JP4571608B2 - ドラム式洗濯乾燥機およびその乾燥工程の制御方法 - Google Patents
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Description
本発明は、係る問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、乾燥工程で乾燥むらの少ないドラム式洗濯乾燥機を提供することにある。
制御装置は、洗濯容量センシング手段からの信号にもとづいて乾燥容量を複数段階レベルに判定し、乾燥容量最大の値を含む段階レベルと判定した場合に、乾燥工程において、乾燥工程に入って所定時間後における乾燥率を湿度センサまたは温度センサにより検知し、その検知結果に応じて回転変動運転を行うか否かを判定し、回転変動運転を行うと判定したときに、前記速度検出手段からの信号と、振動センサが検知した振幅と、にもとづいて回転ドラム内に収納された洗濯物の中央部に回転ドラムの開口部から奥側にかけて空間ができるように、脱水工程における二次共振の回転速度よりも遅い二次共振を発生しない所定の回転速度まで回転ドラムの回転速度を増加させて、その後急停止させる回転変動運転を少なくとも1回含ませることを特徴とする。
図1は本実施形態のドラム式洗濯乾燥機の外観斜視図であり、図2はドラム式洗濯乾燥機の縦断面図である。
本実施形態のドラム式洗濯乾燥機は、後記するように運転工程の中に給水工程、洗い工程、排水工程、脱水工程、すすぎ工程、乾燥工程を含んでいる。
図1に示すように本実施形態のドラム式洗濯乾燥機は、鋼板と樹脂成形品とで組合わされて構成された外枠2が、ベース1の上に載せられている。
外枠2の正面側の上面部の左右には、洗剤や柔軟仕上げ剤をセットする開閉可能な洗剤トレー7と、開閉可能な乾燥用フィルタパネル8とが取付けられている。これらの間には運転状態や設定状態などを表示する表示部10、ドラム式洗濯乾燥機を操作するボタンスイッチなどを含む操作部9が上下に配置されて設けられている。操作部9のボタンスイッチには、電源スイッチ62(図3参照)、運転工程を設定する各種ボタンスイッチ、運転を開始させるスタートボタンなどが設けられている。
外枠2の正面側の左下部には、洗濯水、すすぎ水中の糸くずを除去するフィルタを掃除するために開閉可能な水密のフィルタパネル13が配置されている。
また、ベース1の側面部からは排水ホース11が引き出されており、ベース1の底部にはゴムを挿入した脚部12が四隅に配置されている。
サスペンション21は外槽20の全重量を支持するものであり、強固な構成で出来ており、脱水工程において生じる外槽20の上下振動を吸収し、脱水開始時の外槽20の共振による異常振動を防止するための減衰機構などを含んでいる。
引きバネ22A、22Bは外槽20の前後方向の倒れ防止を兼ねた支持や、洗い工程および脱水工程における前後、上下、左右振動を低減するために設けられている。
また、ドラム駆動用モータ36には後記する回転位置センサ(速度検出手段)71(図3参照)が組み込まれており、その出力信号がマイコン72(図3参照)に入力されている。回転位置センサ71は、例えば、ホール素子である。
本実施形態の場合、耐熱ガラス製扉40の外側端面86は平面状となっている。また、シール部外周面82の回転ドラム29の軸に対する傾斜角度に比較して凹部傾斜周面部84の傾斜角度の方が大きくなっているが、これら2つの傾斜角度を同程度にすることにより、より耐熱ガラス製扉40内側の凹部の容積を増加することができ、定格乾燥容量を増すことができる。
除湿装置45は、後記する給水ノズル25aに連通した図示しない枝管に設けられた図示しない電磁弁を介して冷却用の水道水が通水されるようになっており、乾燥工程においては、除湿装置45に水道水が供給され、回転ドラム29を通過した温風の湿分を凝縮させて除去し、その後、排水ホース11から凝縮水と冷却用の水道水が排出される。
なお、前記乾燥用フィルタ室の正面側は、乾燥用フィルタパネル8により開閉可能になっており、乾燥用フィルタ室内に設置された図示しない着脱自在の乾燥用フィルタを取り外して、乾燥用フィルタに付着した糸くずなどを除去できるようになっている。
なお、図2には図示されていないが、外槽20の、例えば、外周面の下部から立ち上がった配管の上端に水位センサが設けられ、その出力信号がマイコン72に入力されている。
