JP4392071B2 - 誘導性センサを有する書類確認器 - Google Patents
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、一般に、誘導性センサを有する書類確認器に関する。
【0002】
【従来の技術】
書類、たとえば紙幣は、偽造の検出および防止を助けるための磁気的または他の金属的“サイン" を含むことがある。たとえば、磁気特性を有するインクや染料が紙幣に印刷されている。したがって、種々の米国紙幣の中央に現われる肖像は、もっぱら磁気インクで印刷されている。同様に、米国紙幣の印刷輪郭を形成する型彫りは、磁気インクで印刷されている。磁気特性は、本物の紙幣と関連する、限定された磁気サインまたはパターンを発生するように制御されている。
【0003】
このような磁気特性は、たとえば銀行券または紙幣確認器で検出することができる。紙幣確認器の中には、確認器に挿入された紙幣または他の書類と関連する磁気サインを、挿入された書類を磁気ヘッドまたはセンサに押し付けることによって検出するものがある。磁気センサが書類と接触すると、センサは、インクによって生じた磁界を検出する。検出された磁界は、挿入された書類の有効性を判定するのに使用される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、紙幣または他の書類との連続的な接触の結果、磁気ヘッドには、ごみまたは他のくずがくっつく。くずは、磁気ヘッドを汚し、磁気ヘッドが定期的に掃除されない場合は確認器の性能を劣化させることがある。また、使い古しの紙幣や破損した紙幣を扱う確認器の能力は、紙幣を確認するために書類との接触が必要とされる場合低下することがある。また、紙幣は、センサに押し付けられるときに加えられる力が大きすぎると、確認器の通路に詰まった状態になることがある。
【0005】
非接触磁気センサの使用が望ましいが、紙幣からのセンサの距離が増すにつれて、磁界の強度は減少するという事実が、従来、銀行券または紙幣確認器似おける非接触磁気センサの使用を制限していた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
一般に、一態様では、書類確認器は、書類が運ばれる書類通路と、書類の特徴を検出する誘導性センサとを含む。センサは、書類通路の平面の第1の側部に配置された第1の誘導性素子と、書類通路の平面の第2の側部に配置された第2の誘導性素子とを備えている。誘導性センサの出力に接続された回路は、挿入された書類の存在、真正性および金種のうちの少なくとも1つの判定に関連する信号を処理する。
【0007】
他の態様によれば、書類の特徴を調べる方法は、書類を通路に沿って運ぶことと、誘導性センサを使用して書類の特徴を検出することを含む。誘導性センサは、通路の平面の第1の側に配置された第1の誘導性素子と、通路の平面の第2の側に配置された第2の誘導性素子とを含む。センサの出力からの信号は、書類の存在、真正性および金種のうちの少なくとも1つを判定するように処理される。
【0008】
種々の実行は、以下の特徴の1つまたはそれ以上を含む。誘導性センサは、トランス結合発振器を含むことができる。第1および第2の誘導性素子は、ポットコアなどのフェライトコアに巻かれたコイルを含むことができる。センサは、挿入された書類の磁気特徴、たとえば磁気インク、または書類の伝導性特徴、たとえば秘密保護線を検出することができる。発振器は、センサの感度を周波数または振幅変化のどちらかを最大限に利用するように選択することができる共振周波数を持つことができる。
【0009】
誘導性センサは、書類に物理的に接触することなく書類の特徴を検出するように配置される。たとえば、誘導性素子は、書類通路から少なくとも数10ミリメートルに配置される。さらに、誘導性素子は、書類通路の各側に実質的に互いに対向して配置される。確認器は、上部ハウジングと下部ハウジングを含むことができる。一方の誘導性素子は、上部ハウジング内に配置され、他方の誘導性素子は、下部ハウジング内に配置される。誘導性素子は、書類通路に沿った進行方向と平行な書類の側縁の近くで磁気または伝導性特徴を検出するように配置される。
【0010】
回路は、センサ出力の信号の周波数または振幅変化を検出するように構成される。さらに、確認器は、センサのバイアス電圧を制御するために自動利得制御回路を含むことができる。
【0011】
