JP4318332B2 - 乳化液体組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、油相と水相を混合して気泡混入のないチクソトロピイ性を有するヘアーリンス、クリーム、乳液、柔軟剤、シャンプー等の水中油型(W/O)乳化液体組成物の製造方法に関するものであり、特に真空乳化槽と常圧撹拌槽を組み合わせて使用することにより製造能力の大幅アップを図れ、更に所望の品種・数量・納期等に柔軟に応じ得る乳化液体組成物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ヘアーリンス、シャンプー、クリーム、乳液、衣類の柔軟仕上げ剤等の乳化液体は、一般に、チクソトロピー性を有しており、静置状態では著しく高粘度となる為、一旦、気泡を混入させるとこれを除去することは困難である。従って、これらの乳化液体を製造する際には、気泡の混入を防止することが必須であり、従来より、減圧装置を付属した真空乳化槽を用いて製造されている。真空乳化槽は、撹拌装置として、パドルにホモミキサーや掻き取り装置を兼備し、又、真空装置を付属した複雑な構造である為に、高価で、且つ、大容量化が困難であることから、通常、100〜2000Lの小規模な真空乳化槽が単独で用いられている。従って、乳化液体製品は、他の液体製品に比較して、製造能力が小さく、生産性が低いのが現状である。
【0003】
例えば特公昭63−12653号公報や特開平2−68137号公報には真空乳化槽単独での乳化液体製品を液晶転相法で得る方法が記載されているが、気泡混入のない高濃度乳化物を得る具体的な乳化条件等の記載がなされていない。また特開昭61−291036号公報 には予め油相濃度の高い状態で乳化分散し、低沸点溶媒を低減させてから乳化分散液を水で希釈する写真材料分野の乳化物の製造方法が記載されているが、乳化槽でのチクソトロピィ性や気泡混入の防止対策、及び乳化液体の製造能力アップや多品種化等への配慮も全くなされていない。
【0004】
最近、乳化液体製品は使用者の要望の多様化に伴い多品種化が進んでおり、要求される品種・数量・納期も変動が著しく、常に一定の品種構成で、一定の量を製造するケースは極めて稀であり、特定の製品だけ短期間に大量の要望があったり、同時に複数の品種を要望されるケースなどが多々ある。然るに、現状は、品種と製造装置が固定されているのが一般的で、製造能力も固定され、例えば、ある製造装置にのみ生産が集中し、製造能力が不足の状態であるにもかかわらず、別の製造装置は稼働が少ないというケースがよく見られる。以上のように、生産要望の変動に製造体勢が柔軟に対処することができず、又、製造装置の稼働の偏りがますます大きくなり非効率化しているのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
かかる現状に鑑みて、本発明の課題は、乳化液体を製造する際、製造装置の特性を効率的に活用して、製造能力を大幅にアップし、生産性の高い製造方法を提供することを目的とする。また、本発明の付随的な目的は、多品種の乳化液体製品を製造する際、短期間に並行して大量生産や多品種同時生産などに柔軟に対応できる製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記課題を解決するために鋭意検討した結果、真空乳化槽にて特定粘度のチクソトロピイ性を有する高濃度乳化物を得る工程と常圧撹拌槽での希釈工程との組み合わせで目的が達成できることを見出し本発明を完成した。即ち、本発明の請求項1は、真空乳化槽と複数の常圧撹拌槽とを使用し、真空乳化槽で油相と水相を混合して気泡混入のないチクソトロピイ性を有する粘度50Pa・s以下の共通成分を有する高濃度乳化物に調整し、その際に、真空乳化槽で油相に水相の一部を添加して液晶相(W/O)を形成した後、残りの水相を混合して転相し水中油型(O/W)に調製し、その後、該高濃度乳化物を該真空乳化槽よりも内容積の大きい常圧撹拌槽に投入し各撹拌槽毎に予め準備したその製品の特徴を付与する他の添加剤成分を含む希釈水相と混合・分散させて2品種以上の多様な乳化組成物に調整することを特徴とするヘアリンス、クリーム、乳液、柔軟剤、およびシャンプーのいずれかの乳化液体組成物の製造方法である。
【0007】
また本発明の請求項2は、請求項1項の製造方法において、前記真空乳化槽は、内容積が100〜5,000Lで、パドルにホモミキサーまたは掻き取り装置を兼備したものであり、前記常圧撹拌槽は内容積が、真空乳化槽の1.5〜5倍である。また、上記の請求項1または請求項2における高濃度乳化物は、油相成分1部と水相(精製水)0.5〜2部を真空乳化槽に添加し、真空度15〜75kPaで、高剪断撹拌と全体撹拌を行って混合し液晶構造体を形成させ、液晶1部に対して精製水0.5〜20部を添加しO/Wエマルションを形成させて、チクソトロピイ性を有する粘度50Pa・s以下で得ることが特に望ましい。
