JP4517431B2 - ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物に関し、詳しくは、特に摺動性に優れたポリカーボネート樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、OA機器や電子機器の小型軽量化や部品点数の削減の目的から、摺動部材に合成樹脂が使用されるケースが増加している。そして、ポリカーボネート樹脂は、その優れた寸法精度や機械的強度から歯車などの摺動部材の部品に使用されている。斯かる用途において、摺動性を改良するため、ポリカーボネート樹脂に摺動剤が添加されている。
【0003】
例えば、特開昭63−213555号公報には、ポリカーボネート樹脂と4弗化エチレン樹脂から成る樹脂組成物が開示されている。ところが、斯かる樹脂組成物の場合、親和性の無いフッ素樹脂を大量に使用する必要があるため、成形時に層剥離やモールドデポジットが発生するという不都合がある。また、特開平4−136065号公報には、ポリブチレンテレフタレートとポリカーボネートとから成る樹脂組成物が開示されている。ところが、斯かる樹脂組成物の場合、ポリカーボネート樹脂が本来有する優れた特性(機械的強度、耐熱性および難燃性)が損なわれるばかりか、相剥離が生じるという不都合がある。
【0004】
更に、ポリカーボネート樹脂にシリコーンオイルを配合した樹脂組成物が提案されている。ところが、斯かる樹脂組成物の場合、成形品表面のシリコーンオイルが短時間に滲み出すため、表面がべたついて摺動性が低下し易い問題がある。そこで、例えば、高分子量のシリコーンオイルの使用も試みられている。ところが、この場合、十分な摺動性を得るにはシリコーンオイルを多量に添加する必要があり、その結果、成形品表面ではシリコーンオイルが相分離することによる光沢ムラ等が生じ易く、実用上不十分である。
【0005】
更に、例えば、特開平9−255864号公報には、ポリカーボネート樹脂とシリコーンオイルとの相溶性を向上させるため、ポリカーボネート樹脂に高粘度ジメチルシリコーンオイルとポリオレフィン、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン樹脂またはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂とを添加したポリカーボネート樹脂組成物が開示されている。ところが、斯かるポリカーボネート樹脂組成物は、機械的物性、成形外観および摺動性のバランスについては必ずしも十分とは言えない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、ポリカーボネート樹脂の有する本来の機械的強度や耐熱性を損なうことなく摺動性および成形品外観に優れたポリカーボネート樹脂組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の要旨は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対し、25℃での動粘度が100,000mm 2 /s以上のシリコーンオイル(BH)0.05〜5重量部とポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分が相互に絡み合った構造を有する複合ゴム(C)0.5〜25重量部を含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物に存する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明におけるポリカーボネート樹脂(A)(以下「PC樹脂」と称することもある。)としては、芳香族PC樹脂、脂肪族PC樹脂、芳香族−脂肪族PC樹脂などが挙げられるが、これらの中では芳香族PC樹脂が好ましい。芳香族PC樹脂としては、芳香族ヒドロキシ化合物またはこれと少量のポリヒドロキシ化合物をホスゲン又は炭酸ジエステルと反応させることによって得られる、分岐していてもよい熱可塑性芳香族ポリカーボネート重合体または共重合体が挙げられる。PC樹脂の製造方法は、特に限定されず、ホスゲン法(界面重合法)、溶融法(エステル交換法)等が採用される。溶融法で製造され且つ末端基のOH基量が調整された芳香族PC樹脂を使用することも出来る。
【0009】
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−P−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられるが、これらの中ではビスフェノールAが好ましい。また、難燃性を更に高める目的で上記の芳香族ジヒドロキシ化合物にスルホン酸テトラアルキルホスホニウムが1個以上結合した化合物および/またはシロキサン構造を有する両末端フェノール性OH基含有のポリマー又はオリゴマーを使用することも出来る。
【0010】
