JP4400977B2 - 粘着剤用天然ゴムの製造方法及び天然ゴム系粘着剤組成物 - Google Patents

粘着剤用天然ゴムの製造方法及び天然ゴム系粘着剤組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粘着剤用天然ゴムの製造方法、及びこの方法により得られた天然ゴムからなる天然ゴム系粘着剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、天然ゴム系の粘着剤は、天然ゴムをトルエン、ヘキサン、ヘプタンなどの有機溶剤に溶解させ、その後粘着付与樹脂、軟化剤などの配合物を溶解させて調製する。ところが、一般に未素練り天然ゴムの分子量は非常に高いため、そのまま有機溶剤に溶解させることは困難である。また、天然ゴムの分子量が高すぎると、粘着剤とした場合に柔軟性に欠け、適切な粘着剤特性を得ることができなくなる場合がある。従って、これらの問題を避けるには、天然ゴムの分子量を適度に低下させて配合に用いる必要がある。
【0003】
天然ゴムの分子量を低下させる手法としては、有機溶剤に溶解させる前に、あらかじめ加圧ニーダーやバンバリーミキサー、オープンロールなどによって機械的に素練りするのが一般的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この天然ゴムの分子量を調整する機械的素練りの工程は、膨大なエネルギーを消費する。また天然ゴムは、自己融着性があるため、素練り工程そのものの作業負荷が非常に大きいのに加え、特に素練り後のゴムの取扱いや運搬など、工程そのもの以外での負荷も極めて大きい。
【0005】
例えば、機械的素練りを行った直後の天然ゴムは、柔らかくなっており、接触による自己融着が起こりやすく、融着して大きな塊になると次工程での作業に大きな支障をきたすことになる。一般的にはこれを防ぐため、天然ゴムを所定の形状・大きさにして、自己融着防止用粉体を散布したり、剥離シートを挟み込んだりしている。しかし、このように粉体を散布したり、剥離シートを使用することは、問題点が非常に多い。例えば、粉体を使用する場合、粉塵により作業環境が悪化すると共に、粉体が製品に不純物として混入する。また、剥離シートを使用する場合には、数多くのシートを敷くのに手間がかかるだけでなく、使用後のシートが産業廃棄物となる。さらに、素練り天然ゴムは剥離シートにも比較的強く接着し、次工程にて剥がすのに大きな労力を要する場合も少なくない。
従って、素練り工程は、製造コスト面、作業面、環境面において非常に不利な要素が多く、改善が望まれていた。
【0006】
また、環境対策として、粘着剤の配合に用いる有機溶剤の削減を目的に、低粘度、高固形分濃度化を志向した場合、天然ゴムの分子量を大きく低下させる必要があるが、従来の手法では、過度の機械的素練りを行う必要性が生じ、機械的素練り工程の負荷が現状よりもさらに増大する。
【0007】
一方、機械的素練り工程の負荷を少しでも軽減するための手法として、素練りの度合いを小さくする、あるいは素練りの時間を短くするという方法が考えられる。しかし、この方法では、天然ゴムの分子量を重量平均分子量Mw700,000〜Mw1,000,000程度に低下させるのが限界であり、これ以下の分子量のものは得られない。このレベルの分子量の場合、粘着テープとしての特性は満足できるものの、有機溶剤に溶解させると、かなりの高粘度となり、粘着テープ製造時において基材上に粘着剤を均一に薄層塗布することが困難となる。粘着テープを製造するにあたって、有機溶剤の使用量を考慮し、粘着剤の溶液粘度を低く抑えるためには、天然ゴムの分子量は重量平均分子量Mw700,000以下にすることが好ましい。
【0008】
従って、本発明の目的は、粘着剤用天然ゴムを煩雑な工程を経ることなく簡易な操作で効率よく製造できる方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、所望の適度な分子量を有する粘着剤用天然ゴムを簡易に製造できる方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、固形分濃度が高くても低粘度化可能な天然ゴム系粘着剤組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、未素練り天然ゴムに特定の処理を施すと、機械的素練りの工程を経ることなく、簡易に所望の分子量にまで低分子量化できること、そのため、高固形分濃度であっても低粘度の天然ゴム