JP4523968B2 - 無線受信機 - Google Patents
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Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチパスフェーディングとフラットフェーディングの影響を抑制する適応フィルタを備えた無線受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
FM放送に使用されているVHF帯の電波は、建造物等によって反射されると直接波と反射波が受信機に加わり、いわゆるマルチパスとなる。このマルチパスが生じると、FM波に直接波と反射波との干渉によるマルチパスフェーディング(マルチパス歪)が発生し、受信品質を劣化させる。特に、自動車に搭載される車載型無線受信機や携帯型無線受信機等の移動体無線受信機では、マルチパスの影響を受けやすい環境で使用されることから、マルチパス歪の影響を抑制し、受信品質の劣化を防止することが極めて重要となっている。
【0003】
そこで、従来、図1(a)に示すような、マルチパスフェーディングを抑制する適応フィルタを備えた無線受信機が提案されている。
【0004】
図1(a)に示す従来の無線受信機は、フロントエンド1で周波数変換された中間周波信号(IF信号)をIF増幅部2で帯域制限及び増幅した後、A/D変換器3でディジタルIF信号Xにアナログディジタル変換し、更に適応フィルタ4でディジタルIF信号Xに適応処理を施すことで、マルチパスフェーディングを抑制したディジタルIF信号Yを生成して、検波器5で検波するようになっている。
【0005】
ここで、適応フィルタ4は、図1(b)に示すように、ディジタルIF信号Xに対してフィルタ処理を行うIIR型ディジタルフィルタと、マルチパスフェーディングを抑制すべくIIR型ディジタルフィルタのタップ係数(フィルタ係数)を可変調整する係数更新部OPRTを有して構成されている。
【0006】
すなわち、IIR型ディジタルフィルタは、ディジタルIF信号Xを増幅する乗算器a0と、乗算器a0の出力と後述の帰還信号FBとを加算する加算器SUM1と、夫々1サンプル遅延を有する複数個の遅延素子(z-1)を有すると共に加算器SUM1の出力を入力してシフトするシフトレジスタSRGと、各遅延素子(z-1)の出力にフィルタ係数を乗算する乗算器b0〜bnと、乗算器b0〜bnの出力を加算することで帰還信号FBを生成する加算器SUM2と、を具備して構成されている。
【0007】
係数更新部OPRTは、加算器SUM1から出力される1サンプル遅延ずれたディジタルIF信号Y(t)とY(t-1)との2乗の平方根εを演算し、更に2乗の平方根εと所定の収束値Vthとの収束誤差Err(t)が0に収束することとなるように、乗算器b0〜bnの各フィルタ係数を可変調整する。すなわち、次式(1)(2)で表される演算を行うことで、2乗の平方根εと収束誤差Err(t)を演算し、収束誤差Err(t)に基づいて乗算器b0〜bnの各フィルタ係数を可変調整する。ここで、収束値Vthは、マルチパスフェーディングを効果的に除去するための固定値であり、実験等によって決められている。
【0008】
【数1】
【0009】
かかる構成によると、適応フィルタ4は、加算器SUM1からマルチパスフェーディングを抑制したディジタルIF信号Yを出力し、検波器5が検波することにより波形歪み等の少ない検波信号(ベースバンド信号)Soutを出力する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記従来の無線受信機は、適応フィルタ4がIIR型ディジタルフィルタで形成されているため、マルチパスフェーディングを抑制するためには都合のよい構成となっている。すなわち、周波数選択性フェーディングであるマルチパスフェーディングは、直接波と反射波との干渉によるAM成分がFM波に生じることによるものであることから、直接波と反射波の比率が1対1の場合には、IIR型ディジタルフィルタのインパルス応答が無限に続く。このことから、IIR型ディジタルフィルタが効果的であり、マルチパスフェーディングが収束値Vthに収束することで、ディジタルIF信号Yの振幅(アナログIF信号とした場合の振幅)が一定に保たれて、マルチパスフェーディングを取り除くことができる。
【0011】
ところが、フェーディングはマルチパスによるだけでなく、直接波それ自身の減衰に起因するフラットフェーディングも生じることから、このフラットフェーディングを無限長インパルス特性を有するIIR型ディジタルフィルタで除去しようとすると、係数更新部OPRTで更新される乗算器b0〜bnの各フィルタ係数が発散する場合があり、動作が不安定になるという問題があった。
【0012】
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものであり、マルチパスフェーディングとフラットフェーディングとの抑制を安定して行うことが可能な適応フィルタを備えた無線受信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載の発明は、FM波の中間周波信号に含まれるフェーディングを抑制する無線受信機であって、前記中間周波信号から電界強度を測定し、該電界強度が所定の閾値より大きいときには第1判定結果、該電界強度が閾値より小さいときには第2判定結果を示す切換制御信号を発生する判定手段と、前記第1判定結果を示す切換制御信号に従って、IIR型フィルタにより前記中間周波信号に対して適応的にフィルタリング処理を行い、前記第2判定結果を示す切換制御信号に従って、FIR型フィルタにより、前記中間周波信号に対して適応的にフィルタリング処理を行う適応フィルタ手段と、前記第1判定結果を示す切換制御信号に従って、前記IIR型フィルタの出力信号を出力し、前記第2判定結果を示す切換制御信号に従って、前記FIR型フィルタの出力信号を出力する切換手段と、を有し、前記IIR型フィルタは、前記中間周波信号を入力する第1の加算器と、前記第1の加算器の出力を1サンプル遅延ずつ遅延させる偶数個の遅延素子と、前記第1の加算器の出力と前記各遅延素子の出力にフィルタ係数を乗算する複数の乗算器と、前記複数の乗算器の出力を加算して前記第1の加算器に帰還し前記中間周波信号と加算させる第2の加算器とを備え、前記IIR型フィルタの出力信号を、前記偶数個の遅延素子の中点の接続点にて生じさせること、を特徴とする。