以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。本発明に係る球皿を備えた弾球遊技機の代表例として、図1および図2にパチンコ機の正面図および背面図を、図3に図1中のIII〜矢視方向に見た平断面図を、図4に図1中のIV−IV矢視方向に見た側断面図を示しており、まずこれらの図面を参照してパチンコ機PMの全体概要について説明する。なお図1、図2では、上球皿全体の背面および正面を示すため、機体前面側のガラス扉および上球皿を擬似的に180度開放した状態で各図を示している。
パチンコ機PMは、外郭方形枠サイズに構成されて縦向きの固定保持枠をなす外枠1の開口前面に、これに合わせた方形枠サイズに構成された開閉搭載用の前枠2が互いの正面左側上下に配設されたヒンジ機構により前方に横開き開閉および着脱が可能に取り付けられ、正面右側に設けられた施錠装置を利用して常には外枠1と係合連結された閉止状態に保持される。
前枠2の表側(前面側)上部には、ガラス扉3が前方に横開き開閉および着脱可能に取り付けられ、正面右側に設けられた施錠装置を利用して常には前枠2の前面を覆う閉止状態に保持される。ガラス扉3の背後に位置する前枠上部には、遊技盤10を着脱可能に収容する収容枠が設けられており、この収容枠に立設姿勢で係止保持された遊技盤10がガラス扉3を通して視認されるようになっている。遊技盤10は、所定板厚の積層合板の表面にセルを貼り付けてルーター加工した化粧板11を基板とし、半円弧状の外レール12および内レール13に囲まれて略円形の遊技領域PAが形成される。遊技領域PAには多数本の遊技釘や風車とともに各種の入賞具14、遊技の展開状況に応じた図柄を表示させる画像表示装置15、サイドランプなどの遊技構成部品が取り付けられ、下端部にアウト口18が設けられて構成される。
前枠2の表側中間部には、遊技補助盤と称される補助機構部が設けられている。遊技補助盤20には、遊技球発射装置21のハンマーに叩打された遊技球をガイドし遊技盤の外レール12に向けて発射させる発射レール22、次述する上球皿の通出樋55と裏セット盤の上払出通路45との間を繋ぐ傾斜通路状に形成された上通出口25、遊技の展開状況に応じた効果音を発生させるスピーカを保持するとともにファール球回収通路等を形成するスピーカーカバー31などが設けられている。
遊技補助盤20の前方に、上球皿5がヒンジ機構4により横開き開閉および着脱可能に取り付けられ、正面右側に設けられた球皿施錠装置を利用して常には遊技補助盤の前面を覆う閉止状態に保持される。上球皿5には、前面側に遊技球を貯留する貯留案内皿56が設けられるとともに、背面側の左上部には上球皿5を閉止した状態で遊技補助盤側の上通出口25と連絡するダクト状の通出樋55が後方に突出して形成されており、上通出口25から流入する遊技球を貯留案内皿56に流下させるようになっている。また上球皿5の背面右側には上球皿5を閉止した状態で発射レール22と整合する位置に球送り装置59が設けられており、貯留案内皿56に貯留された遊技球を1球ずつ発射レール22に送り出すように構成されている。
前枠2の表側下部には、上面開放形態の下球皿7が前方に突出して取り付けられ、前枠2の裏側下部には上面および前面に開口を有する箱状の下球皿連絡バケット37が取り付けられて、この下球皿7と下球皿連絡バケット37とが前枠2を前後に貫通する下通出口27で連絡されている。下球皿7の正面右側には遊技球の発射操作を行う発射ハンドル8が取り付けられている。
前枠2の裏側(後面側)には、裏セット盤40が前枠2の後方に横開き開閉および着脱可能に取り付けられている。裏セット盤40には、払い出し用の遊技球を貯留する球貯留タンク41、球貯留タンク41に貯留された遊技球を整列させて流下させるタンクレール42、タンクレール42から導かれた遊技球を入賞状態に応じて払い出す球払出装置43、球払出装置43の直下に位置して設けられ球払出装置43から払い出された遊技球を上球皿5に導く上払出通路45、上払出通路45と隣接して形成され上払出通路から溢れ出た遊技球を下球皿7に導く下払出通路47、上払出通路45と下払出通路47とを仕切る仕切壁44の上方に設けられ両球通路を連絡する溢れ球通路46、入賞具14に落入して化粧板11の裏面側に導かれたセーフ球およびアウト口18を通って化粧板11の裏面側に導かれたアウト球を集合させて遊技島の回収装置に導く遊技済み球排出通路48などが設けられている。裏セット盤40の背面には、電源基板や主制御基板、払出制御基板などの各種回路基板が取り付けられ、各電装部品がコネクタケーブルで接続されてパチンコ機PMが構成される。
パチンコ機PMは、上球皿5およびガラス扉3が閉止施錠された状態で遊技に供され、上球皿5に遊技球を貯留させて発射ハンドル8の操作レバーを回動操作することにより遊技が開始される。操作レバーが回動操作されると、上球皿5に貯留された遊技球が球送り装置59によって1球ずつ発射レール22に送り出され、遊技球発射装置21のハンマーに打ち出されて遊技領域PAに導かれる。