プロセッサまたは他のコントローラは、センサから取得したデータを少なくとも1つの統計的に決定されたスレショールドと比較して、書類の真正性を判定することができる。また、プロセッサは、センサから取得したデータを1つまたはそれ以上のパターンと比較することもできる。このパターンは、真正の書類に対応し、また、書類が比較に基づいて真正であるか否かを判定するためのものである。いくつかの実施例においては、書類のバイナリ磁気パターンを検出することができる。検出されたパターンは、記憶されているパターンと比較され、書類の真正性および金種が判定される。
【0012】
いくつかの実施例においては、データは、書類通路に書類がある場合ばかりでなく書類通路に書類がない場合もセンサから取得される。書類がないときとあるときのデータを併用する演算動作が実行される。書類の真正性および金種のうちの少なくとも1つは、演算動作の結果に基づいて判定される。
【0013】
1つの確認器に、2つまたはそれ以上の誘導性センサを使用することができる。種々の誘導性センサの細部、たとえば寸法、発振周波数または他の特徴は、特定の実施例に依存して違っても良い。
【0014】
種々の実施例は、以下の利点の1つまたはそれ以上を提供する。書類の磁気および伝導特性に対する感度の増加が達成される。確認器は、改善された精度で使い古しの書類や破損した書類を検出することができる。紙幣または他の書類の磁気および伝導特徴は、紙幣をセンサに押し付けることなくかつ紙幣とセンサの接触を必要とすることなく検出することができる。さらに、共振回路は、地球の磁場等の磁界を漂遊するのに比較的耐性がある。センサと紙幣通路間のギャップは、紙幣が確認器内で詰まった状態になる見込みを減らし、またセンサの摩損を減らすように増やすことができる。
【0015】
センサを、その上に磁気物質を有する米国紙幣等の書類を検出するように、またはその中に埋め込まれた伝導性秘密保護線を有するヨーロッパ紙幣等の書類を検出するように調整するために、広範囲の動作周波数を使用することができる。さらに、検出および処理回路は、周波数、振幅またはその両方の変化を検出して、確認器の紙幣通路内のこのような書類の存在ばかりでなく、書類の真正性および金種も判定することができる。
【0016】
他の特徴および利点は、以下の説明、図面および請求の範囲から明らかになるだろう。
【0017】
【実施例】
図1に示されるように、模範的な紙幣確認器2は、確認部4と、移送および積重ね部6と、カセット部8とを含む。確認器2を通る紙幣または他の書類の通路は、点線12で示される。確認器2の種々の特徴および細部は、たとえば、本発明の譲受人に譲渡され、ことごとく参照によりここに含まれる米国特許第5,632,367号に開示されている。
【0018】
紙幣通路12の一方の側、たとえば紙幣通路の上方にある移送装置は、各ベルト20,22で駆動ローラー14に接続された駆動ローラー16,18の多数ペアを含む。通路12の対向する側にあるバネ付勢されたローラー24,26,28のペアは、駆動ローラー18,20に押し付けられ、紙幣の移動方向に平行な紙幣の側縁をはさみ込む。
【0019】
確認器2の確認部4に挿入された紙幣10は、ローラー18,24で係合され、多数の確認センサを通過して運ばれる。紙幣10は、ローラー16,26に進められ、次いで湾曲部30を上がってローラー28に進められる。紙幣10は、受け入れ可能な場合ローラー14に運ばれる。ローラー14は、紙幣10を紙幣通路12の終わりのカセット8内に積重ねるための位置まで運ぶ。紙幣10が受け入れできない場合は、マイクロプロセッサなどの制御および処理回路で制御されるモータ(図示しない)が逆回転し、紙幣が排除される。
【0020】
確認部4は、紙幣入り口36を限定する下部ハウジング32と上部ハウジング34を含む。ハウジング32,34は、確認器2に挿入された紙幣の存在を検出するとともに、紙幣の真正性および金種を判定するために使用される紙幣の種々の特徴を検出するための複数の光センサ(図示しない)を含む。
【0021】
また、確認部4は、誘導性センサ38を含む。センサ38は、たとえば光センサに近く、換言すればローラー18,24および16,26間に配置される。図2に示されるように、誘導性センサ38は、トランス結合発振器を含む。発振器は、紙幣通路12で形成される平面の一方の側にある第1の誘導性素子40と、紙幣通路平面の対向する側にある第2の誘導性素子42からなる。図2に示される実施例では、第1の誘導性素子40の一方の端部は、トランジスタ44のベース46に接続され、他方の端部は、バイアス電圧(VBIAS)に接続される。容量素子52は、第1の誘導性素子40と並列に接続される。第2の誘導性素子42の一方の端部は、抵抗素子60と同軸ケーブル61を介してトランジスタ44のコレクタ48に接続され、他方の端部は、電源(VCC)に接続される。トランジスタ44のエミッタ50は、抵抗素子62を介してグラウンド(GND)に接続される。抵抗素子62は、トランジスタ44のバイアス電流を設定する。センサ38の出力は、トランジスタ44のエミッタ50に接続された線58から取られる。
