JP4587874B2 - 引戸錠 - Google Patents

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Description

本発明は、引戸を閉めると、戸枠側の受け金具に当たって錠箱内に後退するトリガー、該トリガーに連動する鎌片を備えた引戸錠に関する。
錠箱のフロントから受け金具に向かって突出するトリガー(水平突出杆)と、このトリガーの後退動に連動して前記受け金具に係合する方向へ回転する鎌片を備えた建具用引戸錠は、例えば実開昭57−110260号公報(特許文献1)に記載されている。
この種の引戸錠は、引戸の閉戸時、トリガーはその先端面がストライクの表面に突き当たると後退し始め、鎌片は動力変換機構(例えばラック及びピニオン)を介して掛合方向へと突出する。
ところで、トリガーに連動する鎌片を備えた引戸錠は、引戸を閉めた時の跳ね返り現象が発生するので、その防止策として錠箱内にラッチング機構(仮施錠機構)を設ける場合が多い。ラッチング機構の一例は特許文献2に記載されている。
出願人は、ラッチング機構を備えた公開前の引戸錠を日本国特許庁に申請中である。その中に、本施錠状態にした場合であっても、引戸をさらにチリを狭める方向に移動させることができるようにした実施例がある。
上記実施例は、本施錠状態にした場合であっても、引戸をさらにチリを狭める方向に移動させることができる反面、人的要因により、チリを設定した範囲内で引戸が前後に移動するという問題点が内在する。それは、ラッチング機構を構成するラッチ板及びラッチ板を軸支する支持板は、解錠方向に移動可能だからである。
ところで、この種の引戸錠に於いて、(1)まず、錠箱内にラッチング機構及び本施錠片を合理的に組込み、錠箱の限られた空間を有効的に活用することが要望されている。(2)また5mm,3mm,2mmなどチリ寸法が異なる場合であっても、一つの引戸錠で対応することができることが望まれている。(3)さらに、仮施錠状態に於いて、引戸を狭める方向へ移動することができることが望まれている(仮施錠時のチリ調整)。(4)加えて、仮施錠状態に於いて、引戸が人的要因により移動しないようにラッチング機構のラッチ板を完全に施錠することができることが望まれている(ラッチ板の回転阻止)。
実開昭57−110260号公報 特開2002−322850号公報
本発明が解決しようとする課題は、引戸を閉めると、戸枠側の受け金具に当たって錠箱内に後退するトリガー、固定軸に軸支されかつトリガーの後退動に連動して前記受け金具に係合する方向へ回転する鎌片をそれぞれ備える引戸錠に於いて、従来の要望点(1)乃至(4)を可能な限り実現することである。また、外部から強制的に仮施錠状態を解除する必要がある場合(例えば悪戯された場合)に、仮施錠状態を強制的に解除することができることである。
本発明の引戸錠は、引戸を閉めると、戸枠側の受け金具に当たって錠箱内に後退するトリガー、固定軸23に軸支されかつトリガーの後退動に連動して前記受け金具に係合する方向へ回転する鎌片をそれぞれ備える引戸錠に於いて、前記トリガーの一辺に形成した複数個の仮止め用係合部分35のいずれかに係合するラッチ板53を備えたラッチング機構Zを錠箱内に配設し、一方、前記ラッチ板が前記仮止め用係合部分に係合した仮施錠の際に、操作部材の操作力によりスライドして前記トリガーに係合する錠止腕62及び前記ラッチ板に係合して該ラッチ板の回転を阻止する阻止部分66を有する本施錠片61をラッチ板の隣に配設したことを特徴とする。
(1)ラッチング機構の隣に本施錠片を配設し、該本施錠片に錠止腕と阻止部分とをそれぞれ設け、仮施錠時、本施錠片が操作部材の操作力によりスライドすると、前記錠止腕がトリガーに係合すると同時に、前記阻止部分がラッチ板の回転を阻止するので、ラッチング機構と本施錠片の組合せが合理的であり、錠箱の限られた空間を有効的に活用することができる。
