JP4412819B2 - 電磁継電器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リレー、特に電磁継電器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、スイッチやリレー等の、互いに相対移動する接点対を有する開閉装置では、接点開閉動作に伴う接点の消耗が開閉寿命に及ぼす影響を、可及的に低減することが要求されている。例えば、電磁石と、電磁石により駆動される可動接点を有する可動ばね部材と、可動接点に接触可能に対向配置される固定接点を有する固定端子部材とを備えて構成される電磁継電器を、接点閉成の瞬間に数十Aの比較的大きな突入電流を流す大電流制御用途に使用するような場合には、特にメーク接点対の開閉寿命を向上させるべく、メーク接点閉成完了時の可動ばね部材の撓み量や接点間の接触力を増加させる対策が採られている。このような対策によれば、開閉の繰り返しによりメーク接点対が消耗した場合にも、それに伴う接点間の接触力の低下を減少させることができ、その結果、安定した復旧を確保して接点開閉寿命を向上させることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の電磁継電器における上記した開閉寿命向上策は、一般に、可動接点を有する可動ばね部材の撓み部分(すなわち可動接点とばね支点との間の部分)を長くしたり、撓み部分のばね定数を大きくしたりする等の、可動ばね部材に関連する構造変更を伴うものである。しかし、このような構造変更は、メーク接点対が閉成した瞬間に可動ばね部材に生じる可動接点の跳ね返り現象(チャタリング)を抑制するものではなく、したがってメーク接点対の消耗自体を低減することは困難である。
【0004】
また、可動ばね部材に関連する上記構造変更を施す場合には、電磁継電器の全体寸法の増大が危惧されるだけでなく、可動ばね部材に取り付けられている接極子に及ぼす電磁石の吸引力が不足してメーク接点対を安定的に閉成させることが困難になる懸念がある。つまり、感動電流値を削減する等の、電磁継電器の感動特性を向上させることが困難になり、その結果、製品歩留りが悪化することが懸念される。この場合、メーク接点対を安定的に閉成させる目的で、電磁石の吸引力を増強すべくコイル消費電力を増加させると、許容温度上昇の関係で電磁継電器による制御可能電流値を相応して低下せざるを得なくなり、結果として前述した大電流制御用途への適用が困難になる課題を生じる。
【0005】
本発明の目的は、継電器全体寸法を増大させたり、接極子に対する電磁石の吸引力の増強を必要としたりすることなく、接点対の消耗を低減して接点開閉寿命を向上させることができる電磁継電器を提供することにある。
本発明の他の目的は、接点閉成の瞬間に比較的大きな突入電流を流す大電流制御用途に好適に使用できる電磁継電器を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、ベースと、ベースに支持されるボビンを有する電磁石と、電磁石により駆動される可動接点部と、可動接点部に接触可能に対向配置される固定接点部とを具備する電磁継電器において、固定接点部は、接点閉成時に可動接点部から受ける押圧力に抗して自己位置を保持する第1の固定接点と、この押圧力を受けて弾性的に変位する第2の固定接点とを具備し、第1の固定接点が、押圧力下で実質的に変形しない剛性を有する固定端子部材に設けられ、第2の固定接点が、押圧力下で弾性的に撓む固定ばね部材に設けられ、固定端子部材が、ベースに支持されるとともに、第1の固定接点を設けた上端領域でボビンに支持されることを特徴とする電磁継電器を提供する。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電磁継電器において、固定ばね部材が、ベースの上方で固定端子部材に連結されて支持される電磁継電器を提供する。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の電磁継電器において、第1及び第2の固定接点が互いに電気的に接続される電磁継電器を提供する。