【0008】
以下、本発明の構成について詳細に説明する。
本発明は、ヘアリンス、クリーム、乳液、柔軟剤、シャンプーなどのO/W型エマルジョンタイプの乳化液体製品の製造に好ましく適用される。
先ず本発明では、真空乳化槽と汎用の常圧撹拌槽との組み合わせ使用を基本構成とする。ここで真空乳化槽は、気泡の混入を防止した高粘度の濃厚な乳化物を調製する必要上から、▲1▼槽内が真空状態で撹拌処理が可能なような密閉構造と外部の真空設備に連結されていること。▲2▼高い剪断力を与える混合が可能な高剪断撹拌部分と、全体混合が可能な全体混合撹拌部分の両者を備えたものであることが望ましい。ここで高剪断撹拌部分は、高粘性の液晶を分散し転相するために周速度4〜27m/secの範囲の剪断力が得られるものが望ましい。
【0009】
また真空乳化槽は一般に複雑な構造を有し大容量化が困難で高価となるため小規模とすることが好ましい。この場合、通常使用される規模の装置を用いることができるが、製造能力をアップするという目的からは、100〜5000L程度が望ましい。また高粘性の液晶を均一に分散させ、且つ槽の壁面の付着物や槽下部の滞留物をなくすためにパドルにホモミキサーや掻き取り装置を兼備したものが望ましい。かかる観点から特にアジホモミキサー、 ディスパミキサー等の真空撹拌槽が望ましい。
【0010】
また希釈用の汎用の常圧撹拌槽は、全体撹拌が可能なオープン釜であればよく通常の混合などに使用されるパドル翼やプロペラ翼等を具備した汎用の常圧撹拌槽が用いられる。ここで本発明の請求項1では、上記の真空乳化槽と該真空乳化槽よりも内容積の大きい希釈用の常圧撹拌槽との組み合わせ使用を基本構成とする。この場合、小規模な真空乳化槽1基において濃厚な乳化物を調製し、大規模な常圧撹拌槽1基又は複数基の組み合わせで所望の濃度に希釈して所望の乳化液体組成物を集中的に効率良く製造することができる。但し、真空乳化槽も2基以上であってもよく限定されない。
【0011】
この場合、希釈用の常圧撹拌槽の内容積としては、真空乳化槽の1.5〜5倍程度のものが好ましい。これによって特に設備的に簡素化でき、しかも単一乳化液体製品を集中生産する場合には、小規模な真空乳化槽において濃厚な乳化物を調製し、大規模な常圧撹拌槽で所望の濃度に希釈して乳化液体を製造することで集中的に大量生産が可能となる。この場合の真空乳化槽で調製する濃厚な乳化物の濃度は、製造しようとする乳化液体組成物によって異なるが、最終製品乳化物の濃度の1.5〜5倍、好ましくは2〜4倍の濃縮物とするのが適当である。
【0012】
なお、真空乳化槽と常圧撹拌槽は各1基づつに限定するものではなく、それぞれ片方又は両方を2基以上に組み合わせて使用してもよい。これらの真空乳化槽と常圧撹拌槽には好ましくはそれぞれ単独でも製品乳化物を製造できるような原料投入と製品移送ラインを持たせてもよい。この場合には少なくとも1種類の製品については真空乳化槽単独でのレシピ(処方)と真空乳化槽と常圧撹拌槽の組み合わせによるレシピを設定しておき、品種、納期、製造量の情報に基づいて真空乳化槽単独、真空乳化槽と常圧撹拌槽の併用、常圧撹拌槽単独の製造条件を選択して所望の製品乳化物を製造する生産システムとすることが容易に可能である。これにより余剰在庫を持たず、かつ納期、製造量を守った最適生産が可能となる。
【0013】
次に本発明では、共通成分を有する高濃度乳化物を調整し、これを複数の常圧撹拌槽に投入し、各撹拌槽毎にその製品の特徴を付与する他の添加剤成分を含む希釈水相と混合・分散させて2品種以上の多様な乳化液体組成物に調整する。この場合、真空乳化槽と各常圧撹拌槽の内容積は、特に限定されず任意のものが使用できる。また真空乳化槽で一種類の共有成分からなるベース配合の高濃度乳化物を調整し、これらを複数の常圧撹拌槽に分割して投入し、各常圧撹拌槽毎に異なる他の成分を含む希釈水相と並行して混合・分散させて2品種以上の乳化液体組成物に調整するものである。これによって生産性が高く、且つ、納期の短い生産要望にも対応できる乳化液体組成物の製造が可能となる。
【0014】
なお従来のように真空乳化槽単独だけで高濃度乳化物の調整と希釈を行う場合は、乳化時(液晶形成・転相)の液量が少ない(通常、槽容量の15〜25%)ために撹拌翼の一部しかかからず撹拌効率が悪い。しかも、品種切り替えの際はその都度真空乳化槽の洗浄が必要であるが内部構造が複雑なため洗浄が繁雑である等の欠点がある。これに対して、本発明では、高濃度乳化物の乳化時の液量を任意に増やせる(槽容量の30〜50%)ことから、撹拌効率がよくなり均一で安定性のよい乳化液体が得られること、品種切り替えには真空乳化槽を洗浄する必要がなく洗浄の容易な常圧撹拌層だけで済むことから、洗浄時間の短縮及び洗浄水量の削減が可能である等の利点がある。また、本発明では共通成分を有する高濃度乳化物の調整は、予め(例えば前日)準備しておき、これを製造開始時に複数の常圧撹拌槽毎に分割投入する場合にはバッチ当たりの所要時間を短縮できる利点もあり好ましい。