溶液が容易に得られ、有機溶剤の大幅低減が可能となることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、未素練り天然ゴムを有機溶剤に溶解させながらシャク解剤の作用により分子量を低下させて得られる重量平均分子量Mwが200,000〜700,000の天然ゴムの溶液からなる固形分濃度20〜75重量%の天然ゴム系粘着剤組成物を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明では、未素練り天然ゴムを、機械的素練りの工程で分子量を調整することなく、そのまま有機溶剤に溶解させながらシャク解剤(嚼解剤)の作用により分子量を低下させることにより粘着剤用天然ゴムを得る。
【0012】
使用する天然ゴムとしては、例えば、standard malaysian rubber(SMR)、standard vietnamese rubber(SVR)、リブドスモークドシート(RSS)1〜6号、ペールクレープ1〜3号などが挙げられるが、一般的な高分子量固形タイプのものであれば、これらに限定されるものではない。
【0013】
使用する有機溶剤としては、例えば、トルエン等の芳香族炭化水素;ヘプタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素などが挙げられるが、天然ゴムを溶解しうる有機溶剤であればこれに限定されない。
【0014】
前記シャク解剤とは、有機溶剤中で天然ゴム分子を化学的に切断しうる試薬のことを指す。シャク解剤としては、いわゆる素練り保進剤として知られる、o,o−ジベンズアミドジフェニルジスルフィド、2−ベンズアミドチオフェノール亜鉛塩、2−チオナフトール、チオキシレノール、ペンタクロロチオフェノールなどのジスルフィド類やメルカプタン類が好ましく、これらに金属触媒を加えたものでもよい。また、シャク解剤として、2−メルカプトベンゾチアゾールなどのチアゾール類;ベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド類、ジクミルパーオキサイドなどのジアルキルパーオキサイド類、その他の有機過酸化物等を用いてもよい。
【0015】
特殊なシャク解剤として、前記のシャク解剤の分子中に、水酸基、カルボキシル基などの反応性官能基を含有させた化合物(以下、「官能基導入性シャク解剤」と称する)を用いてもよい。これらは単独で用いてもよいし、前記の一般的なシャク解剤と任意の混合比で併用してもよい。このような官能基導入性シャク解剤を用いて天然ゴムをシャク解することにより、天然ゴム分子鎖中に反応性官能基を導入することができる。
【0016】
官能基導入性シャク解剤のうち、水酸基を含有するものの例としては、2−ヒドロキシジフェニルジスルフィド、2−ヒドロキシエチルジスルフィド、メルカプトフェノール、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール等が挙げられるが、前記の一般的なシャク解剤の分子中に水酸基を含有する構造のものであれば、この限りではない。
【0017】
官能基導入性シャク解剤のうち、カルボキシル基を含有するものの例としては、メルカプト安息香酸、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸等が挙げられるが、前記の一般的なシャク解剤の分子中にカルボキシル基を含有する構造のものであれば、この限りではない。
【0018】
また、官能基導入性シャク解剤として、無水マレイン酸等のカルボン酸無水物を用いてもよい。無水マレイン酸等と前記のシャク解剤とを任意の混合比で併用することで、天然ゴム分子鎖中に無水酸基を導入することができる。
【0019】
粘着剤用天然ゴムは、例えば、天然ゴム、有機溶剤、シャク解剤、及び必要に応じて適当な添加剤を所定の配合比で溶解槽中に投入し、所定の反応温度で所定時間攪拌することにより得られる。溶解槽としては、一般に溶解工程に用いられるものであれば、特に限定されない。
【0020】
シャク解剤の投入量を調節することで、天然ゴムの分子量を所望の値に制御することができる。シャク解剤投入のタイミングは、初期仕込み時に天然ゴムなどと同時に投入してもよく、任意のタイミングで投入しても良い。また、初期と反応途中に分割して投入してもよい。このタイミングによっても、目標とする天然ゴムの分子量を制御することができる。
【0021】
