JP4300680B2 - シールド掘進機のカッタビット交換機構 - Google Patents

シールド掘進機のカッタビット交換機構 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シールド掘進機のカッタビットの交換或いはカッタスポークのメンテナンスを行うためのシールド掘進機のカッタビット交換機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
シールド掘進機のカッタビットの交換を行う機構としては、近年、様々なものが開発されており、例えば、特開平8−21188号公報に開示されたものがあった。
【0003】
このビット交換機構は、カッタの周囲に面板が形成されたシールド掘進機に適用されており、カッタ面板を前面に残して、カッタとカッタビットのみを面板とバルクヘッドとの間に後退させ、その空間で、ビット交換を行うようになっていた。
【0004】
また、カッタ回転軸から径方向に延びたカッタスポークにカッタビットが設けられたシールド掘進機に適用できるビット交換機構としては、特開平3−202593号公報に開示されたものがあった。
【0005】
このビット交換機構は、カッタスポークを回転させて、カッタビットを後方に向けると共に、バルクヘッド側からそのカッタビットに、作業室をスライドさせて、そこで、ビット交換を行うようになっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のビット交換機構では、カッタの中心部や面板(特開平8−21188号公報のビット交換機構の場合)が前端の切羽部分に残っているため、カッタビットの点検、交換はできるものの、カッタの中心部や面板を含んだカッタ部全体の点検、補修を行うことができず、長距離掘削ができないといった問題があった。
【0007】
そこで、本発明は上記問題を解決するために案出されたものであり、その目的は、カッタ部全体の点検、補修を行うことができ、長距離掘削が可能となるシールド掘進機のビット交換機構を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、シールド掘進機のカッタビットの交換或いはカッタスポーク及びカッタ回転軸を含むカッタ前端部のメンテナンスを行うためのシールド掘進機のカッタビット交換機構において、シールド掘進機のバルクヘッドの前面に上記カッタ前端部を通過させるためのスリットを有する切羽隔壁を上記バルクヘッドに対して近接離反可能に設け、上記カッタスポークの外周端をその径方向に出没自在に形成すると共に、カッタをシールド掘進機の軸方向に移動自在に設けたものである。
【0009】
上記構成によれば、カッタ前端部を切羽隔壁のスリットを通過させることによって、そのカッタ前端部が切羽隔壁とバルクヘッドとの間の空間に位置させることができ、その空間で作業員が、カッタの前方からカッタビット交換等の作業を行うことができる。従って、カッタビットの点検、交換は勿論のこと、カッタの中心部を含んだカッタ部全体の点検、補修を行うことができ、長距離掘削が可能となる。
【0010】
請求項2記載の発明は、上記バルクヘッド、上記カッタ及び掘削土を排出するスクリュコンベアを含むシールド掘進装置が、シールド掘進機のシールドフレーム内でその軸方向にスライド自在に設けられ、カッタビット交換時に、上記シールド掘進装置を後方にスライドさせて、上記カッタ前端部を上記切羽隔壁のスリットを通過させてその切羽隔壁の後方に移動させる伸縮シリンダが設けられたものである。
【0011】
請求項3記載の発明は、上記伸縮シリンダが、カッタビット交換終了後の掘進復旧時に、上記シールド掘進装置を前方にスライドさせて、上記カッタ前端部を上記切羽隔壁のスリットを通過させてその切羽隔壁の前方に移動させるものである。
【0012】
請求項4記載の発明は、上記切羽隔壁に、カッタビット交換終了後の掘進復旧時に、その切羽隔壁を後方にスライドさせて、上記カッタ前端部を上記切羽隔壁のスリットを通過させてその切羽隔壁の前方に位置させる牽引手段を設けたものである。
【0013】