【0022】
一般に、誘導性素子40,42は、互いに対向して配置され、各誘導性素子と紙幣通路間で数10ミリメートルまたはそれ以上のオーダーの各ギャップ54,56を形成している。一実施例において、誘導性素子42は、下部ハウジング32(図1に示されている)内に配置され、誘導性素子40は、上部ハウジング34内に配置される。誘導性素子40,42は、各ハウジング内で、紙幣が通路12に沿って運ばれるにつれて、センサ38が紙幣の進行方向に平行な紙幣の側縁の近くで磁気または伝導情報を検出することができるように取り付けられる。
【0023】
上部ハウジング34内の配置されたプリント基板に、他のセンサエレクトロニクスを搭載することができる。誘導性センサ38の使用により、紙幣または他の書類10の磁気および伝導特徴が、紙幣を誘導性素子40,42に押し付けることなくかつ紙幣と誘導性センサ40,42の接触を必要とすることなく検出されるのが可能になる。
【0024】
動作中、誘導性素子40,42間を結合する電磁気は正帰還を提供し、その結果、発振状態になる。伝導または磁気物質を有する紙幣または他の書類10が紙幣通路12に沿って移動し、誘導性素子40,42間を通過するとき、トランス結合発振器に磁界の位相変化が引き起こされる。応答時、発振の振幅および周波数は、位相変化を補償して発振状態を維持するように変化する。周波数シフト、振幅変化またはその両方の測定は、書類10の伝導または磁気特徴の指示を提供する。そして、検出された特徴を表す信号を処理し、周波数または振幅変化に基づいて書類10の存在、真正性および/または金種を判定または確認するために、測定および処理回路が使用される。
【0025】
誘導性素子40,42は、たとえばボビンに巻かれたコイルやフェライトコアを含む種々の形態をとることができる。フェライトポットコアで与えられる遮蔽は、干渉を減らすのを助けることができる。しかしながら、他のコア、たとえばUコア、CコアおよびEコアも使用することができる。一実施例では、0.4mmの直径を有する銅線の6.5ターンが、90ナノヘンリー(nH)のインダクタンスを与えるために7mmフェライトポットコアに巻かれた。一般に、コアのサイズは、検出されるべき書類特徴のサイズとポットコア間の距離とを折衷したものとして選択される。たとえば、米国紙幣の場合には、コアが大きすぎると、センサ38は、磁気インクと非磁気インクの組み合わせを検出するだろう。コアが小さすぎると、各コアのポールを横切る漏洩フラックスが、ポットコア間のギャップを横切るフラックスと比較して多くなり、その結果、紙幣の特徴の検出が不十分になる。
【0026】
一般的に、約1メガヘルツ(MHz)より大きな共振周波数に対する検査は、周波数シフトの大きさが動作周波数の増大とともに増加するが、振幅変化の大きさが周波数の増大とともに減少するということを示した。したがって、一実施例では、磁気インクを含む書類の周波数シフトは、約14MHzくらいの低さの周波数を使用してちょうど検出可能になった。伝導性秘密保護線と磁気インクを含む書類が7mmフェライトコアを使用して検出された場合、約25MHzの共振周波数は、それぞれ、約12キロヘルツ(kHz)と4kHzの周波数シフトになった。また、25MHzより大きな共振周波数を使用することもできる。14MHz以下の共振周波数は、いくつかのヨーロッパ紙幣において見出されたもののような伝導性秘密保護線を含む書類により強い振幅応答を与える傾向があった。
【0027】
図3に示されているように、センサ38の出力は、周波数バッファ70を駆動し、周波数バッファ70は、センサ出力58からの小さな発振信号をデジタルレベル信号に変換する。次いで、デジタル信号は、センサ出力58からの信号の周波数を判定するのに使用される。一実施例では、たとえば、第1のカウンタ72は、16MHz水晶を使用してカウンタゲート期間を発生する1.792ミリ秒(ms)のカウンタゲート期間は、紙幣通路12に沿って移動する紙幣のミリメートル当たり約3サンプルに対応する、2.048msごとに発生する。第2の16ビットカウンタ74は、カウンタゲート期間中に起こったゼロクロッシングの数を受け取ってカウントする。その結果生じるカウントは、後続の0.256msの間にメモリ、たとえばランダムアクセスメモリ(RAM)76に転送される。この実施例では、16ビットカウンタ74のオーバーフローに対応する最大入力周波数は、0.5kHzの分解能を伴う36MHzである。
