JP4337416B2 - フッ素樹脂皮膜銅線の巻線方法およびフッ素樹脂皮膜銅線の巻線装置 - Google Patents
フッ素樹脂皮膜銅線の巻線方法およびフッ素樹脂皮膜銅線の巻線装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高耐電圧であるフッ素樹脂皮膜銅線の巻線方法およびフッ素樹脂皮膜銅線の巻線装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、車載用のHIDランプの始動に必要な高電圧パルスを発生させるイグナイタとしてパルストランスを用いる構成のものが知られており、この種の構成のイグナイタでは、パルストランスの1次巻線にパルス電流を流すことによって2次巻線に高電圧パルスを発生させるように構成されている。
【0003】
この種のパルストランスとしては、図8に示すように、中心体としてのフェライトからなるコア3に2次巻線2を巻装し、2次巻線2の外周に1次巻線1を巻装した構成のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。ここに、図8に示した構成のパルストランスでは、1次巻線1として、銅線11にフッ素樹脂皮膜12を形成したフッ素樹脂皮膜銅線10を用いることにより、1次巻線1と2次巻線2との間にコイルボビンなどを介在させることなく1次巻線1と2次巻線2との間の絶縁耐圧を確保することができるようになっている。
【0004】
ところで、上述のフッ素樹脂皮膜銅線10の表面には加熱することにより溶融する接着膜(図示せず)が形成されており、上記パルストランスの製造に際しては、図9(a)に示すように2次巻線2の外周へ1次巻線1となるフッ素樹脂皮膜銅線10を巻装して余線を切断した後、図9(b)に示すようにフッ素樹脂皮膜銅線10の各端末部1b,1bのフッ素樹脂皮膜12を市販のストリッパー24(図10(a)参照)などの工具を用いて剥離することで銅線11を露出させてから、図9(c)に示すように銅線11の露出した部分をクリップなどの端子21で挟んで、銅線11に通電してフッ素樹脂皮膜銅線10を加熱することで上記接着膜を溶融させることによってフッ素樹脂皮膜銅線10を2次巻線2へ融着している。なお、フッ素樹脂皮膜銅線10をボビンやコアへ巻装した場合には上記接着膜を溶融させることにより、ボビンやコアへ融着できることは勿論である。
【0005】
1次巻線1の各端末部1b,1bのフッ素樹脂皮膜12を市販のストリッパー24を用いて剥離する際には、図10(a)に示すようにフッ素樹脂皮膜銅線10の所望の位置にストリッパー24の位置を合わせてから図10(b)に示すようにフッ素樹脂皮膜銅線10をストリッパー24の一対の刃24a,24aで挟んでストリッパー24を線端側へ移動させる(つまり、図10(b)中の矢印の向きへ移動させる)ことにより図10(c)に示すように端末部1bの銅線11を露出させている。
【0006】
また、端末部1bのフッ素樹脂皮膜12を剥離する際に用いる工具としてストリッパー24の代わりに図11(a)に示すような熱ピンセット26を用いることも考えられる。このような熱ピンセット26を用いる場合には、図11(a)に示すように一対の刃26a,26aの各先端部がフッ素樹脂皮膜12を溶融する温度まで昇温された熱ピンセット26の一対の刃26a,26aでフッ素樹脂皮膜銅線10を挟んで、図11(b)のように熱ピンセット26を線端側へ移動させる(つまり、図11(b)の矢印の向きへ移動させる)ことにより図11(c)に示すように銅線11を露出させている。
【0007】
なお、熱融着性皮膜が形成された線材101における端末部の熱融着性皮膜を剥離する冶具としては、図12に示すように線材101を挟むように配置される固定刃61と押し刃62とを利用するものも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
また、フッ素樹脂皮膜12のある端末部1bを曲げてフォーミングする際には、図13(a)に示すように端末部1bの曲げ位置にピン28を固定してから、図13(b)に示すようにピン28の回りでフッ素樹脂皮膜銅線10に癖付けをしてフォーミングしているのが一般的である。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−373817号公報
【0010】
【特許文献2】
特開昭57−34752号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述のようなストリッパー24を用いてフッ素樹脂皮膜12を剥離して、クリップのような端子21で銅線11を挟んでから通電するようにした場合、人手作業に頼らざるを得ず、生産設備の自動化の障害となっていた。
【0012】
また、ストリッパー24を用いて端末部1bのフッ素樹脂皮膜12を剥離した場合、フッ素樹脂皮膜12の剥離かすが発生するという不具合や、端末部1bにおける銅線11の表面に傷11c(図10(c)参照)や切り込みが付いて品質に悪影響を与える恐れがあった。これに対して、端末部1bのフッ素樹脂皮膜12を剥離する際に上述の熱ピンセット26を用いることにより銅線11の表面に傷が付くのを防止することができるが、フッ素樹脂皮膜12を溶かしながら剥離するので、図11(c)に示すように熱ピンセット26の刃26a,26aの先端部にフッ素樹脂皮膜12の剥離かす12aが付着したり、フッ素樹脂皮膜12の剥離断面にフッ素樹脂皮膜12の溶けたひげ状の突起13が発生してしまうことがあり、作業性が低下してコストアップの原因となっていた。また、上記特許文献2に開示された固定刃61と押し刃62とを備えた冶具は、エナメル皮膜銅線などの薄膜のコーティングがされた銅線における皮膜の剥離に対しては有効であるが、フッ素樹脂皮膜銅線のような高耐電圧皮膜銅線における皮膜を剥離することはできなかった。
