JP4425237B2 - モータ制御装置 - Google Patents

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本発明は、モータ制御装置に関し、特に、基準信号に追従して移動する移動体の位置または速度を制御するとき、基準信号が異常状態になったときでも、移動体が滑らかに、かつ安全に動作できるモータ制御装置に関するものである。
従来、トランスファプレスは、プレス機械および被加工物移送装置を備える。トランスファプレスは、独立した被加工物を被加工物移送装置で移送させながら、プレス機械で順次必要な加工を行う。つまり、トランスファプレスは、プレス機械のスライドと被加工物移送装置とが同期運転して、被加工物を加工する。通常、被加工物移送装置を駆動する駆動源である移送モータのモータ制御装置は、プレス機械の基準位置信号に基づいて生成した移送モータの位置指令と、移送モータに連結した移動体位置検出器による位置帰還信号とに基づいて、移送モータの位置および速度をフィードバック制御して、目標の位置および速度に制御する。ここで、基準位置信号は、プレス機械の駆動源であるプレスモータによって駆動されるスライドに連結したプレス位置検出器によって得られる。つまり、被加工物移送装置を構成する図1に示す被加工物移送ユニット31(本発明における「移動体」に相当する。)を目標の位置および速度に制御する。この基準位置信号が異常状態になったとき、トランスファプレスを非常停止状態としていた。
また、異常となった基準位置信号の代わりに、演算された指令値を用いて移送モータを制御していた。このとき、同一スキャン内での処理順序として、移送モータの最初のモータ位置および速度指令を出力した後に、異常検出時の処理を行っていた。
さらに、指令値自体が異常になって移動体が暴走した場合においても、暴走を検出し、かつ、移動体にダメージを与えないような安全な加速度で移動体を停止させることができるものとして、特許文献1に記載のものがある。
このモータ制御装置は、図12に示すように、1は移動体であるステージ、2はその駆動用モータ、3はモータ2を駆動するドライバ、4はステージ1の位置を計測するレーザ干渉計などの位置検出器、5は位置検出器4の出力に基づきステージ1の現在位置をカウントする現在位置カウンタ、6は上位のホストコンピュータ等から渡されるステージ1の目標位置を格納するレジスタである。13はMPUやDSP等のマイクロプロセッサであり、現在位置の情報をもとに、デジタル制御によりモータ2への指令値を計算して、ステージ1を目標位置へ制御するものである。9はこの指令値をアナログ電圧に変換してドライバ3へ出力するD/Aコンバータである。マイクロプロセッサ13は、図の破線内の各ブロックの機能をソフトウエアにより実現している。7は目標位置レジスタ6が出力する目標位置と位置カウンタ5が出力する現在位置とから位置偏差を算出する差分器、8は差分器7の出力に基づき通常の位置決め制御状態でのサーボ演算を行うサーボ演算ルーチン、12は位置カウンタ5が出力する現在位置に基づきステージ1の暴走時にステージ1を停止させるための緊急停止サーボ演算ルーチン、14はD/Aコンバータ9への出力を、通常サーボ演算ルーチン8または緊急停止サーボ演算ルーチン12へ切り替えるスイッチ、11は位置カウンタ5が出力する現在位置の変化から速度を求める微分ルーチン、10はこの現在位置と速度に基づいて常に暴走を監視し、暴走を検知すると、スイッチ14により、D/Aコンバータ9への出力を通常サーボ演算ルーチン8から緊急停止サーボ演算ルーチンへ切り替える暴走検知ルーチンである。
このとき、暴走検知ルーチン10は、次のような方法で暴走を検知する。ステージ1にとって許容される最大の加速度をaとする。ステージ1の現在位置をXとし、ステージ1が移動している方向のソフトリミットの位置をLとする。また、ステージ1の速度をVとする。暴走検知ルーチン10は、常にステージ1の現在位置Xと速度Vを監視しており、これらが式1を満たすようになったとき、つまり、ソフトリミット位置までに加速度aで停止できる速度を越えたとき、暴走を検知する。
V>√2a(L−X) (1)
特開平8−78506号公報
従来のモータ制御装置では、基準位置信号が異常状態になったとき、システムを非常停止状態としていた。しかし、プレスモータに慣性モーメントが大きいフライホイールを取り付けたプレス機械の場合、非常停止のモードに切り替えてもフライホイールを直ちに停止することができない。このため、被加工物搬送装置とプレス機械と間で干渉が発生するという問題が生じる虞がある。
また、異常となった基準位置信号の代わりに、演算された指令値を用いて移送モータを制御する場合、同一スキャン内での処理順序として、移送モータの最初のモータ位置および速度指令を出力した後に、異常検出時の処理を行っていた。このため、異常検出のスキャン時に移送モータに異常な基準指令が与えられ、それを使用して演算された移送モータの位置および速度指令に非連続な状態が発生するという問題が生じる虞がある。この問題を解決するためには、この処理順序を変更すること、すなわち、異常検出後に、移送モータに位置および速度指令を演算することにより、非連続な状態を避けることが望ましい。
さらに、特許文献1に示すように、指令値自体が異常となって移動体が暴走した場合、暴走検知ルーチン10によって緊急停止サーボ演算ルーチン12へ切り替えて移動体を停止させる。このため、例えば、長尺物を搬送させる移動体の場合には、製品が無駄になり製品の歩留まりを悪化させるという問題が生じる虞がある。
