JP4436068B2 - 石炭ガス化プラント、および石炭ガス化方法、および石炭ガス化発電プラント、並びに石炭ガス化プラントの増設設備 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、石炭、石油その他のハイドロカーボン系の燃料をガス化することに関し、更に詳しくは、CO2の排出量を低減すること、発電プラントの効率低下を抑えることのうち少なくとも一つを達成できる石炭ガス化プラント、石炭ガス化方法、および石炭ガス化発電プラント、並びに石炭ガス化プラントの増設設備に関する。
【0002】
【従来の技術】
石炭、石油その他のハイドロカーボン系の燃料は取り扱いが比較的容易であるため、これを用いて発電するプラントが従来から多数稼動している。特に石炭はその埋蔵量が莫大であることから、将来にわたって安定した供給が可能であるので、有望な燃料の一つとして注目されている。しかしながら、他のハイドロカーボン系の燃料と比較して燃料中に含まれる炭素(C)分を多く含むため、単位熱量当たりのCO2排出量が多いという問題がある。特に、近年においては地球環境保全の観点から、CO2の排出量を低減することは早急に達成すべき重要な課題となっている。ここで、発電プラントの効率が向上すれば、同じ電力を発生させるために必要な燃料の量を低減できるので、CO2の排出量を低減できる。このため、従来の石炭焚発電プラントにおいては、プラントの効率を向上させてCO2の排出量を抑制する対策がとられていた。
【0003】
このようなプラント効率を向上させる技術としては、石炭ガス化複合発電(Integrated Coal Gasification Combined Cycle:IGCC)という技術が知られている。この技術は、石炭をそのまま燃焼させるのではなく、一旦ガス化してから発電用の燃料として供給するものである。石炭ガス化複合発電においては、ガスタービンおよび蒸気タービンと組み合わせることによって、従来40%程度であった石炭焚発電プラントの効率を約46%まで向上させることができる。このプラント効率の向上によって、CO2の排出量は従来の石炭焚ボイラに対して約13%削減できる。
【0004】
また、近年地球環境温暖化の問題から、CO2の排出量をさらに削減するために、CO2を回収する技術が研究されている。特許第2870929号や特許第3149561号に開示された石炭ガス化発電プラントでは、COシフト装置やCO2回収設備を追加することによりCO2を回収し、CO2の排出量をさらに低減させた石炭ガス化発電プラントが開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの石炭ガス化複合発電ではCO2の回収率が高いため、ガスタービンの作動流体である燃焼ガスの質量流量が減少する結果、ガスタービンの出力低下を招いていた。また、COシフトやCO2を回収した後の回収液を再生するために必要な蒸気を供給するため、蒸気タービンに供給する蒸気量が低減していた。これらの影響によって、上記石炭ガス化発電プラントにおいては、結果としてプラント効率が低下するという問題があった。
【0006】
このため、ある程度の発電量を確保しようとすると、より多くの燃料を消費してしまうので燃料コストの増加を招き、CO2の排出量も増加してしまう。さらに、省エネルギーの要請にも沿い難くなる。そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、CO2の排出量を低減すること、発電プラントの効率低下を抑えることのうち少なくとも一つを達成できる石炭ガス化プラント、石炭ガス化方法、および石炭ガス化発電プラント、並びに石炭ガス化プラントの増設設備を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、請求項1に係る石炭ガス化プラントは、石炭をガス化して燃焼用のガスを生成する石炭ガス化炉と、この石炭ガス化炉で作られた生成ガス中のCOSをH2Sに変換するCOS変換手段と、当該COS変換手段によるCOS変換後の生成ガス中に含まれるCOをCO2に変換しつつCO転換率を20%以上55%以下とするCOシフト手段と、アミン液によって前記変換後の生成ガス中に含まれるH2SとともにCO2を回収するH2S/CO2回収手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
