JP4395647B2 - ホスホン酸ジエステル誘導体 - Google Patents

ホスホン酸ジエステル誘導体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホスホン酸ジエステル誘導体およびその医薬用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明者らの研究グループは、以前より、医薬品分野で有用なホスホン酸ジエステル誘導体につき検索、検討を進める過程で、優れた脂質低下作用、白内障予防及び治療作用、血糖低下作用などを有する一連の化合物を見出し、この知見に基づく発明を完成した(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特許第2787407号明細書
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、更に優れた高脂血症治療効果を奏し得、しかも副作用が少なく、医薬品分野で有用な化合物を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、引き続く研究において、前記一連の化合物を示す一般式には属するが、その明細書中に具体的な開示のない特定の一つの化合物が、該明細書に具体的に記載された化合物および該一般式に属する他の化合物に比して、殊に卓越した高脂血症治療効果を奏し得、しかもその副作用が非常に少ないという新しい知見を得た。本発明は、この知見を基礎として、更に検討を重ねて完成されたものである。
【0006】
本発明は、下式(1)で表されるジエチル 4-[(4-(4-クロロフェニル)-5-メチルチアゾール-2-イル)カルバモイル]ベンジルホスホナート(以下「本発明化合物」ということがある)またはその製剤学的に許容される酸付加塩を提供する。
【0007】
【化2】
Figure 0004395647
【0008】
また本発明は、本発明化合物およびその製剤学的に許容される酸付加塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の有効量を製剤学的に許容される担体と共に含有する医薬組成物、特に高脂血症治療剤である該医薬組成物を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明化合物は、前記特許文献1に記載の方法に従って製造することができる。具体的製造法の一つを反応工程式-1として挙げて、以下に詳述する。
【0010】
【化3】
Figure 0004395647
【0011】
反応工程式-1に示すアミン化合物(2)とカルボン酸化合物(3)との縮合反応は、一般に適当な溶媒中、縮合剤の存在下に実施することができる。
【0012】
原料化合物であるアミン化合物(2)は、例えば後記実施例1の(1)に示される方法で製造することができる。また、カルボン酸化合物(3)は、公知で入手容易な化合物である。
【0013】
縮合反応に用いられる溶媒としては、公知の非プロトン性溶媒、例えばN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)を好ましく利用できる。縮合剤としては、公知の各種のもの、例えばN,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、N-ヒドロキシコハク酸イミド、ジエチルリン酸シアニド、ジフェニルリン酸アジドなどを好ましく利用できる。カルボン酸化合物(3)に対するアミン化合物(2)の使用割合は、通常、等モル量から過剰量、好ましくは等モル量程度とするのがよい。縮合剤は、カルボン酸化合物(3)に対して等モル量から過剰量、好ましくは小過剰量とするのがよい。反応は、氷冷下から室温付近の温度条件下に、約0.5-2時間で完結する。
【0014】
また、本発明化合物は、下記反応工程式-2として挙げる方法によっても製造することができる。
【0015】
【化4】
Figure 0004395647
【0016】
反応工程式-2に示す方法によれば、アミン化合物(2)と公知のカルボン酸ハロゲン化物(4)との反応によって、本発明化合物(1)を得ることができる。該反応は、一般に適当な溶媒中、脱酸剤の存在下に実施することができる。
【0017】
脱酸剤としては、反応に悪影響を与えない公知の各種のものをいずれも使用することができる。その具体例としては、トリエチルアミン、N,N-ジエチルアニリン、N-メチルモルホリン、ピリジン、4-メチルアミノピリジンなどの第三級アミン類を好ましく例示できる。溶媒としては、公知の各種のもの、例えばトルエン、キシレン、石油エーテルなどの芳香族乃至脂肪族炭化水素類、ジエチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサンなどの鎖状乃至環状エーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、アセトフェノンなどのケトン類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類を例示できる。
