上述したような現像剤電界搬送装置を備えた前記画像形成装置においては、例えば、「白地かぶり」の発生を抑制するため、あるいは、必要な画像濃度を得るために、前記現像剤搬送方向における前記現像剤の搬送状態を、適切に設定する必要がある。
ここで、「白地かぶり」とは、前記現像剤による画素が形成されない白地部分に誤って画素が形成される現象をいう。かかる「白地かぶり」は、所定の現像剤供給対象(感光体ドラム等)の近傍の空間中(特に、本来前記現像剤供給対象に対して前記現像剤が供給されるべき所定の位置(現像位置あるいは現像剤担持位置)から離隔した位置)に、前記現像剤が誤って噴出された場合に顕著に生じる。
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明の目的は、現像剤搬送方向における現像剤の搬送状態を適切に設定することができる現像剤電界搬送装置、及び当該現像剤電界搬送装置を備えることで現像剤による画像形成をより良好に行うことができる画像形成装置、を提供することにある。
本発明の現像剤電界搬送装置は、帯電した現像剤を、電界により所定の現像剤搬送方向に沿って搬送し得るように構成されている。この現像剤電界搬送装置は、現像剤担持体と対向するように配置されている。
前記現像剤担持体は、現像剤担持面を有している。この現像剤担持面は、前記現像剤担持体の表面であって、前記現像剤が担持され得る面である。この現像剤担持面は、所定の主走査方向と平行に形成されている。
前記現像剤担持面は、所定の移動方向に沿って移動し得るようになっている。この移動方向は、前記主走査方向と直交する副走査方向と平行となるように設定され得る。
具体的には、前記現像剤担持体としては、例えば、電位分布による静電潜像が形成され得るように構成された静電潜像担持体が用いられ得る。この場合、前記現像剤担持面は、潜像形成面によって構成されている。前記潜像形成面は、前記静電潜像担持体の周面である。この潜像形成面は、前記静電潜像が形成され得るように構成されている。
あるいは、前記現像剤担持体としては、例えば、前記副走査方向に沿って搬送される記録媒体(用紙等)が用いられ得る。この場合、前記現像剤担持面は、前記記録媒体の表面(被記録面)によって構成されている。
あるいは、前記現像剤担持体としては、例えば、ローラ、スリーブ、又はベルト状の部材(現像ローラ、現像スリーブ、中間転写ベルト等)が用いられ得る。これらの部材は、例えば、前記記録媒体や前記静電潜像担持体と対向するように配置されている。そして、これらの部材は、前記記録媒体や前記静電潜像担持体上に前記現像剤を転写し得るように構成・配置されている。
本発明の現像剤電界搬送装置は、複数の搬送電極を備えている。
前記搬送電極は、前記副走査方向と交差する方向の長手方向を有するように構成されている。また、前記搬送電極は、前記副走査方向に沿って配列されている。そして、これら複数の搬送電極は、進行波状の電圧が印加されることで、進行波状の電界を発生させ、この電界によって前記現像剤を所定の現像剤搬送方向に搬送し得るように構成(及び配置)されている。
本発明の画像形成装置は、前記現像剤担持体としての静電潜像担持体と、現像剤供給装置と、を備えている。
前記静電潜像担持体は、潜像形成面を有する。この潜像形成面は、所定の主走査方向と平行に形成されている。この潜像形成面は、電位分布による静電潜像が形成され得るように構成されている。そして、前記静電潜像担持体は、前記潜像形成面が前記主走査方向と直交する副走査方向に沿って移動し得るように構成されている。
前記現像剤供給装置は、前記静電潜像担持体と対向するように配置されている。この現像剤供給装置は、現像剤を帯電した状態で前記潜像形成面に供給し得るように構成されている。この現像剤供給装置は、前記現像剤電界搬送装置を備えている。
本発明における上述の目的を達成するため、本発明の現像剤電界搬送装置及びこれを備えた画像形成装置は、以下のように構成され得る。
(1)前記現像剤電界搬送装置(前記現像剤供給装置)は、電極支持部材と、搬送電極被覆部材と、を備えている。
前記電極支持部材は、前記搬送電極を支持するように構成されている。この電極支持部材の表面上に、前記搬送電極が支持されている。
前記搬送電極被覆部材は、前記電極支持部材の前記表面及び前記搬送電極を覆うように形成されている。この搬送電極被覆部材は、現像剤搬送面を備えている。この現像剤搬送面は、前記主走査方向と平行で前記現像剤担持面(前記潜像形成面)と対向する面である。
また、前記現像剤電界搬送装置(前記現像剤供給装置)は、搬送電極被覆中間層を備え得る。この搬送電極被覆中間層は、前記搬送電極被覆部材と前記搬送電極との間に形成されている。
前記現像剤電界搬送装置(前記現像剤供給装置)は、前記現像剤担持面と前記現像剤搬送面とが対向する対向領域とその他の部分が、以下のような特徴的な構成を有している。
(1−1)前記搬送電極被覆部材は、前記対向領域よりも、前記現像剤搬送方向における上流側及び下流側の方が、比誘電率が高くなるように構成され得る。
かかる構成においては、進行波状の電圧が前記搬送電極に印加された場合に、前記対向領域よりも、前記上流側及び前記下流側の方が、前記現像剤が搬送され得る前記現像剤搬送面の近傍の空間における電界の強度が低くなる。換言すれば、前記上流側及び前記下流側よりも、前記対向領域の方が、前記電界の強度が高くなる。
よって、かかる構成においては、例えば、前記現像剤担持面(前記潜像形成面)と前記現像剤搬送面とが最近接状態にて対向する前記現像剤担持位置(前記現像位置)の近傍に前記対向領域を設定することで、当該現像位置の近傍にて前記電界の強度を最も高くすることができる。
これにより、前記現像剤担持位置(前記現像位置)の近傍の領域(前記対向領域)に向けて、前記現像剤が効率よく供給される。よって、前記現像剤担持面(前記潜像形成面)における前記現像剤の担持の効率(前記静電潜像の現像の効率)が、向上し得る。したがって、必要な画像濃度が確実に得られるようになり得る。
あるいは、かかる構成においては、例えば、前記現像剤電界搬送装置を覆う筐体(前記現像剤供給装置の筐体)に、前記現像剤搬送面を前記現像剤担持面(前記潜像形成面)に向けて露出するための開口部が形成されている場合に、この開口部の端縁を、前記対向領域よりも比誘電率が高い(電界強度が低い)領域に設けることができる。
これにより、当該開口部の当該端縁の近傍における、前記筐体からの前記現像剤の不用意な噴出が、効果的に抑制され得る。よって、上述の「白地かぶり」の発生が、効果的に抑制され得る。
このように、かかる構成によれば、前記現像剤搬送方向における前記現像剤の搬送状態が、適切に設定され得る。したがって、かかる構成によれば、前記現像剤による画像形成がより良好に行われ得る。
(1−2)前記搬送電極被覆部材は、上流側中間部を備え得る。この上流側中間部は、前記現像剤搬送方向における最上流部と、前記対向領域との間に設けられている。この上流側中間部は、比誘電率が前記最上流部と前記対向領域との中間となるように構成されている。
ここで、前記最上流部から前記上流側中間部を経て前記対向領域に至るにつれて、比誘電率が段階的に変化するように、前記最上流部、前記上流側中間部、及び前記対向領域における前記搬送電極被覆部材が構成されていてもよい。あるいは、前記最上流部から前記対向領域まで比誘電率が連続的に変化するように、前記最上流部、前記上流側中間部、及び前記対向領域における前記搬送電極被覆部材が構成されていてもよい。
かかる構成においては、前記最上流部から前記上流側中間部を経て前記対向領域に至るにつれて、前記電界の強度が徐々に高くなる。
これにより、例えば、前記最上流部から前記対向領域に向かうにつれての、前記現像剤の加速が、スムーズに行われ得る。すなわち、前記最上流部から前記対向領域(前記現像剤担持位置ないし前記現像位置)への前記現像剤の供給が、スムーズに行われ得る。
(1−3)前記搬送電極被覆部材は、下流側中間部を備え得る。この下流側中間部は、前記現像剤搬送方向における最下流部と、前記対向領域との間に設けられている。この下流側中間部は、比誘電率が前記最下流部と前記対向領域との中間となるように構成されている。
ここで、前記対向領域から前記下流側中間部を経て前記最下流部に至るにつれて、比誘電率が段階的に変化するように、前記対向領域、前記下流側中間部、及び前記最下流部における前記搬送電極被覆部材が構成されていてもよい。あるいは、前記対向領域から前記最下流部まで比誘電率が連続的に変化するように、前記対向領域、前記下流側中間部、及び前記最下流部における前記搬送電極被覆部材が構成されていてもよい。
かかる構成においては、前記対向領域から前記下流側中間部を経て前記最下流部に至るにつれて、前記電界の強度が徐々に低くなる。
これにより、前記対向領域(前記現像剤担持位置ないし前記現像位置)を経た前記現像剤が前記最下流部(前記筐体の内部)に向けて排出される際に、前記現像剤の流れが局所的に滞ることで、特定の部位に前記現像剤が滞留することが、効果的に抑制され得る。よって、前記対向領域(前記現像剤担持位置ないし前記現像位置)から前記最下流部(前記筐体の内部)に向けての前記現像剤の排出が、スムーズに行われ得る。
(1−4)前記搬送電極被覆中間層は、前記対向領域よりも、前記現像剤搬送方向における上流側及び下流側の方が、比誘電率が高くなるように構成され得る。
かかる構成においては、進行波状の電圧が前記搬送電極に印加された場合に、前記対向領域よりも、前記上流側及び前記下流側の方が、前記電界の強度が低くなる。
これにより、上述のように、前記現像剤搬送方向における前記現像剤の搬送状態が、適切に設定され得る。したがって、かかる構成によれば、前記現像剤による画像形成がより良好に行われ得る。
(1−5)前記搬送電極被覆中間層は、上流側中間部を備え得る。この上流側中間部は、前記現像剤搬送方向における最上流部と、前記対向領域との間に設けられている。この上流側中間部は、比誘電率が前記最上流部と前記対向領域との中間となるように構成されている。
ここで、前記最上流部から前記上流側中間部を経て前記対向領域に至るにつれて、比誘電率が段階的に変化するように、前記最上流部、前記上流側中間部、及び前記対向領域における前記搬送電極被覆中間層が構成されていてもよい。あるいは、前記最上流部から前記対向領域まで比誘電率が連続的に変化するように、前記最上流部、前記上流側中間部、及び前記対向領域における前記搬送電極被覆中間層が構成されていてもよい。
かかる構成においては、前記最上流部から前記上流側中間部を経て前記対向領域に至るにつれて、前記電界の強度が徐々に高くなる。
(1−6)前記搬送電極被覆中間層は、下流側中間部を備え得る。この下流側中間部は、前記現像剤搬送方向における最下流部と、前記対向領域との間に設けられている。この下流側中間部は、比誘電率が前記最下流部と前記対向領域との中間となるように構成されている。
ここで、前記対向領域から前記下流側中間部を経て前記最下流部に至るにつれて、比誘電率が段階的に変化するように、前記対向領域、前記下流側中間部、及び前記最下流部における前記搬送電極被覆中間層が構成されていてもよい。あるいは、前記対向領域から前記最下流部まで比誘電率が連続的に変化するように、前記対向領域、前記下流側中間部、及び前記最下流部における前記搬送電極被覆中間層が構成されていてもよい。
かかる構成においては、前記対向領域から前記下流側中間部を経て前記最下流部に至るにつれて、前記電界の強度が徐々に低くなる。
(1−7)前記搬送電極被覆部材は、前記対向領域よりも、前記現像剤搬送方向における上流側及び下流側の方が、厚くなるように形成され得る。
かかる構成においては、進行波状の電圧が前記搬送電極に印加された場合に、前記対向領域よりも、前記上流側及び前記下流側の方が、前記電界の強度が低くなる。
これにより、上述のように、前記現像剤搬送方向における前記現像剤の搬送状態が、適切に設定され得る。したがって、かかる構成によれば、前記現像剤による画像形成がより良好に行われ得る。
(1−8)前記搬送電極被覆部材は、上流側中間部を備え得る。この上流側中間部は、前記現像剤搬送方向における最上流部と、前記対向領域との間に設けられている。この上流側中間部は、厚さが前記最上流部と前記対向領域との中間となるように構成されている。
ここで、前記最上流部から前記上流側中間部を経て前記対向領域に至るにつれて、厚さが段階的に変化するように、前記最上流部、前記上流側中間部、及び前記対向領域における前記搬送電極被覆部材が構成されていてもよい。あるいは、前記最上流部から前記対向領域まで厚さが連続的に変化するように、前記最上流部、前記上流側中間部、及び前記対向領域における前記搬送電極被覆部材が構成されていてもよい。
かかる構成においては、前記最上流部から前記上流側中間部を経て前記対向領域に至るにつれて、前記電界の強度が徐々に高くなる。
(1−9)前記搬送電極被覆部材は、下流側中間部を備え得る。この下流側中間部は、前記現像剤搬送方向における最下流部と、前記対向領域との間に設けられている。この下流側中間部は、厚さが前記最下流部と前記対向領域との中間となるように構成されている。
ここで、前記対向領域から前記下流側中間部を経て前記最下流部に至るにつれて、厚さが段階的に変化するように、前記対向領域、前記下流側中間部、及び前記最下流部における前記搬送電極被覆部材が構成されていてもよい。あるいは、前記対向領域から前記最下流部まで厚さが連続的に変化するように、前記対向領域、前記下流側中間部、及び前記最下流部における前記搬送電極被覆部材が構成されていてもよい。
かかる構成においては、前記対向領域から前記下流側中間部を経て前記最下流部に至るにつれて、前記電界の強度が徐々に低くなる。
(1−10)前記搬送電極被覆中間層は、前記対向領域よりも、前記現像剤搬送方向における上流側及び下流側の方が、厚くなるように構成され得る。
