JP4302574B2 - バニシング加工方法とその加工装置 - Google Patents
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例えば特開平2−41870号公報に記載されているような工具を用い、旋削工具の刃先Rより充分大きな半径の球やコロをワーク表面に押し当て、回転当たりの送りピッチに一致する波形の高い部分あるいは、表面全てを塑性変形させて面を滑らかに加工する加工方法である。〔例えば特許文献1参照〕
しかし、旋盤で要求される自由曲面はマシニングセンタにおいて要求される自由曲面とは異なり比較的単純な形状が多い。〔例えば特許文献2参照〕
特開2003−39315号公報のバニシング加工技術はバニシング工具の撓みを検出してバニシング工具の接触位置のずれを補正するものであり旋削加工に適用されるものであり起伏の多い自由曲面には適用しても効果が充分でないという問題を有する。
また、金型では形状精度、面粗度共に高品質が要求される。そのため、バニシング工具の押付け力が過大になると被加工物表面から工具への金属片の付着が発生し面を毟れさせ、押付け力が弱いと前加工の凹部が残って面粗度が向上しないという問題があった。
なお、バニシング加工時の押付け力の法線方向を決定するのに自由曲面のCAMデータから導出することが可能である。この他、主軸のC軸制御機能またはC軸の回転角検出機能を活用して、バニシング加工できる自由曲面の傾斜角を広げる装置も提案する。
即ち、バニシング球に加わる反力即ち、押付け力の直交3軸方向の分力から作用点の法線方向と押付け力を演算し、それらの合力が法線方向の実際の押付け力として演算することができる。この法線方向押付け力を予め定めた設定法線押付け力との差を求め補正押付け量として求める。
ここで、センサユニットの3軸方向の歪を電圧の変化量で検出し、3軸方向の応力に変換して求めた押付け力から更に演算して求めた法線押付け力と予めプログラム上で設定する設定法線押付け力とは区別している。
補正押付け量は、計測し演算した法線押付け力と設定法線押付け力との差から演算される値であって、この補正押付け量によりバニシング工具の加工軌跡を変更して設定押付け力となるよう制御しながらバニシング加工をする加工方法である。
バニシング工具と、該バニシング工具の取付部分に取着されこの工具に働く工具押付け力を直交する3軸方向で検知可能に設けられたセンサユニットと、 該センサユニットの出力から求めた前記自由曲面上の加工点のバニシング工具に加わる3軸分力演算手段と、該3軸分力演算手段の出力から法線方向の押付け力を求める法線押付け力演算手段と、求められた法線方向押付け力と予め定めた設定法線押付け力との差を押付け力の補正押付け量として演算し押付け力の前記3軸分力演算手段から得られた3分力の合成ベクトルと方向が一致するよう補正押付け力を分解し各軸方向の補正押付け力を得る各軸方向の補正押付け力演算手段と、前記各軸補正押付け力とバニシング工具の剛性・機械構造体の剛性を用いて各軸の補正量を演算する各軸方向の補正量演算手段と、バニシングプログラムの加工データに前記各軸方向の補正量を補正する加工プログラム補正出力手段とを含んでなり、
この補正した加工プログラムの出力を3軸方向の移動部材の駆動部に入力して前記自由曲面の法線方向にバニシング工具を位置決めし法線押付け力を設定押付け力に近づけるようにするものである。
バニシング工具の変形は、3軸上の工具押付け力の反力として検出される。この数値から加工点の法線方向の押付け力を演算で求める。演算で求めた法線押付け力と、加工面に適合する設定法線押付け力とを比較する。この差から補正押付け量を演算し、補正押付け量を3軸成分に変換し機械駆動部制御系に入力してバニシング工具の位置を補正して法線押付け力を適正範囲に保ち面粗度向上の効果を得ようとするものである。
前記主軸に装着される工具本体部とバニシング加工用の球を支えるバックアップ軸部とをくの字状または湾曲状部分で繋いで一体に形成し前記球の中心を前記主軸の軸線上にあるように設けたバニシング工具と、
該バニシング工具の取付部分に取着されこの工具に働く工具押付け力を直交するX・Y・Z軸の3軸方向で検知可能に設けられたセンサユニットと、該センサユニットの出力から求めた前記自由曲面上の加工点のバニシング工具に加わる3軸分力演算手段と、
前記自由曲面の加工点における主軸に直交する平面内において、主軸軸線のZ軸方向以外の直交する前記X・Y軸の2分力の合力の方向と、バニシング加工用の球を支える主軸軸線と交叉し且くの字状または湾曲形状部分の軸線を含む方向とが一致するように主軸を回転制御する主軸制御手段と、
