JP4465117B2 - ステッピングモータの制御装置 - Google Patents

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    • HELECTRICITY
    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
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    • H02P8/36Protection against faults, e.g. against overheating, step-out; Indicating faults
    • H02P8/38Protection against faults, e.g. against overheating, step-out; Indicating faults the fault being step-out

Description

【0001】
(技術分野)
本発明は、ステッピングモータ及びその制御に係わり、特にエンコーダを有するステッピングモータ及びその制御を行うステッピングモータの制御装置に関するものである。
【0002】
(背景技術)
ステッピングモータは小型,高トルク,高寿命といった特徴を有し、その簡易な制御性を利用した開ループ制御による駆動方法が一般的である。しかし一方で、脱調,振動,高速回転性等に課題があり、この改善のためにステッピングモータにエンコーダを付与して閉ループ制御を行う駆動方法が提案されている。
【0003】
特願平10−011069号には、エンコーダの1周分の出力パルス数をステッピングモータのロータ磁極数の整数倍とし、ステッピングモータの任意の静止位置を基準として、そこから所定数のエンコーダパルスを検知するごとにステッピングモータへの励磁電流を切り替えることによって、エンコーダの出力信号とステッピングモータの励磁電流との位相精度を無調整で所定誤差以下に抑える構成が記載されている。
【0004】
しかしながらこの構成の場合、十分高いモータの回転数を得ようとすれば実際のロータの角度位置に対する駆動の位相を十分に進める必要があるが、十分な位相進み角を与えると低速時に実際の位相が進みすぎ、極端な場合、低速時に逆転してしまうという問題があった。
【0005】
また、起動時には、起動前にマイクロステップ駆動により保持しているロータの角度位置をモータコイル各相の電流比から求める構成になっているが、これにより求められたロータの角度位置には誤差があり、この誤差を考慮すると十分な起動トルクが得られず起動に失敗する場合があるという間題があった。
【0006】
また、このようにステッピングモータを用いて閉ループ駆動を行う場合、閉ループ駆動のみではステッピングモータの特色である高い位置決め精度が得られないため、マイクロステップ駆動と併用し、最初閉ループ駆動を用いて制御対象を高速で移動させた後、減速の途中でマイクロステップ駆動に切り替えて正確な位置決めを行うことが一般的に行われている。しかしながら、閉ループ駆動からマイクロステップ駆動に切り替える際にはしばしば不要な回転振幅が発生し位置や速度の正確な制御が困難になる場合があった。
【0007】
上記の特許にはこれらの解決方法については何ら記載されていない。
【0008】
また、従来この構成、あるいはステッピングモータの代わりにDCモータを使用して、エンコーダの出力信号を用いて速度制御を行うものが一般的に用いられてきた。
【0009】
この構成の課題として、例えばディスク装置のヘッド移送制御等のように目標トラックに高速に移動させて位置決めしようとすると、目標トラックまでの残りトラック数がわずかとなった時点での速度指令値が微小となり、オフセット電圧等の影響を受けて目標トラックに対するオーバーシュートやモータの暴走などが発生しやすかった。この改善のために、特開平2−18766号には規定時問以内にエンコーダからの信号がなければ速度指令値を増加させる構成が開示されている。
【0010】
しかしながら、この規定時間はモータの全ての回転数に対して最適な値を設定することが難しいという課題が有った。
【0011】
すなわち、たとえばモータの回転数が高い場合にあわせて設定すると回転数が低い場合には通常の減速により生じるパルス間隔の時間的な伸びを異常であると誤検出する場合が生じ、低い場合に最適なように設定すると回転数が高い場合に異常を検出できない場合が生ずる。
【0012】
また、速度指令値の補正値は全ての場合に最適な値を設定することが雄しいという課題が有った。
【0013】
すなわち、駆動系にはモータ自身や伝達系の摩擦負荷のバラツキ等があり、一律に速度指令値を増加しても同一の応答を期待することはできない。例えば、同一の速度指令値の増加量を与えても、振動系の摩擦負荷が大きい場合には増加後もモータの停止を抑制できないことがあり、この場合は速度指令値の増加を行わなかったときと全く同様に、装置としては次のパルス信号が入カするのを待ち続ける結果となり全く改善効果が現れないことになる。また、逆に駆動系の摩擦負荷が小さい場合には速度指令値の増加により大きなオーバーシュートが発生する。このように、駆動系の特性のバラツキに対応できるような速度指令値の増加量の設定が難しく、確実な制御を行うことが困難であった。
【0014】
上記の特許にはこれらの解決方法については何ら記載されていない。
【0015】
以下、従来の技術について図20から図26を用いて説朋する。
【0016】
図20Aは従来のモータの制御装置を用いた光ディスクドライブの構成例を示す概略構成図である。図20Bは、従来の起動前のロータの角度位置Θと強制駆動の指示値との関係を示す表である。
【0017】
図21は従来のA相、B相ステータの励磁コイルに印加される駆動電圧と位置検出手段の出力との時間関係を示すタイミングチャートである。
【0018】
図22は従来の、図21に示すTaのタイミングにおけるロータと駆動の位相関係を示す図である。
【0019】
図23は従来例のロータ位置が回転方向にずれていた場合のロータ位置と電磁力の関係を示す図である。
【0020】
図24は従来例における速度制御動作を説明するためのフローチャートである。
【0021】
図25A、図25Bは従来の、指令振幅制御手段およびマイクロステップ駆動手段の出力する電流指令値の時間変化を示す励磁シーケンス説明図である。
【0022】
図26は従来の、ロータの目標速度プロフィールと、指令値セレクタが出力する電流指令値を示すタイムチャート図である。
【0023】
図20において、301はヘッドで、光学的に光ディスク302に情報の記録、再生を行う。へッド301に取り付けられたナットピース303は、リードスクリュー304のネジ溝と嵌合している。リードスクリュー304はねじピッチが3mmで、ステッピングモータ305と一体に連結され、これによりヘッド301はステッピングモータ305の回転に応じて、ガイドシャフト306に沿って直線的に往復駆動される。307は軸受で、シャーシ308に固定されてリードスクリュー304を回転自在に軸支している。光ディスク302はスピンドルモータ309により回転駆動されており、ヘッド301を目標位置に移送する際には、光ディスク302に書き込まれた現在位置のアドレスと目標位置のアドレスとから移送方向と移送距離が求められる。これに応じて、制御手段310がステッピングモータ305の制御動作を行う。
【0024】
駆動手段311はA相電流ドライバ312、B相電流ドライバ313の独立した2チャンネルの電流ドライバからなり、それぞれ制御手段310から出力される電流指令量を表すデジタルデータに基づき、A相ステータ320、B相ステータ321に電流を供給しステッピングモータ305を駆動する。
【0025】
A、B相電流ドライバ312、313は電力増幅器、D/A変換器等から構成されている。ステッピングモータ305は2相PM型で2相励磁時のステップ角18°のものである。ステッピングモータ305は周方向に均等なピッチで角度72°周期でNS極を各5極着磁した永久磁石からなるロータ322と、A相ステータ320、B相ステータ321を構成する2相の励磁コイルとを備えている。
【0026】
A相ステータ320、B相ステータ321にはそれぞれ励磁コイルに通電した時にロータ322に対向する位置に72°周期でNS極を各5極発生するヨークによる磁極を設けている。A相ステータ320とB相ステータ321のヨークによる磁極は互いに18°ずれて配置されている。
【0027】
ロータ軸328には角度4.5°周期でスリットを設けた遮光板324を固定する。遮光板324のスリット角度周期4.5°の値は、ロータ322のマグネットの磁極形成の角度周期72°の整数分の1(ここでは1/16)とかるように決められている。特にステッピングモータ305の相数が2相であるため、2の倍数分の1(すなわち1/16=1/(2×8))の関係も満たすように選定されている。
【0028】
フォトセンサ325は発光側にLED、受光側にフォトトランジスタを備えた透過型で、遮光板324のスリットの有無に応じた出力信号を出力する。
【0029】
フォトセンサ325は遮光板324と共にハウジング326内に収容され、取扱い中の破損やホコリ等の要因による汚損を防いでいる。
【0030】
フォトセンサ325の出力は2値化回路327により2値化される。2値化回路327は単にある基準値とフォトセンサ325の出力とを比較してHigh、Lowの出力するのではなく、2つの基準値間をトランスファーしたときのみHigh、Lowの出力を切り替える構成としてチャタリングによる誤動作を防いでいる。
【0031】
位置検出手段323はこれら遮光板324、フォトセンサ325、2値化回路327により構成されている。
【0032】
この位置検出手段323はこれらの構成によりロータ軸328が4.5°回転する毎に1個のパルスを出力する。これによりロータ322がA相ステータ320とB相ステータ321間の磁極の位相差18°だけ回転すると丁度4パルスを出力する。
【0033】
この位置検出手段323の出力は制御手段310、閉ループ駆動手段317、速度検出手段334に入カされる。
【0034】
マイクロステップ駆動手段316はマイクロステップ駆動手段316自身が内部発生するタイミング信号に基づいて、駆動手段311に電流指令値を表すデジタルデータを出力し、開ループ制御によるマイクロステップ駆動を行う。具体的には、A相ステータ320及びB相ステータ321に流す駆動電流比を変えてマイクロステップ駆動を行い、ロータ322の静止角度を高分解能に制御する。
【0035】
ロータ322の静止角度と電流比との関係はステッピングモータ305の磁気回路および負荷の状態に依存するため、あらかじめ等間隔のロータ静止角度を与える電流指令値を関数あるいはテーブルとして求めておく。これによりロータ322の静止角度とマイクロステップ駆動手段316の出力は一定の関係が保たれ、マイクロステップ手段316の出力からロータ322の静止角度位置を知る事ができる。
【0036】
マイクロステップ駆動は、後述する閉ループ駆動と比較し特に高速回転での駆動トルクが小さく脱調しやすいため、駆動トルクが必要とされずかつ精密な位置決めが必要な低速回転域で主に使用される。また低速回転域ではエンコーダによる速度検出精度が悪く速度をフィードバックする閉ループ制御が困難であるため、マイクロステップ駆動は通常開ループで制御され、電流指令値およびその振幅をあらかじめ決められたパターンに従って駆動し、ロータ322を励磁位置に強制的に追従させるように制御する。
【0037】
強制駆動手段338はマイクロステップ駆動手段316がその出力により保持している起動前のロータ322の角度位置情報、回転させようとする方向により図20Bのように8通りの強制駆動の指令値を生成する。
【0038】
強制駆動手段338からの駆動手段311への指令値による駆動電圧は電源電圧12Vの場合+12V、−12Vの2値をとる。
図20B中、回転方向はステッピングモータ305のロータ322を回転させようとする方向、角度位置Θはマイクロステップ駆動手段316がその出力により保持している起動前のロータ322の角度位置で、A相ステータ320のみを正方向に励磁したときの角度位置を0°とし時計回方向を正とする電気角で表示されている。
【0039】
電気角Θと実際の角度Θ1の関係は
Θ1=Θ/5+72N 但しNは0〜4の任意の整数
となる。
【0040】
これによりステッピングモータ305を強制駆動する。
【0041】
閉ループ駆動手段317はプログラマブルカウンタ等により構成され、位置検出手段323の出力を分周することにより駆動手段311への指令値を生成する。この際、制御手段310からの信号により、分周のしかたのパターンを予め定められたパターンの中から選択するごとができる。
【0042】
閉ループ駆動は大きな駆動トルクと高い回転数が得られるため、回転を急速に立ち上げ、ヘッド301を高速で移動させるのに使用される。しかし低速回転域ではエンコーダによる速度検出精度が悪く速度フィードバックを十分にかけられないため、最終的な位置決め等で低速度での精度が必要になる場合は使用できない。このため、ある回転数以下で前述のマイクロステップ駆動に切り替えることにより速度と位置決め精度を両立させる。
【0043】
閉ループ駆動手段317からの駆動手段311への指令値による駆動電圧は電源電圧12Vの場合+12V、−12Vの2値をとる。
【0044】
この出力は後述する指令振幅制御手段315に入力され、速度、位置の制御を行う目的のため、必要な係数を乗ずる形で電圧が変更された後指令値セレクタ314に入カされている。
【0045】
指令値セレクタ314は制御手段310からの信号により閉ループ駆動手段317の出力、強制駆動手段338の出力、マイクロステップ駆動手段316の出力の中から1つを選択する。
【0046】
速度検出手段334は、位置検出手段323の出力パルスをもとにロータ322の回転速度値を算出し、その結果を後述する速度比較器335に送る。
【0047】
速度比較器335は、速度検出手段334から送られるロータ322の回転速度値を、制御手段310から送られる目標速度値と比較し、目標速度値とロータ322の回転速度値との誤差を算出する。
【0048】
指令振幅制御手段315は、速度比較器335から出力される速度誤差情報に基づき、閉ループ駆動手段317から送られた電流指令値の振幅を変化させる。具体的には、速度誤差の大きさに応じて、ロータ322の回転速度値を目標速度値に近づけるために加速すベきか減速すべきか、またどの程度の加速度で加減速を行うべきかを判定し、判定結果に基づいて電流指令値の振幅を変更する。電流指令値の振幅を変えることにより、ロータ322とA相ステータ320およびB相ステータ321間の吸引反発力の大きさが変わるので、これにより加減速を行うことができる。この結果、実際の速度は速度指令値に近い値をとるよう制御される。
【0049】
制御手段310は回転方向、マイクロステップ駆動手段316がその出力により保持しているロータ322の起動前の角度位置情報、位置検出手段323の出力により、閉ループ駆動手段317、強制駆動手段338、マイクロステップ駆動手段316、指令値セレクタ314を制御する。
【0050】
また、位置検出手段323からのパルス信号Pにより、閉ループ駆動手段317により駆動すべき残りの距離を算出する。これは位置検出手段323からのパルス数Nという計数値で表されている。この計数値に応じて選定した目標速度値SDを図示しない速度指令値テーブルから読み出して速度比較器335に出力する。
【0051】
速度指令値テーブルは、最初はできるだけ早く速度を上げるため、装置の能力いっぱいの加速度となるよう設定され、次に、目標位置に安定に停止できるよう一定の回転数に設定され、目標位置が近づくとでさるだけ早くかつ、安定に精度よく停止できるよう比較的大きな減速率になるよう設定されている。ここまでの動作は大きな加速度と高い回転数を得るため前述の閉ループ駆動が用いられる。ある設定速度以下では正確な位置決めのためマイクロステップ駆動となり減速率が小さくなる。
【0052】
前記計数値が予め設定した基準値M以下になった時、すなわち目標位置が近づぎ、目標速度値が低くなった場合は、前述と同様に計数値に応じた目標速度値SDを選定すると共に、位置検出手段323からの次のパルス信号P’が予め設定した規定時間T以内に入カされなければ目標速度値SDに補正値を加え、増加させた目標速度値SDを速度比較器335に出力する。
【0053】
更に目標位置が近づき、速度がある設定速度以下になると正確な位置決めのためマイクロステップ駆動に切り替えられる。
【0054】
ここで、指令振幅制御手段315とマイクロステップ駆動手段316の発生する電流指令値を図25A、図25Bを用いて説明する。
【0055】
図25Aは、指令振幅制御手段315の出力する電流指令値の時間変化を示す励磁シーケンス説明図である。電流指令値は8bitのデジタデータであり、+127から−127までの数値である。ここで、正負は駆動電流の向きを表している。駆動手段311が発生する駆動電流の大きさはこの電流指令値に比例し、電流指令値が+127または−127のときに最大電流が発生する。指令振幅制御手段315の出力波形は電流指令値の振幅がIaの矩形波である。振幅Iaの値は速度制御に上る加減速の大きさにより、−127〜+127までの任意の値を取りうる。指令振幅制御手段315の出力する電流指令値の振幅Iaの定義として、ステッピングモータ305を加速する方向を正、減速する方向を負の値として定める。これはステッピングモータ305の回転方向を間わず、また後述する本発明の実施形態に記載した指令振幅制御手段315が出力する電流指令値の振幅にも同じ定義を適用するものとする。
【0056】
図25Bは、マイクロステップ駆動手段316の出力する電流指令値の時間変化を示す励磁シーケンス説明図である。ここでもやはり電流指令値は指令振幅制御手段315の出力と同様の8bitのデジタルデータであり、+127から−127までの数値をとる。マイクロステップ駆動手段316の出力波形は電流指令値の振幅がIbの概三角波であり、A、B相の駆動電流の比率を変えることにより励磁相を徐々に変化させてマイクロステップ駆動を行っている。振幅Ibの値は電流指令値の最大値127に固定されている。マイクロステップ駆動手段316は開ループ制御を行っているため、特に加減速の反転を考慮する必要はなく、振幅Ibは常に正の値として定義する。この定義は、後述する本発明の実施形態に記載したマイクロステップ駆動手段316の電流指令値の振幅にも適用されるものとする。
【0057】
以上のように構成したステッピングモータの制御装置の動作を説朋する。
【0058】
光ディスクドライブにおける通常の記録、再生動作中はヘッド301はディスク302の、あるトラックをトレースしている。
【0059】
このときにはマイクロステップ駆動手段316を用いて、ステッピングモータ305を駆動している。
【0060】
マイクロステップ駆動手段316はA相ステータ320、B相ステータ321に流す駆動電流比を16段階に変えることにより、16分割のマイクロステップ駆動を行っており、通常の2相励磁駆動(この例では1ステップ150μm)の1/16である9.375μmの高分解能でヘッド301を送っている。したがってステッピングモータ305は2相励磁時の静止角度位置のみならず、ほぼ任意の角度位置に静止する。
【0061】
現在再生中のトラックから別のトラックヘ移動する動作をシークと呼称し、この場合、制御手段310はディスク302に書き込まれた現在位置アドレスと目標位置アドレスとの比較から、まず、移動方法を決定する。
【0062】
移動距離が極めて短く、トラック数本程度の場合はステッピングモータ305を回転させることなくトラッキングアクチュエータの動作のみで移動する。
【0063】
移動距離が1mm程度の場合、マイクロステップ駆動手段316を用いステッピングモータ305をマイクロステップで駆動することにより、目標トラックに移動する。
【0064】