かかる構成においては、進行波状の電圧が前記搬送電極に印加された場合に、前記対向領域よりも、前記上流側及び前記下流側の方が、前記電界の強度が低くなる。
これにより、上述のように、前記現像剤搬送方向における前記現像剤の搬送状態が、適切に設定され得る。したがって、かかる構成によれば、前記現像剤による画像形成がより良好に行われ得る。
(1−11)前記搬送電極被覆中間層は、上流側中間部を備え得る。この上流側中間部は、前記現像剤搬送方向における最上流部と、前記対向領域との間に設けられている。この上流側中間部は、厚さが前記最上流部と前記対向領域との中間となるように構成されている。
ここで、前記最上流部から前記上流側中間部を経て前記対向領域に至るにつれて、厚さが段階的に変化するように、前記最上流部、前記上流側中間部、及び前記対向領域における前記搬送電極被覆中間層が構成されていてもよい。あるいは、前記最上流部から前記対向領域まで厚さが連続的に変化するように、前記最上流部、前記上流側中間部、及び前記対向領域における前記搬送電極被覆中間層が構成されていてもよい。
かかる構成においては、前記最上流部から前記上流側中間部を経て前記対向領域に至るにつれて、前記電界の強度が徐々に高くなる。
(1−12)前記搬送電極被覆中間層は、下流側中間部を備え得る。この下流側中間部は、前記現像剤搬送方向における最下流部と、前記対向領域との間に設けられている。この下流側中間部は、厚さが前記最下流部と前記対向領域との中間となるように構成されている。
ここで、前記対向領域から前記下流側中間部を経て前記最下流部に至るにつれて、厚さが段階的に変化するように、前記対向領域、前記下流側中間部、及び前記最下流部における前記搬送電極被覆中間層が構成されていてもよい。あるいは、前記対向領域から前記最下流部まで厚さが連続的に変化するように、前記対向領域、前記下流側中間部、及び前記最下流部における前記搬送電極被覆中間層が構成されていてもよい。
かかる構成においては、前記対向領域から前記下流側中間部を経て前記最下流部に至るにつれて、前記電界の強度が徐々に低くなる。
(1−13)前記搬送電極被覆中間層が、前記対向領域よりも前記現像剤搬送方向における上流側及び下流側の方が、厚くなるように形成されている場合、前記搬送電極被覆中間層と前記搬送電極被覆部材との積層体がほぼ一定の厚さの平板状に形成され、前記搬送電極被覆部材の方が前記搬送電極被覆中間層よりも比誘電率が低くなるように、前記搬送電極被覆中間層及び前記搬送電極被覆部材が構成され得る。
かかる構成においては、前記搬送電極被覆部材と前記搬送電極被覆中間層との積層体の(合成的な)比誘電率が、前記対向領域よりも、前記現像剤搬送方向における上流側及び下流側の方が高くなる。これにより、進行波状の電圧が前記搬送電極に印加された場合に、前記対向領域よりも、前記上流側及び前記下流側の方が、前記電界の強度が低くなり得る。
(2)前記現像剤電界搬送装置(前記現像剤供給装置)は、複数の対向電極と、対向電極支持部材と、対向電極被覆部材と、を備え得る。
前記対向電極は、前記搬送電極と所定の空隙を挟んで対向するように配置されている。これら複数の対向電極は、前記副走査方向に沿って配列されていて、進行波状の電圧が印加されることで前記現像剤を前記現像剤搬送方向に搬送し得るように構成されている。
前記対向電極支持部材は、前記対向電極をその表面上に支持するように構成されている。この対向電極支持部材は、前記搬送電極支持部材と前記空隙を挟んで対向するように配置されている。
前記対向電極被覆部材は、前記対向電極支持部材の前記表面及び前記対向電極を覆うように形成されている。
また、前記現像剤電界搬送装置(前記現像剤供給装置)は、対向電極被覆中間層を備え得る。この対向電極被覆中間層は、前記対向電極被覆部材と前記対向電極との間に形成されている。
前記現像剤電界搬送装置(前記現像剤供給装置)は、前記対向領域に近接する対向領域近接部とその他の部分が、以下のような特徴的な構成を有している。
(2−1)前記対向電極被覆部材は、前記対向領域近接部よりも、前記現像剤搬送方向における上流側及び下流側の方が、比誘電率が高くなるように構成され得る。
かかる構成においては、進行波状の電圧が前記対向電極に印加された場合に、前記対向領域近接部よりも、前記上流側及び前記下流側の方が、前記対向電極の近傍(前記対向電極被覆部材の表面の近傍)の空間における電界の強度が高くなる。すなわち、前記上流側よりも前記対向領域近接部の方が、前記電界の強度が低くなる。また、前記対向領域近接部よりも前記下流側の方が、前記電界の強度が高くなる。
かかる構成においては、進行波状の電圧が前記対向電極に印加された場合に、前記対向領域近接部よりも、前記上流側及び前記下流側の方が、前記電界の強度が低くなる。換言すれば、前記上流側及び前記下流側よりも、前記対向領域近接部の方が、前記電界の強度が高くなる。
よって、かかる構成においては、例えば、前記対向領域近接部から、前記現像剤担持面(前記潜像形成面)と前記現像剤搬送面とが最近接状態にて対向する前記現像剤担持位置(前記現像位置)の近傍の領域(前記対向領域)に向けての、前記現像剤搬送方向に沿った前記電界の強度を、より高くすることができる。
これにより、前記現像剤担持位置(前記現像位置)の近傍の領域(前記対向領域)に向けて、前記現像剤が効率よく供給される。よって、前記現像剤担持面(前記潜像形成面)における前記現像剤の担持の効率(前記静電潜像の現像の効率)が、向上し得る。したがって、必要な画像濃度が確実に得られるようになり得る。
あるいは、かかる構成においては、例えば、前記現像剤電界搬送装置を覆う筐体(前記現像剤供給装置の筐体)に、前記現像剤搬送面を前記現像剤担持面(前記潜像形成面)に向けて露出するための開口部が形成されている場合に、この開口部の端縁の近傍に、比誘電率が低い(電界強度が高い)前記対向領域近接部が設けられ得る。
これにより、当該開口部の当該端縁の近傍にて、前記現像剤が前記搬送電極支持部材側に向かうような(当該開口部から前記筐体の外部に向かう方向とは反対方向に向かうような)方向の電界の成分が大きくされ得る。よって、当該開口部の当該端縁の近傍における、前記筐体からの前記現像剤の不用意な噴出が、効果的に抑制され得る。したがって、上述の「白地かぶり」の発生が、効果的に抑制され得る。
このように、かかる構成によれば、前記現像剤搬送方向における前記現像剤の搬送状態が、適切に設定され得る。したがって、かかる構成によれば、前記現像剤による画像形成がより良好に行われ得る。
(2−2)前記対向電極被覆部材は、上流側中間部を備え得る。この上流側中間部は、前記現像剤搬送方向における最上流部と、前記対向領域近接部との間に設けられている。この上流側中間部は、比誘電率が前記最上流部と前記対向領域近接部との中間となるように構成されている。
ここで、前記最上流部から前記上流側中間部を経て前記対向領域近接部に至るにつれて、比誘電率が段階的に変化するように、前記最上流部、前記上流側中間部、及び前記対向領域近接部における前記対向電極被覆部材が構成されていてもよい。あるいは、前記最上流部から前記対向領域近接部まで比誘電率が連続的に変化するように、前記最上流部、前記上流側中間部、及び前記対向領域近接部における前記対向電極被覆部材が構成されていてもよい。
かかる構成においては、前記最上流部から前記上流側中間部を経て前記対向領域近接部に至るにつれて、前記電界の強度が徐々に高くなる。
これにより、例えば、前記最上流部から前記対向領域(前記対向領域近接部)に向かうにつれての、前記現像剤の加速が、スムーズに行われ得る。すなわち、前記最上流部から前記対向領域(前記現像剤担持位置ないし前記現像位置)への前記現像剤の供給が、スムーズに行われ得る。
(2−3)前記対向電極被覆部材は、下流側中間部を備え得る。この下流側中間部は、前記現像剤搬送方向における最下流部と、前記対向領域近接部との間に設けられている。この下流側中間部は、比誘電率が前記最下流部と前記対向領域近接部との中間となるように構成されている。
ここで、前記対向領域近接部から前記下流側中間部を経て前記最下流部に至るにつれて、比誘電率が段階的に変化するように、前記対向領域近接部、前記下流側中間部、及び前記最下流部における前記対向電極被覆部材が構成されていてもよい。あるいは、前記対向領域近接部から前記最下流部まで比誘電率が連続的に変化するように、前記対向領域近接部、前記下流側中間部、及び前記最下流部における前記対向電極被覆部材が構成されていてもよい。
かかる構成においては、前記対向領域近接部から前記下流側中間部を経て前記最下流部に至るにつれて、前記電界の強度が徐々に低くなる。
これにより、例えば、前記対向領域(前記対向領域近接部)から前記最下流部への、前記現像剤の排出が、スムーズに行われ得る。
(2−4)前記対向電極被覆中間層は、前記対向領域近接部よりも、前記現像剤搬送方向における上流側及び下流側の方が、比誘電率が高くなるように構成され得る。
かかる構成においては、進行波状の電圧が前記対向電極に印加された場合に、前記対向領域近接部よりも、前記上流側及び前記下流側の方が、前記電界の強度が低くなる。換言すれば、前記上流側及び前記下流側よりも、前記対向領域近接部の方が、前記電界の強度が高くなる。
これにより、上述のように、前記現像剤搬送方向における前記現像剤の搬送状態が、適切に設定され得る。したがって、かかる構成によれば、前記現像剤による画像形成がより良好に行われ得る。
(2−5)前記対向電極被覆中間層は、上流側中間部を備え得る。この上流側中間部は、前記現像剤搬送方向における最上流部と、前記対向領域近接部との間に設けられている。この上流側中間部は、比誘電率が前記最上流部と前記対向領域近接部との中間となるように構成されている。
ここで、前記最上流部から前記上流側中間部を経て前記対向領域近接部に至るにつれて、比誘電率が段階的に変化するように、前記最上流部、前記上流側中間部、及び前記対向領域近接部における前記対向電極被覆中間層が構成されていてもよい。あるいは、前記最上流部から前記対向領域近接部まで比誘電率が連続的に変化するように、前記最上流部、前記上流側中間部、及び前記対向領域近接部における前記対向電極被覆中間層が構成されていてもよい。
かかる構成においては、前記最上流部から前記上流側中間部を経て前記対向領域近接部に至るにつれて、前記電界の強度が徐々に高くなる。
(2−6)前記対向電極被覆中間層は、下流側中間部を備え得る。この下流側中間部は、前記現像剤搬送方向における最下流部と、前記対向領域近接部との間に設けられている。この下流側中間部は、比誘電率が前記最下流部と前記対向領域近接部との中間となるように構成されている。
ここで、前記対向領域近接部から前記下流側中間部を経て前記最下流部に至るにつれて、比誘電率が段階的に変化するように、前記対向領域近接部、前記下流側中間部、及び前記最下流部における前記対向電極被覆中間層が構成されていてもよい。あるいは、前記対向領域近接部から前記最下流部まで比誘電率が連続的に変化するように、前記対向領域近接部、前記下流側中間部、及び前記最下流部における前記対向電極被覆中間層が構成されていてもよい。
かかる構成においては、前記対向領域近接部から前記下流側中間部を経て前記最下流部に至るにつれて、前記電界の強度が徐々に低くなる。
(2−7)前記対向電極被覆部材は、前記対向領域近接部よりも、前記現像剤搬送方向における上流側及び下流側の方が、厚くなるように形成され得る。
かかる構成においては、進行波状の電圧が前記対向電極に印加された場合に、前記対向領域近接部よりも、前記上流側及び前記下流側の方が、前記電界の強度が低くなる。換言すれば、前記上流側及び前記下流側よりも、前記対向領域近接部の方が、前記電界の強度が高くなる。
これにより、上述のように、前記現像剤搬送方向における前記現像剤の搬送状態が、適切に設定され得る。したがって、かかる構成によれば、前記現像剤による画像形成がより良好に行われ得る。
(2−8)前記対向電極被覆部材は、上流側中間部を備え得る。この上流側中間部は、前記現像剤搬送方向における最上流部と、前記対向領域近接部との間に設けられている。この上流側中間部は、厚さが前記最上流部と前記対向領域近接部との中間となるように構成されている。
ここで、前記最上流部から前記上流側中間部を経て前記対向領域近接部に至るにつれて、厚さが段階的に変化するように、前記最上流部、前記上流側中間部、及び前記対向領域近接部における前記対向電極被覆部材が構成されていてもよい。あるいは、前記最上流部から前記対向領域近接部まで厚さが連続的に変化するように、前記最上流部、前記上流側中間部、及び前記対向領域近接部における前記対向電極被覆部材が構成されていてもよい。
かかる構成においては、前記最上流部から前記上流側中間部を経て前記対向領域近接部に至るにつれて、前記電界の強度が徐々に高くなる。
(2−9)前記対向電極被覆部材は、下流側中間部を備え得る。この下流側中間部は、前記現像剤搬送方向における最下流部と、前記対向領域近接部との間に設けられている。この下流側中間部は、厚さが前記最下流部と前記対向領域近接部との中間となるように構成されている。
ここで、前記対向領域近接部から前記下流側中間部を経て前記最下流部に至るにつれて、厚さが段階的に変化するように、前記対向領域近接部、前記下流側中間部、及び前記最下流部における前記対向電極被覆部材が構成されていてもよい。あるいは、前記対向領域近接部から前記最下流部まで厚さが連続的に変化するように、前記対向領域近接部、前記下流側中間部、及び前記最下流部における前記対向電極被覆部材が構成されていてもよい。
かかる構成においては、前記対向領域近接部から前記下流側中間部を経て前記最下流部に至るにつれて、前記電界の強度が徐々に低くなる。
(2−10)前記対向電極被覆中間層は、前記対向領域近接部よりも、前記現像剤搬送方向における上流側及び下流側の方が、厚くなるように構成され得る。
