JP4547846B2 - 車両用発電制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗用車やトラック等に搭載される車両用発電機の発電状態を制御する車両用発電制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近の車両用発電制御装置の中には、アイドリング時のエンジン回転の安定化等を図るために、エンジン起動時に車両用発電機の発電量を抑制する機能を有するものがある。一方で、車両用発電機の出荷検査等において、正確かつ短時間で出力特性を測定しようとすると、上述した機能を一時的に解除する必要がある。このような要請に応えるものとしては、特開平6−311800号公報に開示された「発電制御装置」が知られている。この発電制御装置は、車両用発電機あるいはバッテリの異常を運転者に知らせるチャージランプが接続されたL端子の電圧が所定電圧以下のときに、界磁電流制限回路による界磁電流の制限動作を解除する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、最近では、車両用発電機の高出力化等に伴う各部の温度上昇を抑えるために、様々な工夫がなされている。例えば、車両用発電制御装置においては、自己発熱を低減するために、車両用発電機の界磁コイルの電流を制御するスイッチング素子やチャージランプの点灯制御を行うスイッチング素子として、消費電力が少ないMOS型のFETを使用している。ところが、チャージランプをMOS型のFETで点灯制御する場合には、バイポーラ型のトランジスタを使用する場合に比べてL端子電圧が低くなって所定電圧以下になる場合も考えられ、界磁電流の制限動作が誤って解除されてしまうおそれがある。これにより、電気負荷投入時に一時的にチャージランプが点灯したときに、車両用発電機の発電トルクが急激に増加して、エンジン振動が増すとともに、最悪の場合には車両が失速するおそれもある。
【0004】
また、最近では、車両に用いられている各種配線の接続を簡略化して、接続作業の煩わしさの回避や接続部を減らすことによる信頼性向上等を目的として、重要度の低い配線が廃止される傾向がある。車両用発電機の配線についても例外ではなく、特に、車両側のキースイッチが投入されたことを検出して車両用発電制御装置の動作状態を維持するために用いられるIG線と、車両用発電機あるいはバッテリの異常を運転者に知らせるためにチャージランプに接続されるL線とを共用化する手法が一般的となっている。このため、上述した公報に開示された発電制御装置のように、出荷検査においてL端子電圧を所定電圧値以下に保つと、正常な発電制御状態を維持できなくなり、車両用発電機が発電不能になってしまう。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、車両用発電機の発電状態を維持しながら必要に応じて界磁電流の制限動作を解除することができる車両用発電制御装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、本発明の車両用発電制御装置は、車両用発電機の界磁巻線に直列接続されたスイッチング手段と、車両用発電機の出力電圧あるいは車両用発電機に接続されるバッテリの端子電圧を所定の調整電圧設定値に制御する電圧制御手段と、スイッチング手段のオンオフ動作を制限することにより、界磁巻線に流れる電流を抑制する界磁電流抑制手段と、外部に接続される接続端子の電圧が、調整電圧設定値よりも大きな基準電圧以上のときに、界磁電流抑制手段の動作を禁止する禁止手段とを備えている。これにより、外部から接続端子に基準電圧以上の電圧を印加することにより、確実に禁止手段を動作させて界磁電流抑制手段の動作を禁止することができるため、出荷検査や出力検査等において、正確かつ短時間に出力特性を判定することができる。特に、車両用発電機の出力電圧あるいはバッテリの端子電圧の調整電圧設定値よりも高い基準電圧が設定されているため、通常の発電動作において誤って禁止手段が動作してしまうことを回避することができ、車両用発電機の発電状態を維持しながら必要に応じて界磁電流の制限動作を解除することが可能になる。
【0007】