【0013】
また、端末部1bのフォーミングに際して、ピン28の回りでフッ素樹脂皮膜銅線10を癖付けしてフォーミングした場合、図13(c)に示すようにスプリングバックによる曲げ戻りが発生し、端末部1bを所望の曲げ角度(例えば、90°)になるように手直しする必要がありコストアップの原因となっていた。
【0014】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、生産設備の自動化が可能なフッ素樹脂皮膜銅線の巻線方法およびフッ素樹脂皮膜銅線の巻線装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、イグナイタにおいて2次巻線に高電圧パルスを発生させるトランスの1次巻線として用いるフッ素樹脂皮膜銅線の巻線方法であって、加熱することにより溶融する接着膜が表面に形成されたフッ素樹脂皮膜銅線を被巻線物に巻装してから、フッ素樹脂皮膜銅線を加熱することにより接着膜を溶融してフッ素樹脂皮膜銅線を固定し、その後、フッ素樹脂皮膜銅線の余線を切断してから、フッ素樹脂皮膜銅線よりなる1次巻線の各端末部それぞれのフッ素樹脂皮膜を剥離するようにし、接着膜を溶融させるにあたっては、通電用電極として、先端部の角度が略30°に形成された第1刃部を備え第1刃部の両側に先端面が第1刃部の先端縁を含む平面内に位置する第1突き合わせ部が形成された第1電極体と、先端部の角度が略30°に形成された第2刃部を備え第2刃部の両側に第2刃部よりも所定寸法だけ突出した第2突き合わせ部が形成された第2電極体とを用い、第1突き合わせ部と第2突き合わせ部との先端面同士を突き合わせるように第1電極体と第2電極体とを近づけることによって、第1刃部および第2刃部によりフッ素樹脂皮膜に切り込みを入れて第1刃部および第2刃部を銅線に当接させ、通電用電極を介して銅線へ通電して銅線を発熱させて接着膜を溶融させることを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、フッ素樹脂皮膜銅線を加熱することにより接着膜を溶融してフッ素樹脂皮膜銅線を固定するための生産設備の自動化を図ることができ、従来のようにフッ素樹脂皮膜銅線の端末部のフッ素樹脂皮膜を手作業で剥離してから露出した銅線をクリップなどの端子で挟む手作業を行うような場合に比べて、作業時間の削減による低コスト化や品質の安定化を図れる。
【0017】
また、この発明によれば、第1刃部および第2の刃部により前記フッ素樹脂皮膜を互いに異なる方向から切断することができ、前記銅線に前記通電用電極を確実に接触させることができる。
【0018】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記フッ素樹脂皮膜銅線の外径が略0.9mm、前記フッ素樹脂皮膜の厚みが略0.3mm、前記銅線の外径が略0.3mmとするとき、前記所定寸法を0.2〜0.3mm程度に設定することを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、前記フッ素樹脂皮膜銅線の外径が略0.9mm、前記フッ素樹脂皮膜の厚みが略0.3mm、前記銅線の外径が略0.3mmである場合、前記銅線の偏芯に関係なく前記通電用電極の前記第1刃部および前記第2刃部を前記銅線に確実に接触させることができるとともに前記銅線が前記第1刃部および前記第2刃部により切断されないようにすることができる。
【0020】
請求項3の発明は、イグナイタにおいて2次巻線に高電圧パルスを発生させるトランスの1次巻線として用いるフッ素樹脂皮膜銅線の巻線方法であって、加熱することにより溶融する接着膜が表面に形成されたフッ素樹脂皮膜銅線を被巻線物に巻装してから、フッ素樹脂皮膜銅線を加熱することにより接着膜を溶融してフッ素樹脂皮膜銅線を固定し、その後、フッ素樹脂皮膜銅線の余線を切断してから、フッ素樹脂皮膜銅線よりなる1次巻線の各端末部それぞれのフッ素樹脂皮膜を剥離するようにし、接着膜を溶融させるにあたっては、通電用電極として、先端部の角度が略30°に形成された刃部を備え刃部の両側に刃部よりも規定寸法だけ突出した突き合わせ部が形成された電極体を2つ用い、2つの電極体の突き合わせ部の先端面同士を突き合わせるように2つの電極体を近づけることによって、各刃部によりフッ素樹脂皮膜に切り込みを入れて各刃部を銅線に当接させ、通電用電極を介して銅線へ通電して銅線を発熱させて接着膜を溶融させることを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、各電極体それぞれの刃部により前記フッ素樹脂皮膜を互いに異なる方向から切断することができ、前記銅線に前記通電用電極を確実に接触させることができる。また、2つの電極体として同一形状のものを用いることにより、請求項1の発明に比べて前記通電用電極のコストを低減できる。
【0022】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記フッ素樹脂皮膜銅線の外径が略0.9mm、前記フッ素樹脂皮膜の厚みが略0.3mm、前記銅線の外径が略0.3mmとするとき、前記規定寸法を0.2〜0.3mmの半分程度に設定することを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、前記フッ素樹脂皮膜銅線の外径が略0.9mm、前記フッ素樹脂皮膜の厚みが略0.3mm、前記銅線の外径が略0.3mmである場合、前記銅線の偏芯に関係なく前記通電用電極の各刃部を前記銅線に確実に接触させることができるとともに前記銅線が前記各刃部により切断されないようにすることができる。
