[第1の実施の形態]
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図において、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならせてある。
以下に示す本実施の形態の液晶表示装置は、スイッチング素子として薄膜ダイオード(Thin Film Diode, 以下、TFDと略記する)を用いたアクティブマトリクス型の液晶表示装置の例であり、特にバックライトからの光を利用して表示を可能にした透過型の液晶表示装置である。
図1は、本実施の形態の液晶表示装置100についての等価回路を示している。この液晶表示装置100は、走査信号駆動回路110及びデータ信号駆動回路120を含んでいる。液晶表示装置100には、信号線として、複数の走査線13と、該走査線13と交差する複数のデータ線9とが設けられ、走査線13は走査信号駆動回路110により、データ線9はデータ信号駆動回路120により駆動される。そして、各画素領域150において、走査線13とデータ線9との間にTFD素子40と液晶表示要素160(液晶層)とが直列に接続されている。なお、図1では、TFD素子40が走査線13側に接続され、液晶表示要素160がデータ線9側に接続されているが、これとは逆にTFD素子40をデータ線9側に、液晶表示要素160を走査線13側に設ける構成としても良い。
次に、図2に基づいて、本実施の形態の液晶表示装置100に具備された電極の平面構造(画素構造)について説明する。図2に示すように、本実施の形態の液晶表示装置100では、走査線13に対しTFD素子40を介して接続された平面視矩形状の画素電極31がマトリクス状に設けられており、該画素電極31と紙面垂直方向に平面的に対向して共通電極(ストライプ電極)9が短冊状に設けられている。共通電極9はデータ線からなり走査線13と交差する形のストライプ形状を有している。本実施の形態において、各画素電極31が形成された個々の領域が1つのドット領域であり、マトリクス状に配置された各ドット領域毎にTFD素子40が具備され、該ドット領域毎に表示が可能な構成になっている。
ここでTFD素子40は走査線13と画素電極31とを接続するスイッチング素子であって、TFD素子40は、Taを主成分とする第1導電膜と、第1導電膜の表面に形成され、Ta2O3を主成分とする絶縁膜と、絶縁膜の表面に形成され、Crを主成分とする第2導電膜とを含むMIM構造を具備して構成されている。そして、TFD素子40の第1導電膜が走査線13に接続され、第2導電膜が画素電極31に接続されている。
次に、図3に基づいて本実施の形態の液晶表示装置100の画素構成について説明する。図3(a)は、液晶表示装置100の画素構成、主として画素電極31の平面構成を示す模式図、図3(b)は、図3(a)のA−A'断面を示す模式図である。本実施の形態の液晶表示装置100は、画素電極31を備えてなるドット領域(D1,D2,D3)を有しており、このドット領域内には、図3(a)に示すように一のドット領域に対応して3原色のうちの一の着色層が配設され、3つのドット領域(D1,D2,D3)で各着色層22B(青色),22G(緑色),22R(赤色)を含む画素を形成し、各画素単位にて表示が可能な構成とされている。
図3(b)に示すように、本実施の形態の液晶表示装置100は、上基板(素子基板)25とこれに対向配置された下基板(対向基板)10との間に初期配向状態が垂直配向をとる液晶、すなわち誘電異方性が負の液晶材料からなる液晶層50が挟持されている。つまり、本実施の形態の液晶表示装置100は垂直配向モードを採用した透過型液晶表示装置である。
下基板10は、石英、ガラス等の透光性材料からなる基板本体10Aを主体として構成され、該基板本体のの表面には、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide, 以下、ITOと略記する)からなるストライプ状の共通電極9が形成され、共通電極9上にはポリイミド等からなる配向膜27が形成されている。配向膜27は液晶分子を膜面に対して垂直に配向させる垂直配向膜として機能するものであって、ラビングなどの配向処理は施されていない。なお、図3(b)において共通電極9は、紙面垂直方向に延びる形のストライプ状に形成されており、該紙面垂直方向に並んで形成されたドット領域の各々に共通の電極として構成されている。また、詳細は後述するが、共通電極9には自身の一部を短冊状に切り欠いたスリット49が形成されている。
次に、上基板25側においては、ガラスや石英等の透光性材料からなる基板本体25A上(基板本体25Aの液晶層側)には、カラーフィルタ22(図3(b)では赤色着色層22R)が設けられている。ここで、着色層22Rの周縁は金属クロム等からなるブラックマトリクスBMにて囲まれ、ブラックマトリクスBMにより各ドット領域D1,D2、D3の境界が形成されている(図3(a)参照)。また、カラーフィルタ22上には、ITO等の透明導電膜からなるマトリクス状の画素電極31と、ポリイミド等からなる下基板10と同様の垂直配向処理がなされた配向膜33とが形成されている。なお、詳細は後述するが、上基板25の内面側には液晶層50の突出してなる突起28が平面視短冊状に形成されている。
また、下基板10の外面側(液晶層50を挟持する面とは異なる側)には位相差板18及び偏光板19が、上基板25の外面側にも位相差板16及び偏光板17が形成されており、基板内面側(液晶層50側)に円偏光を入射可能に構成されており、これら位相差板18及び偏光板19、位相差板16及び偏光板17が、それぞれ円偏光板を構成している。偏光板17(19)は、所定方向の偏光軸を備えた直線偏光のみを透過させる構成とされ、位相差板16(18)としてはλ/4位相差板が採用されている。このような円偏光板としては、その他にも偏光板とλ/2位相差板とλ/4位相差板を組み合わせた構成のもの(広帯域円偏光板)を用いることが可能で、この場合、黒表示をより無彩色にすることができるようになる。また、偏光板とλ/2位相差板とλ/4位相差板、及びcプレート(膜厚方向に光軸を有する位相差板)を組み合わせた構成のものを用いることも可能で、一層広視角化を図ることができるようになる。なお、下基板10に形成された偏光板19の外側には透過表示用の光源たるバックライト15が設けられている。
ここで、本実施の形態の液晶表示装置100は、上述した通り液晶層50が誘電異方性が負の液晶材料にて構成された垂直配向モードの液晶表示装置である。したがって、初期配向状態で液晶分子が基板面に対して垂直に立っているものを、電界印加により倒すわけであるから、何も工夫をしなければ(プレチルトが付与されていなければ)液晶分子の倒れる方向を制御できず、配向の乱れ(ディスクリネーション)が生じて光抜け等の表示不良が生じ、表示特性を落としてしまう。そのため、垂直配向モードの採用にあたっては、電界印加時の液晶分子の配向方向の制御が重要な要素となる。