分岐した芳香族PC樹脂を得るには、前記芳香族ジヒドロキシ化合物の一部として、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニルヘプテン−3、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のポリヒドロキシ化合物の他、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロルイサチン、5,7−ジクロルイサチン、5−ブロムイサチン等を使用すればよい。これらの使用量は、通常0.01〜10モル%、好ましくは0.1〜2モル%である。
【0011】
分子量を調節するには、一価芳香族ヒドロキシ化合物を使用すればよく、その具体例としては、mー及p−メチルフェノール、m−及びp−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール及びp−長鎖アルキル置換フェノール等が挙げられる。
【0012】
芳香族PC樹脂としては、好ましくは、2、2ービス(4ーヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されるPC樹脂や2、2ービス(4ーヒドロキシフェニル)プロパンと他の芳香族ジヒドロキシ化合物とから誘導されるPC共重合体が挙げられる。難燃性を更に高める目的のため、シロキサン構造を有するポリマー又はオリゴマーを共重合することが出来る。芳香族PC樹脂としては、2種以上の樹脂を混合して使用してもよい。
【0013】
PC樹脂の粘度平均分子量は、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、温度25℃で測定された溶液粘度より換算した値として、通常16,000〜30,000である。粘度平均分子量が16,000未満である場合は機械的強度が不足し、30,000を超える場合は成形品外観に不良を生じ易い。PC樹脂の粘度平均分子量は、好ましくは17,000〜25,000、更に好ましくは18,000〜23,000である。
【0014】
本発明で使用するシリコーンオイル(BH)は、25℃での動粘度が100,000mm 2 /s以上であることが必要である。シリコーンオイル(BH)の25℃での動粘度が100,000mm 2 /s未満である場合は摺動性を長期間維持するのが困難である。シリコーンオイル(BH)の25℃での動粘度は、好ましくは500,000mm2/s以上、特に好ましくは1,000,000mm2/s以上である。
【0015】
本発明において、シリコーンオイル(BH)の含有量は、PC樹脂(A)100重量部に対し0.05〜5重量部である。シリコーンオイルの含有量が0.05重量部未満の場合は摺動性が不十分であり、5重量部を超える場合は成形品外観が低下する。シリコーンオイルの含有量は、PC樹脂(A)100重量部に対し、好ましくは0.1〜4重量部であり、更に好ましくは0.2〜3重量部である。
【0016】
本発明においては、シリコーンオイル(BH)の25℃での動粘度が100,000mm2/s以上の場合、これと共に25℃での動粘度が100,000mm2/s未満のシリコーンオイル(BL)を併用し、且つ、シリコーンオイル(BH)とシリコーンオイル(BL)との割合を重量比で2/1〜200/1とするならば、比摩耗量が低減できるので好ましい。
【0017】
上記の場合、シリコーンオイル(BH)の25℃での動粘度は、好ましくは500,000mm2/s以上、更に好ましくは1,000,000mm2/s以上である。また、シリコーンオイル(BL)の25℃での動粘度は、好ましくは50,000mm2/s以下、更に好ましくは10,000mm2/s以下である。また、シリコーンオイル(BH)とシリコーンオイル(BL)の割合は、重量比で、好ましくは5/1〜150/1、更に好ましくは10/1〜100/1である。シリコーンオイル(BH)が多過ぎる場合は、比摩耗性が低くなる傾向にあり、更に、成形品の外観に悪影響を与える傾向にある。一方、シリコーンオイル(BL)が多過ぎる場合は、比摩耗性が低くなる傾向にあり、更に、成形品がベタつくこともある。
【0018】
本発明におけるシリコーンオイルとしては、前記の動粘度の条件を満足する限り特に限定されず、公知のシリコーンオイルの中から任意に選ぶことが出来る。、例えば、ポリジメチルシロキサンから成るシリコーンオイル、ポリジメチルシロキサンのメチル基の一部または全部がフェニル基、水素、炭素数2以上のアルキル基、ハロゲン化フェニル基またはフルオロエステル基で置換されたシリコーンオイル、エポキシ基を有するエポキシ変性シリコーンオイル、アミノ基を有するアミノ変性シリコーンオイル、アルコール性水酸基を有するアルコール変性シリコーンオイル、ポリエーテル構造を有するポリエーテル変性シリコーンオイル等が挙げられる。これらは単独または二種類以上を組み合わせて使用することが出来る。前記の様に、動粘度が高いシリコーンオイル(BH)と低いシリコーンオイル(BL)とを併用する場合、好ましいシリコーンオイル(BL)としては、フェニル基を有するシリコーンオイルが挙げられる。
【0019】
