JP4440049B2 - レーザアニール装置 - Google Patents

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Description

本発明は、レーザビームを成形して半導体膜に照射して、熱処理を行なうためのレーザアニール装置に関して、特に、強度分布を均一するための導波路の改良に関する。
ガラス基板上に形成したシリコン膜などの半導体膜を多結晶化することにより、高い電子移動度を有する薄膜トランジスタを作製することは、よく知られている。ガラス基板上にCVDなどの気相形成法により形成したシリコン膜は、非晶質であるので、そのままトランジスタ基板に使用したのでは電子移動度が低く、高速動作が要求される駆動回路の基板には適用できなかった。非晶質シリコンを多結晶化するために、レーザアニール装置を用い、非晶質シリコン膜上へレーザビームを走査して、シリコン膜を局部的に溶融し、冷却過程の再結晶化の際に多結晶シリコンを形成する方法もよく知られている。
従来のレーザアニール装置について、レーザ発振器からのレーザビームは概ねビーム断面円形で強度がガウス分布を有するのであるが、特許文献1の図1に示すように、非晶質シリコン膜に照射するには、レーザビームを、一方向(照射ビームの長手方向)にはビーム強度が均一で長くして、他方、これに直交する他の方向(照射ビームの狭幅方向)にはビーム集光幅が短く且つ擬似ガウス分布を維持した線状ビーム形状に変換している。強度分布の変換には、いくつかの光学レンズを組合せて利用している。上記一方向、即ち、照射ビームの長軸方向にビーム強度を均一にするための光学系の一例は、特許文献1の図1に開示するように、導波路31と転写レンズ15との組み合わせが用いられる。導波路は、互いに対向する一対の反射面を有して透明中実体であり、レーザビームの光軸に垂直な一方向のビーム強度のみを均一化した線状ビームを形成する物である。レーザ光源から出射したビームは、ガウス分布に擬似した強度分布を有するが、このレーザビームを導波路に入射して導波路を通過させて、幾つかのビームに分割し、分割ビームを転写レンズを用いて基板上で重畳することにより、基板上照射面では、線状の照射ビームが得られる。
このようなレーザアニール装置は、上記の線状化した照射ビームを走査しながら非晶質シリコン膜が形成されたガラス基板上に照射すると、多結晶シリコン膜が形成され、走査を繰り返し行なうことにより、大きなシリコン膜全体を効率的に処理することができる。
特開2002−174767号公報
このような導波路を用いて長軸方向にビーム強度を均一にする場合、レーザビームは特定の入射角をもって導波路に入射され、導波路内で反射を繰返し、導波路から出射する。特許文献1の例では、平行光としたレーザビームは、長軸方向集光レンズで集光されて、導波路13に入射するが、導波路から出射する際に、導波路13の幅方向(線状ビームの長軸方向)全体からレーザビームが出射される。そこで、導波路13の出射面と反射面ないし入射との角部が直角で、実質的に面取りが施されていなければ、入射面と出射面でのレーザの損失はない。
しかしながら、出射面に面取り加工されて角が研磨されている場合は、面取り領域に当たったレーザビームが散乱するので、レーザの入力パワーが損失する。また、面取り領域に当たったレーザビームの一部は面取り領域表面で吸収され畜熱する。このため、導波路の出射面に温度分布が生じるが、この温度分布により導波路出射面に熱レンズが形成され、ガラス基板上で集光されるレーザビームの焦点位置がずれるので、照射エネルギー密度の低下を招き、非晶質シリコン膜の溶融が不完全となり多結晶シリコン膜を形成することができなくなる。
本発明の目的は、導波路の出射面または入射面に設けた面取り部の幅やそのばらつきについて最適化を図ったレーザアニール装置を提供することである。
本発明のレーザアニール装置は、導波路を用いて長軸方向のビーム強度を均一化した線状ビームを形成するのであるが、導波路には、その反射面と、出射面及び入射面のいずれか一方又は両方と、の角部に面取り部を設け、面取り部の出射面または入射面に投影した幅を、導波路の厚みの1/20以下、好ましくは1/40以下に規定している。また、面取り部の幅は、好ましくは10μm以上とする。