【0018】
カルボン酸ハロゲン化物(4)の使用割合は、アミン化合物(2)に対して、通常、等モル量から過剰量とするのがよい。脱酸剤は、カルボン酸ハロゲン化物(4)に対して等モル量から過剰量とするのが好適である。反応は、氷冷下、室温下および加熱下のいずれでも進行する。通常、室温付近から溶媒の還流温度範囲の条件下に行われるのがよく、一般に、約0.5-10時間で終了する。
【0019】
前記反応工程式に示す反応に従い得られる目的化合物は、通常の分離手段により容易に単離精製できる。該手段としては、例えば吸着クロマトグラフィー、プレパラティブ薄層クロマトグラフィー、再結晶、溶媒抽出などを例示することができる。
【0020】
得られる本発明化合物は、常法に従いこれに適当な酸を付加反応させ、製剤学的に許容される酸付加塩の形態とすることができ、該酸付加塩も本発明の範囲に含まれる。酸付加塩の形成のための酸としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸などの無機酸、蓚酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、p-トルエンスルホン酸などの有機酸を挙げることができる。かくして得られる酸付加塩も、遊離形態の本発明化合物と同等の薬効を有しており、同様に医薬品分野で有用である。
【0021】
本発明化合物(その塩を含む、以下同じ)は、優れた高脂血症治療作用を有しており、高脂血症治療剤として有用である。殊に、本発明化合物は、構造上類似する既知の各化合物と対比して、高脂血症治療効果において卓越するに加えて、例えば心臓肥大、肝臓肥大などの臓器重量を変化させる副作用が非常に少ない特徴を有している。即ち、該化合物はその投与によっても心臓や肝臓への負担を実質的に増加させるおそれがなく、この点からも安全性の高いものである。
【0022】
本発明は、本発明化合物の有効量を製剤学的に許容される担体と共に含有する医薬組成物、特に高脂血症治療剤をも提供する。
【0023】
本発明医薬組成物は、一般的な医薬製剤の形態として実用される。該組成物に利用される上記製剤学的に許容される担体としては、通常使用される希釈剤乃至賦形剤を例示できる。該担体は、製剤の使用形態に応じて適宜選択使用することができる。これには、例えば充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤などが含まれる。
【0024】
本発明医薬組成物の投与単位形態としては、各種の形態が治療目的に応じて選択できる。その代表的なものとしては、錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、坐剤、注射剤(液剤、懸濁剤など)などが挙げられる。
【0025】
錠剤の形態に成形するに際しては、上記製剤学的に許容される担体として、例えば、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸、リン酸カリウムなどの賦形剤;水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどの結合剤;カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ナミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウムなどの崩壊剤;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリドなどの界面活性剤;白糖、ステアリン、カカオバター、水素添加油などの崩壊抑制剤;第4級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウムなどの吸収促進剤;グリセリン、デンプンなどの保湿剤;デンプン、乳糖、カオリン、ベンナイト、コロイド状ケイ酸などの吸着剤;精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコールなどの滑沢剤などを使用できる。更に、錠剤は、必要に応じ通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠または二重錠、多層錠とすることができる。
【0026】