本発明においては、ポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分とが相互に絡み合った構造を有する複合ゴム(C)を使用する。斯かる複合ゴム(C)における、ポリオルガノシロキサンゴム成分の主骨格としては、ジメチルシロキサン、ジフェニルシロキサン、メチルフェニルシロキサンから選ばれる繰り返し単位を有する重合体が挙げられる。一方、ポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分の主骨格としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートから選ばれる繰り返し単位を有する重合体が挙げられる。
【0020】
本発明における複合ゴム(C)の製造方法としては乳化重合法が好ましい。すなわち、先ず、ポリオルガノシロキサンゴムのラテックスを調製し、次に、ポリオルガノシロキサンゴムラテックスの粒子にアルキル(メタ)アクリレートゴム合成用の単量体を含浸させ、その後、単量体を重合する方法が好ましい。
【0021】
ポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分の割合は、重量比で、通常90/10〜20/80、好ましくは85/15〜30/70、更に好ましくは80/20〜40/60である。ポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分が少な過ぎる場合はPC樹脂との親和性が低く成形品外観が低下し、多過ぎる場合は摺動性の改良効果が十分ではない。
【0022】
複合ゴム(C)にはビニル系単量体をグラフト重合することも出来る。ビニル系単量体としては、スチレン等の芳香族アルケニル化合物、メチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル、アクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物などの各種ビニル系単量体が挙げられ、これらは単独または2種以上組み合わせて使用することが出来る。複合ゴム(C)は、例えば三菱レイヨン(株)から「メタブレン」の商品名で販売されており、容易に入手することが出来る。
【0023】
複合ゴム(C)の含有量は、PC樹脂(A)100重量部に対し、0.5〜25重量部である。複合ゴム(C)が少な過ぎる場合は摺動性の改良効果が不十分であり、多過ぎる場合は機械的強度が低下する。複合ゴム(C)の含有量は、PC樹脂(A)100重量部に対し、好ましくは0.8〜20重量部、更に好ましくは1〜15重量部である。
【0024】
シリコーンオイル(BH)と複合ゴム(C)の割合は、重量比で、通常5/1〜1/50、好ましくは2/1〜1/30である。シリコーンオイル(BH)と複合ゴム(C)の割合が上記の範囲を外れる場合は機械的強度や成形品外観が低下し易い。
【0025】
本発明のPC樹脂組成物には、必要に応じ、紫外線吸収剤、酸化防止剤などの安定剤、顔料、染料、滑剤、難燃剤、離型剤などの添加剤、ガラス繊維、ガラスフレーク、炭素繊維などの強化材、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム等のウィスカー等を添加することが出来る。
【0026】
また、本発明のPC樹脂組成物には、成形性、耐薬品性などの性能を向上する等の目的のため、PC樹脂以外の熱可塑性樹脂を配合することが出来る。斯かる熱可塑性樹脂の種類および配合量は適宜選択できる。PC樹脂以外の熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等が挙げられる。
【0027】
ポリエステル樹脂としては、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。ポリフェニレンエーテル系樹脂としては、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンエーテルとポリスチレン及び/又はHIPSとの混合樹脂などが挙げられる。スチレン系樹脂としては、ポリスチレン、HIPS(耐衝撃性ポリスチレン)樹脂、AS(アクリロニトル−スチレン)樹脂、ABS(アクリロニトル−ブタジエン−スチレン)樹脂などが挙げられる。
【0028】
PC樹脂以外の熱可塑性樹脂の配合量は、PC樹脂とPC樹脂以外の樹脂の合計量に対し、通常50重量%未満、好ましくは40重量%以下であり、更に好ましくは30重量%以下であり、その下限は通常1重量%である。
【0029】
本発明のPC樹脂組成物の製造方法としては、各種混練機、例えば、一軸および多軸混練機、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダープラストグラム等により、上記の各成分を配合して混練した後、冷却固化する溶融混練法、適当な溶媒、例えば、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素およびその誘導体に上記成分を添加し、溶解する成分同志または溶解する成分と不溶解成分を懸濁状態で混合する溶液混合法などが挙げられる。コストの観点からは溶融混練法が好ましい。
【0030】
本発明のPC樹脂組成物の成形方法としては、特に限定されず、熱可塑性樹脂組成物について一般に使用されている成形法、例えば、射出成形、中空成形、押し出し成形、シート成形、熱成形、回転成形、積層成形などの各種成形方法を採用し得る。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。実施例および比較例においては、表1に記載の記載の原材料を使用し、表2に記載の評価方法を採用した。