請求項5記載の発明は、上記シールド掘進機が、内筒と外筒とを有すると共に、その内筒と外筒とを中折れさせる中折れジャッキを有し、上記シールド掘進装置をスライドさせる上記伸縮シリンダが、上記中折れジャッキで兼用されるものである。
【0014】
請求項6記載の発明は、上記バルクヘッド、上記カッタ及び掘削土を排出するスクリュコンベアを含むシールド掘進装置が、シールド掘進機のシールドフレーム内でその軸方向にスライド自在に設けられると共に、上記切羽隔壁が、シールド掘進機のフードの前端までスライド自在に設けられ、カッタビット交換時に、上記切羽隔壁をシールド掘進機のフードの前端までスライドさせるスライド手段が設けられると共に、上記シールド掘進装置を後方にスライドさせて、上記カッタ前端部を上記切羽隔壁のスリットを通過させてその切羽隔壁の後方に移動させる伸縮シリンダが設けられたものである。
【0015】
請求項7記載の発明は、上記バルクヘッド及び上記カッタが、シールド掘進機のシールドフレーム内でその軸方向にスライド自在に設けられ、掘削土を排出するスクリュコンベアの開口部が上記切羽隔壁に設けられ、カッタビット交換時に、上記バルクヘッド及びカッタを後方にスライドさせて、上記カッタ前端部を上記切羽隔壁のスリットを通過させてその切羽隔壁の後方に移動させる伸縮シリンダが設けられると共に、スクリュコンベアの後方を俯仰させてカッタ装置との干渉を防ぐ俯仰手段が設けられたものである。
【0016】
請求項8記載の発明は、上記スクリュコンベアが、上記切羽隔壁に球面ジョイントにて支持され、その後端が俯仰するものである。
【0017】
請求項9記載の発明は、上記切羽隔壁のスリットに、そのスリットを覆う閉塞板が開閉自在に設けられたものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明を実施する好適な形態を添付図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1は本発明に係るシールド掘進機のカッタビット交換機構の第一の実施の形態を示した断面図、図2は図1の正面図である。
【0020】
なお、図1の実施の形態においては、係るカッタビット交換機構が、中折れシールド掘進機に適用された例を挙げて説明する。
【0021】
まず、図1によって、シールド掘進機の全体構成を説明する。
【0022】
シールド掘進機1は、シールドフレーム2を構成する内筒3と外筒4とを有している。外筒4は内筒3の前方に配置され、内筒3に対してスライド自在に連結されている。内筒3と外筒4との間には、軸方向に延びる中折れジャッキ5が所定ピッチで掛け渡されており、カーブ施工時に、外筒4を内筒3に対して適宜スライドさせて、シールドフレーム2を屈曲させるようになっている。
【0023】
外筒4の内側前端部近傍には、シールド掘進機1の内部と外部とを区画するバルクヘッド6が設けられている。
【0024】
バルクヘッド6には、カッタ装置7が設けられている。カッタ装置7は、バルクヘッド6の中心部を貫通するカッタ回転軸8と、そのカッタ回転軸8を回転させる駆動モータ9と、カッタ回転軸8の前端部から径方向に延びて等角度ピッチで配置された複数(本実施の形態においては3本)のカッタスポーク11を有している。カッタスポーク11の前面には、切羽を掘削するカッタビット12が複数設けられている。
【0025】
また、カッタ回転軸8の前端には、切羽に掘削に必要な添加剤を注入する添加剤注入口14が設けられている。
【0026】
バルクヘッド6の下部には、掘削した土砂をトンネル15の後方に搬出するスクリュコンベア16が設けられている。
【0027】
シールドフレーム2の内側後方には、セグメント17を組み付けるエレクタ18が設けられている。
【0028】
ところで、本発明においては、カッタスポーク11の外周端は、その径方向に出没自在に形成されている。また、カッタ装置7が、シールド掘進機1の軸方向に移動自在に設けられている。
【0029】
具体的には、一部(本実施の形態では2本)のカッタスポーク11は、その中心側の固定部23の外周端が、前方から見て、外筒4の内側となるように形成され、固定部23の外周端に、径方向に出没する移動部24が設けられている。その移動部24の前面に最外周のカッタビット12aが設けられている。
【0030】
