JP4311312B2 - 時系列データ管理方法およびプログラム - Google Patents

Description

本発明は、時系列データ管理方法および時系列データ管理用プログラムに関する。

最新のデータを記録しておくためのバッファ制御技術としてリングバッファ（ring buffer）が知られている。このようなリングバッファの一般的な問題として、リングバッファに記録する各データの長さが一定していない（可変長の）場合、リングバッファに記録されている最古データあるいはそれに近い古いデータの先頭位置の把握ができないという点が挙げられる。
可変長データの場合、各データの先頭位置はそれより前のデータに依存するため、データの先頭は決まった位置に固定されないために、最古データ等の先頭位置の把握が困難である。リングバッファにおいて、最古データの先頭位置を示す情報を保持するとともに、古いデータを上書きする度に最古データの先頭位置を示す情報を更新していく解決方法とすると、データ書き込みのための処理量が増加するという問題が生じてしまう。

また複数の時系列データ生産者が存在する場合に関して問題がある。
リングバッファ技術を、複数の時系列データ生産者が存在する場合に適用する方法は２種類考えられている。
第一の方法は、１つのリングバッファを複数のデータ生産者で共有する方法である。この方法の問題点は、あるデータ生産者がデータを書き込もうとする際に、他のデータ生産者との間でバッファの使用について排他制御を行う必要がある点である。
この排他制御は個々のデータ書き込み操作に対して賦課されることになるため、バッファへの書き込み操作に必要な処理が増加する（バッファへの書き込み性能が低下する）ことになる。

第二の方法は、各データ生産者に対して１つのみのリングバッファを割り当てる方法である。この方法では、第一の方法における排他制御の問題は生じないが、バッファの有効利用の点で問題が生じる。すなわち、各データ生産者が生産するデータの時間的割合に著しい不均衡があると、バッファに記録できる時系列データの有効な時間長は、最も頻繁にデータを生産する生産者のバッファが一杯になるまでの時間で決められてしまい、データ生産頻度の低いバッファは有効に利用されない点である。

例えば、生産者１と２の単位時間当たりのデータ生産量が、それぞれ1と０．１であり、各生産者に容量1のリングバッファ（バッファ１および２とする）が割り当てられているとすると、バッファ1および２が保持する時系列データの時間長は、それぞれ、1と10となる。この場合、バッファ全体（バッファ１と２の両方）として保持可能なデータの時間長は、各バッファが保持するデータの時間長の中で最も短い時間、すなわち、１（バッファ１）となる。なぜなら、バッファ１に保持されていない時間帯については、「各生産者が作成した各データは、そのデータ作成時刻順に取り出す必要がある」という条件を満たせないためである。このため、バッファ２において（現在時刻−１０）から（現在時刻−１）のデータを保持するバッファ領域は、有効に活用されていないことになる。なお一般に、各生産者のデータ生成頻度の予測は不可能であり、また、各生産者のデータ生成は、状況によって変化することもあるので、予め最適な容量のバッファを各生産者に割り当てておくことはできず、割り当ては効率的にもバッファ量の点でも不利である。
第二の方法における別の問題点として、データ作成時刻順（時系列順）に、各データを取り出すことができない点がある。

たとえば、特許文献１には、時系列データファイル方式の発明が記載されている。この文献の図３には、ファイル領域とファイル管理情報の構成例が示されている。そして、この文献には、ファイル領域のデータレコード及び空きレコード長を固定に限定されている。
しかしながら、この文献の発明では、複数データ生産者の状況が１つのバッファに書き込みを行うと、バッファ使用に対して生産者間で調整が必要になるという問題点が存在する。

また、特許文献２には、記憶制御装置の発明が記載されている。そしてこの文献の図１には、管理情報記憶部内に、第１のポインタと第２のポインタとが示されている。しかしながら、ここでいう第１のポインタは次のデータがデータ記憶部に格納されるべき領域の先頭アドレスを指定するものであり、また、第２のポインタは、最も古い有効なデータがデータ記憶部に格納された領域の先頭アドレスを指定するものであり、使用されるポインタが、本発明とは異なっている。

また、特許文献３には、各データ生産者について、リングバッファを形成し、バッファが不足した場合には、使用済みのバッファから、アルゴリズムによって１つを選択し、再利用する発明が開示されている。
特開平６−２６６８５５号公報 特開平１１−７３３６７号公報 特許第３３６５３７２号公報

従来の時系列データ記録用バッファ管理方法では、時系列データ生産者が複数の場合には、排他制御のためのオーバーヘッドやバッファの利用効率の点で問題があった。
また、可変長のデータである場合には、最古等のデータの先頭位置を把握することが困難であるという課題もあった。