丸剤の形態に成形するに際しては、製剤学的に許容される担体として、例えば、ブドウ糖、乳糖、デンプン、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルクなどの賦形剤;アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノールなどの結合剤;ラミナラン、カンテンなどの崩壊剤などを使用できる。
【0027】
坐剤の形態に形成するに際しては、製剤学的に許容される担体として、例えば、ポリエチレングリコール、カカオ脂、高級アルコール、高級アルコールのエステル類、ゼラチン、半合成グリセライドなどを使用できる。
【0028】
カプセル剤は、常法に従い、通常本発明化合物を上記で例示した各種の製剤学的に許容される担体と混合して、硬質ゼラチンカプセル、軟質ゼラチンカプセルなどの充填して調製される。
【0029】
液剤、乳剤、懸濁剤などの注射剤として調製される場合、これらは殺菌され且つ血液となど張であるのが好ましく、これらの形態にするに際しては、希釈剤として、例えば、水、エタノール、マクロゴール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどを使用できる。尚、この場合、など張性の溶液を調製するに充分な量の食塩、ブドウ糖またはグリセリンを医薬製剤中に含有させてもよく、また通常の溶解補助剤、緩衝剤、無痛化剤などを添加してもよい。
【0030】
更に、本発明医薬組成物中には、必要に応じて着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤などや他の医薬品を含有させ、医薬製剤として調製することもできる。
【0031】
本発明医薬組成物中に含有されるべき本発明化合物(有効成分化合物)の量は、特に限定されず広範囲より適宜選択される。通常、本発明化合物(有効成分化合物)は医薬組成物中に、約0.5-90重量%、好ましくは約1-85重量%程度含有されるのがよい。
【0032】
上記医薬製剤の投与方法は、特に制限がなく、各種製剤形態、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度などに応じて決定される。例えば、錠剤、丸剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤およびカプセル剤は経口投与され、注射剤は単独でまたはブドウ糖、アミノ酸などの通常の補液と混合して静脈内に、或いは筋肉内、皮内、皮下または腹腔内に投与され、坐剤は直腸内投与される。
【0033】
上記医薬製剤の投与量は、その用法、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度などにより適宜選択される。通常、成人に対しては、有効成分である本発明化合物の量が1日当たり体重1kg当たり約0.5-20mg程度、好ましくは1-10mg程度とするのがよく、該製剤は1日に1回または2-4回に分けて投与することができる。
【0034】
【実施例】
以下、本発明を更に詳しく説明するため、本発明化合物の製造のための原料化合物の製造例および本発明化合物の製造例を実施例として挙げる。また、本発明化合物につき行われた薬理試験例を挙げる。
【0035】
各例において、1H-NMRは、特に明示しない限りクロロホルム-d1(CDCl3)溶媒中、内部標準としてテトラメチルシラン(TMS)を用いて測定したものである。
【0036】
【実施例1】
(1) 2-アミノ-4-(4-クロロフェニル)-5-メチルチアゾール(原料化合物)の製造 4'-クロロプロピオフェノン169gと塩化アルミニウム2.7gとをクロロホルム1000mLに溶解させ、氷冷撹拌下に臭素168gをゆっくりと滴下した。氷冷下で更に1時間撹拌後、反応混合物を氷水500mLに注ぎ込んだ。クロロホルム層を分液し、飽和重曹水500mLおよび飽和食塩水500mLで順次洗浄した後、硫酸マグネシウム上で乾燥した。溶媒を減圧留去して、4'-クロロ-2-ブロモプロピオフェノンを得た。
【0037】
このものを精製することなく、エタノール1000mLとチオ尿素77gとを加え、70℃で12時間撹拌した。溶媒を減圧留去後、酢酸エチル1000mLと2N水酸化ナトリウム水溶液800mLとを加えて分液した。酢酸エチル層を硫酸マグネシウム上で乾燥後、減圧下に溶媒を留去した。得られた粗結晶をジエチルエーテル-n-ヘキサンより再結晶して、2-アミノ-4-(4-クロロフェニル)-5-メチルチアゾール187gを得た。
(2) ジエチル 4-[(4-(4-クロロフェニル)-5-メチルチアゾール-2-イル)カルバモイル]ベンジルホスホナート(本発明化合物)の製造
4-[(ジエトキシホスホリル)メチル]ベンゾイル クロリド131gの塩化メチレン500mL溶液に、氷冷撹拌下に、上記(1)で得た2-アミノ-4-(4-クロロフェニル)-5-メチルチアゾール100gのピリジン400mL溶液をゆっくりと滴下した。室温で12時間撹拌後、水500mLを加えて減圧下に塩化メチレンを留去して粗結晶を得たた。この粗結晶をエタノールより再結晶して、標記化合物の無色結晶138gを得た。
