JP4355113B2 - 無機酸類の回収方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エチレンと酢酸との気相反応による酢酸エステルの合成触媒、低脂肪酸エステルの合成触媒、イオン交換樹脂の代替えとしての固体酸触媒など各種の反応に有用なヘテロポリ酸類などを含む各種鉱酸類の回収に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、各種反応に触媒として使用される無機酸類(特に、高価な酸類)に関する回収法は種々報告されている。中でもエチレンと酢酸との気相反応による酢酸エステルの合成触媒、低級脂肪酸エステルの合成触媒、イオン交換樹脂の代替えとしての固体酸触媒などに利用されるヘテロポリ酸類は、強い酸性と酸化力を有するユニークな触媒であるが、触媒材料としてのデビューは比較的新しい。
【0003】
近年、プロペンの直接水和による2−プロパノールの製造などヘテロポリ酸を触媒とする有機プロセスが工業化されているが、さらに広範囲な有機プロセスに採用されるには、触媒のコストを低減させる必要があると言われている。触媒コストの削減には、ヘテロポリ酸を固定化して使用する方法と使用した触媒を回収する方法が一般的である。
【0004】
触媒を固定化する方法の一例としては、活性炭に固定化する方法、セシウム塩を形成して固定化する方法、シリカマトリックスに固定化する方法が知られているが、使用する反応系によっては、有効触媒成分が溶離するという問題点があった。
【0005】
一方、均一触媒として使用したヘテロポリ酸を回収する方法としては、溶媒による抽出、あるいは析出法などが知られている。
例えば、特表平10−507217号公報では、ポリマー、又はそれらの溶液からヘテロポリ酸類を除去する方法において、非プロトン性の溶媒を添加することにより、ヘテロポリ酸類を析出させて除去する方法が開示させている。
【0006】
また、例えば、特開昭61−115934号公報では、ポリエーテルとテトラヒドロフランを主成分とする混合物中に含まれるヘテロポリ酸類を除去するに際し、テトラヒドロフランより高沸点、かつ共沸混合物を形成しない炭素数15以下の炭化水素、又はハロゲン化炭化水素から選ばれた単一、又は2種以上の溶媒混合物を添加し、ヘテロポリ酸、又はヘテロポリ酸を主体とする相を析出させる方法が開示されている。
【0007】
しかし、これら溶媒析出法では、使用する溶媒の除去工程が必要となり、装置が煩雑になるという問題点があった。
また、化学反応を利用したイオン交換樹脂による均一系からの吸着回収法があるが、ヘテロポリ酸のような分子量の大きな酸類を回収する場合、通常市販されている塩基性アニオン交換樹脂の粒径では、交換速度が遅いため、設備が大型化するという問題点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、水、あるいは有機溶媒中に溶解する無機酸類を回収する方法において、上述したような従来の方法における問題点を解決するためになされたものであって、温和な条件で、有用な無機酸類を高効率に回収する方法を提供することを課題とする。
【0009】
【発明を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するため、無機酸類のイオン交換樹脂による回収方法について、鋭意研究を行った。本発明者らは、水、あるいは有機溶媒中に含有する無機酸類を、予め粉砕し、粒子径を制御した微細マクロポーラス型塩基性イオン交換樹脂と接触させたところ、驚くべきことに、イオン交換の処理能力が大幅に改善することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、水、あるいは有機溶媒中に溶解する無機酸類を回収する方法において、下記(1)〜(3)の工程:
(1)無機酸を含有する水あるいは、有機溶媒を、粒径が0.02〜0.3mmの範囲であるマクロポーラス型塩基性アニオン交換樹脂と接触させる工程、
