JP4372908B2 - 導電性ローラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ等の事務機器に用いられる導電性ローラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
事務機器の画像形成機構には、転写ローラ、帯電ローラ、現像ローラ等の導電性ローラが用いられている。この機器で画像が形成される場合、まず感光ドラム等の静電潜像保持体上に静電潜像が形成される。次いで、静電潜像保持体上にトナーが供給され、トナー像が形成される。このトナー像は静電潜像保持体から転写ローラを介して紙等の被印刷体に転写され、定着される。こうして、所望の画像が印刷される。
【0003】
転写ローラは静電潜像保持体と直接接触してこの静電潜像保持体からトナーを受け取るものであるため、静電潜像保持体との間に適切なニップ幅が得られるよう、ある程度柔軟である必要がある。例えば、特開平11−109770号公報には、ASKER−C硬度が50から70と低硬度(柔軟)にされた転写ローラが開示されている。
【0004】
転写ローラに柔軟性を付与する目的で、多量の軟化剤、可塑剤等が配合されることがある。しかし、これら軟化剤、可塑剤等が転写ローラからブリードアウトし、静電潜像保持体を汚染してしまうことがある。転写ローラに柔軟性を付与する他の手段として、発泡ゴム(気泡を含むゴム)が用いられることがある。発泡ゴムからなる転写ローラでは気泡によって柔軟性が発現されるので、軟化剤、可塑剤等の配合の必要がなく、これらのブリードアウトの問題が生じない。気泡は、発泡剤の発泡によって得られる。通常は、加熱によって分解する化学発泡剤が用いられている。
【0005】
ところで、転写ローラでは、トナー受け取りの機構上、その抵抗値が106 〜1010Ω程度とされる必要がある。転写ローラに導電性を付与する目的で、ゴムにカーボンブラック、金属粉末等の導電性フィラーが配合されることがある。転写ローラに電圧が印加されると、導電性フィラーを通じて電子が伝導し、電流が流れる。
【0006】
この導電性ローラでは、印加電圧が高いほど電気抵抗が小さくなり、この電気抵抗の変動が画像形成に悪影響を与える現象が見られる。電気抵抗の印加電圧への依存は、低電圧下では通電しない導電性フィラー間が高電圧下で通電してしまうことに起因すると推測される。また、この導電性ローラでは、導電性フィラーの分散が不均一であると、部位による電気抵抗のばらつきが見られる。さらに、導電性フィラーが均一に分散した場合でも、導電性フィラーが存在する箇所と存在しない箇所とでの電気抵抗に差が生じ、ミクロ的に見た電気抵抗のばらつきは解消されない。デジタル化、カラー化等の高画質化技術が進歩した今日、導電性フィラーが配合された転写ローラでは技術革新への対応は困難となりつつある。
【0007】
転写ローラに導電性を付与する他の手段として、イオン導電性ポリマー又はイオン導電剤の使用が挙げられる。イオン導電性ポリマー又はイオン導電剤の使用によって転写ローラがイオン導電性となり、導電性フィラーの配合が不要となる。このため、電気抵抗の印加電圧依存性がほとんどなく、また導電性フィラーに起因する電気抵抗のばらつきがない。従って、高画質化が進んだ画像形成機構にも適している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
イオン導電性の転写ローラでは、温度、湿度等の環境に依存してイオンの移動性が変化し、電気抵抗が変化してしまう傾向が見られる。特に、発泡剤によって気泡が形成された転写ローラでは、複数の発泡セルが連結して比較的大容積の気泡が形成されてしまうことは避けられず、この気泡によって電気抵抗の環境依存性が顕著化されてしまう。設置環境下での電気抵抗を検知し、印加電圧又は電流値を変化させる制御機能を備えた画像形成装置も考案されている。しかし、この画像形成装置では、電気抵抗の環境依存性が大きいほど抵抗値に応じて印加電圧又は電流値を変化させる際に大電力が必要である。また、この画像形成装置では、電気抵抗の環境依存性が大きいほど大がかりな電源装置や制御装置が必要である。画像形成装置の省エネルギー化及び小型化が進んだ今日、電気抵抗の環境依存性が小さな転写ローラが望まれている。同様の要望は、転写ローラのみならず、帯電ローラ、現像ローラ等の他の導電性ローラにも見られる。