また、上記導波路の出射面の幅をdとし、上記基板上に形成された上記非晶質半導体膜に上記レーザビームを照射幅をLとした場合、上記面取り部のばらつき幅を、600×(d/L)[μm]以上に設定することが好ましい。
導波路は、上記寸法範囲の面取り部が、その反射面と出射面及び入射面のいずれか一方又は両方との角部に設けている。面取り部の幅を、導波路の厚みの1/20以下に設定した場合、出射面または入射面を通過する際のレーザ光の損失を10%以下に抑制できるため、レーザアニールの機能を十分に果たすことが可能である。特に、面取り部の幅を、導波路の厚みの1/40以下に設定した場合、出射面または入射面を通過する際のレーザ光の損失を5%以下に抑制できる点でより好ましい。
また、面取り部の幅は、10μm以上に設定することが好ましく、これにより導波路の入射面又は反射面の上記角部に欠けやチッピングが発生するのを防止又は低減することができる。面取り部は、最小に設定されるので、必要以上に熱吸収がなく、安定である。
さらに、面取り部の幅は、ある範囲でばらついていることが好ましく、これにより基板上での回折フリンジが小さくなり、均一な光強度分布が得られる。また、面取り部のばらつき幅を600×(d/L)[μm]以上に設定することによって、効率的なレーザアニールを実施することができる。
レーザアニール装置の一例は、図4、図5及び図6に示すように、レーザ光源1としてレーザ発振器と、該レーザ発振器レーザビーム2を、基板8上に照射して、基板8への照射ビーム21を一方向に細長く他の方向に狭幅としてビーム強度プロフィルを形成するための光学系、とを備えている。光学系は、図4においては、レーザ発振器1からアッテネータ4を通過させ、そのレーザビームを受けて、レーザビームの光軸に垂直な一方向(長軸方向と呼ぶことがある)に強度分布を均一化するための均一化光学系5と、この均一化光学系5からのレーザビームを光軸に垂直で且つ当該一方向に垂直である他方向(以下、短軸方向と言うことがある)にのみ収束した照射ビーム形成してその照射ビームを基板8上面に位置付け照射させる集光レンズ系、この例では、シリンドリカルレンズから成る集光レンズ7と、から構成される。装置は、さらに、基板8を搭載固定して一定速度で走査移動する走査ステージ9を含む。
基板8には、図示しないが、レーザ処理前に予め半導体膜、例えば、非晶質のシリコン膜が形成されており、走査ステージ上で走査されながら、上記装置により線状のビーム形状を調整された照射ビーム21がその狭幅方向に照射されて、加熱される。
図4に示す例は、レーザアニール装置は、レーザ光源1から放射されたレーザビーム2の進行方向を変えるミラー3と、また、光学系5からのビームの方向を変えるミラー6を付随的に備えて、集光レンズ7に入射するようにして、ステージ9上の基板8上面に対する光学系の配置を適宜に設定することができる。また、装置は、上述のように、レーザビーム2が入力されてそのレーザ出力を減衰するためのアッテネータ4を備えておれば、照射ビームの出力を即時に可変調整することができる利点がある。
本発明の実施形態において、図5と図6に示すように、光学系5は、導波路50を備え、導波路50の後方(即ち、入射側)には、レーザ光源1(不図示)からレーザビーム2を発散拡大する拡大レンズ11と、発散ビームを平行ビームにする長軸方向コリメートレンズ12と短軸方向コリメートレンズ13と、これらコリメートレンズからの平行ビームを導波路50に入射するための長軸方向集光レンズ14を含んでいる。導波路50は、後述の如く、入射ビームを幾つかのビームに分割するもので、分割ビーム2aは、基板上の照射面に転写する転写用シリンドリカルレンズ16が接続されている。
レーザ光源1からのレーザビーム2は、通常は、光軸に垂直な断面において強度分布は円形を示しその強度分布は、ガウス分布を示す。図5において、長軸方向からみて、円形プロフィルのレーザビーム2は、ビーム拡大レンズ11を用いて拡大し、長軸方向コリメートレンズ12で平行にされ、さらに、長軸方向コリメートレンズ12の焦点距離とビーム拡大レンズ11の焦点距離の比でレーザビームの長軸方向のビーム幅の拡大率を決める。
平行ビームを長軸方向集光レンズ14を通して導波路50の入射面に入射されるが、平行ビームは、導波路の入射面53の直前又は直後に焦点を結ばせて集光させる。入射ビームは、導波路により分割ビームに分割されて、転写用シリンドリカルレンズ16と、集光シリンドリカルレンズ7により、照射面上に線状の照射ビームとして結像される。