【0028】
アイドルカウント、すなわちエア値は、センサ38の近くに書類がない時のカウンタゲート期間中に起こるセロクロッシングの平均数を求めることによって決定される。紙幣が紙幣通路12に沿ってセンサ38の誘導性素子40,42間を運ばれるとき、各カウンタゲート期間中のセロクロッシングの数がカウントされ、メモリ76に記憶される。マイクロプロセッサ78または他の適当なプロセッサもしくはコントローラは、書類10の存在時に測定された各カウントからアイドルカウントを減算する。次いで、その結果生じた差は、対応する周波数シフトに変換される。
【0029】
マイクロプロセッサ78は、取得データを分析し、受け入れ可能な紙幣または他の書類の磁気または伝導特徴と比較するために、いくつかの知られている手法のどれかを使用してプログラムされている。たとえば、センサ38から取得されたデータは、統計的に決定された1つまたはそれ以上のスレショールドと比較され、書類の有効性が判定される。同様に、真正の紙幣の予め決められた磁気および伝導パターンが、電気的に消去可能なプログラマブル リードオンリーメモリ(EEPROM)82に記憶される。マイクロプロセッサ78は、予め決められたパターンと取得データを用いて、紙幣が真正であるか否かと、もしそうであれば紙幣の金種とを判定する。一実施例では、センサ38は、紙幣のバイナリ磁気または伝導パターンを検出し、検出されたパターンは、記憶されているパターンと比較され、紙幣の真正性、金種またはその両方が判定される。バイナリパターンは、たとえば、紙幣の縁に沿った磁気物質の存在および欠如を交互することによって形成される。次いで、紙幣は、比較の結果に基づいて受け入れられたり拒絶されたりする。また、他の磁気または伝導パターンを使用することもできる。
【0030】
他の実施例では、周波数測定および処理回路は、同期捕捉ループを含む。たとえば、誘導性センサ38は、位相検出器で駆動されるバリキャップダイオードで調整される。水晶から得られる基準信号が位相検出器の入力として役立ち、その結果、アイドル周波数は水晶に同期捕捉される。磁気または伝導物質を有する紙幣が誘導性素子40,42間を通過するとき、バリキャップの駆動に外乱が発生する。したがって、磁気または伝導物質で引き起こされる周波数変調は、制御電圧変調として表われる。外乱は、たとえばアナログ−デジタル(A/D)コンバータを使用して測定される。
【0031】
誘導性素子40,42間の結合が比較的弱い場合は、回路構成要素の機械的許容誤差または周囲温度の変化などの環境の変化におけるわずかな外乱は、発振器の動作状態を変化させ、そのため、もはや発振しなくなることがある。このような出来事を補償するために、図3に示されるように、自動利得制御回路が備えられ、誘導性素子40に印加されるバイアス電圧VBIASを制御して、発振状態を維持する。詳細には、エミッタ50からのセンサ出力58は、振幅検出回路64を駆動する。振幅検出回路64の出力は、自動利得制御回路66に接続される。自動利得制御回路66の出力は、ローパスフィルタ68に接続され、トランジスタ44のバイアス電圧を制御して、エミッタ50の実質的に一定のピーク対ピーク電圧を維持する。
【0032】
また、振幅検出器64の出力は、振幅処理回路80にも接続され、振幅処理回路80は、受け取った信号を、マイクロプロセッサ78による後続処理に適するフォーマットに変換する。このように、センサ38の出力の振幅の変化が検出され、マイクロプロセッサ78で分析され、挿入された紙幣の真正性および金種が判定される。振幅変化の検出は、たとえば、伝導性秘密保護線を含むいくつかのヨーロッパ紙幣の特徴を検出するのに使用される。約1−2MHzの範囲のセンサ38の発振周波数が、これらの紙幣のいくつかが検査されたときに強い振幅応答を提供することが見出された。
【0033】