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の無線受信機において、前記適応フィルタ手段は、前記IIR型フィルタにより前記中間周波信号に対して適応的にフィルタリング処理を行う際、前記IIR型フィルタの出力の変動を抑制すべく前記IIR型フィルタのフィルタ係数を自動調整し、前記FIR型フィルタにより前記中間周波信号に対して適応的にフィルタリング処理を行う際、前記FIR型フィルタの出力の変動を抑制すべく前記FIR型フィルタのフィルタ係数を自動調整する係数更新手段を有することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施の形態に係る無線受信機について、図2を参照して説明する。図2は、本実施形態の無線受信機の構成を表したブロック図である。
【0016】
図2において、この無線受信機は、受信アンテナで受信される様々な放送波の中からFM放送帯域のRF信号を抽出し、局部発信周波数の局発信号とRF信号とを混合することによって中間周波数のIF信号を出力するフロントエンド6と、そのIF信号を帯域制限して増幅することにより、希望波としてのIF信号を出力するIF増幅部7と、IF増幅部7から出力されるIF信号をディジタルIF信号Xにアナログディジタル変換するA/D変換器8と、適応フィルタ9、切替え部10、検波器11及び判定部12を有して構成されている。
【0017】
判定部12は、ディジタルIF信号Xから電界強度(Sメータ)を演算し、その演算した電界強度と所定の閾値THDとを比較する。そして、電界強度が閾値THDより大きいときには、第1判定結果を示す切替制御信号SEL、電界強度が閾値THDより小さいときには、第2判定結果を示す切替制御信号SELを適応フィルタ9と切替え部10に供給する。
【0018】
切替え部10は、判定部12から第1判定結果を示す切替制御信号SELが供給されると、適応フィルタ9でフィルタリング処理された出力信号SIIRをディジタルIF信号Yとして検波器11に転送し、第2判定結果を示す切替制御信号SELが供給されると、適応フィルタ9でフィルタリング処理された出力信号SFIRをディジタルIF信号Yとして検波器11に転送する。
【0019】
適応フィルタ9は、IIR型ディジタルフィルタと、FIR型ディジタルフィルタと、これらのディジタルフィルタのフィルタ係数を調整する係数更新部とを有して構成されている。そして、適応フィルタ9は、判定部12から第1判定結果を示す切替制御信号SELが供給されると、ディジタルIF信号Xに対してIIR型ディジタルフィルタによるフィルタリング処理を行い、フィルタリング処理した出力信号SIIRを切替え部10を介して、ディジタルIF信号Yとして検波器11に供給する。一方、判定部12から第2判定結果を示す切替制御信号SELが供給されると、ディジタルIF信号Xに対してFIR型ディジタルフィルタによるフィルタリング処理を行い、フィルタリング処理した出力信号SFIRを切替え部10を介して、ディジタルIF信号Yとして検波器11に供給する。
【0020】
更に、適応フィルタ9に設けられている上述の係数更新部が、切替え部10の出力であるディジタルIF信号Yの振幅変動(ディジタルIF信号Yをアナログ信号とした場合の振幅変動)を検出し、その振幅変動が0に収束することとなるように、IIR型ディジタルフィルタのフィルタ係数と、FIR型ディジタルフィルタのフィルタ係数を可変調整する。
【0021】
すなわち、第1判定結果を示す切替制御信号SELに従って、IIR型ディジタルフィルタでフィルタリング処理された出力信号SIIRがディジタルIF信号Yとして切替え部10から出力されると、上述の係数更新部は、そのディジタルIF信号Yの振幅変動を検出し、その振幅変動が0に収束することとなるようにIIR型ディジタルフィルタのフィルタ係数を自動調整することにより、フェーディングを抑制した出力信号SIIRをIIR型ディジタルフィルタから出力させる。
【0022】
一方、第2判定結果を示す切替制御信号SELに従って、FIR型ディジタルフィルタでフィルタリング処理された出力信号SFIRがディジタルIF信号Yとして切替え部10から出力されると、上述の係数更新部は、そのディジタルIF信号Yの振幅変動を検出し、その振幅変動が0に収束することとなるようにFIR型ディジタルフィルタのフィルタ係数を自動調整することにより、フェーディングを抑制した出力信号SFIRをFIR型ディジタルフィルタから出力させる。
【0023】
以上に説明したように、本実施形態の無線受信機は、電界強度が所定の閾値THDより大きいときには、適応フィルタ9内のIIR型ディジタルフィルタと係数更新部との処理によって、ディジタルIF信号Xに対してディジタルフィルタリング処理を行って、フェーディングの影響を抑制した出力信号SIIRをディジタルIF信号Yとして検波器11に供給し、電界強度が所定の閾値THDより小さいときには、適応フィルタ9内のFIR型ディジタルフィルタと係数更新部との処理によって、ディジタルIF信号Xに対してディジタルフィルタリング処理を行って、フェーディングの影響を抑制した出力信号SFIRをディジタルIF信号Yとして検波器11に供給する。
【0024】
このことから、次の効果が得られる。すなわち、マルチパスフェーディングが生じる場合には、電界強度が大きくなることから、適応フィルタ9内のIIR型ディジタルフィルタよって、ディジタルIF信号Xに対するディジタルフィルタリング処理が行われる。このため、直接波と反射波の比率が1対1となるようなマルチパスフェーディングが生じて、インパルス応答が無限に続くような場合でも、マルチパスフェーディングを収束させることができ、ディジタルIF信号Yの振幅(アナログIF信号とした場合の振幅)を一定に保つことができることから、検波器11がそのディジタルIF信号YをFM検波すると、波形歪等が抑制された検波信号(ベースバンド)Sdetを生成することができる。
【0025】
