JP4432430B2 - 下水処理運転支援装置,プラントシステム,プログラム及び記憶媒体 - Google Patents

下水処理運転支援装置,プラントシステム,プログラム及び記憶媒体 Download PDF

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Description

本発明は、下水処理運転支援装置に関し、特に、活性汚泥プロセスの設計や運転維持管理を支援するのに好適な下水処理運転支援装置に関する。
生物反応をモデル化し、数値シミュレーションによって活性汚泥プロセスの特性を評価する方法が提案されている。生物反応のモデルの例として、海外では国際水協会(IWA)が発表した活性汚泥モデルASM No.2(1995)等が提案されている(特許文献3の従来の技術の欄参照)。これらの活性汚泥モデルを利用して、特開2002−45844号公報(特許文献1),特開2002−1370号公報(特許文献2),特開2001−198590号公報(特許文献3),特開2002−45882号公報(特許文献4)、のような下水処理プロセスシミュレータによって、水中のリンや窒素などの物質濃度を計算する方法が提案されている。
特開2002−45844号公報 特開2002−1370号公報 特開2001−198590号公報 特開2002−45882号公報
例えばリン除去プロセスにおいて、リン除去不良のために好気槽リン濃度が高い場合の原因としては、リンの過剰貯蔵に至らなかったこと、さらに「リン過剰貯蔵にいたらなかった」の原因としては、嫌気槽でのリン放出が不十分、または好気槽でのリン貯蔵が不十分、などが一因の可能性がある。さらに、前記好気槽でのリン貯蔵が不十分は、リン貯蔵速度が小さいこと、あるいは一旦貯蔵したリンが自己分解などにより再放出されたなど様々の原因が考えられる。活性汚泥プロセスの運転支援においては、このような複雑なプロセスの異常原因を検出あるいは予測することが求められる。
特開2002−45844号公報,特開2002−1370号公報,特開2001−
198590号公報,特開2002−45882号公報のように、前記活性汚泥モデルに関連する反応を連立方程式で表現し、コンピュータによって数値的に解析する方法では、下水処理プロセスの物質濃度を計算できる。ここで、前記の物質濃度には、溶解性有機物,難分解性有機物,アンモニア性窒素,硝酸性窒素,有機性窒素,溶解性リン,溶存酸素,アルカリ度,活性汚泥,活性汚泥内に貯蔵されている有機物およびポリリン酸などがある。しかし、方程式の解である物質濃度のみでは、複数の反応が同時進行している活性汚泥プロセスの状態を定量的に把握することができない。例えば、好気槽内ではリン貯蔵とリン再放出のような相反する反応が進行しているため、液中のリン濃度を算出しても、どの反応が優先的に進行しているか、リン過剰貯蔵に至ったかどうかなど同定することはできない。ましてや、好気槽におけるリン除去プロセス挙動が正常か否かを判断することは不可能である。このように、単に物質濃度を算出しても活性汚泥プロセスの複雑な反応の定量化や、有機物,リン,窒素の除去過程を定量的に同定することができない。
一方、活性汚泥プロセスは、複雑な処理プロセスにもかかわらず、操作可能な因子は送風,返送汚泥,余剰汚泥,循環液などに限られている。例えば、嫌気好気法で放流水のリン濃度が高い場合、好気槽への送風量を高めることでリン貯蔵速度が増大しリン貯蔵量が多くなり、リン除去が改善される可能性がある。しかし、この風量操作は自己分解量を増やし、一旦貯蔵したリンが再放出するのが増大させる結果も予想される。このように、単にリン濃度の高低のみでリン除去異常の有無を判定して運転操作を決定するのではなく、リン除去不良の原因となる反応状態を同定し、操作方法を決定する必要がある。