JP4329362B2 - 自動車の前部車体構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ダッシュロアパネルと、カウルフロントと、カウルパネル(またはカウルレイン)と、カウルグリルとを備えたような自動車の前部車体構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、上述例の自動車の前部車体構造としては、例えば、次のような構造がある。
すなわち、エンジンルームと車室とを前後に仕切るダッシュロアパネルと、このダッシュロアパネルの上端から前方上方に延びてボンネットの後端を支持するカウルフロントと、ダッシュロアパネルより後方位置でフロントウインド部材としてのフロントウインドガラスの前端を支持するカウルパネルと、後端がカウルパネルに支持され、前端がカウルフロント上端に支持されたカウルグリル(カウルトップ)とを備え、上述のカウルグリルを樹脂部材により形成し、このカウルグリルをボンネット後端のシール部よりも所定量下方に略真下に延出して、延出部を構成し、この延出部下端をカウルフロントの上端部にクリップを用いて締結したウインドシールド支持構造である(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−38160号公報。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この従来公報に開示されたものによれば、上述のカウルグリルの下方に延びる延出部の衝撃吸収作用により、車両が歩行者に衝突した時、ボンネット上に傾倒する歩行者の頭部に対する障害値をある程度低減することができる。
【0005】
しかしながら、上記構成を、ボンネット後端とダッシュロアパネルとの間に車両前後方向の間隔がある車両に採用すると、この間隔に対応してカウルフロントの車両前方への膨出量(張り出し量)が大となり、製造時の組付け性およびエンジンルーム内のサービス性が悪化する。
【0006】
このような問題点を解決するために、仮に、カウルグリルの延出部を前高後低状になるようにリヤ側に折り返し形成すると、カウルグリルの成形性が悪化する。
さらに、上述のカウルグリルを取外すと、ボンネット後端とカウルフロント上端との間にカウルグリル延出部に相当する大きな開口部が形成されるので、盗難防止性が劣化する問題点があった。
【0007】
そこで、この発明は、カウルフロントの上端をボンネット後端のシール部まで延出し、しかも、該カウルフロントを、その上端から所定範囲を樹脂製のカウルフロント樹脂部で構成し、カウルフロント樹脂部の下端から下方を鋼板製のカウルフロント鋼板部で構成することにより、カウルフロントの前方側への膨出量を抑止しつつ、歩行者の頭部保護が可能となり、またエンジンルーム内のサービス性も向上し、また、上記ダッシュアッパの車幅方向両側部を前方に延出して設けられた延出部をサスタワーに連結すると共に、上記カウルフロントを上記ダッシュアッパの延出部に設けられるブラケットを介して上記サスタワーに連結することで、カウルフロント一部の樹脂化に起因する車体剛性の低下を、ダッシュアッパとカウルフロント(特にカウルフロント鋼板部参照)との双方でサスタワー間を橋渡すことにより補強することができる自動車の前部車体構造の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明による自動車の前部車体構造は、エンジンルームと車室とを仕切るダッシュロアと、上記ダッシュロア上端に結合されるダッシュアッパと、上記ダッシュアッパ前端から前方上方に延びてボンネット後端を支持するカウルフロントと、上記ダッシュロアより前方位置でフロントウインド部材前端を支持するカウルパネルと、後端がカウルパネルに支持され、前端がカウルフロント上端に支持されてボンネット後端のシール部が当接されるカウルグリルとを備えた自動車の前部車体構造であって、上記カウルフロントはその上端がボンネットのシール部まで延出され、かつ上端から所定範囲が樹脂製のカウルフロント樹脂部で構成され、カウルフロント樹脂部の下端から下方が鋼板製のカウルフロント鋼板部で構成されており、上記ダッシュアッパの車幅方向両側部を前方に延出して設けられた延出部をサスタワーに連結すると共に、上記カウルフロントを上記ダッシュアッパの延出部に設けられるブラケットを介して上記サスタワーに連結したものである。
