JP4435642B2 - 表面保護フィルム、表面保護積層体、および表面保護積層体の製造方法 - Google Patents
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Description
また、図4に示すように、短波長の青色レーザを用いて情報の記録再生を行う次世代光ディスク(例えば、Blu−ray Disc)100も考案されている。かかる次世代光ディスク100の場合には、使用する青色レーザの波長が短く、焦点深度が浅くなることから、記録層102が形成されたポリカーボネート基板101(例えば、厚さ1.1mm)と、薄膜(例えば、厚さ0.75mm)のポリカーボネート製の光透過性フィルム106との間に接着剤層104を形成して貼り合せることが試みられている。
より具体的には、ポリカーボネートとともに成形工程に置かれて高温度に加熱されても粘着力の増加が僅かであって、常温での初期接着力も十分なポリカーボネート樹脂板用表面保護フィルムを提供することを目的として、シングルサイト触媒を用いて重合された特定のエチレン−α−オレフィン共重合体と、チーグラー触媒を用いて重合された特定の低密度ポリエチレンと、を所定割合で混合してなる特定の接着剤層を形成したポリエチレンフィルムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
なお、開示されたポリカーボネート樹脂板用表面保護フィルムにおいて、当該表面保護フィルムがひとりでに剥がれない一方、ポリカーボネート樹脂板から剥がそうとしたときに、容易に剥がれるように、初期粘着力を約100〜500mN/25mmの範囲内の値にすることが良いと記載している。
より具体的には、被保護体の材質や表面粗さ等の表面特性に応じて、表面保護シートにおける紫外線硬化型接着剤に対して紫外線硬化処理を実施し、紫外線硬化型接着剤の接着力を調整した後に、表面保護シートを、被保護体に対して貼着することを特徴とした表面保護体の製造方法が開示されている。
そのため、このような表面保護フィルムを貼り合せた被着体では、表面保護フィルムの基板における残存応力が原因となって、被着体に強いカールが発生し、様々な加工適性が低下するという問題が見られた。また、被着体に対して粘着加工が施されている場合にも同様であって、長期間保管した場合に、被着体に大きなカールが発生するという問題が見られた。
より具体的には、剥離可能なフィルム基材と、接着剤層とを含む表面保護フィルムであって、当該フィルム基材と、硬化後の当該接着剤層との間の180°剥離力をF (ba) 、硬化後の当該接着剤層と、被着体との間の180°剥離力をF (ad) としたとき、下記関係式(1)を満足する表面保護フィルムであって、フィルム基材の種類がポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、ポリサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン及びポリアミドからなる群より選択される少なくとも一種であるとともに、被着体の種類がポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート及びノルボルネンからなる群より選択される少なくとも一種であり、接着剤層を構成する接着剤が、光硬化性組成物であり、かつ、被着体に積層した後、接着剤層を光硬化させることを特徴とする表面保護フィルムが提供され、上述した問題点を解決することができる。
F(ad)−F(ba)>0 (1)
より具体的には、フィルム基材の種類をポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、ポリサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン及びポリアミドからなる群より選択される少なくとも一種とするとともに、被着体の種類をポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート及びノルボルネンからなる群より選択される少なくとも一種とし、接着剤層を構成する接着剤を、光硬化性組成物とし、かつ、表面保護フィルムを被着体に積層した後、接着剤層を光硬化させることを特徴とする表面保護積層体の製造方法である。
F(ad)−F(ba)>0 (1)
第1の実施形態は、図1(a)に例示するように、剥離可能なフィルム基材12と、接着剤層14とを含む表面保護フィルム10であって、当該フィルム基材12と硬化後の当該接着剤層14との間の180°剥離力をF(ba)、硬化後の当該接着剤層14の被着体(図示せず。)に対する180°剥離力をF(ad)としたとき、関係式(1)を満足することを特徴とする表面保護フィルム10である。
