JP4498708B2 - 燃料電池運転装置 - Google Patents
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Description
ここで、カソード側の反応ガスとして空気を用いている場合に、発電停止後にコンプレッサを所定時間だけ運転してカソードに圧縮空気を流通させることによりカソードから水を排出する方法が考えられる。
そこで、この発明は、反応ガス流路の凍結を防止でき、排水に必要なエネルギーを最小限に抑えることができる燃料電池運転装置を提供するものである。
燃料電池の停止時には、凍結防止のため、発電時に発生する生成水を排出する必要があるが、燃料電池内の酸化剤ガスが流通する流路内に残留している水の量を流路内の圧力変化により推定し、これによりコンプレッサの運転を制御する。
また、前記燃料電池への酸化剤ガスの供給量を外気温度が低いほど大きい流量に設定することにより、確実に排水を行わせることが可能となり、また、燃料電池を停止する際に燃料電池内の水を排出するのに必要な時間を常に同等にすることが可能となり、常温時と同等の時間で排水を完了させることが可能となる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の発明において、前記制御手段は、外気温度が低いほど前記所定値を小さい値に設定することを特徴とする。
このように構成すると、外気温度に見合った排出量を設定することができるため、排水に必要なエネルギーを過不足なく調整することができる。例えば、氷点下時のような水が凍結してしまう虞があるときには、念入りに排水を行うことが可能となり、凍結の虞がないときには、必要最低限の排水に抑えることができるため、排水に必要なエネルギーを過不足なく調整することができる。
燃料電池の停止時には、凍結防止のため、発電時に発生する生成水を排出する必要があるが、燃料電池内の酸化剤ガスが流通する流路内に残留している水の量を流路内の圧力変化により推定し、これによりコンプレッサの運転を制御する。
そして、請求項3では、酸化剤ガスの供給流路内または排出流路内の圧力の変化量を検出することにより、燃料電池内の酸化剤ガスが流通する流路内に残留している水の量を管理することができるため、前記変化量が所定値以上になったときにコンプレッサを停止することにより、排水に必要なエネルギーを最小に抑えることができる。さらに、請求項1に比べて圧力検出手段の数を削減することが可能となる。
また、前記燃料電池への酸化剤ガスの供給量を外気温度が低いほど大きい流量に設定することにより、確実に排水を行わせることが可能となり、また、燃料電池を停止する際に燃料電池内の水を排出するのに必要な時間を常に同等にすることが可能となり、常温時と同等の時間で排水を完了させることが可能となる。
このように構成すると、外気温度に見合った排出量を設定することができるため、排水に必要なエネルギーを過不足なく調整することができる。例えば、氷点下時のような水が凍結してしまう虞があるときには、念入りに排水を行うことが可能となり、凍結の虞がないときには、必要最低限の排水に抑えることができるため、排水に必要なエネルギーを過不足なく調整することができる。
また、前記燃料電池への酸化剤ガスの供給量を外気温度が低いほど大きい流量に設定することにより、確実に排水を行わせることが可能となり、また、燃料電池を停止する際に燃料電池内の水を排出するのに必要な時間を常に同等にすることが可能となり、常温時と同等の時間で排水を完了させることが可能となる。したがって、燃料電池車両の場合には、運転者に違和感を与えないようにすることができ、商品性が向上する。
請求項2に係る発明によれば、外気温度に見合った排出量を設定することができるため、排水に必要なエネルギーを過不足なく調整することができる。例えば、氷点下時のような水が凍結してしまう虞があるときには、念入りに排水を行うことが可能となり、凍結の虞がないときには、必要最低限の排水に抑えることができるため、排水に必要なエネルギーを過不足なく調整することができる。
また、前記燃料電池への酸化剤ガスの供給量を外気温度が低いほど大きい流量に設定することにより、確実に排水を行わせることが可能となり、また、燃料電池を停止する際に燃料電池内の水を排出するのに必要な時間を常に同等にすることが可能となり、常温時と同等の時間で排水を完了させることが可能となる。したがって、燃料電池車両の場合には、運転者に違和感を与えないようにすることができ、商品性が向上する。
