JP4519523B2 - 蓄電デバイスの残存容量演算装置 - Google Patents

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Description

本発明は、二次電池や電気化学キャパシタ等の蓄電デバイスの残存容量を演算する蓄電デバイスの残存容量演算装置に関する。
近年、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池等の二次電池、電気二重層キャパシタ等の電気化学キャパシタといった蓄電デバイスの小型軽量化・高エネルギー密度化が進み、携帯型の情報通信機器から電気自動車やハイブリッド自動車等の電源として活発に利用されている。
このような蓄電デバイスを有効に活用するには、その残存容量を正確に把握することが重要であり、従来から、蓄電デバイスの充放電電流を積算して残存容量を求める技術や、開放電圧に基づいて残存容量を求める技術が知られている。
例えば、特許文献1には、電気自動車の車両停止時の電池電圧から求めた開放電圧により停止時残存容量を求めると共に、電池の放電電流の積算値に基づいて放電電気容量を検出し、この放電電気容量と停止時残存容量とから満充電容量を算出し、この満充電容量と放電電気容量とから残存容量を求める技術が開示されている。
また、特許文献2には、リチウムイオン電池のような電池容量と電池電圧とに直線的な比例関係があるものにおいて、任意の時間のあいだ放電または充電したときの電流積算量と、放電または充電前の電圧、放電または充電後の電圧より、残存容量を求める技術が開示されている。
更に、特許文献3には、電池の充放電電流を積分して求めた残存容量と、電池の開放端子電圧に基づいて推定した残存容量との差の変化率に基づいて、残存容量の演算方法を補正する技術が開示されている。
特開平6−242193号公報 特開平8−179018号公報 特開平11−223665号公報
しかしながら、充放電電流を積算して残存容量を求める技術と開放電圧の推定値に基づいて残存容量を求める技術とは、それぞれに一長一短があり、前者は、突入電流等の負荷変動に強い反面、誤差が累積し易い(特に、高負荷継続時には誤差が大きくなる)という欠点があり、また、後者は、通常の使用時において、正確な値を求めることができる反面、短時間で負荷が大きく変動した場合に演算値が変動しやすいという欠点がある。
従って、特許文献1,2,3のように、単に、両者の技術を組合わせただけでは、電流積算による誤差の累積を排除することは困難である。特に、ハイブリッド車等のように充放電が連続する状態では、残存容量の演算精度が低下したり、残存容量の演算値が急激に変化するといった事態が生じる虞があり、均一な精度を確保することは困難である。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、電流積算による誤差の累積や負荷変動の影響を回避し、常に、均一で高精度な残存容量を求めることのできる蓄電デバイスの残存容量演算装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明による蓄電デバイスの残存容量演算装置は、蓄電デバイスの開放電圧の推定値に基づく残存容量を、基準残存容量として算出する第1の残存容量算出手段と、上記蓄電デバイスの充放電電流に基づいて、残存容量の変化量を制限するリミッタを設定するリミッタ設定手段と、上記第1の残存容量算出手段で算出した基準残存容量と1演算周期前の残存容量との差分を上記リミッタ設定手段で設定したリミッタの制限幅内に規制し、残存容量変化量として算出する残存容量変化量算出手段と、1演算周期前の残存容量に上記残存容量変化量算出手段で算出した残存容量変化量を加算し、上記蓄電デバイスの残存容量を算出する第2の残存容量算出手段とを備えたことを特徴とする。
