JP4464736B2 - 管体の引抜き加工方法および同システム - Google Patents

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Description

本発明は、素管の偏肉を修正することのできる管体の引抜き加工方法および同システム等に関する。
従来、管体の製造方法として引抜き加工が知られている。この引抜き加工では、引抜きを繰り返すだけでも素管の偏肉が矯正されるが、さらに引抜きダイスのダイス軸と素管の引抜き方向とのなす角度や素管の中心軸とダイス軸の位置をあえてずらすことによって、積極的に偏肉を矯正する行う方法が提案されている。
たとえば、下記特許文献1には、ダイスの上流側で素管を案内する素管ガイドを素管の偏肉を修正させる方向に移動させたり、引抜きダイスを傾斜させることによって素管の偏肉修正を行う方法について基本的な知見が開示されている。
また、下記特許文献2には、引抜き中にダイスに作用する圧力を検出し、この圧力が大きい部分をより圧力が大きくなるようにダイスを傾斜させることにより、素管の偏肉を矯正する方法が開示されている。
また、下記特許文献3および特許文献4には、ダイスの出口側で引抜き後の管体の肉厚を検出し、これに基づいてダイスの傾斜方向および傾斜角度あるいは素管ガイドの位置等を調整することによって、素管の偏肉を矯正する方法が開示されている。
特開昭54−149359号公報 特開昭60−30518号公報 特開昭61−1412号公報 特開平2−59111号公報
しかしながら、上記特許文献1では、素管偏肉修正の基本的な知見が開示されているものの、どのようにして素管ガイドおよび引抜きダイスの移動や傾斜の程度を設定するか明確でなく、実現性が乏しい。
また、上記特許文献2〜4に開示された方法は、いずれも引抜き中あるいは引抜き後の管体の偏肉状態等に応じて、適宜、素管ガイドの移動や引抜きダイスの傾斜を行うものであるため、複雑な制御機構を必要とし、コスト高を招くという問題がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、簡素な制御機構で管体の偏肉を矯正することができる管体の引抜き方法および同システム等を提供することを目的とする。
本発明は、下記の手段を提供する。すなわち、
[1]引抜きダイスを用いた管体の引抜き加工方法であって、
各素管の偏肉方向を予め設定された特定方向に向けるように前記素管を回転させ、
引抜き加工対象となる複数の素管の偏肉量分布に応じて設定される変位量だけ、前記引抜きダイスの上流側で素管ガイドに案内される前記素管の中心位置を、前記引抜きダイスのダイス軸に対して、前記特定方向に相対的に変位させた状態で、前記複数の素管に対する引抜き加工を実行することを特徴とする管体の引抜き加工方法。
[2]引抜き加工実行前の前記複数の素管の偏肉量分布を示す偏肉量分布情報を取得し、この偏肉量分布情報に基づいて前記変位量を設定することを特徴とする前項1に記載の管体の引抜き加工方法。
[3]前記偏肉量分布情報は、前記複数の素管の一部に対して偏肉量の測定を行うことにより取得することを特徴とする前項2に記載の管体の引抜き加工方法。
[4]前記変位量は、前記偏肉量分布において最多度数の偏肉量を有する素管が、前記引抜き加工後において偏肉量が0となるように設定することを特徴とする前項2または3に記載の管体の引抜き加工方法。
[5]前記変位量は、前記引抜き加工後の偏肉量の許容範囲内に収まる素管が最大量となるように設定することを特徴とする前項2または3に記載の管体の引抜き加工方法。
[6]前記変位量は、前記引抜き加工前において偏肉量が0の素管が、前記引抜き加工後においても引抜き加工後の偏肉量の許容範囲内に収まるように設定することを特徴とする前項2または3に記載の管体の引抜き加工方法。
[7]前記素管ガイドの位置を前記変位量だけ前記特定方向に移動させることにより、前記素管ガイドに案内される前記素管の中心位置の前記ダイス軸に対する相対的な位置を変位させることを特徴とする前項1〜6のいずれかに記載の管体の引抜き加工方法。
[8]前記引抜き加工に先立って、各素管の偏肉方向を測定することを特徴とする前項1〜7のいずれかに記載の管体の引抜き加工方法。
[9]前記素管の回転は、前記素管の厚肉部を下方に向けるように行うことを特徴とする前項1〜8のいずれかに記載の管体の引抜き加工方法。
[10]偏肉方向が所定の特定方向に向けられてセットされる素管に対し、その外周面を加工する引抜きダイスと、
前記引抜きダイスの上流側で前記素管を前記引抜きダイスのダイス孔に案内する素管ガイドと、を備えた引抜き加工システムであって、
前記引抜きダイスと前記素管ガイドとは、引抜き加工対象となる複数の素管の偏肉量分布に応じて設定される変位量だけ、前記引抜きダイスの上流側で素管ガイドに案内される前記素管の中心位置が前記引抜きダイスのダイス軸に対して前記特定方向に相対的に変位するように配置されていることを特徴とする管体の引抜き加工システム。
[11]各素管の偏肉方向を予め設定された特定方向に向けるように前記各素管を回転させる素管回転手段を備えたことを特徴とする前項10に記載の管体の引抜き加工システム。
[12]各素管の偏肉方向を取得する偏肉方向取得手段を備えたことを特徴とする前項11に記載の管体の引抜き加工システム。
[13]前記偏肉方向取得手段は、各素管の偏肉方向を測定する偏肉方向測定手段であることを特徴とする前項12に記載の管体の引抜き加工システム。
[14]前記偏肉方向測定手段は、各素管の端部開口から前記素管の偏肉方向を測定することを特徴とする前項13に記載の管体の引抜き加工システム。
[15]前記偏肉方向測定手段は、前記素管を回転させる回転駆動手段と、回転する前記素管の内周面および外周面の相対的な変位から各周方向位置の肉厚を検出する肉厚測定手段と、検出された各周方向位置の肉厚から前記素管の偏肉方向を算出する偏肉方向算出手段と、を備え、
前記回転駆動手段は、算出された偏肉方向に応じて前記素管の偏肉方向を前記特定方向に向けるように前記素管を回転させることによって前記素管回転手段として機能することを特徴とする前項14に記載の管体の引抜き加工システム。
[16]前記素管回転手段は、前記素管の厚肉部を下方に向けるように前記管体を回転させることを特徴とする前項11〜15のいずれかに記載の管体の引抜き加工システム。
[17]前記素管回転手段により偏肉方向が特定方向に向けられた前記素管を、前記引抜きダイスによる引抜き加工開始位置まで、その姿勢を維持しながら搬送する搬送手段を備えたことを特徴とする前項11〜16のいずれかに記載の管体の引抜き加工システム。
[18]前記複数の素管の偏肉量分布を示す偏肉量分布情報を取得する偏肉量分布情報取得手段と、
前記偏肉量分布情報に応じて前記変位量を算出する変位量算出手段と、
前記複数の素管に対する引抜き加工を実行する際には、前記素管ガイドに案内される前記素管の中心位置が前記ダイス軸に対して前記特定方向に前記変位量だけ相対的に変位させる変位形成手段と、を備えたことを特徴とする前項10〜17のいずれかに記載の管体の引抜き加工システム。
[19]各素管の偏肉方向を予め設定された特定方向に向けるように前記素管を回転させる素管回転装置と、
偏肉方向が前記特定方向に向けられた複数の素管に対して順次引抜き加工を実行する引抜き加工装置と、を備えた管体の引抜き加工システムであって、
前記素管回転装置は、前記素管を回転させる回転駆動手段と、回転する前記素管の内周面および外周面の相対的な変位から各周方向位置の肉厚を検出する肉厚測定手段と、検出された各周方向位置の肉厚から前記素管の偏肉方向を算出する偏肉方向算出手段と、を備え、前記回転駆動手段は、前記偏肉方向算出手段によって算出された偏肉方向に応じて前記素管の偏肉方向を前記特定方向に向けるように前記素管を回転させるように構成され、
前記引抜き加工装置は、素管の外周面を加工する引抜きダイスと、前記引抜きダイスの上流側で前記素管を前記引抜きダイスのダイス孔に案内する素管ガイドと、を備え、前記引抜きダイスと前記素管ガイドとは、引抜き加工対象となる複数の素管の偏肉量分布に応じて設定される変位量だけ、前記引抜きダイスの上流側で前記素管ガイドに案内される前記素管の中心位置が前記引抜きダイスのダイス軸に対して前記特定方向に相対的に変位するように配置されていることを特徴とする管体の引抜き加工システム。
[20]素管の外周面を加工する引抜きダイスと、前記引抜きダイスの上流側で前記素管を前記引抜きダイスのダイス孔に案内する素管ガイドと、を備え、前記引抜きダイスと前記素管ガイドとは、引抜き加工対象となる複数の素管の偏肉量分布に応じて設定される変位量だけ、前記引抜きダイスの上流側で前記素管ガイドに案内される前記素管の中心位置が前記引抜きダイスのダイス軸に対して前記特定方向に相対的に変位するように配置された管体の引抜き加工装置に対し、引抜き加工対象となる素管を供給する素管回転装置であって、
素管を回転させる回転駆動手段と、
回転する前記素管の内周面および外周面の相対的な変位から各周方向位置の肉厚を検出する肉厚測定手段と、
検出された各周方向位置の肉厚から前記素管の偏肉方向を算出する偏肉方向算出手段と、を備え、
前記回転駆動手段は、前記偏肉状態算出手段によって算出された偏肉方向に応じて前記素管の偏肉方向を前記特定方向に向けるように前記素管を回転させるように構成されたことを特徴とする素管回転装置。
[21]管体を製管し、前記管体に対して前項1〜9のいずれかに記載の管体の引抜き加工方法を実行することを特徴とする管体の製造方法。
[22]管体を製管する製管装置と、前項10〜19のいずれかに記載の管体の引抜き加工システムとを備えたことを特徴とする管体の製造システム。
[23]管体に対して、前項1〜9のいずれかに記載の管体の引抜き加工方法を実行することにより製造されたことを特徴とする引抜き加工製品。
[24]管体に対して、前項1〜9のいずれかに記載の管体の引抜き加工方法を実行することにより製造されたことを特徴とする感光ドラム用素管。
[25]管体に対して、前項1〜9のいずれかに記載の管体の引抜き加工方法を実行することにより製造されたことを特徴とする感光ドラム用基体。
上記発明[1]にかかる管体の引抜き加工方法は、引抜きダイスを用いた管体の引抜き加工方法であって、各素管の偏肉方向を予め設定された特定方向に向けるように前記素管を回転させ、引抜き加工対象となる複数の素管の偏肉量分布に応じて設定される変位量だけ、前記引抜きダイスの上流側で素管ガイドに案内される前記素管の中心位置を、前記引抜きダイスのダイス軸に対して、前記特定方向に相対的に変位させた状態で、前記複数の素管に対する引抜き加工を実行することを特徴としており、各素管毎に偏肉矯正程度(素管ガイドと引抜きダイスとの相対変位量)を変更するのではなく、一旦設定した変位量で複数の素管に対して引抜き加工が実行されるので、簡素な制御機構で偏肉矯正を伴う引抜き加工を実行することができる。また、素管ガイドと引抜きダイスとの相対変位が特定方向に限定されるが、素管の偏肉方向が揃えられるので、多くの素管に対して偏肉矯正作用を与えることができる。また、設定される変位量は複数の素管の偏肉量分布に応じて設定されるものであるため、この引抜き加工工程に供給される複数の素管の偏肉量の分布傾向に対応して適切な偏肉矯正量を設定することができる。