そこで、本発明は、基準信号が異常状態になっても、移動体を直ちに停止させないで目標の位置まで滑らかに、かつ安全に動作させることができるモータ制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、1つの基準信号に基づいて、1個または複数個の駆動手段が移動体を駆動して位置および速度を制御することにより、移動体を目標位置に位置決め制御するモータ制御装置において、基準信号に基づく経過時間に対する位置の指令信号であるライン基準位置指令を出力するライン基準位置指令器と、ライン基準位置指令が異常であるとき、または、ライン基準位置指令を時間微分して得られるライン基準速度指令が異常であるとき、異常信号を出力する異常検出器と、異常検出器により異常信号が出力されている場合に、ライン基準位置指令の代わりに、異常信号が出力される前のライン基準位置指令に基づいて推測した位置指令を擬似ライン基準位置指令として出力するライン基準指令制御器と、ライン基準位置指令または擬似ライン基準位置指令におけるライン基準位置に移動体の基準位置を対応させ、基準位置を目標位置として出力する移動体基準位置発生器と、を備え、ライン基準指令制御器が、異常検出器により異常信号が出力されていない場合に、ライン基準位置指令を格納し、異常信号が出力されている場合に、異常信号が出力される前に格納したライン基準位置指令に基づいて擬似ライン基準位置指令を推測し、擬似ライン基準位置指令を出力する擬似ライン基準位置指令発生器と、異常信号が出力されている場合に、ライン基準位置指令器により出力されたライン基準位置指令から、擬似ライン基準位置指令発生器により出力された擬似ライン基準位置指令へ切り替える第1の切替器と、異常検出器により異常信号が出力されていない場合に、ライン基準速度指令を格納し、異常信号が出力されている場合に、異常信号が出力される前に格納したライン基準速度指令を擬似ライン基準速度指令として出力する擬似ライン基準速度指令発生器と、異常信号が出力されている場合に、ライン基準速度指令から、擬似ライン基準速度指令発生器により出力された擬似ライン基準速度指令へ切り替える第2の切替器と、ライン基準速度指令または擬似ライン基準速度指令の大きさに、移動体の目標位置に位置決め制御する際の遅れ時間に対応する値を乗算し、ライン基準位置指令または擬似ライン基準位置指令の位相を進ませるための信号であって、ライン基準速度指令または擬似ライン基準速度指令の大きさに比例する位相補正信号を出力するライン基準位置補正器と
、位相補正信号と、第1の切替器により切り替えられるライン基準位置指令または擬似ライン基準位置指令とを加算し、新たなライン基準位置指令または疑似ライン基準位置指令として移動体基準位置発生器へ出力する加算器と、を備えることを特徴とする。
さらに、好適には、ライン基準位置指令または擬似ライン基準位置指令は、トランスファプレスのスライドの位置を規定するプレス位置指令信号であることを特徴とする。
さらに、好適には、移動体は、トランスファプレスの加工物を搬送する被加工物移送ユニットであることを特徴とする。
以上説明したように、本発明によれば、モータ制御装置は、基準信号が異常状態になっても、移動体を直ちに停止させないで、滑らかに、かつ安全に動作させることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
〔第1の実施の形態〕
〔構成〕
図1は、本発明に係るモータ制御装置をトランスファプレスに適用した場合の概念図である。トランスファプレス21は、例えば、図1に示すように、クランク式のサーボモータプレスであり、プレス機械22および被加工物移送装置30を備える。プレス機械22は、制御系として、プレスモータ33、プレス位置検出器34およびプレスモータ制御装置83を備える。プレス機械22は、交流または直流電動機であるプレスモータ33が回転すると、プレスモータ33の回転力が、動力伝達機構(図示せず)を介して、クランク軸28−1の回転軸(以下、クランク回転軸という。)Qに伝達し、さらにクランク軸28−1に連結し、かつ遥動する連結棒28−2を介して、スライド25をスライド案内部24に沿って往復運動させ、スライド25に固定された上型27と、ベッド部23上の下型26との間で被加工物32を加圧することにより、被加工物32を加工するものである。以下の説明を簡単にするため、プレスモータ33およびプレス位置検出器34は、クランク回転軸Qに直結し、またクランク回転軸Qは、プレスモータ33の回転による回転エネルギを蓄積する回転部材であるフライホイール29の回転軸と連結するものとする。
プレス位置検出器34は、クランク軸Qの位置を出力する検出器であり、例えばレゾルバである。レゾルバは、一般的に知られているように、サイン(Sine)波とコサイン(Cosine)波とからなるアナログ信号を出力し、このアナログ信号をA−D変換器(図示せず)に入力し、演算した結果により、得られるデジタル信号である角度信号、例えばクランク回転軸Qの1回転毎に、0度から360度まで繰り返す鋸波状信号(以下、基準信号Aという。)を検出する検出器である。(以下、断りが無い限り、プレス位置検出器34は、A−D変換器を含むものとする。)したがって、プレス位置検出器34による位置情報が分かれば、プレス用モータ33のロータの位置およびスライド25の位置が一義的に定まる。
図2は、本発明に係るモータ制御装置に入力する基準位置信号を生成するプレスモータ制御装置を示す概略制御ブロック図である。プレスモータ制御装置83は、図2に示すように、減算器58、速度制御器59、減算器60、電流制御器61および微分器62を備える。
プレスモータ制御装置83は、クランク回転軸Qの目標速度であるプレスモータ33のプレス速度指令信号Eと、プレス位置検出器34による基準信号Aの変化を微分器62により時間微分して、得られる実際の速度信号(以下、実速度信号という)とに基づいて、プレスモータ33を一定の速度に制御する制御装置である。図1および図2に示すように、速度指令器(図示せず)によるプレス速度指令信号Eと基準信号Aに基づく実速度信号とを減算器58に入力し、減算器58によって、プレス速度指令信号Eから実速度信号を減算し、演算の結果により、得られる速度偏差を速度制御器59に出力する。速度制御器59によって、速度偏差に速度ゲイン定数を乗算して、演算の結果により、得られるトルク指令に見合う電流指令値を減算器60に出力する。減算器60によって、電流指令値からプレスモータ33のモータ巻線に配設された電流センサに流れる実電流値K1を減算する。そして、演算の結果により、得られる電流偏差がゼロとなるように、電流制御器61によって、プレスモータ33を速度制御する。