それ以上の距離の場合、閉ループ駆動手段317を用い変位検出手段323の出力を分周等の手段により変換することによりステッピングモータ305の駆動指令値を発生する。これにより変位検出手段323の出力に関連した駆動を行いヘッド301を移送する。
【0065】
以下にその際のステッピングモータ305の動作を説明する。
【0066】
最初、制御手段310はヘッド301のトラッキングアクチュエータの動作を止める。次にステッピングモータ305の回転方向を決定する。ここでは回転方向は時計方向とする。この時点ではステッピングモータ305はマイクロステップ駆動手段316により駆動され、通常は静止状態である。
【0067】
次に、制御手段310はマイクロステップ駆動手段316がその出力により保持しているロータ322の起動前の角度位置情報、回転させようとする方向等の情報を強制駆動手段338に与え、指令値セレクタ314を強制駆動手段338の出力が選択された状態にする。強制駆動手段338にこれらの情報から図20Bに従い駆動手段311ヘ新たな指令値を位置検出手段323の出力とは無関係に出力する。
【0068】
これによりロータ322は回転を始め、位置検出手段323から、実際の回転角4.5°周期でパルスが出力される。
【0069】
パルスが出力されはじめると制御手段310はマイクロステップ駆動手段316がその出力により保持しているロータ322の起動前の角度位置情報、回転させようとする方向等の情報を閉ループ駆動手段317に与え、指令値セレクタ314を閉ループ駆動手段317の出力が選択された状態にする。
【0070】
閉ループ駆動手段317は予め定められたパターンに従い位置検出手段323の出力を分周することにより駆動手段311への指令値を生成する。これにより位置検出手段323からの出力に関連したタイミングで駆動手段311へ指令値列を出カする。
【0071】
この指令値列は、例えば各励磁コイルヘの駆動電圧が最大12Vで、A相ステータ320の励磁コイルに12V、B相ステータ321の励磁コイルに0Vが印加された状態から起動した場合図21のようになる。
【0072】
図21は従来のA相、B相ステータ3の励磁コイルに印加される駆動電圧と位置検出手段3の出力との時間関係を示すタイミングチャートである。
【0073】
図21において、Avは制御手段310から駆動手段311への指令値の結果A相ステータ320の励磁コイルに印加される電圧、Bvは同様にB相ステータ321の励磁コイルに印加される電圧のそれぞれ時間との関係、FGは位置検出手段323の出力と時間との関係である。
【0074】
励磁コイルに印加される電圧は実際は指令振幅制御手段315により速度、位置の制御を行う目的のため必要な係数を乗ずる形で電圧が随時変更されるが、図においては説明のため、この電圧変更が行われない場合のものが図示されている。
【0075】
図21においてT1の区間では前述のように位値検出手段323の出力とは無関係な駆動が行われ、T2の区間ではその結果位置検出手段323から出力されたパルスに関連したタイミングで駆動が行われている。T3の区間では位置検出手段323から出力されたパルス4周期毎に、A相、B相の出力が交互に反転する。その出力電圧は+12V、−12Vである。
【0076】
出力反転直後図21のTaのタイミングでのロータ322と駆動の位相関係を図22に示す。但し、図22では1ステップ角の18°を90°として書かれている。
【0077】
図22において、320はA相ステータ、321はB相ステータ、322はロータ、339は仮想N極、θdは駆動角である。
【0078】
339の仮想N極はA相ステータ320、B相ステータ321のそれぞれ発生する磁界の合成により生成される仮想のN極であり、この方向にロータ322のS極が誘引される。ロータ322のS極がこの仮想N極339に誘引され、回転しようとする角度が駆動角θdである。
【0079】
図22のようにこの時駆動角は180°となっている。
【0080】
一般に2相モータの場合この角度は135°が一般的であるが、下記の理由からこのように大きな値をとっている。
【0081】
ステッピングモータ305の巻線はインダクタンス成分を持つ。このため駆動電圧の変化に対し、実際に流れる電流は一定時間遅れることになる。例えばステッピングモータを3000PPS程度で回転させようとする場合、1パルスの間隔は333μsecとなるが、この遅れ時間は一般的なCD−ROM装置の光ヘッド送り機構に用いられるステッピングモータで150μsec程度にもなるため、無視できない。
【0082】
このため、駆動の位相をロータとの角度位置との関係において、遅れ時問のない場合に最適な位相に対して進めて駆動することによりこの遅れ時間を補正している。
【0083】
以上述べた手順でモータが起動し、回転数が上昇する。これによりヘッド301は目的のアドレスに向かい、移動をはじめる。
【0084】
制御手段310は位置検出手段323からのパルス信号Pにより、閉ループ駆動手段317により駆動すべき残りの距離を算出し、この計数値に応じて選定した目標速度値SDを速度比較器335に出力する。目標速度は、最初はできるだけ早く速度を上げるため、装置の能力いっぱいの加速度となるよう設定され、次に、目標位置に安定に停止できるよう一定の回転数に設定され、目標位置が近づくとできるだけ早くかつ、安定に精度よく停止できるよう比較的大きな減速率になるよう設定されている。ここまでの動作は大きな加速度と高い回転数を得るため前述の閉ループ駆動が用いられる。ある設定速度以下では正確な位置決めのためマイクロステップ駆動となり減速率が小さくなる。
【0085】
このように減速動作は2段階で行われ、減速の開始から所定のある速度までは、指令値セレクタ314は指令振幅制御手段315の出力を選択し、閉ループ駆動により速度制御を行う。
【0086】
図26は、従来例における、ロータ322の目標速度プロフィールと、指令値セレクタ314が出力する電流指令値を示すタイムチャート図である。電流指令値は簡単のためにA相またB相のステータ3のうち一方のみを記載している。
【0087】
指令振幅制御手段315による減速では、速度比較器335が、速度検出手段334により検出するロータ322の回転速度と目標速度値とを比較して速度誤差を算出し、指令振幅制御手段315が、ロータ322の回転速度を目標速度値に近づける様に電流指令値の振幅Iaを変化させる。モータのトルクは一般的には駆動電流に比例するが、本実施例では駆動電圧を制御することにより駆動電流を変化させている。
【0088】
この時電流指令値の振幅Iaは、摩擦等の駆動負荷のばらつきや目標速度値の違いにより様々な値をとる。
【0089】
例えば、制御対象がある摩擦負荷を持ち、それによる自然減速の加速度がたまたま目標とする減速加速度と一致した場合には、電流指令値の振幅Iaはほぼ0である。また摩擦負荷がばらつきにより大きいものについては、目標とする減速加速度より大きな加速度で減速するため、電流指令値の振幅Iaは速度を回復する様に加速方向に駆動するよう正の値となる。また、また摩擦負荷が小さいものについては、目標とする減速加速度よりゆるやかに減速するため、電流指令値の振幅Iaは速度をさらに下げるために減速方向に駆動するよう負の値になる。
【0090】
以上の様に指令振幅制御手段315では、速度検出手段334によりロータ322の回転速度をモニタしながら速度を目標速度値と一致するように制御する閉ループ制御を行っており、ステッピングモータ305の軸受け負荷やリードスクリュー304の摩擦負荷等のばらつきに応じて異なる大きさの駆動電流をステッピングモータ305に与えている。
【0091】
このように閉ループ駆動による減速が行われ、次第に速度が低下すると共に目標アドレスに近づいていく。
【0092】
ところが、この構成の課題として、目標アドレスまでの距離がわずかとなった時点での速度指令値が微小となり、オフセット電圧等の影響を受けて目標アドレスに対するオーバーシュートやモータの暴走、摩擦負荷のわずかな増大による減速途中での停止などが発生しやすかった。この改善のために、規定時間以内にエンコーダからの信号がなければ速度指令値を増加させる構成が取られている。
【0093】
図24は従来例における速度制御動作を説明するためのフローチャートであり、閉ループ駆動時に摩擦負荷のわずかな増大による減速途中での停止などの不具合の改善のために、規定時間以内にエンコーダからの信号が無い場合速度指令値を増加させる手順である。
【0094】
まず、目標位置トラックまでの残りトラック数Nを計数して計数値が「0」であるか否かの判定を行い(S1)、「0」であると判定したならば減速動作を終了する。
【0095】
ステップSlにおいて、残り移動トラック数Nが「O」でないと判定したならば、位置検出手段323からのパルス信号Pを入力して、残り移動パルス数Nから1を減じ(S2)、この計数値から残り移動パルス数Nに応じた速度指令値SDを選定して(S3)、速度比較器335に出力する。
【0096】
次に速度検出手段334において検出された実速度とマイクロステップ駆動への切替え速度vを比較し実速度がv以下であれは閉ループ駆動による減速を終了しマイクロステップ駆動へ切替える(S9)。
【0097】
次に、計数値から残り移動パルス数Nが、予め設定してある基準値M以下であるか否かの判別を行い(S4)、基準値Mよりも大きい値であると判別したならば、位置検出手段323からの次のパルス信号P’が入力されたか否かの判別を行い(S5)、入力されたと判別したならば、ステップS1に戻って上述した一連の動作を繰り返す。
【0098】
一方、ステップS4において、残り移動パルス数Nが基準値M以下であると判別したならば、位置検出手段323からの次のパルスP’が予め設定した規定時間T以内に入力されたか否かの判別を行い(S6)、規定時間T以内に入力されたと判別したならばステップS1に戻って上述した一連の動作を繰り返す。
【0099】
ステップS6において、規定時間T以内に次のパルス信号P’が入力されなかったと判別したならば、速度指令値SDに補正値を加えて増加させ速度比較器335に出力し、ヘッド301の移動速度を増加させる(S7)。更に続いて、位置検出手段323からの次のパルスP’が入力されたか否かの判別を行い(S8)、入力されたと判別したならば、ステップS1に戻って上述した一連の動作を、実速度がv以下になるまで繰り返す。
【0100】
このように、位置検出手段323からの次のパルス信号P’が予め設定した規定時間T以内に入力されなければ速度指令値SDを増加させてヘッド301の移動速度を増加するようにステッピングモータ305の制御を行う構成により、オフセット電圧、摩擦負荷の変動等があった場合のオーバーシュートや暴走、減速途中での停止などの不具合等に対する信頼性の向上を図っている。
【0101】
次に、実速度がマイクロステップ駆動への切替え速度v以下になり目標位置が近づくと、停止時に精密な位置決めをするため制御手段310はマイクロステップ駆動手段316に切り替える。マイクロステップ駆動では、電流指令値の波形は図25Bに示す概三角波状で駆動し、その減速動作は、電流指令値の切り替え周波数を下げる(電流波形を密から粗の状態に変化させる)ことにより開ループ制御で行う。このとき駆動負荷の大きさにかかわらず電流指令値の振幅Ibはあらかじめ決められた固定値(=127)として駆動を行う。
【0102】
マイクロステップ駆動では、更に減速し、ヘッド301の位置と速度を微妙にコントロールし、再びトラッキングアクチュエータを動作させるための条件を作り出す。
【0103】
マイクロステップ駆動への切替え速度vは440PPS=66mm/sまで減速した時点である。
【0104】
マイクロステップ駆動での減速動作では光ディスク302のトラック数百本程度の距離を移動しながらゆるやかに減速する。
【0105】
この減速の後再びトラッキングアクチュエータが動作し、シーク後のトラックをトレースし始めると制御手段310は再びディスク302に書き込まれた現在位置アドレスと目標位置アドレスとの比較を行い、両者が一致している場合は移動の動作を終了し、一致していない場合は一致するまで上記の動作を繰り返す。
【0106】
しかしながら上記のようなステッピングモータの制御方法においては、以下のような課題があった。
【0107】
第1にインダクタンス成分による遅れは、遅れ時間が一定となるため、遅れ角としては回転数が上がるほど大きくなる。駆動を一定時間進める回路は一般にかなり複雑になるため、回転角検出手段の分周の位相を進め、進み角一定の駆動を行うのが一般的である。
【0108】
しかし、この進み角は一般に回転角検出手段3の分解能の単位でしか行えず、かつ、当然、回転数が低い場合には位相が進みすぎ、極端な場合には逆転してしまうという問題があり、このためある一定以上の進み角はとれず、駆動角は従来の実施例の180°が限度である。
【0109】
しかし実際には遅れ時間の補正としてはこれでは不十分な場合が多い。
【0110】
第2に、起動時に強制駆動装置317が発生する駆動パターンは2相励磁に限られている。このため例えばこの従来の実施例では起動時には起動前のロータ3位置Θが0から360°のどの位置にあっても電磁力により駆動させようとする角度位置は45°、135°、225°、315°の4個所のうちいずれかとなり、電磁力により回転させようとする角度は45°から135°の範囲でばらつく。また、図20におけるマイクロステップ駆動装置316がその出力により保持しているロータ322の起動前の角度位置情報は一般に14°程度の誤差を持っており、これを加えるとその範囲は更に大きくなる。
【0111】
例えばΘ=0°未満の位置から起動しようとし、実際のロータ3位置が回転方向にずれていた場合のロータ3位置と電磁力の関係を図23に示す。
【0112】
誤差角θgが無い場合駆動角θdは45°であるが図23のように誤差角θgのため駆動角θdはかなり小さくなっている。駆動トルクは駆動角90°で最大となり、駆動角が小さい場合の駆動トルクは駆動角に比例し、駆動角0°では駆動トルクは0である。
【0113】
このため、このように駆動角が小さい場合駆動トルクは非常に小さくなり、摩擦力等によりまったく回転しない場合も発生する。
【0114】
この状態で回転しない場合図20の位置検出手段323の出力が出ないので、以後の駆動手順に移行せず起動の失敗となる。
【0115】
第3に、規定時間Tが固定値であるために、モータの急な減速に対する制御の遅れが著しかった。モータは一般に低速で回転している状態が最も制御的に不安定となるが、これは、低速になるほどモータ軸受の摩擦などの非線形要因の影響が相対的に大きくなるためである。低速回転ではモータの制御が急速に外れて極めて短時間で目標速度から大きく乖離し、しばしばモータの停止を引き起こす。従って、モータが制御から外れ始めたことを早期に検知して制御することが回転の安定化のためには極めて重要であるが、従来例の構成ではこれを実現することが困難であった。すなわち、制御の外れ始める回転数は摩擦負荷のバラツキなどにより様々であり、比較的高回転域から制御が外れ始める場合もあれば、低回転域まで制御がかかる場合もあるが、従来例のように固定値である規定時間を設定してこの規定時間との比較において速度指令値を変更する構成では、高回転域での制御の外れを短時間で検出することと、低回転域での制御外れの誤検出を防ぐことを両立することが極めて困難であった。
【0116】
第4に、規定時間T以内に次のパルス信号P’が入力されなかったと判別した場合の速度指令値SDの補正値が一定値であった。実際には一定値ではその設定が難しく、制御の確実性に乏しかった。駆動系にはモータ自身や伝達系の摩擦負荷のバラツキ等があり、一律に速度指令値を増加しても同一の応答を期待することはできない。例えば、同一の速度指令値の増加量を与えても、駆動系の摩擦負荷が大きい場合には増加後もモータの停止を抑制できないことがあり、この場合は速度指令値の増加を行わなかったときと全く同様に、装置としては次のパルス信号が入力するのを持ち続ける結果となり全く改善効果が現れないことになる。また、逆に駆動系の摩捺負荷が小さい場合には速度指令値の増加により大きなオーバーシュートが発生する。このように、駆動系の特性のバラツキに対応できるような速度指令値の増加量の設定が難しく、確実な制御を行うことが困難であった。
【0117】
第5に、閉ループ駆動からマイクロステップ駆動に切り替える際に発生する不要振動の抑制とマイクロステップ駆動時の脱調の防止を両立して実現することが困難であった。この内容につき、さらに詳しく説明する。
【0118】
閉ループ駆動時には、ステッピングモータの軸受け負荷やリードスクリューの摩擦負荷等の駆動負荷ばらつきに応じて異なる大きさの駆動電流をステッピングモータ305に与えている。例えば既述したような、制御対象の持つ摩擦負荷による自然減速の加速度がたまたま目標とする減速加速度と一致して電流指令値の振幅Iaがほぼ0になる場合を例に取ると、これは最も外部からの制御トルクを必要としない状態であり、当然励磁による振動は発生しない。この状態からマイクロステップ駆動に切り替えると、マイクロステップ駆動では駆動負荷のばらつきによらず一定の電流振幅Ibで励磁するわけであるから、与えられた励磁エネルギーはすべて不要振動となってしまう。すなわち、閉ループ駆動からマイクロステップ駆動に切り替える除に、電流指令値の振幅が急激に大きくなり駆動力も急激に大きくなって不要振動を発生するという課題があった。
【0119】
しかし、一方でマイクロステップ駆動における電流指令値の振幅Ibをあらかじめ小さく設定して不要振動の発生を抑えた場合には、摩擦負荷がばらつきにより大きい時に、駆動力が小さすぎて脱調を起こすという課題があった。
【0120】
以上の様に、従来のステッピングモータの速度制御方法においては、マイクロステップ駆動における電流指令値の振幅を固定としているため、不要振動の発生と脱調を両立することが難しく安定した制御が困難であった。
【0121】
(発明の開示)
本発明に係るステッピングモータの制御装置は、円周方向に均等なピッチで角度θ゜周期で磁極を形成したロータとM相(Mは2以上の整数で反転相を含まず)の励磁コイルとを有するステッピングモータと、前記励磁コイルへそれぞれの指令値に応じて複数段階の駆動電流を与える駆動手段と、前記駆動電流が少なくともK段階(Kは整数)の異なる値をとる前記指令値を発生する指令値発生手段と、前記ロータのθ回転に対応してn個(nは条件n≧M・Kを満たす整数)のパルスを発生する回転角検出手段と、前記回転角検出手段のn個のパルスからあらかじめ定めた順序でパルスを選択して、前記M相の各励磁コイルへの前記K段階の励磁切り替えタイミングを作成する励磁切替タイミング発生手段とを備え、前記指令値発生手段は、前記励磁切替タイミング発生手段の出力に応じて、前記励磁コイルに正の第1駆動電流を与える第1の指令値と、前記第1駆動電流と方向が反転する負の第2駆動電流を与える第2の指令値と、前記第1駆動電流と第2駆動電流との間の値をとる第3駆動電流を与える第3の指令値とを切り替えて発生する少なくとも3以上に前記K段階の値を設定し、励磁コイルのインダクタンスによる励磁遅れを補償する方向に励磁の進み角を大きくした指令値を発生した後、前記進み角よりも励磁の進み角を小さくした指令値を発生することを特徴とする。
【0122】
前記指令値発生手段はタイマー手段を有し、前記指令値発生手段が第3の指令値を発生する際に、励磁コイルのインダクタンスによる励磁遅れを補償する方向に励磁の進み角を大きくした指令値を発生した後、タイマー手段の出力に応じて前記進み角よりも励磁の進み角を小さくした指令値を発生してもよい。
【0125】
本発明に係るさらに他のステッピングモータの制御装置は、モータへの駆動電流によって制御対象の速度を制御するステッピングモータの制御装置であって、前記制御対象の一定の変位量に応じて検出パルス信号を発生する変位検出手段と、最後に発生した前記検出パルス信号から現在までの時間間隔を測定する計時手段と、前記計時手段の出力がある基準値を超えた場合に前記駆動電流を変化させる制御手段と、前記変位検出手段の出力に応じて前記基準値を更新する基準値更新手段とを備えたことを特徴とする。