そこで、本実施の形態の液晶表示装置100においては、液晶層50の挟持面に対しアクリル樹脂等の誘電体からなる突起(凸状部、若しくは挟持面凸形状付与手段)を形成することで、液晶分子に対して、その凸形状に応じたプレチルトを付与する一方、電極を一部切り欠いたスリットを形成することで対向する電極との間で斜め電界を生じさせ、該斜め電界に応じたプレチルトを付与するものとしている。具体的には、図3に示すように、共通電極9には自身の一部を長手状若しくは短冊状に切り欠いてなるスリット49(図3(a)では破線で示す)を形成する一方、上基板25内面には画素電極31より液晶内面に突出してなる誘電体にて構成された突起28を形成するものとした。
特に、本実施の形態では、共通電極9に形成したスリット49と、上基板25内面に形成した突起28とが互い違いの位置に形成されるように、つまり複数のスリット49のうち隣合うスリット49,49の間に平面的に突起28が位置するように配設されている。その結果、隣合うスリット間、若しくは隣合う突起間において、液晶分子の倒れる方向が不連続となる領域が形成され難く、一層高効率にディスクリネーションの発生を防止ないし抑制することが可能となる。
また、本実施の形態では、液晶分子の配向方向を規制ないし制御する突起28が形成された領域においては画素電極31を開口させ、つまり突起28の内面側及び外面側に電極が存在しない構成とした。その結果、突起28の影響により液晶が倒れる方向と、電気力線の方向とが逆方向となるため、液晶の倒れる方向が定まり易く、一層安定した液晶分子の配向規制を行うことが可能とる。なお、画素電極31上に突起28を直接形成するものとしても液晶分子の配向方向を規制することは可能である。
このような構成により、液晶分子が初期状態で垂直配向を呈した上で、突起28の凸形状及びスリット49形成に基づく斜め電界に応じたプレチルトを持つようになる。その結果、液晶分子の倒れる方向を所定方向に規制ないし制御することが可能となり、配向の乱れ(ディスクリネーション)が生じ難く、光抜け等の表示不良を回避することが可能となり、残像やしみ状のむら等の表示不良が抑えられ、さらには視野角の広い液晶表示装置を提供することが可能となる。
一方、本実施の形態の液晶表示装置100においては、図3(a)に示すように、画素電極31に対して信号を供給する信号線、ここではTFDを介して画素電極31に走査信号を供給する走査線13上に、アクリル樹脂等の誘電体からなる突起38が配設されている。具体的には、図8の断面図に示すように走査線13を平面的に覆う形にて、該走査線13と画素電極31とに跨って形成されており、画素電極31の外縁の一部を覆うように構成されている(図2も参照)。
ここで、例えば突起38を形成しない場合、画素電極31に対して信号を供給する走査線13は、画素電極31との間で横電界を生じる場合があり、該横電界が発生すると、液晶分子は通常の画素電極31と共通電極9との間における電界に基づく配向とは異なる動きを呈する場合がある。このような横電界によって通常とは異なる方向への配向が生じた場合には、上述のように画素内に突起28やスリット49を形成して液晶分子の配向規制を行ったとしても、特に画素周辺領域において液晶分子の配向に乱れが生じ、表示特性の低下を引き起こす惧れがある。
そこで、本実施の形態では、図3(a)及び図8に示すように、走査線13上に誘電体からなる突起38(凸状部、又は挟持面凸形状付与手段)を形成することで、走査線13と画素電極31との間を電気的に遮蔽し、上記横電界の発生を防止ないし抑制することを可能とした。また、もし仮に横電界が発生した場合にも、該突起38の凸形状に沿った配向規制力により横電界の影響を受けることなく、つまり横電界の影響よりも液晶分子に大きく作用する突起38の形状に基づく配向規制力により、走査線13の形成領域周辺の液晶分子を所定の方向に配向規制することが可能となる。その結果、特に走査線13が形成された領域付近において、液晶分子の倒れる方向を規制ないし制御することが可能となり、配向の乱れ(ディスクリネーション)が生じ難く、光抜け等の表示不良を回避することが可能となり、残像やしみ状のむら等の表示不良が抑えられ、さらには視野角の広い液晶表示装置を提供することが可能となる。
なお、本実施の形態で用いた突起28,38は同一材料にて構成し、同一製造プロセスにて形成することができる。また、突起28,38は、液晶層50の挟持面に凸形状を付与する挟持面凸形状付与手段として機能しており、具体的には基板内面から液晶層50に所定の高さ(例えば0.05μm〜1.5μm、好ましくは0.07μm〜0.2μm程度)だけ突出してなる山状の傾斜面を具備して構成されている。
また、突起28,38の凸形状は、その縦断面形状が略左右対称の形をなしている。例えば縦断面が略三角形状を有した長手状の突起28,38として構成すると、液晶分子が倒れる際には該突起の中心部(頂部)を境にそれぞれ逆方向に倒れることとなり、広い視角特性を得ることができる。このような広い視角特性を得るためには、突起28,38は、その縦断面形状を三角形状の他、台形状若しくは半楕円状に構成することが好ましい。
[第2の実施の形態]
以下、本発明の第2の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図4は、第2の実施の形態の液晶表示装置200について、平面図及び断面図を示すもので第1の実施の形態の図3に相当する模式図である。本実施の形態の液晶表示装置の基本構成は第1の実施の形態と同様であり、液晶分子の配向規制を行う誘電体突起や電極スリットの形成位置が主として異なっている。したがって、図4においては図3と共通の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図4に示すように、第2の実施の形態の液晶表示装置200においては、上基板25の内面に形成した画素電極31にスリット48を設け、下基板10の内面に突起29を形成した。この場合も、スリット48は画素電極31の一部を部分的に切り欠いて平面視長手状若しくは短冊状に開口部を形成したもので、また、突起29はアクリル樹脂等の誘電体からなる凸状部(挟持面凸形状付与手段)を平面視長手状若しくは短冊状に形成したものであって、縦断面形状が略三角形の山形の形状を備えたものである。この場合も、液晶分子に対して、突起29の凸形状に応じたプレチルトを付与することが可能な一方、スリット48に基づく斜め電界に応じたプレチルトを付与することが可能とされている。