これにより、プレスモータ制御装置83は、プレスモータ33の基準信号Aに基づく速度をプレス速度指令信号E(一定)になるように制御することができる。すなわち、プレスモータ制御装置83は、クランク回転軸Qの速度を目標速度(一定)になるように制御することができる。
したがって、基準信号Aが正常である場合、トランスファプレス21のように、プレスモータ33の回転に基づくスライド25の位置と、移送モータ37の回転に基づく被加工物移送ユニット30の位置とを同期させて運転する必要があるとき、プレスモータ33の回転によって出力するプレス位置検出器34による基準信号Aを、後述する被加工物移送ユニット31(移動体)の位置および速度の指令信号の基礎とすることができる。
次に、被加工物移送装置30は、図1に示すように、被加工物移送ユニット31、移送モータ37、移動体位置検出器38およびモータ制御装置39−1を備える。被加工物移送装置30は、その移送方法の観点から、フィード、クランプの二次元フィーダと、これにリフト機構が加わった三次元フィーダである。以下の説明を簡単にするため、図1に示すように、被加工物移送装置30が、1次元、例えばX軸方向のみに可動するものとする。
被加工物移送ユニット31は、被加工物32をX方向に移送するための被加工物積載機構部(図示せず)および送り機構部を備える。被加工物積載機構部は、被加工物32を積載する機構部である。送り機構部は、被加工物積載機構部をX方向に往復案内させる直線案内機構部(図示せず)と、移送モータ37の駆動力によって被加工物積載機構部を往復駆動させるための動力伝達機構部を備える。例えば、動力伝達機構部はピニオン歯車71およびこれに噛合うラック歯車70である。
移送モータ37は、直流または交流電動機であり、被加工物移送ユニット31をX方向に往復移送させるための駆動用モータである。移送モータ37は、ステータが、モータ取付部(図示せず)を介してベッド部23に固定され、また、ロータが、カップリング(図示せず)を介してベース部23に固定された軸受部(図示せず)に保持されたピニオン歯車71の回転軸と連結される。
移動体位置検出器38は、プレス位置検出器34と同様に、例えばレゾルバであり、サイン(Sine)波とコサイン(Cosine)波とからなるアナログ信号を出力し、このアナログ信号をA−D変換器(図示せず)に入力し、演算した結果により、得られるデジタル信号である角度信号、例えばピニオン歯車71の1回転毎に、0度から360度まで繰り返す鋸波状信号を検出する検出器である。移動体位置検出器38の回転軸は、カップリング(図示せず)を介して、ピニオン歯車71の回転軸と連結される。(以下、断りが無い限り、移動体位置検出器38は、A−D変換器を含むものとする。)
モータ制御装置39−1は、図1に示すように、演算機能を有するライン基準信号生成器40−1および移動体基準位置発生器41を有する演算部(CPU)84と、位置決め機能、速度機能およびトルク機能を有する移動体制御部42とを備える。モータ制御装置39−1は、プレス位置検出器34による基準信号Aと移動体位置検出器38による被加工物移送ユニット31の実位置である位置帰還信号Dとを入力し、基準信号Aに基づく基準位置指令信号Cから位置帰還信号Dを減算し、演算の結果により、得られる位置偏差を、例えば後述する図6に示すフィードバック制御方式に適用して、移送モータ37の位置および速度を目標の位置および速度に制御する制御装置である。
図3は、本発明に係るモータ制御装置におけるライン基準信号生成器を示す制御ブロック図である。図4は、本発明に係るモータ制御装置におけるライン基準位置指令信号および移動体の基準位置指令信号と経過時間との関係の一例を示す図である。図4(A)は、横軸が経過時間t、縦軸が基準信号Aに基づいて経過時間に対する角度変化を定めたライン基準位置指令信号Fであり、例えばクランク回転軸Qの回転角度θcをそれぞれ示す。すなわち、クランク軸28−1が回転し、クランク回転軸Qの回転角度θcが、経過時間ゼロから時間t1だけ経過すると、0度から360度まで漸増し、以下、時間t1だけ経過する毎に同様に、繰り返し変化することを示す。図4(B)は、横軸が経過時間t、縦軸が移動体の基準位置指令信号Cをそれぞれ示す。移動体の基準位置指令信号Cは、経過時間ゼロから時間t3だけ経過する間に、例えば5次関数に沿って変化し、その最大値をθ1とすると、時間t3からt4まで、最大値θ1を維持し、経過時間t4からt1まで、例えば5次関数に沿って漸減し、ゼロに到達する。これ以降は、必要に応じて、同様のサイクルで繰り返す。したがって、プレス機械22は、経過時間t3からt4までの範囲内において、被加工物移送ユニット31によって移送する被加工物32を加工する。
ライン基準信号生成器40−1は、図3に示すように、ライン基準位置指令器44、異常検出器82およびライン基準指令制御器46−1を備える。
ライン基準位置指令器44は、図1に示した基準信号Aを入力し、基準信号Aに基づいて経過時間に対するクランク回転軸Qの回転角θcで定めたライン基準位置指令信号Fを異常検出器82およびライン基準指令制御器46−1に出力する。ライン基準位置指令器44は、例えば、図4(A)に示すように、経過時間がゼロのとき、クランク回転軸Qの回転角度θcが0度であり、時間が経過するに従って、角度が漸増し、経過時間がt1のとき、360度であるライン基準位置指令信号Fを出力する指令器である。
異常検出器82は、ライン基準位置指令信号Fを入力し、角度360×Y度(Yは、0または正の整数を指す。)となる時間を除いて、ライン基準位置指令信号Fが出力されないとき、例えばレゾルバ自体に欠陥があって、ライン基準位置指令信号Fが全く出力されないとき、または、入力したライン基準位置指令信号Fを時間微分し、演算の結果により、得られる速度が許容速度を越えたとき、ライン基準位置指令信号Fが異常であると判断し、異常信号Hを第1の切替器50に出力する。
