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セレンの定量分析方法

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JP4351946B2

Japan

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Inventor
宏 久保田
真嗣 福永
笑子 西山
Current Assignee
Chugoku Electric Power Co Inc

Worldwide applications
2004 JP

Application JP2004108381A events
2009-10-28
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Description

本発明は、セレンの定量分析方法に関する。
従来、試料に含まれるセレンの定量分析としては、例えば、JIS(日本工業規格) K0102に準拠した方法、3,3’−ジアミノベンジジン吸光光度法、水素化合物発生ICP(inductively coupled plasma)発光分光分析法、水素化合物発生原子吸光法などの方法が用いられている(非特許文献1参照)。この分析方法は、液体試料中のセレンを直接定量分析することはできるが、固体試料中のセレンを直接定量分析することができないため、従来、固体試料を炉等で燃焼し、燃焼ガスを吸収液に吸収させる燃焼分解法や、酸を用いて耐圧容器内で固体試料を加熱分解する酸分解法などにより液体試料を調製してから定量分析を行っていた。
工業排水試験方法(JIS K0102の67.1〜67.3),社団法人日本工業用水協会,1998年4月20日
しかしながら、上述の液体試料の調製は、操作が煩雑で、かつ時間を要するという問題があった。そのため、固体試料中のセレンを迅速に定量分析することができなかった。
そこで、本発明は、固体試料に含まれるセレンの定量を精度よく、かつ迅速に行うことが可能なセレンの定量分析方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく、大気圧より大きい圧力の酸素雰囲気下において、吸収液(純水)が注入された耐圧容器内で石炭を燃焼し、吸収液を回収して過酸化物を添加し、この溶液を加熱分解して放冷した後、還元剤(塩酸)を添加した混合溶液を煮沸還元し、放冷後、前記混合溶液にマスキング剤を加えて不純物の妨害を隠蔽し、原子吸光分光光度計を用いた水素化物発生原子吸光法によりセレンの含有量を測定したところ、JIS K0102に準拠した方法と同程度の精度で、かつJIS K0102に準拠した方法より迅速にセレンの定量を行うことができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る方法は、試料に含まれるセレンの定量分析方法であって、大気圧より大きい圧力の酸素雰囲気下において、吸収液が注入された耐圧容器内で試料を燃焼する工程と、前記吸収液を回収し、過酸化物を添加した前記吸収液を加熱して前記吸収液に含まれる有機物を分解するとともにセレンを酸化させる工程と、加熱分解した前記吸収液を放冷する工程と、放冷した前記吸収液に還元剤を添加した混合溶液を煮沸し、前記セレンを還元する工程と、煮沸還元した前記混合溶液を放冷する工程と、放冷した前記混合溶液にマスキング剤を添加する工程と、マスキング剤を添加した前記混合溶液に含まれる不純物を除去する工程と、不純物を除去した前記混合溶液に含まれるセレンを測定する工程と、を含むこととする。
なお、前記耐圧容器としては熱量計ボンブであることが好ましい。また、前記過酸化物としては過マンガン酸カリウムであることが好ましい。
本発明によれば、固体試料に含まれるセレンの定量を精度よく、かつ迅速に行うことが可能な、試料に含まれるセレンの定量分析方法を提供することができる。また、吸収液中のセレンの揮散を防止することができる。
上記知見に基づき完成した本発明を実施するための形態を、実施例を挙げながら詳細に説明する。
本発明に係る試料に含まれるセレンの定量分析方法では、まず、大気圧より大きい圧力の酸素雰囲気下において、吸収液が注入された耐圧容器内で試料を燃焼する。このように試料を燃焼することによりセレンの定量分析を精度よく、かつ迅速に行うことができる。なお、燃焼させる試料としては、例えば、石炭や石油等の化石燃料や、動物飼料、植物肥料などを用いることができる。また、本発明に係るセレンの定量分析方法において用いる試料の量としては、完全に燃焼できる量であれば特に制限されるものではない。
