以下、本発明の好適な実施の形態の一例について、図面を参照して具体的に説明する。
[第1の実施の形態]
(装置の全体構成)
本発明の特徴は、X線CT装置において収集される生データ(ローデータ)に対して必要な切り出し範囲を指定して、当該切り出し範囲にて切り出された生データを記録媒体に保存できるようにしたことにある。このような特徴的な構成の具体的な説明に先立って、医用画像診断装置の一例であるX線CT装置の全体の概略構成について、図1を参照して説明する。図1は、本実施の形態のX線CT装置の一例を示す概要図である。
本実施の形態のX線CT装置1は、図1に示すように、架台11及びコンソール21を備えている。架台11には空洞部11aが設けられ、該空洞部11aには寝台の天板上に載置された被検体Pが導入される。空洞部11a周囲には、X線管球12及びX線検出器13が互いに対向配置され、かつ両者が図中矢印Aに示すように被検体Pを中心に回転可能となっている。また、X線管球12は高電圧電源等を含むX線発生装置14と接続され、X線検出器13は、例えば二次元状に配列された光電変換素子を含む画素電極(不図示)を主として構成され、後述のデータ収集部22に接続される。
上記X線管球12より発せられるX線は、被検体Pに対し曝射され、該被検体Pを透過したX線がX線検出器13の前記画素電極により電気信号に変換されて、データ収集部22に送信される。データ収集部22は、データ収集制御信号に基づき、X線管球12の各回転毎に被検体の複数スライスの投影データを収集して出力する。
コンソール21は、上記データ収集部22から送出されたデジタル信号に対し、感度補正、X線強度補正等の適当なキャリブレーション処理を実施してこれを生の「投影データ」(生データ:ローデータ)とする前処理部23と、前記前処理部にて処理された生データを記憶する記憶装置24と、記憶装置24に記憶された投影データに基づき断層画像を再構成する再構成部25と、再構成部25にて再構成された画像データを記憶する記憶装置26と、再構成された画像データに基づき3次元画像等の種々のデータ処理を行うデータ処理部27と、前記架台11及び前記寝台・天板並びに後に詳述する外部記録装置40への生データ(ローデータ)などの送信動作等を制御する中央制御部28、装置使用者がこの中央制御部28にアクセスするための操作部31、再構成された被検体の断層像(アキシャル像)等を表示する画像表示部32、MO等の記録媒体に記録可能な外部記録装置40などを備えている。このうち操作部31としては、具体的には例えばマウスやキーボード、トラックボール等のポインティングデバイス等を採用し得、また、画像表示部32としては、例えばCRT等を採用し得る。なお、前記画像表示部32は、本発明にいう「表示手段」に該当する。
装置使用者は、操作部31を介して中央制御部28に指令を発し、該中央制御部28はこれを受けて、前記X線検出器13が検知したX線情報に基づき、断層像を再構成し、これを画像表示部32に表示する。画像表示部32に表示された複数の断層像のうちいずれかの連続する断層像を指定することにより、生の投影データを切り出すことが可能である。
より詳しく、上記のような構成を有するX線CT装置1において上記断層像を再構成するには、まず、X線管球12とX線検出器13とが、被検体Pの周囲を連続回転するとともに、寝台を所定速度でスライス方向に移動させ、被検体Pをスライス方向にヘリカルスキャンする。この際、上記X線管球12から発せられたX線を被検体Pに曝射し透過させると、この透過したX線は、当該被検体P内における臓器等の存在・不存在により、その透過する部位に応じて吸収の多寡が生じ、上記X線検出器13では、このような強度分布の存在するX線情報、つまり被検体P内部の情報を含むX線情報が検出・取得される。そして、X線管球12及びX線検出器13による被検体P周囲の回転により、上記スライス幅に関し、上記X線情報が多方向で取得され、これらがX線検出器13における画素電極において電気情報に変換された後、該電気情報がデータ収集部22に送信される。
ここに、スキャン開始位置からスキャン終了位置までの撮影領域において、被検体Pをヘリカルスキャンした様子を図4に示す。図4からもわかるように、スキャン開始位置からスキャン終了位置までの撮影領域において、X線管球12が1回転する毎に、例えば4スライス分の投影データが収集され、同様なデータ収集処理がN/M回転目まで繰り返し行なわれる。この場合、データ収集部22が、X線管球12の各回転毎に、被検体の複数スライスの投影データを4列のX線検出器13から収集する。
データ収集部22は、前記X線検出器13より上記電気信号を受け取る。なお、X線検出器13による検出動作は、1回転の間に、例えば1000回程度繰り返され、それにより4スライス×検出器チャンネル数分の膨大な2次元投影データが1秒(1回転)あたり1000回発生し、このような膨大でしかも高速に発生する2次元投影データを超高速処理できるよう図られている。
このデータ収集部22では、その電気信号たるX線情報が増幅器により増幅された後、A/D変換器によりデジタル信号に変換される。
また、データ収集部22においては、被検体Pに関する「付帯情報の一部」が、前記電気情報とともに受信される。ここで「付帯情報」とは、当該電気情報の元となるX線情報がX線検出器13で検知された時点におけるスキャン時間に関するデータ(時間情報)、並びに当該被検体Pを載置する寝台ないし天板の移動ないし位置に関するデータ(寝台位置情報)等である。
さて、上記データ収集部22において受信された電気情報は次に、前処理部23に送信され、ここで感度補正、X線強度補正等の適当なキャリブレーション処理を受けて生の「投影データ」(以下、必要に応じて生データないしローデータと称する場合もある)となる。そして、この投影データは、それに付随する前記付帯情報とともに、記憶装置24に逐次記憶されていく。
その際、記憶される投影データに対しては、当該投影データの元となるX線情報がX線検出器13で収集された時点における、上記付帯情報が付随している。したがって、前記記憶装置24においては、投影データとともに、それに対応する付帯情報が記憶される。
後は、当初に予定した取得予定の投影データすべてを収集すればデータ収集処理を終了し、収集されていなければX線管球12及びX線検出器13によるデータ収集をさらに続行する。
そして、スキャン開始からスキャン終了までの撮影領域内でX線管球12の各回転毎に収集され、前処理部23で感度補正やX線強度補正等を受けた被検体の複数スライスの各2次元投影データは、記憶装置24に一旦記憶され、その後、この2次元投影データは再構成部25に送られる。
再構成部25は、上記記憶装置24より投影データを受け取り、この投影データに基づき、例えばファンビーム再構成やFeldkamp法と呼ばれる方法に代表される3次元画像再構成アルゴリズムにより、該データに基づく被検体Pに関する再構成が行われる。この再構成は、スライス方向に広い対象領域(ボリューム)内におけるX線吸収係数の3次元的分布データ(以下「ボリュームデータ(複数のスライス画像が立体的(3次元的)に集合したもの)」という。)としてまとめられる。このボリュームデータは、典型的には、マルチスライスの断層画像データの集まりとして再構成される。
詳しくは、再構成部25は、記憶装置24に記憶された投影データの中から、例えばX線管球12が1回転目で検出器列が1列目の投影データを抽出して、その投影データに基づき1回転目で検出器列が1列目の断層画像を再構成し、同様に、X線管球12がN/M回転目で検出器列がM列目の投影データを抽出して、その投影データに基づきN/M回転目で検出器列がM列目の断層画像を再構成する。そして、再構成された画像データ(断層像)は、記憶装置26に格納され、画像表示部32において、上記再構成された断層像が表示される。
なお、投影データから断層像を再構成する際には、例えば、複数の上記スライス位置の各別に該当する断層像を、当該スライス位置の各別に関する投影データに基づき再構成することができるし、また、複数の(あるいは、隣接する)スライス位置を「1つ」の投影データとして扱い、当該投影データに基づいた断層像の再構成を行うこともできる。なお、記憶装置24、26は、このように再構成された断層像に関するデータ(画像データ)や、上記投影データ等を、場合に応じて記憶する。その具体的構成としては、例えば周知のハードディスク等を採用すればよい。
また、これら各部の作用により、動力源の作用によって変化する寝台ないし天板の位置に関する情報(撮影位置情報)は、上記X線データ収集と同時に、収集されている。そして、例えば再構成部25にて再構成された画像に関する管理情報の中には、この時収集された撮影位置情報が含まれている。つまり、画像表示部32において表示される画像、あるいは記憶装置24、26において記憶される画像データには、それに固有の撮影位置情報が、その属性情報として必ず付されている。
再構成されたボリュームデータは、直接、あるいは記憶装置26に一旦記憶された後、データ処理部27に送られて、装置使用者の指示に基づき、既に広く用いられている、任意断面の断層像、任意方向からの投影像、レンダリング処理による特定臓器の3次元表面画像等のいわゆる疑似3次元画像データに変換されて、画像表示部32に表示される。
装置使用者は、検査・診断の目的に応じて、上記任意断面の断層像、任意方向からの投影像及び3次元表面画像等の中から任意の表示形態を選択し、設定することが可能である。この場合つまり、一つのボリュームデータから、異なる形態での画像を生成し、表示することになる。また、表示の際には、1種類の画像だけでなく、複数種類の画像を同時に表示するモードも備え、目的に応じて一つの画像を表示するモードとの切り替えが可能であるようになっている。