初めに、第1の関連技術を、図1および図2の図面を参照して説明する。図1は燃料電池車両に搭載された燃料電池運転装置の概略構成図である。
燃料電池1は、例えば固体ポリマーイオン交換膜等からなる固体高分子電解質膜2をアノード3とカソード4とで両側から挟み込んで形成されたセルを複数積層して構成されたものであり(図1では単セルのみを示す)、アノード3の反応ガス流路5に燃料ガスとして水素ガスを供給し、カソード4の反応ガス流路6に酸化剤ガスとして酸素を含む空気を供給すると、アノード3で触媒反応により発生した水素イオンが、固体高分子電解質膜2を通過してカソード4まで移動して、カソード4で酸素と電気化学反応を起こして発電し、水が生成される。カソード側で生じた生成水の一部は固体高分子電解質膜2を介してアノード側に逆拡散するため、アノード側にも生成水が存在する。
燃料電池車両を停止した後、イグニッションスイッチがOFFにされる前は、燃料電池1の発電電流はアイドル発電電流となっており、これに応じて、水素ポンプ14、コンプレッサ7は、それぞれアイドル回転数となっているものとする。また、燃料電池1の運転停止以降は、コンプレッサ7の運転は図示しないキャパシタ、バッテリなどの補助電源からの電力供給により行われるものとする。
次に、ステップS13において入口側圧力センサ24により空気供給流路8内の圧力(以下、反応ガス流路6の入口側圧力という)P1を読み取り、ステップS14において出口側圧力センサ25により空気排出流路9内の圧力(以下、反応ガス流路6の出口側圧力という)P2を読み取り、ステップS15において反応ガス流路6の入口側圧力P1と出口側圧力P2の差圧ΔPを算出する(ΔP=P1−P2)。
一方、ステップS16における判定結果が「NO」(ΔP>ΔP0)ある場合は、反応ガス流路6内の水がまだ十分に排出されていないと推定されるので、ステップS18において一定時間をカウントした後、ステップS19に進み、イグニッションスイッチをOFFした後のコンプレッサの運転時間(以下、パージ運転時間と称す)T1が予め設定した閾値T0以上か否かを判定する。
図3は第2の関連技術における燃料電池運転装置の概略構成図であり、第1の関連技術と同一態様部分には同一符号を付してある。第2の関連技術の燃料電池運転装置が第1の関連技術のものと相違する点は、第2の関連技術では空気排出流路9に出口側圧力センサ25を備えていないことだけであり、その他の構成は第1の関連技術と全く同じである。
この第2の関連技術2の燃料電池運転装置では、空気供給流路8内の圧力変化、すなわち燃料電池1に流入する直前の供給空気の圧力変化に基づいて、反応ガス流路6内に残留する水の量を推定する。前述したように、反応ガス流路6に流れるガス流量が同じであっても、カソード4の反応ガス流路6内に残留する水の量が多いほど反応ガス流路6の圧力損失が大きいため空気供給流路8内の圧力は高く、残留する水の量が減ってくると反応ガス流路6の圧力損失が小さくなるため空気供給流路8内の圧力は低くなる。したがって、空気供給流路8内の圧力変化の程度によって反応ガス流路6内に残留する水の量を推定することができる。
ステップS21において、燃料電池車両を停止してイグニッションスイッチ(IG)をOFFすると、燃料電池1からの電力の供給が遮断される。そして、ステップS22に進み、パージ条件を設定する。このパージ条件の設定については、第1の関連技術の場合と同じであるので説明を省略する。
次に、ステップS23において入口側圧力センサ24により空気供給流路8内の圧力(反応ガス流路6の入口側圧力)P1を読み取る。第2の関連技術では、ステップS23において検出した入口側圧力P1を初期値として、以下のステップで圧力変化を検出する。なお、入口側圧力の初期値P1の検出タイミングは、イグニッションスイッチをOFFする直前であっても構わない。
そして、ステップS25に進み、現時点における反応ガス流路6の入口側圧力P1nと入口側圧力の初期値P1から圧力変化量ΔPnを算出する(ΔPn=P1−P1n)。