また、上述した禁止手段は、接続端子の電圧が、所定時間以上基準電圧以上のときに、界磁電流抑制手段の動作を禁止することが望ましい。これにより、電源ライン等に発生するノイズによって禁止手段が誤動作することを防止することができ、キースイッチ投入時等のノイズの発生が多い場合であっても確実に界磁電流抑制を行うことが可能になる。
【0008】
また、上述した車両用交流発電機に含まれる整流装置がツェナーダイオードを用いて構成されている場合に、基準電圧は、ツェナーダイオードの降伏電圧以上に設定されていることが望ましい。車載用機器においてサージが発生した場合であっても、車両用発電機の整流装置によって降伏電圧以上のサージが吸収されるため、通常時において基準電圧以上の電圧が接続端子に印加されることはなく、禁止手段の誤動作を防止して確実に界磁電流抑制手段を動作させることができる。
【0009】
具体的には、上述した接続端子は、外部の発電表示手段が接続された端子、電源電圧を生成する電源駆動手段に接続された端子、車両用発電機の発電状態を外部に出力する端子、車両用発電機の発電特性の変更信号が外部から入力される端子、バッテリの端子電圧を検出する端子のいずれかとすることが望ましい。これらの各端子は、バッテリやキースイッチあるいは外部制御装置(例えばエンジン制御装置)等に接続するために外部に開放されているため、出荷検査時等において高電圧を印加することが容易であり、特別な端子の追加等を行うことなく、界磁電流抑制手段の動作を禁止することが可能になる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した一実施形態の車両用発電制御装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
〔第1の実施形態〕
図1は、本発明を適用した第1の実施形態の車両用発電制御装置の構成を示す図であり、あわせてこの車両用発電制御装置と車両用発電機やバッテリ等との接続状態が示されている。
【0011】
図1において、車両用発電制御装置1は、車両用発電機2の出力電圧を所定範囲内に制御する。車両用発電機2は、固定子に含まれる3相の固定子巻線21と、回転子に含まれる界磁巻線22と、固定子巻線21の三相出力を全波整流する整流装置23とを含んで構成されている。この車両用発電機2の出力電圧の制御は、界磁巻線22に通電する界磁電流を調整することにより行われる。車両用発電機2の出力電圧(B端子)はバッテリ3や電気負荷4に接続されており、車両用発電機2からこれらに対して電流が供給される。
【0012】
次に、車両用発電制御装置1の詳細構成について説明する。図1に示すように、車両用発電制御装置1は、界磁巻線22に直列に接続されて界磁電流を断続するスイッチング素子としてのMOS型のFET11と、界磁巻線22に並列に接続されてFET11がオフ状態のときに界磁電流を還流させる還流ダイオード12と、車両用発電機2のB端子に現れる出力電圧が所定の調整電圧設定値となるようにFET11のオンオフ状態を制御する電圧制御回路13と、界磁巻線22に流れる電流の増加速度を抑制する界磁電流抑制回路14と、L端子とIG端子の間に接続されたチャージランプ6を駆動するチャージランプ駆動回路15と、界磁電流抑制回路14による電流の増加速度の抑制動作を禁止する禁止回路16と、界磁電流抑制回路14と禁止回路16の各出力の論理和を求めるオア回路17と、このオア回路17と電圧制御回路13の各出力の論理積信号を求めてFET11のゲートに入力するアンド回路18とを含んで構成されている。
【0013】
上述した電圧制御回路13は、抵抗131、132、電圧比較器133によって構成されている。2つの抵抗131、132によって、車両用発電機2のB端子の電圧を分圧する分圧回路が構成されており、分圧電圧が電圧比較器133のマイナス側入力端子に印加されている。電圧比較器133は、マイナス側入力端子に印加された分圧電圧と、プラス側入力端子に印加されている基準電圧Vref とを比較しており、車両用発電機2のB端子の電圧が所定の調整電圧設定値よりも低くなってこのB端子の電圧に連動する分圧電圧が基準電圧Vref よりも低くなったときに、出力をハイレベルにする。反対に、車両用発電機2のB端子の電圧が所定の調整電圧設定値よりも高くなってこのB端子の電圧に連動する分圧電圧が基準電圧Vref よりも高くなったときに、電圧比較器133の出力がローレベルになる。