他方、短軸方向については、図6に示すように、レーザビームをビーム拡大レンズを用いて拡大し、短軸方向コリメートレンズで平行ビームにする。短軸方向コリメートレンズの焦点距離とビーム拡大レンズの焦点距離の比でレーザビームの短軸方向の径の拡大率が決まる。一般的に短軸方向の径が大きいほど、基板上でのビームの集光幅が小さくなる。平行ビームを、集光シリンドリカルレンズを通して、基板上で集光させて、短軸方向についてはガウス分布に近い形状のまま、μmオーダの集光幅(半値幅)のビーム形状を得ることができる。
本発明においては、図1において、導波路50は、中実の透明体で形成されて、光軸に沿って互いに対面する二つの反射面51、52を有する光学要素である。2つの反射面51、52は、必ずしも平行である必要はなく、光軸に沿って前方又は後方に狭まるテーパー面であってもよいが、以下の例では、2つの反射面を平行とした直方体を成している。導波路50は、平行6面体ないし2面がテーパを成す構造体が、使用されるレーザ波長に対して透明な材料から作られる。導波路の材料は、レーザビームが可視光領域にある場合は、石英、溶融石英、又は、光学ガラスから作られる。
本発明の装置に適用する導波路50は、図1及び図2に示すように、上記の如く、互いに対向する二つの反射面51、52と、これら2つの主面51、52の間の光軸に沿ってレーザビームを入射させる入射面53と、これら2つの主面間を反射しながら通過してビームを放射させる出射面54と、2つの別の側面を備えている。
本発明においては、一対の主面51、52と出射面54との間の角部に、面取り部55、55を形成してある。また、主面51、52と入射面53との間の角部にも、面取り部55、55を形成してある。これらの面取りは、出射面54または入射面53に対して45°の角度を成す平面として形成することができる。面取りには、又角部を丸めた形のアールであってもよい。いずれも、角部の欠けその他の欠損を防止する形状であれば、適用できる。
これらの面取り部55は、入射したビームエネルギーの一部を散乱させるので、出射した光の出力を低減させることになる。図2に示すように、出射面又は入射面に両方に形成した面取り部55の幅を、面取り部を出射面又は入射面に、即ち光軸方向に、投影したときの幅Tc1とTc2と規定している。
本発明においては、面取り部55の幅は、導波路の厚みの1/20以下、好ましくは1/40以下にする。面取り部55の幅は、10μm以上とするのが好ましい。
まず、面取り部55の幅の下限について説明する。面取り部の上記投影幅が、下限10μmより小さいと、導波路を形成するガラス、石英などの材料が脆いので、出射面又は入射面での角部での局部的な欠けやチッピングが発生しやすくなる。詳しくは、導波路は、合成石英又は光学ガラス(例えばBK7)などの材料で作られるが、ガラスと同様に脆く、割れたり欠けやすく、面取り部55がないと、導波路の角部が鋭利(90度)になり、欠けやチッピングが発生しやすい。図3に、一例として、導波路端部の面取り部の幅Tc1(又はTc2)と線状ビーム短軸方向の長さ1mm当たりに発生する角部の欠けの個数の関係を示す。面取り部の幅が小さいと大きな欠けが多くなる。この結果から、面取り部の幅を10μm以上にすれば面取り部の幅と同程度の欠けしか発生しない。このため、欠けやチッピングの発生を最小限にするために面取り部の幅は10μm以上にする必要がある。
なお、面取り領域表面での畜熱がほとんどないため、導波路出射面で熱レンズが形成されることもなく、照射エネルギー密度の変動もないので、安定して非晶質シリコン膜から多結晶シリコン膜を形成することができる。
次に、面取り部55の幅の上限について説明する。面取り部の幅は、導波路50の反射面の間の厚みの1/20以下、好ましくは1/40以下とする。面取り部の幅が大きくなると、出射面54の面積に対して、面取り部55からのビームの散乱により、導波路50が分割したビーム2aの総出力が低下する。導波路50の入射面53又は出射面54に面取り部55を形成すると、レーザビームが面取り部に当たって散乱するので、面取り部でのレーザビームのパワー損失の割合は、導波路の全厚みThに対して、面取り部55の断面に対する面積比(Tc1+Tc2)/Thに等しいと近似的に求められる。面取り部の面積が大きければ、レーザパワーの利用効率が低くなる。