かかる構成においては、進行波状の電圧が前記対向電極に印加された場合に、前記対向領域近接部よりも、前記上流側及び前記下流側の方が、前記電界の強度が低くなる。換言すれば、前記上流側及び前記下流側よりも、の前記対向領域近接部方が、前記電界の強度が高くなる。
これにより、上述のように、前記現像剤搬送方向における前記現像剤の搬送状態が、適切に設定され得る。したがって、かかる構成によれば、前記現像剤による画像形成がより良好に行われ得る。
(2−11)前記対向電極被覆中間層は、上流側中間部を備え得る。この上流側中間部は、前記現像剤搬送方向における最上流部と、前記対向領域近接部との間に設けられている。この上流側中間部は、厚さが前記最上流部と前記対向領域近接部との中間となるように構成されている。
ここで、前記最上流部から前記上流側中間部を経て前記対向領域近接部に至るにつれて、厚さが段階的に変化するように、前記最上流部、前記上流側中間部、及び前記対向領域近接部における前記対向電極被覆中間層が構成されていてもよい。あるいは、前記最上流部から前記対向領域近接部まで厚さが連続的に変化するように、前記最上流部、前記上流側中間部、及び前記対向領域近接部における前記対向電極被覆中間層が構成されていてもよい。
かかる構成においては、前記最上流部から前記上流側中間部を経て前記対向領域近接部に至るにつれて、前記電界の強度が徐々に高くなる。
(2−12)前記対向電極被覆中間層は、下流側中間部を備え得る。この下流側中間部は、前記現像剤搬送方向における最下流部と、前記対向領域近接部との間に設けられている。この下流側中間部は、厚さが前記最下流部と前記対向領域近接部との中間となるように構成されている。
ここで、前記対向領域近接部から前記下流側中間部を経て前記最下流部に至るにつれて、厚さが段階的に変化するように、前記対向領域近接部、前記下流側中間部、及び前記最下流部における前記対向電極被覆中間層が構成されていてもよい。あるいは、前記対向領域近接部から前記最下流部まで厚さが連続的に変化するように、前記対向領域近接部、前記下流側中間部、及び前記最下流部における前記対向電極被覆中間層が構成されていてもよい。
かかる構成においては、前記対向領域近接部から前記下流側中間部を経て前記最下流部に至るにつれて、前記電界の強度が徐々に低くなる。
(2−13)前記対向電極被覆中間層が、前記対向領域近接部よりも前記現像剤搬送方向における上流側及び下流側の方が、厚くなるように形成されている場合、前記対向電極被覆中間層と前記対向電極被覆部材との積層体がほぼ一定の厚さの平板状に形成され、前記対向電極被覆部材の方が前記対向電極被覆中間層よりも比誘電率が低くなるように、前記対向電極被覆中間層及び前記対向電極被覆部材が構成され得る。
かかる構成においては、前記対向電極被覆部材と前記対向電極被覆中間層との積層体の(合成的な)比誘電率が、前記対向領域近接部よりも、前記現像剤搬送方向における上流側及び下流側の方が高くなる。これにより、進行波状の電圧が前記対向電極に印加された場合に、前記対向領域近接部よりも、前記上流側及び前記下流側の方が、前記電界の強度が低くなり得る。
(2−14)前記対向電極は、前記対向領域近接部よりも、前記現像剤搬送方向における上流側及び下流側の方が、薄くなるように形成され得る。
かかる構成においては、進行波状の電圧が前記対向電極に印加された場合に、前記対向領域近接部の方が、前記上流側及び前記下流側よりも、前記電界の強度が高くなる。
これにより、上述のように、前記現像剤搬送方向における前記現像剤の搬送状態が、適切に設定され得る。したがって、かかる構成によれば、前記現像剤による画像形成がより良好に行われ得る。
(2−15)前記現像剤搬送方向における最上流部の前記対向電極は、当該最上流部と前記対向領域近接部との中間となる上流側中間部の前記対向電極よりも薄く、且つ前記上流側中間部の前記対向電極は、前記対向領域近接部の前記対向電極よりも薄くなるように形成され得る。
ここで、前記最上流部から前記上流側中間部を経て前記対向領域近接部に至るにつれて、厚さが段階的に変化するように、前記対向電極が構成されていてもよい。あるいは、前記最上流部から前記対向領域近接部まで厚さが連続的に変化するように、前記対向電極が構成されていてもよい。
かかる構成においては、前記最上流部から前記上流側中間部を経て前記対向領域近接部に至るにつれて、前記電界の強度が徐々に高くなる。
(2−16)前記現像剤搬送方向における最下流部の前記対向電極は、当該最下流部と前記対向領域近接部との中間となる下流側中間部の前記対向電極よりも薄く、且つ前記下流側中間部の前記対向電極は、前記対向領域近接部の前記対向電極よりも薄くなるように形成され得る。
ここで、前記対向領域近接部から前記下流側中間部を経て前記最下流部に至るにつれて、厚さが段階的に変化するように、前記対向電極構成されていてもよい。あるいは、前記対向領域近接部から前記最下流部まで厚さが連続的に変化するように、前記対向電極が構成されていてもよい。
かかる構成においては、前記対向領域近接部から前記下流側中間部を経て前記最下流部に至るにつれて、前記電界の強度が徐々に低くなる。
以下、本発明の実施形態(本願の出願時点において取り敢えず出願人が最良と考えている実施形態)について、図面を参照しつつ説明する。
<レーザープリンタの全体構成>
図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態であるレーザープリンタ1の概略構成を示す側面図である。
図1を参照すると、レーザープリンタ1は、用紙搬送機構2と、感光体ドラム3と、帯電器4と、スキャナーユニット5と、トナー供給装置6と、を備えている。
レーザープリンタ1内に備えられた、図示しない給紙トレイには、シート状の用紙Pが積み重ねられた状態で収容されている。用紙搬送機構2は、用紙Pを所定の用紙搬送経路に沿って搬送し得るように構成されている。
本発明の静電潜像担持体(現像剤担持体)としての感光体ドラム3の周面には、本発明の潜像形成面(現像剤担持面)としての潜像形成面LSが形成されている。
潜像形成面LSは、主走査方向(図中z軸方向)と平行な円筒面として形成されている。潜像形成面LSは、電位分布による静電潜像が形成され得るように構成されている。
感光体ドラム3は、中心軸Cを中心として、図中矢印で示されている方向(図1における時計回り)に回転駆動され得るように構成されている。すなわち、潜像形成面LSが、所定の移動方向、すなわち、前記主走査方向と直交する副走査方向に沿って、移動し得るように、感光体ドラム3が構成されている。
なお、「副走査方向」とは、前記主走査方向と直交する任意の方向である。通常、前記副走査方向は、鉛直線と交差する方向とされ得る。すなわち、前記副走査方向は、レーザープリンタ1の前後方向(用紙幅方向及び高さ方向と直交する方向:図中x軸方向)に沿った方向とされ得る。
帯電器4は、潜像形成面LSと対向するように配置されている。この帯電器4は、コロトロン型あるいはスコロトロン型の帯電器であって、潜像形成面LSを一様に正帯電させ得るように構成されている。
スキャナーユニット5は、画像データに基づいて変調されたレーザービームLBを生成するように構成されている。すなわち、スキャナーユニット5は、画素の有無によって発光のON/OFFが制御された、所定の波長帯域のレーザービームLBを生成するように構成されている。
また、スキャナーユニット5は、生成されたレーザービームLBを、潜像形成面LSにおけるスキャン位置SPにて結像させる(露光する)ように構成されている。ここで、スキャン位置SPは、帯電器4よりも、感光体ドラム3の回転方向(図1における矢印で示されている方向:図中時計回り)における下流側の位置に設けられている。
さらに、スキャナーユニット5は、潜像形成面LS上にてレーザービームLBが結像される位置を、前記主走査方向に沿って等速度にて移動させる(走査する)ことで、潜像形成面LS上に静電潜像を形成し得るように構成されている。
本発明の現像剤供給装置としてのトナー供給装置6は、感光体ドラム3と対向するように配置されている。トナー供給装置6は、現像位置DPにて、後述する乾式現像剤としてのトナーを帯電した状態で潜像形成面LSに供給し得るように構成されている。このトナー供給装置6の詳細な構成については後述する。
<レーザープリンタの各部の構成>
次に、レーザープリンタ1の各部の具体的な構成について説明する。
<<用紙搬送機構>>
用紙搬送機構2は、一対のレジストローラ21と、転写ローラ22と、を備えている。
レジストローラ21は、用紙Pを所定のタイミングにて感光体ドラム3と転写ローラ22との間に向けて送り出し得るように構成されている。
転写ローラ22は、感光体ドラム3の外周面である潜像形成面LSと、転写位置TPにて、用紙Pを挟んで対向するように配置されている。また、転写ローラ22は、図中矢印で示されている方向(反時計回り)に回転駆動され得るように構成されている。
転写ローラ22は、図示しないバイアス電源回路に接続されている。すなわち、転写ローラ22と感光体ドラム3との間で、潜像形成面LS上に付着したトナー(現像剤)を用紙Pに転写させるための所定の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。
<<感光体ドラム>>
図2は、図1に示されている感光体ドラム3とトナー供給装置6とが対向している部分を拡大した側断面図である。
図2を参照すると、感光体ドラム3は、ドラム本体31と、感光層32と、から構成されている。
ドラム本体31は、z軸と平行な中心軸Cを有する円筒状の部材であって、アルミニウム等の金属から構成されている。このドラム本体31は、接地されている。
感光層32は、ドラム本体31の外周を覆うように設けられている。この感光層32は、所定波長のレーザー光の露光によって電子伝導性を示す、正帯電性の光導電層から構成されている。
潜像形成面LSは、感光層32の外周面によって構成されている。すなわち、帯電器4(図1参照)によって一様に正帯電された後に、スキャン位置SPにてレーザービームLBが走査されることで、正電荷のパターンからなる静電潜像LIが形成されるように、潜像形成面LS(感光層32)が構成されている。
<<トナー供給装置の概略構成>>
図2を参照すると、トナー供給装置6のケーシングをなすトナーボックス61は、箱状部材であって、その内部に微粒子状の乾式現像剤としてのトナーTを貯留し得るように構成されている。本実施形態においては、トナーTは、正帯電性、非磁性1成分の、黒色のものが用いられている。
トナーボックス61における頂板61aは、感光体ドラム3と近接するように配置されている。この頂板61aは、平面視にて長方形状の平板状部材であって、水平面と平行に配置されている。
頂板61aには、トナーTがトナーボックス61の内部から感光層32に向けて図中y軸方向に沿って移動する際に通過し得る貫通孔(開口部)としての、トナー通過孔61a1が形成されている。このトナー通過孔61a1は、平面視にて、前記主走査方向(図中z軸方向)における感光層32の幅と略同じ長さの長辺を有するとともに前記副走査方向(図中x軸方向)と平行な短辺を有する長方形状に形成されている。
トナー通過孔61a1は、頂板61aと感光層32とが最近接している位置の近傍に設けられている。また、トナー通過孔61a1は、その前記副走査方向(図中x軸方向)における中心が、現像位置DPとほぼ一致するように形成されている。
トナーボックス61における底板61bは、平面視にて長方形状の板状部材であって、頂板61aの下方に配置されている。底板61bは、図中x軸方向に向かうにしたがって、y軸方向に上昇するように傾斜して配置されている。
頂板61a及び底板61bにおける外縁の4辺は、4枚の側板61c(図2においてはこのうちの2枚の側板61cのみが示されている。)によって囲まれている。これら4枚の側板61cの上端及び下端が頂板61a及び底板61bと一体的に接続されることで、トナーボックス61は、トナーTを外部に漏らさないように収容し得るように構成されている。
トナーボックス61の最深部には、トナー撹拌部61dが設けられている。トナー撹拌部61dは、トナーボックス61内に貯留されているトナーT(後述する所定のトナー搬送方向TTDに搬送される前のトナーT)を撹拌することで、当該トナーTの集合体に流体の如き流動性を与え得るように構成されている。
本実施形態においては、トナー撹拌部61dは、トナーボックス61における一対の側板61cによって回動可能に支持された羽根車状の回転体から構成されている。
<<トナー電界搬送体の構成>>
トナーボックス61の内部には、本発明の現像剤供給装置に備えられた現像剤電界搬送装置としての、トナー電界搬送体62が収容されている。
トナー電界搬送体62は、トナー搬送面TTSを有している。本発明の現像剤搬送面としてのトナー搬送面TTSは、前記主走査方向(図中z軸方向)と平行に形成されている。
トナー電界搬送体62は、トナー搬送面TTSと潜像形成面LSとが、現像位置DPにて最も近接した状態で対向するように配置されている。すなわち、トナー搬送面TTSと潜像形成面LSとが最も近接する最近接位置が、現像位置DPと一致するように、トナー電界搬送体62が配置されている。
トナー電界搬送体62は、所定の厚さを有する板状の部材である。このトナー電界搬送体62は、正帯電したトナーTを、トナー搬送面TTS上にて、所定のトナー搬送方向TTDに搬送し得るように構成されている。ここで、トナー搬送方向TTDは、トナー搬送面TTSと平行な方向であって、前記主走査方向(図中z軸方向)と垂直な方向である。すなわち、このトナー搬送方向TTDは、前記副走査方向(図中x軸方向)に沿った方向である。
トナー電界搬送体62は、中央構成部62aと、上流側構成部62bと、下流側構成部62cと、を備えている。
