JP4434332B2 - 円板における環状周壁部の成形方法 - Google Patents
円板における環状周壁部の成形方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、円板状板材の外周縁部を該円板状板材の中心軸を軸心として一方向に延びる環状周壁部に成形する、円板における環状周壁部の成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
円板状板材の外周縁部を、該円板状板材の中心軸を軸心として一方向に延びる環状周壁部に成形してなる円板は、例えば、自動変速機のドライブプレート、該ドライブプレートの中間部品として知られている。
該ドライブプレートは、クランクシャフトとトルクコンバータのポンプインペラに固定されたコンバータカバーとの間に介装されて、ポンプインペラをクランクシャフトの回転と同期して回転すべく機能するもので、プレート本体の外周縁部に成形されている環状周壁部の外周には、スタータモータのピニオンギヤに噛合するリングギヤが嵌着され、スタータモータの回転をクランクシャフトに伝達し得るようになっている。なお、環状周壁部の外周には、グローブ転造機により歯部を形成して、スタータモータのピニオンギヤに噛合するリングギヤとすることもある。
【0003】
しかして、円板状板材の外周縁部を環状周壁部に成形する従来の最適な方法として、図3に示すように、押圧加工面を備えた回転ローラにて円板状板材の外周縁部を押圧加工する方法がある。
当該成形方法は、円板状板材1のプレート本体1aを前後方向から一対の治具2,3にて挟持して、外周縁部1bを所定の長さ分だけ両治具2,3の外周縁部から外側へ突出させた状態で、回転ローラ4にて外周縁部1bを押圧加工して環状周壁部に成形するもので、回転ローラ4はその外周面に、円板状板材1の中心軸L1と平行な横方向面部4aと横方向面部4aに直交する縦方向面部4bを有する押圧加工面を備え、円板状板材1の外周側にその回転軸L2が円板状板材1の中心軸L1に平行になるように配設されて、円板状板材1の外周縁部1bに対して進退可能となっている。
【0004】
当該成形方法においては、円板状板材1をその中心軸L1を中心に一方向へ回転させ、かつ、回転ローラ4をその回転軸L2を中心に他方向へ回転させつつ、円板状板材1の外周縁部1bに対して所定量前進させて外周縁部1bの先端部を押圧するもので、これにより、外周縁部1bは、回転ローラ4の押圧加工面にて押圧変形されて、円板状板材1の中心軸L1を中心とする一方向へ延びる環状周壁部1cに成形される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように、当該成形方法においては、回転ローラ4の押圧加工面を円板状板材1の外周縁部1bにて摺接して押圧加工するものであるが、押圧加工面における回転軸L2に遠い部位が近い部位に比較して周速が大きくなる。このため、周速が相対的に大きい押圧加工面における縦方向面部4bの先端部に焼き付きが発生し易いという問題がある。
【0006】
このような、焼き付きの発生を防止する対策としては、回転ローラ4の回転速度を下げることが考えられるが、回転ローラ4の回転速度を下げると、円板状板材1の外周縁部1bの押圧変形が促進されず、押圧変形の加工に時間がかかるとともに、回転ローラ4に過剰な負荷がかかって回転ローラ4を損傷させるという問題がある。
【0007】
従って、本発明の目的は、回転ローラの押圧加工面を円板状板材の外周縁部にて摺接して押圧加工することによる円板における環状周壁部の成形方法において、これらの問題を解消することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、回転駆動されており、プレート本体より厚肉状に成形されている外周縁部を有する円板状板材の中心軸と平行な横方向面部と該横方向面部に直交する縦方向面部を有する環状の押圧加工面を備え該円板状板材の外周側に回転可能に配設された回転ローラを、回転させつつ該円板状板材の軸線に直交する方向に移動させて該円板状板材の前記外周縁部に摺接することにより、該円板状板材の前記外周縁部を該回転ローラの押圧加工面にて一方向へ押圧変形して、該円板状板材の前記プレート本体より厚肉状の環状周壁部に成形する環状周壁部の成形方法である。
【0009】
しかして、本発明に係る環状周壁部の成形方法においては、該回転ローラとして、その回転軸が該円板状板材の該中心軸に対して所定角度傾斜した回転ローラを使用し、回転軸が傾斜した状態で該回転ローラを該円板状板材の軸線に直行する方向に移動させ、該回転ローラの該横方向面部と該縦方向面部のそれぞれの周速の差を小さくして該円板状板材の該外周縁部を該環状周壁部に成形することを特徴とするものである。この場合、該回転ローラの回転軸の円板状板材の中心軸に対する傾斜角度は、25度〜65度の範囲にあることが好ましい。
【0010】
【発明の作用・効果】
本発明に係る成形方法によれば、採用する回転ローラは、円板状板材の中心軸に対して所定角度傾斜し、かつ回転ローラの押圧加工面の横方向面部と縦方向面部との交叉部に漸次近接する方向に傾斜する回転軸を有することから、回転軸が円板状板材の中心軸と平行にある回転ローラを採用する従来の成形方法に比較して、回転ローラの押圧加工面の各部位における回転軸に対する距離の差が減少されている。
【0011】
このため、回転ローラの押圧加工面における回転軸に最も遠い部位と最も近い部位との周速の差が小さくなり、周速が相対的に大きい押圧加工面における縦方向面部の先端部での焼き付きの発生を防止することができる。また、当該成形方法によれば、押圧加工面での焼き付きの発生を防止することができるため、回転ローラの回転速度を下げる必要がなくて、回転ローラの回転速度を低下させることに起因する押圧加工時間の遅延、回転ローラにおける過剰な負荷に起因する損傷の発生を防止することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に基づいて説明すると、図1および図2には、本発明に係る成形方法の一例が示されている。当該成形方法は、円板状板材11の外周縁部を環状周壁部に成形して自動変速機のドライブプレート12を製造するものであり、円板状板材11は鋼板であって、プレート本体11aの外周縁部11bをスピニング(増肉)加工にて厚肉状に成形されているものである。