【0024】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4の発明において、前記各端末部の前記フッ素樹脂皮膜を剥離するにあたっては、前記フッ素樹脂皮膜銅線の外周面に接する本体部から前記フッ素樹脂皮膜銅線における前記フッ素樹脂皮膜のみを切断可能な切断刃が突設された剥離カッターを2つ用い、2つの剥離カッターで前記フッ素樹脂皮膜銅線を挟んで前記端末部における銅線の中心線方向に両剥離カッターを移動させることにより前記フッ素樹脂皮膜を剥離することを特徴とする。
【0025】
この発明によれば、前記銅線の表面に傷を付けることなく確実に前記フッ素樹脂皮膜を剥離することができる。
【0026】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、前記剥離カッターとしては、前記本体部における先端面と厚み方向の両面とが開放されていて前記フッ素樹脂皮膜銅線の一部が円弧状の内面に接する凹所が形成され、前記切断刃が前記本体部の厚み方向の一方側で凹所の内面から周方向の略全周に亘って突設された剥離カッターを用いることを特徴とする。
【0027】
この発明によれば、請求項5の発明と同様、前記銅線の表面に傷を付けることなく確実に前記フッ素樹脂皮膜を剥離することができる。
【0028】
請求項7の発明は、請求項6の発明において、前記フッ素樹脂皮膜銅線の外径が略0.9mm、前記フッ素樹脂皮膜の厚みが略0.3mm、前記銅線の外径が略0.3mmとするとき、前記切断刃の先端部の角度を略30°とし、前記厚み方向の一方の面における前記切断刃の内周形状を直径が略0.4mmの円の外周に沿った円弧状の形状とし、前記厚み方向の他方の面における前記凹所の内周形状を直径が略1.1mmの円の外周に沿った形状とすることを特徴とする。
【0029】
この発明によれば、前記フッ素樹脂皮膜銅線の外径が略0.9mm、前記フッ素樹脂皮膜の厚みが略0.3mm、前記銅線の外径が略0.3mmである場合、前記銅線に傷を付けることなく確実に前記フッ素樹脂皮膜を剥離することができる。
【0030】
請求項8の発明は、請求項1ないし請求項7の発明において、前記各端末部それぞれの前記フッ素樹脂皮膜を剥離した後、前記フッ素樹脂皮膜銅線の前記各端末部それぞれを前記フッ素樹脂皮膜が残っている部位で曲げてフォーミングするようにし、前記各端末部をフォーミングするにあたっては、前記各端末部の所望の曲げ位置に、前記フッ素樹脂皮膜を軟化させるのに必要な温度にまで温度を上昇させたヒータピンを接触させてヒータピンの回りで前記端末部を曲げてフォーミングすることを特徴とする。
【0031】
この発明によれば、前記フッ素樹脂皮膜銅線の表面への傷やダメージを与えることなくフォーミングすることができ、しかも、スプリングバックによる曲げ戻りが起こるのを防止することができ、製造コストの低減を図れる。
【0032】
請求項9の発明は、イグナイタにおいて2次巻線に高電圧パルスを発生させるトランスの1次巻線として用いるフッ素樹脂皮膜銅線の巻線装置であって、加熱することにより溶融する接着膜が表面に形成されたフッ素樹脂皮膜銅線が被巻線物に巻装された状態でフッ素樹脂皮膜銅線のフッ素樹脂皮膜に切り込みを入れて銅線に当接可能な切込刃を一体に有するとともに先端部の角度が略30°に形成された第1刃部を備え第1刃部の両側に先端面が第1刃部の先端縁を含む平面内に位置する第1突き合わせ部が形成された第1電極体と、先端部の角度が略30°に形成された第2刃部を備え第2刃部の両側に第2刃部よりも所定寸法だけ突出した第2突き合わせ部が形成された第2電極体とからなる通電用電極と、通電用電極を介して銅線に通電する通電手段と、通電用電極を第1刃部および第2刃部がフッ素樹脂皮膜銅線から離れた位置と銅線に当接する位置との間で移動させる駆動手段とを備え、駆動手段は、通電用電極を銅線へ当接させるにあたって、第1突き合わせ部と第2突き合わせ部との先端面同士を突き合わせるように第1電極体と第2電極体とを近づけることによって、第1刃部および第2刃部によりフッ素樹脂皮膜に切り込みを入れて第1刃部および第2刃部を銅線に当接させることを特徴とする。
【0033】
この発明によれば、フッ素樹脂皮膜銅線のフッ素樹脂皮膜を剥離することなく自動的に銅線へ通電させることが可能となる。
【0034】
請求項10の発明は、イグナイタにおいて2次巻線に高電圧パルスを発生させるトランスの1次巻線として用いるフッ素樹脂皮膜銅線の巻線装置であって、加熱することにより溶融する接着膜が表面に形成されたフッ素樹脂皮膜銅線が被巻線物に巻装された状態でフッ素樹脂皮膜銅線のフッ素樹脂皮膜に切り込みを入れて銅線に当接可能な切込刃を一体に有するとともに先端部の角度が略30°に形成された刃部を備え刃部の両側に刃部よりも規定寸法だけ突出した突き合わせ部が形成された2つの電極体からなる通電用電極と、通電用電極を介して銅線に通電する通電手段と、通電用電極を各刃部がフッ素樹脂皮膜銅線から離れた位置と銅線に当接する位置との間で移動させる駆動手段とを備え、駆動手段は、通電用電極を銅線へ当接させるにあたって、2つの電極体の突き合わせ部の先端面同士を突き合わせるように2つの電極体を近づけることによって、各刃部によりフッ素樹脂皮膜に切り込みを入れて各刃部を銅線に当接させることを特徴とする。