一方、フラットフェーディングが生じる場合には、電界強度が小さくなり、閾値THDとの比較結果に基づいて、適応フィルタ9内のFIR型ディジタルフィルタが、ディジタルIF信号Xに対するディジタルフィルタリング処理を行う。このため、IIR型ディジタルに較べて安定に動作するFIR型ディジタルフィルタによって、フラットフェーディングを収束させることができ、ディジタルIF信号Yの振幅(アナログIF信号とした場合の振幅)を一定に保つことができることから、検波器11がそのディジタルIF信号YをFM検波すると、波形歪等が抑制された検波信号Sdetを生成することができる。
【0026】
このように、本実施形態の無線受信機によれば、マルチパスフェーディングとフラットフェーディングとの抑制を安定して行うことが可能であり、受信品質の向上を図ることができるものである。
【実施例】
【0027】
次に、より具体的な実施例について図3を参照して説明する。図3(a)は、本実施例の無線受信機の構成を表したブロック図であり、図2と同一又は相当する部分を同一符号で示している。図3(b)は、適応フィルタの構成を表したブロック図である。
【0028】
図3(a)において、この無線受信機は、選局回路6aと周波数変換器6bを有するフロントエンド6から出力されるIF信号を、IF増幅部7が帯域制限して増幅し、更にA/D変換器8がディジタルIF信号Xにアナログディジタル変換して出力する。
【0029】
判定部12は、ディジタルIF信号Xから電界強度(Sメータ)を演算する電界強度測定部12aと、電界強度測定部12aで演算された電界強度の値Smtrと所定の閾値THDとを比較して切替制御信号SELを出力する比較回路12bによって形成されている。すなわち、閾値THDは、実験等によって、マルチパスフェーディングが生じるときの電界強度と、フラットフェーディングが生じるときの電界強度との間の値に決められている。そして、比較回路12bは、電界強度の値Smtrが閾値THDより大きいときには、第1判定結果を示す論理“H”となる切替制御信号SELを出力し、電界強度の値Smtrが閾値THDより小さいときには、第2判定結果を示す論理“L”となる切替制御信号SELを出力する。
【0030】
切替回路10は、切替制御信号SELに従って切替え動作するアナログスイッチ等で形成されており、第1判定結果を示す切替制御信号SELが供給されると、適応フィルタ9から出力される出力信号SIIRをディジタルIF信号Yとして検波器11に転送し、第2判定結果を示す切替制御信号SELが供給されると、適応フィルタ9から出力される出力信号SFIRをディジタルIF信号Yとして検波器11に転送する。
【0031】
適応フィルタ9は、図3(b)に示す構成を有しており、電界強度測定回路12aと比較回路12bとを有する判定部12による制御の下で、入力されるディジタルIF信号Xに対するディジタルフィルタリング処理を行い、フェーディングを抑制した出力信号SIIR又はSFIRを切替え回路10を介して検波器11に供給する。
【0032】
すなわち、適応フィルタ9は、ディジタルIF信号Xと後述のスイッチ回路SWを介して供給される帰還信号FBとを加算する加算器SUM1と、夫々1サンプル遅延を有する複数個の遅延素子(z-1)を有すると共に加算器SUM1の出力を入力してシフトする複数段のシフトレジスタSRGと、加算器SUM1と各遅延素子(z-1)の出力にフィルタ係数を乗算する複数個の乗算器b0〜b2nと、乗算器b0〜b2nの出力を加算することで出力信号SFIRを生成する加算器SUM2と、係数更新部OPRTとを具備して構成されている。
【0033】
ここで、遅延素子(z-1)の個数が2n個(偶数個)である場合、乗算器b0〜b2nの個数は、2n+1個(奇数個)となる関係に設定されており、例えば遅延素子(z-1)の個数が28個、乗算器b0〜b2nの個数は29となっている。
【0034】
そして、n番目の遅延素子(z-1)とn+1番目の遅延素子(z-1)との接続点である中点nTsから出力信号SIIRが出力される。
【0035】
スイッチ回路SWは、切替制御信号SELに従って導通(オン)又は遮断(オフ)動作を行い、切替え回路10が接点P1側に切替え接続されて、出力信号SIIRがディジタルIF信号Yとして出力されるのと同期して導通状態となり、加算器SUM2の出力信号SFIRを帰還信号FBとして加算器SUM1に供給することにより、加算器SUM1においてその帰還信号FBとディジタルIF信号Xとを加算させ、加算結果をシフトレジスタSRG側へ出力させる。
【0036】
一方、切替え回路10が接点P2側に切替え接続されて、出力信号SFIRがディジタルIF信号Yとして出力されるのと同期してスイッチ回路SWは遮断状態となり、帰還信号FBを加算器SUM1に供給しないように動作する。これにより、加算器SUM1は、入力されるディジタルIF信号XをそのままシフトレジスタSRG側へ出力することとなる。
【0037】
そして、スイッチ回路SWが導通状態となった場合、ディジタルIF信号Xに対する出力信号SIIRの伝達関数をz変換表記で表すと、次式(3)で表され、IIRディジタルフィルタが実現される。なお、IIRディジタルフィルタが実現される場合には、係数更新部OPRTによって、乗算器b0のフィルタ係数が0に設定される。
【0038】
【数2】
【0039】
また、スイッチ回路SWが遮断状態となった場合、ディジタルIF信号Xに対する出力信号SFIRの伝達関数をz変換表記で表すと、次式(4)で表され、FIRディジタルフィルタが実現される。
【0040】
【数3】
【0041】
係数更新部OPRTは、切替制御信号SELと、切替え回路10の出力であるディジタルIF信号Yと、加算器SUM1の出力X0とシフトレジスタSRGの各遅延素子(z-1)の出力X1〜X2nとを入力する。
【0042】
そして、第1判定結果を示す切替制御信号SELが供給されると、IIR型ディジタルフィルタの中点nTsから出力される出力信号SIIRがディジタルIF信号Yとなって供給される1サンプル遅延ずれたディジタルIF信号Y(t)とY(t-1)と所定の収束値Vthに基づいて、次式(5)(6)で表される2乗の平方根εと収束誤差Err(t)を演算し、更に、収束誤差Err(t)と各遅延素子(z-1)の出力X1〜X2nとに基づいて、次式(7)で表される演算処理を行うことで、各乗算器b1〜b2nのフィルタ係数を算出して調整する。