【0038】
融点;173.5-174.5℃
1H-NMR (CDCl3) δ 1.25(t, J=7.1Hz, 6H), 2.51(s, 3H), 3.20(d, J=22.0Hz, 2H), 4.0-4.1(m, 4H), 7.33(d, J=8.7Hz, 2H), 7.38(dd, J=2.1Hz, 7.9Hz, 2H), 7.48(d, J=8.7Hz, 2H), 7.83(d, J=7.9Hz, 2H), 10.26(brs, 1H)
【0039】
【薬理試験例1】
LDL-R量増加効果試験
培養細胞の細胞表面上の低密度リポ蛋白受容体(LDL-R)量を、バイシーゲルらの方法(Beisiegel, U., et al., J. Biol. Chem., 256, 11923 (1981))を改良した以下の方法により定量した。この方法は、培養プレート上で培養している細胞をパラホルムアルデヒドで固定し、固定された細胞表面上のLDL-Rに、LDL-RのLDL結合ドメイン(細胞外領域)を認識する抗体(一次抗体)を結合させ、この抗原-抗体複合体をホースラディッシュパーオキシダーゼ標識抗IgG抗体(二次抗体)を用いて、化学発色法で検出するものである。
【0040】
具体的操作は、以下の通りである。即ち、HepG2細胞(ヒト由来肝癌細胞株)を白色96ウェルプレートに播種し、10%ウシ胎児血清含有ダルベッコー改変イーグル培地(DMEM)培養液を用いて、37℃、5%CO2インキュベーター中で24時間培養した。被験物質あるいはジメチルスルホキシド(DMSO, コントロール)を加えた10%リポ蛋白除去ウシ胎児血清含有DMEM培養液に培養液を交換し、更に24時間培養した。培養後、培養液を除き、PBS(-)で1回洗浄し、4%パラホルムアルデヒドを100μL/ウェル加え、15分間固定した。PBS(-)で洗浄後、0.1Mグリシン-PBS(-)を200μL/ウェル加え、15分間放置することで未反応のアルデヒド基を消去した。5%スキムミルク-PBS(-)を200μL/ウェル加え、30分間ブロッキングした。5%スキムミルク-PBS(-)で500倍希釈した一次抗体(PROGEN社製)を75μL/ウェル加えて3時間放置した。
【0041】
PBS(-)で2回洗浄し、5%スキムミルク-PBS(-)で1000倍希釈した二次抗体(BioSource社製)を75μL/ウェル加え、更に2時間放置した。PBS(-)で5回洗浄した後、発色液ECL Western Blotting Detection Reagents(アマシャムバイオサイエンス社製)を100μL/ウェル加え、化学発光量をルミネッセンスセンサーJNR AB-2100(アトー社製)を用いて測定した。
【0042】
測定後、細胞数を計測するために、白色96ウェルプレート付着しているHepG2細胞をクリスタルバイオレット溶液で染色した。染色された細胞を1% SDSで溶解し、マイクロプレートリーダーで570nmの吸光度を測定した。化学発光量測定値をクリスタルバイオレット染色の吸光度測定値で除した値を、細胞表面上のLDL-R量として算出した。
【0043】
コントロールの試験における上記算出値(LDL-R量)を基準(1.00)として、被験物質存在下に試験して得られた算出値(LDL-R量)をその相対値として求めた結果を、表1-6および図1(横軸:被験物質、縦軸:相対LDL-R量)に示す。
【0044】
なお、被験物質としては、本発明化合物と共に、特許文献1に実施例1-78として示された各化合物(表1-8にはその構造で示す)を用いた。これらは1×10-5および1×10-6Mの濃度で利用した。また、陽性対照として、高脂血症の治療剤として承認されたスタチン(statin)剤の一つであるアトルバスタチン(Atorvastatin, ファイザー-山之内製薬社製)を1×10-6、3×10-7および1×10-7Mの濃度で利用した(図1には1×10-6Mの場合の結果のみ表示する)。
【0045】
【表1】
Figure 0004395647
【0046】
【表2】
Figure 0004395647
【0047】
【表3】
Figure 0004395647
【0048】
【表4】
Figure 0004395647
【0049】
【表5】
Figure 0004395647
【0050】
【表6】
Figure 0004395647
【0051】
【表7】
Figure 0004395647
【0052】
【表8】
Figure 0004395647
【0053】