上記発明[2]にかかる管体の引抜き加工方法によると、引抜き加工実行前の前記複数の素管の偏肉量分布を示す偏肉量分布情報を取得し、この偏肉量分布情報に基づいて前記変位量を設定するようにしたため、複数の素管に対して偏肉量を低減させるための変位量を適切に設定することができる。
上記発明[3]にかかる管体の引抜き加工方法によると、前記偏肉量分布情報は、前記複数の素管の一部に対して偏肉量の測定を行うことにより取得するようにしたため、より確実に適切な変位量を設定することができる。
上記発明[4]にかかる管体の引抜き加工方法によると、前記変位量は、前記偏肉量分布において最多度数の偏肉量を有する素管が、前記引抜き加工後において偏肉量が0となるように設定するため、より多くの素管を、偏肉のない適正な管体に加工することができる。
上記発明[5]にかかる管体の引抜き加工方法によると、前記変位量は、前記引抜き加工後の偏肉量の許容範囲内に収まる素管が最大量となるように設定するため、より多くの素管を良品として、歩留まりを向上させることができる。
上記発明[6]にかかる管体の引抜き加工方法によると、前記変位量は、前記引抜き加工前において偏肉量が0の素管が、前記引抜き加工後においても引抜き加工後の偏肉量の許容範囲内に収まるように設定するため、過剰な偏肉矯正が行われることを未然に防止し、引抜き加工後の素管の曲がり等の不良を低減することができる。
上記発明[7]にかかる管体の引抜き加工方法によると、前記素管ガイドの位置を前記変位量だけ前記特定方向に移動させることにより、前記素管ガイドに案内される前記素管の中心位置の前記ダイス軸に対する相対的な位置を変位させるようにするため、素管ガイドに案内される素管の中心位置のダイス軸に対する相対的な変位を、簡素な構成で実現することができる。
上記発明[8]にかかる管体の引抜き加工方法によると、前記引抜き加工に先立って、各素管の偏肉方向を測定するようにするため、素管の偏肉方向を正確に前記特手方向に向けることができ、適切な偏肉矯正を伴う引抜き加工を行うことができる。
上記発明[9]にかかる管体の引抜き加工方法によると、前記素管の回転は、前記素管の厚肉部を下方に向けるように行うこととするため、回転後の素管はその下側が相対的に重くなることで姿勢(偏肉方向の向き)が安定するため、より確実に精度の高い偏肉矯正を行うことができる。
上記発明[10]にかかる管体の引抜き加工システムは、偏肉方向が所定の特定方向に向けられてセットされる素管に対し、その外周面を加工する引抜きダイスと、前記引抜きダイスの上流側で前記素管を前記引抜きダイスのダイス孔に案内する素管ガイドと、を備えた引抜き加工システムであって、前記引抜きダイスと前記素管ガイドとは、引抜き加工対象となる複数の素管の偏肉量分布に応じて設定される変位量だけ、前記引抜きダイスの上流側で素管ガイドに案内される前記素管の中心位置が前記引抜きダイスのダイス軸に対して前記特定方向に相対的に変位するように配置されていることを特徴としているため、各素管毎に偏肉矯正程度(素管ガイドと引抜きダイスとの相対変位量)を変更するのではなく、一旦設定した変位量で複数の素管に対して引抜き加工が実行されるので、簡素な制御機構で偏肉矯正を伴う引抜き加工を実行することができる。また、素管ガイドと引抜きダイスとの相対変位が特定方向に限定されるが、素管の偏肉方向が揃えられるので、多くの素管に対して偏肉矯正作用を与えることができる。また、設定される変位量は複数の素管の偏肉量分布に応じて設定されるものであるため、この引抜き加工工程に供給される複数の素管の偏肉量の分布傾向に対応して適切な偏肉矯正量を設定することができる。
上記発明[11]にかかる引抜き加工システムによると、各素管の偏肉方向を予め設定された特定方向に向けるように前記各素管を回転させる素管回転手段を備えるため、当該システム内で各素管の偏肉方向を特定方向に向けて引抜き加工を実行することができる。
上記発明[12]にかかる引抜き加工システムによると、各素管の偏肉方向を取得する偏肉方向取得手段を備えるため、当該システム内で各素管の偏肉方向を確実に特定方向に向けて引抜き加工を実行することができる。
上記発明[13]にかかる引抜き加工システムによると、前記偏肉方向取得手段は、各素管の偏肉方向を測定する偏肉方向測定手段であるようにするため、当該システム内で測定された各素管の偏肉方向に基づいて各素管の偏肉方向を特定方向に向け、確実な偏肉矯正を行うことができる。
上記発明[14]にかかる引抜き加工システムによると、前記偏肉方向測定手段は、各素管の端部開口から前記素管の偏肉方向を測定するようにするため、素管の外周面および内周面の位置を把握することができるため、たとえば偏肉状態を素管の外側のみから検出する場合と比較して、より確実かつ正確に素管の偏肉方向を測定して、偏肉矯正を行うことができる。
上記発明[15]にかかる引抜き加工システムによると、前記偏肉方向測定手段は、前記素管を回転させる回転駆動手段と、回転する前記素管の内周面および外周面の相対的な変位から各周方向位置の肉厚を検出する肉厚測定手段と、検出された各周方向位置の肉厚から前記素管の偏肉方向を算出する偏肉方向算出手段と、を備え、前記回転駆動手段は、算出された偏肉方向に応じて前記素管の偏肉方向を前記特定方向に向けるように前記素管を回転させることによって前記素管回転手段として機能するようにするため、回転させながら偏肉方向が測定された素管を引き続き回転させて偏肉方向を特定方向に向けることができるため、簡素な構造で、偏肉方向の測定から回転に至る作業を効率的に行うことができ、また素管が損傷する可能性も低減することができる。
上記発明[16]にかかる引抜き加工システムによると、前記素管回転手段は、前記素管の厚肉部を下方に向けるように前記管体を回転させるようにするため、回転後の素管はその下側が相対的に重くなることで姿勢(偏肉方向の向き)が安定し、より確実に精度の高い偏肉矯正を行うことができる。
上記発明[17]にかかる引抜き加工システムによると、前記素管回転手段により偏肉方向が特定方向に向けられた前記素管を、前記引抜きダイスによる引抜き加工開始位置まで、その姿勢を維持しながら搬送する搬送手段を備えたようにするため、素管の偏肉方向を確実に特定方向に向けた状態で偏肉矯正を伴う引抜き加工を行うことができる。
上記発明[18]にかかる引抜き加工システムによると、前記複数の素管の偏肉量分布を示す偏肉量分布情報を取得する偏肉量分布情報取得手段と、前記偏肉量分布情報に応じて前記変位量を算出する変位量算出手段と、前記複数の素管に対する引抜き加工を実行する際には、前記素管ガイドに案内される前記素管の中心位置が前記ダイス軸に対して前記特定方向に前記変位量だけ相対的に変位させる変位形成手段と、を備えたようにするため、引抜き加工システムに供給される複数の素管の偏肉量の分布傾向の変化等にも対応して適切な偏肉矯正量を設定することができる。
上記発明[19]にかかる引抜き加工システムは、各素管の偏肉方向を予め設定された特定方向に向けるように前記素管を回転させる素管回転装置と、偏肉方向が前記特定方向に向けられた複数の素管に対して順次引抜き加工を実行する引抜き加工装置と、を備えた管体の引抜き加工システムであって、前記素管回転装置は、前記素管を回転させる回転駆動手段と、回転する前記素管の内周面および外周面の相対的な変位から各周方向位置の肉厚を検出する肉厚測定手段と、検出された各周方向位置の肉厚から前記素管の偏肉方向を算出する偏肉方向算出手段と、を備え、前記回転駆動手段は、前記偏肉方向算出手段によって算出された偏肉方向に応じて前記素管の偏肉方向を前記特定方向に向けるように前記素管を回転させるように構成され、前記引抜き加工装置は、素管の外周面を加工する引抜きダイスと、前記引抜きダイスの上流側で前記素管を前記引抜きダイスのダイス孔に案内する素管ガイドと、を備え、前記引抜きダイスと前記素管ガイドとは、引抜き加工対象となる複数の素管の偏肉量分布に応じて設定される変位量だけ、前記引抜きダイスの上流側で前記素管ガイドに案内される前記素管の中心位置が前記引抜きダイスのダイス軸に対して前記特定方向に相対的に変位するように配置されていることを特徴とするものであるため、素管回転装置においては、回転させながら偏肉方向が測定された素管を引き続き回転させて偏肉方向を特定方向に向けることができるため、簡素な構造で、偏肉方向の測定から回転に至る作業を効率的に行うことができ、また素管が損傷する可能性も低減することができる一方、引抜き加工装置においては、各素管毎に偏肉矯正程度(素管ガイドと引抜きダイスとの相対変位量)を変更するのではなく、一旦設定した変位量で複数の素管に対して引抜き加工が実行されるので、簡素な制御機構で偏肉矯正を伴う引抜き加工を実行することができる。
上記発明[20]にかかる素管回転装置は、素管の外周面を加工する引抜きダイスと、前記引抜きダイスの上流側で前記素管を前記引抜きダイスのダイス孔に案内する素管ガイドと、を備え、前記引抜きダイスと前記素管ガイドとは、引抜き加工対象となる複数の素管の偏肉量分布に応じて設定される変位量だけ、前記引抜きダイスの上流側で前記素管ガイドに案内される前記素管の中心位置が前記引抜きダイスのダイス軸に対して前記特定方向に相対的に変位するように配置された管体の引抜き加工装置に対し、引抜き加工対象となる素管を供給する素管回転装置であって、素管を回転させる回転駆動手段と、回転する前記素管の内周面および外周面の相対的な変位から各周方向位置の肉厚を検出する肉厚測定手段と、検出された各周方向位置の肉厚から前記素管の偏肉方向を算出する偏肉方向算出手段と、を備え、前記回転駆動手段は、前記偏肉状態算出手段によって算出された偏肉方向に応じて前記素管の偏肉方向を前記特定方向に向けるように前記素管を回転させるように構成されたことを特徴とするものであるので、回転させながら偏肉方向が測定された素管を引き続き回転させて偏肉方向を特定方向に向けることができるため、簡素な構造で、偏肉方向の測定から回転に至る作業を効率的に行った上で、素管を引抜き加工に供給することができる。
上記発明[21]にかかる管体の製造方法は、管体を製管し、前記管体に対して上記いずれかの管体の引抜き加工方法を実行するものであるので、偏肉の少ない管体を効率的に製造することができる。
上記発明[22]にかかる管体の製造システムは、管体を製管する製管装置と、上記いずれかの管体の引抜き加工システムとを備えたものであるので、偏肉の少ない管体を効率よく製造することができる。