【0043】
ただし、各乗算器b0のフィルタ係数は0にする。また、係数αは、フェーディングを収束させるための係数であり、係数αの値を調整すると、その収束速度を調整することができるようになっている。
【0044】
【数4】
【0045】
【数5】
【0046】
このように、係数更新部OPRTが各乗算器b0,b1〜b2nのフィルタ係数を自動調整すると、ディジタルIF信号Xに生じていたマルチパスフェーディングがIIR型ディジタルフィルタによって抑制され、その出力信号SIIRが切替え回路10を介して、ディジタルIF信号Yとして検波器11に供給され、波形歪等の低減された検波信号Sdetが生成される。
【0047】
また、係数更新部OPRTは、第2判定結果を示す切替制御信号SELが供給されると、FIR型ディジタルフィルタの加算器SUM2から出力される出力信号SFIRがディジタルIF信号Yとなって供給される1サンプル遅延ずれたディジタルIF信号Y(t)とY(t-1)と所定の収束値Vthに基づいて、上記式(5)(6)で表される2乗の平方根εと収束誤差Err(t)を演算し、更に、収束誤差Err(t)と加算器SUM1の出力X0と各遅延素子(z-1)の出力X1〜X2nとに基づいて、上記式(7)で表される演算処理を行うことで、各乗算器b0〜b2nのフィルタ係数を算出して調整する。
【0048】
このように、係数更新部OPRTが各乗算器b0〜b2nのフィルタ係数を自動調整すると、ディジタルIF信号Xに生じていたフラットフェーディングがFIR型ディジタルフィルタによって抑制され、その出力信号SFIRが切替え回路10を介して、ディジタルIF信号Yとして検波器11に供給され、波形歪等の低減された検波信号Sdetが生成される。
【0049】
以上に説明したように、本実施例の無線受信機は、電界強度が所定の閾値THDより大きいときには、適応フィルタ9内に形成されるIIR型ディジタルフィルタと係数更新部OPRTとの処理によって、ディジタルIF信号Xに対してディジタルフィルタリング処理を行って、フェーディングの影響を抑制した出力信号SIIRをディジタルIF信号Yとして検波器11に供給し、電界強度が所定の閾値THDより小さいときには、適応フィルタ9内に形成されるFIR型ディジタルフィルタと係数更新部OPRTとの処理によって、ディジタルIF信号Xに対してディジタルフィルタリング処理を行って、フェーディングの影響を抑制した出力信号SFIRをディジタルIF信号Yとして検波器11に供給する。
【0050】
このことから、次の効果が得られる。すなわち、マルチパスフェーディングが生じる場合には、電界強度が大きくなることから、適応フィルタ9内のIIR型ディジタルフィルタよって、ディジタルIF信号Xに対するディジタルフィルタリング処理が行われる。このため、直接波と反射波の比率が1対1となるようなマルチパスフェーディングが生じて、インパルス応答が無限に続くような場合でも、マルチパスフェーディングを収束させることができ、ディジタルIF信号Yの振幅(アナログIF信号とした場合の振幅)を一定に保つことができることから、検波器11がそのディジタルIF信号YをFM検波すると、波形歪等が抑制された検波信号(ベースバンド)Sdetを生成することができる。
【0051】
一方、フラットフェーディングが生じる場合には、電界強度が小さくなり、閾値THDとの比較結果に基づいて、適応フィルタ9内のFIR型ディジタルフィルタが、ディジタルIF信号Xに対するディジタルフィルタリング処理を行う。このため、IIR型ディジタルに較べて安定に動作するFIR型ディジタルフィルタによって、フラットフェーディングを収束させることができ、ディジタルIF信号Yの振幅(アナログIF信号とした場合の振幅)を一定に保つことができることから、検波器11がそのディジタルIF信号YをFM検波すると、波形歪等が抑制された検波信号Sdetを生成することができる。
【0052】
このように、本実施形態の無線受信機によれば、マルチパスフェーディングとフラットフェーディングとの抑制を安定して行うことが可能であり、受信品質の向上を図ることができるものである。
【0053】
更に、IIR型ディジタルフィルタでフィルタリング処理された出力信号SIIRがシフトレジスタSRQの中点nTsから出力され、FIR型ディジタルフィルタでフィルタリング処理された出力信号SFIRが加算器SUM2から出力されるため、出力信号SIIRのインパルスレスポンスと出力信号SFIRのインパルスレスポンスとの位相が一致することとなる。このため、切替制御信号SELに従って切替え回路10が切替え動作しても、出力信号SIIRから出力信号SFIRへの切替え時と、出力信号SFIRから出力信号SIIRへの切替え時において、各出力信号が連続的に切り替わり、歪みのないディジタルIF信号Yを検波器11に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】 従来の無線受信機の構成を説明するためのブロック図である。
【図2】 本発明の実施形態に係る無線受信機の構成を表したブロック図である。
【図3】 実施例の無線受信機の構成を表したブロック図である。
【符号の説明】
9…適応フィルタ
10…切替え部
12…判定部
SUM1…加算器
SUM2…加算器
z-1 …遅延素子
b0〜b2n…乗算器
OPRT…係数更新部
【0001】
本発明は、マルチパスフェーディングとフラットフェーディングの影響を抑制する適応フィルタを備えた無線受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
FM放送に使用されているVHF帯の電波は、建造物等によって反射されると直接波と反射波が受信機に加わり、いわゆるマルチパスとなる。このマルチパスが生じると、FM波に直接波と反射波との干渉によるマルチパスフェーディング(マルチパス歪)が発生し、受信品質を劣化させる。特に、自動車に搭載される車載型無線受信機や携帯型無線受信機等の移動体無線受信機では、マルチパスの影響を受けやすい環境で使用されることから、マルチパス歪の影響を抑制し、受信品質の劣化を防止することが極めて重要となっている。
【0003】