この石炭ガス化プラントは、COS変換後の生成ガス中に含まれるCOをCO2に変換し、アミン液によるH2S/CO2回収手段を用いてCOS変換後の生成ガス中に含まれるH2SとともにCO2を回収するようにしてある。このため、CO2の量を低減しつつある程度のCOを含んだ生成ガスを供給できるので、ガスタービンやガスエンジン等でこの生成ガスを燃料とした場合には排出するCO2の量を低減しつつ出力低下も抑制できる。また、この石炭ガス化プラントを備えた発電プラントにおいては、CO2の含有量を抑えつつある程度のCOを含んだ生成ガスを燃料として使用できるので、CO2の排出量を抑えつつプラント効率の低下も抑制できる。さらに、H2S/CO2回収手段によってCO2とともにH2Sの回収、すなわち生成ガスの脱硫もできる。このため、従来の石炭ガス化プラントのように脱硫設備を別個に設ける必要がないので、設備投資の費用も抑えることができる。また、プラントの設備を簡略化できるので、その分保守・点検の手間も軽減でき、プラントの信頼性も向上させることができる。なお、この石炭ガス化プラントによって燃料用の生成ガスを作り、パイプライン等を介して異なる場所にある発電プラントに生成ガスを燃料として供給してもよい。
しかも、この石炭ガス化プラントは、COシフト手段におけるCO転換率を、20%以上55%以下としたことを特徴とする。この石炭ガス化プラントは、CO転換率を20%以上55%以下としてあるので、COからCO 2 に転換されないCOをある程度残した生成ガスをガスタービンやガスエンジン等に供給することができる。また、CO 2 に転換されたCOはH 2 S/CO 2 回収手段によって回収されるため、生成ガス中のCO 2 含有量も低減できる。これによって、ガスタービンやガスエンジン等の燃料として燃焼させた場合には、CO 2 の排出量を低減しつつ作動流体の質量流量をある程度確保できるので、ガスタービンやガスエンジン等の出力低下を抑えることができる。また、COシフトに必要な蒸気量を抑制できるので、ガスタービン等の排熱を回収して蒸気タービンを駆動するガスタービン複合発電プラント等においては、蒸気タービンにより多くの蒸気を供給できる。これらの作用によって、この石炭ガス化プラントを備えた複合発電プラントにおいては、CO 2 回収機能を有さない従来のプラントと比較して、CO 2 を有効に回収しつつ、プラント全体の効率低下を最小限に抑えることができる。
【0009】
また、請求項2に係る石炭ガス化プラントは、上記石炭ガス化プラントにおいて、上記アミン液は第3級アルカノールアミン溶液であることを特徴とする。この石炭ガス化プラントは、生成ガス中のH2SとCO2とを回収するために使用するアミン液に第3級アルカノールアミン溶液を使用する。このため、H2Sの選択吸収性を抑え、生成ガス中のH2SとCO2とを同時に吸収することができる。これによって、生成ガス中のCO2量を低減できるので、この石炭ガス化プラントによって生成した生成ガスをガスタービンやガスエンジン等の燃料とした場合には、大気中に排出するCO2量を低減できる。また、H2Sも同時に回収できるので脱硫設備も不要となり、プラントの設備を簡略化できる。ここで、H2SとCO2とを効率よく同時に吸収できるようにするため、このアミン液に活性剤をさらに添加したり、他のアミン等を調合したりすることによって、より好適なH2S/CO2吸収性能を持たせてもよい。
【0011】
また、請求項3に係る石炭ガス化プラントは、上記石炭ガス化プラントにおいて、COシフトにおける温度は250℃以上350℃以下であることを特徴とする。一般にCOシフト反応温度が低いほどCO転換率は高くなるが、反応速度は反応温度が低くなるにしたがって急速に低下する。この石炭ガス化プラントは、COシフトにおける温度を250℃以上350℃以下としてあるので、反応温度をある程度確保することによりCOシフトの反応速度が高く維持される結果、反応に必要な触媒量を経済的に適当な量に抑えることができる。
【0012】
また、請求項4に係る石炭ガス化方法は、石炭をガス化して燃焼用のガスを生成する石炭ガス化工程と、この石炭ガス化工程で作られた生成ガス中のCOSをH2Sに変換するCOS変換工程と、当該COS変換工程によるCOS変換後の生成ガス中に含まれるCOをCO2に変換しつつCO転換率を20%以上55%以下とするCOシフト工程と、アミン液によって前記COS変換後の生成ガス中に含まれるH2SとともにCO2を回収するH2S/CO2回収工程と、を有することを特徴とする。
【0013】
この石炭ガス化方法は、COS変換後の生成ガス中に含まれるCOをCO2に変換し、アミン液によるH2S/CO2回収手段を用いてCOS変換後の生成ガス中に含まれるH2SとともにCO2を回収するようにしてある。このため、CO2の量を低減した生成ガスを供給できるので、ガスタービンやガスエンジン等でこの生成ガスを燃料とした場合には排出するCO2の量を低減できる。
【0014】
また、発電プラントにおいて、この石炭ガス化方法によって生成した生成ガスを燃料として供給した場合には、CO2の含有量が少ない生成ガスを燃料として使用できるので、CO2の排出量を抑えつつプラント効率の低下も抑制できる。さらに、この石炭ガス化方法においては、H2S/CO2回収手段によってCO2とともにH2Sの回収、すなわち生成ガスの脱硫もできる。このため、この石炭ガス化方法によって燃料である生成ガスを供給する石炭ガス化発電プラントにおいては、従来の石炭ガス化発電プラントのように脱硫設備を別個に設ける必要がないので、設備投資の費用も抑えることができる。なお、この石炭ガス化方法によって燃料用の生成ガスを作り、パイプライン等を介して異なる場所にある発電プラントに生成ガスを燃料として供給してもよい。