また、画素電極31に形成したスリット48と、下基板10の内面に形成した突起29とが互い違いの位置に形成されるように、つまり複数のスリット48のうち隣合うスリット48,48の間に平面的に突起29が位置するように配設されている。これにより、隣合う突起又はスリット同士で、液晶分子の傾倒方向が逆向きとなるような不連続領域(ディスクリネーション)の発生を解消している。また、液晶分子の配向方向を規制ないし制御する突起29上においては、共通電極31を開口させ、つまり突起29の内面側には電極が存在しない構成としている。
このような突起29及びスリット48を配設したことにより、液晶分子が初期状態で垂直配向を呈した上で、突起29の凸形状及びスリット48形成に基づく斜め電界に応じたプレチルトを持つようになる。その結果、液晶分子の倒れる方向を所定方向に規制ないし制御することが可能となり、配向の乱れ(ディスクリネーション)が生じ難く、光抜け等の表示不良を回避することが可能となり、残像やしみ状のむら等の表示不良が抑えられ、さらには視野角の広い液晶表示装置を提供することが可能となる。
一方、図4(a)に示すように、画素電極31に対して信号を供給する信号線、ここではTFDを介して画素電極31に走査信号を供給する走査線13に対し、平面的に重畳する位置、つまり走査線13を平面的に覆う位置であって該走査線13が形成された基板(上基板25)と異なる側の基板(下基板10)内面には、アクリル樹脂等の誘電体からなる突起39が配設されている。具体的には、図10に示すように走査線13と平面的に重畳する形にて突起39が下基板10上に形成されている。また、この突起39は、画素電極31の外縁の一部をも重畳するように構成されている。
上述した通り、画素電極31に対して信号を供給する走査線13は、画素電極31との間で横電界を生じる場合があり、該横電界が発生すると、液晶分子は通常の画素電極31と共通電極9との間における電界に基づく配向とは異なる動きを呈する場合がある。このような横電界によって通常とは異なる方向への配向が生じた場合には、上述のように画素内に突起29やスリット48を形成して液晶分子の配向規制を行ったとしても、特に画素周辺領域において液晶分子の配向に乱れが生じ、表示特性の低下を引き起こす惧れがある。
そこで、本実施の形態では、図4(a)及び図10に示すように、走査線13と平面的に重畳する位置であって、該走査線13が形成された基板(上基板25)とは異なる基板(下基板10)側に誘電体からなる突起39(凸状部、又は挟持面凸形状付与手段)を形成することで、もし仮に横電界が発生した場合にも、該突起39の凸形状に沿った配向規制力により横電界の影響を受けることなく、つまり横電界の影響よりも液晶分子に大きく作用する突起39の形状に基づく配向規制力により、走査線13の形成領域周辺の液晶分子を所定の方向に配向規制することを可能とした。その結果、特に走査線13が形成された領域付近において、液晶分子の倒れる方向を規制ないし制御することが可能となり、配向の乱れ(ディスクリネーション)が生じ難く、光抜け等の表示不良を回避することが可能となり、残像やしみ状のむら等の表示不良が抑えられ、さらには視野角の広い液晶表示装置を提供することが可能となる。
なお、下基板10内面に形成した突起29,39は同一材料にて構成し、同一製造プロセスにて形成することができる。また、突起29,39は、液晶層50の挟持面に凸形状を付与する挟持面凸形状付与手段として機能しており、具体的には基板内面から液晶層50に所定の高さ(例えば0.05μm〜1.5μm、好ましくは0.07μm〜0.2μm程度)突出した山状の傾斜面を具備して構成されている。
また、突起29,39の凸形状は、その縦断面形状が略左右対称の形をなしている。例えば縦断面が略三角形状の山形を有した長手状の突起29,39として構成すると、液晶分子が倒れる際には該突起の中心部(頂部)を境にそれぞれ逆方向に倒れることとなり、広い視角特性を得ることができる。このような広い視角特性を得るためには、突起29,39は、その縦断面形状を三角形状の他、台形状若しくは半円状、半楕円状に構成することが好ましい。
[第3の実施の形態]
以下、本発明の第3の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図5は、第3の実施の形態の液晶表示装置300について、平面図及び断面図を示すもので第1の実施の形態の図3に相当する模式図である。本実施の形態の液晶表示装置の基本構成は第1の実施の形態と同様であり、走査線上に形成した突起の構成が主として異なっている。したがって、図5においては図3と共通の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図5(a)に示すように、第3の実施の形態の液晶表示装置300においては、TFDを介して画素電極31に走査信号を供給する走査線13上に、アクリル樹脂等の誘電体からなる突起38が一つの画素内において複数形成されている。具体的には、点状若しくは短冊状の突起38が一つのドット領域D1,D2,D3内、若しくは各ドット領域D1,D2,D3内の境界領域に複数形成されている。
この場合も、第1の実施の形態と同様に、走査線13と画素電極31との間を電気的に遮蔽することが可能で、該走査線13と画素電極31との間の横電界発生を防止ないし抑制することが可能となる。また、もし仮に横電界が発生した場合にも、該突起38の凸形状に沿った配向規制力により横電界の影響を受けることなく、つまり横電界の影響よりも液晶分子に大きく作用する突起38の形状に基づく配向規制力により、走査線13の形成領域周辺の液晶分子を所定の方向に配向規制することが可能となる。その結果、特に走査線13が形成された領域付近において、液晶分子の倒れる方向を規制ないし制御することが可能となり、配向の乱れ(ディスクリネーション)が生じ難く、光抜け等の表示不良を回避することが可能となり、残像やしみ状のむら等の表示不良が抑えられ、さらには視野角の広い液晶表示装置を提供することが可能となる。
なお、上基板25内面に形成した突起28,38は同一材料にて構成し、同一製造プロセスにて形成することができる。また、突起28,38は、液晶層50の挟持面に凸形状を付与する挟持面凸形状付与手段として機能しており、具体的には基板内面から液晶層50に所定の高さ(例えば0.05μm〜1.5μm、好ましくは0.07μm〜0.2μm程度)突出した山状の傾斜面を具備して構成されている。また、突起28,38の凸形状は、第1の実施の形態と同様、その縦断面形状が略左右対称の形をなしている。
[第4の実施の形態]