ライン基準指令制御器46−1は、擬似ライン基準位置指令発生器49および第1の切替器50を備える。ライン基準指令制御器46−1は、ライン基準位置指令信号Fを入力し、ライン基準位置指令信号Fまたは擬似ライン基準位置指令信号Gを信号B−1として移動体基準位置発生器41に出力する。
図5は、本発明に係るモータ制御装置におけるライン基準位置指令信号の異常発生とスキャンとのタイミングを示す図である。図5は、横軸が経過時間t、縦軸が異常検出器82に入力するライン基準位置指令信号Fの記憶を所定時間毎に実行する場合に、N回目のスキャン時まで正常であり、(N+1)回目のスキャン時に異常であることをそれぞれ示す。
擬似ライン基準位置指令発生器49は、図5に示すように、異常発生前(N回目、(N-1)回目および(N-2)回目に相当する。)のスキャン時のライン基準位置指令信号Fn、Fn-1およびFn-2を入力して記憶手段に格納し、これらの格納したライン基準位置指令信号Fn、Fn-1およびFn-2の情報に基づいて、ライン基準位置指令の変化分を演算し、演算の結果により、得られるライン基準位置指令の変化分に、N回目のスキャン時のライン基準位置指令を加算し、得られる(N+1)回目のスキャン時のライン基準位置指令を推測し、擬似ライン基準位置指令信号Gとして第1の切替器50に出力する。ライン基準位置指令信号Fおよび擬似ライン基準位置指令信号Gは、トランスファプレス21におけるプレス機械22のスライド25の位置を規定するプレス位置指令信号として機能する。
図3に戻って、第1の切替器50は、ライン基準位置指令器44によるライン基準位置指令信号Fと、擬似ライン基準位置指令発生器49による擬似ライン基準位置指令信号Gとを入力し、異常信号Hの有無によって、ライン基準位置指令信号Fまたは擬似ライン基準位置指令信号Gを信号B−1として移動体基準位置発生器41に出力する。すなわち、異常信号Hが無いとき、ライン基準位置指令信号Fを移動体基準位置発生器41に出力し、異常信号Hが有るとき、ライン基準位置指令信号Fから擬似ライン基準位置指令信号Gへ切替えて、擬似ライン基準位置指令信号Gを移動体基準位置発生器41に出力する。
図1に戻って、移動体基準位置発生器41は、被加工物移送ユニット31を駆動する移送モータ37の基準位置指令信号Cを設定する指令器である。すなわち、異常信号Hが無いとき、ライン基準位置指令信号Fを入力し、異常信号Hが有るとき、擬似ライン基準位置指令信号Gを入力し、ライン基準位置指令信号Fまたは擬似ライン基準位置指令信号Gに同期して対応させた被加工物移送ユニット31の位置、例えば、図4(B)に示した経過時間tに対する移動体の基準位置指令信号Cを移動体制御部42に出力する。
図6は、本発明に係るモータ制御装置における移動体制御部を示す制御ブロック図である。図6は、図2と同一の機能について、同一の符号を付けて表す。
移動体制御部42は、図6に示すように、一般的に知られた位置および速度のフィードバック制御方式のモータ制御部である。すなわち、移動体制御部42は、減算器56、位置制御器57およびプレスモータ制御装置83*(ただし、図2に示したプレスモータ制御装置83における速度指令信号Eの代わりに、速度指令信号Sを置換した制御装置である。)を備える。
減算器56は、移動体基準位置発生器41による基準位置指令信号Cと、被加工物移送ユニット31の実位置を検出する移動体位置検出器38による位置帰還信号Dとを入力し、位置指令信号Cと位置帰還信号Dとの位置偏差ΔXを演算し、演算の結果により、得られる位置偏差ΔXを位置制御器57に出力する。位置制御器57は、位置偏差ΔXを入力し、位置偏差ΔXに位置ゲイン定数を乗算し、演算の結果により、得られる速度指令信号Sを減算器58に出力する。減算器58は、速度指令信号Sと、移動体位置検出器38による位置帰還信号Dを微分器(図示せず)によって時間微分し、演算の結果により、得られる速度帰還信号Jとを入力し、速度指令信号Sから速度帰還信号Jを減算し、演算の結果により、得られる速度偏差を速度制御器59に出力する。速度制御器59は、前記速度偏差を入力し、速度偏差に速度ゲイン定数を乗算し、演算の結果により、得られるトルク指令を減算器60に出力する。減算器60は、前記トルク指令に見合う電流指令信号と、移送モータ37のモータ巻線の配線経路に接続した電流センサ(図示せず)に流れる実電流である電流帰還信号K2とを入力し、電流指令信号から電流帰還信号K2を減算し、演算の結果により、得られる電流偏差を電流制御器61に出力する。電流制御器61は、前記電流偏差がゼロとなるように、移送モータ37の位置および速度を制御する。
これにより、モータ制御装置39−1は、ライン基準位置指令信号Fまたは擬似ライン基準位置指令信号Gに基づいて、設定された移送モータ37の基準位置指令信号Cと、移動体位置検出器38による帰還位置信号Dとを入力し、基準位置指令信号Cから帰還位置信号Dを減算し、演算の結果により、得られる位置偏差がゼロとなるように、移送モータ31の位置および速度を制御するので、被加工物移送ユニット31を目標位置および速度に制御することができる。
〔動作〕
次に、本発明に係るモータ制御装置39−1の動作について説明する。
先ず、モータ制御装置39−1の概略的な動作について説明する。モータ制御装置39−1は、図1に示すように、基準位置である基準信号Aがライン基準信号生成器40−1に入力すると、ライン基準信号生成器40−1によって、図3に示したライン基準位置信号Fまたは擬似ライン基準位置指令信号Gを移動体基準位置発生器41に出力する。ライン基準位置信号Fまたは擬似ライン基準位置指令信号Gが移動体基準位置発生器41に入力すると、移動体基準位置発生器41によって、移動体である被加工物移送ユニット31の目標位置とする基準位置指令信号Cを移動体制御部42に出力する。基準位置指令信号Cと、移動体位置検出器38による位置帰還信号Dとが移動体制御部42に入力すると、移動体制御部42によって、基準位置指令信号Cから位置帰還信号Dを減算し、演算の結果により、得られる位置偏差がゼロとなるように、移送モータ37の位置および速度を制御する。
次に、ライン基準信号生成器40−1の動作について説明する。