遊技領域PAに到達した遊技球は、遊技領域内の多数の遊技釘や風車に弾かれながら遊技領域PAを転動落下し、この落下過程で入賞具14に落入して化粧板11の裏面側に導かれ、あるいは入賞具14に落入することなく落下してアウト口18を通って化粧板11の裏面側に導かれ、ともに裏セット盤40の遊技済み球排出通路48を通って遊技島の回収装置に排出される。各入賞具には入賞した遊技球を検出する入賞球検出器が設けられてその検出信号が主制御基板に出力されており、主制御基板は入賞検出信号に基づいた払出信号を払出制御基板を介して球払出装置43に出力し、球払出装置43は払出信号に応じた所定数量の遊技球を払い出す。
球払出装置43から払い出された遊技球は、通常では、払出通路内に形成された仕切壁44により上払出通路45に導かれ、前枠2を貫通する上通出口25および上球皿5に形成された通出樋55を通って貯留案内皿56に導かれる。そして、この貯留案内皿56を流下する過程で整列されて待機され、球送り装置59により順次発射レール22に送り出されて遊技領域PAに打ち出される。なお、貯留案内皿56が満杯になり上払出通路45が仕切壁44の上端まで充満された状態でさらに遊技球が払い出されたときには、払い出された遊技球が仕切壁44を越えて下払出通路47側に溢れ、あるいは溢れ球通路46を経由して下払出通路47に流入し、下払出通路47から下球皿連絡バケット37および下通出口27を通って下球皿7に導かれる。
一方、遊技補助盤20に取り付けられたスピーカーカバー31の背後では、発射レール22と外レール12との間が所定間隔隔てられて上方に開くファール球回収口32が形成され、その下側にファール球回収口32に落入したファール球を流下させるファール球回収通路33が形成されている。また上通出口25の下側では、カバー部が前方に張り出されて上方に開く球受け口35が形成され、その下側に球受け口35に落入したこぼれ球を流下させるこぼれ球回収通路36が形成されている。
ファール球回収通路33は、遊技補助盤の左右略中央部でこぼれ球通路36に合流し、前枠2を上下に貫通して形成された集合回収口26を介して下球皿連絡バケット37に繋がっている。これにより、遊技領域PAに到達できずにファール球回収口32に落入したファール球、および上球皿開放時に球受け口35に流入したこぼれ球が、それぞれファール球通路33およびこぼれ球回収通路36を通って集合回収口26から下球皿連絡バケット37に流下し、下通出口27を通って下球皿7に導かれる。また集合開口26の直上部ではスピーカーカバー31の一部切り欠かれて抜き球受容口38が形成されており、この抜き球受容口38に流入した遊技球が集合回収口26〜下球皿連絡バケット37〜下通出口27を通って下球皿7に導かれるようになっている。
さて以上のように概要構成されるパチンコ機PMにあって、上球皿5に本発明に係る球皿構成が適用されており、以降では、図5〜図10の各図を併せて参照しながら、上球皿5について詳細に説明する。ここで、図5〜図10の各図について予め概要説明すると、図5は球送り装置59を取り外した状態で第1球抜き機構60を主として示す上球皿5の背面図、図6は第2球抜き機構70を主として示す上球皿5の背面図、図7は上球皿5を分解した状態で示す第2球抜き機構70の分解斜視図、図8は第2球抜き機構70の正面図(部分断面図)、図9は第2球抜き機構近傍の球通路を主として示す平断面図、図10は貯留案内皿56に形成された段差およびこの段差を挟む支持面の傾斜角度の関係を示す説明図(背面図)である。
上球皿5は、前枠2の横幅寸法に合わせた横長方形状のあて板51と、このあて板51の前面側に取り付けられて前方に突出する椀状の外装体52と、あて板51と外装体52との間に挟持された皿本体53を主要構造体として構成され、第1球抜き機構60および第2球抜き機構70が組み付けられた皿本体53を外装体52に取り付け、これらをあて板51の前面側に嵌着してあて板51の背面側からネジ固定することにより一体に形成される。
皿本体53は、大別的には遊技球を貯留する貯留案内皿56と、この貯留案内皿56の下側に形成された通路形成部とからなり、例えばABS樹脂などの樹脂材料を用いて、射出成型等の成形手段により一体に形成される。貯留案内皿56は全体として右傾した平皿状をなし、図3に示すように、平面視における中央から左側の上流部に半円状の球貯留部56bが形成され、中央から右側の下流部に先細状の流下案内部56aが形成され、遊技球を1列の整列状態で待機させる発射球整列通路57に繋がっている。
貯留案内皿56において遊技球を支持する支持面(皿上面)は、上流側の球貯留部56bおよび下流側の流下案内部56aとも下流に向けて低くなる傾斜面で構成されている。また、球貯留部56bの傾斜支持面と流下案内部56aの傾斜支持面との接続部には段差56dが形成され、球貯留部56bから流下案内部56aに向けて一段低くなるように形成されている。