本発明は、第１の態様として、複数の時系列データ生産手段からのデータを複数のバッファ・エレメントに分割されたバッファに記録する準備として、各時系列データ生産手段に対応するリストにバッファ・エレメントをつなぎ、それ以外のバッファ・エレメントを全体リストにつなげ、順序カウンタに予め決められた初期値を設定する初期化ステップと、時系列データ生産手段からのデータ書き込み要求を受け、当該データをバッファに書き込む書き込みステップの前に当該書き込み先となるバッファ・エレメントのデータ記録領域が不足するか否かを判断するステップと、バッファ・エレメントのデータ記録領域が不足する場合に、書き込み手段からのバッファ割り当て要求を受け、未使用のバッファ・エレメントが存在するか否かを判断するステップと、未使用のバッファ・エレメントが存在する場合には該未使用のバッファ・エレメントを、存在しない場合には時刻の最も古いデータを記録しているバッファ・エレメントを時系列データ生産手段からのデータの書き込み先として割り当てるステップとを有し、書き込みステップにおいては、順序カウンタから現在のカウント値を取得するとともに、その値に１を加えた値を該順序カウンタに設定し、データ書き込み位置情報が指し示すデータ記録領域に、時系列データ生産手段から渡された書き込むべきデータと、時系列データ生成手段が内部に備える時計に基づく時刻を示す値である時刻情報と、順序カウンタを参照して得た現在の順序値とを書き込み、データ書き込み位置情報を更新することを特徴とする時系列データ管理方法を提供するものである。

上記本発明の第１の態様においては、バッファ・エレメントのデータ記録領域が不足するか否かを判断するステップにおいては、全体リストの末尾に位置するバッファ・エレメントを示す末尾ポインタの指すバッファ・エレメントを書き込み先バッファ・エレメントとし、データ書き込み位置情報を参照してデータ記録領域の残りのサイズを調べ、書き込むべきデータが書き込める空き領域の有無を判断し、バッファ・エレメントのデータ記録領域が不足するか否かを判断するステップで空き領域があると判断した場合に、書き込みステップを行うことが好ましい。

また、本発明は、第２の態様として、複数の時系列データ生産手段からのデータを複数のバッファ・エレメントに分割されたバッファに記録する準備として、各時系列データ生産手段に対応するリストにバッファ・エレメントをつなぎ、それ以外のバッファ・エレメントを全体リストにつなげ、順序カウンタに予め決められた初期値を設定する初期化ステップと、時系列データ生産手段からのデータ書き込み要求を受け、当該データをバッファに書き込む書き込みステップの前に当該書き込み先となるバッファ・エレメントのデータ記録領域が不足するか否かを判断するステップと、バッファ・エレメントの記憶領域が不足する場合に、書き込み手段からのバッファ割り当て要求を受け、未使用のバッファ・エレメントが存在するか否かを判断するステップと、未使用のバッファ・エレメントが存在する場合には該未使用のバッファ・エレメントを、存在しない場合には時刻の最も古いデータを記録しているバッファ・エレメントを時系列データ生産手段からのデータの書き込み先として割り当てるステップとをコンピュータに実行させ、書き込みステップにおいては、コンピュータに、順序カウンタから現在のカウント値を取得するとともに、その値に１を加えた値を該順序カウンタに設定させ、データ書き込み位置情報が指し示すデータ記録領域に、時系列データ生産手段から渡された書き込むべきデータと、時系列データ生成手段が内部に備える時計に基づく時刻を示す値である時刻情報と、順序カウンタを参照して得た現在の順序値とを書き込ませ、データ書き込み位置情報を更新させることを特徴とする時系列データ管理プログラムを提供するものである。

上記本発明の第２の態様においては、バッファ・エレメントのデータ記録領域が不足するか否かを判断するステップにおいては、コンピュータに、全体リストの末尾に位置するバッファ・エレメントを示す末尾ポインタの指すバッファ・エレメントを書き込み先バッファ・エレメントとし、データ書き込み位置情報を参照してデータ記録領域の残りのサイズを調べ、書き込むべきデータが書き込める空き領域の有無を判断させ、バッファ・エレメントのデータ記録領域が不足するか否かを判断するステップで空き領域があると判断した場合に、書き込みステップを行わせることが好ましい。

本発明によって得られる第１の効果は、データ書き込みにおける他のデータ生産者との間でのバッファ使用についての排他制御を不要にできる。
その理由は、各時系列データ生産者のデータ書き込み先バッファ・エレメントを別に構成したためである。

本発明によって得られる第２の効果は、固定サイズのバッファ・エレメントを各時系列データ生産者に割り当てる制御の際に発生するバッファ利用効率の問題を回避できることにある。
その理由は、各時系列データ生産者へのバッファ割り当てが動的に行われるためである。