(2)工程(1)によってマクロポーラス型塩基性アニオン交換樹脂に吸着した無機酸のアニオンを、水酸化ナトリウム水溶液で溶離させて無機酸塩の水溶液として回収する工程、および
(3)分離した無機酸塩の水溶液を強酸性カチオン交換樹脂と接触させて無機酸として回収する工程、
からなることを特徴とする無機酸類の回収方法、である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明でいう無機酸類とは、炭素を含まない酸全てを総称し、さらに炭素を含む酸のうち、炭酸もこれに属する。無機類酸には塩酸、フッ化水素酸のような二元酸(水素酸)と硫酸、硝酸、リン酸、過塩素酸などに代表されるようなオキソ酸(酸素酸)類が含まれ、オキソ酸が2つまたはそれ以上縮合したヘテロポリ酸類をも包含する。
本発明でいうオキソ酸類とは、プロトンとして解離しうる水素が酸素原子に結合した酸で、下記式(1)(化3)で表される。
【0012】
【化3】
X1On(OH)m (1)
(式中、X1は金属原子または非金属原子を示し、m及びnは中心原子X1の原子価によって決まる整数を示す)
【0013】
オキソ酸の強さは主にオキソ基の数nによって主に決まり、n=0の場合、pKa(弱酸の電離定数Kaとする時、―logKaをpKaという)≧7で非常に弱い酸を示す。例えば、Cl(OH)のpKaは7.2、As(OH)3のpKaは9.2である。n=1の場合には弱酸でPO(OH)3のpKaは2.1であり、SO(OH)2のpKaは1.9である。n=2の場合には強酸で、NO2(OH)のpKaは−1.4である。n=3の場合にはさらに強い酸である。このような酸にはClO3(OH)やMnO3(OH)などが挙げられる。
【0014】
また、本発明でいうヘテロポリ酸類とは、下記式(2)(化4)で示されるように、2つまたはそれ以上の無機オキシ酸の縮合によって生成した一群の酸を含む。例えば、酸性溶媒中で反応した時、ホスフェート及びタングステートイオンは縮合して典型的なヘテロポリ酸である12−タングストリン酸を生成する。
【0015】
【化4】
H8−p(X2M12O40) (2)
(式中、X2はP、Si、GeまたはAsであり、MはMo、W、NbまたはVであり、pは4または5の整数を示す)
【0016】
第I族〜第VIII族の範囲にある様々な元素がヘテロポリ酸の中心原子(ヘテロ原子)になりうる。酸素を経てヘテロ原子に配位された原子は多価原子と称される。いわゆるkeggin構造を含有するアニオンは1:12の縮合比を有し、全ヘテロポリ酸アニオンの最も典型的なものである。これらを一般的な反応に使用する場合、適切なヘテロポリ酸触媒はモリブデン、タングステン、ニオビウム及びバナジウムの群から選ばれた多価原子を含むことができ、一方、ヘテロ原子はリン、ケイ素、ゲルマニウム及びヒ素が挙げられる。好ましくはヘテロ原子にはリンまたは、ケイ素が用いられる。これらのヘテロポリ酸はkeggin構造である。
【0017】
回収されるべき無機酸類として、それらが高価であるという点においてヘテロポリ酸が好ましく、ヘテロポリ酸としては12−リンモリブデン酸(H3PMo12O40)、12−リンタングステン酸(H3PW12O40)、ケイモリブデン酸(H4SiMo12O40)及び12−ケイタングステン酸(H4SiW12O40)好ましく挙げられる。
【0018】
次に、塩基性イオン交換樹脂の形状には、ゲル型およびマクロポーラス型が存在するが、本発明においては、マクロポーラス型が好適に用いられる。無機酸類がヘテロポリ酸である場合、ゲル型の塩基性イオン交換樹脂では、高収率でヘテロポリ酸を回収することができない。本発明におけるイオン交換樹脂は、例えば、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体を基体としたものに1級アミン、2級アミン、3級アミンの1種、又は2種以上導入したものが用いられる。また、強塩基性官能基である4級アンモニウムが一部導入されていてもよい。すなわち、強塩基性のもから中塩基性、弱塩基性のいずれのイオン交換樹脂を用いることができる。このような塩基性イオン交換樹脂には、レバチットMP62、MP64、MP600、VP OC
