JP4423103B2 - 有機エレクトロルミネッセンス発光装置 - Google Patents
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Description
古典論的な屈折の法則(スネルの法則)による計算では、発光層の屈折率をnとすると、発生した光が外部に取り出される光取り出し効率ηは、η=1/2n2 で近似される。仮に発光層の屈折率が1.7である場合、η≒17%程度となり、80%以上の光は導波光として素子側面方向の損失光として失われていることになる。前述したような3重項励起子を利用したとしても20%程度しか取り出すことができない。言い換えると、取り出し効率が改善されれば、飛躍的に効率を向上できる余地があることになる。
たとえば、基板表面に凹凸構造を設けたもの(特許文献2参照)、基板における光取り出し側をレンズ構造としたもの(特許文献3参照)、EL素子自体に立体構造や傾斜面を形成したもの(特許文献4参照)、EL素子内に回析格子を形成したもの(特許文献5参照)がそれぞれ開示されている。このほかにも、基板の形状を物理的に変化させ、EL素子内部に閉じ込まれた導波光を取り出す試みは、多数なされている。
そのような中で、導波光を用いて光の取り出し効率を上げるものが開示されている(特許文献6参照)。また、導波光を発光装置におけるアプリケーションについて説明したものもある(特許文献7参照)。
さらに、線光源および点光源として様々な用途が示されている導波光を活用できる発光装置の可能性や応用例が案出されている(特許文献6、7参照)。
通常、発光層3における電子輸送性発光層4の厚さは、数十〜百数十nmであり、可視光波長のオーダーである。このため、最終的に外部に出射する光は干渉を起こし、発光領域Pと反射性電極2との距離dにより強め合ったり弱め合ったりする。
発光光が外部に出射されるまでの様子を、図6を用いて、説明する。発光層3の屈折率を1.7、ITOからなる透明電極1の屈折率を1.9、支持基板6としてのガラス基板の屈折率を1.52、空気層の屈折率を1と仮定して、説明する。
しかし、透明電極1に入射した光は、発光層3の屈折率が支持基板6(ガラス基板)の屈折率よりも高いため、臨界角が存在する。よって、臨界角以上の伝送角を持つ光は、透明電極1と支持基板6の界面で全反射され、素子内部に閉じ込められる。さらに、支持基板6に入った光は、空気との界面で全反射され、素子内部に閉じ込まれる。これらの割合を立体角を考慮して計算すると、支持基板6/空気界面で反射される光が約35%で、透明電極1と支持基板6との界面で反射される光が約45%となる。
ここで、一般的に、発光層3は、支持基板6に比べて厚さが著しく小さいことから、透明電極1と支持基板6との界面で反射される光は、導波光として厚さ方向と直交する方向の端面10aに取り出されるまでの反射回数が多くなり、反射性電極2での吸収により発光強度が大きく減衰してしまうという問題がある。
図6に示すように、屈折率が高い物質から低い物質へ光が透過しようとするときに、ある入射角以上(臨界角)で全反射が生じる現象である。実際には、反射性電極2に向かう発光光も存在するが、図6では、省略している。
これに対して、本発明者らは、通常は導波光として素子内部に閉じ込められる広角度成分の光を強め合うように素子構成を決定し、大部分の光量が導波光として増幅した上で、素子の厚さ方向と直交する方向の面での端面発光をさせるようにすると、従来の方法に比べ、発光効率を大幅に高められることを見出した。
また、本発明者らは、さらに検討を加え、有機EL素子を上記のように構成して端面発光を取り出すにあたり、透明電極の表面側に光反射面を設けたり、発光層からの光が出射するまでのいずれかの領域に光の反射・屈折角に乱れを生じさせる領域を設けることで、導波光の取り出し効率をより一段と高められることもわかった。
すなわち、本発明は、少なくとも1層の有機薄膜層からなる発光層を透明電極と反射性電極とで挟持した有機EL素子を備えた有機EL発光装置において、発光層における正孔と電子の再結合発光領域の中心部と反射性電極との間の距離をd〔nm〕、発光層に用いている材料の蛍光発光スペクトルのピーク波長をλ〔nm〕、発光層における上記中心部と反射性電極との間の屈折率をnとした場合、式(2):(0.3/n)λ<d<(0.5/n)λ、の関係式を満足し、発光層からの光が透明電極を経て出射する際に、透明電極から素子の厚さ方向に放射される光の輝度分布が、式(1):正面輝度<50〜70度方向の輝度値、の関係を満足するように前記素子を形成し、この素子の厚さ方向と直交する方向の端面を出射発光面として設定したことを特徴とする有機EL発光装置に係るものである。