反応温度は、用いるシャク解剤の種類、目標とする天然ゴムの分子量によって適宜選択できるが、通常70℃以上であり、就中80〜120℃が好ましい。攪拌・反応時間は、天然ゴムが完全に溶解して未溶解固形分がすべてなくなり、かつ所定の分子量まで低下できるまでの時間とする。
【0022】
本発明のプロセスにより、初期は固形分であった高分子量の未素練り天然ゴムは、有機溶剤に溶解すると同時に、シャク解剤と熱エネルギーなどにより化学的に分子を切断され、粘着剤に適した所望の分子量(例えば、重量平均分子量Mwが700,000以下)の天然ゴムの溶液を調製することができる。
【0023】
天然ゴムのシャク解反応には、通常酸素が必要であることは公知の事実であるが、本発明においても、反応系中に空気を吹き込むことで、シャク解反応を促進させることが可能である。本発明の方法を、高固形分濃度で実施する場合、分子量を大きく低下させる必要があるため、空気を吹き込むことが好ましい。
【0024】
本発明で調製される天然ゴム溶液の粘度は、シャク解剤、反応温度、反応時間、酸素濃度などをパラメータとして天然ゴムの分子量をコントロールすることにより、自由に調整することができるが、例えば、B型粘度計30℃粘度で80Pa・s以下、好ましくは40Pa・s以下とすることにより、そのまま粘着剤組成物に利用できる。
【0025】
本発明の天然ゴム系粘着剤組成物は、上記本発明の方法により得られた重量平均分子量Mwが700,000以下(例えば、200,000〜700,000)の天然ゴムからなる。
【0026】
粘着テープ製造工程において、天然ゴム系粘着剤組成物を基材上に均一に薄層で塗布するには、B型粘度計30℃粘度で80Pa・s以下、好ましくは40Pa・s以下であることが望ましい。粘着剤中の天然ゴムの重量平均分子量Mwが700,000を超える場合には、溶液粘度を40Pa・s以下にするためには、固形分濃度を20重量%以下にしなければならず、多量の有機溶剤が必要となるため好ましくない。
【0027】
天然ゴム系粘着剤組成物は、前記方法により得られた天然ゴム溶液に、必要に応じて粘着性付与剤や、架橋剤、軟化剤、老化防止剤、充填剤等の慣用の添加剤を添加し、必要により濃度調整することにより製造できる。
【0028】
粘着性付与剤としては、特に限定されず、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油樹脂(脂肪族系、芳香族系、脂環式系)、クマロン・インデン樹脂、スチレン系樹脂などが挙げられる。粘着性付与剤の使用量は、天然ゴム100重量部に対して、例えば5〜180重量部、好ましくは70〜130重量部程度である。
【0029】
天然ゴム系粘着剤組成物の固形分濃度は、目標とする溶液粘度と天然ゴムの分子量により自動的に決まるが、全世界的な環境問題に鑑みると、溶剤の使用量を極力少なくする必要があり、固形分濃度20重量%以上(例えば、20〜75重量%程度)であることが望ましい。
【0030】
なお、前記方法において、シャク解後の天然ゴム分子量を低くすれば、その分、低粘度、高固形分濃度化ができ、有機溶剤の削減に寄与することができる。このような低粘度かつ高固形分濃度化を志向する場合、シャク解剤として、上述の官能基導入性シャク解剤を用いるのが好ましい。通常、天然ゴムの分子量が低くなると、粘着剤の凝集力が低下する傾向にあるが、官能基導入性シャク解剤を用いて天然ゴム分子に反応性官能基を導入すると、かなりの低分子量であっても、架橋剤によって分子鎖を効率的に延長することが可能であるため、例えば凝集力などに関し、より高分子量品に近い粘着テープ特性を実現することができる。
【0031】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0032】
実施例1
フラスコ内に、天然ゴム(SMR)100重量部、シャク解剤(ノクタイザーSZ、大内新興化学(株)製)0.3重量部、及びトルエン233重量部を投入して、80℃で10時間攪拌し、シャク解天然ゴム溶液を得た。この天然ゴム溶液に、粘着性付与剤(YSレジンPX1000、ヤスハラケミカル(株)製)100重量部を添加して、天然ゴム系粘着剤溶液を調製した。
調製した天然ゴム系粘着剤溶液について、B型粘度計を用いて30℃粘度を、加熱減量法により固形分ベースをそれぞれ測定した。また、天然ゴムの分子量をGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定した。これらの結果を表1に示した。