ちなみに、上記にいう「任意断面の断層像」とは、従来のX線CT装置で得られる体軸に直交した断面(アキシャル断面)AXだけではなく、サジタル断面SA、コロナル断面COといった、アキシャル断面AXに直交する断面、さらには、これらの断面AX、SA及びCOに対して傾いたオブリーク断面OBについての断層像のこと等をいう。これらは、上記ボリュームデータから、指定された断面について、やはり指定された厚さの断面画像データを抽出し、束ねて表示する。
また、「任意方向からの投影像」とは、ボリュームデータに対して、当該任意方向として設定された方向に並んだ断面画像データについて、例えば、最大値をピックアップし、また該並んだ断面画像データの積算値をとる等して、これを2次元画像として表示するものである。さらに、「3次元表面画像」とは、例えば、設定されたしきい値による表面を抽出し、設定された光源による陰影により、表面を3次元的に表示する方法等である。この場合、しきい値を変化させながら観察することで、内部の構造も把握できる。このようなX線CT装置では、一つのボリュームデータを通じて各種の画像を取得することができる。
なお、1回転のスキャンによれば、上記データ処理を行うことにより、既に述べたように、1回転だけで得られた多方向からの2次元投影データから、スライス方向について一つのボリュームデータを求めることができる。そして、アキシャル断面AX以外でも、ある時刻(同一時刻)における断層像を観察することが可能となる。この場合の表示画像の形態は、上述したように、任意断面の断層像、任意方向の投影像及び三次元表面画像等から選択・設定することが可能である。
また、連続回転スキャンによれば、複数回転で得られた多方向からの2次元投影データに対して、1回転の場合と同様の処理を繰り返して行う場合には、得られるボリュームデータが一つではなく複数となる。1回転毎に再構成する場合でも回転数と同じ数のセットが得られるし、再構成に使用するデータの範囲(システムの回転角度の範囲)を少しずつズラしていくことにより、時間的に少しずつ異なる、より多くのボリュームデータが得られる。この連続回転スキャンの場合における表示画像の形態については、1回転の場合と同様、装置使用者の設定に応じて、任意断面の断層像、任意方向からの投影像、3次元表面画像等の中から選択可能である。
ここで、本実施形態におけるX線CT装置1においては、上記断層像再構成及びその表示に関し、次のような構成ないし機能を備えている。
上記したX線管球12及びX線検出器13は、図示しないスリップリングを介して電気的に接続されており、これにより、X線管球12とX線検出器13とは、被検体Pの周囲を連続回転しながら、1枚の断層像の再構成に要す被検体Pに関する多方向のX線情報を、連続的に収集することができる(以下、このようなX線CT装置1の運転ないし運用に係る態様を、「透視モード」という)。
このような「透視モード」によるX線CT装置1の運用によれば、例えば同一スライス位置ないしスライス幅における上記投影データを連続的に取得し、その断層像を画像表示部32において連続的に表示することが可能となる。そして、この断層像の連続的表示によれば、例えば被検体Pに投与した造影剤の流入あるいは流出による断層像の変化を時々刻々追跡すること等が可能となる。なお、このような手法は、例えば「ダイナミックスキャン」とも呼称される。
また、別の例としては、X線管球12及びX線検出器13の上記連続回転に同期させて、天板を移動することで、被検体Pに関するスライス位置を螺旋状に変更しつつ上記投影データを取得して、被検体Pの(体軸方向に関する)広範囲に亘った断層像を得ることも可能である。なお、このような手法は、例えば「ヘリカルスキャン」とも呼称される。
さらに、本実施形態におけるX線CT装置1においては、上記X線管球12及びX線検出器13が被検体P周囲を一回転するのみで、上記スライス位置を複数規定し得る機能を備えている(マルチスライス機能)。これは、X線管球12から発するX線の、被検体Pに対する「スライス幅」を所定の間隔を有するように規定し、これを二次元的に配列された前記画素電極を有するX線検出器13により検出することによって実現される。ちなみに、上記スライス幅を所定の間隔とするためには、例えばX線管球12に対し、図示しないコリメータを設けることで実現できる。
これによれば、ある特定の時間における、被検体Pの複数箇所に関する断層像を、一挙に取得することが可能となる。そしてまた、本実施形態においては、このように得られた複数の断層像を、画像表示部32において並列的に表示(マルチフレーム表示)することが可能である。つまり、画像表示部32を、上記取得される断層像の数に対応するよう所定のフレームに分割し、これら各フレームについて、上記複数の断層像の一々を表示し得る。このようにすることで、画像表示部32上において、ある特定の時間における複数の断層像を一時に確認することができる。
さらに、本実施形態においては、上記したX線管球12及びX線検出器13の連続回転を行いつつ(「透視モード」運転を行いつつ)、いま述べたマルチスライス処理による断層像再構成及びその表示を実施することも可能である。この場合においては例えば、ある所定のスライス幅に関し、上記「ダイナミックスキャン」による断層像再構成を行えば、画像表示部32上における複数の断層像の各々が、「シネ映像」的に変化しながら表示されることになる。
以上のように「投影データ」が取得・記憶されつつある状況において、上述した「透視モード」における刻々変化する断層像の再構成及びその表示は、例えば次のように行われる。すなわち、上記X線管球12及びX線検出器13の連続回転中、記憶装置24において逐次記憶されていく投影データに関し、少なくとも1枚の断層像を再構成するに必要な投影データが当該記憶装置24に順次蓄積される毎に、これを再構成部25へと送出する(あるいは、記憶装置24から読み出す)。これにより、X線検出器13によりX線情報が取得されてから一定時間の経過の後に、被検体Pに関するリアルタイムな断層像の再構成及びその表示(確認)を行うことができる。
一方、外部記録装置40は、上記X線CT装置1の記憶装置24に記憶された生データ(投影データ)の生データファイルであって、中央制御部28からインターフェイスを介し送られてくる生データに基づき、その内容を記録するものである。この場合において、MOに対する記録とは、よく知られているように、例えば予め磁化されている記録膜の円盤表面上に、上記生データを構成するデジタル値配列に基づくビット配列を形成することに該当する。
当該MOに生データが記録されるに際し、如何なる被検体P(誰)に関するものであるかを認識可能とするため、あるいは他の生データと識別可能とするために、当該被検体Pの名前等の情報(識別情報)を記録する。そして、本実施形態においては、識別情報は、上記記憶装置24等から送られてくる生データの中から、自動的に抽出される。
(本実施の形態の特徴的構成)
ここで、本実施の形態の特徴、すなわち、生データ(ローデータ)に対して切り出し範囲を指定して切り出す場合の概要並びに具体的構成について図2〜図3を用いて説明する。図2は、本実施の形態の概要を説明した説明図である。
本実施の形態例では、図2に示すように、X線CT装置において取得された生データ24aのうち、所定の必要な部分のみを切り出し範囲として選択指定し、当該指定された切り出し範囲にて前記生データ24aに対して切り出し処理を行い、切り出された切り出し後の生データ24cを、MO等の所定の記録媒体に保存できるようにするものである。
そして、生データ24aの切り出し範囲を指定する際には、生データ24aを再構成して得られた画像データ24gを利用して切り出し範囲を指定することに特徴を有する。この際、画像データ24gにおいて所定の切り出し範囲を指定する場合の画像表示部32に表示される「切り出し範囲指定用の」UI(ユーザーインターフェース)33cとして、複数の各画像データをサムネイル形式に一覧表示して、所定の切り出し範囲の画像データをドラッグアンドドロップ等により選択するものである。
このために、画像データ24gの切り出し範囲の指定により、生データ24aから切り出し後の生データ24cを生成する際に、スキャン時間や寝台位置情報を正しく算出するために、画像データの付帯情報(スライス番号)に対応する生データの付帯情報(寝台位置)との関係を定義した生データ―画像データ対応情報24fに基づいて、切り出し範囲の画像データに対応する生データの寝台位置情報を算出し、この寝台位置情報等の付帯情報の演算結果を、切り出し後の生データ24cの付帯情報として書き込むこととなる。
このようにして、切り出し後の生データ24cを形成することにより、必要な部分のみの生データを保存することが可能となる。
次に、上記のような機能を達成するための具体的な構成について、図3を参照しつつ説明する。
記憶装置24には、データ収集部22にて取得された生データ24a、当該取得された生データに関する付帯情報24b、切り出しにより切り出された生データ24c、当該切り出された生データに対応して修正された付帯情報24d、指定された切り出し範囲に関する切り出し範囲指定情報24e、あるスライス番号に対応する生データとこの生データに基づいて再構成された画像データとの対応関係を定義した生データー画像データ対応情報24fなどを含んで構成されている。
生データ24a、24cのファイル形式は、所定の規格に基づくフォーマットにより、保存形式が定義されている。
付帯情報24b、24dは、生データ24a、24cに付随する情報であり、専用のファイルにて構成される。
付帯情報24b(条件情報)としては、例えば、スキャン条件、すなわち、(スキャン開始時間並びにスキャン終了時間などの)時間情報、寝台位置情報、X線管及びX線検出器の回転スピード(0.5秒なのか0.8秒なのか)、収集した時のスライス厚、X線の条件等が挙げられる。
なお、寝台位置情報とは、X線管球12及びX線検出器13が連続回転している最中に寝台が移動する際の寝台位置である。この寝台位置情報は、通常は生データ自体が所有しているので、切り出し後に当該寝台位置を再計算することを要しない。なお、再構成する際の補間計算等を行う場合にも寝台位置情報は利用される。
