JP4428110B2 - 経験知識情報処理装置 - Google Patents
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Description
現状のナレッジマネージメントシステムは、主にマニュアルやレポートなどデータベース化するものが殆どであり、既に個人や組織内で有用に活用されているドキュメントにキーワードなどのインデックスをつけて、データベースに格納することで検索可能にし、表面的な知識(形式知)を共有するものである。
ここで、形式知と暗黙知の相互作用を通じて知識を創造して行く事が重要であることが文献「知識創造企業」で述べられ、SECIモデルが提案されている(非特許文献1参照。)。
このSECIモデルを利用してナレッジマネージメントを実践し成功している企業もある。
この評価テンプレートは、SECI各々に対応する典型的な複数の例文に対して、時間配分と重要度の値を段階的に評価するもので、その結果を集計しグラフ表示する。この他、表出化作業(E)においては、穴明き構文「これは、○○にとって非常に○○である。」などの暗黙知表現を用い、暗黙知表現テンプレートを複数用意し、穴埋め形式で暗黙知を抽出することや、穴埋めにあたる当事者、対象者、事象述語、焦点など用語辞書を予め用意し、利用者に用語を選択させることで暗黙知を表出化させる工夫も提案している。
この他、プロセスに関して、具体・抽象(is-a)および全体・部分(has-a)の関係を持たせ、業務プロセスを含んだプロセスのハンドブックを提案し、一般的なビジネスプロセスとしてデザイン、購入及び納入、生産、販売及び出荷、管理(マネージメント)の4種類を定義し、登録される各アクティビティを上記ビジネスプロセスと抽象・具体もしくは全体・部分関係で関連付けるシステムが提案されている(特許文献3、非特許文献2参照。)。
この経験から得た知識を表出化して、組織で共有し、新たな知識創造を起こすことが重要であることは、非特許文献1などで指摘されている。
また、個人にとって有用な経験知識を抽出し整理するために、トップエクゼクティブおよびミドルマネージャに対して一皮向けた経験に関してインタビューを実施し、表として整理する試みも知られている。この試みは、一皮向けた経験の起こったイベントと、そこから得た知識、そして知識を得た時期を整理しているが、インタビューという属人的なノウハウに依存し、かつ特許文献1の提案と同様に、その後その知識をどう活かしたか整理されていない。
また、本発明は、個人の経験から得た知識(形式的な知識と暗黙的な知識)を電子アンケートなどの手段を用いて個人が有する経験知識の獲得・利用に関して文章として入力し、その知識を自動で解析し、業務活動および知識プロセスに対応させること、そして、その経験から得た知識が伝播し再利用されている状況を明らかにすること、そして、経験から得た知識の元となった事例や再利用事例を含めて提供し、知識共有や再利用のための文脈情報を与えることなどにより、知識の共有・再利用を容易にすることを目的としている。
また、本発明の他の目的は、経験から得た知識を俯瞰できる表示形態を提供し、組織や企業における経験知識の分布および再利用状況を知ることを容易にすることである。
本発明では、個人から入力された個人の過去の活動から得られた経験に関する情報と、当該経験から得られた知識に関する情報と、当該知識の適用に関する情報とに基づいて、個人の経験に関する情報と知識の適用に関する情報とを当該経験した活動に関係付け、得られた知識に関する情報を知識の創造過程を表す知識創造プロセスと関連付ける処理を行い、知識を経験又は適用の活動及び知識創造プロセスと対応付けてデータベース管理する。
また、本発明では、入力された個人の過去の活動から得られた経験に関する情報と、当該経験から得られた知識に関する情報と、当該知識の適用に関する情報とに基づいて、当該経験から獲得した知識の知識創造プロセスを同定し、知識創造プロセス毎に知識の獲得又は適用に関して知識数の総計を算出する。