本発明によって得られる第３の効果は、最新の時系列データを絶えず記録する状況において、最古またはそれに近いデータの先頭（区切り）を認識することができる。
その理由は、各バッファ・エレメントには、データ記録領域の先頭からデータが書き込まれるように構成されているためである。

本発明は、時系列データ記録用バッファを複数の部分（バッファ・エレメント）に分割して管理する時系列データ管理方法および時系列データ記録用バッファ管理用プログラムであり、下記の特徴を持つものである。
１）各生産者に対して動的にバッファを割り当てる。すなわち、各生産者のデータ書き込みが進捗していくのに伴い、それまでのバッファの使用状況に基づいて、各生産者へのバッファ割り当てを行う。
２）バッファに空き領域がなくなった（全バッファ・エレメントを使い終えた）場合、最も古いデータを記録しているバッファ・エレメントを再利用する。これにより、リング・バッファと同様、バッファ全体として常に最新のデータを記録する。
３）バッファ・エレメントの先頭にはデータの最初から記録する。これにより各データの長さが一定でない場合でもデータの先頭を容易に見つけることができる。このデータの最初とは、一回の書込み操作によって、バッファに書き込む１データの先頭を言い、換言すれば、バッファ・エレメントの先頭にデータの境界を合わせてデータを書き込むことを言う。
４）各生産者が書き込むデータの発生時刻順を示す値を各データに付与して時系列データ記録用バッファに書き込む。

このような本発明を実現するために、管理手段に初期化手段、割り当て手段、書き込み手段、管理データ保持手段を持たせ、各バッファ・エレメントには、リストのためのポインタ（２種類）を持たせる。複数のバッファ・エレメントは、管理データ保持手段内の各ポインタを用いた２種類のリスト（全体リストおよび生産者リスト）で管理する。初期化手段は、時系列データ生産者からのデータをバッファに記録する前準備として、全体リストと生産者リストの初期化を行う。

割り当て手段は、全体リストの先頭にあるバッファ・エレメントを全体リストから取り外し、バッファ割り当てを要求したデータ生産者に対応するリストの末尾につなぐ機能を有する。書き込み手段は、生産者が生成したデータをバッファ・エレメント内部に書き込む機能を有する。このとき、バッファ・エレメント内の領域が不足する場合には、割り当て手段に新しいバッファを割り当てる要求を行い、その結果として得られる新しいバッファに対してデータの書き込みを行う。

本発明は、複数の時系列データ生産者が存在する場合のデータ記録を効率的に行うため、時系列データ記録用バッファを、複数のバッファ・エレメントに分割して管理するようにしている。この際に、本発明では、データ生産者毎のリストにより管理し、また、本発明では、時刻順に並べたリストの２種類のリストを用いて、バッファを管理している。
このような本発明の時系列データ記録用バッファ管理方法および時系列データ記録用バッファ管理用プログラム等の発明について、実施の形態により、説明する。まず、第１実施形態の構成について、図面を参照して詳細に説明する。

図１は、本発明の時系列データ記録用バッファ管理方法に使用される装置またはシステムの構成例を示し、第１の実施形態では、図１に示すように、管理手段１と、複数のバッファ・エレメント（本実施形態ではa〜hおよびｊ）２と、複数の時系列データ生産者（データ生産手段）３と、時計４とを含む構成となっている。そして管理手段１は、初期化手段１０１と、割り当て手段１０２と、書き込み手段１０３と、管理データ保持手段１０４とを有して構成される。
また図２に示すように、各バッファ・エレメント２（２−ａ〜２−ｊ）は、全体リスト用ポインタ２０１と、生産者リスト用ポインタ２０２と、生産者番号情報部２０３と、データ書き込み位置情報部２０４と、データ記録領域部２０５とを含んで構成される。

全体リストポインタは、全体リストのポインタである。生産者リスト用ポインタ２０２は、生産者リストのポインタである。生産者番号情報部２０３は、生産者毎にその生産者を識別する番号の情報を管理する機能を有する。データ書き込み位置情報部２０４は、データ書き込み位置の情報を保存し管理する機能を有している。データ記録領域部２０５は、全体リスト、生産者リストなどを含むデータをその領域に分けて記録する機能を有する。本実施形態では、全体リスト、生産者リストをリストポインタで構成されることとしたが、バッファ・エレメントの順序を管理できる方法であれば、特に制限されず使用でき、本発明では、このような他のバッファ・エレメントの順序を管理できる方法も含む。

本実施形態では、時系列データ生産者の数を３として説明するが、この数は単に説明をするための例示に過ぎず、この数は、２以上の任意の整数である。

管理手段１に含まれる各手段（１０１〜１０４）は、それぞれ、図３に示すように、概略つぎのように動作する。
初期化手段１０１は、時系列データ生産者３（３−１〜３−３）からのデータをバッファに記録する準備操作（初期化操作：ステップＳ１）を行う。