【0035】
この発明によれば、フッ素樹脂皮膜銅線のフッ素樹脂皮膜を剥離することなく自動的に銅線へ通電させることが可能となる。
【0036】
【発明の実施の形態】
本実施形態では、HIDランプを始動させるための高電圧パルスを発生するイグナイタに用いられるパルストランスを例示するが、他の目的で使用するトランスであっても本発明の技術思想は適用可能である。
【0037】
本実施形態において説明するトランスは、図8に示した従来構成と同様、フェライトからなる棒状のコア3を中心体として2次巻線2を形成し、2次巻線2の外周側に1次巻線1を巻装してある。
【0038】
また、本実施形態では、1次巻線1に用いる絶縁被覆電線として、図1(b)のように、銅線11にフッ素樹脂皮膜12を形成した高耐電圧のフッ素樹脂皮膜銅線10を用いているので、2次巻線2と1次巻線1との間にコイルボビンや樹脂が不要になり、材料コストの削減および作業工数の削減が可能になる。ここにおいて、フッ素樹脂皮膜12の表面には加熱により溶融する接着膜(図示せず)が被着されている。
【0039】
本実施形態におけるトランスの製造にあたっては、フッ素樹脂皮膜銅線10の巻線装置を用いており、コア3に2次巻線2を巻回した後、図1(a)に示すように2次巻線2の外周側に1次巻線1となるフッ素樹脂皮膜銅線10を巻装してから、フッ素樹脂皮膜銅線10を加熱することにより接着膜を溶融してフッ素樹脂皮膜銅線10を固定し、その後、フッ素樹脂皮膜銅線10の余線を切断してから、フッ素樹脂皮膜銅線10よりなる1次巻線1の各端末部1b,1bそれぞれのフッ素樹脂皮膜12を剥離するようにしている。なお、本実施形態では、フッ素樹脂皮膜銅線10の上記接着膜を溶融させることにより、フッ素樹脂皮膜銅線10が2次巻線2に固定されるとともにフッ素樹脂皮膜12同士が接着するので、1次巻線1の巻戻りが防止されるとともに、コア3に対する1次巻線1の相対位置がずれるのを防止することができる。また、本実施形態では、コア3と2次巻線2とでフッ素樹脂皮膜銅線10が巻装される被巻線物を構成している。なお、フッ素樹脂皮膜銅線10をコアやボビンに直接巻装している場合に上記接着膜を溶融させればフッ素樹脂皮膜銅線10をコアやボビンからなる被巻線物に固定できることは勿論である。
【0040】
さて、フッ素樹脂皮膜銅線10を固定する際に接着膜を溶融させるにあたっては、図1(b)に示すように、フッ素樹脂皮膜銅線10におけるフッ素樹脂皮膜12の外周面に押え板31を当接させ、その後、切込刃42を一体に備えた通電用電極41の切込刃42の先端をフッ素樹脂皮膜銅線10の銅線11に当接させて通電用電極41を介してフッ素樹脂皮膜銅線10の銅線11へ通電してフッ素樹脂皮膜銅線10を加熱する。ここにおいて、通電用電極41の切込刃42の先端部の角度は略30°に設定されており、フッ素樹脂皮膜銅線10におけるフッ素樹脂皮膜12の外周面に押え板31を当接させた状態で、図1(b)の左右方向において押え板31から離間して配置されている通電用電極41を切込刃42の先端と押え板31との間の距離が後述の所定距離L3になるようにフッ素樹脂皮膜銅線10の1つの径方向(図1(b)の左右方向)に沿って移動させることにより、通電用電極41の切込刃42によりフッ素樹脂皮膜12に切り込みを入れて切込刃41の先端を銅線11に接触させることができる。
【0041】
ここで、フッ素樹脂皮膜銅線10の外径L2が略0.9mm、フッ素樹脂皮膜12の厚みが略0.3mm、銅線11の外径L1が略0.3mmとするとき、切込刃42の先端を銅線11に当接させるにあたっては、上記所定距離L3を0.35mm程度に設定すれば、通電用電極41の切込刃42をフッ素樹脂皮膜銅線10の銅線11に確実に接触させることができるとともに銅線11が切込刃42により切断されないようにすることができる。なお、上記所定距離L3は、フッ素樹脂皮膜12の厚みよりもやや大きな寸法に設定すればよく、フッ素樹脂皮膜12の厚みよりも大きい分が銅線11の外径L1よりも十分に小さいことが望ましい。
【0042】
したがって、本実施形態では、フッ素樹脂皮膜12を剥離することなしに通電用電極41の切込刃42によりフッ素樹脂皮膜12に切り込みを入れて切込刃42を銅線11に接触させることができるので、フッ素樹脂皮膜銅線10を加熱することにより接着膜を溶融してフッ素樹脂皮膜銅線10を固定するための生産設備の自動化を図ることができ、図9に示した従来例のようにフッ素樹脂皮膜銅線10からなる1次巻線1の各端末部1bのフッ素樹脂皮膜12を手作業で剥離してから露出した銅線11をクリップなどの端子21で挟む手作業を行うような場合に比べて、作業時間の削減による低コスト化や品質の安定化を図れる。また、切込刃42の先端を銅線11に当接させるにあたっては、通電用電極41との間にフッ素樹脂皮膜銅線10を保持する押え板31を用いるようにしているので、押え板31に対する通電用電極41の相対位置を管理すればよいから、押え板31にフッ素樹脂皮膜銅線10を当接させた状態で通電用電極41を切込刃42が銅線11に当接するように上記所定距離L3に応じてあらかじめ設定した一定距離だけ押え板31に向かって移動させることにより切込刃42の先端を銅線11に当接させることができ、通電用電極41を上記一定距離だけ往復移動させればよいから、巻線装置の構造を簡単にできる。要するに、イグナイタにおいて2次巻線2に高電圧パルスを発生させるトランスの1次巻線1として用いるフッ素樹脂皮膜銅線10の巻線装置において、加熱することにより溶融する接着膜が表面に形成されたフッ素樹脂皮膜銅線10が被巻線物に巻装された状態でフッ素樹脂皮膜銅線10のフッ素樹脂皮膜12に切り込みを入れて銅線11に当接可能な通電用電極41と、通電用電極41を介して銅線11に通電する通電手段と、通電用電極41を切込刃42がフッ素樹脂皮膜銅線10から離れた位置と銅線11に当接する位置との間で移動させる駆動手段と、通電手段および駆動手段を制御する制御手段(例えば、マイクロコンピュータなど)とを設けることにより、フッ素樹脂皮膜銅線10のフッ素樹脂皮膜12を剥離することなく自動的に銅線11へ通電させることが可能となる。