【0126】
前記基準値更新手段は、前記変位検出手段が発生する検出信号同士の時間間隔を測定することにより制御対象の速度を検出する速度検出手段と、予め設定した対応関係に基づいて前記速度検出手段の出力を前記基準値に変換する変換手段を備え、前記変位検出手段が前記検出信号を発生する度に前記変換手段の出力を基準値として更新するようにしてもよい。
【0127】
前記変換手段は、前記速度検出手段の出力と予め設定した許容加速度値とから許容速度を算出し、前記許容速度の逆数に比例するように前記基準値を発生してもよい。
【0131】
本発明に係るさらに他のステッピングモータの制御装置は、ロータと励磁コイルとを備えたステッピングモータと、入力された指令値に応じて前記励磁コイルに駆動電流を与える駆動手段と、前記駆動手段に与える前記指令値を変化させて前記ステッピングモータを制御する制御手段と、前記ロータの回転変位に応じた検出信号を発生する変位検出手段と、最後に発生した前記検出信号から現在までの時間間隔を測定する計時手段とを備え、前記制御手段は第1の動作モードと第2の動作モードとの2つの動作モードを切り換え、前記第1の動作モードにおいては、前記制御部が自ら発生するタイミングに基づいて前記駆動手段に与える前記指令値を変化させ、前記第2の動作モードにおいては、前記変位検出手段の前記検出信号に応じたタイミングに基づいて前記駆動手段に与える前記指令値を変化させ、それによって前記ステッピングモータを制御し、前記制御手段は、計時手段の出力がある基準値を超えた場合に前記動作モードを前記第2の動作モードから前記第1のモードに切り換えることを特徴とする。
【0132】
前記基準値は、予め設定された一定値であってもよい。
【0133】
前記変位検出手段の出力に応じて前記基準値を更新する基準値更新手段を更に備え、前記変位検出手段が前記検出信号を発生する度に、前記基準値更新手段が予め設定した対応関係に基づいて速度検出手段の出力を前記基準値に変換して更新してもよい。
【0136】
本発明に係るさらに他のステッピングモータの制御装置は、可動子と励磁コイルとを備えたステッピングモータと、前記励磁コイルに与える駆動電流の振幅と励磁相を制御する制御手段と、前記可動子の位置に応じた検出信号を発生する位置検出手段とを備え、前記制御手段は、第1の動作モードと第2の動作モードとの2つの動作モードを切り替え可能に設け、前記第1の動作モードにおいては、前記位置検出手段の検出信号に応じたタイミングに基づいて前記駆動電流の励磁相を制御し、前記第2の動作モードにおいては、前記制御手段がみずから発生するタイミングに基づいて前記駆動電流の励磁相を制御すると共に、前記制御手段の動作モードを前記第1の動作モードから前記第2のモードに切り替える際には、前記第1の動作モードにおける前記駆動電流の振幅に応じて、前記第2の動作モードにおける前記駆動電流の最大振幅を設定し、前記制御手段は、予め設定した目標速度プロフィールに合わせてステッピングモータの速度制御を行い、前記制御手段は、第1の動作モードにおいて第1の減速加速度で前記ステッピングモータを減速した後に、第2の動作モードにおいて第2の減速加速度で前記ステッピングモータを減速し、前記制御手段は、前記第1の減速加速度と前記第2の減速加速度とを実質的に同一に設定すると共に、前記第1の動作モードにおける駆動電流の振幅が小さいほど、前記第2の動作モードにおける駆動電流の最大振幅を小さくし、前記第1の動作モードにおける前記駆動電流の振幅Iaと、前記第2の動作モードにおける前記駆動電流の振幅Ibとに下記の数式の関係を与えることを特徴とする
【0137】
Ib = k・|Ia| + C
ただし、k,Cは正の定数、Iaはステッピングモータを加速する方向に駆動電流を与える場合は正、ステッピングモータを減速する方向に駆動電流を与える場合は負の値をとる。
【0138】
本発明に係るさらに他のステッピングモータの制御装置は、可動子と励磁コイルとを備えたステッピングモータと、前記励磁コイルに与える駆動電流の振幅と励磁相を制御する制御手段と、前記可動子の位置に応じた検出信号を発生する位置検出手段とを備え、前記制御手段は、第1の動作モードと第2の動作モードとの2つの動作モードを切り替え可能に設け、前記第1の動作モードにおいては、前記位置検出手段の検出信号に応じたタイミングに基づいて前記駆動電流の励磁相を制御し、前記第2の動作モードにおいては、前記制御手段がみずから発生するタイミングに基づいて前記駆動電流の励磁相を制御すると共に、前記制御手段の動作モードを前記第1の動作モードから前記第2のモードに切り替える際には、前記第1の動作モードにおける前記駆動電流の振幅に応じて、前記第2の動作モードにおける前記駆動電流の最大振幅を設定し、前記制御手段は、予め設定した目標速度プロフィールに合わせてステッピングモータの速度制御を行い、前記制御手段は、第1の動作モードにおいて第1の減速加速度で前記ステッピングモータを減速した後に、第2の動作モードにおいて第2の減速加速度で前記ステッピングモータを減速し、前記制御手段は、前記第1の減速加速度を前記第2の減速加速度よりも大きく設定すると共に、前記第1の動作モードにおける前記駆動電流の振幅Iaと前記第2の動作モードにおける前記駆動電流の振幅Ibとに下記の数式の関係を与えることを特徴とする
【0139】
Ib = k’・│Ia+b│ + C’ただし、k’,b,C’は正の定数、Iaはステッピングモータを加速する方向に駆動電流を与える場合は正、ステッピングモータを減速する方向に駆動電流を与える場合は負の値をとる。
【0140】
本発明に係るさらに他のステッピングモータの制御装置は、可動子と励磁コイルとを備えたステッピングモータと、前記励磁コイルに与える駆動電流の振幅と励磁相を制御する制御手段と、前記可動子の位置に応じた検出信号を発生する位置検出手段とを備え、前記制御手段は、第1の動作モードと第2の動作モードとの2つの動作モードを切り替え可能に設け、前記第1の動作モードにおいては、前記位置検出手段の検出信号に応じたタイミングに基づいて前記駆動電流の励磁相を制御し、前記第2の動作モードにおいては、前記制御手段がみずから発生するタイミングに基づいて前記駆動電流の励磁相を制御すると共に、前記制御手段の動作モードを前記第1の動作モードから前記第2のモードに切り替える際には、前記第1の動作モードにおける前記駆動電流の振幅に応じて、前記第2の動作モードにおける前記駆動電流の最大振幅を設定し、前記制御手段は、予め設定した目標速度プロフィールに合わせてステッピングモータの速度制御を行い、前記制御手段は、第1の動作モードにおいて第1の減速加速度で前記ステッピングモータを減速した後に、第2の動作モードにおいて第2の減速加速度で前記ステッピングモータを減速し、前記制御手段は、前記第1の減速加速度を前記第2の減速加速度よりも小さく設定すると共に、前記第1の動作モードにおける前記駆動電流の振幅Iaと前記第2の動作モードにおける前記駆動電流の振幅Ibとに下記の数式の関係を与えることを特徴とする
【0141】
Ib = k”・│Ia−b’│ + C”ただし、k”,b’,C”は正の定数、Iaはステッピングモータを加速する方向に駆動電流を与える場合は正、ステッピングモータを減速する方向に駆動電流を与える場合は負の値をとる。
【0143】
(発明を実施するための最良の形態)
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
【0144】
(実施の形態1)
図1Aは本発明の実施の形態1におけるステッピングモータの制御装置の概略構成を示すブロック図である。図1において、1は駆動手段、2はA相電流ドライバ、3はB相電流ドライバ、4’は制御手段、5はA相ステータ、6はB相ステータ、7はステッピングモータ、8はロータ、9はロータ軸、10は遮光板、11はフォトセンサ、12はハウジング、13は2値化回路、14は制御部、15は指令値セレクタ、16はマイクロステップ駆動部、20は強制駆動部、21は駆動パターン発生部である。
【0145】
駆動手段1はA相,B相電流ドライバ2,3の独立した2チャンネルの電流ドライバからなり、制御手段4’から出力の電流指令量を表すデジタルデータに基づき、A相,B相ステータ5,6に電流を供給してステッピングモータを駆動する。具体的にA相,B相電流ドライバ2,3は、入力デジタルデータをアナログ信号に変換するD/A変換器と、そのD/A変換器からのアナログ信号を増幅出力する増幅器とから構成されている。
【0146】
また、ステッピングモータ7は、2相PM型で2相励磁時のステップ角18゜のものであり、周方向に均等なピッチの角度72゜周期でNS極を各5極着磁した永久磁石からなるロータ8と、A相,B相ステータ5,6を構成する2相の励磁コイルとを備えている。さらに、A相,B相ステータ5,6にはそれぞれ励磁コイルに通電した時にロータ8に対向する位置に72゜周期でNS極を各5極発生するヨークによる磁極を設けており、A相,B相ステータ5,6のヨークによる磁極は互いに18゜ずれて配置されている。
【0147】
ロータ軸9には角度4.5゜周期でスリットを設けた遮光板10を固定し、この遮光板10のスリット角度周期4.5゜の値は、ロータ8のマグネットの磁極形成の角度周期72゜の整数分の1(ここでは1/16)となるように決められている。特に、ステッピングモータ7の相数が2相であるため、2の倍数分の1(すなわち1/16=1/(2×8))の関係も満たすように選定されている。
【0148】
フォトセンサ11は、発光側にLED,受光側にフォトトランジスタを備えた透過型で、遮光板10のスリットの有無に応じた出力信号を出力し、さらに遮光板10と共にハウジング12内に収容されており、取扱い中の破損やホコリ等の要因による汚損を防いでいる。このフォトセンサ11の出力は2値化回路13により2値化され、その2値化回路13では、単にある基準値とフォトセンサ11の出力とを比較して“High”,“Low”の信号を出力するのでなく、2つの基準値間をトランスファーしたときのみ“High”,“Low”の出力を切り替える構成としてチャタリングによる誤動作を防いでいる。この2値化回路13の出力は制御手段4’に入力される。
【0149】
制御手段4’は制御部14、指令値セレクタ15、マイクロステップ駆動部16、強制駆動部20、駆動パターン発生部21より構成される。
【0150】
マイクロステップ駆動部16は制御部14からの信号により電流指令値を変化させ、ステッピングモータ7のA相,B相ステータ5,6に流す電流比を変えてロータ8の静止角度を高分解能に制御するマイクロステップ駆動を行う。ロータ8の静止角度と電流比との関係はステッピングモータ7の磁気回路および負荷の状態に依存するため、あらかじめ等間隔のロータ静止角度を与える電流指令値を関数あるいはテーブルとして求めておく。これによりロータ8の静止角度とマイクロステップ駆動部16の出力は一定の関係が保たれ、マイクロステップ駆動部16の出力からロータ8の静止角度位置を知ることができる。
【0151】
強制駆動部20は、マイクロステップ駆動部16がその出力により保持している起動前のロータ8の角度位置情報により図1B、図1Cのような16通りの強制駆動の指令値を生成する。この強制駆動部20からの駆動手段1への指令値による駆動電圧は電源電圧12Vの場合+12V,−12V,0Vの3値をとる。図1B,図1C中、回転方向はステッピングモータ7のロータ8を回転させようとする方向、角度位置θはマイクロステップ駆動部16がその出力により保持している起動前のロータ8の角度位置で、A相ステータ5のみを正方向に励磁したときの角度位置を0°とし時計回り方向を正とする電気角で表示されている。
【0152】
電気角θと実際の角度θ1の関係は本実施の形態1のステッピングモータでは
θ1=θ/5+72N (式2)
ただし、Nは0〜4の任意の整数となる。これによりステッピングモータ7を強制駆動する。
【0153】
駆動パターン発生部21はプログラマブルカウンタ等により構成され、2値化回路13の出力を分周することにより指令値発生手段として、駆動手段1への指令値を生成する。この際に励磁切替タイミング発生手段として、制御部14からの信号により、分周のしかたのパターンを予め定められたパターンの中から選択することができる。駆動パターン発生部21からの駆動手段1への指令値により駆動電圧は任意の値をとることができる。
【0154】
指令値セレクタ15は制御部14からの信号により、駆動パターン発生部21の出力、強制駆動部20の出力、及びマイクロステップ駆動部16の出力の中から1つを選択する。
【0155】
制御部14は、回転方向、マイクロステップ駆動部16がその出力により保持しているロータ8の起動前の角度位置情報、及び2値化回路13の出力により、駆動パターン発生部21、強制駆動部20、マイクロステップ駆動部16、指令値セレクタ15を制御する。
【0156】
以上のように構成したステッピングモータの制御装置の動作を説明する。
【0157】
本実施の形態1の構成では、モータの起動時には何らかの強制的な駆動を行う必要がある。ステッピングモータをある角度以上回転させようとする場合、最初、制御手段14はマイクロステップ駆動部16がその出力により保持しているロータ8の起動前の角度位置情報、回転させようとする方向等の情報を強制駆動部20に与え、指令値セレクタ15を強制駆動部20の出力が選択された状態にする。強制駆動部20では、これらの情報から図1B,図1Cに従い駆動手段1へ新たな指令値を2値化回路13の出力とは無関係に出力する。これによりロータ8は回転を始め、2値化回路13から、実際の回転角4.5°周期でパルスが出力される。
【0158】
このパルスが出力されはじめると制御部14は、マイクロステップ駆動部16がその出力により保持しているロータ8の起動前の角度位置情報、回転させようとする方向等の情報を駆動パターン発生部21に与え、指令値セレクタ15を駆動パターン発生部21の出力が選択された状態にする。駆動パターン発生部21では、予め定められたパターンに従い2値化回路13の出力を分周することにより駆動手段1への指令値を生成する。これにより2値化回路13からの出力に関連したタイミングで駆動手段1へ指令値列を出力する。
【0159】
この指令値列は、例えば各励磁コイルへの駆動電圧が最大12Vで、A相ステータ5の励磁コイルに12V、B相ステータ6の励磁コイルに0Vが印加された状態から起動した場合は図2のようになる。
【0160】
図2は、A相,B相のステータの励磁コイルに印加される駆動電圧と、2値化回路の出力との時間関係を示すタイミングチャートである。図2において、AVは制御手段4’から駆動手段1への指令値の結果A相ステータ5の励磁コイルに印加される電圧、BVは同様にB相ステータ6の励磁コイルに印加される電圧、FGは2値化回路13の出力でありそれぞれの時間との関係を示している。
【0161】
図2におけるT1の区間では、前述のように2値化回路13の出力とは無関係な駆動が行われ、T2の区間では、その結果2値化回路13から出力されたパルスに関連したタイミングで駆動が行われている。また、T4の区間では基本的に2値化回路13から出力されたパルス4周期毎に、A相,B相の出力が交互に反転し、その出力電圧は基本的に+12V,−12Vである。ただし、各相の出力の反転直後から2値化回路13の出力1周期分の時間だけ、出力電圧が低い値、±V1をとる。
【0162】
図3は本実施の形態1における図2に示すTaのタイミングでのロータと駆動の位相関係を示す図である。ただし、図3では1ステップ角の18°を90°として描かれている。図3において、5はA相ステータ、6はB相ステータ、8はロータ、19は仮想N極、θdは駆動角である。
【0163】
仮想N極19はA相ステータ5、B相ステータ6のそれぞれ発生する磁界の合成により生成される仮想のN極であり、この方向にロータ8のS極が誘引される。ロータ8のS極がこの仮想N極19に誘引され、回転しようとする角度が駆動角θdである。
【0164】
図3に示すように、このときの駆動角θdは180°となっていて上限であり、従来例と同一であるが、従来例より実質的に2値化回路13の出力が1周期分の時間だけ早く相の切り替えが行われるため、インダクタンス成分による遅れ時間の補正量をより大きくとることができる。
【0165】
なお、この場合、駆動最大電圧VmaxとV1の関係は(式3)となり、
V1=Vmax・tan22.5° (式3)
Vmax=12VではV1は約5Vである。
【0166】
また、回路の単純化のため、V1=0Vとしてもそれなりの効果を得ることができる。
【0167】
図1B、図1Cに示すように、強制駆動の指令値のパターンに2相励磁の他に1相のみ励磁のパターンを設けることで、電磁力により駆動させようとする角度位置は0°,45°,90°,135°,180°,225°,270°,315°の8箇所となり、電磁力により回転させようとする角度のばらつきは90°から135°の範囲に減少している。
【0168】
例えば、θ=0°未満の位置から起動しようとし、実際のロータ位置が回転方向にずれていた場合のロータ位置と電磁力の関係を図4に示す。
【0169】
誤差角θgのため駆動角θdは小さくなっているが本実施の形態1では、この場合の駆動角θdは誤差角θgの無い場合でθd=90°あるので、多少の誤差角θgが存在しても最大トルクの得られる約90°に近い駆動角θdで起動することができ、起動失敗の可能性が大きく減少する。
【0170】
(実施の形態2)
図5は本発明の実施の形態2におけるステッピングモータの制御装置の概略構成を示すブロック図である。図5において、1は駆動手段、2はA相電流ドライバ、3はB相電流ドライバ、4”は制御手段、5はA相ステータ、6はB相ステータ、7はステッピングモータ、8はロータ、9はロータ軸、10は遮光板、11はフォトセンサ、12はハウジング、13は2値化回路、14は制御部、15は指令値セレクタ、16はマイクロステップ駆動部、20は強制駆動部、22は駆動パターン発生部、23はタイマ手段である。
【0171】
本実施の形態2を示す図5は、前記実施の形態1を示す図1で説明した構成にタイマ手段23を設けたもので、駆動手段1,ステッピングモータ7,2値化回路13等の内部構成やその動作については同様であるため、重複する説明は省略する。図5に示すように、制御手段4”は制御部14,指令値セレクタ15,マイクロステップ駆動部16,強制駆動部20,駆動パターン発生部22,タイマ手段23からなり、以下に各部の概要を説明する。
【0172】
マイクロステップ駆動部16は、制御部14からの信号により電流指令値を変化させ、ステッピングモータ7のA相,B相ステータ5,6に流す電流比を変えて、ロータ8の静止角度を高分解能に制御するマイクロステップ駆動を行う。ロータ8の静止角度と電流比との関係はステッピングモータ7の磁気回路および負荷の状態に依存するため、あらかじめ等間隔のロータ静止角度を与える電流指令値を関数あるいはテーブルとして求めておく。これによりロータ8の静止角度とマイクロステップ駆動部16の出力は一定の関係が保たれ、マイクロステップ駆動部16の出力からロータ8の静止角度位置を知ることができる。
【0173】
強制駆動部20は、マイクロステップ駆動部16がその出力により保持している起動前のロータ8の角度位置情報により前記実施の形態1と同様に図1B,
図1Cに示すように16通りの強制駆動の指令値を生成する。これによりステッピングモータ7を強制駆動する。
【0174】
駆動パターン発生部22はプログラマブルカウンタ等により構成され、2値化回路13の出力を分周することにより駆動手段1への指令値を生成する。この際、制御部14からの信号により、分周の仕方のパターンを予め定められたパターンの中から選択することができ、駆動パターン発生部22からの駆動手段1への指令値による駆動電圧は電源電圧が12Vの場合+12V,−12Vの2値をとる。
【0175】
指令値セレクタ15は制御部14からの信号により、駆動パターン発生部22の出力、強制駆動部20の出力、マイクロステップ駆動部16の出力の中から1つを選択する。
【0176】