ここで、下流側に位置する流下案内部56aの傾斜支持面と、上流側に位置する球貯留部56bの傾斜支持面との傾斜角度の関係については、図10に段差56dを挟む両傾斜支持面の角度関係を背面図で略示するように、流下案内部56aの傾斜支持面の傾き角をα、球貯留部56bの傾斜支持面の傾き角をβとしたときに、β<αなる関係、換言すれば、上流側の球貯留部56bの傾斜支持面(以下「貯留支持面」という)が、下流側の流下案内部56aの傾斜支持面(以下「流下支持面」という)よりも緩い傾斜に形成されている。
流下支持面の傾斜角度αおよび貯留支持面の傾斜角度βの具体的な値については、皿本体53に使用する樹脂材料の種類や表面性状等により適宜設定することが可能であるが、例えば、本実施形態において例示する上球皿5では、流下支持面の傾斜角度αとして従来の球皿と同様の傾斜角度(α=3.5〜4.5度程度)、貯留支持面の傾斜角度βとして流下支持面の傾斜角度αよりも1.5度程度小さい傾斜角度(β=2〜3度程度)に設定している。
このため、貯留案内皿56に貯留された遊技球が少ない状態では、貯留球は従来と同様の傾斜角度を有した比較的急傾斜の流下案内部56aに配設されるため、確実に下流の発射球整列通路57に向けて転動流下する。一方、貯留案内皿56に貯留された遊技球が増大すると、新たに貯留される遊技球は従来よりも小さい傾斜角度を有した比較的緩傾斜の球貯留部56bに貯留されるため、下流側の遊技球に作用する圧力Pは遊技球1個の重量をWとしたときに、上下1列あたりP=Wsinβとなり傾斜角度の減少分に応じて抑制することができる。例えば、上述した傾斜角度α=4度、β=2度とすれば、従来同様の一定の傾斜角度α=4度に設定した場合と比較して(Wsinα−Wsinβ)/Wsinα≒0.5となり、球圧を約半分に減少させることができる。
また、流下支持面と貯留支持面との接続部に段差56dを設け、段差の前後(上下流方向における前後)において、上流側の貯留支持面が下流側の流下支持面よりも高さhだけ高くなるように形成している。このため段差を挟む球貯留部56bと流下案内部56aの両方に遊技球が貯留された状態において、球貯留部56b側に貯留された遊技球は、段差により斜め下方に位置する流下案内部56a側の遊技球と、斜め上下の位置関係で球面接触する(図10を参照)。一方、球貯留部56bに貯留された遊技球の圧力(流下方向のベクトルP=Wsinβ)は、貯留支持面56bに沿った方向に作用している。
このため、球貯留部56b側の遊技球から流下案内部56a側の遊技球に作用する力Fは、貯留支持面に沿った流下方向のベクトルP(P=Wsinβ)を、球心同士を結ぶ当接方向のベクトル成分P1と、これに直交する上向き方向のベクトル成分P2とに分解したときの当接方向のベクトル成分P1になり(F=P1)、段差56dを設けずに直接当接させた場合(F=P=P1+P2)よりも小さくすることができる。例えば、貯留支持面の傾斜角度をβ=2度とし、段差56dの高さhを遊技球の直径Dに対してh=0.5Dとすれば球心同士を結ぶ当接方向の傾き角が約30度となり、圧力F=P1=Pcos(30−β)=0.88P、またh=0.7Dとすれば球心同士を結ぶ当接方向の傾き角が約45度となり、圧力F=P1=Pcos(45−β)=0.73Pになり、球貯留部56b側の遊技球から流下案内部56a側の遊技球に作用する力を段差56dの高さhに応じてさらに減少させることができる。
従って、上記のように貯留支持面の傾斜角度を流下支持面の傾斜角度よりも小さく形成することにより、貯留球数が少ない状態での安定した球流れと、貯留球数が増大した状態での下流側の遊技球に対する圧力の抑制とを両立させることができ、例えば球送り装置59への安定した球流れを確保しながら、その前方の発射球整列通路57の終端変更部で球詰まり等を生じない構成を容易に実現することができる。また球貯留部56bと流下案内部56後の間に段差56dを設けることで、下流側の遊技球に作用する圧力をさらに抑制して、安定した球流れと遊技球に対する圧力の抑制とを両立させた球皿を提供することができる。なお、各支持面の前後方向の傾斜については任意だが、ともに後方(あて板51側)に下傾する微少な傾斜角を設定することも好ましい構成形態である。
そして、このような上球皿5の下流側に第1球抜き機構60が、上流側に第2球抜き機構70が設けられている。流下案内部56aと繋がる発射球整列通路57の下流側は、発射レール22の基端部と前後に対峙する整合位置で「く」の字状に折り返され、貯留案内皿56の下側中央に向けて下傾する第1球抜き通路67が連設されている。第1球抜き通路67の下流端部には、あて板51を前後に貫通する球排出口68が形成され、上球皿5の閉鎖姿勢において位置整合する遊技補助盤側の抜き球受容口38と連絡されている。発射球整列通路57と第1球抜き通路67とは、折り返し部に設けられた第1球抜き機構60の弁部材63により常には仕切られており、発射球整列通路57の終端部にあて板51を貫通して形成された球送り口58を介して球送り装置59に繋がっている。