【0015】
本発明では、前記した真空乳化槽で油相と水相を混合して気泡混入のないチクソトロピイ性を有する粘度50Pa・s以下、好ましくは粘度20Pa・s以下の高濃度乳化物に調製することが最も重要である。ここで、本発明における粘度とは、真空乳化槽内の温度条件下での高濃度乳化物をBM型粘度計で測定した時の2回転目の粘度測定値を使用するものとする。なおBM型粘度計の0回転目は、指針計の振れが大きくて読み取りが困難である。
高濃度乳化物の粘度が50Pa・s以上では真空下であっても混入した気泡を抜くことが極めて困難であり、更に後工程の常圧釜での混合が十分に行なわれないし混入した気泡も抜けない。逆に濃厚乳化物の粘度が50Pa・s以下であれば真空乳化槽で容易に気泡が抜けて混入防止が容易であり、さらに常圧撹拌槽での希釈工程での混合撹拌によって混入する気泡が簡単に抜けることが明らかになったものである。なお粘度は、真空乳化槽内の温度条件や油相・水溶性成分等の混合割合その他の調整により望ましい範囲に保持する。
【0016】
本発明では、特にヘアリンス、クリーム、乳液、柔軟剤、シャンプーなどのO/W型エマルジョンタイプの乳化液体製品の製造に好適に適用できる。以下に、真空乳化槽に供給する油相、水相等について説明する。
先ず、油相については乳化液体の種類、目的に応じた各種の油性成分と膜形成成分、エマルジョン形成用成分、増粘剤として使用される特定の高分子化合物等を、予め通常のプロペラ撹拌翼等を備えた油相予備混合槽で均一混合状態としたものが望ましい。また真空乳化槽に供給する水相としては、精製水を主体として各種の水溶性成分(乳化剤や界面活性剤その他)を予め均一混合した状態で準備しておくことが望ましい。なお真空乳化槽への供給は、油相の供給前又は後でも、或いは同時供給でもよく特に限定されない。
【0017】
ここで油性成分としては、柔軟剤などの衣料用仕上げ剤、化粧料、医薬品、洗浄剤等の各種分野の製品に使用されている疎水性の油分を使用することができるが、通常、衣類の風合いを変える、皮膚に保湿効果を与える、髪に栄養を与える、抗菌・殺菌効果を与えるなどの機能を持つものが好適に使用される。具体的には、例えばシリコーンオイル,環状シリコーン,変性シリコーンなどの合成油、流動パラフィン,流動イソパラフィン,パラフィンワックスなどの鉱油、ホホバ油,オリーブ油,オリーブスクワラン,ヒマシ油,カルナウバワックスなどの植物油、ラノリン,スクワラン,ミンク油などの動物油、ラウリン酸ヘキシル,パルミチン酸イソプロピル,オレイン酸,ステアリン酸等の脂肪酸や脂肪酸エステルなどを挙げることができる。
【0018】
さらに具体的機能成分としては、トリクロサン,ヒノキチオール,トリクロカルバン,イソプロピルメチルフェノールなどの油溶性の抗菌・殺菌剤、ブチルパラベン,プロピルパラベン,安息香酸,サリチル酸,ソルビン酸などの油溶性の防腐剤、ジブチルヒドロキシトルエン,ブチルヒドロキシアニソール,トコフェロールなどの油溶性の酸化防止剤、リナロール,シトロネロール,ゲラニオール,ゲラニルアセテートなどの油溶性の香料、その他油溶性のUV吸収剤、防虫剤、保湿剤等を挙げることができ、これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0019】
更に、油性成分を安定に包含する膜形成成分として、第4級アンモニウム塩、第3級アミン塩、イミダゾリン塩、イミダゾリニウム塩、アミノ酸系カチオン界面活性剤などのカチオン界面活性剤から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。これらの中でも特に下記一般式(1)で示される第4級アンモニウム塩が好適である。
【化1】
(但し、式中R1は炭素数10〜24のアルキル基又はアルケニル基、R2は炭素数1〜3のアルキル基、炭素数10〜24のアルキル基又はアルケニル基であり、R1及びR2はそれぞれ無置換であってもよく、-O-,-CONH-,-COO-等の官能基で分断もしくは-OH等の官能基で置換されていてもよい。R3は炭素数1〜3のアルキル基、R4は炭素数1〜3のアルキル基又はベンジル基であり、Xはハロゲン原子又はモノアルキル硫酸基である。)
【0020】
また上記カチオン界面活性剤と下記一般式(2)で示される高級アルコールとの混合物も好適に使用される。
R5-OH (2)