また、本発明は、前記素子における透明電極の表面側に屈折率が1.6以上の高屈折率層を備えてなる上記構成の有機EL発光装置、上記高屈折率層の屈折率が発光層の屈折率以上に設定されている上記構成の有機EL発光装置、前記素子における透明電極の表面側に光反射面を設けてなる上記構成の有機EL発光装置、発光層からの光が出射するまでのいずれかの領域に光の反射・屈折角に乱れを生じさせる領域を設けてなる上記構成の有機EL発光装置に係るものである。
さらに、本発明は、上記各構成の有機EL発光装置を備えたことを特徴とする照明装置と、同様に、上記各構成の有機EL発光装置を備えたことを特徴とする表示装置を、それぞれ、提供できるものである。
また、透明電極側に、屈折率が非常に高い、とくに発光層の屈折率より高い高屈折率層を設けたり、光反射面を設けることにより、さらには光の反射・屈折角に乱れを生じさせる領域を設けることにより、端面発光を一層効率的に行わせることができる。
さらに、これらの有機EL発光装置を使用することにより、低電力消費で発光効率にすぐれた照明装置や表示装置を容易に提供できる。
図1は、本発明の実施形態に係る有機EL発光装置を示す概略構成図である。
図1において、有機EL発光装置Mは、有機EL素子10のほか、支持基板6を備えている。もちろん、支持基板6を備えない構成も可能である。
透明電極1と反射性電極2との間に電源Eを接続すれば、発光層3が発光し、その発光した光は、透明電極1と支持基板6との界面または支持基板6と空気層との界面で全反射し、また反射性電極2で反射することにより、導波光として素子の厚さ方向と直交する方向の両方の端面10aから取り出されるようになっている。すなわち、上記端面10aを出射発光面として設定してある。
図2は、透明電極1から素子10の厚さ方向に放射される発光光の輝度の角度分布を、正面0度から80度まで、10度毎に測定した結果を示す特性である。点線aで示す特性は、本発明にしたがって作製した有機EL素子10の測定結果であり、また、実線bで示す特性は、従来の有機EL素子10の測定結果である。
なお、有機EL素子10の構成としては、本発明品も従来品も、透明電極1の厚さを100nm、正孔輸送層5の厚さを50nmにそれぞれ統一し、電子輸送性発光層4の厚さについては、従来品では50nm、本発明品では140nmとした。また、本発明品も従来品も、駆動のための通電電流値は同じである。
このように、本発明品では、輝度の角度依存性として、上記式(1)の関係を満足するように設定することにより、正面方向の発光光は弱め合うが、本来、有機EL素子10内に閉じ込まれようとする導波光は強め合うような発光特性を持つことになる。従来品は、上記本発明の関係を満足せず、上記のような発光特性を示さない。
たとえば、図5において、再結合が電子輸送性発光層4と正孔輸送層5とのほぼ界面付近で起こる場合、電子輸送性発光層4の蛍光発光のピーク波長が540nmの緑色光であり、その屈折率が1.65であれば、本発明にいう上記距離dは、98.2〜163.6nmの範囲となる。つまり、電子輸送性発光層4の膜厚を略この範囲で形成すると、本発明の効果がより良く発揮される有機EL発光装置Mが得られる。
有機EL素子10の具体的な構成としては、陽極/発光層/陰極、陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、陽極/正孔輸送層/電子輸送性発光層/陰極、陽極/発光層/電子輸送層/陰極などが挙げられるが、とくに制限されるものではなく、ほかに陽極の界面に正孔注入層や陰極の界面に電子注入層を設けたり、再結合効率を高めるための電子ブロック層、正孔ブロック層を挿入した構成としてもよい。
本発明にいう「発光層」とは、発光層単独のほか、正孔輸送層、電子輸送層、電子輸送性発光層、正孔注入層、電子注入層、電子ブロック層、正孔ブロック層などを含む各種の有機薄膜層を、総称して表現したものである。
基本的には、発光効率がより高くなる構成、材料、形成方法を選択すると、少ない消費電力で強度のEL発光が得られ、本発明の効果を一層高めることができる。
発光層3には、低分子系の材料を真空蒸着して形成してもよいし、高分子系の材料を塗布法などにより形成してもよく、とくに制限はない。たとえば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム錯体(Alq3)、ビスジフェニルビニルビフェニル(BDPVBi)、1,3−ビス(p−t−ブチルフェニル−1,3,4−オキサジアゾールイル)フェニル(OXD−7)、N,N′−ビス(2,5−ジ−t−ブチルフェニル)ペリレンテトラカルボン酸ジイミド(BPPC)、1,4−ビス〔N−p−トリル−N−4−(4−メチルスチリル)フェニルアミノ〕ナフタレンなどの低分子発光材料や、ポリフェニレンビニレン系ポリマーなどの高分子系発光材料などを利用することができる。