1065、VP
OC
1072、VP
OC
1094(以上、バイエル社製)、DIAION PA316、PA416、WA20、WA30(以上 三菱化学製)、アンバーリスト A21、IRA67、IRA96SB、XT6050RF、XE583(以上 オルガノ製)など各種の商標で市販されているものが挙げられる。
【0019】
また、樹脂の使用pHの範囲や温度については、特に制限はなく、実用pH範囲すなわち、pH 0〜14の範囲、樹脂の最高使用温度以下、通常、80℃以下である。実用使用する塩基性イオン交換樹脂は、処理する無機酸類、特にヘテロポリ酸類を含有する水あるいは、有機溶媒に対して、交換容量が大きいこと、再生効率が高いこと、圧力損失が小さく、逆洗展開率が小さいこと、さらには機械的強度が大きく、浸透圧ショックにも強いことが好ましい。交換容量が大きいと使用する樹脂量が少なくなり、経済性が高くなる。また、圧力損失が小さいと樹脂層高を高くする、あるいは通液、通水速度を大きくすることが可能となる。さらに、逆洗展開率が低いことは、強い逆洗を可能とする。このような観点から、使用するイオン交換樹脂は、マクロポーラス型の塩基性アニオン交換樹脂が特に好ましい。
【0020】
次に、使用するマクロポーラス型塩基性アニオン交換樹脂の粒径は、0.02〜0.3mmである。0.3mm以上の粒径では、反応物質の樹脂粒子内の拡散速度が小さくなり、交換速度が小さくなるだけでなく、樹脂単位重量当たりの接触面積(比表面積)が小さくなり、除去効率が低下する。一方、粒径が0.02mm以下では圧力損失が大きくなり、好ましくない。従って、好ましくは0.05〜0.2mmの範囲である。これらの粒径のマクロポーラス型塩基性アニオン交換樹脂は、市販のものを乳鉢等で破砕して、粒径をそろえて使用することができる。
【0021】
さらに、使用するマクロポーラス型塩基性アニオン交換樹脂のコンディショニングについては、乾燥していても、湿潤のままでも使用できるが、湿潤の場合で、かつ非水溶媒と接触させる場合には、予め、非水溶媒と相溶性のある溶媒に置換しておくことが好ましい。また、使用するアニオン交換樹脂はOH型の場合、再生処理などで抜液する際などは、窒素雰囲気下、あるいは減圧下で行うことが好ましい。イオン交換樹脂の大気との接触は、空気中の二酸化炭素を吸収して、一部炭酸水素イオン型となり、交換容量の低下を招く。従って、接触する二酸化炭素量は痕跡量まで低減させておくことが好ましい。また、交換基がCl型、あるいは一部がCl型の場合、水酸化ナトリウム水溶液などでOH型に置換しておく方が好ましい。
【0022】
本発明で使用するマクロポーラス型塩基性アニオン交換樹脂で処理する水あるいは、有機溶媒中の鉱酸類の濃度は、特に制限がないが、通常、使用する溶媒の溶解度以下のものが使用でき、マクロポーラス型塩基性アニオン交換樹脂の破過点付近まで使用できる。
【0023】
本発明において、無機酸類を溶解する溶媒は、水または有機溶媒であることができ、無機酸類を溶解していれば、すべての水、有機溶媒が用いられる。例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の脂肪族アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等の脂肪族ケトン類、酢酸エチル等の脂肪族エステル類、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の芳香族炭化水素類、ジフェニルエーテル等の芳香族エーテル類、およびそれらの混合物が挙げられる。また、これらの有機溶媒、例えば、アセトンやクメン、またはその混合物に、フェノール等の1価フェノール、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン等の2価フェノールが混合されていてもよい。これら1価、及び2価フェノールの含有量は、無機酸類が溶解する必要な量であれば良く、フェノールの場合、少なくとも30重量%以上を、2価フェノールの場合、少なくとも10重量%以上含む有機溶媒を使用することが特に好ましい。