カッタスポーク11の移動部24は、固定部23内に、径方向に沿って設けられた伸縮シリンダ(図示せず)の伸縮によって、径方向に出没移動するようになっている。
【0031】
なお、その他のカッタスポーク(図中下側に示す)11は、その外周端が、前方から見て、外筒4の内側となるように形成されている。このカッタスポーク11にはコピーカッタ25が設けられており、急カーブ施工時に、カッタスポーク11内に径方向に沿って設けられた伸縮シリンダ26の伸縮によって、径方向外方に突出して余掘りを行うようになっている。
【0032】
バルクヘッド6は、外筒4に対して、シールド掘進機1の前後軸方向にスライド自在に設けられている。その後方には、中折れジャッキ5の一端が固定されている。
【0033】
その中折れジャッキ5が伸縮することによって、バルクヘッド6がシールド掘進機1の軸方向にスライドし、バルクヘッド6に設けられたカッタ装置7やスクリュコンベア16等のシールド掘進装置22がスライドすることとなり、後述する切羽隔壁21が、バルクヘッド6に対して相対的に、近接離反可能に設けられていることとなる。
【0034】
すなわち、中折れジャッキ5が、シールド掘進装置22をスライドさせる伸縮シリンダの役目を果たしている。
【0035】
バルクヘッド6の前面には、カッタ装置7の前端部を通過させるためのスリット19(図2参照)を有する切羽隔壁21が設けられている。
【0036】
図2に示すように、切羽隔壁21は、円板状に形成され、外筒4の内側に固定され設けられている。スリット19は、前方から見て、カッタ回転軸8及びカッタスポーク11の位置する部分が開口するように(本実施の形態においては略Y字状に)形成されている。
【0037】
切羽隔壁21の内部には、上述のスリット19を覆う閉塞板27が開閉自在に設けられている。この閉塞板27は、切羽隔壁21の軸を中心としてスリット19の幅方向中心部で分割され、それぞれスリット19の縁部に沿ったV字状に形成された内側閉塞板28と、この内側閉塞板28の径方向外側を覆う外側閉塞板29とから構成されている。
【0038】
内側閉塞板28は、径方向にスライド自在に設けられており、径方向に沿って配置された開閉用伸縮シリンダ31によって移動するようになっている。
【0039】
外側閉塞板29は、切羽隔壁21の周縁部内側で、周方向にスライド自在に設けられており、周方向に沿って配置された開閉用伸縮シリンダ32によって移動して、内側閉塞板28が中心側にスライドしたときに発生する径方向外側の開口部を閉塞するようになっている。
【0040】
内側閉塞板28と外側閉塞板29とは、その厚さ方向(シールド掘進機1の前後方向)に互いにオフセットして配置されており、スリット19の開口時にラップできるようになっている。
【0041】
切羽隔壁21の後面には、開閉用伸縮シリンダ31,32に接続される油圧ホース37を収容する油圧ホース挿入管38が設けられている。
【0042】
油圧ホース挿入管38は、図4に示すように、バルクヘッド6の貫通穴39に設けられたリング状のシール部材40によって、軸方向にスライド自在に支持されている。
【0043】
なお、この閉塞板27の装備により切羽とビット交換作業の空間33とを機械的に全面遮断できることから、掘削土砂が比較的軟弱で水が出るとき等に設けられるものであって、掘削土砂が比較的硬くて水が出ない土質の場合には、閉塞板27を設けない場合もある。
【0044】
次に、カッタビットの交換時のシールド掘進機の動作を説明しながら、上記構成によるシールド掘進機のカッタビット交換機構の作用を説明する。
【0045】
まず、図5に沿って、掘削土砂が比較的硬い場合の工程を説明する。
【0046】
カッタビット12の交換或いはカッタスポーク11及びカッタ回転軸8を含むカッタ前端部のメンテナンスを行う際には、まず、カッタスポーク11の移動部24を径方向内側に移動させて、外筒4の内側に配置させると共に、カッタスポーク11の位置が切羽隔壁21のスリット19の位置と合うように、カッタ回転軸8を回転させる。
【0047】
そして、伸縮シリンダである中折れジャッキ5を縮退させて、バルクヘッド6と共にカッタ装置7やスクリュコンベア16等を含むシールド掘進装置22を、外筒4の内側で後方にスライドさせる。
【0048】