そこで、従来、図1(a)に示すような、マルチパスフェーディングを抑制する適応フィルタを備えた無線受信機が提案されている。
【0004】
図1(a)に示す従来の無線受信機は、フロントエンド1で周波数変換された中間周波信号(IF信号)をIF増幅部2で帯域制限及び増幅した後、A/D変換器3でディジタルIF信号Xにアナログディジタル変換し、更に適応フィルタ4でディジタルIF信号Xに適応処理を施すことで、マルチパスフェーディングを抑制したディジタルIF信号Yを生成して、検波器5で検波するようになっている。
【0005】
ここで、適応フィルタ4は、図1(b)に示すように、ディジタルIF信号Xに対してフィルタ処理を行うIIR型ディジタルフィルタと、マルチパスフェーディングを抑制すべくIIR型ディジタルフィルタのタップ係数(フィルタ係数)を可変調整する係数更新部OPRTを有して構成されている。
【0006】
すなわち、IIR型ディジタルフィルタは、ディジタルIF信号Xを増幅する乗算器a0と、乗算器a0の出力と後述の帰還信号FBとを加算する加算器SUM1と、夫々1サンプル遅延を有する複数個の遅延素子(z-1)を有すると共に加算器SUM1の出力を入力してシフトするシフトレジスタSRGと、各遅延素子(z-1)の出力にフィルタ係数を乗算する乗算器b0〜bnと、乗算器b0〜bnの出力を加算することで帰還信号FBを生成する加算器SUM2と、を具備して構成されている。
【0007】
係数更新部OPRTは、加算器SUM1から出力される1サンプル遅延ずれたディジタルIF信号Y(t)とY(t-1)との2乗の平方根εを演算し、更に2乗の平方根εと所定の収束値Vthとの収束誤差Err(t)が0に収束することとなるように、乗算器b0〜bnの各フィルタ係数を可変調整する。すなわち、次式(1)(2)で表される演算を行うことで、2乗の平方根εと収束誤差Err(t)を演算し、収束誤差Err(t)に基づいて乗算器b0〜bnの各フィルタ係数を可変調整する。ここで、収束値Vthは、マルチパスフェーディングを効果的に除去するための固定値であり、実験等によって決められている。
【0008】
【数1】
【0009】
かかる構成によると、適応フィルタ4は、加算器SUM1からマルチパスフェーディングを抑制したディジタルIF信号Yを出力し、検波器5が検波することにより波形歪み等の少ない検波信号(ベースバンド信号)Soutを出力する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記従来の無線受信機は、適応フィルタ4がIIR型ディジタルフィルタで形成されているため、マルチパスフェーディングを抑制するためには都合のよい構成となっている。すなわち、周波数選択性フェーディングであるマルチパスフェーディングは、直接波と反射波との干渉によるAM成分がFM波に生じることによるものであることから、直接波と反射波の比率が1対1の場合には、IIR型ディジタルフィルタのインパルス応答が無限に続く。このことから、IIR型ディジタルフィルタが効果的であり、マルチパスフェーディングが収束値Vthに収束することで、ディジタルIF信号Yの振幅(アナログIF信号とした場合の振幅)が一定に保たれて、マルチパスフェーディングを取り除くことができる。
【0011】
ところが、フェーディングはマルチパスによるだけでなく、直接波それ自身の減衰に起因するフラットフェーディングも生じることから、このフラットフェーディングを無限長インパルス特性を有するIIR型ディジタルフィルタで除去しようとすると、係数更新部OPRTで更新される乗算器b0〜bnの各フィルタ係数が発散する場合があり、動作が不安定になるという問題があった。
【0012】
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものであり、マルチパスフェーディングとフラットフェーディングとの抑制を安定して行うことが可能な適応フィルタを備えた無線受信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載の発明は、FM波の中間周波信号に含まれるフェーディングを抑制する無線受信機であって、前記中間周波信号から電界強度を測定し、該電界強度が所定の閾値より大きいときには第1判定結果、該電界強度が閾値より小さいときには第2判定結果を示す切換制御信号を発生する判定手段と、前記第1判定結果を示す切換制御信号に従って、IIR型フィルタにより前記中間周波信号に対して適応的にフィルタリング処理を行い、前記第2判定結果を示す切換制御信号に従って、FIR型フィルタにより、前記中間周波信号に対して適応的にフィルタリング処理を行う適応フィルタ手段と、前記第1判定結果を示す切換制御信号に従って、前記IIR型フィルタの出力信号を出力し、前記第2判定結果を示す切換制御信号に従って、前記FIR型フィルタの出力信号を出力する切換手段と、を有し、前記IIR型フィルタは、前記中間周波信号を入力する第1の加算器と、前記第1の加算器の出力を1サンプル遅延ずつ遅延させる偶数個の遅延素子と、前記第1の加算器の出力と前記各遅延素子の出力にフィルタ係数を乗算する複数の乗算器と、前記複数の乗算器の出力を加算して前記第1の加算器に帰還し前記中間周波信号と加算させる第2の加算器とを備え、前記IIR型フィルタの出力信号を、前記偶数個の遅延素子の中点の接続点にて生じさせること、を特徴とする。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の無線受信機において、前記適応フィルタ手段は、前記IIR型フィルタにより前記中間周波信号に対して適応的にフィルタリング処理を行う際、前記IIR型フィルタの出力の変動を抑制すべく前記IIR型フィルタのフィルタ係数を自動調整し、前記FIR型フィルタにより前記中間周波信号に対して適応的にフィルタリング処理を行う際、前記FIR型フィルタの出力の変動を抑制すべく前記FIR型フィルタのフィルタ係数を自動調整する係数更新手段を有することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施の形態に係る無線受信機について、図2を参照して説明する。図2は、本実施形態の無線受信機の構成を表したブロック図である。
【0016】