その際、残存容量変化量は、基準残存容量と1演算周期前の残存容量との差分がリミッタの制限幅の下限値未満のときには、その下限値を残存容量変化量として算出し、差分がリミッタの制限幅内のときには、差分を残存容量変化量として算出し、差分がリミッタの制限幅の上限値を越えているときには、その上限値を残存容量変化量として算出することが望ましい。
また、リミッタの制限幅の基準値となる変化量基準値は、蓄電デバイスの電流容量に対する充放電電流の変化量の比率に基づいて算出することが望ましく、変化量基準値を、蓄電デバイスの充放電電流の電流変化率と温度とに基づいて算出した補正係数により補正してリミッタの制限幅の上限値及び下限値を算出することが望ましい。
更に、蓄電デバイスの充放電電流を検出するセンサが異常のときには、予め設定した固定値でリミッタの制限幅を設定することが望ましく、異常発生時にも所定の精度で残存容量を把握することができる。
本発明の蓄電デバイスの残存容量演算装置は、開放電圧を主体として残存容量を演算することで電流積算による誤差の累積を回避し、且つ、充放電電流に基づいて設定したリミッタにより負荷変動の影響を回避することができ、常に、均一で高精度な残存容量を求めることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1〜図10は本発明の実施の一形態に係わり、図1はハイブリッド車への適用例を示すシステム構成図、図2はバッテリ残存容量の推定アルゴリズムを示すブロック図、図3はバッテリ容量と温度との関係を示す説明図、図4は補正係数の特性を示す説明図、図5は等価回路モデルを示す回路図、図6は基準残存容量と開放電圧との関係を示す説明図、図7はバッテリ残存容量算出処理のフローチャート、図8はインピーダンステーブルの説明図、図9は基準残存容量テーブルの説明図、図10は基準残存容量とノイズ除去処理後の残存容量とを示す説明図である。
図1は、本発明をエンジンとモータとを併用して走行するハイブリッド車両(HEV)に適用した例を示し、同図において、符号1は、HEVの電源ユニットである。この電源ユニット1には、蓄電デバイスとして例えば複数のセルを封止した電池パックを複数個直列に接続して構成されるバッテリ2と、バッテリ2の残存容量の演算、バッテリ2の冷却や充電の制御、異常検出及び異常検出時の保護動作等のエネルギーマネージメントを行う演算ユニット(演算ECU)3とが1つの筐体内にパッケージされている。
尚、本形態においては、蓄電デバイスとしてリチウムイオン二次電池を例に取って説明するが、本発明による残存容量の演算手法は、電気化学キャパシタやその他の二次電池にも適用可能である。
演算ECU3は、マイクロコンピュータ等から構成され、電圧センサ4で測定したバッテリ2の端子電圧V、電流センサ5で測定したバッテリ2の充放電電流I、温度センサ6で測定したバッテリ2の温度(セル温度)Tに基いて、所定時間t毎に充電状態(State of charge;SOC)すなわち残存容量SOC(t)を演算する。
この残存容量SOC(t)は、電源ユニット1の演算ECU3から、例えばCAN(Controller Area Network)通信等を介してHEV制御用電子制御ユニット(HEV制御用ECU)10に出力され、車両制御用の基本データ、バッテリ残量や警告用の表示用データ等として使用される。尚、残存容量SOC(t)は、周期的な演算における1演算周期前のデータ(後述するフィルタ処理のデータ)SOC(t-1)としても使用される。
HEV制御用ECU10は、同様にマイクロコンピュータ等から構成され、運転者からの指令に基づいて、HEVの運転、その他、必要な制御を行う。すなわち、HEV制御用ECU10は、電源ユニット1からの信号や図示しないセンサ・スイッチ類からの信号により、車両の状態を検出し、バッテリ2の直流電力を交流電力に変換してモータ15を駆動するインバータ20を初めとして、図示しないエンジンや自動変速機等を、専用の制御ユニットを介して或いは直接的に制御する。