第1球抜き機構60は、図5に示すように、上球皿5の上面に露出して上下に揺動可能に設けられた球抜きレバー61と、発射球整列通路57と第1球抜き通路67との間を開閉可能なシャッター部63sを有して左右にスライド変位可能に配設された弁部材63と、球抜きレバー61と弁部材63との間を連繋して揺動可能に設けられ球抜きレバー61への押圧力を弁部材63に伝達させるリンクアーム62と、弁部材63を常時閉止方向に付勢するコイルバネ64などからなり、常にはコイルバネ64のバネ力により弁部材63が左端位置に付勢配設されて、シャッター部63sが発射球整列通路57と第1球抜き通路67との間を仕切る閉鎖状態とされる。
このため、通常の遊技状態では、発射球整列通路57に整列待機された遊技球が球送り口58から球送り装置59に導かれ、遊技球発射装置21の作動と同期して揺動制御される球送り装置の球送りカム59cによって1球ずつ発射レール22に送り出されて、遊技球発射装置21により遊技盤に向けて打ち出される。
球抜きレバー61が押圧操作されると、リンクアーム62が図5における反時計廻り揺動され、下端のリンクピンが弁部材63を押圧して弁部材63を右方にスライド変位させ、発射球整列通路57と第1球抜き通路67との間を仕切っていたシャッター部63sが待避して、発射球整列通路57と第1球抜き通路67とが連通した開放状態に変移される。このため、発射球整列通路57に整列待機されていた遊技球が第1球抜き通路67に流入してこの球通路を流下し、球排出口68を通って遊技補助盤側の抜き球受容口38に流入する。そして集合回収口26から下球皿連絡バケット37〜下通出口27を通って下球皿7に導かれる。
一方、貯留案内皿の貯留部56bに第2球抜き機構70が設けられている。第2球抜き機構70は、貯留支持面の下流部に横長方形状に開口された球抜き口71、閉鎖位置で貯留支持面の一部を形成し、前後にスライドして球抜き口71を開閉可能に配設された開閉弁部材73、上球皿5に前後に変位可能に設けられて開閉弁部材73をスライドさせる操作部材75、開閉弁部材73を常時閉鎖方向に付勢する圧縮バネ74、球抜き口71に流入した遊技球を流下させる第2球抜き通路77などから構成され、操作部材75を押圧操作したときに開閉弁部材73が後方にスライドして球抜き口71が開放するように構成される。
球抜き口71は、段差56dに隣接して皿本体53の後端側に形成されており、その前後方向の開口幅は遊技球の直径Dよりも大きく1.1〜3D程度に、また左右方向の開口長さは同時に複数の遊技球を流下させ得るように球径Dの数倍(2〜4D程度)に設定され、例えば、図示する実施形態では、前後方向の開口幅を第1および第2球抜き通路の通路幅に合わせて2D程度に、左右方向の開口長さを3D程度に設定した例を示している。また、球抜き口71の前方辺縁部は、下方に面取りされて後述する開閉弁部材の弁プレート部73bと係合可能に形成されている。
貯留案内皿56の下面には下方に延びる通路前壁72aが形成されており、この通路前壁72aから後方側(組み付け状態におけるあて板51側)に向けて左右に延びて正面視右方に位置する通路底壁77aと正面視左方に位置する通路底壁77cが立設され、2つの通路底壁77a,77cが段差を介して連設されている。また、上球皿5の左右略中央部に位置する通路前壁72aには、上下に延びる通路側壁77bが立設される。これにより、通路前壁72a、通路底壁77a,77c、通路側壁77bによって後方に開いた溝状の球通路が形成される。
また、通路底壁77cが立設される通路前壁72aの左方部は凹設されて、球抜き口71の下方に位置する箇所に矩形箱状の球流下空間53aが形成される。この球流下空間53aを形成する底壁72dには、底壁72dから上方に突出して後方に下傾する複数の筋状突起77gが設けられている。このように形成される皿本体53に後方からあて板51をネジ固定することにより、周囲が壁面で囲まれるとともに球流下空間53aと連通する第2球抜き通路77が形成される。
なお、通路底壁77a,77cは、流下支持面と同程度の傾斜姿勢で形成されている。また、通路底壁77aは、上球皿5の左右略中央部で下方に屈曲されて第1球抜き通路67の通路壁と繋がっており、第2球抜き通路77と第1球抜き通路67とが合流して球排出口68に連絡するようになっている。このように第2球抜き通路77を第1球抜き通路67に合流させて共通の球排出口68から排出させる構成により、球皿側の通路構成を簡明化できるとともに、抜き球受容口38以降の既存の流下経路をそのまま利用して第2の球抜き機構を構築することができ、例えば既存機種に対して上球皿5のみを交換することで、第2球抜き機構70を有したパチンコ機に変更することも可能になっている。
開閉弁部材73は、矩形平板状の弁プレート部73b、弁プレート部73bの後端から下方に折れ曲がって延びるフランジ部73fなどからなり、例えばガラス繊維や炭素繊維を添加して強化したABS樹脂やポリアセタール樹脂(POM)、ポリフェニレンオキサイド(PPO)などの樹脂材料を用い射出成型等の成形手段によって、上記部位が一体形成される。