【0009】
本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、気泡を含みしかもイオン導電性でありながら、電気抵抗の環境依存性が小さな導電性ローラの提供にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、転写ローラ、帯電ローラまたは現像ローラとして用いられる導電性ローラであって、
軸芯と弾性層とを備えており、この弾性層がイオン導電性ポリマーにカップリング剤および微小中空球を含んでおり、
上記イオン導電性ポリマーはエピクロルヒドリンゴムもしくは/およびクロロプレンゴムを含み、またはイオン導電剤として金属イオンを含有したエーテル系又はエステル系可塑剤を含み、
上記微小中空球は、アルミナシリケート系フィラー、または熱可塑性ポリマーの表面が無機粉体でコーティングされた外殻を備え、該微小中空球の耐熱温度が150℃以上であり、上記イオン導電性ポリマー100重量部に対して5重量部以上250重量部以下で配合され、
上記カップリング剤が上記イオン導電性ポリマー100重量部に対して0.2重量部以上20重量部以下で配合され、かつ、
上記弾性層はその表面にスキン層を有しており、このスキン層には上記微小中空球が存在していないことを特徴とする導電性ローラを提供している。
【0011】
この導電性ローラはイオン導電性の弾性層を備えているので、導電性フィラーが配合される必要がない。このため、電気抵抗の印加電圧依存性が抑制され、また、導電性フィラーに起因する電気抵抗のばらつきがない。また、この導電性ローラは微小中空球による気泡を含んでいるので、低硬度である。従って、軟化剤、可塑剤等の配合量が抑制され、これらのブリードアウトの問題が生じにくい。しかも、この微小中空球による気泡は完全に独立しているので、電気抵抗の環境依存性が小さくなる。なお、弾性層がイオン導電性とされるには、イオン導電性ポリマーが用いられるか、ポリマー中にイオン導電剤が配合されればよい。
【0012】
好ましくは、微小中空球の耐熱温度は150℃以上である。これにより、弾性層を構成するポリマー組成物の混練、押出等の加工が高温で行われたり、弾性層の成形・架橋が高温で行われても、微小中空球が溶融して気泡が消滅してしまうことが抑制される。150℃以上の耐熱温度を有する微小中空球としては、上記のように、アルミナシリケート系フィラー、または熱可塑性ポリマーの表面が無機粉体でコーティングされた外殻を備えたものを用いている。
【0013】
弾性層はカップリング剤を含む。カップリング剤により、マトリックスであるポリマーと微小中空球との密着が高まり、微小中空球の周りに微小な空隙が発生してしまうことが抑えられる。従って、空隙による導電性ローラの耐久性低下が抑制され、また、電気抵抗の環境依存性が空隙によって高まってしまうことが抑制される。
【0014】
上記のように、弾性層はその表面にスキン層を有している。このスキン層には、実質的に微小中空球が存在しない。このスキン層によって微小中空球と静電潜像保持体との直接接触が避けられ、静電潜像保持体の傷つきが防止される。また、スキン層によって大気中の水分が微小中空球に含浸されることが防止され、導電性ローラの電気抵抗の環境依存性が抑制される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、適宜図面が参照されつつ、本発明の実施形態が説明される。