しかも、この石炭ガス化方法は、COシフト工程におけるCO転換率を、20%以上55%以下としたことを特徴とする。この石炭ガス化方法は、CO転換率を20%以上55%以下としてあるので、COからCO 2 に転換されないCOをある程度残した生成ガスをガスタービンやガスエンジン等に供給することができる。また、CO 2 に転換されたCOはH 2 S/CO 2 回収工程によって回収されるため、生成ガス中のCO 2 含有量も低減できる。これによって、ガスタービンやガスエンジン等の燃料として燃焼させた場合には、CO 2 の排出量を低減しつつ作動流体の質量流量をある程度確保できるので、ガスタービンやガスエンジン等の出力低下を抑えることができる。また、COシフトに必要な蒸気量を抑制できるので、ガスタービン等の排熱を回収して蒸気タービンを駆動するガスタービン複合発電プラント等においては、蒸気タービンにより多くの蒸気を供給できる。これらの作用によって、この石炭ガス化方法を有する複合発電プラントにおいては、CO 2 回収機能を有さない従来のプラントと比較して、CO 2 を有効に回収しつつ、プラント全体の効率低下を最小限に抑えることができる。
【0015】
また、請求項5に係る石炭ガス化発電プラントは、上記いずれかの石炭ガス化プラントを備え、この石炭ガス化プラントでガス化された生成ガスによって駆動される発電手段を備えたことを特徴とする。この石炭ガス化発電プラントは、上記したいずれかの石炭ガス化プラントを備えているので、従来の石炭ガス化発電プラントと比較して、CO2の排出量を低減しつつ、発電プラントの効率低下も抑えることができる。なお、この発明が適用できる発電プラントとしては、石炭から生成されたガスを発電機と接続されたガスタービンやガスエンジン等の発電手段に供給して発電するものがある。また、ガスタービン等の排ガスから回収した熱エネルギーによって、発電機が接続された蒸気タービン等の発電手段をさらに運転して発電する、いわゆる複合発電プラントにも、この発明は適用できる。本発明で石炭ガス化発電プラントというときには、ガスタービン等単独による発電プラントの他、蒸気タービンも併用する複合発電プラントも含むものとする(以下同様)。
しかも、この石炭ガス化発電プラントは、COシフト手段におけるCO転換率を、20%以上55%以下としたことを特徴とする。この石炭ガス化発電プラントは、CO転換率を20%以上55%以下としてあるので、COからCO 2 に転換されないCOをある程度残した生成ガスをガスタービンやガスエンジン等に供給することができる。また、CO 2 に転換されたCOはH 2 S/CO 2 回収手段によって回収されるため、生成ガス中のCO 2 含有量も低減できる。これによって、ガスタービンやガスエンジン等の燃料として燃焼させた場合には、CO 2 の排出量を低減しつつ作動流体の質量流量をある程度確保できるので、ガスタービンやガスエンジン等の出力低下を抑えることができる。また、COシフトに必要な蒸気量を抑制できるので、ガスタービン等の排熱を回収して蒸気タービンを駆動するガスタービン複合発電プラント等においては、蒸気タービンにより多くの蒸気を供給できる。これらの作用によって、この石炭ガス化発電プラントにおいては、CO 2 回収機能を有さない従来のプラントと比較して、CO 2 を有効に回収しつつ、プラント全体の効率低下を最小限に抑えることができる。
【0016】
また、請求項6に係る石炭ガス化プラントの増設設備は、石炭をガス化して燃焼用のガスを生成する石炭ガス化炉と、この石炭ガス化炉で作られた生成ガス中のCOSをH2Sに変換するCOS変換手段とを備えた石炭ガス化プラントに取付け得るもので、前記COS変換手段によるCOS変換後の生成ガス中に含まれるCOをCO2に変換しつつCO転換率を20%以上55%以下とするCOシフト手段と、前記COシフト後の生成ガスからアミン液によりH2SとCO2とを回収し、H2SとCO2とが回収された後の生成ガスを前記発電手段に供給するH2S/CO2回収手段とを有することを特徴とする。
【0017】
この石炭ガス化プラントの増設設備は、石炭ガス化炉とCOS変換手段を備えた石炭ガス化設備に、COシフト手段とH2S/CO2回収手段とを取付けるものである。このように、既存の石炭ガス化設備に取付けることで、生成ガス中に含まれるCO2の排出量を低減させることができる。これによって、既存の設備を利用して、CO2の排出量を低減できるので、設備投資を抑制でき経済的である。また、この増設設備によって改造した石炭ガス化プラントによって生成した生成ガスをガスタービン等に供給した場合には、ガスタービン等の出力低下を抑えつつCO2の排出量も低減できる。さらに、この増設設備によって改造した石炭ガス化プラントを有する発電プラントにおいては、CO2の排出量を従来よりも低減しつつプラント効率の低下も抑えることができる。したがって、新たな発電プラントを新設する必要もなく、少ない設備投資で性能を改善した発電プラントとすることができ、経済的である。