【0043】
また、上述の通電用電極41の代わりに、図2および図3に示すような一対の電極体51,52からなる通電用電極50を用いてフッ素樹脂皮膜銅線10の銅線11へ通電するようにしてもよい。
【0044】
図2および図3に示した通電用電極50の一方の電極体51(以下、第1電極体51と称す)は、先端部の角度が略30°に形成された第1刃部51aを備え第1刃部51aの両側に平面状の先端面51c,51cが第1刃部51aの先端縁を含む平面内に位置する第1突き合わせ部51b,51bが形成されている。また、図2および図3に示した通電用電極50の他方の電極体52(以下、第2電極体52と称す)は、先端部の角度が略30°に形成された第2刃部52aを備え第2刃部52aの両側に第2刃部52aよりも後述の所定寸法L4だけ突出した第2突き合わせ部52b,52bが形成されている。ここに、通電用電極50は、第2電極体52における第2の突き合わせ部52b,52bの先端面も平面状に形成されており、図3に示すように第1電極体51の第1突き合わせ部51b,51bと第2電極体52の第2突き合わせ部52b,52bとの先端面51c,52c同士を突き合わせることによって、第1刃部51aの先端縁と第2刃部52aの先端縁との間にエアギャップGが形成されるようになっている。ここにおいて、エアギャップGのギャップ長は上記所定寸法L4と等しく、上記所定寸法L4は、フッ素樹脂皮膜銅線10の銅線11の直径と同じか或いはやや小さな値に設定されている。例えば、上述のように、フッ素樹脂皮膜銅線10の外径L2が略0.9mm、フッ素樹脂皮膜12の厚みが略0.3mm、銅線11の外径L1が略0.3mmであるとすれば、上記所定寸法L4は、0.2〜0.3mm程度に設定すればよく、このような値に設定することにより、銅線11の偏芯に関係なく通電用電極50の第1刃部51aおよび第2刃部52aをフッ素樹脂皮膜銅線10の銅線11に確実に接触させることができるとともに銅線11が第1刃部51aおよび第2刃部52aにより切断されないようにすることができる。
【0045】
したがって、図2および図3に示す構成の通電用電極50を用いる場合には、フッ素樹脂皮膜銅線10を挟むように第1電極体51と第2電極体52とを配置した後、第1電極体51の第1突き合わせ部51b,51bと第2電極体52の第2突き合わせ部52b,52bとの先端面51c,52c同士を突き合わせるように第1電極体51と第2電極体52とを近づけることによって、フッ素樹脂皮膜12を剥離することなしに第1刃部51aおよび第2刃部52aによりフッ素樹脂皮膜12に切り込みを入れて第1刃部51aおよび第2刃部52aを銅線11に当接させることができる。ここに、第1刃部51aおよび第2刃部52aによりフッ素樹脂皮膜12を互いに異なる方向から切断することができ、図1(b)に示した通電用電極41に比べて銅線11に通電用電極50を確実に安定して接触させることができる。
【0046】
また、上述の通電用電極50の代わりに、図4に示すように同じ形状に形成された一対の電極体63,63からなる通電用電極60を用いてフッ素樹脂皮膜銅線10の銅線11へ通電するようにしてもよい。
【0047】
図4に示した通電用電極60の電極体63は、上述の第2電極体52と略同じ形状であって、先端部の角度が略30°に形成された刃部63aを備え刃部63aの両側に刃部63aよりも後述の規定寸法L5だけ突出した突き合わせ部63b,63bが形成されている。ここにおいて、上記規定寸法L5は、上記所定寸法L4の半分の寸法に設定してあるので、図4に示すように2つの電極体53の各一対の突き合わせ部63b同士を突き合わせることによって、一方の刃部63aの先端縁と他方の刃部63aの先端縁との間にエアギャップGが形成され、エアギャップGのギャップ長が上記所定寸法L4と等しくなる。上記規定寸法L5を所定寸法L4の半分の寸法に設定することにより、銅線11の偏芯に関係なく通電用電極60の2つの刃部63aをフッ素樹脂皮膜銅線10の銅線11に確実に接触させることができるとともに銅線11が2つの刃部63aにより切断されないようにすることができる。
【0048】
したがって、通電用電極60を用いる場合には、2つの電極体63,63の各一対の突き合わせ部63b,63bの先端面同士を突き合わせるように2つの電極体63を近づけることによって、各刃部63a,63aによりフッ素樹脂皮膜12に切り込みを入れて各刃部63a,63aを銅線11に当接させることができる。つまり、各電極体63,63それぞれの刃部63a,63aによりフッ素樹脂皮膜12を互いに異なる方向から切断することができ、銅線11に通電用電極60を確実に接触させることができる。また、2つの電極体63として同一形状のものを用いることにより、図2および図3に示した通電用電極50に比べてコストを低減できる。
【0049】