(2)5mm,3mm,2mmなどチリ寸法が異なる場合であっても、一つの引戸錠で対応することができる。
(3)仮施錠状態に於いて、引戸を狭める方向へ移動することができる。
(4)仮施錠状態に於いて、引戸が人的要因により移動しないようにラッチング機構のラッチ板を完全に施錠することができる。
(5)さらに、請求項4に記載の発明は、悪戯等による開扉時の仮施錠状態を、外部から手動により操作して簡単に解除することができる。
以下、図1乃至図13に示す本発明を実施するための最良の形態により説明する。
(1)発明の実施の環境
まず、図1及び図2を参照に本願発明に関連する発明の実施の環境について説明する。Xは、例えば引戸1の中に収められる彫り込み型の引戸錠である。一方、Yは戸枠2に固定的に取付けられた受け金具である。受け金具Yは、ボックス部を有するトロヨケ3と、このトロヨケ3の開口に重ね合わせられたストライク(受座)4とから成る。ストライク4は縦長の板状に形成され、複数個の固着手段5を介してトロヨケ3の耳状の取り付け部に固定される。ストライク(受座)4の表面にトリガー31の先端部が当接可能である。
この実施例では、閉戸時、引戸1を閉めると、トリガー31が錠箱内に後退動し、例えば5mm,3mm,2mm,1,8mmなどのチリ寸法に対応してラッチング機構を構成するラッチ板53が、トリガー31の仮止め用係合部分35に選択的に係合する。これが「仮施錠の状態」である。そして、この仮施錠の状態に於いて、操作部材の操作力により、本施錠片61がトリガー31の横溝(係合溝)42と係合する方向へスライドし、その一端部の錠止腕62が前記横溝42に入り込むと同時に、他端部の阻止部分66が前記ラッチ板53に当接して該ラッチ板の回転を阻止する。
その結果、例えば所望のチリを選定した後に、又選定しないで、引戸錠Xを一旦本施錠状態にすると、たとえ僅かなチリが存在していても、引戸をさらにチリを狭める方向に移動させることができない。換言すれば、本施錠片61でラッチ板53を直接ロックすると、引戸1は、もはや閉鎖方向にも動かなくなる。
(2)錠箱
次に錠箱について説明する。10は錠箱で、この錠箱10は、ケース身10aと、ケース蓋10bとから成る。11はフロントで、このフロント11は、フロント前壁12に固定されている。13は複数個の第2固着手段である。14は鎌片用出入り窓で、この出入り窓14にはトリガー31を案内する角筒状のトリガー支持部材16が取り付けられ、該トリガー支持部材16の先端部寄りの部位に位置決め突起や取付け部分が設けられている。位置決め突起は、フロント11に当接することができるように上下対称、鍔状など適宜形状に形成され、先端部側は、図2で示すようにフロント11に嵌め込まれている。
(3)ケース身とケース蓋
図3はケース身10aの正面図である。ここで、図1,図2,図3等を参照にしてケース身10a及びケース蓋10bに形成された主な取付け部(例えば側壁開口部、ガイド孔、軸孔、取付け孔等)ついて説明する。なお、本実施例では、錠箱10のフロント11の開口部11a側にラッチ強制解除手段71が配設されるので、横軸72用の軸孔73が形成される。
さて、符号18は、図1及び図3で示すように、錠箱10の上部側に形成された複数個(例えば2個)の貫通孔で、これらの貫通孔18には、引戸壁面側の取付け座のパイプ状連結杆68が嵌挿する。
次に19は、前記貫通孔18の上位に形成された側壁開口部で、該側壁開口部19は、施錠片61の矩形状係合窓63と対向可能である。したがって、図示しない取付け座に軸支された押圧腕部材は、錠箱10の側壁開口部19を介して該錠箱内に挿入され、かつ、施錠片61の係合窓63に係合する。
次に20は、錠箱10の中央部に形成された横長案内長孔で、この横長案内長孔20は、フロント11側の弧状案内部20aと、これに連続する直線案内部20bとから成る。この横長案内長孔20には、鎌片43の後端部に固定的に設けられた可動軸21が係合する。