面取り部55の幅Tc1,Tc2が、導波路50の厚みThの1/20以下であれば、面取りによるレーザ出力の損失は、面積比から近似的に(1/20+1/20)=10%以下となり、その程度の損失ならば甘受でき、レーザアニールの機能を十分に果たすことが可能である。特に、幅Tc1,Tc2を厚みThの1/40以下に設定した場合、面取り部55によるパワー損失の割合は、面積比から近似的に(1/40+1/40)=5%以下となって、パワー損失がより少なくなる。
次に、面取り部55の幅のばらつきについて説明する。面取り部55の幅は一定でなく、図8に示すように、出射面54の長手方向に沿って、ばらついている方が好ましい。導波路50の出射面54から放射された照射ビーム21が基板8上に照射される際に、出射面54と面取り部55が共有する境界線である面取り部の影響を受けて、照射ビームの長手方向端部において光強度の振幅がある回折光が発生する。一般に、レンズやスリットなどの光学素子の端部にレーザビームが透過すると、直進光のエッジ近傍にフリンジ状の回折光が発生する。
図9は、回折光強度比と面取り幅のばらつきによる回折光の分散との関係を計算した結果を示すグラフである。縦軸は、回折光強度比を示し、これは(回折光のピーク強度−直進光の強度)/(直進光の強度)で定義される。横軸は、基板上での回折光の分散距離(μm)を示す。計算条件に関して、グラフ中にプロットした丸記号は、出射面54の幅d(=Th−Tc1−Tc2)が5mm、レーザビームの照射幅Lが100mmであり、転写用シリンドリカルレンズ16の転写倍率が20倍であり、三角記号はd=5mm、L=100mm、転写倍率=10倍であり、四角記号はd=6mm、L=180mm、転写倍率=30倍である。
このグラフから、基板上での回折光の分散距離が大きくなるほど、回折光強度比が小さくなることが判る。これは、面取り部55の幅が一定である場合、面取り部55の各部で回折した光が同じ回折パターンで強め合い、基板上で大きな回折フリンジが発生するのに対して、面取り部55の幅が空間的に変動している場合、面取り部55の各部で回折した光が互いに異なる回折パターンで打ち消し合うため、その結果、基板上での回折フリンジが小さくなると考えられる。
図9のグラフから、回折光の分散距離を600μm以上の範囲に設定することにより、回折光強度比を±5%の範囲内に抑えることができる。なお、図9に示した回折光の分散距離と回折光強度比との関係は、実用的な転写用シリンドリカルレンズの転写倍率および導波路の厚みの影響をほとんど受けない。例えば、分散距離を600μm以上に設定するためには、転写用シリンドリカルレンズの転写倍率が20倍の場合、面取り部55の幅のばらつきを30μm以上にすればよい。
図10は、回折光強度比と面取り幅のばらつきとの関係を計算した結果を示すグラフである。縦軸は、回折光強度比を示し、これは(回折光のピーク強度−直進光の強度)/(直進光の強度)で定義される。横軸は、面取り幅のばらつきを示す。なお、面取り部55の幅Tc1のばらつきは、(Tc1の最大値−Tc1の最小値)で定義される。幅Tc2のばらつきも同様に、(Tc2の最大値−Tc2の最小値)で定義される。計算条件は、出射面54の幅d(=Th−Tc1−Tc2)が5mm、レーザビームの照射幅Lが100mmであり、転写用シリンドリカルレンズ16の転写倍率が20倍である。
図10のグラフから、面取り部55の幅のばらつきが大きくなると、回折光強度比が小さくなることが判る。これは、面取り部55の幅が空間的に変動している場合、面取り部55の各部で回折した光が互いに異なる回折パターンで打ち消し合うため、その結果、基板上での回折フリンジが小さくなると考えられる。
照射ビーム21の長軸方向の強度比の許容度を±5%程度に設定した場合、図10から、面取り部55の幅のばらつきは30μm以上あることが望ましい。また、強度比の許容度を±12%とすると、面取り部55の幅のばらつきは10μm以上あることが望ましい。
図11は、レーザアニール時のレーザエネルギー密度と、アニールされたTFT(薄膜トランジスタ)のnチャンネルの電子移動度との関係を示すグラフである。このグラフは、公知文献:SID2004 Digest, p. 1088 (2004)に記載されたものであり、電子移動度のばらつきが90%以上であれば、TFTを駆動する上で支障がない。このため、レーザエネルギー密度が±12%範囲(プロセスウインド)に収まれば、TFTを問題なく駆動することができる。レーザエネルギー密度のばらつきは、図9および図10の縦軸である回折光強度比と等価であり、図11の結果から、強度比の許容度が±12%以内であれは、TFTを駆動する上で問題がないことが判る。