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の電磁継電器において、固定ばね部材が、固定端子部材から分離されてベースに支持される電磁継電器を提供する。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電磁継電器において、可動接点部が、固定接点部の第1及び第2の固定接点のそれぞれに接触可能に対向配置される第1及び第2の可動接点を具備する電磁継電器を提供する。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の電磁継電器において、可動接点部を有する可動ばね部材を具備し、可動ばね部材が、互いに独立変位可能に一体的に連結される一対のばね腕を備え、一対のばね腕のそれぞれに第1及び第2の可動接点が設けられる電磁継電器を提供する。
【0011】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電磁継電器において、可動接点部と固定接点部とは、可動接点部が接点閉成動作する際に、第2の固定接点が第1の固定接点よりも先に閉成されるような相対位置関係を有する電磁継電器を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図面において、同一又は類似の構成要素には共通の参照符号を付す。
図面を参照すると、図1及び図2は本発明の実施の形態による電磁継電器10を、それぞれ斜視図及び断面図で示す。図示実施形態による電磁継電器10は、例えばランプ負荷やCR(コンデンサ及び抵抗)複合負荷等の、接点閉成の瞬間に比較的大きな突入電流が流れる電気回路の開閉制御に好適に使用できるものであるが、他の種々の用途にも使用できる。
【0013】
図1及び図2に示すように、電磁継電器10は、ベース12と、ベース12に組み込まれる電磁石14と、電磁石14によって駆動される可動接点部16と、可動接点部16に接触可能に対向配置される固定接点部18とを備えて構成される。ベース12は、電気絶縁性の樹脂成形品からなる枠状部材であり、電磁石14及び後述する各種端子を固定的に支持する。
【0014】
電磁石14は、中空筒状部分20a及びその軸線方向両端のフランジ部分20bを有するボビン20と、ボビン20の中空筒状部分20aに収容される鉄心22と、ボビン20の中空筒状部分20aに巻き付けられるコイル24とを備えて構成される。ボビン20は、電気絶縁性の樹脂成形品であり、その一方(図で下方)のフランジ部分20bでベース12の内側に固定的に支持される。鉄心22は、例えば磁性鋼板から所定形状に打ち抜いて形成される柱状部材であり、その一方(図で上方)の軸線方向端面22aをボビン20の中空筒状部分20aから外部に露出させて、中空筒状部分20aの内側に固定的に支持される。コイル24は、ボビン20の中空筒状部分20aの円筒状外面に密に巻着されて、両フランジ部分20bの間に固定的に保持される。コイル24の両線端は、ベース12に固定される一対のコイル端子26にそれぞれ接続される。
【0015】
鉄心22は、その他方の軸線方向端面22bで、例えばかしめにより継鉄28に固定的に連結される。継鉄28は、例えば磁性鋼板から所定形状に打ち抜いて断面L字状に撓曲形成される板状部材であり、ボビン20の外側でその下方フランジ部分20bに沿って径方向へ延びるとともに、中空筒状部分20aに略平行に軸線方向へ延設される。継鉄28の、鉄心22から遠い方の自由端(図で上端)28aは、鉄心22の露出端面22aと略同一高さに配置され、この自由端28aに、接極子30が支持される。
【0016】
接極子30は、例えば磁性鋼板から所定形状に打ち抜いて形成される平板状部材であり、その一方の面(図で下面)30aを鉄心22の露出端面22aに対向させるとともに、下面30aの一縁領域を継鉄28の自由端28aに当接して、ボビン20及び鉄心22の上方に揺動自在に配置される。電磁石14が作動すると、鉄心22、継鉄28及び接極子30の間に磁気回路が構成される。