上記発明[23]にかかる引抜き加工製品は、管体に対して、上記のいずれかに記載の管体の引抜き加工方法を実行することにより製造されたものであるので、偏肉が少なく、各種用途に好適に使用することができる。
上記発明[24]にかかる感光ドラム用素管は、管体に対して、上記のいずれかに記載の管体の引抜き加工方法を実行することにより製造されたものであるので、偏肉が少なく、感光ドラム用素管として好適に使用することができる。
上記発明[25]にかかる感光ドラム用基体は、管体に対して、上記のいずれかに記載の管体の引抜き加工方法を実行することにより製造するようにしたため、偏肉が極めて少なく、感光ドラム用基体として好適に使用することができる。
以下、本発明にかかる管体の引抜き加工方法および同システムについて図面を参照しながら説明する。
この実施形態にかかる引抜き加工方法等は、管体(素管)に対する引抜き加工により、管体を縮管させるとともに、管体の偏肉を解消あるいは軽減するものである。
なお、管体(素管)の偏肉とは、管体1の肉厚に周方向についての変化があることをいう。図1(a)は偏肉のある管体1の断面図、図1(b)は偏肉のない管体1の断面図である。偏肉量とは、最大肉厚と最小肉厚との差をいう。偏肉方向とは、管体(素管)の半径方向のうち、特定の偏肉傾向が現れた方向をいい、たとえば、最大肉厚の部分への厚肉方向が挙げられる。
本発明では、このような偏肉量および偏肉方向は管体の長さ方向について変化しない管体(素管)を対象としている。すなわち、偏肉方向(厚肉方向)がスパイラル的になっていない管体を対象としている。このような管体の偏肉は、たとえば押出加工によって発生する。
また、対象とする管体(素管)の長さは特に限定されるものではないが、たとえば2m程度である。管体の径も特に限定されない。
本発明によって製造される管体の用途もまた、特に限定されるものではなく、引抜き加工製品全般であるが、特に偏肉を矯正して高い形状制度を有する管体が得られる点から、たとえば感光ドラム用素管等の用途が好適である。
また、対象とする管体(素管)の材質は特に限定されるものでなく、引抜き加工に用いられる全ての金属材料を適用することができる。たとえば、アルミニウムおよびアルミニウム合金(1000〜7000系)、銅および銅合金、鋼材、マグネシウムおよびマグネシウム合金を挙げることができる。
特に好ましい材質の例として、アルミニウム合金の3003合金、6061合金、6051合金および7075合金を挙げることができる。たとえば3003合金は好ましくは感光ドラム用基体として用いることができ、6061合金は好ましくは自動車部品であるプロペラシャフトとして用いることができ、6051合金は好ましくは一般機械部品として用いることができ、7075合金は好ましくはバット用素管として用いることができる。なお、本明細書中の「アルミニウム」はアルミニウム合金を含むものである。
(引抜き加工システムの全体構成)
図2は、この実施形態にかかる管体の引抜き加工システム2の全体構成を示す機能ブロック図である。この図2に示すように、引抜き加工システム2は、素管回転装置3と、搬送装置4と、引抜き加工装置5とから構成されている。以下、各装置の構成について順に説明する。
(素管回転装置)
素管回転装置3は、素管1の偏肉方向を予め設定された特定方向に向けるように素管を回転させるものである。この素管回転装置3は、引抜き加工システム2の構成要素としては、素管回転手段として機能するものである。
また、この実施形態における素管回転装置3は、後述するように偏肉方向を測定して取得することから、システム2の構成要素としては、偏肉方向測定手段および偏肉方向取得手段として機能するものである。
また、この実施形態における素管回転装置3は、後述するように一部の素管に対しては、偏肉方向の測定とともに偏肉量も測定して取得するようになっている。
図3(a)は、この素管回転装置3の全体概略を示す正面図である。図3(b)は、この素管回転装置3にセットされた素管の状態を示す側面断面図である。
この素管回転装置3は、図3(a)に示すように、支持ローラ31…と、駆動モータ32と、回転量検出器33と、変位検出器34,35と、変位検出器支持台36と、回転コントローラ37とを備えている。
支持ローラ31…は、素管1を回転可能な状態で支持するものである。この支持ローラ31…は、図3(a)に示すように、素管1の長手方向の両端近傍を含む複数箇所で、図3(b)に示すように、周方向に離れた複数箇所(ここでは2箇所)にそれぞれ配置され、素管1を安定して支持する。この支持ローラ31…は、回転駆動手段の一部として機能する。なお、この支持ローラ31…によって支持されているときの素管1の位置を肉厚測定位置311と呼ぶ。
駆動モータ32は、前記支持ローラ31…の少なくとも1つを回転駆動するものである。こうして支持ローラ31…が回転駆動されることにより、支持ローラ31…上の素管1も周方向に回転する。この駆動モータ32は、回転駆動手段の一部として機能する。
回転量検出器33は、支持ローラ31…の回転量(回転角度)を検出するものである。この支持ローラ31…の回転量(回転角度)から、素管1の回転量(回転角度)を求めることができる。
変位検出器34,35は、回転する素管1の内周面11および外周面12の変位を検出するものである。この実施形態においては、変位検出器34,35は、それぞれ素管1の内周面11および外周面12に接触するセンサヘッド341,351を備えており、これらセンサヘッド341,351の変位から素管1の内周面11および外周面12の変位を検出する接触式変位センサから構成されている。変位検出器34は、素管1の端部開口13から素管1の内部にセンサヘッド341を挿し込み素管1の内周面11の変位を検出する。一方、変位検出器35は、この素管1の内側のセンサヘッド341にちょうど対向する位置で外周面12の変位を検出する。これら変位検出器34,35によって検出される変位を合わせる(あるいは引く)ことで、回転する素管1の各周方向位置における肉厚(素管1の周方向についての肉厚の変化)を求めることができる。これら変位検出器34,35は、肉厚測定手段の一部として機能する。
変位検出器支持台36は、変位検出器34,35を支持するものである。この変位検出器支持台36は、変位検出器34,35を互いに離間させるように図3(a)中に矢印で示す上下方向に移動させる変位検出器離間手段361,361を備えている。変位検出器34,35は、この移動により、図3(a)中の破線で示す位置に移動できる。また、変位検出器支持台36は、図3(a)中に矢印で示す水平方向(素管1の長手方向)に移動動作するための支持台移動手段362を備えている。変位検出器支持台36は、この移動により図3(a)中に破線で示す位置に移動できる。これら変位検出器離間手段361,361および支持台移動手段362により、素管1を支持ローラ31上にセットする際等には、変位検出器34,35のセンサヘッド341,351を素管1と干渉しない位置に退避させることができる。
回転コントローラ37は、演算回路、記憶回路、インタフェース回路等を備えたパーソナルコンピュータ等からなり、素管回転装置3の各動作を統括的に制御するものである。
具体的には、回転コントローラ37は、支持ローラ31…上に素管1がセットされる際には、変位検出器34,35のセンサヘッド341,351が素管1と干渉しないように、支持台移動手段362に制御指示を発して変位検出器支持台36ごと変位検出器34,35を退避させる。支持ローラ31…上に素管1がセットされれば、回転コントローラ37は、変位検出器離間手段361に制御指示を発して変位検出器34,35の両センサヘッド341,351を離間させた状態で、変位検出器34のセンサヘッド341が素管1の端部開口13から内側に挿し込まれるように支持台移動手段362により変位検出器支持台36ごと変位検出器34,35を移動させる。そして、回転コントローラ37は、変位検出器離間手段361に制御指示を発して変位検出器34,35の両センサヘッド341,351を接近させ、素管1の内周面11および外周面12に接触させて、素管1の肉厚を計測可能とする。
また、回転コントローラ37は、支持ローラ31…上にセットされた素管1に対し、駆動モータ32に回転動作の制御指示を発して、素管1を周方向に回転させる。この点において回転コントローラ37は、回転駆動手段の一部として機能する。
また、回転コントローラ37は、支持ローラ31…上の素管1を回転させる際には、回転量検出器33が検出する支持ローラ31の回転量に基づいて、素管1の回転量(回転角度、周方向位置)を算出する。
また、回転コントローラ37は、支持ローラ31…上の素管1を回転させる際には、変位検出器34,35が検出する素管1の内周面11および外周面12の変位量から素管1の各周方向位置における肉厚を検出する。図4(a)は、こうして算出される素管1の各周方向位置における肉厚を示すグラフの例である。
また、回転コントローラ37は、検出された各周方向位置の肉厚から素管の偏肉方向を算出する。すなわち、回転コントローラ37は、偏肉方向算出手段として機能する。図4(a)の例では、素管1にとって周方向位置αに肉厚が最大となる厚肉部が存在している。したがって、偏肉方向として厚肉方向を採用するなら、その厚肉方向は角度αである。そしてこの厚肉部から約半周進んだ周方向位置に薄肉部が存在している。図4(b)は、図4(a)の素管断面の例である。素管回転方向を左回転とすると、素管1上の肉厚測定対象部位は右回転にずれていくため、肉厚測定開始の0°の位置から右回転方向にαだけ進んだ位置に厚肉部が存在し、そこからさらに約半周分進んだ位置に薄肉部が存在している。
また、回転コントローラ37は、素管1の偏肉方向が算出されれば、回転量検出器33の検出値から素管1の回転量(回転角度)を検出しながら、駆動モータ32に回転動作の制御指示を発して、素管1の偏肉方向を予め設定された特定方向に向けるように素管1を回転させる。具体的には、この実施形態では、素管1の厚肉部(厚肉方向)を下方に向けるように素管1を回転させる。すなわち、前記特定方向を下方としている。
また、回転コントローラ37は、一部の素管1については、上述した偏肉方向の算出とともに、厚肉部と薄肉部との肉厚の差から偏肉量を算出し、適宜、引抜き加工装置5の引抜きコントローラ56に送信する。こうして引抜きコントローラ56に送信される一部の素管1についての偏肉量は、後述するように、引抜き加工対象となる複数の素管1…の偏肉量分布を算出し、さらに引抜き加工における素管の偏肉を矯正する程度を設定するために用いられる。
(搬送装置)
搬送装置4は、素管回転装置3により偏肉方向を特定方向に向けられた素管1を、その姿勢を維持して偏肉方向を前記特手方向に向けたまま、後述する引抜き加工装置5まで搬送するものである。この点において、この搬送装置4は、管体の引抜き加工システム2の中では、搬送手段として機能するようになっている。この実施形態では、素管1の厚肉部を下方に向けて搬送される。
