JP4387682B2 - 研磨定盤及び修正キャリアの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ワークを回転する定盤(表面に研磨ペレットを貼着した定盤を含む)の表面に押接する構造のラッピング装置ないしポリシング装置に用いられる研磨定盤とその修正キャリアの製造方法に関するもので、たとえば半導体ウェーハで代表される硬質脆性板やサファイヤなどの高硬度材料のラッピングないしポリシングに使用するのに好適な研磨定盤及びその修正キャリアの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体ウェーハの製造工程は、半導体インゴットを切断し、切断されたウェーハのクラック層をラッピングにより除去すると共に所定の厚みに揃え、エッチング等による化学的研磨によって加工歪みを除去し、その後、ポリシングにより鏡面加工してウェーハが完成する。
【0003】
半導体ウェーハの製造工程の一つである平面ラッピングを行う加工装置としては、現在4ウェイラップ盤が主流となっている。4ウェイラップ盤は、ワークの自転、定盤軸を中心としたワークの遊星運動(公転)、及び上下定盤でそれぞれ反対方向の回転の4方向の動作が加えられるラップ盤である。ラップ盤による加工では、加工量は、プレストンの式でも与えられるように、加工圧力とワークとラップ定盤間の相対摩擦距離に比例する。よって、加工圧力が一定であれば、ワーク表面の各位置における摩擦距離が均一であればあるほど良い平行平面が得られる。4ウェイラップ盤では、ワークに比して大きなラップ定盤を使うほど、摩擦距離がワーク半径方向に均等に分布した摩擦距離特性を得ることができ、より良好な平行平面が得られる。一般的なラップ盤のワークと定盤の径比は1:4程度である。
【0004】
一方、ウェーハの大口径化に伴って,ラップ盤が大型化するという問題があり、ラップ盤自体の大型化に伴う装置据付エリアの増大の他、定盤の自重の増大に起因するラップ定盤の変形に伴うラッピングにおけるウェーハ平坦度が低下することや、定盤の取り外し作業を困難にするという問題が生じている。
【0005】
ラップ盤の大型化を避けるために、ワークを一枚ずつ研磨する枚葉ラップ盤が提案されている。枚葉ラップ盤では、ワークに対する定盤径を4ウェイラップ盤のそれに比べて小径とするが、定盤径を小さくすると摩擦距離特性が低下するという、4ウェイラップ盤と同様な問題がある。
【0006】
ラッピングにおけるラップ能率は、ラップ定盤とウェーハ相互間の摩擦距離に大きく依存する。すなわち,ラッピングには当然、加工の能率向上とウェーハの高い平坦度化が求められるが,そのためには、ウェーハ表面における摩擦距離を大きくすること、及び、ウェーハ表面全体における摩擦距離のばらつきを少なくすることが必要である。
【0007】
上記の4ウェイラップ盤や枚葉ラップ盤は、定盤自体の表面でワークの研磨を行うものであるが、セラミックスやサファイヤなどの高硬度材料を研磨する方法として、一般にダイヤモンドスムージングと呼ばれる加工方法が利用されている。この方法は、ペレットと呼ばれる短円柱状のダイヤモンド砥石を円盤表面に多数貼り付け、ペレットにワークを押接した状態で円盤を回転させてワークの研磨を行う加工方法である。一般的には、ペレットを貼付ける円盤としてラップ盤用の溝のない定盤を用い、その表面にペレットを一定間隔に貼り付けて研磨定盤としている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ラップ盤の定盤径を小さくすると摩擦距離特性が低下するという上記問題を解決する手段の一つとして、定盤の外周側に直線溝ないし円周溝を設けて、定盤の外周部における実質的な表面積(ワークに接触して加工に寄与する面積)を減少させ、それによって均一な摩擦距離特性を得ることが有効であると考えられる。
【0009】