書き込み手段１０３は、時系列データ生産者３からのデータ書き込み要求を受け（ステップＳ２）、そのデータをバッファに書き込む。その際に、書き込み先となるバッファ・エレメント２のデータ記録領域が不足する場合には（ステップＳ３でＹｅｓの場合）、割り当て手段１０２を用いて新たなバッファを割り当て、そのバッファを新たな書き込み先バッファ・エレメント２とする。

割り当て手段１０２は、書き込み手段１０３からのバッファ割り当て要求を受け、未使用のバッファ・エレメントが存在する場合（ステップＳ４でＹｅｓの場合）には、未使用の未使用のバッファ・エレメントを割り当て、未使用のバッファ・エレメントが存在しない場合（ステップＳ４でＮｏの場合）には、時刻の最も古いデータを記録しているバッファを割り当てる（ステップＳ５）。

なお時系列データ生産者３は、少なくともＣＰＵまたはＭＰＵなどのプロセッサであってよく、また、バッファ・エレメントは記憶部の各エリアに分割したものであってもよく、各バッファ・エレメントは同一または別個独立した記憶媒体で構成されていてもよい。また、時系列データ生産者３がＣＰＵまたはＭＰＵなどのプロセッサの場合には、それらのプロセッサが管理手段の処理（たとえばポインタの付け替え処理など）を実行してもよい。すなわち、本実施形態では、時系列データ生産者３と、管理手段と、バッファ・エレメントとが、１台のコンピュータで構成されていてもよい。これらの手段がバス等を介して接続されていることが好ましい。

また、本実施形態では、時系列データ生産者３は、コンピュータ（クライアントコンピュータ）であり、管理手段は、別のコンピュータであり（ＣＰＵまたはＭＰＵを有するサーバであり）、バッファ・エレメントは、管理手段に支配される管理手段と独立したかまたは管理手段内のストレージであってよい。バッファ・エレメントが管理手段内に存在する構成の場合には、このバッファ・エレメントは、揮発性および／または永続型（パーマネント：不揮発型）の記憶媒体などの記憶手段となっており、このような管理手段は、通信手段を有するサーバ側のコンピュータである。また時系列データ生産者３は、パーソナルコンピュータ、携帯電話、ＰＤＡなどの端末であってよい。これらは、管理手段と、有線又は無線を介して、接続されているようにしてもよい。

これらの接続手段は、インターネット回線であってもよく、ＷＡＮ（wide area network）あるいはＬＡＮ（local area network）であってもよい。また管理手段１は、前記したインターネット回線等でバッファ・エレメントと接続されていてもよい。この場合、バッファ・エレメントは、データベースとしてインターネット上に存在してもよく、管理手段１に従属するスレーブ型コンピュータ内のバッファ・エレメントとして含まれていてもよい。

〈第１実施形態の動作例〉
本発明に係る時系列データ記録用バッファ管理方法等の第１の実施形態の動作例について、詳細に説明する。
本発明に係る時系列データ記録用バッファ管理方法に使用される装置またはシステムは、管理手段と、複数のバッファ・エレメントと、複数の時系列データ生産手段と、時計時刻設定手段とを有して構成される。

管理手段は、時系列データ生産者から生産されたデータに対して動的にバッファを割り当て、バッファに空き領域がなくなった場合には、最も古いデータを記録しているバッファ・エレメントを再利用して、バッファ全体として常に最新のデータを記録し、バッファ・エレメントの先頭にはデータの最初から記録するように管理する機能を有する。
バッファ・エレメントは、時系列データ生産手段（時系列データ生産者）から生産されたデータを管理手段の命令に従って保存するエレメントである。
時系列データ生産手段（たとえば、時系列データ生産者）は、あるデータを時系列に生産するための入力装置またはＣＰＵあるいはＭＰＵである。

まず、初期化手段１０１は、時系列データ生産者３からのデータをバッファに記録する準備操作（初期化操作）として、各時系列データ生産者３−１〜３−ｎに対応するリストに１個ずつバッファ・エレメント２−ａ〜２−ｊ（この例ではa, d, g）をつなぎ、他のバッファ・エレメントを全体リストにつなげる。ここで、「つなげる」操作は、「リスト構造を作成するために用意したポインタ領域に、バッファ・エレメントのアドレスを設定する」操作を意味している。すなわち、この例では、管理データ保持手段１０４内の「生産者１ 先頭」および「生産者１ 末尾」というポインタ変数（２変数）に、バッファ・エレメントｄのアドレス、管理データ保持手段１０４内の「生産者３ 先頭」および「生産者３ 末尾」というポインタ変数（２変数）に、バッファ・エレメントｇのアドレスを設定することが、時系列データ生産者３−１〜３−ｎに対応するリストに、バッファ・エレメントを「つなげる」操作である。また、他のバッファ・エレメントを全体リストに「つなげる」操作は、たとえば、以下のように操作する。