図2において、この無線受信機は、受信アンテナで受信される様々な放送波の中からFM放送帯域のRF信号を抽出し、局部発信周波数の局発信号とRF信号とを混合することによって中間周波数のIF信号を出力するフロントエンド6と、そのIF信号を帯域制限して増幅することにより、希望波としてのIF信号を出力するIF増幅部7と、IF増幅部7から出力されるIF信号をディジタルIF信号Xにアナログディジタル変換するA/D変換器8と、適応フィルタ9、切替え部10、検波器11及び判定部12を有して構成されている。
【0017】
判定部12は、ディジタルIF信号Xから電界強度(Sメータ)を演算し、その演算した電界強度と所定の閾値THDとを比較する。そして、電界強度が閾値THDより大きいときには、第1判定結果を示す切替制御信号SEL、電界強度が閾値THDより小さいときには、第2判定結果を示す切替制御信号SELを適応フィルタ9と切替え部10に供給する。
【0018】
切替え部10は、判定部12から第1判定結果を示す切替制御信号SELが供給されると、適応フィルタ9でフィルタリング処理された出力信号SIIRをディジタルIF信号Yとして検波器11に転送し、第2判定結果を示す切替制御信号SELが供給されると、適応フィルタ9でフィルタリング処理された出力信号SFIRをディジタルIF信号Yとして検波器11に転送する。
【0019】
適応フィルタ9は、IIR型ディジタルフィルタと、FIR型ディジタルフィルタと、これらのディジタルフィルタのフィルタ係数を調整する係数更新部とを有して構成されている。そして、適応フィルタ9は、判定部12から第1判定結果を示す切替制御信号SELが供給されると、ディジタルIF信号Xに対してIIR型ディジタルフィルタによるフィルタリング処理を行い、フィルタリング処理した出力信号SIIRを切替え部10を介して、ディジタルIF信号Yとして検波器11に供給する。一方、判定部12から第2判定結果を示す切替制御信号SELが供給されると、ディジタルIF信号Xに対してFIR型ディジタルフィルタによるフィルタリング処理を行い、フィルタリング処理した出力信号SFIRを切替え部10を介して、ディジタルIF信号Yとして検波器11に供給する。
【0020】
更に、適応フィルタ9に設けられている上述の係数更新部が、切替え部10の出力であるディジタルIF信号Yの振幅変動(ディジタルIF信号Yをアナログ信号とした場合の振幅変動)を検出し、その振幅変動が0に収束することとなるように、IIR型ディジタルフィルタのフィルタ係数と、FIR型ディジタルフィルタのフィルタ係数を可変調整する。
【0021】
すなわち、第1判定結果を示す切替制御信号SELに従って、IIR型ディジタルフィルタでフィルタリング処理された出力信号SIIRがディジタルIF信号Yとして切替え部10から出力されると、上述の係数更新部は、そのディジタルIF信号Yの振幅変動を検出し、その振幅変動が0に収束することとなるようにIIR型ディジタルフィルタのフィルタ係数を自動調整することにより、フェーディングを抑制した出力信号SIIRをIIR型ディジタルフィルタから出力させる。
【0022】
一方、第2判定結果を示す切替制御信号SELに従って、FIR型ディジタルフィルタでフィルタリング処理された出力信号SFIRがディジタルIF信号Yとして切替え部10から出力されると、上述の係数更新部は、そのディジタルIF信号Yの振幅変動を検出し、その振幅変動が0に収束することとなるようにFIR型ディジタルフィルタのフィルタ係数を自動調整することにより、フェーディングを抑制した出力信号SFIRをFIR型ディジタルフィルタから出力させる。
【0023】
以上に説明したように、本実施形態の無線受信機は、電界強度が所定の閾値THDより大きいときには、適応フィルタ9内のIIR型ディジタルフィルタと係数更新部との処理によって、ディジタルIF信号Xに対してディジタルフィルタリング処理を行って、フェーディングの影響を抑制した出力信号SIIRをディジタルIF信号Yとして検波器11に供給し、電界強度が所定の閾値THDより小さいときには、適応フィルタ9内のFIR型ディジタルフィルタと係数更新部との処理によって、ディジタルIF信号Xに対してディジタルフィルタリング処理を行って、フェーディングの影響を抑制した出力信号SFIRをディジタルIF信号Yとして検波器11に供給する。
【0024】
このことから、次の効果が得られる。すなわち、マルチパスフェーディングが生じる場合には、電界強度が大きくなることから、適応フィルタ9内のIIR型ディジタルフィルタよって、ディジタルIF信号Xに対するディジタルフィルタリング処理が行われる。このため、直接波と反射波の比率が1対1となるようなマルチパスフェーディングが生じて、インパルス応答が無限に続くような場合でも、マルチパスフェーディングを収束させることができ、ディジタルIF信号Yの振幅(アナログIF信号とした場合の振幅)を一定に保つことができることから、検波器11がそのディジタルIF信号YをFM検波すると、波形歪等が抑制された検波信号(ベースバンド)Sdetを生成することができる。
【0025】
一方、フラットフェーディングが生じる場合には、電界強度が小さくなり、閾値THDとの比較結果に基づいて、適応フィルタ9内のFIR型ディジタルフィルタが、ディジタルIF信号Xに対するディジタルフィルタリング処理を行う。このため、IIR型ディジタルに較べて安定に動作するFIR型ディジタルフィルタによって、フラットフェーディングを収束させることができ、ディジタルIF信号Yの振幅(アナログIF信号とした場合の振幅)を一定に保つことができることから、検波器11がそのディジタルIF信号YをFM検波すると、波形歪等が抑制された検波信号Sdetを生成することができる。
【0026】
このように、本実施形態の無線受信機によれば、マルチパスフェーディングとフラットフェーディングとの抑制を安定して行うことが可能であり、受信品質の向上を図ることができるものである。
【実施例】
【0027】
次に、より具体的な実施例について図3を参照して説明する。図3(a)は、本実施例の無線受信機の構成を表したブロック図であり、図2と同一又は相当する部分を同一符号で示している。図3(b)は、適応フィルタの構成を表したブロック図である。
【0028】