ところで、フッ素樹脂皮膜銅線10を被巻線物に固定し、フッ素樹脂皮膜銅線10の余線を切断してからフッ素樹脂皮膜銅線10よりなる1次巻線1の各端末部1bのフッ素樹脂皮膜12を剥離するにあたっては、図5(a)に示すような2つの剥離カッター70を用いる。ここにおいて、剥離カッター70は、図5(b)に示すようにフッ素樹脂皮膜銅線10の外周面に接する本体部71からフッ素樹脂皮膜12のみを切断可能な切断刃72が突設されている。切断刃72は本体部71がフッ素樹脂皮膜銅線10の外周面に接触した状態でフッ素樹脂皮膜銅線の中心線に直交する断面に平行な平面72aと上記断面に交差する傾斜面72bとを有しており、平面72aと傾斜面72bとの間に形成される先端部の角度を鋭角とすることでフッ素樹脂皮膜12に切り込みを入れることができるようになっている。また、剥離カッター70における本体部71からの切断刃72の突出寸法は、フッ素樹脂皮膜12の厚み寸法よりもやや小さく設定されている。
【0050】
したがって、フッ素樹脂皮膜銅線10のフッ素樹脂皮膜12を剥離する際には、図5(a)に示すようにフッ素樹脂皮膜銅線10の1つの径方向(図5(a)の上下方向)の両側に2つの剥離カッター70が位置した状態から各剥離カッター70,70をそれぞれフッ素樹脂皮膜銅線10の銅線11に近づく向き(図5(a)中の矢印の向き)へ移動させて、図5(b)に示すように各切断刃72,72によりフッ素樹脂皮膜12へ切り込みを入れて2つの剥離カッター70の本体部71,71でフッ素樹脂皮膜銅線10を挟んで、図5(c)に示すように銅線11の中心線方向(図5(b)中の矢印の向き)に両剥離カッター70,70を移動させることによりフッ素樹脂皮膜12を剥離するようにしている。このような剥離カッター70,70を用いてフッ素樹脂皮膜12を剥離するようにすれば、銅線11の表面に傷を付けることなく確実にフッ素樹脂皮膜12を剥離することができる。
【0051】
なお、フッ素樹脂皮膜銅線10からフッ素樹脂皮膜12を剥離する際には、上述の剥離カッター70の代わりに、図6に示すような剥離カッター80を用いるようにしてもよい。図6に示した剥離カッター80は、本体部81における先端面と厚み方向の両面とが開放されていてフッ素樹脂皮膜銅線10の一部が円弧状の内面に接する凹所81aが形成され、切断刃82が本体部81の厚み方向の一方側で凹所81aの内面から周方向の略全周に亘って突設されており、このような剥離カッター80を用いた場合にも銅線11の表面に傷を付けることなく確実にフッ素樹脂皮膜12を剥離することができる。ここにおいて、図6に示した剥離カッター80は、フッ素樹脂皮膜銅線10の外径が略0.9mm、フッ素樹脂皮膜12の厚みが略0.3mm、銅線11の外径が略0.3mmとするとき、切断刃82の先端部の角度を略30°とし、上記厚み方向の一方の面における切断刃82の内周形状を直径が略0.4mmの円の外周に沿った円弧状の形状とし、上記厚み方向の他方の面における凹所81aの内周形状を直径が略1.1mmの円の外周に沿った形状としてあるので、フッ素樹脂皮膜銅線10の外径が略0.9mm、フッ素樹脂皮膜12の厚みが略0.3mm、銅線11の外径が略0.3mmである場合、フッ素樹脂皮膜銅線10の銅線11に傷を付けることなく確実にフッ素樹脂皮膜12を剥離することができる。
【0052】
また、各端末部1bそれぞれのフッ素樹脂皮膜12を剥離した後、フッ素樹脂皮膜銅線10の各端末部1bそれぞれをフッ素樹脂皮膜12が残っている部位で曲げてフォーミングするようにし、図7(a)に示すように直線状に形成された各端末部1b,1bをフォーミングするにあたっては、図7(b)に示すように各端末部1b,1bの所望の曲げ位置に、フッ素樹脂皮膜12を軟化させるのに必要な温度にまで温度を上昇させたヒータピン90,90を接触させて、ヒータピン90,90の回りで端末部1b,1bを所望のフォーミング形状となるように曲げてフォーミングするようになっている(つまり、各端末部1b,1bをヒータピン90に接触するように図7(b)中に矢印の向きへ曲げてフォーミングするようになっている)。この場合、例えば、図7(c)に示すように、各端末部1b,1bをヒータピン90に接触させて90°の曲げ角度で曲げた状態を所定のフォーミング時間だけ維持した後、各ヒータピン90,90を端末部1b,1bから離れるように移動させることにより、図7(d)に示すようなフォーミング形状を得ればよい。
【0053】
このようにヒータピン90を利用してフォーミングを行うことにより、フッ素樹脂皮膜銅線10の表面への傷やダメージを与えることなくフォーミングすることができ、しかも、スプリングバックによる曲げ戻りが起こるのを防止することができ、製造コストの低減を図れる。
【0054】
なお、上述した実施形態においては2次巻線2を巻装する中心体としてコア3を例示したが、中心体としてコイルボビンを用いてもよい。
【0055】
【発明の効果】
請求項1の発明では、フッ素樹脂皮膜銅線を加熱することにより接着膜を溶融してフッ素樹脂皮膜銅線を固定するための生産設備の自動化を図ることができ、従来のようにフッ素樹脂皮膜銅線の端末部のフッ素樹脂皮膜を手作業で剥離してから露出した銅線をクリップなどの端子で挟む手作業を行うような場合に比べて、作業時間の削減による低コスト化や品質の安定化を図れるという効果がある。
【0056】
また、請求項1の発明では、第1刃部および第2刃部によりフッ素樹脂皮膜を互いに異なる方向から切断することができ、銅線に通電用電極を確実に接触させることができるという効果がある。
【0057】