管理データ保持手段１０４内の「全体 先頭」ポインタに、バッファ・エレメントｂのアドレスを設定し、
バッファ・エレメントｂ内の全体リスト用ポインタに、バッファ・エレメントｃのアドレスを設定し、
バッファ・エレメントｃ内の全体リスト用ポインタに、バッファ・エレメントｅのアドレスを設定し、
バッファ・エレメントｅ内の全体リスト用ポインタに、バッファ・エレメントｆのアドレスを設定し、
バッファ・エレメントｆ内の全体リスト用ポインタに、バッファ・エレメントｈのアドレスを設定し、
バッファ・エレメントｈ内の全体リスト用ポインタおよび管理データ保持手段１０４内の「全体 末尾」ポインタに、バッファ・エレメントｊのアドレスを設定する操作である。

また、「バッファ・エレメントにつながっている」とは、前記「バッファ・エレメントにつなげる」操作の結果、管理データ保持手段内の各ポインタおよび各バッファ・エレメントのリスト用ポインタによって適切なつながりが設定されて、各バッファ・エレメント間に順序付けられた関係が設定された状態を言う。上記「「全体 先頭」および「生産者１ 先頭」などは、本明細書では、全体リストおよび生産者リスト中の先頭のことを意味するように使用する。

この初期化操作により、
1」 全体リストにつながるバッファ・エレメントは b, c, e, f, h, jという状態になり、
2」生産者リストの1, 2, 3は夫々a, d, gという図４に示すような状態になる。

次に、書き込み手段の動作について説明する。最初にバッファ・エレメント２を管理する各リストが図１の状態になっているものとして説明する。
まず、時系列データ生産者３がバッファに書き込むデータを生成すると、時系列データ生産者は、書き込み手段を起動する。この際すなわち書き込み手段を起動後に、時系列データ生産者は、書き込むべきデータ（たとえばその内容とサイズ）および自分の番号（この説明では生産者３（時系列データ生産者３−３））を書き込み手段に渡す。

書き込み手段１０３は、末尾ポインタの指すバッファ・エレメント（この説明ではｊ）を書き込み先バッファ・エレメントとし、そのデータ書き込み位置情報を参照してデータ記憶領域の残りサイズを調べ、書き込むべきデータを書き込むための空き領域があるかどうかを判断する。
その結果、書き込み可能と判断された場合には、書き込み手段は、データ書き込み操作を以下のように実行する。

すなわち、書き込み先バッファ・エレメントにおいて、
1」データ書き込み位置情報が指示したデータ記憶領域に、時系列データ生産者から渡された書き込むべきデータと、時計を参照して得た現在時刻を示す値とを、時刻情報として書き込み、次いで、
2」データ書き込み位置情報を更新、すなわち、書き込んだデータおよび時刻情報が、データ記憶部２０５内で占める領域の大きさ（データのサイズ）を、そのバッファ・エレメント２内データ書き込み位置情報部２０４に保持された値に加算する操作を行うことである（ステップＳ１）。

また、書き込み手段１０３が、前記したデータを書き込むための空き領域があるかどうかを判断した結果、書き込み不可能（領域不足）であると判断した場合には（ステップＳ３／Ｙｅｓ）、書き込み手段１０３は、割り当て手段１０２に対して、書き込み手段１０３が対応している時系列データ生産者３−３の番号（この説明例では３）を渡して、バッファ・エレメントの割り当て要求を行う。

割り当て手段１０２は、書き込み手段１０３からバッファ・エレメント割り当て要求を受け取ると、まず、管理データ保持手段内の全体リスト管理情報の先頭ポインタの指すバッファ・エレメント（この説明では全体リスト管理情報の先頭ポインタのa）を取り外す。
この取り外し操作は、
1)取り外すバッファ・エレメント（この説明ではバッファ・エレメント２−aの全体リスト用ポインタの内容（この説明ではバッファ・エレメントa 内の（図１の管理データ保持手段１０４内にある「全体 先頭 ａ」の内容）d）を、全体リスト管理情報の先頭ポインタａにコピーする。
2）取り外すバッファ・エレメント（この説明ではバッファ・エレメントa）の生産者リスト用ポインタの内容（この説明ではバッファ・エレメントa 内のb）を、取り外すバッファ・エレメント（この説明ではバッファ・エレメントa）の生産者番号情報に格納された生産者番号（この説明ではバッファ・エレメントａ内の1）に対応する管理データ保持手段１０４内のリスト管理情報の先頭ポインタにコピーするというようにして、管理情報の変更を行う。

