JP4349460B2 - 動吸振器 - Google Patents

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Description

本発明は橋梁、鉄橋、船舶、ビル、自動車等乗り物、各種産業機械などに構造部材として鉄鋼材料等金属材料を用いている各種構造物の振動および騒音防止を目的とした動吸振器に関するものである。
鉄鋼材料は構造部材として優れているために、多くの構造物に用いられている。その反面、内部減衰が極めて小さいので振動や騒音の原因を作ることになるという問題も抱えている。例えば、鉄道の鉄橋は車両の通過時に騒音が発生し、その騒音の大きさは車両速度が速くなるに伴って増加するので、騒音レベルを基準以下に保つためにやむなく速度規制が取られている。先般の神戸大地震ではコンクリート製の橋脚が500メートルに渡って折損されて大きな話題になったが、市街地の騒音レベルを下げるためにコンクリート製が使われた結果、このようなことを引き起こしたとも考えられる。自動車の車室内を静粛にするには、エンジン振動や路面からの振動が車体で増幅されないようにする必要がある。そのために、高級車になるほど車体の壁面にパテを多量に張り付けている。この問題は車体の軽量化によって省エネルギー化を図ろうとすることに逆行している。
トラック等の通過によって生じる橋梁の振動は、地盤に伝達され地域住民の居住性を侵害し社会問題化している。この問題を解決するために、動吸振器を取り付けて橋梁の振動を抑制する試みも検討されている。しかし、橋梁上の車両重量は常に変動しており、それによって橋梁の固有振動数も変化する。動吸振器は、一定の固有振動数を持つ制振対象にとって有効な手段であるが、変動するものには有効性が甚だしく減少する。また、橋梁の置かれた温度環境は、夏場と冬場、日中と夜間に大きな差があるが、動吸振器は温度変化によって制振性能が大きく影響されると言った問題がある。各種産業機械についても、振動問題を解消するために動吸振器を代表とする制振器が使われてきたが、構造物の固有振動数や環境温度等の変化に応じることができないので、前述と同様な問題を起こす。
以上、従来の技術をまとめて、振動・騒音を低減する方法を列挙すると次のようになる。
(1)制振材料やコンクリートのような内部減衰の大きい構造材料を用いる。
(2)ゴムやパテのような吸振材を構造部材の表面に張る。
(3)動吸振器等制振器を取り付けて構造部材の減衰を外部から付与する。
しかしながら、項目(1)の方法は構造部材としての強度に問題があり、しかも鉄鋼材料に比べれば内部減衰が大きいが、振動問題を解決できるほど大きな減衰を得ることはできない。項目(2)は極めて経験的で、強引な方法であり、高い周波数には効果があるが低次モードの振動のような低い振動数の制振にはほとんど効果がないことが知られている。
項目(3)は、制振器の最適設計法がよく知られている。これに基づいて動吸振器等を設計調整すれば低次振動モードから高次振動モードまで振動がよく抑制される。特に、動吸振器は制振器を代表し最も優れた制振性能を発揮するのでよく用いられる。しかし、次のような問題を抱えており、それが実用上の大きな障害となってきた。
(a)制振対象の固有振動数の変化など、制振対象のパラメータ変動によって極端に制振効果が損なわれる。
(b)動吸振器の減衰係数変化など、動吸振器のパラメータ変動によって制振効果が損なわれる。
(c)動吸振器は小型に作ることが可能であるが、それでも目立たないように外部に取り付けることが難しい。
(d)低周波数の振動を抑制するために設計した動吸振器は、高周波数の騒音の抑制にはあまり貢献しない。
本発明に係る動吸振器は、共通の支持部材から複数のバネ部材を延出し、これらバネ部材の先端にそれぞれ重りを取り付けてこれら重りを揺動自在に片持ち支持すると共に、これら重りの揺動を減衰するための減衰部材を取り付けたものである。