図4は、一実施例による種々の回路構成要素のさらなる細部を示す。誘導性センサ38は、送信コイルL2と、受信コイルL1と、抵抗R1,R4,R5と、コンデンサC1と、NPNトランジスタQ1とを含むものとして示されている。コイルL1,L2は、フェライトポットコアに巻かれ、実質的に同等のものであり、紙幣通路12の平面の両側に配置されている。センサ38の駆動側は、トランジスタQ1のコレクタに接続され、調整側は、トランジスタQ1のベースに接続されている。図4Aに示されているように、センサ38の出力は、トランスT1と関連回路によって周波数バッファ70に接続されている。周波数バッファ70は、帰還抵抗R17およびAC入力カップリングを有するインバータU3を含む。絶縁された電源は、誘導性センサ回路と周波数カウント論理回路のために備えられている。周波数バッファ70の出力は、図3に示されるようにカウンタ72,74、メモリ76,82およびマイクロプロセッサ78を含む周波数カウントおよび処理回路に接続されている。他の実施例では、周波数バッファ70の出力は、トランジスタQ1のエミッタまたはトランジスタQ2のエミッタから直接得ることができる。
【0034】
また、センサ38の出力は、振幅検出器64も駆動している。振幅検出器64は、PNPエミッタフォロワトランジスタQ2と、ダイオードD1およびトランジスタQ3からなる能動ダイオードポンプとを含む。また、振幅検出器64は、PNPエミッタフォロワトランジスタQ4とダイオードD2も含む。振幅検出器64の出力は、追加の振幅処理回路に接続され、この振幅処理回路は、出力がマイクロプロセッサ78に接続されるA/Dコンバータ86(図4B)を含む。したがって、たとえば、センサ38の発振の振幅が、伝導物質を含む紙幣の存在により減少した場合、振幅検出器64の出力電圧は減少する。振幅検出器64の出力電圧は、A/Dコンバータ86でデジタル信号に変換される。マイクロプロセッサ78は、このデジタル信号を処理して、振幅変化を判定する。次いで、書類に沿った複数ポイントに対応する振幅変化は、紙幣の真正性および金種を評価するのに使用される。
【0035】
また、振幅検出器64の出力は、自動利得制御回路66にも接続されている。図4Bに示されているように、自動利得制御回路66は演算増幅器U1を含む。演算増幅器U1は、振幅検出器64の出力とポテンショメータVR1で設定された電圧の間のオフセットを増幅する。自動利得制御回路66の通常設定は、誘導性センサ38のトランジスタQ1のベースに2ボルトのバイアスを与える。したがって、たとえば、センサ38の発振振幅が伝導物質を含む紙幣の存在により減少した場合、振幅検出器64の出力電圧は減少し、自動利得制御回路66の出力電圧は上昇する。そして、誘導性センサ回路38のトランジスタQ1のバイアスは増加し、それにより、発振振幅が増加して、元の減少が補償される。
【0036】
さらに図4Bに示されるように、自動利得制御回路66の出力は、外乱検出器84にも接続されており、自動利得制御回路66の出力の変化がモニターされる。外乱検出器84は、センサ38の出力の振幅変化が間接的に検出されるのを可能にする。外乱検出器84は、伝導秘密保護線または磁気インクを有する紙幣の存在を検出するために使用される。したがって、たとえば、自動利得制御回路66の出力が増加した場合、コンデンサC8の瞬間電圧は一定のままになっており、そのため、比較器U2の出力は、ハイ信号からロー信号に切り換わる。マイクロプロセッサ78は、ロー信号を検出し、伝導または磁気特徴を有する書類が紙幣通路内に存在することの指示として解釈する。
【0037】
抵抗R1乃至R21と、コンデンサC1乃至C13と、インダクタL1,L2の模範的な値は、以下の表1に記載されている。
【表1】
【0038】
約10MHzより大きな周波数に対して、抵抗R1は、回路から除外することができる。したがって、たとえば、L1およびL2として900nHの値と、C1として22pFの値とを使用すると、回路は、約36MHzで共振する。約10MHzより小さい周波数に対して、33pFの値がC1として使用され、抵抗R1は回路に含められる。
【0039】
多くの異なるデバイスが、図4の特定回路を実施するために利用可能であるが、ナショナルセミコンダクターで製造されたLM358デバイスをU1,U2として使用でき、フィリップス1N4148デバイスをダイオードD1,D2として使用することができる。同様に、モトローラで製造された74AC04デバイスを、ピンVCCとピンGND間に接続された47nFの値を有するデカップリングコンデンサを備えたインバータU3,U4として使用できる。トランジスタQ1,Q3およびQ4は、モトローラBC847Bデバイスを使用して実行することができ、トランジスタQ2は、モトローラZN4403デバイスを使用して実行することができる。
