JP4519689B2 - 基礎構造 - Google Patents
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また、このような耐力壁は基礎上に設置固定され、該基礎から突出するアンカーに連結されている。
前記制振壁パネルは、基礎上に敷き込まれた床上に立設するとともに、基礎から突出して床を貫通するアンカーに連結されている。アンカーは一般に基礎と躯体とを緊結するためのものであるので、該アンカーに基礎内に引き抜き強度を十分に確保した状態で埋設されている。
一方、地震力によって建物に生じる震動を制振壁パネルによって制振する場合、制振壁パネルを床に当接させた状態では、地震の際に制振壁パネルが床にめり込んでしまって、制振機能を十分に発揮できなくなるというおそれがあるため、制振壁パネルは床から上方に離間された状態で直接アンカーによって支持させた方が制振機能を十分に発揮できる。
しかし、アンカーは上述したように引き抜き強度は十分に確保されているが、該アンカーに作用する圧縮力については考慮されていない。したがって、地震によって制振壁パネルが変形して、アンカーに引張りや圧縮力が作用した場合に、圧縮力に耐えることができなくなるという問題があった。
前記アンカー6には、このアンカー6から外側に張り出す張出部10が設けられており、この張出部10によって、前記制振壁11から前記アンカー6に作用する圧縮力を前記基礎1に伝えるものであり、
前記制振壁11は制振壁パネル11によって構成されており、
この制振壁パネル11は、建築用の壁パネル12と、この建築用の壁パネル12に形成された開口部12dに取り付けられた制振装置13とを備え、
前記制振装置13は、前記開口部12d内に取り付けられたフレーム22と、このフレーム22に対向して設けられた一対の支持部23,23と、この一対の支持部23,23によって支持されて、震動によって一対の支持部23,23が変位した場合に、該一対の支持部間の略中央部を中心として振れるように構成された振り子部材24と、この振り子部材24の端部と前記フレーム22との間に設けられた制振部材26とを備えていることを特徴とする。
張出部をアンカーに設ける場合、該アンカーに溶接等によって張出部を固定してもよいし、アンカーの上端部に形成されている雄ねじに、張出部を螺合させて設けてもよい。
さらに、張出部はその上面が基礎の上端面と面一となるように基礎の上端部に配置してもよいし、基礎の内部に完全に埋設されるようにして配置してもよい。
また、前記フレーム22は例えば矩形枠状に形成され、壁パネル12に形成された矩形状の開口部12dに取り付けられる。壁パネル12としては、例えばパネル工法やツーバイフォー工法における建築用の壁パネルが挙げられる。なお、パネル工法は、壁や床、屋根といった構成要素を予め工場にてパネル化しておき、施工現場でこれらのパネルを組立てることによって建物を構築する工法である。
また、制振部材26としては、バネとダンパからなる制振部材、ゴム、オイルダンパー、粘弾性材料などが好適に使用され、さらには摩擦で震動を減衰させるものでもよい。
また、上記のような制振装置13が取り付けられてなる制振壁パネル11は、新築の建物の壁として組み込んでもよいし、既設の建物の壁をリフォームする際に組み込んでもよい。
また、制振壁11が制振壁パネル11によって構成されているので、パネル工法に容易に導入することができる。つまり、建築用の壁パネルを複数連結することによって壁を構成する際に、所定の壁パネルを制振壁パネル11に取り替えることによって、制振壁パネル11を容易に壁に組み込むことができる。
また、制振壁パネル11は、建築用の壁パネル12と、この建築用の壁パネル12に形成された開口部12dに取り付けられた制振装置13とを備えているので、工場等で予め制振壁パネル11を製造でき、現場では制振装置13が組み込まれた制振壁パネル11を建て込むだけでよい。
また、建物の小さな変形から制振機能を有効に働かせるために、てこ機構を用いて建物の変形を増幅して制振部材に伝達している。
すなわち、建物に地震等の震動によって変形が生じると、この建物を構成する制振壁パネル11の一対の支持部23,23がフレーム22を介して変位する。一対の支持部23,23が変位することによって、振り子部材24が一対の支持部23,23間の略中央部を中心として振り子のように振れ、この振り子部材24の端部は振れが増幅され、これによって、前記一対の支持部23,23の変位が増幅される。したがって、振り子部材24の端部とフレーム22との間に設けられている制振部材(制振ゴム26)の変形を増幅できるので、建物の小さな変形から制振機能を有効に働かせることができる。