演算ECU3における残存容量SOCの演算は、図2に示す推定アルゴリズムに従って実行される。このSOC推定アルゴリズムでは、バッテリの開放電圧の推定値に基づく残存容量を主体とし、この残存容量に対してノイズ除去処理を行って最終的な残存容量を得るようにしている。すなわち、開放電圧の推定値による残存容量は、電流が安定している領域では、正確な値を求めることができる反面、短時間で負荷が大きく変動した場合には、バッテリの開放電圧を推定する際のインピーダンスを正確に求めることができず、残存容量の算出値が振動する可能性がある。
従って、本SOC推定アルゴリズムでは、バッテリ2で測定可能なパラメータ、すなわち、端子電圧V、電流I、温度Tを用い、第1の残存容量算出手段としての機能により、バッテリの開放電圧VOCの推定値に基づいて残存容量(以下、開放電圧VOCの推定値に基づく残存容量を「基準残存容量」と称する)SOCVを算出し、リミッタ設定手段及び残存容量変化量算出手段としての機能によりノイズ除去処理を行い、第2の残存容量算出手段としての機能により最終的な残存容量SOCを算出するようにしている。
これにより、バッテリの充放電状態をより的確に把握し、開放電圧の推定値に基づく基準残存容量SOCVを主体として、電流積算による誤差の累積を無くすと共に、基準残存容量SOCVを遅れ成分を助長することなく負荷変動による振動を抑制することができ、開放電圧の推定値による基準残存容量SOCVの利点を生かした正確な残存容量を求めることができる。
具体的には、残存容量の演算処理は、演算ECU3における離散時間処理により、1演算周期前の残存容量SOC(t-1)を用いて実行される(図2のブロック図における遅延演算子Z-1)。すなわち、以下の(1)式に示すように、所定時間t毎に、現演算周期で算出した基準残存容量SOCV(t)と1演算周期前の残存容量SOC(t-1)との差分DSOCB(=SOCV(t)−SOC(t-1))を、バッテリ電流に基づいて設定した上下限リミッタを用いて制限幅内に飽和させ、この飽和させた残存容量変化量DSOCを1演算周期前の残存容量SOC(t-1)に加算して最終的な残存容量SOC(t)を算出する。
SOC(t)=SOC(t-1)+DSOC…(1)
上下限リミッタは、演算周期Δtにおける容量変化(Δt×I)の全体のバッテリ容量(電流容量)CBAHに対する比率を基準値として、この基準値を補正してリミッタ幅(制限幅)を定める上限値及び下限値を設定する。すなわち、以下の(2)式に従って、バッテリ容量CBAH、バッテリ電流I、演算周期Δtから上下限リミッタの基準値となる変化量基準値DSOCIを算出し、(3),(4)式に示すように、変化量基準値DSOCIを補正係数KLMTで補正して上限値DSOCMAX及び下限値DSOCMINを算出する。
DSOCI=│I×Δt/CBAH│…(2)
DSOCMAX=KLMT×DSOCI…(3)
DSOCMIN=−KLMT×DSOCI…(4)
尚、バッテリ容量CBAHは、図3に示すように、温度Tに依存して変化し、低温になる程、バッテリ容量が減少するため、例えば、温度Tをパラメータとするテーブルを作成しておき、このテーブルを参照してバッテリ容量CBAHを算出する。
そして、1演算周期前の残存容量SOC(t-1)と基準残存容量SOCV(t)との差分DSOCBが、上下限リミッタの上限値DSOCMAXと下限値DSOCMINとの間にあるときには、差分DSOCBを、そのまま残存容量変化量DSOCとして用いる。この場合には、(1)式からも明らかなように、基準残存容量SOCV(t)が最終的な残存容量SOC(t)となる。
また、差分DSOCBが下限値DSOCMIN未満のときには、下限値DSOCMINを残存容量変化量DSOCとして採用し、1演算周期前の残存容量SOC(t-1)に下限値DSOCMINを加算した値を、最終的な残存容量SOC(t)とする。更に、差分DSOCBが上限値DSOCMAXを越えているときには、上限値DSOCMAXを残存容量変化量DSOCとして採用し、1演算周期前の残存容量SOC(t-1)に上限値DSOCMAXを加算した値を、最終的な残存容量SOC(t)とする。