しかも、この石炭ガス化プラントの増設設備は、COシフト手段におけるCO転換率を、20%以上55%以下としたことを特徴とする。この石炭ガス化プラントの増設設備は、CO転換率を20%以上55%以下としてあるので、COからCO 2 に転換されないCOをある程度残した生成ガスをガスタービンやガスエンジン等に供給することができる。また、CO 2 に転換されたCOはH 2 S/CO 2 回収手段によって回収されるため、生成ガス中のCO 2 含有量も低減できる。これによって、ガスタービンやガスエンジン等の燃料として燃焼させた場合には、CO 2 の排出量を低減しつつ作動流体の質量流量をある程度確保できるので、ガスタービンやガスエンジン等の出力低下を抑えることができる。また、COシフトに必要な蒸気量を抑制できるので、ガスタービン等の排熱を回収して蒸気タービンを駆動するガスタービン複合発電プラント等においては、蒸気タービンにより多くの蒸気を供給できる。これらの作用によって、この石炭ガス化プラントの増設設備を備えた複合発電プラントにおいては、CO 2 回収機能を有さない従来のプラントと比較して、CO 2 を有効に回収しつつ、プラント全体の効率低下を最小限に抑えることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0019】
(実施の形態)
図1は、この発明に係る石炭ガス化発電プラントを示す説明図である。この石炭ガス化発電プラントは、石炭をガス化した生成ガスにCOシフト反応を起こさせた後、生成ガスを脱硫(H2Sの除去)するとともに生成ガス中のCO2を回収する点に特徴がある。なお、石炭ガス化炉10と、COS変換手段であるCOS変換装置20と、COシフト手段であるCOシフト装置30と、H2S/CO2回収手段であるH2S/CO2回収装置40とによって、石炭ガス化プラントを構成することもできる。
【0020】
つぎに図1を用いて、この石炭ガス化発電プラント100の運転手順を説明する。ガス化炉10には石炭と、ガス化空気と石炭を搬送するための窒素とが供給される。ガス化空気はガス化空気圧縮機16から供給され、空気分離装置12で分離された酸素と混合される。また、窒素は空気分離装置12で空気から酸素を分離することで製造される。ガス化炉10でガス化された石炭は脱塵装置14に送られて、生成ガス中の粉塵が除去される。粉塵が除去された後の生成ガスはCOS変換装置20へ送られて、ここで生成ガス中のCOSがH2Sに変換される。
【0021】
COSがH2Sに変換された後の生成ガスはCOシフト手段であるCOシフト装置30へ送られる。COシフト装置30にはボイラ等から水蒸気が供給されて、つぎのCOシフト反応を起こさせる。
CO+H2O→CO2+H2+41.16 kJ/mol
このときCOシフト装置30における反応温度はある程度高い温度として、COシフト反応を迅速に進行させるとともに、水蒸気供給量を調整してCO転換率をある程度以下に抑える。具体的にはCOシフト反応温度を250℃以上350℃以下の範囲としてCOシフト反応を進行させる。COシフト反応温度が低いほどCO転換率は高くなるが、一般に反応速度は反応温度が低くなるにしたがって急速に低下する。COシフト反応温度を上記範囲に抑えるのは、反応温度をある程度確保することによりCOシフトの反応速度が高く維持される結果、反応に必要な触媒量を経済的に適当な量に抑えることができるからである。
【0022】
CO転換率は、充分なCOシフト触媒と充分な蒸気量とが供給できれば、ほぼ100%までCO転換率を引き上げることができる。しかしながら、COシフトのために蒸気を供給すると、本来発電プラントとして蒸気タービンで発電に供する蒸気量を減少させることになり、発電出力の低下を招き好ましくない。さらに、CO転換率を高くすると、H2S/CO2回収装置40においてはそれだけ多くのCO2がアミン吸収液に吸収されることになる。したがって、大量のCO2を吸収したアミン吸収液を再生させる工程においても多量の蒸気を使用することになり、プラント全体の熱効率を著しく低下させる。したがって、CO転換率はある程度の範囲に抑える必要があり、具体的には、CO転換率を10%以上60%以下にすることが好ましく、また、CO転換率を20%以上55%以下にすると、CO2の排出量を低減しつつ発電プラントの効率低下を充分に抑えることができるので好ましい。さらには、CO転換率を30%以上55%以下とすると、さらにCO2の排出量を低減しつつ発電プラントの効率低下を充分に抑えることができるので、より好ましい。なお、CO2の排出量を抑えたいときにはCO転換率を高めに設定し、プラント効率を高くしたいときには、CO転換率を低めに設定するとよい。
【0023】