また、付帯情報24bと生データ24aは、後述するデータ構造に示すように、一体的に形成されるものであるが、説明の都合上、便宜的に分けて表記してある。つまり、装置使用者側では、生データと付帯情報とは分かれて見えないが、内部構造では生データと付帯情報とは分離して保存される。そして、記録媒体Mのある一領域には生データが、他の領域には付帯情報が保存される。装置使用者(例えば技師)が、生データを保存すると指定すると、生データ及び付帯情報は一緒に記憶装置に保存される。
ここに、生データ24a及び付帯情報24bのデータ構造は、例えば、図5に示すように、一連の生データD1〜DNがあった場合に、生データの最初D1には、付帯情報D11としてスキャン時間情報(スキャン開始時刻)、寝台の位置に関する情報(寝台位置情報)が入っており、生データの最後DNには、付帯情報D1Nとしてスキャン終了時刻のスキャン時間情報、寝台位置情報などが入っている。
例えば、13時01分30秒がスキャン開始時刻とすると、付帯情報D11には、13時01分30秒なる時間情報が格納され、後は、例えば1回転毎にデータが入り、2回転を例えば0.5秒で行うとすると、2回転目の所の付帯情報D1Mには、13時01分31秒なる時間情報が格納されることとなる。
ここで、仮に画像データにて指定された切り出し範囲に対応する生データの対応部分の範囲がDk〜Diであるとすると、Dk〜Diの一群のデータが生データ24cとして形成され、切り出しと同時に、付帯情報Dk1〜Di1が付帯情報24dとして形成される。
このように本実施の形態のデータ構造では、スキャン開始時刻とスキャン終了時刻に基づくデータにて、チャンネル数分のデータが、対応する時間(スキャン時間)に応じて割り当てられる構成となっている。すなわち、本実施の形態のX線CT装置の生データのデータ構造においては、エクストラデータと称されるデータD11〜DN1が先頭に付いており、当該箇所に寝台位置情報が格納されているので、切り出した部分の先頭部分のデータを読込むことにより、寝台位置の情報を得ることができる。
なお、回転数の単位によりデータ収集を行うため、途中から切り出した必要な画像が、例えば10.3回転分であったとしても、保存する際には、11回転分として処理される。
図3に説明を戻し、中央制御部28は、取得された生データの中から特定の範囲に選択された生データの切り出し処理を行う生データ切り出し処理手段28a、取得された生データに対応する付帯情報24bに対して所定の演算処理を施して切り出された生データに対応する付帯情報24dとする処理を行う付帯情報演算手段28b、切り出された生データ及び修正された(演算された)付帯情報を下に生データファイルなるファイルを生成するファイル生成手段28c、生成されたファイルを所定の外部記録装置40に向けて転送する処理を行う転送処理手段28d、転送されたファイルを外部記録装置40の記録媒体Mに書込むように指示する処理を行う書込処理手段28c、を含んで構成される。
また、取得された生データが例えば複数の各被検体に対して各々あるような場合に、特定の一又は複数の生データのファイルを選択するための生データファイル選択手段33aと、特定の生データに対して、所定の部分(領域)の切り出し範囲を指定するための切り出し範囲指定手段33bと、を形成している。なお、この生データファイル選択手段33a、切り出し範囲指定手段33b等は所定のUIを用いて画像表示部33などに表示形成することが好ましい。
なお、本実施の形態の切り出し範囲指定手段33bにより、本発明にいう「範囲指定手段」を構成でき、また、生データ切り出し処理手段28a、ファイル生成手段28cなどにより、本発明にいう「抽出手段」を構成でき、さらに、転送処理手段28d、書込処理手段28eなどにより、本発明にいう「保存手段」を構成できる。またさらに、付帯情報演算手段28bは、本発明にいう「演算手段」に該当する。
この際、範囲指定手段は、収集された全生データ(ローデータ)のうち必要な切り出し範囲の指定を行い、抽出手段は、指定された切り出し範囲の生データを、収集された前記全生データから切り出して抽出し、保存手段は、切り出し後の生データを、記録媒体に書き込み処理を行い保存する。また、演算手段は、被検体をスキャンする際の条件を規定する全生データに対応する条件情報(例えば付帯情報)を、切り出された生データの切り出し範囲に応じた条件情報に変更するための演算を行う。
ここで、画像表示部33に表示される断層像を構成する画像ファイルは、図6(A)に示すように、ファイルのヘッダ部に記述される付帯情報ATと、画像ファイルの本体部分に記述される画像データとから構成され、付帯情報ATとしては、例えば、スライス番号、スライス厚等の情報が書き込まれている。
なお、生データにより再構成された画像データに関しては、記憶装置24に、図示していないが、付帯情報ATとともに、選択された断層像の検査番号、現在表示されている断層像のスライス番号、選択された断層像を含む検査の画像枚数を記憶する。
中央制御部28は、選択された断層像(画像データ)の検査番号、現在表示されている断層像のスライス番号に基づいて、記憶装置24に存在する断層像のヘッダ部の付帯情報ATを読み、前記検査番号、前記スライス番号に対応する断層像を画像表示部32に表示する。また、記憶装置24に存在する断層像(画像データ)のヘッダ部を読み、選択された検査の画像枚数を求め、患者名、検査番号、断層像の画像枚数、検査日を画像表示部32に表示する。
中央制御部28は、選択された断層像のスライス厚、選択された検査の画像枚数、断層像の最大のスライス番号、選択された断層像の検査番号、現在表示されている断層像のスライス番号等を記憶する。さらに、選択された検査の画像枚数、スライス厚を記憶装置24に出力する。
上述のような生データの切り出しを行うための制御系において、予め、記憶装置24には、取得された被検体の生データ24a、あるいは、各被検体に応じた各生データが格納されていることから、先ず、生データが各被検体に応じて複数ある場合には、装置使用者は、生データファイル選択手段33aを用いて、これらの各生データの中から切り出しを所望するいずれかの生データを、UI上で選択する。選択された生データは、所定のバッファに格納される。
次に、切り出し範囲指定手段33bにより、生データに対して切り出したいと所望する部分の切り出し範囲(例えば11枚目から70枚目)を画像データ表示手段33cに表示された断層像(画像データ)を参照しつつ指定すると、切り出し範囲指定情報24eとして前記記録装置24の所定の領域に保持される。すると、生データ切り出し処理手段28aは、前記切り出し範囲指定情報24eに基づき、取得された生データ24aに対して指定された最初の部分から指定された最後の部分までの生データ部分を抽出して、切り出された生データ24cを形成する。一方、付帯情報演算手段28bは、切り出された生データ24cに対応するように、スキャン時間等の付帯情報24bを修正する演算を行い、付帯情報24dを形成する。
ここで、生データ24aを切り出して保存する場合には、切り出し位置に応じて当該切り出された生データに対応する付帯情報として、スキャン時間や寝台位置情報に関しては変更処理がなされ、それ以外の各種の情報に関しては、変更処理がなされない。
このようにして、切り出された生データ24c、修正された付帯情報24dが生成されて記憶装置24の所定の領域に格納されることとなる。
そして、これら生データ24c並びに付帯情報24dによってファイル生成手段28cは生データファイルを生成する。生成された生データファイルは、転送処理手段28dにより記憶装置24から外部記録装置40(図1)に転送処理され、書込処理手段28eによって外部記録装置50にて書込を行うよう指示する。
このように、生データを保存する際には、通常は再構成処理が終了しているので、切り出しを行う際に、再構成された画像データ(断層像)を参照しながら、ある範囲の指定を行うと、その部分だけ選択的に切り出して保存される。なお、切り出した部分に応じて、スキャン時間と寝台位置情報等の付帯情報を、変更する処理を行う。
ここに、生データをMO等の記録媒体Mに保存指定する前には、生データ24aは最初は垂れ流しで入ってきて、内部ディスクである記憶装置24に記憶される。すなわち、生データ24aは、前処理が終わった後、一旦記憶装置24(ディスク)に保存されて、当該記憶装置24から読み出してきて、再構成処理を施し、再構成した画像を記憶装置26(ディスク)に格納する。
なお、再構成した画像データと生データとは、同じディスクの別々の格納領域に保存しても、あるいは、各々別々のディスクに保存しても構わない。
そして、再構成済みの一連の画像データを用いて切り出す範囲を指定する。例えば、生データを再構成して画像を作る場合に、100枚再構成してある場合を想定すると、この画像を見て11枚から70枚まで保存する、というように指定すると、この生データの中で、11枚目から70枚目まで画像を再構成するのに必要な部分だけを抽出して、ワークステーションから保存する。
この場合、100枚の画像データがあり、11枚目から70枚目までに患部を含んだデータであり、1〜10枚目及び71〜100枚目までのデータを必要としない場合は、この11枚目から70枚目までの再構成に必要なデータの容量は、約60%に低減される。もちろん、生データに付属されている付帯情報(収集条件)の内、寝台位置情報やスキャン時間の情報は、切り出し範囲に応じて書き換えられる。
すなわち、切り出しを行った場合には、スキャン時間の始まりの時間と終わりの時間を書き換える必要がある。例えば、11枚から70枚だと、スライス方向中央部の領域のみであるので、当該領域に対応したスキャン時間(スキャン開始時刻、スキャン終了時刻)を変更する処理を行う。このような、自動的に付帯情報の更新に必要な計算が行われ、付帯情報を書き換える。