この天然ゴム系粘着剤溶液に、イソシアネート系架橋剤(ミリオネートMTL、日本ポリウレタン工業(株)製)4重量部を加えて、厚さ40μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム上に塗布し、有機溶剤を熱風で揮散させて、厚さ25μmの粘着剤層を有する天然ゴム系粘着テープを作製した。
作製した粘着テープを、25mm幅に切り出し、ステンレス板上に貼りつけ、重さ2kgのゴムローラーで1往復圧着し、室温で30分放置後、対ステンレス板180°剥離試験を実施し、粘着テープの対ステンレス板接着力を評価した。評価の結果を表2に示した。
また、作製した粘着テープを、ステンレス板上に25mm×25mmの面積になるように貼りつけ、重さ2kgのゴムローラーで1往復圧着し、40℃中で30分放置後、40℃中で2kgの荷重を掛け、40℃での対ステンレス板クリープ試験を実施した。粘着テープが落下するまでの保持時間を評価した。評価の結果を表2に示した。
また、同様に、作製した粘着テープを、ステンレス板上に25mm×25mmの面積になるように貼りつけ、重さ2kgのゴムローラで1往復圧着した後、23℃中で30分放置後、23℃中で2kgの荷重を掛け、23℃での対ステンレス板クリープ試験を実施した。試験開始30分経過後の粘着テープのズレ距離を評価した。評価の結果を表2に示した。
【0033】
実施例2
フラスコ内に、天然ゴム(SMR)100重量部、シャク解剤(ノクセラーM、大内新興化学(株)製)1.0重量部、トルエン163重量部を投入して、微量の空気を吹き込みながら、90℃で10時間攪拌し、シャク解天然ゴム溶液を得た。この天然ゴム溶液に、粘着性付与剤(YSレジンPX1000、ヤスハラケミカル(株)製)100重量部を添加して、天然ゴム系粘着剤溶液を調製した。
調製した天然ゴム系粘着剤溶液について、実施例1と同様の方法で、粘度、固形分ベースを測定した。また、天然ゴムの分子量を実施例1と同様の方法で測定した。結果を表1に示した。
また、実施例1と同様の方法で、粘着テープを作製し、対ステンレス板180°剥離試験、対ステンレス板クリープ試験を実施した。評価の結果を表2に示した。
【0034】
実施例3
フラスコ内に、天然ゴム(SMR)100重量部、シャク解剤(ノクタイザーSZ、大内新興化学(株)製)0.1重量部、トルエン400重量部を投入して、90℃で8時間攪拌し、シャク解天然ゴム溶液を得た。この天然ゴム溶液に、粘着性付与剤(YSレジンPX1000、ヤスハラケミカル(株)製)100重量部を添加して、天然ゴム系粘着剤溶液を調製した。
調製した天然ゴム系粘着剤溶液について、実施例1と同様の方法で、粘度、固形分ベースを測定した。また、天然ゴムの分子量を実施例1と同様の方法で測定した。結果を表1に示した。
この天然ゴム系粘着剤溶液に、イソシアネート系架橋剤(コロネートL、日本ポリウレタン工業(株)製)6重量部を加えて、厚さ40μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム上に塗布し、有機溶剤を熱風で揮散させ、厚さ25μmの粘着剤層を有する天然ゴム系粘着テープを作製した。
この粘着テープについて、実施例1と同様の方法で、対ステンレス板180°剥離試験、対ステンレス板クリープ試験を実施した。評価の結果を表3に示した。
【0035】
比較例1
天然ゴム(RSS1級)を、あらかじめオープンロールに数回通して、軽度な機械的素練りを行い、天然ゴムの分子量を低下させた。
この素練り天然ゴムを100重量部、及びトルエン1000重量部をフラスコに投入して、シャク解剤は加えずに、80℃で8時間攪拌して溶解し、天然ゴム溶液を得た。この天然ゴム溶液に、粘着性付与剤(YSレジンPX1000、ヤスハラケミカル(株)製)100重量部を添加して、天然ゴム系粘着剤溶液を調製した。
調製した天然ゴム系粘着剤溶液について、実施例1と同様の方法で粘度、固形分ベースを測定した。また、天然ゴムの分子量を実施例1と同様の方法で測定した。結果を表1に示した。
この天然ゴム系粘着剤溶液に、イソシアネート系架橋剤(コロネートL、日本ポリウレタン工業(株)製)4重量部を加えて、厚さ40μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム上に塗布し、有機溶剤を熱風で揮散させ、厚さ25μmの粘着剤層を有する天然ゴム系粘着テープを作製した。
この粘着テープについて、実施例1と同様の方法で、対ステンレス板180°剥離試験、対ステンレス板クリープ試験を実施した。評価の結果を表2及び表3に示した。
【0036】
【表1】