定盤の表面にこのような面積分布調整用の溝ないし凹所を設けることは、4ウェイ、3ウェイラップ盤などを含む各種のラッピングにおいても有効と考えられ、また溝形状のものでなくても、ワークに接触しないようにした凹所であれば良いと考えられる。更に、ポリシングの場合には孤立した凹所であっても良いと考えられる。一方、このような凹所を設ける際の問題として、何を基準にしてどのような面積割合で設けるかが問題となる。合理的な態様で設けなければ、摩擦距離特性を悪化させる虞もあるからである。
【0010】
このことは、前述したダイヤモンドペレットを貼付した研磨定盤を用いる加工にも当てはまることで、貼付されたペレット相互の間の隙間は研磨面に形成された凹所となることから、ワーク表面の各位置における摩擦距離を均一にして加工面の平坦化を図るためには、どのような大きさのペレットをどのような配置で調布するかが問題となる。
【0011】
この発明は、ワークを均一に研磨するための面積分布調整用の溝ないし凹所を定盤表面にどのように設けたら良いかを検討する試験研究の結果として為されたもので、ワークの加工精度に影響を与える定盤の摩擦距離特性を最適化する技術手段を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明では、研磨定盤ないし修正キャリアの表面をその回転中心を中心とする複数の仮想リングの集合体として捉え、ワーク(修正キャリアの場合は研磨定盤がワークとなる)半径方向の各位置における相対摩擦距離が均一となるように、各仮想リング毎の所要面積を演算して、各仮想リングの表面が当該所要面積のワークとの接触面を備えるように、研磨定盤ないし修正キャリアの表面に溝ないし凹所を設け、又は定盤に貼付する研磨ペレットの大きさや配置態様を決定することにより、上記課題を解決している。
【0013】
各仮想リング毎の上記所要面積の演算には、ニューラルネットワーク、セルラオートマトン等の各種の演算方法ないしアルゴリズムを用いることが可能であるが、遺伝的アルゴリズムを用いた演算により、摩擦距離特性を画期的に改善することが可能である。
【0014】
この発明により、小径であっても研磨特性に優れた、各種のラップ加工、ポリシング加工ないしスムージング加工用の研磨定盤及びこれらの定盤用の修正キャリアを提供することができる。
【0015】
従って、本願の請求項1の発明に係る研磨定盤の製造方法は、定盤面に面積分布調整用の溝ないし凹所を設けたラッピングないしポリシング用の研磨定盤の製造方法において、前記定盤面をその回転中心を中心とする複数の仮想リングに分割し、各仮想リングにおけるリング表面に対するワークとの接触面の面積割合を、当該各仮想リングを個体ないし個体群とし、当該面積割合である0〜1の数値を当該個体ないし個体群の遺伝子の数値とする遺伝的アルゴリズムを用いて、定盤との相対運動によるワーク半径方向の相対摩擦距離が均一化されるように決定し、当該面積割合のワークとの接触面を備えるように前記溝ないし凹所を設けることを特徴とする、研磨定盤の製造方法である。
【0016】
また定盤面に多数のダイヤモンドペレットその他の研磨ペレットを貼着した研磨定盤の製造においては、請求項2に記載のように、定盤面に多数の研磨ペレットを貼着した研磨定盤の製造方法において、前記定盤面をその回転中心を中心とする複数の仮想リングに分割し、各仮想リングにおけるリング表面に対するペレット表面の面積割合を、当該各仮想リングを個体ないし個体群とし、当該面積割合である0〜1の数値を当該個体ないし個体群の遺伝子の数値とする遺伝的アルゴリズムを用いて、定盤との相対運動によるワーク半径方向の相対摩擦距離が均一化されるように決定し、当該面積割合のワークとの接触面を備えるように前記ペレットを貼着するというものである。
【0018】
本願の請求項3の発明に係る研磨定盤の製造方法は、上記請求項1の手段を備えた研磨定盤の製造方法において、定盤の外周半径の略1/2を半径とする円周より内側の仮想リングにおける遺伝子の値を強制的に1とした遺伝的アルゴリズムを用いて、各仮想リングにおけるリング表面とワークとの接触面の面積割合を決定することを特徴とする研磨定盤の製造方法である。
【0019】