制御部14は、回転方向、マイクロステップ駆動部16がその出力により保持しているロータ8の起動前の角度位置情報、2値化回路13の出力により駆動パターン発生部22,強制駆動部20,マイクロステップ駆動部16,指令値セレクタ15を制御する。
【0177】
タイマ手段23は2値化回路13の出力が入力され、この2値化回路13の出力から一定時間後に出力するというものである。
【0178】
以上のように構成された本実施の形態2におけるステッピングモータの制御装置の動作を図を参照しながら説明する。前記実施の形態1と同様に、ステッピングモータ7を回転させようとする場合、制御手段14は、マイクロステップ駆動部16が保持しているロータ8の起動前の角度位置情報、回転させる方向等の情報を強制駆動部20に与え、指令値セレクタ15を強制駆動部20の出力選択にする。強制駆動部20はこれらの情報から(図1B),(図1C)に従い駆動手段1へ新たな指令値を2値化回路13の出力とは無関係に出力する。これによりロータ8は回転を始め、2値化回路13から、実際の回転角4.5°周期でパルスが出力される。
【0179】
パルスが出力されはじめると制御部14は、マイクロステップ駆動部16が保持しているロータ8の起動前の角度位置情報、回転させる方向等の情報を駆動パターン発生部22に与え、指令値セレクタ15を駆動パターン発生部22の出力選択にする。
【0180】
駆動パターン発生部22はあらかじめ定められたパターンに従い2値化回路13の出力を分周し駆動手段1への指令値を生成する。これにより2値化回路13からの出力に関連したタイミングで駆動手段1へ指令値列を出力する。
【0181】
この指令値列は、例えば各励磁コイルへの駆動電圧が最大12Vで、A相ステータ5の励磁コイルに12V、B相ステータ6の励磁コイルに0Vが印加された状態から起動した場合は図6のようになる。
【0182】
図6は、本実施の形態2におけるA相,B相のステータの励磁コイルに印加される駆動電圧と、2値化回路の出力との時間関係を示すタイミングチャートである。図6において、Avは制御手段4”から駆動手段1への指令値の結果A相ステータ5の励磁コイルに印加される電圧、Bvは同様にB相ステータ6の励磁コイルに印加される電圧、FGは2値化回路13の出力でそれぞれの時間との関係を示すものである。
【0183】
図6に示すT1の区間では、前述のように2値化回路13の出力とは無関係な駆動が行われ、T2の区間では、その結果2値化回路13から出力されたパルスに関連したタイミングで駆動が行われている。また、T5の区間では、概略2値化回路13から出力されたパルス4周期毎に、A相,B相の出力が交互に反転し、その出力電圧は+12V,−12Vである。ただし、図6のように各相の反転後、タイマ手段23によって定められる一定の時間Tから、2値化回路13の出力1周期分の時間Tfgまでの間、出力を反転前の値に戻す。これは完全に反転前の値に戻す必要はなく、0Vとしてもよい。
【0184】
図7は、回転数が低く時間T<Tfgの場合の、図6に示すTaのタイミングでのA相,B相の電流の時間変化を示す図である。図7において,AiはA相電流の時間変化、BiはB相電流の時間変化である。図7に示すように、コイルのインダクタンス成分のために、電圧を反転させても電流は遅れて立ち上がり、図6に示すTaの時点では、12(V)/Rの値(R=コイルDC抵抗)よりも小さな値Imaxをとり、時間Tfgを過ぎるまでにこの値を超えることはない。Imaxはコイルのインダクタンス,コイルDC抵抗,時間Tで決まる一定の値である。
【0185】
図8は本実施の形態2における図6のTaのタイミングでのロータと駆動の位相関係を示す図である。ただし、図8では1ステップ角の18°を90°として描かれている。図8において、5はA相ステータ、6はB相ステータ、8はロータ、19は仮想N極、θdは駆動角である。
【0186】
仮想N極19は、A相ステータ5,B相ステータ6のそれぞれ発生する磁界の合成により生成される仮想のN極であり、この方向にロータ8のS極が誘引される。ロータ8のS極がこの仮想N極19に誘引され、回転しようとする角度が駆動角θdである。
【0187】
時間Tを適当な値に選ぶことにより、図8に示すように、図6のTaのタイミングでも駆動角θdを180°以下にすることができる。
【0188】
回転数が上昇して、時間T>Tfgとなると、出力を反転前の値に戻す区間がなくなるので、従来例より2値化回路13の出力1周期分の時間だけ早く相の切替えが行われることになり、インダクタンス成分による遅れ時間の補正量をより大きくとることができる。
【0189】
また、前記実施の形態1の場合と同様に、強制駆動の指令値のパターンに2相励磁の他に1相のみ励磁のパターンを設けているので、電磁力により駆動させようとする角度位置は0°,45°,90°,135°,180°,225°,270°,315°の8箇所となり、電磁力により回転させようとする角度のばらつきは90°から135°の範囲となり減少している。
【0190】
このため、前記実施の形態1で説明したように、多少の誤差角が存在しても最大トルクの得られる90°に近い駆動角θd起動することができ、起動失敗の可能性が大きく減少する。
【0191】
(実施の形態3)
図9は本発明のステッピングモータの制御装置の実施の形態3における構成を示すブロック図であり、光ディスクドライブに適用した場合の構成例である。図10は本発明のステッピングモータの制御装置の実施の形態3におけるステッピングモータの閉ループ制御時のロータ位置と励磁位置関係の説明図、図11は本発明のステッピングモータの制御装置の実施の形態1における第1の減速時の制御フローチャートである。
【0192】
図9において、101はヘッドで、光学的に光ディスク102に情報の記録、再生を行う。ヘッド101に取り付けられたナットピース103は、リードスクリュー104のネジ溝と嵌合しており、このリードスクリュー104はねじピッチが3mmで、ステッピングモータ105と一体に連結され、これによりヘッド101はステッピングモータ105の回転に応じてガイドシャフト106に沿って直線的に往復駆動される。107は軸受で、シャーシ108に固定されてリードスクリュー104を回転自在に軸支している。光ディスク102はスピンドルモータ109により回転駆動されており、ヘッド101を目標位置に移送する際には、光ディスク102に書き込まれた現在位置のアドレスと目標位置のアドレスとから移送方向と移送距離が求められる。これに応じて、制御手段110がステッピングモータ105の制御動作を行う。
【0193】
ステッピングモータ105は2相PM型で2相励磁時のステップ角18゜のものであり、角度72°毎にNS極が着磁され、1周でN極及びS極が5極ずつ着磁された永久磁石からなるロータ122とA相ステータ120及びB相ステータ121からなる2相の励磁コイルを備えている。A相ステータ120及びB相ステータ121は、角度72°毎にそれぞれのNS極が励磁され、1周で5極ずつのNS極を形成するそれぞれのヨークを有し、これらのヨークがロータの周囲に配置されている。A相ステータの各磁極とB相ステータの各磁極は18°相互にずれている。
【0194】
変位検出手段123は遮光板124、フォトセンサ125、ハウジング126、2値化回路127により構成されている。遮光板124は角度4.5゜周期でスリットを設けた円板であり、ロータ軸128に固定されている。遮光板124のスリット角度周期4.5゜の値は、ロータ122のマグネットの磁極形成の角度周期72゜の整数分の1(ここでは20)となるように決められている。特にステッピングモータ5の相数が2相であるため、2の倍数分の1(すなわち20=1/(2×8))の関係も満たすように選定されている。フォトセンサ125は発光側にLED、受光側にフォトトランジスタを備えた透過型で、遮光板124のスリットの有無に応じた出力信号を出力する。フォトセンサ125は遮光板124と共にハウジング126内に収容され、取扱い中の破損やホコリ等の要因による汚損を防いでいる。フォトセンサ125の出力は2値化回路127により2値化される。
【0195】
このような構成により、変位検出手段123はステッピングモータ105の回転角4.5°毎にパルスを1個発生し、ステッピングモータの回転角を検出する。ロータ軸128はリードスクリュ−104と一体に回転し、リードスクリュ−104のねじピッチは3mmなので、変位検出手段123はヘッド101が0.0375mm移動する毎に1個のパルスを発生することになる。この変位検出手段123の出力は制御手段110、計時手段130、基準値更新手段131、閉ループ駆動手段117に入力されている。
【0196】
駆動手段111はA相電流ドライバ112、B相電流ドライバ113の独立した2チャンネルの電流ドライバからなり、それぞれ指令値セレクタ114から出力される電流指令量を表すデジタルデータに基づき、A相ステータ120、B相ステータ121に電流を供給しステッピングモータ105を駆動する。A、B相電流ドライバは具体的には入力したデジタルデータをアナログ信号に変換するD/A変換器と、D/A変換器からのアナログ信号を増幅して出力する増幅器とから構成されている。
【0197】
マイクロステップ駆動手段116はそれ自身が内部発生するタイミング信号に基づいて、駆動手段111に電流指令値を表すデジタルデータを出力し、開ループ制御によるマイクロステップ駆動を行う。具体的には、A相ステータ120及びB相ステータ121に流す駆動電流比を変えてマイクロステップ駆動を行い、ロータ122の静止角度を高分解能に制御する。
【0198】
閉ループ駆動手段117は基本的に変位検出手段123の出力を分周等の手段により変換することによりロータ122の磁極検出を行い、このタイミングに合わせて電流指令値を切り換えることによりステッピングモータの閉ループ駆動を行う。具体的には、まず閉ループ駆動手段117によるステッピングモータ105の回転起動時に、それまでマイクロステップ駆動手段116により保持されていたロータ122の角度位置情報に応じてA相ステータ120及びB相ステータ121の初期励磁状態を選択すると共に、変位検出手段123の出力パルスとロータ122の磁極との初期位相合わせを行う。これによりロータ122が回転を始めて変位検出手段123からパルスが出力されると、閉ループ駆動手段117はこのパルスをカウントし、所定数毎に電流指令値を切り換える動作を行う。
【0199】
電圧制御手段115は後述する速度vと速度指令値の誤差を算出する速度比較器135の出力が入力された速度誤差−電圧変換手段119からの情報に基づき、出力すべき電圧を変化させる。
【0200】
計時手段130は変位検出手段123の出力よりも十分に短い周期を持ち、かつ、その周期誤差が十分小さい基準クロックを発生する基準クロック発生器、基準クロックをカウントするカウンタ等より成り、変位検出手段123から出力された最後のパルスから現在までに発生したクロックをカウントすることにより、変位検出手段123から出力された最後のパルスからの時間を計測し、その値tを出力する。
【0201】
基準値更新手段131はラッチ132と乗算手段133とから構成され、制御手段110からの指令により、後述するように計時手段130の出力との比較の基準となる基準値tsを出力する。ラッチ132は計時手段130の出力を、変位検出手段123の出力をトリガーとしてホールドする。これにより、ラッチ132は、変位検出手段123の最後のパルスとその1つ前のパルスとの周期t’を出力する。乗算手段133はラッチ132の出力t’に予め設定されたある定数kを掛けて基準値tsを出力する。この定数kは1よりも大きな数、例えば1.5に設定されている。
【0202】
基準値更新手段131の出力tsと計時手段の出力tとは比較され、これにより、減速時、通常の減速動作と、後述する速度回復状態との切り換えが行われ、計時手段の出力tが基準値更新手段の出力tsよりも小さい場合は通常の減速動作が行われ、大きい場合、すなわち変位検出手段123からのパルスの周期が前回よりもk倍以上に延びた場合には後述する速度回復状態となる。
【0203】
切換手段137は制御手段110の一部として構成され、入力されたtとt’から以下の条件に従い一方を選択して出力する。すなわち、計時手段の出力tが基準値更新手段の出力tsよりも小さい場合はt’が選択され、大きい場合、すなわち変位検出手段123からのパルスの周期が前回よりもk倍以上に延び、速度回復状態となった場合にはtが選択される。
【0204】
速度検出手段134はこのtまたはt’の逆数に適当な定数を掛けることにより、速度vを計算して出力する。この速度vの意味は、tが入力されているときは変位検出手段123からのパルスの周期を測定することにより得られた測定速度であり、通常の減速動作ではこの値に基づいた速度制御が行われる。t’が入力されている場合は、現時点で仮に変位検出手段123よりパルスが出力された場合に想定される仮想速度であり、速度回復状態ではこの仮想速度に基づいた速度制御が行われる。
【0205】
速度比較器135は速度指令値と速度vを比較し、その差に比例した値を出力する。速度誤差−電圧変換手段119は速度比較器135の出力に適当なゲインを掛け、また周波数特性を補償する等の操作により速度比較器135の出力をステッピングモータの駆動電圧に変換する。指令値セレクタ114は制御手段110からの信号によりマイクロステップ駆動手段116の出力、電圧制御手段115の出力のどちらか1つを選択し、制御手段110は指令値セレクタ114、マイクロステップ駆動手段116、閉ループ駆動手段117、基準値更新手段131を制御する。
【0206】
次に、以上のように構成した光ディスクドライブの動作を説明する。
【0207】
光ディスクドライブにおける通常の記録、再生動作中はヘッド101はディスク102のあるトラックをトレースしており、このとき、マイクロステップ駆動手段116はステッピングモータ105を駆動している。このマイクロステップ駆動手段116はA相ステータ120、B相ステータ121に流す駆動電流比を16段階に変えることにより、16分割のマイクロステップ駆動を行っており、通常の2相励磁駆動(本実施の形態では1ステップ150μm)の1/16である9.375μmの高分解能でヘッド101を送っている。したがってステッピングモータ105は2相励磁時の静止角度位置のみならず、ほぼ任意の角度位置に静止する。
【0208】
現在再生中のトラックから別のトラックへ移動する動作をシークと呼称し、この場合、制御手段110はディスク102に書き込まれた現在位置アドレスと目標位置アドレスとの比較から、まず、移動方法を決定する。移動距離が極めて短く、トラック数本程度の場合はステッピングモータ105を回転させることなく、トラッキングアクチュエータの動作のみで移動し、移動距離が1mm程度の場合、マイクロステップ駆動手段を用いステッピングモータ105をマイクロステップで駆動することにより、目標トラックに移動する。それ以上の距離の場合、閉ループ駆動手段117を用い変位検出手段123の出力を分周等の手段により変換することによりステッピングモータ105の駆動指令値を発生し、これにより変位検出手段123の出力に関連した駆動を行いヘッド101を移送する。
【0209】
以下、その際のステッピングモータ105の動作を説明する。
【0210】
最初、制御手段110はヘッド101のトラッキングアクチュエータの動作を止め、次にステッピングモータ105の回転方向を決定する。ここでは回転方向は時計方向とする。この時点ではステッピングモータ105はマイクロステップ駆動手段116により駆動され、通常は静止状態である。ステッピングモータ105をある角度以上回転させようとする場合、最初、制御手段110はマイクロステップ駆動手段116がその出力により保持しているロータ122の起動前の角度位置情報、回転させようとする方向等の情報を閉ループ駆動手段117に与え、指令値セレクタ114を閉ループ駆動手段117の出力が入力されている電圧制御手段115が選択された状態にする。閉ループ駆動手段117はこれらの情報からあらかじめ定められた手順に従い駆動手段111へ新たな指令値を回転角検出手段の出力とは無関係に出力する。これによりロータ122は回転を始め、変位検出手段123から、実際の回転角4.5°周期でパルスが出力される。
【0211】
パルスが出力されはじめると制御装置110はマイクロステップ駆動手段116がその出力により保持しているロータ122の起動前の角度位置情報、回転させようとする方向等の情報を分周手段に与え、指令値セレクタ114を電圧制御手段115の出力が選択された状態にすることにより閉ループ駆動手段117の指令値を111の駆動手段に入力する。この閉ループ駆動手段117は予め定められたパターンに従い変位検出手段123の出力を分周することにより駆動手段111への指令値を生成する。これにより変位検出手段123からの出力に関連したタイミングで駆動手段111へ指令値列を出力し、ステッピングモータ105は変位検出手段123からの出力に関連したタイミングで駆動される。
【0212】
変位検出手段123の出力は回転角4.5°周期であり、ステップ角18°の丁度1/4になっており、また、閉ループ駆動手段117は変位検出手段123の出力4パルス毎にその出力を変化させるように構成されているので、各ステータへの励磁電流の切り換えは、ロータの磁極とステータとの角度位置関係において、一定の角度位置で行うことができる。この様子を図10を用いて更に説明する。
【0213】
図10においては実際には5組あるロータの永久磁石のNS極及び、A相ステータ及びB相ステータのNS極を1組に簡略化して示しているので図10における角度θと実際の角度θ0との関係は本実施の形態におけるステッピングモータでは次の式(式4)であらわされる。
θ0=θ/5+72N (式4)
但し、Nは0〜4の任意の整数であり、角度θは電気角と呼称する。以降の説明では特に断らない限りすべての角度を電気角とする。
【0214】
図10において137はA相ステーター、138はB相ステーター、139はローター、140は仮想S極位置、141は変位検出手段123のパルス発生位置である。A相及びB相を共に正方向に励磁すると、A相ステーター137、B相ステーター138により発生する磁界の合成による仮想S極140が図中のA=+,B=+の角度位置に発生するものとする。他の状態に励磁した場合も同様である。ロータ139のN極が図2の角度位置にある状態をΘ=0°とし、時計廻りの回転を正とする。
【0215】
ロータ139のN極がこの状態Θ=0°から時計廻りに回転させる場合について説明すると、まず、閉ループ駆動手段117から出力される最初の強制駆動の指令値はA相を負方向に励磁しB相を正方向に励磁する状態である。このとき仮想S極140の位置は図中のA=−,B=+の角度位置に発生する。ロータ139のN極はこの仮想S極140に誘引される。
【0216】
この状態で、ロータ139のN極と仮想S極140のなす角は135°となる。この、励磁によって発生した磁極とこれによって誘引されるロータ139の磁極のなす角を駆動角Ψとし、ロータが回転方向(この場合時計廻り方向)に誘引される場合を正とすると、この駆動角Ψ=135°によりロータ139は回転をはじめ、変位検出手段123よりパルスが出力される。このパルスを4カウントした時点で最初の相切り換えが行われる。最初の相切り換えが行われた直後の指令値はA相を負方向に励磁しB相を負方向に励磁する状態である。この状態は図10より明らかなように最初の強制駆動の指令値に対し90°進んだ位置となり、また、Ψ=135°〜157.5°である。Ψの値がある範囲をもつのは、遮光板124とロータ122及びフォトセンサ125の位置関係が無調整であり、このため変位検出手段123より出力されるパルスの位相が22.5°の範囲でばらつくためである。この程度のばらつきはモータの特性に大きな影響を与えない。
【0217】