中央構成部62aは、感光体ドラム3の前記主走査方向における幅と略同じ長さの長辺を有するとともに感光体ドラム3の直径よりも長い短辺を有する、平面視にて略長方形状に形成されている。中央構成部62aは、その前記副走査方向(図中x軸方向)における中心が、トナー通過孔61a1の前記副走査方向における中心と一致するような位置に設けられている。すなわち、この中央構成部62aは、トナー通過孔61a1を挟んで潜像形成面LSと対向するように、頂板61aと略平行に配置されている。
上流側構成部62bは、中央構成部62aの、トナー搬送方向TTDにおける上流側の端部からさらにトナー搬送方向TTDにおける上流側に、且つ斜め下方に延設されている。すなわち、上流側構成部62bは、中央構成部62aに向かうにつれて斜め上方に上昇するように配置された板状部材として設けられている。
上流側構成部62bの下端部は、トナー撹拌部61dの近傍に設けられている。すなわち、上流側構成部62bのトナー搬送方向TTDにおける最上流側の端部がトナーボックス61の最深部近傍に達することで、トナーTの量が僅かになった場合であっても上流側構成部62bの一部(下端部)がトナーTの中に埋没するように、当該上流側構成部62bが設けられている。
下流側構成部62cは、中央構成部62aの、トナー搬送方向TTDにおける下流側の端部からさらに下流側に、且つ斜め下方に延設されている。すなわち、下流側構成部62cは、中央構成部62aから離れるにつれて斜め下方に下降するように配置された板状部材として設けられている。
下流側構成部62cの下端部は、トナーボックス61における底板61bと近接するように設けられている。すなわち、下流側構成部62cのトナー搬送方向TTDにおける最下流側の端部が、トナーボックス61の底板61bの近傍に達することで、トナーTがスムーズに底板61bに還流し得るように、当該下流側構成部62cが設けられている。
<トナー供給装置の第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態の構成について、図3ないし図12を用いて説明する。
図3は、図2に示されているトナー供給装置6の第1の実施形態における、現像位置DPの周辺を拡大した側断面図である。
<<搬送配線基板>>
図3を参照すると、トナー電界搬送体62は、搬送配線基板63を備えている。搬送配線基板63は、トナーボックス61における頂板61a及びトナー通過孔61a1を挟んで、潜像形成面LSと対向するように配置されている。
搬送配線基板63は、下記の通り、フレキシブルプリント配線基板と同様の構成を有している。
搬送電極63aは、前記主走査方向と平行な(前記副走査方向と直交する)長手方向を有する線状の配線パターンとして形成されている。すなわち、搬送電極63aは、厚さが数十μm程度の銅箔からなる。また、複数の搬送電極63aは、互いに平行に配置されている。そして、これらの搬送電極63aは、前記副走査方向に沿って配列されている。
また、搬送電極63aは、トナー搬送面TTSに沿って配置されている。すなわち、搬送電極63aは、トナー搬送面TTSの近傍に配置されている。
前記副走査方向に沿って多数配列された各搬送電極63aは、3本置きに同一の電源回路に接続されている。
すなわち、電源回路VAに接続された搬送電極63a,電源回路VBに接続された搬送電極63a,電源回路VCに接続された搬送電極63a,電源回路VDに接続された搬送電極63a,電源回路VAに接続された搬送電極63a,電源回路VBに接続された搬送電極63a,電源回路VCに接続された搬送電極63a・・・が、前記副走査方向に沿って順に配列されている。
ここで、各電源回路VAないしVDは、ほぼ同一波形の交流電圧(搬送電圧)を出力し得るように構成されている。また、各電源回路VAないしVDが発生する電圧の波形における位相が、90°ずつ異なるように、各電源回路VAないしVDが構成されている。すなわち、電源回路VAから電源回路VDに向かう順に、電圧の位相が90°ずつ遅れるようになっている。
これらの搬送電極63aは、本発明の搬送電極支持部材としての搬送電極支持フィルム63bの表面上に形成されている。搬送電極支持フィルム63bは、可撓性のフィルムであって、ポリイミド樹脂等の絶縁性の合成樹脂から構成されている。
本発明の搬送電極被覆中間層としての搬送電極コーティング層63cは、絶縁性の合成樹脂から構成されている。この搬送電極コーティング層63cは、搬送電極支持フィルム63bにおける搬送電極63aが設けられている表面、及び搬送電極63aを覆うように設けられている。
搬送電極コーティング層63cの上には、本発明の搬送電極被覆部材としての搬送電極オーバーコーティング層63dが設けられている。すなわち、上述の搬送電極コーティング層63cは、搬送電極オーバーコーティング層63dと搬送電極63aとの間に形成されている。
そして、上述のトナー搬送面TTSは、搬送電極オーバーコーティング層63dの表面からなり、凹凸の極めて少ない平滑な面として形成されている。
本実施形態においては、搬送電極オーバーコーティング層63dは、低比誘電率部63d1と、上流側高比誘電率部63d2と、下流側高比誘電率部63d3と、を備えている。
低比誘電率部63d1は、対向領域CAに対応する位置に設けられている。ここで、本実施形態における対向領域CAは、トナー電界搬送体62における、潜像形成面LSとトナー搬送面TTSとがトナー通過孔61a1を挟んで対向する領域である。すなわち、対向領域CAは、トナー通過孔61a1と対応する(トナー通過孔61a1の真下の)領域である。
具体的には、本実施形態においては、低比誘電率部63d1は、トナー搬送方向TTDにおける上流側のトナー通過孔61a1の開口端縁と、トナー搬送方向TTDにおける下流側のトナー通過孔61a1の開口端縁と、の間に設けられている。
上流側高比誘電率部63d2は、低比誘電率部63d1よりも比誘電率が高い材質によって構成されている。この上流側高比誘電率部63d2は、上流部TUAに対応する位置に設けられている。
ここで、上流部TUAは、対向領域CAよりもトナー搬送方向TTDにおける上流側の、トナー電界搬送体62における領域である。すなわち、上流部TUAのトナー搬送方向TTDにおける下流側の端縁と、上流側高比誘電率部63d2のトナー搬送方向TTDにおける下流側の端縁とが対応するように、上流側高比誘電率部63d2が設けられている。
下流側高比誘電率部63d3は、低比誘電率部63d1よりも比誘電率が高い材質によって構成されている。この下流側高比誘電率部63d3は、下流部TDAに対応する位置に設けられている。
ここで、下流部TDAは、対向領域CAよりもトナー搬送方向TTDにおける下流側の、トナー電界搬送体62における領域である。すなわち、下流部TDAのトナー搬送方向TTDにおける上流側の端縁と、下流側高比誘電率部63d3のトナー搬送方向TTDにおける上流側の端縁とが対応するように、下流側高比誘電率部63d3が設けられている。
以上のように、搬送電極オーバーコーティング層63dは、対向領域CAよりも、上流部TUA及び下流部TDAの方が、比誘電率が高くなるように構成されている。
トナー電界搬送体62は、また、搬送基板支持部材64を備えている。搬送基板支持部材64は、合成樹脂製の板材からなり、搬送配線基板63を下側から支持するように設けられている。
このように、トナー電界搬送体62は、搬送配線基板63における各搬送電極63aに対して、上述のような搬送電圧が印加されて、前記副走査方向に沿った進行波状の電界が発生することで、正帯電したトナーTをトナー搬送方向TTDに搬送し得るように構成されている。
<<対向配線基板>>
図3を参照すると、トナーボックス61の頂板61aの内側面(トナーTが貯留されている空間に面する表面)には、対向配線基板65が装着されている。この対向配線基板65は、トナー搬送面TTSと所定の空隙を挟んで対向するように配置されている。
対向配線基板65は、上述の搬送配線基板63と同様の構成を有している。
具体的には、対向配線基板65は、前記主走査方向と平行な対向配線基板表面CSを有している。対向配線基板表面CSは、所定の空隙を挟んでトナー搬送面TTSと対向するように設けられている。
この対向配線基板表面CSに沿って、多数の対向電極65aが設けられている。すなわち、対向電極65aは、対向配線基板表面CSの近傍に配置されている。
対向電極65aは、前記主走査方向と平行な(前記副走査方向と直交する)長手方向を有する線状の配線パターンとして形成されている。すなわち、対向電極65aは、厚さが数十μm程度の銅箔からなる。また、複数の対向電極65aは、互いに平行に配置されている。そして、これらの対向電極65aは、前記副走査方向に沿って配列されている。
また、前記副走査方向に沿って多数配列された各対向電極65aは、3本置きに同一の電源回路に接続されている。
これらの対向電極65aは、本発明の対向電極支持部材としての対向電極支持フィルム65bの表面上に形成されている。対向電極支持フィルム65bは、可撓性のフィルムであって、ポリイミド樹脂等の絶縁性の合成樹脂から構成されている。
本発明の対向電極被覆中間層としての対向電極コーティング層65cは、絶縁性の合成樹脂から構成されている。この対向電極コーティング層65cは、対向電極支持フィルム65bにおける対向電極65aが設けられている表面、及び対向電極65aを覆うように設けられている。
対向電極コーティング層65cの上には、本発明の対向電極被覆部材としての対向電極オーバーコーティング層65dが設けられている。すなわち、上述の対向電極コーティング層65cは、対向電極オーバーコーティング層65dと対向電極65aとの間に形成されている。
そして、上述の対向配線基板表面CSは、対向電極オーバーコーティング層65dの表面からなり、凹凸の極めて少ない平滑な面として形成されている。
本実施形態においては、対向電極オーバーコーティング層65dは、低比誘電率部65d1と、上流側高比誘電率部65d2と、下流側高比誘電率部65d3と、を備えている。
低比誘電率部65d1は、対向領域近接部CNAに対応する位置に設けられている。ここで、対向領域近接部CNAは、対向配線基板65における、トナー通過孔61a1の近傍の領域である。すなわち、対向領域近接部CNAは、トナー電界搬送体62(搬送配線基板63)における対向領域CAに近接する、対向配線基板65における領域である。
上流側高比誘電率部65d2は、上流部CUAに対応する位置に設けられている。ここで、上流部CUAは、対向領域近接部CNAよりもトナー搬送方向TTDにおける上流側の、対向配線基板65における領域である。この上流側高比誘電率部65d2は、対向領域近接部CNAよりも比誘電率が高い材質によって構成されている。
下流側高比誘電率部65d3は、下流部CDAに対応する位置に設けられている。ここで、下流部CDAは、対向領域近接部CNAよりもトナー搬送方向TTDにおける下流側の、対向配線基板65における領域である。この下流側高比誘電率部65d3は、対向領域近接部CNAよりも比誘電率が高い材質によって構成されている。
すなわち、対向電極オーバーコーティング層65dは、対向領域近接部CNAよりも、上流部CUA及び下流部CDAの方が、比誘電率が高くなるように構成されている。
<レーザープリンタの動作>
次に、上述のように構成されたレーザープリンタ1による動作について、図面を適宜参照しつつ説明する。
<<給紙動作>>
まず図1を参照すると、図示しない給紙トレイ上に積載された用紙Pの先端が、レジストローラ21まで送られる。このレジストローラ21にて、用紙Pの斜行が補正されるとともに、搬送タイミングが調整される。その後、用紙Pは、転写位置TPまで給送される。
<<潜像形成面上へのトナー像の担持>>
上述のように用紙Pが転写位置TPに向けて搬送されている間に、感光体ドラム3の周面である潜像形成面LS上に、以下のようにしてトナーTによる像が担持される。
<<<静電潜像の形成>>>
感光体ドラム3の潜像形成面LSは、まず、帯電器4によって、正極性に一様に帯電される。
帯電器4によって帯電された潜像形成面LSは、感光体ドラム3の図中矢印で示されている方向(時計回り)の回転により、スキャナーユニット5と対向する(正対する)位置であるスキャン位置SPまで、前記副走査方向に沿って移動する。
図2を参照すると、スキャン位置SPにて、画像情報に基づいて変調されたレーザービームLBが、前記主走査方向に沿って走査されつつ、潜像形成面LSに照射される。このレーザービームLBの変調状態に応じて、潜像形成面LS上の正電荷が消失する部分が生じる。これにより、潜像形成面LS上に、正電荷のパターン(画像状分布)による静電潜像LIが形成される。
潜像形成面LSに形成された静電潜像LIは、感光体ドラム3の図中矢印で示されている方向(時計回り)の回転により、トナー供給装置6と対向する現像位置DPに向かって移動する。
<<<帯電トナーの搬送・供給>>>
図2を参照すると、トナー撹拌部61dによって、トナーボックス61内に貯留されているトナーTが流動化される。具体的には、トナー撹拌部61dを構成する羽根車が、図中矢印で示されている方向(時計回り)に回転する。
このトナー撹拌部61dの動作により、トナーTと上流側構成部62bにおけるトナー搬送面TTS(図3における合成樹脂製の搬送電極オーバーコーティング層63dの表面)とが摩擦する。これにより、トナーTが正極性に帯電させられる。
ここで、上述したように、トナー電界搬送体62(上流側構成部62b)のトナー搬送方向TTDにおける上流側(図中左側)の端部が、トナーTの中に埋没している。よって、トナーボックス61内に貯留されているトナーTが、上流部TUAにおけるトナー搬送面TTS上に常に供給される。