なお、前記吸収液としては、試料を燃焼した後にセレン及びセレン化合物を効率よく吸収できるものであればどのようなものでもよく、例えば、水、希酸(硝酸、過酸化水素)などを用いることができる。また、前記耐圧容器としては、試料を燃焼させる圧力に耐え得るものであればどのようなものを用いてもよいが、例えば、熱量計ボンブ(熱量測定用ボンブ)などを用いることができる。
上記試料の燃焼は、大気圧より大きい圧力(P>0.1MPa;「P」は圧力を意味する。)の酸素雰囲気下で行えばよいが、安全性の面から10MPa以下の圧力下で行うことが好ましく、1〜3MPaの範囲内で行うことが特に好ましい。また、上記試料の燃焼は、100%の酸素雰囲気下で行うことが最も好ましいが、試料を燃焼させるだけの酸素が含まれていれば必ずしも100%の酸素雰囲気下で行う必要はなく、他の気体、例えば、窒素や水素などが含まれていてもよい。
上述のように、耐圧容器内で試料を燃焼した後、耐圧容器内の吸収液を回収する処理を行う。なお、本実施の形態においては、吸収液を単に回収することとしているが、セレンの回収率を高めるために、新たな吸収液を用いて1回以上耐圧容器内を洗浄し、洗浄した溶液も回収することが好ましい。
次に、回収した吸収液に過酸化物を添加して加熱分解する処理を行う。この処理により、吸収液に含まれる有機物を分解することができ、有機物の存在によるセレンの定量精度の低下を防止することができる。また、上記処理により、吸収液に含まれるセレンを酸化させることができるので、吸収液中のセレンの揮散を防止することが可能になると考えられる。従って、この処理を行うことにより、試料中のセレンの定量分析を精度よく行うことができるようになる。
なお、前記過酸化物としては、例えば、過マンガン酸カリウム、過酸化水素、過酸化ナトリウムなどを用いることができるが、安全性の面から過マンガン酸カリウムを用いることが好ましい。
次に、加熱分解した吸収液を放冷後、還元剤を添加した混合溶液を煮沸還元する処理を行う。この煮沸還元処理により、セレンを4価に還元しやすくすることができる。従って、セレンの定量分析を精度よく行うことができるようになる。なお、前記還元剤としては、セレンを4価に還元することができるものであればどのようなものでもよく、例えば、塩酸、臭化カリウム、又はこれら還元剤の混合物などを用いることができる。また、煮沸還元処理は、90〜100℃で10分間以上行うことが好ましい。これにより、試料に含まれる全てのセレンを4価に還元することができると考えられる。
次に、煮沸還元した混合溶液を放冷した後、マスキング剤を添加する処理を行う。この処理により、混合溶液に含まれる重金属類及び点火用ニッケルを隠蔽することができる。従って、この処理を行うことにより、試料中のセレンの定量分析を精度よく行うことができるようになる。なお、前記マスキング剤としては、例えば、EDTA(Ethylene diamine tetra-acetic acid)−NaFを用いることができる。
次に、マスキング剤を添加した混合溶液中の不純物を除去する処理を行う。この処理は、フィルター(濾紙)を用いた濾過や、遠心分離により行うことができる。このように、不純物を除去することにより、不純物によるデータのバラツキを抑制することが可能となる。
次に、不純物を除去した混合溶液を、例えば、原子吸光分光光度計や水素化物発生装置を用いた水素化物発生原子吸光法又は水素化物発生ICP発光分析法で測定することにより、セレンの濃度を定量することが可能になる。
以下に本発明を実施例によって具体的に説明する。なお、これらの実施例は本発明を説明するためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
表1に示した各試料(ケストレルプレミアム炭、ワンボ炭、NIST SRM 1632C(標準石炭)など)を用いて、それらの石炭に含有するセレンの定量を行った。まず、0.5gの各試料をJIS M8814の方法に準拠して燃焼した。具体的には、250μm以下に微粉砕した試料0.5g(総発熱量が7000cal以下となるように試料の量を分取)を雁皮紙に包んで熱量測定用ボンブ(島津製作所製;内容積300ml,18−8ステンレス鋼製)のステンレス試料皿(SUS304)にのせ、吸収液としての蒸留水を熱量測定用ボンブの底部に10ml注入し、蓋で密閉した。その後、ボンブに純酸素ガス(等級G3,純度99.9%以上)を2.5MPa(25kgf)で圧入し、点火用ニッケル線を用いてステンレス試料皿の試料を燃焼した(なお、燃焼には島津−熱研式自動ボンベ熱量計CA−4Pを使用した。)。