弁プレート部73bは、球抜き口71の開口面域に合わせた矩形平板状に形成され、上面が貯留支持面と同一の傾斜角度をもって形成される。弁プレート部73bの前端辺縁部は球抜き口71の前方辺縁部と係合するように面取りされて前端係合部を形成しており、皿本体53をあて板51に組み付けた状態で、前述した球抜き口71の前端辺縁部の係合部と係合するように形成されている。また、弁プレート部73bの下面側の左右辺縁には、クランク部73cが設けられており、弁プレート部73bの左右下面それぞれにおいて前後に延びる断面コ字状の溝が形成されている。この溝は、球抜き口71に臨んで球流下空間53aを形成している左右壁面72b,72cの上部に前後に延びて設けられたガイド突起53cと係合し、開閉弁部材73を球抜き口71で前後方向にスライド移動をガイドするように構成されている。
フランジ部73fは、弁プレート部73bの後端から中央部が一部下方に延びて形成されて、正面視T字状に形成される。フランジ部73fの下端央部には円筒状の軸止ボス73dが前方に突出して設けられており、この軸止ボス73dの軸心に軸止孔73hが穿設されている。
一方、あて板51には正面視における開閉弁部材73の形状に合わせた略T字状のT字孔51hが前後貫通して形成されており、皿本体53をあて板51に組み付けた状態でこのT字孔51hに開閉弁部材73を背面から緩挿すると、開閉弁部材のクランク部73cと皿本体のガイド突起53cとが係合して前後方向にスライド可能となるとともに、前方にスライドさせたときに、弁プレート部73bが貯留部56bの貯留支持面と同一平面が形成される。
操作部材75は、円柱状の操作ボタン75b、操作ボタン75bと開閉弁部材の軸止ボス73bとの間を結んで軸状に形成されるロッド75a、ロッド75aに固着されて圧縮バネ74を係止可能な座金のバネ係止部75c、ロッド75aを後方になどからなり、例えば、直径3mm程度の金属線材の両端にローレット加工を施してロッド75aを成形し、バネ係止部75cをロッド75aにカシメ圧着等によりロッド75aに固着し、ロッド75aの一端部にABS樹脂等の樹脂材料で成形した操作ボタン75bを圧入固定することで一体に形成される。なお、操作ボタン75bの圧入固定は第2球抜き機構70の組み付け過程で行われる。
一方、皿本体53の前方に組み付けられる外装体52には、上球皿5の組立状態において軸止ボス73dの前方整合位置に、第1ロッドガイド52gおよびボタン収容部52bが形成されている。また、通路前壁72aにおいても、上球皿5に組立状態において軸止ボス73dの前方整合位置に第2ロッドガイド53gが前方に突出して設けられる。
第1ロッドガイド52gは、ロッド75aの外径よりもわずかに大きめの内径を有する円筒状に形成されて外装体52の外縁から内方(後方)に突出して設けられ、第2ロッドガイド53gは、第1ロッドガイドと同様の内径を有するとともに圧縮バネ74の内径よりも僅かに小さめの外径を有する円筒状に形成されて前方に突出して設けられる。この第1ロッドガイド52gおよび第2ロッドガイド53gにロッド75aが挿通されることにより、ロッド75aは前後方向にスライド自在に支持される。
ボタン収容部52bは、外装体52の外縁が操作ボタン75bの外径よりも僅かに大きな径を有する円柱状に凹設されることにより形成されており、第1ロッドガイド52gの前端面と連通される。これにより、第1ロッドガイド52gに挿通されてこの前端面から突出するロッド75aの端部に、外装体52の前方から操作ボタン75bを固定可能となるとともに、この円柱状凹部に操作ボタン75bを収容可能となる。また、この操作ボタン75bが過度の押圧操作がなされてもボタン収容部の後端面で操作ボタンが受け止められ、第2球抜き機構70の各構成部材に無理な力が作用しないように保護する機能を有している。
圧縮バネ74は、ロッド75aの外周に嵌挿されるとともに、ロッド75aに固着されるバネ係止部75cと第2ロッドガイド53gのとの間に配設されてロッド75aを後方に付勢しており、付勢状態においてバネ係止部75cと第1ロッドガイド52gの後方端面とが当接するように構成されている。
また、あて板51のT字孔51hは、前方に突出して矩形箱状のブラインドボックス51bが設けられており、このブラインドボックス後端面で開閉弁部材73のフランジ部73fを収容可能に形成されている。このブラインドボックス51bの前面にはロッド75aを嵌挿可能な貫通孔が設けられるとともに、この貫通孔を覆うようにして頂点部が上方に形成された三角形状の庇部51aが突設される。このようなブラインドボックス51bおよび庇部51aをT字孔51hの前方に突設することにより、第2球抜き機構70が組み付けられて開閉弁部材73が開放位置に移動されたときに弁プレート部75bよりも後方に延びるロッド75aが球流下空間53a内で露出することを防ぐことができる。