【0040】
センサ38と同様な複数の誘導性センサを、1つの書類確認器2に組み込むこともできる。たとえば、これらの誘導性センサは、書類が書類通路12に沿って移動するとき、書類の2つの側縁に沿って磁気または伝導特性を検出するように、書類通路12に沿って配置することができる。一実施例では、図5に示されているように、各々がセンサ38と同じである2つの誘導性センサ38′,38″が、紙幣の進行方向と平行な紙幣の両側縁の近くで磁気または伝導情報の検出が可能となるように、確認器に取り付けられている。両側縁に沿った磁気または伝導特徴の検出は、この技術が、確認器に挿入されたときの紙幣の方向にかかわらず使用されるのを可能にしている。センサ38′,38″は、実質的に同じものとしても良いし、または、いろいろなやり方で互いに異なっていても良い。たとえば、誘導性素子のサイズなどのセンサ38′,38″の物理的寸法は、互いに異ならせることができ、大きいほうのセンサが、紙幣の一方の縁に沿って特徴を検出するように配置され、小さいほうのセンサが、紙幣の第2の縁に沿って特徴を検出するように配置される。また、2つのセンサ38′,38″の他の細部、たとえば発振周波数も、特定のアプリケーションに依存して異ならせることができる。
【0041】
同様に、上述の誘導性センサのセットは、紙幣の1つまたは両方の縁に沿って特徴を検出するように配置することができる。たとえば、一実施例では、大型のセンサと小型のセンサが、一方の縁に沿って紙幣の特徴を検出するように配置される。他の実施例では、異なる発振周波数を有するセンサが、紙幣の進行方向と平行な両縁の一方に沿って紙幣の特徴を検出するように配置することができる。他の実施例では、センサの各セットは、紙幣の進行方向と平行な紙幣の両縁に沿って紙幣の特徴を検出するように配置される。各セットは、たとえば、小型センサおよび大型センサ、または異なる発振周波数を有する複数のセンサを含むことができる。一般に、紙幣通路に沿って配置される多数の誘導性センサは、実質的に同じものにする必要はないが、ある状況では、実質的に同じ誘導性センサを使用するのが効果的である。
【0042】
他の実施例は、付随の請求項の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【図1】模範的な書類確認器の部分断面側面図である。
【図2】書類確認器に使用される誘導性センサ回路を示すブロック図である。
【図3】誘導性センサ回路と関連する確認器の追加構成要素を示すブロック図である。
【図4A】書類確認器のさらなる細部を示す回路図である。
【図4B】書類確認器のさらなる細部を示す回路図である。
【図5】複数の誘導性センサを有する書類確認器の部分断面平面図である。
Claims (41)
- 書類確認器(2)であって、
書類(10)が運ばれる書類通路(12)と、
書類の特徴を検出する誘導性センサ(38)であって、該誘導性センサ(38)は、書類通路(12)の平面の第1の側に配置された第1の誘導性素子(40)と、書類通路(12)の平面の第2の側に配置された第2の誘導性素子(42)とを含み、該書類確認器(2)はさらに、
該誘導性センサ(38)の出力に接続され、書類の存在、真正性又は金種のうちの少なくとも1つの判定に関連する信号を処理する回路を含み、
該第1の誘導性素子(40)及び第2の誘導性素子(42)は、トランス結合発振器の一部分を形成し、
該第1の誘導性素子と該第2の誘導性素子との間の電磁結合は、発振状態をもたらす正帰還を提供し、該書類確認器は、さらに、
該回路(64、70、72、74、78、80)は、該書類通路(12)に挿入された書類の磁気インクの磁気的特徴が誘起する磁界の変化に関連する信号を処理して、該書類の存在、真正性、又は金種のうちの少なくとも1つを判定するように動作可能である書類確認器。 - 請求項1記載の書類確認器において、前記第1及び第2の誘導性素子(40、42)は、書類通路(12)の各々の側に互いに実質的に対向して配置される書類確認器。
- 請求項1記載の書類確認器において、前記誘導性センサ(38)は、書類と物理的に接触することなく書類の特徴とを検出するように動作可能である書類確認器。
- 請求項1記載の書類確認器において、前記第1及び第2の誘導性素子(40、42)は、フェライトコアに巻かれたコイルからなる書類確認器。
- 請求項1記載の書類確認器において、前記第1及び第2の誘導性素子(40、42)は、フェライトポットコアに巻かれたコイルからなる書類確認器。