この相切り換えによりロータ139は更に回転し、変位検出手段123よりパルスが出力される。図10のようにこのパルスを最初の相切り換え後3カウントした時点で2回目の相切り換えを行い、指令値をA相を正方向に励磁しB相を負方向に励磁する状態とする。この状態は図10より明らかなように指令値は最初の相切り換え後の指令値に対し90°進んだ位置となる。一方この時点でのロータ139の位置は最初の相切り換え後の位置に対し変位検出手段123よりのパルス3パルス分、すなわち67.5°進んだ位置である。よって差し引きΨは22.5°だけ大きくなり、Ψ=157.5°〜180°となる。これは回転数が高くなることによるコイルのインダクタンス成分による電流の遅れの影響を補正するためである。
【0218】
これによりロータ139は更に回転し、変位検出手段123よりパルスが出力される。図10のようにこのパルスを最初の相切り換え後7カウントした時点で3回目の相切り換えを行い、指令値をA相を正方向に励磁しB相を正方向に励磁する状態とする。この状態は図10より明らかなようにこの指令値は2回目の相切り換え時の指令値に対し90°進んだ位置となる。一方この時点でのロータ139の位置は2回目の相切り換え時の位置に対し変位検出手段123よりのパルス4パルス分、すなわち90°進んだ位置である。よってΨの値に変化はなく、Ψ=157.5°〜180°となる。以降同様に4パルス毎に指令値を90°進めるのでΨの値は157.5°〜180°のまま一定となる。
【0219】
以上説明した手順により、ステッピングモータ105は回転を開始し、次第に回転数が上昇する。
【0220】
一方変位検出手段123の出力は計時手段130、ラッチ132にも入力され、実際の速度が速度検出手段134より出力される。この、実際の速度は速度比較器135で、制御手段110より出力される速度指令値と比較され、その差に比例した値が出力される。この出力は速度誤差−電圧変換手段119により適当なゲインを掛け、また周波数特性を補償する等の操作によりステッピングモータの駆動電圧に変換され、電圧制御手段115に入力されて駆動電圧が制御される。これにより、概略速度指令値と速度vの差に比例した駆動電圧でモータが駆動され、モータ角速度はヘッド101が速度指令値になるよう制御される。一般的にはこの速度指令値は最初最大電圧でステッピングモータが駆動されるよう設定され、次にある一定の速度になるよう設定されている。
【0221】
以上に記述した手順により、ヘッド101は目標トラックに向かい移動する。
【0222】
目標トラックが近づくと、減速を開始するが、この減速動作は2段階で行われる。すなわち、減速の開始からある速度までは閉ループ駆動手段117により駆動して、一定の減速カーブを速度指令値として速度比較器に入力し、駆動電圧を電圧制御手段115により駆動電圧をコントロールすることにより減速する。これを第1の減速と呼称する。
【0223】
第1の減速はヘッドの速度をできるだけ短時間で減少させるため大きな減速率で減速を行う。本実施の形態3の場合、200,000PPS/s=30m/s/sになっており、速度がある速度、例えば440PPS=66mm/sに達すると再びマイクロステップ駆動手段116による動作に切り換え、更に減速する。これを第2の減速と呼称する。これはヘッド101の位置と速度を微妙にコントロールし、再びトラッキングアクチュエータを動作させるための条件を作り出すためのものであり、減速率は14,000PPS/s=2.1m/s/sと小さい。
【0224】
速度検出手段134から実際の速度の値が出力されるが、速度が低下すると変位検出手段123の出力の周期が長くなるので速度検出手段134からの実際の速度の値は高速時時と比較して遅れて出力されるようになる。
【0225】
次に前記第1の減速時の動作について、図11を参照しながら説明する。
【0226】
第1の減速が開始されるとステップ(図面ではSと表記する)42で変位検出手段123からパルスが出力されたかどうか判断し、パルスが出力された場合t’の値が最新の情報に更新されているのでステップ46で変位検出手段123からのパルスの間隔であるt’を速度検出手段134に出力する。これにより速度検出手段134からは、変位検出手段123からのパルスの周期を測定することにより得られた測定速度が速度vとして出力され通常の速度制御が行われる。
【0227】
その後ステップ50で、この速度vが第1の減速終了の条件を満足したかどうか判断する。これは速度vがある速度以下に達すると満足され、この場合66mm/s以下である。この条件を満足した場合、第1の減速を終了し、満足しなかった場合ステップ42の判断を繰り返す。
【0228】
パルスが出力されるまでの間は、ステップ43で計時手段130の出力tと基準値tsを比較し、計時手段130の出力tが基準値tsより小さい場合、ステップ42の判断を繰り返し、変位検出手段123より次のパルスが出力されればステップ46以降の動作を行い、されなければステップ43の判断を繰り返す。
【0229】
ステップ43の判断で計時手段130の出力tが基準値tsより大きくなっても変位検出手段123よりパルスが出力されなかった場合、すなわち、変位検出手段123からのパルスの周期が前回よりもk倍以上になった場合、ステップ49以降の動作を行うことにより速度回復状態に入り、速度を上げる操作をする。速度回復状態の詳細については後述する。
【0230】
計時手段130の出力は変位検出手段123より最後にパルスが出力されてからの時間を出力するので時間の経過により出力値が増大し、また、基準値tsはすでに説明したように変位検出手段よりパルスが出力される毎に更新され、常に、最後のパルス間隔でもあるt’に一定の係数を掛けた値になっている。すなわち、
基準値tsの間隔でパルスが出力された場合、このときの速度は常に最後のパルス間隔でもあるt’で求められた速度より一定の割合だけ低い値となっている。
【0231】
よってこの速度をその時点での速度の下限値として設定することにより、常に、最後のパルス間隔でもあるt’で求められた速度より一定の割合だけ低い速度になった時点で速度の異常低下を検出することができ、いかなる速度においても速度の低下を確実に検出でき高回転域での制御の外れを短時間で検出することと、低回転域での制御外れの誤検出を防ぐことを両立することができる。
【0232】
ステップ49以降の速度回復状態に入ると、ステップ49で駆動角Ψを22.5°小さくしΨ=135°〜157.5°とする。これは閉ループ駆動手段117における変位検出手段123の出力の分周周期を通常4分周であるのを1回だけ5分周とすることにより容易に実現できる。次に、ステップ45で、切換手段137により速度検出手段134への出力をt’から計時手段130の出力であるtに切り換えることにより速度vを現時点で仮に変位検出手段123よりパルスが出力された場合に想定される仮想速度に切り換える。これにより電圧制御手段115からはそれに対応する値が出力され駆動出力を変化させる。
【0233】
tの値は変位検出手段123から最後に出力されたパルスからの経過時間なので、この値を速度検出手段134に出力することにより得られる速度vは、時間の経過により値が低くなっていく。速度が低くなると速度比較器により検出される速度誤差が大きくなり、電圧制御手段115からの出力は速度誤差に比例するのでこの出力は徐々に増大する。
【0234】
一般に速度が低下した場合は駆動電圧を大きくすることでモータのトルクを増やし、加速力を増加することにより速度の増大を図るのであるが、本実施の形態3では、前述のように、Ψ=157.5°〜180°となっている。これは回転数が高い場合のコイルのインダクタンス成分による電流の遅れの影響を補正するためであり、これにより、より高い最高回転数が可能になり、結果的にシークを高速化することができる。
【0235】
しかしながら実際の駆動を考えると、マイクロステップ駆動手段116がその出力により保持しているロータ122の起動前の角度位置情報は摩擦等により、誤差を持っている。この誤差はある光ディスク装置では±14°程度と見込まれているので、これにより、実際の駆動角ΨはΨ=143.5°〜194°となり、180°を超える場合があるが、加速時は一般に最大の加速力で加速し、回転数の低い領域で微妙な速度制御を行う必要がなく、かつ、本実施の形態3のように、起動時は安定に起動するための特別な起動手順をとり、この手順においては回転数の低い回転開始時は駆動角Ψは小さな値になっているので問題はなく、また、加速終了後の一定速回転状態では前述のようにコイルのインダクタンス成分による電流の遅れの影響により、駆動電流に対するΨの値は小さな値となり問題はない。
【0236】
しかし、減速時にはコイルのインダクタンス成分による電流の遅れの影響が少なくなる回転数の低い領域で微妙な速度制御を行う必要があり、特に、Ψが180°を超える状態で、低速時に加速を行うため駆動電流を増加すると、逆にブレーキとして作用し、動作が不安定になり停止する可能性がある。それでも単調に減速のみを行っている場合はそれほど問題にならないが、急な負荷の増加等による減速からの回復等で特に低速時に加速動作を行う場合、死点を超える角度で駆動すると当然、逆に減速してしまう。
【0237】
駆動角Ψを22.5°小さくしΨ=135°〜157.5°とすることによりマイクロステップ駆動手段116がその出力により保持しているロータ122の起動前の角度位置情報の摩擦等による誤差±14°を見込んでも駆動角Ψの範囲はΨ=24°〜171.5°となり180°を超えることはなく、これにより、駆動電圧を増加させることにより、確実にモータのトルクを増大させることができる。
【0238】
前述したようにtの値は変位検出手段123から最後に出力されたパルスからの経過時間なので、この値を速度検出手段134に出力することにより得られる速度vは、時間の経過により値が低くなっていく。速度が低くなると速度比較器により検出される速度誤差が大きくなる。電圧制御手段115からの出力は速度誤差に比例するのでこの出力は徐々に増大する。
【0239】
このように出力電圧の増大は時間の経過とともに漸増的に行われ、しかも通常の制御とまったく同様に速度誤差に比例する形でおこなわれるため、駆動系にモータ自身や伝達系の摩擦負荷のバラツキ等があっても確実にモータの停止を防止でき、大きなオーバーシュートが発生することもない。
【0240】
次にステップ47で電圧制御手段115の出力が可能な最大値になっているかどうか判断し、最大値になっていなければ、ステップ48で変位検出手段123より次のパルスが出力されたかどうか判断し、出力されなければステップ45以降の動作を繰り返し、出力された場合ステップ46以降の動作を行う。
【0241】
変位検出手段123よりパルスが出力されずステップ47で電圧制御手段からの出力が最大になったと判断された場合、ステッピングモータの再起動を行い、シークを最初からやり直す。
【0242】
以上説明したような手順で第1の減速動作を行う。
【0243】
この第1の減速動作が終了すると第2の減速動作に入り再びマイクロステップ駆動手段116による動作に切り換え、更に減速し、ヘッド101の位置と速度を微妙にコントロールし、再びトラッキングアクチュエータを動作させるための条件を作り出す。
【0244】
本実施の形態3の場合、第2の減速動作へは440PPS=66mm/sまで減速した時点で切り換えられる。第2の減速動作はマイクロステップ駆動により行われる。マイクロステップ駆動の初期速度指令値は第1の減速動作の終了時の速度指令値と同じ値になっており、また、切り換え時の駆動角Ψの値は第1の減速終了時における値と一定の関係を持ち、より小さな値が選択されている。第2の減速動作の開始時の速度指令値とこのときの速度vの差が大きいと第2の減速動作に入った際振動を発生する場合があるので、第1の減速ではこの面からも速度を精度よく制御する必要がある。
【0245】
第2の減速動作では光ディスク102のトラック数百本程度の距離を移動しながらゆるやかに減速する。この減速の後再びトラッキングアクチュエータが動作し、シーク後のトラックをトレースし始めると制御手段110は再びディスク102に書き込まれた現在位置アドレスと目標位置アドレスとの比較を行い、両者が一致している場合は移動の動作を終了し、一致していない場合は一致するまで上記の動作を繰り返す。
【0246】
以上のように、本実施の形態3によれば以下の効果を得ることができる。
(1)基準値がその時の速度に応じて変化するのでいかなる速度においても速度の低下を確実に検出でき高回転域での制御の外れを短時間で検出することと、低回転域での制御外れの誤検出を防ぐことを両立することができる。
(2)出力電圧の増大は時間の経過とともに漸増的に行われ、しかも通常の制御とまったく同様に速度誤差に比例する形でおこなわれるため、駆動系にモータ自身や伝達系の摩擦負荷のバラツキ等があっても確実にモータの停止を防止でき、大きなオーバーシュートが発生することもない。
(3)急な負荷の増加等による減速からの回復等で特に低速時に加速動作を行う場合にも、死点を超える角度で駆動することがなくなり、確実に速度を回復できる。
【0247】
なお、本実施の形態3では速度回復状態では単にtの値を速度検出手段134に出力することにより電圧制御手段115からそれに対応する値を出力させて駆動出力を変化させるようにしたが、速度回復状態に入った時点で速度誤差に対する駆動電圧の関係を通常のものとは異なるものに変更するようにしてもよく、また、速度回復状態に入った時点で出力最大とし、一定時間経過しても変位検出手段23よりパルスが出力されなかった場合に再起動を行うようにしてもよい。更に、駆動角Ψを小さな値に変更するのは速度回復状態に入った時点からとしたが、減速開始からとしてもよい。
【0248】
(実施の形態4)
図12は本発明のステッピングモータの制御装置の実施の形態4における構成を示すブロック図であり、光ディスクドライブに適用した場合の構成例である。図13は本発明のステッピングモータの制御装置の実施の形態4における減速時の制御フローチャートである。
【0249】
図12において、制御手段110A、基準値更新手段131A、切換手段137Aを除く全構成および動作は実施の形態3と同一であるので同一部分には同一符号を付し、個々についての詳細な説明は省略する。
【0250】
実施の形態3と異なるのは、基準値更新手段131Aに許容加速度を格納したメモリ118を設け、乗算手段133に換えて基準値算出手段136を設けた点、切換手段137Aの動作、および制御手段110Aの第1の減速時の動作において、実施の形態3で再起動となる条件とその場合の動作である。
【0251】
基準値更新手段131Aはラッチ132と基準値算出手段136とメモリ118とから構成され、制御手段110Aからの指令により、後述するように計時手段130の出力との比較の基準となる基準値ts1を出力する。ラッチ132は計時手段130の出力を、変位検出手段123の出力をトリガーとしてホールドする。これにより、ラッチ132は、変位検出手段123の最後のパルスとその1つ前のパルスとの周期t1’を出力する。周期t1’はこの逆数に適当な定数を掛けることにより後述する速度v1とすることができる。メモリ118には各速度における許容加速度値が格納されている。
【0252】
基準値算出手段136はラッチ132の出力t1’の逆数に適当な定数を掛けることによりその時点での実際の速度を検出し、この速度をメモリ118に参照することによりこの実際の速度における許容加速度値を求め、この許容加速度値を実際の速度に加算し、この逆数を求め、適当な定数を掛けることにより基準値ts1を出力する。
【0253】
実際の減速動作では予め、速度毎に目標とする減速加速度が定められており、速度の変化はこの値になるように制御される。したがって、この加速度値に例えば1以上のある一定値k1を掛けた値をこの許容加速度値とし、これを先ほどの実速度に加算した値はその時点での速度の目標値よりも常にある一定の割合だけ小さな値となる。k1は例えば1.5程度の値とすることができる。
【0254】
基準値更新手段131Aの出力ts1と計時手段の出力t1とは比較され、これにより、減速時、通常の減速動作と、後述する速度回復状態との切り換えが行われる。計時手段の出力tが基準値更新手段の出力tsよりも小さい場合は通常の減速動作が行われる。
【0255】
計時手段の出力tが基準値更新手段の出力tsよりも大きい場合、すなわち変位検出手段123からのパルスの周期が前回よりも伸び、この周期の逆数に適当な定数を掛けることにより求められる速度が前回の周期の逆数に適当な定数を掛けることにより求められる速度に比べ、メモリ118に格納されたこの速度における許容加速度値のk1倍以上に減速した場合、後述する速度回復状態となる。
【0256】
切換手段137Aは制御手段110の一部として構成されt1とt1’が入力し、以下の条件に従い一方を選択して出力する。すなわち、計時手段の出力t1が基準値更新手段の出力ts1よりも小さい場合はt1’が選択され、計時手段の出力t1が基準値更新手段の出力ts1よりも大きい場合、すなわち変位検出手段123からのパルスの周期が前回よりも伸び、この周期の逆数に適当な定数を掛けることにより求められる速度が前回の周期の逆数に適当な定数を掛けることにより求められる速度に比べ、メモリ118に格納されたこの速度における許容加速度値のk1倍以上に減速し、後述する速度回復状態となった場合にはtが選択される。ここで、速度v1の意味は、t1が入力されているときは変位検出手段123からのパルスの周期を測定することにより得られた測定速度であり、通常の減速動作ではこの値に基づいた速度制御が行われる。
【0257】
t1’が入力されている場合は、現時点で仮に変位検出手段123よりパルスが出力された場合に想定される仮想速度であり、速度回復状態ではこの仮想速度に基づいた速度制御が行われる。速度比較器135は速度指令値と速度v1を比較し、その差に比例した値を出力する。
【0258】
次に、制御手段110Aの第1の減速時の動作について、図13を参照しながら説明する。
【0259】
まず、第1の減速が開始されるとステップ51で変位検出手段123からパルスが出力されたかどうか判断し、パルスが出力された場合t1’の値が最新の情報に更新されているのでステップ56で変位検出手段123からのパルスの間隔であるt1’を速度検出手段134に出力する。これにより速度検出手段134からは、変位検出手段123からのパルスの周期を測定することにより得られた測定速度がv1として出力され通常の速度制御が行われる。
【0260】
その後、ステップ60で、この速度v1が第1の減速終了の条件を満足したかどうか判断する。これは速度v1がある速度以下に達すると満足される。本実施の形態4の場合66mm/s以下である。この条件を満足した場合第1の減速を終了し、満足しなかった場合ステップ51の判断を繰り返す。パルスが出力されるまでの間は、ステップ53で計時手段の出力t1と基準値ts1を比較する。
【0261】
計時手段130の出力t1が基準値ts1より小さい場合、ステップ51の判断を繰り返し、変位検出手段123より次のパルスが出力されればステップ56以降の動作を行い、されなければステップ53の判断を繰り返す。ステップ53の判断で計時手段130の出力t1が基準値ts1より大きくなっても変位検出手段123よりパルスが出力されなかった場合、すなわち、変位検出手段123からのパルスの周期が前回よりも伸び、この周期の逆数に適当な定数を掛けることにより求められる速度が前回の周期の逆数に適当な定数を掛けることにより求められる速度に比べ、メモリ118に格納されたこの速度における許容加速度値のk1倍以上に減速した場合、ステップ59以降の動作を行うことにより速度を上げる操作をする。
【0262】
この状態を速度回復状態と呼称し、詳細は実施の形態3のものと同様なものである。
【0263】
計時手段130の出力は変位検出手段123より最後にパルスが出力されてからの時間を出力するので時間の経過により出力値が増大し、また、基準値ts1はすでに説明したように変位検出手段よりパルスが出力される毎に更新され、この周期で変位検出手段123よりパルス出力された場合、実際の速度は常に、目標速度よりも一定割合低い値になっている。
【0264】