CO転換率を上記範囲に抑えるのはつぎの理由による。まず、COシフトに必要な蒸気量を抑制して蒸気タービン64の出力を確保するためである。つぎに、COからCO2に転換されないCOをある程度残してガスタービン50に供給し、最終的にガスタービン50の燃料として燃焼させることによってガスタービン50の出力を確保するためである。さらに、H2S/CO2回収装置40でCO2を吸収したアミン吸収液を再生する必要があるが、この再生工程において使用する蒸気量をできるだけ少なく抑え、蒸気タービン64に供給する蒸気量を多くするためである。これらの相互作用によって、CO2回収機能を有さない従来のプラントと比較して、CO2を有効に回収しつつ、プラント全体の熱効率低下を最小限に抑えることができる。なお、CO転換率は、
100−COo/COiである。
ここで、COoはCOシフト装置30の出口におけるCO濃度を表し、COiはCOシフト装置30の入口におけるCOの濃度を表す。
【0024】
COシフト装置30でCOシフト変換された後の生成ガスはH2S/CO2回収装置40へ送られ、ここでH2SとCO2とが除去される。このH2S/CO2回収装置40は、アミン吸収液を使用した湿式アミン法によるものである。ここで、石炭ガス化発電プラントで従来使用されてきた湿式アミン法においては、H2Sの回収率を高くするためにH2Sの選択回収性を高くしていた。この場合には、H2Sの回収率を表す尺度であるCO2スリップ率は70〜80%という高い値であった。ここでCO2スリップ率は、(H2S/CO2回収装置40出口におけるCO2)/(H2S/CO2回収装置40入口におけるCO2)である。
【0025】
しかし、本発明のH2S/CO2回収装置40においては、H2Sの選択性を抑え、H2SとともにCO2も回収するようになっている。このときのCO2スリップ率は、およそ2%以下であり、ほとんどのCO2はH2S/CO2回収装置40で回収される。また、回収液の通液量を増やしたり、回収温度を低くしたりすることによってH2Sについても従来と同程度の回収率を維持できる。本発明のH2S/CO2回収装置40では、燃焼排ガスではなく燃料の段階で、しかも高圧下においてCO2を除去するため、H2S/CO2回収装置40をコンパクトにすることができ、経済的である。また、このH2S/CO2回収装置40はCO2の回収とともに脱硫も兼ねているので、別個に脱硫設備を設ける必要がない。したがってプラント建設においては設備投資額を低減することができ、経済的である。
【0026】
このように、この発明に係る石炭ガス化発電プラントにおいては、H2S/CO2回収装置40でH2SとCO2とを同時に除去するため、アミン吸収液の中でもH2Sの選択回収性を低くしてCO2の回収性を高めた第3級アルカノールアミン溶液を使用する。一般に、第3級アルカノールアミン溶液はCO2の吸収速度が遅く、H2Sを選択的に吸収できるため、天然ガスの処理プロセスに使用する場合には好適である。しかし、本発明に係るプラントにおいてはH2SとCO2とを同時に吸収する必要があるので、あまりH2Sの選択吸収性が高いと本発明に係るプラントには適用できない。したがって、CO2の吸収速度を高くし、H2Sの選択吸収性を低くして、H2SとCO2とを同時に吸収できるようにする必要がある。このような吸収特性を持つ第3級アルカノールアミン溶液の吸収液として、特にMDEA(メチルジエタノールアミン)を使用することが好ましい。さらに、上記アミン液に活性剤をさらに添加したり、他のアミン等を調合したりすることによって、より好適なH2S/CO2吸収性能を持たせることが好ましい。
【0027】
H2S/CO2回収装置40で処理された後の生成ガスは、発電手段であるガスタービン50の燃焼器52に供給され、ここで燃焼して高温・高圧の燃焼ガスを生成し、この燃焼ガスによってタービン54を駆動する。タービン54は発電機60と連結されており、タービン54が駆動することによって発電機60が電力を発生する。タービン54を駆動したあとの排ガスはまだ500〜600℃の温度を持っているため、HRSG62(Heat Recovery Steam Generator:排熱回収ボイラ)へ送られて熱エネルギーを回収することが好ましい。HRSG62では、排ガスの熱エネルギーによって蒸気が生成され、この蒸気によって蒸気タービン64を駆動する。HRSG62で熱エネルギーを回収された排ガスは、脱硝装置(図示せず)で排ガス中のNOx分が除去された後、大気中へ放出される。
【0028】
なお、発電手段としてはガスタービン50の代わりにガスエンジンを使用してもよい。そして、このガスエンジンの排ガスをガスタービンに供給して、ガスエンジンとガスタービンとによって発電してもよい。ガスタービンを駆動した後の排ガスは、上記例と同様にHRSGで熱エネルギーを回収し、回収した熱エネルギーにより蒸気タービンを駆動する。さらに、発電手段としてはガスタービン50の代わりに燃料電池を用いて、これによって発電してもよい。燃料電池の排気はガスタービンやガスエンジンに供給してこれらを駆動して発電したり、HRSGによって蒸気を生成して蒸気タービンを駆動して発電したりすることによって、燃料電池の排気が持つ熱エネルギーを回収することができる。