また、第2球抜き機構70が組み付けられて開閉弁部材73が開放位置にあるときに、あて板51側と外装体52側とを貫通して配設されるロッド75aが球流下空間53a内で露出する。このため、あて板51の前方に突出して、通路底壁77cの上部に位置してロッドを内部に収容するブラインドボックス51bと、ブラインドボックス51bの前面に位置して三角形状のロッド75aを上側から覆うための庇部51aとがあて板51に一体形成される。なお、ブラインドボックス51bは開閉弁部材のフランジ部73fを収容するT字孔51hにおける開閉弁部材のフランジ部73fを収容する部位を覆うようにして設けられるとともに、ブラインドボックス51bの前面壁には、ロッド75aを貫通させるための貫通孔が設けられる。
さて、以上のように構成される開閉弁部材73や操作部材75等を皿本体53および外装体52に組み付け、これらをあて板51の前面側にネジ止めすることで第2球抜き機構70が構成される。
組み付けに当たって、圧縮バネ74が挿嵌されてバネ係止部75cに係止されたロッド75aを、第2ロッドガイド53gに緩挿してロッド75aの後方先端部を皿本体53の後方側へ突出させ、圧縮バネ74を第2ロッドガイド53gとの間に挟持させる。また、ロッド75aの前方先端部を第1ロッドガイド52gに挿通させてロッド先端部を外装体52の前方に突出させ、この突出端面に操作ボタン75bを圧入固定し、皿本体53の背面側から外装体52の各部にネジを螺合締結して固定する。これにより、操作部材75が前後方向にスライド移動可能に支持されつつ圧縮バネ74のバネ力で前方に付勢され、バネ係止部75cと第1ロッドガイド52gの後端面が当接される。
次いで、皿本体53の後方側に突出したロッド75aの後方先端部をブラインドボックス51bの前面壁に設けられた貫通孔に貫通させるとともに、上述のように一体化された外装体52および皿本体53をあて板前面に覆い被せて嵌め込み、あて板51の背面側から外装体52および皿本体53の各部にネジを螺合締結して固定する。
さらに、あて板51の背面から開閉弁部材73をT字孔51hに緩挿させるとともに、開閉弁部材73のクランク部73cにより形成される溝と皿本体53に設けられたガイド突起53cとを係合させ、ロッド75aの後方先端部を軸止ボス73bおよび軸止孔73hに嵌め込むことにより、開閉弁部材73と操作部材75とが一体となり、操作部材75の前後移動に応じて開閉弁部材73が前後方向にスライド可能な第2球抜き機構70を備えた上球皿5が形成される。
第2球抜き機構70が形成されると、開閉弁部材73は、弁プレート部73bが球抜き口71を塞ぐ閉鎖位置と、球抜き口71を開放する開放位置との間で前後方向にスライド可能に配設され、常には圧縮バネ74のバネ力により弁プレート部73bの前端係合部と、球抜き口71の前方辺縁部とが係合して球抜き口71を塞ぐ閉鎖位置に保持される。操作ボタン75bを押圧して、圧縮バネ74のバネ力に抗して操作部材75を後方に移動させると、ロッド75aがロッドガイド52g,53gの案内を受けて後方に直動し、ロッド75aと軸止ボス73dを介して連結する開閉弁部材73がクランク部73cとガイド突起53cのスライド案内を受けて開放位置まで移動する。
ここで、操作ボタン75bは、収容部52bの内部まで押圧されたときに開閉弁部材73が開放位置となるように構成されているため、遊技者によって誤操作されて開閉弁部材73が開放作動するおそれがない。
さて、こうして組み立てられた上球皿5がヒンジ機構4を介して前枠2に開閉可能に組み付けられ、遊技補助盤20の前方を覆って閉止された閉止状態で遊技に供される。遊技を行うに当たっては、例えば遊技者が球貸し機から借り受けた適宜数量(例えば50〜100球程度の数量)の遊技球を上球皿5の貯留案内皿56に投入し、発射ハンドル8を回動操作することにより開始される。
ここで、貯留案内皿56の支持面は、既述したように、上流側に位置する球貯留部56bの貯留支持面および下流側に位置する流下案内部56aの流下支持面がともに下流に向けて低くなる傾斜面で構成されるとともに、貯留支持面の傾斜角度は流下支持面の傾斜角度よりも小さく形成されている。また、貯留支持面と流下支持面との接続部には段差56dが形成され、球貯留部56bから流下案内部56aに向けて一段低くなるように形成されている。
このため、上記のように比較的少量の遊技球が貯留案内皿56に投入されると、投入された遊技球は比較的傾斜角が急な下流側の流下案内部56aに主として貯留されることになり、急傾斜の流下支持面と先細り状の側壁とに案内されて、安定した球流れのもとで確実に下流の発射球整列通路57に転動流下する。発射球整列通路57に転入した遊技球は、常には閉鎖状態とされる第1球抜き機構60の弁部材63により球送り口58から球送り装置59に導かれ、発射操作以前にあっては球送りカム59cにより送り出しが規制されて、発射球整列通路57に1列に整列された状態で待機保持される。そして発射ハンドル8において発射操作がなされると、遊技球発射装置21の作動と同期して揺動制御される球送り装置の球送りカム59cによって整列待機された遊技球が1球ずつ発射レール22に送り出され、遊技球発射装置21のハンマーに叩打されて遊技盤10に向けて発射される。