図3は、この例を示したものであり、図1に示す有機EL表示装置Mにおいて、支持基板6上に光反射面20を形成してある。こうすることにより、支持基板6を介して素子の厚さ方向に放出する光を支持基板6内部に閉じ込めて、素子の端面10aからの導波光の取り出し効率をより一段と高めることができる。
光反射面20の材料には、光を反射させるものなら、どのようなものでも使用できる。具体的には、可視光領域において反射性に富み、吸収の少ないマグネシウム、銀、リチウム、アルミニウム、金、銅、ニッケルなどの各種金属膜などが挙げられる。
つぎに、本発明の実施例を記載して、より具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
その後、フォトレジストを用い、ITOをエッチングして、発光面積が15mm×15mmとなるようにパターンを形成した。有機溶剤(アセトンとイソプロピルアルコール)と純水で超音波洗浄を行ったのち、低圧紫外線ランプを用いて、オゾン洗浄した。つぎに、ITO面上に、真空蒸着法により、下記のように有機薄膜層を順次形成した。
その後、LiFを1nmの厚さで形成したのち、Alを150nmの厚さで形成して、反射性電極(陰極)とした。真空蒸着装置から取り出したのち、陰極電極側に紫外線硬化性エポキシ樹脂を滴下し、その上にスライドガラスを被せ、十分にエポキシ樹脂が広がった時点で、高圧紫外線ランプによりエポキシ樹脂を硬化させ、素子を封止した。
┌─────────┬─────────┐ │ 角度(度) │輝度(cd/m2 )│ ├─────────┼─────────┤ │ 0 │ 79 │ │ 4 │ 76 │ │ 8 │ 76 │ │ 12 │ 76 │ │ 16 │ 78 │ │ 20 │ 78 │ │ 24 │ 79 │ │ 28 │ 82 │ │ 32 │ 86 │ │ 36 │ 91 │ │ 40 │ 99 │ │ 44 │ 108 │ │ 48 │ 118 │ │ 52 │ 130 │ │ 56 │ 142 │ │ 60 │ 155 │ │ 64 │ 167 │ │ 68 │ 178 │ │ 72 │ 185 │ │ 76 │ 186 │ │ 80 │ 178 │ ├─────────┼─────────┤ │ 端面 │ 162 │ └─────────┴─────────┘
このように作製した有機EL発光装置に、5.0mA/cm2 の電流密度で電流を流して発光させ、実施例1と同様に評価した。結果は、表2に示されるとおりであり、素子の厚さ方向の発光におけるθ方向の輝度分布は前記の式(1)の関係を満足し、またAlq層120nmという値も前記の式(2)を満足するものであった。
┌─────────┬─────────┐
│ 角度(度) │輝度(cd/m2 )│
├─────────┼─────────┤
│ 0 │ 71 │
│ 4 │ 69 │
│ 8 │ 70 │
│ 12 │ 72 │
│ 16 │ 76 │
│ 20 │ 79 │
│ 24 │ 84 │
│ 28 │ 90 │
│ 32 │ 98 │
│ 36 │ 108 │
│ 40 │ 118 │
│ 44 │ 131 │
│ 48 │ 144 │
│ 52 │ 158 │
│ 56 │ 173 │
│ 60 │ 188 │
│ 64 │ 202 │
│ 68 │ 214 │
│ 72 │ 223 │
│ 76 │ 226 │
│ 80 │ 216 │
├─────────┼─────────┤
│ 端面 │ 130 │
└─────────┴─────────┘
実施例1において、電子輸送性発光層としてのAlq層を60nmの厚さに形成した以外は、実施例1と同様にして、有機EL発光装置を作製した。
このように作製した有機EL発光装置に、5.0mA/cm2 の電流密度で電流を流して発光させ、実施例1と同様に評価した。結果は、表3に示されるとおりであり、素子の厚さ方向の発光におけるθ方向の輝度分布は前記の式(1)の関係を満足せず、またAlq層60nmという値も前記の式(2)を満足しないものであった。
┌─────────┬─────────┐
│ 角度(度) │輝度(cd/m2 )│
├─────────┼─────────┤
│ 0 │ 332 │
│ 4 │ 319 │
│ 8 │ 319 │
│ 12 │ 320 │