しかし、特開2001−198590号公報の下水処理シミュレータには、下水処理工程順(流下方向順)の物質濃度の変動傾向を提示することができるが、有機物,リン,窒素の反応状態や除去異常になったときの原因を同定することはできない。また、特開2002−1370号公報の下水処理シミュレータには、処理水濃度の予測精度を向上させる方法について記載されているが、除去異常時についてなんら記載されていない。さらに、異常原因が同定できないため、経験していない条件や生物反応槽構成、または、異常が発生した場合、有効な対策をとれずにプロセスの維持管理を支援することができないという課題がある。
解決しようとする問題点は、反応毎の物質変化量について、運転支援をする為の情報を提供できていない点である。
本発明は、下水処理プロセスの水中の物質濃度を計算し、計算結果を表示して運転支援する下水処理運転支援装置において、反応毎に物質変化量を演算する物質変化量演算手段を有し、演算された物質変化量を表示する機能を有することを特徴とする。
本発明によれば、反応毎に物質変化量を提示することで、プロセスの除去挙動の詳細を把握できる。これによって、異常発生時の異常要因を正確に同定でき、有効な対策を講じるなどのプロセスの維持管理を支援することができる。
図1は本発明を活性汚泥プロセスの運転支援に適用した一実施例である。
図1に示す下水処理プラント90は、嫌気槽1a,無酸素槽1b,好気槽1cの3槽の生物反応槽1と、好気槽1cから無酸素槽1bに循環する嫌気−無酸素−好気法である。流入汚水は沈砂池(図示せず)にて土砂,ゴミなど大きな固形物を沈降除去したのち、最初沈殿池(図示せず)に流入する。最初沈殿池では固形物を沈降除去し、有機物,アンモニア性窒素,有機性窒素,溶解性リンなどを含む上澄み液は生物反応槽1への流入水3として送られる。生物反応槽1には最初沈殿池からの流入水3と最終沈殿池からの返送汚泥4が流入し、撹拌混合が行われる。一方、生物反応槽1には、送気管8,送気装置7を介してブロワ9から空気が送気される。さらに、生物反応槽1では、循環汚泥が好気槽1cから無酸素槽1bへ導かれる。ここで、嫌気槽1aには溶存酸素と硝酸性窒素がともに存在しない状態であり、主に溶解性リンの放出反応が進行する。
嫌気槽1aにおいて活性汚泥は体内に貯蔵していたポリリン酸を加水分解して下水中に放出する。又、活性汚泥はリン放出と同時に下水中の溶解性有機物を吸着し活性汚泥内に貯蔵する。これらの反応によって、嫌気槽1aでは溶解性リンが増加し、溶解性有機物が減少する。
無酸素槽1bには嫌気槽1aから流出した下水と返送汚泥の混合水、及び好気槽1cからの循環水が流入し、機械撹拌設備(図示せず)で撹拌混合される。無酸素槽1bでは好気槽1cから硝酸性窒素が循環され、かつ溶存酸素の存在しない環境になり、硝酸性窒素は還元されて窒素ガスとして大気中に放出される。これを脱窒反応と呼んでいる。
好気槽1cの底部には送気装置7が設置されており、ブロワ9から送気管8を介して送気された空気が送気装置7によって散気し、好気槽1c内の下水と活性汚泥からなる混合液を撹拌するとともに酸素を供給する。好気槽1c内の混合液の汚濁物質は、酸素供給により活発化した活性汚泥の働きにより処理される。例えば、活性汚泥は有機物を吸着し、供給された空気中の酸素を吸収して有機物を酸化分解して炭酸ガスと水にする。また、溶解性リンは好気条件において、活性汚泥内に貯蔵され、嫌気槽1aで放出された以上に貯蔵されて流入下水中の濃度よりも減少する。また、アンモニア性窒素は硝酸性窒素に酸化される。これを硝化反応と呼んでいる。なお、溶解性有機物,溶解性リン,アンモニア性窒素などの汚濁物質の一部は活性汚泥の増殖にも利用される。また、自己分解によって、活性汚泥組成の有機物,リン,窒素成分の一部、または、活性汚泥内に貯蔵してあるポリリン酸および有機物は下水中に、溶解性有機物,溶解性リン,アンモニア性窒素として溶出する。また、流入水中の有機性窒素はアンモニア性窒素に加水分解される。これを有機性窒素のアンモニア化と呼んでいる。