図3(a)において、この無線受信機は、選局回路6aと周波数変換器6bを有するフロントエンド6から出力されるIF信号を、IF増幅部7が帯域制限して増幅し、更にA/D変換器8がディジタルIF信号Xにアナログディジタル変換して出力する。
【0029】
判定部12は、ディジタルIF信号Xから電界強度(Sメータ)を演算する電界強度測定部12aと、電界強度測定部12aで演算された電界強度の値Smtrと所定の閾値THDとを比較して切替制御信号SELを出力する比較回路12bによって形成されている。すなわち、閾値THDは、実験等によって、マルチパスフェーディングが生じるときの電界強度と、フラットフェーディングが生じるときの電界強度との間の値に決められている。そして、比較回路12bは、電界強度の値Smtrが閾値THDより大きいときには、第1判定結果を示す論理“H”となる切替制御信号SELを出力し、電界強度の値Smtrが閾値THDより小さいときには、第2判定結果を示す論理“L”となる切替制御信号SELを出力する。
【0030】
切替回路10は、切替制御信号SELに従って切替え動作するアナログスイッチ等で形成されており、第1判定結果を示す切替制御信号SELが供給されると、適応フィルタ9から出力される出力信号SIIRをディジタルIF信号Yとして検波器11に転送し、第2判定結果を示す切替制御信号SELが供給されると、適応フィルタ9から出力される出力信号SFIRをディジタルIF信号Yとして検波器11に転送する。
【0031】
適応フィルタ9は、図3(b)に示す構成を有しており、電界強度測定回路12aと比較回路12bとを有する判定部12による制御の下で、入力されるディジタルIF信号Xに対するディジタルフィルタリング処理を行い、フェーディングを抑制した出力信号SIIR又はSFIRを切替え回路10を介して検波器11に供給する。
【0032】
すなわち、適応フィルタ9は、ディジタルIF信号Xと後述のスイッチ回路SWを介して供給される帰還信号FBとを加算する加算器SUM1と、夫々1サンプル遅延を有する複数個の遅延素子(z-1)を有すると共に加算器SUM1の出力を入力してシフトする複数段のシフトレジスタSRGと、加算器SUM1と各遅延素子(z-1)の出力にフィルタ係数を乗算する複数個の乗算器b0〜b2nと、乗算器b0〜b2nの出力を加算することで出力信号SFIRを生成する加算器SUM2と、係数更新部OPRTとを具備して構成されている。
【0033】
ここで、遅延素子(z-1)の個数が2n個(偶数個)である場合、乗算器b0〜b2nの個数は、2n+1個(奇数個)となる関係に設定されており、例えば遅延素子(z-1)の個数が28個、乗算器b0〜b2nの個数は29となっている。
【0034】
そして、n番目の遅延素子(z-1)とn+1番目の遅延素子(z-1)との接続点である中点nTsから出力信号SIIRが出力される。
【0035】
スイッチ回路SWは、切替制御信号SELに従って導通(オン)又は遮断(オフ)動作を行い、切替え回路10が接点P1側に切替え接続されて、出力信号SIIRがディジタルIF信号Yとして出力されるのと同期して導通状態となり、加算器SUM2の出力信号SFIRを帰還信号FBとして加算器SUM1に供給することにより、加算器SUM1においてその帰還信号FBとディジタルIF信号Xとを加算させ、加算結果をシフトレジスタSRG側へ出力させる。
【0036】
一方、切替え回路10が接点P2側に切替え接続されて、出力信号SFIRがディジタルIF信号Yとして出力されるのと同期してスイッチ回路SWは遮断状態となり、帰還信号FBを加算器SUM1に供給しないように動作する。これにより、加算器SUM1は、入力されるディジタルIF信号XをそのままシフトレジスタSRG側へ出力することとなる。
【0037】
そして、スイッチ回路SWが導通状態となった場合、ディジタルIF信号Xに対する出力信号SIIRの伝達関数をz変換表記で表すと、次式(3)で表され、IIRディジタルフィルタが実現される。なお、IIRディジタルフィルタが実現される場合には、係数更新部OPRTによって、乗算器b0のフィルタ係数が0に設定される。
【0038】
【数2】
【0039】
また、スイッチ回路SWが遮断状態となった場合、ディジタルIF信号Xに対する出力信号SFIRの伝達関数をz変換表記で表すと、次式(4)で表され、FIRディジタルフィルタが実現される。
【0040】
【数3】
【0041】
係数更新部OPRTは、切替制御信号SELと、切替え回路10の出力であるディジタルIF信号Yと、加算器SUM1の出力X0とシフトレジスタSRGの各遅延素子(z-1)の出力X1〜X2nとを入力する。
【0042】
そして、第1判定結果を示す切替制御信号SELが供給されると、IIR型ディジタルフィルタの中点nTsから出力される出力信号SIIRがディジタルIF信号Yとなって供給される1サンプル遅延ずれたディジタルIF信号Y(t)とY(t-1)と所定の収束値Vthに基づいて、次式(5)(6)で表される2乗の平方根εと収束誤差Err(t)を演算し、更に、収束誤差Err(t)と各遅延素子(z-1)の出力X1〜X2nとに基づいて、次式(7)で表される演算処理を行うことで、各乗算器b1〜b2nのフィルタ係数を算出して調整する。
【0043】
ただし、各乗算器b0のフィルタ係数は0にする。また、係数αは、フェーディングを収束させるための係数であり、係数αの値を調整すると、その収束速度を調整することができるようになっている。
【0044】
【数4】
【0045】
【数5】
【0046】
このように、係数更新部OPRTが各乗算器b0,b1〜b2nのフィルタ係数を自動調整すると、ディジタルIF信号Xに生じていたマルチパスフェーディングがIIR型ディジタルフィルタによって抑制され、その出力信号SIIRが切替え回路10を介して、ディジタルIF信号Yとして検波器11に供給され、波形歪等の低減された検波信号Sdetが生成される。
【0047】
また、係数更新部OPRTは、第2判定結果を示す切替制御信号SELが供給されると、FIR型ディジタルフィルタの加算器SUM2から出力される出力信号SFIRがディジタルIF信号Yとなって供給される1サンプル遅延ずれたディジタルIF信号Y(t)とY(t-1)と所定の収束値Vthに基づいて、上記式(5)(6)で表される2乗の平方根εと収束誤差Err(t)を演算し、更に、収束誤差Err(t)と加算器SUM1の出力X0と各遅延素子(z-1)の出力X1〜X2nとに基づいて、上記式(7)で表される演算処理を行うことで、各乗算器b0〜b2nのフィルタ係数を算出して調整する。