表1-8および図1から、次のことが明らかである。即ち、特許文献1に具体的に記載されたている化合物は、1×10-6Mの低濃度では、高脂質血症治療および予防効果の一つの指標となる、LDL-R量を増加させる作用を実質的に奏し得ず、1×10-5Mの濃度でも、数種の化合物が、コントロールの約1.5倍LDL-R量を増加させた。これに対して、本発明化合物は、1×10-6Mの低濃度でも、コントロールの約2.5ものLDL-R量増加効果を奏し得た。また、1×10-5Mの濃度では、コントロールの実に3.5倍ものLDL-R増加効果を奏し得た。
【0054】
特に、本発明化合物に認められるこの格別顕著な効果は、本発明化合物に構造的に最も近いと考えられる特許文献1の実施例31の化合物、即ち、チアゾリル骨格の4位に4-フルオロフェニル基を有する化合物(本発明化合物のクロロ基がフルオロ基に代わったもの)が、そのような優れた効果を奏し得ない事実に鑑みても、実に驚くべきことである。
【0055】
以下、この最も類似する特許文献1の実施例31の化合物を比較化合物として、本発明化合物の高脂血症治療および予防効果を明らかにするために、血中トリグリセライド量測定試験を薬理試験例2として実施した。
【0056】
【薬理試験例2】
高脂血症治療および予防効果試験
(1) 供試ラット
5週齢の雄性ラット(Spraque Dawley rat, SPF, 日本チャールス・リバー社より購入)を1週間予備飼育後、この試験に供した。供試ラットは体重別層化無作為抽出法により群分けして、1群5頭とした。
【0057】
供試ラットの飼料としては、ガンマ線放射CRF-1(オリエンタル酵母工業社製)を、水は除菌フィルターを通した水道水を、それぞれ自由摂取させた。
【0058】
(2) 被験物質
被験物質として、本発明化合物および前記文献記載の実施例31の化合物(比較化合物)を用いた。これらの各化合物を、アラビアゴム(和光純薬工業社製)と注射用蒸留水(大塚製薬社製)とを用いて作成した5%アラビアゴム水溶液に懸濁させて投与用液を調製した。投与用液は、被験物質が30mg/kgの投与量で供試動物に投与されるように調製し、その10mL/kgを投与した。なお、投与用液は、数分間超音波洗浄機にて超音波を照射した後、充分に撹拌してから利用した。
【0059】
(3) 試験方法
各群の供試動物に生理食塩水に溶解した10%トライトン(10% Triton WR-1339, Ruger CHEMICAL Co., Inc.)の3mL/kgを尾静脈内に投与し、同時に、被験物質を含む投与用液を被験物質が30mg/kg投与される量(10mL/kg)で経口投与した。
【0060】
また、対照群として、上記トライトン投与と同時に5%アラビアゴム水溶液10mL/kgを経口投与する群(1群5頭)を設けた。
【0061】
トライトン投与後、各群の供試動物を絶食させ、24時間後に腹部大動脈より採血し、血漿中のトリグリセリド(TG)量をトリグリセリドG-テストワコー(和光純薬社製)を用いて測定した。
【0062】
また、なんらの薬物も投与していないラット(正常群)についても血漿中トリグリセリド(TG)量を測定した。
【0063】
各測定値から下式により、血漿トリグリセリド(TG)低下率(%)を算出した。
【0064】
低下率(%)=[1-(T−N)/(C−N)]×100
T: 被験化合物群平均値
N: 正常群平均値
C: 対照群平均値
(4) 結果
得られた結果を下記表9に示す。
【0065】
【表9】
Figure 0004395647
【0066】
表9に示される結果から、比較化合物は、トライトン誘発高脂血症ラットのTG値を41.2%しか低下させ得ないのに対して、本発明化合物は実に82.8%も低下させ得る、非常に優れた高脂血症治療および予防効果を奏し得ることが明らかである。
【0067】
【薬理試験例3】
2週間反復経口投与毒性試験
(1) 供試ラット
5週齢の雄性ラット(Spraque Dawley rat, SPF, 日本チャールス・リバー社より購入)を1週間予備飼育後、この試験に供した。供試ラットは体重別層化無作為抽出法により群分けして、1群5頭とした。
【0068】
供試ラットの飼料としては、ガンマ線放射CRF-1(オリエンタル酵母工業社製)を、水は除菌フィルターを通した水道水を、それぞれ自由摂取させた。なお、最終投与日の午後4時以降、剖検まで絶食させた。
【0069】
(2) 被験物質
被験物質として本発明化合物および前記特許文献1記載の実施例31の化合物(比較化合物)を用いた。これら各化合物をアラビアゴム(和光純薬工業社製)と注射用蒸留水(大塚製薬社製)とを用いて作成した5%アラビアゴム水溶液に懸濁させて投与用液とした。投与用液は、被験物質が100mg/kgまたは1000mg/kgの投与量で供試動物に投与されるように調製し、その10mL/kgを投与した。なお、投与用液は、その投与に当たり、数分間超音波洗浄機にて超音波を照射した後、充分に撹拌してから利用した。
【0070】
(3) 試験方法