【0017】
接極子30は、可動ばね部材32を介して、継鉄28に弾性的相対移動可能に連結される。可動ばね部材32は、例えばばね用燐青銅の薄板から所定形状に打ち抜いて撓曲形成される導電性板ばね部材であり、継鉄28の外面28bに例えばかしめにより固定される第1取付部分32aと、接極子30の上面30bに例えばかしめにより固定される第2取付部分32bと、それら取付部分32a、32bの間にU字状に撓曲して延びる一対のヒンジばね片32cと、第2取付部分32bから接極子30の上面30bに沿って外方へ二股状に延長される一対のばね腕32dとを一体に備える。
【0018】
可動ばね部材32の一対のばね腕32dは、ボビン20及び鉄心22の上方で継鉄28の自由端28aから離れる方向へ延設され、それらの基端で第2取付部分32bを介して互いに独立変位可能に一体的に連結される。それらばね腕32dの、第2取付部分32bから離れた末端(自由端)領域の下面には、可動接点部16を構成する第1及び第2の可動接点34、36がそれぞれ膨出形成される。可動ばね部材32は、その一対のばね腕32dが、後述する接点閉成時に固定接点部18から可動接点部16に負荷される押圧力下で弾性的に撓み、それにより所望の接点接触力を発揮する。なお、可動ばね部材32の第1取付部分32aは、ベース12の下方に延びる可動側制御端子38に一体に又は別部材として連結される。
【0019】
可動ばね部材32はさらに、その一対のヒンジばね片32cのばね作用により、接極子30を鉄心22の露出端面22aから離れる方向へ付勢する。ここで、可動ばね部材32の一対のばね腕32dは、それらの末端領域が、ボビン20に一体的に連結されるビーム40の下方に配置される。したがって接極子30は、電磁石14の非作動時には、可動ばね部材32の両ばね腕32dがビーム40の下面に係合することにより、両ヒンジばね片32cが発揮するばね力下で、鉄心22の露出端面22aから所定距離だけ離れた復旧位置(図2)に静止保持される。電磁石14が作動すると、磁気吸引力により接極子30は、その下面30aの一縁領域と継鉄28の自由端28aとの当接部位を中心に、両ヒンジばね片32cのばね力に抗して鉄心22の露出端面22aに接近する方向へ揺動する。
【0020】
電磁継電器10の固定接点部18は、可動接点部16の第1及び第2の可動接点34、36のそれぞれに接触可能に対向配置される第1及び第2の固定接点42、44を備えて構成される。第1の固定接点42は、コイル24を中心として継鉄28の反対側に固定的に配置される固定端子部材46に形成される。固定端子部材46は、例えば銅板から所定形状に打ち抜いて撓曲形成される導電板部材であり、ベース12に固定的に支持されるとともに、ベース12上に直立かつL字状に延設されてその水平上端領域46aでボビン20の上方フランジ部分20bに固定的に支持される。固定端子部材46の上端領域46aは、鉄心22の露出端面22aと略同一高さに配置され、この上端領域46aの上面に、第1の固定接点42が膨出形成される。なお、固定端子部材46の下端領域46bは、ベース12の下方に一体的に延長されて、固定側制御端子46bとして機能する。或いは、別体の固定側制御端子46bを固定端子部材46に連結して使用することもできる。
【0021】
第2の固定接点44は、固定端子部材46に並設される固定ばね部材48に形成される。固定ばね部材48は、例えばばね用燐青銅の薄板から所定形状に打ち抜いて撓曲形成される導電性板ばね部材であり、固定端子部材46の側方延長部分46cに例えばかしめにより固定的に連結されて、ベース12の上方に支持される。したがって第1及び第2の固定接点42、44は、固定端子部材46及び固定ばね部材48を介して互いに電気的に接続される。固定ばね部材48は、固定端子部材46の側方延長部分46cに連結される取付部分48aと、取付部分48aから側方延長部分46cの上方に直立かつL字状に延設されるばね腕部分48bとを一体に備える。固定ばね部材48のばね腕部分48bは、それ自体が撓んでいないときには、その上端の水平自由端領域で鉄心22の露出端面22aと略同一高さに配置され、この自由端領域の上面に、第2の固定接点44が膨出形成される。