【0024】
本発明における工程(1)の一例としては、マクロポーラス型塩基性アニオン交換樹脂をカラムに充填し、被処理液を上向流あるいは、下向流により通液するカラム式が挙げられるほか、バッチ式にしても差し支えない。カラム操作時の流体の空間速度は、通常、SV1〜50 L/L−IER/hrの範囲である。SVが1L/L−IER/hrより低い場合は、装置が大型化する。一方、SVが50L/L−IER/hrより大きい場合は、イオン交換樹脂の利用効率が低下する。従って、好ましくはSV 2〜20L/L−IER/hrの範囲であり、さらに好ましくはSV 3〜15L/L−IER/hrの範囲である。
【0025】
本発明において、マクロポーラス型塩基性イオン交換樹脂に吸着された無機酸類のアニオンを水酸化ナトリウム水溶液で溶離させて無機酸塩の水溶液として回収する工程(2)に使用するアルカリ水溶液は、通常、水酸化ナトリウム水溶液が使用できる。また、該アルカリ濃度は特に制限はないが、通常、2〜20重量%の範囲ものを使用するのが好ましい。また、その使用量は、再生する樹脂中の交換容量に応じて、適宜決定されるが、最低交換容量の当量分以上存在すればよく、好ましくは1.1〜1.5倍当量使用する。また、再生温度に特に制限はないが、通常、常温付近で行われる。
【0026】
次に、本発明でいう分離した無機酸塩の水溶液に接触させる強酸性イオン交換樹脂の形状は、ゲル型、あるいはマイクロポーラス型のものがあるが、そのどちらもが使用できる。例えば、本発明における強酸性カチオン交換樹脂は、スチレン系、アクリル系、メタクリル系、フェノール系、又はアミン縮合系樹脂を基体としたものに、スルホン酸基を導入したものが使用できる。このような強酸性カチオン交換樹脂には、レバチットS100、SP112、VP OC1052、VP OC1800(バイエル社製)など各種の商標で市販されているものが挙げられる。
【0027】
また、樹脂の使用pHの範囲や温度については、特に制限はなく、実用pH範囲すなわち、pH 0〜14の範囲、樹脂の最高温度以内、通常、120℃以内において使用可能である。
【0028】
次に、使用する強酸性カチオン交換樹脂の粒径は、通常、0.3〜1.5mmの粒径の市販品がそのまま使用できる。上述した塩基性アニオン交換樹脂と同様に、1.5mm以上の粒径では、反応物質の樹脂粒子内の拡散速度が小さくなり、交換速度が小さくなるだけでなく、樹脂単位重量当たりの接触面積(比表面積)が小さくなり、除去効率が低下する。一方、粒径が0.02mm以下では圧力損失が大きくなり、好ましくない。
【0029】
さらに、使用する強酸性カチオン交換樹脂のコンディショニングについては、乾燥していても、湿潤のままでも使用できる。また、使用する樹脂の交換基がNa型、あるいは一部がNa型の場合、予め塩酸水溶液などでH型に置換しておく方が好ましい。
【0030】
本発明で使用する強酸性カチオン交換樹脂で処理する無機酸塩水溶液中の鉱酸塩類の濃度には、特に制限がないが、通常、使用する溶媒の溶解度以下のものが使用でき、強酸性カチオン交換樹脂の破過点付近まで使用できる。
【0031】
本発明における工程(3)の一例としては、マクロポーラス型強酸性カチオン交換樹脂をカラムに充填し、被処理液を上向流あるいは、下向流により通液するカラム式が挙げられるほか、バッチ式にしても差し支えない。カラム操作時の流体の空間速度は、通常、SV1〜10 L/L−IER/hrの範囲であるが、これを逸脱する範囲で使用しても、本願請求の範囲である。
【0032】