また、制振部材26の変形速度も建物の変形速度より増幅することができるため、エネルギー吸収性能が変形速度に比例する制振部材(例えば粘弾性材料など)を用いる場合には、より効率的にエネルギーを吸収でき、大きな減衰力を発揮できる。
また、制振装置13が取り付けられた制振壁パネル11は、予め工場等で製造しておくことができるので、現場ではこの制振壁パネル11を設置することによって、建物に制振構造を容易に導入することができ、現場での施工が簡単となる。
さらに、制振壁パネル11は建物の所望の位置に設置できるので、地震の際にもっとも揺れるような箇所に制振壁パネル11を設置でき、よって、制振構造を容易かつ確実にしかも効果的に建物に導入できる。
前記張出部31は、前記アンカ6ーに螺合されたナット31であることを特徴とする。
前記張出部10は、前記アンカー6に固定されたプレート10であり、このプレート10は基礎鉄筋5に固定されていることを特徴とする。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態を示すもので、基礎構造の断面図である。第1図において符号1は、基礎を示す。この基礎1は断面T字形をなす布基礎であり、フーチング部1aと立上り部1bとから構成されている。立上り部1bは地盤面Gから上方に突出しており、その上端面には台輪2が設けられている。この台輪2に床3が敷設されており、該床3は台輪2を介して基礎1によって下方から支持されている。床3は複数の床パネル4を水平方向に連結することによって構成されており、基礎1の上端面において隣り合う床パネル4,4が連結されている。床パネル4は、框材4aを矩形枠状に組み立てるとともに、この矩形枠の内側に補強桟材を縦横に組み付け、さらに、矩形枠の上面に合板等からなる面材4bを取り付けてなるものである。
さらに、アンカーボルト6の上端部には、図1および図2に示すように、張出部10が設けられている。この張出部10はアンカーボルト6から外側に張り出す断面L字形のプレートであり、水平板部10aと垂直板部10bとによって構成されており、これら水平板部10aと垂直板部10bとは直角に一体的に形成されている。水平板部10aの中央部にはねじ穴10cが形成されており、このねじ穴10cをアンカーボルト6の上端部に形成されている雄ねじ6aに螺合させることによって、張出部10がアンカーボルト6の上端部に取り付けられている。
また、張出部10はその水平板部10aの上面が、基礎1の上端面と面一になるようにして配置されており、水平板部10aの端部は基礎1の立上り部1bの側面とほぼ面一となっている。
さらに、張出部10の垂直板部10bは、基礎鉄筋5の上端筋5bに向けて垂設されており、該垂直板部10bの下端部が上端筋5bに当接され、溶接や番線等の結束によって該上端筋5bに固定されている。
制振壁パネル11は建築用の壁パネル12と、この壁パネル12に形成された開口部12dに取り付けられた制振装置13とを備えている。壁パネル12は上下に間隔をおいて設けられた小壁パネル12a、腰壁パネル12bと、これらパネル12a,12bを連結する結合材12c,12cとを備えて構成されている。
結合材12cの下端部には、鋼製の連結金具14が取り付けられている。この連結金具14は、図4に示すように、矩形状の連結室14aを有しており、この連結室14aに、前記アンカーボルト6の上端部が下方から連結金具14の下壁部を貫通して挿入されている。
また、前記連結室14aに挿入されたアンカーボルト6には、座金16、ばね座金17が外挿されたうえで、ナット18が螺合している。そして、このナット18を締め付けることによって、連結金具14が支持部材15に固定されている。したがって、制振壁パネル11は、アンカーボルト6の上端部に、該制振壁パネル11を床3から上方に離間させた状態で連結されている。また、制振壁パネル11の上端部は上階の床の下面に当接され、複数のガセット19によって床に結合されている。
すなわち、図3および図5に示すように、制振装置13はフレーム22と、このフレーム22に対向して設けられた一対の支持部23,23と、この支持部23,23によって支持された振り子部材24と、前記フレーム22に取り付けられた制振ボックス25とを備えている。
すなわち、振り子部材24は板状でかつ略菱形状に形成されており、長手方向を上下に向けて配置されている。振り子部材24の中央部の左半分は、一方の支持部23の支持板23a,23a間に挟まれており、右半分は他方の支持部3の支持板23a,23a間に挟まれている。
また、一方の支持部23の支持板23a,23aの頂部には孔が形成されており、他方の支持部23の支持板23a,23aの頂部にも孔が形成されている。一方、振り子部材24の中央部には、左右に離間して孔が形成されており、これら孔のうち左側の孔24aは左右に長い長孔となっている。