次に22は弧状案内部20aの直ぐ下方に設けられた円形軸孔で、この円形軸孔22には、鎌片43を案内する固定軸23が設けられている。鎌片用の固定軸23は、後述する鎌片長孔44を介して錠箱10に横設軸架されている。
次に24は弧状案内部20aとフロント11との間に形成された矩形小孔状の第1取付け部で、この第1取付け部24には、前述したトリガー支持部材16が適宜に取り付けられる。したがって、第1取付け部24は、弧状案内部20aよりも若干上位のフロント11寄りの部位に形成されている。
次に25は弧状案内部20aとケース身10aの上壁との間に形成された垂直案内部(例えば長孔)で、この垂直案内長孔25には、後述のラッチング機構Zを構成する水平可動軸52が取り付けられる。付言すると、本実施例のラッチング機構Zは一組のユニット部材であることから、案内長孔25は、ユニット部材Zを錠箱10内に組み込むことができるようにケース身10aの上壁付近に形成された矩形小孔状の第2取付け部26と弧状案内部20aとの間に位置するように形成されている。前記矩形小孔状の第2取付け部26には、ユニット部材Zの一部を構成し、かつ、ユニット部材の枠状の可動支持片51を上下方向に案内するガイド部材(垂直軸部材)が適宜に取り付けられる。
さらに、錠箱10の下部の中央部には、矩形小孔状の取付け部29が形成され、この取付け部29には、ケース蓋固定用のメネジ支持杆30が取り付けられている。このメネジ支持杆30は、鎌片43が錠箱内に戻った時に所定位置で止めるストッパー機能を有している(図2参照)。その他錠箱10にはバネ支持具用の取付け部等が適宜に形成されている。
(4)本施錠片
図2,図6,図8等を参照にして本施錠片61を説明する。本施錠片61は、肉厚板状に形成された上下方向のスライド部材であり、ラッチング機構Zのラッチ板53の右隣に配設されている。こにより、錠箱10内の空間を有効的に活用している。本施錠片61は、少なくとも錠箱10の側壁開口部19を介して該錠箱10内に図示しない押圧腕部材の係合腕69と係合可能な係合窓63を有する。本実施例の係合窓63は矩形状に形成されている。この係合窓63を基準にすると、ラッチング機構Z側には、前述した錠止腕62が垂直状態に延びていると共に、該錠止腕62に連設する上方には、ラッチ板53の外壁部分の一部に当接可能な阻止部分66が設けられている。
一方、係合窓63よりも上方部分には、錠箱10の上壁内面に当接可能な突起部分64が形成されている。さらに、係合窓63よりも下方部分には、図示しない取付け座の連結杆68と係合可能な下向きU字状の切欠部分65が複数個並列に形成されている。
本実施例の本施錠片61は、ラッチ板53がトリガー31の複数個の仮止め用係合部分35のいずれかに係合した仮施錠の状態に於いて、押圧腕部材の係合腕69を介して、トリガー31に係合する方向へスライドすると、その一端部の錠止腕62が前記横溝(係合溝)42に入り込むと同時に、他端部の阻止部分66がラッチ板53に当接して該ラッチ板53の係合解除の方向(図面上、時計方向)への回転を完全に阻止する。
(5)トリガーとトリガーバネ
図2,図4,図5等を参照にしてトリガー31を説明する。図4はトリガー31の正面図、図5はその左側面図である。トリガー31は錠箱10内に摺動自在に装着されている。このトリガー31は、やや長杆状先端部32と、この突出先端部32に幅広に連設する幅広状後端部33とから成り、図2で示すように引戸が開いている時は、前記先端部32は錠箱10のフロント11から突出する。
しかして、34は前記幅広後端部33の上辺の先端部分に連続的かつ傾斜状に形成された複数個の摺接面、35はこれらの摺接面34に対してそれぞれ垂直状態に続く爪状の仮止め用係合部分である。
本実施例では、ラッチ板53を備えたラッチング機構Zが、本施錠片61の前方に位置するように錠箱内に配設されている。そして、閉戸時、前記ラッチ板53は、トリガー31の一辺に連続的に形成した複数個の仮止め用係合部分35のいずれかに係合する。