次に、割り当て手段１０２は、取り外したバッファ・エレメント２（この説明ではバッファ・エレメントa）を、書き込み手段より渡された生産者番号（この例では図１に示す管理データ保持手段１０４内の生産者3）に対応するリストの末尾ｌにつなぎ込むために、全体リスト更新操作と、つなぎ込み操作と、バッファ・エレメント２の初期化操作とを実行する。ここで、「生産者３に対応するリストの末尾に、バッファａをつなぎこむ操作」とは、生産者３に対応するリストに関してバッファ・エレメントが、図１に示すように、ｇ、ｈ、ｊの順に３つがつながった状態（バッファ・エレメントａをつなぎこむ前の状態）を、ｇ、ｈ、ｊ、ａの順に４つがつながった状態（バッファ・エレメントａをつなぎこんだ後の状態）に変更する操作を行うことである。

以下の説明では、書き込み手段１０３により渡された生産者番号に対応する管理データ保持手段１０４内のリスト管理情報の末尾ポインタが指し示すバッファ・エレメント２（この説明ではバッファ・エレメントj）を、操作対象エレメント（操作対象バッファ・エレメント）と呼ぶ。まず、全体リスト更新操作について説明すると、この操作は、操作対象のエレメント（この説明ではバッファ・エレメントj）を全体リストの末尾ｌにつなぎこむ操作である。

すなわち、操作対象エレメント（この場合はバッファ・エレメントj）の示す値を、全体リストの末尾ポインタが指し示すバッファ・エレメント（この説明ではb）の全体リスト用ポインタ、および、管理データ保持手段１０４内の全体リスト管理情報の末尾ポインタｂ（図１の管理データ保持手段１０４内の「全体 末尾 ｂ」）にコピーする。

取り外したバッファ・エレメントのつなぎ込み操作は、取り外したエレメント（この説明ではa）を示す値を、操作対象エレメントの生産者リスト用ポインタ、および、書き込み手段より渡された生産者番号（この例では図１の管理データ保持手段１０４内の生産者3）に対応するリスト管理情報の末尾ポインタｌ（図１の管理データ保持手段１０４内の「生産者３ 末尾ｌ」）にコピーする操作である。

バッファ・エレメントの初期化操作は、
1)取り外したバッファ・エレメント（この説明ではバッファ・エレメントa）のデータ書き込み位置情報を、自分（この説明ではバッファ・エレメントa）のデータ記憶領域の先頭を示す値にし、
2)取り外したバッファ・エレメント（この説明ではバッファ・エレメントa）の生産者番号情報に、書き込み手段１０３から渡された生産者番号（この例では図１の管理データ保持手段１０４内の「生産者３」の番号）３を書き込む、という管理情報の変更の操作である。

以上、本実施形態で実行したバッファ割り当て操作例である図１のバッファ状態に対して実施された結果を、図５に示す。
割り当て手段１０２による割り当て操作が完了した直後のバッファ・エレメント２では、そのデータ書き込み位置情報が、データ記憶領域の先頭を指している（すなわち、これはデータ記録領域全体が空き領域であることを意味する）ため、書き込み手段１０３によるデータ書き込みが可能な状態となる。

書き込み手段１０３は、割り当てられたバッファ・エレメント２を書き込み先バッファ・エレメントとして、前記のデータ書き込み操作を行う。
以上の操作により、全体リストには、現在書き込み対象となっているバッファ・エレメントを除く全バッファ・エレメントが、各バッファ・エレメントが使い終わった時刻順に並ぶことになる。また、各時系列データ生産者に対応する各リストには、その時系列データ生産者からのデータが書き込まれた順に並ぶことになる。

以上説明したような操作により、バッファに記録されている各データにはバッファに書き込まれた時刻が付与されることになるので、全時系列データ生産者が生成したデータを、その時刻順に取り出す（読み出し操作）ことが可能である。なお、本実施形態では、説明上、ひとつの時系列データ生産者が、バッファ・エレメントの要求、設定、使用および／または開放などを行うことを前提にしている。これらは、実際の応用においてもバッファ・エレメントの要求、設定、使用および／または開放などを複数の異なるステップあるいはプロセスで行われこともあり、このような場合でも、本発明の方法を自在に変更あるいは変形して適用可能である。

本発明の第１実施形態では、各時系列データ生産者のデータ書き込み先バッファ・エレメントが別に設けられる構成としたため、データ書き込みにおける他のデータ生産者との間のバッファ使用について、排他制御を不要にすることができる。