│ 16 │ 326 │
│ 20 │ 324 │
│ 24 │ 326 │
│ 28 │ 329 │
│ 32 │ 332 │
│ 36 │ 335 │
│ 40 │ 338 │
│ 44 │ 340 │
│ 48 │ 342 │
│ 52 │ 344 │
│ 56 │ 344 │
│ 60 │ 343 │
│ 64 │ 339 │
│ 68 │ 334 │
│ 72 │ 325 │
│ 76 │ 311 │
│ 80 │ 286 │
├─────────┼─────────┤
│ 端面 │ 80 │
└─────────┴─────────┘
実施例1において、電子輸送性発光層としてのAlq層を40nmの厚さに形成した以外は、実施例1と同様にして、有機EL発光装置を作製した。
このように作製した有機EL発光装置に、5.0mA/cm2 の電流密度で電流を流して発光させ、実施例1と同様に評価した。結果は、表4に示されるとおりであり、素子の厚さ方向の発光におけるθ方向の輝度分布は前記の式(1)の関係を満足せず、またAlq層40nmという値も前記の式(2)を満足しないものであった。
┌─────────┬─────────┐
│ 角度(度) │輝度(cd/m2 )│
├─────────┼─────────┤
│ 0 │ 233 │
│ 4 │ 225 │
│ 8 │ 225 │
│ 12 │ 225 │
│ 16 │ 226 │
│ 20 │ 225 │
│ 24 │ 225 │
│ 28 │ 225 │
│ 32 │ 224 │
│ 36 │ 223 │
│ 40 │ 222 │
│ 44 │ 221 │
│ 48 │ 219 │
│ 52 │ 216 │
│ 56 │ 213 │
│ 60 │ 210 │
│ 64 │ 206 │
│ 68 │ 201 │
│ 72 │ 195 │
│ 76 │ 185 │
│ 80 │ 166 │
├─────────┼─────────┤
│ 端面 │ 49 │
└─────────┴─────────┘
実施例1において、電子輸送性発光層としてのAlq層を180nmの厚さに形成した以外は、実施例1と同様にして、有機EL発光装置を作製した。
このように作製した有機EL発光装置に、5.0mA/cm2 の電流密度で電流を流して発光させ、実施例1と同様に評価した。結果は、表5に示されるとおりであり、素子の厚さ方向の発光におけるθ方向の輝度分布は前記の式(1)の関係を満足せず、またAlq層180nmという値も前記の式(2)を満足しないものであった。
┌─────────┬─────────┐
│ 角度(度) │輝度(cd/m2 )│
├─────────┼─────────┤
│ 0 │ 201 │
│ 4 │ 194 │
│ 8 │ 193 │
│ 12 │ 191 │
│ 16 │ 189 │
│ 20 │ 183 │
│ 24 │ 177 │
│ 28 │ 171 │
│ 32 │ 163 │
│ 36 │ 155 │
│ 40 │ 146 │
│ 44 │ 136 │
│ 48 │ 127 │
│ 52 │ 118 │
│ 56 │ 110 │
│ 60 │ 103 │
│ 64 │ 97 │
│ 68 │ 92 │
│ 72 │ 87 │
│ 76 │ 82 │
│ 80 │ 75 │
├─────────┼─────────┤
│ 端面 │ 87 │
└─────────┴─────────┘
これらの結果から、実施例1,2では、素子の厚さ方向における正面輝度値は大きな値が得られていないが、素子端面において導波光成分の輝度値を測定すると、比較例1〜3の端面輝度に比べ、高輝度が得られていることがわかる。
┌────┬───────┬──────┬──────┬─────┐
│サンプル│Alq層の膜厚│ 正面輝度 │ 端面輝度 │端面/正面│
│ │ (nm) │(cd/m2 )│(cd/m2 )│ │
├────┼───────┼──────┼──────┼─────┤
│実施例1│ 140 │ 79 │ 162 │ 2.06│
│ │ │ │ │ │
│実施例2│ 120 │ 71 │ 130 │ 1.84│
├────┼───────┼──────┼──────┼─────┤
│比較例1│ 60 │ 332 │ 80 │ 0.24│
│ │ │ │ │ │
│比較例2│ 40 │ 233 │ 49 │ 0.21│
│ │ │ │ │ │
│比較例3│ 180 │ 201 │ 87 │ 0.43│
└────┴───────┴──────┴──────┴─────┘