より具体的には、剥離可能なフィルム基材12と、接着剤層14とを含む表面保護フィルム10であって、当該フィルム基材12と、硬化後の当該接着剤層14との間の180°剥離力をF (ba) 、硬化後の当該接着剤層14の被着体(図示せず。)に対する180°剥離力をF (ad) としたとき、関係式(1)を満足する表面保護フィルム10であって、フィルム基材12の種類がポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、ポリサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン及びポリアミドからなる群より選択される少なくとも一種であるとともに、被着体の種類がポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート及びノルボルネンからなる群より選択される少なくとも一種であり、接着剤層14を構成する接着剤が、光硬化性組成物であり、かつ、被着体に積層した後、接着剤層14を光硬化させることを特徴とする表面保護フィルム10である。
以下、第1の実施形態の表面保護フィルムを構成する剥離可能なフィルム基材や接着剤層等の構成要件、あるいはその製造方法について説明する。
(1)種類
剥離可能なフィルム基材の種類としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、ポリサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドが挙げられる。
これらのフィルム基材であれば、適度な引張弾性率を有するとともに、接着剤層から容易に剥離することが可能となる。
また、フィルム基材と、接着剤層とが容易に剥離可能となるように、図1(b)に示すように、フィルム基材12の表面に接着力低下層18を設けることができる。すなわち、このような接着力低下層18を、フィルム基材12と、接着剤層14との間に設けることにより、接着剤層14が被着体に対して、所望の接着力を示すことができるとともに、フィルム基材12と、接着剤層14との間の接着力を所定範囲内の値に容易に調整することができるためである。
なお、このような接着力低下層としては、代表的には、シリコーン樹脂、長鎖アルキル基含有(共)重合体や可塑剤等からなる剥離層が挙げられる。
また、フィルム基材の厚さを6〜50μmの範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、かかるフィルム基材の厚さが6μm未満の値になると、機械的強度が低下し、取り扱いが困難になる場合があるためであり、一方、かかるフィルム基材の厚さが50μmを超えると、剛性が高くなり、被着体への追従性が低下したり、被着体に貼付した際に屈曲性が低下したりする場合があるためである。
また、フィルム基材を透明とすることが好ましい。この理由は、接着剤層を構成する接着剤が光硬化性組成物から構成されている場合であっても、フィルム基材が透明であれば、当該フィルム基材を介して、効率的に硬化させて、接着剤層を形成することができるためである。
したがって、フィルム基材における紫外線領域以下の波長の光線透過率を70%以上の値にすることが好ましく、80%以上の値にすることがより好ましく、90%以上の値にすることがさらに好ましい。
(1)剥離力
フィルム基材と、硬化後の接着剤層との間の180°剥離力をF(ba)とし、硬化後の接着剤層と、被着体との間の180°剥離力をF(ad)としたときに、下記関係式(1)を満足する。
F(ad)−F(ba)>0 (1)
この理由は、逆にかかる関係を満足しないとすると、表面保護フィルムを被着体に積層した後、フィルム基材と、硬化後の接着剤層との間の剥離が困難になるためである。
したがって、F(ad)−F(ba)>50mN/25mmの関係を満足することが好ましい。
また、表面保護フィルムを構成するフィルム基材と、硬化後の接着剤層との間の180°剥離力(F(ba))を5〜250mN/25mm以下の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる180°剥離力(F(ba))が5mN/25mm未満になると、フィルム基材と、硬化後の接着剤層との間で剥離しやすく、フィルム基材を付けたままで表面保護フィルムを、被着体に対して貼り付けることが困難になる場合があるためである。一方、かかる180°剥離力(F(ba))が250mN/25mmを超えると、フィルム基材と、硬化後の接着剤層との間の剥離が困難になるためである。
したがって、フィルム基材と、硬化後の接着剤層との間の180°剥離力(F(ba))を5〜50mN/25mmの範囲内とすることがより好ましい。
この理由は、かかる180°剥離力(F(ad))が10mN/25mm未満の値になると、被着体に対する貼付けが困難になったり、表面保護フィルムと、被着体とを貼り合せた後に、表面保護フィルムが自然剥離したりする場合があるためである。