以下、本発明の第4の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図6は、第4の実施の形態の液晶表示装置400について、平面図及び断面図を示すもので第1の実施の形態の図3に相当する模式図である。本実施の形態の液晶表示装置の基本構成は第1の実施の形態と同様であり、液晶分子の配向規制を行う突起又は電極スリットの構成が主として異なっている。したがって、図6においては図3と共通の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図6に示すように、第4の実施の形態の液晶表示装置400においては、上基板25の内面に形成した画素電極31にスリット48を設け、下基板10の内面に形成した共通電極9に対してもスリット49を形成した。この場合も、スリット48,49は各電極31,9の一部を部分的に切り欠いて長手状若しくは短冊状に開口部を形成したもので、液晶分子に対してスリット形成に基づく斜め電界に応じたプレチルトを付与することが可能とされている。なお、画素電極31に形成したスリット48と、共通電極9に形成したスリット49とが互い違いの位置に形成されるように、つまり複数のスリット48のうち隣合うスリット48,48の間に、対向側のスリット49が平面的に位置するように配設されている。これにより、隣合うスリットの間で、液晶分子の傾倒方向が逆向きとなるような不連続領域の発生を解消している。
一方、図6(a)に示すように、TFDを介して画素電極31に走査信号を供給する走査線13上にアクリル樹脂等の誘電体からなる突起38が配設されている。この場合も、突起38により、走査線13と画素電極31との間の横電界の発生を防止ないし抑制することが可能となり、もし仮に横電界が発生した場合にも、該突起38の凸形状に沿った配向規制力により横電界の影響を受けることなく、つまり横電界の影響よりも液晶分子に大きく作用する突起38の形状に基づく配向規制力により、走査線13の形成領域周辺の液晶分子を所定の方向に配向規制することが可能となる。
なお、本実施の形態では、画素内部には突起を形成せず、電極スリットのみで液晶分子の配向規制を行っているため、突起38は独立の製造プロセスにて形成しているが、液晶層50の層厚を規定するスペーサー(図示略)と同一の工程にて形成するものとしても良い。つまり、いわゆる貝柱状のフォトスペーサーを基板内面に形成したようなえ気象表示装置においては、該スペーサーの形成工程と同時に走査線13上の突起38を形成することが可能である。また、突起38を液晶分子の配向方向を規制する手段として構成するとともに、液晶層厚を規定する手段として構成させることも可能で、つまり双方の機能を兼備した突起38として構成することもできる。
[第5の実施の形態]
以下、本発明の第5の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図7は、第5の実施の形態の液晶表示装置500について、平面図及び断面図を示すもので第1の実施の形態の図3に相当する模式図である。本実施の形態の液晶表示装置の基本構成は第1の実施の形態と同様であり、下基板10内面に形成した共通電極9が金属反射膜にて構成されている点が異なっている。したがって、図7においては図3と共通の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図7に示すように、第5の実施の形態の液晶表示装置500においては、下基板10の内面に形成した共通電極90を反射性金属導電膜にて構成し、該共通電極(反射膜)90に対してスリット49を形成している。また、下基板10の外面側には、位相差板、偏光板、バックライト等は形成されておらず、上基板25の外面側から入射された太陽光、照明光等の外光を画素電極(反射膜)90にて反射することで表示を可能としている。すなわち、本実施の形態の液晶表示装置500は垂直配向モードを採用した反射型の液晶表示装置である。
このような垂直配向モードを採用した反射型液晶表示装置においても、共通電極(反射膜)90にスリット49を形成するとともに、上基板25の内面側に突起28を形成することで、画素内の液晶分子の配向規制を行うとともに、走査線13上にも突起38を形成することで画素周辺領域の液晶分子も配向規制するものとしている。
この場合も、スリット49は共通電極(反射膜)90の一部を部分的に切り欠いて長手状若しくは短冊状に開口部を形成したもので、液晶分子に対してスリット形成に基づく斜め電界に応じたプレチルトを付与することが可能とされている。また、突起28は液晶層50に突出してなるもので、その凸形状に応じて、つまり突起28の傾斜面に応じて液晶分子の傾倒方向を規制するものとしている。なお、共通電極(反射膜)90に形成したスリット49と、上基板25の内面に形成した突起28とが互い違いの位置に形成されるように、つまり複数のスリット49のうち隣合うスリット49,49の間に、対向側の突起28が平面的に位置するように配設されている。これにより、隣合うスリットの間で、液晶分子の傾倒方向が逆向きとなるような不連続領域の発生を解消している。
また、走査線13上に形成した突起38はアクリル樹脂等の誘電体にて構成され、上基板25の内面から液晶層50に突出してなるものであって、画素電極31と走査線13との間を電気的に遮蔽している。また、突起38は、電気的な遮蔽効果に加えて、その凸形状に応じて、つまり自身の傾斜面に応じて液晶分子の傾倒方向を規制可能に構成されている。したがって、突起38を形成したことで、画素電極31と走査線13との間の横電界の発生が防止ないし抑制され、仮に両者の間で横電界が生じたとしても、その凸形状に基づく高い配向規制力により、横電界の影響を打ち消す形にて液晶分子の配向方向を規制することが可能となる。
以上のような第1〜第5の実施の形態で示した走査線13上に、若しくは走査線13に重畳して形成する突起(38,39)は、液晶分子を傾倒させたい方向によって適宜形成位置や形状を選択可能で、画素内の突起28,29、電極スリット48,49についても、液晶分子の傾倒方向によってその形成位置を適宜選択することができる。例えば、図9に示したように、隣合う画素電極31,31間に配設された走査線13を覆うように突起38を形成することで、横電界の発生を防止ないし抑制するとともに、その凸形状に基づいて液晶分子の配向規制を行うことが可能であるが、図8に示したように、各画素電極31,31の外縁の一部を覆うように突起38を形成することで、横電界の発生を一層効果的に抑制することが可能となる。
また、図9に示したように、異なる画素電極31,31間に配設された走査線13と重畳するように、走査線13が形成された基板25Aとは異なる基板10A側に突起39を形成する場合も、隣合う画素電極31,31の外縁の一部を覆う形にて重畳させることが好ましい。この場合、凸形状に基づく配向規制力により、画素電極31と走査線13との間の横電界の影響を一層低減させることが可能となる。