(但し、式中R5は炭素数12〜22のアルキル基である。)
上記膜形成成分の内、式(1)の第4級アンモニウム塩の具体例としては、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ジ牛脂アルキルジメチルアンモニウムブロマイド、ジオレイルジメチルアンモニウムクロライド、オレイルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド等、アミノ酸系カチオン界面活性剤としてヤシ油脂肪酸L−アルギニンエチル-DL-ピロリドンカルボン酸、4-グアニジノブチルラウリルアミド酢酸等が例示される。
【0021】
第3級アミン塩の具体例としては、ジステアリルメチルアミン塩酸塩、ジオレイルメチルアミン塩酸塩、ジステアリルメチルアミン硫酸塩等が例示され、これら第3級アミン塩の場合、アルキル鎖は、-COO-,-CONH-等の官能基で分断されていてもよい。また、イミダゾリン塩としては、1-オクタデカノイルアミノエチル-2-ヘプタデシルイミダゾリン塩酸塩、1-オクタデセノイルアミノエチル-2-ヘプタデセニルイミダゾリン塩酸塩等が挙げられる。
【0022】
さらにイミダゾリニウム塩の具体例としては、メチル-1-牛脂アミドエチル-2-牛脂アルキルイミダゾリニウムメチルサルフェート、メチル-1-ヘキサデカノイルアミドエチル-2-ペンタデシルイミダゾリニウムクロライド、エチル-1-オクタデセノイルアミドエチル-2-ヘプタデセニルイミダゾリニウムエチルサルフェート等が挙げられる。さらに又、式(2)の高級アルコールとしてセトステアリルアルコール、ドデシルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等が例示される。
【0023】
本発明において、増粘剤として使用される特定の高分子化合物としては、疎水基を有するセルロースポリマー及びカルボキシビニルポリマー等である。ここで疎水基を有するセルロースポリマーとしては、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース等を挙げることが出来る。
【0024】
水相(希釈用を含む)としては、精製水を主体として適宜各種の水溶性成分を溶解したものである。ここで水溶性成分としては乳化剤、分散安定剤、塩類・pH調製剤・低温安定化剤・増粘剤・抗菌剤・酸化防止剤・色素・香料等が挙げられる。水溶性の乳化剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル,ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル,グリセリン脂肪酸エステル,ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル,ポリオキシエチレンアルキルエーテル,脂肪酸ポリエチレングリコール等の非イオン界面活性剤などが挙げられる。
【0025】
また、分散安定剤としては、ポリアクリル酸,カルボキシメチルセルロースなど、低温安定化剤としてエチレングリコール,プロピレングリコール,グリセリンなど、無機塩類として塩化ナトリウム,塩化カルシウム等の塩酸塩,硫酸ナトリウム塩等の硫酸塩などが挙げられる。その他、色素としてアシッドレッド138,アシッドブルー9,アシッドイエロー141,リアクティブブルー、その他の各種水溶性有効成分としてイソチアゾロンなどの抗菌剤、ヒドロキシエタンジホスホン酸などの酸化防止剤などが挙げられる。
【0026】
本発明では、上記した油相と水相を前記の真空乳化槽にて混合して気泡混入のないチクソトロピイ性を有する粘度50Pa・s以下の高濃度乳化物に調製する。この場合、基本的には少量の水相に油相を添加して所定の剪断力で撹拌することで濃厚の乳化物を作れればよいので製法は限定されないがより有利には下記の液晶転相乳化法が特に好ましい。
▲1▼油相成分と液晶形成に必要十分な量の水相(精製水)を真空乳化槽に添加し、真空下で高剪断撹拌と全体撹拌を行って混合し液晶構造体を形成させる。
この場合の真空乳化槽での油相と一部の精製水の重量比は油相1部に対して精製水0.5〜2部程度であり、また真空乳化槽の温度は油相の溶融点より5〜20℃高く、且つ、油相成分と水相成分の温度は同等程度が好ましい。また系内の真空度は15〜75KPa(110〜560mmHg)が望ましい。
【0027】
▲2▼上記液晶には転相に必要な残りの精製水を添加しO/Wエマルション(濃厚乳化物)を形成させる。この場合の液晶と精製水の重量比は液晶1部に対して精製水0.5〜20部程度の範囲が好ましい。
▲3▼さらに必要に応じて水溶性成分を添加してチクソトロピイ性を有する粘度50Pa・s以下の高濃度乳化物を得る。
【0028】