また、本発明では、入力された個人の過去の活動から得られた経験に関する情報と、当該経験から得られた知識に関する情報と、当該知識の適用に関する情報と、当該経験した職種に関する情報と、当該知識を適用した職種に関する情報とに基づいて、職種毎に知識の獲得又は適用に関して知識数の総計を算出する。
さらにまた、本発明では、知識の個人間での伝播状況に基づいて伝播速度を算出して、知識伝播のリサイクル度を管理する。
より具体的には、アンケートなどの手段により個人の過去の重要な経験に関する情報、この経験から得た経験知識や経験知識の適用に関する文章を時間順に簡易的な物語として入力させ、その入力テキストを解析し、入力テキストから取り出した関連単語の関係集合と、活動辞書に登録されている活動定義単語集合を比較することにより、関連する業務活動を特定する。
さらに、過去の重要な経験から得た知識の活用に関する情報を入力させ、過去の重要な経験に関する情報と同様な手段を用いて、関連する業務活動を抽出する。
そして、過去の重要な経験とあわせて、経験知識の再利用に関する情報を記憶手段に蓄積する。
さらに、活動辞書に登録されている、活動定義単語集合と関連付けた活動をそれぞれ「材料など価値の源となるものを入手する」、「価値をつくる」、「価値を提供する」というの価値連鎖に直接関わるインプット・プロセス・アウトプットに関連する業務活動と、価値を設計する業務活動、上記業務を管理する業務活動の5つの分類で対応付け、職種間、組織間で経験知識の獲得から活用の流れ、すなわち経験知識の利用パスに関する比較を可能にする。
その他、経験知識の利用パスに関して、業務プロセス、知識創造プロセス、職種、組織、時間などの任意の2項目を選択し、さらにパスを表示する色などの属性を利用することにより、残りの1項目に関する分類を合わせて俯瞰する表示手段を有する。
業務遂行などの場において、個人は、伝票処理業務、配送業務、発注業務などといった種々な活動を行うが、これら過去の活動は当該個人にとって経験となり、この経験によって当該個人は暗黙知を得ているといえる。この暗黙知(すなわち、経験)は、上記SECIプロセス(知識創造プロセス)によって形式知(すなわち、知識)に変換され、新たな活動に適用されて業務遂行がなされる。
そこで、本発明は、過去の活動から得られた経験を知識創造プロセスにより知識に変換し、当該知識を新たな活動に適用する知識の再利用に関し、個人の経験に基づいた知識の管理を情報処理技術により実現する。
図1には本発明の一実施例に係る経験知識情報処理装置を示してある。なお、本例はクライアントサーバ形式のシステム構成としているが、本発明は、分散処理を行うネットワーク形式、スタンドアローン形式等その構成は任意である。
また、本例のクライアントコンピュータやサーバコンピュータで本発明に係るプログラムを実行することにより、以下に説明する各機能手段が構成されるが、これら機能手段を専用回路構成のモジュールとして構成してもよい。
サーバコンピュータ1やクライアントコンピュータ2は、プログラムに応じた種々な処理を行うプロセッサ(CPU)4a、CPUの作業領域やデータやプログラムの保持領域を構成する内部メモリ4b、ネットワーク3による通信処理を行う通信装置4cなどを含む本体4、液晶ディスプレイ(画面表示装置)5、キーボードおよびマウス(図示せず)を含む入力装置6、HDDやCD装置などの外部記録装置7を有している。
クライアントプログラムは、例えば、記録媒体8を介してクライアントコンピュータ2の記録装置7に供給され、メモリ4bにロードされてCPU4aにより実行される。クライアントプログラムは、これらの構成要素により、クライアントコンピュータ2を利用する組織構成員(ユーザ)に対して、WWW閲覧および入力機能を提供する。
このとき、クライアント2やウェブサーバ(サーバ1)などが、回答の分析・評価に必要とされる調査対象者の識別情報および回答日時などを、自動的に回答に付すことができ、あるいは、調査対象者が、ブラウザに対する明示的な操作を行って、これらの情報を回答に付すことができる。すなわち、アンケート回答には、回答したユーザ識別情報および回答日時が付加される。