請求項2の発明では、前記フッ素樹脂皮膜銅線の外径が略0.9mm、前記フッ素樹脂皮膜の厚みが略0.3mm、前記銅線の外径が略0.3mmである場合、前記銅線の偏芯に関係なく前記通電用電極の前記第1刃部および前記第2刃部を前記銅線に確実に接触させることができるとともに前記銅線が前記第1刃部および前記第2刃部により切断されないようにすることができるという効果がある。
【0058】
請求項3の発明では、フッ素樹脂皮膜銅線を加熱することにより接着膜を溶融してフッ素樹脂皮膜銅線を固定するための生産設備の自動化を図ることができ、従来のようにフッ素樹脂皮膜銅線の端末部のフッ素樹脂皮膜を手作業で剥離してから露出した銅線をクリップなどの端子で挟む手作業を行うような場合に比べて、作業時間の削減による低コスト化や品質の安定化を図れるという効果に加えて、各電極体それぞれの刃部により前記フッ素樹脂皮膜を互いに異なる方向から切断することができ、前記銅線に前記通電用電極を確実に接触させることができるという効果がある。また、2つの電極体として同一形状のものを用いることにより、請求項1の発明に比べて前記通電用電極のコストを低減できるという効果がある。
【0059】
請求項4の発明では、前記フッ素樹脂皮膜銅線の外径が略0.9mm、前記フッ素樹脂皮膜の厚みが略0.3mm、前記銅線の外径が略0.3mmである場合、前記銅線の偏芯に関係なく前記通電用電極の各刃部を前記銅線に確実に接触させることができるとともに前記銅線が前記各刃部により切断されないようにすることができるという効果がある。
【0060】
請求項5の発明では、前記銅線の表面に傷を付けることなく確実に前記フッ素樹脂皮膜を剥離することができるという効果がある。
【0061】
請求項6の発明では、前記銅線の表面に傷を付けることなく確実に前記フッ素樹脂皮膜を剥離することができるという効果がある。
【0062】
請求項7の発明では、前記フッ素樹脂皮膜銅線の外径が略0.9mm、前記フッ素樹脂皮膜の厚みが略0.3mm、前記銅線の外径が略0.3mmである場合、前記銅線に傷を付けることなく確実に前記フッ素樹脂皮膜を剥離することができるという効果がある。
【0063】
請求項8の発明では、前記フッ素樹脂皮膜銅線の表面への傷やダメージを与えることなくフォーミングすることができるという効果があり、しかも、スプリングバックによる曲げ戻りが起こるのを防止することができ、製造コストの低減を図れるという効果がある。
【0064】
請求項9または請求項10の発明では、フッ素樹脂皮膜銅線のフッ素樹脂皮膜を剥離することなく自動的に銅線へ通電させることが可能となるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態におけるフッ素樹脂皮膜銅線の銅線への通電方法の説明図である。
【図2】 同上においてフッ素樹脂皮膜銅線の銅線への通電に用いる通電用電極の概略斜視図である。
【図3】 同上においてフッ素樹脂皮膜銅線の銅線への通電に用いる通電用電極の使用形態の説明図である。
【図4】 同上においてフッ素樹脂皮膜銅線の銅線への通電に用いる他の通電用電極の使用形態の説明図である。
【図5】 同上においてフッ素樹脂皮膜銅線からのフッ素樹脂皮膜の剥離方法の説明図である。
【図6】 同上においてフッ素樹脂皮膜銅線の剥離に用いる剥離カッターを示し、(a)は要部斜視図、(b)は要部断面図である。
【図7】 同上におけるフッ素樹脂皮膜銅線のフォーミング方法の説明図である。
【図8】 従来のトランスの概略斜視図である。
【図9】 従来のフッ素樹脂皮膜銅線の銅線への通電方法の説明図である。
【図10】 従来のフッ素樹脂皮膜銅線におけるフッ素樹脂皮膜の剥離方法の説明図である。
【図11】 従来のフッ素樹脂皮膜銅線におけるフッ素樹脂皮膜の剥離方法の説明図である。
【図12】 従来例の説明図である。
【図13】 従来のフッ素樹脂皮膜銅線のフォーミング方法の説明図である。
【符号の説明】
1 1次巻線
2 2次巻線
3 コア
10 フッ素樹脂皮膜銅線
11 銅線
12 フッ素樹脂皮膜
31 押え板
41 通電用電極
42 切込刃
Claims (10)
- イグナイタにおいて2次巻線に高電圧パルスを発生させるトランスの1次巻線として用いるフッ素樹脂皮膜銅線の巻線方法であって、加熱することにより溶融する接着膜が表面に形成されたフッ素樹脂皮膜銅線を被巻線物に巻装してから、フッ素樹脂皮膜銅線を加熱することにより接着膜を溶融してフッ素樹脂皮膜銅線を固定し、その後、フッ素樹脂皮膜銅線の余線を切断してから、フッ素樹脂皮膜銅線よりなる1次巻線の各端末部それぞれのフッ素樹脂皮膜を剥離するようにし、接着膜を溶融させるにあたっては、通電用電極として、先端部の角度が略30°に形成された第1刃部を備え第1刃部の両側に先端面が第1刃部の先端縁を含む平面内に位置する第1突き合わせ部が形成された第1電極体と、先端部の角度が略30°に形成された第2刃部を備え第2刃部の両側に第2刃部よりも所定寸法だけ突出した第2突き合わせ部が形成された第2電極体とを用い、第1突き合わせ部と第2突き合わせ部との先端面同士を突き合わせるように第1電極体と第2電極体とを近づけることによって、第1刃部および第2刃部によりフッ素樹脂皮膜に切り込みを入れて第1刃部および第2刃部を銅線に当接させ、通電用電極を介して銅線へ通電して銅線を発熱させて接着膜を溶融させることを特徴とするフッ素樹脂皮膜銅線の巻線方法。
- 前記フッ素樹脂皮膜銅線の外径が略0.9mm、前記フッ素樹脂皮膜の厚みが略0.3mm、前記銅線の外径が略0.3mmとするとき、前記所定寸法を0.2〜0.3mm程度に設定することを特徴とする請求項1記載のフッ素樹脂皮膜銅線の巻線方法。