また、トナー電界搬送体62における複数の搬送電極63aに対して、進行波状の搬送電圧が印加される。これにより、トナー搬送面TTS上には、所定の進行波状の電界が形成される。この進行波状の電界により、正帯電のトナーTが、トナー搬送面TTS上にて、トナー搬送方向TTDに沿って搬送される。
図4は、図2に示されている電源回路VAないしVDが発生する電圧の波形を示したグラフである。図5は、図2に示されているトナー搬送面TTSの周辺を拡大して示す側断面図である。なお、図3において、電源回路VAと接続されている搬送電極63aは、図5において、搬送電極63aAと示されている。搬送電極63aBないし搬送電極63aDも同様である。
以下、正帯電のトナーTが、トナー搬送面TTS上にて、トナー搬送方向TTDに搬送される様子について、図4及び図5を参照しつつ説明する。
図4に示されているように、各電源回路VAないしVDから、ほぼ同一波形の交流電圧が、電源回路VAから電源回路VDに向かう順に位相が90°ずつ遅れるように出力される。
図4における時点t1においては、図5の(A)に示されているように、搬送電極63aAと搬送電極63aBとの間の位置であるAB間位置にて、トナー搬送方向TTDと逆向き(図5におけるxと反対の方向)の電界EF1が形成される。
一方、搬送電極63aCと搬送電極63aDとの間の位置であるCD間位置には、トナー搬送方向TTDと同じ向き(図5におけるx方向)の電界EF2が形成される。
また、搬送電極63aBと搬送電極63aCとの間の位置であるBC間位置、及び搬送電極63aDと搬送電極63aAとの間の位置であるDA間位置には、トナー搬送方向TTDに沿った方向の電界が形成されない。
すなわち、時点t1においては、前記AB間位置にて、正帯電のトナーTは、トナー搬送方向TTDと逆向きの静電力を受ける。
また、前記BC間位置及び前記DA間位置にて、正帯電のトナーTは、トナー搬送方向TTDに沿った方向の静電力をほとんど受けない。
また、前記CD間位置にて、正帯電のトナーTは、トナー搬送方向TTDと同じ向きの静電力を受ける。
よって、時点t1においては、正帯電のトナーTは、前記DA間位置に集められる。同様に、時点t2においては、正帯電のトナーTは、前記AB間位置に集められる。次いで、時点t3になると、正帯電のトナーTは、前記BC間位置に集められる。
すなわち、トナーTが集められる領域が、時間の経過に伴い、トナー搬送面TTS上を、トナー搬送方向TTDに沿って移動していく。
このように、各搬送電極63aに対して、図4に示されているような電圧が印加されることで、トナー搬送面TTS上にて、進行波状の電界が形成される。これにより、正帯電したトナーTが、図中y方向にホッピングしつつ、トナー搬送方向TTDに沿って搬送される。
なお、図2を参照すると、対向配線基板65によるトナーTの搬送動作も、上述のような、搬送配線基板63によるトナーTの搬送動作と同様である。
ここで、搬送電極オーバーコーティング層63dの比誘電率による電界強度やトナー挙動の違いについて、計算機シミュレーションした結果について、図6ないし図11に示す。
図6は、図3に示されている搬送配線基板63をさらに拡大した側断面図である。図6における縦軸及び横軸の数字は、位置(距離)を示し、単位は10-4mである。
搬送電極63aの寸法は、厚さが18μm、電極幅(前記副走査方向における幅)が100μmとした。また、搬送電極63a間の電極間ピッチは、100μmとした。
搬送電極支持フィルム63bは、厚さが25μmで、比誘電率は5とした。
搬送電極コーティング層63cは、最大厚さ(搬送電極63aが設けられていない部分における厚さ)が43μmで、比誘電率が2.3とした。
搬送電極オーバーコーティング層63dは、厚さが12.5μmで、比誘電率が4あるいは300とした。
かかる条件で、有限要素法による電界解析、及び個別要素法による粒子挙動解析を行った。
図7及び図8は、図6における左側2つの搬送電極63aの電位を+150V、右側2つの搬送電極63aの電位を−150Vとしたときの、電位分布、電界の向き、及び電界強度の、有限要素法による解析結果を示す図である。ここで、電位分布は、色の濃さ(濃いほど電位値の絶対値が大きい)で示されており、電界の向きは矢印の向きで示されており、電界強度は矢印の長さで示されているものとする。
図7は、図6における搬送電極オーバーコーティング層63dの比誘電率が4である場合を示している。また、図8は、図6における搬送電極オーバーコーティング層63dの比誘電率が300である場合を示している。
図6ないし図8から明らかなように、搬送電極オーバーコーティング層63dの比誘電率が高い方が、トナー搬送方向TTD及び高さ方向のいずれについても、トナー搬送面TTS上における電界強度が小さくなる。
図9は、図6における複数の搬送電極63aに進行波状の電圧を印加した場合の、トナー搬送方向TTD(水平方向)におけるトナーの位置の、個別要素法による解析結果を示すグラフである。図10は、図6における複数の搬送電極63aに進行波状の電圧を印加した場合の、トナー搬送方向TTD(水平方向)におけるトナーの速度の、個別要素法による解析結果を示すグラフである。
また、図11は、図6における複数の搬送電極63aに進行波状の電圧を印加した場合の、高さ方向におけるトナーの速度の、個別要素法による解析結果を示すグラフである。
ここで、図9ないし図11において、横軸の「Frame Nunber」は、時間軸に相当するものである(1Frameを40μsecとしている)。
また、図9ないし図11におけるシミュレーションにおいては、トナー搬送面TTS上のトナー搬送方向TTDに沿った1mmの幅の範囲内に、半径10μmの球形のトナーを300個敷き詰めた状態を初期状態とし、これら300個のトナーの平均位置及び平均速度を求めた(よって、Frame Nunber=0にて、図9においてはPosition=0.5mmとなっている。)。
また、トナーの密度は1.2g/cc、帯電量は30μC/gとした(トナー粒子1個あたりの電荷量は1.89×10-14Cとなる)。
さらに、搬送電圧の周波数は800Hzとした。
図6、図9、及び図10から明らかなように、搬送電極オーバーコーティング層63dの比誘電率が低い方が、トナー搬送方向TTDにおけるトナーの搬送速度が加速される。
また、図6及び図11から明らかなように、搬送電極オーバーコーティング層63dの比誘電率が低い方が、高さ方向におけるトナーの速度成分が大きくなる。すなわち、トナーがトナー搬送面TTSからより高く飛翔し得る。
図2を参照すると、上述のようにしてトナー搬送面TTS上に形成された進行波状の電界により、正帯電のトナーTが、上流側構成部62bにおける斜面状のトナー搬送面TTSを上っていく。そして、このトナーTは、中央構成部62aに達する。
中央構成部62aに達したトナーTには、上述のような搬送配線基板63による進行波状の電界の他に、対向配線基板65による進行波状の電界も作用する。
図3を参照すると、中央構成部62aに搬送されたトナーTは、トナー搬送方向TTDに搬送されることにより、対向領域近接部CNAに対応する位置(対向領域近接部CNAの直下)に達する。
ここで、対向領域近接部CNAにおける対向電極オーバーコーティング層65d(低比誘電率部65d1)は、上流部CUAにおける対向電極オーバーコーティング層65d(上流側高比誘電率部65d2)よりも、比誘電率が低くなっている。
よって、対向配線基板65による、トナー搬送方向TTDに沿った進行波状の電界の強度は、上流部CUAよりも対向領域近接部CNAの方が高くなる。これにより、トナー搬送方向TTDについてのトナーTの搬送速度が加速される。
また、対向配線基板65による、対向配線基板表面CSからトナー搬送面TTSに向かう方向(図中y方向と反対方向すなわち図中下方向)の成分の電界強度もまた、上流部CUAよりも対向領域近接部CNAの方が高くなる。これにより、トナー通過孔61a1の開口端縁の近傍にて、トナーTが、対向配線基板表面CSからトナー搬送面TTSに向かう方向に、比較的強い力で押し付けられる。
対向領域近接部CNAによって加速されたトナーTは、その後、対向領域CAに達する。この対向領域CAにおいては、対向配線基板65が設けられていない。よって、この対向領域CAにおいては、専ら搬送配線基板63による進行波状の電界によって、トナーTが搬送される。
ここで、この対向領域CAにおける搬送電極オーバーコーティング層63d(低比誘電率部63d1)は、上流部TUAにおける搬送電極オーバーコーティング層63d(上流側高比誘電率部63d2)よりも、比誘電率が低くなっている。
よって、搬送配線基板63による、トナー搬送方向TTDに沿った進行波状の電界の強度は、上流部TUAよりも対向領域CAの方が高くなる。
これにより、搬送配線基板63による、トナー搬送面TTSから対向配線基板表面CSに向かう方向(図中y方向すなわち図中上方向)の成分の電界強度が、高くなる。また、上述のような、対向配線基板65による、対向配線基板表面CSからトナー搬送面TTSに向かう方向にトナーTを押し付ける力は、解除ないし緩和されている。
したがって、現像位置DPの近傍に位置する対向領域CAにおいては、トナーTが、潜像形成面LSに向かって勢いよく飛翔し得る。
対向領域CAを経たトナーTは、その後、対向領域近接部CNAに対応する位置に達する。ここにおいては、トナーTに、対向配線基板65によるトナー搬送方向TTDに沿った進行波状の電界、及び対向配線基板表面CSからトナー搬送面TTSに向かう方向(図中y方向と反対方向すなわち図中下方向)の成分の電界が、再び作用するようになる。
また、対向領域CAを経たトナーTは、下流部TDAに達する。ここで、この下流部TDAにおける搬送電極オーバーコーティング層63d(下流側高比誘電率部63d3)は、対向領域CAにおける搬送電極オーバーコーティング層63d(低比誘電率部63d1)よりも、比誘電率が高くなっている。よって、搬送配線基板63による、トナー搬送面TTSから対向配線基板表面CSに向かう方向(図中y方向すなわち図中上方向)の成分の電界の強度は、対向領域CAよりも下流部TDAの方が低くなる。
図2を参照すると、対向領域CAを経たトナーTは、中央構成部62aから下流側構成部62cに向けて搬送される。そして、トナーTは、下流側構成部62cから下方に落下することで、トナーボックス61の底部へと還流する。
<<<静電潜像の現像>>>
図3を参照すると、上述のようにして対向領域CAまで搬送された正帯電のトナーTは、現像位置DPに供給される。
この現像位置DPの近傍にて、潜像形成面LSに形成された静電潜像LIが、トナーTによって現像される。すなわち、潜像形成面LS上であって、静電潜像LIにおける正電荷が消失した部分に、トナーTが付着する。これにより、トナーTによる画像(以下、「トナー像」と称する。)が、潜像形成面LS上に担持される。
<<潜像形成面から用紙へのトナー像の転写>>
図1を参照すると、上述のようにして感光体ドラム3の潜像形成面LS上に担持されたトナー像は、当該潜像形成面LSが図中矢印で示されている方向(時計回り)に回転することにより、転写位置TPに向けて搬送される。そして、この転写位置TPにて、トナー像が、潜像形成面LSから用紙P上に転写される。
<第1の実施形態の構成による作用・効果>
・図2及び図3を参照すると、本実施形態の構成においては、搬送電極オーバーコーティング層63dの比誘電率は、対向領域CAよりも、トナー搬送方向TTDにおける上流側(上流部TUA)及び下流側(下流部TDA)の方が、高くなっている。換言すれば、搬送電極オーバーコーティング層63dの比誘電率は、トナー搬送方向TTDにおける上流側(上流部TUA)及び下流側(下流部TDA)よりも、対向領域CAの方が、低くなっている。
よって、進行波状の搬送電圧が搬送電極63aに印加された場合に、上述したように、対向領域CAよりも、上流部TUA及び下流部TDAの方が、トナー搬送面TTSの近傍の空間における電界の強度が低くなる。換言すれば、上流部TUA及び下流部TDAよりも、対向領域CAの方が、トナー搬送面TTSの近傍の空間における電界の強度が高くなる。そして、対向領域CAにおいて、電界の強度が最も高くなる。
かかる構成によれば、トナーTが、現像位置DPに効率よく供給され得る。また、現像位置DPの近傍に位置する対向領域CAにおいて、トナーTが、潜像形成面LSに向かって勢いよく飛翔し得る。
これにより、静電潜像LIが良好に現像され得る。すなわち、静電潜像LIにおける正電荷のパターンに応じた、潜像形成面LSへのトナーTの選択的な付着が、応答性よく行われ得る。また、必要な画像濃度(1つのドットを所定の濃度にするために必要なトナーTの付着量)が、確実に得られる。
また、かかる構成においては、トナー通過孔61a1の開口端縁の近傍に達するように、上流側高比誘電率部63c2及び下流側高比誘電率部63c3が設けられている。これにより、トナー通過孔61a1の開口端縁の近傍にて、トナー搬送面TTS上の電界の強度が低くされている。
よって、トナー通過孔61a1の開口端縁の近傍における、トナーボックス61の外部へのトナーTの不用意な噴出が、効果的に抑制され得る。すなわち、トナー通過孔61a1からのトナーTの漏れが抑制され得る。
したがって、感光体ドラム3の潜像形成面LSにおける、白地部分(トナーTによる画素が形成されない部分)へのトナーTの付着、すなわち、「白地かぶり」が、効果的に抑制され得る。
・図2及び図3を参照すると、本実施形態の構成においては、対向電極オーバーコーティング層65dの比誘電率は、対向領域近接部CNAよりも、トナー搬送方向TTDにおける上流側(上流部CUA)及び下流側(下流部CDA)の方が、高くなっている。換言すれば、対向電極オーバーコーティング層65dの比誘電率は、トナー搬送方向TTDにおける上流側(上流部CUA)及び下流側(下流部CDA)よりも、対向領域近接部CNAの方が、低くなっている。