- 請求項1記載の書類確認器において、前記回路は、センサ出力の信号の周波数変化を検出するように構成される書類確認器。
- 請求項1記載の書類確認器において、前記回路は、センサ出力の信号の振幅変化を検出するように構成される書類確認器。
- 請求項1記載の書類確認器において、前記第1及び第2の誘導性素子(40、42)は、書類通路(12)から少なくとも数10ミリメートルのところに配置される書類確認器。
- 請求項1記載の書類確認器において、さらに、上部ハウジング(34)及び下部ハウジング(32)を含み、前記第1の誘導性素子(40)は、上部ハウジング(34)内に配置され、前記第2の誘導性素子(42)は、下部ハウジング(32)内に配置される書類確認器。
- 請求項1記載の書類確認器において、前記誘導性素子(40、42)は、書類通路(12)に沿ったその進行方向と平行な書類(10)の側縁の近くで磁気インクの特徴を検出するように配置される書類確認器。
- 請求項1記載の書類確認器において、前記発振器は、約1−2メガヘルツの範囲の共振周波数を有する書類確認器。
- 請求項1記載の書類確認器において、前記発振器は、約25メガヘルツの共振周波数を有する書類確認器。
- 請求項1記載の書類確認器において、前記発振器は、約1−30メガヘルツの範囲の共振周波数を有する書類確認器。
- 請求項1記載の書類確認器において、前記第1の誘導性素子(40)は、トランジスタ(44)のベースに接続され、前記第2の誘導性素子(42)は、上記トランジスタ(44)のコレクタに接続され、前記処理回路は、上記トランジスタ(44)のエミッタに接続される書類確認器。
- 請求項14記載の書類確認器において、さらに、前記トランジスタ(44)のバイアス電圧を制御する自動利得制御回路(66)を含む書類確認器。
- 請求項1記載の書類確認器において、誘導性センサから取得したデータを少なくとも1つの統計的に決定されたスレショールドと比較して書類の真正性を判定するようにプログラムされたプロセッサ(78)を含む書類確認器。
- 請求項1記載の書類確認器において、前記誘導性センサから取得したデータを真正の書類に対応する1つ又はそれ以上の予め決められたパターンと比較し、この比較に基づいて書類が真正なものか否かを判定するようにプログラムされたプロセッサ(78)を含む書類確認器。
- 請求項1記載の書類確認器において、前記誘導性センサから取得したデータを真正の書類に対応する1つ又はそれ以上の予め決められたパターンと比較し、この比較に基づいて書類の金種を判定するようにプログラムされたプロセッサを含む書類確認器。
- 請求項1記載の書類確認器において、書類通路(12)内の書類の欠如時に誘導性センサからデータを取得し、書類(10)の存在時に誘導性センサからデータを取得し、書類の欠如時と存在時に取得したデータを併用する演算作業を実行し、上記演算作業の結果に基づいて書類(10)の真正性及び金種のうちの少なくとも1つを判定するようにプログラムされたプロセッサ(78)を含む書類確認器。
- 請求項1に記載の書類確認器において、
該書類の特徴を検知する複数の追加の誘導性センサを含み、各々の追加の誘導性センサは、該書類通路の平面の第1の側に配置された第1の誘導性素子と、該書類通路の該平面の第2の側に配置された第2の誘導性素子とを含み、
該複数の追加の誘導性センサの出力に接続され、該挿入された書類の存在、真正性、及び金種のうちの少なくとも1つの決定に関連する信号を処理する回路とを含む書類確認器。 - 請求項20記載の書類確認器において、前記誘導性センサは、書類に物理的に接触することなく書類の特徴を検出する書類確認器。
- 請求項21記載の書類確認器において、該誘導性センサのうちの第1の誘導性センサの誘導性素子は、該書類通路(12)に沿ったその進行方向に平行な書類(10)の第1の側縁の近くで磁気特徴を検出するように配置され、該誘導性センサのうちの第2の誘導性センサの誘導性素子は、書類通路に沿ったその進行方向に平行な書類(10)の第2の異なる側縁の近くで磁気特徴を検出するように配置されている書類確認器。
- 請求項22記載の書類確認器において、前記第1及び第2のセンサは、互いに異なる寸法を有する書類確認器。
- 請求項22記載の書類確認器において、前記第1及び第2のセンサは、それぞれ異なる発振周波数を有する発振器からなる書類確認器。
- 請求項20記載の書類確認器において、前記誘導性センサのうちの少なくともいくつかのセンサの誘導性素子は、書類通路に沿ったその進行方向と平行な書類の第1の側縁の近くで磁気特徴を検出するように配置される書類確認器。