一方、かかる180°剥離力(F(ad))が300mN/25mmを超えると、表面保護フィルムを貼り合せた被着体をロール状態で長期間保管した場合や加熱した場合に、被着体から表面保護フィルムを容易に剥がすことが困難となったりする場合があるためである。
したがって、硬化後の接着剤と、被着体との間の180°剥離力(F(ad))を55〜100mN/25mmの範囲内の値とすることがより好ましい。
また、硬化後の接着剤と、被着体との間の180°剥離力をF(ad)とし、加熱圧促進後(70℃、2kPa、7日)の180°剥離力をF(hp)とした場合に、当該F(ad)およびF(hp)が下記関係式(2)を満足することが好ましい。
(F(hp)−F(ad))/F(ad)×100≦500 (2)
この理由は、かかる関係式(2)を満足することにより、表面保護フィルムを貼り合せた被着体をロール状態で長期間保管した場合や加熱した場合であっても、被着体から表面保護フィルムを容易に剥がすことができるためである。
ただし、表面保護フィルムの再剥離が容易になることから、(F(hp)−F(ad))/F(ad)×100で表される数値を0〜300の範囲内の値とすることがより好ましく、0〜100の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、接着剤層を構成する接着剤としての光硬化性組成物の種類は特に制限されるものではないが、硬化性組成物の三次元架橋物であることが好ましい。
この理由は、かかる三次元架橋物であれば、弾性率の値が比較的高い一方、表面保護フィルムを貼り合せた被着体をロール状態で長期間保管した場合であっても、剥離力がほとんど変化しないという特徴を有しているためである。したがって、被着体から表面保護フィルムを容易に剥がすことができる。
ここで、(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体としては、(メタ)アクリル酸エステルあるいはその誘導体を主成分とした重合体であり、所望により他のビニルモノマーを、共重合性モノマーとして添加し、共重合してもよい。また、好ましい(メタ)アクリル酸エステルの種類としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
また、共重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリルアミド、N−メチロ−ルアクリルアミド等の官能基を有するモノマー、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
この理由は、かかる(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体の重量平均分子量(Mw)が20万未満の値になると、接着剤の凝集力が不足したり、フィルム基材やポリカーボネートに対する180°剥離力が増大したりする場合があるためである。一方、かかる(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体の重量平均分子量(Mw)が200万を超えると、フィルム基材に接着剤層を形成することが困難になる場合があるためである。
したがって、(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体の重量平均分子量(Mw)を30万〜120万の範囲内の値とすることがより好ましく、40万〜80万の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて、ポリスチレン換算の平均分子量として測定することができる。
なお、イソシアネート化合物の付加量に関して、(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体に含まれる官能基(カルボキシル基またはヒドロキシル基)の量を100モル%としたときに、イソシアネート化合物の付加率を10〜99モル%の範囲内の値とすることが好ましく、30〜90モル%の範囲内の値とすることがより好ましい。
なお、光開始剤の添加量を、全体量に対して、0.01〜10質量%の範囲内の値とすることが好ましい。
このような(共)重合体やオリゴマ−としては、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、あるいはこれらのオリゴマ−等が挙げられる。
その他に、光硬化性の多官能モノマーを添加してもよい。このような光硬化性の多官能モノマーとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートやジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、必要に応じて、ポリイソシアネートのような各種架橋剤を添加してもよい。