【0009】
上記構成によれば、ボンネットの後端とダッシュロアとの間に車両前後方向の間隔がある車両において、上記構成を採用したので、カウルフロントの前方側への膨出量を抑止しつつ、車両と歩行者とが衝突した時、ボンネット上に傾倒する歩行者の頭部を上述のカウルフロント樹脂部の衝撃吸収作用にて保護することができ、また、エンジンルーム内のサービス性の向上をも図ることができる。
【0010】
しかも、上記ダッシュアッパの車幅方向両側部を前方に延出して設けられた延出部をサスタワーに連結すると共に、上記カウルフロントを上記ダッシュアッパの延出部に設けられるブラケットを介して上記サスタワーに連結したものであるから、次の効果がある。
【0011】
すなわち、カウルフロントの一部をカウルフロント樹脂部により樹脂化したことで、車体剛性が低下するが、この低下を、ダッシュアッパとカウルフロント(特にカウルフロント鋼板部参照)との双方でサスタワー間を橋渡すことにより補強することができる。
【0012】
この発明の一実施態様においては、上記カウルフロントを上記ダッシュアッパの延出部に設けられるブラケットを介してエプロンレインフォースメントインナに連結したものである。
【0013】
この発明の一実施態様においては、上記カウルフロントを上記ダッシュアッパの延出部に設けられるブラケットを介してヒンジピラーインナに連結したものである。
【0014】
この発明の一実施態様においては、上記カウルフロントはダッシュアッパを介してダッシュロアに締結されると共に、ダッシュアッパに対して着脱可能に締結されたものである。
【0015】
上記構成によれば、カウルフロントをダッシュアッパに対して着脱可能に構成したので、カウルフロントの取外しにより、エンジンルーム内のサービス性の向上を図ることができる。
【0016】
この発明の一実施態様においては、上記カウルフロント樹脂部とカウルフロント鋼板部との連結部にそれぞれ同方向に延びる水平フランジ部を車幅方向に渡って形成し、これら各フランジ部同士が連結されたものである。
上記構成によれば、同方向(車幅方向)に延びる水平フランジ部の連結構造により、車体のねじれ剛性の向上を図ることができる。
【0017】
この発明の一実施態様においては、車幅方向で所定範囲にのみカウルフロント樹脂部が配設され、上記カウルフロント樹脂部が配設される部分のフランジ部を緩斜角で車体前後方向の正面視で上方に傾斜させ、カウルフロント鋼板部のフランジ部と連続させたものである。
【0018】
上記構成によれば、サスタワー間を橋渡すカウルフロントに折曲部を形成することなく、カウルフロント樹脂部とカウルフロント鋼板部とから成るカウルフロントの両フランジ部を車幅方向に橋渡すことができるので、全体的に均一な剛性を確保することができる。
【0019】
この発明の一実施態様においては、カウルフロント樹脂部とカウルフロント鋼板部とが着脱可能に締結されたものである。
上記構成によれば、カウルフロントの全体を取外すことなく、上側のカウルフロント樹脂部のみを取外すことができるので、カウル内のサービス性が向上する。なお、カウルフロントの全体を取外した場合には、エンジンルーム内の制動倍力装置(いわゆるマスタバック)等のエンジン部品のメンテナンス性の向上を図ることができ、サービスまたはメンテナンスの態様に応じてカウルフロント樹脂部のみを取外す形態と、カウルフロント樹脂部およびカウルフロント鋼板部の双方を取外す形態とを選択することができる。
【0020】
この発明の一実施態様においては、カウルフロント樹脂部とカウルフロント鋼板部とが分離不能に接合されたものである。
上記構成によれば、カウルフロントは、その上端がボンネット後端のシール部まで延出され、かつ、カウルフロント樹脂部とカウルフロント鋼板部とが分離不能に接合されているので、カウルグリルが取外されても、ボンネット後端とカウルフロント上端との間には大きな開口部が何等形成されることはない。この結果、盗難防止性の向上を図ることができる。
【0021】
【実施例】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は自動車の前部車体構造を示し、図1において、エンジンルーム1と車室2とを前後に仕切るダッシュロアパネル3を設け、このダッシュロアパネル3の上端3aから前方および後方上方に向って延びるダッシュアッパパネル4を設けている。
【0022】