即ち、質量m(i=1、2、・・・、n、但し、nは2以上の整数)を夫々有したn個の重りの夫々をバネ定数k(i=1、2、・・・、n)を夫々有した各バネ部材と各減衰係数c(i=1、2、・・・、n)とをもって互いに独立に一の方向xに揺動自在に支持してなる、一個の質量M及び一個のばね定数Kでもって規定できる一自由度系の構造物に対する動吸振器は、強制振動数比λ(但し、λ=ω/│(K/M)1/2│)を変数とする、該構造物に加わる一の方向xの振動外力fin(ω)による構造物の一の方向の変位X(ω)と振動外力fin(ω)/ばね定数Kで定義付けられる静たわみXst(ω)との比X(ω)/Xst(ω)の大きさを示す変位振幅比関数Q(=│X(ω)/Xst(ω)│)における多くとも(n+1)個の極大値の平均値を最小にする減衰率ζ(但し、ζ=c/(2・│(k・m1/2│、i=1、2、・・・、n)となる質量m、バネ定数k及び減衰係数cを有している。
また、質量m(i=1、2、・・・、n、但し、nは2以上の整数)を夫々有したn個の重りの夫々をバネ定数k(i=1、2、・・・、n)を夫々有した各バネ部材と各減衰係数c(i=1、2、・・・、n)とをもって互いに独立に一の方向xに揺動自在に支持してなる、一個の質量M及び一個のばね定数Kでもって規定できる一自由度系の構造物に対する動吸振器は、強制振動数比λ(但し、λ=ω/│(K/M)1/2│)を変数とする、該構造物に加わる一の方向xの振動外力fin(ω)による構造物の一の方向の変位X(ω)と振動外力fin(ω)/ばね定数Kで定義付けられる静たわみXst(ω)との比X(ω)/Xst(ω)の大きさを示す変位振幅比関数Q(=│X(ω)/Xst(ω)│)における多くとも(n+1)個の極大値の平均値と各極大値との差を二乗した多くとも(n+1)個の二乗値を加算した加算値を最小にする固有振動比γ(但し、γ=│(K/M)1/2│/│(k/m1/2│、i=1、2、・・・、n)となる質量m及びバネ定数kを有している。
更に、質量m(i=1、2、・・・、n、但し、nは2以上の整数)を夫々有したn個の重りの夫々をバネ定数k(i=1、2、・・・、n)を夫々有した各バネ部材と各減衰係数c(i=1、2、・・・、n)とをもって互いに独立に一の方向xに揺動自在に支持してなる、一個の質量M及び一個のばね定数Kでもって規定できる一自由度系の構造物に対する動吸振器は、強制振動数比λ(但し、λ=ω/│(K/M)1/2│)を変数とする、該構造物に加わる一の方向xの振動外力fin(ω)による構造物の一の方向の変位X(ω)と振動外力fin(ω)/ばね定数Kで定義付けられる静たわみXst(ω)との比X(ω)/Xst(ω)の大きさを示す変位振幅比関数Q(=│X(ω)/Xst(ω)│)における多くとも(n+1)個の極大値の平均値を最小にする減衰率ζ(但し、ζ=c/(2・│(ki・m1/2│、i=1、2、・・・、n)及び当該変位振幅比関数Qにおける多くとも(n+1)個の極大値の平均値と各極大値との差を二乗した多くとも(n+1)個の二乗値を加算した加算値を最小にする固有振動比γ(但し、γ=│(K/M)1/2│/│(k/m1/2│、i=1、2、・・・、n)となる質量m、バネ定数k及び減衰係数cを有している。
即ちこれは、単一の動吸振器を複数に分割し、そのそれぞれに最適な設計を施すことによって、制振対象や動吸振器自体のパラメータ変動の影響を減小すると共に、構成をコンパクトとし、しかも高次モードの騒音制御にも効果を発揮するものである。
本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
(1) 制振対象や動吸振器自体のパラメータ変動に影響を受けず、常に安定した制振効果を発揮できる。
(2) 高周波数の騒音抑制にも効果を発揮できる。
(3) 小型化を達成できる。
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
図1は、本発明に係る動吸振器の最小形態を成す2重動吸振器の構成例を示す。
図示するように、2重動吸振器1は、制振対象となる構造物Sに適当な手段(ボルト、接着剤等)にて固定される支持部材2を有し、支持部材2は分割可能な下部ブロック3及び上部ブロック4から構成される。これら下部ブロック3及び上部ブロック4は2本のボルト5で締結されるが、この締結に際して、ブロック3,4間、及び上部ブロック4とボルト5間にはそれぞれ板バネ6が挟まれて取り付けられる。上下の板バネ6は平行バネをなし、それら両端が支持部材2の両側にそれぞれ延出されて、上下の端部間に重りとしてのブロック部材7を配置させる。板バネ6の両端部には2つの長孔8が設けられ、これら長孔8にはボルト9が挿通され、ボルト9はブロック部材7を適当な位置にて固定する。このようにして、ブロック部材7は板バネ6の長手方向に沿って移動自在に取り付けられ、その位置調整が可能となる。特に板バネ6の、支持部材2から延出する左側延出部6a及び右側延出部6bは、互いの長さL1 ,L2 がそれぞれ異なっていて、ここでは左側延出部6aが右側延出部6bより長くなっている(L1 >L2 )。