【0048】
このように、係数更新部OPRTが各乗算器b0〜b2nのフィルタ係数を自動調整すると、ディジタルIF信号Xに生じていたフラットフェーディングがFIR型ディジタルフィルタによって抑制され、その出力信号SFIRが切替え回路10を介して、ディジタルIF信号Yとして検波器11に供給され、波形歪等の低減された検波信号Sdetが生成される。
【0049】
以上に説明したように、本実施例の無線受信機は、電界強度が所定の閾値THDより大きいときには、適応フィルタ9内に形成されるIIR型ディジタルフィルタと係数更新部OPRTとの処理によって、ディジタルIF信号Xに対してディジタルフィルタリング処理を行って、フェーディングの影響を抑制した出力信号SIIRをディジタルIF信号Yとして検波器11に供給し、電界強度が所定の閾値THDより小さいときには、適応フィルタ9内に形成されるFIR型ディジタルフィルタと係数更新部OPRTとの処理によって、ディジタルIF信号Xに対してディジタルフィルタリング処理を行って、フェーディングの影響を抑制した出力信号SFIRをディジタルIF信号Yとして検波器11に供給する。
【0050】
このことから、次の効果が得られる。すなわち、マルチパスフェーディングが生じる場合には、電界強度が大きくなることから、適応フィルタ9内のIIR型ディジタルフィルタよって、ディジタルIF信号Xに対するディジタルフィルタリング処理が行われる。このため、直接波と反射波の比率が1対1となるようなマルチパスフェーディングが生じて、インパルス応答が無限に続くような場合でも、マルチパスフェーディングを収束させることができ、ディジタルIF信号Yの振幅(アナログIF信号とした場合の振幅)を一定に保つことができることから、検波器11がそのディジタルIF信号YをFM検波すると、波形歪等が抑制された検波信号(ベースバンド)Sdetを生成することができる。
【0051】
一方、フラットフェーディングが生じる場合には、電界強度が小さくなり、閾値THDとの比較結果に基づいて、適応フィルタ9内のFIR型ディジタルフィルタが、ディジタルIF信号Xに対するディジタルフィルタリング処理を行う。このため、IIR型ディジタルに較べて安定に動作するFIR型ディジタルフィルタによって、フラットフェーディングを収束させることができ、ディジタルIF信号Yの振幅(アナログIF信号とした場合の振幅)を一定に保つことができることから、検波器11がそのディジタルIF信号YをFM検波すると、波形歪等が抑制された検波信号Sdetを生成することができる。
【0052】
このように、本実施形態の無線受信機によれば、マルチパスフェーディングとフラットフェーディングとの抑制を安定して行うことが可能であり、受信品質の向上を図ることができるものである。
【0053】
更に、IIR型ディジタルフィルタでフィルタリング処理された出力信号SIIRがシフトレジスタSRQの中点nTsから出力され、FIR型ディジタルフィルタでフィルタリング処理された出力信号SFIRが加算器SUM2から出力されるため、出力信号SIIRのインパルスレスポンスと出力信号SFIRのインパルスレスポンスとの位相が一致することとなる。このため、切替制御信号SELに従って切替え回路10が切替え動作しても、出力信号SIIRから出力信号SFIRへの切替え時と、出力信号SFIRから出力信号SIIRへの切替え時において、各出力信号が連続的に切り替わり、歪みのないディジタルIF信号Yを検波器11に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】 従来の無線受信機の構成を説明するためのブロック図である。
【図2】 本発明の実施形態に係る無線受信機の構成を表したブロック図である。
【図3】 実施例の無線受信機の構成を表したブロック図である。
【符号の説明】
9…適応フィルタ
10…切替え部
12…判定部
SUM1…加算器
SUM2…加算器
z-1 …遅延素子
b0〜b2n…乗算器
OPRT…係数更新部
Claims (2)
- FM波の中間周波信号に含まれるフェーディングを抑制する無線受信機であって、
前記中間周波信号から電界強度を測定し、該電界強度が所定の閾値より大きいときには第1判定結果、該電界強度が閾値より小さいときには第2判定結果を示す切換制御信号を発生する判定手段と、
前記第1判定結果を示す切換制御信号に従って、IIR型フィルタにより前記中間周波信号に対して適応的にフィルタリング処理を行い、前記第2判定結果を示す切換制御信号に従って、FIR型フィルタにより、前記中間周波信号に対して適応的にフィルタリング処理を行う適応フィルタ手段と、
前記第1判定結果を示す切換制御信号に従って、前記IIR型フィルタの出力信号を出力し、前記第2判定結果を示す切換制御信号に従って、前記FIR型フィルタの出力信号を出力する切換手段と、を有し、
前記IIR型フィルタは、前記中間周波信号を入力する第1の加算器と、前記第1の加算器の出力を1サンプル遅延ずつ遅延させる偶数個の遅延素子と、前記第1の加算器の出力と前記各遅延素子の出力にフィルタ係数を乗算する複数の乗算器と、前記複数の乗算器の出力を加算して前記第1の加算器に帰還し前記中間周波信号と加算させる第2の加算器とを備え、前記IIR型フィルタの出力信号を、前記偶数個の遅延素子の中点の接続点にて生じさせること、
を特徴とする無線受信機。 - 前記適応フィルタ手段は、前記IIR型フィルタにより前記中間周波信号に対して適応的にフィルタリング処理を行う際、前記IIR型フィルタの出力の変動を抑制すべく前記IIR型フィルタのフィルタ係数を自動調整し、前記FIR型フィルタにより前記中間周波信号に対して適応的にフィルタリング処理を行う際、前記FIR型フィルタの出力の変動を抑制すべく前記FIR型フィルタのフィルタ係数を自動調整する係数更新手段を有すること、
を特徴とする請求項1に記載の無線受信機。
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