よってこの速度をその時点での速度の下限値として設定することにより、常に、目標速度よりも一定の割合だけ低い速度になった時点で速度の異常低下を検出することができ、いかなる速度においても速度の低下をより確実により精度よく検出でき高回転域での制御の外れを短時間で検出することと、低回転域での制御外れの誤検出を防ぐことを両立することができる。
【0265】
ステップ59以降の速度回復状態に入ると、実施の形態3と同様に、ステップ59で駆動角Ψを22.5°小さくし、Ψ=135°〜157.5°とする。これは閉ループ駆動手段117における変位検出手段123の出力の分周周期を通常4分周であるのを1回だけ5分周とすることにより容易に実現できる。
【0266】
次にステップ55で、切換手段137Aにより速度検出手段134への出力をt1’から計時手段130の出力であるt1に切り換えることにより速度v1を現時点で仮に変位検出手段123よりパルスが出力された場合に想定される仮想速度に切り換える。これにより電圧制御手段115からはそれに対応する値が出力され駆動出力を変化させる。
【0267】
t1の値は変位検出手段123から最後に出力されたパルスからの経過時間なので、この値を速度検出手段134に出力することにより得られる速度v1は、時間の経過により値が低くなっていく。速度が低くなると速度比較器により検出される速度誤差が大きくなり、電圧制御手段115からの出力は速度誤差に比例するのでこの出力は徐々に増大する。
【0268】
このように出力電圧の増大は時間の経過とともに漸増的に行われ、しかも通常の制御とまったく同様に速度誤差に比例する形でおこなわれるため、駆動系にモータ自身や伝達系の摩擦負荷のバラツキ等があっても確実にモータの停止を防止でき、大きなオーバーシュートが発生することもない。
【0269】
次にステップ57で速度v1が第1の減速終了速度以下かどうかを判断し、速度vが第1の減速終了速度以下になっていなければ、ステップ58で変位検出手段23より次のパルスが出力されたかどうか判断し、出力されなければステップ55以降の動作を繰り返し、出力された場合ステップ56以降の動作を行う。
【0270】
変位検出手段123よりパルスが出力されずステップ57で速度v1が第1の減速の終了速度以下になったと判断された場合、第1の減速を終了し、第2の減速動作に入る。この時点ではt1を速度検出手段134に出力しているので、変位検出手段123よりパルスが発生しなければ値が更新されないt1’と比べ、確実に、第1の減速動作の終了を検出できる。この時点で第1の減速動作を終了した場合は本来の減速指令値の曲線からはずれた状態で第1の減速を終了し、第2の減速に入る。したがって、第2の減速が終了した時点での現在位置アドレスと目標位置アドレスのずれは大きくなるが、これにより再起動の手順をなくすことができ、結果的に平均のシーク時間を短縮することができる。
【0271】
以上説明したような手順で第1の減速動作を行う。
【0272】
第1の減速動作が終了すると第2の減速動作に入り、再びマイクロステップ駆動手段116による動作に切り換え、更に減速し、ヘッド101の位置と速度を微妙にコントロールし、再びトラッキングアクチュエータを動作させるための条件を作り出す。
【0273】
本実施の形態4の場合、第2の減速動作へは440PPS=66mm/sまで減速した時点で切り換えられ、第2の減速動作はマイクロステップ駆動により行われる。マイクロステップ駆動の初期速度指令値は第1の減速動作の終了時の速度指令値と同じ値になっている。また、切り換え時の駆動角Ψの値は第1の減速終了時における値と一定の関係を持ち、より小さな値が選択されている。第2の減速動作の開始時の速度指令値とこのときの実速度の差が大きいと第2の減速動作に入った際振動を発生する場合があるので、第1の減速ではこの面からも速度を精度よく制御する必要がある。
【0274】
第2の減速動作では光ディスク102のトラック数百本程度の距離を移動しながらゆるやかに減速し、この減速の後、再びトラッキングアクチュエータが動作し、シーク後のトラックをトレースし始めると制御手段110Aは再びディスク102に書き込まれた現在位置アドレスと目標位置アドレスとの比較を行い、両者が一致している場合は移動の動作を終了し、一致していない場合は一致するまで上記の動作を繰り返す。
【0275】
以上のように本実施の形態4によれば、計時手段の出力t1がある基準値を超えた場合に制御手段が動作モードを第2の動作モードから第1のモードに切り換えて、強制的にステッピングモータを回転させるように制御しているため、駆動系の摩擦負荷のバラツキ等があっても、ほぼ同一の応答をさせることができる。すなわち、駆動系の多少の負荷変動があったとしても、確実にモータの停止を防止し、同時に過度のオーバーシュートの発生を防止することができる。
【0276】
なお、本実施の形態4では実施の形態3と同様に基準値更新手段の出力は、速度等により変化するものとしたが一定値としてもよい。この場合実施の形態1において記述したような効果は得られないが第1の減速の終了は確実に判断することができるので、上記の効果は得ることができる。また、速度の目標値である目標プロフィールを実速度のかわりに使用してもよい。
【0277】
(実施の形態5)
図14は本発明の実施の形態5における光ディスクドライブに用いられるステッピングモータの制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【0278】
図14において、201はステッピングモータ、202はロータ、203はA相ステータ、204はB相ステータ、205はロータ軸、206は位置検出手段、207は遮光板、208はフォトセンサ、209はハウジング、210は2値化回路、211は駆動手段、212はA相電流ドライバ、213はB相電流ドライバである。
【0279】
また、221はヘッド、222は光ディスク、223はナットピース、224はリードスクリュー、225はガイドシャフト、226は軸受、227はシャーシ、228はスピンドルモータ、230は制御手段、234は指令値セレクタ、235は指令振幅制御手段、236はマイクロステップ駆動手段、237は閉ループ駆動手段、238は速度検出手段、239は速度比較器、241は振幅比較手段、242は記憶手段、243は駆動振幅設定手段、244は目標速度発生手段である。
【0280】
図14に示すように、光ディスクドライブはヘッド221により、光学的に光ディスク222に情報の記録、再生を行う。ヘッド221に取り付けられたナットピース223は、リードスクリュー224のねじ溝と嵌合している。またリードスクリュー224はねじピッチが3mmで、ステッピングモータ201と一体に連結され、これによりヘッド221はステッピングモータ201の回転に応じて、ガイドシャフト225に沿って直線的に往復駆動される。シャーシ227に固定されている軸受226によりリードスクリュー224を回転自在に軸支している。
【0281】
また、光ディスク222はスピンドルモータ228により回転駆動されており、ヘッド221を目標位置に移送する際には、光ディスク222に書き込まれた現在位置のアドレスと目標位置のアドレスとから移送方向と移送距離が求められる。これに応じて、制御手段230がステッピングモータ201の制御動作を行う。
【0282】
このステッピングモータ201は2相PM型で2相励磁時のステップ角18゜のものであり、ステッピングモータ201は角度72°毎にNS極が着磁され、1周でN極及びS極が5極ずつ着磁された永久磁石からなるロータ202とA相ステータ203及びB相ステータ204からなる2相の励磁コイルとを備えている。A相ステータ203及びB相ステータ204は、角度72°毎にそれぞれのNS極が励磁され、1周で5極ずつのNS極を形成するそれぞれのヨークを有し、これらのヨークがロータ202の周囲に配置されている。A相ステータの各磁極とB相ステータの各磁極は18°相互にずれている。
【0283】
位置検出手段206は遮光板207、フォトセンサ208、ハウジング209、2値化回路210により構成されている。遮光板207は角度4.5゜周期でスリットを設けた円板であり、ロータ軸205に固定されている。遮光板207のスリット角度周期4.5゜の値は、ロータ202のマグネットの磁極形成の角度周期72゜の整数分の1(ここでは16)となるように決められている。特にステッピングモータ201の相数が2相であるため、2の倍数分の1(すなわち16=1/(2×8))の関係も満たすように選定されている。フォトセンサ208は発光側にLED、受光側にフォトトランジスタを備えた透過型で、遮光板207のスリットの有無に応じた出力信号を出力する。これらのフォトセンサ208や遮光板207は共にハウジング209内に収容され、取り扱い中の破損やほこり等の要因による汚損を防いでいる。フォトセンサ208の出力は2値化回路210により2値化される。
【0284】
こうした構成により、位置検出手段206はステッピングモータ201の回転角4.5°毎にパルスを1個発生し、ステッピングモータ201の回転角を検出する。ロータ軸205はリードスクリュー224と一体に回転し、リードスクリュー224のねじピッチは3mmなので、位置検出手段206はヘッド221が0.0375mm移動する毎に1個のパルスを発生することになる。この位置検出手段206の出力は制御手段230、速度検出手段238、閉ループ駆動手段237に入力されている。
【0285】
また、駆動手段211はA相電流ドライバ212、B相電流ドライバ213の独立した2チャンネルの電流ドライバからなり、それぞれ指令値セレクタ234から出力される電流指令量を表すデジタルデータに基づき、A相ステータ203、B相ステータ204に駆動電流を供給しステッピングモータ201を駆動する。このA相電流ドライバ212,B相電流ドライバ213は、具体的には入力したデジタルデータをアナログ信号に変換するD/A変換器と、D/A変換器からのアナログ信号を増幅して出力する増幅器とから構成されている。
【0286】
マイクロステップ駆動手段236は、マイクロステップ駆動手段236自体が内部発生するタイミング信号に基づいて、指令値セレクタ234に電流指令値を表すデジタルデータを出力し、後述するように指令値セレクタ234がこの出力を選択したときは、開ループ制御によるマイクロステップ駆動を行う。具体的には、A相ステータ203及びB相ステータ204に流す駆動電流比を変えて励磁相を変化させることによりマイクロステップ駆動を行い、ロータ202の静止角度を高分解能に制御する。
【0287】
また、閉ループ駆動手段237は、基本的に位置検出手段206の出力を分周等の手段により変換することによりロータ202の磁極検出を行い、このタイミングに合わせて電流指令値を切り替えることによりステッピングモータの閉ループ駆動を行う。具体的には、まず閉ループ駆動手段237によるステッピングモータ201の回転起動時に、それまでマイクロステップ駆動手段236により保持されていたロータ202の角度位置情報に応じてA相ステータ203及びB相ステータ204の初期励磁状態を選択すると共に、位置検出手段206の出力パルスとロータ202の磁極との初期位相合わせを行う。
【0288】
これによりロータ202が回転を始めて位置検出手段206からパルスが出力されると、閉ループ駆動手段237はこのパルスをカウントし、所定数毎に電流指令値を切り替える動作を行う。パルスを4カウントした状態はロータ202が18°(電気角にして90°)回転した状態に対応するため、パルス4カウント毎に励磁相を電気角にして90°進める制御により2相励磁駆動を行っている。そして、閉ループ駆動手段237の出力は指令振幅制御手段235に与えられる。
【0289】
次に、速度検出手段238は、位置検出手段206の出力よりも十分に短い周期を持ち、かつ、その周期誤差が十分小さい基準クロックを発生する基準クロック発生器、基準クロックをカウントするカウンタ等より成り、位置検出手段206からあるパルスが出力されてから次のパルスが出力されるまでに発生した基準クロックをカウントすることにより、位置検出手段206から出力されたパルス同士の時間間隔を計測し、この逆数からロータ202の回転速度値を算出して速度比較器239に出力する。
【0290】
速度比較器239は、速度検出手段238から出力される速度値と、制御手段230から与えられる目標速度値とを比較し、その差に比例した値を後述する指令振幅制御手段235に出力する。
【0291】
そして指令振幅制御手段235は、速度比較器239の出力に適当なゲインを掛け、周波数特性を補償する等の操作を行って、閉ループ駆動手段237から出力される電流指令値の振幅を制御する。このとき、速度比較器239の出力が正の値をとりロータ202を加速する場合の駆動電流の励磁相を基準とすると、速度比較器239の出力が負の値をとりロータ202を減速する場合には、指令振幅制御手段235は駆動電流の励磁相を180°ずらして反転させる。指令振幅制御手段235は、このようにして作成した矩形波状の電流指令値を指令値セレクタ234に出力すると共に、設定した電流指令値の振幅を表す値を8ビットのデジタルデータとして振幅比較手段241に出力する。
【0292】
指令値セレクタ234は、制御手段230からの指令により、指令振幅制御手段235の出力とマイクロステップ駆動手段236の出力のどちらか一方を選択して駆動手段211に出力する。
【0293】
制御手段230は、指令値セレクタ234,指令振幅制御手段235,マイクロステップ駆動手段236,閉ループ駆動手段237を制御し、閉ループ駆動手段237と指令振幅制御手段235とが生成する電流指令値を指令値セレクタ234に選択させる第1の制御モードと、マイクロステップ駆動手段236が生成する電流指令値を指令値セレクタ234に選択させる第2の制御モードとを切り替えてステッピングモータ201の制御を行う。さらに、制御手段230は、ロータ202の回転速度の目標速度プロフィールを予め設定してROMに格納した目標速度発生手段244を備え、この出力をマイクロステップ駆動手段236と速度比較器239に与えている。
【0294】
振幅比較手段241は、指令振幅制御手段235が出力する電流指令値の振幅を表すデジタルデータを、最新のデータから遡って数〜数十パルス分バッファに蓄えており、それらのデジタルデータを平均することにより、その時点における電流指令値の振幅の代表値を算出し、その結果を第1の動作モードにおける電流指令値の振幅Iaとして、後述する駆動振幅設定手段243に送る。
【0295】
また、記憶手段242は、振幅比較手段241が発生する第1の動作モードにおける電流指令値の振幅Iaと、後述するマイクロステップ駆動手段236に発生させる第2の動作モードにおける電流指令値の振幅Ibとの関係を予め実験的に求めてROMに記憶させたものである。
【0296】
駆動振幅設定手段243は、振幅比較手段241から送られる第1の動作モードにおける電流指令値の振幅Iaから、記憶手段242に記憶された関係に基づいて、第2の動作モードにおける電流指令値Ibを算出し、その結果をマイクロステップ駆動手段236に送る。
【0297】
次に、図15は本実施の形態5における記憶手段242に格納した、第1および第2の動作モードにおける電流指令値の振幅Ia,Ib間の関係を示す図である。
【0298】
図15において、振幅比較手段241が発生する第1の動作モードにおける電流指令値の振幅Iaは、指令振幅制御手段235が駆動手段211に対し出力する駆動電流の振幅を指令する8bitのデジタルデータで、+127から−127までの数値である。従来例での説明で定義したのと同様に、プラスは加速方向への駆動、マイナスは減速方向への駆動を示し、励磁相の反転の有無をこの正負の符号により振幅に含めて表現している。
【0299】
また、実際に駆動手段211が出力する駆動電流の振幅は、この電流指令値の振幅に比例し、+127または−127で最大の駆動電流を出力する。これら第1の動作モードにおける電流指令値の振幅Iaそれぞれに対して、第2の動作モードにおける電流指令値の振幅Ib、すなわちマイクロステップ駆動手段236が駆動手段211に指令する電流指令値(デジタルデータ)の最大値が対応付けられている。
【0300】
以上のように構成した本実施の形態5におけるステッピングモータの制御装置の動作を説明する。
【0301】
光ディスクドライブにおける通常の記録、再生動作中は、ヘッド221は光ディスク222の、あるトラックをトレースしている。この時には、制御手段230はマイクロステップ駆動手段236を用いてステッピングモータ201を駆動している。マイクロステップ駆動手段236は、A相ステータ203,B相ステータ204に流す駆動電流比を16段階に変えて16分割のマイクロステップ駆動を行っており、通常の2相励磁駆動(本実施の形態1では1ステップ150μm)の1/16である9.375μmの高分解能でヘッド221を送っている。したがってステッピングモータ201は2相励磁時の静止角度位置のみならず、ほぼ任意の角度位置に静止させることができる。
【0302】
次に、現在再生中のトラックから別のトラックへ移動するシーク動作におけるステッピングモータ201の動作について説明する。
【0303】
まず、制御手段230は、光ディスク222に書き込まれた現在位置アドレスと目標位置アドレスとの比較からヘッド221の移動方法を決定する。例えば、移動距離が極めて短くトラック数本程度の場合は、ステッピングモータ201を回転させることなくトラッキングアクチュエータ(図示せず)の動作のみで移動する。また、移動距離が1mm程度の場合、マイクロステップ駆動手段236を用いステッピングモータ201をマイクロステップで駆動することにより目標トラックに移動する。
【0304】
それ以上の距離(長距離シーク)の場合、ステッピングモータ201は4段階、すなわち、起動、閉ループ駆動(第1の動作モード)による定速駆動、閉ループ駆動による減速、マイクロステップ駆動(第2の動作モード)による減速および停止、により駆動される。以下、それぞれの段階におけるステッピングモータ201の動作について説明する。
【0305】
まず起動にあたっては、制御手段230はヘッド201のトラッキングアクチュエータの動作を止める。次にステッピングモータ201の回転方向を決定する。ここでは回転方向を時計回り方向とする。この時点ではステッピングモータ201はマイクロステップ駆動手段236により駆動されている状態で、通常は静止している。次に、制御手段230はマイクロステップ駆動手段236がその出力により保持しているロータ202の起動前の角度位置情報、回転方向等の情報を閉ループ制御手段237に与えた後、指令値セレクタ234により閉ループ制御手段237の出力を選択する。閉ループ制御手段237は、これらの情報からあらかじめ定められた手順に従い駆動手段211へ電流指令値を出力する。これによりロータ202は回転を始め、起動が完了する。
【0306】
パルスが出力されはじめると、制御装置230は、指令値セレクタ234により指令振幅制御手段235の出力を選択し閉ループ駆動手段237による定速駆動に入る。
【0307】
閉ループ駆動手段237は、2値化回路210を経て出力される位置検出手段6のパルス(回転角4.5°で1パルスを出力)を分周し電流指令値を生成する。本実施の形態5においては、位置検出手段206のパルス4パルス毎に電流指令値を切り替える動作を行っている。既述のように、この動作により、電流指令値切り替えを行う角度位置(ロータ202とA相ステータ203及びB相ステータ204との相対角度)を常に同じにすることができ、脱調が発生しにくい等安定した駆動が可能となっている。
【0308】
また、閉ループ駆動手段237による駆動では、制御手段230から与えられる目標速度値に対しロータ202の回転速度値が一致するように閉ループの速度制御を行う。具体的には、速度比較器239が検出したロータ202の回転速度値と目標速度値との速度誤差の大きさに応じて、指令振幅制御手段235は、ロータ202の回転速度値を目標速度値に近づけるために、加速すべきか減速すべきか、またその駆動電流の振幅をどの程度の値にするかを決定し、駆動手段211に出力する電流指令値を変更する。
【0309】