こうして、共通の支持部材2から、平行バネの略半分部分(左側延出部6a及び右側延出部6bの上下の組)がなす2つのバネ部材が延出され、これらバネ部材の先端にそれぞれ重りが取り付けられて、これら重りが揺動自在に片持ち支持されることになる。
上部ブロック4の両側面からは、上部ブロック4に貫通固定されたねじ付シャフト10が延出され、このねじ付シャフト10の先端部には調整ナット部材11が螺合して取り付けられている。調整ナット部材11はその先端部に減衰部材12を一体的に有している。減衰部材12は、シリコンゲル等の高分子材料等の減衰材より成っている。そして調整ナット部材11のシャフト10に沿った、或いは板バネ6の延出方向に沿った位置調整により、減衰部材12はブロック部材7に可変の押し付け力を与え、ブロック部材7の揺動を適宜減衰するようになっている。
ここで、詳しくは後述するが、2つのバネ部材はバネ定数k1,k2 、2つの重りはm1,m2 、2つの減衰材はc1,c2 と定義し、これらの値は最適同調、最適減衰を取るように設計する。本構造では、重りの取り付け位置によって最適同調、調整ナット部材11の位置調整によって最適減衰が得られるように、微少調整できるようになっている。
図2は、本発明に係る動吸振器の別の形態を成す4重動吸振器の構成例を示す。この4重動吸振器21においては、支持部材22をなす下部ブロック23及び上部ブロック24の間に、十字形に形成された板バネ25が、ボルト26によって挟持して固定されている。板バネ25の4つの延出部25aがバネ部材を形成し、これら延出部25aの先端部に、重りとしてのブロック部材27がそれぞれボルト28a、ナット28bで載置固定される。延出部25aの先端部には長孔28cが設けられ、これによってブロック部材26の位置は調整可能となる。4つの延出部25aの長さは、若干ではあるがそれぞれ異なっている。
上部ブロック24の外側面、延出部25aの上面、及びブロック部材26の内側面が区画する隙間には、減衰部材29が圧縮挿入して取り付けられている。そして減衰部材29はその隙間を埋め尽くし、上部ブロック24及びブロック部材26の各上面に面一となっている。
このように、詳しくは後述するが、単一動吸振器と同等の重りを4等分に分割して分散配置することによって薄型でコンパクトな動吸振器が実現できる。重りを4分割してm1〜m4が定まれば、各バネ定数k1〜k4、及び減衰係数c1〜c4は後述の式(22),(29)によって決定される。
図3は、本発明に係る動吸振器の別の形態を成す8重動吸振器を示す。この8重動吸振器31においては、支持部材32が、前後に長い直方体状の上部ブロック33及び下部ブロック34により一体的に構成されている。上部ブロック33の両側面からは、それぞれ4枚の板バネ35が並列に配置されて延出されている。板バネ35の長さはそれぞれ異なっており、その各先端には重りとしてのブロック部材36が一体的に取り付けられている。板バネ35は、その両端が上部ブロック33及びブロック部材36の高さ中心位置に接続されており、板バネ35の上下の隙間に、減衰部材37が前記とは異なり一体的に固着されている。
特にこの8重動吸振器31は、先の2重動吸振器を基本単位としてこれを4個取り付けたものである。これを2個にすれば4重動吸振器、3個にすれば6重動吸振器が構成される。
図4は、本発明に係る動吸振器の別の形態を成す12重動吸振器を示す。この12重動吸振器41にあっては、支持部材42が短円柱状の上部ブロック43及び下部ブロック44により一体形成され、その上部ブロック43の側面から、長さが同一或いは相違の12枚の板バネ45がそれぞれ放射状に(上部ブロック43を中心とする半径方向に)等間隔で延出されている。そして各板バネ45の先端には重りとしてのブロック部材46が一体的に取り付けられている。さらに板バネ45の上下の隙間に、前記同様、減衰部材47が一体的に固着されている。