また請求項4の発明に係る研磨定盤の製造方法は、上記請求項2の手段を備えた研磨定盤の製造方法において、定盤の外周半径の略1/2を半径とする円周より内側の仮想リングにおける遺伝子の値を強制的に1とした前記遺伝的アルゴリズムを用いて、各仮想リングにおけるリング表面とペレット表面の面積割合を決定することを特徴とする研磨定盤の製造方法である。
【0020】
請求項5の発明は、研磨定盤の修正キャリアの製造方法に関するもので、研磨定盤に対向するドレス面をその回転中心を中心とする複数の仮想リングに分割し、各仮想リングにおけるリング表面に対する研磨定盤との接触面の面積割合を、当該各仮想リングを個体ないし個体群とし、当該面積割合である0〜1の数値を当該個体ないし個体群の遺伝子の数値とする遺伝的アルゴリズムを用いて、前記ドレス面に対する前記研磨定盤の半径方向の各位置における相対摩擦距離が均一となるように決定し、当該面積割合の研磨定盤との接触面を備えるように前記ドレス面に面積分布調整用の溝ないし凹所を設けることを特徴とする、研磨定盤の修正キャリアの製造方法である。
【0022】
【発明の実施の形態】
図2は、枚葉ラップ盤における摩擦距離特性の一例として、図1に示す定盤半径Rlap=200mm、ワーク半径Rwork=125mm、定盤角速度ωlap=π/3rad/s、ワーク角速度ωwork=π/4rad/s、定盤とワークの偏心量xn=25mmとした場合の、ワークの各半径位置(横軸)における摩擦距離を計算した結果を示した図である。なお、この例ではワークとしてウェーハを用いており、図2の縦軸右側の摩擦距離比は,ウェーハ中心(r=0mm)の摩擦距離を基準値とする比である。図2に示すように、ウェーハの中心と端(r=125mm)においては、摩擦距離に約4.5%の偏倚がある。
【0023】
なお、研磨定盤とワークの直径比及び自転速度比が摩擦距離の偏倚に及ぼす影響については、定盤とワークの自転速度比が1に近く、直径比が大きいほど、偏倚量が小さいことが本願発明者の研究により確認されている。ところが、直径比を大きくすることは、定盤の直径の増大を意味し、装置の大型化を招くことは、前述したとおりである。
【0024】
この研磨定盤の表面に溝を適切な位置に設けることでワークの摩擦距離の偏倚を小さくするとともに、研磨能率を向上させることが可能であると推測される。すなわち、スラリー供給用の溝ないし凹所の位置や大きさを摩擦距離の偏倚を抑制するという視点から捉えて、決定するということが有効であると考えられる。
【0025】
そこで、研磨定盤に溝を設ける際に、ワーク表面における摩擦距離特性を最良にする溝の位置や大きさを決定する方法として、研磨定盤の表面をその回転中心を中心とする複数の仮想リングの集合体と仮想し、ワークの各半径位置における定盤表面との相対摩擦距離が均一となるように、各仮想リング毎の所要面積を演算して、各仮想リングの表面が当該所要面積のワークとの接触面を備えるように、溝ないし凹所の半径方向位置と面積とを決定することとし、その演算の手段として、乖離や交叉、突然変異を繰り返すことで生物が進化することを数理的に表現した遺伝的アルゴリズム(GA:Genetic Algrithm。以下、「GA」と略称する)を適用することで、ワーク表面における摩擦距離特性を均一化することを試みた。その一つの例を以下に説明する。
【0026】
GAは生物の進化を数理的に捉えて、最適解の探索を行うアルゴリズムであり、図3に示すようにN個の染色体で構成される一つの世代のゲノムに関して、選択や交叉、突然変異を行いながら世代交代を逐次繰り返すものである。このとき、一つの染色体はM個の遺伝子で構成されるものとして考え、各染色体に割り当てた値から適応度fknを計算する。
【0027】
これを研磨定盤の最適化問題に適用するに際して、次のような遺伝子内における数値表現を定義する。すなわち,遺伝子の数値は0〜1の範囲内とし、研磨定盤を見かけ上、図4に示すようにM個の仮想リングの集合体として考えた場合に、中心から第m番目の仮想リングにおける溝のない部分の割合を遺伝子の値gkmとした。仮に第m番目の仮想リングにおける遺伝子の数値gkmが0.70であったとすると、このリングに面積割合で30%の溝ないし凹所を設けるということになる。ペレット貼付定盤の場合には、当該仮想リングの面積割合で70%の領域にペレットを貼付するということである。