補正係数KLMTは、バッテリの充放電状態を反映するパラメータとして、電流の変化率を用いて決定する。電流変化率は、バッテリの負荷変動を直接的に反映しているが、単なる電流変化率では、スパイク的に発生する電流の急激な変化の影響を受けてしまう。このスパイク的な電流の影響は、所定のサンプリング数の単純平均、移動平均、加重平均等の処理により軽減することができるが、特に、電流の遅れを考慮した場合、バッテリの充放電状態の変化に対して、過去の履歴を過剰となることなく適切に反映することのできる移動平均を用いて補正係数KLMTを決定するようにしている。
具体的には、バッテリの電流変化率は温度Tの影響を受けることから、補正係数KLMTは、単位時間当りのバッテリ電流Iの移動平均値、すなわち、バッテリ電流Iの移動平均値をIMとすると、この移動平均値IMの時間tにおける電流変化率ΔIM/Δtと、バッテリ温度Tとに基づいて算出し、予め実験或いはシミュレーション等を実施して作成したテーブル等に格納しておく。
図4は、移動平均による電流変化率ΔIM/Δtとバッテリ温度Tとに依存して変化する補正係数KLMTの特性を示すものであり、低温になる程、バッテリの内部インピーダンスが増加して開放電圧の推定の誤差が大きくなるため、補正係数KLMTの値が小さく設定され、また、ΔIM/Δtが小さくなる程、補正係数KLMTの値が大きくされる。
すなわち、バッテリの負荷変動が小さく安定している状態(ΔIM/Δtが小さく、電流変化が小さい状態)では、補正係数KLMTは、上限値DSOCMAX及び下限値DSOCMINによるリミッタ幅を広げるように大きい値に設定され、突発的な変動のみを除去して最新の基準残存容量SOCV(t)を最終的な残存容量SOC(t)として採用する機会を増やすことにより、応答遅れを極力少なくすることができる。
逆に、負荷変動が大きい状態(ΔIM/Δtが大きく、電流変化が大きい状態)では、補正係数KLMTは、リミッタ幅を狭くするように小さい値に設定され、ノイズ成分を多く含むことが予想される現演算周期の基準残存容量SOCV(t)に代えて、バッテリ電流に基づく上下限リミッタの上限値DSOCMAX或いは下限値DSOCMINを採用することにより、遅れ成分を助長することなくノイズ成分を除去して変動を抑えることができる。
また、電流積算を行うことなく、開放電圧VOCに基づく基準残存容量SOCVを主体として最終的な残存容量SOCを算出することから、バッテリ電流を検出する電流センサ5が故障した場合にも、或る程度の精度で残存容量SOCを算出することが可能である。すなわち、電流センサ異常時には、上下限リミッタの上限値DSOCMAXと下限値DSOCMINとを、それぞれ、予め設定した設定値FILMTで置き換えてリミッタ幅を固定することにより、所定の精度を確保することができ、円滑にフェールセーフ制御に移行させることができる。
更に、本SOC推定アルゴリズムの特徴として、電池理論に基づいてバッテリ内部状況を電気化学的に把握するようにしており、バッテリ開放電圧VOCに基づく基準残存容量SOCVの演算精度の向上を図っている。以下、本推定アルゴリズムによる基準残存容量SOCVの演算について詳述する。
基準残存容量SOCVを求めるには、先ず、図5に示す等価回路モデルを用いてバッテリの内部インピーダンスZを求める。この等価回路は、抵抗分R1〜R3、容量分C1,CPE1,CPE2(但し、CPE1,CPE2は二重層容量分)の各パラメータを、直列及び並列に組合わせた等価回路モデルであり、交流インピーダンス法における周知のCole-Coleプロットをカーブフィッティングすることにより、各パラメータを決定する。
これらのパラメータから求められるインピーダンスZは、バッテリの温度や電気化学的な反応速度、充放電電流の周波数成分によって大きく変化する。従って、インピーダンスZを決定するパラメータとして、前述の移動平均による電流変化率ΔIM/Δtを周波数成分の置き換えとして採用し、電流変化率ΔIM/Δtと温度Tとを条件とするインピーダンス測定を行ってデータを蓄積した後、温度Tと電流変化率ΔIM/Δtとに基づいてインピーダンスZのテーブル(後述する図8のインピーダンステーブル)を作成する。そして、このテーブルを利用してインピーダンスZを求め、このインピーダンスZと、実測した端子電圧Vと電流Iとから、以下の(5)式を用いて開放電圧VOCの推定値を求める。
