JP4572808B2 - 積層ポリエステルフィルムおよび磁気記録媒体用積層ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
特許文献1にはフィルムの一方の面を構成する層(B層)の末端カルボキシル基濃度が35eq/106g以上であるフィルムが開示されているが、B層にオリゴマー濃度の低い原料を使用する具体的な記載も示唆もなく、オリゴマー析出抑制効果がほとんど見られない、という問題があった。
特許文献2には、オリゴマー濃度が0.8重量%以下、および末端カルボキシル基濃度が35eq/106gのポリエステルをB層に用いることが開示されている。また、特許文献2には、架橋ポリスチレン等の架橋高分子粒子、金属酸化物等の無機粒子等からなる不活性粒子を使用することが開示されている。しかし、特許文献2には、不活性粒子の表面特性などに関しては、全く記載が無い。筆者らの検討によると、上記対策では、不活性粒子Bを含有するポリエステル層B層に析出、A層に転写されてドロップアウトの原因となるオリゴマーを抑制することは出来なかった。特に、長期間保管時後に製造したDVCテープは析出したオリゴマーによりDOが増加しがちであり、満足できるレベルではなかった。
特許文献3には、カルボキシル基を有する架橋有機粒子を含有するポリエステル組成物が開示されている。しかし、特許文献3は、粒子の分散性改良に関するものであり、オリゴマー析出抑制については何も記載が無く、オリゴマー濃度の低い原料を使用する記載も示唆もなく、この粒子を使用しただけではオリゴマー析出抑制効果がほとんど見られない、という問題があった。
本発明においては、B層中の不活性粒子の平均粒子径は50〜1000nm、好ましくは100〜1000nm、より好ましくは150〜900nmのものが用いられる。平均粒径が上記の範囲をはずれると、フィルム製膜時に微細な傷がポリエステルフィルムの表面に付くためか、オリゴマーが発生しやすくなる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。実施例中に使用した各特性値は次の測定方法により求めた。
A.ポリマーの固有粘度(IV)
フィルム断面を走査型電子顕微鏡で観察、A層とB層の厚みの比率を求める。必要であれば、表面コーティング剤は水で除去、乾燥する。
B.オリゴマー含有量
フィルム断面を走査型電子顕微鏡で観察、A層とB層の厚みの比率を求める。必要であれば、表面コーティング剤は水で除去、乾燥する。
カラム:YMC−Pack ODS−2 150mm×4.6mm
カラム温度:40℃
流量:1.3ml/min
注入量:10μm
検出器:UV240nm
溶離液:A液(純水):B液(メタノール)=25:75
同様にフィルム全体の環状三量体量も求めて、重量比例配分でポリエステルフィルムの層Bの環状三量体を求めてオリゴマー量とする。
C.末端カルボキシル基濃度(eq/106g)
フィルム断面を走査型電子顕微鏡で観察、A層とB層の厚みの比率を求める。必要であれば、表面コーティング剤は水で除去、乾燥する。
D.ポリエステルフィルムのオリゴマー析出個数
ポリエステルフィルムの表面Bに、5°の角度で銀を蒸着(シャドーイング)し、その後スパッタリングにより白金をコートする。シャドーイングしたフィルム表面を真上から走査型電子顕微鏡により5千倍程度の拡大倍率で10視野程度観察し、表面上に影をもつ析出オリゴマ ー物(塊状、6角形状、馬蹄型の形態がオリゴマー物に特徴的であり、その形態より判断)を探し、その析出オリゴマー物の影の長さ(H)を測定する。その析出オリゴマー物の高さ(h)との間に、tan5°=h/Hの関係があることを用いて、影の長さ(H)より高さ(h)を求め、高さ17nm以上の析出オリゴマー物の個数を求め、1mm2あたりの個数に換算した。下記判定基準によった。
1,000〜10,000個未満:よい
10,000個以上:不良
E.巻き取り特性
巻き取り性スリット時の巻き取り条件を最適化したのち、幅600mm×12,000mのサイズで、30ロールを速度100m/分でスリットし、スリット後のフィルム表面に、ブツ状、突起やシワのないロールを良品として、以下の基準にて巻き取り性を評価する。
○:良品ロールの本数25〜27本
△:良品ロールの本数22〜24本
×:良品ロールの本数21本以下
実施例1
(1)水溶性ポリマー被覆不活性粒子の製造
平均粒子径0.17μm、粒子径の標準偏差値が0.08μmのエチルビニルベンゼン/ジビニルベンゼンからなる架橋高分子粒子(ジビニルベンゼン82%、体積形状係数0.51、20%水分散体)2重量部に、ポリビニルピロリドン(分子量12,000、10%水溶液)0.1重量部を加え、攪拌した。
(2)低オリゴマー化処理前のポリエステル組成物の製造
テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、三酸化アンチモンを重合触媒として、酢酸マグネシウム、リン酸を添加し、実質的に不活性粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートを製造した。このポリエチレンテレフタレートのIVは0.65、末端カルボキシル基濃度は36eq/106g、アンチモン濃度は110ppm、マグネシウム濃度は55ppm、リン濃度は16ppmであった。このポリエチレンテレフタレートに(1)項で製造した不活性粒子の水分散体を、ベント付き押出機を使用して、水をベントから水蒸気として除去しながら、ポリエステル組成物中の不活性粒子濃度が0.3重量%となるように添加した。このときのポリエステル組成物の末端カルボキシル基濃度は34eq/106g、IVは0.66、オリゴマーの含有量は、1.1重量%であった。
ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.10重量%
水溶性ポリエステル共重合体(テレフタル酸70モル%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸30モル%の酸成分とエチレングリコールとの1:1の共重合体)0.32重量%
アミノエチルシランカップリング剤0.01重量%
平均粒径18nmの極微細シリカ0.03重量%
表面B:
ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.10重量%
水溶性ポリエステル共重合体(テレフタル酸70モル%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸30モル%の酸成分とエチレングリコールとの1:1の共重合体)0.15重量%アミノエチルシランカップリング剤0.01重量%
ポリジメチルシロキサン(両末端アミノ基変性体)0.02重量%
その後、ステンターにて横方向に105℃で3.5倍に延伸し、210℃で熱処理し、中間スプールに巻き、スリッターで小幅にスリットし、円筒コアーにロール状に巻取り、厚さ6.3μm、幅600mmの蒸着用のポリエステルフィルムの、長さ15000m巻取りロールを製造した。この際、巻き取り特性の評価を行ったところ、巻き取り特性は良好であった。
実施例1と同様に、但し、表1に従い、層Bのオリゴマー量が若干多めのフィルムを製造し、評価を行った。フィルム特性はオリゴマー量が多めであったが、使用可能なものであった。
実施例1と同様に、但し、表1に従い、層Bの末端カルボキシル基濃度の異なったフィルムを製造し、評価を行った。実施例1と比較してフィルム特性は巻き取り特性が若干低下し、オリゴマー量が若干多めであったが、使用可能なものであった。
実施例1と同様に、但し、表1に従い、不活性粒子にコロイダルシリカを用いて評価を行った。フィルム特性はオリゴマー量が実施例1と比較してわずかに増加したが、使用可能なものであった。
実施例1と同様に、但し、表1に従い、水溶性ポリマーとして、ビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体(混合比:ビニルピロリドン/酢酸ビニル=40/60)を製造し、評価を行った。フィルム特性は実施例1と比較して、巻き取り特性が若干低下し、オリゴマーが多めであったが、使用可能なものであった。
実施例1と同様に、但し、表1に従い、層Bに粒径の異なった不活性粒子を用いて評価を行った。実施例1と比較してフィルム特性は巻き取り特性が若干低下し、オリゴマー量若干増加したが、使用可能なものであった。
実施例1のポリエステルを用いて、但し低オリゴマー化処理を行わずに、ポリマーを製造し、フィルムの製造上検討を変更して、評価を行った。いずれもオリゴマーの析出は非常に多かった。
実施例1のポリエステルと同様に、但し、表2に従い低オリゴマー化処理における処理温度を低くして、オリゴマー量を本願請求の範囲外とした。
実施例1のポリエステルと同様に、但し、表2に従い低オリゴマー化処理時間を短くして、オリゴマー量を本願請求の範囲外とした。
実施例1のポリエステルと同様に、但し、表2に従い水溶性ポリマーで不活性粒子の表面被覆をしなかった。
実施例1のポリエステルと同様に、但し、表2に従い粒径が本願請求の範囲外の架橋高分子粒子を使用した。
Claims (6)
- ポリエステルからなる積層フィルムであって、最外層(B層)のポリエステルのオリゴマー含有量が0.7重量%以下、かつ該B層が平均粒径50〜1000nmで水溶性ポリマーにより表面被覆された不活性粒子を含有する積層ポリエステルフィルム。
- 水溶性ポリマーがビニルピロリドンを主たる繰り返し単位とする高分子化合物であることを特徴とする請求項1の積層ポリエステルフィルム。
- 最外層(B層)のポリエステルの末端カルボキシル基濃度が30eq/106g以上、70eq/106g以下である請求項1または2の積層ポリエステルフィルム。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載の積層ポリエステルフィルムからなる磁気記録媒体用積層ポリエステルフィルム。
- 請求項4の積層ポリエステルフィルムからなるデジタル記録方式のビデオカセットレコーダーテープ用積層ポリエステルフィルム。
- 請求項5の積層ポリエステルフィルムの片面に強磁性金属薄膜層を設けてなる磁気記録テープ。
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