よって、進行波状の搬送電圧が対向電極65aに印加された場合に、上述したように、対向領域近接部CNAよりも、上流部CUA及び下流部CDAの方が、トナー搬送面TTSの近傍の空間における電界の強度が低くなる。換言すれば、上流部CUA及び下流部CDAよりも、対向領域近接部CNAの方が、トナー搬送面TTSの近傍の空間における電界の強度が高くなる。
かかる構成によれば、対向配線基板65による、トナー搬送方向TTDに沿った進行波状の電界の強度が、対向領域近接部CNAにて、より高くなる。これにより、トナーTの対向領域CAへの供給が、良好に行われる。
また、対向配線基板65による、対向配線基板表面CSからトナー搬送面TTSに向かう方向の成分の電界強度が、対向領域近接部CNAにて、より高くなる。これにより、トナー通過孔61a1の開口端縁の近傍にて、トナーTが、対向配線基板表面CSからトナー搬送面TTSに向かう方向に、比較的強い力で押し付けられる。
したがって、かかる構成によれば、トナー通過孔61a1の開口端縁の近傍における、トナーボックス61の外部へのトナーTの不用意な噴出が、効果的に抑制され得る。これにより、上述の「白地かぶり」が、効果的に抑制され得る。
・図2及び図3を参照すると、本実施形態の構成においては、対向領域近接部CNA(低比誘電率部65d1)が、対向領域CA(低比誘電率部63d1)のトナー搬送方向TTDにおける上流側及び下流側に設けられている。すなわち、対向領域CA(低比誘電率部63d1)が、トナー通過孔61a1よりもトナー搬送方向TTDにおける上流側の対向領域近接部CNA(低比誘電率部65d1)と、トナー通過孔61a1よりもトナー搬送方向TTDにおける下流側の対向領域近接部CNA(低比誘電率部65d1)との間に設けられている。
これにより、トナー電界搬送体62(中央構成部62a)におけるトナー搬送面TTSと、対向配線基板65における対向配線基板表面CSとが、所定の空隙を挟んで対向している部分において、以下のような構成となり得る。
すなわち、(a)対向配線基板65における上流部CUA(上流側高比誘電率部65d2)とトナー電界搬送体62における上流部TUA(上流側高比誘電率部63d2)とが対向している領域、(b)対向配線基板65における対向領域近接部CNA(低比誘電率部65d1)とトナー電界搬送体62における上流部TUA(上流側高比誘電率部63d2)とが対向している領域、(c)トナー通過孔61a1とトナー電界搬送体62における対向領域CA(低比誘電率部63d1)とが対向している領域、(d)対向配線基板65における対向領域近接部CNA(低比誘電率部65d1)とトナー電界搬送体62における下流部TDA(下流側高比誘電率部63d3)とが対向している領域、(e)対向配線基板65における下流部CDA(下流側高比誘電率部65d3)とトナー電界搬送体62における下流部TDA(下流側高比誘電率部63d3)とが対向している領域、が、この順に、トナー搬送方向TTDについて配列され得る。
かかる構成においては、上述の(a)から(b)を経て(c)に向かうにしたがって、電界強度が高くなる。また、上述の(c)から(d)を経て(e)に向かうにしたがって、電界強度が低くなる。
かかる構成によれば、上述の(a)から(b)を経て(c)に向かうにしたがって、トナーTがスムーズに加速され、かつ上述の(c)から(d)を経て(e)に向かうにしたがって、トナーTがスムーズに減速され得る。
これにより、トナーTの流れが局所的に滞ることで特定の部位にトナーTが滞留したり、局所的にトナーTの量が極端に希薄になったりすることが、効果的に抑制され得る。よって、トナー搬送方向TTDに沿ったトナーTの搬送が、スムーズに行われ得る。
<トナー供給装置の第2の実施形態>
以下、本発明の第2の実施形態の構成について、図12を用いて説明する。
なお、以下の第2の実施形態の説明において、上述の実施形態にて説明されているものと同様の構成及び機能を有する部材に対しては、上述の実施形態と同様の符号が用いられ得るものとし、かかる部材の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施形態における説明が援用され得るものとする(後述の第3以降の実施形態においても同様である)。
図12は、図2に示されているトナー供給装置6の第2の実施形態における、現像位置DPの周辺を拡大した側断面図である。
図12を参照すると、本実施形態においては、搬送電極オーバーコーティング層63dに代えて、搬送電極コーティング層63cが、低比誘電率部63c1、上流側高比誘電率部63c2、及び下流側高比誘電率部63c3を備えている。
低比誘電率部63c1は、対向領域CAに対応する位置に設けられている。上流側高比誘電率部63c2は、上流部TUAに対応する位置に設けられている。下流側高比誘電率部63c3は、下流部TDAに対応する位置に設けられている。
上流側高比誘電率部63c2は、低比誘電率部63c1よりも比誘電率が高い材質によって構成されている。下流側高比誘電率部63c3は、低比誘電率部63c1よりも比誘電率が高い材質によって構成されている。すなわち、搬送電極コーティング層63cは、対向領域CAよりも、上流部TUA及び下流部TDAの方が、比誘電率が高くなるように構成されている。
また、本実施形態においては、対向電極オーバーコーティング層65dに代えて、対向電極コーティング層65cが、低比誘電率部65c1と、上流側高比誘電率部65c2と、下流側高比誘電率部65c3と、を備えている。
低比誘電率部65c1は、対向領域近接部CNAに対応する位置に設けられている。上流側高比誘電率部65c2は、上流部CUAに対応する位置に設けられている。下流側高比誘電率部65c3は、下流部CDAに対応する位置に設けられている。
上流側高比誘電率部65c2は、対向領域近接部CNAよりも比誘電率が高い材質によって構成されている。下流側高比誘電率部65c3は、対向領域近接部CNAよりも比誘電率が高い材質によって構成されている。すなわち、対向電極コーティング層65cは、対向領域近接部CNAよりも、上流部CUA及び下流部CDAの方が、比誘電率が高くなるように構成されている。
かかる構成によっても、上述の第1の実施形態と同様の作用・効果が得られる。
<トナー供給装置の第3の実施形態>
以下、本発明の第3の実施形態の構成について、図13を用いて説明する。
図13は、図2に示されているトナー供給装置6の第3の実施形態における、現像位置DPの周辺を拡大した側断面図である。
図13を参照すると、本実施形態においては、上述の第2の実施形態の構成における搬送電極オーバーコーティング層63d(図12参照)が省略されている。すなわち、本実施形態においては、搬送電極コーティング層63cによって、本発明の搬送電極被覆部材が構成されている。
また、本実施形態においては、上述の第2の実施形態の構成における対向電極オーバーコーティング層65d(図12参照)が省略されている。すなわち、本実施形態においては、対向電極コーティング層65cによって、本発明の対向電極被覆部材が構成されている。
かかる構成によっても、上述の各実施形態と同様の作用・効果が得られる。
<トナー供給装置の第4の実施形態>
以下、本発明の第4の実施形態の構成について、図14を用いて説明する。
図14は、図2に示されているトナー供給装置6の第4の実施形態における、搬送配線基板63を拡大した側断面図である。
ここで、図14においては、説明の便宜のため、搬送配線基板63の一部の図示が省略されており、且つ、搬送配線基板63における中央構成部62a、上流側構成部62b、及び下流側構成部62cが、真っ直ぐに並べられたように図示されている(図15ないし図21も同様である)。
図14を参照すると、本実施形態における搬送電極オーバーコーティング層63dは、低比誘電率部63d1と、上流側高比誘電率部63d2と、下流側高比誘電率部63d3と、上流側中間比誘電率部63d4と、下流側中間比誘電率部63d5と、を備えている。
低比誘電率部63d1は、対向領域CAにおける、現像位置DPのごく近傍の領域に設けられている。
上流側中間比誘電率部63d4は、低比誘電率部63d1よりも、トナー搬送方向TTDにおける上流側に設けられている。上流側中間比誘電率部63d4の、トナー搬送方向TTDにおける上流端は、対向領域CA内に設けられている。この上流側中間比誘電率部63d4は、低比誘電率部63d1よりも比誘電率が高い材質から構成されている。
上流側高比誘電率部63d2は、上流側中間比誘電率部63d4よりも、トナー搬送方向TTDにおける上流側に設けられている。この上流側高比誘電率部63d2は、上流側中間比誘電率部63d4よりも比誘電率が高い材質から構成されている。
上流側高比誘電率部63d2は、最上流部TMUA及び上流側中間部TUIAに対応する位置に設けられている。
ここで、最上流部TMUAは、トナー搬送方向TTDにおける最も上流側の、トナー電界搬送体62における領域である。すなわち、最上流部TMUAは、上流側構成部62bのトナー搬送方向TTDにおける最も上流側の部分に相当する。また、上流側中間部TUIAは、最上流部TMUAと対向領域CAとの間の、トナー電界搬送体62における領域である。
さらに、上流側高比誘電率部63d2の、トナー搬送方向TTDにおける下流端は、対向領域CA内に設けられている。
下流側中間比誘電率部63d5は、低比誘電率部63d1よりも、トナー搬送方向TTDにおける下流側に設けられている。下流側中間比誘電率部63d5の、トナー搬送方向TTDにおける下流端は、対向領域CA内に設けられている。この下流側中間比誘電率部63d5は、低比誘電率部63d1よりも比誘電率が高い材質から構成されている。
下流側高比誘電率部63d3は、下流側中間比誘電率部63d5よりも、トナー搬送方向TTDにおける下流側に設けられている。この下流側高比誘電率部63d3は、下流側中間比誘電率部63d5よりも比誘電率が高い材質から構成されている。
下流側高比誘電率部63d3は、最下流部TMDA及び下流側中間部TDIAに対応する位置に設けられている。
ここで、最下流部TMDAは、トナー搬送方向TTDにおける最も下流側の、トナー電界搬送体62における領域である。すなわち、最下流部TMDAは、上流側構成部62bのトナー搬送方向TTDにおける最も下流側の部分に相当する。また、下流側中間部TDIAは、最下流部TMDAと対向領域CAとの間の、トナー電界搬送体62における領域である。
さらに、下流側高比誘電率部63d3の、トナー搬送方向TTDにおける上流端は、対向領域CA内に設けられている。
すなわち、搬送電極オーバーコーティング層63dは、最上流部TMUAから現像位置DPに向かうにしたがって、比誘電率が次第に低くなるように構成されている。また、搬送電極オーバーコーティング層63dは、現像位置DPから最下流部TMDAに向かうにしたがって、比誘電率が次第に高くなるように構成されている。
さらに、トナー通過孔61a1の開口端縁が、上流側高比誘電率部63d2及び下流側高比誘電率部63d3に対応する位置となるように、トナーボックス61及びトナー電界搬送体62(搬送配線基板63)が構成及び配置されている。
かかる構成を有する本実施形態のトナー電界搬送体62(搬送配線基板63)によれば、最上流部TMUAから現像位置DPに向かうにしたがって、電界強度が次第に高くなる。
よって、最上流部TMUAから現像位置DPに向かうにしたがって、トナーTがスムーズに加速される。これにより、トナーTが現像位置DPに向けて良好に供給され得る。
また、かかる構成を有する本実施形態のトナー電界搬送体62(搬送配線基板63)によれば、現像位置DPから最下流部TMDAに向かうにしたがって、電界強度が次第に低くなる。
よって、現像位置DPを経たトナーTが当該現像位置DPから最下流部TMDA及びトナーボックス61の底部に向けて排出される際に、トナーTの流れが局所的に滞ることで、特定の部位にトナーTが滞留することが、効果的に抑制され得る。よって、現像位置DPから最下流部TMDA及びトナーボックス61の底部に向けてのトナーTの排出が、スムーズに行われ得る。
さらに、かかる構成を有する本実施形態によれば、トナー通過孔61a1の内側の領域においては、当該トナー通過孔61a1の開口端縁にて、電界強度が最も低くされ得る。そして、現像位置DPのごく近傍の領域にて、電界強度が最も高くされ得る。
よって、トナー通過孔61a1の開口端縁における不用意なトナーTの漏出を抑制しつつ、現像位置DPのごく近傍の領域にてトナーTを潜像形成面LSに向けて勢いよく飛翔させることができる。したがって、「白地かぶり」を抑制しつつ、必要な画像濃度を得ることが可能になる。
<トナー供給装置の第5の実施形態>
以下、本発明の第5の実施形態の構成について、図15を用いて説明する。
図15は、図2に示されているトナー供給装置6の第5の実施形態における、搬送配線基板63を拡大した側断面図である。
図15を参照すると、本実施形態においては、図14における搬送電極オーバーコーティング層63dに代えて、搬送電極コーティング層63cが、低比誘電率部63c1、上流側高比誘電率部63c2、下流側高比誘電率部63c3、上流側中間比誘電率部63c4、及び下流側中間比誘電率部63c5、を備えている。
かかる構成によっても、上述の第4の実施形態と同様の作用・効果が得られる。
<トナー供給装置の第6の実施形態>
以下、本発明の第6の実施形態の構成について、図16を用いて説明する。
図16は、図2に示されているトナー供給装置6の第6の実施形態における、搬送配線基板63を拡大した側断面図である。
図16を参照すると、本実施形態においては、上述の第5の実施形態の構成における搬送電極オーバーコーティング層63d(図15参照)が省略されている。すなわち、本実施形態においては、搬送電極コーティング層63cによって、本発明の搬送電極被覆部材が構成されている。
