JP4296146B2 - 建物の柱梁接合構造体におけるグラウト注入方法 - Google Patents

建物の柱梁接合構造体におけるグラウト注入方法 Download PDF

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Description

本発明は、集合住宅など建物の柱梁接合構造体の柱用仕口部におけるグラウト注入方法に関する。
多層建物などの建物では、PCa(プレキャストコンクリート)製柱やPCa製梁を柱梁接合部で接合した柱梁接合構造体を使用する場合が多い。たとえば、特許文献1(特公平5−38100号公報)には、コンクリート構造物の構築方法が記載されている。
このコンクリート構造物では、柱用仕口部と梁とが予め一体化されたPCa製水平構造体を、PCa製柱の上に水平方向に取付けている。そして、梁同士は、隣り合う柱と柱の間に位置する梁接合部で現場打ちコンクリートにより接合されている。
一方、特許文献2(特開2003−313944号公報)には、プレキャストパネルゾーンと下方柱部材との接合工法が記載されている。この接合工法は、グラウトを、プレキャストパネルゾーンの下部の目地空間内および鉄筋挿通孔と主筋との隙間内に、一工程で同時注入して一体に接合するようにしている。
特公平5−38100号公報 特開2003−313944号公報
特許文献1に記載のコンクリート構造物では、PCa製柱の上面から柱主筋の柱用接続鉄筋が上方に突出している。そのため、この柱用接続鉄筋が邪魔になって、PCa製水平構造体をPCa製柱の上部で水平方向に移動させることができなかった。
特許文献2に記載のコンクリート構造物も、コンクリート柱部材の上面から主筋が上方に突出している。この主筋が邪魔になるので、PCa製梁を一体に有するPCa製パネルゾーンを、コンクリート柱部材の上部で水平方向に移動させることができなかった。
また、特許文献2に記載の技術は、PCa製パネルゾーンの下端に形成された下目地内と、鉄筋挿通孔と主筋との隙間に、グラウトを注入する技術である。そのため、柱用仕口部の下端と上端にそれぞれ形成された下目地と上目地の両方にグラウト(後充填モルタルなど)を注入する本発明の技術とは異なっている。したがって、特許文献2に記載の技術を本発明に適用することはできない。
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、建物の各階でPCa製水平構造体をPCa製柱の上部で水平方向に移動させる工法が可能になり、また、柱梁接合構造体の柱梁接合部における柱用仕口部の下目地と上目地などに対するグラウト注入作業を容易に行うことができる建物の柱梁接合構造体におけるグラウト注入方法を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明にかかる建物の柱梁接合構造体におけるグラウト注入方法は、柱用仕口部と梁とを予め一体化したPCa製水平構造体が、建物のPCa製柱の上に水平方向に取付けられ、PCa製水平構造体を構成する柱用仕口部は、柱梁接合部で下階のPCa製柱と上階のPCa製柱とに直接的に接合され、上階のPCa製柱の柱主筋の柱用接続鉄筋を、柱用仕口部の貫通孔を貫通して下階のPCa製柱の柱継手部材に挿入し、上下階のPCa製柱を柱梁接合部で柱用仕口部を介して上下に配置することにより、柱用仕口部の下端と上端には下目地と上目地がそれぞれ形成された建物の柱梁接合構造体におけるグラウト注入方法であって、下階のPCa製柱の柱頭部に設置され上階のPCa製柱の柱用接続鉄筋が挿入された柱継手部材に、グラウトを充填して硬化させた後、グラウトを柱用仕口部の下目地に供給することにより、グラウトを、この下目地と、下目地と連通する貫通孔と、この貫通孔と連通する上目地とに順次連続的に充填する。
好ましくは、下目地の平面視でそのほぼ中央部に連通してグラウトを供給するための注入管を、柱用仕口部に、または上階のPCa製柱と柱用仕口部の両方に、または下階のPCa製柱に設け、上階のPCa製柱には、柱用仕口部の上目地の平面視でそのほぼ中央部に連通して空気抜きとグラウトの排出とを行うための排出管を設け、グラウトをグラウトポンプまたは重力により注入管に供給するようにしている。