【0014】
また、チャージランプ駆動回路15は、電圧比較器151、アンド回路152、MOS型のFET153、抵抗154によって構成されている。電圧比較器151は、固定子巻線21のいずれかの相の一方端が接続されたP端子の電圧(相電圧)がマイナス側入力端子に印加されており、この相電圧がプラス側入力端子に印加された所定の基準電圧Vbよりも低いときに、出力をハイレベルにする。電圧比較器151の出力端子はアンド回路152を介してFET153のゲートに接続されており、電圧比較器151の出力がハイレベルになるとFET153がオン状態になり、L端子とIG端子との間に接続されたチャージランプ6が点灯する。反対に、相電圧が基準電圧Vbよりも高くなると、電圧比較器151の出力がローレベルになって、チャージランプ6が消灯する。なお、抵抗154は、FET153の動作電圧を供給するために用いられる。
【0015】
また、禁止回路16は、電圧比較器161、遅延回路162、インバータ回路163によって構成されている。電圧比較器161は、L端子電圧がプラス側入力端子に印加されており、このL端子電圧がマイナス側入力端子に印加された所定の基準電圧Vcよりも高いときに、出力をハイレベルにする。反対に、L端子電圧が基準電圧Vcよりも低いときには電圧比較器161の出力がローレベルになる。遅延回路162は、電圧比較器161の出力端子が接続されており、この電圧比較器161から入力される信号を一定時間遅延する。インバータ回路163は、遅延回路162の出力の論理を反転し、この反転信号をチャージランプ駆動回路15内のアンド回路152に向けて出力する。
【0016】
L端子電圧が基準電圧Vcよりも高い場合に、電圧比較器161の出力信号がハイレベルになり、この出力信号が遅延回路162を介してオア回路17の一方の入力端子に入力されるため、他方の入力端子に出力信号が入力された界磁電流抑制回路14の機能(界磁電流抑制機能)を解除することができる。また、このとき、遅延回路162の出力信号をインバータ回路163によって反転させたローレベルの信号がチャージランプ駆動回路15内のアンド回路152の一方の入力端子に入力されるため、アンド回路152の出力信号がローレベルに固定される。これにより、界磁電流抑制機能が解除されている間は、L端子に高電圧が印加されてもFET153を動作させないようにして、このFET153に大きなダメージが加わることを防止している。
【0017】
なお、上述した禁止回路16内の電圧比較器161のマイナス側入力端子に印加される基準電圧Vcは、車両用発電機2の出力電圧を制御するために用いられる調整電圧設定値よりも高い値(例えば20V)に設定されている。また、この基準電圧Vcは、整流装置23を構成するツェナーダイオードの降伏電圧以上に設定されている。すなわち、正常動作時には、整流装置23の降伏電圧以上の電圧は発生しないため、このような基準電圧Vcを用いることにより、禁止回路16を確実に機能させることが可能になる。
【0018】
上述した電圧制御回路13が電圧制御手段に、界磁電流抑制回路14が界磁電流抑制手段に、禁止回路16が禁止手段に、チャージランプ6が発電表示手段にそれぞれ対応する。
本実施形態の車両用発電制御装置1はこのような構成を有しており、次にその動作を説明する。
【0019】
エンジンが停止中にキースイッチが投入されると、車両用発電機2は発電していないためチャージランプ駆動回路15内の電圧比較器151の出力がハイレベルになる。また、このときL端子電圧は基準電圧Vcよりも低いため、禁止回路16は非動作状態となって、インバータ回路163からはハイレベルの信号が出力される。したがって、チャージランプ駆動回路15内のアンド回路152の2つの入力端子に入力される信号がともにハイレベルになって、FET153がオン状態に駆動され、L端子とIG端子の間に接続されたチャージランプ6が点灯する。
【0020】
エンジンが始動し、車両用発電機2が発電を開始して、固定子巻線21の1相電圧Vpが基準電圧Vb以上になると、チャージランプ駆動回路15内の電圧比較器151の出力がローレベルになるため、アンド回路152の出力もローレベルになる。したがって、アンド回路152の出力信号によって駆動されるFET153がオフ状態になって、チャージランプ6が消灯する。また、車両用発電機2の出力電圧は、電圧制御回路13によってFET11のオンオフ状態を制御して界磁巻線22に流れる電流を調整することにより、所定の調整電圧設定値(例えば14.5V)となるように制御される。
