JP4384688B2 - カード印刷装置 - Google Patents
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Description
当該カードが、このプラテンローラの回転による表面摩擦力と他に設けられている搬送ローラ等の機構による搬送複合力によって所定の速度で所定距離進むことにより、搬送に合わせて印刷工程が行われる。
ただし、印刷位置までのカード搬送時には、印刷が行われないため印刷ヘッドをカードより離反させて待機させる。このとき、プラテンローラからはカードの搬送力が発生せず、したがって、別の位置に搬送ローラが複数配設される。例えば、プラテンローラを中心位置とする場合、ほぼ対称の前後位置にカード搬送ローラを少なくとも各1セット合計2セット設ける必要があり、当該2セットの搬送ローラ同士の間隔はカードの搬送方向長さよりも短くするのが一般的である。
そのため従来のカード印刷装置においては、搬送駆動系の伝達機構をタイミングベルトまたは歯車列により構成し、且つ堅牢な構造によって搬送路の両側に配置される構成が採用されていた。しかし、いずれの伝達方式も歯車の歯部を噛み合わせることから、微少な余裕(バックラッシ)がないと動作せず、その微少な組立隙間が搬送精度すなわち印字精度に直接影響を与えるため、細密な印刷、あるいは極小文字の印刷は難しいという課題が生じていた。
また、速度を一致させる効果に加えて、プラテンローラの外周面と歯付ベルトの外周面との間に段差が生じないため、カードに変形(反り)が発生せず、その結果、カードへの印刷品質を均質化することが可能となる。
また、駆動プーリ18の回転軸と平行する回転軸で回転可能に設けられる第1の従動プーリ20が設けられる。第1の従動プーリ20には駆動プーリ18と同様に歯付プーリが用いられる。
ここで、挿入部12からカード9が挿入されると、第1の従動プーリ20と歯付ベルト28とが噛み合っている位置において搬送路14側に露出される歯付ベルト28の外周面28a(図3、4参照)にカード9が接触し、それによって、歯付ベルト28の外周面28aと第1のピンチローラ22とによってカード9が挟持され、歯付ベルト28の周回移動と第1のピンチローラ22の共回りとによってカード9の搬送が行われる。
このとき、歯付ベルト28の外周面28aと第1のピンチローラ22との間隔は、歯付ベルト28の外周面28aがカード9の裏面9bに対して適当な摩擦力を発生させ、且つカード9の通過を妨げない距離となるように、カード9の厚さに応じて適切に設定される。
なお、上記のごとく挿入部12から挿入されたカード9が本体部2の内方へ搬送される際のそれぞれの回転部材の回転方向を「正回転」とする。
第1のピンチローラ22の場合と同様に、歯付ベルト28の外周面28aと第2のピンチローラ26との間隔は、歯付ベルト28の外周面28aがカード9の裏面9bに対して適当な摩擦力を発生させ、且つカード9の通過を妨げない距離となるように、カード9の厚さに応じて適切に設定される。
また、前記同様に、挿入部12から挿入されたカード9の進行方向のまま搬送される際のそれぞれの回転部材の回転方向を「正回転」とする。
一例として、圧力付加部42は、本体部2とヘッド支持部41との間に係止される付勢部材43を備えて構成される。すなわち、付勢部材43によって、ヘッド支持部41が本体部2側へ付勢されて、印刷ヘッド40とプラテンローラ16との間でカード9を挟持することが可能となる。
ちなみに、本実施例においては、挿入部から挿入されるカードを搬送路上で所定位置まで一旦搬送して、当該該所定位置から該挿入部へ向けて搬送する工程において必要に応じて印刷を行う構成としている。
なお、印刷が行われる際は、印刷ヘッド40とプラテンローラ16とによってカード9が挟持されるため、当該プラテンローラ16の回転によってカード9を搬送させる作用も生じることとなる。