摺接面34及び仮止め用係合部分35は、ラッチ板用の第1係合部分に相当し、前者34はラッチ板53を誘導し、一方、後者35は閉戸時にラッチ板53を係止する。
なお、前記ラッチ板53用の第1係合部分35には、短杆或いは長杆状先端部32と幅広状後端部33との境目に相当する段差部分の垂直面も含まれる。
ところで、36は幅広後端部33の下辺の先端部分に下向きU字形状に形成された第2係合部分で、この第2係合部分36には、鎌片の可動軸21が摺接自在に係合する。また、37は幅広後端部33の後端面からその内部にかけて横溝状に形成されたバネ嵌合部分で、このバネ嵌合部分37にはトリガーバネ38の先端側が組み込まれている。
ここで、図2,図8を参照にしてトリガーバネ38について説明する。トリガーバネ38は幅広後端部33とケース身10aの後壁との間に横方向に組込まれ、その先端部が幅広後端部33のバネ嵌合部分37の内面に適宜に圧接し、一方、後端部は後壁に固定的に設けられたバネ支持具39に支持されている。したがって、トリガー31は、トリガーバネ38のバネ力により、その先端部32の一部が常時フロント11から突出するように付勢されている。
また、幅広後端部33の側壁中央部には突起40が設けられ、該突起40は錠箱10に設けられたトリガーガイド(図示しない)に案内される。本実施例のトリガー31は、その先端部32が角筒状のトリガー支持部材15に常に嵌入している。したがって、トリガー31はトリガー支持部材15及び前記突起40に案内されて安定的に進退動する。
さらに、幅広後端部33の後側の上部には、上下動する施錠片61の錠止腕62と係合する第3係合部分41が形成されている。この第3係合部分41は、仮止め用係合部分35よりも低い位置にある。
加えて、幅広後端部33の前記第3係合部分41の垂直錠止面41aの前方には、該幅広後端部33の先端面33aに至る水平方向の横溝42が形成されている。
(6)鎌片
図2,図8等を参照にして鎌片43を説明する。鎌片43は全体として人差し指を折り曲げた形態をしており、その幅広基部43aの縁部には可動軸21が突設されている。前述したように、鎌片43の基部は固定軸23に軸支されていると共に、該基部には可動軸21が設けられ、該可動軸は前記鎌片43が回動することができるように錠箱に形成された横長案内部としての横長案内長孔20に案内される。また鎌片43の基部43aには鎌片長孔44が形成されている。鎌片43は、該鎌片長孔44を貫通する固定軸23に軸支されている。したがって、鎌片43がトリガー31に連動するための動力変換機構は、トリガー31の第2係合部分36と鎌片43の可動軸21で構成されているから、極めてシンプルな構成となっている。
ところで、本実施例の引戸錠Xは、錠箱10に鎌片43の可動軸21を案内する横長案内部20が形成され、一方、前記鎌片43の基部には鎌片長孔44が形成されていることから、たとえば5mmにチリ寸法が設定されていても、換言すれば、トリガー31の先端部32の突出量が多少大きい場合であっても、前記横長案内部20及び鎌片長孔44は、「チリ調整機能」を有し、引戸1の閉戸時、仮施錠状態であっても、チリをさらに狭める方向(例えば1.8mm)へと引戸を閉めることも可能である。この時、鎌片43は、鎌片長孔44を有し、また、錠箱10は横長案内部20を有するため、所定の施錠位置のままである。
であるから、本施錠片61を押し下げない限り(トリガー31を完全にロックしない限り)、鎌片43の鉤状先端部40bがストライク4に係合(掛合)のままであっても、引戸1をさらに閉めると、鎌片43の基部43a側を錠箱10内に後退させることができる(ここでは、これを「仮施錠時におけるチリ調整機能」という)。
(7)ラッチング機構の配設箇所と具体的構成