燃焼後、ボンブ内のガスを抜き、熱量測定用ボンブ内の吸収液を回収し、純水80mlを用いて熱量測定用ボンブ内(特に、電極、試料皿保持器、及び試料皿など)を丁寧に洗浄した。洗浄後、ボンブ内の吸収液を回収し、先に回収した吸収液と合した。
次に、回収した吸収液に純水を加えてメスフラスコで100mlに定容し、そのうち15mlを100mlのビーカーに正確に分取した。分取した溶液に3% KMnOを試料液が着色するまで滴下し、着色した後、さらに3% KMnOを1〜2滴滴下した。その後、着色した溶液が入ったビーカーを90〜100℃のウォータバスに浸し、10分間加熱分解した。放冷後、同量(15ml)の12N−HClを添加し、再度ビーカーを90℃〜100℃のウォータバスに浸し、10分間煮沸還元した。
放冷後、0.1M EDTA−NaF 3mlを添加して混合し、純水を加えてメスフラスコで50mlに定容した。その後、0.45μmのフィルター(東ソー製;マイショリディスクW-25-5)で濾過して不純物を除去した。そして、水素化物発生装置(HVG−1;島津製作所製)と、原子吸光分光光度計(AA−6800;島津製作所製)と、オートサンプラ(ASC−6100;島津製作所製)とを用いた水素化物発生原子吸光法により、不純物を除去した溶液の吸光度(波長196nm)を測定し、予め作成した検量線を用いて不純物を除去した溶液 50mlに含まれるセレンの含有量を求め、試料0.5gに含まれるセレンの含有量を算出し、試料1kgに含まれるセレンの含有量を算出した(手法1)。また、同じ試料に含まれるセレンの定量をJIS K0102の67.3に準拠した方法(手法2)により行った。なお、吸光度の測定における条件として、フレームは空気−アセチレンフレームを用い、セルは加熱吸収セルを用い、水素化物の発生には0.4% NaBHと5N HClを用いた。それらの結果を表1に示す。
なお、表1において、試料1及び2の回収率は、手法2のセレンの回収率を100%とした時の値を示し、試料3の回収率は、試料3の保証値(1.255mg/kg)を100%とした時の値を示す。
Figure 0004351946
表1に示すように、手法1は手法2と同様の精度を有していることがわかった。また、手法2は試料中のセレンの含有量を定量するのに11日も要したが、手法1は3.5時間とより短時間で試料中のセレンの含有量を定量することができた。
さらに、0.1MPa(大気圧)の酸素雰囲気下で石炭試料をボンブ内で燃焼させる実験により、0.1MPa(大気圧)の酸素雰囲気下では石炭試料を完全に燃焼することができず、セレンの含有量を正確に定量することができないこともわかった。このことから、試料の燃焼は、大気圧より大きい圧力の酸素雰囲気下で行わなければならないものと考えられる。

Claims (3)
Hide Dependent

  1. 試料に含まれるセレンの定量分析方法であって、
    大気圧より大きい圧力の酸素雰囲気下において、吸収液が注入された耐圧容器内で試料を燃焼する工程と、
    前記吸収液を回収し、過酸化物を添加した前記吸収液を加熱して前記吸収液に含まれる有機物を分解するとともにセレンを酸化させる工程と、
    加熱分解した前記吸収液を放冷する工程と、
    放冷した前記吸収液に還元剤を添加した混合溶液を煮沸し、前記セレンを還元する工程と、
    煮沸還元した前記混合溶液を放冷する工程と、
    放冷した前記混合溶液にマスキング剤を添加する工程と、
    マスキング剤を添加した前記混合溶液に含まれる不純物を除去する工程と、
    不純物を除去した前記混合溶液に含まれるセレンを測定する工程と、
    を含むことを特徴とするセレンの定量分析方法。
  2. 前記混合溶液を煮沸還元する工程は、前記混合溶液を10分間以上煮沸し、前記セレンを還元することを特徴とする請求項1に記載のセレンの定量分析方法。
  3. 前記過酸化物が過マンガン酸カリウムであることを特徴とする請求項1又は2に記載のセレンの定量分析方法。