なお、プラテンローラ16が印刷ヘッド40から受ける押圧力によって僅かに撓むことを考慮した場合、プラテンローラ16が当該押圧力によって撓んだときに、プラテンローラ16の半径と、歯付ベルト28が駆動プーリ18に噛み合った状態における当該駆動プーリ18の回転軸から当該歯付ベルト28の外周面28aまでの半径とが同径となるように、押圧されていない状態におけるプラテンローラ16の半径を、歯付ベルト28の外周面28aまでの半径より僅かに大きく構成することによって、印刷ヘッド40とプラテンローラ16とによってカード9が挟持された状態におけるプラテンローラ16の半径と前記歯付ベルト28の外周面28aまでの半径とを高精度に一致させることができる。
つまり、印刷ヘッド40による押圧時に、歯付ベルト28の外周面28aがプラテンローラ16の外周面16aより高く突き出て段差を生じさせることのないように、それぞれの半径を適切に設定することが重要である。
また、速度を一致させる効果に加えて、プラテンローラ16の外周面16aと歯付ベルト28の外周面28aとの間に段差が生じないため、カード9に変形(反り)が発生せず、その結果、印刷品質を均質化することが可能となる。
一例として、印刷ヘッド(サーマルヘッド)40の発熱体は約0.1mm前後の幅で印刷長さ分の数が一列に並んでいる。この一列の発熱体で均一な印刷状態を得るためには、カードの裏面9bを支えるプラテンローラ16が均一で安定した反発力を発生させる必要がある。
この目的を達成させるため、プラテンローラ16には高い加工精度がもとめられ、一般的に研磨仕上げが行われる。
また形状精度だけでなく、印刷ヘッド(サーマルヘッド)40との相対位置も、印刷状態に大きな影響を与え、印刷ヘッド(サーマルヘッド)40の発熱体に対して正確に平行で、且つプラテンローラ16の回転軸中心が当該発熱体列に対して一定誤差内で一致させなければならない。
このようにプラテンローラ16はカード9を搬送する役目と同時に良好な印刷結果を得るための重要な要素となる。
この歯付ベルト28とプラテンローラ16との並列配置の実現は、プラテンローラ16外周面16a上のカード搬送速度と、歯付ベルト28の外周面28a上のカード搬送速度とをきわめて高い精度で一致させることによって実現している。
なお、歯付ベルト28の外周面28aもプラテンローラ16の外周面16a上から僅かに高さを低く押さえるため研磨加工を実施して形成することが好適である。
より詳しくは、例えば、8ドット/mmの分解能を持つ印刷ヘッド(サーマルヘッド)40を搭載したカード印刷装置(ロイコプリンタ)1を想定した場合、カード9の幅方向の分解能は、この8ドット/mmとなる。ここで、カード9の搬送方向の分解能も同じ8ドット/mmとすることで1ドットが正方形となる。
一方、プラテンローラ16の半径は、ステッピングモータの1ステップがカード9の搬送方向における1ドット相当となるように設定する(ただし、当該1ステップが1ドットの整数分の1相当となるように設定しても良い)。
これによって、ステッピングモータが1ステップ(前記1ステップが1ドットの整数分の1相当となるように設定した場合には、当該整数倍ステップ)回転したときに、プラテンローラ16の外周面16a(さらには歯付ベルト28の外周面28a)が、1ドット相当距離だけカード9を搬送することが可能となる。
なお、逆回転させずに、そのまま搬送を行い、本体部2における挿入部12と逆側の端部から、カード9を搬出する構成としてもよいし、挿入部12と逆側の端部からカード9を挿入し、逆回転のまま挿入部12に排出する構成としてもよい。
したがって、歯付ベルト28の外周面28aは、カード9に対して、搬送方向の搬送力を発生させ、且つ幅方向に適度な横滑りを可能とするように、適当なゴム材料もしくは樹脂材料により形成されることが好適である。
なお、例えば、印字幅に構成されるプラテンローラ16の両側に別材質のローラ状部材を組み込んでプラテンローラ16の回転軸に平行方向の左右に適度な遊びをもたせつつ一体化すれば同様の効果が得られるが、組立性、コスト面において本構成が有利となる。