これによって、カッタスポーク11やカッタ回転軸8からなるカッタ前端部が、切羽隔壁21のスリット19を通過して、切羽隔壁21の後方に移動することとなる。
【0049】
そして、バルクヘッド6に設けられたマンホール(図示せず)から作業員が、切羽隔壁21の後方のカッタ装置7との空間33に入って、カッタビット12の交換或いはカッタスポーク11及びカッタ回転軸8を含むカッタ前端部のメンテナンスを行う。
【0050】
このとき、作業員は、切羽隔壁21のスリット19以外の断面で切羽と遮断された切羽隔壁21の後方で、土砂水の無い状態で、カッタ装置7の前方から作業することができるので、カッタビット12の交換が容易で且つ確実に行うことができると共に、カッタ回転軸8やカッタスポーク11の前面の作業が可能となり、カッタ部全体の点検、補修を行うことができる。従って、シールド掘進機1の長距離掘削が可能となる。
【0051】
図6及び図7は、カッタビット12の交換作業等が終了した後の掘進復旧時のシールド掘進機1の動作を示した断面図である。
【0052】
図6においては、カッタビット12の交換時に縮退していた中折れジャッキ5を伸長させて、バルクヘッド6と共にカッタ装置7やスクリュコンベア16等を含むシールド掘進装置22を、外筒4の内側で前方にスライドさせる。
【0053】
これによって、カッタ装置7の前端部が、切羽隔壁21のスリット19を通過して、前方に移動して、再度掘削状態に戻る。このとき、カッタスポーク11の移動部24を径方向外側に突出させる。
【0054】
この場合、外筒4の後端は、内筒3の前端の部分に位置するので、掘進再開後すぐに、シールドフレーム2を屈曲させることができ、急カーブ施工を行うことができる。
【0055】
一方、図7においては、切羽隔壁21に設けられた油圧配管挿入管37に、切羽隔壁21及び外筒4を後方に引き寄せる牽引手段34が設けられており、カッタ装置7の位置は変えずに、牽引手段34で切羽隔壁21を後方に移動させて、カッタ装置7の前端部が、切羽隔壁21のスリット19を相対的に通過して、前方に移動して、再度掘削状態に戻る。このとき、カッタスポーク11の移動部24を径方向外側に突出させる。
【0056】
なお、掘削土砂が比較的硬いときでも、切羽部分に充填剤を注入する場合がある。
【0057】
この場合、添加剤注入口14から切羽部分に充填剤を注入し、充満した充填剤の圧力を一定に保持しながら、切羽保持を図りつつ、伸縮シリンダである中折れジャッキ5を縮退させて、バルクヘッド6と共にカッタ装置7やスクリュコンベア16等を含むシールド掘進装置22を、外筒4の内側で後方にスライドさせる。
【0058】
そして、シールド掘進装置22のスライドが終了した後、スクリュコンベア16及びバルクヘッド6に設けられたマンホール(図示せず)から作業空間33内の充填剤を排出してから、作業員が作業空間33内で、カッタビット12の交換或いはカッタスポーク11及びカッタ回転軸8を含むカッタ前端部のメンテナンスを行う。
【0059】
なお、掘進復旧作業は、後述する掘削土砂が比較的軟弱な場合の掘進復旧作業と同様の工程で行う。
【0060】
次に、図8及び図9に沿って、掘削土砂が比較的軟弱な場合の工程を説明する。
【0061】
この場合は、まず、図8に示すように、カッタスポーク11の移動部24を径方向内側に移動させて、外筒4の内側に配置させると共に、添加剤注入口14から充填剤35を注入する。この充填剤35は、掘進復旧時のことを考慮して、ゲル状の比較的柔らかい材質のものとする。カッタ回転軸8を回転させて、カッタスポーク11の位置を、切羽隔壁21のスリット19の位置と合わせる。
【0062】
そして、伸縮シリンダである中折れジャッキ5を縮退させて、バルクヘッド6と共にカッタ装置7やスクリュコンベア16等を含むシールド掘進装置22を、外筒4の内側で後方にスライドさせる。
【0063】
これによって、カッタスポーク11やカッタ回転軸8からなるカッタ前端部が、切羽隔壁21のスリット19を通過して、切羽隔壁21の後方に移動することとなる。
【0064】
そして、切羽隔壁21の閉塞板27をそれぞれ移動させて、スリット19を閉塞する(図3参照)。これによって、切羽隔壁21後方の作業空間33に、切羽36から土砂や水が浸入するのを防止できる。