このように作製した有機EL発光装置に、5.0mA/cm2 の電流密度で電流を流して発光させ、実施例1と同様に評価した。結果は、表7に示されるとおりであり、素子の厚さ方向の発光におけるθ方向の輝度分布は前記の式(1)の関係を満足し、またAlq層140nmという値も前記の式(2)を満足するものであった。
┌─────────┬─────────┐
│ 角度(度) │輝度(cd/m2 )│
├─────────┼─────────┤
│ 0 │ 79 │
│ 4 │ 75 │
│ 8 │ 75 │
│ 12 │ 79 │
│ 16 │ 81 │
│ 20 │ 81 │
│ 24 │ 83 │
│ 28 │ 85 │
│ 32 │ 85 │
│ 36 │ 90 │
│ 40 │ 101 │
│ 44 │ 109 │
│ 48 │ 119 │
│ 52 │ 132 │
│ 56 │ 142 │
│ 60 │ 155 │
│ 64 │ 170 │
│ 68 │ 181 │
│ 72 │ 189 │
│ 76 │ 189 │
│ 80 │ 179 │
├─────────┼─────────┤
│ 端面 │ 218 │
└─────────┴─────────┘
実施例3において、電子輸送性発光層としてのAlq層を60nmの厚さに形成した以外は、実施例3と同様にして、有機EL発光装置を作製した。
このように作製した有機EL発光装置に、5.0mA/cm2 の電流密度で電流を流して発光させ、実施例1と同様に評価した。結果は、表8に示されるとおりであり、素子の厚さ方向の発光におけるθ方向の輝度分布は前記の式(1)の関係を満足せず、またAlq層60nmという値も前記の式(2)を満足しないものであった。
┌─────────┬─────────┐
│ 角度(度) │輝度(cd/m2 )│
├─────────┼─────────┤
│ 0 │ 317 │
│ 4 │ 304 │
│ 8 │ 303 │
│ 12 │ 304 │
│ 16 │ 313 │
│ 20 │ 311 │
│ 24 │ 313 │
│ 28 │ 316 │
│ 32 │ 319 │
│ 36 │ 321 │
│ 40 │ 322 │
│ 44 │ 324 │
│ 48 │ 325 │
│ 52 │ 328 │
│ 56 │ 326 │
│ 60 │ 327 │
│ 64 │ 323 │
│ 68 │ 318 │
│ 72 │ 310 │
│ 76 │ 296 │
│ 80 │ 271 │
├─────────┼─────────┤
│ 端面 │ 111 │
└─────────┴─────────┘
この結果から明らかなように、実施例3では、高屈折率のガラス基板を使用したことにより、実施例1に比べて、端面輝度をさらに一層向上できていることがわかる。これに対して、比較例4では、高屈折率のガラス基板を使用しても、比較例1に比べて、端面輝度をあまり向上できないものであることがわかる。
┌────┬──────┬─────┬──────┬──────┬─────┐
│ │Alq層の │高屈折率層│ 正面輝度 │ 端面輝度 │端面輝度/│
│ │膜厚(nm)│ │(cd/m2 )│(cd/m2 )│正面輝度 │
├────┼──────┼─────┼──────┼──────┼─────┤
│実施例1│ 140 │ なし │ 79 │ 162 │ 2.06│
│ │ │ │ │ │ │
│実施例3│ 140 │ あり │ 79 │ 218 │ 2.77│
├────┼──────┼─────┼──────┼──────┼─────┤
│比較例1│ 60 │ なし │ 332 │ 80 │ 0.24│
│ │ │ │ │ │ │
│比較例4│ 60 │ あり │ 317 │ 111 │ 0.35│
└────┴──────┴─────┴──────┴──────┴─────┘
この光反射面とは反対側のガラス基板上に、実施例1と同様の手順で、透明電極(ITO層)、発光層(正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送性発光層)および反射性電極を、順次形成し、さらにエポキシ樹脂で封止して、有機EL発光装置を作製した。なお、上記の各層の厚さは、実施例1の場合と同一とした。
実施例4において、電子輸送性発光層としてのAlq層を60nmの厚さに形成した以外は、実施例4と同様にして、有機EL発光装置を作製した。
この結果から、実施例4では、光反射面を形成したことにより、実施例1に比べて、端面輝度をさらに向上できている。これに対して、比較例5では、光反射面を形成しても、比較例1に比べて、端面輝度をほとんど向上できなかった。