【0029】
図2は、この発明に係る石炭ガス化発電プラントにおけるCO2除去率とCO転換率との関係について示した説明図である。ここでいうCO2除去率は、COシフト装置30を設置する前と比較して、ガスタービン50の出口においてCO2の排出量が低減した割合を示すものである。同図に示すように、CO転換率が上昇すると生成ガス中のCOが減少し、CO2の割合が増加する。生成ガス中のCO2はH2S/CO2回収装置40で98%以上が除去されるため、ガスタービン50の燃焼器52入口におけるCOおよびCO2の総量が低減する。これによって、ガスタービン50の出口におけるCO2の排出量が低減して、CO2除去率が上昇する。例えば、COシフト装置30で40%のCOがCO2に変換された場合には、CO転換率が0%の場合と比較して、40%のCO2が削減されることになる。
【0030】
一方、COシフト装置30ではすべてのCOがCO2に変換される訳ではないので、CO転換率が100%の場合と比較してそれだけ燃焼ガス中のCO2が多くなり、この分だけ作動流体である燃焼ガスの質量流量を大きくできる。これによって、ガスタービンの出力はCO転換率が100%に近いときよりも高くなるので、プラント全体の効率もそれだけ高くできる。例えば、COシフト装置30で40%のCOがCO2に変換された場合には、CO2に変換されなかった60%のCOが燃焼してCO2になる。そして、この分だけCO転換率が100%に近いときよりも作動流体の質量が増加するので、ガスタービン50の出力もこの分だけ増加しプラント効率も高くできる。
【0031】
図3は、この発明に係る石炭ガス化発電プラントにおけるCO転換率とプラント効率との関係を示す説明図である。この図から分かるように、CO転換率が55%を超えるとプラント全体の熱効率低下が大きくなる。したがって、CO転換率を所定値以下に抑えることによって、発電プラント全体の熱効率低下を抑えつつ、CO2排出量も抑えることができる。
【0032】
表1は、この発明に係る石炭ガス化発電プラントと他の発電プラントとを比較したプラント効率等の比較結果を示す。例えば、CO転換率を55%以下に抑えた場合には、CO2の排出量を従来の石炭ガス化複合発電プラントの約50%に、熱効率は従来の石炭焚ボイラ火力発電プラントと比較して約4%高くなる。ここで、CO2の排出量は、従来の石炭焚ボイラによる火力発電におけるCO2の排出量をMとしたときの割合である。
【0033】
一方、従来の石炭ガス化複合発電プラントと比較しても、熱効率の低下は約2%に抑えることができる。その結果、従来の石炭ガス化複合発電プラントのようにCO転換率が高い場合と比較して、より少ない燃料で同じ発電量を得ることができる。このように、燃料消費量を低減できるため、その分だけ燃料コストを低減できる。また、燃料消費量が低減する分だけ大気中に放出されるCO2の量も低減するので、上記CO2の低減効果に加えて、さらなるCO2の低減効果を奏する。
【表1】
【0034】
なお、上述したように、石炭ガス化炉10と、COS変換装置20と、COシフト装置30と、H2S/CO2回収装置40とによって、石炭ガス化プラントを構成することもできるが、このときにはCO2の量を低減しつつある程度のCOを含む生成ガスを供給できる。この生成ガスによってガスタービンやガスエンジンを駆動した場合には、CO2の排出量を低減しつつ出力低下を抑えることができる。また、この石炭ガス化プラントを備えた発電プラントにおいては、CO2の排出量を低減しつつプラント効率の低下を抑えることができる。さらに、この石炭ガス化プラントからパイプライン等によって複数の発電プラントへ生成ガスを供給してもよい。このようにすれば、各発電プラント毎に石炭ガス化施設を用意する必要がなくなるので、発電プラントの設備投資を低く抑えつつ、CO2の排出量を抑えたプラント効率の高い発電プラントを提供できる。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明に係る石炭ガス化プラント(請求項1)では、COS変換後の生成ガス中に含まれるCOをCO2に変換し、アミン液によるH2S/CO2回収手段を用いてCOS変換後の生成ガス中に含まれるH2SとともにCO2を回収するようにした。このため、CO2の量を低減しつつある程度のCOを含んだ生成ガスを供給できるので、ガスタービンやガスエンジン等でこの生成ガスを燃料とした場合には、排出するCO2の量を低減しつつ出力低下を抑えることができる。また、この石炭ガス化プラントを備えた発電プラントにおいては、CO2の含有量を抑えつつある程度のCOを含んだ生成ガスを燃料として使用できるので、CO2の排出量を抑えつつプラント効率の低下も抑制できる。さらに、H2S/CO2回収手段によって生成ガスの脱硫もできるので、従来の石炭ガス化プラントのように脱硫設備を別個に設ける必要がなく、設備投資の費用も抑えることができる。