上述のダッシュアッパパネル4の後端4aからフロントウインド部材としてのフロントウインドガラス5(但し、透明な強化プラスチック製のものも含む)の傾斜下端つまり車両前後方向の前端に向って延びて該フロントガラス5の前端を支持するカウルパネル6(つまりカウルレイン)を設けている。
【0023】
このカウルパネル6は、カウルアッパパネル7とカウルロアパネル8とを接合して、車幅方向に延びるカウル閉断面9を形成したものである。
また、上述のダッシュアッパパネル4の前端(前端フランジ部4b参照)から前方上方に向って延びて、ボンネット10の後端を支持するカウルフロント11(詳しくはカウルフロントパネル)を設けている。ここで、上述のボンネット10はエンジンルーム1の上方を開閉可能に覆う部材である。
【0024】
上述のカウルフロント11は、その上部のみが衝撃吸収部材として樹脂製のカウルフロント樹脂部12(いわゆる樹脂パネル)で形成され、その他の部位は鋼板製のカウルフロント鋼板部13で形成されている。
【0025】
さらに、後端がカウルパネル6に支持され、前端がカウルフロント11のカウルフロント樹脂部12上端に支持されて、上述のボンネット10後端のシール部14が当接される合成樹脂製のカウルグリル15を設けている。なお、図示の便宜上、このカウルグリル15に形成される外気導入用のスリット状の開口部は図示省略している。
【0026】
ここで、上述のボンネット10の下面にはボンネットレインフォースメント16を接合固定する一方、上記各要素4,6,7,8,9,11,12,13にてカウル部17が構成されている。
【0027】
図2はカウルフロント樹脂部12を取外した状態で示す図1の要部の平面図、図3は図2のA−A線矢視断面図、図4は図2のB−B線矢視断面図、図5は図2のC−C線矢視断面図、図6は図2のD−D線矢視断面図、図7は図2のE−E線矢視断面図である。
【0028】
また、図8はカウルフロント樹脂部12を取付けた状体で示す斜視図、図9はカウルフロント樹脂部12を取外した状態で示す図8の要部拡大図、図10はカウルフロント樹脂部12を取外した状態で示す斜視図、図11はカウルフロント樹脂部12およびカウルフロント鋼板部13から成るカウルフロント11の全体を取外した状態で示す図10の要部拡大図である。
【0029】
なお、以下の説明においては自動車の前部車体構造における右側部の構成について説明するが、左側部は、カウルフロント樹脂部12およびカウルフロント鋼板部13の構成以外の点については概ね右側部のそれと左右対称または左右略対称に形成されている。
【0030】
図2、図8に示すように車体前部には車両の前後方向に延びる車体剛性部材としてのフロントサイドフレーム18が設けられると共に、このフロントサイドフレーム18に沿って同方向に延びるエプロンレインフォースメントインナ19が設けられ、このフロントサイドフレーム18とエプロンレインフォースメントインナ19との間にはフロントサスペンション装置の上部を支持するサスペンションタワー部20(以下単にサスタワーと略記する)が取付けられている。なお、上述のエプロンレインフォースメントインナ19の車外側にはエプロンレインフォースメントアウタが接合されるが、図示の便宜上、このエプロンレインフォースメントアウタは図示省略している。
【0031】
図3、図8、図11に示すようにサスタワー20の前部には、該サスタワー20、エプロンレインフォースメントインナ19、フロントサイドフレーム18に接合されたホイールエプロンフロント21が設けられ、サスタワー20の後部には該サスタワー20、エプロンレインフォースメントインナ19、フロントサイドフレーム18、ダッシュロアパネル3に接合されたホイールエプロンリヤ22が設けられている。
【0032】
図2、図3、図4、図8、図9、図10、図11に示すように上述のダッシュアッパパネル4は側面視で略凹状の断面形状を有し、このダッシュアッパパネル4は図1、図8、図11に示すように前端フランジ部4bと、この前端フランジ部4bから下部後方に向けて傾斜するスラント部4cと、このスラント部4cの下端から後方に延びる底部4dと、この底部4dの後端から上部後方に向けて傾斜するスラント部4eとを備えている。
【0033】