前記主軸を回転制御して得たX・Y軸成分の合成ベクトル成分と主軸軸線のZ軸方向の分力とから法線方向の押付け力を求める法線押付け力演算手段と、求めた法線押付け力と加工プログラム上の設定法線押付け力との差を押付け力の補正押付け量として演算し押付け力の前記3軸分力演算手段から得られた3分力の合成ベクトルと方向が一致するよう補正押付け力を分解し各軸方向の補正押付け力を得る各軸方向の補正押付け力演算手段と、前記各軸補正押付け力とバニシング工具の剛性・機械構造体の剛性を用いて各軸の補正量を演算する各軸方向の補正量演算手段と、バニシングプログラムの加工データに前記各軸方向の補正量を補正する加工プログラム補正出力手段とを含んでなり、
この補正した加工プログラムの出力を3軸方向の移動部材の駆動部に入力して被加工物とバニシング工具の干渉を避けて傾斜角の大きな自由曲面の加工を可能としたものである。
前記主軸に装着される工具本体部とバニシング加工用の球を支えるバックアップ軸部とをくの字状または湾曲状部分で繋いで一体に形成し前記球の中心を前記主軸の軸線Z軸に対しオフセットするように設けられたバニシング工具と、
該バニシング工具の取付部分に取着されこの工具に働く工具押付け力を少なくとも主軸回転軸方向の力とバニシング加工用の球が主軸回転中心からオフセットした方向のX・Y軸の2軸方向または直交するX・Y・Z軸の3軸方向で検知可能に設けられたセンサユニットと、
バニシング加工中にバニシング球に加わる主軸回転中心と直交するX・Y軸方向の押付け力の内主軸軸線とオフセット半径Rを含む平面に直角な成分が正対し平衡状態になる時の主軸の回転角度を読み取り可能な回転角読取手段と、
前記2軸または3軸方向の分力と前記回転角度とから法線押付け力を求める法線押付け力演算手段と、求めた法線押付け力と加工プログラム上の設定法線押付け力との差を補正押付け量として演算し押付け力の前記3軸分力演算手段から得られた3分力の合成ベクトルと方向が一致するよう補正押付け力を分解し各軸方向の補正押付け力を得る各軸方向の補正押付け力演算手段と、前記各軸補正押付け力とバニシング工具の剛性・機械構造体の剛性を用いて各軸の補正量を演算する各軸方向の補正量演算手段と、バニシングプログラムの加工データに前記各軸方向の補正量を補正する加工プログラム補正出力手段とを含んでなり、この補正した加工プログラムの出力を3軸方向の移動部材の駆動部に入力して主軸軸線からオフセットしたバニシング球が自由曲面の傾きにならい旋回を自在にすることにしたのでバニシング球を保持するバニシング工具本体が被加工物との干渉を避けるための主軸回転制御を不要になったものである。
従って、主軸軸線方向分力と、θが加工点の法線方向を示すことになるので、分力fx,fyとを用い、主軸軸線からバニシング球の中心のオフセット方向の工具押付け力を演算するだけで良く制御が単純となる利点がある。
請求項1の発明は、金型の自由曲面上の加工点に法線方向に加えるバニシング工具の押付け力を設定値内になるよう移動部材を制御しバニシング加工する加工法であり、機械の熱変形や曲面の勾配の急変などに起因するバニシング力の変化を補償してバニシング加工する。
本発明によるバニシング加工方法によれば、バニシング加工圧力を制御しないバニシング加工に比べ均一の面粗度となり、ミガキ時間を大幅に削減できる効果を有する。
さらに、加工表面の残留圧縮応力も均一となり金型表面の疲労強度も均一となり長寿命化が期待できる。
図1において、バニシング工具1は主軸に装着される工具ホルダ2に嵌装されている。バニシング工具1は工具本体3A、この先端の窪みに嵌着しワークの切削面に当接するバニシング球4、工具本体3Aを装着する工具ホルダ2のフランジ下方に工具本体3Aの軸外周部に力センサ6が固装されたセンサユニット5とで構成されている。
図3は、バニシング加工装置のブロック線図である。図3において、バニシング加工装置は、数値制御装置20、バニシング加工に関するプログラムや管理データを入力できる入力部21、バニシング工具1、センサユニット5、バニシング加工データおよび補正データで3軸制御される機械駆動手段22、および押付け力の3軸分力演算手段23、法線方向の押付け力と補正量に関する補正量演算部24で構成されている。ここで管理データには、バニシング加工軌跡用加工プログラム、設定法線押付け力Fnoおよびバニシング工具1の剛性も含めた機械構造体の各軸方向の剛性Kx,Ky,Kzを含んでいる。