【0021】
次に、車両用発電制御装置1による発電制御が安定している状態において電気負荷4が投入された場合の界磁電流制御回路14の動作について説明する。
図2は、界磁電流制御機能が有効になったときの車両用発電制御装置1の各部の電圧あるいは信号波形を示す図である。また、図3は界磁電流制御機能が解除されたときの車両用発電制御装置1の各部の電圧あるいは信号波形を示す図である。
【0022】
例えば、車両用発電機2が車両に搭載されて発電中であって、F端子の平均導通率が60%で発電制御が安定状態にある場合には、界磁電流抑制回路14の出力信号は、図2(b)に示すように、70%のデューティ比を有する信号を出力している。この状態において大きな電気負荷4が投入されると、図2(a)に示すように、車両用発電機2の出力電圧は、車両用発電機2のみでは電気負荷電流を供給することができないため、下限値VL 以下に低下してしまう。そのため、電圧制御回路13の出力信号は、図2(e)に示すように、ハイレベルを維持する。
【0023】
このとき、界磁電流抑制回路14からはデューティ比70%の信号を出力するとともに、禁止回路16の出力はローレベルを維持するため、オア回路17からはデューティ比70%の界磁電流抑制回路14の出力信号がそのまま出力される。このため、アンド回路18からは、このオア回路17の出力信号が出力され、FET11がデューティ比70%で制御される。その後、界磁電流抑制回路14は、図2(b)に示すように、出力信号のデューティ比を70%から徐々に増加させる。このとき、L端子電圧は基準電圧Vc以下であり、禁止回路16の出力信号は、図2(c)に示すように、ローレベルを維持する。
【0024】
これにより、FET11がオン制御される比率が徐々に増加して、界磁巻線22に流れる電流が徐々に上昇し、図2(a)に示すように、車両用発電機2の出力電圧が次第に高くなる。したがって、電気負荷4が投入されたときは、FET11の平均導通率が急激に上昇せずに徐々に上昇するため、エンジンに対して車両用発電機2の負荷(発電トルク)もゆっくり加えられることになり、急激な電気負荷4の投入によるエンジン振動の増加、失速を防止することができる。
【0025】
上述したように、通常時においてL端子電圧は、基準電圧Vc以上にはならないため、禁止回路16が働かず、出力信号がローレベルに固定され、界磁電流抑制回路14による界磁電流抑制機能は解除されることはない。これに対して、L端子電圧を基準電圧Vc以上にすることにより、禁止回路16の出力信号がハイレベルになるため(図3(c))、オア回路17の出力が常にハイレベルとなり(図3(d))、界磁電流抑制機能が解除される。また、このとき、禁止回路16内のインバータ回路163の出力がローレベルになるため、チャージランプ駆動回路15内のアンド回路152の出力が常にローレベルになり、FET153がオフ状態を維持するため、チャージランプ6が点灯することはない。
【0026】
このように、L端子に基準電圧Vc以上の電圧を印加することにより、確実に禁止回路16を動作させて界磁電流抑制回路14の動作を禁止することができるため、出荷検査や出力検査等において、正確かつ短時間に出力特性を判定することができる。特に、車両用発電機2の出力電圧の調整電圧設定値よりも高い基準電圧が設定されているため、通常の発電動作において誤って禁止回路16が動作してしまうことを回避することができ、車両用発電機2の発電状態を維持しながら必要に応じて界磁電流の制限動作を解除することが可能になる。
【0027】
また、禁止回路16は、遅延回路162を備えることにより、L端子の電圧が、所定時間以上基準電圧Vc以上のときに、界磁電流抑制回路14の動作を禁止するようになっており、これにより、電源ライン等に発生するノイズによって禁止回路16が誤動作することを防止することができる。したがって、キースイッチ5投入時等のノイズの発生が多い場合であっても確実に界磁電流抑制を行うことが可能になる。
【0028】
〔第2の実施形態〕