【0065】
シールド掘進装置22をスライドさせた際に、切羽隔壁21の後方にも充填剤35が流れ込むが、スリット19を閉塞した後に、マンホールから作業空間33に入った作業員がスクリュコンベア16内に掻き出して、カッタビット12の交換或いはカッタスポーク11及びカッタ回転軸8を含むカッタ前端部のメンテナンスを行う。
【0066】
掘進復旧時には、図9に示すように、作業空間33部分にも、切羽の土砂水が切羽隔壁21のスリット19から流入し、切羽が崩壊しないように、事前に充填剤35を注入し、空隙が無いように充満させておく。そして、各閉塞板27を移動させて、切羽隔壁21のスリット19を開口させた後、上述の図6または図7と同様の工程を行う。このとき、充填剤35の圧力を一定に保ちながら切羽保持を図りつつ、スクリュコンベア16にてシールド掘進機22の移動量に相当する充填剤35を排出する。
【0067】
充填剤35は、ゲル状の比較的柔らかい材質であるので、容易にスクリュコンベア16にて排出することができ、カッタスポーク11やカッタ回転軸8を確実に前方にスライドさせることができる。
【0068】
図10は本発明に係るシールド掘進機のカッタビット交換機構の第二の実施の形態を示した断面図及びその動作を示した断面図である。
【0069】
第二の実施の形態のシールド掘進機41は、図1のシールド掘進機1の切羽隔壁21が外筒4に固定されているのに対して、切羽隔壁21を、シールドフレーム2の一部を構成する外筒4内で、その軸方向にスライド自在に設けたものである。
【0070】
切羽隔壁21の後面には、軸方向に延びて、バルクヘッド6を貫通し、内筒3側に接続された伸縮シリンダ43が設けられている。伸縮シリンダ43は、バルクヘッド6の貫通穴44にシール部材(図示せず)を介してスライド自在に支持されている。この伸縮シリンダ43が伸長することによって、切羽隔壁21が、外筒4の前端部までスライドするようになっている。
【0071】
なお、その他の構成については図1と同様であるので同じ符号を付して説明を省略する。
【0072】
次に、本実施の形態のカッタビットの交換時のシールド掘進機の動作を説明しながら、上記構成によるシールド掘進機のカッタビット交換機構の作用を説明する。
【0073】
図10(b)に示すように、まず、カッタスポーク11の移動部24を径方向内側に移動させて、外筒4の内側に配置させると共に、カッタスポーク11の位置を切羽隔壁21のスリット19の位置に合わせておいて、切羽隔壁21を外筒4の前端までスライドさせる。
【0074】
そして、図10(c)に示すように、伸縮シリンダである中折れジャッキ5を縮退させて、バルクヘッド6と共にカッタ装置7やスクリュコンベア16等を含むシールド掘進装置22を、外筒4の内側で後方にスライドさせる。
【0075】
これによって、カッタスポーク11やカッタ回転軸8からなるカッタ前端部が、切羽隔壁21のスリット19を通過して、切羽隔壁21の後方に移動することとなる。
【0076】
そして、バルクヘッド6に設けられたマンホール(図示せず)から作業員が、切羽隔壁21の後方のカッタ装置7との空間33に入って、カッタビット12の交換或いはカッタスポーク11及びカッタ回転軸8を含むカッタ前端部のメンテナンスを行う。
【0077】
本実施の形態においては、図1のシールド掘進機1と同様に、カッタビット12の交換が容易で且つ確実に行うことができると共に、カッタ回転軸8やカッタスポーク11の前面の作業が可能となり、カッタ部全体の点検、補修を行うことができるという作用効果の他に、以下のような作用効果が得られる。
【0078】
切羽隔壁21を前方にスライドさせることによって、シールド掘進装置22の後退距離を短くすることができる。従って、シールド掘進機41の機長を短くすることができ、カーブ施工の回転半径をより短くすることができる。
【0079】
図11は本発明に係るシールド掘進機のカッタビット交換機構の第三の実施の形態を示した断面図及びその動作を示した断面図である。
【0080】
第三の実施の形態のシールド掘進機51は、図1のシールド掘進機1が、カッタ装置7をスクリュコンベア16等を含むシールド掘進装置22全体で外筒4の内側で後方にスライドさせるのに対して、スクリュコンベア16が切羽隔壁21に設けられ、スクリュコンベア16はスライドさせずに、カッタ装置7とバルクヘッド6のみを後方にスライドさせるものである。