- イグナイタにおいて2次巻線に高電圧パルスを発生させるトランスの1次巻線として用いるフッ素樹脂皮膜銅線の巻線方法であって、加熱することにより溶融する接着膜が表面に形成されたフッ素樹脂皮膜銅線を被巻線物に巻装してから、フッ素樹脂皮膜銅線を加熱することにより接着膜を溶融してフッ素樹脂皮膜銅線を固定し、その後、フッ素樹脂皮膜銅線の余線を切断してから、フッ素樹脂皮膜銅線よりなる1次巻線の各端末部それぞれのフッ素樹脂皮膜を剥離するようにし、接着膜を溶融させるにあたっては、通電用電極として、先端部の角度が略30°に形成された刃部を備え刃部の両側に刃部よりも規定寸法だけ突出した突き合わせ部が形成された電極体を2つ用い、2つの電極体の突き合わせ部の先端面同士を突き合わせるように2つの電極体を近づけることによって、各刃部によりフッ素樹脂皮膜に切り込みを入れて各刃部を銅線に当接させ、通電用電極を介して銅線へ通電して銅線を発熱させて接着膜を溶融させることを特徴とするフッ素樹脂皮膜銅線の巻線方法。
- 前記フッ素樹脂皮膜銅線の外径が略0.9mm、前記フッ素樹脂皮膜の厚みが略0.3mm、前記銅線の外径が略0.3mmとするとき、前記規定寸法を0.2〜0.3mmの半分程度に設定することを特徴とする請求項3記載のフッ素樹脂皮膜銅線の巻線方法。
- 前記各端末部の前記フッ素樹脂皮膜を剥離するにあたっては、前記フッ素樹脂皮膜銅線の外周面に接する本体部から前記フッ素樹脂皮膜銅線における前記フッ素樹脂皮膜のみを切断可能な切断刃が突設された剥離カッターを2つ用い、2つの剥離カッターで前記フッ素樹脂皮膜銅線を挟んで前記端末部における銅線の中心線方向に両剥離カッターを移動させることにより前記フッ素樹脂皮膜を剥離することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のフッ素樹脂皮膜銅線の巻線方法。
- 前記剥離カッターとしては、前記本体部における先端面と厚み方向の両面とが開放されていて前記フッ素樹脂皮膜銅線の一部が円弧状の内面に接する凹所が形成され、前記切断刃が前記本体部の厚み方向の一方側で凹所の内面から周方向の略全周に亘って突設された剥離カッターを用いることを特徴とする請求項5記載のフッ素樹脂皮膜銅線の巻線方法。
- 前記フッ素樹脂皮膜銅線の外径が略0.9mm、前記フッ素樹脂皮膜の厚みが略0.3mm、前記銅線の外径が略0.3mmとするとき、前記切断刃の先端部の角度を略30°とし、前記厚み方向の一方の面における前記切断刃の内周形状を直径が略0.4mmの円の外周に沿った円弧状の形状とし、前記厚み方向の他方の面における前記凹所の内周形状を直径が略1.1mmの円の外周に沿った形状とすることを特徴とする請求項6記載のフッ素樹脂皮膜銅線の巻線方法。
- 前記各端末部それぞれの前記フッ素樹脂皮膜を剥離した後、前記フッ素樹脂皮膜銅線の前記各端末部それぞれを前記フッ素樹脂皮膜が残っている部位で曲げてフォーミングするようにし、前記各端末部をフォーミングするにあたっては、前記各端末部の所望の曲げ位置に、前記フッ素樹脂皮膜を軟化させるのに必要な温度にまで温度を上昇させたヒータピンを接触させてヒータピンの回りで前記端末部を曲げてフォーミングすることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のフッ素樹脂皮膜銅線の巻線方法。
- イグナイタにおいて2次巻線に高電圧パルスを発生させるトランスの1次巻線として用いるフッ素樹脂皮膜銅線の巻線装置であって、加熱することにより溶融する接着膜が表面に形成されたフッ素樹脂皮膜銅線が被巻線物に巻装された状態でフッ素樹脂皮膜銅線のフッ素樹脂皮膜に切り込みを入れて銅線に当接可能な先端部の角度が略30°に形成された第1刃部を備え第1刃部の両側に先端面が第1刃部の先端縁を含む平面内に位置する第1突き合わせ部が形成された第1電極体と、先端部の角度が略30°に形成された第2刃部を備え第2刃部の両側に第2刃部よりも所定寸法だけ突出した第2突き合わせ部が形成された第2電極体とからなる通電用電極と、通電用電極を介して銅線に通電する通電手段と、通電用電極を第1刃部および第2刃部がフッ素樹脂皮膜銅線から離れた位置と銅線に当接する位置との間で移動させる駆動手段とを備え、前記駆動手段は、前記通電用電極を前記銅線へ当接させるにあたって、第1突き合わせ部と第2突き合わせ部との先端面同士を突き合わせるように第1電極体と第2電極体とを近づけることによって、第1刃部および第2刃部により前記フッ素樹脂皮膜に切り込みを入れて第1刃部および第2刃部を前記銅線に当接させることを特徴とするフッ素樹脂皮膜銅線の巻線装置。
- イグナイタにおいて2次巻線に高電圧パルスを発生させるトランスの1次巻線として用いるフッ素樹脂皮膜銅線の巻線装置であって、加熱することにより溶融する接着膜が表面に形成されたフッ素樹脂皮膜銅線が被巻線物に巻装された状態でフッ素樹脂皮膜銅線のフッ素樹脂皮膜に切り込みを入れて銅線に当接可能な先端部の角度が略30°に形成された刃部を備え刃部の両側に刃部よりも規定寸法だけ突出した突き合わせ部が形成された2つの電極体からなる通電用電極と、通電用電極を介して銅線に通電する通電手段と、通電用電極を各刃部がフッ素樹脂皮膜銅線から離れた位置と銅線に当接する位置との間で移動させる駆動手段とを備え、前記駆動手段は、前記通電用電極を前記銅線へ当接させるにあたって、2つの電極体の突き合わせ部の先端面同士を突き合わせるように2つの電極体を近づけることによって、各刃部により前記フッ素樹脂皮膜に切り込みを入れて各刃部を前記銅線に当接させることを特徴とするフッ素樹脂皮膜銅線の巻線装置。
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