洗い工程においては、注水ホース26から供給された水が洗剤投入ケース27の洗剤を溶かしながら外槽20の上部からフレキシブルホース28を介して投入される。すすぎ工程においては、注水ホース26から供給された水が洗剤投入ケース27の柔軟仕上げ剤を溶かしながら外槽20の上部からフレキシブルホース28を介して投入される。
洗いやすすぎが終了して不要になった水や脱水時に洗濯物30から脱水された水は、排水弁41を開放して排水ホース11から排水される。
次に、図3を参照しながら本実施形態におけるドラム式洗濯乾燥機を制御する制御回路(制御装置)について説明する。図3はドラム式洗濯乾燥機の制御回路図である。
ちなみに、この制御回路100の操作部9、表示部10およびマイコン72を含む図示しない基板は、例えば、操作部9および表示部10の裏側に配置されている。
AC100Vの商用電源60は、コンセント・プラグ61を介して操作部9(図1参照)に配置された電源スイッチ62と、並列に配置されたヒューズ63を介してフィルタ回路64に接続している。フィルタ回路64は、下流側の各種電気部品および整流回路65に直接電源を供給する。
整流回路65からは低圧の直流電源を供給するためのスイッチング電源66、インバータ回路67が接続されている。また、この間には電圧検知回路68およびヒューズ69が接続されている。
ドラム式洗濯乾燥機全体の制御はマイコン72により行われる。商用電源60で直接駆動される電気部品としては給水電磁弁25b、排水弁41があり、各々に直列に接続されたリレー接点73A、73Bを、リレー巻線74A、74Bに流れる電流をマイコン72によりオン、オフ制御して、開閉動作させる。
また、乾燥工程で使用する送風ファン42と洗い工程およびすすぎ工程で使用する循環ポンプモータ76は同一のインバータ回路77をマイコン72が制御する切替スイッチ78で切替えて使用している。このため、回路が共用化できコストが低減できる。
ヒータ43は同じ容量のヒータが並列に接続されており、リレー接点73Cを、リレー巻線74Cに流れる電流をマイコン72によりオン、オフ制御して、開閉動作させる。ヒータ43の電源はフィルタ回路64の上流側からとっている。この理由は、ヒータ43は純抵抗なのでフィルタ回路64を通す必要がないことと、ヒータ43は電流が大なのでフィルタ回路64の上流側に接続して使用することによりインダクタンスの容量の低減を図っている。
次に、図4を参照(適宜図1から図3を参照)しながらドラム式洗濯乾燥機の運転工程を説明する。図4は本実施形態のドラム式洗濯乾燥機の運転工程を示すブロック図である。
このブロック図には、一連の運転工程を自動的に行なう一般的な自動洗濯乾燥コースが示されている。これらの一連の制御は、運転前に使用者が操作部9を操作してマイコン72に入力した指示にもとづき、マイコン72の図示しない不揮発メモリに予め格納されたプログラムによるタイマ機能および振動センサ23、電流センサ91、水位センサなどからの信号にもとづいて、マイコン72が行なう。
乾燥時間を短くするには最終脱水工程55における回転速度を上げて脱水率を上げる必要があり、最高で毎分1500回転としている。これにより、回転ドラム29の径にもよるが脱水率は約70%となる。
洗濯物30の乾燥工程56における定格乾燥容量は洗い工程51における定格洗濯容量に比較して少なくなっており、本実施形態では洗い工程51における定格洗濯容量は、例えば、9kg、乾燥工程56における定格乾燥容量は、例えば、7kgとする。
洗濯物30を回転ドラム29に収納し、操作部9の電源スイッチ62を入れて、運転工程を設定し、スタートボタンを押すと、乾燥工程56を実行するように選択されている場合は、給水工程50(図4参照)に入る前に、回転ドラム29を少し回転させて洗濯容量センシング手段である電流センサ91からの電流値信号によりマイコン72が、次のように乾燥工程56の制御を設定する。
回転ドラム29内の洗濯物30の量(乾燥容量)が定格乾燥容量以内であり、かつ、乾燥容量を複数段階レベルで判定した時の最大(乾燥容量最大)と判定しなかった場合、つまり、定格乾燥容量よりも少ない場合は、破線の曲線96に示す通常運転による乾燥工程56を行なうように乾燥工程の制御を設定する。
