JP4517640B2 - 耐熱性感光性ポリイミド前駆体組成物及びそれを用いたパターン製造方法並びに電子部品 - Google Patents
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Description
また、パッケージ用途では、熱衝撃等によって生じた応力を緩和する特性が要求され、加熱硬化後の塗膜の膜特性によっては充分な緩和が得られず、クラックや剥がれを生じることがある。さらに、パッケージ用途では、アンダーバンピングメタル層やモールド材との密着性が充分でないと剥がれを生じてしまうことがある。また、再配線には銅配線が用いられる事が多くポリイミドと直接接触する場合が多い。銅は酸化されやすい上にポリイミドとの間でマイグレーションを起こし、剥離や絶縁抵抗の低下を引き起こすことがある。
本発明は、上記した問題点を解決するためになされたものであり、前記要求特性を満足する耐熱性感光性樹脂硬化体を形成することのできる有用な組成物となる耐熱性感光性ポリイミド前駆体組成物及びそれを用いたパターン製造方法並びに電子部品を提供することを目的とする。
請求項1の発明は、信頼性に優れるカバーコート材、再配線用コア材、半田等のボール用カラー材、応力緩和の為のアンダーフィル材から選択される、半導体装置のパッケージ用途に用いられるものとして、厚膜形成可能で、感光特性に優れ、高感度で、低露光量でも良好な形状のパターンが得られ、現像後の残膜率も高く、硬化膜特性にも優れる硬化膜が得られ、耐銅マイグレーション性に優れ、さらに加熱硬化後の塗膜収縮率が小さく、かつ現像液に対する溶解性、光硬化性及び耐熱性を高めた厚膜耐熱性感光性ポリイミド前駆体組成物を提供することである。
請求項2の発明は、乾燥後の膜厚が20μm以上である厚膜の形成が可能で、感光特性に優れ、高感度で、低露光量でも良好な形状のパターンが得られ、現像後の残膜率も高く、また、加熱硬化後の塗膜収縮率が小さく、硬化膜特性にも優れる硬化膜が得られ、さらに製造工程の短縮が可能であり、製造コストが削減できるパターン製造方法を提供することである。
請求項3の発明は、上記目的に加え更に信頼性に優れる電子部品を提供するものである。
[課題を解決するための手段]
また、本発明は、前記の耐熱性感光性ポリイミド前駆体組成物を支持基板上に塗布し乾燥する工程、露光する工程、現像する工程及び加熱処理する工程を含み、前記の乾燥する工程の後で、かつ、露光する工程の前に得られる前記の耐熱性感光性ポリイミド前駆体組成物の膜厚が少なくとも20μm以上のものを有することを特徴とするパターン製造方法に関する。好ましくは、前記の耐熱性感光性ポリイミド前駆体組成物を用いて厚膜の被膜を形成する工程、該被膜に所定のパターンのマスクを介して光を照射する工程及び該光照射後の被膜を有機溶剤又は塩基性水溶液を用いて現像する工程を含むパターン製造方法である。
また、本発明は、前記のパターン製造方法により得られるパターンの層を有してなる電子部品に関する。
[発明の効果]
また、本発明のパターン製造方法は、厚膜形成可能で、感光特性に優れ、高感度で、低露光量でも良好なパターンが得られ、現像後の残膜率も高く、硬化膜特性にも優れる硬化膜が得られ、熱硬化時の収縮率も最低限に抑制でき、さらに製造工程の短縮が可能であり、製造コストが削減できるものである。
光重合可能な炭素炭素不飽和二重結合を有する化合物がポリアミド酸に側鎖として共有結合した構造を有するポリアミド酸不飽和エステル、ポリアミド酸不飽和アミド、ポリアミド酸に炭素炭素二重結合を有するアミン化合物を混合して、カルボキシル基とアミノ基のイオン結合により炭素炭素二重結合を導入したものなどが挙げられる。炭素炭素不飽和二重結合は、アクリロイル基又はメタクリロイル基の形で含まれることが好ましい。
また前記エステル結合で炭素炭素不飽和二重結合を導入する場合、前記炭素炭素二重結合を有する化合物の導入量は、現像液に対する溶解性、光硬化性、耐熱性等の点からポリアミド酸の有するカルボキシル基に対して20〜100%とすることが好ましく、30〜90%とすることがより好ましい。