VOC=V+I・Z …(5)
尚、詳細には、低温になる程、バッテリの内部インピーダンスが増加して電流変化率が小さくなるため、後述するように、インピーダンスZは、直接的には、電流変化率ΔIM/Δtを温度補正した補正後電流変化率KΔIM/Δtを用いて決定する。
開放電圧VOCの推定後は、バッテリ内の電気化学的な関係に基づいて基準残存容量SOCVを演算する。具体的には、平衡状態での電極電位とイオンの活量との関係を記述した周知のネルンストの式を適用し、開放電圧VOCと基準残存容量SOCVとの関係を表すと、以下の(6)式を得ることができる。
VOC=E+[(Rg・T/Ne・F)×lnSOCV/(100−SOCV)]+Y…(6)
但し、E :標準電極電位(本形態のリチウムイオン電池では、E=3.745)
Rg:気体定数(8.314J/mol−K)
T :温度(絶対温度K)
Ne:イオン価数(本形態のリチウムイオン電池では、Ne=1)
F :ファラデー定数(96485C/mol)
尚、(6)式におけるYは補正項であり、常温における電圧−SOC特性をSOCの関数で表現したものである。SOCV=Xとすると、以下の(7)式に示すように、SOCの三次関数で表すことができる。
Y=−10-63+9・10-52+0.013X−0.7311…(7)
以上の(6)式で表現される開放電圧VOCと基準残存容量SOCVとの具体的な相関関係は、電池の種類や特性によって異なり、例えば、リチウムイオン電池では、図6に示すような曲線で表すことができる。図6に示す開放電圧VOCと基準残存容量SOCVとの関係は、開放電圧VOCの変化に対して基準残存容量SOCVの変化が平坦となることなく、単調変化する曲線によって表される相関関係であり、開放電圧VOCの値を知ることで基準残存容量SOCVの値を明確に把握することができる。
また、基準残存容量SOCVは、開放電圧VOCのみならずバッテリ温度Tとの間にも強い相関性があることがわかり、図6に示すように、開放電圧VOCが同じ値であっても、バッテリ温度Tが下がると基準残存容量SOCVが減少する。この場合、開放電圧VOCと温度Tとをパラメータとして、直接、(6)式を用いて基準残存容量SOCVを算出することも可能であるが、実際には使用する電池特有の充放電特性や使用条件等に対する考慮が必要となる。
従って、以上の(6)式の関係から実際の電池の状態を把握する場合には、常温でのSOC−Vo特性を基準として、各温度域での充放電試験或いはシミュレーションを行い、実測データを蓄積する。そして、蓄積した実測データから開放電圧VOCと温度Tとをパラメータする基準残存容量SOCVのテーブル(後述する図9の基準残存容量テーブル)を作成しておき、このテーブルを利用して基準残存容量SOCVを求める。基準残存容量SOCVを求めた後は、前述の(1)式を主とするノイズ除去処理を行い、最終的な残存容量SOCを算出する。
次に、以上のノイズ除去処理によるバッテリの残存容量SOCの算出処理について、図7のフローチャートを用いて説明する。
図7のフローチャートは、電源ユニット1の演算ECU3における残存容量推定の基本的な処理を示すものであり、所定時間毎(例えば、0.1sec毎)に実行される。この処理がスタートすると、先ず、ステップS1において、バッテリ2の端子電圧V、電流I、温度T、及び、前回の演算処理時に算出した残存容量SOC(t-1)のデータを読込む。尚、端子電圧Vは複数の電池パックの平均値、電流Iは複数の電池パックの電流の総和を取り、それぞれ、例えば0.1sec毎にデータを取得するものとする。また、温度Tは、例えば10sec毎に取得するものとする。