【0013】
円板状板材11は、その外周縁部11bを回転ローラ21による押圧加工により変形されて、プレート本体12aの外周縁部に環状周壁部12bを有するドライブプレート12となる。製造されたドライブプレート12は、クランクシャフトとトルクコンバータのポンプインペラに固定されたコンバータカバーとの間に介装されて、ポンプインペラをクランクシャフトの回転と同期して回転すべく機能するもので、環状周壁部12bの外周には、スタータモータのピニオンギヤに噛合するリングギヤが嵌着される。または、環状周壁部12bの外周には、グローブ転造機によりリングギヤが形成される。
【0014】
本発明に係る成形方法においては、円板状板材11をそのプレート本体11aにて、前後一対の第1,第2治具22,23と中間治具24とにより挟持されて、中心軸L1を中心に回転可能に支持される。
一方、回転ローラ21は、その外周面に環状の押圧加工面を有するもので、各治具22〜24にて挟持されている円板状板材11の外周側に配設されている。回転ローラ21の押圧加工面は、円板状板材11の外周縁部11bに対向する側にて形成される円板状板材11の中心軸L1に平行な横線状の横方向面部21aとこれに直行する縦線状の縦方向面部21bを有するもので、これら両方向面部21a,21bを有する環状部は環状の円弧部21cにて連結されている。
【0015】
回転ローラ21の回転軸L2は、この横線状の横方向面部21aの先端側から縦線上の縦方向面部21bとの交差点側に漸次近接する方向に傾斜するもので、その傾斜角度は25度〜65度である。
当該成形方法においては、円板状板材11をその中心軸L1を中心に一方向へ回転させ、かつ、回転ローラ21をその回転軸L2を中心に他方向へ回転させつつ、図1の状態にある回転ローラ21を円板状板材11の外周縁部11bに対して所定量前進させて、その押圧加工面にて外周縁部11bの先端部を押圧する。これにより、円板状板材11は、その外周縁部11bを回転ローラ21の押圧加工面にて押圧変形されて、図2に示すようにドライブプレート12となる。
【0016】
この押圧加工においては、円板状板材11の外周縁部11bは、円板状板材11の中心軸L1を中心とする一方向へ延びる環状周壁部12bに成形される。
このように製造されたドライブプレート12は、その後回転ローラ21を後退させるとともに、各治具22〜24を離間させることにより取り出すことができる。
【0017】
このように、本発明に係る成形方法によれば、採用する回転ローラ21は、円板状板材11の中心軸L1に対して所定角度傾斜し、かつ押圧加工面の横方向面部21aと縦方向面部21bとの交差部である円弧部21cに漸次近接する方向に傾斜する回転軸L2を有することから、回転軸L2が円板状板材11の中心軸L1と平行にある回転ローラを採用する従来の成形方法に比較して、回転ローラ21の押圧加工面の各部位21a〜21cにおける回転軸L2に対する距離の差が減少している。
【0018】
このため、回転ローラ21の押圧加工面における回転軸L2に最も遠い部位と最も近い部位との周速の差が小さくなり、周速が相対的に大きい押圧加工面における縦方向面部21bの先端部での焼き付きの発生を防止することができる。
また、当該成形方法によれば、押圧加工面での焼き付きの発生を防止することができるため、回転ローラ21の回転速度を下げる必要がなくて、回転ローラ21の回転速度を低下させることに起因する押圧加工時間の遅延、回転ローラ21における過剰な負荷に起因する損傷の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例に係る成形方法における押圧加工直前の状態を示す説明図である。
【図2】該成形方法における押圧加工直後の状態を示す説明図である。
【図3】従来の成形方法における押圧加工直前の状態を示す説明図である。
【符号の説明】
11,1…円板状板材、11a,1a…プレート本体、11b,1b…外周縁部、12…ドライブプレート、12a…プレート本体、12b…環状周壁部、21,4…回転ローラ、21a,4a…横方向面部、21b,4b…縦方向面部、21c…円弧部、22,23,24,2,3…治具、L1…中心軸、L2…回転軸。
Claims (2)
- 回転駆動されており、プレート本体より厚肉状に成形されている外周縁部を有する円板状板材の中心軸と平行な横方向面部と該横方向面部に直交する縦方向面部を有する環状の押圧加工面を備え該円板状板材の外周側に回転可能に配設された回転ローラを、回転させつつ該円板状板材の軸線に直交する方向に移動させて該円板状板材の前記外周縁部に摺接することにより、該円板状板材の前記外周縁部を該回転ローラの押圧加工面にて一方向へ押圧変形して、該円板状板材の前記プレート本体より厚肉状の環状周壁部に成形する環状周壁部の成形方法であり、
該回転ローラとして、その回転軸が該円板状板材の該中心軸に対して所定角度傾斜した回転ローラを使用し、回転軸が傾斜した状態で該回転ローラを該円板状板材の該中心軸に直行する方向に移動させ、該回転ローラの該横方向面部と該縦方向面部のそれぞれの周速の差を小さくして該円板状板材の該外周縁部を該環状周壁部に成形することを特徴とする円板における環状周壁部の成形方法。 - 前記回転ローラの回転軸の前記円板状板材の中心軸に対する傾斜角度は25度〜65度の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の円板における環状周壁部の成形方法。
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JP14988298A JP4434332B2 (ja) | 1998-05-29 | 1998-05-29 | 円板における環状周壁部の成形方法 |
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