ライン基準信号生成器40−1は、図3に示すように、基準信号Aがライン基準位置指令器44に入力すると、ライン基準位置指令器44によって、図4(A)に示した鋸刃状信号であるライン基準位置指令信号Fを第1の切替器50、異常検出器82および擬似ライン基準位置指令発生器49に出力する。そして、異常信号Hが無いとき、第1の切替器50によって、ライン基準位置指令信号Fを移動体基準位置発生器41に出力する。また、異常信号Hが有るとき、第1の切替器50によって、ライン基準位置指令信号Fを擬似ライン基準位置指令発生器49による擬似ライン基準位置指令信号Gへ切替えて、擬似ライン基準位置指令信号Gを移動体基準位置発生器41に出力する。
図7は、本発明に係るモータ制御装置における擬似ライン基準位置指令信号の生成手順を示すフローチャートである。この場合、ライン基準位置指令信号Fが、N回目のスキャン時まで正常であり、(N+1)回目のスキャン時に異常であるものとする。
擬似ライン基準位置指令発生器49は、プレス位置検出器34による位置または速度の検出信号に異常が発生したか否か判断する。すなわち、異常信号Hが有るか否か判断する(S−11)。異常信号Hが無いとき、予め、N回目のスキャン時のライン基準位置指令信号Fnを格納する(S−12)。(N−1)回目のスキャン時のライン基準位置指令信号Fn-1を格納する(S−13)。(N−2)回目のスキャン時のライン基準位置指令Fn-2を格納する(S−14)。N回目のスキャン時のライン基準位置指令信号Fnから、(N―1)回目のスキャン時のライン基準位置指令信号Fn-1を減算し、演算の結果により、得られる位置偏差Fn−Fn-1を時間微分し、演算の結果により、得られるN回目のスキャン時のライン基準速度指令信号を格納する(S−15)。(N−1)回目のスキャン時のライン基準位置指令信号Fn-1から、(N―2)回目のスキャン時のライン基準位置指令信号Fn-2を減算し、演算の結果により、得られる位置偏差Fn-1−Fn-2を時間微分し、演算の結果により、得られる(N−1)回目のスキャン時のライン基準速度指令信号を格納する(S−16)。
次に、異常信号Hが有るとき、すなわち、(N+1)回目のスキャン時に異常が発生するとき、N回目のスキャン時のライン基準位置指令信号Fnに、(N−1)回目のスキャン時のライン基準速度指令と、N回目のスキャン時のライン基準速度指令とから演算されるライン基準位置指令の変化分を加えて、演算の結果により、得られる(N+1)回目のスキャン時のライン基準位置指令信号Fを推測し、擬似ライン基準位置指令信号Gとして出力する(S−17)。プレスモータ33の目標位置まで擬似ライン基準位置指令信号Gが到達したか否か判断する(S−18)。擬似ライン基準位置指令信号Gがプレスモータ33の目標位置まで到達する場合、到達完了信号を出力し、終了する(S−19)。擬似ライン基準位置指令信号Gがプレスモータ33の目標位置まで到達しない場合、(N+1)回目のスキャンが終了した後、(N+2)回目以降の手順として、手順(S−11)から再度開始し、前記手順を繰り返す。
これにより、異常信号Hが無いとき、ライン基準位置指令信号Fを移動体基準位置発生器41に出力し、異常信号Hが有るとき、ライン基準位置指令信号Fの代わりに擬似ライン基準位置指令信号Gを移動体基準位置発生器41に出力する。すなわち、擬似ライン基準位置指令発生器49は、基準信号Aが異常であるとき、または基準信号Aに基づく速度信号が異常であるときでも、言い換えると、ライン基準位置指令信号Fまたはライン基準位置指令信号Fに基づく速度信号が異常であるときでも、異常発生前のライン基準位置指令信号Fの情報に基づいて推測した位置指令である擬似ライン基準位置指令信号Gを、ライン基準位置指令信号Fの代わりに移動体基準位置発生器41に出力する。したがって、移送モータ37の位置および速度を目標の位置および速度に制御することができる。
〔第2の実施の形態〕
〔構成〕
他のモータ制御装置39−2(図示せず)は、図1に示したモータ制御装置39−1のライン基準信号生成器40−1の代わりに、ライン基準信号生成器40−2を置換したものである。
図8は、本発明に係るモータ制御装置における他のライン基準信号生成器を示す制御ブロック図である。図8において、図3と同一の機能について、図3と同一の符号を付して表す。
ライン基準信号生成器40−2は、図3に示したものと同じ構成のライン基準信号生成器40−1、およびプレス速度−位相補正器81を備える。ここで、ライン基準生成器40−2において、ライン基準指令制御器46−2は、図3に示したライン基準指令制御器46−1に対応しているが、ライン基準指令制御器46−1に比べて機能が拡張されている。プレス速度−位相補正器81は、微分器45、フィルタ回路51、擬似ライン基準速度指令発生器53、第2の切替器52、ライン基準位置補正器47および加算器48を備える。ライン基準信号生成器40−1は、前述したので、説明を省略する。
プレス速度−位相補正器81の微分器45は、ライン基準位置指令信号Fを入力し、ライン基準位置指令信号Fを時間微分し、演算の結果により、得られるライン基準速度指令信号Mをフィルタ回路51に出力する。フィルタ回路51は、ライン基準速度指令信号Mを入力し、ライン基準速度指令信号Mに基づく平均速度を演算し、得られるライン基準平均速度指令信号Nを擬似ライン基準速度指令発生器53および第2の切替器52に出力する。
擬似ライン基準速度指令発生器53は、フィルタ回路51によるライン基準平均速度指令信号Nを入力し、予め、異常信号Hが無いとき、N回目のスキャン時のライン基準平均速度指令信号NをN回目の擬似ライン基準速度指令信号として常時格納し、異常信号Hが有るとき、異常信号Hが出力される前に格納したN回目のスキャン時のライン基準平均速度指令信号Nを(N+1)回目の擬似ライン基準速度指令信号として第2の切替器52に出力する。第2の切替器52は、フィルタ回路51によるライン基準平均速度指令信号Nと、擬似ライン基準速度指令発生器53による擬似ライン基準平均速度指令信号Rとを入力し、異常信号Hが無いとき、ライン基準平均速度指令信号Nをライン基準位置補正器47に出力し、また異常信号Hが有るとき、擬似ライン基準平均速度指令信号Rをライン基準位置補正器47に出力する。