なお真空乳化槽で調製する濃厚な乳化物の濃度としては、製造しようとする乳化液体によって異なるが、製品乳化物の濃度の1.5〜5倍、好ましくは2〜4倍の濃縮物とするのが適当である。この濃厚乳化物の物性としては、▲1▼粘度50Pa・s以下、▲2▼チキソトロピー性を有すること。▲3▼濃厚乳化物中に未転相の液晶構造体や油相の連続相を認めないこと等が必須要件として挙げられる。
ここで、非チキソトロピー性の場合、粘度が高くなると撹拌やポンプ移送が困難になるばかりでなく希釈がうまく行かない。従って、上記物性を備えることで気泡混入が防止され、チキソトロピー性を有することで、撹拌によって見掛け粘度が下がり後工程の低剪断力下での水相との混合が容易に行なわれる利点がある。また濃厚乳化物中に未転相の液晶構造体や油相の連続相が有ると後工程の低剪断力下での希釈では乳化できないので製品が不均一となる。
【0029】
該高濃度乳化物は、引き続き前記した常圧撹拌槽に投入し予め準備した希釈水相(適宜、前記した水溶性成分を含む)と非真空下で混合・分散させて所定濃度の乳化液体組成物に調整する。この場合それぞれ予備混合及び原料調整(又は希釈水相)等を同時並行的に進行させておくことが望ましい。特に好ましい希釈混合方法は、常圧撹拌槽に予備混合した水相(水溶性成分)を仕込んでおいてから濃厚乳化物を徐々に添加する。この場合、水溶性成分の温度は油相温度より20℃以上低くしておくことが望ましく、これによって高濃度乳化物の添加と同時にエマルジョンが瞬時に冷却され、安定性の良い乳化物が得られる。濃厚乳化物を先に入れておくと均一分散に時間がかかることが有る。
【0030】
真空乳化槽で製造される濃厚乳化物及び、希釈後の乳化液体製品は両方ともチキソトロピー性となるため、静置時の粘度が高く気泡が混入するとこれを除くことが困難になる。一般にチキソトロピー性液体では液体を静置して気泡を抜こうとすると液の見掛け粘度が上昇するため細かい気泡は抜くことが出来ない、また見掛け粘度を下げようとして撹拌すると液が混合されてしまい気泡を抜くことが出来ない。この点、本発明方法によれば、濃厚乳化物の粘度50Pa・s以下に保持していることから気泡が簡単に抜けて混入が防止される。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図にしたがって説明する。
図1は、本発明の一例を示す真空乳化槽一基(又は2基)と容積の大きい汎用の常圧撹拌槽1基を組み合わせた製造フロー工程図である。ここで1は真空乳化槽、2は常圧撹拌槽、3はポンプ、4は希釈水添加ライン、5は水溶性成分添加ラインを示す。また6は油相添加ライン、7は水溶性成分添加ラインを示す。
図2は、図1における真空乳化槽1の一例を示す模式断面図で、10はパドル翼撹拌機、11はホモミキサー、12は掻き取り装置、13は真空装置を示す。
図3は、図1における常圧撹拌槽2の一例を示す模式断面図で、15はパドル翼撹拌機を示す。
【0032】
図4は、本発明の他の一例を示す真空乳化槽二基と内容積の異なる常圧撹拌層二基を組み合わせた製造フロー工程図である。
ここでは、20,21が真空乳化槽、22,23が常圧撹拌層である。
図5は、本発明の請求項2における一例を示す真空乳化槽一基、常圧撹拌層二基を組み合わせた製造フロー工程図である。
ここでは、一基の真空乳化槽51で共通成分イロハからなるベース組成の高濃度乳化物を得た後で、二基の常圧撹拌層52,53に分割投入し、且つこれら該常圧撹拌層には予め、それぞれ製品特有の成分ニホヘトを適宜選択して配合する。
【0033】
本発明の乳化液体製品の製造方法においては、複数の混合槽を組み合わせてシステム化することにより、製造能力のアップが容易となる。この特徴を生かして特に多品種の乳化液体製品を製造する際、所望の品種数・数量・納期に応じて使用する装置・基数及びその組み合わせを選定して製造することも可能である。本発明の一つの特徴は、複数の混合槽(少なくとも真空撹拌槽1基と常圧撹拌槽1基)を組み合わせて使用することにより、単一の混合槽で製造するよりも、製造能力をアップできる。
【0034】
例えば、特定の製品に短期に大量の要望があった場合は、前記のように複数の混合槽を組み合わせて、能力をアップして対応し、又、多品種を同時に欲しい場合は、最多で混合槽の数だけ、それぞれの槽で別々の品種を製造することもできる。即ち、要望の品種数・数量・納期に応じて、所有の製造装置を最大限、有効に活用することができる。
【0035】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
実施例1〜3、比較例1