【0032】
【表1】
<原材料>
(1)PC樹脂:
ポリ−4,4−イソプロピリデンジフェニルカーボネート(粘度平均分子量:21,000,三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製「ユーピロンS−3000」)
(2)シリコーンオイル(B1):
ポリジメチルシロキサン(25℃での動粘度:6,000,000mm2/s,信越シリコーン社製「VRS−01」)
(3)シリコーンオイル(B2):
ポリジメチルシロキサン(25℃での動粘度:500mm2/s,信越シリコーン(株)製「商品名KF−96」)
(4)シリコーンオイル(B3):
PC樹脂中に40重量%のポリジメチルシロキサンが含有されているマスターバッチ(25℃でのポリジメチルシロキサン動粘度:100,000mm2/s以上,東レ・ダウコーニングシリコン社製「BX27−015」)
(5)シリコーンオイル(B4):
フェニル変性ポリジメチルシロキサン(25℃での動粘度:400mm2/s,信越シリコーン社製「KF−54」)
(6)シリコーンオイル(B5):
ABS樹脂中に50重量%のポリジメチルシロキサンが含有されているマスターバッチ(25℃でのポリジメチルシロキサン動粘度:100,000mm2/s以上,東レ・ダウコーニングシリコン社製「BY27−007」)
(7)ポリオルガノシロキサン−ポリ−アルキル(メタ)アクリレート複合ゴム:
ポリジメチルシロキサン−ポリ−n−ブチルアクリレート複合ゴム(ポリジメチルシロキサンゴム成分含量:70重量%,三菱レイヨン(株)製「メタブレンSX005」)
【0033】
【表2】
<評価方法>
(1)アイゾット衝撃試験:
ASTM D256に従い、切り欠き付きアイゾット衝撃試験を行った。
(2)曲げ弾性率:
ASTM D790による曲げ試験法に従い、三点曲げ試験を行った。
(3)熱変形温度:
ASTM D648に従い、1.82MPaの条件で、荷重たわみ試験を行った。
(4)曲げ疲労破壊:
ASTM D671に従い、TypeA試験片を使用し、23℃、実応力19MPaで試験を行い、破壊に至る回数を評価した。
(5)摺動性:
JIS K7218 A法に従い、相手材としてS45C製のリングを使用し、荷重5kg(面圧2.5kg/cm2)、周速度10cm/sec、走行時間10時間の条件で摺動試験を行い、摩耗量から次式により比摩耗量を算出した。
【数1】
比摩耗量(mm3/kg・km)=摩耗量(g)/密度(g/mm3)・荷重(kg)・走行距離(km)
(6)成形品外観:
繰り返し曲げ疲労試験に使用する試験片の外観を目視にて観察し、良好な場合を○、少し不良が観察される場合を△、不良である場合を×とした。
【0034】
実施例1〜4
PC樹脂とシリコーンオイルとが重量比で90/10になる様にミキサーにて均一に混合した後、二軸押出機(日本製鋼所製)を使用し、シリンダー温度280℃、スクリュー回転数250rpmでペレット化しマスターペレットを得た。得られたマスターペレットとPC樹脂と複合ゴムとを表3に示す割合になる様にミキサーにて均一に混合した後、二軸押出機(日本製鋼所製)を使用し、シリンダー温度280℃、スクリュー回転数250rpmでペレット化した。得られた樹脂ペレットを射出成形し、成形品を作成し、各種評価を行った。なお、射出成形機は、日本製鋼所製の射出成形機を使用し、型締め力:50T、シリンダー温度:280℃、金型温度:80℃の条件を採用した。評価結果を表3に示す。
【0035】
実施例5及び6
実施例1において、シリコーンオイル(B1)の代りに、PC樹脂のマスターバッチ商品であるシリコーンオイル(B3)を使用した以外は、実施例1と同様にしてペレットを得、実施例1と同様に成形および各種評価を行った。評価結果を表4に示す。なお、表4に示したシリコーンオイル(B3)の配合量は、シリコーンオイル(B3)がマスターバッチ商品であるため、シリコーンオイルとPC樹脂とに分割して換算した量である。
【0036】
実施例7及び8
実施例1において、表4に示す割合のシリコーンオイル(B1)と共に低粘度であるシリコーンオイル(B4)を併用した以外は、実施例1と同様にしてマスターペレットを得てペレット化した。得られたペレットを使用し、実施例1と同様に成形および各種評価を行った。評価結果を表4に示す。
【0037】
比較例1〜2
PC樹脂と複合ゴムとを表5に示す割合になる様にミキサーにて均一に混合した後、二軸押出機(日本製鋼所製)を使用し、シリンダー温度280℃、スクリュー回転数250rpmでペレット化した。得られたペレットを使用し、実施例1と同様に成形および各種評価を行った。評価結果を表5に示す。
【0038】
比較例3
実施例3において、複合ゴムを使用しない以外は、実施例3と同様にして、マスターペレットを得、同様にペレット化した。得られたペレットを使用し、実施例1と同様に成形および各種評価を行った。評価結果を表5に示す。
【0039】
比較例4
比較例3において、シリコーンオイルの量を増加した以外は、比較例3と同様にして、マスターペレットを得、同様にペレット化した。得られたペレットを使用し、実施例1と同様に成形および各種評価を行った。評価結果を表5に示す。