【0081】
スクリュコンベア16は、後方にスライドするカッタ装置7との干渉を防ぐために、その後方を俯仰させる俯仰手段である球面ジョイント52を介して、バルクヘッド6に支持されている。
【0082】
球面ジョイント52は、図12に示すように、切羽隔壁21下端の開口部53に設けられたブラケット54に取り付けられている。球面ジョイント52は、ブラケット54側の凹面支持部55と、スクリュコンベア16側の凸面支持部56とから構成されている。凹面支持部55の支持面にはシール部材57が設けられいる。
【0083】
切羽隔壁21の下端にはスクリュコンベア16の開口部53が形成されているので、スリット19は、図1のシールド掘進機1のものと比べて、開口部53を避けて回転した位置に形成されている。
【0084】
なお、その他の構成については図1のシールド掘進機1と同様であるので同じ符号を付して説明を省略する。
【0085】
次に、本実施の形態のカッタビットの交換時のシールド掘進機の動作を説明しながら、上記構成によるシールド掘進機のカッタビット交換機構の作用を説明する。
【0086】
図11(b)に示すように、まず、カッタスポーク11の移動部24を径方向内側に移動させて、外筒4の内側に配置させる。
【0087】
そして、伸縮シリンダである中折れジャッキ5を縮退させて、バルクヘッド6と共にカッタ装置7を、外筒4の内側で後方にスライドさせる。
【0088】
このとき、スクリュコンベア16は、球面ジョイント52にて支持されているので、後方を下降させて、カッタ装置7との干渉を防ぐことができる。
【0089】
これによって、カッタスポーク11やカッタ回転軸8からなるカッタ前端部が、切羽隔壁21のスリット19を通過して、切羽隔壁21の後方に移動することとなる。
【0090】
そして、バルクヘッド6に設けられたマンホール(図示せず)から作業員が、切羽隔壁21の後方のカッタ装置7との空間33に入って、カッタビット12の交換或いはカッタスポーク11及びカッタ回転軸8を含むカッタ前端部のメンテナンスを行う。
【0091】
本実施の形態においては、図1のシールド掘進機1と同様に、カッタビット12の交換が容易で且つ確実に行うことができると共に、カッタ回転軸8やカッタスポーク11の前面の作業が可能となり、カッタ部全体の点検、補修を行うことができるという作用効果の他に、以下のような作用効果が得られる。
【0092】
スクリュコンベア16を、バルクヘッド6より前方に位置する切羽隔壁21に設けたことによって、掘削土砂の排出効率を向上させることができる。また、スクリュコンベア16はスライドさせずに、カッタ装置7とバルクヘッド6のみを後方にスライドさせることによって、カッタ装置7のスライドが、図1のシールド掘進機と比較して、小さい応力で行うことができると共に、スライド部分が少ないので、構造を簡単にすることができる。
【0093】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、カッタビットの交換だけでなく、カッタ部全体の点検、補修を行うことができ、シールド掘進機による長距離掘削が可能となるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシールド掘進機のカッタビット交換機構の第一の実施の形態を示した断面図である。
【図2】図1の正面図である。
【図3】スリットを閉塞した状態の切羽隔壁を示した正面図である。
【図4】油圧ホース挿入管を示した断面図である。
【図5】カッタビットの交換時のシールド掘進機の動作を示した断面図である。
【図6】掘進復旧時のシールド掘進機の動作を示した断面図である。
【図7】掘進復旧時のシールド掘進機の動作を示した断面図である。
【図8】スリットを閉塞する場合のカッタビットの交換時のシールド掘進機の動作を示した断面図である。
【図9】スリットを閉塞する場合のカッタビットの交換時のシールド掘進機の動作を示した断面図である。
【図10】本発明に係るシールド掘進機のカッタビット交換機構の第二の実施の形態を示した断面図及びその動作を示した断面図である。