このような生物反応後の処理水は最終沈殿池2に導かれる。最終沈殿池2では、活性汚泥を重力沈降させ、上澄み液を塩素消毒した後、放流水10によって放流する。最終沈殿池2の沈降汚泥の一部は返送汚泥4として生物反応槽1へ送られ、残りの汚泥は余剰汚泥5として系外へ排出される。
以上に説明した嫌気−無酸素−好気法を対象とした運転支援システム20の構成について、引き続き図1にて説明する。
運転支援システム20はデータ入力手段30と、データベース40と、モデル演算手段50と、物質変化量演算手段60と、除去状態診断手段70と、対策判定手段75と、入出力装置80、から構成される。ここでは、プラントの設計に適用した例について説明する。
データ入力手段30は計算に必要なデータを入力し、入力された条件をデータベース
40に格納する。ここでの入力条件は、例えば、流入汚水量,流入物質の濃度,生物反応槽及び最終沈殿池の寸法データ、生物反応槽の槽分割および槽構成,運転条件などがあり、キーボード81、またはマウス82を用いて入力してもよい、下水処理プラント90からのオンラインデータの受信による入力でもよい。
モデル演算装置50はデータベース40の入力条件に基づき、計算を実行し、生物反応槽,最終沈殿池,返送汚泥、及び余剰汚泥の物質濃度を計算し、その結果をデータベース40に送信するとともに、モニタ83に表示する。
物質変化量演算手段60は、データベース40の入力条件に基づき、生物反応槽および最終沈殿池の生物反応に関与する物質変化量を演算し、その結果をデータベース40に送信するとともに、モニタ83に表示する。
次に、図2に、本発明の物質変化量演算手段60の動作を示す一実施例のフローチャートを示す。
ステップS1では、反応槽の物質濃度に基づき、進行する全反応の反応速度を計算する。ここで反応速度の計算には、国際水協会が発表したASM−No.2等の公知の活性汚泥モデルを適用してもよいし、化学反応式から作成したモデルや実験的に求めたモデルを適用してもよい。なお、ステップS1では、生物反応槽の各分割槽及び最終沈殿池に対し、全反応の反応速度を計算する。例えば、図1の実施例において、ステップS1では、嫌気槽1a,無酸素槽1b,好気槽1cと最終沈殿池2における、リン放出,リン貯蔵,硝化,脱窒,増殖,自己分解,有機性窒素のアンモニア化などの反応速度を計算する。
ステップS2では、ステップS1によって計算された反応速度と、物質間の化学的量論関係と式(1)を用いて、物質変化量を計算する。ここで、前記物質間の化学的量論関係とは、反応に伴う物質の変化割合を表わす。なお、式(1)には計算周期1回分の物質変化量の実施例を示す。
ΔS=ρ/24×Pd×V×Y …(1)
ただし、ΔS:物質変化量[g],ρ:反応速度[g/m3/d],pd:計算周期
[h],V:槽容積、Y:物質間の化学的量論関係。ここで単位は、d:日。
例えば、リン貯蔵反応および自己分解反応に伴う溶解性リンの物質変化量の実施例は式(2),(3)に示す。
ΔP1=ρ1/24×Pd×Vc×Y1 …(2)
ΔP2=ρ2/24×Pd×Vc×(Y2+Y3) …(3)
ただし、ΔP1:リン貯蔵反応に伴う溶解性リンの物質変化量[g],ΔP2:自己分解反応に伴う溶解性リンの物質変化量[g],ρ1:リン貯蔵速度[gCOD/m3/d],ρ2:自己分解速度[gCOD/m3/d],Pd:計算周期[h],V:槽容積,Y1:リン貯蔵に伴う溶解性リンの減少割合,Y2:自己分解時、活性汚泥組成のリン成分が溶解性リンとして溶出する割合,Y3:自己分解時、活性汚泥に貯蔵されているポリリン酸が溶解性リンとして溶出する割合。ここで単位は、COD:化学的酸素要求量。