このように、本実施の形態では、保存するに際し、指定された切り出し部分の生データのみが保存される。その際に、寝台位置情報やスキャン時間などの付帯情報は、外部記録装置40の他の領域に前記生データとともに保存される。
これにより、保存時間は短時間で済み、メディアの使用数も減る。このため、生データを保存する機会が増えたマルチスライスX線CT装置では、特に有用である。
(表示画面について)
次に、生データを切り出す場合の切り出し範囲の指定手法について説明する。例えば、1回の検査を終了した後に、「生データ保存」なるメニュー画面が生成され、当該メニュー画面において、各生データファイルを表示したディレクトリリストが表示される。そして、生データのファイルを指定すると、当該生データの保存処理がなされる。
その際、生データのファイルを指定した段階で、「画像を使って切り出します」等のメッセージとともに、例えば図8に示すような切り出し指定用の指定画面120が表示される。
この指定画面120においては、例えば、サムネイル形式で当該データの画像File1〜Filenが表示される。そして、サムネイル形式で表示された各画像の選択を行うためのセレクターが表示され、整列配置されている各データの切り出し先頭位置に対応する画像と、切り出し最終位置に対応する画像とを各々指定すると、生データの切り出し範囲の指定を行うことができる。このようにして、範囲を指定した後に保存操作を行うことにより、所望の切り出し範囲の再構成に必要な生データを保存することができる。
なお、表示画面の表示態様の例としては、上述のようなサムネイル形式のものに限らず、例えば、図7に示すような、ディレクトリのファイルビュー形式で表示する場合であってもよい。
この場合には、例えば、表示画面120において、ディレクトリ形式で各被検者毎のフォルダないしはそれに類するディレクトリツリー101が一覧表示され、例えばある一の生データのフォルダに対して複数の各画像データ102がファイル形式で表示される。
そして、装置使用者は、複数の当該画像データの画像ファイルのうち、ある一の箇所の画像ファイルから他の一の箇所までの画像ファイルまでの範囲を指定することによって、切り出し範囲の指定を行うことができる。
ここに、画像データのファイルには各々ファイル名が割り当てあれており、これらが一覧形式で表示されているものとする。
なお、例えば4列のマルチスライスX線CT装置では、1枚のMOに対して、約4検査分程度の各生データが書き込み可能となるような生データの容量である。このため、MOの容量よりも収集した生データの容量の方が多い場合であって、選択して切り出された生データの量がなおMOの容量よりも多ければ、途中までしか保存することができない。その場合には、例えば、「保存できません」等の表示が表示される。
また、この種のヘリカルスキャンの可能なX線CT装置においては、当該スライスの画像を再構成するために、前後のデータを補間用のデクニックとして使用するのが一般的である。
つまり、ヘリカルスキャンにて収集された生データのうち、選択した部分だけを切り出す場合には、実際に選択した部分のみを切り出すのではなく、補間に必要なデータ部分までもが自動選択され、前後のデータを含めて再構成可能な状態で保存される。
このようにして、1つのファイルから構成される生データから必要な範囲を部分的に切り出して取得することが可能となる。
(処理手順について)
次に、上述のような構成を有するX線CT装置において、生データを切り出し保存する場合の処理手順について、図9〜図10を参照しつつ説明する。
先ず、「生データの切り出し」に関する処理が行われる前提として、生データの取得が行われ、記憶装置24に生データが付帯情報ともに記録され、再構成も終了し、再構成後の画像データも付帯情報とともに記憶装置26あるいは24に記録されているものとする。
また、この際、画像データとしては、例えば単なる1枚の断層像等、種々のもの(画像種別)を想定し得る。また、この画像データは、複数の被検体P各々に関する1枚1枚の画像、あるいは一の被検体Pに関し複数枚取得された画像等として、一般に複数存在し、かつ、これら複数の画像データの各々には、これらを識別するためのファイル名等が付されているものとする。
このような前提の下、X線CT装置において、予め適当にプログラムされた「データ記録モード」に移行し、各種のデータの中から、外部記録装置40内の記録媒体への記録を行おうとするものの選択を実施する(ステップ、以下「S」101)。つまり、例えば、生データの保存である場合には、「生データ(の保存)」を選択し、(再構成後の)画像データの保存である場合には「画像データ(の保存)」を選択すればよい。
なお、以下に述べる「生データの切り出し保存」機能の呼び出しは、このようなやり方に限らず、他の様々な画面展開の階層から呼び出すように構成してよいことは勿論である。例えば、メニュー画面における「生データ」アイコンをクリックしたり、或いは、「患者ディレクトリ」から生データ専用のリストを表示した場合において呼び出すようにしてもよい。
また、X線CT装置として構成されている画像表示部32上に例えば「SAVE」(あるいは生データの保存を趣旨とする何らかの操作部)ボタンを表示し、該ボタンをマウス等の操作部31でクリックすること(データ記録モードへの移行)、及びこれに伴い表示される複数の生データファイルのリスト(=複数の生データ)の一を、やはりクリックすること(生データファイルの選択)等によってもよい(いずれも不図示)。例えば、上記「SAVE」ボタンを押下することにより、「生データ切り出し設定画面」なる画面が呼び出される。ここに、「SAVE」ボタンを押下するとは、すなわち「生データを記録する」ことと同義であるから、S102において生データを「記録する」場合には、前記設定画面が呼び出されることとなる。
次に、前記設定画面において、外部記録装置(MO)に記録する生データの切り出し範囲の指定(切り出し範囲:スライス番号1〜NのうちN=k〜i)を行うこととなる(S103)。ここで、設定画面の例としては、例えば図7や図8に示すユーザーインターフェースを構成するとよい。つまり、先の「表示画面」の説明で述べたように、図8の例では、スライス番号順にサムネイル形式で表示された各断層像の中から、装置使用者が所望する断層像をドラッグ&ドロップによって選択することで、切り出し範囲を設定する。あるいは、図7の例では、スライス番号順に降順にリストされた各画像ファイルの中から所望の範囲を選択する。
このようにして、切り出し範囲の選択設定を行う。なお、1回のスキャンに関する生データについて、切り出し範囲を複数箇所設定することもできる。また、切り出し範囲を設定する際に、切り出した生データに基づいて再構成が可能な最低限の範囲以下を選択した場合には、例えば、「再構成できません。切り出し範囲を設定しなおして下さい」等のメッセージを表示するとよい。
なお、このS103あるいはその前後において、該選択された生データをどのような態様あるいは外部記録装置として複数の記録媒体(ディスクA、ディスクB等)を記録可能である場合にはどのディスクに保存するか等を順次設定する項目を設けてもよい。
以上、これらの設定は、X線CT装置における画像表示部32上の表示画面を通じて行われる。
次いで、指定された各生データの各切り出し範囲に関する情報を記憶装置24の所定の格納領域に、切り出し範囲指定情報として保持する(S104)。そして、指定されたスライス番号k〜iに基づき、X線CT装置より取得して所定の領域に格納された生データの中から対応する生データを抽出し、他の所定の領域に格納する(S105)。同時に、抽出した生データの付帯情報(スキャン時間等)演算処理をも行う(S106)。
次に、指定に係る生データ、付帯情報に関するファイルを生成する(S105)。この際、切り出された生データでは、切り出される前の生データに比して、その付帯情報(スキャン時間、寝台位置情報等)も自ずと異なることから、切り出し前の生データに対応する付帯情報を、前記S106演算処理にて演算された付帯情報に、書き換えることで新たな付帯情報ファイルが作成されることとなる。
さらに、指定に係る生データ、付帯情報(ファイル)を外部記録装置に送信する処理を行う(S106)。
ここで、図6(A)においては、当該画像ファイル(画像データファイル)の構成を、図5においては、当該生データの構成の一例を示す。図6(A)において、画像ファイルは、上記した画像データDTと付帯情報ATとから構成されている。ここに、付帯情報ATとは、例えば上記ファイル名等が該当し、図においてはそれが先頭に付されていることが示されている。また、この付帯情報ATとしては、被検体Pの名前に関する情報をも含ませることが可能である。さらにこの他、上述したような画像データの識別可能性を確保し得る情報であれば、基本的にどのようなものであっても、付帯情報ATとして書き込むことが可能である。要するに、図6に示す付帯情報ATとは、前記識別情報となり得る情報の集合体とみなし得る。
一方、図5に示す生データに付随する付帯情報は、スキャン時間情報や寝台位置情報等であり、切り出し後の生データに対しては、生データファイルとともに付帯情報ファイルなる専用のファイルを生成してよい。
なおここで、装置使用者は、上記被検体Pの名前等を操作部31によって入力し、外部記録装置40(MO)に記録すべき当該被検体Pに係る生データファイルの指定を行ってもよい。この指定は、一時に、複数の被検体P、あるいは複数の生データファイルについて行ってよい。そして、このような場合においては、指定された生データファイルに関するMO発行が完了するまで、当該生データファイルを特定するための情報(例えば、上記被検体Pの名前)が、例えば記憶装置24等において一時記憶されることになる。
そして、上記指定により、X線CT装置の中央制御部28からは、前記記憶装置24に記憶された該当する生データファイルが読み出されるとともに、当該生データファイル(当該ファイル中に存在するデータを含む。)が、外部記録装置40に送信される。