このように、本発明に係る動吸振器は、バネ部材、重り及び減衰部材からなる一単位の動吸振器を複数有するマルチ動吸振器(複合動吸振器)である。
さて次に、以上の形態に代表される本発明のマルチ動吸振器に関して、その基本構成とこれを最適設計するための解析法について示す。
(a)マルチ動吸振器の解析と変位振幅比
制振対象物にマルチ動吸振器を設置した力学モデルを図5に示す。ここで、MおよびKは制振対象物の1自由度モデルの質量とバネ定数、mi, ki, ciはi番目の動吸振器の質量、バネ定数、減衰係数である。本モデルでは構造物の減衰は非常に小さなもので無視できるものとして考える。この力学モデルより導き出される運動方程式を次に示す。但し、xは制振対象の変位、xi、fiはi番目の動吸振器の変位と制振対象に作用する力、fin は制振対象に作用する外力である。(i= 1,2,3,.....,n)
Figure 0004349460
ただし、
Figure 0004349460
とする。
次に、この振動系において、
Figure 0004349460
とおく。ただし、X 、Xi、F は、x 、xi、fiの複素振幅を表している。これらを式(3)に代入すると、
Figure 0004349460
また、
Figure 0004349460
の関係より、
Figure 0004349460
したがって、
Figure 0004349460
となる。これを式(1)に代入すると、
Figure 0004349460
外力fin と主振動系のばね定数K の比fin/K を静たわみXst と定義すると、変位振幅比X/Xst は次のように表わせる。




Figure 0004349460
ここで、以下に示す無次元数を導入する。
Figure 0004349460
λは強制振動数比、μは質量比、γは固有振動数比、ζは減衰率である。したがって、変位振幅比は、
Figure 0004349460
ただし、
Figure 0004349460
また、変位振幅比の大きさは、

Figure 0004349460
となる。
(b)マルチ動吸振器の最適調整条件
複合動吸振器の最適調整の目的は主振動系の最大変位振幅比|X/Xst|maxをいかに小さくするかにある。その方法として、動吸振器の設置数が一つまたは二つの場合、定点理論を適用することができる。定点理論とは次のようなものである。
動吸振器のばね定数を一定値にし、減衰係数を変化させると、変位振幅曲線上に減衰係数の値には関係しない定点が複数個存在する。そこで次のような方法を用いる。
(1)これらの定点の高さをそろえる(最適同調)
(2)これらの定点の付近に極大値がくるようにする(最適減衰)
これら二つの方法で最適調整を行うものが定点理論である。
しかし、動吸振器の設置数が3つ以上になってしまうと、前述のような定点は存在しなくなり、定点理論による最適調整は望めない。
そこで、主振動系にn個の動吸振器を取付けた場合の変位振幅曲線をμ1 …μnは一定値とし、γ1 …γn、ζ1 …ζnを変化させたところ、次のようなことがわかった。(1)多くて( n+1) 個の極大値とn個の極小値が存在する。
(2)n個の極小値の場所(x座標)はそれぞれに対応したn個の1/γ1 …1/γnの影響を大きく受ける。
(3)ある極小値とその両隣に位置する極大値との高さ(y座標)の差はそれぞれに対応したn個のζ1 …ζnの影響を大きく受ける。
ここで、極大値付近をピーク、極小値付近をノッチと呼ぶことにし、(1)、(2)、(3)をどのように利用し、最適同調、最適減衰にまで導いたのかを以下に示す。
最適同調条件とは、「( n+1) 個のピークの高さをそろえること」と定義する。そのための評価関数として、( n+1) 個のピークの高さの平均と、各ピークの高さとの差を2乗し足し合わせたものを考えた。これをIとする。
Figure 0004349460
つまり、1/γ1 …1/γnを変化させ、このIを最小にすることが最適同調となる。
最適減衰条件とは、「( n+1) 個のピークの高さの平均を最小にすること」と定義する。そのための評価関数として条件どおりに、( n+1) 個のピークの高さの平均を考えた。これをJとする。