図4は、本発明を適用した第2の実施形態の車両用発電制御装置1Aの構成を示す図であり、あわせてこの車両用発電制御装置1Aと車両用発電機2やバッテリ3等との接続状態が示されている。本実施形態の車両用発電制御装置1Aは、図1に示した車両用発電制御装置1に対して、L端子に接続された電源駆動回路31が追加された点と、IG端子が廃止された点が異なっている。以下では、この相違点に着目して説明する。
【0029】
電源駆動回路31は、電圧比較器311、トランジスタ312、314、抵抗313、315、ツェナーダイオード316によって構成されている。電圧比較器311は、L端子電圧がプラス側入力端子に接続されており、この電圧がマイナス側入力端子に印加された所定の基準電圧Vdよりも高いときに、出力をハイレベルにする。電圧比較器311の出力端子はトランジスタ312のベースに接続されており、電圧比較器311の出力がハイレベルになるとトランジスタ312がオン状態になって、これに伴って後段のトランジスタ314もオン状態になるため、抵抗315とツェナーダイオード316の直列回路に電流が流れる。以後、ツェナーダイオード316の両端電圧が抵抗19および抵抗154のそれぞれを介してFET11、153の各ゲートに印加され、これらのオンオフ制御が有効になる。なお、車両用発電機2が発電を開始した後の車両用発電制御装置1Aによる制御動作は、上述した第1の実施形態の車両用発電制御装置1の動作と同じである。
【0030】
このように、IG端子が省略された場合であっても、出荷検査時等において、L端子電圧を基準電圧Vc以上に設定することにより、任意のタイミングで界磁電流抑制機能を解除することができる。また、車両用発電機2が車両に搭載された通常時には、大きな電気負荷4が投入された場合であっても、界磁電流抑制機能が解除されたり、チャージランプが点灯する等の誤動作を防止することができる。したがって、車両用発電機2の発電状態を維持しながら、必要に応じて界磁電流の制限動作を解除することができる。
【0031】
〔第3の実施形態〕
図5は、本発明を適用した第3の実施形態の車両用発電制御装置1Bの構成を示す図であり、あわせてこの車両用発電制御装置1Bと車両用発電機2やバッテリ3等との接続状態が示されている。本実施形態の車両用発電制御装置1Bは、図1に示した車両用発電制御装置1に対して、禁止回路16を禁止回路16Aに置き換えた点が異なっている。この禁止回路16Aは、禁止回路16と同じ構成を有しており、電圧比較器161のプラス側入力端子にIG端子が接続されている。本実施形態の車両用発電制御装置1Bでは、禁止回路16Aの動作条件が、L端子電圧からIG端子電圧に変更されており、それ以外の構成および動作については図1に示した車両用発電制御装置1と同じである。したがって、出荷検査時等において、IG端子電圧を基準電圧Vc以上に設定することにより、任意のタイミングで界磁電流抑制機能を解除することができる。また、車両用発電機2が車両に搭載された通常時には、大きな電気負荷4が投入された場合であっても、界磁電流抑制機能が解除されたり、チャージランプが点灯する等の誤動作を防止することができる。したがって、車両用発電機2の発電状態を維持しながら、必要に応じて界磁電流の制限動作を解除することができる。
【0032】
〔第4の実施形態〕
図6は、本発明を適用した第4の実施形態の車両用発電制御装置1Cの構成を示す図であり、あわせてこの車両用発電制御装置1Cと車両用発電機2やバッテリ3等との接続状態が示されている。本実施形態の車両用発電制御装置1Cは、図1に示した車両用発電制御装置1に対して、車両用発電機2の発電状態を検出する発電状態検出回路32とこの検出結果を出力するFR端子が追加された点と、禁止回路16が禁止回路16Bに、チャージランプ駆動回路15がチャージランプ駆動回路15Aに置き換えられた点が異なっている。以下では、この相違点に着目して説明する。
【0033】
禁止回路16Bは、禁止回路16と同じ構成を有しており、電圧比較器161のプラス側入力端子にFR端子が接続されている。また、チャージランプ駆動回路15Aは、チャージランプ駆動回路15に対してアンド回路152が省略された構成を有している。
【0034】