また、従来の駆動系が占めていた容積部分に、他の付加装置を収容することが可能となるため、例えば、従来、別に組み立て配置されていた通信制御部等を同一容積の中に収容することができ、結果としてシステム全体を小さくすることが可能となる。
その結果、搬送系は幅方向の左右両側に設けられる一対の歯付ベルトが「無限軌道(無端)ベルト」を形成し、本装置における幅左右の各送り点の全てにおいて完全同期させることが可能となり、送り噛み合いガタの影響がカードの同一搬送方向においては発生せず印刷送り精度を格段に向上させることが可能となる。
ちなみに、歯付ベルトと各プーリとの噛み合いにおいてもバックラッシが設けられ得るが(バックラッシが理論上無い構成も可能)、歯車を用いる従来の伝達方式との比較において、上記ガタの影響は発生しないあるいは無視できる程度となる。
このことにより、カードの搬送方向に対して、幅方向で且つ上方に凸状の反りがカードに生じたときに、当該反りを解消させて、印刷品質を格段に向上させることが可能となる。
この点、図7に示すような搬送系が外側に設けられる従来装置において、プラテンローラ216をカード209の幅より広く設ける構成の場合には、カード209に幅方向で且つ上方に凸状の反りが生じていても、印刷ヘッド240の押圧力(矢印C)の印加によってカード両端の角部209c、209dがプラテンローラ216の外周面に食い込む形となり、押圧しても反りが解消できず(図7(a)参照)、逆に、プラテンローラ216をカード209の幅より狭く設ける構成の場合には、プラテンローラ216両端の角部がカード209の湾曲に負けて凹んでしまうため、カード209の反りの解消が不十分となる(図7(b)参照)という課題の解決を図るものとなる。
2 本体部
3 搬送機構
4 印刷機構
5 クリーナ機構
9 カード
12 挿入部(排出部)
14 搬送路
16 プラテンローラ
18 駆動プーリ
20 第1の従動プーリ
22 第1のピンチローラ
24 第2の従動プーリ
26 第2のピンチローラ
28 歯付ベルト
32 第1のテンションプーリ
34 第2のテンションプーリ
40 印刷ヘッド
41 ヘッド支持部
42 圧力付加部
43 付勢部材
51 動力部
54 位置検知センサ
Claims (11)
- 挿入部から挿入されるカードを搬送路上で搬送する搬送機構と、前記搬送機構により搬送される前記カードに印刷を行う印刷機構とを備えるカード印刷装置であって、
前記搬送機構は、前記カードが搬送される方向と直交する回転軸で回転可能に設けられ、動力部により駆動されるプラテンローラと、
前記プラテンローラに固定されて、該プラテンローラと同軸で回転可能に設けられる駆動プーリと、
前記駆動プーリの回転軸と平行する回転軸で回転可能に設けられる第1の従動プーリと、
前記駆動プーリと前記第1の従動プーリとの間に張り渡されて、該駆動プーリの回転によって周回移動可能に設けられる歯付ベルトと、
前記第1の従動プーリに対向させて、該第1の従動プーリの回転軸と平行する回転軸で回転可能に設けられる第1のピンチローラとを備え、
前記印刷機構は、前記プラテンローラの外周面に対向させて設けられる印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドを所定の圧力で押圧することにより、前記カードを該印刷ヘッドと前記プラテンローラとの間で挟持する圧力付加部とを備え、
前記第1の従動プーリとの噛み合い位置で前記搬送路側に露出される前記歯付ベルトの外周面に前記カードが接触することにより、該歯付ベルトの外周面と前記第1のピンチローラとによって該カードが挟持され、該歯付ベルトの周回移動と該第1のピンチローラの共回りとによって該カードの搬送が行われ、
前記プラテンローラの外周面に前記カードが接触することにより、必要に応じて前記印刷ヘッドと該プラテンローラとによって前記カードが挟持され、該プラテンローラの回転によって該カードの搬送が行われると共に、該印刷ヘッドにより該カードに印刷が行われること