その他、ジアミンとしては接着性向上のために、下記一般式(1)で表されるジアミノポリシロキサン等のジアミンを使用することもできる。R1及びR2としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等のアルキレン基、フェニレン基等のアリーレン基、これらの結合基などが挙げられ、R3及びR4としては、メチル基、エチル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基等が挙げられる。これらを用いる場合、全アミン成分に対して、1〜30モル%用いることが好ましい。これらのジアミンは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用しても良い。
上記(C)成分の含有量は、(A)成分のポリイミド前駆体100重量部に対して、1〜30重量部とすることが好ましく、3〜10重量部とすることがより好ましい。
上記(D)成分の含有量は、(A)成分のポリイミド前駆体100重量部に対して、0.1〜30重量部とすることが好ましく、1〜10重量部とすることがより好ましい。
本発明のパターン製造方法では、まず、支持基板上に本発明の耐熱性感光性ポリイミド前駆体組成物を塗布し乾燥する工程から被膜が形成される。なお、本発明のパターン製造方法では、被膜又は加熱硬化後のポリイミド被膜と支持基板との接着性を向上させるため、あらかじめ支持基板表面を接着助剤で処理しておいてもよい。
耐熱性感光性ポリイミド前駆体組成物からなる被膜は、耐熱性感光性ポリイミド前駆体組成物ワニスの膜を形成した後、これを乾燥させることにより形成する。ワニスの膜の形成は、ワニスの粘度などに応じて、スピナを用いた回転塗布、浸漬、噴霧印刷、スクリーン印刷などの手段から適宜選択された手段により行う。なお、被膜の膜厚は塗布条件、組成物の固形分濃度等により調節できる。また、あらかじめ支持基板上に形成した被膜を支持体上から剥離してポリイミド前駆体組成物からなるシートを上記支持基板の表面に貼り付けることにより、上述の被膜を形成してもよい。
つぎに、この被膜に、所定のパターンのフォトマスクを介して光(活性光線)を照射して露光した後、有機溶剤又は塩基性水溶液により未露光部を溶解除去して現像し、所望のレリーフパターンを得る。活性光線として紫外線、可視光線、放射線などが挙げられ、通常に用いられている紫外線が好ましい。
上記塩基性化合物としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウムイオンの水酸化物又は炭酸塩や、アミン化合物などが挙げられる。
本発明の耐熱性感光性ポリイミド前駆体組成物は、感光特性に優れ、高感度で、低露光量でも良好な形状のパターンが得られ、現像後の残膜率も高く、硬化膜特性にも優れる硬化膜が得られ、耐銅マイグレーション性に優れ、さらに加熱硬化後の塗膜収縮率が小さく、厚膜形成ができるので、上記のパターンの製造方法により得られるパターンの層を有する電子部品は、上記の効果を十分に発揮することができる。
このようにして得られる本発明の耐熱性感光性ポリイミド前駆体組成物を用いた電子部品は、図1に示したように半導体装置のカバーコート材、再配線用コア材、半田等のボール用カラー材、アンダーフィル材等、いわゆるパッケージ用途に使用することができる。
本発明の耐熱性感光性ポリイミド前駆体組成物を用いた樹脂硬化体は、メタル層や封止剤等との接着性に優れるとともに耐銅マイグレーション性に優れ、応力緩和効果も高いため、本発明の耐熱性感光性ポリイミド前駆体組成物から得られた樹脂硬化体を用いた半導体素子は、極めて信頼性に優れるものとなる。
本発明の電子部品は、前記組成物を用いて形成されるカバーコート、再配線用コア、半田等のボール用カラー、フリップチップ等で用いられるアンダーフィル等を有すること以外は特に制限されず、様々な構造をとることができる。
(合成例1)