なお、この搬送装置4は、素管回転装置3から引抜き加工装置5までの搬送だけでなく、本実施形態にかかる引抜き加工システム2の上流側工程で製造された素管1を素管回転装置3に搬送することも行うようになっている。
図5は、搬送装置4の全体構成図である。
搬送装置4は、複数の搬送台41…と、搬送レール42と、第1の移送手段43と、第2の移送手段44と、搬送コントローラ45とを備えている。
搬送台41…は、その上に載置される素管1を支持するものである。この搬送台41…は、それぞれ素管1の長手方向の複数箇所(たとえば両端近傍の2箇所)に配置された複数が一組となって、1本の素管1を支持する。搬送台41…は、図5に示すように、このような組が複数設けられている。各搬送台41は、上面がV字型に形成されたブロック体として構成され、素管1の外周面2の下側の周方向位置の異なる2箇所に接触するようになっている。これにより、素管1はその姿勢が安定し、素管1を周方向に回転させることなく搬送することができるようになっている。また、搬送台41…には、搬送レール42上を所定の搬送方向に移動するための移動駆動手段411が設けられている。
搬送レール42は、複数の搬送台41…を支持しながら、各搬送台41…の移動方向を所定の搬送方向(図5の左右方向)に規制するものである。この搬送レール42は、本実施形態にかかる引抜き加工システム2に供給される素管1を受け取る受け取り位置421から、素管回転装置3に素管1を移送し、また素管回転装置3から素管1を受け取る第1ピックアップ位置422を経て、引抜き加工装置5に素管1を移送する第2ピックアップ位置423まで設けられている。なお、第2ピックアップ位置423まで移動してきた搬送台41…は、図示しない戻りルートを経て前記受け取り位置421に移動できるようになっている。
第1の移送手段43は、第1ピックアップ位置422に位置する搬送台41上の素管1を素管回転装置3に移送して上述した支持ローラ31…上の肉厚測定位置311にセットするとともに、素管回転装置3において肉厚測定等を完了した素管1を前記肉厚測定位置311からもとの搬送台41上に移送するものである。具体的には、搬送台41および上述した支持ローラ31…と干渉しないように、これらと長手方向位置の異なる複数の位置に素管1を下側から支持する移送台431が配置されている。そして、この移送台431を移動駆動させる移送台駆動手段432により、この移送台431を第1ピックアップ位置422と前記肉厚測定位置311との間で移動させることによって、素管1を移送するようになっている。この移送台431も、上述した搬送台41と同様にその上面がV字型に形成され、移送台431上の素管1が周方向に回転しないようになっている。これにより、素管回転装置3によって、偏肉方向が特定方向に向けられた状態のまま、素管1を素管回転装置3からもとの搬送台41上に戻すことができるようになっている。
第2の移送手段44は、第2ピックアップ位置423に位置する搬送台41上の素管1を引抜き加工装置5に移送して、引抜き加工が開始される際の素管1の位置(引抜き加工開始位置)59に素管1を移送するものである。具体的には、上述した第1の移送手段43と同様に、搬送台41と干渉しないように、これと長手方向位置の異なる複数の位置に素管1を下側から支持する移送台441が配置され、この移送台441を移動駆動させる移送台駆動手段442により、この移送台441を第2ピックアップ位置423と前記引抜き加工開始位置59との間で移動させることによって、素管1を移送するようになっている。この移送台441も、上述した搬送台41と同様にその上面がV字型に形成され、移送台441上の素管1が周方向に回転しないようになっている。これにより、素管回転装置3によって、偏肉方向が特定方向に向けられた状態のまま、素管1を搬送台41上から引抜き加工装置5にセットすることができるようになっている。
搬送コントローラ45は、演算回路、記憶回路、インタフェース回路等を備えたパーソナルコンピュータ等からなり、搬送装置4の各動作を統括的に制御するものである。
具体的には、搬送コントローラ45は、受け取り位置421で素管1が載置された搬送台41がそれぞれ先行する搬送台41に干渉しない範囲で順次搬送方向下流側に移動するように、各搬送台41…の移動駆動手段411に対し、適宜移動動作指示を行う。
また、搬送コントローラ45は、素管回転装置3の回転コントローラ37との間でそれぞれの動作の進行状態情報を送受し、適宜、素管1が第1ピックアップ位置422に位置する搬送台41上と素管回転装置3の肉厚測定位置311との間で移送されるように、第1の移送手段43の移送台駆動手段432に対し移送動作指示を行う。
また、搬送コントローラ45は、引抜き加工装置5の後述する引抜きコントローラ56との間でそれぞれの動作の進行状態情報を送受し、適宜、素管1が第2ピックアップ位置423に位置する搬送台41上から引抜き加工装置5の引抜き加工開始位置57に移送されるように、第2の移送手段44の移送台駆動手段442に対し移送動作指示を行う。
(引抜き加工装置)
引抜き加工装置5は、偏肉方向が予め特定方向に向けられた素管1に対して引抜き加工を実行するものである。
図6は、この引抜き加工装置5の全体概略を示す正面図である。この図6は、引抜き加工の実行中の状態を表している。
この引抜き加工装置5は、図6に示すように、引抜きダイス51と、素管ガイド52と、プラグ53と、プラー54と、レール55と、引抜きコントローラ56とを備えている。
引抜きダイス51は、素管1の外周面12を加工するものである。引抜きダイス51には、引抜き方向に貫通するダイス孔511が設けられている。このダイス孔511は、引抜き方向上流側のテーパー状の案内部512と、引抜き後の素管1の外周面12の形状を形作る円筒面状のベアリング部513とを含む。このベアリング部513の中心を貫く仮想的な直線をダイス軸514と呼ぶ。
引抜きダイス51は、ダイスホルダー515を介して接地しているダイスフレーム517に取り付けられている。
引抜きダイス51は、ダイスホルダー515に設けられたダイス収容凹部516に収容され、図示省略のダイス押さえ部材によってダイスホルダー511に対して固定されている。ダイス収容凹部516は引抜きダイス51より若干大きく形成されており、引抜きダイス51は引抜き方向に直交する上下左右位置をダイスホルダー515に対して調整することができる。
ダイスホルダー515は、ダイスフレーム517に設けられた球面座518と球面接触しており、ダイス傾斜調整ボルト519の締付力によってダイスフレーム517に対する傾斜角度が調整できるようになっている。
このような取付形態により、引抜きダイス51は、そのダイス軸514の上下左右位置および傾斜角度を調整することができる。この実施形態では、引抜きダイス51のダイス軸514は、後述する引抜き軸545と一致するように予め調整され、引抜き後の素管1の曲がりを防止するようになっている。
素管ガイド52は、引抜きダイス51の上流側で素管1を引抜きダイス51のダイス孔511に案内するものである。素管ガイド52には、引抜き方向に貫通する円筒孔が設けられており、この円筒孔は、引抜き加工直前の素管1の外周面12のほぼ全周と接触する案内面521となっている。素管1は、この案内面521によって、素管ガイド52に案内される際の素管1の中心位置522が決定されている。なお、この中心位置522とは、完全に適正な形状を有する理想的な素管1を想定して、この素管1が素管ガイド52に案内されている部分の断面の中心位置をいう。この実施形態では、素管ガイド52の案内面521が素管1の外周面12の全周と接触する円筒面形状に構成されているため、この円筒面形状の幾何学的な中心位置が、素管ガイド52に案内される素管1の中心位置522に一致している。
素管ガイド52は、接地しているガイドフレーム523に取り付けられている。素管ガイド52は、ガイドフレーム523に設けられたガイド収容凹部524に収容され、引抜き方向の上流側から押さえ部材525によって押さえられている。
図7は、押さえ部材525を外した状態における素管ガイド52の側面図である。この図7に示すように、ガイド収容凹部524は、上下方向について素管ガイド52より大きく構成され、素管ガイド52がガイドフレーム523に対して上下に移動動作できるようになっている。また、ガイド収容凹部524の左右幅は素管ガイド52の左右幅とほぼ一致するように寸法設定され、素管ガイド52がその左右外側面でガイド収容凹部524の左右内側面に接触することで、素管ガイド52がガイドフレーム523に対して左右方向に移動したり、傾斜することが防止されている。また、ガイド収容凹部524の引抜き方向についての幅も素管ガイドの引抜き方向についての幅とほぼ一致するように寸法設定され、素管ガイド52が引抜き方向の上流側から押さえ部材525によって押さえられることで、素管ガイド52がガイドフレーム523に対して引抜き方向について移動したり、傾斜することが防止されている。このようにガイドフレーム523のガイド収容凹部524および押さえ部材525による素管ガイド52の取付構造は、素管ガイド52の移動方向を、素管回転装置3において素管1の偏肉方向(厚肉部の向き)を向けた下向きを含む、上下方向のみに規制する移動方向規制手段として機能している。
素管ガイド52の上部には、回転自在にボールネジ526が取り付けられ、このボールネジ526はガイド収容凹部524上方のガイドフレーム523を貫通している。ガイドフレーム523の上部には、このボールネジ526を回転駆動する駆動モータ527が取り付けられている。この駆動モータ527は、後述する引抜きコントローラ56の制御指示に応じて、ボールネジ526を回転駆動し、素管ガイド52を各素管1の偏肉量に応じたガイド変位量(ガイド移動量)だけ上下方向に移動動作させる。この点から、これらボールネジ526および駆動モータ527は、変位形成手段として機能するものである。なお、このガイド変位量は、引抜き加工対象となる複数の素管1の偏肉量分布に基づき、引抜き加工装置5の引抜きコントローラ56において算出され、設定される。そして、複数の素管1に対して、同じガイド変位量のもとで引抜き加工が実行されるようになっている。
図8は、素管ガイド52を変位させた状態を模式的に表現した説明図である。この図8に示すように、ガイド変位量は、素管ガイド52に案内される素管1の中心位置522が、引抜きダイス51のダイス軸514上の位置からずれた変位量として表すことができる。
プラグ53は、素管1の内周面11を加工するものである。プラグ53は、引抜き加工前の素管1の内部で、プラグ支持棒531によって引抜き方向上流側(図6の左側)から支持されている。プラグ53の引抜き方向についての位置は、引抜きダイス51の案内部512からベアリング513に対応する位置となっている。この実施形態では、このようなプラグ53を用いることで素管1を縮管するとともに薄肉化する塑性加工ができるようになっている。