図9は、本発明に係るモータ制御装置におけるライン基準速度指令信号または擬似ライン基準速度指令信号と進角との関係の一例を示す図である。横軸はモータ制御装置39−2におけるライン基準速度指令値〔M〕(以下、〔〕は信号のレベルを示す。例えば信号Mのレベルは〔M〕で表す。)または擬似ライン基準速度指令値〔R〕、縦軸はプレスモータ33の位相、すなわち、ライン基準位置指令信号Fまたは擬似ライン基準位置指令信号Gの位相を進める角度(以下、進角という。)φ*をそれぞれ示す。ここで、φ*は、ライン基準速度指令値〔M〕または擬似ライン基準速度指令値〔R〕に、移送モータ37側の応答時間遅れδを乗算し、得られる角度とする。
図8に戻って、ライン基準位置補正器47は、ライン基準平均速度指令信号Nまたは擬似ライン基準平均速度指令信号Rを入力し、ライン基準平均速度指令信号Nまたは擬似ライン基準平均速度指令信号Rの大きさに応じて、ライン基準位置指令信号Fまたは擬似ライン基準位置指令信号Gの位相を進ませるように、位相補正する位相補正信号Qを加算器48に出力する。ここで、位相補正〔Q〕は、図9に示す進角φ*に相当する。加算器48は、ライン基準位置指令信号Fまたは擬似ライン基準位置指令信号Gと、ライン基準位置補正器47による位相補正信号Qとを入力し、ライン基準位置指令信号Fまたは擬似ライン基準位置指令信号Gと、位相補正信号Qとを加算し、演算の結果により、得られるライン基準位置補正済み指令信号または擬似ライン基準位置補正済み指令信号B−2を移動体基準位置発生器41に出力する。
〔動作〕
本発明に係る他のモータ制御装置39−2の動作について説明する。
先ず、ライン基準信号生成器40−2の動作について説明する。ライン基準信号生成器40−2は、図3に示したライン基準信号生成器40−1の機能に、ライン基準平均速度指令信号Nまたは擬似ライン基準平均速度指令信号Rの大きさに応じて、ライン基準位置指令信号Fまたは擬似ライン基準位置指令信号Gの位相を進ませるように、位相補正するプレス速度−位相補正器81の機能を加えて、ライン基準位置補正済み指令信号または擬似ライン基準位置補正済み指令信号B−2として移動体基準位置発生器41に出力する。
次に、プレス速度−位相補正器81の動作について説明する。異常信号Hが無いとき、図8に示すように、ライン基準位置指令器44によるライン基準位置指令信号Fが微分器45に入力すると、微分器45によって、ライン基準位置指令信号Fを時間微分して、演算の結果により、得られるライン基準速度指令信号Mをフィルタ回路51に出力する。ライン基準速度指令信号Mがフィルタ回路51に入力すると、フィルタ回路51によって、例えばW回分のスキャンで得られるライン基準速度指令信号の累積和をW回で算術平均して、求めたN回目のライン基準平均速度指令信号Nを第2の切替器52を経由して、ライン基準位置補正器47に出力する。
この場合、ライン基準速度指令信号Mの中に外乱による速度変動が存在するときでも、モータ制御装置39−2として許容速度範囲内であれば、必ずしもフィルタ回路51を備える必要がない。そこで、以下に示すように、ライン基準平均速度指令信号Nをライン基準速度指令信号Mに置換しても、本発明は、本質的に矛盾を生じない。ライン基準速度指令信号Mがライン基準位置補正器47に入力すると、ライン基準位置補正器47によって、ライン基準速度指令信号Mの大きさ〔M〕に応じて、例えば図9に示すように、進角φ*である位相補正〔Q〕を加算器48に出力する。さらに、ライン基準位置指令信号Fと位相補正信号Qとが、加算器48に入力すると、加算器48によって、ライン基準位置信号Fと位相補正信号Qとを加算し、演算の結果により、得られるライン基準位置補正済み信号B−2を移動体基準位置発生器41に出力する。
また、異常信号Hが有るとき、第2の切替器52をフィルタ回路51側から擬似ライン基準速度指令発生器53側に切り替える。フィルタ回路51を備えていない場合は、ライン基準速度指令信号Mが擬似ライン基準速度指令発生器53に入力すると、擬似ライン基準速度指令発生器53によって、擬似ライン基準速度指令信号Rを生成し、切替器52によって、擬似ライン基準速度指令信号Rをライン基準位置補正器47に出力する。
次に、擬似ライン基準速度指令信号Rを生成する手順について説明する。図10は、本発明に係る他のモータ制御装置における擬似ライン基準速度指令信号の生成手順を示すフローチャートである。この生成手順は、フィルタ回路51を備えていない場合を示している。まず、異常が発生したか否か判断する(S−1)。異常信号Hが無いとき、N回目のスキャン時のライン基準速度指令信号Mnを擬似ライン基準速度指令信号Rとして常時、格納する(S−2)。異常信号Hが有るとき、すなわち、(N+1)回目のスキャン時に異常が発生するとき異常が発生する直前のスキャン時であるN回目のスキャン時に格納したライン基準速度指令信号を(N+1)回目の擬似ライン基準速度指令信号として出力する(S−3)。
これにより、異常信号Hが有るとき、ライン基準速度指令信号Mの代わりに、N回目のスキャン時のライン基準速度指令信号を(N+1)回目の擬似ライン基準速度指令信号Rとして、ライン基準位置補正器47に出力することができる。
図11は、本発明に係る他のモータ制御装置におけるライン基準位置指令信号、移動体の位置信号および移動体の速度信号と経過時間との関係の一例を示す図である。図11(A)は、横軸が経過時間t、縦軸がライン基準位置指令信号Fであるクランク回転軸Qの回転角θcをそれぞれ示す。また破線がライン基準位置指令信号、実線がライン基準位置指令信号の位相をφだけ進めた補正後のライン基準位置指令信号をそれぞれ示す。φとφ*との関係は、φ=φ*/(〔M〕または〔R〕)であるから、φ=δに相当する。ここで、θ2は、経過時間tnにおけるライン基準位置指令値を示す。