次に、ステップS26に進み、ステップS25で算出した圧力変化量ΔPnが、予め設定した閾値ΔP0以上か否かを判定する。なお、閾値ΔP0については、ステップS22で設定したパージ条件と同じ条件下で圧縮空気を流通させて、カソード4の反応ガス流路6内に殆ど水が残留しない状態まで流通させたときの圧力変化を予め実験的に求め、この実験値に基づいて閾値ΔP0を設定する。
一方、ステップS26における判定結果が「NO」(ΔPn<ΔP0)ある場合は、反応ガス流路6内の水がまだ十分に排出されていないと推定されるので、ステップS28において一定時間をカウントした後、ステップS29に進み、パージ運転時間T1が予め設定した閾値T0以上か否かを判定する。
第3の関連技術における燃料電池運転装置の構成は、第1の関連技術と全く同じであるので、図1を援用してその説明は省略する。
第3の関連技術における運転停止処理は基本的には第1の関連技術と同じであるが、第3の関連技術では、コンプレッサ7の停止時期を決定するための閾値ΔP0を外気温度に応じて変えるようにしている。つまり、燃料電池車両の停止時の外気温度が低いほど燃料電池1の温度が下がって反応ガス流路6が凍結する可能性が高いので、外気温度が低いほど閾値ΔP0を小さく設定して、反応ガス流路6内の水をより確実に排出する。
図6は、第3の関連技術において使用する外気温マップの一例を示すものであり、外気温度tが低いほど閾値ΔP0を小さく設定している(Pa>Pb>Pc・・・)。
ステップS31において、燃料電池車両を停止してイグニッションスイッチ(IG)をOFFすると、燃料電池1からの電力の供給が遮断される。そして、ステップS32に進み、パージ条件を設定する。このパージ条件の設定については、第1の関連技術の場合と同じであるので説明を省略する。
次に、ステップS33において、外気温センサ20により外気温度tを読み取り、さらにステップS34に進み、図6に示す外気温マップを参照して、外気温度tに応じた閾値を求め、これを閾値ΔP0として格納する。
ステップS35〜S41の処理は、ステップS38の処理を実行する際にステップS34で設定した閾値ΔP0を用いる点を除いて、第1の関連技術におけるフローチャート(図2)におけるステップS13〜S19の処理と同じであるので説明を省略する。
なお、第2の関連技術のように反応ガス流路6の入口側圧力の変化量ΔPnに基づいてコンプレッサ7の停止時期を決定する場合においても、外気温度に応じて圧力変化量の閾値ΔP0の値を変えることも可能であり、その場合には、外気温度が低いほど圧力変化量の閾値ΔP0を大きく設定する。
この実施例における燃料電池運転装置の構成は、第1の関連技術と全く同じであるので、図1を援用してその説明は省略する。
実施例における運転停止処理は基本的には第1の関連技術と同じであるが、実施例では、コンプレッサ7の停止時期を決定するための閾値ΔP0と、反応ガス流路6に供給する圧縮空気の供給量を、外気温度に応じて変えるようにしている。つまり、燃料電池車両の停止時の外気温度が低いほど燃料電池1の温度が下がって反応ガス流路6が凍結する可能性が高いので、外気温度が低いほど閾値ΔP0を小さく設定するとともに、圧縮空気の供給量を増大させて、反応ガス流路6内の水をより確実に排出する。
図8は、実施例において使用する外気温マップの一例を示すものであり、外気温度tが低いほど閾値ΔP0を小さく設定するとともに(Pa>Pb>Pc・・・)、外気温度tが低いほどコンプレッサ7の回転数を高くする。
ステップS41において、燃料電池車両を停止してイグニッションスイッチ(IG)をOFFすると、燃料電池1からの電力の供給が遮断される。そして、ステップS42に進み、圧力制御弁27の開度を所定の一定開度に設定する。
次に、ステップS43において、外気温センサ20により外気温度tを読み取り、さらにステップS44に進み、図6に示す外気温マップを参照して、外気温度tに応じた閾値を求め、これを閾値ΔP0として格納し、さらに、ステップS45に進み、図8に示す外気温マップを参照して、外気温度tに応じたコンプレッサ7の回転数を求め、該回転数でコンプレッサ7を運転する。
ステップS46〜S52の処理は、ステップS49の処理を実行する際にステップS44で設定した閾値ΔP0を用いる点を除いて、第1の関連技術におけるフローチャート(図2)におけるステップS13〜S19の処理と同じであるので説明を省略する。