この他、過去の重要な経験及び知識を俯瞰したり、検索する機能をウェブブラウザはブラウザプログラムとともに提供する。例えば、ウェブブラウザは過去の重要な経験や知識に対する検索項目をメニューなどで画面表示し、ブラウザプログラムはユーザが指定した検索項目に対応してデータベース検索式などを生成してサーバ1に送信する。なお、ユーザが指定した項目のみを送信し、サーバプログラム側で検索式を生成するようにしてもよい。
なお、これら機能部は、上記と同様に、例えばサーバプログラムが記録媒体8を介してサーバコンピュータ1の記録装置7に供給され、メモリ4bにロードされてCPU4aで実行されことにより構成される。
この他、サーバ1はユーザからの要求に従い、経験知識データベース12に蓄積された経験と知識内容を経験知識処理部13を介して検索し、結果をユーザに好適な形で処理し、表示する機能も有している。
また、データ集計装置11は、必要に応じて、ログデータベース17に記録したアンケートに関するログを、経験知識処理部13などに対して送信する。
また、下記に詳細に説明するように本実施例においては、辞書データベース14が活動や知識創造プロセスを定義する単語を記録して上記同定処理により参照される辞書手段を構成している。
ウェブサーバ10は、経験知識に関するアンケート調査のための質問をクライアント2へ提供して表示させ、この質問に対して過去の経験やそこから得た知識などに関してユーザの応答を受け付け、このユーザからの回答を経験知識データベース12に蓄積する。
次に、経験知識処理部13は知識解析部13aで、経験知識データベース12に蓄積された回答を分析して、ある個人の経験、そこから得た知識、知識の活用場面(適用)を分析し、これらを、辞書データベース14に蓄積されている活動辞書を用いて関連する業務活動に対応付け、また、知識プロセス辞書を用いて知識創造プロセスに対応付け、経験知識データベース12に登録する。
また、知識関係表示処理部13bは、ユーザの検索などの要求操作に応じて、ログデータベース17に記憶されたログ、および、経験知識データベース12に蓄積された経験知識を、クライアント2に提供してその表示装置5に表示させる。例えば、経験知識データベース12に登録された知識を業務活動と知識創造プロセスから構成される二元表として表示して、登録されている経験知識を俯瞰することを可能にする。この他、登録された知識をユーザからある知識創造プロセスで再利用された知識や、ある業務活動で生まれた知識とその事例などを検索する処理を実行する。
なお、組織形態の部分には、企業の組織図に記載しているような公式組織、ある目的を達成するために複数の公式組織が横断的に結集するプロジェクト組織だけでなく、自発的な参加に基づくコミュニティのような組織、興味関心を同じくする情報共有等のグループなどの組織の属性が格納されてもよい。
なお、個人情報にはマネージャなどの組織内での職位情報が含まれてもよく、この職位情報も再利用された知識の知識源などを特定することに利用できる。
調査対象者(ユーザ)が、クライアントコンピュータ2上で動作するウェブブラウザに表示された質問に回答して送信すると、データ集計装置11は、当該回答を受けて集計処理を行い、図6に示す調査結果情報を回答内容および質問内容に応じて作成し、経験知識データベース12に記憶する。
例えば、過去の業務経験のうちで現在の業務遂行に役に立っている経験に関して、「あなたが現在の業務を遂行する上で役にたっている、過去の業務経験に関して教えてください。」という内容の質問Aと、それに対して経験の内容を回答するためにユーザがテキスト記述する欄を含んでいる。
なお、上司など他の人の活動や他部門で役に立っている経験の場合には、どこから影響を強く受けたかを付属して質問してもよい。