この通常運転とは、例えば、毎分40〜55回転(図5では毎分50回転)で正回転、休止、逆回転を繰り返し回転ドラム29が運転され、正回転、逆回転の運転時間は数分程度継続し、休止時間は回転ドラム29が自然に停止する時間としている。この状態で所定時間運転され、乾燥工程56が終了する。
この回転変動運転を含む運転は、図5の曲線97に示すように、回転ドラム29を毎分40〜55回転(図5では毎分50回転)で正回転、休止、逆回転させる繰り返し運転の前記通常運転の中に、脱水工程53と同様に立ち上げ時は回転ドラム29の回転速度を段階的に上げて洗濯物30の中央部に空間S(図7参照)ができる程度の回転速度、すなわち、毎分100〜300回転(図5では毎分300回転)にまで増加させて、その後急停止させる回転変動運転を挿入する運転である。このような毎分100〜300回転の高速後の急停止により、定格乾燥容量近辺でも回転ドラム29の径方向外側と径方向内側(以下、単に外側と内側と称する)の洗濯物30の入れ替えが効率的にできる。高速回転後の急停止の減速度は、脱水工程53と同様にドラム駆動用モータ36による逆相運転による電気的ブレーキで実現される。図5では、2回の正回転‐逆回転の通常運転の繰り返し後に、1回、高速回転後の急停止の回転変動運転を入れているが、その頻度は適宜予め設定するものである。
ステップS11では、洗濯物30を回転ドラム29内に挿入しドア3を閉じて、操作部9(図1参照)の図示しないスタートボタンを押した後の、給水前の状態で、回転ドラムを軽く起動して電流センサ91からの電流値信号にもとづき、洗濯容量センシングを行なう。
ドラム駆動用モータ36の電流検出の代わりに回転ドラムの回転速度の加速時間をマイコン72で検出しても良い。
ステップS13において定格容量の7kg以下の場合(Yes)は、ステップS15に進み、乾燥容量最大か否かを判定する。
このステップS15における洗濯物30の乾燥容量の判定は、乾燥容量を複数段階レベルに分けて行なう。洗濯物30の乾燥容量の段階レベル分けは、少ない機種では3段階、多い機種では任意の段階数であり、各段階のバンド幅として2〜3kgで段階分けする。
洗濯物30が少ない場合に回転変動運転を行なうと、回転速度増加時に回転ドラム29のアンバランスが発生し易いので、脱水工程53で、従来から行なっているような回転速度を増加させるのを一時停止して、アンバランスの修正をかける必要が生じる。洗濯物30が少ない場合にはこのようなアンバランスの修正回数が増加し、乾燥工程56の時間が長くなってしまう。また、回転ドラム29内の洗濯物30の外側と内側の入れ替えは、洗濯物30の乾燥容量が定格乾燥容量以内でもある程度大きいときにのみ、温風が中心部に行き渡らず乾燥むらが生じるので、必要となる。従って、洗濯容量センシング手段により洗濯物30の乾燥容量をセンシングすることにより、マイコン72が乾燥容量最大と判定したときのみ乾燥時の回転変動運転を行なうようにしている。
なお、乾燥容量の判定の段階レベルが、5段階以上の場合は、乾燥容量最大と判定する段階レベルを、上から2つの段階レベルとしても良い。
このため、乾燥工程56の定格乾燥容量すなわち乾燥容量最大時には、通常運転による毎分40〜55回転のときは洗濯物30の入れ替えが可能な空間がほとんど生じず、外側と内側との入れ替え行われないで外側のみが乾燥し、内側は乾燥しない状態となる。
例えば、除湿装置45通過前の循環空気の乾燥率を湿度センサと温度センサによって、検知したとしても、内側の洗濯物30の蒸発が促進されないので乾燥したと判断し、乾燥むらが大となる。本実施形態では乾燥むらをなくするため回転ドラム29内の洗濯物30の回転速度を増加することにより中央部に空間Sを作り、急停止した時に外側の洗濯物30を空間S(内側)に落としこむことを複数回行なうことにより、洗濯物30の外側と内側を入れ替えることができ、乾燥むらを低減できる。
この乾燥時回転変動運転を複数回繰り返し行なうことにより乾燥率が悪い内側の洗濯物30を外側に入れ替えることができるので乾燥効率を上げることができ、乾燥むらを効率良く改善できる。
なお、二次共振以上の回転速度または洗濯物30の乾燥容量が少ない状態での回転変動運転を行なう場合は振動センサ23からの信号レベルに相関させて、予め加速できる条件を決めて使用するとアンバランスによる修正を事前に予測することができるので修正時間を短くすることができる。
また、本実形態では、乾燥工程56における運転制御の設定を自動的に行なうこととしたが、回転変動運転を含む運転を操作部9の操作で設定できるようにしても良い。