【0022】
固定接点部18の第1の固定接点42は、後述する接点閉成時に可動接点部16の第1の可動接点34から受ける押圧力に抗して自己位置を保持し、それにより、可動ばね部材32の対応のばね腕32dの撓み作用と協働して、所望の接触力を発揮するように構成される。この場合、第1の固定接点42を有する固定端子部材46は、当該押圧力下で実質的に変形しない剛性を有することが好ましい。また、第2の固定接点44は、後述する接点閉成時に可動接点部16の第2の可動接点36から受ける押圧力によって弾性的に変位するように構成される。このとき、第2の固定接点44を有する固定ばね部材48は、少なくともそのばね腕部分48bの水平自由端領域が当該押圧力下で弾性的に撓み、それにより、可動ばね部材32の対応のばね腕32dの撓み作用と協働して、所望の接触力を発揮する。
【0023】
さらに、上記構成において、可動ばね部材32に設けた第1及び第2の可動接点34、36は、一対のばね腕32dが撓んでいないときには、それら接点34、36の膨出頂点が、鉄心22の露出端面22aを基準として互いに同一高さに配置されるように形成される。また、固定端子部材46及び固定ばね部材48に設けた第1及び第2の固定接点42、44は、固定ばね部材48のばね腕部分48bが撓んでいないときには、同様に鉄心22の露出端面22aを基準として、第2の固定接点44の膨出頂点が第1の固定接点42の膨出頂点よりも僅かに高く(すなわち可動接点部16に近接して)配置されるように形成される。
【0024】
なお、電磁継電器10では、可動接点部16を構成する第1及び第2の可動接点34、36は、いずれもメーク可動接点として形成される。同様に、固定接点部18を構成する第1及び第2の固定接点42、44は、いずれもメーク固定接点として形成される。したがって、固定接点部材46の固定側制御端子46bは、メーク端子として機能する。このように電磁継電器10は、それ自体にブレーク接点を有しない構造であるが、本発明はこれに限定されず、例えばビーム40の下面に沿って、ブレーク接点を担持するブレーク端子部材を設置した構造の電磁継電器に適用することもできる。この場合、例えば可動ばね部材32の一対のばね腕32dの末端領域の上面に、ブレーク可動接点を追加して形成することができる(図3及び図4参照)。
【0025】
上記構成を有する電磁継電器10における接点閉成動作及びその作用効果を、図3〜図6を参照して以下に説明する。
図2に示す復旧位置において電磁石14が作動すると、磁気吸引力により接極子30は、可動ばね部材32の一対のヒンジばね片32cが発揮するばね力に抗して、鉄心22の露出端面22aに接近する方向へ揺動する。それに伴い、可動ばね部材32の一対のばね腕32dに形成した可動接点部16が、その下方に位置する固定接点部18に向かって移動して、第1及び第2の可動接点34、36がそれぞれ第1及び第2の固定接点42、44に接触する(図3(a)及び図4(a))。このとき、前述した各接点34、36、42、44の相対位置関係により、第2の可動接点36と第2の固定接点44との接触が、第1の可動接点34と第1の固定接点42との接触よりも先に生じるようになっている。
【0026】
この状態から、引き続き接極子30は、可動ばね部材32の両ヒンジばね片32c及び一対のばね腕32dが発揮するばね力に抗して、磁気吸引力によりさらに鉄心端面22aに接近する方向へ揺動しようとする。このとき、固定端子部材46に形成した第1の固定接点42は、前述したように第1の可動接点34から受ける押圧力に抗して自己位置を保持するので、第1の可動接点34がそれを有するばね腕32dの弾性により第1の固定接点42上で跳ね返り現象(チャタリング)を生じる傾向がある(図3(b))。これに対し、固定ばね部材48に形成した第2の固定接点44は、前述したように第2の可動接点36から受ける押圧力によって弾性的に変位するので、第2の可動接点36を有するばね腕32dの弾性と第2の固定接点44を有するばね腕部分48bの弾性との協働作用により、第2の固定接点44上での第2の可動接点36のチャタリングが抑制される(図4(b))。