図1は、本発明の一実施形態にかかる導電性ローラとしての転写ローラ1が示された斜視図である。この転写ローラ1は軸芯2と弾性層3とを備えている。弾性層3は略円筒状であり、その内周に軸芯2が挿入されている。弾性層3と軸芯2とは、接着剤等によって接着されている。
【0016】
弾性層3は、イオン導電性ポリマーを主要成分としている。イオン導電性ポリマーはポリマー内のイオンの移動によって電流が流れるポリマーであり、それ単体での電気抵抗が1012Ω・cm以下のポリマーを意味する。イオン導電性ポリマーの具体例としては、エピクロルヒドリンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等が挙げられる。
【0017】
弾性層3には、イオン導電性ポリマーとともに他のポリマーが用いられてもよい。他のポリマーとしては、例えばエチレン−プロピレン−ジエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、天然ゴム、ポリイソプレン等が挙げられる。他のポリマーが併用される場合でも、弾性層3のイオン導電性が損なわれないように、全ポリマーに占めるイオン導電性ポリマーの比率が15重量%以上、特には20重量%以上とされるのが好ましい。
【0018】
この弾性層3はイオン導電性ポリマーによって導電性とされているが、導電性をさらに高める目的で、カーボンブラック、金属粉末等の導電性フィラーが配合されてもよい。ただし、電気抵抗の印加電圧依存性抑制の観点から、導電性フィラーの配合量は必要最小限にとどめられる。
【0019】
弾性層3は、イオン導電剤の配合によってイオン導電性とされてもよい。配合され得るイオン導電剤としては、金属イオンを含有したエーテル系又はエステル系可塑剤、4級アンモニウム塩、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等のポリエーテル化合物等が挙げられる。イオン導電剤が配合される場合、弾性層3を構成するポリマーはイオン導電性ポリマーでなくてもよい。もちろん、イオン導電性ポリマーとイオン導電剤とが併用されてもよい。
【0020】
弾性層3は、微小中空球を含んでいる。微小中空球は略球状の外殻とこの外殻に囲まれた空間とを備えており、マイクロスフェアー、マイクロバルーン、ホローバブル等とも称されているものである。微小中空球を含むことにより、弾性層3が低硬度となる。また、微小中空球によって転写ローラ1の重量が軽くなり、材料コストが低減される。
【0021】
微小中空球の耐熱温度は、150℃以上である。耐熱温度が150℃以上であることにより、弾性層3の架橋時にこの微小中空球が溶融してしまうことが抑えられる。この観点から、微小中空球の耐熱温度は160℃以上が特に好ましい。なお、耐熱温度とは、オーブンでの加熱によって真比重の低下が始まる温度のことである。
【0022】
微小中空球の外殻は無機材料から構成されている。耐熱温度が高くなるという理由より、無機材料を用いる。無機材料が用いられた微小中空球としては、例えばアルミナシリケート系フィラーが挙げられる。アルミナシリケート系フィラーとは、アルミナ(Al2O3)及びシリカ(SiO2)を主成分とする外殻を備えた微小中空球である。アルミナシリケート系フィラーの耐熱温度は約1200℃と極めて高いので、弾性層3の架橋時に溶融してしまうことがない。アルミナシリケート系フィラーの具体例としては、日本フィライト社の商品名「フィライト」が挙げられる。
【0023】
また、熱可塑性ポリマーの表面が無機粉体でコーティングされた外殻を備えた微小中空球も、単に有機材料のみから構成された微小中空球よりも耐熱温度が高いので、好適に用いられ得る。このような微小中空球の具体例としては、松本油脂社の商品名「マイクロスフェアーMFL100CA」(耐熱温度:約160℃)が挙げられる。
【0024】