この化学的量論関係は、文献値を適用してもよいし、化学反応式あるいは実験的に求めた値を適用してもよい。例えば、Y2とY3は、以下のように決定することができる。
Y2は、1g当たりの活性汚泥(細胞)のリン成分を0.02gP/gSS とし、活性汚泥自己分解時、90%のリン成分が回収できるとする場合、
Y2=0.02gP/gSS×90%=0.018gP/gSS
ここで各単位は、gP:リンの質量(単位g),gSS:SS(汚泥)の質量(単位g),gP/gSS:1gSS当たりのリン含有量(gP)を表す。
Y3は、活性汚泥の成分分析のうち、リン含有量[gP/gSS]を用いて、Y3を定義する例を示す。活性汚泥のリン含有量には、活性汚泥の組成(細胞)のリン成分とポリリン酸が含まれている。例えば、活性汚泥の成分分析のリン含有量は0.035gP/
gSS、活性汚泥の組成のリン成分を0.02gP/gSS とする場合、Y3は以下となる。
Y3=0.035gP/gSS−0.02gP/gSS=0.015gP/gSS
このように、1gの活性汚泥の自己分解(すなわち、1g活性汚泥が減少する)に伴い、液中に0.033g(Y2+Y3)の溶解性リンが増加する。
ここでは、リン貯蔵反応と自己分解反応に伴う溶解性リンの物質変化量の実施例を示したが、リン放出,硝化,脱窒,増殖などの反応に伴う有機物,リン,窒素,活性汚泥などの物質変化量も式(1)に示すように、反応速度,物質間の化学的量論関係,槽容積を用いて計算することができる。
ステップS1とS2によって、計算周期1回分の物質変化量を計算することができる。ステップS1とS2の繰り返し計算によって、計算周期毎の物質変化量を計算することができる。
ステップS3では、ステップS2で得られた計算周期毎の物質変化量を用いて、例えば、式(4)によって、1日当たりの物質変化量を統計処理する。なお、式(1)には計算周期1回分の物質変化量を示したが、ステップS1とS2の繰り返しによって、式(4)の計算周期毎の物質変化量ΔSiを得ることができる。
Figure 0004432430
ただし、ΔSa:1日当たりの物質変化量[kg/d],ΔSi:計算周期毎の物質変化量[g],d:計算日数[d],i:計算回数(i=1,2,…m;m=計算回数分)
次に、図3に、物質変化量演算手段60にて計算した結果をモニタ83に表示した実施例を示す。なお、図3は、生物反応槽の各分割槽、最終沈殿池の生物反応(増殖,自己分解,リン貯蔵,リン放出,硝化,脱窒,有機性窒素のアンモニア化)に伴う1日当たりの溶解性リン,アンモニア性窒素,硝酸性窒素,活性汚泥の物質変化量を表形式に加工してモニタ83に表示した実施例である。例えば、発明が解決しようとする課題で述べた、好気槽におけるリン貯蔵反応と自己分解反応によるリン再放出のような相反する反応は、表示エリア301に示された溶解性リンの情報で定量的に把握することができる。
また、アンモニア性窒素に関する反応には、硝化反応と有機性窒素のアンモニア化反応など相反反応がある。これらの反応によるアンモニア性窒素の増減は表示エリア302に示された情報で定量的に把握することができる。同様に、硝酸性窒素についても硝化反応と脱窒反応のような相反反応が存在するが、表示エリア303に示された硝酸性窒素の情報で把握できる。さらに、活性汚泥についても相反反応である増殖反応と自己分解反応が存在するが、表示エリア304に示された活性汚泥の情報で、定量的に把握することができる。
このように、活性汚泥モデルに関連する複数の反応について、全反応の反応速度を演算し、さらに、反応速度と物質間の化学的量論関係を用いて反応に関わる各々の物質変化量を演算し、各反応に関する物質変化量を提示することで、プロセスの除去挙動の詳細を把握できる。これによって、異常発生時の異常要因を正確に同定でき、有効な対策を講じることができる。
また、未経験の状態が発生しても、活性汚泥プロセス全体の反応を把握できるので、本発明によりプロセスの維持管理を適切に実施することができる。