図2で示す、2KLの真空乳化槽と、図3に示す3KL又は6KLの希釈用の常圧撹拌槽を図1のように組み合わせたフロー装置を使用してリンスを製造した。但し、比較例1として、真空乳化槽1の単独使用例も併せて説明する。まず、プロペラ翼の撹拌装置を有した油相予備混合槽(図示せず)に、下記の成分(重量%)を仕込み、約70℃で混合溶解して油相を得た。(これは図1のライン6から添加される)
【0036】
又、別に水溶性成分として、下記の成分をそれぞれ調製した。(これはライン7から添加される)
・グリシン液 :(グリシン12%、精製水88%)
・NA-8E液:(ポリオキシエチレンノニルフェニルエ―テル13%、プロピ レングリコ―ル33%、精製水54%)
・リン酸液 :(リン酸20%、精製水80%)
・色素液 :(微量の色素を精製水に溶解)
【0037】
以下に、各実施例1〜3、比較例1の各操作を併せて説明する。
(a)前記油相を、図1に示す真空乳化槽1に、比較例1では105部、実施例1では233部、実施例2では298部、実施例3では、同様の真空乳化槽2基にそれぞれ298部ずつを仕込み、約70℃に保持した。
(b)次に、約70℃の精製水を、比較例1では115部、実施例1では256部、実施例2では327部、実施例3では2基にそれぞれ327部ずつ、添加混合し、液晶構造体を形成させた。
(c)比較例1では、この液晶構造体に、約70℃の精製水682部を添加して、O/Wエマルジョンに転相させた後、前記の水溶性成分をそれぞれ、グリシン液75部、NA-8E液10部、リン酸液6部、色素液7部添加し、40℃まで冷却して、リンス1000部を得た。
【0038】
(d)実施例1では、先の液晶構造体に、約70℃の精製水293部を添加して、O/Wエマルジョンに転相させた後、前記の水溶性成分をそれぞれ、グリシン液167部、NA-8E液22部、リン酸液13部、色素液16部添加し、濃厚乳化物1000部を得た。この時の粘度は14.1Pa・sであった。
(e)実施例2では、先の液晶構造体に、約70℃の精製水375部を添加して、O/Wエマルジョンに転相させ、濃厚乳化物1000部を得た。この時の粘度は16.4Pa・sであった。
(f)実施例3では、2基の液晶構造体に、それぞれ約70℃の精製水375部を添加して、O/Wエマルジョンに転相させ、濃厚乳化物を合計2000部得た。この時の粘度は17.2Pa・sであった。
【0039】
(g)実施例1では、パドル翼を備えた図3に示す形状の3KLの常圧撹拌槽2に、予め、1224部の精製水を仕込んでおき、前記の濃厚乳化物1000部を添加希釈して、2224部のリンスを得た。
(h)実施例2では、パドル翼を備えた図3に示す形状の3KLの常圧撹拌槽2に、予め、1565部の精製水及び前記の水溶性成分をそれぞれ、グリシン液213部、NA-8E液28部、リン酸液17部、色素液20部添加混合しておき、これに、前記の濃厚乳化物1000部を添加希釈して、2843部のリンスを得た。
【0040】
(i)実施例3では、パドル翼を備えた図3に示す形状の6KLの常圧撹拌槽2に、予め、3130部の精製水及び前記の水溶性成分をそれぞれ、グリシン液426部、NA-8E液56部、リン酸液34部、色素液40部添加混合しておき、これに、前記の濃厚乳化物1000部/基×2基分=2000部を添加希釈して、5686部のリンスを得た。
それぞれの製造に要した時間(分)と得られたリンス出来高(重量部)から求められた製造能力と粘度(mPa・s)等を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
(1)表1の粘度測定:
BM型粘度計(東京計器製作所製)を使用(回転数30rpm)、濃厚乳化物の粘度はローターNo4、製品粘度はローターNo3で測定した。
評価粘度は回転2回目、5回転目、回転10回目の時点の粘度を測定した。表1から、2回転目、5回転目の粘度値よりも回転10回目の時点の粘度の値が下がっていることからこの液体がチキソトロピー性を有することがわかる。
(2)表1の乳化の均一性の評価:
顕微鏡写真により(拡大倍率:400倍)、乳化粒子径を観察し、最大粒子径と平均粒子径との比を持って、均一性の指標とした。
表1から、比較例1に対し、実施例1〜3の製造能力は1.7〜4.5倍にアップ出来ることがわかる。
【0043】
実施例4、比較例2
図4に示すように、2基の2KLの真空乳化槽(20,21)と、2KLの常圧撹拌層1基(22)と7KLの常圧撹拌層1基(23)との組み合わせフロー装置を使用し、多品種のリンスを製造した。但し、比較例2では2KLの真空乳化槽(20)単独で使用したものである。
まず、プロペラ翼の撹拌装置を有した油相混合槽に、下記の成分を仕込み、約60℃で混合溶解して、油相を得た。
【0044】
又、別に水溶性成分として、下記の成分をそれぞれ調製した。
・グリシン液:(トリメチルグリシン、メチルパラベン各1%、精製水98%)