この電流指令値の振幅を変えることにより駆動手段211が出力する駆動電流の振幅が変わり、ロータ202とA相ステータ203及びB相ステータ204間の吸引反発力の大きさが変わるので、これにより加減速を行うことができる。以上に記述した手順により、ヘッド221は閉ループ駆動により目標トラックに向かい高速で移動する。
【0310】
図16の上図は本実施の形態5のロータ202の減速動作における目標速度値を示す目標速度プロフィール、図16の下図は指令値セレクタ234が出力の減速動作における電流指令値を示すタイミングチャートである。前記で説明したように、定速駆動によりヘッド221が目標トラックに近づいてくると、制御手段は目標速度値を減速に切り替える。この減速動作は2段階で行われるので、それぞれの段階について図16を用いて順次説明する。また、電流指令値は簡単のためにA相またはB相ステータのうち一方のみを記載している。
【0311】
まず、図16の上図に示すように、減速の開始からある速度vに達するまでは、制御手段230は第1の動作モードにあり、指令値セレクタ234は指令振幅制御手段235の出力を選択して閉ループ駆動より減速制御を行う。閉ループ駆動による減速では、ヘッド221の移送速度をできるだけ短時間で減少させるため大きな減速率で減速を行う。本実施の形態5の場合、200000PPS/s=30m/s/sである。閉ループ駆動による減速動作は、基本的には既述した定速駆動における動作と同じである。ただし、ある一定の加速度で減速させるため制御手段230から送られる目標速度値は刻々変化する。
【0312】
ここで、指令振幅制御手段235が発生する電流指令値の振幅Ia(図16の下図参照)は、摩擦等の駆動負荷のばらつきや目標速度値の違いにより−127から+127の範囲で様々な値をとる。以下その理由を説明する。
【0313】
例えば、制御対象がある摩擦負荷を持ち、それによる自然減速の加速度がたまたま目標とする減速加速度と一致した場合には、目標速度値とロータ202の回転速度値の誤差が0になるので電流指令値の振幅Iaはほぼ0に制御される。摩擦負荷がばらつきにより大きいものについては、目標とする減速加速度より大きく減速してしまうため、電流指令値の振幅Iaは速度を回復するように加速方向に駆動するプラスの値となり、かつ摩擦負荷が大きいほどIaの振幅は大きくなる。また、摩擦負荷が小さいものについては、目標とする減速加速度よりゆるやかに減速してしまうため、電流指令値の振幅Iaは速度をさらに下げるために減速方向に駆動するマイナスの値になり、かつ摩擦負荷が小さいほどIaの振幅は小さくなる。
【0314】
次に、速度がある速度vまで低下すると、制御手段230は、駆動方法を第2の動作モード、すなわち精密な位置決めが可能なマイクロステップ駆動手段236に切り替える。この切り替え速度は、本実施の形態5の場合440PPS=66mm/sである。以下、マイクロステップ駆動における減速動作を説明する。
【0315】
まず、マイクロステップ駆動への切り替え後の目標速度値の減速加速度は、図16の上図に示すように、閉ループ駆動時の減速加速度と同じに設定する。さらに、時間経過に従って、トラッキングアクチュエータを動作させることが可能となる減速率まで減速率を次第に小さくしている。本実施の形態5においては、停止前の減速率は14000PPS/s=2.1m/s/s程度である。このように、駆動方法を切り替える前後で目標速度値の減速率を合わせると、減速率の急激な変化により発生する衝撃力をなくすることができ、不要振動の発生を防止できるので安定した制御が可能となる。
【0316】
また、マイクロステップ駆動では、電流指令値の波形(駆動電流の波形もほぼ同じ形状となる)は、例えば従来例の図26に示すような三角波状や、あるいは正弦波形状等で駆動し、その減速動作は、指令電流の周波数を下げる(電流波形を密から粗の状態に変化させる)ことにより行う。マイクロステップ駆動時は通常低速度であって速度検出手段238による検出精度が悪化する等の理由により、速度検出手段238の出力をモニタせずに開ループ制御で減速する。
【0317】
次に、マイクロステップ駆動における駆動電流の振幅の制御方法について説明する。マイクロステップ駆動では、マイクロステップ駆動手段236が出力する電流指令値の振幅Ibを、閉ループ駆動時の電流指令値の振幅Iaに応じて設定する。具体的な動作について以下に述べる。
【0318】
まず、振幅比較手段241は、マイクロステップ駆動に切り替える直前の閉ループ駆動時の電流指令値の振幅Iaを、数〜数十パルス分バッファに記憶しており、駆動方法を切り替える直前に、バッファに記憶したIaの平均値を算出し、その値を駆動振幅設定手段243に送る。この駆動振幅設定手段243は、記憶手段242に記憶されている、IaとIb(マイクロステップ駆動における電流指令値の振幅)の関係式に基づき、振幅比較手段241から送られるIaの平均値からIbを算出し、その結果をマイクロステップ駆動手段236に送る。
【0319】
ここで、記憶手段242に格納されているIaとIbの関係は、以下の(式5)で表される(図15参照)。
【0320】
Ib = k・|Ia| + C (式5)
(ただし、k、Cは正の定数)
ここでkおよびCは、本実施の形態5においてはk=0.76,C=30である。以下(式5)の関係について説明する。(式5)では、Iaの絶対値が小さいほどIbも小さくなるように関係付けられている。
【0321】
例えば、閉ループ駆動時において、摩擦負荷による自然減速の加速度と目標とする減速加速度がほぼ一致するような摩擦負荷の状態においては、目標速度値とロータ202の回転速度値の誤差が0になるので、Iaの値が0(すなわち駆動電流の振幅が0)に制御される。この場合には、Ibは最小の振幅値C(本実施の形態5では30)になるよう関係付けられている。Ibを小さな値に設定する理由について以下に述べる。本実施の形態5の目標速度プロフィール(図16の上図)においてはマイクロステップ駆動時の減速率を切り替え直前の閉ループ駆動の減速率と同じに設定しており、閉ループ駆動時と同様にマイクロステップ駆動においても自然減速の加速度が目標とする減速加速度に一致している。このためマイクロステップ駆動においても減速に殆ど駆動力を必要とせず、Ibが小さな値であっても脱調を起こすことがなく、かつ電流指令値の振幅を小さく抑えているのでマイクロステップ駆動に切り替える際に急激に大きな電流指令値を入力することがなく(駆動電流の振幅が急激に大きくなることがなく)、駆動力が急激に変化しないので不要振動の発生を防止することが可能である。
【0322】
また、図16の上図の目標速度プロフィールに示すように、停止前においては減速率を小さく(減速を緩やかに)設定しているが、このときの減速時の脱調を防ぐために減速率の低下に合わせて電流指令値の振幅を徐々に大きくし、最終的には閉ループ駆動からマイクロステップ駆動に切り替えたときの電流指令値の振幅Ibよりも大きな値に設定して目標位置での位置決めを行っている。また、k=0.76,C=30は、本実施の形態の5の設定値であって制御対象により異なる設定値となるのはもちろんである。
【0323】
次に、閉ループ駆動時において、摩擦負荷の大きさのばらつきにより、摩擦負荷による自然減速の加速度と目標とする減速加速度が異なるような状態においては、目標速度値まで実速度を回復するためには駆動電流による加速または減速のための外力が必要である。この必要な外力の値が電流指令値の振幅Iaとして得られる。この場合のIaに関係づけられるIbは、(式5)の関係よりIaが大きいほどIbも大きい。このように、摩擦負荷による自然減速の加速度と目標とする減速加速度が異なる場合には、マイクロステップ駆動時も脱調を防ぐためには比較的大きな駆動力を必要とするが、前記で説明したように、このときにはIaを参照して大きなIbを設定しているために、必要な駆動力が得られることになる。
【0324】
また、逆に言うと、脱調しない範囲でIbを小さく設定することができ、閉ループ駆動からマイクロステップ駆動に切り替える際の不要振動も最小に抑えることが可能である。
【0325】
以上説明したように本実施の形態5によれば、マイクロステップ駆動における電流指令値の振幅Ibと閉ループ駆動における電流指令値の振幅Iaとを(式5)の関係で関係付け、Ibをできる限り小さくすることで、マイクロステップ駆動へ切り替える際に駆動手段211がA相ステータ203,B相ステータ204へ送る駆動電流の振幅を小さくし、切り替え時に発生する急激な駆動力の変化を抑えることができるので、切り替え時に発生する衝撃や不要振動を小さくすることが可能となる。
【0326】
さらに、本実施の形態5によれば、摩擦負荷が大きい場合や、摩擦負荷が小さく制御対象がその速度を維持しようとする慣性力が大きい場合にも、マイクロステップ駆動における電流指令値の振幅Ibを、摩擦負荷や慣性力の大きさに応じて大きくするので、ロータ202とA相ステータ203及びB相ステータ204の間の吸引力を大きくでき脱調を防止することができる。
【0327】
なお、本実施の形態5では、閉ループ駆動における電流指令値の振幅Iaとマイクロステップ駆動における電流指令値の振幅Ibを(式5)により関係づけ、演算によってIaからIbを算出するが、代わりに図17に示すようなIaとIbを関係づけるテーブルを記憶手段244に記憶しておき、Iaの値からIbを検索する構成としても同等の効果を得ることができる。この場合、演算に要する時間を省略することが可能であるというメリットがある。また、図17に示すようなテーブルによってIaとIbを関係づけることにより、(式5)のような単純な関係式では表現できない関係、例えば、(式5)のkがIaの大きさによって異なりIaとIbが単純な比例関係にない、といった関係も、容易に表現できるというメリットがある。
【0328】
(実施の形態6)
本発明の実施の形態6におけるステッピングモータの制御装置の動作を、図18A,図18Bおよび図14を参照しながら説明する。
【0329】
図18Aは、閉ループ駆動時(第1の動作モード)における電流指令値の振幅と、マイクロステップ駆動時(第2の動作モード)における電流指令値の振幅との関係、図18Bは、図14の目標速度発生手段244が、別の目標速度発生手段244’によって作成され、制御対象をどのように減速させるかを指令する目標速度プロフィールを示す図である。
【0330】
本実施の形態6においては、実施の形態5の第1および第2の動作モードにおける電流指令値の振幅Ia,Ib間の関係を記憶した記憶手段242が、別関係を記憶した記憶手段242’であり、目標速度発生手段244が、別の目標速度発生手段244’とした点を除いて、構成、動作とも実施の形態5と同一である。
【0331】
以下、記憶手段242’に記憶された、第1の動作モードにおける電流指令値の振幅Iaと、第2の動作モードにおける電流指令値の振幅Ibの関係について述べる。
【0332】
まず、図18Bに示すように、本実施の形態6の目標速度プロフィールは、閉ループ駆動時の減速加速度よりマイクロステップ駆動時の減速加速度を小さくしている。この目標速度フロフィールでは、大きなトルクを発生できて減速加速度が大きくとれる閉ループ駆動で急激に減速することによって、トータルの減速時間を最小にできること、またマイクロステップ駆動への切り替え時から停止まで同一の減速加速度をとっているので、マイクロステップ駆動での速度制御が簡単であるというメリットがある。
【0333】
また、図18Aに示すように、マイクロステップ駆動手段236が出力する電流指令値の振幅Ibは、閉ループ駆動時の電流指令値の振幅Iaと(式6)の関係で関係付けられている。
【0334】
Ib = k’・│Ia+b│ + C’(式6)
ただし、k’,b,C’は正の定数である。また、Iaはステッピングモータを加速する方向に駆動電流を与える場合は正、ステッピングモータを減速する方向に駆動電流を与える場合は負の値をとる。
【0335】
ここでk’,bおよびC’は、本実施の形態6においてはk’=0.86、b=15、C’=30である。(式6)はマイクロステップ駆動時に脱調しない範囲でできる限りIbを小さくするように、IaとIbを関係付けている。
【0336】
以下に、(式6)の関係について説明する。閉ループ駆動時において、目標とする減速加速度と自然減速の加速度が一致するような摩擦負荷状態の場合を考えると、この状態は減速に最も駆動トルクを必要としない状態であるからIa=0である。Ia=0の摩擦負荷状態においてマイクロステップ駆動時に切り替わると、目標とする減速加速度が小さくなるので加速方向への駆動が必要であり、脱調を防止するためにある程度の駆動トルクが必要なため、Ibとしては所定の振幅を必要とする。つまり、Ia=0に対してIbに所定の振幅(本実施の形態6ではIb=k’b+ C’)が必要である。
【0337】
次に、Ia=0の状態に対して摩擦負荷が増している状態を考えると、目標とする減速加速度を維持するのに加速方向にさらに駆動トルクが必要であり、閉ループ駆動時においてIaが正方向に大となる。また、マイクロステップ駆動時においても、より大きな力で加速方向に駆動する必要があり、脱調しないようIbを大きくしていく必要がある。つまりIaが正の方向に大きくなるとIbも大きくなるよう関係付ける必要がある。
【0338】
また、Ia=0の状態に対して摩擦負荷が減っている状態を考えると、目標とする減速加速度を維持するのに減速方向にさらに駆動が必要であり、閉ループ駆動時においてIaが負方向に大となる。ここで、Iaが負の方向に大きくなる場合の、自然減速の加速度の変化を考えると、Ia=0の時、閉ループ駆動における目標とする減速加速度と一致しており、Iaが負方向に大きくなるに従い(摩擦負荷が小さくなるに従い)自然減速の加速度は小さくなってきて、ある時点(Ia=−bの点とする)で、マイクロステップ駆動時に目標とする減速加速度と一致する。
【0339】
この摩擦負荷状態は、マイクロステップ駆動時に最も脱調しにくい状態であり駆動トルクを殆ど必要としないため、Ibは最小の振幅値(C’)を関係付けることができる。つまり、Ia=−bに対して、Ib=C’と関係付ける。
【0340】
Ia=−bの状態からさらに摩擦負荷が減っている状態を考えると、自然減速の加速度がマイクロステップ駆動時の加速度より小さくなるので、減速方向に駆動トルクが必要となり脱調を防止するためIbは大きくする必要がある。つまりIa=−bの点からIaが小さくなると、Ibを大きくなるよう関係付ける必要がある。
【0341】
以上を総合すると、図18Aに示す目標速度プロフィールに対しては、脱調しない範囲でできるだけIbを小さくするために、図18Aに示すようにIaとIbを関係付ける必要があることがわかる。
【0342】
以上のことから、マイクロステップ駆動における電流指令値の振幅Ibと閉ループ駆動における電流指令値の振幅Iaとを(式6)の関係で関係付け、Ibを脱調しない範囲でできる限り小さくすることで、マイクロステップ駆動へ切り替える際に、駆動手段211がA相ステータ203,B相ステータ204へ送る駆動電流の振幅を小さくし、切り替え時に発生する急激な駆動力の変化を抑えることができるので、切り替え時に発生する衝撃や不要振動を小さくすることが可能となる。
【0343】
また、本実施の形態6によれば、摩擦負荷が大きい場合や、摩擦負荷が小さく制御対象がその速度を維持しようとする慣性力が大きい場合にも、マイクロステップ駆動における電流指令値Ibの振幅を、摩擦負荷や慣性力の大きさに応じて大きくするので、ロータ202とA相ステータ203及びB相ステータ204の間の吸引力を大きくでき脱調を防止することができる。
【0344】
(実施の形態7)
本発明の実施の形態7におけるステッピングモータの制御装置の動作を、図19A,図19Bおよび図14を参照しながら説明する。
【0345】
図19Aは、閉ループ駆動時(第1の動作モード)における電流指令値の振幅と、マイクロステップ駆動時(第2の動作モード)における電流指令値の振幅との関係、図19Bは、図14の目標速度発生手段244が、別の目標速度発生手段244”によって作成される、制御対象をどのように減速させるかを指令する目標速度プロフィールを示す図である。
【0346】
本実施の形態7においては、実施の形態5の第1および第2の動作モードにおける電流指令値の振幅Ia,Ib間の関係を記憶した記憶手段242が、別関係を記憶した記憶手段242”であり、目標速度発生手段244が、別の目標速度発生手段244”とした点を除いて、構成、動作とも実施の形態5と同一である。
【0347】
以下、記憶手段242”に記憶された、第1の動作モードにおける電流指令値の振幅Iaと、第2の動作モードにおける電流指令値の振幅Ibの関係について述べる。
【0348】
まず、図19Bに示すように、本実施の形態7の目標速度プロフィールは、閉ループ駆動時の減速加速度よりマイクロステップ駆動時の減速加速度を大きくしている。この目標速度プロフィールでは、マイクロステップ駆動への切り替え時から停止まで同一の減速加速度をとっているので、マイクロステップ駆動での速度制御が簡単であるというメリットがある。
【0349】
また、図19Aに示すように、マイクロステップ駆動手段236が出力する電流指令値の振幅Ibは、閉ループ駆動時の電流指令値の振幅Iaと(式7)の関係で関係付けられている。
【0350】
Ib = k”・│Ia−b’│ + C” (式7) ただし、k”,b’,C”は正の定数である。また、Iaはステッピングモータを加速する方向に駆動電流を与える場合は正、ステッピングモータを減速する方向に駆動電流を与える場合は負の値をとる。
【0351】
ここでk”,b’及びC”は、本実施の形態7においてはk”=0.86,b’=15,C”=30である。(式7)はマイクロステップ駆動時に脱調しない範囲でできる限りIbを小さくするように、IaとIbを関係付けている。
【0352】
以下、(式7)の関係について説明する。閉ループ駆動時において、目標とする減速加速度と自然減速の加速度が一致するような摩擦負荷状態の場合を考えると、この状態は減速に最も駆動トルクを必要としない状態であるからIa=0である。Ia=0の摩擦負荷状態においてマイクロステップ駆動時に切り替わると、目標とする減速加速度が大きくなるので減速方向への駆動が必要であり、脱調を防止するためにある程度の駆動トルクが必要なため、Ibとしては所定の振幅を必要とする。
【0353】
つまり、Ia=0に対してIbに所定の振幅(本実施の形態7ではIb=k”b’+ C”)が必要である。
【0354】
次に、Ia=0の状態に対して摩擦負荷が減っている状態を考えると、目標とする減速加速度を維持するのに減速方向にさらに駆動トルクが必要であり、閉ループ駆動時においてIaが負方向に大となる。また、マイクロステップ駆動時においても、より大きな力で減速方向に駆動する必要があり脱調しないようIbを大きくしていく必要がある。つまりIaが負の方向に大きくなるとIbも大きくなるように関係付ける必要がある。
【0355】
また、Ia=0の状態に対して摩擦負荷が増している状態を考えると、目標とする減速加速度を維持するのに加速方向にさらに駆動トルクが必要であり、閉ループ駆動時においてIaが正方向に大となる。ここで、Iaが正の方向に大きくなる場合の、自然減速の加速度の変化を考えると、Ia=0の時、閉ループ駆動における目標とする減速加速度と一致しており、Iaが正方向に大きくなるに従い(摩擦負荷が大きくなるに従い)自然減速の加速度は大きくなってきて、ある時点(Ia=b’の点とする)で、マイクロステップ駆動時に目標とする減速加速度と一致する。
【0356】
この摩擦負荷状態は、マイクロステップ駆動時に最も脱調しにくい状態であり駆動トルクを殆ど必要としないため、Ibは最小の振幅値(C”)を関係付けることができる。つまり、Ia=b’に対して、Ib=C”と関係付ける。
【0357】
Ia=b’の状態からさらに摩擦負荷が増している状態を考えると、自然減速の加速度がマイクロステップ駆動時の加速度より大きくなるので、加速方向に駆動トルクが必要であり脱調を防止するためIbは大きくする必要がある。つまりIa=b’の点からIaが大きくなると、Ibを大きくなるように関係付ける必要がある。