【0027】
引き続き接極子30は、磁気吸引力によりさらに揺動して、最終的に鉄心端面22aに吸着される。この間、第1の可動接点34は、それを有するばね腕32dがチャタリングの減衰後にさらに撓むことにより、第1の固定接点42上で相互接触状態を維持しつつ摺動して、接触位置を僅かにずらす(すなわちワイピングする)ように作用する(図3(c))。他方、第2の可動接点36は、それを有するばね腕32dと第2の固定接点44を有するばね腕部分48bとがさらに撓むことにより、ワイピングすることなく第2の固定接点44との接触状態を維持する(図4(c))。このようにして、接点閉成動作が完了する。
【0028】
図5は、上記した接点閉成動作中に、電磁継電器10によって開閉制御される電流Iの波形の一例を示す。まず、接極子30が復旧位置から鉄心端面22aに接近する方向へ揺動すると、最初に第2の可動接点36が第2の固定接点44に接触し、その瞬間T0 に、突入電流Ir が急な立上りで可動接点部16と固定接点部18との間に流れる。このとき前述したように、第2の可動接点36は第2の固定接点44にチャタリングを生じることなく安定して接触するので、突入電流Ir は開閉を繰り返すことなく直線状に立ち上がる。次いで、僅かに遅れて、第1の可動接点34が第1の固定接点42に接触する。このとき第1の可動接点34は、前述したように第1の固定接点42上でチャタリングを生じ得るが、第2の可動接点36と第2の固定接点44との先行接触により可動接点部16と固定接点部18とが既に導通しているので、電流波形には何ら影響を及ぼさない。
【0029】
この点に関し、従来の電磁継電器では、図6に示すように、メーク接点対が閉成の瞬間にチャタリングを生じると、それに伴い、突入電流Ir は短時間で繰り返し開閉されてのこぎり波状に立ち上がることになる。このようなのこぎり波状の突入電流Ir は、それが大電流になる程、接点の消耗を促進する傾向がある。これに対し、本発明に係る電磁継電器10は、上記したように突入電流Ir ののこぎり波形化を未然に防止できるので、大電流制御用途に適用した場合であっても、チャタリングに起因する各接点34、36、42、44の消耗を効果的に低減することができる。
【0030】
再び図5を参照すると、電磁継電器10によって開閉制御される電流Iは、突入電流Ir から前述した接点閉成動作の完了を経て徐々に定常化する。この間、第1の可動接点34と第1の固定接点42とは、前述したようにワイピングによって相互接触位置を僅かにずらすので、それら接点34、42における消耗の局所集中を抑制することができる。他方、第2の可動接点36と第2の固定接点44とはワイピングを生じないが、電流Iが2つの線路に分流されるので、単独の接点対で電流Iを開閉する構成に比べれば、それら接点36、44の消耗を低減できると考えられる。その後、所望時期T1 に、電磁石14の励磁を解除すれば、接極子30が直ちに復旧位置へ向けて移動して、可動接点部16が固定接点部18から離脱し、回路が開成される。
【0031】
このように、本発明に係る電磁継電器10は、接点閉成完了時の可動ばね部材32の撓み量や接点接触力を増加させる代わりに、固定接点部18を、可動接点部16からの押圧力に抗して自己位置を保持する第1の固定接点42と、押圧力を受けて弾性的に変位する第2の固定接点44とから構成し、それにより、各メーク接点34、36、42、44の消耗自体を低減して接点開閉寿命を向上できるようにしたものである。この構成では、可動ばね部材32の一対のばね腕32dを長くしたりそれらのばね定数を増加させたりする必要がないから、電磁継電器10の全体寸法の増加を防止でき、しかも接極子30に対する電磁石14の吸引力を増強することなくメーク接点対を安定的に閉成できる。したがって電磁継電器10は、小形で、コイル消費電力が少なく、かつ優れた感動特性を有するものとして歩留り良く製造できる。特に電磁継電器10は、コイル消費電力の増加を抑制できるので、接点閉成の瞬間に比較的大きな突入電流が流れる電気回路の開閉制御に好適に使用できる。