微小中空球の平均粒子直径は、1μm以上500μm以下が好ましく、5μm以上300μm以下が特に好ましい。平均粒子直径が上記範囲未満であると、転写ローラ1の柔軟性が損なわれてしまうことがある。逆に、平均粒子直径が上記範囲を超えると、印刷された画像にムラが生じてしまうことがある。
【0025】
微小中空球の配合量は、マトリックスとなるポリマー100重量部に対して5重量部以上250重量部以下が好ましく、10重量部以上180重量部以下が特に好ましい。配合量が上記範囲未満であると、弾性層3の柔軟性が不十分となってしまうことがある。逆に、配合量が上記範囲を超えると、電気抵抗の環境依存性が大きくなったり、画像の鮮明度が損なわれたり、弾性層3の柔軟性が損なわれたりしてしまうことがある。
【0026】
この弾性層3は微小中空球によって低硬度とされているが、弾性層3の柔軟性をさらに高める目的で、発泡剤が併用されてもよい。但し、電気抵抗の環境依存性抑制の観点から、発泡剤の配合量は必要最小限にとどめられる。また、弾性層3には、その柔軟性をさらに高める目的で、軟化剤又は可塑剤が併用されてもよい。但し、ブリードアウト抑制の観点から、軟化剤及び可塑剤の配合量は必要最小限にとどめられる。
【0027】
弾性層3には、カップリング剤が配合されている。カップリング剤によってマトリックスであるポリマーと微小中空球との密着が高まり、微小中空球の周りに微小な空隙が発生してしまうことが抑えられる。カップリング剤の配合量は、ポリマー100重量部に対して0.2重量部以上20重量部以下が好ましく、0.5重量部以上10重量部以下が特に好ましい。配合量が上記範囲未満であると、微小中空球の周りに微小な空隙が発生してしまうことがある。逆に、配合量が上記範囲を超えると、カップリング剤によって静電潜像保持体が汚染されたり、カップリング剤がブリードしてしまうことがある。
【0028】
弾性層3は、その表面にスキン層を有している。このスキン層は、実質的に微小中空球を含んでいない。このスキン層によって、微小中空球の静電潜像保持体又は大気との直接接触が防止される。金型による圧縮成形法によって弾性層3が成形・架橋される場合、架橋温度が比較的高温とされることによってポリマーの流動性が高まり、これによって弾性層3の表面がスキン層となる。押出成形法によって弾性層3が成形される場合、いわゆる二層押出によってスキン層が形成される。なお、押出成形法によって得られる成形体は、その後加硫缶等によって架橋される。
【0029】
架橋後の弾性層3に二次架橋が施されてもよいが、この二次架橋の温度は微小中空球の耐熱温度以下とされる必要がある。また、架橋後の弾性層3には、表面状態の均一化、表面粗度の調整等の目的で表面研磨が施されることがあるが、この表面研磨は前述のスキン層全てを削り取ってしまわない程度とされる必要がある。
【0030】
【実施例】
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではないことはもちろんである。
【0031】
[実施例1]
エピクロルヒドリンゴム(ダイソー社の商品名「エピクロマーCG102」)30重量部、クロロプレンゴム(昭和電工・デュポン社の商品名「ネオプレンSND−8」)70重量部、合成ハイドロタルサイト(協和化学社の商品名「DHT−4A−2」)10重量部、酸化亜鉛(東邦亜鉛社の商品名「亜鉛華1号」)5重量部、ステアリン酸(ユニケマオーストラリア社の商品名「4931」)1重量部、耐熱温度が約1200℃の微小中空球(日本フィライト社の商品名「フィライトFG」)60重量部、カップリング剤(デグサ社の商品名「Si−69」)2重量部、硫黄(鶴見化学社の商品名「粉末硫黄」)1.5重量部、加硫促進剤(大内新興化学工業社の商品名「ノクセラーDT」)1重量部及び他の加硫促進剤(大内新興化学工業社の商品名「ノクセラーTS」)1重量部を混練機で混練し、ゴム組成物を得た。このゴム組成物を金型内に仕込んで架橋温度160℃で圧縮成形を施し、円筒状の成形体を得た。この成形体の内周に軸芯を挿着し、成形体と軸芯とをホットメルト接着剤で接着した。そして、成形体の表面を研磨し、実施例1の転写ローラを得た。