プラー54は、素管1の先端部分を掴んでレール55上を走り、素管1を引抜きダイス51から引き抜くものである。プラー54は、素管1の先端部分を掴むチャック部541と、レール55上を走る台車部542と、台車部542に接続されるチェーン543と、チェーン543を巻き取ることにより台車部542を引抜き方向に引っ張る巻き取り機544とを備えている。プラー54がレール55を走るときの、チャック部541に掴まれた素管1の先端近傍における素管1の中心位置の軌跡を引抜き軸545と呼ぶ。なお、この引抜き軸545を決定するための素管1の中心位置とは、完全に適正な形状を有する理想的な素管1を想定してた場合の素管断面の中心位置をいう。上述したようにこの実施形態では、引抜きダイス51のダイス軸514がこの引抜き軸545と一致するように予め調整され、引抜き後の素管1の曲がりを防止するようになっている。
レール55は、引抜き方向に延びるように設けられ、プラー54を走行させるものである。前記引抜き軸543の直線性は、このレール55によって決定されるため、レール55は十分に高い精度で正確に設置される。
引抜きコントローラ56は、演算回路、記憶回路、インタフェース回路等を備えたパーソナルコンピュータ等からなり、引抜き加工装置5の各動作を統括的に制御するものである。
具体的には、引抜きコントローラ56は、素管回転装置3の回転コントローラ37から、適宜、素管回転装置3において一部の素管について測定された偏肉量にかかる情報を受信し、これから加工対象となる複数の素管1…の偏肉量分布示す偏肉量分布情報を算出して取得する。引抜きコントローラ56は、この点から、偏肉量分布情報取得手段として機能する。この偏肉量分布情報は、引抜き加工装置5において用いるべきガイド移動量を算出するためのものである。また、複数の素管1…とは、同じガイド移動量のもとで引抜き加工が実行される素管の集合である。具体的には、たとえば、素管製造(製管工程)におけるロット単位、各日の始業から終業までに引抜き加工対象とする素管、100本あるいは1000本といった定量数の素管等々を挙げることができる。この実施形態では、引抜き加工装置5による引抜き加工工程前の素管回転装置3において複数の素管1…のうちの一部について偏肉量を実際に測定し、引抜きコントローラ56で測定された一部の素管1の偏肉量に基づいて複数の素管1…の全体の偏肉量分布を算出するようになっている。実際に測定する一部の素管1…の本数は、統計的に信頼できる偏肉量分布が得られる数量ならば特に限定されない。
図9(a)は、こうして算出される偏肉量分布を図示したものである。なお、この偏肉量分布は、偏肉方向によらず偏肉量のみの分布を示したものである。このような偏肉量分布は、一般に、カイ二乗分布状の分布曲線を示し、偏肉量が0ではないところがピーク(最大度数)となる。図9(a)では偏肉量pにおいて分布のピークが現れている。
引抜きコントローラ56は、こうして算出した複数の素管1の偏肉量分布情報に応じて、引抜き加工装置5において用いるべきガイド移動量を算出する。ガイド移動量とは、引抜き加工装置5において行うべき偏肉矯正の程度を示す制御量であり、具体的には素管ガイド52に案内される素管1の中心位置522を引抜きダイス51のダイス軸514に対して相対的に変位させる変位量である。引抜きコントローラ56は、この点から、変位量算出手段として機能する。以下、このガイド移動量(変位量)の算出について説明する。
このガイド移動量の算出には、引抜き前の偏肉量と、これを矯正して引抜き後に偏肉量が0とするための矯正量(ガイド移動量)との定量的な関係が用いられる。図10は、この関係を表現したグラフの一例である。この関係は、引抜きダイス51の形状、引抜きダイス51に対する素管ガイド52の引抜き方向についての位置をはじめとする引抜き加工装置5の構成や、引抜き加工対象とする素管1の材質、大きさ、形状等によって異なるが、種々の実験結果から経験的に求めることができる。たとえば引抜き加工装置5の構成および素管1の材質等を特定しておき、引抜き前の偏肉量が同じ複数の素管について種々のガイド移動量を設定しながら引抜き加工を実行し、引抜き加工後の偏肉量を測定すれば、その引抜き前偏肉量に対して偏肉を0にできる適切なガイド移動量を求めることができる。
図11は、引抜き前偏肉量が30μmの複数の素管において、種々のガイド移動量と、引抜き加工後の偏肉量との関係の一例を示すグラフである。この図11の例の場合では、ガイド移動量が80μmで引抜き後の偏肉量が0となっているため、30μmの引抜き前偏肉量に対しては、80μmのガイド移動量が適正であることが分かる。こうして、種々の引抜き前偏肉量に対して適正なガイド移動量を順次求めていくことで、たとえば図10に示したような引抜き前の偏肉量と適正なガイド移動量との関係が得られる。引抜きコントローラ56内には、この図10に示すグラフのような関係が、たとえばデータテーブル等の形式によって記憶されている。
ガイド移動量(変位量)の算出は、この図10に示すような関係を前提として、複数の素管1…の偏肉量分布に基づいて行われる。このガイド移動量(変位量)の算出する際の具体的な方針として、たとえば以下の3つの方針を例示することができる。
(i)引抜き後の偏肉量が0となる素管の数の最大化
この方針(i)は、偏肉量分布におけるピーク(最多度数)の偏肉量(引抜き前偏肉量)に対して、引抜き後の偏肉量が0となるように、ガイド移動量(変位量)を設定するものである。図9(b)は、図9(a)の引抜き前の偏肉量分布を示す複数の素管1…に対し、この方針(i)に従った引抜き加工を行った場合の、引抜き加工後の偏肉量分布を概念的に示したグラフである。この図9(b)に示すように、この方針(i)に従った引抜き加工を実行すると、偏肉量分布のピークの偏肉量を有していた素管1…は偏肉量が0となるので、引抜き加工後の偏肉量分布は偏肉量がほぼ0の部分をピークとしたものとなる。したがって、この方針(i)によれば、より多くの素管を、偏肉のない適正な管体に加工することができる。
なお、引抜き加工を行うとガイド移動量(変位量)を0としていても一般に偏肉矯正作用が働くために偏肉量分布のグラフ形状は若干変化するが、説明の簡単のため、ここではこの作用を考慮していない。
(ii)引抜き後の偏肉量が許容範囲(合格範囲)に入る素管の数の最大化
この方針(ii)は、引抜き加工後の素管に求められる偏肉量の許容範囲(合格範囲)を考慮して、この許容範囲内に収まる素管の数が最大量となるようにガイド移動量(変位量)を設定するものである。図9(c)は、図9(a)の引抜き前の偏肉量分布を示す複数の素管1…に対し、この方針(ii)に従った引抜き加工を行った場合の、引抜き加工後の偏肉量分布を概念的に示したグラフである。この図9(b)に示すように、この方針(ii)に従った引抜き加工を実行すると、引抜き加工後の偏肉量分布では、許容範囲内に収まる素管の数が最大量となり、より多くの素管を、偏肉量が許容される程度以下の良品として、歩留まりを向上させることができる。
なお、引抜き加工を行うとガイド移動量(変位量)を0としていても一般に偏肉矯正作用が働くために偏肉量分布のグラフ形状は若干変化するが、説明の簡単のため、ここではこの作用を考慮していない。この作用を考慮するならば、様々なガイド移動量を設定した場合における引抜き加工後の偏肉量分布をそれぞれシミュレートし、許容範囲に収まる素管の数が最大となるガイド移動量を見つけだせばよい。
(iii)引抜き前偏肉量が0の素管を引抜き後も許容範囲(合格範囲)内に
上記方針(i)や(ii)によれば、より多くの素管を偏肉量に関して良品といえる状態に加工することができるが、この偏肉矯正の程度が過剰になると、引抜き加工後の素管に曲がりが生じるなど、偏肉以外の不良等が発生するおそれが高まる。この方針(iii)によれば、このような過剰な偏肉矯正を未然に防止することができる。図9(d)は、図9(a)の引抜き前の偏肉量分布を示す複数の素管1…に対し、この方針(iii)に従った引抜き加工を行った場合の、引抜き加工後の偏肉量分布を概念的に示したグラフである。この図9(d)に示すように、この方針(iii)に従った引抜き加工を実行すると、引抜き前に偏肉量が0であった素管は、引抜き後にも多少の偏肉を生じるものの、許容範囲内の小さな偏肉量に収まっている。この方針(iii)では、上記方針(i)や(ii)と比較すると、引抜き後に偏肉量の許容範囲に入る素管の数(歩留まり)は低下する可能性はあるものの、引抜き加工前に偏肉量について良品であった素管が偏肉量について不良品になってしまうほどの過剰な偏肉矯正を未然に防止することができる。
なお、引抜き加工を行うとガイド移動量(変位量)を0としていても一般に偏肉矯正作用が働くために偏肉量分布のグラフ形状は若干変化するが、説明の簡単のため、ここではこの作用を考慮していない。この作用を考慮するならば、様々なガイド移動量を設定した場合における引抜き加工後の偏肉量分布をそれぞれシミュレートし、引抜き前に偏肉がない素管が、許容範囲に収まるガイド移動量を見いだし、この中から、たとえば上記方針(ii)のように引抜き後に偏肉量の許容範囲に収まる素管の数が最大となるガイド移動量を見つけだせばよい。
引抜きコントローラ56は以上のようにしてガイド移動量を算出するが、引抜きコントローラ56はこうして算出したガイド移動量を実現するべく、駆動モータ527に回転動作の制御指示を発して、素管ガイド52を前記特定方向に移動させる。具体的には、この実施形態では、素管ガイド52を下方に移動動作させる。すなわち、前記特定方向を下方としている。引抜きコントローラ56は、変位形成手段として機能する。なお、こうして素管ガイド52を移動させるのは、複数の素管1…に対する引抜き加工を開始するときだけであって、各素管1に対して順次引抜き加工を実行していく際には、素管ガイド52の位置は固定されている。
また、引抜きコントローラ56は、搬送装置4の搬送コントローラ45との間でそれぞれの動作の進行状態情報を送受し、搬送装置4によって素管1が引抜き加工装置5の引抜き加工開始位置59に移送されれば、その素管1に対して、引抜き加工を実行する。プラー54のチャック部541に制御指示を発してその素管1の先端部をチャックさせ、巻き取り機544に制御指示を発してプラー54を走らせ、引抜きダイス51およびプラグ53による塑性加工を伴う引抜き加工を実行する。なお、この実施形態では、引抜き加工開始位置59は、素管1の先端部が素管ガイド52および引抜きダイス51を貫通してプラー54に掴まれる位置である。また、この引抜き加工を実行する時には、システムを操作・管理するオペレータ等から作業開始許可の指示を受けるようにしてもよい。
(引抜き加工方法の手順)
次に、以上のように構成された管体の引抜き加工システム2における引抜き加工方法の手順について説明する。
まず、この引抜き加工システム2においては、図5に示したように、搬送装置4の受け取り位置421において素管1が搬入される。