また、発電状態検出回路32は、アンド回路221およびMOS型のFET222によって構成されている。アンド回路221は、一方の入力端子がアンド回路18の出力端子に、他方の入力端子が禁止回路16B内のインバータ回路163の出力端子にそれぞれ接続されている。アンド回路221の出力端子はFET222のゲートに接続されている。このFET222は、禁止回路16B内のインバータ回路163の出力がハイレベルのときに、界磁巻線22に流れる電流をオンオフ制御するFET11と同一動作を行う。
【0035】
車両用発電機2が車両に搭載されて発電を行う通常動作時には、FR端子の電圧は基準電圧Vc以下であり、禁止回路16Bは非動作の状態にある。このとき、禁止回路16B内のインバータ回路163の出力はハイレベルに固定されるため、発電状態検出回路32内のFET222は、界磁電流を制御するFET11と同じオンオフ状態に制御され、FR端子からは車両用発電機2の発電状態を示す信号が出力される。一方、出荷検査時等において、FR端子電圧を基準電圧Vc以上に設定することにより、任意のタイミングで界磁電流抑制機能を解除することができる。特に、FR端子に基準電圧Vc以上の高電圧が印加されているときに、発電状態検出回路32内のFET222をオフ状態にすることにより、FET222に大きなダメージが加わることを防止することができる。
【0036】
〔第5の実施形態〕
図7は、本発明を適用した第5の実施形態の車両用発電制御装置1Dの構成を示す図であり、あわせてこの車両用発電制御装置1Dと車両用発電機2やバッテリ3等との接続状態が示されている。本実施形態の車両用発電制御装置1Dは、図1に示した車両用発電制御装置1に対して、外部から送られてくる変更指示信号を受け取るC端子と、このC端子で受け取った変更指示信号に応じて車両用発電機2の発電特性を変更する発電特性変更回路33が追加された点と、禁止回路16が禁止回路16Cに、チャージランプ駆動回路15がチャージランプ駆動回路15Aに置き換えられた点が異なっている。以下では、この相違点に着目して説明する。
【0037】
禁止回路16Cは、禁止回路16に対してインバータ回路163が省略された構成を有しており、電圧比較器161のプラス側入力端子にC端子が接続されている。また、チャージランプ駆動回路15Aは、チャージランプ駆動回路15に対してアンド回路152が省略された構成を有している。
【0038】
また、発電特性変更回路33は、C端子に入力される変更指示信号を検知したときに、電圧制御回路13および界磁電流抑制回路14に対して発電特性変更信号を出力する。これにより、車両用発電機2の発電特性が変更される。
このように、通常時には、外部からC端子に変更指示信号を入力することにより、車両用発電機2の発電特性を変更することができる。一方、出荷検査時等において、C端子電圧を基準電圧Vc以上に設定することにより、任意のタイミングで界磁電流抑制機能を解除することができる。
【0039】
〔第6の実施形態〕
図8は、本発明を適用した第6の実施形態の車両用発電制御装置1Eの構成を示す図であり、あわせてこの車両用発電制御装置1Eと車両用発電機2やバッテリ3等との接続状態が示されている。本実施形態の車両用発電制御装置1Eは、図1に示した車両用発電制御装置1に対して、バッテリ3の端子電圧を検出するS端子を追加した点と、禁止回路16が禁止回路16Dに、チャージランプ駆動回路15がチャージランプ駆動回路15Aに、電圧制御回路13が電圧制御回路13Aに置き換えられた点が異なっている。以下では、この相違点に着目して説明する。
【0040】
禁止回路16Dは、禁止回路16に対してインバータ回路163が省略された構成を有しており、電圧比較器161のプラス側入力端子にS端子が接続されている。チャージランプ駆動回路15Aは、チャージランプ駆動回路15に対してアンド回路152が省略された構成を有している。電圧制御回路13Aは、電圧制御回路13と同じ構成を有しており、S端子電圧を抵抗131、132で分圧した電圧が電圧比較器133のマイナス側入力端子に印加されている。
【0041】
車両用発電機2が車両に搭載されて発電を行う通常動作時には、S端子の電圧は基準電圧Vc以下であり、禁止回路16Dは非動作の状態にある。このとき、電圧制御回路13AによってこのS端子電圧が所定の調整電圧設定値に一致するようにFET11がオンオフ制御される。一方、出荷検査時等において、S端子電圧を基準電圧Vc以上に設定することにより、任意のタイミングで界磁電流抑制機能を解除することができる。