なお、本例では、経験や知識が現在の業務で役に立っている理由や根拠の質問Gとそれに対してユーザが回答をテキスト記述する欄を含んでいる。
なお、この調査結果は、獲得できた経験知識および知識の適用に関する回答に付加して、経験知識データベースに記録する。
経験知識は、識別子(知識ID)、経験知識名称(タイトル)、調査対象ユーザの回答識別子(回答ID)、知識創造プロセス(SECIのプロセスステップ)、役に立った経験をした業務活動(経験業務)、成功/失敗フラグ、適用可能な業務活動(適用業務)、適用対象者を含んでいる。
なお、経験業務および適用業務には、対応する業務活動IDが登録される。また、タイトルは、好適には調査対象ユーザの回答から経験知を読み込み、既存の要約技術で要約した結果を登録してもよいし、ナレッジマネージメントシステムを主管する担当者が登録・編集してもよい。
活動辞書に記述される業務活動は、業務活動ID、活動名、活動定義単語集合、上位活動IDを含んでいる。活動単語集合は、図10に示すように、述語動詞、述語修飾語、目的格名詞、目的格名詞修飾語、主格名詞、主格名詞修飾語を含んでおり、これら単語は活動を特定するものである。例えば、図16に示すように、「顧客のニーズを獲得する」という活動名に対しては、述語動詞に「獲得する」、目的格名詞に「ニーズ」、目的格修飾語に「顧客」が登録されている。また、「サービスマンがお客様との関係を良好に保つ」という業務活動では、述語動詞に「保つ」、述語修飾語に「良好に」、目的格名詞に「関係」、目的格名詞修飾語に「顧客」、主格名詞に「サービスマン」が登録されている。
なお、述語修飾語、目的格名詞、目的格名詞修飾語、主格名詞、主格名詞修飾語は不要な場合にはデータを登録しなくてもよく、また、目的格名詞などに複数の候補がある場合は、(AorB)(AandB)などの論理的な表現で登録してもよい。
この活動の分類では、「獲得する」「作る」「提供する」がそれぞれ、「材料など価値の源となるものを入手する」(インプット)、「価値をつくる」(プロセス)、「価値を提供する」(アウトプット)として価値連鎖に直接関わる業務活動に対応し、「設計する」が価値を設計する業務活動、「マネージする」が上記4つの業務活動を管理する業務活動に対応している。なお、図11に示すように、例えば「顧客のニーズをつかむ」の上位活動は「提供する」であることを表しており、「人材を管理する」の上位活動は「内部リソースを管理する」で、さらに上位活動は「マネージする」であることを表している。
知識プロセス定義単語集合は、図13に示すように、手段を表す活動に関する単語集合と、知識創造プロセスを表す単語集合の組みで構成され、各活動に登録される単語の組合せは活動定義単語集合と同様である。
活動定義単語集合と同様に、知識創造活動述語以外の項目は、不要な場合、登録しなくても可能である。また、活動定義単語集合と同様に、論理的な表現も可能である。
この他、辞書データベース14には、シソーラスなど単語の類義語や狭義語の関係を示す一般辞書も登録されている。また、業種や組織ごとに、顧客やサプライヤを示す企業や部門の名称などの固有名詞や社内用語を辞書として登録しておいてもよい。
図14には、経験知識データベース12に登録された調査結果(図6)の内の記述されているテキストを用いて、知識解析部13aにより業務活動や知識創造プロセスを抽出する処理の概略を示してある。
まず、記述されたテキストの構文解析を行い、動詞、名詞、形容詞、副詞などの語彙と文節を取り出す。好適には、さらに意味解析を行い、述語、目的語、修飾語などの情報を解析し、意味構造を含めた解析木などの構造が抽出されるとよい。図14には、語彙機能文法(LFG)を用いて意味解析をした場合の解析の処理例を示してある。
そして、対応する業務活動(活動ID)と知識創造プロセス(知識プロセスID)を抽出し、経験業務、適用業務、知識創造プロセスとして経験により得られた知識(経験知識)を構成し、経験知識データベース12に登録する。なお、構文解析のみを用いた場合には、単語の共起関係を用いてマッチング処理を行えばよい。