搬送装置4は、搬入された素管1を搬送台41で第1ピックアップ位置422に搬送し、第1の移送手段43によって素管回転装置3の肉厚測定位置311に移送する。
素管回転装置3は、肉厚測定位置311にセットされた素管1に対して、偏肉方向の測定を行う。具体的には、素管回転装置3は、支持ローラ31を回転駆動して素管1を回転させながら、変位検出器34,35によって素管1の内周面11および外周面12の変位を検出することにより各周方向位置における素管1の肉厚の変化を得て、これから偏肉方向を算出する。この実施形態では、偏肉方向として厚肉部の向きを採用している。
また、素管回転装置3は、一部の素管1については、偏肉方向の算出とともに偏肉量をも算出する。この一部の素管1とは、同じガイド移動量(変位量)のもとで加工を行う複数の素管1…のうち、たとえば初めの30本等を対象とすればよい。素管回転装置3は、算出した一部素管1…の偏肉量の情報を適宜引抜き加工装置5に送信する。
偏肉方向が算出されれば、素管回転装置3は、この偏肉方向が特定方向に向けられるように、さらに素管1を回転させる。この実施形態では特定方向として下向きを採用している。
つづいて搬送装置4は、素管回転装置3において偏肉方向、すなわち厚肉部の向きが特定方向、すなわち下向きに向けられた素管1を、その偏肉方向を変えないで第1の移送手段43によって第1ピックアップ位置422のもとの搬送台41に戻す。そして、搬送装置4は、搬送台41で第2ピックアップ位置423に搬送し、その偏肉方向を変えないで第2の移送手段44によって引抜き加工装置5の引抜き加工開始位置59に移送する。
一方、引抜き加工装置5は、引抜き加工対象である複数の素管1…が順次移送されてくるのに先だって、上述したように素管回転装置3において測定された一部の素管1…の偏肉量を素管回転装置3から受信しておく。そして、この一部の素管1…の偏肉量から判明する偏肉量分布情報に基づき、上述した方針(i)〜(iii)等のもとで、これから移送されてくる今回の複数の素管1…に適用するガイド移動量(変位量)を算出する。このガイド移動量(変位量)は、各素管1…に対しては必ずしも最適ではないが、複数の素管1…の全体を集合としてみれば、この集合における偏肉状態を好転させることができるものである。方針(i)〜(iii)のいずれを用いるかは、たとえば作業者等が決定して引抜きコントローラ56に入力すればよい。
こうして引抜き加工装置5は、複数の素管1…が移送されるのに先立ってガイド移動量を算出すると、素管ガイド52を変位させて、素管ガイド52に案内される素管1の中心位置522が、引抜きダイス51のダイス軸514より前記ガイド変位量だけ変位するように、素管ガイド52を移動させる。
引抜き加工装置5は、こうして所定の前記ガイド変位量だけ素管ガイド52を変位させた状態で保持しておき、順次移送されてくる複数の素管1…をプラー54で引き、引抜きダイス51による引抜き加工を実行する。これにより、各素管1は塑性変形し、複数の素管1…は、全体集合として偏肉状態が改善されたものとなる。
(本システムによる効果)
以上のように構成された管体の引抜き加工システム2によると、各素管1…毎にガイド移動量(素管ガイドと引抜きダイスとの相対変位量)を変更するのではなく、一旦設定したガイド移動量(変位量)で複数の素管1…に対して引抜き加工を実行するので、引抜き加工実行中に素管ガイド52等を動かす必要がなく、簡素な制御機構で偏肉矯正を伴う引抜き加工を実行することができる。
また、素管1の偏肉方向を特定方向に向けた状態で引抜き加工を実行するため、引抜き加工装置5において同じ偏肉矯正量(ガイド移動量)を設定していても、複数の素管1…は全体集合として偏肉状態を改善することができる。
また、同一システム2内の素管回転装置3で複数の素管1…の一部に対する偏肉量の測定を行い、こうして測定された引抜き加工実行前の複数の素管1…の偏肉量分布に基づいてガイド移動量(変位量)を設定するため、複数の素管1…に対して偏肉量を低減させるためのガイド移動量(変位量)を、この複数の素管1の偏肉量の分布傾向に応じて適切に設定することができる。
また、各素管1…の偏肉方向を特定方向に向けるため、素管ダイス52とダイス軸514とを相対的に変位させる方向も特定方向に限定することができ、機械構成の簡素化も図ることができる。
さらに、素管ガイド52を移動させることで、素管ガイド52に案内される素管1の中心位置522を引抜きダイス51のダイス軸514から変位させるため、引抜きダイス51を変位させる場合に比べて機械構成を簡素化できるとともに、ダイス軸511を引抜き軸545に一致させたまま偏肉矯正を行うことができ、これにより、引抜き後の素管1に曲がりが生じることを防止することができる。
また、素管1の厚肉部を下向きにして搬送するため、素管1はその下側が相対的に重くなり、姿勢が安定する。したがって、搬送中に偏肉方向の向きが変化することを可及的に防止することができる。
また、素管回転装置3では、素管1の端部開口13から素管1の偏肉方向および偏肉量を測定するため、確実に素管1の内周面11の位置を把握して、より確実かつ正確に素管1の偏肉方向および偏肉量を測定することができる。
また、素管回転装置3において素管の偏肉方向を測定した後、引きつづいて素管1の偏肉方向を特定方向に向ける回転を行うため、簡素なシステム構成で、偏肉測定から回転に至る作業を効率的に行うことができる。また、素管1が損傷する可能性も低減することができる。
(製造システム)
次に、本発明にかかる製造システム6について説明する。
図12は、この製造システム6の構成を示す機能ブロック図である。
この製造システム6は、素管(管体)1を製管する製管装置61と、上述した管体の引抜き加工システム2と、口付け部切除工程を行う口付け部切断機64と、引抜き加工によって製造された引抜き管の曲がりを矯正する曲がり矯正装置65と、製品としての所定長さへの切断を行う切断装置66と、粗洗浄工程を行う粗洗浄装置67と、仕上げ洗浄工程を行う仕上げ洗浄装置68と、製造された管体の形状や表面状態を検査する検査装置69等を備えている。
製管装置61は、たとえば素管を押出成形によって製管するものである。具体的にはアルミニウム合金製の感光ドラム素管を製管する場合であれば、原料を溶解させて押出加工材料としてたとえばアルミニウム製のビレットを製造する工程や押出工程を実行する各機械装置の集合として構成される。
図13は、この押出工程を行う押出機62の概略平面図である。押出機本体621から押し出されたアルミニウム押出素管622は、複数対配置された支持ローラ623…によって押出方向前方に搬送され、切断機624により所定長さRに切断される。
図14は、押出機本体621が備える押出ダイス63の一例における断面図である。この押出ダイス63は、ポートホールダイスであり、631はダイス雌型、632はダイス雄型である。ダイス雌型631には中央部に貫通上の押出孔633が形成されるとともに、押出孔633の入口側の周面が円形のベアリング部634となされている。なお、635はレリーフ部である。一方、ダイス雄型632は、その中央部に断面円形の成型凸部636を有するとともに、成形凸部636の先端周面に円形のベアリング部637が形成されている。なお638は、アルミニウムビレットを通過させる通過孔である。そして、前記ダイス雌型631と前記ダイス雄型632とが組み合わされ、雄型632の成形凸部636先端が雌型631の押出孔633に望んで雌雄両型ののベアリング部634,637が環状の成形間隙639を介して対向状の配置されている。
なお、押出方式は特に限定されることはなく、ポートホールダイスを用いたものでもマンドレル押出でもよい。
こうして製造されたアルミニウム押出素管は、上述した引抜き加工システム2によって引抜き加工され、偏肉のない(あるいは少ない)アルミニウム引抜き管が得られる。つづいてアルミニウム引抜き管(感光ドラム用素管)は、口付け部切断機64により、その口付け部がプレス切断法等により除去される。
図15は、口付け部切除工程を行う口付け部切断機64の一例を示す断面図である。この切断機79は、アルミニウム引抜き管641の口付け部642側の端部を金型643,643の内方に挿入し、切断刃644を下降させることにより、該口付け部642を切断除去する。この切断は突切り刃によって行われるから切粉の発生はなく、切粉等がロール矯正機内に持ち込まれ、アルミニウム引抜き管641にキズがつくことがないようになっている。
口付け部が切除されたアルミニウム引抜き管(感光ドラム用素管)は、曲がり矯正装置65による曲がり矯正工程によってその曲がりが矯正される。
図16は、曲がり矯正工程を行う曲がり矯正装置65の一例を示す概念図である。この曲がり矯正装置65は、その内部の矯正ローラ652の作用によって、口付け部が切除されたアルミニウム引抜き管651を真っ直ぐに矯正するロール矯正機として構成されている。
こうして曲がりが矯正されたアルミニウム引抜き管(感光ドラム用素管)は、切断装置66によって、用途に応じた所定の長さに切断される。
続いて、粗洗浄装置67と仕上げ洗浄装置68により洗浄が行われる。
粗洗浄装置67による粗洗浄工程は、上記引抜き工程等においてアルミニウム引抜き管に付着した潤滑油等を除去する工程である。この粗洗浄工程は、たとえば脱脂力を有する溶剤を用いて行われる。具体的手法としては、特に限定されないが、たとえば浸漬法、シャワー法等が挙げられる。
仕上げ洗浄装置による仕上げ洗浄工程は、好適には、たとえば超音波洗浄によって行われる。
図17は、超音波洗浄機(仕上げ洗浄装置)68の一例を示す概念図である。この超音波洗浄機68は、洗浄増681に貯められた洗浄液682に被洗浄物である複数個のアルミニウム引抜き管683を浸漬しておき、振動子684によって洗浄液682中に超音波を送ることにより、被洗浄物であるアルミニウム引抜き管683を洗浄するものである。
超音波の照射方式は特に限定されることはなく、図17に示す投げ込み型のほか、接着型、振動伝達子型その他各種の洗浄機を用いることができる。また、洗浄液としては、一般には白灯油、軽油、アルカリ、界面活性剤あるいはトリクロロエチレンなどが用いられるが、これらに限定されることはなく、水系、炭化水素系、塩素系有機溶媒などを適宜用いればよい。
こうして製管された管体(アルミニウム引抜き管)は、検査装置69において形状および表面状態等が所定の許容範囲内にあるか否かが検査され、所定の許容範囲内にあれば完成品と判定される。
上記のような一連の押出工程、切断工程、引抜き工程、曲がり矯正工程、洗浄工程、仕上げ洗浄工程および検査工程を経て得られた管体(アルミニウム引抜き管)は、表面品質に優れ、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真装置の感光ドラム用基体として好適である。
(その他の実施形態)
以上、本発明を具体的な実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のように構成してもよい。