柱用仕口部の上目地の上側内面は、排出管と接続されている接続位置が最も高くなるように、全体的に傾斜しているのが好ましい。
グラウトが排出管から排出を開始し、この排出されるグラウトに空気の混入がないことを確認した後、注入管へのグラウトの供給を停止するのが好ましい。
本発明にかかる建物の柱梁接合構造体におけるグラウト注入方法は、上述のように構成したので、建物の各階でPCa製水平構造体をPCa製柱の上部で水平方向に移動させる工法が可能になり、また、柱梁接合構造体の柱梁接合部における柱用仕口部の下目地と上目地などに対するグラウト注入作業を、容易に行うことができる。
下記の実施例では、上階のPCa製柱の柱主筋の柱用接続鉄筋を、柱用仕口部の貫通孔を貫通して下階のPCa製柱の柱継手部材に挿入し、上下階のPCa製柱を柱梁接合部で柱用仕口部を介して上下に配置する。これにより、柱用仕口部の上端と下端には下目地と上目地がそれぞれ形成される。
そして、下階のPCa製柱の柱頭部に設置され上階のPCa製柱の柱用接続鉄筋が挿入された柱継手部材に、グラウトを充填して硬化させる。その後、グラウトを柱用仕口部の下目地に供給することにより、グラウトを、この下目地と、下目地と連通する貫通孔と、この貫通孔と連通する上目地とに、順次連続的に充填する。
その結果、建物の各階でPCa製水平構造体をPCa製柱の上部で水平方向に移動させる工法を可能にするという目的を実現している。また、柱用仕口部の下目地と上目地などに対するグラウト注入作業を容易にするという目的も実現している。
下記の実施例では、建物の一種である多層建物について説明しているが、この多層建物としては、集合住宅のほか、事務所ビル,ホテルなどの層状の建物であってもよい。
また、建物の基準階の平面形が、ほぼ正方形の場合を示したが、片廊下方式の板状平面形や、内部に吹き抜け空間を有する形状(たとえば、ロ字形,C字形)でもよい。なお、本発明は、多層建物以外の建物にも適用可能である。
以下、本発明にかかる実施例を、図1ないし図16を参照して説明する。
図1は多層建物の平面図、図2は、前記多層建物の柱梁接合構造体の組立手順を示す正面断面図、図3は、前記柱梁接合構造体の部分拡大正面断面図、図4は、前記柱梁接合構造体の組立手順を示す説明図である。図4(A1)〜(A7)は正面断面図、図4(B1)〜(B7)は、それぞれ図4(A1)〜(A7)の側面断面図である。図5は、前記柱梁接合構造体の組立手順を示す斜視図である。
図1〜図5に示す集合住宅など多層建物1において、その一つの階(基準階)は、第1の方向としての桁行方向(多層建物1のC方向)と、第1の方向と直交する第2の方向としての梁間方向(D方向)に沿って複数の住戸領域2が配置されている。
多層建物1は、桁行方向Cと梁間方向Dがいずれも6スパンである。ここで、1スパンは、隣接するPCa製柱3,3間のスパンである。多層建物1の柱梁接合構造体(骨組構造体)4は、ラーメン構造体をなしている。
柱梁接合構造体4は、複数のPCa製柱3と、PCa製柱3の間に架設されたPCa製梁とにより構成されている。PCa製の梁としての大梁5,大梁5aは、桁行方向Cや梁間方向Dを向いて配置される。
ここで、「柱梁接合構造体」とは、架構と、この架構に一体化した二次的構造部材とで構成され、地震力などの外力に対して構造設計上抵抗し得る構造体をいう。架構は、PCa製柱3,PCa製大梁5,PCa製大梁5a,その他の小型の柱や梁などの線材と、耐震壁の機能を有する壁面構造体や壁ブレースなどの面部材とを組み合わせて構成されている。
PCa製の梁(大梁5,大梁5a)と、PCa製の柱用仕口部6とを予め一体化したPCa製水平構造体7を、PCa製柱3の上に水平方向に取付けることにより、柱梁接合構造体4が構成されている。
PCa製水平構造体7は、柱用仕口部6に大梁5と大梁5aが固定されて、全体がプレキャストコンクリートにより一体的に形成されている。このようなPCa製水平構造体7を使用すれば、柱梁接合部8での現場打ちコンクリートをなくすることができる。
PCa製水平構造体7の一つの柱用仕口部6には、複数(たとえば、二本,三本または四本)の大梁5,大梁5aが、平面視で直線状,L字状,T字状または十字状に配置されている。柱用仕口部6には、PCa製柱3が接合されて仕口となる。