・リン酸液 :(リン酸12%、精製水88%)
(a)比較例2では、2KLの真空乳化槽20を単独で用いた。
まず、比較例2として前記油相を真空乳化槽20に、226部仕込み約60℃に保持した後、約60℃の精製水を225部添加混合してW/Oエマルジョンを形成した。次いで、約60℃の精製水を270部添加混合して、O/Wエマルジョンに転相させた後、常温の精製水765部及び前記の水溶性成分9部(但しグリシン液を5部、リン酸液を4部)を添加混合した。その後40℃まで冷却し、調合香料5部を添加混合してリンスを得、抜きだしライン30から抜き出した。
この時の所要時間を表2に示す。
【0045】
(b)実施例4では、図4に示すように比較例2と同仕様・同容量の真空乳化槽2基と、パドル翼を有した図4に示す形状の7KLの常圧撹拌槽1基を組み合わせて用いた。まず、2基の真空乳化槽20、21に、前記油相をそれぞれ452部づつ仕込み、約60℃に保持した後、約60℃の精製水をそれぞれ450部づつ添加混合してW/Oエマルジョンを形成した。次いで、約60℃の精製水をそれぞれ540部添加混合して、O/Wエマルジョンに転相させた。
【0046】
(c)一方、並行して、7KLの常圧撹拌槽23には、常温の精製水3060部及び前記の水溶性成分36部(但しグリシン液を20部、リン酸液を16部)を添加混合した後、調合香料を20部添加混合しておき、上記の2基の真空乳化槽でO/Wエマルジョンが調製できた時点で、O/Wエマルジョンを真空乳化槽から常圧撹拌槽に移送し、混合してリンスを得た。製造に要した所要時間(分)と得られたリンス出来高(重量部)から求められた製造能力を表2に示す。
【0047】
【表2】
【0048】
表2の結果、実質的な所要時間から製造能力を求めると下記のようになる。
上記から、比較例2の製造能力が真空乳化槽2基を用いても、769×2=1,538kg/Hであるのに対し、実施例4では、真空乳化槽2基に汎用の常圧撹拌槽1基を組み合わせることにより、製造能力は3,871kg/Hとなり、2.5倍に能力アップできることがわかる。
【0049】
実施例5〜7、比較例3
図2に示す真空乳化槽一基の単独使用(比較例)と真空乳化槽一基と常圧撹拌槽二基併用による共通成分を含む3種類のリンスA,B,Cを製造した。
これらのリンスには、共通の成分と、それぞれの製品の特徴を付与する相違成分とがあり、その内訳を下記表3に示す。(重量%)
【0050】
【表3】
【0051】
(注1)
油相成分は下記を混合した組成物である。
【0052】
(注2)
ヒドロキシエチルセルロース分散液は、それぞれ下記を示す。
・リンスA:ヒドロキシエチルセルロース6部をシリコン30部に分散
・リンスB:ヒドロキシエチルセルロース6部をシリコン20部に分散
・リンスC:ヒドロキシエチルセルロース2部をシリコン30部に分散
(注3)
色素水溶液は、それぞれ下記を示す。
・リンスA:微量の黄色色素及び加水分解ケラチン液1部を精製水4部に溶解
・リンスB:微量の緑色色素及び加水分解ケラチン液1部を精製水4部に溶解
・リンスC:微量の赤色色素及び褐色色素を精製水10部に溶解
(注4)
スメクタイト分散液は、スメクタイト2部及びヒドロキシプロピルメチルセルロース3部を精製水177部に分散混合した液である。
【0053】
比較例3
図2に示す形状のホモミキサー及びパドル翼、更に掻き取り装置を有した2KLの真空乳化槽1基で3種類のリンスを製造した。各品種とも、まず、油相を真空乳化槽に仕込み、約70℃に保持した後、約70℃の液晶形成用精製水を添加して液晶構造体を形成させた。次いで、約70℃の転相用精製水を添加し、O/Wエマルジョンを転相させた後、グリシン水溶液、燐酸水溶液、ヒドロキシエチルセルロース分散液、色素水溶液を添加して、65〜70℃に保持し、ヒドロキシエチルセルロースを膨潤溶解させた。その後、残りの精製水を添加すると共に冷却し、リンスCの場合は、45℃でスメクタイト分散液を添加した。更に、40℃になった時点で、リンスAの場合は香料A、リンスBの場合はイソプレングリコールと香料B、リンスCの場合は香料Cを添加し、10分間混合してリンスを製造した(出来高は1.5t/バッチ)。この時の1バッチ当たりの所要時間をリンスA,B,C毎に表4に示す。
【0054】
実施例5
比較例3と同じ真空乳化槽1基で、表1に示す共通組成部分(ベース組成品と呼称)を1.5t(製品として3t分)を予め(前日)調整した。
実施例5では、このベース組成品を、図3に示す形状のパドル翼を有した2KLの常圧撹拌槽2基に、0.75tずつそれぞれ仕込み、表3で示すリンスAの相違成分を加えて、リンスAをそれぞれ1.5tずつ(2基で計3t/バッチ)製造した。この時の1バッチ当たりリンスAの所要時間を表4に示す。