また、硬化性接着剤層を構成する接着剤の硬化後における室温の貯蔵弾性率を1×106〜2×1010Paの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる硬化後の接着剤の貯蔵弾性率が1×106Pa未満の値になると、表面保護フィルムを貼り合せた被着体をロール状態で長期間保管した場合や加熱した場合に、被着体から表面保護フィルムを容易に剥がすことが困難となったりする場合があるためである。
一方、かかる硬化後の接着剤の室温における貯蔵弾性率が2×1010Paを超えると、被着体に対する貼付けが困難になったり、表面保護フィルムと、被着体とを貼り合せた後に、表面保護フィルムが自然剥離したりする場合があるためである。
また、表面保護フィルムの被着体からの剥がしやすさを考慮すると、硬化後の接着剤における室温の貯蔵弾性率を1×108〜2×109Paの範囲内の値とすることがより好ましい。
接着剤層の厚さを1〜30μmの範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、かかる接着剤層の厚さが1μm未満の値になると、表面保護フィルムと、被着体との貼り合せが困難になったり、あるいは貼り合せた後に、表面保護フィルムが自然剥離したりする場合があるためである。
一方、かかる接着剤層の厚さが30μmを超えると、表面保護フィルムを貼り合せた被着体をロール状態で長期間保管した場合や加熱した場合に、被着体から表面保護フィルムを容易に剥がすことが困難となったり、ロール状に巻き取る際にロール径が大きくなる不具合が生じたりする場合があるためである。
したがって、接着剤層の厚さを5〜25μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
また、接着剤層が透明であることが好ましい。この理由は、次世代光ディスク等において、ポリカーボネートフィルムを結合する接着剤が、光硬化性組成物から構成されている場合であっても、フィルム基材および接着剤層が透明であれば、当該フィルム基材および接着剤層を介して、ポリカーボネートフィルムを結合する接着剤を効率的に硬化させることができるためである。
表面保護フィルムの製造方法は特に制限されるものではないが、フィルム基材を準備した後、例えば、ナイフコーター、ロールコーター、グラビアコーター、アプリケーターコーター、回転塗布装置等を用いて、光硬化性組成物等からなる接着剤を塗布して、それを硬化させて接着剤層を形成する。また、硬化させた接着剤層、あるいは硬化させる前であっても、接着面の保護のために、硬化性接着剤層として使用するまでの間、剥離シートを設けてもよい。
第2の実施形態は、図2に示すように、剥離可能なフィルム基材12および接着剤層14を含む表面保護フィルム10を、被着体52に備えた表面保護積層体20であって、当該フィルム基材12と、硬化後の当該接着剤層14との間の180°剥離力をF(ba)、硬化後の当該接着剤層14と、被着体52との間の180°剥離力をF(ad)としたとき、関係式(1)を満足することを特徴とする表面保護積層体20である。
より具体的には、剥離可能なフィルム基材12と、接着剤層14とを含む表面保護フィルム10を、被着体52に備えた表面保護積層体20であって、当該フィルム基材12と、硬化後の当該接着剤層14との間の180°剥離力をF (ba) 、硬化後の当該接着剤層14と、被着体52との間の180°剥離力をF (ad) としたとき、関係式(1)を満足する表面保護積層体20であって、フィルム基材12の種類がポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、ポリサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン及びポリアミドからなる群より選択される少なくとも一種であるとともに、被着体52の種類がポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート及びノルボルネンからなる群より選択される少なくとも一種であり、接着剤層14を構成する接着剤が、光硬化性組成物であり、かつ、被着体52に積層した後、接着剤層14を光硬化させることを特徴とする表面保護積層体20である。
なお、表面保護フィルムのフィルム基材や接着剤、あるいは関係式(1)については、既に第1の実施形態で説明したため、表面保護積層体の構成やその製造方法について中心的に説明する。
表面保護積層体を構成する被着体の種類は、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ノルボルネンが挙げられる。
また、表面が傷つくと、特性への影響を及ぼしやすいことから、光学材料、例えば、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、あるいはノルボルネンの被着体に表面保護フィルムを積層することが有効である。
表面保護積層体20を製造するにあたって、図3(a)〜(c)に示すように、剥離可能なフィルム基材12を準備し、その上に、光硬化性組成物等からなる硬化性接着剤層13を形成した後、それを被着体52上に積層する。