また、活性汚泥プロセスの土木構造や計装設備,汚泥仕様,運転条件を変えて試行し物質の変動を把握できる。この結果、プロセス全体が最適な除去性能を発揮するためにどこの土木構造や設計条件を改善すべきかなどの計画や設計段階にも適用できる。
ここで、再び、図1を用いて、本発明の除去状態診断手段70を説明する。
除去状態診断手段70は、データべース40に格納されている物質変化量演算手段60にて得られた物質変化量に基づき、除去状態を診断し、その結果をデータベース40に送信するとともに、モニタ83に表示する。
次に、図4に示す好気槽におけるリンの除去状態診断の実施例を用いて、本発明の除去状態診断手段70の動作を説明する。
ステップS11では、データベース40から除去状態診断に必要なデータを収集する。例えば、リン過剰貯蔵の判定には、嫌気槽でのリン放出反応に伴う溶解性リンの物質変化量と好気槽でのリン貯蔵反応に伴う溶解性リンの物質変化量が必要である。この生物反応に伴う水中の物質の除去状態診断に必要なデータは、診断対象のリン過剰貯蔵,リン再放出,硝化,脱窒などの反応毎に異なる。
ステップS12では、ステップS11によって収集したデータのうち、嫌気槽でのリン放出反応に伴う溶解性リンの物質変化量,好気槽でのリン貯蔵反応に伴う溶解性リンの物質変化量に基づいて、式(5)を用いてリン過剰貯蔵に至ったかどうかを判定する。
好気槽でのリン貯蔵反応に伴う溶解性リンの物質変化量[kgP/d]≦嫌気槽でのリ ン放出反応に伴う溶解性リンの物質変化量[kgP/d]×θ …(5)
ただし、θ:係数(θ>1.0)
ここで、式(5)が成立すると、「リン過剰貯蔵に至らなかった」と判定する。なお、式(5)のθは、入出力装置80によって設定および変更をすることができる。好気槽でのリン放出量と、嫌気槽でのリン貯蔵は、好気槽のリン貯蔵量と、嫌気槽のリン放出量に比べて非常に少ないので無視した。
ステップS13では、ステップS11によって収集したデータのうち、好気槽でのリン貯蔵反応に伴う溶解性リンの物質変化量と、好気槽での自己分解反応に伴う溶解性リンの物質変化量と、式(6)を用いてリン再放出したかどうかを判定する。
好気槽での自己分解反応に伴う溶解性リンの物質変化量[kgP/d]≧好気槽でのリ ン貯蔵反応に伴う溶解性リンの物質変化量[kgP/d]×ε …(6)
ただし、ε:係数(ε<1.0)
ここで、式(6)が成立すると、「リンが再放出した」と判定する。なお、式(6)のεは、入出力装置80によって設定および変更をすることができる。好気槽でのリン再放出は、自己分解反応から溶出したリンに比べて少ないので無視した。
ステップS14では、ステップS12,S13の判定結果に基づき、リン除去状態の異常原因を判定する。例えば、式(5)が成立する場合、異常原因は「リン過剰貯蔵に至らなかった」と同定し、式(6)が成立す場合、異常原因は「リンの再放出」と同定し、その結果をデータベース40に送信するとともにモニタ83に出力する。
この様にして除去状態診断手段70は、物質変化量演算手段60にて演算された物質変化量に基づいて、生物反応に伴う水中の物質の除去状態を診断し、異常原因となる生物反応を同定する。
ここで、再び、図1を用いて、本発明の対策判定手段75を説明する。
対策判定手段75は、データベース40に格納されている除去状態診断手段70にて出力した結果に基づき、データベース40に格納されている操作データから除去改善可能な操作方法を収集し、その結果をモニタ83に表示する。例えば、式(5)にて「リン過剰貯蔵に至らなかった」と判定された場合、好気槽への送風量、または、汚泥濃度を高めること、一方、式(6)にて「リンの再放出」と判断された場合、好気槽への送風量、または、汚泥濃度を低下させることである。この除去改善可能な操作方法を格納する操作データは、処理プロセス毎に構築することで、処理場の実情に合った維持管理を支援することができる。また、操作データは、処理場固有の運転、過去の運転実績などを利用してもよい。