柱用仕口部6には、複数の貫通孔29が、上下方向に貫通形成されて所定の配列で配置されている。貫通孔29の内径は、柱主筋27の柱用接続鉄筋28の外径より大きい。
なお、変形例として、貫通孔29内にシース管を埋め込んでもよく、このようにすれば、貫通孔29に柱用接続鉄筋28を挿入する作業が容易になり、また、貫通孔29のシース管内をグラウトが良好に流れるので好ましい。
他の変形例として、PCa製水平構造体が複数(たとえば、二つ)の柱用仕口部6を有し、この複数の柱用仕口部6の間に大梁5(または、大梁5a)を一体的に固定し、各柱用仕口部6に、さらに別の梁(大梁や小梁)を所定方向に向けて一体的に固定した場合であってもよい。
PCa製水平構造体7を構成する柱用仕口部6は、柱梁接合部8で下階のPCa製柱3と上階のPCa製柱3とに直接的に接合されている。
すなわち、多層建物1の最上階以外の各階におけるPCa製水平構造体7では、柱用仕口部6は、柱梁接合部8で下階(その階のこと)のPCa製柱3と上階のPCa製柱3の両方に直接的に接合されている。
最上階の上部に設置されるPCa製水平構造体7では、柱用仕口部6は、柱梁接合部8で下階(最上階のこと)のPCa製柱3に直接的に接合されている。
各階において、大梁5同士(および、大梁5a同士)は、隣り合うPCa製柱3とPCa製柱3との間(たとえば、ほぼ中央部)に位置する少なくとも一つの梁接合部9で直接的に接合されて、PCa製柱3とPCa製柱3とで両端が支持される梁を構成している。
ここで、柱梁接合部8や梁接合部9における「直接的に接合」とは、現場打ちコンクリートを使用せず、継手部材などを用いて柱や梁を直接接合することをいう。
このように、PCa製柱3と各種のPCa製水平構造体7とを組み合わせることにより、柱梁接合構造体4が構成されている。この柱梁接合構造体4ではPCa製水平構造体7を使用したので、柱梁接合部8における現場打ちコンクリートと梁接合部9における現場打ちコンクリートの作業のほとんど全部または全部を省略することができ、現場作業が大幅に軽減される。
一方の大梁5の一方の梁端部15には、複数の梁継手部材としての梁用スリーブ16が埋込まれている。他方の大梁5の他方の梁端部17から、梁主筋18の梁用接続鉄筋19が突出している。すなわち、大梁5自体に着目すると、各大梁5の一方の梁端部15には梁用スリーブ16が埋込まれ、他方の梁端部17には梁用接続鉄筋19が突出して設けられている。
そして、一方のPCa製水平構造体7の梁用接続鉄筋19を、他方のPCa製水平構造体7の梁用スリーブ16に挿入して固定することにより、大梁5同士を梁接合部9で接合している。これは大梁5aの場合も同様である。
これにより、梁接合部9における現場打ちコンクリートの作業を省略して、現場作業を大幅に軽減することができる。
柱梁接合部8において、下階のPCa製柱3の柱頭部25には、複数の柱継手部材としての柱用スリーブ26が埋込まれている。上階のPCa製柱3の柱主筋27の柱用接続鉄筋28を、柱用仕口部6の貫通孔29を貫通して下階のPCa製柱3の柱用スリーブ26に挿入し、上下階のPCa製柱3,3を、柱梁接合部8で柱用仕口部6を介して上下に配置している。
その結果、柱用仕口部6の下端と上端には、下目地21と上目地22がそれぞれ形成されている(図6)。下目地21と上目地22は、互いに平行で且つ水平に形成されている。
柱継手部材(ここでは、柱用スリーブ26)は、下階のPCa製柱3の柱主筋27と、上階のPCa製柱3の柱用接続鉄筋28とを接合するための部材である。梁継手部材(ここでは、梁用スリーブ16)は、一方の大梁5(または、大梁5a)の梁主筋18と、他方の大梁5(または、大梁5a)の梁用接続鉄筋19とを接合するための部材である。
これらの柱継手部材,梁継手部材には、たとえば異形鉄筋(柱主筋27または梁主筋18)同士をグラウト(たとえば、モルタル)を介して一体化するためのスリーブ状の継手金具などの機械式継手金具が使用される。
PCa製柱3は、柱用接続鉄筋28を柱脚部30から下方に突出させた、いわゆる「逆挿し柱」である。最上階以外の各階において、上階のPCa製柱3をPCa製水平構造体7の柱用仕口部6上に配置する際に、上階のPCa製柱3を下降させて、その柱用接続鉄筋28を、柱用仕口部6の貫通孔29を貫通し下階のPCa製柱3の柱用スリーブ26に挿入している。