また、本発明の第１の実施例では、各時系列データ生産者へのバッファ割り当ては動的に行われ、割り当ての順番は各バッファ・エレメントが使い終わった時刻順となるように構成されているため、固定サイズのバッファを各時系列データ生産者に割り当てる制御発生するバッファ利用効率の問題、すなわち、バッファに記録されている時系列データの時間長が短くなる問題は生じない。

さらに、本発明の第１の実施例では、各バッファ・エレメントではデータ記録領域の先頭からデータが書き込まれるように構成されているため、最新の時系列データを絶えず記録する状況において、最古（に近い）データの先頭（区切り）を認識することができる。

本発明では、上述したように、各時系列データ生産者に対して、動的にバッファを割り当てている。すなわち、各時系列データ生産者のデータ書き込みが進捗していくのに伴い、それまでのバッファの使用状況に基づいて、各生産者へのバッファ割り当てを行っている。

〈第２実施形態〉
次に、本発明の第２の実施形態の構成について図面を参照して詳細に説明する。
図６に示すように、本発明の第２の実施形態は、管理手段１と、複数のバッファ・エレメント（本実施形態ではa〜hおよびｊ）２と、複数の時系列データ生産者３と、時計４と、順序カウンタを含む構成となっている。そして管理手段１は、第１実施形態の構成と同様に、初期化手段１０１と、割り当て手段１０２と、書き込み手段１０３と、管理データ保持手段１０４とを有して構成されている。バッファ・エレメントの構成は第１実施形態と同じである。また、これらの手段の動作は、第１実施形態と略同一である。
ただし、本実施形態では、第１実施形態と異なり時系列生産者には、時計（時刻設定手段）４が内蔵されており、また順序カウンタ５をさらに有して構成されている。

次に、本発明の第２の実施形態の動作について、第１の実施形態と異なる部分について、詳細に説明する。
初期化操作では、第１の実施形態で行った初期化操作に加え、順序カウンタをリセット（予め決められた初期値を設定）する操作を行う（ステップＳ１'）。
時系列データ生産者３が、バッファ・エレメントに書き込むデータを生成した際の書き込み手段の起動では、時系列データ生産者３から書き込み手段１０３に渡す情報として、第１の実施形態で記載した情報に加え、時系列生産者３が内部に持っている時計を参照して得た現在時刻を示す値を時系列生産者３は、書き込み手段１０３に渡す。

書き込み手段１０３は、末尾ポインタの指すバッファ・エレメントを、書き込み先バッファ・エレメントとし、そのデータ書き込み位置情報を参照してデータ記憶領域の残りのサイズを調べ、書き込むべきデータを書き込む空き領域があるかどうかを判断する（ステップＳ３'）。
その結果、書き込み手段１０３が書き込み可能であると判断すれば、書き込み手段１０３は、データ書き込み操作を行う（ステップＳ６）。

この書き込み操作は、
１)順序カウンタから現在の順序値を取得するとともに、その値に１を加えた値を順序カウンタに設定し、
２)データ書き込み位置情報が指し示すデータ記憶領域に、時系列データ生産者から渡された、書き込むべきデータと、時刻を示す値（時刻情報）と、順序カウンタを参照して得た現在の順序値とを書き込み、
３)データ書き込み位置情報を更新、すなわち、書き込むべきデータと時刻情報と順序値のサイズ分、書き込み位置を進める（更新する）操作を行う。なお、判断の結果が書き込み不可能（領域不足）の場合の動作は、第１の実施形態と同じである。

またデータの読み出しにおいては、バッファに記録されている各データにバッファに書き込まれた順序を示す情報が付与されているので、データを読み出す際は、その順序順にデータを取り出すことで、全時系列データ生産者が生成したデータを、それらが書き込まれた順と同じ順序で読み出すことができる。

本発明によれば、時系列データ生産者が生産するデータの内、最近のデータを記録する目的で設置する時系列データ記録用バッファの制御に適用できる。
特に、
１）時系列データ生産者は複数存在する。
２）各生産者が作成した各データは、そのデータ作成時刻順に取り出す必要がある。
３）各データの長さは一定していない（可変長）、という環境下で使用する時系列データ記録用バッファの制御に適している。

本発明に係る時系列データ管理方法に使用される装置またはシステムの構成例を示す図である。 バッファ・エレメント２の構成例を示す図である。 管理理手段１に含まれる各手段（１０１〜１０４）の概略の動作例を示すフローチャートである。 初期化操作により、得られる状態例の説明をするための図である。 初期化操作によって得られた（つながった）状態の例を示した図である。 本発明に係る時系列データ管理方法に使用される装置またはシステムの他の構成例を示す図である。