また、上述のダッシュアッパパネル4においてサスタワー20と近接する車両右寄りの部位には上方に膨らむ膨出部4fが形成されるので、図2、図8で示す仮想線αの部分においてダッシュアッパパネル4を2部材に分割形成し、プレス成形等の機械加工の容易化を図ってもよい。なお、ダッシュアッパパネル4が仮想線αで示す分割部にて2部材に分割形成された際には、これら2部材は機械加工後において、スポット溶接され、1つのダッシュアッパパネル4に一体化される。
【0034】
図3、図4、図11に示すように、上述のダッシュアッパパネル4の両側(但し、図面では右側のみを示す)はサスタワー20の上面まで延出され、ダッシュアッパ延出部4gが設けられ、このダッシュアッパ延出部4gがサスタワー20の上面に溶接手段等により接合固定されている。
【0035】
また、図3に示すように、上述のダッシュアッパパネル4の前側のスラント部4cにおいて後述するブラケットが配設される部分には、前方に延びる水平部4hと、この水平部4hから上方に延びる縦壁部4iとが形成されている。
【0036】
さらに、図2、図8に示すように、ダッシュアッパパネル4の後側のスラント部4eには外気を取入れるための空調用外気導入口23が形成されている。
また図6、図7に示すように、ダッシュアッパパネル4の車幅方向外端部4jはエプロンレインフォースメントインナ19の上側段部に接合固定されている。
【0037】
このエプロンレインフォースメントインナ19には図2、図6、図7、図11に示すように断面が横向きのハット形状に形成され、その上側接合部19aはヒンジピラーインナ24に接合固定されている。
【0038】
さらに図2、図10、図11に示すように上述のダッシュアッパパネル4の車幅方向外端に一体形成された折曲げ部4kもヒンジピラーインナ24に接合固定されている。なお、このヒンジピラーインナ24の車外側にはヒンジピラーアウタが接合されるが、図示の便宜上、このヒンジピラーアウタは図示省略している。
【0039】
ところで、図2〜図11の各図に示すようにダッシュアッパパネル4の車幅方向の両側にはブラケット25,25を設けている。
このブラケット25(特に、図9〜図11参照)はダッシュアッパ延出部4gと、エプロンレインフォースメントインナ19との双方に接合固定される水平部25aと、この水平部25aの前端から上方に延びる縦壁部25bと、複数の車外側折曲部25cと、前端に位置して車幅方向に延びるフランジ部25dと、上述の縦壁部25bの上下方向中間に形成された中間水平部25eと、上述の水平部25aの内方側前部に設けられた膨出状の座面25fとが一体形成された鋼板製の剛性部材である。
【0040】
そして、上述の水平部25aは図4、図5、図6に示すようにダッシュアッパパネル4の車幅方向外端部4j、底部4dおよびエプロンレインフォースメントインナ19に接合固定されると共に、ダッシュアッパパネル4の前側のスラント部4cを介してダッシュアッパ延出部4gに連結されている。
【0041】
また、ブラケット25の縦壁部25bは図3、図4に示すようにダッシュアッパパネル4の縦壁部4iに接合固定されている。詳しくは、ブラケット25の水平部25aの前側と縦壁部25bの下側とのコーナ部分が、図3に示すように、ダッシュアッパパネル4の水平部4hと縦壁部4iとにそれぞれ溶接手段などにより接合固定されている。
【0042】
さらに、ブラケット25の車外側折曲部25cはヒンジピラーインナ24に接合固定される一方、中間水平部25eにはワイパ取付け部26が形成されている。
ところで、図1で示したように、カウルフロント11はその上端がボンネット10後端のシール部14まで延出され、上端から所定範囲がカウルフロント樹脂部12で構成され、このカウルフロント樹脂部12の下端から下方が鋼板製のカウルフロント鋼板部13で構成されている。
【0043】
樹脂製のカウルフロント樹脂部12は図1、図8に示すように車幅方向に延びる前端フランジ部12aと、この前端フランジ部12aの後部から前高後低状に傾斜する傾斜部12bと、この傾斜部12bの下端から後方に向けて一体形成され、かつ車幅方向に延びる水平ラウンジ部としての後端フランジ部12cとを備えている。
【0044】
カウルフロント鋼板部13は、図1、図3、図9に示すように車幅方向に延びる水平ラウンジ部としての前端フランジ部13aと、この前端フランジ部13aの後端から下方に延びる縦壁部13bと、この縦壁部13bの下端から後方に向けて一体形成され、かつダッシュアッパパネル4の前端フランジ部4bの形状と対応するように車幅方向に延びる後端フランジ部13cとを備えている。
【0045】