を特徴とするカード印刷装置。 - 前記プラテンローラの半径と、前記歯付ベルトが前記駆動プーリに噛み合った状態における該駆動プーリの回転軸から該歯付ベルトの外周面までの半径とが同径であること、もしくは、前記プラテンローラの半径が、該プラテンローラが前記印刷ヘッドから受ける押圧力によって撓んだ場合に前記歯付ベルトが前記駆動プーリに噛み合った状態における該駆動プーリの回転軸から該歯付ベルトの外周面までの半径と同径となるように、該歯付ベルトの外周面までの半径より大きく構成されること
を特徴とする請求項1記載のカード印刷装置。 - 前記歯付ベルトの外周面が前記カードの裏面において接触する領域が、前記カードの印刷用面における印刷対象外領域に対応する領域となるように、前記プラテンローラと前記駆動プーリとが配設されること
を特徴とする請求項1または請求項2記載のカード印刷装置。 - 前記第1の従動プーリの回転軸と平行する回転軸で回転可能に設けられる第2の従動プーリを備えると共に、前記駆動プーリが中央となるように、該第1の従動プーリが一端側に、該第2の従動プーリが他端側にそれぞれ配設され、
前記歯付ベルトが、前記第1の従動プーリから前記駆動プーリを経て前記第2の従動プーリに至るように周回移動可能に張り渡されて、
前記第2の従動プーリに対向させて、該第2の従動プーリの回転軸と平行する回転軸で回転可能に設けられる第2のピンチローラを備え、
前記第2の従動プーリとの噛み合い位置で前記搬送路側に露出される前記歯付ベルトの外周面に前記カードが接触することにより、該歯付ベルトの外周面と前記第2のピンチローラとによって該カードが挟持され、該歯付ベルトの周回移動と該第2のピンチローラの共回りとによって該カードの搬送が行われること
を特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載のカード印刷装置。 - 前記第1の従動プーリと前記駆動プーリとの間に第1のテンションプーリが設けられ、
前記駆動プーリと前記第2の従動プーリとの間に第2のテンションプーリが設けられ、
前記第1のテンションプーリおよび前記第2のテンションプーリは、それぞれが、前記歯付ベルトを、該歯付ベルトの外周面側から内周面側に押圧するように配設されて、該歯付ベルトが前記駆動プーリに円弧状に接触する噛み合い状態が構成されること
を特徴とする請求項4記載のカード印刷装置。 - 前記駆動プーリは、前記プラテンローラの軸方向の両端側に2箇所設けられ、該それぞれの駆動プーリによって2本の歯付ベルトが駆動されること
を特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載のカード印刷装置。 - 前記カードの進行方向に対する左右両端部が、前記2本の歯付ベルトにそれぞれ接触するように、前記駆動プーリ、前記プラテンローラ、および前記歯付ベルトが構成されること
を特徴とする請求項6記載のカード印刷装置。 - 前記搬送路上を搬送される前記カードの位置を検知する位置検知センサを備え、
前記位置検知センサによって前記カードが所定位置まで到達したことが検知されたときに、前記プラテンローラの回転方向を逆転させて、該カードを排出する排出部を兼ねた前記挿入部へ向けて該カードが搬送されること
を特徴とする請求項1〜7のいずれか一項記載のカード印刷装置。 - 前記カードは、所定の熱量を与えられることにより発色もしくは消色する可逆感熱記録媒体であり、
前記印刷ヘッドは、所定の熱量を発生させるサーマルヘッドであること
を特徴とする請求項1〜8のいずれか一項記載のカード印刷装置。 - 前記動力部は、ステッピングモータであって、該ステッピングモータの1ステップの回転によって駆動される前記プラテンローラの外周面移動距離が、前記カードの最小印刷ドットと同一の長さもしく該最小印刷ドットの整数分の一の長さであること
を特徴とする請求項1〜9のいずれか一項記載のカード印刷装置。 - 前記プラテンローラの外周面および前記歯付ベルトの外周面は、ゴム材料もしくは樹脂材料により形成されること
を特徴とする請求項1〜10のいずれか一項記載のカード印刷装置。
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