(1)上記実施形態では、素管回転装置3において、回転量検出器33によって支持ローラ31の回転量から素管1の回転量(回転角度)を得たが、素管1の回転量を直接検出しても、あるいは駆動モータ32等の回転量から素管1の回転量を得るようにしてもよい。
(2)上記実施形態では、素管回転装置3において、変位検出器34,35を素管1の内周面11および外周面12に接触する接触式センサで構成したが、非接触で素管1の内周面11および外周面12の変位を検出できる非接触式センサを採用してもよい。図18は、非接触式センサからなる変位検出器を用いた素管回転装置の変形例である。上述した実施形態と同一の構成部分には同一の符号を付して、重複説明を省略する。この例では、素管1の内周面11および外周面12の変位をそれぞれ検出する変位検出器38,39をレーザ式変位センサで構成している。素管1の内周面11を検出する変位検出器38は、プリズム381を支持台382で支持したプリズム381を素管1の内部に挿入することで、変位検出器38自身を素管1の内部に挿入することなく変位測定を行うようになっている。
(3)上記実施形態では、素管回転装置3において素管1を回転させながら素管1の偏肉方向を測定したが、素管1を回転させずに測定をおこなってもよい。図19は、素管1を回転させずに偏肉方向の測定を行う測定装置の例である。この例では、素管1の端部断面形状をカメラ(画像センサ)8で検出し、この検出結果から素管1の偏肉方向を得るようになっている。なお、このようなカメラ8による測定では、一般に高い測定精度は得られにくい。しかしながら本発明では、全ての素管1について偏肉量を得る必要がなく、偏肉方向を特定方向に揃えるために偏肉方向が分かればよいので、このような高い測定精度が必ずしも得られない測定方法をも採用することができる。そして、このような構成により、装置を安価に製造し、維持することも可能となる。
(4)上記実施形態では、素管回転装置3において、素管1の厚肉部が下向きになるように素管1を回転させたが、予め設定された特定方向に向けるならいずれの方向にしてもよい。
(5)上記実施形態では、素管回転装置3において、素管1の偏肉方向の測定と、偏肉方向を特定方向に向ける素管1の回転とを行ったが、素管1の測定を行う測定手段と素管1の回転を行う素管回転手段とを別個の装置で実現してもよい。
(6)素管1の測定を行う測定手段と素管1の回転を行う素管回転手段とを別個の装置で実現する場合には、測定手段は、測定した素管の偏肉方向を示すマークを当該素管に付すように構成し、素管回転手段は、このマークに基づいて素管を回転させるようにしてもよい。このような偏肉方向を示すマークは、素管1の端面、外周面または内周面等に付けることができる。このようにすると、確実に素管の偏肉方向を特定方向に向けることが可能となる。
図20は、偏肉方向を示すマークが付された素管に対し、偏肉方向を特定方向に向けるように回転させる回転装置の一例である。この回転装置7は、薄肉方向を示すマーク19が端面に付された素管1を対象として、薄肉方向が上向きに(厚肉部が下向きに)なるように素管1を回転させるようになっている。この回転装置7は、素管1を支持しながら回転させる支持ローラ71…と、素管1に付されたマーク19を検出するカメラ(画像センサ)72と、カメラ72によりマーク19が素管1の上方で検出されるまで支持ローラ71…により素管1を回転制御するコントローラ73とを備えている。
(7)素管1の測定を行う測定手段と素管1の回転を行う素管回転手段とを別個の装置で実現する場合には、素管を引抜き加工装置まで搬送する搬送装置に素管を回転させる素管回転手段を設け、搬送装置において素管を搬送しながら素管を回転させるようにしてもよい。
(8)素管1の測定を行う測定手段と素管1の回転を行う素管回転手段とを別個の装置で実現する場合には、引抜き加工装置5にセットされる直前に素管の回転を行うようにしてもよい。このようにすると、搬送中に素管の偏肉方向がずれるリスクも軽減することができる。
(9)上記実施形態では、引抜き加工システム2に含まれる素管回転装置3において素管1の偏肉方向を測定したが、引抜き加工システム2外の測定手段で偏肉方向が予め測定された素管1を用いてもよい。この場合、偏肉方向が予めマークされた素管の供給を受け、たとえば図20に示した素管回転装置によって素管の偏肉方向を特定方向に向ける回転を行えばよい。あるいは、可視マークが付された素管であれば、オペレータ等が手動操作で偏肉方向を特定方向に向けるように回転作業を行ってもよい。
(10)上記実施形態では、複数の素管1…の偏肉量分布は、測定手段(素管回転装置3)によって一部の素管1…について偏肉量を測定することによって取得したが、複数の素管1の供給元等から予め把握されている偏肉量分布を伝達してもらうことによって取得するようにしてもよい。この場合、引抜き加工装置5は、システム2外から偏肉量分布情報を、ネットワークを介して受信したり、あるいは種々の記録媒体から読み取ることによって取得するようにすればよい。あるいはまた、オペレータ等から偏肉量分布情報の入力を受けることによって取得するようにしてもよい。また、偏肉量分布情報としては、図9(a)に示したような分布曲線の他、数値として分布の特徴が現れる平均値や最頻値や分散等を用いてもよい。
(11)上記実施形態では、搬送装置4が素管1を引抜き装置5に受け渡す引抜き加工開始位置59を、素管1の先端部が素管ガイド52および引抜きダイス51を貫通してプラー54に掴まれる位置としたが、引抜き加工開始位置59は、素管1を回転させてしまうことなく容易に引抜き加工装置5にセットすることができる位置であればよい。たとえば、素管1の先端が素管ガイド52の直前(近傍の上流側)となる位置などでもよい。
(12)上記実施形態では、引抜き加工装置5において、厚肉部が下向きにされた素管1に対し、素管ガイド52を上方に持ち上げて、素管ガイド52に案内される素管1の中心位置522がダイス軸514より上方に位置するようにしたが、加工条件によっては、厚肉部が下向きにされた素管1に対して、素管1の中心位置522がダイス軸514より下方に位置するように素管ガイド52を移動させてもよい。また、素管の厚肉部を上向きにした場合であっても、加工条件によって、素管ガイド52を上向きあるいは下向きに移動させて引抜き加工を実行すればよい。
(13)上記実施形態では、引抜き加工装置5において、素管ガイド52を素管の全周に接触する形状としたが、素管ガイド52は、素管1の位置を引抜きダイス51のダイス孔511に案内できるものであれば、種々の形状を採用することができる。たとえば、素管ガイドは、素管1の周方向について一部のみと接触するガイドローラ等から構成してもよい。また素管ガイドは素管の重量を支持するものでなくてもよい。
図21は、素管ガイドの他の例を模式的に示す説明図である。この例にかかる素管ガイド57は、素管1の外周面12の上部にのみ接触して、素管1を下方に押し下げることで、素管ガイド57に案内される際の素管1の中心位置571が引抜きダイス51のダイス軸514より下側で、任意のガイド変位量だけずれるように機能するものである。なお、この例は、素管1の厚肉部を上向きにセットしており、素管1の中心位置571をダイス軸514より下側に移動させているように、上記実施形態(図6等)と上下が逆になった場合を表している。
図22(a)は、素管ガイドのさらに他の例を模式的に示す説明図である。この例にかかる素管ガイド58は、素管1の外周面12の下部にのみ接触して、素管1を上方に持ち上げることで、素管ガイド58に案内される際の素管1の中心位置581が引抜きダイス51のダイス軸514より上側で、任意のガイド変位量だけずれるように機能するものである。
図22(b)は、この素管ガイドの側面図である。この図に示すように、素管ガイド58の上面582は、素管1の外周面12の形状に合わせて円弧状に形成されている。
図22(c)は、さらにまた他の素管ガイドの例である。この素管ガイド58’は、その上面582’に形成された溝部583’に潤滑油を貯めることにより、素管1をなめらかに案内できるようになっている。
図22(d)は、またさらに他の素管ガイドの例である。この素管ガイド58”は、その上面582”に形成された複数の溝部583”に潤滑油を貯めることにより、素管1をさらになめらかに案内できるようになっている。
(14)上記実施形態では、引抜き加工装置5において、素管ガイド52に案内される素管1の中心位置522をダイス軸514に対して変位させるために、素管ガイド52を特定方向(上下方向)に移動させたが、引抜きダイス52を特定方向に移動させても、あるいは引抜きダイス52の傾斜角度を変更してもよい。また、素管ガイド52と引抜きダイス51の両方を駆動してもよい。
(15)上記実施形態では、引抜き加工装置5において、素管ガイド52をダイス軸514に対して変位させることができるように構成したが、素管ガイド52と引抜きダイス51とをたとえばボルト固定して互いの相対位置を容易には変更できないようにしてもよい。この場合であっても、引抜き加工対象である複数の素管1…の偏肉量分布情報に応じて、たとえばオペレータが素管ガイド52とダイス軸514とが相対変位させ、その状態で固定すれば、複数の素管1…の偏肉状態の改善を伴う引抜き加工を行うことができる。
(16)上記実施形態では、引抜き加工装置5において、素管1内側にプラグ53を位置させて薄肉化を図る引抜き加工としたが、プラグなしの引抜き加工(いわゆる空引き)であっても本発明を適用することができる。
(17)引抜き加工は1パス、2パス…と複数回繰り返してもよい。
(18)上記実施形態では、引抜き加工システム2は、スエージング加工(口付け加工)が施された素管1の供給を受けるように構成したが、引抜き加工装置5による引抜き加工前であれば、どの段階でスエージング加工を行ってもよい。たとえば、スエージング加工前に、偏肉量や偏肉方向の測定を行ってもよい。また、スエージング加工前に偏肉方向を特定方向に向ける回転を行い、その向きを変えないでスエージング加工を行うことで、偏肉方向を特定方向に向けた素管を引抜き加工装置5に供給するようにしてもよい。