【図11】本発明に係るシールド掘進機のカッタビット交換機構の第三の実施の形態を示した断面図及びその動作を示した断面図である。
【図12】球面ジョイントを示した拡大断面図である。
【符号の説明】
1 シールド掘進機
2 シールドフレーム
3 内筒
4 外筒
5 中折れジャッキ(伸縮シリンダ)
6 バルクヘッド
7 カッタ装置
8 カッタ回転軸
11 カッタスポーク
12 カッタビット
16 スクリュコンベア
19 スリット
21 切羽隔壁
22 シールド掘進装置
27 閉塞板
41 シールド掘進機
51 シールド掘進機
52 球面ジョイント(俯仰手段)

Claims (9)

  1. シールド掘進機のカッタビットの交換或いはカッタスポーク及びカッタ回転軸を含むカッタ前端部のメンテナンスを行うためのシールド掘進機のカッタビット交換機構において、シールド掘進機のバルクヘッドの前面に上記カッタ前端部を通過させるためのスリットを有する切羽隔壁を上記バルクヘッドに対して近接離反可能に設け、上記カッタスポークの外周端をその径方向に出没自在に形成すると共に、カッタをシールド掘進機の軸方向に移動自在に設けたことを特徴とするシールド掘進機のカッタビット交換機構。
  2. 上記バルクヘッド、上記カッタ及び掘削土を排出するスクリュコンベアを含むシールド掘進装置が、シールド掘進機のシールドフレーム内でその軸方向にスライド自在に設けられ、カッタビット交換時に、上記シールド掘進装置を後方にスライドさせて、上記カッタ前端部を上記切羽隔壁のスリットを通過させてその切羽隔壁の後方に移動させる伸縮シリンダが設けられた請求項1記載のシールド掘進機のカッタビット交換機構。
  3. 上記伸縮シリンダが、カッタビット交換終了後の掘進復旧時に、上記シールド掘進装置を前方にスライドさせて、上記カッタ前端部を上記切羽隔壁のスリットを通過させてその切羽隔壁の前方に移動させる請求項2記載のシールド掘進機のカッタビット交換機構
  4. 上記切羽隔壁に、カッタビット交換終了後の掘進復旧時に、その切羽隔壁を後方にスライドさせて、上記カッタ前端部を上記切羽隔壁のスリットを通過させてその切羽隔壁の前方に位置させる牽引手段を設けた請求項2記載のシールド掘進機のカッタビット交換機構
  5. 上記シールド掘進機が、内筒と外筒とを有すると共に、その内筒と外筒とを中折れさせる中折れジャッキを有し、上記シールド掘進装置をスライドさせる上記伸縮シリンダが、上記中折れジャッキで兼用される請求項2から4いずれかに記載のシールド掘進機のカッタビット交換機構。
  6. 上記バルクヘッド、上記カッタ及び掘削土を排出するスクリュコンベアを含むシールド掘進装置が、シールド掘進機のシールドフレーム内でその軸方向にスライド自在に設けられると共に、上記切羽隔壁が、シールド掘進機のフードの前端までスライド自在に設けられ、カッタビット交換時に、上記切羽隔壁をシールド掘進機のフードの前端までスライドさせるスライド手段が設けられると共に、上記シールド掘進装置を後方にスライドさせて、上記カッタ前端部を上記切羽隔壁のスリットを通過させてその切羽隔壁の後方に移動させる伸縮シリンダが設けられた請求項1記載のシールド掘進機のカッタビット交換機構。
  7. 上記バルクヘッド及び上記カッタが、シールド掘進機のシールドフレーム内でその軸方向にスライド自在に設けられ、掘削土を排出するスクリュコンベアの開口部が上記切羽隔壁に設けられ、カッタビット交換時に、上記バルクヘッド及びカッタを後方にスライドさせて、上記カッタ前端部を上記切羽隔壁のスリットを通過させてその切羽隔壁の後方に移動させる伸縮シリンダが設けられると共に、スクリュコンベアの後方を俯仰させてカッタ装置との干渉を防ぐ俯仰手段が設けられた請求項1記載のシールド掘進機のカッタビット交換機構。
  8. 上記スクリュコンベアが、上記切羽隔壁に球面ジョイントにて支持され、その後端が俯仰する請求項7記載のシールド掘進機のカッタビット交換機構
  9. 上記切羽隔壁のスリットに、そのスリットを覆う閉塞板が開閉自在に設けられた請求項1から8いずれかに記載のシールド掘進機のカッタビット交換機構
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