このような抽出や登録などに係る処理を以下にさらに詳細に説明する。
課題・経験知分離ルールを用いて、入力されたアンケート回答文(図8における質問A―2に対する回答文「お客様のニーズがよく分からないときには、優秀な人と一緒に活動し、その人の営業ノウハウやコツを得るといい。」)から課題の記述と経験知の記述を分離し(ステップSS21、S22)、課題記述テキストと経験知記述テキストを抽出する(ステップS23、S24)。例えば、図17の例は、「場合」,「とき」,「ので」の接続的役割を担うことばを含む場合には、そのことばの前の記述を経験知識ベース12の「課題」項目に、後の記述に「いい」という形容詞を含むので経験知識ベースの「経験知」項目に設定するルールを適用した場合の処理の概要を表している。
同様に、状況・適用事例or手段分離ルールを用いて、入力されたアンケート回答文(図8における質問A―3に対する回答文「重要顧客にアプローチできていない部下の営業マンがいれば、課内の一番優秀な営業を同行させる。」)から状況の記述と、適用事例もしくは手段の記述を分離し(ステップS25、S26)、経験知識ベース12の「適用事例or手段」の項目と「適用事例フラグ」を設定する(ステップS27〜S30)。図17の例における状況・適用事例or手段分離ルールを適用すると、「ので」「から」「ため」など接続助詞が含まれる場合には、接続助詞より前の記述を経験知識ベースの「状況」項目に設定する。そして、接続助詞より後ろの記述に含まれる述語動詞が過去形である場合には事例が記述してあると判断し、経験知識ベースの「適用事例」に接続関係詞より後ろの記述を設定し、述語動詞が過去形でない場合は手段が記述してあると判断し、経験知識ベースの「手段」に設定する。
同様に、根拠・結果分離ルールを用いて(ステップS31)、アンケート回答文から根拠の記述と結果の記述を分離する(ステップS32〜S34)。図17の例では、「ので」,「から」,「ため」の接続助詞を含む場合には、その接続詞の前の記述を経験知識ベース12の「根拠」項目に、後ろの記述を「結果」項目に設定するルールを適用した場合の処理の概要を表している。また、「ため」などの記述で回答文が終了している場合には、アンケート回答文の解析結果が動詞でない最上位の述語で終わっているので、経験知識ベースの「根拠」のみを設定するルールが記述してある。
抽出された状況記述テキスト(ステップS27)に対して適用対象者抽出ルールを用いて(ステップS35)、先に特定した経験知識ベース12の「状況」項目から関与者(適用対象者)を抽出する。図17の例では、職種、役割、組織での上下関係を表す言葉と一致しているか判断するルールが記述してあり、その中に「部下」という言葉が含まれているので、「部下」を抽出し、経験知識データベースの「適用対象者」に「部下」を設定できる。
アンケート回答文から可能表現や肯定・否定表現、もしくは特定の動詞を取り出し、失敗判断ルールや成功判断ルールに基づき(ステップS37、S38)、成功か失敗か判断し、成功/失敗フラグを設定する(ステップS39、S40)。例えば、述語動詞が「できない」「うまくいかない」など可能表現かつ否定表現を含む場合や、「くりかえす」「繰り返す」などの述語動詞があれば、「失敗」と判断するなどのルールを予め記述しておく。同様に、可能表現と肯定表現を含む場合は、「成功」と判断する成功判断ルールを予め記述しておく。なお、成功/失敗とも判断できない場合は、未定とする(ステップS41)。なお、「xxxしてきている」など「事態が継続している」ことを表す意味表現を取り出してルールに追加したりしてもよい。
図15、図16、図17を参照して、調査結果(図6)の内の「過去の重要な経験」として記述されたテキストから、経験業務活動を抽出する処理を詳細に説明する。
まず、語彙機能文法に基づいた意味解析を行い(ステップS1)、図17に示すような述語、主語、修飾語などが提示された解析結果171を得る。解析結果を表すF-Structure内の動詞と活動辞書中の活動定義単語集合に登録されている述語動詞172と一致もしくは類似するものを検出する(ステップS2)。