なお、図11に示すように、少なくとも走査線13の近傍に突起が形成されていれば良く、走査線13上を覆うことなく、画素電極31と走査線13との間に突起38aを形成する構成でも良い。また、走査線13の対向側に突起を形成する場合も、必ずしも走査線13に重畳させる必要はなく、画素電極31と走査線13との間であって、走査線13が形成された基板と対向する基板に突起39aを形成する構成としても良い。
[第6の実施の形態]
以下、本発明の第6の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図12は、第6の実施の形態の液晶表示装置600について、平面図及び断面図を示すもので第1の実施の形態の図3に相当する模式図である。本実施の形態の液晶表示装置の基本構成は第1の実施の形態と同様であるが、下基板10の内面に反射膜を部分的に形成し、透過表示と反射表示の双方を可能にした点が異なっている。したがって、図12においては図3と共通の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図12に示すように、本実施の形態の液晶表示装置600は、下基板10の内面側に反射膜20を部分的に形成し、該反射膜20の形成領域においては反射表示を行い、該反射膜20の非形成領域(反射膜20の開口領域)においては透過表示を行うことが可能とされている。すなわち、本実施の形態の液晶表示装置600は、垂直配向モードを採用した半透過反射型の液晶表示装置である。
まず、図12(b)に示すように、本実施の形態の液晶表示装置600は、第1の実施の形態の液晶表示装置100と同様、上基板(素子基板)25とこれに対向配置された下基板(対向基板)10との間に初期配向状態が垂直配向をとる液晶、すなわち誘電異方性が負の液晶材料からなる液晶層50が挟持されている。
下基板10は、石英、ガラス等の透光性材料からなる基板本体10Aの表面にアルミニウム、銀等の反射率の高い金属膜からなる反射膜20が絶縁膜24を介して部分的に形成された構成をなしている。ここで、反射膜20の形成領域が反射表示領域Rとなり、反射膜20の非形成領域、すなわち反射膜20の開口部21内が透過表示領域Tとなる。
基板本体10A上に形成された絶縁膜24は、その表面に凹凸形状24aを具備してなり、その凹凸形状24aに倣って反射膜20の表面は凹凸形状を有する。このような凹凸形状により反射光が散乱されるため、外部からの映り込みが防止され、広視野角の反射表示を得ることが可能とされている。なお、このような凹凸形状24aを具備する絶縁膜24は、例えば樹脂レジストをパターニングし、その上にもう一層の樹脂を塗布することで得られる。また、パターニングした樹脂レジストに熱処理を加えて形状を調整しても良い。
また、反射表示領域R内に位置する反射膜20上、及び透過表示領域T内に位置する基板本体10A上には、これら反射表示領域R及び透過表示領域Tに跨って形成されるカラーフィルタ22(図12(b)では赤色着色層22R)が設けられている。ここで、着色層22Rの周縁は金属クロム等からなるブラックマトリクスBMにて囲まれ、ブラックマトリクスBMにより各ドット領域D1,D2、D3の境界が形成されている(図12(a)参照)。
さらに、カラーフィルタ22上には、反射表示領域Rに対応する位置に絶縁膜26が形成されている。すなわち、カラーフィルタ22を介して反射膜20の上方に位置するように選択的に絶縁膜26が形成され、該絶縁膜26の形成に伴って液晶層50の層厚を反射表示領域Rと透過表示領域Tとで異ならしめている。絶縁膜26は例えば膜厚が0.5μm〜2.5μm程度のアクリル樹脂等の有機膜からなり、反射表示領域Rと透過表示領域Tとの境界付近において、自身の層厚が連続的に変化するべく傾斜面を備えている。絶縁膜26が存在しない部分の液晶層50の厚みが1μm〜5μm程度とされ、反射表示領域Rにおける液晶層50の厚みは透過表示領域Tにおける液晶層50の厚みの約半分とされている。このように絶縁膜26は、自身の膜厚によって反射表示領域Rと透過表示領域Tとの液晶層50の層厚を異ならせる液晶層厚調整層(液晶層厚制御層)として機能するものである。
また、反射表示領域Rに形成された絶縁膜26の平面視略中央には、該絶縁膜26の表面から液晶層50内部に突出してなる突起(凸状部)29aが形成されている。この突起29aは、アクリル樹脂等の誘電体からなるものであって、液晶層50の挟持面に傾斜面を備えた凸形状を付与する凸形状付与手段として機能しており、具体的には絶縁膜26の表面から所定の高さ(例えば0.05μm〜1.5μm、好ましくは0.07μm〜0.2μm程度)突出して構成されている。
一方、カラーフィルタ22上には、透過表示領域Tに対応する位置に該カラーフィルタ22の表面から液晶層50内部に突出してなる突起(凸状部)29aが形成されている。この突起29aは、上記反射表示領域Rと同様にアクリル樹脂等の誘電体からなるものであって、液晶層50の挟持面に傾斜面を備えた凸形状を付与する凸形状付与手段として機能しており、具体的には絶縁膜26の表面から所定の高さ(例えば0.05μm〜1.5μm、好ましくは0.07μm〜0.2μm程度)突出して構成されている。すなわち、反射表示領域Rと透過表示領域Tとに形成された突起29aは、それぞれ同一の製造プロセスで形成され、同一の材料であるアクリル樹脂等の有機膜からなる誘電体にて構成されている。
さらに、絶縁膜26及び突起29aを含むカラーフィルタ22上には、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide, 以下、ITOと略記する)からなるストライプ状の共通電極9が形成され、共通電極9上にはポリイミド等からなる配向膜27が形成されている。配向膜27は液晶分子を膜面に対して垂直に配向させる垂直配向膜として機能するものであって、ラビングなどの配向処理は施されていない。なお、図12において共通電極9は、紙面垂直方向に延びる形のストライプ状に形成されており、該紙面垂直方向に並んで形成されたドット領域の各々に共通の電極として構成されている。なお、本実施の形態では、反射膜20と共通電極9とを別個に形成したが、反射表示領域Rにおいては金属膜からなる反射膜を共通電極の一部として用いることも可能である。また、突起29aの内面及び外面には共通電極9が形成されておらず、共通電極9の開口部内に突起29aが形成された構成とされている。
次に、上基板25側においては、ガラスや石英等の透光性材料からなる基板本体25A上(基板本体25Aの液晶層側)に、ITO等の透明導電膜からなるマトリクス状の画素電極31と、ポリイミド等からなる下基板10と同様の垂直配向処理がなされた配向膜33とが形成されている。なお、画素電極31には、自身の一部を部分的に切り欠いてなるスリット32が形成されている。