遊技盤10に向けて発射され、遊技領域PAに到達した遊技球は、遊技領域内の遊技釘や風車に弾かれながら遊技領域PAを転動落下し、この落下過程で入賞具14に落入して化粧板11の裏面側に導かれ、あるいは入賞具14に落入することなく落下してアウト口18を通って化粧板11の裏面側に導かれ、ともに裏セット盤40の遊技済み球排出通路48を通って遊技島の回収装置に排出される。入賞具14に落入した遊技球は各入賞具に設けられた入賞球検出器に検出され、その検出信号に応じた数量の遊技球が球払出装置43から払い出される。
球払出装置43から払い出された遊技球は、貯留案内皿56に貯留された遊技球が少ない状態(上払出通路45の上部まで遊技球が充満されていない状態)では、上払出通路45に導かれ、前枠2を貫通する上通出口25および上球皿5に形成された通出樋55を通って貯留案内皿56に導かれる。そして遊技の進展に伴い貯留案内皿56に貯留される遊技球が増加してくると、その増加に応じて、新たに払い出された遊技球が上流側の球貯留部56bに貯留されるようになり、さらには通出樋55〜上通出口25〜上払出通路45まで遡って貯留されるようになる。
ここで、貯留支持面の傾斜角度は流下支持面の傾斜角度よりも小さく形成され、さらに貯留支持面と流下支持面との接続部には段差56dが形成されている。このため、前述したように、一定の傾斜角で平坦に形成された支持面の場合と比較して下流側の遊技球に作用する圧力、例えば発射待機通路57に整列された遊技球の流下方向に作用する圧力や、球送り口58の前方で偏向され球送り装置59に作用する圧力などを抑制して、安定した球流れと確実な球送りを実現することができる。
さて、こうして球貯留案内皿56に遊技球が貯留された状態では、第1球抜き機構60、第2球抜き機構70の何れか一方または両方を操作して貯留された遊技球の球抜き作業を行うことができる。
例えば貯留案内皿56に貯留された遊技球が少ない場合には、第1球抜き機構60のみを利用して球抜き作業を行うことが好適である。第1球抜き機構60による球抜き作業は、球抜きレバー61を下方に押圧操作することにより行われる。球抜きレバー61が押圧操作されると、リンクアーム62が背面視における反時計廻り揺動され、下端のリンクピンが弁部材63を押圧して弁部材63を右方にスライド変位させ、発射球整列通路57と第1球抜き通路67との間を仕切っていたシャッター部63sが背面視右方に待避して、発射球整列通路57と第1球抜き通路67とが連通した開放状態に変移される。
このため、発射球整列通路57に整列待機されていた遊技球および遊技球貯留案内皿56に貯留されていた遊技球が、発射球整列通路57から第1球抜き通路67に流入してこの球通路を流下し、球排出口68を通って遊技補助盤側の抜き球受容口38に流入する。そして集合回収口26から下球皿連絡バケット37に流下し、下通出口27を通って下球皿7に導かれる。これにより貯留案内皿56に貯留されていた遊技球を全量下球皿7に流下させて球抜き作業を行うことができる。
また、例えば球貯留案内皿56の上流部まで遊技球が貯留された遊技状況下でいわゆる大当たりが発生し、遊技球の発射状態を維持したまま貯留案内皿56に貯留された遊技球を下球皿7に流下させたい場合には、第2球抜き機構70のみを利用して球抜き作業を行うことが好適である。
第2球抜き機構70による球抜き作業は、外装体52の外縁に略一体に設けられた操作ボタン75bを、圧縮バネ74のバネ力に抗して押圧することで行われる。操作ボタン75bを押圧すると、操作ボタン75bと一体のロッド75aがロッドガイド52g,53gにガイドされ、操作部材75がロッドガイド52g,53gの軸線に沿って正面後方にスライド移動する。このため、ロッド75aの後方先端部とが連結される開閉弁部材73が、クランク部73cとガイド突起53cの案内を受けて、後方にスライド移動して球抜き口71が開口されるとともに、後方にスライドした開閉弁部材73のフランジ部73fがあて板51の後方で組み付けられているスピーカーカバー31に当接され、球抜き口71から球流下空間53a介して第2球抜き通路77に繋がる球経路が形成される(図11を参照)。
このため、図11に示すように、貯留案内皿56における上流側の球貯留部56bに貯留されていた遊技球は、球抜き口71から下方の球流下空間53aに落入する。落入した遊技球は、上方に頂点部を有する三角形状に形成された庇部51aの斜辺に沿って落下する。このうち、開閉弁部材73の開放作動時に弁プレート73bの下流側に位置していた遊技球は庇部51aの正面視右方の斜辺に沿って落下し、弁プレート73bの上流側あるいは球貯留部56bに位置していた遊技球は庇部51aの正面視左方の斜辺に沿って落下してそれぞれ底壁72dに到達し、後方に下傾する筋状突起77gの案内を受けて第2球抜き通路77の通路底壁77c上へと流入する。第2球抜き通路77に流入した遊技球は、通路底壁77c,77aを転動流下し、通路下端の球排出口68を通って遊技補助盤側の抜き球受容口38に流入する。そして集合回収口26から下球皿連絡バケット37に流下して下通出口27を通って下球皿7に導かれる。