かかる構成によっても、上述の第4の実施形態や第5の実施形態と同様の作用・効果が得られる。
<トナー供給装置の第7の実施形態>
以下、本発明の第7の実施形態の構成について、図17を用いて説明する。
図17は、図2に示されているトナー供給装置6の第7の実施形態における、搬送配線基板63を拡大した側断面図である。
図17を参照すると、本実施形態においては、搬送電極オーバーコーティング層63dは、最上流部TMUAから上流側中間部TUIAを経て対向領域CAに向かうにしたがって、薄くなるように構成されている。また、搬送電極オーバーコーティング層63dは、対向領域CAから下流側中間部TDIAを経て最下流部TMDAに向かうにしたがって、厚くなるように構成されている。
かかる構成によれば、最上流部TMUAから上流側中間部TUIAを経て対向領域CAに向かうにしたがって、トナー搬送面TTS上の電界の強度が、次第に高くなる。また、対向領域CAから下流側中間部TDIAを経て最下流部TMDAに向かうにしたがって、トナー搬送面TTS上の電界の強度が、次第に低くなる。
このように、かかる構成によれば、トナー搬送面TTS上の電界の強度が、トナー搬送方向TTDに向かうにつれて、次第に変化する。これにより、上述の第4ないし第6の実施形態と同様の作用・効果が得られる。
<トナー供給装置の第8の実施形態>
以下、本発明の第8の実施形態の構成について、図18を用いて説明する。
図18は、図2に示されているトナー供給装置6の第8の実施形態における、搬送配線基板63を拡大した側断面図である。
図18を参照すると、本実施形態においては、図17における搬送電極オーバーコーティング層63dに代えて、搬送電極コーティング層63cが、トナー搬送方向TTDに向かうにつれて厚さが次第に変化するように構成されている。
すなわち、搬送電極コーティング層63cは、最上流部TMUAから上流側中間部TUIAを経て対向領域CAに向かうにしたがって、薄くなるように構成されている。また、搬送電極コーティング層63cは、対向領域CAから下流側中間部TDIAを経て最下流部TMDAに向かうにしたがって、厚くなるように構成されている。
かかる構成によれば、上述の第7の実施形態と同様に、トナー搬送面TTSや対向配線基板表面CS上の電界の強度が、トナー搬送方向TTDに向かうにつれて、次第に変化する。これにより、上述の第7の実施形態と同様の作用・効果が得られる。
<トナー供給装置の第9の実施形態>
以下、本発明の第9の実施形態の構成について、図19を用いて説明する。
図19は、図2に示されているトナー供給装置6の第9の実施形態における、搬送配線基板63を拡大した側断面図である。
図19を参照すると、本実施形態においては、上述の第8の実施形態の構成における搬送電極オーバーコーティング層63d(図18参照)が省略されている。すなわち、本実施形態においては、搬送電極コーティング層63cによって、本発明の搬送電極被覆部材が構成されている。
かかる構成によっても、上述の第8の実施形態と同様の作用・効果が得られる。
<トナー供給装置の第10の実施形態>
以下、本発明の第10の実施形態の構成について、図20を用いて説明する。
図20は、図2に示されているトナー供給装置6の第10の実施形態における、搬送配線基板63を拡大した側断面図である。
図20を参照すると、本実施形態においては、搬送電極コーティング層63cが、対向領域CAよりもトナー搬送方向TTDにおける上流側及び下流側の方が、厚くなるように形成されている。
すなわち、搬送電極コーティング層63cは、最上流部TMUAから上流側中間部TUIAを経て対向領域CAに向かうにしたがって、次第に薄くなるように構成されている。また、搬送電極コーティング層63cは、対向領域CAから下流側中間部TDIAを経て最下流部TMDAに向かうにしたがって、次第に厚くなるように構成されている。
また、搬送電極オーバーコーティング層63dは、対向領域CAよりもトナー搬送方向TTDにおける上流側及び下流側の方が、薄くなるように形成されている。
すなわち、搬送電極オーバーコーティング層63dは、最上流部TMUAから上流側中間部TUIAを経て対向領域CAに向かうにしたがって、次第に厚くなるように構成されている。また、搬送電極オーバーコーティング層63dは、対向領域CAから下流側中間部TDIAを経て最下流部TMDAに向かうにしたがって、次第に薄くなるように構成されている。
そして、搬送電極コーティング層63cと搬送電極オーバーコーティング層63dとの積層体が、ほぼ一定の厚さになるように、平板状に形成されている。さらに、搬送電極オーバーコーティング層63dは、搬送電極コーティング層63cよりも比誘電率が低い材質によって構成されている。
かかる構成を有する本実施形態のトナー電界搬送体62(搬送配線基板63)においては、搬送電極オーバーコーティング層63dと搬送電極コーティング層63cとの積層体の(合成的な)比誘電率が、対向領域CAよりも、トナー搬送方向TTDにおける上流側及び下流側の方が高くなる。
すなわち、上述の積層体の比誘電率は、最上流部TMUAから上流側中間部TUIAを経て対向領域CAに向かうにしたがって、次第に低くなる。また、上述の積層体の比誘電率は、対向領域CAから下流側中間部TDIAを経て最下流部TMDAに向かうにしたがって、次第に高くなる。
これにより、進行波状の電圧が搬送電極63aに印加された場合に、トナー搬送方向TTDにおける上流側及び下流側よりも、対向領域CAの方が、電界の強度が高くなる。
すなわち、電界の強度は、最上流部TMUAから上流側中間部TUIAを経て対向領域CAに向かうにしたがって、次第に高くなる。また、電界の強度は、対向領域CAから下流側中間部TDIAを経て最下流部TMDAに向かうにしたがって、次第に低くなる。
かかる構成によれば、上述の各実施形態と同様の作用・効果が得られる。
<トナー供給装置の第11の実施形態>
以下、本発明の第11の実施形態の構成について、図21を用いて説明する。
図21は、図2に示されているトナー供給装置6の第11の実施形態における、搬送配線基板63を拡大した側断面図である。
図21を参照すると、本実施形態においては、搬送電極コーティング層63cが、対向領域CAよりもトナー搬送方向TTDにおける上流側及び下流側の方が、薄くなるように形成されている。
すなわち、搬送電極コーティング層63cは、最上流部TMUAから上流側中間部TUIAを経て対向領域CAに向かうにしたがって、次第に厚くなるように構成されている。また、搬送電極コーティング層63cは、対向領域CAから下流側中間部TDIAを経て最下流部TMDAに向かうにしたがって、次第に薄くなるように構成されている。
また、搬送電極オーバーコーティング層63dは、対向領域CAよりもトナー搬送方向TTDにおける上流側及び下流側の方が、厚くなるように形成されている。
すなわち、搬送電極オーバーコーティング層63dは、最上流部TMUAから上流側中間部TUIAを経て対向領域CAに向かうにしたがって、次第に薄くなるように構成されている。また、搬送電極オーバーコーティング層63dは、対向領域CAから下流側中間部TDIAを経て最下流部TMDAに向かうにしたがって、次第に厚くなるように構成されている。
そして、搬送電極コーティング層63cと搬送電極オーバーコーティング層63dとの積層体が、ほぼ一定の厚さになるように、平板状に形成されている。さらに、搬送電極オーバーコーティング層63dは、搬送電極コーティング層63cよりも比誘電率が高い材質によって構成されている。
かかる構成を有する本実施形態のトナー電界搬送体62(搬送配線基板63)においては、上述の第10の実施形態と同様に、搬送電極オーバーコーティング層63dと搬送電極コーティング層63cとの積層体の(合成的な)比誘電率が、対向領域CAよりも、トナー搬送方向TTDにおける上流側及び下流側の方が高くなる。
かかる構成によれば、上述の第10の実施形態と同様の作用・効果が得られる。
<トナー供給装置の第12の実施形態>
以下、本発明の第12の実施形態の構成について、図22を用いて説明する。
図22は、図2に示されているトナー供給装置6の第12の実施形態における、対向配線基板65を拡大した側断面図である。
図22を参照すると、本実施形態における対向電極オーバーコーティング層65dは、低比誘電率部65d1と、上流側高比誘電率部65d2と、下流側高比誘電率部65d3と、上流側中間比誘電率部65d4と、下流側中間比誘電率部65d5と、を備えている。
低比誘電率部65d1は、対向領域近接部CNAに対応する位置に設けられている。
上流側高比誘電率部65d2は、最上流部CMUAに対応する位置に設けられている。ここで、最上流部CMUAは、トナー搬送方向TTDにおける最も上流側の、対向配線基板65における領域である。この上流側高比誘電率部65d2は、低比誘電率部65d1よりも比誘電率が高い材質によって構成されている。
最上流部CMUAと対向領域近接部CNAとの間の上流側中間部CUIAに対応する位置には、上流側中間比誘電率部65d4が設けられている。この上流側中間比誘電率部65d4は、比誘電率が低比誘電率部65d1と上流側高比誘電率部65d2との中間となるような材質によって構成されている。
下流側高比誘電率部65d3は、最下流部CMDAに対応する位置に設けられている。ここで、最下流部CMDAは、トナー搬送方向TTDにおける最も下流側の、対向配線基板65における領域である。この下流側高比誘電率部65d3は、低比誘電率部65d1よりも比誘電率が高い材質によって構成されている。
最下流部CMDAと対向領域近接部CNAとの間の下流側中間部CDIAに対応する位置には、下流側中間比誘電率部65d5が設けられている。この下流側中間比誘電率部65d5は、比誘電率が低比誘電率部65d1と下流側高比誘電率部65d3との中間となるような材質によって構成されている。
すなわち、対向電極オーバーコーティング層65dは、最上流部CMUAから上流側中間部CUIAを経て対向領域近接部CNAに向かうにしたがって、比誘電率が次第に低くなるように構成されている。また、対向電極オーバーコーティング層65dは、対向領域近接部CNAから下流側中間部CDIAを経て最下流部CMDAに向かうにしたがって、比誘電率が次第に高くなるように構成されている。
かかる構成を有する本実施形態の対向配線基板65によれば、最上流部CMUAから上流側中間部TUIAを経て対向領域近接部CNAに向かうにしたがって、電界強度が次第に高くなる。
よって、最上流部CMUAから対向領域近接部CNA及び対向領域CAに向かうにしたがって、トナーTがスムーズに加速される。これにより、トナーTが対向領域CA及び現像位置DPに向けて良好に供給され得る。
また、かかる構成を有する本実施形態の対向配線基板65によれば、対向領域近接部CNAから下流側中間部CDIAを経て最下流部CMDAに向かうにしたがって、電界強度が次第に低くなる。
よって、現像位置DPを経たトナーTが当該現像位置DPから最下流部TMDA及びトナーボックス61の底部に向けて排出される際に、トナーTの流れが局所的に滞ることで、特定の部位にトナーTが滞留することが、効果的に抑制され得る。よって、現像位置DPから最下流部CMDA及びトナーボックス61の底部に向けてのトナーTの排出が、スムーズに行われ得る。
さらに、かかる構成を有する本実施形態によれば、トナー通過孔61a1の開口端縁にて、トナーTを図中下方(図2におけるトナー搬送面TTS)に向けて押さえつける方向の電界強度、すなわち、トナーTをトナー通過孔61a1の開口端縁からトナーボックス61aの内側に向かわせる方向の電界強度が、最も高くされ得る。
よって、トナー通過孔61a1の開口端縁における不用意なトナーTの漏出が、効果的に抑制され得る。したがって、「白地かぶり」の発生が抑制された良好な画像形成が行われ得る。
<トナー供給装置の第13の実施形態>
以下、本発明の第13の実施形態の構成について、図23を用いて説明する。
図23は、図2に示されているトナー供給装置6の第13の実施形態における、対向配線基板65を拡大した側断面図である。
本実施形態においては、図22における対向電極オーバーコーティング層65dに代えて、対向電極コーティング層65cが、低比誘電率部65c1と、上流側高比誘電率部65c2と、下流側高比誘電率部65c3と、上流側中間比誘電率部65c4と、下流側中間比誘電率部65c5と、を備えている。
低比誘電率部65c1は、対向領域近接部CNAに対応する位置に設けられている。
上流側高比誘電率部65c2は、最上流部CMUAに対応する位置に設けられている。この上流側高比誘電率部65c2は、低比誘電率部65c1よりも比誘電率が高い材質によって構成されている。
最上流部CMUAと対向領域近接部CNAとの間の上流側中間部CUIAに対応する位置には、上流側中間比誘電率部65c4が設けられている。この上流側中間比誘電率部65c4は、比誘電率が低比誘電率部65c1と上流側高比誘電率部65c2との中間となるような材質によって構成されている。
下流側高比誘電率部65c3は、最下流部CMDAに対応する位置に設けられている。この下流側高比誘電率部65c3は、低比誘電率部65c1よりも比誘電率が高い材質によって構成されている。
最下流部CMDAと対向領域近接部CNAとの間の下流側中間部CDIAに対応する位置には、下流側中間比誘電率部65c5が設けられている。この下流側中間比誘電率部65c5は、比誘電率が低比誘電率部65c1と下流側高比誘電率部65c3との中間となるような材質によって構成されている。