【0040】
比較例5
実施例1において、シリコーンオイル(B1)の代わりに、シリコーンオイル(B2)を使用した以外は、実施例1と同様にして、マスターペレットを得、同様にペレット化した。得られたペレットを使用し、実施例1と同様に成形および各種評価を行った。評価結果を表6に示す。
【0041】
比較例6
実施例1において、シリコーンオイル(B1)の代りに、ABS樹脂のマスターバッチ商品である(B5)を使用した以外は、実施例1と同様にしてペレット化した。得られたペレットを使用し、実施例1と同様に成形および各種評価を行った。評価結果を表6に示す。なお、表6に示したシリコーンオイル(B5)の配合量は、シリコーンオイル(B5)がマスターバッチ商品であるため、シリコーンオイルとPC樹脂とに分割して換算した量である。
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】
【表5】
【0045】
【表6】
【0046】
【発明の効果】
本発明のPC樹脂組成物は、アイゾット衝撃強度、曲げ弾性率、曲げ疲労破壊、耐熱性、摺動性および成型品外観に優れており、歯車を始めとする各種摺動用途に有用であり、その工業的価値は大きく、電気電子分野、OA機器用部品の分野などに広く使用することが出来る。
Claims (14)
- ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対し、25℃での動粘度が100,000mm 2 /s以上のシリコーンオイル(BH)0.05〜5重量部とポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分が相互に絡み合った構造を有する複合ゴム(C)0.5〜25重量部を含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
- シリコーンオイル(BH)の25℃の動粘度が500,000mm2/s以上である請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- シリコーンオイル(BH)の25℃の動粘度が1,000,000mm2/s以上である請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量が16,000〜30,000である請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 複合ゴム(C)におけるポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分との割合が重量比で90/10〜20/80である請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- シリコーンオイル(BH)と複合ゴム(C)との割合が重量比で5/1〜1/50である請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- シリコーンオイル(BH)と共に25℃での動粘度が100,000mm2/s未満のシリコーンオイル(BL)を併用し、且つ、シリコーンオイル(BH)とシリコーンオイル(BL)との割合が重量比で2/1〜200/1である請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- シリコーンオイル(BH)の25℃での動粘度が500,000mm2/s以上である請求項7に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- シリコーンオイル(BH)の25℃での動粘度が1,000,000mm2/s以上である請求項7に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- シリコーンオイル(BL)の25℃での動粘度が50,000mm2/s以下である請求項7に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- シリコーンオイル(BL)の25℃での動粘度が10,000mm2/s以下である請求項7に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- シリコーンオイル(BL)がフェニル基を有するシリコーンオイルである請求項7に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- シリコーンオイル(BH)とシリコーンオイル(BL)の割合が重量比で5/1〜150/1である請求項7に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- シリコーンオイル(BH)とシリコーンオイル(BL)の割合が重量比で10/1〜100/1である請求項7に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
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