さらに、本実施形態では、乾燥容量の判定を最初の給水前の状態の洗濯物30が乾燥状態で行なったが、それに限定されるものではない。最終脱水工程55後における洗濯容量センシング手段による判定、つまり、乾燥率0%の状態で判定しても良い。その場合は、洗濯物30が濡れているので、ステップS15での乾燥容量の判定条件の値を適宜変えるだけでよい。
湿度センサや温度センサによる乾燥率の検知を使用しない場合は、通常運転の場合でも一定時間経過毎に回転変動運転を挿入する。このようにすることにより、乾燥容量が最大と判定されない場合でも、長尺や大型の布でほぐれにくい洗濯物30の場合でも、外側と内側が入れ替えやすくなり、乾燥むらを低減できる。
3 ドア
9 操作部
10 表示部
20 外槽
23 振動センサ
29 回転ドラム
30 洗濯物
36 ドラム駆動用モータ(駆動モータ)
42 送風ファン(温風供給手段)
43 ヒータ(温風供給手段)
44 吹き出し口(温風供給手段)
45 除湿装置(温風供給手段)
46 通風口(温風供給手段)
62 電源スイッチ
67 インバータ回路
70 インバータ駆動回路
71 回転位置センサ(速度検出手段)
72 マイクロコンピュータ
73A、73B、73C リレー接点
74A、74B、74C リレー巻線
91 電流センサ(洗濯容量センシング手段)
100 制御回路(制御装置)
Claims (2)
- 外槽の内側に設けられた洗濯物を収納する回転ドラムと、前記外槽の外側に設けられるとともに前記回転ドラムの開口部の上側周縁部にその吹き出し口を開口させた温風供給手段と、前記回転ドラムを回転させる駆動モータと、該駆動モータの回転を制御する制御装置と、を備え、前記回転ドラムの軸が手前側に向かって斜め上方に傾斜しているドラム式洗濯乾燥機であって、
前記回転ドラムの回転速度を検出する速度検出手段と、
前記回転ドラム内に収納された洗濯物の容量を検出する洗濯容量センシング手段と、
前記回転ドラムのアンバランス回転を検知する振動センサと、
循環空気の乾燥率を検知する湿度センサまたは温度センサと、
を備え、
前記制御装置は、
前記洗濯容量センシング手段からの信号にもとづいて乾燥容量を複数段階レベルに判定し、乾燥容量最大の値を含む段階レベルと判定した場合に、
乾燥工程において、前記乾燥工程に入って所定時間後における乾燥率を前記湿度センサまたは温度センサにより検知し、その検知結果に応じて回転変動運転を行うか否かを判定し、
該回転変動運転を行うと判定したときに、前記速度検出手段からの信号と、前記振動センサが検知した振幅と、にもとづいて前記回転ドラム内に収納された洗濯物の中央部に前記回転ドラムの開口部から奥側にかけて空間ができるように、脱水工程における二次共振の回転速度よりも遅い前記二次共振を発生しない所定の回転速度まで前記回転ドラムの回転速度を増加させて、その後急停止させる前記回転変動運転を少なくとも1回含ませる制御を行なうことを特徴とするドラム式洗濯乾燥機。 - 外槽の内側に設けられた洗濯物を収納する回転ドラムと、前記外槽の外側に設けられるとともに前記回転ドラムの開口部の上側周縁部にその吹き出し口を開口させた温風供給手段と、前記回転ドラムを回転させる駆動モータと、該駆動モータの回転を制御する制御装置と、を備え、前記回転ドラムの軸が手前側に向かって斜め上方に傾斜しているドラム式洗濯乾燥機における乾燥工程の制御方法であって、
前記制御装置は、
乾燥容量を複数段階レベルに判定し、乾燥容量最大の値を含む段階レベルと判定した場合に、
前記乾燥工程に入って所定時間後における乾燥率を湿度センサまたは温度センサにより検知し、その検知結果に応じて回転変動運転を行うか否かを判定し、
該回転変動運転を行うと判定したときに、速度検出手段からの信号と、振動センサが検知した振幅と、にもとづいて前記回転ドラム内に収納された洗濯物の中央部に前記回転ドラムの開口部から奥側にかけて空間ができるように、脱水工程における二次共振の回転速度よりも遅い前記二次共振を発生しない所定の回転速度まで前記回転ドラムの回転速度を増加させて、その後急停止させる前記回転変動運転を少なくとも1回含ませることを特徴とするドラム式洗濯乾燥機における乾燥工程の制御方法。
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