Figure 0004349460
つまり、ζ1 …ζnを変化させ、このJを最小にすることが最適減衰となる。
以上の2つの式(20)、(21)を満足する数値解を作成したプログラムによって計算する。
(c)最適設計図表と実用近似式
一例として、図6に計算による数値解析を行なって求めた4重動吸振器の最適設計図表を示す。4重動吸振器の質量比μ4 をパラメータとし、動吸振器の最適な固有振動数比1/γ1 、1/γ2 、1/γ3 、1/γ4 、減衰率ζ1 、ζ2 、ζ3 、ζ4 およびその時の最大変位振幅比|X/Xst|maxを示してある。
動吸振器を設計する場合、質量比を設定し、この図表から固有振動数比、減衰率を読み取れば良い。しかし、実際の使用においては不便である。そこで、以下に示す実用近似式を提案する。
Figure 0004349460
図6のプロット点は計算によって求められた値であり、各近似式とも図表の特性をよく近似していることがわかる。
次に、上記方法によって最適設計されたマルチ動吸振器の制振効果について説明する。
(a)マルチ動吸振器の制振効果
動吸振器の合計の質量比が0.1となる場合について制振効果を示す。
なお、単一動吸振器と比較するために各動吸振器の質量比は以下のように定め、2重動吸振器および複合動吸振器の合計の質量比はすべて同じとした。
単一動吸振器(S.D.A) μ1 =0.1
2重動吸振器(D.D.A) μ2 =μ1 /2 (=0.05)
4重動吸振器(4.D.A) μ4 =μ1 /4 (=0.025)
6重動吸振器(6.D.A) μ6 =μ1 /6 (=0.0167)
8重動吸振器(8.D.A) μ8 =μ1 /8 (=0.0125)
各重動吸振器について最適調整法により求めた場合の変位振幅曲線を図7に示
す。また、同一条件の下でのインパルス応答を図8に示す。
その結果、4重、6重、8重動吸振器は2重動吸振器よりも最大変位振幅比がそれぞれ9.3 %、12.5%、13.7%ほど抑えられている。また、動吸振器は制振対象の振動に励起され、振動するために、図8の最初の1周期目の波には複合動吸振器の効果は表れていないが2周期目の振動波形には複合動吸振器の効果が表れている。明らかに4重、8重動吸振器にすることによって2周期目の波形の振幅は小さくなっており、速やかに振動が抑えられていることがわかる。これにより、本発明のマルチ動吸振器が高い制振効果を発揮するのが分かる。
(b)減衰係数の変動に対する効果
動吸振器の構成要素のなかで最も使用環境の影響を受けやすいのが減衰要素(ダンパ)である。現在、ダンピング材としてオイルや磁気、ゲル材を用いたものなどがある。
動吸振器の減衰係数c の変動は減衰率ζの変化として示す。最適調整された減衰率を0.2 倍から3.0 倍まで変化させた場合の変位振幅曲線を比較する。最適調整されている各動吸振器を主振動系に設置し、4重動吸振器を例にして、その減衰率ζが変化した場合の変位振幅曲線を図9に示す。
これらの各曲線の最大変位振幅比の変化と動吸振器の減衰率ζの変化率との関係を図10に示す。
この結果、単一および2重動吸振器より、動吸振器をさらに複数個有する複合動吸振器の方が減衰係数c の変動の影響を受けにくくできることが明らかになった。特に注目すべきは、マルチ動吸振器は減衰率をあらかじめ最適値よりも多めに定めておけば、例えば1.2 程度に与えておけば、減衰の変動に対して極めて影響を受けにくい状態が作れることが分かった。
(c)固有振動数の変動に対する効果
固有振動数Ω(=√(K/M))の変動は主振動系のばね定数Kの変化とする。ばね定数Kを0.7倍から1.4倍まで変化させた時の変位振幅曲線を比較する。図11は4重動吸振器の例について調べたものである。さらに、単一動吸振器と比較して2重、4重、6重、8重動吸振器の固有振動数の変動に対する最大変位振幅比の変化を調べたものを図12に示す。この場合は、マルチ動吸振器がよい領域はバネ定数が0.9以上、1.1以下となっており、それを越えると単一動吸振器の方が良い結果があらわれている。しかし、この問題は重要ではない。これは、バネ定数に変動が見込まれる場合は、あらかじめ変動を見越して各動吸振器の固有振動数を上下にシフトする設計法によって容易に解決できる。