このように導波路50の面取り部55の幅Tc1,Tc2にばらつきを意図的に付与することで、基板上で発生位置および周期の異なる回折縞が重ねあわされるため、回折光のピーク強度が低減される。
なお、図9の横軸は、出射面54における面取り部55の幅のばらつきを示しているが、転写用シリンドリカルレンズ16の転写倍率(例えば、20倍)を乗算することにより、基板上での座標に換算できる。例えば、図9での幅のばらつき=10μm,30μm,60μmは、基板座標=200μm,600μm,1200μmに換算できる。
面取り部55の幅のばらつき付与によって、基板上での回折光の発生位置を分散させた場合、基板上での分散距離は600μm以上に設計する必要がある。従って、分散距離600μm以上の範囲に回折光の発生位置を分散させることで、回折光強度比を±5%内に抑えることができる。
通常、転写位置近傍となる基板上において、分散距離と回折光強度比の関係は転写用シリンドリカルレンズの転写倍率の影響を受けにくい。このため、分散距離600μm以上にするために、転写用シリンドリカルレンズの転写倍率20倍の場合、導波路の面取り部のばらつき幅を30μm以上にすればよいし、転写用シリンドリカルレンズの転写倍率40倍の場合、導波路の面取り部のばらつき幅を15μm以上にすればよい。こうした条件を一般化すると、導波路50の出射面54の幅をdとし、基板8上でのレーザビームの照射幅をLとした場合、面取り部55のばらつき幅を、600×(d/L)[μm]以上に設定することが好ましい。
入射面に対しても、同様に、入射面53と各主面55との間の面取りの幅を、導波路の厚みの1/20以下、好ましくは1/40以下として、レーザビームの出力損失を10%以下あるいは5%以下に保持することができる。他方、面取りの幅の下限は、10μm以上として、上述のごとく、角部の材料欠損の防止を図る。
図7には、導波路50で分割されたビーム断面を示すが、導波路50は、この例は、レーザ光源1からの断面円形プロフイル25のレーザビーム2を導波路50により5分割しており、分割されるべきレーザビーム20は、図中のM=−2、−1、0、+1、+2で表すように5層に区分けされている。
レーザビーム20は、一旦焦点F0で収束して後に導波路50の入射面53を通って導波路に入射し、導波路内を拡がりながら、しかも、導波路50を構成する2つの反射面51、52で全反射されながら、出射面54から放射される。より詳しくは、入射したレーザビーム2の中央部を成す一層は、反射面51、52で反射されることなく、導波路を通過して分割ビームとなる(この部分は、M=0)。入射したレーザビームの別の2つの層は、反射面51、52のいずれかを1回だけ反射して、出射面54から放射されて、分割ビームとなる(M=−1及び+1)。入射したレーザビームのさらに別の2つの層は、2つの反射面51、52をそれぞれ1回づつ反射して、出射面54から放射されて、分割ビームとなる(同様に、M=−2及び+2)。これらの5つの分割ビームは、共通して、出射面54を通過するので、出射面54では、これらの分割ビーム(M=−2、−1、0、+1、+2)が合成されて、重ね合わされており、強度分布はy方向には、均一化されている。その前方の転写シリンドリカルレンズ16は、この照射面54での分割ビームを、照射面である基板8上に転写するもので、これにより、y方向(即ち、長軸方向)に均一の合成された照射ビーム21が、半導体膜などの照射面上で得られる。
導波路50においては、ビームが反射面に当たる際に入射角がかなり小さい。導波路に合成石英などの屈折率が高い材料を使用することができ、入射したレーザビームの大部分は、導波路の反射面で全反射して、導波路内部を通過する。導波路に入る際の角度と導波路の厚さに依存して、導波路5の反射面51、52で3回以上反射させるように設計することもできる。平行ビームの径と長軸方向集光レンズからもとめた開口数NAと導波路の形状により導波路内での反射回数が決まり、この反射回数から導波路での分割回数が決まる。