【0028】
このとき、最初に定盤内の見かけ上の各リングにおけるラップ能率を確認する必要がある。たとえは,M=4としたとき、研磨定盤は4つの仮想リングから成り立っていると考えることになるが、図2と同一の条件下で第1リング#1〜第4リング#4のラップ能率を計算した結果が図5である。なお、合計と表記した線は、リング#1〜#4の総和である。そして,仮にリング#1の遺伝子が0.70であれば、図5中の点線のようにリング#1のラップ能率は70%になるということである。
【0029】
このような方法でラップ定盤形状の最適化問題の一つである定盤表面の溝配置に関して、GAにおける各種の条件を次のように定める。
a)基本的な枚葉ラップ方式の諸条件は,比較的大きな摩擦距離と小さな摩擦距離の偏倚を示した前記図2の結果を得たときの条件と同一の条件とする。
b)遺伝子の値の分解度は0.01とする。
c)各染色体の適応度は摩擦距離の適応度とする。
d)選択においては、N個の染色体の中から適応度の高い半数(N/2個)の染色体を選択するとともに、残りの半数はルーレットルール方式にしたがって選択する。
e)交叉においては、交叉確率をPcと設定するとともに、交叉位置も各交叉の組み合わせで個々独立なものとして、乱数を発生させて決定する。
f)突然変異については、突然変異確率をPmとして、一つのゲノムにあるN×M個の遺伝子から無作為に突然変異を発生させるようにする。このとき、突然変異を生じた遺伝子内の数値としての溝のない部分の割合は乱数発生によって決定する。
【0030】
上記のような設定によって、GAによる研磨定盤の溝配置問題について計算した結果の一例が図6であり、同図は各世代におけるN個の染色体それぞれの適応度としての摩擦距離の偏倚の最小値がGAによる世代交代によってどのように変化しているかを示している。
【0031】
また図7には、上記の計算における最終世代である5000世代目での摩擦距離特性を示している。なお、演算条件は前述したとおりの、定盤半径Rlap=200mm、ワーク半径Rwork=125mm、定盤角速度ωlap=π/3rad/s、ワーク角速度ωwork=π/4rad/s、定盤とワークの偏心量xn=25mm、染色体数N=20,各染色体の遺伝子数M=24、交叉確率Pc=0.25、突然変異確率Pm=0.01である。このように,GAによる計算を5000世代程度まで行うことによって、まったく溝を設けない場合(図2に示した4.5%の偏倚)に比較して、偏倚は0.5%程度となるというように,格段に偏倚を減少させることができている。
【0032】
そして、5000世代目における染色体の遺伝子の値を図解したものが図8であり、これがGAを用いた上記実施例のラップ定盤表面におけるワーク接触面積割合の設定値ということになる。すなわち、たとえば第10番目のリングとしてのR9<R<R10の範囲には、約7%の溝を設けると良いということである。またペレット貼付定盤であれば、ペレットの面積割合が約93%になるように貼付すれば良いということである。
【0033】
ここまでのGAによる結果においては、図8に示すように、すべての仮想リングに溝ないし凹所を設けるものとして計算を行っている。ところが、実際にはラップ定盤に溝を設けるとしても、その数を多くすることはラップ定盤の製造の上であまり好ましくないと考えられる。そこで、ラップ定盤の中心部、すなわちラップ定盤におけるリング番号が小さい領域においては、強制的に遺伝子を1として溝をないものとするということで、そのときの改善の効果を検証した。その結果が図9である。なお、同図の結果は5000世代のGA計算を50回試行し、各試行計算で得られる5000世代目における適応度の平均値を表している。また、この場合も総リング数Mは24とし、横軸において例えば5の場合には、リング1〜5すべてに溝がないことを意味する。
【0034】