また、複数の業務活動が選択される場合には、ユーザに好適な業務活動を1個選択させてもよい。
さらに、単一の業務活動が検出された場合でも、ユーザに正しい業務活動であるか問い合わせをし(ステップS16)、正しくない場合には、単一活動が同定された前の処理に戻り、そこで候補としてあがった複数の業務活動のなかから一番近い業務活動を選択させてもよい。
また、最終的に、業務活動が同定できない場合は、ユーザに新たな業務活動を登録するよう要求するようにしてもよく、この場合、業務活動辞書に登録されている業務活動のうち、上位活動が登録されていない業務活動(基本業務活動)などをメニューなどの手段で提示し、関連ある業務活動を選択の上、詳細な業務活動を記述させると好適である(ステップS17)。
解析結果のなかから、まず述語動詞候補として「わかる」「伸びる」「見る」の動詞(述語)を抽出する。一般辞書のシソーラスを用いて、同義語として「獲得する」「理解する」「つかむ」を得る。
次に、節類似ルールを適用して、活用辞書の目的格名詞と解析結果の主格名詞に対してマッチング処理を行う。解析結果の主語(主格名詞)と業務活動ID-7、業務活動ID-8の目的格名詞が一致する。共に名詞が「ニーズ」であるので、業務活動候補として業務活動ID-7と業務活動ID-8が残る。
このようにして、業務活動ID-7の「顧客ニーズをつかむ」という業務活動を自動的に抽出することができ、この「顧客ニーズをつかむ」という業務活動が図7に示す経験知識抽出結果の「経験業務」の項目に設定される。
なお、経験知識抽出結果の適用業務も経験知識調査結果の適用事例などから抽出できるが、これも上記と同様の処理を行うことで実施されるので説明は割愛する。
知識解析部13aによって行われる、図6に示した調査結果に登録された経験知識および登録された適用内容から知識創造プロセスを抽出する処理を説明する。
まず、業務活動の抽出と同様に、構文解析を行い、動詞、名詞、形容詞、副詞などの語彙を取り出す。
ここで、さらに、「通じて」「によって」「ときには」などの接続関係を表す語などを利用して文を、手段や行為(活動)を記述してある部分と、知識創造プロセスを記述してある部分とに分けるルール(知識創造活動・手段活動分離ルール)を登録しておき、手段や行為を記述してある部分と、知識創造プロセスを記述してある部分に分割してもよい。
知識解析部13aにおいて行われる、図7に示す構成をとる経験知識の抽出結果を、経験知識データベース12に登録する処理を説明する。
調査結果の回答IDと、対応する調査結果の回答(回答ID)を経験知識データベース12に登録する。そして、回答の活動内容に係る入力事項から抽出した業務活動を経験業務に、回答の適用内容に係る入力事項から抽出した業務活動を適用業務に登録する。そして、上記知識創造プロセスの抽出結果を知識創造プロセスに登録する。経験知識の名称は、好適には、調査対象者の回答から経験知を読み込み、既存の要約技術で要約した結果を登録してもよいし、ナレッジマネージメントを主管する担当者が登録・編集してもよい。
すなわち、図7に示す経験知識結果を始めとした図4〜図5に示す情報に基づいて、回答者名や回答日時、経験知識のタイトル(経験知識名称)、経験知の内容記述(得た経験知)、課題の記述、根拠の記述(理由)、状況の記述、結果の記述、リサイクル事例の記述(適用事例)、関連業務活動の記述(経験業務)、関連知識創造プロセスの記述(知識創造プロセス)、対象職種の記述、経験知活用時期(適用時期)、役に立った経験の記述(過去の重要な経験)、経験時の職種(経験職種)、経験時期等を含む情報が画面に提示される。
知識解析部13aによって行う、ある個人から他の個人へと経験知識が伝播する経路(経験知識伝播経路)の算出のアルゴリズムを、図19を参照して説明する。