すなわち、対向電極コーティング層65cは、最上流部CMUAから上流側中間部CUIAを経て対向領域近接部CNAに向かうにしたがって、比誘電率が次第に低くなるように構成されている。また、対向電極コーティング層65cは、対向領域近接部CNAから下流側中間部CDIAを経て最下流部CMDAに向かうにしたがって、比誘電率が次第に高くなるように構成されている。
かかる構成によれば、上述の第12の実施形態と同様の作用・効果が得られる。
<トナー供給装置の第14の実施形態>
以下、本発明の第14の実施形態の構成について、図24を用いて説明する。
図24は、図2に示されているトナー供給装置6の第14の実施形態における、対向配線基板65を拡大した側断面図である。
本実施形態においては、上述の第13の実施形態の構成における対向電極オーバーコーティング層65d(図23参照)が省略されている。すなわち、本実施形態においては、対向電極コーティング層65cによって、本発明の対向電極被覆部材が構成されている。
かかる構成によれば、上述の第12の実施形態や第13の実施形態と同様の作用・効果が得られる。
<トナー供給装置の第15の実施形態>
以下、本発明の第15の実施形態の構成について、図25を用いて説明する。
図25は、図2に示されているトナー供給装置6の第15の実施形態における、対向配線基板65を拡大した側断面図である。
本実施形態においては、対向電極オーバーコーティング層65dは、最上流部CMUAから上流側中間部CUIAを経て対向領域近接部CNAに向かうにしたがって、薄くなるように構成されている。また、対向電極オーバーコーティング層65dは、対向領域近接部CNAから下流側中間部CDIAを経て最下流部CMDAに向かうにしたがって、厚くなるように構成されている。
かかる構成によれば、上述の第12ないし第14の実施形態と同様の作用・効果が得られる。
<トナー供給装置の第16の実施形態>
以下、本発明の第16の実施形態の構成について、図26を用いて説明する。
図26は、図2に示されているトナー供給装置6の第16の実施形態における、対向配線基板65を拡大した側断面図である。
本実施形態においては、図25における対向電極オーバーコーティング層65dに代えて、対向電極コーティング層65cが、トナー搬送方向TTDに向かうにつれて厚さが次第に変化するように構成されている。
すなわち、対向電極コーティング層65cは、最上流部CMUAから上流側中間部CUIAを経て対向領域近接部CNAに向かうにしたがって、薄くなるように構成されている。また、対向電極コーティング層65cは、対向領域近接部CNAから下流側中間部CDIAを経て最下流部CMDAに向かうにしたがって、厚くなるように構成されている。
かかる構成によれば、上述の第15の実施形態と同様の作用・効果が得られる。
<トナー供給装置の第17の実施形態>
以下、本発明の第17の実施形態の構成について、図27を用いて説明する。
図27は、図2に示されているトナー供給装置6の第17の実施形態における、対向配線基板65を拡大した側断面図である。
実施形態においては、上述の第16の実施形態の構成における対向電極オーバーコーティング層65d(図26参照)が省略されている。すなわち、本実施形態においては、対向電極コーティング層65cによって、本発明の対向電極被覆部材が構成されている。
かかる構成によれば、上述の第16の実施形態と同様の作用・効果が得られる。
<トナー供給装置の第18の実施形態>
以下、本発明の第18の実施形態の構成について、図28を用いて説明する。
図28は、図2に示されているトナー供給装置6の第18の実施形態における、対向配線基板65を拡大した側断面図である。
本実施形態においては、対向電極コーティング層65cの厚さは、対向領域近接部CNAよりもトナー搬送方向TTDにおける上流側及び下流側の方が、厚くなるように形成されている。
すなわち、対向電極コーティング層65cは、最上流部CMUAから上流側中間部CUIAを経て対向領域CAに向かうにしたがって、薄くなるように構成されている。また、対向電極コーティング層65cは、対向領域CAから下流側中間部CDIAを経て最下流部CMDAに向かうにしたがって、厚くなるように構成されている
また、対向電極オーバーコーティング層65dの厚さが、対向領域近接部CNAよりもトナー搬送方向TTDにおける上流側及び下流側の方が、薄くなるように形成されている。
すなわち、対向電極オーバーコーティング層65dは、最上流部CMUAから上流側中間部CUIAを経て対向領域CAに向かうにしたがって、厚くなるように構成されている。また、対向電極オーバーコーティング層65dは、対向領域CAから下流側中間部CDIAを経て最下流部CMDAに向かうにしたがって、薄くなるように構成されている。
そして、対向電極コーティング層65cと対向電極オーバーコーティング層65dとの積層体が、ほぼ一定の厚さになるように、平板状に形成されている。さらに、対向電極オーバーコーティング層65dは、対向電極コーティング層65cよりも比誘電率が低い材質によって構成されている。
かかる構成を有する本実施形態のトナー電界搬送体62(搬送配線基板63)においては、搬送電極オーバーコーティング層63dと搬送電極コーティング層63cとの積層体の(合成的な)比誘電率が、対向領域CAよりも、トナー搬送方向TTDにおける上流側及び下流側の方が高くなる。
すなわち、上述の積層体の比誘電率は、最上流部CMUAから上流側中間部CUIAを経て対向領域近接部CNAに向かうにしたがって、次第に低くなる。また、上述の積層体の比誘電率は、対向領域近接部CNAから下流側中間部CDIAを経て最下流部CMDAに向かうにしたがって、次第に高くなる。
これにより、進行波状の電圧が対向電極65aに印加された場合に、トナー搬送方向TTDにおける上流側及び下流側よりも、対向領域近接部CNAの方が、電界の強度が高くなる。
すなわち、電界の強度は、最上流部CMUAから上流側中間部CUIAを経て対向領域近接部CNAに向かうにしたがって、次第に高くなる。また、電界の強度は、対向領域近接部CNAから下流側中間部CDIAを経て最下流部CMDAに向かうにしたがって、次第に低くなる。
かかる構成によれば、上述の第12ないし第17の実施形態と同様の作用・効果が得られる。
<トナー供給装置の第19の実施形態>
以下、本発明の第19の実施形態の構成について、図29を用いて説明する。
図29は、図2に示されているトナー供給装置6の第19の実施形態における、対向配線基板65を拡大した側断面図である。
図29を参照すると、本実施形態においては、対向電極コーティング層65cは、対向領域近接部CNAよりもトナー搬送方向TTDにおける上流側及び下流側の方が、薄くなるように形成されている。
すなわち、対向電極コーティング層65cは、最上流部CMUAから上流側中間部CUIAを経て対向領域近接部CNAに向かうにしたがって、次第に厚くなるように構成されている。また、対向電極コーティング層65cは、対向領域近接部CNAから下流側中間部CDIAを経て最下流部CMDAに向かうにしたがって、次第に薄くなるように構成されている。
また、対向電極オーバーコーティング層65dは、対向領域近接部CNAよりもトナー搬送方向TTDにおける上流側及び下流側の方が、厚くなるように形成されている。
すなわち、対向電極オーバーコーティング層65dは、最上流部CMUAから上流側中間部CUIAを経て対向領域近接部CNAに向かうにしたがって、次第に薄くなるように構成されている。また、対向電極オーバーコーティング層65dは、対向領域近接部CNAから下流側中間部CDIAを経て最下流部CMDAに向かうにしたがって、次第に厚くなるように構成されている。
そして、対向電極コーティング層65cと対向電極オーバーコーティング層65dとの積層体が、ほぼ一定の厚さになるように、平板状に形成されている。さらに、対向電極オーバーコーティング層65dは、対向電極コーティング層65cよりも比誘電率が高い材質によって構成されている。
かかる構成を有する本実施形態の対向配線基板65においては、上述の第18の実施形態と同様に、対向電極オーバーコーティング層65dと対向電極コーティング層65cとの積層体の(合成的な)比誘電率が、対向領域近接部CNAよりも、トナー搬送方向TTDにおける上流側及び下流側の方が高くなる。
かかる構成によれば、上述の第18の実施形態と同様の作用・効果が得られる。
<トナー供給装置の第20の実施形態>
以下、本発明の第20の実施形態の構成について、図30を用いて説明する。
図30は、図2に示されているトナー供給装置6の第20の実施形態における、対向配線基板65を拡大した側断面図である。
図30を参照すると、本実施形態においては、対向電極65aが、トナー搬送方向TTDに向かうにつれて厚さが次第に変化するように構成されている。
すなわち、対向電極65aは、最上流部CMUAから上流側中間部CUIAを経て対向領域近接部CNAに向かうにしたがって、厚くなるように構成されている。また、対向電極65aは、対向領域近接部CNAから下流側中間部CDIAを経て最下流部CMDAに向かうにしたがって、薄くなるように構成されている。
かかる構成によれば、上述の第12ないし第19の実施形態の構成と同様に、トナー搬送面TTSや対向配線基板表面CS上の電界の強度が、トナー搬送方向TTDに向かうにつれて、次第に変化する。これにより、上述の第12ないし第19の実施形態と同様の作用・効果が得られる。
<変形例の例示列挙>
なお、上述の各実施形態は、上述した通り、出願人が取り敢えず本願の出願時点において最良であると考えた本発明の代表的な実施形態を、単に例示したものにすぎない。よって、本発明はもとより上述の各実施形態に何ら限定されるものではない。したがって、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、上述の各実施形態に対して種々の変形が施され得ることは、当然である。
以下、代表的な変形例について、幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の各実施形態にて説明されているものと同様の構成及び機能を有する部材に対しては、上述の実施形態と同様の符号が用いられ得るものとする。そして、かかる部材の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施形態における説明が援用され得るものとする。
もっとも、言うまでもなく、変形例とて、以下に列挙されたもの限定されるものではない。また、複数の変形例が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。
本発明(特に、本発明の課題を解決するための手段を構成する各構成要素における、作用的・機能的に表現されているもの)は、上述の実施形態及び下記変形例の記載に基づいて限定解釈されてはならない。このような限定解釈は、(先願主義の下で出願を急ぐ)出願人の利益を不当に害する反面、模倣者を不当に利するものであって、発明の保護及び利用を目的とする特許法の目的に反し、許されない。
(1)本発明の適用対象は、単色のレーザープリンタに限定されない。例えば、本発明は、カラーのレーザープリンタや、単色及びカラーの複写機等の、いわゆる電子写真方式の画像形成装置に対して、好適に適用され得る。このとき、感光体の形状は、上述の実施形態のようなドラム状でなくてもよい。例えば、平板状や無端ベルト状等であってもよい。
あるいは、本発明は、上述の電子写真方式以外の方式(例えば、感光体を用いないトナージェット方式、イオンフロー方式、マルチスタイラス電極方式、等)の画像形成装置に対しても、好適に適用され得る。
(2)上述の実施形態において、各電源回路VA〜VDが発生する電圧の波形は、矩形状波形であったが、正弦波状波形や三角状波形等の他の形状の波形であってもよい。
また、上記実施形態は、4つの電源回路VA〜VDを備えるとともに各電源回路VA〜VDが発生する電圧の位相が90°ずつ異なるように構成されていたが、3つの電源回路を備えるとともに各電源回路が発生する電圧の位相が120°ずつ異なるように構成されていてもよい。
(3)図3において、搬送配線基板63における低比誘電率部63d1は、対向領域CAのトナー搬送方向TTDにおける上流側及び/又は下流側の端からはみ出すように設けられていてもよい。すなわち、搬送配線基板63における低比誘電率部63d1が、対向配線基板65における低比誘電率部65d1と対向するようになっていてもよい。
(4)上述の各実施形態において、比誘電率や厚さの変化は、連続的であってもよいし、段階的であってもよい。
また、図14等における、上流側中間部CUIA、下流側中間部CDIA、上流側中間部TUIA、及び下流側中間部TDIAの境界位置は、上述の各実施形態で説明及び図示されたものに限定されない。
さらに、図14等における、上流側中間部CUIA、下流側中間部CDIA、上流側中間部TUIA、及び下流側中間部TDIAは、さらに複数の領域に分割され得る。
(5)図17、図18、及び図19において、中央構成部62aにおけるトナー搬送面TTSは、xz平面と平行な平面として形成されていてもよい。
また、図25、図16、及び図27において、対向配線基板表面CSは、xz平面と平行な平面として形成されていてもよい。
(6)上述の各実施形態における搬送配線基板63及び対向配線基板65(上述のように変形したもの等も含む)は、任意に組み合わせることが当然可能である。
(7)対向配線基板65は、部分的又は全体的に省略され得る。
(8)その他、いちいち言及しないが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、これら以外の種々の変形が可能である。
また、本発明の課題を解決するための手段を構成する各要素における、作用・機能的に表現されている要素は、上述の実施形態や変形例にて開示されている具体的構造の他、当該作用・機能を実現可能ないかなる構造をも含む。