このように、柱主筋27と柱用接続鉄筋28をPCa製柱3に予め取付けているので、上階のPCa製柱3を柱用仕口部6の直上で下降させれば、上階のPCa製柱3の柱用接続鉄筋28が貫通孔29を貫通し、且つ下階のPCa製柱3の柱用スリーブ26に挿入される。したがって、柱梁接合部8における現場組立作業がさらに軽減される。
最上階および最上階以外の各階において、PCa製水平構造体7を所定のPCa製柱3の上に取付ける以前には、このPCa製柱3の柱頭部25上には、PCa製水平構造体7を水平方向(桁行方向Cまたは梁間方向D)に移動させるためのスペースが確保されている。したがって、多層建物1の各階で、PCa製水平構造体7をPCa製柱3の上部で水平方向に移動させる工法が可能になる。
すなわち、PCa製柱3は「逆挿し柱」なので、その柱頭部25の上面では、柱用接続鉄筋は上方に突出していない。したがって、PCa製水平構造体7がPCa製柱3の上部で水平移動するときに、柱用接続鉄筋が邪魔になることはない。なお、PCa製水平構造体7の水平移動の邪魔にならなければ、若干の柱用接続鉄筋が柱頭部25から上方に突出している場合であってもよい。
柱梁接合構造体4では、多層建物1の各階で、PCa製水平構造体7をPCa製柱3の上部で水平方向に移動させることにより、大梁5同士(および、大梁5a同士)を梁接合部9で直接的に接合している。これにより、梁接合部9における現場打ちコンクリートをなくすることができる。
次に、多層建物1の柱梁接合構造体4におけるグラウト注入方法について説明する。
図6ないし図11は、柱梁接合部8を模式的に示してグラウト注入の手順を説明するための断面図で、それぞれグラウト注入の状態を示している。図12ないし図16は、柱梁接合部8の断面図で、それぞれ第1の実施例ないし第5の実施例にかかるグラウト注入方法を示している。
図6〜図16に示すように、柱梁接合構造体4における本発明のグラウト注入方法は、下階のPCa製柱3の柱頭部25に設置され、上階のPCa製柱3の柱用接続鉄筋28が挿入された柱用スリーブ26に、グラウト(たとえば、モルタル)10を充填して硬化させ、その後、グラウト10を柱用仕口部6の下目地21に供給している。
すると、グラウト10は、下目地21と、下目地21と連通する貫通孔29と、貫通孔29と連通する上目地22とに順次連続的に充填される。これにより、柱梁接合構造体4の柱梁接合部8において、柱用仕口部6の下目地21と上目地22などに対するグラウト注入作業を容易に行うことができる。
具体的には、上下階のPCa製柱3,3を、柱梁接合部8で、柱用仕口部6を介して上下に配置する。すると、柱用仕口部6の下端と上端には下目地21と上目地22とがそれぞれ形成される。
柱梁接合部8において、上階のPCa製柱3の柱主筋27の柱用接続鉄筋28は、柱用仕口部6の貫通孔29を貫通して、下階のPCa製柱3の柱用スリーブ26に挿入される。
下階のPCa製柱3の上にPCa製水平構造体7が水平方向に取付けられ、その柱用仕口部6の上に上階のPCa製柱が取付けられる。この状態で、下階のPCa製柱3の柱頭部25に設置され、上階のPCa製柱3の柱用接続鉄筋28が挿入された柱用スリーブ26に、供給管33などを介してグラウト10を充填して硬化させる。
次いで、柱用仕口部6の下目地21,貫通孔29,上目地22にグラウト10を注入する。貫通孔29には、柱用接続鉄筋28が貫通しているので、グラウト10は、貫通孔29と柱用接続鉄筋28との間に充填される。
図6〜図16において、グラウト10を供給するための注入管34が、下目地21の平面視でそのほぼ中央部に連通して設けられている。注入管34は、柱用仕口部6に(図6,図15,図16)、または上階のPCa製柱3と柱用仕口部6の両方に(図13,図14)、または下階のPCa製柱3(図12)に、設けられている。
上階のPCa製柱3には、柱用仕口部6の上目地22の平面視でそのほぼ中央部に連通して、空気抜きとグラウト10の排出とを行うための排出管35が設けられている。そして、グラウト10をグラウトポンプ36(図7〜図11,図12)または重力(図13〜図16)により注入管34に供給するようにしている。