上述のカウルフロント樹脂部12とカウルフロント鋼板部13とから成るカウルフロント11は、図1に示すように、ダッシュアッパパネル4を介してダッシュロアパネル3に連結されているが、カウルフロント鋼板部13には図2に示すように車幅方向に所定間隔を隔てて複数の締結部27…が形成されていて、これらの各締結部27…は図1、図4に示すようにボルト28、ナット29等の締結部材を用いてダッシュアッパパネル4の前端フランジ部4bおよびブラケット25の座面25fに着脱可能に取付けられている。
【0046】
なお、この実施例ではナット29をダッシュアッパパネル4の前端フランジ部4b下面(図1参照)およびブラケット25の座面25fの下面(図4参照)に溶接固定して、ボルト28を上方から着脱すべく構成しているが、ボルト28とナット29の上下関係はこの逆の構成であってもよい。
【0047】
ここで、上述のダッシュアッパパネル4における膨出部4fの前端には図11に示すように、前端フランジ部4bに連続するフランジ部4mが形成されていて、このフランジ部4mにはカウルフロント鋼板部13の締結部27と対応するダッシュアッパ側の締結部30,30が設けられている。
また、図11に示すようにブラケット25の座面25fにもカウルフロント鋼板部13の締結部27と対応するブラケット側の締結部31が設けられている。
【0048】
さらに、上述のカウルフロント鋼板部13における縦壁部13bの車外側には図5、図9に示すように取付け片としての舌片13dが一体形成されていて、この舌片13dに形成された締結部32は図5に示すようにボルト33、ナット34等の締結部材を用いてブラケット25の所定部(前端のフランジ部25dにつづく下方への折返し部分参照)に着脱可能に取付けられている。
【0049】
つまり、カウルフロント11の下側を構成するカウルフロント鋼板部13の上端と、ブラケット25の上端とにはそれぞれ同方向(車幅方向)に延びる前端フランジ部13aおよびフランジ部25dが形成され、これら各フランジ部13a,25dが舌片13dおよびボルト33、ナット34(図5参照)を用いて、着脱可能に締結されたものである。
【0050】
要するに、カウルフロント鋼板部13の両側はブラケット25に対して着脱可能に連結されると共に、カウルフロント鋼板部13の中央側はダッシュアッパパネル4の前端に対して着脱可能に連結されたものである。
【0051】
このようにして上述のカウルフロント鋼板部13はダッシュアッパ延出部4gに設けられるブラケット25を介してサスタワー20に連結されている。
また図1、図8に示すようにカウルフロント樹脂部12と、カウルフロント鋼板部13との締結部にはそれぞれ同方向(車幅方向)に延びる水平フランジ部としての後端フランジ部12cおよび前端フランジ部13aが車幅方向に渡って形成され、これらの各フランジ部12c,13aが図1に示すボルト35、ナット36等の複数の締結部材を用いて着脱可能に締結されている。
【0052】
図1、図12、図13で示すように車幅方向において所定範囲のカウルフロント11が斜め下方に後退してカウルフロント樹脂部12が配設され、このカウルフロント樹脂部12が配設される部分の後端フランジ部12cを図12、図13に示す如く、なだらかな曲率を有する緩斜角で上方に傾斜させ、この緩斜角部37を含んでカウルフロント樹脂部12の後端フランジ部12cとカウルフロント鋼板部13の前端フランジ部13aとを連続させている。なお、図12、図13では曲率を有する緩斜角に設定したが、直線状の緩斜角に設定してもよいことは勿論である。
【0053】
この実施例においては、図12、図13に正面図で示す図示上の右側(車両の左側)においてエンジンルーム1内に搭載されるバッテリ(図示せず)と対向する部分はカウルフロント11の全高に渡ってカウルフロント鋼板部13が存在し、それ以外の部分はカウルフロント11の上側にカウルフロント樹脂部12が、また下側にカウルフロント鋼板部13が位置するように構成されている。換言すれば、カウルフロント鋼板部13は車幅方向の略全幅に渡って形成され、カウルフロント樹脂部12はカウルフロント11の上側において車幅方向の過半部に渡るように形成されている。
【0054】
なお、図13においては、カウルフロント樹脂部12とカウルフロント鋼板部13とに便宜上、ハッチングを施して、これら両者12,13の形成領域を明白に成した。