但し表4の乳化の均一性の評価は実施例1〜3と同様に顕微鏡写真により(拡大倍率:400倍)、乳化粒子径を観察し、最大粒子径と平均粒子径との比を持って、均一性の指標とした。
【0055】
実施例6
上記実施例5と同様に常圧撹拌槽2基に、ベース組成品を0.75tずつ仕込んだ後、一方の常圧撹拌槽(撹拌槽Iと呼称)では、表3に示すリンスAの相違成分を、又他方の常圧撹拌槽(撹拌槽IIと呼称)では表3に示すリンスBの相違成分をそれぞれ加えて、リンスAとリンスBを1.5tずつ製造した。この時の1バッチ当たりリンスA,Bの所要時間と乳化の均一性の指標を表4に示す(但しリンスAは実施例5の場合と同じ所要時間につき省略してある)。
【0056】
実施例7
上記実施例5と同様に常圧撹拌槽2基に、ベース組成品を0.75tずつ仕込んだ後、常圧撹拌槽Iでは表4に示すリンスBの相違成分を、又他方の常圧撹拌槽IIでは表4に示すリンスCの相違成分をそれぞれ加えて、リンスBとリンスCを1.5tずつ製造した。この時の1バッチ当たりリンスB,Cの所要時間と乳化の均一性の指標を表4に示す(但しリンスBは実施例6の場合と同じ所要時間につき省略してある)。
【0057】
【表4】
【0058】
これらの結果から、製造能力、乳化の均一性、組成粘度等を表4に併せてまとめて示す(但し、実施例5〜7の製造能力はいずれも同じである)。また製造能力(バッチ/日)の算出は、実働7.5H/日とし、かつ、実施例5〜7における真空乳化槽でのベース組成物の製造は予め前日に行ったものであることからバッチの所要時間103分は除いて求めた。
表4から、比較例3に対し、実施例5〜7では均一な乳化液体組成物が得られると共に、製造能力も4倍にアップすることがわかる。
【0059】
【発明の効果】
本発明では、濃縮乳化物の生成段階でエマルションを生成させるため剪断力が効率的に液晶に与えられ、初めから製品濃度の乳化物を製造する場合に比較して乳化物の粒径が均一で細かい安定性の良いものが得られる。
更に本発明の請求項1では、特に小規模な真空乳化槽で濃厚な乳化物を調製し、大規模な希釈用の常圧撹拌槽において、先の濃厚な乳化物を希釈することにより、1回で製造できる乳化液体製品の量を増やすことが可能となり、製造能力が大幅にアップして、生産性を向上させることが出来る。本発明の請求項2では、共通成分を有する高濃度乳化物を小規模な真空乳化槽で調製し、複数の常圧撹拌槽にてそれぞれ他の添加剤成分を混合・分散させることで短気間での大量生産にも多品種の同時生産にも対応でき、設備を効率的に活用した製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例を示す組み合わせ製造フロー図である。
【図2】真空乳化槽1の一例を示す模式断面図である。
【図3】常圧撹拌槽2の一例を示す模式模式断面図である。
【図4】本発明の他の一例を示す組み合わせ製造フロー図である。
【図5】本発明の請求項2における一例を示す組み合わせ製造フロー図である。
【符号の説明】
1 真空乳化槽
2 常圧撹拌槽
3 ポンプ
4、5、6、7 添加ライン
10 パドル翼撹拌機
11 ホモミキサー
12 掻き取り装置
13 真空装置
15 パドル翼撹拌装置
20、21 真空乳化槽
22、23 常圧撹拌槽
Claims (3)
- 真空乳化槽と複数の常圧撹拌槽とを使用し、真空乳化槽で油相と水相を混合して気泡混入のないチクソトロピイ性を有する粘度50Pa・s以下の共通成分を有する高濃度乳化物に調整し、その際に、真空乳化槽で油相に水相の一部を添加して液晶相(W/O)を形成した後、残りの水相を混合して転相し水中油型(O/W)に調製し、その後、該高濃度乳化物を該真空乳化槽よりも内容積の大きい常圧撹拌槽に投入し各撹拌槽毎に予め準備したその製品の特徴を付与する他の添加剤成分を含む希釈水相と混合・分散させて2品種以上の多様な乳化組成物に調整することを特徴とするヘアリンス、クリーム、乳液、柔軟剤、およびシャンプーのいずれかの乳化液体組成物の製造方法。
- 前記真空乳化槽は、内容積が100〜5,000Lで、パドルにホモミキサーまたは掻き取り装置を兼備したものであり、前記常圧撹拌槽は内容積が、真空乳化槽の1.5〜5倍である請求項1に記載の製造方法。
- 油相成分1部と水相(精製水)0.5〜2部を真空乳化槽に添加し、真空度15〜75kPaで、高剪断撹拌と全体撹拌を行って混合し液晶構造体を形成させ、液晶1部に対して精製水0.5〜20部を添加しO/Wエマルションを形成させて、チクソトロピイ性を有する粘度50Pa・s以下で高濃度乳化物を得ることを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
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