【0358】
以上を総合すると、図19Bに示す目標速度プロフィールに対しては、、脱調しない範囲でできるだけIbを小さくするために、図19Aに示すようにIaとIbを関係付ける必要があることがわかる。
【0359】
以上のような構成により、マイクロステップ駆動における電流指令値の振幅Ibと閉ループ駆動における電流指令値の振幅Iaとを(式7)の関係で関係付け、Ibを脱調しない範囲でできる限り小さくすることで、マイクロステップ駆動へ切り替える際に駆動手段211がA相ステータ203,B相ステータ204へ送る駆動電流の振幅を小さくし、切り替え時に発生する急激な駆動力の変化を抑えることができるので、切り替え時に発生する衝撃や不要振動を小さくすることが可能となる。
【0360】
また、本実施の形態7によれば、摩擦負荷が大きい場合や、摩擦負荷が小さく制御対象がその速度を維持しようとする慣性力が大きい場合にも、マイクロステップ駆動における電流指令値Ibの振幅を、摩擦負荷や慣性力の大きさに応じて大きくするので、ロータ202とA相ステータ203およびB相ステータ204の間の吸引力を大きくでき脱調を防止することができる。
【0361】
なお、前記した本発明の各実施の形態1−7における説明では、ステッピングモータの制御装置を光ディスクドライブのヘッド駆動に適用したものを述べている。しかし、本発明はこれらの形態に限定されるものではなく、これ以外の多くのステッピングモータの制御装置に適応が可能であることはいうまでもない。
【0362】
(産業上の利用可能性)
以上説明したように、本発明によれば、指令値発生手段が、励磁切替タイミング発生手段の出力に応じて、励磁コイルに正の第1駆動電流を与える第1の指令値と、第1駆動電流と方向が反転する負の第2駆動電流を与える第2の指令値と、第1駆動電流と第2駆動電流との間の値をとる第3駆動電流を与える第3の指令値とを切り替えて発生し、励磁コイルのインダクタンスによる励磁遅れを補償する方向に励磁の進み角を大きくした指令値を発生した後、前記進み角よりも励磁の進み角を小さくした指令値を発生することにより、誤差角が存在しても同じ駆動角のまま起動でき、実質的に、位相進め時間を更に大きく取ることができるため、低回転時の安定性を損なうことなく高速化することができる。
【0363】
また、指令値発生手段が第3の指令値を発生する際に、励磁コイルのインダクタンスによる励磁遅れを補償する方向に励磁の進み角を大きくした指令値を発生した後、タイマー手段の出力に応じて前記進み角よりも励磁の進み角を小さくした指令値を発生することにより、同じ駆動角のまま、実質的に、位相進め時間を更に大きく取ることができるため、低回転時の安定性を損なうことなく高速化することができる。
【0364】
また、第1,第2,第3の動作モードを切り替える制御手段が、ステッピングモータを所定量以上回転させるときに、制御手段自体が発生するタイミングにより指令値発生手段に指令値を発生させた後、前記第3の動作モードに切り替える第2の動作モードにおいて、指令値発生手段が、励磁コイルに正の第1駆動電流を与える第1の指令値と、第1駆動電流と方向が反転する負の第2駆動電流を与える第2の指令値と、第1駆動電流と第2駆動電流との間の値をとる第3駆動電流を与える第3の指令値とを発生し、さらに制御手段がロータの前記第1の動作モード時の角度位置に応じて8箇所以上の異なる指令値のパターンを持つことによって、電磁力により駆動させる角度位置が増え、回転させる角度ばらつきを減少させることができ、多少の誤差角が存在しても最大トルクが得られる駆動角で起動でき、起動失敗の可能性が大きく減少させることができるという効果を奏する。
【0365】
さらに本発明によれば、基準値がその時の速度に応じて変化するのでいかなる速度においても速度の低下を確実に検出でき高回転域での制御の外れを短時間で検出することと、低回転域での制御外れの誤検出を防ぐことを両立することができ、また、出力電圧の増大は時間の経過とともに漸増的に行われ、しかも通常の制御とまったく同様に速度誤差に比例する形でおこなわれるため、駆動系にモータ自身や伝達系の摩擦負荷のバラツキ等があっても確実にモータの停止を防止でき、大きなオーバーシュートが発生することもないという有利な効果が得られる。
【0366】
さらに本発明によれば、閉ループ駆動からマイクロステップ駆動に駆動方法を切り替える際に、閉ループ駆動時における駆動電流の振幅が小さければマイクロステップ駆動時における駆動電流の振幅を小さく設定するので、閉ループ駆動からマイクロステップ駆動に切り替える際に駆動電流の急激な変化が発生せず、不要振動の発生とロータの急停止等による脱調防止を両立することができ、安定した速度制御をすることができる。
【0367】
さらに、閉ループ駆動時における減速加速度とマイクロステップ駆動時における減速加速度を実質的に同一に設定したので、駆動方法を閉ループ駆動からマイクロステップ駆動に切り替える際に、その加速度変化がなく、不要振動の発生を防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1A】 図1Aは、本発明の実施の形態1におけるステッピングモータの制御装置の概略構成を示すブロック図。
【図1B】 図1Bは、実施の形態1における起動前のロータの角度位置θと強制駆動の指示値との関係を示す表である。
【図1C】 図1Cは、実施の形態1における起動前のロータの角度位置θと強制駆動の指示値との関係を示す表である。
【図2】 図2は、本発明の実施の形態1におけるA相,B相のステータの励磁コイルに印加される駆動電圧と、2値化回路の出力との時間関係を示すタイミングチャート。
【図3】 図3は、本発明の実施の形態1における図2に示すTaのタイミングでのロータと駆動の位相関係を示す図。
【図4】 図4は、本発明の実施の形態1におけるロータ位置が回転方向にずれていた場合のロータ位置と電磁力の関係を示す図。
【図5】 図5は、本発明の実施の形態2におけるステッピングモータの制御装置の概略構成を示すブロック図。
【図6】 図6は、本発明の実施の形態2におけるA相,B相のステータの励磁コイルに印加される駆動電圧と、2値化回路の出力との時間関係を示すタイミングチャート。
【図7】 図7は、本発明の実施の形態2における回転数が低く時間T<Tfgの場合の、図6に示すTaのタイミングでのA相,B相の電流の時間変化を示す図。
【図8】 図8は、本発明の実施の形態2における図6のTaのタイミングでのロータと駆動の位相関係を示す図。
【図9】 図9は、本発明のステッピングモータの制御装置の実施の形態3における構成を示すブロック図。
【図10】 図10は、本発明のステッピングモータの制御装置の実施の形態3におけるステッピングモータの閉ループ制御時のロータ位置と励磁位置関係の説明図。
【図11】 図11は、本発明のステッピングモータの制御装置の実施の形態3における第1の減速時の制御フローチャート。
【図12】 図12は、本発明のステッピングモータの制御装置の実施の形態4における構成を示すブロック図。
【図13】 図13は、本発明のステッピングモータの制御装置の実施の形態4における減速時の制御フローチャート。
【図14】 図14は、本発明の実施の形態5における光ディスクドライブに用いられるステッピングステッピングモータの制御装置の概略構成を示すブロック図。
【図15】 図15は、本発明の実施の形態5における記憶手段に格納した、第1および第2の動作モードにおける電流指令値の振幅Ia、Ib間の関係を示す図。
【図16】 図16の上図は、本発明の実施の形態5のロータの減速動作における目標速度値を示す目標速度プロフィール、図16の下図は、指令値セレクタが出力の減速動作における電流指令値を示すタイミングチャート。
【図17】 図17は、本発明の実施の形態5の記憶手段に格納した、電流指令値の振幅Iaと振幅Ibを関係づけるテーブル。
【図18A】 図18Aは、本発明の実施の形態6の閉ループ駆動時(第1の動作モード)における電流指令値の振幅と、マイクロステップ駆動時(第2の動作モード)における電流指令値の振幅との関係を示す図。
【図18B】 図18Bは、目標速度発生手段によって作成され、制御対象をどのように減速させるかを指令する目標速度プロフィールを示す図。
【図19A】 図19Aは、本発明の実施の形態7の閉ループ駆動時(第1の動作モード)における電流指令値の振幅と、マイクロステップ駆動時(第2の動作モード)における電流指令値の振幅との関係を示す図。
【図19B】 図19Bは、目標速度発生手段によって作成される、制御対象をどのように減速させるかを指令する目標速度プロフィールを示す図。
【図20A】 図20Aは従来のモータの制御装置を用いた光ディスクドライブの構成例を示す概略構成図である。
【図20B】 図20Bは、従来の、起動前のロータの角度位置Θと強制駆動の指示値との関係を示す表である。
【図21】 図21は従来のA相、B相ステータの励磁コイルに印加される駆動電圧と位置検出手段の出力との時間関係を示すタイミングチャートである。
【図22】 図22は従来の、図21に示すTaのタイミングにおけるロータと駆動の位相関係を示す図である。
【図23】 図23は従来例のロータ位置が回転方向にずれていた場合のロータ位置と電磁力の関係を示す図である。
【図24】 図24は従来例における速度制御動作を説明するためのフローチャートである。
【図25A】 図25Aは、従来の、指令振幅制御手段およびマイクロステップ駆動手段の出力する電流指令値の時間変化を示す励磁シーケンス説明図である。
【図25B】 図25Bは、従来の、指令振幅制御手段およびマイクロステップ駆動手段の出力する電流指令値の時間変化を示す励磁シーケンス説明図である。
【図26】 図26は、従来の、ロータの目標速度プロフィールと、指令値セレクタが出力する電流指令値を示すタイムチャート図である。

Claims (11)

  1. 円周方向に均等なピッチで角度θ°周期で磁極を形成したロータとM相(Mは2以上の整数で反転相を含まず)の励磁コイルとを有するステッピングモータと、
    前記励磁コイルへそれぞれの指令値に応じて複数段階の駆動電流を与える駆動手段と、
    前記駆動電流が少なくともK段階(Kは整数)の異なる値をとる前記指令値を発生する指令値発生手段と、
    前記ロータのθ回転に対応してn個(nは条件n≧M・Kを満たす整数)のパルスを発生する回転角検出手段と、
    前記回転角検出手段のn個のパルスからあらかじめ定めた順序でパルスを選択して、前記M相の各励磁コイルへの前記K段階の励磁切り替えタイミングを作成する励磁切替タイミング発生手段とを備え、
    前記指令値発生手段は、前記励磁切替タイミング発生手段の出力に応じて、前記励磁コイルに正の第1駆動電流を与える第1の指令値と、前記第1駆動電流と方向が反転する負の第2駆動電流を与える第2の指令値と、前記第1駆動電流と第2駆動電流との間の値をとる第3駆動電流を与える第3の指令値とを切り替えて発生する少なくとも3以上に前記K段階の値を設定し、励磁コイルのインダクタンスによる励磁遅れを補償する方向に励磁の進み角を大きくした指令値を発生した後、前記進み角よりも励磁の進み角を小さくした指令値を発生することを特徴とするステッピングモータの制御装置。
  2. 前記指令値発生手段はタイマー手段を有し、
    前記指令値発生手段が第3の指令値を発生する際に、励磁コイルのインダクタンスによる励磁遅れを補償する方向に励磁の進み角を大きくした指令値を発生した後、タイマー手段の出力に応じて前記進み角よりも励磁の進み角を小さくした指令値を発生することを特徴とする、請求項1記載のステッピングモータの制御装置。
  3. モータへの駆動電流によって制御対象の速度を制御するステッピングモータの制御装置であって、
    前記制御対象の一定の変位量に応じて検出パルス信号を発生する変位検出手段と、
    最後に発生した前記検出パルス信号から現在までの時間間隔を測定する計時手段と、
    前記計時手段の出力がある基準値を超えた場合に前記駆動電流を変化させる制御手段と、
    前記変位検出手段の出力に応じて前記基準値を更新する基準値更新手段とを備えたことを特徴とするステッピングモータの制御装置。
  4. 前記基準値更新手段は、前記変位検出手段が発生する検出信号同士の時間間隔を測定することにより制御対象の速度を検出する速度検出手段と、
    予め設定した対応関係に基づいて前記速度検出手段の出力を前記基準値に変換する変換手段を備え、
    前記変位検出手段が前記検出信号を発生する度に前記変換手段の出力を基準値として更新するようにしたことを特徴とする、請求項記載のステッピングモータの制御装置。
  5. 前記変換手段は、前記速度検出手段の出力と予め設定した許容加速度値とから許容速度を算出し、前記許容速度の逆数に比例するように前記基準値を発生することを特徴とする、請求項記載のステッピングモータの制御装置。
  6. ロータと励磁コイルとを備えたステッピングモータと、
    入力された指令値に応じて前記励磁コイルに駆動電流を与える駆動手段と、
    前記駆動手段に与える前記指令値を変化させて前記ステッピングモータを制御する制御手段と、
    前記ロータの回転変位に応じた検出信号を発生する変位検出手段と、
    最後に発生した前記検出信号から現在までの時間間隔を測定する計時手段とを備え、
    前記制御手段は第1の動作モードと第2の動作モードとの2つの動作モードを切り換え、前記第1の動作モードにおいては、前記制御部が自ら発生するタイミングに基づいて前記駆動手段に与える前記指令値を変化させ、前記第2の動作モードにおいては、前記変位検出手段の前記検出信号に応じたタイミングに基づいて前記駆動手段に与える前記指令値を変化させ、それによって前記ステッピングモータを制御し、
    前記制御手段は、計時手段の出力がある基準値を超えた場合に前記動作モードを前記第2の動作モードから前記第1のモードに切り換えることを特徴とするステッピングモータの制御装置。
  7. 前記基準値は、予め設定された一定値であることを特徴とする、請求項記載のステッピングモータの制御装置。
  8. 前記変位検出手段の出力に応じて前記基準値を更新する基準値更新手段を更に備え、
    前記変位検出手段が前記検出信号を発生する度に、前記基準値更新手段が予め設定した対応関係に基づいて速度検出手段の出力を前記基準値に変換して更新することを特徴とする、請求項記載のステッピングモータの制御装置。
  9. 可動子と励磁コイルとを備えたステッピングモータと、
    前記励磁コイルに与える駆動電流の振幅と励磁相を制御する制御手段と、
    前記可動子の位置に応じた検出信号を発生する位置検出手段とを備え、
    前記制御手段は、第1の動作モードと第2の動作モードとの2つの動作モードを切り替え可能に設け、
    前記第1の動作モードにおいては、前記位置検出手段の検出信号に応じたタイミングに基づいて前記駆動電流の励磁相を制御し、
    前記第2の動作モードにおいては、前記制御手段がみずから発生するタイミングに基づいて前記駆動電流の励磁相を制御すると共に、
    前記制御手段の動作モードを前記第1の動作モードから前記第2のモードに切り替える際には、前記第1の動作モードにおける前記駆動電流の振幅に応じて、前記第2の動作モードにおける前記駆動電流の最大振幅を設定し、
    前記制御手段は、予め設定した目標速度プロフィールに合わせてステッピングモータの速度制御を行い、
    前記制御手段は、第1の動作モードにおいて第1の減速加速度で前記ステッピングモータを減速した後に、第2の動作モードにおいて第2の減速加速度で前記ステッピングモータを減速し、
    前記制御手段は、前記第1の減速加速度と前記第2の減速加速度とを実質的に同一に設定すると共に、前記第1の動作モードにおける駆動電流の振幅が小さいほど、前記第2の動作モードにおける駆動電流の最大振幅を小さくし、
    前記第1の動作モードにおける前記駆動電流の振幅Iaと、前記第2の動作モードにおける前記駆動電流の振幅Ibとに下記の数式の関係を与えたことを特徴とする、ステッピングモータの制御装置。
    Ib = k・|Ia| + C
    ただし、k,Cは正の定数、Iaはステッピングモータを加速する方向に駆動電流を与える場合は正、ステッピングモータを減速する方向に駆動電流を与える場合は負の値をとる。
  10. 可動子と励磁コイルとを備えたステッピングモータと、
    前記励磁コイルに与える駆動電流の振幅と励磁相を制御する制御手段と、
    前記可動子の位置に応じた検出信号を発生する位置検出手段とを備え、
    前記制御手段は、第1の動作モードと第2の動作モードとの2つの動作モードを切り替え可能に設け、
    前記第1の動作モードにおいては、前記位置検出手段の検出信号に応じたタイミングに基づいて前記駆動電流の励磁相を制御し、
    前記第2の動作モードにおいては、前記制御手段がみずから発生するタイミングに基づいて前記駆動電流の励磁相を制御すると共に、
    前記制御手段の動作モードを前記第1の動作モードから前記第2のモードに切り替える際には、前記第1の動作モードにおける前記駆動電流の振幅に応じて、前記第2の動作モードにおける前記駆動電流の最大振幅を設定し、
    前記制御手段は、予め設定した目標速度プロフィールに合わせてステッピングモータの速度制御を行い、
    前記制御手段は、第1の動作モードにおいて第1の減速加速度で前記ステッピングモータを減速した後に、第2の動作モードにおいて第2の減速加速度で前記ステッピングモータを減速し、
    前記制御手段は、前記第1の減速加速度を前記第2の減速加速度よりも大きく設定すると共に、前記第1の動作モードにおける前記駆動電流の振幅Iaと前記第2の動作モードにおける前記駆動電流の振幅Ibとに下記の数式の関係を与えたことを特徴とするステッピングモータの制御装置。
    Ib = k’・│Ia+b│ + C’
    ただし、k’,b,C’は正の定数、Iaはステッピングモータを加速する方向に駆動電流を与える場合は正、ステッピングモータを減速する方向に駆動電流を与える場合は負の値をとる。
  11. 可動子と励磁コイルとを備えたステッピングモータと、
    前記励磁コイルに与える駆動電流の振幅と励磁相を制御する制御手段と、
    前記可動子の位置に応じた検出信号を発生する位置検出手段とを備え、
    前記制御手段は、第1の動作モードと第2の動作モードとの2つの動作モードを切り替え可能に設け、
    前記第1の動作モードにおいては、前記位置検出手段の検出信号に応じたタイミングに基づいて前記駆動電流の励磁相を制御し、
    前記第2の動作モードにおいては、前記制御手段がみずから発生するタイミングに基づいて前記駆動電流の励磁相を制御すると共に、
    前記制御手段の動作モードを前記第1の動作モードから前記第2のモードに切り替える際には、前記第1の動作モードにおける前記駆動電流の振幅に応じて、前記第2の動作モードにおける前記駆動電流の最大振幅を設定し、
    前記制御手段は、予め設定した目標速度プロフィールに合わせてステッピングモータの速度制御を行い、
    前記制御手段は、第1の動作モードにおいて第1の減速加速度で前記ステッピングモータを減速した後に、第2の動作モードにおいて第2の減速加速度で前記ステッピングモータを減速し、
    前記制御手段は、前記第1の減速加速度を前記第2の減速加速度よりも小さく設定すると共に、前記第1の動作モードにおける前記駆動電流の振幅Iaと前記第2の動作モードにおける前記駆動電流の振幅Ibとに下記の数式の関係を与えたことを特徴とするステッピングモータの制御装置。
    Ib = k”・│Ia−b’│ + C”
    ただし、k”,b’,C”は正の定数、Iaはステッピングモータを加速する方向に駆動電流を与える場合は正、ステッピングモータを減速する方向に駆動電流を与える場合は負の値をとる。
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