次いで、図3(d)に示すように、硬化性接着剤層13を硬化させて接着剤層14とすることにより、表面保護積層体20を形成することができる。このとき、当該フィルム基材12と、硬化後の当該接着剤層14との間の180°剥離力をF(ba)、および当該被着体52と、硬化後の当該接着剤層14との間の180°剥離力をF(ad)としたとき、第1の実施形態で説明したように、関係式(1)を満足することを特徴としている。
そして、図3(d)に示す硬化工程において、紫外線や電子線等の光15を当該フィルム基材12側から照射して、硬化性接着剤層13を光硬化させることが好ましい。例えば、紫外線を照射して硬化させる場合には、その照射量を30〜500mJ/cm2の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このような硬化方法で硬化性接着剤層13から硬化後の接着剤層14を形成することにより、フィルム基材12と、硬化後の接着剤層14との間で剥離可能な表面保護フィルム10を備えた表面保護積層体20を、迅速かつ効率的に製造することができるためである。
また、このような硬化方法によれば、被着体52に対するフィルム基材12の影響が少ないために、被着体52が薄層フィルムであっても、そこにカールが発生することが少ないためである。
次いで、図3(e)に示すように、(d)工程の後に、フィルム基材12を、硬化後の接着剤層14から剥離除去する工程をさらに含むことも好ましい。
この理由は、このように実施することにより、実質的に硬化後の接着剤層14のみからなる表面保護フィルムを備えた表面保護積層体20を得ることができるためである。したがって、被着体52に対するフィルム基材12の影響が発生しないために、被着体52がさらに薄い薄膜フィルムであっても、カールが発生することがほとんどないと言える。
なお、このようにフィルム基材12を剥離除去し、硬化後の接着剤層14からのみ構成される表面保護フィルムを被着体52に貼付した場合も、表面保護積層体20と称するものとする。
1.表面保護フィルムおよび表面保護フィルム積層体の作成
(1)硬化性接着剤の調整
モノマー組成比(質量基準)が、アクリル酸n−ブチル:アクリル酸2−ヒドロキシエチル:メタクリル酸メチル=52:28:20であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が80万のアクリル共重合体を溶液重合により得た。
次いで、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを、得られたアクリル共重合体に含まれるヒドロキシル基(100モル%)に対して、90モル%の割合でアダクトさせ、アダクト共重合体溶液(固形分濃度:35質量%)を作成した。
次いで、このアダクト共重合体溶液に、ヒドロキシフェニルケトン系光開始剤(スペシャリティケミカルズ社製、商品名:イルガキュア184)を、固形分濃度で3質量%添加した後、充分に攪拌して硬化性接着剤層用塗布液を得た。
次いで、得られた硬化性接着剤層用塗布液を、フィルム基材として厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート製フィルム(ルミラーT−60、東レ(株)製)上に、ナイフコーターを用いて塗布した後、オーブンを用いて乾燥させ、乾燥後厚さが25μmである硬化性接着剤層を備えたシート状物を得た。
次いで、このシート状物の硬化性接着剤層に対して、光学機能性フィルムである、厚さ75μmのポリカーボネートフィルム(ピュアエースC110−75、帝人化成(株)製)を貼り合わせた。その後、ポリエチレンテレフタレート製フィルム側から、光源としてメタルハライドランプを備えた紫外線照射装置(FUSION UV SYSTEMS社製CV−110Q−G)を用いて、480mW/cm2および150mJ/cm2の条件にて紫外線を照射して光硬化させ、厚さ23μmの硬化後の接着剤層を形成した。
このようにして、表面保護フィルムが貼合されたポリカーボネートフィルム、すなわち、実施例1の表面保護フィルム積層体を得た。
(2)−1 粘弾性測定
粘弾性測定装置であるRHEOVIBRON DDV−II−EP(株式会社東洋ボールドウィン製)を用いて、昇温速度3℃/分、周波数11Hzの測定条件において、ダイナミックスキャンを行い、得られた表面保護フィルム積層体における硬化後の接着剤層を構成する接着剤の貯蔵弾性率(Pa)を測定した。得られた結果を表1に示す。
剥離力測定装置であるTENSILON UTM−4−100(オリエンテック社製)を用いて、300mm/分の速度で、被着体としてのポリカーボネートフィルムに対する表面保護フィルムの180°剥離力(F(ad))、およびポリエチレンテレフタレート製フィルムと、硬化後の接着剤層との間の180°剥離力(F(ba))とをそれぞれ測定した。