【0032】
[実施例2及び実施例3]
微小中空球の配合量を下記の表1に示されるように変量させた他は実施例1と同様にして、実施例2及び実施例3の転写ローラを得た。
【0033】
[実施例4]
フィライトFGに代えて耐熱温度が約160℃の微小中空球(松本油脂社の商品名「マイクロスフェアーMFL100CA」)20重量部を配合し、架橋温度を140℃とした他は実施例1と同様にして、実施例4の転写ローラを得た。
【0034】
[実施例5]
実施例1と同等のゴム組成物を混練機からリボン状に取り出し、これを押出機に投入して円筒状に押し出し、成形体を得た。この成形体を加硫缶に投入し、水蒸気圧が0.6MPaであり架橋温度が160℃の条件下で架橋した。そして、実施例1と同様に軸芯挿着及び表面研磨を行って、実施例5の転写ローラを得た。
【0035】
[実施例6]
実施例1と同等のゴム組成物を混練機からリボン状に取り出し、これを二軸押出機に投入した。同時に、微小中空球が配合されていない他は実施例1と同等のゴム組成物もこの二軸押出機に投入し、微小中空球が配合されていないゴム組成物が外側となるように二層押出を施して、スキン層を備えた円筒状の成形体を得た。この成形体を加硫缶に投入し、水蒸気圧が0.6MPaであり架橋温度が160℃の条件下で架橋した。そして、実施例1と同様に軸芯挿着及び表面研磨を行って、実施例6の転写ローラを得た。
【0036】
[実施例7]
天然ゴム(RSS2)40重量部、スチレン−ブタジエン共重合体(日本合成ゴム社の商品名「1507」)60重量部、酸化亜鉛(前述の「亜鉛華1号」)5重量部、ステアリン酸(前述の「4931」)1重量部、微小中空球(前述の「フィライトFG」)60重量部、カップリング剤(前述の「Si−69」)2重量部、軽質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社)20重量部、イオン導電剤(ポリエチレン主鎖とポリエチレンオキサイド側鎖とを有し、LiClO4が10重量%溶解されたもの、住友化学社の商品名「スミコード600」)10重量部、硫黄(前述の「粉末硫黄」)1重量部及び加硫促進剤(大内新興化学工業社の商品名「ノクセラーNS」)0.7重量部を混練機で混練し、ゴム組成物を得た。このゴム組成物を用い、実施例1と同様にして、実施例7の転写ローラを得た。
【0037】
[比較例1]
微小中空球に代えて前述の軽質炭酸カルシウム20重量部を配合した他は実施例1と同様にして、比較例1の転写ローラを得た。
【0038】
[比較例2]
微小中空球に代えて前述の軽質炭酸カルシウム20重量部、発泡剤(永和化成工業社の商品名「ビニホールAC#3」)5重量部及び発泡助剤(永和化成工業社の商品名「セルペースト101」)5重量部を配合し、架橋時に発泡剤を発泡させた他は実施例1と同様にして、比較例2の転写ローラを得た。
【0039】
[比較例3]
微小中空球に代えて前述の軽質炭酸カルシウム20重量部及び可塑剤(味の素社の商品名「レオフォス65」)20重量部を配合した他は実施例1と同様にして、比較例3の転写ローラを得た。
【0040】
[環境依存性の評価]
金属板の上に転写ローラを載置し、軸芯の両端に500gfずつの荷重をかけて転写ローラを金属板に押しつけた。そして、金属板と軸芯との間に1000Vの電圧をかけて、アドバンテスト社のデジタル超高抵抗微小電流計R−8340Aによって表面抵抗率を測定した。測定は、気温が10℃で相対湿度が15%である第一条件、気温が23.5℃で相対湿度が55%である第二条件及び気温が32.5℃で相対湿度が90%である第三条件の三つの環境下で行った。三つの条件のうち、表面抵抗率の常用対数値が最大のものから最小のものを減じた値を評価値とした。この結果が、下記の表1に示されている。なお、この評価値が2.0以下であれば、実用上の問題は生じにくい。
【0041】