また、下基板10の外面側には位相差板18及び偏光板19が、上基板25の外面側にも位相差板16及び偏光板17が形成されており、基板内面側(液晶層50側)に円偏光を入射可能に構成されており、これら位相差板18及び偏光板19、位相差板16及び偏光板17が、それぞれ円偏光板を構成している。
ここで、本実施の形態の液晶表示装置600においては、液晶層50の液晶分子を配向規制するために、つまり初期状態において垂直配向にある液晶分子について、電極間に電圧を印加した際の傾倒方向を規制するために、下基板10の内面側(液晶層側)に誘電体からなる突起29aが形成されている。具体的には、図12の例においては、下基板10に形成されたカラーフィルタ22の内面側(液晶層側)に、液晶層50内部に突出する形の突起29aが反射表示領域R及び透過表示領域Tの双方に形成されており、略円錐台の形状を具備している。
このように形成された突起29aは、その凸形状(特に傾斜面)に沿って液晶分子の傾倒方向を規制するものである。すなわち、電極間に電圧が印加されていない初期状態において垂直配向にある液晶分子は、電圧が印加されると、その電界方向に交わる方向に傾倒しようとするが、本実施の形態によると、その電圧印加時の液晶分子の傾倒方向が突起29aの傾斜面に沿って規制されるのである。
なお、突起29aは、その凸形状の表面(傾斜面)を液晶分子の垂直配向方向に対して所定の角度だけ傾斜するように構成すればよく、例えば円錐状若しくは楕円錘状、又は多角錐状、円錐台状、楕円錘台状、多角錘台状、半球状にて構成されていることが好ましい。また、突起29aの傾斜面については、その最大傾斜角が2°〜20°であることが好ましい。この場合の傾斜角とは、基板10Aの基板面(主面)と突起29aの傾斜面とのなす角度で、突起29aが曲表面を有している場合には、その曲表面に接する面と基板面とのなす角度を指すものとする。この場合の最大傾斜角が2°未満の場合、液晶分子の倒れる方向を規制するのが困難となる場合があり、また最大傾斜角が20°を超えると、その部分から光漏れ等が生じコントラスト低下等の不具合が生じる場合がある。
一方、液晶層50の液晶分子を配向規制するために、上基板10の内面側(液晶層側)に形成された画素電極31にはスリット32が形成されている。つまり、画素電極31にスリット32を形成したことによって、対向する共通電極9との間に該スリット32の形成位置に沿って斜め電界が生じ、該斜め電界によって、電圧印加時の液晶分子の傾倒方向が規制されることとなる。
なお、画素電極31にスリット32を形成したことにより、該画素電極31は図12(a)に示すように略八角形のサブドット(島状部)31a,31b,31cに分割形成されており、各サブドット(島状部)31a,31b,31cは連結部59によって連結されている。そして、各サブドット(島状部)31a,31b,31cの略中心付近であって、その対向する基板側には突起29aが形成されており、その結果、該突起29aを中心に液晶分子が八方に倒れることとなり、すなわち本実施の形態においては、サブドット(島状部)31a,31b,31c毎に配向分割化された構成となっている。
さらに、本実施の形態の液晶表示装置600においては、上基板25の内面に形成された走査線13上に誘電体からなる突起38が形成されている。具体的には、走査線13に沿って該走査線13を断片的に覆う形にて形成されている。このように走査線13上に誘電体からなる突起38(凸状部、又は挟持面凸形状付与手段)を形成することで、走査線13と画素電極31との間を電気的に遮蔽し、上記横電界の発生を防止ないし抑制することが可能となる。また、もし仮に横電界が発生した場合にも、該突起38の凸形状に沿った配向規制力により横電界の影響を受けることなく、つまり横電界の影響よりも液晶分子に大きく作用する突起38の形状に基づく配向規制力により、走査線13の形成領域周辺の液晶分子を所定の方向に配向規制することが可能となる。
また、突起38の凸形状は、その縦断面形状が略左右対称の形をなしている。例えば縦断面が略三角形状を有した長手状の突起38として構成すると、液晶分子が倒れる際には該突起の中心部(頂部)を境にそれぞれ逆方向に倒れることとなり、広い視角特性を得ることができる。このような広い視角特性を得るためには、突起38は、その縦断面形状を三角形状の他、台形状若しくは半楕円状に構成することが好ましい。
なお、突起38は走査線13を断片的に覆う形にて形成されているが、特に本実施の形態では、図12(a)に示すように略八角形の画素電極31と走査線13とが最も近づく位置に突起38を形成している。つまり、画素電極31と走査線13が近づく位置では上記横電界が生じ易いため、その位置に突起38を形成することによって、液晶分子の配向規制が最も効果的となるのである。
以上のような構成を具備した本実施の形態の液晶表示装置600によれば、以下のような好ましい作用・効果を発現することができるようになる。
まず、本実施形態の液晶表示装置600では、反射表示領域Rに対して選択的に絶縁膜26を設けたことによって反射表示領域Rの液晶層50の厚みを透過表示領域Tの液晶層50の厚みの略半分と小さくすることができるので、反射表示に寄与するリタデーションと透過表示に寄与するリタデーションを略等しくすることができ、これによりコントラストの向上が図られている。
また、一般的には、ラビング処理を施さない垂直配向膜上に配向した負の誘電異方性を有する液晶分子に電圧を印加すると、液晶の倒れる方向に規制がないので無秩序な方向に倒れ、配向不良が生じることとなる。しかしながら、本実施の形態では、液晶分子の倒れる方向を規制する手段として、下基板10の内面に突起29aを形成し、上基板25の内面に形成した画素電極31にはスリット32を形成したため、突起29aの傾斜面(山状傾斜面)による配向規制、スリット32に沿った斜め電界による配向規制が生じ、初期状態で垂直配向した液晶分子の、電圧印加により倒れる方向が規制されることとなる。その結果、液晶配向不良に基づくディスクリネーションの発生が抑制されるため、ディスクリネーションの発生に伴う残像や、当該液晶表示装置600の表示面を斜め方向から観察したときにざらざらとしたしみ状のムラ等が発生し難い高品質な表示が得られるようになる。
さらに、本実施の形態の液晶表示装置600では、走査線13上にも突起38を断片的に形成しているため、該走査線13が形成された領域付近において、液晶分子の倒れる方向を規制ないし制御することが可能となる。その結果、走査線13が形成された領域付近、ひいては画素全域において配向の乱れ(ディスクリネーション)が生じ難く、光抜け等の表示不良を回避することが可能となり、残像やしみ状のむら等の表示不良が抑えられ、さらには視野角の広い半透過反射型の液晶表示装置を提供することが可能となる。