図5に、リン除去について、除去状態診断手段70と対策判定手段75によってモニタ83に表示した実施例を示す。このように、リン除去状態を診断した上、異常原因を同定し、それに対応する操作方法を提示する。複雑な微生物反応の異常部分のみを選択して可視化し、さらに対策を提供できるので、従来熟練者が行ってきた情報収集,異常診断,対策方法策定に関わる工数を低減できる。この提示された操作方法を運転支援システム20から下水処理プラント90へ自動制御する構成とすることもできる。この場合、データ入力手段30をデータ出力手段とし、各制御対象機器へ指令を送る構成となる。
以上説明した実施例は、好気槽におけるリンの除去状態の例を示したが、硝化,脱窒,有機物などの異常判定についても、同様に物質変化量を用いて除去状態診断手段70と対策判定手段75によって、プロセスの異常原因同定と対策判定を行うことができる。なお、除去状態診断手段70と対策判定手段75によって、異常原因同定及び対策決定の実施例を示したが、物質変化量を参照しながら、運転員が判定することでもよい。
また、ここでは、本発明をリン・窒素の同時除去プロセスである嫌気−無酸素−好気法に適用した実施例を示したが、リン除去プロセスである嫌気−好気法、または、リン・窒素の同時除去プロセスである2段嫌気−好気法など、他の排水処理方式にも同様に適用することができる。
また、微生物の生化学反応の他に、化学物質を用いた化学反応によって浄化する下水処理プロセスについても適用できる。例えば、生物反応後の処理水に複数の化学物質を投入したり、化学物質と微生物との反応について問題となる場合に対応できる。
以上実施例は、下水処理の運転支援装置に適用した例を説明したが、これらの機能をコンピュータに実現させるプログラムからなるソフトウエア又はこのソフトウエアを格納した記録媒体(例えばCD−ROM等)を使用することにより、コンピュータを運転支援装置とすることができる。提供されたプログラムを利用して職員や専門技術者の少ない事業体であっても適切な運転と、業務の円滑化と効率化が期待できる。
本発明の活性汚泥プロセスの運転支援システムの一実施例を示す構成図。 本発明の物質変化量演算手段を示す実施例。 本発明の物質変化量を示す実施例。 本発明の除去状態診断手段を示す実施例。 本発明の異常原因と異常対策のデータ表示手段を示す実施例。
符号の説明
1…生物反応槽、2…最終沈殿池、3…流入水、4…返送汚泥、5…余剰汚泥、6…循環汚泥、7…送気装置、8…送気管、9…ブロワ、10…放流水、20…運転支援システム、30…データ入力手段、40…データベース、50…モデル演算手段、60…物質変化量演算手段、70…除去状態診断手段、75…対策判定手段、80…入出力装置、81…キーボード、82…マウス、83…モニタ、90…下水処理プラント。

Claims (6)

  1. 化学物質による浄化処理及び/又は生物反応槽及び最終沈殿池での微生物による浄化処理を行う下水処理プラントの流入汚水量,流入物質濃度,前記生物反応槽及び最終沈殿池の寸法データを含むプロセスのデータを入力するデータ入力手段と、前記入力されたデータに基づいて前記生物反応槽,最終沈殿池,返送汚泥、及び余剰汚泥の物質濃度を計算するモデル演算手段と、該モデル演算手段により演算された物質濃度を用いて前記生物反応槽の各分割槽及び最終沈殿池に対し前記微生物及び/又は化学物質による反応毎の反応速度を演算し、該演算された反応速度と反応に伴う物質の変化割合を表す物質間の化学的量論関係から生物反応の単位時間あたりの物質濃度の変化を表す物質変化量を演算する物質変化量演算手段と、前記計算された結果を表示する表示するモニタを備え、前記物質変化量演算手段により演算された生物反応槽の各分割槽及び最終沈殿池の生物反応に伴う単位時間当たりの物質変化量を表形式で前記モニタに表示することを特徴とする下水処理運転支援装置。