まず、経験知識データベース12中に登録されている任意の経験知識抽出結果1と経験知識抽出結果2を取り出す。各経験知識を回答した調査対象ユーザの個人IDを回答IDより算出する。以下、経験知識1を回答した調査対象ユーザを個人1、経験知識2を回答した調査対象ユーザを個人2として説明する。
なお、さらに詳細に経験知識が一致するか否か検出する場合には、回答IDから経験知識の調査結果に記録されている経験知情報として記述されているテキストを既存の技術で意味解析して解析木を構成し、解析木の類似度を既存の技術で計算して、類似度の程度により一致性を判断してもよい。
一方の経験知識を回答した調査回答者が他方の経験知識の影響者情報になっている場合は、経験知識が伝播したと見なし、経験知識1、経験知識2、伝播期間からなる経験知識伝播データを作成する。例えば、個人1が個人2の得た経験知の影響者の場合、(経験知識1、経験知識2、2年)の経験知識伝播データが生成され、この情報は個人1の経験知識1が個人2の経験知識2に2年後に伝播したことを意味することとなる。なお、伝播期間の値は、経験知識1の抽出結果および経験知識2の調査結果(図6)にそれぞれ登録されている経験時期情報の差分を計算する。
そして、経験知識に登録されている経験時期情報の前後により、経験知識1と経験知識2がペアとなった順序リスト(経験知識伝播リスト)を作成する。例えば、個人1の経験知識が同組織期間より以前に獲得され、個人2の経験知が同組織期間内に獲得された場合には、(経験知識1、経験知識2、5ヶ月)で経験知識伝播データが生成される。
知識関係表示処理部13bは、上述の経験知識伝播データを接続し、図19に示すような有向グラフである経験知識伝播グラフを作成して、経験知識伝播経路をクライアント2またはサーバ1の表示装置5に画面表示する。
図19では、経験知識1が経験知識2に伝播し、さらに経験知識2が経験知識3および経験知識4に、また、経験知識5は経験知識6に伝播していることを表現している。なお、分かりやすさのため、ここでは経験知識伝播グラフを図式表現したが、マトリックスなどの数学的な表現として計算される。
例えば、経験知識kから到達可能な知識iまでの伝播速度vは、伝播木内で経験知識kから到達可能な知識iのノード総数をSとして、v=Σ{(経験知識kから知識iまでの距離)/(経験知識kから知識iまでのリンク数)}/S、として計算することができる。
なお、図20に示すように、企業や組織ごとの伝播速度平均を計算して、企業や組織の平均の経験知識伝達速度を算出して比較し、企業や組織の知識の伝播性を評価することもできる。
経験知識の抽出結果と対応する経験知識の調査結果を用いて、経験知識データベース12に登録されている経験知識は、図18に示したように、個々に画面表示することができる。
次いで、経験知識データベース12に登録されている経験知識全体を、ユーザの選択指示に応じた態様で俯瞰表示する経験知識マップと、マップ表示に必要となる処理を説明する。
図21は、知識マップ作成に知識創造プロセスと業務活動の2軸を選択して二元表示した例を示したものである。
表中の2/1の記述(211)は、業務活動「お客のニーズを特定する」かつ知識創造プロセス「共同化」に関わる経験知識が2件獲得され、1件適用されたことを表示している。また、矢印(210)は、業務活動「お客のニーズを特定する」かつ知識創造プロセス「共同化」に関わる経験知識として獲得された知識が、業務活動「内部リソース全般を管理する」として適用されたことを示す。
このような表示方法を利用することで、職種ごとの知識のリサイクル状況が簡単に俯瞰できる効果がある。
この例では、経験(獲得)と適用に関してセルの間に点線を引くことで区別して表示してある。なお、セルの背景の色やパターンを変化させることで、知識の経験(獲得)と適用とを区別してもよい。この他、図21、図22に示すように、業務活動(Business
Activity)や知識創造プロセスの分類ごとに経験知識の個数を算出して、提示してもよい。このように経験知識数を算出することで、調査対象ユーザがどんな種類の経験知識を経験から獲得し、それを適用しているか大局的に判断できる利点がある。