なお、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印INは車両内方を示し、矢印OUTは車両外方を示すものである。
【0055】
このように上記実施例の自動車の前部車体構造は、エンジンルーム1と車室2とを仕切るダッシュロアパネル3と、上記ダッシュロアパネル3の上端から前方上方に延びてボンネット10の後端を支持するカウルフロント11と、上記ダッシュロアパネル3より前方位置でフロントウインドガラス5前端を支持するカウルパネル6と、後端がカウルパネル6に支持され、前端がカウルフロント11の上端に支持されてボンネット10後端のシール部14が当接されるカウルグリル15とを備えた自動車の前部車体構造であって、上記カウルフロント11はその上端がボンネット10のシール部14まで延出され、かつ上端から所定範囲が樹脂製のカウルフロント樹脂部12で構成され、カウルフロント樹脂部12の下端から下方が鋼板製のカウルフロント鋼板部13で構成されたものである。
【0056】
この構成によれば、ボンネット10の後端とダッシュロアパネル3との間に車両前後方向の間隔がある車両において上記構成を採用したので、カウルフロント11の前方側への膨出量を抑止しつつ、車両と歩行者とが衝突した時、ボンネット10上に傾倒する歩行者の頭部を上述のカウルフロント樹脂部12の衝撃吸収作用にて保護することができ、またエンジンルーム1内のサービス性の向上をも図ることができる。特に、図1で示したように上述のカウルフロント樹脂部12は前高後低状に傾斜しているので、良好な衝撃吸収作用を発揮する。
【0057】
さらに、上記カウルフロント11はダッシュアッパパネル4を介してダッシュロアパネル3に締結されると共に、ダッシュアッパパネル4に対して着脱可能に締結されたものである。
【0058】
この構成によれば、カウルフロント11をダッシュアッパパネル4に対して着脱可能に構成したので、カウルフロント11の取外すことにより、エンジンルーム1内のサービス性の向上を図ることができる。
【0059】
しかも、上記ダッシュアッパパネル4の車幅方向両側部を前方に延出してサスタワー20の上面に連結すると共に、カウルフロント11をダッシュアッパパネル延出部4gに設けられるブラケット25を介して上記サスタワー20に連結したものである。
【0060】
この構成によれば、カウルフロント11の一部をカウルフロント樹脂部12により樹脂化したことで、車体剛性が低下するが、この低下を、ダッシュアッパパネル4とカウルフロント11におけるカウルフロント鋼板部13との双方でサスタワー20,20間を橋渡すことにより補強することができる。
【0061】
また、上記カウルフロント樹脂部12とカウルフロント鋼板部13との連結部にそれぞれ同方向(車幅方向)に延びる水平フランジ部(後端フランジ部12c,前端フランジ部13a参照)を車幅方向に渡って形成し、これら各フランジ部12c,13a同士が連結されたものである。
この構成によれば、同方向(車幅方向参照)に延びる水平フランジ部(後端フランジ部12c,前端フランジ部13a参照)の連結構造により、車体のねじれ剛性の向上を図ることができる。
【0062】
さらに、車幅方向で所定範囲にのみカウルフロント樹脂部12が配設され、上記カウルフロント樹脂部12が配設される部分の後端フランジ部12cを緩斜角で上方に傾斜させ(図12、図13の緩斜角部37参照)、カウルフロント鋼板部13の前端フランジ部13aと連続させたものである。
【0063】
この構成によれば、サスタワー20,20間を橋渡すカウルフロント11に略直角状に折れ曲がるような折曲部を何等形成することなく、カウルフロント樹脂部12とカウルフロント鋼板部13とから成るカウルフロント11の両フランジ部12c,13aを車幅方向に橋渡すことができるので、全体的に均一な剛性を確保することができる。
【0064】
しかも、カウルフロント樹脂部12とカウルフロント鋼板部13とが着脱可能に締結されたものである。
この構成によれば、カウルフロント11の全体を何等取外すことなく、上側のカウルフロント樹脂部12のみを取外すことができるので、カウル内のサービス性(例えばワイパーなどのサービス性)が向上する。なお、カウルフロント11の全体を取外した場合には、エンジンルーム1内の制動倍力装置(いわゆるマスタバック)等のエンジン部品のメンテナンス性の向上を図ることができ、サービスまたはメンテナンスの態様に応じてカウルフロント樹脂部12のみを取外す形態と、カウルフロント樹脂部12およびカウルフロント鋼板部13の双方を取外す形態とをニーズに応じて選択することができる。