乾燥窒素500mlの4つ口フラスコに、4,4'-オキシジフタル酸二無水物21.72g(0.070mol)と乾燥したN-メチルピロリドン120mlを投入後撹拌し、この溶液に2-ヒドロキシエチルメタクリレート2.34g(0.018mol)を加えた。溶液を室温(25℃)で1時間撹拌し、次いで35℃で1時間撹拌後、室温(25℃)まで冷却し1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン14.03g(0.048mol)、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン0.25g(0.001mol)及び乾燥したN-メチルピロリドン80mlを室温で撹拌しながら1時間にわたり滴下添加し、一晩撹拌した。その後N,N-ジシクロヘキシルカルボジイミド27.9g(0.135mol)と乾燥したN-メチルピロリドン100mlを室温で撹拌しながら30分にわたり滴下添加した。さらに2-ヒドロキシエチルメタクリレート39.04g(0.30mol)を加え、50℃で5時間撹拌後、室温まで冷却し一晩撹拌した。この反応混合物を50mlのアセトンで希釈し、吸引ろ過により不要物を除いたろ過液を2.0リットルのイオン交換水に激しく撹拌しながらゆっくり添加し沈殿物を得た。析出した沈殿物をさらにイオン交換水で洗浄後、メタノールで洗浄し吸引ろ過によりろ別し固形物を得た。得られた固形物を室温における水分含有率が1.0重量%以下になるまで減圧乾燥し、粉末状の固形物を得た。
乾燥窒素導入管を備えた500mlの4つ口フラスコに、4,4'-オキシジフタル酸二無水物21.72g(0.070mol)と乾燥したN-メチルピロリドン100mlを投入後撹拌し、この溶液に2-ヒドロキシエチルメタクリレート1.30g(0.010mol)を加えた。溶液を室温で1時間撹拌し、さらに35℃に加熱して1時間撹拌後、室温まで冷却し、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン14.03g(0.048mol)、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン0.25g(0.001mol)及び乾燥N-メチルピロリドン100mlを室温で撹拌しながら1時間にわたり滴下添加し、一晩撹拌した。その後、N,N-ジシクロヘキシルカルボジイミド26.82g(0.130mol)と乾燥N-メチルピロリドン100mlを室温で撹拌しながら30分にわたり滴下添加した。さらに2-ヒドロキシエチルメタクリレート45.55g(0.35mol)を加え、50℃で5時間撹拌後、室温まで冷却し一晩撹拌した。この反応混合物を50mlのアセトンで希釈し、吸引ろ過により不要物を除いたろ過液を2.0リットルのイオン交換水に激しく撹拌しながらゆっくり添加し沈殿物を得た。析出した沈殿物をさらにイオン交換水で洗浄後、メタノールで洗浄し吸引ろ過により、ろ別し固形物を得た。得られた固形物を室温における水分含有率が1.0重量%以下になるまで減圧乾燥機で乾燥し、粉末状の固形物を得た。
乾燥窒素導入管を備えた500mlの4つ口フラスコに、4,4'-オキシジフタル酸二無水物21.72g(0.070mol)と乾燥したN-メチルピロリドン100mlを投入後撹拌し、この溶液に2-ヒドロキシエチルメタクリレート1.30g(0.010mol)を加えた。溶液を室温(25℃)で1時間撹拌し、さらに35℃に加熱して1時間撹拌後、室温まで冷却し、オキシジアニリン9.60g(0.048mol)、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン0.25g(0.001mol)及び乾燥N-メチルピロリドン100mlを室温で撹拌しながら1時間にわたり滴下添加し、一晩撹拌した。その後、N,N-ジシクロヘキシルカルボジイミド26.82g(0.130mol)と乾燥N-メチルピロリドン100mlを室温で撹拌しながら30分にわたり滴下添加した。さらに2-ヒドロキシエチルメタクリレート45.55g(0.35mol)を加え、50℃で5時間撹拌後、室温まで冷却し一晩撹拌した。この反応混合物を50mlのアセトンで希釈し、吸引ろ過により不要物を除いたろ過液を2.0リットルのイオン交換水に激しく撹拌しながらゆっくり添加し沈殿物を得た。析出した沈殿物をさらにイオン交換水で洗浄後、メタノールで洗浄し吸引ろ過により、ろ別し固形物を得た。得られた固形物を室温における水分含有率が1.0重量%以下になるまで減圧乾燥機で乾燥し、粉末状の固形物を得た。