自由曲面7上を移動するバニシング球4が自由曲面7を押圧し圧縮変形させる力は法線方向の押付け力である。従って3軸方向の押付け力fx,fy,fzから法線押付け力Fnxを算出し、このFnxが設定法線押付け力Fnoとなるように制御して均整なバニシング加工面を形成するものである。
即ち、加工反力のベクトルの方向を、加工ポイントの自由曲面の法線ベクトルとし、ベクトルの絶対値がプログラム中に指示した設定法線押付け荷重となるよう、現在の指令値から法線ベクトル方向へ補正を行う。設定法線押付け力と測定より得られた加工時の押付け力つまり反力との差に対する補正押付け量はバニシング工具,主軸,機械およびワーク等の剛性、バニシング球4の直径およびバニシング球4やワークの材質によって演算される。
Δnx=Δfx/Kx ────(式1)
Δny=Δfy/Ky ────(式2)
Δnz=Δfz/Kz ────(式3)
また、主軸回転中心軸の方向を除いたバニシング球4を支える方向を、力センサ6のfx、またはfyと一致させた場合の主軸回転角θは、バニシング球4を支える方向に直交する出力fyまたはfxが零あるいは最小となるように制御することも実現可能である。
図4において、図1との第1の相違点は、工具本体3Bの形状にある。図1ではバニシング球4が嵌装された工具本体3Aの軸線とバニシング球4の中心は常に主軸軸線上にある。図4では工具本体3Bが、くの字状に曲げられているが、バニシング球4は主軸軸線上にあるように工具本体3Bが形成されている点で相違してる。
図9において、バニシング工具11は主軸軸心に対しオフセット半径Rで回転自在に装着されている。バニシング加工用のバニシング球4は自由曲面上の作用点で法線方向に自由曲面を押付け加工すると同時に法線方向の反力を受けている。バニシング球4が受ける反力はバニシング工具11のセンサユニット5に歪をもたらし歪み信号を出力する。
実施例2と同様に主軸軸線方向をZ軸とし、これに直交する二軸をX,Y軸とするとき、バニシング工具11が自由曲面を押圧するとき、fx,fyの合力はバニシング工具11の主軸回転中心軸の方向を除いたバニシング球4を支える方向と正対する。
更に、主軸が4aの位置に移動したときバニシング球4は傾斜面上を移動しながらP2点に達する。
バニシング球4に加わる反力がセンサユニット5で検知できるのでfz,Fsから法線方向の押付け力を演算することができる。
実施例1および実施例2の実施形態では、法線ベクトルの情報はバニシング球4が作用する自由曲面上の作用点の法線方向として得ることができる。
3A,3B,3C 工具本体 4 バニシング球
5 センサユニット 6 力センサ
7 自由曲面 20 数値制御装置
21 入力部 22 機械駆動手段
23 3軸分力演算手段 24 補正量演算部
25 法線押付け力演算手段 26 各軸方向の補正押付け力演算手段
27 各軸方向の補正量演算手段 28 加工プログラム補正出力手段
30 C軸制御手段 40 C軸回転角読取手段 W 金型
Claims (4)
- 加工点が自由曲面の加工軌跡を移動する加工工具または被加工物が位置決め可能な数値制御工作機械により前記自由曲面をバニシング加工する方法であって、
バニシング工具の加工点で力センサの直交3軸の検出3分力から工具の実際の法線方向押付け力を演算して求め、
前記法線方向押付け力と予め定めた設定法線押付け力との差を加工点の法線方向押付け力の補正押付け量として求め、
前記補正押付け量を工作機械の座標系データに変換し、
前記座標系データを数値制御工作機械の数値制御装置に入力して演算し、
加工点に対し前記バニシング工具の位置を制御することにより押付け力を発生させて自由曲面上の加工軌跡をバニシング加工することを特徴とするバニシング加工方法。 - 加工点が自由曲面の加工軌跡を移動する加工工具または被加工物が位置決め可能な数値制御工作機械において前記自由曲面をバニシング加工するための装置であって、
バニシング工具と、該バニシング工具の取付部分に取着されこの工具に働く工具押付け力を直交する3軸方向で検知可能に設けられたセンサユニットと、
該センサユニットの出力から求めた前記自由曲面上の加工点のバニシング工具に加わる3軸分力演算手段と、該3軸分力演算手段の出力から法線方向の押付け力を求める法線押付け力演算手段と、求められた法線方向押付け力と予め定めた設定法線押付け力との差を押付け力の補正押付け量として演算し押付け力の前記3軸分力演算手段から得られた3分力の合成ベクトルと方向が一致するよう補正押付け力を分解し各軸方向の補正押付け力を得る各軸方向の補正押付け力演算手段と、前記各軸補正押付け力とバニシング工具の剛性・機械構造体の剛性を用いて各軸の補正量を演算する各軸方向の補正量演算手段と、バニシングプログラムの加工データに前記各軸方向の補正量を補正する加工プログラム補正出力手段とを含んでなり、