本発明で使用するイオン交換樹脂の再生に利用する酸水溶液は、通常、塩酸水溶液が使用できる。また、該酸濃度は特に制限はないが、通常、2〜20重量%の範囲ものを使用するのが好ましい。また、その使用量は、再生する樹脂中の交換容量に応じて、適宜決定されるが、最低交換容量の当量分以上存在すればよく、好ましくは1.1〜1.5倍当量使用する。また、再生温度に特に制限はないが、通常、常温付近で行われる。
【0033】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。
実施例1
市販の中塩基性アニオン交換樹脂レバチットMP64(マクロポーラス型、粒径 0.315〜1.25mm、架橋度 6%、総交換容量1.5meq/ml、バイエル社製)を水浸漬状態で13ml取り、アセトンで溶媒置換した後、50℃で乾燥させた。この乾燥樹脂をメノウ乳鉢で粉砕し、粒子径0.15mm以下に分級したものをガラス製カラム(内径D 15mm、高さL75mm:L/D=5)に常温で充填した。次に、アセトンをポンプで空間速度SV 5ml−Aceton/ml−IER/hrでカラム上部から1時間通液し、イオン交換樹脂を非水系溶媒(アセトン)に置換した。次いで、フェノール40重量%、アセトン50重量%、クメン10重量%を含む有機溶媒にリンタングステン酸(H3PW12O40・30H2O、日本無機化学工業(株)社製)を500重量%になるよう調整した有機溶媒を空時速度SV 30ml/ml−IER/hrでカラム上部から通液した。処理液中のリンタングステン酸のリーク量はICPで測定して、吸着率を算出した。
次に、4重量%の水酸化ナトリウム水溶液を空時速度 SV 5ml−NaOH/ml/hrでカラム上部から1時間通液し、樹脂の再生を行った。さらに、空時速度 SV5ml−H2O/ml/hrでカラム上部から蒸留水を用いて通液・洗浄した。水洗浄は最終洗浄水のpHが9となった時点で終了した。
次に、市販の強酸性カチオン交換樹脂レバチットSP112(マクロポーラス型、粒径 0.315〜1.25mm、総交換容量 1.75meq/ml、バイエル社製)を水浸漬状態で13ml取り、20重量%水酸化ナトリウム水溶液500ml中に漬け、室温で一昼夜放置した。次いで、pHが7になるまで十分に水で洗浄し、さらにアセトンで溶媒置換した後、ガラス製カラム(内径D 15mm、高さL75mm:L/D=5)に常温で充填した。次に、アセトンをポンプで空間速度SV 5ml−Aceton/ml−IER/hrでカラム上部から1時間通液し、イオン交換樹脂を完全に非水系溶媒(アセトン)に置換した。次いで、4重量%水酸化ナトリウム水溶液で脱離したリンタングステン酸ナトリウムを含む水溶液を、空時速度SV 10ml/ml−IER/hrでカラム上部から通液した。得られた水溶液中のNa+イオンをイオンクロマトで定量することにより、リンタングステン酸の再生率を求めた。また、得られたリンタングステン酸は濃縮し、NMR及びFT−IRで構造の変化がないことを確認した。
分析の結果、リンタングステン酸の吸着率は99.9%以上、リンタングステン酸の再生率は99.9%以上であった。
【0034】
実施例2
有機溶媒に溶解する無機酸をリンタングステン酸に代えて、硫酸にした他は実施例1と同様に行った。
分析の結果、硫酸の吸着率は99.9%以上、硫酸の再生率は99.9%以上であった。
【0035】
実施例3
有機溶媒に溶解する無機酸をリンタングステン酸に代えて、塩酸にした他は実施例1と同様に行った。
分析の結果、塩酸の吸着率は99.9%以上、塩酸の再生率は99.9%以上であった。
【0036】
比較例1
使用する中塩基性アニオン交換樹脂MP64のメノウ乳鉢での粉砕を行わなかった他は実施例1と同様に行った。
分析の結果、リンタングステン酸の吸着率は35.5%、リンタングステン酸の再生率は99.9%以上であった。
【0037】
実施例4
中塩基性アニオン交換樹脂MP64に通液する無機酸を含む有機溶媒の空時速度SVを30ml/ml−IER/hrに代えて、60ml/ml−IER/hrにした他は実施例1と同様に行った。
分析の結果、リンタングステン酸の吸着率は70.8%、リンタングステン酸の再生率は99.9%以上であった。