図13はバネ定数を上下に5%だけシフトした場合の各重動吸振器の固有振動数の変動に対する最大変位振幅比の変化を調べたものである。最適値付近の最大振幅比は増加するものの、広い変動幅の範囲で最大振幅比が低く押さえられていることが分かる。
以上により、(b)の結果も含めて、本発明のマルチ動吸振器が、制振対象や動吸振器自体のパラメータ変動に影響を受けず、常に安定した制振効果を発揮できることが理解される。
(d)騒音の制御効果
最後に、試作した4重動吸振器を平板に取り付けその平板から放射される音の比較を図14に示す。図中、黒く塗りつぶしたところが動吸振器取り付けによってピークが減少したところである。特に、人間の耳に敏感な1KHzから4KHzにおいて大幅に共振ピークが減少していることが分かる。これは4重動吸振器のもたらすフードダンパー的効果によるもので、この結果により本発明のマルチ動吸振器が騒音境域にも有効なことが確認された。
以上述べたように、本発明に係るマルチ動吸振器は、個々の動吸振器を最適化して常に安定した制振効果を生ずるものである。そしてスペース上の制約が許せば、部材の数を増やしてさらにマルチ化することが可能である。特にかかる形態によると、扁平・薄型でコンパクトな動吸振器を実現でき、構造物に目立たぬよう取り付けることが可能となる。なお動吸振器をケーシング内に収容する等は任意である。
特に、一般の動吸振器は、制振対象の等価質量が極端に大きい場合、重りの質量も大きくなって大型化し、設置場所の制限を受け易くなってしまう。本発明の動吸振器は、単一の動吸振器を複数に分割したものであり、これによって構成要素としてのバネ部材、重り及び減衰部材を小さくし、小型化を達成できる。
また、従来の単一動吸振器は、構造物の固有振動数に基づいて制振設計されているが、これだと例えば橋梁にて車両通過による質量変化がある場合等、固有振動数が変化すると制振効果が著しく悪化してしまう。本発明のマルチ動吸振器は、全体としては構造物の固有振動数に基づいて制振設計されているものの、個々の動吸振器が異なる固有振動数を有しており、構造物の固有振動数変化に対応していずれかの動吸振器が作用し、その固有振動数変化を吸収して、広範な振動数領域で高い制振効果を発揮するものである。
そのための構成として、かかるマルチ動吸振器では、板バネの長さを不等長としたり、重りの位置を変えられるようにして、ばね定数延いては固有振動数を個々に別の値を与えるようにしている。また、2重動吸振器1にあっては減衰部材12の押し付け力を可変とし、4重動吸振器21にあっては重りの位置調整により減衰部材29の圧縮状態を可変とし、他のマルチ動吸振器31,41では減衰部材37,47のサイズを変えることによって、減衰係数を個々に別の値としている。特に2重、4重動吸振器1,21にあっては、重りの位置変化に合わせて減衰係数も変化することになる。
そして、本発明の動吸振器は、振動に伴う騒音の減小にも効果を発揮する。さらに、板材料や壁材料等は場所により振動状態にばらつきがあるが、これに本発明の動吸振器を適用すれば、そのばらつきをも吸収して効果的に振動、騒音を低減できる。
加えて、本発明の動吸振器は、従来の磁気ダンパ等を用いた動吸振器に比べ軽量、安価に製作でき、バネ定数や重りの質量、減衰係数等の値も容易に変更、調整できるメリットがある。
本発明に係る動吸振器の実施の形態を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。 本発明に係る動吸振器の別の形態を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。 本発明に係る動吸振器の別の形態を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。 本発明に係る動吸振器の別の形態を示し、(a)は平面図、(b)はA−A断面図である。 本発明に係る動吸振器の力学モデルを示す図である。 4重動吸振器の最適設計図表である。 最適設計値における各動吸振器の比較を示すグラフである。 最適設計値におけるインパルス応答を示すグラフである。 減衰率を変化させた場合の変位振幅曲線を示すグラフである。 図9の各曲線の最大変位振幅比の変化と動吸振器の減衰率の変化率との関係を示すグラフである。 ばね定数を変化させた場合の変位振幅曲線を示すグラフである。 単一動吸振器と比較して2重、4重、6重、8重動吸振器の固有振動数の変動に対する最大変位振幅比の変化を示すグラフである。 バネ定数を上下に5%だけシフトした場合の各重動吸振器の固有振動数の変動に対する最大変位振幅比の変化を示すグラフである。 4重動吸振器を平板に取り付けた際の放射音の比較を示すグラフである。