図9に示すとおり、定盤の中心付近には溝を設けないとすると、半径Rlapの定盤に対して0<R<Rlap/2までには溝を設けない方が良い結果が得られることが分かる。なお図には示してないが、反対に、中心部をすべて溝にする(ワークに接触しないように例えば穴をあける)ことは、摩擦距離の偏倚に悪影響を与える結果になることも分かった。
【0035】
図10、図11は、これまでと同一の条件下において、第1〜11番目のリングには溝ないし凹所を設けないものとしてGAによる最適化計算を行った際に得られる摩擦距離特性、並びに最終の5000世代目での染色体における遺伝子の値を示している。ここで11/24は、図9のグラフが最小値を示している値である。このように、図11のように定盤中心から外半径の略1/2までは摩耗距離特性を調整するための溝ないし凹所を設けず、それより外周側でワークに接触する面の面積割合を半径が大きくなるに従って低減する方向に分布させた定盤にすることで、図10のように摩擦距離の偏倚が0.1%程度というような格段に良好なラッピング加工を行うことができる。
【0036】
図12は、以上の試験結果から得られるラップ定盤の溝配置の一例を示した平面図である。図に縦横の等間隔の格子状の線で示した溝a、bは、スラリー供給用の溝である。この溝a、bは、定盤表面に均一に設けられているので、摩耗距離特性を変化させない。換言すれば、この格子状の溝a、bのみが設けられている領域は、摩擦距離を均一化するための溝ないし凹所が設けられていない領域である。一方、図の定盤の外半径の11/24の半径の円周より外側に設けられている円形溝c及び半径方向の直線溝dは、摩擦距離を均一化するための面積分布調整用の溝である。
【0037】
この面積分布調整用の溝は、定盤の表面を24等分した仮想リングの各々における、スラリー供給溝a、bを除いた部分の面積に対する、ワークに実際に接触する面の面積割合が、図11に示す割合となるように配置されている。具体的には、図12の結果から、1番目から11番目までの仮想リングの領域には面積分布調整溝は設けず、12番目の仮想リングの領域では、スラリー供給溝を除いた部分の面積に対するワークに接触する面の割合が、0.996%になるように、同様に、
13番目の領域では0.994%、
14番目の領域では0.989%、
15番目の領域では0.984%、
16番目の領域では0.981%、
17番目の領域では0.974%、
18番目の領域では0.966%、
19番目の領域では0.962%、
20番目の領域では0.955%、
21番目の領域では0.949%、
22番目の領域では0.943%、
23番目の領域では0.935%、
最外周の24番目の領域では0.929%、
になるように、円形溝cと直線溝dとを配置している。
【0038】
以上は、定盤表面に溝ないし凹所を形成して相対摩擦距離の均一化を図るものであるが、ペレット貼付定盤の場合には、例えば、貼付するペレットの直径をリング幅とする仮想リングで定盤面を分割し、最適な摩擦距離特性を得るのに要する各仮想リングにおける研磨面積をGAなどの演算手法を用いて求め、その求められた面積になるようにペレットを貼り付けることで、最適な研磨定盤を得ることができる。
【0039】
なお、上記実施例では、定盤及びワークが回転運動をする枚葉ラップ定盤についての例を示したが、ワークが公転運動をする4ウェイラップ盤はもちろん、定盤径がワーク径より小さい場合や、また、自転や公転に揺動運動を重畳させる等の運動の場合にも、加工されるワークの半径方向における相対摩擦距離が均一となるように、定盤表面を複数の仮想リングに分割したときの各仮想リング毎の所要の面積割合を遺伝的アルゴリズムを用いて演算し、各仮想リングがそのような面積割合になるように定盤表面に溝ないし凹所を設けることで、研磨定盤や修正キャリアの最適化設計を行うことが可能である。
【0040】
【発明の効果】