次に、ステップS2へ進み、電流Iを移動平均して単位時間当りの電流変化率ΔIM/Δtを取得する。電流Iの移動平均は、例えば、電流Iのサンプリングを0.1sec毎、電流積算の演算周期を0.5sec毎とした場合、5個のデータを移動平均する。更に、ステップS3において、バッテリ等価回路のインピーダンスZを、図8に示すインピーダンステーブルを参照して算出する。図8のインピーダンステーブルは、電流変化率ΔIM/Δt(単位時間当たりの電流Iの移動平均値)を温度補正した補正後電流変化率KΔIM/Δtと温度Tとをパラメータとして、等価回路のインピーダンスZを格納したものであり、概略的には、補正後電流変化率KΔIM/Δtが同じ場合には、温度Tが低くなる程、インピーダンスZが増加し、同じ温度では、補正後電流変化率KΔIM/Δtが小さくなる程、インピーダンスZが増加する傾向を有している。
ステップS3に続くステップS4では、算出したインピーダンスZを用い、前述の(5)式に従って、バッテリ2の開放電圧VOCを算出する。そして、ステップS5で、温度Tと開放電圧VOCとをパラメータとして、図9に示す基準残存容量テーブルを参照し、基準残存容量SOCVを算出する。この基準残存容量テーブルは、前述したように、ネルンストの式に基づいてバッテリ内の電気化学的な状態を把握して作成したテーブルであり、概略的には、温度T及び開放電圧VOCが低くなる程、基準残存容量SOCVが小さくなり、温度T及び開放電圧VOCが高くなる程、基準残存容量SOCVが大きくなる傾向を有している。
尚、図8,9においては、通常の条件下で使用される範囲のデータを示し、他の範囲のデータは記載を省略してある。
その後、ステップS6へ進み、バッテリ温度Tをパラメータとしてバッテリ容量CBAHをテーブル参照等により求めた後、前述の(2)式に従って、バッテリ容量CBAHとバッテリ電流Iと演算周期Δtとから変化量基準値DSOCIを算出する。更に、ステップS7で、電流変化率ΔIM/Δtとバッテリ温度Tとに基づいて、テーブル参照等により補正係数KLMTを算出する。この補正係数KLMTは、前述したように、概略的には、電流変化率ΔIM/Δtが大きくなる程、すなわち、バッテリ負荷変動が大きい程、残存容量の変化量に対するリミッタ幅を狭くしてノイズを効果的に除去するように設定される。
補正係数KLMTを算出した後は、ステップS8へ進み、電流センサ5が故障していないかの故障判定を行う。なお、電流センサ5に対する故障判定は、例えば電流センサ5による検出値が通常取り得ない値を示しているとき故障と判定する。その結果、電流センサ5が正常である場合には、ステップS8からステップS9へ進んで、前述の(3),(4)式に従って、変化量基準値DSOCIと補正係数KLMTとから上限値DSOCMAX及び下限値DSOCMINを算出し、ステップS11へ進む。万一、電流センサ5が故障している場合には、ステップS8からステップS10へ進み、上限値DSOCMAX、下限値DSOCMINを、それぞれ、設定値FILMT,−FILMTに固定し(DSOCMAX=FILMT,DSOCMIN=−FILMT)、ステップS11へ進む。
ステップS11では、ステップS5で算出した現演算周期での基準残存容量SOCV(t)から1演算周期前の残存容量SOC(t-1)を減算して差分DSOCBを算出し、ステップS12で、差分DSOCBが下限値DSOCMIN未満か否かを調べる。そして、DSOCB<DSOCMINの場合には、ステップS12からステップS16へ進んで、下限値DSOCMINを残存容量変化量DSOCとして(DSOC=DSOCMIN)、ステップS17へ進む。
一方、DSOCB≧DSOCMINの場合には、ステップS12からステップS13へ進み、差分DSOCBが上限値DSOCMAX以下か否かを調べる。そして、DSOCB>DSOCMAXの場合には、ステップS14で上限値DSOCMAXを残存容量変化量DSOCとし(DSOC=DSOCMAX)、ステップS17で、前述の(1)式に従い、1演算周期前の残存容量SOC(t-1)に残存容量変化量DSOCを加算して新たな残存容量SOC(t)を算出し、1サイクルの本処理を終了する。