グラウト10は、注入管34を出て下目地21のほぼ中央部から周囲に向かって全体的にほぼ均等に広がる。その後、グラウト10は、柱用仕口部6の周囲に配置された複数の貫通孔29に均等に流れ込んだ後、貫通孔29内をほぼ均等に上昇する。
また、排出管35が、上目地22の平面視でそのほぼ中央部に連通している。したがって、貫通孔29の上端開口から上目地22内に流れ込んだグラウト10は、上目地22内で周囲からそのほぼ中央部の接続位置に向かってほぼ均等に流れて、排出管35に流れ込む。
その結果、グラウト10の空気抜きができるので、グラウト10は、下目地21、上目地22および貫通孔29内に空気溜まり(空隙部)ができずに均等に満たされて良好に充填される。
図16に示す第5の実施例では、柱用仕口部6の上目地22の上側内面は、排出管35と接続されている接続位置P1が最も高い位置になるように、全体的に傾斜している。
このようにすれば、上目地22内にグラウト10が流入したとき、上目地22内の空気が上昇して接続位置P1に集まり、排出管35に流れ込んで排出される。その結果、上目地22にグラウト10が充填されたとき、上目地22内に空気溜まりが生じにくい。
図6〜図16に示す実施例において、グラウト10が排出管35から排出を開始し、この排出されるグラウト10に空気の混入がないことを確認した後、注入管34へのグラウト10の供給を停止するようにしている。
注入管34に供給されたグラウト10は、下目地21,貫通孔29,上目地22,排出管35の順に流れて、柱梁接合部8の外部に排出される。注入管34から排出管35までの流路の途中に空気溜まりなどができていても、グラウト10が流路を流れるときに、空気溜まりの空気は、グラウト10と一緒に流れてやがて排出管35から外部に排出される。
そのため、グラウト10を、排出管35からしばらくのあいだ(たとえば、約1〜5分間)流しっぱなしにして排出させる。そして、この排出されるグラウト10に空気の混入がないことを目視などで確認した後、注入管34にグラウトを供給することを停止する。こうすれば、下目地21,貫通孔29,上目地22には、空気溜まりがない状態でグラウト10が充填されたことになり、硬化後のグラウト10は十分な接合強度を発揮する。
次に、グラウト注入の手順を、図6〜図11を参照して説明する。
図6に示すように、上下階のPCa製柱3,3を柱梁接合部8で柱用仕口部6を介して上下に配置し、柱用仕口部6の下端と上端に、下目地21と上目地22とがそれぞれ形成された状態にする。
この状態で、グラウト注入を行う。まず最初に、下階のPCa製柱3の柱頭部25に設置され、上階のPCa製柱3の柱用接続鉄筋28が挿入された柱用スリーブ26に、グラウト10を充填して硬化させる。
次いで、下目地21の周囲と上目地22の周囲を、固練りモルタル37でシールして、グラウト10が下目地21と上目地22から外方に洩れ出ないようにする。
図7に示すように、注入管34は柱用仕口部6に形成されているので、次に、グラウトポンプ36を柱用仕口部6の近くに設置して、グラウトポンプ36と注入管34とを接続する。
図8に示すように、グラウトポンプ36を駆動して、グラウト10を、注入管34を介して下目地21に供給する。すると、注入管34から、下目地21の平面視でそのほぼ中央部に供給されたグラウト10は、矢印B1に示すように、下目地21内を水平方向に且つ放射状に外方に広がって流れて行き、やがて、下目地21全体に充填される。
図9に示すように、グラウト10は、下目地21から貫通孔29内を矢印B2に示すように上方に流れて、この貫通孔29内に充填される。
次いで、図10に示すように、貫通孔29内のグラウト10は、貫通孔29の上端開口38を出て上目地22内に流れ込む。そして、グラウト10は、矢印B3に示すように、上目地22の外周部近傍から水平方向に流れ、排出管35の接続位置P1に向かって移動する。排出管35の接続位置P1は、平面視で上目地22のほぼ中央部に位置している。こうして、グラウト10は上目地22に充填される。
次に、図11に示すように、上目地22内のグラウト10は、排出管35を通って外部に排出され、グラウトポンプ36に回収される。その後も、しばらくのあいだグラウトポンプ36を運転してグラウト10を循環させ、注入管34,下目地21,貫通孔29,上目地22,排出管35内のグラウト10の空気抜きを行う。