【0065】
また実施例で示したように、上記ダッシュアッパパネル4が前方に延びる水平部4h(図3参照)と、該水平部4hから上方に延びる縦壁部4iと、該縦壁部4iから前方に延びるダッシュアッパパネル延出部4gとを備え、上記ブラケット25の縦壁部25bがダッシュアッパパネル4の縦壁部4iに連結される構成を採用すると、縦壁部4i,25b相互の連結構造により、ブラケット25の支持剛性および両者(ブラケット25とダッシュアッパパネル4)の連結強度の向上を図ることができる。
【0066】
さらに実施例で示したように、上記ブラケット25の車外側折曲げ部25cをヒンジピラーインナ24に連結する構成を採用すると、上述のブラケット25はダッシュアッパパネル延出部4gとエプロンレインフォースメントインナ19とヒンジピラーインナ24との三者に連結されるので、該ブラケット25の支持剛性のさらなる向上を図ることができる。
【0067】
加えて実施例で示したように、上記カウルフロント11の上端(詳しくはカウルフロント鋼板部13の上端)およびブラケット25の上端にはそれぞれ同方向に延びるフランジ部13a,25dを形成して、これら各フランジ部13a,25dが連結する構成を採用すると、カウルフロント11およびブラケット25に対するフランジ部13a,25dの形成により、ねじれ剛性の向上を図ることができる。
【0068】
また実施例で示したように、上記ブラケット25の縦壁部25bの中間に中間水平部25eを形成し、該中間水平部25eにワイパ取付け部26を形成する構成を採用すると、中間水平部25eの形成によりブラケット25の強度向上を図ることができ、しかも、ワイパ取付け専用のブラケットを別途設ける必要がなくなり、部品点数を削減することができる。なお、実施例で示したようにブラケット25の縦壁部25bの一部を上側およびリヤ側に膨出するタワー形状に成すと、該ブラケット25の強度をさらに向上させることができる。
【0069】
図14は自動車の前部車体構造の他の実施例を示し、先の実施例においては、カウルフロント11を構成する上側のカウルフロント樹脂部12と下側のカウルフロント鋼板部13とを着脱可能に締結して、メンテナンス性の向上を図ったが、図14に示すこの実施例においてはカウルフロント11を構成する上側のカウルフロント樹脂部12と下側のカウルフロント鋼板部13を接着剤等により接合して、両者12,13を分離不能に固定したものである。
【0070】
このように構成すると、カウルフロント11はその上端がボンネット10後端のシール部14まで延出され、かつカウルフロント樹脂部12とカウルフロント鋼板部13とが分離不能に接合されているので、カウルグリル15が取外されても、ボンネット10後端とカウルフロント11上端との間には大きな開口部が何等形成されることがなく、この結果、盗難防止性の向上を図ることができる。
【0071】
図14に示すこの実施例においても、その他の構成、作用、効果については、先の実施例とほぼ同様であるから、図14において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0072】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明のダッシュロアは、実施例のダッシュロアパネル3に対応し、
以下同様に、
ダッシュアッパは、ダッシュアッパパネル4に対応し、
フロントウインド部材は、フロントウインドガラス5に対応し、
水平フランジ部は、後端フランジ部12c、前端フランジ部13aに対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【0073】
【発明の効果】
この発明によれば、カウルフロントの上端をボンネット後端のシール部まで延出し、しかも該カウルフロントを、その上端から所定範囲を樹脂製のカウルフロント樹脂部で構成し、カウルフロント樹脂部の下端から下方を鋼板製のカウルフロント鋼板部で構成したので、カウルフロントの前方側への膨出量を抑止しつつ、歩行者の頭部保護が可能となり、またエンジンルーム内のサービス性も向上する効果がある。
【0074】