図2,図6,図8等で示すように、フロント11の内壁面と施錠片61の錠止腕62側とで区画された空間部分7にトリガー31と係脱可能なラッチ板53を有するラッチング機構Zが配設されている。繰り返しになるが、本実施例の引戸錠Xのラッチ板53は、閉戸時、チリ寸法に対応して(チリ寸法が異なる場合であっても)、トリガー31の一辺に形成した複数個の仮止め用係合部分35のいずれかに係合する(図9と図11を参照)。
さて、鎌片43を仮施錠状態にする、又は仮施錠状態を解消するラッチング機構Zは、錠箱10内の空間部分に設けられた一組のユニット部材である。該ユニット部材Zは、例えば垂直方向に移動可能な枠状の支持片51と、この支持片51に水平可動軸52を介して軸支され、かつ、トリガー31の一辺に連続的に形成された複数個の仮止め用係合部分35と選択的に係合可能な係止爪部53aを有するラッチ板53と、前記支持片51に前記水平可動軸52を介して組み込まれ、かつ、前記ラッチ板53を係合可能に位置へ付勢する仮止め用バネ54とから成る。
前記支持片51は、ラッチ板53が時計方向(係合解除の方向)へ回転するのを許容するが、一側壁に設けた垂直壁51aを介して反時計方向へ回転を阻止する。
一方、ラッチ板53は、仮止め用バネ54よりもバネ力が弱く設定された錠箱内装の支持片用バネ57により、支持片51を介してトリガー31に係合する方向へ付勢されている。
また、前記ラッチ板53は、水平可動軸52用の軸孔の回りに前記バネ54装着用の溝55を有すると共に、該溝55を形成する部分に前記係止爪部53aとは反対側に延びるバネ端54a用の支持部分53bを有している。
また、前記仮止め用バネ54の他端部54bは、例えば可動支持片51の上壁部分に形成したバネ端支持孔に支持されている。さらに、可動支持片51を常時付勢する弱いバネ57は、可動支持片51を上下方向に案内するガイド部材(垂直軸部材)56に巻装されている。
ところで、本実施例のユニット部材Zは、水平移動するトリガー31を基準にすると、鎌片43が軸支された空間部分とは反対側の空間部分に設けられている。また、前述したように、ユニット部材Zは、錠箱10の内壁面に固定され得る可動支持片51用ガイド部材56を含み、一組のユニット部材を構成している。それ故に、ユニット部材Zを極めて簡単に錠箱10内に取り付けることができる。
(8)ラッチング機構Zの作用
図7はラッチング機構Zの仮施錠状態に至る概略説明図の一例である。したがって、ラッチング機構Zの仮施錠状態が解消する場合は、図7とは逆の作動態様となる(図面上、ラッチ板53が時計方向に回ると、仮施錠状態が解消し得る)。また、図8はチリ寸法が、例えば5mmに設定された場合であり、図10はチリ寸法が、例えば1,8mmに設定された場合をそれぞれ概略的に示している。
まず、図2と図8とを対比すると明らかなように、図2は引戸1を矢印A方向に閉める途中に於いて、トリガー31の先端部32がストライク4に当たる寸前を示しているのに対し、図8は、チリ寸法が、例えば5mmに設定された場合に於いて、トリガー31がトリガー支持部材15及び前記突起40に案内されて錠箱10内に後退し、該トリガー31の後退動に連動して鎌片43が固定軸23を支点に時計(掛合)方向に回転し、その結果、鎌片43の先端部43aがストライク4に係合した状態を示している。
図2から図8の閉戸時状態になる過程に於いて、ユニット部材Zを構成する支持枠51、水平可動軸52、ラッチ板53等は、ラッチ板53が後退動するトリガー31の傾斜状摺接面34に押圧されると、支持枠用の弱いバネ57のバネ力に抗して上方に移動し、その係止爪部53aが摺接面34を乗り越えると、引戸1の所定のチリを有する閉鎖位置にて、今度は弱いバネ57のバネ力により下方に移動する。
したがって、前記係止爪部53aはトリガー31の仮止め用係合部分35に一つに自動的に係合する。これが仮施錠状態である。この時、ラッチ板53は錠箱10に案内される水平可動軸52を介して上下動する反面、反時計方向へは回転しない。それはラッチ板53の突起状支持部分53bが支持枠51の左側垂直壁51aの内面に支持されているからである。