この後、外部記録装置40では、MOの記録面に対し、上記送信されてきた生データファイルに基づき、その内容を記録する。なお、このMOへの生データファイルの記録は、複数の被検体Pに係る生データファイルが指定された場合には、ステップSS1にあるように、まず、その最初に指定された被検体Pに係る生データファイル(ステップSS1中、n=1)について行われる。また、記録媒体MであるMOがセットされ、書き込み処理が可能かをチェックする(S109)。
なお、記録媒体M上には、例えば図6(B)のファイルリストFLに観念的に示すような記録、すなわち(一般に複数の)生データファイルと、一つの管理情報ファイルとから構成されるような記録が行われることが好ましい。ここに「管理情報ファイル」とは、生データファイル中の上記した付帯情報から、所定の基準で抽出された管理データにより構成される。
また、ある1人の被検体Pに関し複数の生データファイルが存在する場合には、図6(B)に示すように、そのような複数の生データファイル01、02、…が記録されるとともに、前記管理情報ファイルは当該複数の生データファイル01、02、…の各々に関する上記管理データから構成されるものとなる。なお、複数の生データファイルの記録中、MOの記憶容量の制約によって、記録され得ない生データファイル03が存在することとなる場合があるが、この場合には、例えば、エラーを通知して他のMOへの交換を指示する旨の表示を行えばよい。
なお、識別情報は、外部記録装置40においてMOに記録された生データファイルにおける付帯情報の中から、中央制御部28が、自動的に抽出ないし取捨選択する。
次に、ステップS111にあるように、1枚のMOについての記憶容量が未だ存在するか否かが判断されるとともに、当該記憶容量にまだ余裕がある場合には、ステップS112及びS113にあるように、n番目に指定された被検体Pに係る生データファイルについての記録が完了したか否か、また、指定されたすべての生データファイルに関する記録が完了したか否かが判断される。そして、これらの場合において、未だ記録されていない生データファイルが存在する場合には、上記で余裕があると判断されたMOの残りの領域に、当該生データファイルの記録を続行することになる。
一方、指定された生データファイルの記録が完了した場合には、当該MOに記録される生データに対応する被検体名等、その他の項目を管理ファイルに登録する処理を行う(S114)。
続いて、ステップS115にあるように、n番目に指定された被検体Pに係る生データファイルすべてについてのMOへの記録作業が完了したか否か、すなわちn番目に指定された被検体Pに係る生データファイルが複数あるような場合において、MOへの記録が未だなされていない生データファイルが存在するか否かが確認される。
ここで、そのような生データファイルが存在すると判断される場合とは、同一の(=n番目の)被検体Pに関する生データファイルでありながら、MOの記憶容量による制約によって未だ記録がなされていない「生データファイル03」が存在するような場合が該当する。なお、このようなことが実質的に判明するのは、ステップS115において、当該生データファイル03をその前の生データファイル02に続いてMOに対して記録していく際に、もはやMOの記憶容量が存在しないこととなったとき、ということになる。
ちなみに、このような場合が生じるのは、例えば既に記録された生データファイル01及び02が、スライス厚が薄く、その生データの量が膨大である場合等が該当する。
そして、このような場合には、再びステップS110の処理に戻る。つまり、同じ被検体Pに関する未記録の生データファイル03の記録を、別の新たなMOに対し続けて行うことになる。
なお、このような場合、すなわち同一被検体Pの生データファイルに関し複数のMOが発行される場合には、それらMOの各々にシリアル番号を付す等の適切な処理を行ってよいことは勿論である。
一方、n番目の指定に係る生データファイルのMOへの記録作業が完了した場合には、次に、ステップS116にあるように、別に指定された(n+1番目以降の被検体Pに関する)生データファイルが存在するか否かが確認される。ステップS116において、複数の被検体Pについての指定がなされている場合であって、それらすべてに関するMOへの記録作業が完了していない場合には、再びステップS110の処理へと戻る。ただし、このとき、ステップSS2にあるように、指定された被検体Pを表象する番号nを1増加させる処理を行う。
また、ステップS116において、指定されたすべての生データファイルに関するMOへの記録作業が完了したと判断される場合には、全処理を完了することになる。
以上までの作業により、指定された生データファイルに関する外部記録装置40(MO)への記録作業は完了することになる。
また、上記のような処理のほか、被検体Pないしは生データファイルの指定があった時点で、当該指定に係る生データファイルを記録するためには何枚のMOが必要であるか、また、生データファイルは複数枚のMOに対しどのように割り振られて記録されることとなるか、についての「記録予定テーブル」を、例えば画像表示部32によって装置使用者に提示するような構成としてもよい。さらに、このような記録予定テーブルの提示に対し、生データファイルを複数枚のMOにどのように割り振って記録するかを、装置使用者が積極的に指定することが可能な構成としてもよい。
いずれにしても、上記MOその他の記録媒体を用いた形態にあっても、当該記録媒体への切り出した生データファイルの記憶作業は自動的に実施されることに変わりはなく、上記と同様な効果を享受し得る。
以上のように本実施の形態によれば、生データを選択的に保存できるために、生データの保存すべき容量を減らすことができ、保存時間は短くなる。また、必要となる記録媒体などのメディアの使用枚数も低減でき、コストダウンを図ることができる。
特に、生データを保存する機会が増えたマルチスライスX線CT装置では有用であり、例えばスクリーニング目的で広い範囲をスキャンしたが、特定部位のみに異常があった場合の生データの保存には、非常に有効である。
また、記憶装置(ディスク)から外部記録装置(MO)に保存している時間は再構成できないようなX線CT装置では、検査が全て終了した後に必要な画像データ、必要な生データを一度に保存する必要があった。例えば4列のマルチスライスでは、30秒位のデータをMOに保存しようとすると書込処理に30分以上の時間を要する。このため、書込処理を続けると、装置使用者は、30分間他の作業ができなくなる。
これに対し本実施の形態では、生データを切り出してコンパクトに保存できるので、保存に要する時間もほぼ15分位程度と短い。加えて、切り出された生データをもとに再構成をする時には、必要な部分だけ再構成でき、再構成する時間も短くて済む。これにより、スキャン、再構成、後処理等の各工程にかかるスループットの向上が図れるし、この結果、患者と患者の合間、乃ち、次の患者が来るまでの時間を利用して保存することも可能である。
また、再構成しなおす時や、後で確認する際に、生データを部分的な箇所のみ取得している(保存している)ので、簡単に生データを検索することができるようになる。さらに、従来のように、装置使用者が、MO保存作業に長時間拘束されるようなこともない。
[第2の実施の形態]
次に、本発明にかかる第2の実施の形態について、図11〜図12に基づいて説明する。なお、以下には、前記第1の実施の形態の実質的に同様の構成に関しては説明を省略し、異なる部分についてのみ述べる。図12は、本例のX線CT装置の全体の概略構成を示す機能ブロック図である。
上述の第1の実施の形態では、生データの切り出し範囲を指定する際のユーザーインターフェースとして再構成後の断層像を利用したり、当該画像ファイルを用いた構成としたが、本実施の形態では、再構成された画像データがない場合、生データを用いてリアルタイム再構成(プレイ&リバース)を用いて切り出す範囲を指定する例を開示している。
ここに、X線CT装置では、「プレイ&リバース」(ないしはリアルタイム再構成)なる再構成画像を動画表示にて表示する機能を有し、この機能を実現している動画表示の画面上にてある一の部分から他の部分までの上記切り出し範囲を指定しようとするものである。リアルタイム再構成では、収集された生データを高速に再構成して表示し、ムービーのように動画像表示を可能とするものである。
図11には、このような、「プレイ&リバース」機能を選択した場合に表示される表示態様の一例が開示されている。同図に示すように、「プレイ&リバース」の表示画面140においては、下部にカーソルが形成されており、当該カーソルを動作させると画像が変わる。
本実施の形態では、リアルタイムによる動画像を表示する表示画面140において、範囲を指定できるように2箇所、開始指定部と終了指定部を設ける。そして、開始指定部にて指定された位置から終了指定部にて指定された位置までのデータだけを保存することとなる。
表示画面140では、撮影された範囲全部を動画像にて順次表示し、カーソルの移動とともに像が経時的に変化することで、カーソルの現在位置に応じた箇所を表示する。この際、先頭から最後まで順番に追うようにしているが、ある範囲の部分のみ必要であると所望する場合には当該範囲を指定して、その範囲を再構成する。
なお、この場合において、切り出し箇所の範囲を複数設定してもよい。例えば、スクリーニングで、被検体の頭部から腹部までの生データすべて収集し、後々、頭部のある領域、腹部のある領域のみ2箇所の切り出し範囲を指定し、範囲を指定してから各々の部分の動画像を各々動作させる。
次に、上述のような機能を達成するための具体的構成について、図11を参照しつつ説明する。図11に示すように、X線CT装置の制御系200は、上記第1の実施の形態と同様の構成に加え、リアルタイム再構成処理を行うリアルタイム再構成処理手段25aと、上記のリアルタイム再構成画像を表示するリアルタイム再構成画像表示手段201と、このリアルタイム再構成画像が表示された表示画面上において、切り出し範囲を指定するための切り出し範囲指定手段202と、を含んで構成されている。