以上のとおり、遺伝的アルゴリズム(GA)を用いてラップ定盤の溝形状を決定することにより、ラッピング加工の摩擦距離特性を格段に向上させることが可能である。また、ラップ定盤の外周半径の略中間より半径方向内側の領域には、スラリー供給に必要な溝以上のものは設けず、それより外側の部分に面積分布調整用の溝ないし凹所をその面積割合が徐々に増加するように設けることで、最適な摩擦距離特性が得られる。これにより、ラップ盤、特に枚葉式ラップ盤において、小径の定盤で高精度の加工が可能なラップ盤を得ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】枚葉ラッピングの定盤とワークを示す模式的な平面図
【図2】面積分布調整用の溝ないし凹所を設けない定盤を用いたときのワーク半径方向の摩擦距離の変化を示す図
【図3】遺伝的アルゴリズムを用いた演算の説明図
【図4】研磨定盤の演算に遺伝的アルゴリズムを適用する例を示した説明図
【図5】定盤を4個の仮想リングに分割したときのワークに対する各リングの摩擦距離の計算結果を示す図
【図6】遺伝的アルゴリズムによる適応関数の収束状態を示す図
【図7】本発明により最適化された第1例の研磨定盤の摩擦距離特性を示す図
【図8】図7の摩擦距離特性を備えた研磨定盤の半径方向の面積分布を示す図
【図9】定盤中心部の面積調整用の溝ないし凹所を設けないときの摩擦距離特性の変化を示す図
【図10】本発明により最適化された第2例の研磨定盤の摩擦距離特性を示す図
【図11】図10の摩擦距離特性を備えた研磨定盤の半径方向の面積分布を示す図
【図12】スラリー供給溝と面積分布値要請用の溝とを備えた研磨定盤の例を示す模式的な平面図
Claims (5)
- 定盤面に面積分布調整用の溝ないし凹所を設けたラッピングないしポリシング用の研磨定盤の製造方法において、
前記定盤面をその回転中心を中心とする複数の仮想リングに分割し、各仮想リングにおけるリング表面に対するワークとの接触面の面積割合を、
当該各仮想リングを個体ないし個体群とし、当該面積割合である0〜1の数値を当該個体ないし個体群の遺伝子の数値とする遺伝的アルゴリズムを用いて、
定盤との相対運動によるワーク半径方向の相対摩擦距離が均一化されるように決定し、
当該面積割合のワークとの接触面を備えるように前記溝ないし凹所を設けることを特徴とする、研磨定盤の製造方法。 - 定盤面に多数の研磨ペレットを貼着した研磨定盤の製造方法において、
前記定盤面をその回転中心を中心とする複数の仮想リングに分割し、各仮想リングにおけるリング表面に対するペレット表面の面積割合を、
当該各仮想リングを個体ないし個体群とし、当該面積割合である0〜1の数値を当該個体ないし個体群の遺伝子の数値とする遺伝的アルゴリズムを用いて、
定盤との相対運動によるワーク半径方向の相対摩擦距離が均一化されるように決定し、
当該面積割合のワークとの接触面を備えるように前記ペレットを貼着することを特徴とする、研磨定盤の製造方法。 - 定盤の外周半径の略1/2を半径とする円周より内側の仮想リングにおける遺伝子の値を強制的に1とした遺伝的アルゴリズムを用いて、各仮想リングにおけるリング表面とワークとの接触面の面積割合を決定することを特徴とする、請求項1記載の研磨定盤の製造方法。
- 定盤の外周半径の略1/2を半径とする円周より内側の仮想リングにおける遺伝子の値を強制的に1とした前記遺伝的アルゴリズムを用いて、各仮想リングにおけるリング表面とペレット表面の面積割合を決定することを特徴とする、請求項2記載の研磨定盤の製造方法。
- 研磨定盤に対向するドレス面をその回転中心を中心とする複数の仮想リングに分割し、各仮想リングにおけるリング表面に対する研磨定盤との接触面の面積割合を、
当該各仮想リングを個体ないし個体群とし、当該面積割合である0〜1の数値を当該個体ないし個体群の遺伝子の数値とする遺伝的アルゴリズムを用いて、前記ドレス面に対する前記研磨定盤の半径方向の各位置における相対摩擦距離が均一となるように決定し、
当該面積割合の研磨定盤との接触面を備えるように前記ドレス面に面積分布調整用の溝ないし凹所を設けることを特徴とする、研磨定盤の修正キャリアの製造方法。
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