【0032】
さらに電磁継電器10では、特に上記した大電流制御用途に使用する場合に、先に過大な突入電流を流す第2の固定接点44を、そのような大電流に対し優れた耐久性を呈し得る比較的高価な接点材料から作製する一方、遅れて閉成される第1の固定接点42は比較的安価な通常の接点材料から作製することができる。したがって、単一のメーク接点対で大電流を開閉する構成に比べて、材料コストを削減する効果が奏される。
【0033】
本発明に係る電磁継電器は、上記以外の様々な構成を有することができる。
例えば、電磁継電器10では、前述したように、可動ばね部材32に設けた第1及び第2の可動接点34、36の膨出頂点が互いに同一高さに配置される一方で、固定端子部材46及び固定ばね部材48に設けた第1及び第2の固定接点42、44は、第2の固定接点44の膨出頂点が第1の固定接点42の膨出頂点よりも僅かに高く配置されるように構成した(図7)。しかし本発明は、これに限らず、例えば第1及び第2の固定接点42、44の膨出頂点を互いに同一高さに配置するとともに、第2の可動接点36の膨出頂点が第1の可動接点34の膨出頂点よりも僅かに低く配置される構成とすることもできる。いずれの場合も、可動接点部16と固定接点部18とは、電磁石14の作動により可動接点部16が接点閉成動作する際に、第2の固定接点44が第1の固定接点42よりも先に閉成されるような相対位置関係を有する。このような相対位置関係により、前述した接点寿命向上効果が奏されることは理解されよう。
【0034】
また、上記相対位置関係を確保できることを条件に、図8に示すように、可動ばね部材32のばね腕32dを一体化することもできる。この構成によれば、第1の固定接点42上で生じ得る第1の可動接点34のチャタリングを、先に第2の可動接点36が接触している第2の固定接点44を有する固定ばね部材48の弾性により減衰させることができる。
【0035】
さらに、可動接点部16と固定接点部18とが、可動接点部16の接点閉成動作時に、第1の固定接点42と第2の固定接点44とが同時に閉成されるような相対位置関係を有する構成においても、前述した接点寿命向上効果を奏することができる。この場合には、可動ばね部材32を、第1の可動接点34を有するばね腕32dのばね定数が、第2の可動接点36を有するばね腕32dのばね定数よりも小さくなるように構成することが好ましい。
【0036】
また、図9に変形例として示すように、第1の固定接点42を担持する固定接点部材46から分離独立して、第2の固定接点44を担持する固定ばね部材50をベース12上に設置した電磁継電器10′を構成することもできる。電磁継電器10′の他の構成は、前述した電磁継電器10と実質的に同一であり、対応する構成要素には共通の参照符号を付してその説明を省略する。
【0037】
電磁継電器10′においては、固定ばね部材50は、例えばばね用燐青銅の薄板から所定形状に打ち抜いて撓曲形成される導電性板ばね部材であり、ベース12上に立設されてベース12及びボビン20に固定的に支持される取付部分50aと、取付部分50aからベース12の上方にL字状に延設されるばね腕部分50bとを備える。固定ばね部材50のばね腕部分50bは、それ自体が撓んでいないときには、その上端の水平自由端領域で鉄心22の露出端面22a(図2)と略同一高さに配置され、この自由端領域の上面に、第2の固定接点44が膨出形成される。なお、固定ばね部材50の下端領域50cは、ベース12の下方に一体的に延長されて、第2の固定側制御端子(すなわち第2のメーク端子)50cとして機能する。或いは、別体の第2の固定側制御端子50cを固定ばね部材50に連結して使用することもできる。
【0038】
第2の固定接点44を有する固定ばね部材50は、少なくともそのばね腕部分50bの水平自由端領域が、前述した接点閉成時に可動接点部16の第2の可動接点36から受ける押圧力下で弾性的に撓むように形成される。それにより、第2の固定接点44は、当該押圧力によって弾性的に変位する。このとき、可動ばね部材32のばね腕32d及び固定ばね部材50のばね腕部分50bの双方の撓み作用により、所望の接触力が確保される。このような構成によっても、前述した電磁継電器10と同等の作用効果が奏されることは理解されよう。