符号の説明
1,2重動吸振器
2,22,32,42 支持部材
6,25,35,45 板バネ(バネ部材)
6a 左側延出部(バネ部材)
6b 右側延出部(バネ部材)
7,27,36,46 ブロック部材(重り)
12,29,37,47 減衰部材
21 4重動吸振器
25a 延出部(バネ部材)
31 8重動吸振器
41 12重動吸振器

Claims (4)

  1. 質量m(i=1、2、・・・、n、但し、nは2以上の整数)を夫々有したn個の重りの夫々をバネ定数k(i=1、2、・・・、n)を夫々有した各バネ部材と各減衰係数c(i=1、2、・・・、n)とをもって互いに独立に一の方向xに揺動自在に支持してなる、一個の質量M及び一個のばね定数Kでもって規定できる一自由度系の構造物に対する動吸振器であって、強制振動数比λ(但し、λ=ω/│(K/M)1/2│)を変数とする、該構造物に加わる一の方向xの振動外力fin(ω)による構造物の一の方向の変位X(ω)と振動外力fin(ω)/ばね定数Kで定義付けられる静たわみXst(ω)との比X(ω)/Xst(ω)の大きさを示す変位振幅比関数Q(=│X(ω)/Xst(ω)│)における多くとも(n+1)個の極大値の平均値を最小にする減衰率ζ(但し、ζ=c/(2・│(k・m1/2│、i=1、2、・・・、n)となる質量m、バネ定数k及び減衰係数cを有した動吸振器。
  2. 質量m(i=1、2、・・・、n、但し、nは2以上の整数)を夫々有したn個の重りの夫々をバネ定数k(i=1、2、・・・、n)を夫々有した各バネ部材と各減衰係数c(i=1、2、・・・、n)とをもって互いに独立に一の方向xに揺動自在に支持してなる、一個の質量M及び一個のばね定数Kでもって規定できる一自由度系の構造物に対する動吸振器であって、強制振動数比λ(但し、λ=ω/│(K/M)1/2│)を変数とする、該構造物に加わる一の方向xの振動外力fin(ω)による構造物の一の方向の変位X(ω)と振動外力fin(ω)/ばね定数Kで定義付けられる静たわみXst(ω)との比X(ω)/Xst(ω)の大きさを示す変位振幅比関数Q(=│X(ω)/Xst(ω)│)における多くとも(n+1)個の極大値の平均値と各極大値との差を二乗した多くとも(n+1)個の二乗値を加算した加算値を最小にする固有振動比γ(但し、γ=│(K/M)1/2│/│(k/m1/2│、i=1、2、・・・、n)となる質量m及びバネ定数kを有した動吸振器。
  3. 質量m(i=1、2、・・・、n、但し、nは2以上の整数)を夫々有したn個の重りの夫々をバネ定数k(i=1、2、・・・、n)を夫々有した各バネ部材と各減衰係数c(i=1、2、・・・、n)とをもって互いに独立に一の方向xに揺動自在に支持してなる、一個の質量M及び一個のばね定数Kでもって規定できる一自由度系の構造物に対する動吸振器であって、強制振動数比λ(但し、λ=ω/│(K/M)1/2│)を変数とする、該構造物に加わる一の方向xの振動外力fin(ω)による構造物の一の方向の変位X(ω)と振動外力fin(ω)/ばね定数Kで定義付けられる静たわみXst(ω)との比X(ω)/Xst(ω)の大きさを示す変位振幅比関数Q(=│X(ω)/Xst(ω)│)における多くとも(n+1)個の極大値の平均値を最小にする減衰率ζ(但し、ζ=c/(2・│(ki・m1/2│、i=1、2、・・・、n)及び当該変位振幅比関数Qにおける多くとも(n+1)個の極大値の平均値と各極大値との差を二乗した多くとも(n+1)個の二乗値を加算した加算値を最小にする固有振動比γ(但し、γ=│(K/M)1/2│/│(k/m1/2│、i=1、2、・・・、n)となる質量m、バネ定数k及び減衰係数cを有した動吸振器。
  4. nは3以上である請求項1から3のいずれか一項に記載の動吸振器。
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