しかも、上記ダッシュアッパの車幅方向両側部を前方に延出して設けられた延出部をサスタワーに連結すると共に、上記カウルフロントを上記ダッシュアッパの延出部に設けられるブラケットを介して上記サスタワーに連結したものであるから、次の効果がある。
【0075】
すなわち、カウルフロントの一部をカウルフロント樹脂部により樹脂化したことで、車体剛性が低下するが、この低下を、ダッシュアッパとカウルフロント(特にカウルフロント鋼板部参照)との双方でサスタワー間を橋渡すことにより補強することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の自動車の前部車体構造を示す側面図。
【図2】 図1の要部平面図。
【図3】 図2のA−A線矢視断面図。
【図4】 図2のB−B線矢視断面図。
【図5】 図2のC−C線矢視断面図。
【図6】 図2のD−D線矢視断面図。
【図7】 図2のE−E線矢視断面図。
【図8】 カウルフロント樹脂部を取付けた状態の斜視図。
【図9】 カウルフロント樹脂部を取外した状態の拡大斜視図。
【図10】 カウルフロント鋼板部を取付けた状態の斜視図。
【図11】 カウルフロント鋼板部を取り外した状体の拡大斜視図。
【図12】 カウルフロントの構成を示す略正面図。
【図13】 カウルフロント樹脂部とカウルフロント鋼板部との形成領域を示す説明図。
【図14】 本発明の自動車の前部車体構造の他の実施例を示す側面図。
【符号の説明】
1…エンジンルーム
2…車室
3…ダッシュロアパネル
4…ダッシュアッパパネル
4g…ダッシュアッパ延出部
5…フロントウインドガラス(フロントウインド部材)
6…カウルパネル
10…ボンネット
11…カウルフロント
12…カウルフロント樹脂部
12c,13a…フランジ部(水平フランジ部)
13…カウルフロント鋼板部
14…シール部
15…カウルグリル
19…エプロンレインフォースメントインナ
20…サスタワー
24…ヒンジピラーインナ
25…ブラケット
Claims (8)
- エンジンルームと車室とを仕切るダッシュロアと、
上記ダッシュロア上端に結合されるダッシュアッパと、
上記ダッシュアッパ前端から前方上方に延びてボンネット後端を支持するカウルフロントと、
上記ダッシュロアより前方位置でフロントウインド部材前端を支持するカウルパネルと、
後端がカウルパネルに支持され、前端がカウルフロント上端に支持されてボンネット後端のシール部が当接されるカウルグリルとを備えた自動車の前部車体構造であって、
上記カウルフロントはその上端がボンネットのシール部まで延出され、かつ上端から所定範囲が樹脂製のカウルフロント樹脂部で構成され、カウルフロント樹脂部の下端から下方が鋼板製のカウルフロント鋼板部で構成されており、
上記ダッシュアッパの車幅方向両側部を前方に延出して設けられた延出部をサスタワーに連結すると共に、
上記カウルフロントを上記ダッシュアッパの延出部に設けられるブラケットを介して上記サスタワーに連結した
自動車の前部車体構造。 - 上記カウルフロントを上記ダッシュアッパの延出部に設けられるブラケットを介してエプロンレインフォースメントインナに連結した
請求項1記載の自動車の前部車体構造。 - 上記カウルフロントを上記ダッシュアッパの延出部に設けられるブラケットを介してヒンジピラーインナに連結した
請求項1または2に記載の自動車の前部車体構造。 - 上記カウルフロントはダッシュアッパを介してダッシュロアに締結されると共に、
ダッシュアッパに対して着脱可能に締結された
請求項1〜3の何れか1に記載の自動車の前部車体構造。 - 上記カウルフロント樹脂部とカウルフロント鋼板部との連結部にそれぞれ同方向に延びる水平フランジ部を車幅方向に渡って形成し、これら各フランジ部同士が連結された
請求項1〜4の何れか1に記載の自動車の前部車体構造。 - 車幅方向で所定範囲にのみカウルフロント樹脂部が配設され、
上記カウルフロント樹脂部が配設される部分のフランジ部を緩斜角で車体前後方向の正面視で上方に傾斜させ、
カウルフロント鋼板部のフランジ部と連続させた
請求項1〜5の何れか1に記載の自動車の前部車体構造。 - カウルフロント樹脂部とカウルフロント鋼板部とが着脱可能に締結された
請求項1〜6の何れか1に記載の自動車の前部車体構造。 - カウルフロント樹脂部とカウルフロント鋼板部とが分離不能に接合された
請求項1〜6の何れか1に記載の自動車の前部車体構造。
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