【0039】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、電磁石により駆動される可動接点部と、可動接点部に接触可能に対向配置される固定接点部とを備える電磁継電器において、継電器全体寸法を増大させたり、接極子に対する電磁石の吸引力の増強を必要としたりすることなく、接点対の消耗を低減して接点開閉寿命を向上させることが可能になる。また、このような電磁継電器は、接点閉成の瞬間に比較的大きな突入電流を流す大電流制御用途に好適に使用できるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による電磁継電器の斜視図である。
【図2】図1の電磁継電器の線II−IIに沿った断面図である。
【図3】図1の電磁継電器における第1の可動接点と第1の固定接点との閉成動作を(a)〜(c)の順で示す概略図である。
【図4】図1の電磁継電器における第2の可動接点と第2の固定接点との閉成動作を(a)〜(c)の順で示す概略図である。
【図5】図1の電磁継電器によって開閉制御される電流の波形の一例を示す線図である。
【図6】従来の電磁継電器によって開閉制御される電流の波形の一例を示す線図である。
【図7】図1の電磁継電器における可動接点部と固定接点部との相対位置関係を示す概略図である。
【図8】変形例による可動接点部と固定接点部との相対位置関係を示す概略図である。
【図9】変形例による電磁継電器の斜視図である。
【符号の説明】
12…ベース
14…電磁石
16…可動接点部
18…固定接点部
20…ボビン
22…鉄心
24…コイル
28…継鉄
30…接極子
32…可動ばね部材
34…第1の可動接点
36…第2の可動接点
42…第1の固定接点
44…第2の固定接点
46…固定接点部材
48、50…固定ばね部材
Claims (7)
- ベースと、該ベースに支持されるボビンを有する電磁石と、該電磁石により駆動される可動接点部と、該可動接点部に接触可能に対向配置される固定接点部とを具備する電磁継電器において、
前記固定接点部は、接点閉成時に前記可動接点部から受ける押圧力に抗して自己位置を保持する第1の固定接点と、該押圧力を受けて弾性的に変位する第2の固定接点とを具備し、
前記第1の固定接点が、前記押圧力下で実質的に変形しない剛性を有する固定端子部材に設けられ、前記第2の固定接点が、該押圧力下で弾性的に撓む固定ばね部材に設けられ、
前記固定端子部材が、前記ベースに支持されるとともに、前記第1の固定接点を設けた上端領域で前記ボビンに支持されること、
を特徴とする電磁継電器。 - 前記固定ばね部材が、前記ベースの上方で前記固定端子部材に連結されて支持される請求項1に記載の電磁継電器。
- 前記第1及び第2の固定接点が互いに電気的に接続される請求項1又は2に記載の電磁継電器。
- 前記固定ばね部材が、前記固定端子部材から分離されて前記ベースに支持される請求項1に記載の電磁継電器。
- 前記可動接点部は、前記固定接点部の前記第1及び第2の固定接点のそれぞれに接触可能に対向配置される第1及び第2の可動接点を具備する請求項1〜4のいずれか1項に記載の電磁継電器。
- 前記可動接点部を有する可動ばね部材を具備し、該可動ばね部材が、互いに独立変位可能に一体的に連結される一対のばね腕を備え、該一対のばね腕のそれぞれに前記第1及び第2の可動接点が設けられる請求項5に記載の電磁継電器。
- 前記可動接点部と前記固定接点部とは、該可動接点部が接点閉成動作する際に、前記第2の固定接点が前記第1の固定接点よりも先に閉成されるような相対位置関係を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の電磁継電器。
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