しかも、この発明に係る石炭ガス化プラントでは、COをCO 2 に変換しつつCO転換率を20%以上55%以下としたので、COからCO 2 に転換されないCOをある程度残した生成ガスをガスタービンやガスエンジン等に供給することができる。また、CO 2 に転換されたCOはH 2 S/CO 2 回収手段によって回収されるため、生成ガス中のCO 2 含有量も低減できる。これによって、発電プラントの燃料としてこの生成ガスを燃焼させた場合には、CO 2 の排出量を低減しつつ作動流体の質量流量をある程度確保できるので、プラントの効率低下を抑えることができる。また、COシフトに必要な蒸気量を抑制できるので、ガスタービン等の排熱を回収して蒸気タービンを駆動するガスタービン複合発電プラント等においては、蒸気タービンにより多くの蒸気を供給できる。これによって、この石炭ガス化プラントを備えた複合発電プラントにおいては、CO 2 を有効に回収しつつ、プラント全体の効率低下を最小限に抑えることができる。
【0036】
また、この発明に係る石炭ガス化プラント(請求項2)では、生成ガス中のH2SとCO2とを回収するために使用するアミン液に第3級アルカノールアミン溶液を使用するようにした。このため、H2Sの選択吸収性を抑え、生成ガス中のH2SとCO2とを同時に吸収することができる。これによって、生成ガス中のCO2量を低減できるので、この石炭ガス化プラントによって生成した生成ガスをガスタービン等の燃料とした場合には、大気中に排出するCO2量を低減できる。また、H2Sも同時に回収できるので脱硫設備も不要となり、プラントの設備を簡略化できる。
【0038】
また、この発明に係る石炭ガス化プラント(請求項3)では、COシフトにおける温度を250℃以上350℃以下としてあるので、反応温度をある程度確保することによりCOシフトの反応速度が高く維持される。その結果、反応に必要な触媒量を経済的に適当な量に抑えることができ、プラントの維持費用を低減できる。
【0039】
また、この発明に係る石炭ガス化方法(請求項4)では、COS変換後の生成ガス中に含まれるCOをCO2に変換し、アミン液によるH2S/CO2回収手段を用いてCOS変換後の生成ガス中に含まれるH2SとともにCO2を回収するようにした。このため、CO2の量を低減した生成ガスを供給できるので、ガスタービンやガスエンジン等でこの生成ガスを燃料とした場合には排出するCO2の量を低減できる。また、発電プラントにおいて、この石炭ガス化方法によって生成した生成ガスを燃料として供給した場合には、CO2の含有量が少ない生成ガスを燃料として使用できるので、CO2の排出量を抑えつつプラント効率の低下も抑制できる。さらに、この石炭ガス化方法においては、H2S/CO2回収手段によってCO2とともに生成ガスの脱硫もできるので、従来の石炭ガス化発電プラントのように脱硫設備を別個に設ける必要がなく、設備投資の費用も抑えることができる。
しかも、この発明に係る石炭ガス化方法では、COをCO 2 に変換しつつCO転換率を20%以上55%以下としたので、COからCO 2 に転換されないCOをある程度残した生成ガスをガスタービンやガスエンジン等に供給することができる。また、CO 2 に転換されたCOはH 2 S/CO 2 回収手段によって回収されるため、生成ガス中のCO 2 含有量も低減できる。これによって、発電プラントの燃料としてこの生成ガスを燃焼させた場合には、CO 2 の排出量を低減しつつ作動流体の質量流量をある程度確保できるので、プラントの効率低下を抑えることができる。また、COシフトに必要な蒸気量を抑制できるので、ガスタービン等の排熱を回収して蒸気タービンを駆動するガスタービン複合発電プラント等においては、蒸気タービンにより多くの蒸気を供給できる。これによって、この石炭ガス化方法を有する複合発電プラントにおいては、CO 2 を有効に回収しつつ、プラント全体の効率低下を最小限に抑えることができる。
【0040】
また、この発明に係る石炭ガス化発電プラント(請求項5)では、上記したいずれかの石炭ガス化プラントを備えたので、従来の石炭ガス化発電プラントと比較して、CO2の排出量を低減しつつ、発電プラントの効率低下も抑えることができる。
しかも、この石炭ガス化発電プラントでは、CO転換率を20%以上55%以下としてあるので、COからCO 2 に転換されないCOをある程度残した生成ガスをガスタービンやガスエンジン等に供給することができる。また、CO 2 に転換されたCOはH 2 S/CO 2 回収手段によって回収されるため、生成ガス中のCO 2 含有量も低減できる。これによって、ガスタービンやガスエンジン等の燃料として燃焼させた場合には、CO 2 の排出量を低減しつつ作動流体の質量流量をある程度確保できるので、ガスタービンやガスエンジン等の出力低下を抑えることができる。また、COシフトに必要な蒸気量を抑制できるので、ガスタービン等の排熱を回収して蒸気タービンを駆動するガスタービン複合発電プラント等においては、蒸気タービンにより多くの蒸気を供給できる。これらの作用によって、この石炭ガス化発電プラントにおいては、CO 2 回収機能を有さない従来のプラントと比較して、CO 2 を有効に回収しつつ、プラント全体の効率低下を最小限に抑えることができる。