このような構成を有する系において、リアルタイム再構成処理手段25aによって処理された動画像がリアルタイム再構成画像表示手段201上に表示処理される。
例えば、先ずは生データ全体をリアルタイム再構成せさてみて、次に、その映像を見ながら、リアルタイム再構成させる生データの範囲を狭めていき、必要な部分の生データの範囲を狭めていき、必要な部分の生データ範囲を決める。必要な範囲の生データ領域が確定されたならば、保存を実行する。
なお、動画像を表示する場合には、上述した「透視モード」における刻々変化する断層像の再構成及びその表示を行う場合や、連続回転を行いつつ(「透視モード」運転を行いつつ)マルチスライス処理による断層像再構成及びその表示を実施する場合や、その他種々の動画像を表示する場合を想定してよい。
ここで、リアルタイム再構成を行い、動画像を表示するには、例えば、連続回転スキャンによって、複数回転で得られた多方向からの2次元投影データに対して、1回転の場合と同様の処理を繰り返して行い、複数のボリュームデータを得る。この際、例えば再構成に使用するデータの範囲(システムの回転角度の範囲)を少しずつズラしていくことにより、時間的に少しずつ異なる、より多くのボリュームデータを得る。
そして、上記時間的に少しずつ異なるボリュームデータから、設定された表示形態での時間的に少しずつ異なる画像を生成し、これを順番に表示することによれば、装置使用者は、当該画像を、図11に示すように、動画としてリアルタイムに観察することが可能となる。つまり、連続スキャンと並行して画像を動画として表示することが可能となる。
なお以下では、この連続回転スキャンの場合におけるデータ処理につき、少々説明を加えておく。ただし、以下では、1つの3次元画像データを再構成するのに必要な投影データの角度範囲を、360°として説明するが、該角度範囲を、360°ではない角度、例えば180°+ビュー角としてもよい。
まず、第1の実施の形態の構成において、被検体の周囲をX線管12が、X線検出器13と共に高速に連続回転する。1回転あたりに要する時間をt0(例えば1秒以下)とする。次々と収集される投影データはほぼ実時間で前処理を受ける。そして、再構成部25では、前処理された360°分の投影データに基づいて、ボリュームデータを再構成する。そして、再構成されたボリュームデータに基づいて、データ処理部27で、任意断面の断層像、任意方向からの投影像、3次元表面画像等の画像データが生成される。この画像データは、画像表示部32に表示される。
上記したような動画表示をする場合には、1回目のスキャンからn回目のスキャンまでのそれぞれのスキャンについて、該スキャンから画像表示までの一連の処理を並行して行い(例えば、1回目のスキャンに基づく再構成処理に並行して、2回目のスキャンを実施等)、これにより連続して得られる2次元投影データに基づき画像を次々と再構成し、それを次々と表示することになる。このような、一連の連続的な再構成処理を行い、次々と画像表示部32に表示するようリアルタイム再構成処理手段25aにより制御される。ここで、「リアルタイム再構成」は、スキャンと並行して高速な再構成を行うことを意味し、生データの切り出し保存の場合は、既にスキャンは終了し、生データが保存された状態であるために、「プレイ&リバース再構成」と称する場合がある。このために、本明細書における「リアルタイム再構成」を「プレイ&リバース再構成」と必要に応じて置き換えた構成も含む。
このため、リアルタイム再構成処理手段25aは、2次元投影データの収集オペレーション(スキャン)と並行して、所定角度範囲(例えば360°)分の投影データを収集するのに要する時間t0より短時間で、ボリュームデータを再構成するために必要な処理能力、ボリュームデータの再構成時間よりも短時間で、ボリュームデータから画像データを発生するために必要な処理能力を備えている。さらに、リアルタイム再構成画像表示手段201は、画像データを、その画像データの起源の投影データの収集オペレーションの期間の起点又は終点から、一定時間後に表示開始するために必要なカウンタ及びメモリ等を装備している。
以上のように本実施の形態によれば、上述の第1の実施の形態と同様の作用効果を奏しながらも、動画像を参照しながら生データの切り出し範囲の指定を行うことができる。
特に、生データが残っており再構成画像がない場合にも、生データを切り出し保存することより、切り出された生データに基づいて、再度再構成を行うことで再構成画像を得ることができる。
例えば、CT透視においては、再構成画像が残らないので、特定領域の画像部分を証拠として残しておきたい場合に、例えば、1分間スキャン(連続的に曝射)して生データを収集したとしても、特定領域の部分だけ保存しておけばよい。
このように、スキャン時間は長いが、実際に必要なデータが小さいCT透視の生データを保存する場合には、非常に有効である。
また、透視では、通常のスキャンに比してデータを収集している時間が約1分〜2分と長く、生データのサイズも大容量となり、保存に時間がかかるが、本実施形態においては、生データの必要な範囲の切り出しを行うことにより、小容量となることから保存にも長時間を要しない。
また、本実施の形態においては、必要な部分のみの生データの切り出し保存が行われることから、必要な容量も小さくて済み、再構成時に上書きされることもない。
[第3の実施の形態]
次に、本発明にかかる第3の実施の形態について、図13〜図14に基づいて説明する。図14は、本実施の形態にかかるX線CT装置の要部の概略構成を示す機能ブロック図である。
本実施の形態では、スキャノ像を参照しながら、生データを切り出す場合の例を開示している。具体的には、図13に示すような表示画面220において、再構成後のボリュームモデルに対して、所定の視点位置から所定の投影面に対して投影した際の透視像が表示される。そして、この透視像に対して、所定の範囲をラインにて選択的に設定することで生データの切り出し範囲を設定するものである。
このようなユーザーインターフェースを用いることによれば、スキャノ像にとって臓器等の具体的な位置を把握した上でその生データの切り出し範囲を設定できるので、不要なデータを保存しなくて済む。
ここで、上述のような機能を達成するための具体的構成について、図14を参照しつつ説明する。図14に示すように、X線CT装置の制御系240は、上記第1の実施の形態と同様の構成に加え、スキャノ像を表示するスキャノ像表示手段241と、このスキャノ像が表示された表示画面上において、切り出し範囲を指定するための切り出し範囲指定手段242と、スキャノ像を処理するスキャノ像処理手段243と、を含んで構成されている。
このような構成を有する制御系240において、再構成された再構成画像は、スキャノ像処理手段243によって、ボリュームモデルに対して所定の視点位置から投影面に対して投影することでスキャノ像を生成し、これをスキャノ像表示手段241によって表示画面上に表示処理される。
そして、この表示画面上に当該スキャノ像が表示されることとなる。スキャノ像が存在する場合は、切り出し範囲指定手段242によってスキャノ像を用いて切り出す範囲を指定する。例えば、昔から腹部までのスキャノ像があり、当該スキャノ像の患者ついては、肺野部分のみの生データを保存するのみでよいという場合は、スキャノ像上で保存開始の部分と保存終了の部分を示す線を引き、その間の部分のみの生データを保存するようにする。
具体的には、先ず、X線の透視像である通常のスキャノ像を撮り、所定の表示画面上にてスキャノ像が表示される。その後、ある一の箇所から他の箇所まで、スキャンするスキャン計画によって範囲を指定する。この際、表示画面に表示されるスキャノ像のデータ領域は例えばAからBまであるとするとした時に、実際に必要な領域がCからDまでの場合には、当該範囲を保存開始の部分と保存終了の部分の指定を線分により決めて選択指定し、CからDまでの指定しただけのスキャンを行い、指定された範囲の生データが保存される。
なお、実際にスキャノ像を参照し、例えば、肝臓部分のみ必要であれば、当該肝臓の部分だけスキャノ像上で指定する。これにより、一つのスキャノ像にて自動的に保存する範囲が決まるのではなく、指定することによって保存時のデータ量がさらに減少する。
また、スキャノ像を参照してもどこが悪いのか判らないのが、実際に、肝臓の部分だけ取っておいた方がよいと思えば、肝臓がどこかをスキャノ像で見れば判るので、スキャノ像上で切り出し部分を指定する。
以上のように本実施の形態によれば、広い範囲をスキャンしたが、特定部位のみに異常があった場合のように、スキャン時間は長いが装置使用者が実際に必要とされるデータが小さいような場合の生データの保存には特に有効となる。
[第4の実施の形態]
次に、本発明にかかる第4の実施の形態について、図15に基づいて説明する。図15は、本実施形態に係る「医用画像診断システム」の全体構成を示す概要図である。なお、本実施形態においては、上述のいずれかの実施の形態のX線CT装置、SPECT装置、あるいはMRI装置等その他の各種医用画像診断装置により取得された「医用画像」ないしは、X線CT装置などにより取得される「生データ」を記録するシステムに関し説明を行うこととする。
医用画像診断システム260は、図15に示すように、生データ、医用画像などを記録、あるいは再生することが可能なシステムであり、X線CT装置261、SPECT装置262、MRI装置263及びX線画像装置264等からなる各種の医用画像診断装置と、画像参照用の端末の一つである3D・WS(ワークステーション)270、さらには画像参照用の端末である複数のパソコン281、・・、281n、あるいは各医用画像を保管する不図示の医用画像保管装置(画像サーバー)とが、通信線Cを介したネットワークを形成して構成されている。