[第7の実施の形態]
以下、本発明の第7の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図13は、第7の実施の形態の液晶表示装置700について、平面図及び断面図を示すもので、第6の実施の形態の図12に相当する模式図である。本実施の形態の液晶表示装置の基本構成は第6の実施の形態と同様であり、走査線13上に形成した突起38の構成が第6の実施の形態と異なっている。したがって、図13においては図12と共通の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図13に示すように、第7の実施の形態の液晶表示装置700においては、走査線13上に形成する突起38について、反射表示領域Rには形成せず、透過表示領域Tのみに選択的に形成するものとしている。本実施の形態のような半透過反射型の液晶表示装置において、反射表示領域Rと透過表示領域Tとの液晶層厚を調整する絶縁膜26を具備している場合、反射表示領域Rの方が透過表示領域Tに比して液晶層厚が薄いため、画素電極31と共通電極9との間の電界が相対的に強く、液晶分子が横電界の影響を相対的に受け難い。逆に、透過表示領域Tでは反射表示領域Rに比して画素電極31と共通電極9との間の電界が相対的に弱く、液晶分子が横電界の影響を受けやすい。そこで、本実施の形態では、透過表示領域Tに選択的に突起38を形成することで、その透過表示領域Tにおける横電界の影響を効果的に防止ないし抑制することが可能となるのである。
[第8の実施の形態]
以下、本発明の第8の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図14は、第8の実施の形態の液晶表示装置800について、平面図及び断面図を示すもので、第6の実施の形態の図12に相当する模式図である。本実施の形態の液晶表示装置の基本構成は第6の実施の形態と同様であり、下基板10の内面に形成した突起の構成と、上基板25の内面側に形成された電極スリットの構成と、走査線13上に形成した突起の構成とが第6の実施の形態と異なっている。したがって、図14においては図12と共通の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図14に示すように、第8の実施の形態の液晶表示装置800においては、下基板10の内面側に平面視長手状若しくは短冊状の突起29bを形成しており、また上基板25の内面に形成した画素電極9には、同じく平面視長手状若しくは短冊状のスリット48aが形成されている。なお、これら突起29bとスリット48aは平面的に互い違いの位置に配設され、つまり隣合うスリット48a,48aの間に平面的に位置するように突起29bが形成されている。
一方、下基板10の内面側であって、上基板25に形成された走査線13と重畳する位置には、突起39a,39bが断片的に形成されている。このように走査線13が形成された基板と対向する基板側に突起39a,39bを形成することによっても、その凸形状に基づく液晶分子の配向規制力が走査線13と画素電極31との間の横電界による影響を打ち消し、すなわち凸形状に沿って液晶分子を好適に配向規制することが可能となる。
そして、本実施の形態では、図14(b)に示すように、反射表示領域Rにおいて走査線13に重畳して配設された突起39aの高さを、該反射表示領域Rの液晶層厚と同じとなるように形成している。つまり、該反射表示領域Rに形成した突起39aが、液晶層厚を規制するためのスペーサー(フォトスペーサー)として兼用された構成となっている。この場合、突起39aの形成により、走査線13付近の液晶分子の配向乱れ(ディスクリネーション)の発生を防止ないし抑制することが可能となるとともに、簡便な構成で均一な液晶セル厚を実現でき、しかも製造工程の簡略化も図ることが可能となる。
なお、図12〜図14に示した半透過反射型の液晶表示装置において、カラーフィルタ22及び液晶層厚を調整する絶縁膜26は、図15に示した液晶表示装置900のように、上基板25の内面側に形成することも可能である。また、突起29a,29b、スリット32,48a、突起38,39a39bの形成位置や配列等は、液晶分子を倒したい方向等により適宜変更することが可能である。つまり、例えば図12の液晶表示装置600において突起29aを上基板25側に形成し、スリット32を下基板10の内面に形成された共通電極9に対して形成することも可能である。
[第9の実施の形態]
以下、本発明の第9の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図16は、第9の実施の形態の液晶表示装置950について回路構成の概略を示すもので、本実施の形態の液晶表示装置950はスイッチング素子としてTFT素子を用いたアクティブマトリクスタイプの液晶表示装置である。また、図17は液晶表示装置950の断面構成を示す模式図であって、第6の実施の形態の図12に相当する図面である。したがって、図17においては図12と共通の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
まず、図16に示すように、本実施の形態の液晶表示装置950においてマトリクス状に配置された複数のドットには画素電極190と、当該画素電極190を制御するためのスイッチング素子であるTFT30とがそれぞれ形成されており、画像信号が供給されるデータ線19が当該TFT30のソースに電気的に接続されている。また、走査線113がTFT30のゲートに電気的に接続されており、複数の走査線113に対して走査信号が所定のタイミングでパルス的に線順次で印加される。また、画素電極190はTFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけオンすることにより、データ線19から供給される画像信号を所定のタイミングで書き込むものとされている。
このように各画素電極190を取り囲むように配置されたデータ線19及び走査線113に対し、本実施の形態では、これらデータ線19及び走査線113を覆う形にて突起138が形成されている。具体的には、画素電極190とデータ線19とに跨って突起138が形成され、同じく画素電極190と走査線113とに跨る形にて突起138が形成されている。