しかも、外気温度が低いほどコンプレッサ7の回転数を高くして圧縮空気の供給量を増大させているので、排水に必要な時間を外気温度にかかわらずほぼ一定にすることができ、その結果、運転者に違和感を与えないようにすることができ、商品性が向上する。
なお、第2の関連技術のように反応ガス流路6の入口側圧力の変化量ΔPnに基づいてコンプレッサ7の停止時期を決定する場合においても、外気温度に応じてコンプレッサ7の回転数を変えて圧縮空気の供給量を変更することが可能であり、その場合には、外気温度が低いほどコンプレッサ7の回転数を高めて供給量を増大する。
なお、この発明は前述した実施例に限られるものではない。
例えば、前述した実施例では、燃料電池を燃料電池車両に搭載した態様で説明したが、燃料電池は車両以外の移動体に搭載されていてもよいし、あるいは定置式の燃料電池に本発明を適用することも可能である。
6 反応ガス流路
7 コンプレッサ
8 空気供給流路(供給流路)
9 空気排出流路(排出流路)
19 ECU(制御手段)
20 外気温センサ(外気温検出手段)
24 入口側圧力センサ(第1圧力検出手段、圧力検出手段)
25 出口側圧力センサ(第2圧力検出手段、圧力検出手段)
Claims (5)
- 各々の流路に反応ガスとしての燃料ガスと酸化剤ガスとを供給し電気化学反応によって発電を行う燃料電池と、
コンプレッサで加圧した酸化剤ガスを前記燃料電池内に供給する供給流路と、
前記燃料電池内を通過した前記酸化剤ガスを排出する排出流路と、
前記供給流路内の圧力を検出する第1圧力検出手段と、
前記排出流路内の圧力を検出する第2圧力検出手段と、
外気温度を検出する外気温検出手段と、
前記燃料電池からの電力供給が遮断されたときに前記コンプレッサへの電力供給を可能とする補助電源と、
前記コンプレッサの運転を制御する制御手段と、
を備えた燃料電池運転装置において、
前記制御手段は、前記燃料電池の運転停止に際し該燃料電池からの電力の供給を遮断したときに、前記補助電源からの電力供給で前記コンプレッサを運転するとともに、前記燃料電池への酸化剤ガスの供給量を外気温度が低いほど大きい流量に設定し、この設定流量で一定となるように前記コンプレッサの回転数をフィードバック制御し、さらに、前記前記第1圧力検出手段の検出値と前記第2圧力検出手段の検出値の差が所定値以下になったときに前記コンプレッサを停止することを特徴とする燃料電池運転装置。 - 前記制御手段は、外気温度が低いほど前記所定値を小さい値に設定することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池運転装置。
- 各々の流路に反応ガスとしての燃料ガスと酸化剤ガスとを供給し電気化学反応によって発電を行う燃料電池と、
コンプレッサで加圧した酸化剤ガスを前記燃料電池内に供給する供給流路と、
前記燃料電池内を通過した前記酸化剤ガスを排出する排出流路と、
前記供給流路内または前記排出流路内の圧力を検出する圧力検出手段と、
外気温度を検出する外気温検出手段と、
前記燃料電池からの電力供給が遮断されたときに前記コンプレッサへの電力供給を可能とする補助電源と、
前記コンプレッサの運転を制御する制御手段と、
を備えた燃料電池運転装置において、
前記制御手段は、前記燃料電池の運転停止に際し該燃料電池からの電力の供給を遮断したときに、前記補助電源からの電力供給で前記コンプレッサを運転するとともに、前記燃料電池への酸化剤ガスの供給量を外気温度が低いほど大きい流量に設定し、この設定流量で一定となるように前記コンプレッサの回転数をフィードバック制御し、さらに、前記圧力検出手段の検出値が、前記燃料電池からの電力の供給を遮断したときの前記圧力検出手段の検出値から所定値以上変化したときに前記コンプレッサを停止することを特徴とする燃料電池運転装置。 - 前記制御手段は、外気温度が低いほど前記所定値を大きい値に設定することを特徴とする請求項3に記載の燃料電池運転装置。
- 前記制御手段は、酸化剤ガスの前記設定流量を、前記燃料電池からの電力の供給を遮断する前のアイドル時における酸化剤ガスの供給量よりも大きい値に設定することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の燃料電池運転装置。
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