導波路50の出射面54と一対の反射面51、52との間の角部に、上記のごとく、45°の面取り部55が施されていると、面取り部55に対応して透過しないで散乱するビーム層が、レーザビームの反射回数の異なる境界部で生じる。図7には、入射前のレーザビーム2について、光軸に垂直な断面で、ビームプロフイル25を円形と仮定して、ビームプロフイルにおける分割ビーム2aの割付を示しているが、図中の散乱するビーム層26が、各反射回数で区分されたビーム層の間に存在することがわかる。導波路への入射ビームのビームプロフイル25が、方形ないし矩形のプロフイルである場合も、同様にして、ビームプロフイルに散乱ビーム層26を割り付けることができる。
正確に面取り部による出力損失を計算するには、ビームプロフイル25内のレーザ強度分布関数(例えば、ガウス分布関数)の面積積分値に対して、上記各散乱ビーム層26が横切るレーザ強度分布関数の面積積分値の散乱ビーム層についての総和の比から、求められる。然しながら、レーザエネルギーの分布密度は、円形プロフィルの中央部で最も高く、周縁部では、低意ので、上記図7で示した散乱ビーム層26の総和による損失は、上記面積比(Tc1+Tc2)/Thにより5%以下となる様に、Tc1をThの1/40以下に摺れば、散乱ビーム層26の総和による損失も5%以下にすることができる。
上記図7の散乱するビーム層26は、出射面54での面取り部55に起因するものであるが、入射面53側に設けた面取り部55の出力に及ぼす影響は、入射するレーザビームの断面寸法に対して、入射面53を十分大きくすれば、殆ど回避できる。これは、入射面53側の面取り部55については、面取りにより決まる入射面53輪郭が、入射レーザのマージンを決めるに過ぎないからである。このためには、入射面53に対する焦点位置F0を十分小さくすれば良い。
この実施形態においては、導波路の出射面および又は入射面に反射防止膜を設けないのが好ましい。導波路の入射面ないし出射面における面取り部は、加工時に大きな凹凸を有する粗面として成形される場合が多く、この荒れた面に、反射防止膜、たとえば、多層誘電体膜、が形成されると、形成された反射防止膜も荒れた粗面となり、膜自体の透過率が低下する。それゆえ、レーザ光が面取り部を透過するときは、反射防止膜が、レーサ光の一部を吸収して、過熱される。この面取り部周辺の温度分布により、導波路の入射面ないし出射面には熱レンズが形成され、ガラス基板上で集光される焦点位置が基板の照射面からのずれを生じる。これにより、照射ビームの短軸方向の集光幅が広がり、照射エネルギー密度が低下するので、安定したレーザアニーリングが行えなくなる。この実施形態は、反射防止膜を形成しないので、レーザ光の反射による損失が1面当たり、4〜5%であるけれども、それでも、安定したレーザアニーリングを行うことができる利点がある。
基板には、半導体膜が形成されて、アニーリング処理を受けるが、このような半導体膜には、非晶質シリコン膜が利用される。非晶質シリコン膜は、ガラス基板上にCVD法等により形成され、その厚さは1μm以下であり、これに上記装置により、線状プロフイルの照射ビームを掃引して多結晶化する。
シリコン膜に対しては、レーザ光源は、330〜800nmの可視光源が、シリコン非晶質膜への光吸収効率が良いので好ましく利用される。このような光源には、Nd:YAGレーザの第2又は第3高調波、Nd:ガラスレーザの第2又は第3高調波、Nd:YVOレーザの第2又は第3高調波、Nd:YLFレーザの第2高調波または第3高調波、Yb:YAGレーザの第2又は第3高調波、Yb:ガラスレーザの第2又は第3高調波、Ti:Al(サファイア)レーザの基本波または第2高調波を使用することができる。これらは、パルスレーザとして利用される。例えば、Nd:YAGレーザの第2高調波が利用できる。
これらの光源からのレーザビーム2は、強度分布がガウス分布に近く、ビーム中央部の強度が強く、ビーム端部に向かって強度が弱くなるが、上記導波路で分割された多数の分割ビームは、長軸方向に拡大しながら転写レンズで基板面に結像するようにレンズの位置を調整し、単軸方向には、短軸方向集光レンズにより集光することによって、照射ビーム21は、長軸方向については台形状のmmオーダで強度が均一で、しかも、短軸方向には、半値全幅が10〜100μmオーダであるガウス分布に似た急峻な強度分布を得ることができる。