このとき、段差56dよりも下流側の流下案内部56aに位置する遊技球は、上記第2球抜き機構70による球抜き作業により影響を受けることがない。このため、第2球抜き機構70による球抜き中であっても、流下案内部56aに貯留された遊技球が発射球整列通路57に整列されて安定した球流れで球送り装置に導かれ、球送りカム59cにより1球ずつ発射レール22に送り出されて、安定した発射状態を維持することができる。これにより遊技者は、遊技球の発射状態を安定的に維持したまま、大当たりによる賞球の払出状況や貯留案内皿56における貯留球の増減状況等を見ながら、適宜下球皿7への球抜き作業を容易に行うことができる。
なお球抜きを終了するときには、開放位置に押圧保持していた操作ボタン75bの押圧力を解除すればよい。すると、圧縮バネ74に蓄えられたバネ力によりバネ係合部75cと一体に構成されているロッド75aがロッドガイド52g,53gの案内を受けて前方へ移動してバネ係合部75cと第1ロッドガイド52gの後方端面が当接するとともに、ロッド75aと連結する開閉弁部材73がクランク部73cとガイド突起53cのスライド案内を受けて前方へスライドし、弁プレート部73bが球抜き口71を塞いで開閉弁部材73が閉鎖位置で保持される。
一方、上記同様に貯留案内皿56の上流部まで多数の遊技球が貯留された状態で遊技を終了し、貯留された遊技球を全量球抜きするような場合には、上述した第1球抜き機構60と第2球抜き機構70の両方を利用して球抜き作業を行うことが好適である。すなわち第1球抜き機構60および第2球抜き機構70をともに開放状態にすると、貯留案内皿56の下流側から発射球通路57および第1球抜き通路67を介して遊技球が下球皿7に流下されるとともに、貯留案内皿56の上流側から第2球抜き通路77を介して遊技球が下球皿7に流下される。これにより、第1または第2球抜き機構の何れか一方を用いるよりも迅速な球抜きが可能になり、球抜き作業を早期に終了することができる。
従って、以上説明したような構成によれば、貯留球数が少ない状態での安定した球流れと、貯留球数が増大した状態での下流側の遊技球に対する圧力の抑制とを両立させた球皿を提供することができるとともに、球送り装置への球流れを妨げることなく球抜きを行うことができ、かつ迅速な球抜き作業も可能な球皿を提供することができる。また、球抜き操作を行う操作ボタン75bが、上球皿の前方外面を形成する外装体52の外縁と略一体となるようにして設けられて、押圧操作可能に構成されているため、遊技者が、起立・着席する際に上球皿5に手がかかったり上球皿5の前縁部に当接したりしても開閉弁部材73が開いて球抜きされてしまうようなことがなく、誤操作を有効に防止し得る球皿を提供することができる。
なお、第2球抜き通路77の途上に、あて板51を前後に貫通して開口する第2球排出口を形成するとともに、上球皿5の閉鎖姿勢でその後方に位置するスピーカーカバー31の整合位置に、第2球排出口と対峙して連絡する第2抜き球受容口を設け、第2球抜き機構を利用した球抜き操作によって球抜き口71に流入した遊技球を、第2球排出口から代2抜き球受容口を通してこぼれ球通路36に流入させ、こぼれ球通路36を介して下球皿7に流下させるように構成してもよい。
このような構成によれば、上記実施形態の球抜き機構70と同様の効果を得ることができることに加えて、球抜き口71に流入した遊技球をこぼれ球通路36を介して下球皿に流下させる構成により、第1および第2球抜き機構を同時に球抜き操作したときの下球皿7への単位時間当たりの流下量を増大させることができ。これにより単一の球排出口68を通して流下させる場合よりも迅速な球抜き作業を行うことができる。
なお、以上では、球抜き口71を開閉する開閉弁部材73の変移形態として、前後方向に延びる球抜き口の下方に設けたガイド突起と、開閉弁部材73に設けたクランク部との係合案内によって前後方向にスライドさせる形態を例示したが、開閉弁部材の変移形態は開閉弁部材を前後方向に摺動させて球抜き口71を開閉し得るものであれば他の形態であってもよく、例えばリンクを介して操作部材を押圧したときに開閉弁部材が前方に摺動変化して球抜き口71を開閉するように構成してもよい。
さらに、実施形態では、本発明に係る球皿の構成を、上下2段の球皿(上球皿5、下球皿7)を有するパチンコ機に適用した場合を例示したが、単段の球皿を有するパチンコ機やアーケードゲーム機、スマートボール機等についても、遊技球を貯留する球皿を有する弾球遊技機であれば同様に適用し同様の効果を得ることができる。