Figure 0004400977
【0037】
【表2】
Figure 0004400977
【0038】
【表3】
Figure 0004400977
【0039】
次に、実施例1、実施例2、実施例3、比較例1の天然ゴム系粘着剤溶液について、測定した固形分ベースから、同一量の粘着テープを製造する場合に必要なトルエン使用量を算出した。比較例1でのトルエン使用量を100とした場合の、実施例1、実施例2及び実施例3のトルエン使用量を表4に示した。
【0040】
【表4】
Figure 0004400977
【0041】
比較例1の製造方法おいて、オープンロールによる軽度な機械的素練り工程を実施したが、素練りの度合いを小さくしたとはいえ、重量物である天然ゴムのブロックをロールに通す作業は、エネルギーを消費するだけでなく、作業者にとって大きな負担となることは言うまでもない。また、オープンロールで素練りした直後の薄板状の天然ゴムは、重ね置きすると融着してしまうので、薄板1枚毎に剥離シートを挟み込み、天然ゴム同士の接触を防止する必要がある。また、次工程でゴムを溶解する際に剥離シートを剥離して廃棄する必要がある。前述したように、この剥離シートの使用は、作業工数の増加や産業廃棄物の排出の問題上好ましくない。
【0042】
一方、本発明の製造方法による実施例1、実施例2、実施例3では、機械的素練りの工程を経ることがないので、上記のような問題点は解決する。
表1に示されるように、実施例1、実施例2、実施例3と比較例1の天然ゴム系粘着剤の溶液粘度の値は、すべて20Pa・sで同じであったが、分子量が大きく異なっており、比較例1の天然ゴムの分子量Mwは700,000を上回っていた。
【0043】
粘着テープの特性面では、表2に示したように、実施例1、実施例2の場合と、比較例1の場合でほぼ同等であり、本発明の製造方法を用いた場合でも、従来の方法で作製した粘着テープと同等の特性が得られていることがわかる。なお、実施例においては、天然ゴムの分子量が低いが、架橋剤の種類を選択することにより、粘着テープとして必要な特性を損なうことはなかった。
また、表3に示されるように、実施例3では、粘着剤の柔軟性、凝集性などのバランスが良く、比較例1に比べて、より良好な粘着特性を得ることができている。
【0044】
有機溶剤の使用量については、実施例1、実施例2及び実施例3と比較例1とでは、かなり大きく異なっている。すなわち、比較例1の場合の固形分ベースは17重量%と、実施例1、実施例2及び実施例3の場合の固形分ベースに比べて非常に低く、表4に示した同一量の粘着テープを製造する場合のトルエン使用量が非常に多い。比較例1のように、軽度な機械的素練りにより、重量平均分子量Mwを700,000以下まで低下させることができなかった場合、粘度を20Pa・sのレベルにするには、粘着剤の固形分ベースが20重量%以下となってしまい、多量の有機溶剤が必要となることがわかる。一方、実施例1、実施例2及び実施例3の場合、表4に示したトルエン使用量は、比較例1の使用量に対して極めて少ない値となっている。本発明の製造方法により天然ゴムの分子量を低下させれば、スムーズに低粘度で高固形分ベースの粘着剤溶液を製造することができ、有機溶剤を大きく削減することが可能であることがわかる。
【0045】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、天然ゴムの機械的素練りの工程を経ることなく、粘着剤に適した重量平均分子量Mwが700,000以下の任意の分子量の天然ゴム系粘着剤溶液を製造することができる。機械的素練り工程を省くことができる本発明の製造方法は、製造コスト面、作業面、環境面のすべてにおいて非常に有効なものである。
また、天然ゴムの分子量をより低下させれば、低粘度かつ高固形分濃度の天然ゴム系粘着剤を製造することができ、架橋剤の種類を適宜選択することにより、粘着テープとして必要な特性を損なうことなく、有機溶剤の大幅削減を実現することができる。
さらに、天然ゴムの分子量を任意にコントロールすることができるため、テープ特性に合わせて分子量をパラメータとした粘着剤の設計が容易にできる。

Claims (1)

  1. 未素練り天然ゴムを有機溶剤に溶解させながらシャク解剤の作用により分子量を低下させて得られる重量平均分子量Mwが200,000〜700,000の天然ゴムの溶液からなる固形分濃度20〜75重量%の天然ゴム系粘着剤組成物。
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