同様にして、加熱圧促進後(70℃、2kPa、7日)の被着体としてのポリカーボネートフィルムに対する表面保護フィルムの180°剥離力(F(hp))を測定した。得られた結果を表1にそれぞれ示す。
また、測定した結果から、(F(hp)−F(ad))/F(ad)×100の値を算出した。得られた結果を表2に示す。
ポリカーボネートフィルム(厚さ75mm)上に、表面保護フィルムを貼合して得られた表面保護フィルム積層体(測定面積:10cm2)から、フィルム基材としてのポリエチレンテレフタレート製フィルムを剥離し、平坦部材の上に静置した。その状態で、平坦部材の表面から、フィルム基材を剥離した後の表面保護フィルム積層体のエッジ部分(測定箇所:4点)までの高さを、ノギスを用いて測定した。そして、平坦部材の表面から、フィルム基材を剥離した後の表面保護フィルム積層体のエッジ部分(測定箇所:4点)までの高さの合計値をカール量とした。得られた結果を表1にそれぞれ示す。
なお、表面保護フィルムにおけるカール量は小さいほど好ましいが、用途によって、特に高い精度が必要とされる場合は、かかるカール量を、具体的に10mm以下の値とすることがより好ましい。
モノマー組成比(質量基準)がアクリル酸n−ブチル:アクリル酸=80:20であり、スチレン換算の重量平均分子量(Mw)が80万のアクリル共重合体を溶液重合により得た。
次いで、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを、得られたアクリル共重合体中のヒドロキシル基(100モル%)に対して、30モル%の割合でアダクトさせ、アダクト共重合溶液(固形分濃度:30質量%)を作成した。
次いで、このアダクト共重合溶液の固形分100重量部に対して、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPHA)50重量部と、ポリイソシアナートからなる架橋剤(東洋インキ製造社製、オリパイン BPS−8515)1.0重量部と、ヒドロキシフェニルケトン系光開始剤(チバガイギ製イルガキュア184)を固形分濃度で3質量%になるように添加し、それを充分に攪拌して硬化性接着剤層用塗布液を得た。
次いで、得られた硬化性接着剤層用塗布液を、フィルム基材として厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート製フィルム(ルミラーT−60、東レ(株)製)上に、ナイフコーターを用いて塗布した後、オーブンを用いて乾燥させ、乾燥後厚さが25μmである硬化性接着剤層を備えたシート状物を得た。
次いで、このシート状物における硬化性接着剤層に対して、実施例1と同様にポリカーボネートフィルム(帝人化成製ピュアエースC110−75)を貼り合わせた後、ポリエチレンテレフタレート製フィルム側から、480mW/cm2および150mJ/cm2の条件にて紫外線を照射して、厚さ23μmの硬化後の接着剤層を形成した。
このようにして、表面保護フィルムが貼合されたポリカーボネートフィルム、すなわち、実施例2の表面保護フィルム積層体を得て、実施例1と同様に評価した。
その結果、実施例1および実施例2の表面保護フィルム積層体においては、フィルム基材と、硬化後の接着剤層との間の180°剥離力(F(ba))が所定範囲内であるため、フィルム基材は硬化後の接着剤層から容易に剥がすことができ、かつ、長時間放置しても、被着体がカールすることはなかった。
フィルム基材を、易接着剤層付きのポリエチレンテレフタレート製フィルム(東洋紡製コスモシャイン A−4100)とした以外は実施例1と同様に、表面保護フィルムおよび表面保護フィルム積層体を作成して、評価した。
したがって、比較例1の表面保護フィルム積層体においては、関係式(1)を満足しないために、表面保護フィルム積層体を長時間放置した場合に、被着体としてのポリカーボネートフィルムがカールする現象が見られた。
*比較例1の剥離力の「測定不可」は、F(ba)>50N/25mmであり、フィルム基材が剥離できずに測定不可であった。
*比較例1のカール量は、フィルム基材が剥離できなかったため、フィルム基
材がついたまま測定して得られた値である。
したがって、フィルム基材の影響が少ないことから、表面保護フィルムと被着体との張力差に起因して、カールが発生することを有効に防止することができる。また、ロール状物において長期間保存した場合や、加熱した場合であっても同様の効果が得られる。
また、表面保護フィルムの硬化後の接着剤層からフィルム基材を剥離可能であることから、表面保護フィルム積層体の厚さを薄くすることができるようになった。したがって、ロール状に巻いた場合であっても、コンパクトなロールサイズとすることができる。
12 フィルム基材
13 硬化性接着剤層(光硬化性層)
14 硬化後の接着剤層
15 光
18 接着力低下層
20 表面保護積層体
52 ポリカーボネートフィルム(被着体)
100 次世代光ディスク
101 ポリカーボネート基材
102 記録層
