JP4365276B2 - 吊床版橋 - Google Patents
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なお、図7中の符号104,105は床版内に配置されるケーブル、符号106は高欄、107は舗装を、それぞれ示すものである。
しかし、この構造形式では、床版自体が吊材として荷重を支持するものとなっているため、床版に撓みつまりサグが生じており、橋台間の中央部では橋台での支持位置より下位に垂れ下がった状態となる。このため、床版上に直接舗装を施して路面を形成すると、上記床版のサグが生じた形状にしたがって大きな高低差及び縦断勾配が生じることになる。
一方、サグを小さくする他の手段として、吊床版を大きな張力で張架することが考えられる。
一般に吊床版橋のサグは、吊床版に作用する引張力の水平方向成分Hと反比例するものである。つまり、支間長をL、吊床版に作用する鉛直方向の分布加重をwとすると、吊床版に作用する引張力の水平方向成分Hとサグの大きさfとの関係は、次式で示される。
H = (w×L2)/(8×f)
したがって、吊床版を張架する張力つまりケーブルに導入する引張力を大きくすることによってサグを低減することができる。また、吊床版の端部つまり橋台との接合部に生じる勾配αは、次式で示され、サグが小さくなることに比例して小さくなる。
α = 4×f/L
図1は、請求項1又は請求項2に係る発明の一実施形態である吊床版橋の概略側面図及び断面図である。また、図2は、図1に示すB−B線、C−C線における断面図、図3は橋台付近の側面図である。
この吊床版橋は、グランドアンカー3によって地盤に固定された二つの橋台1,2間に、ケーブル6,7を張架し、このケーブルにコンクリートの床版4を支持させたものである。橋台間の中央部における大部分( 図1中に符号Aで示す範囲)は、図1(b)に示すように上記ケーブル6,7を内包するようにコンクリートの床版4が形成されている。この床版は橋の軸線方向の長さに対して厚さが充分に薄く、ケーブル7の引張力によって軸線方向にプレストレスが導入されている。このため、橋台1,2間に張架されて柔軟に変形が可能となっており、このような変形が生じても床版4のコンクリートには有害なひび割れが生じないようになっている。なお、符号8は床版の側縁部から立ち上げられた高欄を、符号9は、床版上に敷設されたアスファルト舗装を示す。
この橋台1,2の頂部は、路面が形成される範囲の両側部から、壁状になったケーブル定着部1a,2aが立ち上げられており、図3に示すように、この頂部にケーブル6が支持され、後方部分で定着されている。そして、このケーブル定着部1a,2aが床版4の両側部から立ち上げられた壁状体5と連続している。また、符号Bで示す範囲でケーブルの下方に離れた床版4’は、上記橋台1,2のケーブル定着部間で路面が形成される領域と接合され、互いの上面S1,S2が同じ高さで連続するものとなっている。
図4(a)に示すように、架設地点の両端に橋台1,2を構築し、グランドアンカー3によって地盤に強固に固定する。そして、これらの橋台間にケーブル6を張架する。このケーブル6に床版を形成するプレキャストコンクリートセグメント4aを懸垂支持させ、図4(b)に示すようにケーブル6に沿って移動する。ケーブル6のほぼ全長にわたって、プレキャストコンクリートセグメント4aを所定の位置に配列した後、図4(c)に示すように、プレキャストコンクリートセグメントの間4b及びセグメントと橋台との間4cに現場でコンクリートを打設し、二つの橋台1,2間で連続した床版4を形成する。その後、コンクリート打設前に配置しておいたケーブル7を緊張し、床版4に軸線方向のプレストレスを導入する。このようにして完成された構造躯体の上に舗装9を施すとともに、高欄8を取り付けて吊床版橋を完成する。
図1から図3までに示す吊床版橋では、橋台近くで床版の両側縁部から二つの壁状体が立ち上げられ、この壁状体の頂部にケーブルが配置されていたが、この吊床版橋では、路面の中心線上に中央分離帯として壁状体が形成されている。図5(a)は、支間の中央部における断面であり、ケーブル12,13はほぼ床版11中に配置され、床版11がケーブル12,13とともに柔軟に変形可能となっている。そして、橋台付近の所定の範囲では、図5(b)に示すようにケーブル12から床版11が下方へ徐々に離隔し、路面の中心線上に壁状体14が立ち上げられる。そして、橋台と接合される部分では、図5(c)に示すように壁状体14は高欄15とほぼ同じ高さとなり、橋台上のケーブル定着部に連続する。したがって、橋台もこの壁状体14と対応する路面の中心線上にケーブル定着部を備えており、この後部にケーブルが定着される。
この吊床版橋は、図1から図3までに示す吊床版橋より、床版21の両側縁部から立ち上げられた壁状体23の高さが大きくなっており、ケーブル22が配置された頂部と床版21と結合される下部との間に開口23aが設けられている。また、この壁状体23と連続する橋台24上のケーブル定着部24aも高さが対応して高くなっており、その後方部にも開口24bが設けられている。そして、このケーブル定着部の前方部分24cは柱状となっており、頂部でケーブルを支持して大きなサグでケーブル22を張架するものとなっている。また、上記柱状となった部分24cの頂部で支持されたケーブル22は後方で下方に曲げ下げられ、橋台24のフーチング近くで定着されている。
このような吊床版橋では、ケーブル22のサグをより大きく設定してケーブル22の張力を小さくすることができるとともに、壁状体23の高さが大きくなることによる重量の増加を抑え、経済的な構造とすることができる。
Claims (3)
- 固定支持された二つの橋台又は橋脚間に張架されたケーブルと、
このケーブルを内包し、可撓性を有する程度に部材厚が小さく形成されたコンクリートの床版とを備え、
該床版上に路面が形成される吊床版橋であって、
前記ケーブルは、前記橋台又は橋脚上で前記路面より高い位置に支持され、
前記橋台又は橋脚近くの所定長の範囲で、該橋台又は橋脚に接近するにしたがって前記床版が前記ケーブルより下方へ距離を隔てるように形成され、
該範囲に、前記ケーブルを内部に埋め込み、該ケーブルと下方に隔てられた床版とを連結するコンクリートの壁状体を備えることを特徴とする吊床版橋。 - 前記壁状体は、前記床版の両側縁部から立ち上げられ、
前記橋台又は橋脚上の路面となる領域の両側部に立ち上げられた壁状のケーブル定着部と連続するものであることを特徴とする請求項1に記載の吊床版橋。 - 前記壁状体は、前記ケーブルが埋め込まれた位置と前記床版と連続する位置との間に開口が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の吊床版橋。
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