図17に示すように、突起138は上基板125の内面に形成されたデータ線19を覆うように形成されている。本実施の形態の液晶表示装置950は、上基板125がTFTアレイ基板として構成され、該上基板125の内面には画素電極190と走査線19とが形成されている。また、下基板110が対向基板として構成され、該下基板110の内面には全面ベタ状の共通電極127が形成されている。なお、各画素電極190及び共通電極127の内面には垂直配向性の配向膜33,27が、それぞれ第6の実施の形態と同様に形成されている。
このようにスイッチング素子としてTFT30を用いた本実施の形態の液晶表示装置950においても、下基板110の内面に突起29aを形成する一方、画素電極190にスリット32を形成し、それぞれ突起29aの凸形状に沿って、及びスリット形成に基づく斜め電界によってドット内の液晶分子の傾倒方向が規制されることとなる。また、信号線としての走査線19及びデータ線113に対しても、それぞれ走査線19及びデータ線113を覆うように突起138を形成したため、これら走査線19及びデータ線113と画素電極190との間を電気的に遮蔽し、両者間の横電界の発生を防止ないし抑制している。その結果、横電界に基づく液晶分子の配向不良が生じ難く、残像やしみ状のむら等の表示不良が抑えられ、さらには視野角の広い半透過反射型の液晶表示装置を提供することが可能となる。
なお、図18に示すように、走査線19及びデータ線113付近の液晶分子を配向規制するための突起139を下基板(対向基板)110側に形成しても良い。つまり、走査線19及びデータ線113に対して平面的に重畳する形にて下基板110内面に突起139を形成した場合も、該突起139の凸形状に基づく配向規制力により、走査線19及びデータ線113と画素電極190との間の横電界の影響を低減させ、液晶分子の傾倒方向を凸形状に沿って指向させることが可能となる。
また、図17及び図18に示すように、突起138,139は、液晶分子を傾倒させたい方向によって適宜形成位置や形状を選択可能で、画素内の突起29a、電極スリット32についても、液晶分子の傾倒方向によってその形成位置を適宜選択することができる。例えば、図9に示したように、隣合う画素電極190,190間に配設された走査線19(データ線113)を覆うように突起138を形成することで、横電界の発生を防止ないし抑制するとともに、その凸形状に基づいて液晶分子の配向規制を行うことが可能であるが、図8に示したように、各画素電極190,190の外縁の一部を覆うように、つまり画素電極190と走査線19(データ線113)とに跨って突起138を形成することで、横電界の発生を一層効果的に抑制することが可能となる。
また、図9に示したように、異なる画素電極190,190間に配設された走査線19(データ線113)と重畳するように、走査線19(データ線113)が形成された基板25Aとは異なる基板10A側に突起139を形成する場合も、隣合う画素電極190,190の外縁の一部を覆う形にて重畳させることが好ましい。この場合、凸形状に基づく配向規制力により、画素電極190と走査線19(データ線113)との間の横電界の影響を一層低減させることが可能となる。
なお、図11に示すように、少なくとも走査線19(データ線113)の近傍に突起が形成されていれば良く、走査線19(データ線113)上を覆うことなく、画素電極190と走査線19(データ線113)との間に突起138aを形成する構成でも良い。また、走査線19(データ線113)の対向側に突起を形成する場合も、必ずしも走査線19(データ線113)に重畳させる必要はなく、画素電極190と走査線19(データ線113)との間であって、走査線19(データ線113)が形成された基板と対向する基板に突起139aを形成する構成としても良い。
また、図19に示すように、走査線19(データ線113)を覆う形にて形成した突起138(139)が透過表示領域Tに配設されてなる場合、その突起138(139)に平面的に重畳する形にて遮光膜126を形成することが好ましい。本実施の形態のような突起138(139)を形成した場合、突起138(139)の傾斜面上において垂直配向した液晶分子は、基板面に対しては垂直方向に配向しないため、光抜けが生じる惧れがある。そこで、図19のように突起138(139)と平面的に重なる形にて遮光膜126を形成することで、そのような光抜けを防止ないし抑制することが可能となり、高コントラストで表示特性の高い液晶表示装置を提供することが可能となる。
このような遮光膜126としてはクロムやニッケル等の遮光性の金属膜、或いはカーボンやチタンをフォトレジストに分散させた樹脂ブラック膜等を用いることができ、突起138(139)が形成された基板と同一の基板及び/又は異なる基板に形成することができる。その他、突起138(139)自身に遮光性の顔料を含ませて当該突起138(139)自身を遮光層として兼用する構成を採用することも可能である。
また、図20に示すように、反射表示領域Rに反射膜20をパターニングする際に、突起138(139)と重なる領域に対しても反射膜120を形成することで、該突起138(139)の形成領域を遮光することが可能である。この場合、別途製造プロセスを増やすことなく、突起138(139)形成領域における上記光抜けの発生を防止ないし抑制することができる。
なお、突起138(139)をフォトスペーサーとして兼用する場合、該フォトスペーサーは滑らかな形状を得ることが困難な場合が多いため、特に光漏れの可能性が高くなる。したがって、突起138(139)をフォトスペーサーとして兼用する場合に上記遮光膜126,反射膜120を形成することで、一層光漏れの効果を高めることが可能となる。
[電子機器]
次に、本発明の上記実施の形態の液晶表示装置を備えた電子機器の具体例について説明する。
図21は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図21において、符号1000は携帯電話本体を示し、符号1001は上記液晶表示装置を用いた表示部を示している。このような携帯電話等の電子機器の表示部に、上記実施の形態の液晶表示装置を用いた場合、使用環境によらずに明るく、コントラストが高く、広視野角の液晶表示部を備えた電子機器を実現することができる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば透過型、反射型、半透過反射型のいずれに対しても、スイッチング素子としてTFD又はTFTのいずれかを選択可能であり、突起又はスリットの組み合わせも、上述した各実施の形態のいずれをも選択することが可能である。
9…共通電極(ストライプ電極、データ線)、10…下基板(対向基板)、10A…基板本体、13…走査線(信号線)、25…上基板(対向基板)、25A…基板本体、28…突起(凸状部)、31…画素電極、38…突起(凸状部)、49…スリット、50…液晶層、R…反射表示領域、T…透過表示領域。