波発信機からケーブル接続された投げ込み式超音波振動子と、実施例2で得られた銀イオン水生成用ペレット150個を入れたステンレス金網かごを振動子上面に置いた状態で、プール底に沈めた。超音波照射を1時間行って銀イオンを溶出させた後、ペレットを入れたステンレス金網かごと超音波振動子を取り出した。
市販の全自動式洗濯機を用い、ごみ・糸くずの捕集フィルターネット内に実施例1で得られた銀イオン水生成用ペレットを1個入れて、洗濯を1日に1回の割合で8ヶ月間行った。比較のため、上記ペレットを入れない状態でも同様の試験を実施した。
市販の超音波加湿器を用いて、組み込まれた小型の超音波振動子に近接する水中に、実施例1で得られた銀イオン水生成用ペレットを1個入れた後、超音波加湿を行った。その結果、連続して銀イオン水を部屋等の空間中に霧化・放散することができるようになり、部屋内の消臭・殺菌・抗菌を行えるようになった。また、上記ペレットを使用せずに通常の超音波加湿を行った場合、水道水に含まれるCa成分、Mg成分等が加湿器容器内や部屋壁に白色析出物(スケール)として付着する現象が認められた。これに対し、銀イオン水生成用ペレットを水道水に投入して得られる銀イオン水を超音波加湿した場合、加湿器容器内や部屋壁に白色状析出物の付着はほとんど無くなった。
水と、実施例1で得た銀イオン水生成用ペレットを1個投入した500ccのスプレーノズル付きの容器からなる銀イオン水スプレー装置を用いた場合、24時間後に40ppbの銀イオン水が製造でき、ノズルを通して銀イオン水を噴霧することができた。
水と、実施例1で得られた銀イオン水生成用ペレット1個とを入れた500ccのスプレーノズル付きの容器からなる銀イオン水スプレー装置を超音波発振装置に入れて、1分間の超音波照射(周波数40KHz)を実施した。これにより得られた銀イオン水の濃度は80〜100ppbであった。
水と、実施例1で得られた銀イオン水生成用ペレットを4個投入した500ccのスプレーノズル付きの容器からなる銀イオン水スプレー装置を、超音波発振装置に入れ、1分間の超音波照射(周波数40KHz)〜製造できた銀イオン水を別容器に移し替え〜スプレーノズル付きの容器に新たに水を充填する、というサイクルを繰り返し、各回毎の銀イオン濃度を測定した。この繰り返し実験の結果、30回目の銀イオン濃度は1回目と同様に60〜100ppbの高濃度を保持することができた。
たばこ吸い殻を水に入れて得られるたばこ水溶液を入れたスプレーから、ガラス容器内に約0.2cc噴霧した後、実施例14に記載の銀イオン水を入れたスプレーから約1cc噴霧した。銀イオン水を噴霧する前後において、モニター(神栄株式会社製「OMX−GR」)により数値計測した結果、1/100以下までたばこ臭気の減少することがわかり、銀イオン水による消臭効果が確認できた。たばこ水溶液に替えて酢酸水溶液でも同様の実験を行ったが、1/50まで臭気が減少した。
通常の水道水で洗浄したガラス製容器やステンレスをそのまま放置して乾燥させると、表面に白い水滴痕(ウォーターマーク)が現れる。一方、実施例13又は14で製造した銀イオン水を、洗浄後の水滴が付いた状態のガラス製容器やステンレスに噴霧したところ、乾燥後に水滴痕は認められなかった。この理由は明確でないが、銀イオン水生成用ペレットが水と接触して、銀イオン水中にラジカルが発生すると考えられる。このラジカルは光触媒によって生み出されるラジカルと同等であると考えられ、水が光触媒と接触して超親水性を示すのと同等の働きをする結果、ガラスやステンレス表面で水滴となりにくくなり、水滴痕が残らなくなったと考えられる。
Claims (11)
- (1)Ti及びZrの少なくとも1種、(2)Ag並びに(3)C及びBNの少なくとも1種、を含む混合原料を燃焼合成することにより得られる、Ag含有量が1〜50重量%である多孔質セラミックからなる銀イオン水生成用材料。
- 前記成分(1):成分(3)のモル比が1:0.2〜2である請求項1に記載の銀イオン水生成用材料。
- 前記混合原料が成形体である請求項1又は2に記載の銀イオン水生成用材料。
- 多孔質セラミックの気孔率が30〜70%である請求項3に記載の銀イオン水生成用材料。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の銀イオン水生成用材料と水とを混合することを特徴とする銀イオン水の製造方法。
- 銀イオン水生成用材料と水との混合に際して、少なくとも前記銀イオン水生成用材料に超音波を照射する請求項5に記載の製造方法。
- 銀イオン水生成用材料及び水が充填された容器の一部を溶媒中に浸漬し、前記溶媒を介して超音波を照射する、請求項6に記載の製造方法。
- 前記溶媒が、水槽を備えた超音波洗浄器の前記水槽中に充填されている、請求項7に記載の製造方法。
- 超音波の周波数が1〜200KHzである請求項6〜8のいずれかに記載の製造方法。
- スプレーノズル付きの容器中に、請求項1〜4のいずれかに記載の銀イオン水生成用材料及び水を充填してなる銀イオン水スプレー装置。
- 水中の銀イオン濃度が10〜200ppbである、請求項10に記載の銀イオン水スプレー装置。
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