[硬度の測定]
転写ローラの弾性層上にASKER−C硬度計を当て、硬度計上に1000gの分銅をのせて、硬度を測定した。この結果が、下記の表1に示されている。
【0042】
[非汚染性の評価]
トナーカートリッジ(キャノン社の商品名「EP−J」)の感光体に転写ローラを押しつけ、気温が32.5℃で相対湿度が90%の条件下に1週間放置した。そして、このトナーカートリッジをレーザービームプリンター(キャノン社の商品名「LBP730」)に装着し、ハーフトーンの印刷を行った。そして、印刷物の状態を目視で観察した。印刷開始後1枚目の印刷物において異常が見られないものを「○」とし、印刷開始後3枚目の印刷物においても異常が見られるものを「×」とした。この結果が、下記の表1に示されている。なお、印刷物の異常は、転写ローラによる感光体の汚染が原因である。
【0043】
[画像鮮明度の評価]
転写ローラをレーザービームプリンター(前述の「LBP730」)に装着した。そして、新品のトナーカートリッジ(前述の「EP−J」)を用いて、気温が23℃で相対湿度が55%の条件下でハーフトーンの印刷を行った。この印刷物の画像状態を、目視及び倍率が200倍の拡大鏡で観察した。拡大鏡で観察しても画像の荒れが見られないものを「◎」とし、目視では画像の荒れが見られないが拡大鏡では実用上問題とならない程度の荒れが見られるものを「○」とし、目視にて実用上問題とならない程度の荒れが見られるものを「△」とした。この結果が、下記の表1に示されている。
【0044】
【表1】
【0045】
表1において、微小中空球が配合されていない比較例1の転写ローラでは、弾性層の硬度が高くなってしまっている。また、発泡剤によって低硬度が達成された比較例2の転写ローラでは、電気抵抗の環境依存性が大きい。さらに、可塑剤によって低硬度が達成された比較例3の転写ローラは、非汚染性及び画像鮮明度に劣る。これに対し、微小中空球によって低硬度が達成された各実施例の転写ローラは、全ての評価項目において優れている。これらの評価結果より、本発明の優位性が確認された。
【0046】
以上、転写ローラが一例とされて本発明の導電性ローラが詳説されたが、電気抵抗の環境依存性が小さな本発明の導電性ローラは、転写ローラ以外の、例えば帯電ローラ、現像ローラ等としても、好適に使用され得る。
【0047】
【発明の効果】
以上説明されたように、本発明の導電性ローラは柔軟性、非汚染性、電気抵抗の印加電圧非依存性及び電気抵抗の環境非依存性の全てにおいて優れている。この導電性ローラが用いられることにより、高画質の画像が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の一実施形態にかかる導電性ローラとしての転写ローラが示された斜視図である。
【符号の説明】
1 転写ローラ
2 軸芯
3 弾性層
Claims (1)
- 転写ローラ、帯電ローラまたは現像ローラとして用いられる導電性ローラであって、
軸芯と弾性層とを備えており、この弾性層がイオン導電性ポリマーにカップリング剤および微小中空球を含んでおり、
上記イオン導電性ポリマーはエピクロルヒドリンゴムもしくは/およびクロロプレンゴムを含み、またはイオン導電剤として金属イオンを含有したエーテル系又はエステル系可塑剤を含み、
上記微小中空球は、アルミナシリケート系フィラー、または熱可塑性ポリマーの表面が無機粉体でコーティングされた外殻を備え、該微小中空球の耐熱温度が150℃以上であり、上記イオン導電性ポリマー100重量部に対して5重量部以上250重量部以下で配合され、
上記カップリング剤が上記イオン導電性ポリマー100重量部に対して0.2重量部以上20重量部以下で配合され、かつ、
上記弾性層はその表面にスキン層を有しており、このスキン層には上記微小中空球が存在していないことを特徴とする導電性ローラ。
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