上記各種の医用画像診断装置261乃至264は、それぞれ三次元画像等を生成表示することの可能なものであり、X線CT装置261は、被検体を透過することで吸収の度合いが空間的に変化したX線を検知することにより、SPECT装置262は、体内に投与し分布させた放射性同位体(RI)から発せられるガンマ線を検知することにより、MRI装置263は、核磁気共鳴信号を検知することにより、それぞれ被検体内の情報を取得し、これに基づき三次元画像を再構成することが可能となっている。なお、上記X線画像装置264としては、例えばCアーム、Ωアーム等を備えたいわゆる「アンギオ装置」等を想定すればよい。また、本発明においては、以上の他、種々の医用画像診断装置(IVR―CT等)を想定してよい。
3D・WS270は、高速CPUや大容量メモリ、さらに場合によっては、画像処理専用のアクセラレータ等を装備するとともに、三次元画像表示機能に特化されて開発され、かつ各種の三次元観察をするための様々な機能をも有する。
また、これら機能を実現するための、(被検体に関する)元となるデータ(「生データ」という。)は、上記各種の医用画像診断装置261乃至264より供給されるが、本実施形態においては、該3D・WS270と各種医用画像診断装置261乃至264とを接続する通信線Cを介して(ネットワーク経由で)、これを行い得るようになっている。
さらに、この3D・WS270には、例えばMO、DVD等の搬送可能な大容量の記録媒体Mに対するデータの記録、また該記録媒体Mからのデータの読み出しを行うことの可能な記録・読出装置271が付設されている。
一方、上記通信線Cに対しては、図13に示すように、複数のパソコン281、…、281nが接続されている。これらパソコン281、…、281nは、通常市販にて容易に手に入るものが想定され、上記3D・WS270に比べて一般に低速のCPU及び小容量のメモリを装備するものでよい。ただし、これらパソコン281、…、281nには、上記3D・WS270と同様に、記録媒体Mに対するデータの記録及び該媒体Mからのデータの読み出しが可能な記録・読出装置282、…、282nが接続されている。
なお、本実施形態においては特に、上記記録・読出装置282において、記録媒体Mに対する生データの記録、及び上記記録・読出装置282、…、282nにおいて、該記録媒体Mからの生データの読み出しを行うことができ、かつ、記録・読出装置271を介し記録され記録・読出装置282、…、282nを介し読み出された生データに基づいて、三次元画像表示ないし観察を可能とする。
また、通信線Cは、図13に示すように、外部との接続を図ることが可能となっている。ここにいう「外部」とは、例えばいわゆるインターネットを想定すればよく、その他、別の有線又は無線接続されたネットワークを想定してもよい。
さらに、パソコン281、…、281nの各々、あるいは上記3D・WS270は、上述の第1の実施の形態における、「データファイル選択手段」、「切り出し範囲指定手段」、「画像データ表示手段」、「生データ切り出し処理手段」、「付帯情報演算手段」、「ファイル生成手段」、「転送処理手段」、「書込処理手段」などの「画像データを参照して切り出し範囲を指定し、生データを切り出して記録媒体に保存する」ために必要となる主要な構成を有してよい。あるいは、詳述しないが、上述の第2の実施の形態における、「リアルタイム再構成画像表示手段」などの「リアルタイム再構成画像を参照して切り出し範囲を指定し、生データを切り出して記録媒体に保存する」ために必要となる主要な構成を有してよい。さらには、上述の第3の実施の形態における、「スキャノ像表示手段」などの「スキャノ像を参照して切り出し範囲を指定し、生データを切り出して記録媒体に保存する」ために必要となる主要な構成を有してよい。なお、これら構成を各医用画像診断装置、あるいは医用画像保管装置にも備えてよいことは言うまでもない。
このため、パソコン281、…、281nの各々、あるいは上記3D・WS270を構成する端末には、収集された全生データのうち必要な切り出し範囲の指定を行う範囲指定手段が構成され得る。また、記録・読出装置282、…、282nの各々、あるいは、記録・読出装置271は、本発明にいう「記録手段」に該当する。従って、この記録手段は、前記端末での操作入力に基づいて医用画像診断装置から送信される切り出し後の生データを記録媒体Mに対して記録する機能を有し、前記端末に含まれ得る。
また、前記書込処理手段、転送処理手段などにより、本発明にいう「制御手段」も構成し得る。この制御手段は、切り出し後の生データを記録手段に対して書き込み処理を行うよう送信制御するものであるが、前記制御手段、前記第1の実施の形態における抽出手段(生データ切り出し処理手段)、は、各医用画像診断装置側で処理するよう構成することが好ましい。全生データと、切り出し後の生データを一時保存するための領域を確保しやすいからである。
これら構成は、医用画像診断装置に備えるものに限らず、前記端末ないしは医用画像保管装置に備える構成としてもシステムとして同様の機能を達成できればよい。
このように構成することにより、パソコン281、…、281nの各々、あるいは上記3D・WS270において、医用画像診断装置からの医用画像情報を取得するということのみならず、X線CT装置261などにおいて収集された生データについて、切り出し範囲を指定して、記録媒体Mに保存することも可能となる。
次に、上記構成例となる本実施形態の医用画像診断システムの作用効果について説明する。なお、本発明は、生データの範囲を指定して記録又は送信を実施することに特徴があるものであるから、以下では、この点を中心とした説明を行うものとする。
まず、上記各種の医用画像診断装置261乃至264によって生成された生データは、通信線C、つまりネットワークを経由して3D・WS270に転送され、この転送された生データは、3D・WS270に搭載された記録読出装置271に記録される。3D・WS270は、このように転送されてきた生データに基づいて、上述したような各種の表示機能及び観察機能を発揮することで、再構成画像や三次元画像表示ないし観察を行うことが可能であり、医師は、該画像表示に基づいて診断を実施することが可能となる。
すなわち、まず、3D・WS270において、予め適当にプログラムされた「データ記録モード」に移行し、上記転送されてきた各種の生データの中から、記録媒体Mへの記録を行おうとするものの選択を実施する。より具体的には、3D・WS270として構成されているモニター上に例えば「SAVE」ボタンを表示し、該ボタンをマウス等の操作手段でクリックすること(データ記録モードへの移行)、及びこれに伴い表示される複数の生データファイル(=複数の生データ)の一を、やはりクリックすること(生データファイルの選択)等によればよい(いずれも不図示)。
以上の操作を終えると、次に、該選択された生データをどのような態様で記録(例えば後述のビット長減少や圧縮等)するか、を順次設定する。これらの設定は、3D・WS270におけるモニター上の表示画面を通じて行われる。むろん、本発明においては、その他の選択項目を設定してもよい。
この設定項目としては、例えば、選択された生データの記録を行うかどうか、を設定することが可能である。この場合において、「記録を行う」を選択するならば、記録媒体Mには生データのみが記録されることとなる。なお、このような選択は、例えば、YES・NOチェックボックスのいずれかを、3D・WS270におけるマウス等によりクリックすること等で行われる。また、「記録を行わない」と選択した場合、全設定処理は終了する。
上記において、「記録する」を選択する場合には、続いてその細目に関する設定を行う。この細目とは、具体的に例えば、「生データの記録条件をどのようにするか」、「生データの保存先をどこにするか」等の設定に関する。
例えば、「生データの記録条件をどのようにするか」に関する設定である、「必要な特定範囲を切り出し抽出する」に関する設定を行う。
「必要な特定範囲を切り出し抽出する」とは、該オリジナルの(大きさの)生データの中の、所定の部位のみ切り出して、記録媒体Mへの記録対象とすることを意味する。つまり、生データの一部を抜き出して記録対象とする、というに等しい。なお、この場合において、「必要な特定範囲を切り出し抽出する」が選択されたときには、いま記録しようとしている生データのファイルの一覧表示表示を実行し、それについて、装置使用者が任意の領域ないしウインドウを設定する(抜き出す)ことにより(不図示)、「特定範囲」を設定するような態様が最も好適である。
あるいは、必要な部分を切り出すための範囲指定のための表示画面が表示されることとなる。この表示画面の例は、上記第1〜第3の実施の形態にて開示した種々の例を採用することができる。
例えば、第1の実施の形態のような画像データの画像ないしはファイルを参照して指定する場合、第2の実施の形態のようなリアルタイム再構成画像を参照して指定する場合、第3の実施の形態のようなスキャノ像を参照して指定する場合などが挙げられる。
なお、画像を参照する場合に限らず、付帯情報(条件情報)などを参照して指定する場合や、何も参照せずに予め指定された範囲に基づいて切り出す場合であってもよい。
そして、これらの設定を行った後に、記録を実行する旨の操作入力を行うことにより、所定の記録媒体Mへの記録が行われることとなる。
さて、以上のような切り出された生データの保存を記録媒体Mに対して実施されることにより、次のような効果が奏される。すなわち、記録媒体Mに記録される生データは必要な部分のみとなるので、1枚の記録媒体Mにつきより多くの生データを記録することが可能となる。
特に、ネットワークを介して切り出し保存ができることから、複数のX線CT装置における各患者の各生データを、画像参照用端末であるパソコンを用いて集中的に保存作業を行うこともでき、保存作業の効率化を図ることができる。また、必要に応じて再構成画像を得ることもできる。