  2. 請求項1に記載の下水処理運転支援装置において、前記物質変化量演算手段で前記生物反応槽の各分割槽及び最終沈殿池に対し演算された物質変化量の比較に基づいて、前記反応に伴う水中の物質の除去状態を診断し、異常原因となる生物反応を同定する除去状態診断手段を有し、該除去状態診断手段で同定された異常原因となる生物反応を前記モニタに表示することを特徴とする下水処理運転支援装置。
  3. 請求項2に記載の下水処理運転支援装置において、前記同定された異常原因となる生物反応に基づいて対策方法を判定する対策判定手段を有し、該対策判定手段は前記同定された異常原因となる生物反応に対してデータベースに格納されている操作データから除去改善可能な操作方法を収集し、収集した操作方法を前記モニタに表示することを特徴とする下水処理運転支援装置。
  4. コンピュータに、入力手段により入力された化学物質による浄化処理及び/又は生物反応槽及び最終沈殿池での微生物による浄化処理を行う下水処理プラントの流入汚水量,流入物質濃度、前記生物反応槽及び最終沈殿池の寸法データを含むプロセスのデータに基づいて前記生物反応槽,最終沈殿池,返送汚泥、及び余剰汚泥の物質濃度を計算し、演算された物質濃度を用いて前記生物反応槽の各分割槽及び最終沈殿池に対し前記微生物及び/又は化学物質による反応毎の反応速度を演算し、該演算された反応速度と反応に伴う物質の変化割合を表す物質間の化学的量論関係から生物反応の単位時間あたりの物質濃度の変化を表す物質変化量を演算し、演算された生物反応槽の各分割槽及び最終沈殿池の生物反応に伴う単位時間当たりの物質変化量を表形式で前記モニタへの表示を実行させるためのプログラム。
  5. コンピュータに、入力手段により入力された化学物質による浄化処理及び/又は生物反応槽及び最終沈殿池での微生物による浄化処理を行う下水処理プラントの流入汚水量,流入物質濃度、前記生物反応槽及び最終沈殿池の寸法データを含むプロセスのデータに基づいて前記生物反応槽,最終沈殿池,返送汚泥、及び余剰汚泥の物質濃度を計算し、演算された物質濃度を用いて前記生物反応槽の各分割槽及び最終沈殿池に対し前記微生物及び/又は化学物質による反応毎の反応速度を演算し、該演算された反応速度と反応に伴う物質の変化割合を表す物質間の化学的量論関係から生物反応の単位時間あたりの物質濃度の変化を表す物質変化量を演算し、演算された生物反応槽の各分割槽及び最終沈殿池の生物反応に伴う単位時間当たりの物質変化量を表形式で前記モニタへの表示を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  6. 好気槽及び嫌気槽での微生物による生物反応で水中の物質を除去する反応槽と、前記反応槽の処理水を沈殿処理する沈殿池とを有し、化学物質による浄化処理及び/又は微生物による浄化処理を行う下水処理プラントと、前記反応槽,沈殿池,返送汚泥、及び余剰汚泥の物質濃度を計算するモデル演算手段と、該モデル演算手段により演算された物質濃度を用いて前記好気槽,嫌気槽及び沈殿池に対し前記微生物及び/又は化学物質による反応毎の反応速度を演算し、該演算された反応速度と反応に伴う物質の変化割合を表す物質間の化学的量論関係から生物反応の単位時間あたりの物質濃度の変化を表す物質変化量を演算する物質変化量演算手段と、前記計算された結果を表示する表示するモニタを備え、前記物質変化量演算手段により演算された好気槽,嫌気槽及び沈殿池の生物反応に伴う単位時間当たりの物質変化量を表形式で前記モニタに表示することを特徴とする下水処理プラント。
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