(a)は偏肉のある管体の断面図、(b)は偏肉のない管体の断面図である。 本発明の一実施形態にかかる管体の引抜き加工システムの全体構成を示す機能ブロック図である。 (a)は素管回転装置の全体概略を示す正面図である。(b)は素管回転装置にセットされた素管の状態を示す側面断面図である。 (a)は、算出される素管の各周方向位置における肉厚を示すグラフの例である。(b)は、(a)の素管断面の例である。 搬送装置の全体構成図である。 引抜き加工装置の全体概略を示す正面図である。 押さえ部材を外した状態における素管ガイドの側面図である。 素管ガイドを変位させた状態を模式的に表現した説明図である。 複数の素管の偏肉量分布を概念的に例示したグラフであり、(a)は、引抜き加工前、(b)は、引抜き後の偏肉量が0となる素管の数の最大化を目的とする方針(i)のもとで引抜き加工を行った場合、(c)は、引抜き後の偏肉量が許容範囲(合格範囲)に入る素管の数の最大化を目的とする方針(ii)のもとで引抜き加工を行った場合、(d)は、引抜き前偏肉量が0の素管を引抜き後も許容範囲(合格範囲)内に入れることを目的とする方針(iii)のもとで引抜き加工を行った場合である。 引抜き前の偏肉量と、これを矯正して引抜き後に偏肉量が0とするための矯正量(ガイド移動量)との定量的な関係を表現したグラフの一例である。 引抜き前偏肉量が30μmの複数の素管において、種々のガイド移動量と、引抜き加工後の偏肉量との関係を示すグラフである。 本発明にかかる管体の製造システムの構成を示す機能ブロック図である。 押出工程を行う押出機の概略平面図である。 押出機本体が備える押出ダイスの一例における断面図である。 口付け部切除工程を行う口付け部切断機の一例を示す断面図である。 曲がり矯正工程を行う曲がり矯正装置の一例を示す概念図である。 仕上げ洗浄装置の一例を示す概念図である。 非接触式センサからなる変位検出器を用いた素管回転装置の変形例である。 素管を回転させずに偏肉方向の測定を行う測定装置を模式的に示す説明図である。 偏肉方向を示すマークが付された素管に対し、偏肉方向を特定方向に向けるように回転させる回転装置の一例である。 素管ガイドの他の例を模式的に示す説明図である。 (a)は、素管ガイドのさらに他の例を模式的に示す説明図、(b)は、同じく側面図である。(c)は、さらにまた他の素管ガイドの例である。(d)は、またさらに他の素管ガイドの例である。
符号の説明
1 素管(管体)
11 内周面
12 外周面
13 端部開口
2 引抜き加工システム
3 素管回転装置(素管回転手段)
31 支持ローラ(回転駆動手段)
32 駆動モータ(回転駆動手段)
33 回転量検出器
34,35 変位検出器(変位センサ)
341,351 センサヘッド
37 回転コントローラ
4 搬送装置(搬送手段)
41 搬送台
42 搬送レール
45 搬送コントローラ
5 引抜き加工装置
51 引抜きダイス
511 ダイス孔
513 ベアリング部
514 ダイス軸
52 素管ガイド
522 素管の中心位置
53 プラグ
54 プラー
545 引抜き軸
55 レール
56 引抜きコントローラ
59 引抜き加工開始位置
6 管体の製造システム
61 製管装置

Claims (25)

  1. 引抜きダイスを用いた管体の引抜き加工方法であって、
    各素管の偏肉方向を予め設定された特定方向に向けるように前記素管を回転させ、
    引抜き加工対象となる複数の素管の偏肉量分布に応じて設定される変位量だけ、前記引抜きダイスの上流側で素管ガイドに案内される前記素管の中心位置を、前記引抜きダイスのダイス軸に対して、前記特定方向に相対的に変位させた状態で、前記複数の素管に対する引抜き加工を実行することを特徴とする管体の引抜き加工方法。
  2. 引抜き加工実行前の前記複数の素管の偏肉量分布を示す偏肉量分布情報を取得し、この偏肉量分布情報に基づいて前記変位量を設定することを特徴とする請求項1に記載の管体の引抜き加工方法。
  3. 前記偏肉量分布情報は、前記複数の素管の一部に対して偏肉量の測定を行うことにより取得することを特徴とする請求項2に記載の管体の引抜き加工方法。
  4. 前記変位量は、前記偏肉量分布において最多度数の偏肉量を有する素管が、前記引抜き加工後において偏肉量が0となるように設定することを特徴とする請求項2または3に記載の管体の引抜き加工方法。
  5. 前記変位量は、前記引抜き加工後の偏肉量の許容範囲内に収まる素管が最大量となるように設定することを特徴とする請求項2または3に記載の管体の引抜き加工方法。
  6. 前記変位量は、前記引抜き加工前において偏肉量が0の素管が、前記引抜き加工後においても引抜き加工後の偏肉量の許容範囲内に収まるように設定することを特徴とする請求項2または3に記載の管体の引抜き加工方法。
  7. 前記素管ガイドの位置を前記変位量だけ前記特定方向に移動させることにより、前記素管ガイドに案内される前記素管の中心位置の前記ダイス軸に対する相対的な位置を変位させることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の管体の引抜き加工方法。
  8. 前記引抜き加工に先立って、各素管の偏肉方向を測定することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の管体の引抜き加工方法。
  9. 前記素管の回転は、前記素管の厚肉部を下方に向けるように行うことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の管体の引抜き加工方法。
  10. 偏肉方向が所定の特定方向に向けられてセットされる素管に対し、その外周面を加工する引抜きダイスと、
    前記引抜きダイスの上流側で前記素管を前記引抜きダイスのダイス孔に案内する素管ガイドと、を備えた引抜き加工システムであって、
    前記引抜きダイスと前記素管ガイドとは、引抜き加工対象となる複数の素管の偏肉量分布に応じて設定される変位量だけ、前記引抜きダイスの上流側で素管ガイドに案内される前記素管の中心位置が前記引抜きダイスのダイス軸に対して前記特定方向に相対的に変位するように配置されていることを特徴とする管体の引抜き加工システム。
  11. 各素管の偏肉方向を予め設定された特定方向に向けるように前記各素管を回転させる素管回転手段を備えたことを特徴とする請求項10に記載の管体の引抜き加工システム。
  12. 各素管の偏肉方向を取得する偏肉方向取得手段を備えたことを特徴とする請求項11に記載の管体の引抜き加工システム。
  13. 前記偏肉方向取得手段は、各素管の偏肉方向を測定する偏肉方向測定手段であることを特徴とする請求項12に記載の管体の引抜き加工システム。
  14. 前記偏肉方向測定手段は、各素管の端部開口から前記素管の偏肉方向を測定することを特徴とする請求項13に記載の管体の引抜き加工システム。
  15. 前記偏肉方向測定手段は、前記素管を回転させる回転駆動手段と、回転する前記素管の内周面および外周面の相対的な変位から各周方向位置の肉厚を検出する肉厚測定手段と、検出された各周方向位置の肉厚から前記素管の偏肉方向を算出する偏肉方向算出手段と、を備え、
    前記回転駆動手段は、算出された偏肉方向に応じて前記素管の偏肉方向を前記特定方向に向けるように前記素管を回転させることによって前記素管回転手段として機能することを特徴とする請求項14に記載の管体の引抜き加工システム。
  16. 前記素管回転手段は、前記素管の厚肉部を下方に向けるように前記管体を回転させることを特徴とする請求項11〜15のいずれかに記載の管体の引抜き加工システム。
  17. 前記素管回転手段により偏肉方向が特定方向に向けられた前記素管を、前記引抜きダイスによる引抜き加工開始位置まで、その姿勢を維持しながら搬送する搬送手段を備えたことを特徴とする請求項11〜16のいずれかに記載の管体の引抜き加工システム。
  18. 前記複数の素管の偏肉量分布を示す偏肉量分布情報を取得する偏肉量分布情報取得手段と、
    前記偏肉量分布情報に応じて前記変位量を算出する変位量算出手段と、
    前記複数の素管に対する引抜き加工を実行する際には、前記素管ガイドに案内される前記素管の中心位置が前記ダイス軸に対して前記特定方向に前記変位量だけ相対的に変位させる変位形成手段と、を備えたことを特徴とする請求項10〜17のいずれかに記載の管体の引抜き加工システム。
  19. 各素管の偏肉方向を予め設定された特定方向に向けるように前記素管を回転させる素管回転装置と、
    偏肉方向が前記特定方向に向けられた複数の素管に対して順次引抜き加工を実行する引抜き加工装置と、を備えた管体の引抜き加工システムであって、
    前記素管回転装置は、前記素管を回転させる回転駆動手段と、回転する前記素管の内周面および外周面の相対的な変位から各周方向位置の肉厚を検出する肉厚測定手段と、検出された各周方向位置の肉厚から前記素管の偏肉方向を算出する偏肉方向算出手段と、を備え、前記回転駆動手段は、前記偏肉方向算出手段によって算出された偏肉方向に応じて前記素管の偏肉方向を前記特定方向に向けるように前記素管を回転させるように構成され、
    前記引抜き加工装置は、素管の外周面を加工する引抜きダイスと、前記引抜きダイスの上流側で前記素管を前記引抜きダイスのダイス孔に案内する素管ガイドと、を備え、前記引抜きダイスと前記素管ガイドとは、引抜き加工対象となる複数の素管の偏肉量分布に応じて設定される変位量だけ、前記引抜きダイスの上流側で前記素管ガイドに案内される前記素管の中心位置が前記引抜きダイスのダイス軸に対して前記特定方向に相対的に変位するように配置されていることを特徴とする管体の引抜き加工システム。
  20. 素管の外周面を加工する引抜きダイスと、前記引抜きダイスの上流側で前記素管を前記引抜きダイスのダイス孔に案内する素管ガイドと、を備え、前記引抜きダイスと前記素管ガイドとは、引抜き加工対象となる複数の素管の偏肉量分布に応じて設定される変位量だけ、前記引抜きダイスの上流側で前記素管ガイドに案内される前記素管の中心位置が前記引抜きダイスのダイス軸に対して前記特定方向に相対的に変位するように配置された管体の引抜き加工装置に対し、引抜き加工対象となる素管を供給する素管回転装置であって、
    素管を回転させる回転駆動手段と、
    回転する前記素管の内周面および外周面の相対的な変位から各周方向位置の肉厚を検出する肉厚測定手段と、
    検出された各周方向位置の肉厚から前記素管の偏肉方向を算出する偏肉方向算出手段と、を備え、
    前記回転駆動手段は、前記偏肉状態算出手段によって算出された偏肉方向に応じて前記素管の偏肉方向を前記特定方向に向けるように前記素管を回転させるように構成されたことを特徴とする素管回転装置。
  21. 管体を製管し、前記管体に対して請求項1〜9のいずれかに記載の管体の引抜き加工方法を実行することを特徴とする管体の製造方法。
  22. 管体を製管する製管装置と、請求項10〜19のいずれかに記載の管体の引抜き加工システムとを備えたことを特徴とする管体の製造システム。
  23. 管体に対して、請求項1〜9のいずれかに記載の管体の引抜き加工方法を実行することにより製造されたことを特徴とする引抜き加工製品。
  24. 管体に対して、請求項1〜9のいずれかに記載の管体の引抜き加工方法を実行することにより製造されたことを特徴とする感光ドラム用素管。
  25. 管体に対して、請求項1〜9のいずれかに記載の管体の引抜き加工方法を実行することにより製造されたことを特徴とする感光ドラム用基体。
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