また、DSOCB≦DSOCMAXの場合には、ステップS15で、差分DSOCBを残存容量変化量DSOCとし(DSOC=DSOCB)、ステップS17で、前述の(1)式に従い、1演算周期前の残存容量SOC(t-1)に残存容量変化量DSOCを加算して新たな残存容量SOC(t)を算出し、1サイクルの本処理を終了する。この場合には、ステップS5で算出した現演算周期での基準残存容量SOCV(t)が新たな残存容量SOC(t)となる。
図10は、基準残存容量SOCVとノイズ除去処理後の残存容量SOCとを示し、開放電圧VOCに基づく基準残存容量SOCVの振動的なノイズ成分が効果的に除去されていることがわかる。しかも、フィルタ等による“なまし”処理を用いることなくノイズ成分を除去するため、バッテリ電流の変動が少なく安定している状態で遅れが生じてしまうといったことがなく、正確且つ追従性良く残存容量を把握することが可能となる。
ハイブリッド車への適用例を示すシステム構成図 バッテリ残存容量の推定アルゴリズムを示すブロック図 バッテリ容量と温度との関係を示す説明図 補正係数の特性を示す説明図、 等価回路モデルを示す回路図 基準残存容量と開放電圧との関係を示す説明図 バッテリ残存容量算出処理のフローチャート インピーダンステーブルの説明図 基準残存容量テーブルの説明図 基準残存容量とノイズ除去処理後の残存容量とを示す説明図
符号の説明
1 電源ユニット
2 バッテリ
3 演算ユニット(第1の残存容量算出手段、リミッタ設定手段、残存容量変化量算出手段、第2の残存容量算出手段)
I 充放電電流
SOCV 基準残存容量
SOC 残存容量
VOC 開放電圧
DSOCB 差分
DSOC 残存容量変化量
DSOCMAX 上限値
DSOCMIN 下限値
DSOCI 変化量基準値
KLMT 補正係数
代理人 弁理士 伊 藤 進

Claims (5)

  1. 蓄電デバイスの開放電圧の推定値に基づく残存容量を、基準残存容量として算出する第1の残存容量算出手段と、
    上記蓄電デバイスの充放電電流に基づいて、残存容量の変化量を制限するリミッタを設定するリミッタ設定手段と、
    上記第1の残存容量算出手段で算出した基準残存容量と1演算周期前の残存容量との差分を上記リミッタ設定手段で設定したリミッタの制限幅内に規制し、残存容量変化量として算出する残存容量変化量算出手段と、
    1演算周期前の残存容量に上記残存容量変化量算出手段で算出した残存容量変化量を加算し、上記蓄電デバイスの残存容量を算出する第2の残存容量算出手段とを備えたことを特徴とする蓄電デバイスの残存容量演算装置。
  2. 上記残存容量変化量算出手段は、
    上記差分が上記リミッタの制限幅の下限値未満のとき、該下限値を上記残存容量変化量として算出し、上記差分が上記リミッタの制限幅内のとき、上記差分を上記残存容量変化量として算出し、上記差分が上記リミッタの制限幅の上限値を越えているとき、該上限値を上記残存容量変化量として算出することを特徴とする請求項1記載の蓄電デバイスの残存容量演算装置。
  3. 上記リミッタ設定手段は、
    上記蓄電デバイスの電流容量に対する充放電電流の変化量の比率に基づいて、上記リミッタの制限幅の基準値となる変化量基準値を算出することを特徴とする請求項1又は2記載の蓄電デバイスの残存容量演算装置。
  4. 上記リミッタ設定手段は、
    上記変化量基準値を、上記蓄電デバイスの充放電電流の電流変化率と温度とに基づいて算出した補正係数により補正し、上記リミッタの制限幅の上限値及び下限値を算出することを特徴とする請求項3記載の蓄電デバイスの残存容量演算装置。
  5. 上記リミッタ設定手段は、
    上記蓄電デバイスの充放電電流を検出するセンサが異常のとき、予め設定した固定値で上記リミッタの制限幅を設定することを特徴とする請求項1又は2記載の蓄電デバイスの残存容量演算装置。
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