┌────┬───────────┬────┬──────────┐
│ │Alq層の膜厚(nm)│光反射面│端面輝度(cd/m2 )│
├────┼───────────┼────┼──────────┤
│実施例1│ 140 │ なし │ 162 │
│ │ │ │ │
│実施例4│ 140 │ あり │ 175 │
├────┼───────────┼────┼──────────┤
│比較例1│ 60 │ なし │ 80 │
│ │ │ │ │
│比較例5│ 60 │ あり │ 89 │
└────┴───────────┴────┴──────────┘
この光拡散性粘着剤溶液を、アプリケータを用いて、セパレータ上に塗布し、乾燥させることにより、厚さが20μmの光拡散性粘着剤を作製した。
この実施例5の有機EL発光装置について、実施例1と同様にして、ガラス基板側面の端面輝度を測定した。結果を、表11に示した。なお、同表には、参考のため、実施例1の有機EL発光装置の結果も併記した。
この結果から明らかなように、実施例5では、光の反射・屈折角に乱れを生じさせる領域として光拡散層を形成したことにより、実施例1に比べて、端面輝度をさらに一段と向上できているものであることがわかる。
┌────┬───────┬──────┬──────┐
│ │Alq層の膜厚│ 光反射面 │ 端面輝度 │
│ │ (nm) │ │(cd/m2 )│
├────┼───────┼──────┼──────┤
│実施例1│ 140 │ なし │ 162 │
│ │ │ │ │
│実施例5│ 140 │ あり │ 236 │
└────┴───────┴──────┴──────┘
また、実施例4で得た有機EL発光装置を、上記同様に発光源として具備させることにより,図3に示すように、導波光を端面10aから高効率で取り出せる照明装置や表示装置を作製することができた。
さらに、上記の照明装置や表示装置の作製にあたり、実施例1(および実施例4)で得た有機EL発光装置を、図4に示すように並列させることにより、より高効率な照明装置や表示装置を作製することができた。
2 反射性電極(陰極)
3 発光層
4,5 有機薄膜層
6 支持基板
10 有機EL素子
10a 端面(出射発光面)
20 光反射面
M 有機EL発光装置
N 輝度計
Claims (7)
- 少なくとも1層の有機薄膜層からなる発光層を透明電極と反射性電極とで挟持した有機エレクトロルミネッセンス素子を備えた有機エレクトロルミネッセンス発光装置において、発光層における正孔と電子の再結合発光領域の中心部と反射性電極との間の距離をd〔nm〕、発光層に用いている材料の蛍光発光スペクトルのピーク波長をλ〔nm〕、発光層における上記中心部と反射性電極との間の屈折率をnとした場合、(0.3/n)λ<d<(0.5/n)λ、の関係式を満足し、発光層からの光が透明電極を経て出射する際に、透明電極から素子の厚さ方向に放射される光の輝度分布が、正面輝度<50〜70度方向の輝度値、の関係を満足するように前記素子を形成し、この素子の厚さ方向と直交する方向の端面を出射発光面として設定したことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス発光装置。
- 前記素子における透明電極の表面側に屈折率が1.6以上の高屈折率層を備えてなる請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス発光装置。
- 高屈折率層の屈折率が発光層の屈折率以上に設定されている請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス発光装置。
- 前記素子における透明電極の表面側に光反射面を設けてなる請求項1〜3のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス発光装置。
- 発光層からの光が出射するまでのいずれかの領域に光の反射・屈折角に乱れを生じさせる領域を設けてなる請求項1〜4のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス発光装置。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス発光装置を備えたことを特徴とする照明装置。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス発光装置を備えたことを特徴とする表示装置。
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