【0038】
実施例5
中塩基性アニオン交換樹脂MP64に通液する無機酸を含む有機溶媒を水にした他は実施例1と同様に行った。
分析の結果、リンタングステン酸の吸着率は99.9%以上、リンタングステン酸の再生率は99.9%以上であった。
【0039】
実施例6
中塩基性アニオン交換樹脂MP64に通液する無機酸を含む有機溶媒をレゾルシノール20重量%、クメン80重量%にした他は実施例1と同様に行った。
分析の結果、リンタングステン酸の吸着率は99.9%以上、リンタングステン酸の再生率は99.9%以上であった。
【0040】
実施例7
使用する中塩基性アニオン交換樹脂MP64に代えて、強塩基性アニオン交換樹脂MP600(マクロポーラス型、粒径 0.315〜1.25mm、総交換容量1.1meq/ml、バイエル社製)にし、さらにメノウ乳鉢で粉砕し、粒子径0.15mm以下に分級したものを使用した他は実施例1と同様に行った。
分析の結果、リンタングステン酸の吸着率は99.9%以上、リンタングステン酸の再生率は99.9%以上であった。
【0041】
【発明の効果】
水、あるいは有機溶媒中に含有する無機酸類を、予め粉砕し、粒子径を制御した微細マクロポーラス型塩基性イオン交換樹脂と接触させ、次いで水酸化ナトリウム水溶液で溶離させて無機酸塩の水溶液として回収する。さらに強酸性カチオン交換樹脂と接触させて無機酸として回収することにより、有用な無機酸類を高効率に回収することができ、産業上優位である。
Claims (7)
- 水、あるいは有機溶媒中に溶解する無機酸類を回収する方法において、回収する無機酸が式(1)で表されるオキソ酸であり、下記(1)〜(3)の工程:
(1)無機酸を含有する水あるいは、有機溶媒を、粒径が0.02〜0.3mmの範囲であるマクロポーラス型塩基性アニオン交換樹脂と接触させる工程、
(2)工程(1)によってマクロポーラス型塩基性アニオン交換樹脂に吸着した無機酸のアニオンを、水酸化ナトリウム水溶液で溶離させて無機酸塩の水溶液として回収する工程、および
(3)分離した無機酸塩の水溶液を強酸性カチオン交換樹脂と接触させて無機酸として回収する工程、
からなることを特徴とする無機酸類の回収方法。
【化1】
X1On(OH)m (1)
(式中、X1は金属原子または非金属原子を示し、m及びnは中心原子X1の原子価によって決まる整数を示す) - オキソ酸が、式(2)(化2)で示されるヘテロポリ酸類である請求項1に記載の方法。
【化2】
H8−p(X2M12O40) (2)
(式中、X2はP、Si、GeまたはAsであり、MはMo、W、NbまたはVであり、pは4または5の整数を示す) - マクロポーラス型塩基性アニオン交換樹脂が、アミノ基、置換アミノ基、又は4級アミノ基を有するスチレン/ジビニルベンゼン共重合体である請求項1または2に記載の方法。
- マクロポーラス型塩基性アニオン交換樹脂に接触させる無機酸類を含有する水または有機溶媒の空間速度が、SV 1〜50L/L−IER/hrの範囲である請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 強酸性カチオン交換樹脂が、スルホン酸基を有するスチレン系、アクリル系、メタクリル系、フェノール系、又はアミン縮合系樹脂である請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
- 無機酸類を含有する有機溶媒が、フェノールを少なくとも30重量%以上含む溶媒である請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
- 無機酸類を含有する有機溶媒が、2価フェノールを少なくとも10重量%以上含む溶媒である請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
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