図11(B)は、横軸が経過時間t、縦軸が移動体の位置信号であるピニオン歯車71の回転角度θfをそれぞれ示す。また破線が移動体の位置指令信号、実線が移動体の実際の位置信号をそれぞれ示す。位置指令信号について、移動体の位置指令が、経過時間ゼロから時間t3まで変化するとき、例えば5次曲線に沿って変化し、最大値θ3とし、さらに、時間t4までθ3を維持し、時間t4から例えば5次曲線に沿って徐々に減少しはじめ、時間t1のときゼロとする。δは、移動体の位置指令信号に対する実際の位置信号の応答遅れを示す。
図11(C)は、横軸が経過時間t、縦軸が移動体の速度に相当するピニオン歯車71の回転速度ωfをそれぞれ示す。ここで、破線は移動体の速度指令信号、実線は移動体の実際の速度信号をそれぞれ示す。クランク回転軸Qの回転角が、経過時間ゼロから時間t1まで経過する間に0度から360度まで変化するとき、移動体の速度指令が、経過時間ゼロのとき速度ゼロであり、速度ゼロから徐々に上昇し、時間t5のとき最大速度ω1であり、その後、4次曲線に沿って漸減し、時間t3のときゼロであり、時間t4まで速度ゼロを維持し、時間t4から逆転し、例えば4次曲線に沿って徐々に漸増し、時間t6のとき最大速度マイナスω1に到達し、その後、漸減し、時間t1においてゼロとなる。以上の説明は、1サイクル分であるが、さらに移動体を動作させる必要があるとき、以上説明した変化を繰り返す。
移動体基準位置発生器41による基準位置指令信号Cと、移動体位置検出器38による位置帰還信号Dとが、図6に示した移動体制御部42に入力すると、基準位置指令信号Cから位置帰還信号Dを減算し、演算の結果により、得られる位置偏差に基づいて位置および速度を制御し、移動体の位置および速度を目標の位置および速度に制御する。この場合、移動体の位置が目標の位置に制御できるが、移動体の実際の位置信号は、図11(B)の実線で示すように、移動体の位置指令信号に対し、応答がδだけ遅れるという問題が生じる虞がある。何故ならば、実際の位置信号が、移動体の機械的な慣性および移動体の位置および速度を制御するための制御系回路の時間的遅れにより、任意の時間tnにおける位置指令θ4に対し、δだけ遅れるからである。
次に、ライン基準速度指令または擬似ライン基準速度指令の値に応じて定めた進角φ*をライン基準位置指令信号または擬似ライン基準位置指令信号に加算した基準位置補正済み指令信号B−2を移動体基準位置発生器41に出力する。すなわち、移動体の制御系の遅れδに、ライン基準速度指令値[M]または擬似ライン基準速度指令値[R]を乗算し、得られる値にライン基準位置指令信号Fまたは擬似ライン基準位置指令信号Gを加算し、演算の結果により、得られる基準位置補正済み指令信号B−2を移動体基準位置発生器41に出力する。
基準位置補正済み指令信号B−2が移動体基準位置発生器41に入力すると、基準位置補正済み指令信号B−2に従って、元の移動体基準位置信号Cを補正した新たな移動体基準位置信号C*を移動体制御部42に出力する。
新たな移動体基準位置信号C*と、移動体位置検出器38による位置帰還信号Dとが、移動体制御部42に入力すると、図6に示した移動体制御部42の移動体位置指令信号Cの代わりに、新たな移動体位置指令信号C*を置換し、新たな移動体位置指令信号C*から位置帰還信号Dを減算し、演算の結果により、得られる位置偏差に基づいて位置および速度を制御し、移動体の位置および速度を目標の位置および速度に制御する。これにより、移動体の実際の位置が、図11(B)の破線で示す移動体の位置指令信号と一致する。
以上により、本発明によれば、基準信号Aに基づくライン基準位置指令信号Fまたはライン基準位置指令信号Fを微分して得られた速度信号が異常状態になったとき、すなわち、異常検出器82による異常信号Hが有るとき、ライン基準位置指令信号Fの代わりに、異常発生前のライン基準位置指令信号Fの情報に基づいて推測した位置指令を擬似ライン基準位置指令信号Gとして出力し、擬似ライン基準位置指令信号Gに基づいて定めた移動体への基準位置指令信号Cと、位置帰還信号Dとから移送モータの位置および速度を目標の位置および速度に制御することにより、移動体を直ちに停止させないで、滑らかに、かつ安全に動作させることができる。
さらに、ライン基準速度指令信号Mに応じて、ライン基準位置指令信号Fの位相を早めるために位相補正を施し、移送モータ37の位置および速度を目標の位置および速度に制御することにより、移送モータ37への位置指令信号に対する移送モータ37の実位置の応答性を向上させることができる。つまり、移動体への制御の応答性を向上させることができる。
以上説明した実施の形態は、1軸(X軸)の場合に適用した例であるが、本発明は、これに限定されること無く、1軸だけでなく2軸(XおよびY軸)さらに3軸(X、YおよびZ軸)の移動体の場合についても同様に適用することができる。3軸の移動体の場合は、移動体基準位置発生器41、移動体制御部42、移動体位置検出器38および移送モータ37が、Y軸およびZ軸用にそれぞれ配設することによって、基準信号Aに基づいて定めたX、YおよびZ軸の位置および速度指令信号と、各軸の位置検出器による位置帰還信号とに基づいて、各軸の移動体の位置および速度を目標の位置および速度に制御することができる。
また、以上説明した実施の形態は、トランスファプレスに適用した例であるが、本発明は、これに限定されること無く、例えば1つの基準信号に基づいて、1個または複数個の駆動手段により移動体の位置および速度を制御して、移動体を目標位置に位置決め制御する装置であれば、適用することができる。
また、以上説明した実施の形態は、回転型電動機に適用した例であるが、本発明は、これに限定されること無く、リニア型電動機についても適用することができる。