- 請求項25記載の書類確認器において、書類の第1の側縁に近くで磁気特徴を検出するように配置されたセンサのうちの少なくともいくつかのセンサは、互いに異なる寸法を有する書類確認器。
- 請求項25記載の書類確認器において、書類の第1の側縁の近くで磁気特徴を検出するように配置されたセンサのうちの少なくともおいくつかのセンサは、互いに異なる発振周波数を有する発振器である書類確認器。
- 請求項21記載の書類確認器において、前記センサの第1のセットの誘導性素子は、書類通路に沿ったその進行方向と平行な書類の第1の側縁の近くで磁気特徴を検出するように配置され、前記センサの第2のセットの誘導性素子は、その進行方向と平行な書類の第2の異なる側縁の近くで磁気特徴を検出するように配置されている書類確認器。
- 請求項28記載の書類確認器において、センサの各セットにおけるセンサのうちの少なくともいくつかは、同一セット中の他のセンサの寸法と異なる寸法を有する書類確認器。
- 請求項28記載の書類確認器において、センサの各セットにおけるセンサのうちの少なくともいくつかは、同一セット中の他のセンサの発振周波数と異なる発振周波数を有する発振器からなる書類確認器。
- 書類(10)の特徴を検出する方法であって、
通路(12)に沿って書類を運ぶステップと、
通路(12)の平面の第1の側に配置された第1の誘導性素子(40)と、通路(12)の平面の第2の側に配置された第2の誘導性素子(42)とからなる誘導性センサを使用して、書類の特徴を検出するステップと、
該誘導性センサの出力からの信号を処理して、書類の存在、真正性又は金種のうちの少なくとも1つを判定するステップとを含み、
該第1の誘導性素子(40)と該第2の誘導性素子(42)は、該第1の誘導性素子(40)と該第2の誘導性素子(42)との間の電磁結合が発振状態をもたらす正帰還を提供するように動作するトランス結合発信器の一部分を形成し、
該判定するステップは、該書類(10)のインクの磁気的特徴が誘起する磁界の位相の変化に関連する該誘導性センサの出力からの信号を処理して、該書類の存在、真正性、又は金種のうちの少なくとも1つを判定するステップを含む方法。 - 請求項31記載の方法において、さらに、センサの出力の周波数変化を検出するステップを含む方法。
- 請求項31記載の方法において、さらに、センサの出力の振幅変化を検出するステップを含む方法。
- 請求項31記載の方法において、さらに、センサが書類(10)と物理的に接触することなく書類特徴を検出するように、通路(12)に対してセンサを配置するステップを含む方法。
- 請求項31記載の方法において、さらに、センサに与えられるバイアス電圧を制御するステップを含む方法。
- 請求項31記載の方法において、さらに、センサから取得したデータを少なくとも1つの統計的に決定されたスレショールドと比較して、書類の真正性を判定するステップを含む方法。
- 請求項31記載の方法において、さらに、センサから取得したデータを真正の書類に対応する1つ又はそれ以上の予め決められたパターンと比較し、この比較に基づいて、書類が真正なものか否かを判定するステップを含む方法。
- 請求項31記載の方法において、さらに、センサから取得したデータを真正の書類に対応する1つ又はそれ以上の予め決められたパターンと比較し、この比較に基づいて、書類の金種を判定するステップを含む方法。
- 請求項31記載の方法において、
書類通路(12)内の書類(10)の欠如時にセンサからデータを取得するステップと、
書類(10)の存在時にセンサからデータを取得するステップと、
書類(10)の欠如時に取得したデータと書類(10)の存在時に取得したデータとを併用する演算作業を実行するステップと、
演算作業の結果に基づいて、書類(10)の真正性及び金種のうちの少なくとも1つを判定するステップを含む方法。 - 請求項31記載の方法において、さらに、
書類(10)上のバイナリ磁気パターンを検出するステップと、
検出されたパターンと記憶されているパターンとを比較して書類(10)の真正性を判定するステップとを含む方法。 - 請求項31記載の方法において、さらに、
書類(10)上のバイナリ磁気パターンを検出するステップと、
検出されたパターンと記憶されているパターンとを比較して書類(10)の金種を判定するステップを含む方法。
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