これによって、振り子部材24は、一対の支持部23,23によって軸30,30を介して支持されており、この振り子部材24は、震動によって一対の支持部23,23が変位した場合に、該一対の支持部23,23間の略中央部、言い換えれば、軸30,30間の中央部を中心として振れるように構成されている。
制振ボックス25内には、一対の制振ゴム(制振部材)26,26と、これら制振ゴム26,26間に挿入されかつ該一対の制振ゴム26,26に固着されたプレート27とが設けられている。プレート27の一端部(上端部)は、ボックス25より上方に突出しており、この突出した部分が、プレート28を介して振り子部材24の端部に連結されている。
一対の支持部23,23が変位することによって、振り子部材24が一対の支持部23,23間の略中央部を中心として振り子のように振れ、この振り子部材24の端部は振れが増幅され、これによって、前記一対の支持部23,23の変位が増幅される。
そして、振り子部材24の端部と制振ボックス25のプレート27とが連結されており、この連結プレート27は制振ゴム26,26間に挿入されかつ該一対の制振ゴム26,26に固着されているので、この制振ゴム26,26の変形を増幅できる。したがって、建物の小さな変形から制振機能を有効に働かせることができる。
また、制振ゴム26,26の変形速度も建物の変形速度より増幅することができるため、エネルギー吸収性能が変形速度に比例する粘弾性材料から形成された制振ゴムを用いる場合には、より効率的にエネルギーを吸収でき、大きな減衰力を発揮できる。
また、アンカーボルト6の下端部にはナット7が設けられているので、このナット7によってアンカーボルト6の引き抜き力に耐えることができるが、前記張出部10が断面L字型のプレートであり、このプレートの垂直板部10bが基礎鉄筋5の上端筋5bに固定されているので、アンカーボルト6の引き抜き強度を向上させることができる。
さらに、この張出部10が垂直板部10bを有しているので、アンカーボルト6に地震等の際に横揺れが作用した際に、垂直板部10bによってアンカーボルト6の倒れを防止できる。
図7は本発明の第2の実施の形態を示すもので、基礎構造の断面図である。本実施の形態が、前記第1の実施の形態と異なる点は、アンカーボルト6に設ける張出部の構成であるので、以下ではこの点のみを説明し、他の共通部分については同一符号を付してその説明を省略する。
したがって、張出部31によって、制振壁パネル11からアンカーボルト6に作用する圧縮力を基礎1に伝えることができるので、地震によって制振壁パネル11が変形して、アンカーボルト6に圧縮力が作用した場合に、該圧縮力に十分耐えることができる。
また、張出部31がアンカーボルト6に螺合されたナット31であるので、張出31部の、アンカーボルト6の軸方向における位置決めを容易に行える。
なお、図7においては、基礎鉄筋5や、床、制振壁パネルは記載を省略してあるが、これらは、図1に示すものと同一の構成である。
5 基礎鉄筋
6 アンカーボルト(アンカー)
10,21 張出部
11 制振壁パネル(制振壁)
12 壁パネル
12d 開口部
13 制振装置
22 フレーム
23 支持部
24 振り子部材
26 制振ゴム(制振部材)
Claims (3)
- 基礎から突出し、上端部が制振壁に連結されるアンカーが埋設された基礎構造であって、
前記アンカーには、このアンカーから外側に張り出す張出部が設けられており、この張出部によって、前記制振壁から前記アンカーに作用する圧縮力を前記基礎に伝えるものであり、
前記制振壁は制振壁パネルによって構成されており、
この制振壁パネルは、建築用の壁パネルと、この建築用の壁パネルに形成された開口部に取り付けられた制振装置とを備え、
前記制振装置は、前記開口部内に取り付けられたフレームと、このフレームに対向して設けられた一対の支持部と、この一対の支持部によって支持されて、震動によって一対の支持部が変位した場合に、該一対の支持部間の略中央部を中心として振れるように構成された振り子部材と、この振り子部材の端部と前記フレームとの間に設けられた制振部材とを備えていることを特徴とする基礎構造。 - 請求項1に記載の基礎構造において、
前記張出部は、前記アンカーに螺合されたナットであることを特徴とする基礎構造。 - 請求項1に記載の基礎構造において、
前記張出部は、前記アンカーに固定されたプレートであり、
このプレートは基礎鉄筋に固定されていることを特徴とする基礎構造。
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