本発明に係るモータ制御装置をトランスファプレスに適用した場合の概念図である。 本発明に係るモータ制御装置に入力する基準位置信号を生成するプレスモータ制御装置を示す概略制御ブロック図である。 本発明に係るモータ制御装置におけるライン基準信号生成器を示す制御ブロック図である。 本発明に係るモータ制御装置におけるライン基準位置指令信号および移動体の基準位置指令信号と経過時間との関係の一例を示す図である。 本発明に係るモータ制御装置におけるライン基準位置指令信号の異常発生とスキャンとのタイミングを示す図である。 本発明に係るモータ制御装置における移動体制御部を示す制御ブロック図である。 本発明に係るモータ制御装置における擬似ライン基準位置指令信号の生成手順を示すフローチャートである。 本発明に係るモータ制御装置における他のライン基準信号生成器を示す制御ブロック図である。 本発明に係るモータ制御装置におけるライン基準速度指令信号または擬似ライン基準速度指令信号と進角との関係の一例を示す図である。 本発明に係るモータ制御装置における擬似ライン基準速度指令信号の生成手順を示すフローチャートである。 本発明に係るモータ制御装置におけるライン基準位置指令信号、移動体の位置信号および移動体の速度信号と経過時間との関係の一例を示す図である。 従来のモータ制御装置を示す制御ブロック図である。
符号の説明
1 ステージ
2 モータ
3 ドライバ
4 位置検出器
5 位置カウンタ
6 目標位置レジスタ
7 差分器
8 通常サーボルーチン
9 D/Aコンバータ
10 暴走検知ルーチン
11 微分ルーチン
12 緊急停止サーボルーチン
13 マイクロプロセッサ
14 サーボ切り換えスイッチ
21 トランスファプレス
22 プレス機械
23 ベッド部
24 スライド案内部
25 スライド
26 下型
27 上型
28−1 クランク軸
28−2 連結棒
29 フライホイール
30 被加工物移送装置
31 被加工物移送ユニット(移動体)
32 被加工物
33 プレスモータ
34 プレス位置検出器
37 移送モータ
38 移動体位置検出器
39−1、39−2 モータ制御装置
40−1、40−2 ライン基準信号生成器
41 移動体基準位置発生器
42 移動体制御部
44 ライン基準位置指令器
45 微分器
46−1、46−2 ライン基準指令制御器
47 ライン基準位置補正器
48 加算器
49 擬似ライン基準位置指令発生器
50 第1の切替器
51 フィルタ回路
52 第2の切替器
53 擬似ライン基準速度指令発生器
56、58、60 減算器
57 位置制御器
59 速度制御器
61 電流制御器
62 微分器
70 ラック歯車
71 ピニオン歯車
81 プレス速度−位相補正器
82 異常検出器
83 プレスモータ制御装置
84 演算部(CPU)
A 基準信号
B ライン基準位置指令信号、擬似ライン基準位置指令信号、ライン基準位置補正済み指令信号または擬似ライン基準位置補正済み指令信号
C 移動体の基準位置指令信号
D 移動体の位置帰還信号
E プレス速度指令信号
F ライン基準位置指令信号
G 擬似ライン基準位置指令信号
H 異常信号
J 速度帰還信号
K2 電流帰還信号
M ライン基準速度指令信号
R 擬似ライン基準速度指令信号
Q 位相補正信号

Claims (3)

  1. 1つの基準信号に基づいて、1個または複数個の駆動手段が移動体を駆動して位置および速度を制御することにより、前記移動体を目標位置に位置決め制御するモータ制御装置において、
    前記基準信号に基づく経過時間に対する位置の指令信号であるライン基準位置指令を出力するライン基準位置指令器と、
    前記ライン基準位置指令が異常であるとき、または、前記ライン基準位置指令を時間微分して得られるライン基準速度指令が異常であるとき、異常信号を出力する異常検出器と、
    前記異常検出器により異常信号が出力されている場合に、前記ライン基準位置指令の代わりに、異常信号が出力される前のライン基準位置指令に基づいて推測した位置指令を擬似ライン基準位置指令として出力するライン基準指令制御器と、
    前記ライン基準位置指令または擬似ライン基準位置指令におけるライン基準位置に前記移動体の基準位置を対応させ、該基準位置を目標位置として出力する移動体基準位置発生器と、を備え、
    前記ライン基準指令制御器は、
    前記異常検出器により異常信号が出力されていない場合に、前記ライン基準位置指令を格納し、前記異常信号が出力されている場合に、異常信号が出力される前に格納したライン基準位置指令に基づいて擬似ライン基準位置指令を推測し、該擬似ライン基準位置指令を出力する擬似ライン基準位置指令発生器と、
    前記異常信号が出力されている場合に、前記ライン基準位置指令器により出力されたライン基準位置指令から、前記擬似ライン基準位置指令発生器により出力された擬似ライン基準位置指令へ切り替える第1の切替器と、
    前記異常検出器により異常信号が出力されていない場合に、前記ライン基準速度指令を格納し、前記異常信号が出力されている場合に、異常信号が出力される前に格納したライン基準速度指令を擬似ライン基準速度指令として出力する擬似ライン基準速度指令発生器と、
    前記異常信号が出力されている場合に、前記ライン基準速度指令から、前記擬似ライン基準速度指令発生器により出力された擬似ライン基準速度指令へ切り替える第2の切替器と、
    前記ライン基準速度指令または擬似ライン基準速度指令の大きさに、前記移動体の目標位置に位置決め制御する際の遅れ時間に対応する値を乗算し、前記ライン基準位置指令または擬似ライン基準位置指令の位相を進ませるための信号であって、前記ライン基準速度指令または擬似ライン基準速度指令の大きさに比例する位相補正信号を出力するライン基準位置補正器と、
    前記位相補正信号と、第1の切替器により切り替えられるライン基準位置指令または擬似ライン基準位置指令とを加算し、新たなライン基準位置指令または疑似ライン基準位置指令として前記移動体基準位置発生器へ出力する加算器と、
    を備えることを特徴とするモータ制御装置。
  2. 前記ライン基準位置指令または擬似ライン基準位置指令は、トランスファプレスのスライドの位置を規定するプレス位置指令信号であることを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 前記移動体は、前記トランスファプレスの加工物を搬送する被加工物移送ユニットであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のモータ制御装置。
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