この補正した加工プログラムの出力を3軸方向の移動部材の駆動部に入力して前記自由曲面の法線方向にバニシング工具を位置決めし法線押付け力を設定押付け力に近づけるようにすることを特徴とするバニシング加工装置。 - 加工点が自由曲面の加工軌跡を移動する加工工具を位置決め可能で回転角度を制御可能な主軸を有する数値制御工作機械において前記自由曲面をバニシング加工するための装置であって、
前記主軸に装着される工具本体部とバニシング加工用の球を支えるバックアップ軸部とをくの字状または湾曲状部分で繋いで一体に形成し前記球の中心を前記主軸の軸線上にあるように設けたバニシング工具と、
該バニシング工具の取付部分に取着されこの工具に働く工具押付け力を直交するX・Y・Z軸の3軸方向で検知可能に設けられたセンサユニットと、該センサユニットの出力から求めた前記自由曲面上の加工点のバニシング工具に加わる3軸分力演算手段と、
前記自由曲面の加工点における主軸に直交する平面内において、主軸軸線のZ軸方向以外の直交するX・Y軸の2分力の合力の方向と、バニシング加工用の球を支える主軸軸線と交叉し且くの字状または湾曲形状部分の軸線を含む方向とが一致するように主軸を回転制御する主軸制御手段と、
前記主軸を回転制御して得たX・Y軸成分の合成ベクトル成分と主軸軸線のZ軸方向の分力とから法線方向の押付け力を求める法線押付け力演算手段と、求めた法線押付け力と加工プログラム上の設定法線押付け力との差を押付け力の補正押付け量として演算し押付け力の前記3軸分力演算手段から得られた3分力の合成ベクトルと方向が一致するよう補正押付け力を分解し各軸方向の補正押付け力を得る各軸方向の補正押付け力演算手段と、前記各軸補正押付け力とバニシング工具の剛性・機械構造体の剛性を用いて各軸の補正量を演算する各軸方向の補正量演算手段と、バニシングプログラムの加工データに前記各軸方向の補正量を補正する加工プログラム補正出力手段とを含んでなり、
この補正した加工プログラムの出力を3軸方向の移動部材の駆動部に入力して被加工物とバニシング工具の干渉を避けて傾斜角の大きな自由曲面の加工を可能としたことを特徴とするバニシング加工装置。 - 加工点が自由曲面の加工軌跡を移動する加工工具を位置決め可能で回転自在に設定された主軸を有する数値制御工作機械において前記自由曲面をバニシング加工するための装置であって、
前記主軸に装着される工具本体部とバニシング加工用の球を支えるバックアップ軸部とをくの字状または湾曲状部分で繋いで一体に形成し前記球の中心を前記主軸の軸線Z軸に対しオフセットするように設けられたバニシング工具と、
該バニシング工具の取付部分に取着されこの工具に働く工具押付け力を少なくとも主軸回転軸方向の力とバニシング加工用の球が主軸回転中心からオフセットした方向のX・Y軸の2軸方向または直交するX・Y・Z軸の3軸方向で検知可能に設けられたセンサユニットと、
バニシング加工中にバニシング球に加わる主軸回転中心と直交するX・Y軸方向の押付け力の内主軸軸線とオフセット半径Rを含む平面に直角な成分が正対し平衡状態になる時の主軸の回転角度を読み取り可能な回転角読取手段と、
前記2軸または3軸方向の分力と前記回転角度とから法線押付け力を求める法線押付け力演算手段と、求めた法線押付け力と加工プログラム上の設定法線押付け力との差を補正押付け量として演算し押付け力の前記3軸分力演算手段から得られた3分力の合成ベクトルと方向が一致するよう補正押付け力を分解し各軸方向の補正押付け力を得る各軸方向の補正押付け力演算手段と、前記各軸補正押付け力とバニシング工具の剛性・機械構造体の剛性を用いて各軸の補正量を演算する各軸方向の補正量演算手段と、バニシングプログラムの加工データに前記各軸方向の補正量を補正する加工プログラム補正出力手段とを含んでなり、
この補正した加工プログラムの出力を3軸方向の移動部材の駆動部に入力して主軸軸線からオフセットしたバニシング球が自由曲面の傾きにならい旋回を自在にすることにしたのでバニシング球を保持するバニシング工具本体が被加工物との干渉を避けるための主軸回転制御を不要になったことを特徴とするバニシング加工装置。
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