しかしながら、本施錠片61でトリガー31をロックしないで、引戸1をさらにチリを狭める方向に移動させると、前述したように、ラッチ板53は強いバネ54のバネ力に抗して時計方向に回転し、最初の仮施錠状態が解消する。この道理は、本施錠片61でトリガー31をロックした場合であっても、トリガー31に横溝42が形成されていることから、ラッチ板53が時計方向に回転しないようにロックしない限り同様である。換言すれば、チリを「5mm」、「1.8mm」等に調整或いは設定した意味合いがなくなる。
そこで、本実施例では、例えばチリを「5mm」に設定した場合、或いはチリを「1.8mm」に設定した場合に於いて、一つの引戸錠Xで、複数個の異なるチリ設定或いはチリ調整に対応するようにし、かつ、閉戸時、ラッチ板53がトリガー31の複数個の仮止め用係合部分35のいずれかに係合した場合(仮施錠時)に於いて、本施錠片61がスライドして、その錠止腕62がトリガー31の横溝42に係合した場合に、同時にその阻止部分66がラッチ板53の係合解除の方向への回転を阻止するようにラッチ板の外壁部分の一部に当接する(図9,図11参照)。
(9)ラッチ強制解除手段
図12で示すように、本願発明では、上述した基本的な構成部材(トリガー、鎌片、ラッチング機構Zなど)及び作用を前提にした上で、ラッチング機構Zの前方に位置する錠箱10のフロント11の部位に開口部11aを形成し、この開口部11aとラッチング機構Zの構成部材との間の空間部分7に可動可能なラッチ強制解除手段71を配設している。
そして、該ラッチ強制解除手段71の前記開口部11a側に位置する操作部分71aを外部から操作してラッチング機構Zのラッチ板53を強制的に解除し得るように構成している。
本実施例のラッチ強制解除手段71は、錠箱10の上方の隅部に軸孔73を介して軸架された横軸72に回転自在に軸支され、その形状は、図12を基準にした場合、指、例えば親指と人差し指の二本の指を下向きにして開いたような外観形状をし、一方の指(親指に相当)71aはフロント11の開口部11a側に位置する操作部分であり、一方、他方の指(人差し指に相当)71bはラッチ板53を軸支する可動支持板51の内部に該支持板51を持ち上げることができるように係合している。つまり、ラッチ強制解除手段71は、操作部分71aと係合部分71bを有している。
また、前記操作部分71aとしての一方の指の外面には、工具Tの先端部が係合する係合部(例えば溝、孔等)74が形成されている。また、図1で示すように、フロント11の開口部11aの直ぐ上方には、接着層を介してラッチ解除ボタンを意味する目印75が付されている。
上記構成に於いては、図13で示すように、ドライバー等の押し込み可能な工具Tで、開口部11aに位置している操作部分71aを押し込む。本実施例では、この時、ドライバーの先端部が係合溝74に係合し、そう簡単には操作部分(指)71aから外れない。操作部分71aを押し込むと、ラッチ強制解除手段71は横軸72を支点に反時計方向(矢印方向)に回転する。
したがって、可動支持板51は、垂直軸部材56に案内されながら、かつ、弱いバネ57のバネ力に抗しながら、係合解除の方向へ上昇する。それ故に、ラッチ板53は、トリガー31から強制的に解除される。トリガー31はラッチ板53から解放されると、トリガーバネ38のバネ力により突出し、これに連動する鎌片43は錠箱10内へと戻る。
本実施例では、説明の便宜上、トリガー31の仮止め用係合部分35が「2個」の例で説明したが、多様なチリ寸法に対応することができるように「3個」、或いは「4個」形成しても良い。また、本実施例に於いて、錠箱10のフロント11とラッチング機構Zとの間の狭い空間部分7に、指状のラッチ強制解除手段71を軸支しているので、錠箱10の限られた空間7を有効的に活用することができるが、ラッチ強制解除手段71は、あくまでも本発明の加味的要件である。
本発明は、主に錠前や建具の業界で利用される。