104 接着剤層
106 光透過性フィルム
Claims (11)
- 剥離可能なフィルム基材と、接着剤層とを含む表面保護フィルムであって、当該フィルム基材と、硬化後の当該接着剤層との間の180°剥離力をF(ba)、硬化後の当該接着剤層と、被着体との間の180°剥離力をF(ad)としたとき、下記関係式(1)を満足する表面保護フィルムであって、
前記フィルム基材の種類がポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、ポリサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン及びポリアミドからなる群より選択される少なくとも一種であるとともに、
前記被着体の種類がポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート及びノルボルネンからなる群より選択される少なくとも一種であり、
前記接着剤層を構成する接着剤が、光硬化性組成物であり、かつ、
前記被着体に積層した後、前記接着剤層を光硬化させることを特徴とする表面保護フィルム。
F(ad)−F(ba)>0 (1) - 前記接着剤層を構成する接着剤の硬化後の室温における貯蔵弾性率を1×106〜2×1010Paの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1に記載の表面保護フィルム。
- 前記接着剤層を構成する接着剤が、反応性基を有する(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体を含む光硬化性組成物であることを特徴とする請求項1または2に記載の表面保護フィルム。
- 前記接着剤層を構成する接着剤が、反応性基を有する(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体のイソシアナートアダクト物を含む光硬化性組成物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の表面保護フィルム。
- 前記接着剤層が光開始剤を含むとともに、当該光開始剤がヒドロキシフェニルケトン系開始剤、アセトフェノン系開始剤、ケタール系開始剤、ハロゲン化ケトン、アシルホスフィノキシド、アシルホスフォナート、ベンゾイン、過酸化ベンゾイル及びジクミルパーオキサイドからなる群より選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の表面保護フィルム。
- 前記F (ba) および前記F (ad) の値が、F (ad) −F (ba) >50mN/25mmの関係を満足することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の表面保護フィルム。
- 前記F (ba) の値を5〜250mN/25mmの範囲内の値とするとともに、前記F (ad) の値を10〜300mN/25mmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の表面保護フィルム。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の表面保護フィルムを被着体の表面に備えていることを特徴とする表面保護積層体。
- 前記表面保護フィルムにおけるフィルム基材が剥離除去してあることを特徴とする請求項8に記載の表面保護積層体。
- 剥離可能なフィルム基材と、接着剤層と、を含み、前記剥離可能なフィルム基材と、硬化後の前記接着剤層との間の180°剥離力をF(ba)、硬化後の当該接着剤層と、被着体との間の180°剥離力をF(ad)としたとき、下記関係式(1)を満足する表面保護フィルムを形成し、当該表面保護フィルムを被着体に対して積層する表面保護積層体の製造方法であって、
前記フィルム基材の種類をポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、ポリサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン及びポリアミドからなる群より選択される少なくとも一種とするとともに、
前記被着体の種類をポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート及びノルボルネンからなる群より選択される少なくとも一種とし、
前記接着剤層を構成する接着剤を、光硬化性組成物とし、かつ、
前記表面保護フィルムを被着体に積層した後、前記接着剤層を光硬化させることを特徴とする表面保護積層体の製造方法。
F(ad)−F(ba)>0 (1) - 前記接着剤層を光硬化させた後、前記フィルム基材を剥離除去することを特徴とする請求項10に記載の表面保護積層体の製造方法。
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