いずれにしても、生データのデータサイズを小さくすることが可能となり、結果、記録媒体Mへ、より多くの生データを記録することができる。
そして、これらの設定において、「必要な特定範囲を切り出し抽出する」を選択することにより、上述した抽出後の生データのデータサイズを小さくすることができ、結果、記録媒体Mに対して、より多くの生データを記録することができる。
さらに加えて、保存時に「圧縮」を行うようにしてもよい。なおまた、圧縮する場合には、記録媒体Mに対し、解凍用のプログラムも同時に記録しておく。これもまた、生データのデータサイズを縮小するのに役立つ。
以上までの設定を終えれば、後は、実際の記録実行を行うか否かに係るボタンにおける、「YESボタン」等をクリックすることにより、記録媒体Mへの生データの記録が、上記各種設定に基づいて行われることになる。
さて、このようにして記録・作成された記録媒体Mは、図13に示したパソコン281、…、281nに接続されていた記録・読出装置282、…、282nに装着可能である。そして、これらパソコン281、…、281nでは、当該装着された記録媒体Mから生データを読み出すことにより、再構成を実施し、画像の表示を行うことが可能となる。
なお、具体的には、パソコン281、…、281nにおける適当な操作手段(例えばマウス等)により、生データのファイル一覧が表示される画面において、そのうちの一つを選択(例えばダブルクリック)することにより、当該選択された画像を再生するような構成としておけばよい。
以上説明したように本実施の形態の医用画像診断システムによれば、記録媒体に対する生データの記録をより多く保存することができる。また、装置使用者に何ら負担をかけることなく実施することが可能である。
なお、通信線Cは外部とも接続されていたから、必要に応じ、当該内容を外部に送信することも可能である。このような形態であっても、汎用のパソコン281、…、281n等において画像表示等が行い得ることに変わりはなく、該形態も本発明の範囲内にある。
さらに、上記では、各種設定が行われることを通じて、例えば、3Dワークステーションにおいて、切り出し設定を行い、生データが記録・読出装置271における記録媒体Mへ記録される場合を示したが、これに限らず、3DWSにおける設定により、記録・読出装置282a、…、282nのいずれかに生データを転送記録指示できるように構成してもよい。むろんこの場合においては、記録媒体Mがそれを許容するだけの容量を有することを前提とする。
また、本発明は、上記実施形態で挙げられた生データに関する設定項目に限定されるものではない。さらに、各種の医用画像診断装置は、各々複数有する場合であっても当然よい。
さらにまた、記録・読出装置271における記録媒体Mへの記録、及び、記録・読出装置282a、…、282nにおける記録媒体Mからの読み出し、の両作用を通じて、パソコン281、…、281での画像の表示ないし観察が可能とする構成、記録・読出装置282a、…、282nにおける記録媒体Mへの記録、及び記録・読出装置271における記録媒体Mからの読出し、記録・読出装置282a、…、282nのいずれかにおける記録媒体Mへの記録、及び記録・読出装置282a、…、282nのいずれかにおける記録媒体Mからの読み出しであってもよい。
なお、本発明にかかる装置と方法(処理手順)は、そのいくつかの特定の実施の形態に従って説明してきたが、本発明の主旨および範囲から逸脱することなく本発明の本文に記述した実施の形態に対して種々の変形が可能である。例えば、上述の第1の実施の形態では、生データの切り出し範囲を設定するのに、再構成後の断層像を参照しつつ指定する構成としたが、このようなものに限定されるものではない。すなわち、参照画像(画像情報)を用いた切り出し範囲の指定に限らず、スキャン時間やヘリカルの走行距離等の各種数値情報(付帯情報ないしは条件情報)を用いて切り出し範囲を指定する場合であってもよい。
すなわち、スキャンする際の条件を規定する条件情報によって切り出す範囲を指定してよい。この条件情報としては、例えば、被検体がスキャンされるスキャン時間情報、X線を曝射するためのX線源を前記被検体の回りに連続回転させるとともに前記被検体を体軸方向に移動させて前記被検体をヘリカルスキャンする際のヘリカル走行距離情報、X線を曝射するためのX線源を前記被検体の回りに連続回転させるとともに前記被検体を体軸方向に移動させる際の前記被検体を載置する寝台の寝台位置情報、等が挙げられる。なお、参照画像としては、上述の第1〜第3の各実施の形態にて示したように、画像再構成された画像データ、被検体のリアルタイム(プレイ&リバース)再構成画像、被検体のスキャノ像などがある。
あるいは、例えば前記条件情報が0〜10の中で、0〜9までを自動的に切り出して保存する等、予め定められた範囲で切り出しを行ってしまう構成であってもよい。乃ち、生データの切り出し範囲を指定する範囲指定手段を有していなくてもよい。
この場合、収集された全生データのうち予め設定された切り出し範囲の生データを切り出して抽出する抽出手段、抽出された切り出し後の生データを、記録媒体に書き込み処理を行い保存する保存手段を有していればよく、要は、生データの切り出し、当該切り出された生データを保存する、という機能が少なくともあればよい。なお、予め設定される際の範囲の指定の仕方として、前記条件情報によって行うとよい。
さらに加えて、上記実施形態では、生データないしは医用画像を記録する記録媒体Mの具体例として、「MO(光磁気ディスク)」を念頭に置いた説明を行ったが、本発明は、このような形態に限定されるものではない。例えば、MOに代えて、ZIPやICメモリ、ICカード、DVD、光ディスク等を利用する形態であっても当然に適用可能である。
また、上記実施形態では、MOへの記録作業は、1枚ずつ行われていたが、本発明は、このような形態に限定されるものではない。すなわち、外部記録装置ないしは記録読出装置において、例えば複数のMOトレイを設けるとともに、図示しない記録機構を当該複数のMOトレイに応じて設けることにより、一時に、複数のMOに対する記録作業を並行して行えるような構成としてよい。
さらに、上述した実施形態をX線管101が被検体の周囲を螺旋状の軌跡を描くように架台及び寝台の少なくとも一方をスキャン中に移動させるヘリカルスキャンや、その他、シングルヘリカル、マルチプルヘリカル(シリーズ、プログラムド)、コンバインドヘリカル等に適用してもよい。この時、データ収集に用いる検出素子列、ヘリカルピッチ、スキャン範囲、スキャン時間、管電流の少なくともいずれかを含む撮影条件を最適値に設定することが好ましい。
また、上記第1の実施形態においては、再構成、断面変換などのデータ処理及び表示オペレーションは、X線CT装置1内で行われるとしたが(そのような形態が一般的である)、本発明においてはこれに代え、これらデータ処理等を、外部の画像処理装置において実行するようにしてもよい。また、このような外部の画像処理装置を使用する場合、X線CT装置から、画像処理装置に送られるデータは、再構成前でも、再構成後でも、データ処理後の表示直前でも、いずれの状態でも上記した実施形態の効果を妨げるものではない。
また、上記では、任意断面の断層像、任意方向の投影像及び3次元表面画像等の表示が可能としていたが、本発明はこれに加え、これらメインの各種画像表示と一緒に、ROIのCT値や心電図など、時間的に変化する情報を、グラフで表示し、グラフ上に表示中のメイン画像の時刻も表示する構成としてもよい。
また、記憶装置(ディスク)は、画像データ用と、生データ用に分けた構成としたが、1台の記憶装置であってもよい。さらに、記憶装置に記憶できる容量に限界があるので、一杯になったら必要なデータを第4の実施の形態に示すような画像サーバー等に保存する構成としてもよい。
またさらに、上記実施形態では、画像データ、生データが取得される装置、すなわち「医用画像診断装置」として、X線CT装置を具体例として説明したが、本発明においては、「医用画像診断装置」が、X線画像撮影装置(特に、「Cアーム」ないし「Ωアーム」と呼ばれる構成を備えた装置)、X線画像撮影装置とX線CT装置とが組み合わされたIVR(Interventional Radiology)―CT装置等であっても、当然に適用可能である。
さらに、第4の実施の形態において、生データであれば実施可能であり、CT装置、MRI装置、核医学装置で撮影されたいずれの生データについても適用できる。
さらにまた、第4の実施の形態の医用画像診断システムとして、医用画像情報を取得するための一以上の医用画像診断装置と、ネットワークを介して通信可能とされ医用画像情報を参照するための一以上の端末とを有する他、医用画像診断装置とネットワークを介して通信可能とされ医用画像診断装置にて取得された医用画像情報を保管する医用画像保管装置(画像サーバー)を備えてもよい。
この際、端末に、収集された全生データのうち必要な切り出し範囲の指定を行う範囲指定手段、操作入力に基づいて医用画像診断装置から送信される切り出し後の生データを記録媒体に対して記録する記録手段を有し、さらに、医用画像診断装置において、指定された切り出し範囲の生データを、収集された全生データから切り出して抽出する抽出手段、抽出された切り出し後の生データを、記録手段に対して書き込み処理を行うよう送信制御する制御手段、を有することが好ましい。さらに、この他、第1の実施の形態における、範囲指定手段、抽出手段、保存手段は、システム上のいずれにあってもよく、例えば、医用画像保管装置に形成してもよいし、複数の端末に各々形成してもよい。
さらに、上記実施形態には種々の段階が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。つまり、上述の各実施の形態同士、あるいはそれらのいずれかと各変形例のいずれかとの組み合わせによる例をも含むことは言うまでもない。また、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されてもよい。