【0042】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、界磁電流抑制回路14に界磁電流の増加速度を抑制する機能を持たせたが、この機能に代えて、あるいはこの機能に加えて、例えばエンジン始動時の一定時間だけ発電を停止させて一定時間界磁電流を最小に設定する機能を持たせるようにしてもよい。また、上述した各実施形態では、L端子、IG端子、FR端子、C端子、S端子に基準電圧Vc以上の電圧を引加するようにしたが、外部に接続されるそれ以外の接続端子を利用するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態の車両用発電制御装置の構成を示す図である。
【図2】界磁電流制御機能が有効になったときの車両用発電制御装置の各部の電圧あるいは信号波形を示す図である。
【図3】界磁電流制御機能が解除されたときの車両用発電制御装置の各部の電圧あるいは信号波形を示す図である。
【図4】第2の実施形態の車両用発電制御装置の構成を示す図である。
【図5】第3の実施形態の車両用発電制御装置の構成を示す図である。
【図6】第4の実施形態の車両用発電制御装置の構成を示す図である。
【図7】第5の実施形態の車両用発電制御装置の構成を示す図である。
【図8】第6の実施形態の車両用発電制御装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 車両用発電制御装置
2 車両用発電機
3 バッテリ
4 電気負荷
5 キースイッチ
11 FET
12 還流ダイオード
13 電圧制御回路
14 界磁電流抑制回路
15 チャージランプ駆動回路
16 禁止回路
17 オア回路
18 アンド回路
21 固定子巻線
22 界磁巻線
23 整流装置
Claims (8)
- 車両用発電機の界磁巻線に直列接続されたスイッチング手段と、
前記車両用発電機の出力電圧あるいは前記車両用発電機に接続されるバッテリの端子電圧を所定の調整電圧設定値に制御する電圧制御手段と、
前記スイッチング手段のオンオフ動作を制限することにより、前記界磁巻線に流れる電流を抑制する界磁電流抑制手段と、
外部に接続される接続端子の電圧が、前記調整電圧設定値よりも大きな基準電圧以上のときに、前記界磁電流抑制手段の動作を禁止する禁止手段と、
を備えることを特徴とする車両用発電制御装置。 - 請求項1において、
前記禁止手段は、前記接続端子の電圧が、所定時間以上前記基準電圧以上のときに、前記界磁電流抑制手段の動作を禁止することを特徴とする車両用発電制御装置。 - 請求項1または2において、
前記車両用交流発電機に含まれる整流装置がツェナーダイオードを用いて構成されている場合に、前記基準電圧は、前記ツェナーダイオードの降伏電圧以上に設定されていることを特徴とする車両用発電制御装置。 - 請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記接続端子は、外部の発電表示手段が接続された端子であることを特徴とする車両用発電制御装置。 - 請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記接続端子は、電源電圧を生成する電源駆動手段に接続された端子であることを特徴とする車両用発電制御装置。 - 請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記接続端子は、前記車両用発電機の発電状態を外部に出力する端子であることを特徴とする車両用発電制御装置。 - 請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記接続端子は、前記車両用発電機の発電特性の変更信号が外部から入力される端子であることを特徴とする車両用発電制御装置。 - 請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記接続端子は、前記バッテリの端子電圧を検出する端子であることを特徴とする車両用発電制御装置。
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