3:ネットワーク、 5:表示装置、
6:入力装置、 10:ウェブサーバ、
11:データ集計装置、 12:経験知識データベース、
13:経験知識処理部、 13a:知識解析部、
13b:知識関係表示処理部、 14:辞書データベース、
15:組織・個人データベース、
Claims (2)
- 過去の活動から得られた経験を知識創造プロセスにより知識に変換し、当該知識を新たな活動に適用する知識の再利用に関し、個人の経験に基づいた知識を管理する情報処理装置であって、
個人から、過去の活動から得られたと当該個人が考える経験を示す活動経験情報と、当該経験から得られたと当該個人が考える知識を示す経験知識情報と、当該知識を適用できると当該個人が考える活動を示す適用活動情報の入力をそれぞれテキスト形式で受け付ける受付手段と、
前記受付手段により受け付けられた活動経験情報のテキストの構文を解析し、当該解析結果と活動を定義する単語を登録した活動辞書とを比較し、活動辞書中の述語動詞のうち解析結果中の述語動詞と一致または類似するものを検出し、当該検出した述語動詞が表す活動と当該活動が属する分類との対応関係に基づいて前記経験した活動の分類を同定する第1の同定処理と、前記受付手段により受け付けられた経験知識情報及び適用活動情報のテキストの構文を解析し、当該解析の結果と経験を知識に変換する知識の創造過程を表す知識創造プロセスを定義する単語を登録した知識プロセス辞書とを比較し、知識プロセス辞書中の知識創造活動述語のうち解析結果中の述語動詞と一致または類似するものを検出し、当該検出した述語動詞が表す知識創造プロセスと当該知識創造プロセスが属する分類との対応関係に基づいて前記経験から得た知識の知識創造プロセスの分類を同定する第2の同定処理とを行う同定手段と、
前記受付手段により受け付けられた活動経験情報及び経験知識情報及び適用活動情報を、前記同定手段により同定された活動の分類及び知識創造プロセスの分類に関連付けて記憶するデータベースと、
を有することを特徴とする経験知識情報処理装置。 - 過去の活動から得られた経験を知識創造プロセスにより知識に変換し、当該知識を新たな活動に適用する知識の再利用に関し、個人の経験に基づいた知識の管理処理をコンピュータにより実行させるプログラムであって、
個人から、過去の活動から得られたと当該個人が考える経験を示す活動経験情報と、当該経験から得られたと当該個人が考える知識を示す経験知識情報と、当該知識を適用できると当該個人が考える活動を示す適用活動情報の入力をそれぞれテキスト形式で受け付ける受付機能と、
前記受付機能により受け付けられた活動経験情報のテキストの構文を解析し、当該解析結果と活動を定義する単語を登録した活動辞書とを比較し、活動辞書中の述語動詞のうち解析結果中の述語動詞と一致または類似するものを検出し、当該検出した述語動詞が表す活動と当該活動が属する分類との対応関係に基づいて前記経験した活動の分類を同定する第1の同定処理と、前記受付手段により受け付けられた経験知識情報及び適用活動情報のテキストの構文を解析し、当該解析の結果と経験を知識に変換する知識の創造過程を表す知識創造プロセスを定義する単語を登録した知識プロセス辞書とを比較し、知識プロセス辞書中の知識創造活動述語のうち解析結果中の述語動詞と一致または類似するものを検出し、当該検出した述語動詞が表す知識創造プロセスと当該知識創造プロセスが属する分類との対応関係に基づいて前記経験から得た知識の知識創造プロセスの分類を同定する第2の同定処理とを行う同定機能と、
前記受付機能により受け付けられた活動経験情報及び経験知識情報及び適用活動情報を、前記同定機能により同定された活動の分類及び知識創造プロセスの分類に関連付けて記憶するデータベースと、
を前記コンピュータに実現させるためのプログラム。
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