【0041】
また、この発明に係る石炭ガス化プラントの増設設備(請求項6)では、石炭ガス化炉とCOS変換手段を備えた石炭ガス化設備に、COシフト手段とH2S/CO2回収手段とを取付けるようにした。このため、既存の設備を利用して、CO2の排出量を低減できるので、設備投資を抑制でき経済的である。また、この増設設備によって改造した石炭ガス化プラントを有する発電プラントにおいては、CO2の排出量を従来よりも低減しつつプラント効率の低下も抑えることができる。したがって、新たな発電プラントを新設する必要もなく、少ない設備投資で性能を改善した発電プラントとすることができ、経済的である。
しかも、この発明に係る石炭ガス化プラントの増設設備では、COシフト手段において、COをCO 2 に変換しつつCO転換率を20%以上55%以下としたので、COからCO 2 に転換されないCOをある程度残した生成ガスをガスタービンやガスエンジン等に供給することができる。また、CO 2 に転換されたCOはH 2 S/CO 2 回収手段によって回収されるため、生成ガス中のCO 2 含有量も低減できる。これによって、発電プラントの燃料としてこの生成ガスを燃焼させた場合には、CO 2 の排出量を低減しつつ作動流体の質量流量をある程度確保できるので、プラントの効率低下を抑えることができる。また、COシフトに必要な蒸気量を抑制できるので、ガスタービン等の排熱を回収して蒸気タービンを駆動するガスタービン複合発電プラント等においては、蒸気タービンにより多くの蒸気を供給できる。これによって、この石炭ガス化プラントの増設設備を備えた複合発電プラントにおいては、CO 2 を有効に回収しつつ、プラント全体の効率低下を最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る石炭ガス化発電プラントを示す説明図である。
【図2】この発明に係る石炭ガス化発電プラントにおけるCO2除去率とCO転換率との関係について示した説明図である。
【図3】この発明に係る石炭ガス化発電プラントにおけるCO転換率とプラント効率との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
10 ガス化炉
12 空気分離装置
14 脱塵装置
16 ガス化空気圧縮機
20 COS変換装置
30 COシフト装置
40 H2S/CO2回収装置
50 ガスタービン
52 燃焼器
54 タービン
60 発電機
64 蒸気タービン
100 石炭ガス化発電プラント
Claims (6)
- 石炭をガス化して燃焼用のガスを生成する石炭ガス化炉と、
この石炭ガス化炉で作られた生成ガス中のCOSをH2Sに変換するCOS変換手段と、
当該COS変換手段によるCOS変換後の生成ガス中に含まれるCOをCO2に変換しつつCO転換率を20%以上55%以下とするCOシフト手段と、
アミン液によって前記COS変換後の生成ガス中に含まれるH2SとともにCO2を回収するH2S/CO2回収手段と、
を備えたことを特徴とする石炭ガス化プラント。 - 上記アミン液は第3級アルカノールアミン溶液であることを特徴とする請求項1に記載の石炭ガス化プラント。
- COシフトにおける温度は250℃以上350℃以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の石炭ガス化プラント。
- 石炭をガス化して燃焼用のガスを生成する石炭ガス化工程と、
この石炭ガス化工程で作られた生成ガス中のCOSをH2Sに変換するCOS変換工程と、
当該COS変換工程によるCOS変換後の生成ガス中に含まれるCOをCO2に変換しつつCO転換率を20%以上55%以下とするCOシフト工程と、
アミン液によって前記COS変換後の生成ガス中に含まれるH2SとともにCO2を回収するH2S/CO2回収工程と、
を有することを特徴とする石炭ガス化方法。 - 請求項1〜3のいずれか一つに記載した石炭ガス化プラントを備え、この石炭ガス化プラントでガス化された生成ガスによって駆動される発電手段を備えたことを特徴とする石炭ガス化発電プラント。
- 石炭をガス化して燃焼用のガスを生成する石炭ガス化炉と、この石炭ガス化炉で作られた生成ガス中のCOSをH2Sに変換するCOS変換手段とを備えた石炭ガス化プラントに取付け得るもので、
前記COS変換手段によるCOS変換後の生成ガス中に含まれるCOをCO2に変換しつつCO転換率を20%以上55%以下とするCOシフト手段と、前記COシフト後の生成ガスからアミン液によりH2SとCO2とを回収し、H2SとCO2とが回収された後の生成ガスを前記発電手段に供給するH2S/CO2回収手段とを有することを特徴とする石炭ガス化プラントの増設設備。
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