図1乃至図13は本願発明の一例を示す各説明図である。
先願発明の実施形態の一例を示す斜視図(取付け座は省略)。 内部構造を示す概略説明図。 ケース身の概略説明図。 トリガーの正面図。 トリガーの左側面図。 主要部(ラッチング機構のラッチ板と本施錠片との係合関係)の概略説明図。 ラッチング機構のラッチ板とトリガーとの係合関係を示す概略説明図。 先願発明を、例えば建具のチリ寸法が5mmの場合に適用した場合の仮施錠状態の説明図。 図8に於いて、本施錠片でラッチ板をロックした場合の説明図。 先願発明を、例えば建具のチリ寸法が1.8mmの場合に適用した場合の仮施錠状態の説明図。 図10に於いて、本施錠片でラッチ板をロックした場合の説明図。 要部(ラッチ強制解除手段)の概略説明図。 ラッチ板を強制解除する場合の概略説明図。
X…引戸錠、Y…受け金具、Z…ラッチング機構、1…引戸、2…戸枠、3…トロヨケ、4…ストライク、5,13…固着具、7…空間部分、10…錠箱、10a…ケース身、11…フロント、12…フロント前壁、14…出入り窓、16…トリガー支持部材、18…貫通孔、19…側壁開口部、20…横長案内長孔、21…可動軸、22…円形軸孔、23…固定軸、24,26,29…取付け部、28…支持軸、25…垂直案内長孔、31…トリガー、32…先端部、33…幅広状後端部、34…摺接面、35…仮止め用係合部分、36…第2係合部分、37…バネ嵌合部分、38…トリガーバネ、39…バネ支持具、40…突起、41…第3係合部分、41a…垂直錠止面、42…ガイド横溝、43…鎌片、43a…基端部、43b…先端部、44…鎌片長孔、51…支持片、51a…垂直壁(ストッパー)、52…水平可動軸、53…ラッチ板、53a…係合爪部、54…ラッチ板用バネ(強いバネ)、56…支持片用ガイド部材、57…支持片用バネ(弱いバネ)、61…本施錠片、62…錠止腕、63…係合窓、64…突起部分、65…切欠部分、66…阻止部分、68…連結杆、69…押圧腕部材、70…切欠部、A…矢印、11a…フロントの開口部、71…ラッチ強制解除手段、71a…操作部分、71b…係合部分、72…横軸、73…軸孔、T…工具、74…係合部(例えば溝、孔等)。

Claims (4)

  1. 引戸を閉めると、戸枠側の受け金具に当たって錠箱内に後退するトリガー、固定軸23に軸支されかつトリガーの後退動に連動して前記受け金具に係合する方向へ回転する鎌片をそれぞれ備える引戸錠に於いて、前記トリガーの一辺に形成した複数個の仮止め用係合部分35のいずれかに係合するラッチ板53を備えたラッチング機構Zを錠箱内に配設し、一方、前記ラッチ板が前記仮止め用係合部分に係合した仮施錠の際に、操作部材の操作力によりスライドして前記トリガーに係合する錠止腕62及び前記ラッチ板に係合して該ラッチ板の回転を阻止する阻止部分66を有する本施錠片61をラッチ板の隣に配設したことを特徴とする引戸錠。
  2. 請求項1に於いて、本施錠片61の一端部に形成されたトリガー用錠止腕62は、トリガーに形成した横溝42に係合可能であり、一方、本施錠片の他端部に形成されたラッチ板用の阻止部分66は、ラッチ板の外壁部分に当接可能であることを特徴とする引戸錠。
  3. 請求項1に於いて、鎌片長孔44を介して固定軸23に軸支された鎌片43の基部には可動軸21が設けられ、該可動軸は前記鎌片が回動することができるように錠箱に形成された横長案内部20に案内されることを特徴とする引戸錠。
  4. 請求項1に於いて、錠箱内にラッチ強制解除手段71が配設され、該ラッチ強制解除手段の一方の指71aはフロント11の開口部側に位置する操作部分であり、他方の指71bはラッチ板53を軸支する可動支持板51に係合し前記ラッチ板を解除する際、前記操作部分71aを外部から操作してラッチ板の前記仮止め用係合部分35に対する係合を解除することを特徴とする引戸錠。
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