符号の説明

１ 管理手段
２（２−ａ〜２−ｊ） バッファ・エレメント
３ 時系列データ生産者（時系列データ生産手段）
４ 時計
５ 順序カウンタ
１０１ 初期化手段
１０２ 割り当て手段
１０３ 書き込み手段
１０４ 管理データ保持手段
２０１ 全体リスト用ポインタ
２０２ 生産者リスト用ポインタ
２０３ 生産者番号情報部
２０４ データ書き込み位置情報部
２０５ データ記録領域部

Claims (4)

1. 複数の時系列データ生産手段からのデータを複数のバッファ・エレメントに分割されたバッファに記録する準備として、各時系列データ生産手段に対応するリストにバッファ・エレメントをつなぎ、それ以外のバッファ・エレメントを全体リストにつなげ、順序カウンタに予め決められた初期値を設定する初期化ステップと、
   時系列データ生産手段からのデータ書き込み要求を受け、当該データをバッファに書き込む書き込みステップの前に当該書き込み先となるバッファ・エレメントのデータ記録領域が不足するか否かを判断するステップと、
   前記バッファ・エレメントのデータ記録領域が不足する場合に、書き込み手段からのバッファ割り当て要求を受け、未使用のバッファ・エレメントが存在するか否かを判断するステップと、
   前記未使用のバッファ・エレメントが存在する場合には該未使用のバッファ・エレメントを、存在しない場合には時刻の最も古いデータを記録しているバッファ・エレメントを前記時系列データ生産手段からのデータの書き込み先として割り当てるステップとを有し、
   前記書き込みステップにおいては、
   順序カウンタから現在のカウント値を取得するとともに、その値に１を加えた値を該順序カウンタに設定し、
   データ書き込み位置情報が指し示すデータ記録領域に、前記時系列データ生産手段から渡された書き込むべきデータと、前記時系列データ生成手段が内部に備える時計に基づく時刻を示す値である時刻情報と、順序カウンタを参照して得た現在の順序値とを書き込み、
   データ書き込み位置情報を更新することを特徴とする時系列データ管理方法。
2. バッファ・エレメントのデータ記録領域が不足するか否かを判断するステップにおいては、前記全体リストの末尾に位置するバッファ・エレメントを示す末尾ポインタの指すバッファ・エレメントを書き込み先バッファ・エレメントとし、前記データ書き込み位置情報を参照してデータ記録領域の残りのサイズを調べ、書き込むべきデータが書き込める空き領域の有無を判断し、
   前記バッファ・エレメントのデータ記録領域が不足するか否かを判断するステップで前記空き領域があると判断した場合に、前記書き込みステップを行うことを特徴とする請求項１記載の時系列データ管理方法。
3. 複数の時系列データ生産手段からのデータを複数のバッファ・エレメントに分割されたバッファに記録する準備として、各時系列データ生産手段に対応するリストにバッファ・エレメントをつなぎ、それ以外のバッファ・エレメントを全体リストにつなげ、順序カウンタに予め決められた初期値を設定する初期化ステップと、
   時系列データ生産手段からのデータ書き込み要求を受け、当該データをバッファに書き込む書き込みステップの前に当該書き込み先となるバッファ・エレメントのデータ記録領域が不足するか否かを判断するステップと、
   前記バッファ・エレメントの記憶領域が不足する場合に、書き込み手段からのバッファ割り当て要求を受け、未使用のバッファ・エレメントが存在するか否かを判断するステップと、
   前記未使用のバッファ・エレメントが存在する場合には該未使用のバッファ・エレメントを、存在しない場合には時刻の最も古いデータを記録しているバッファ・エレメントを前記時系列データ生産手段からのデータの書き込み先として割り当てるステップとをコンピュータに実行させ、
   前記書き込みステップにおいては、前記コンピュータに、
   順序カウンタから現在のカウント値を取得するとともに、その値に１を加えた値を該順序カウンタに設定させ、
   データ書き込み位置情報が指し示すデータ記録領域に、前記時系列データ生産手段から渡された書き込むべきデータと、前記時系列データ生成手段が内部に備える時計に基づく時刻を示す値である時刻情報と、順序カウンタを参照して得た現在の順序値とを書き込ませ、
   データ書き込み位置情報を更新させることを特徴とする時系列データ管理プログラム。
4. バッファ・エレメントのデータ記録領域が不足するか否かを判断するステップにおいては、前記コンピュータに、前記全体リストの末尾に位置するバッファ・エレメントを示す末尾ポインタの指すバッファ・エレメントを書き込み先バッファ・エレメントとし、前記データ書き込み位置情報を参照してデータ記録領域の残りのサイズを調べ、書き込むべきデータが書き込める空き領域の有無を判断させ、
   前記バッファ・エレメントのデータ記録領域が不足するか否かを判断するステップで前記空き領域があると判断した場合に、前記書き込みステップを行わせることを特徴とする請求項３記載の時系列データ管理プログラム。

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