撹拌羽根、温度計及び窒素導入管を備えた100mlの4つ口フラスコに合成例1で得られた感光性ポリマの粉末35.0gとN-メチルピロリドン38.0gとp-メトキシフェノール0.1gを撹拌溶解させた後、2,2'-ビス(o-クロロフェニル)-4,4',5,5'-テトラフェニルビイミダゾール2.0g、2-メルカプトベンゾキサゾール1.0gとエチルミヒラーズケトン0.2gの感光剤と付加重合性化合物としてテトラエチレングリコールジアクリレート7.0g、金属害防止剤としてテトラゾール1.0gを加えて室温(25℃)で一晩撹拌溶解後フィルタろ過し耐熱性感光性ポリイミド前駆体組成物溶液を得た。
この溶液をシリコンウエハー上にスピンコートした後に乾燥して20μmの塗膜を形成した後、パターンマスクを介して全波長露光機PLA-600FA(キャノン社製)で露光し、N-メチルピロリドンとメタノールとの混合溶液を用いて現像してエタノールでリンスを行ったところ、露光量100mJ/cm2で剥離の無い良好なレリーフパターンが得られた。塗布後と現像後の膜厚の比率から残膜率を計算したところ93%であった。
パターンマスクを介さずウエハ全面を露光量100mJ/cm2でウエハ全面を露光する以外は実施例1と同様な方法で処理した後、窒素雰囲気下で350℃にて1時間熱処理を行った。得られた硬化膜の熱収縮率は37%で従来のものよりも小さかった。得られた硬化膜をシリコンウエハから剥離し、膜の機械特性を測定したところ、80%以上の良好な伸び率を示すとともに弾性率が2.5GPaと従来品よりも小さかった。
スピンコートの回転数を調整し80μmの塗膜を形成する以外は実施例1と同様な方法で処理したところ露光量200mJ/cm2で10μmの解像性を示し、剥離の無い良好なパターンが得られた。
合成例2で得られた感光性ポリマの粉末を用いること以外は実施例1と同様な方法で処理したところ、露光量200mJ/cm2で剥離の無い良好なレリーフパターンが得られた。
実施例1でシリコンウエハの代わりにシリコンウエハ上に銅スパッタ膜(膜厚1500Å)が形成されたウエハを使用する以外は同様の処理を行い、さらに窒素下にて350℃で硬化膜を作製した。この硬化膜を観察したところ銅基板の変色は認められなかった。また、碁盤目試験(JIS-5400)を行ったところ、剥離は認められず良好な接着性を示した。
合成例2で得られた感光性ポリマの粉末を用いること以外は実施例5と同様の処理を行い、同様の試験を行ったところ、剥離は認められず良好な接着性を示した。
合成例3で得られた感光性ポリマの粉末を用いること以外は実施例1と同様にして溶液を調整し、実施例3と同様な方法で処理したところ、露光量500mJ/cm2でも良好なレリーフパターンが得られなかった。パターンは逆テーパであり、ウエハからの剥離が認められた。
実施例1で金属害防止剤であるテトラゾールを加えない溶液を調整し、実施例5と同様の処理で硬化膜を作製後、実施例5と同様の試験を行った。銅基板は変色し、碁盤目試験では剥離が認められた。
実施例6で金属害防止剤であるテトラゾールを加えない溶液を調整し、実施例6と同様の処理で硬化膜を作製後、実施例6と同様の試験を行った。銅基板は変色し、碁盤目試験では剥離が認められた。
Claims (3)
- カバーコート材、再配線用コア材、半田ボール用カラー材及びフリップチップのアンダーフィル材から選択される、半導体装置のパッケージ用途に用いられる組成物であって、(A)ジアミン成分と酸無水物成分の両方又はどちらか一方は、芳香環を3個以上有し、かつ、両隣の芳香環との間を介する結合が1,3位である芳香環を少なくとも1つ有し、さらにポリアミド酸の有するカルボキシル基と炭素炭素不飽和二重結合及びヒドロキシ基を含有する化合物とのエステル結合によって、前記の炭素炭素不飽和二重結合を導入するポリアミド酸不飽和エステルであって、エステル化率が30〜90%であるポリイミド前駆体、(B)常圧において100℃以上の沸点を有する付加重合性化合物、(C)光開始剤、(D)金属害防止剤を含む耐熱性感光性ポリイミド前駆体組成物。
- 請求項1に記載の耐熱性感光性ポリイミド前駆体組成物を支持基板上に塗布し乾燥する工程、露光する工程、現像する工程及び加熱処理する工程を含み、前記の乾燥する工程の後で、かつ、露光する工程の前に得られる前記の耐熱性感光性ポリイミド前駆体組成物の膜厚が少なくとも20μm以上のものを有することを特徴とするパターン製造方法。
- 請求項2に記載の製造方法により得られるパターンの層を有してなる電子部品。
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