投与経路としては、臨床的適用経路に準じて経口経路を採用した。ラット用胃ゾンデを用いて1日1回14日間連日強制投与した。実験群には、被験物質を含む投与用液を投与した。また、対照群には5% アラビアゴム水溶液の同量(10mL/kg)を投与した。
【0071】
14日間の連続投与の翌日にエーテル麻酔下で放血致死させ、次の臓器を採取し重量を測定した。
脳、下垂体、胸腺、甲状腺(ホルマリン固定後に測定)、肺、心臓、肝臓、脾臓、膵臓、腎臓、副腎、前立腺(腹様)、精巣、精巣上体。
【0072】
(4) 統計学的処理
臓器の実重量について各群別の平均値と標準偏差を求め、対照群と各実験群との比較をDunnettの多重比較により行った。
【0073】
(5) 結果
本発明化合物および比較化合物を用いて得られた結果のうち、対照群と比較して有意な変化があったものは、以下に示す通りである。
【0074】
即ち、比較化合物の投与では、投与量100mg/kgおよび1000mg/kgの場合に、心臓重量がそれぞれ12%および18%増加した。
【0075】
心臓肥大作用は、循環器系に対し直接あるいは間接的な作用を及ぼし、その代償作用として現れた副作用と考えられる。特に、高脂血症治療剤が、虚血性心疾患などの循環器系疾病発症予防のために服用される薬剤であることを考慮すると、該薬剤のための有効成分化合物は、このような循環器系に対する副作用のできるだけ少ないものであることが望ましい。この副作用の点で、比較化合物は、高脂血症治療剤有効成分化合物として好ましいものではなく、特に、高脂血症の合併症,基礎疾患として循環器系疾患を併発している患者への適用はできない不利があることが判った。
【0076】
また、比較化合物の投与では、投与量1000mg/kgの場合に、肝臓重量が20%増加した。
【0077】
肝臓重量の増加は、薬物代謝酵素の誘導の結果と考えられ、反復投与によって薬物血中濃度の低下が考えられる。高脂血症のような慢性疾患の治療薬としては回避しなければならない副作用である。この副作用の点からも、比較化合物は高脂血症治療剤の有効成分としては好ましいものではないことが明らかとなった。
【0078】
これに対して、本発明化合物の投与では、比較化合物にみられるような心臓および肝臓に対する副作用は認められなかった。
【0079】
なお、本発明化合物の投与では、1000mg/kgの場合に、比較化合物の同量の投与の場合には認められなかった胸腺重量の低下が確認されたが、この作用は、ストレスなどの環境要因でも起こる変化であり、毒性学的意義はないと考えられる。
【0080】
以下、本発明化合物を利用した製剤例を挙げる。
【0081】
【製剤例1】
錠剤の調製
有効成分として本発明化合物を1錠当たり300mg含有する錠剤(2000錠)を、次の処方により調製した。
本発明化合物 600g
乳糖(日本薬局方品) 67g
コーンスターチ(日本薬局方品) 33g
カルボキシメチルセルロースカルシウム 25g
(日本薬局方品)
メチルセルロース(日本薬局方品) 12g
ステアリン酸マグネシウム(日本薬局方品) 3g
上記処方に従い、本発明化合物、乳糖、コーンスターチおよびカルボキシメチルセルロースカルシウムを充分に混合し、メチルセルロース水溶液を用いて混合物を顆粒化し、24メッシュの篩を通し、これをステアリン酸マグネシウムと混合して、錠剤にプレスして目的の錠剤を得た。
【0082】
【製剤例2】
カプセル剤の調製
有効成分として本発明化合物を1カプセル当たり200mg含有する硬質ゼラチンカプセル(2000カプセル)を、次の処方により調製した。
本発明化合物 400g
結晶セルロース(日本薬局方品) 60g
コーンスターチ(日本薬局方品) 34g
タルク(日本薬局方品) 4g
ステアリン酸マグネシウム(日本薬局方品) 2g
上記処方に従い、各成分を細かく粉末にし、均一な混合物となるように混合した後、所望の寸法を有する経口投与用ゼラチンカプセルに充填して、目的のカプセル剤を得た。
【図面の簡単な説明】
【図1】薬理試験例1に従って求められた各供試物質の低密度リポ蛋白受容体量を示すグラフである。

Claims (3)

  1. 下式
    Figure 0004395647
    で表されるジエチル 4-[(4-(4-クロロフェニル)-5-メチルチアゾール-2-イル)カルバモイル]ベンジルホスホナートまたはその製剤学的に許容される酸付加塩。
  2. 請求項1に記載の化合物およびその製剤学的に許容される酸付加塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の有効量を製剤学的に許容される担体と共に含有する医薬組成物。
  3. 高脂血症治療剤である請求項2に記載の医薬組成物。
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