図4には、このようなレーザアニール装置を、移動ステージに配置した例を示すが、線状のビーム形状に変換された照射ビーム21を、移動ステージ9上にセットされた非結晶シリコン膜などの半導体膜が成膜されている基板8に照射する。線状分布の照射ビーム21の短軸方向に基板8上を走査するように移動ステージを動作させることにより、連続して加熱されて、シリコン膜上の照射部位22が帯状に掃引されて凝固過程でシリコン膜が結晶化する。
本発明は、半導体基板の製造の分野において、特に、大きな面域を必要とする液晶デイスプレーの駆動回路用の半導体回路の分野に好適に適用される。
本発明の実施形態に係るレーザアニール装置に使用する導波路の斜視図。 本発明の実施形態に係るレーザアニール装置に使用する導波路の部分断面図。 レーザアニール装置に使用する導波路の面取り部の幅と欠け発生頻度の関係を示す図。 レーザアニール装置の概要を示す図 本発明の実施形態に係るレーザアニール装置をy−z面で示す図。 本発明の実施形態に係るレーザアニール装置をx−z面で示す図。 本発明の実施形態に係るレーザアニール装置における導波路の光学的機構を示す図。 面取り部の幅のばらつきを示す説明図。 回折光強度比と基板上での回折光分散距離との関係を示すグラフ。 回折光強度比と面取り幅のばらつきとの関係を示すグラフ。 レーザアニール時のレーザエネルギー密度と、アニールされたTFTのnチャンネルの電子移動度との関係を示すグラフ。
符号の説明
1 レーザ光源、 2 レーザビーム、 5 光学系、 50 導波路、 51、52 反射面、 53 入射面、 54 出射面、 55 面取り、 8 基板、 9 走査ステージ。

Claims (9)

  1. パルスレーザ光源からのレーザビームを基板上に形成された非晶質半導体膜に照射して非晶質半導体膜を多結晶化するレーザアニール装置において、
    該装置が、互いに対向する一対の反射面を有してレーザビームの光軸に垂直な一方向のビーム強度のみを均一化した線状ビームを形成する透明中実の導波路を有し、
    該導波路の出射面は、上記反射面との間の角部に面取り部を有し、
    該面取り部の幅が、導波路の厚みの1/20以下であることを特徴とするレーザアニール装置。
  2. パルスレーザ光源からのレーザビームを基板上に形成された非晶質半導体膜に照射して非晶質半導体膜を多結晶化するレーザアニール装置において、
    該装置が、互いに対向する一対の反射面を有してレーザビームの光軸に垂直な一方向のビーム強度を均一化した線状ビームを形成する導波路を有し、
    該導波路の入射面は、上記反射面との間の角部に面取り部を有し、
    該面取り部の幅が、導波路の厚みの1/20以下であることを特徴とするレーザアニール装置。
  3. 上記面取り部の幅が、導波路の厚みの1/40以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のレーザアニール装置。
  4. 上記面取り部の幅が、10μm以上であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のレーザアニール装置。
  5. 上記導波路の出射面の幅をdとし、上記基板上に形成された上記非晶質半導体膜に上記レーザビームを照射幅をLとした場合、上記面取り部のばらつき幅が、600×(d/L)[μm]以上であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のレーザアニール装置。
  6. 上記導波路の出射面には、反射防止膜を形成しない請求項1ないし5のいずれかに記載のレーザアニール装置。
  7. 上記導波路の入射面には、反射防止膜を形成しない請求項1ないし6のいずれかに記載のレーザアニール装置。
  8. 非晶質膜がシリコン膜であり、上記レーザ光源が330〜800nmの波長域のレーザを照射する請求項1ないし7のいずれかに記載のレーザアニール装置。
  9. レーザビーム源が、Nd:YAGレーザの第2若しくは第3高調波、Nd:ガラスレーザの第2若しくは第3高調波、Nd:YVOレーザの第2若しくは第3高調波、Nd:YLFレーザの第2高調波若しくは第3高調波、Yb:YAGレーザの第2若しくは第3高調波、Yb:ガラスレーザの第2若しくは第3高調波、又は、Ti:Alレーザの基本波若しくは第2高調波である請求項8に記載のレーザアニール装置。


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