やがて、排出管35から排出されるグラウト10に空気の混入がなくなったことを目視などで確認したら、グラウトポンプ36を停止し、注入管34へのグラウト10の供給を停止する。
このようにして、グラウト10を下目地21に供給することにより、グラウト10を、下目地21と貫通孔29と上目地22とに順次連続的に充填する。これにより、柱用仕口部6の下目地21,貫通孔29および上目地22に対するグラウト注入作業を容易に行うことができる。
下目地21,貫通孔29および上目地22に充填されたグラウト10には、空隙部がほとんどないので、充填済みのグラウト10は、十分な性能を発揮することができる。
グラウトポンプ36を一度設置してセットすれば、柱梁接合部8のグラウト注入ができるので、グラウト注入作業が容易で作業に掛かる時間も短くて済む。
図12に示す第1の実施例では、注入管34を下階のPCa製柱3に設けて、下目地21には下方からグラウト10を供給するようにしている。注入管34は、下目地21の平面視でそのほぼ中央部に連通している。排出管35は、上階のPCa製柱3に形成されて、上目地22の平面視でそのほぼ中央部に連通している。
したがって、下階のPCa製柱3の柱頭部25に設置され、上階のPCa製柱3の柱用接続鉄筋28が挿入された柱用スリーブ26に、グラウト10を充填して硬化させる。その後、図12(A)に示すように、グラウトポンプ36でグラウト10を注入管34に供給すれば、グラウト10は、下目地21に充填され、貫通孔29にも充填される。図12(B)に示すように、グラウト10は、貫通孔29に充填された後、図12(C)に示すように、上目地22に充填され、排出管35を通って外部に排出される。
注入管34を下階のPCa製柱3に設けたので、グラウトポンプ36を下階のPCa製柱3の横に設置でき、グラウトポンプ36の取扱い作業などが楽である。
図13に示す第2の実施例では、注入管34を柱用仕口部6と上階のPCa製柱3とに設け、グラウト10を重力により注入管10に供給するようにしている。注入管34は、下目地21の平面視でそのほぼ中央部に連通している。排出管35は、上目地22の平面視でそのほぼ中央部に連通している。
したがって、下階のPCa製柱3の柱頭部25に設置され、上階のPCa製柱3の柱用接続鉄筋28が挿入された柱用スリーブ26に、グラウト10を充填して硬化させる。その後、図13(A)に示すように、グラウト10を注入管34に供給すれば、グラウト10は下目地21と貫通孔29に充填される。
図13(B)に示すように、グラウト10が、貫通孔29に充填された後、図13(C)に示すように、上目地22に充填され、排出管35から外部に排出される。グラウト10を重力により供給しているので、グラウトポンプが不要になる。
図14に示す第3の実施例では、注入管34が、柱用仕口部6と上階のPCa製柱3とに上下方向に真っ直ぐ設けられ、グラウト10を重力により注入管34に供給するようにしている。排出管35は、上階のPCa製柱3に設けられている。
したがって、下階のPCa製柱3の柱頭部25に設置され、上階のPCa製柱3の柱用接続鉄筋28が挿入された柱用スリーブ26に、グラウト10を充填して硬化させる。その後、図14(A)に示すように、グラウト10を重力により注入管34に供給すれば、グラウト10は下目地21と貫通孔29に充填される。図14(B)に示すように、グラウト10は、貫通孔29に充填された後、図14(C)に示すように、上目地22に充填され、排出管35から排出される。
注入管34が途中で曲がらず真っ直ぐの形状なので、グラウト10は、小さい配管抵抗で注入管34内を良好に流れて、下目地21に供給される。
図15に示す第4の実施例は、注入管34が柱用仕口部6に設けられ、グラウト10は重力により注入管34に供給される。排出管35は、上階のPCa製柱3に設けられている。
したがって、下階のPCa製柱3の柱頭部25に設置され、上階のPCa製柱3の柱用接続鉄筋28が挿入された柱用スリーブ26に、グラウト10を充填して硬化させる。その後、図15(A)に示すように、グラウト10を注入管34に供給すれば、グラウト10は下目地21と貫通孔29に充填される。
図15(B)に示すように、グラウト10が下目地21と貫通孔29に充填されると、図15(C)に示すように、グラウト10は、上目地22に充填され、排出管35から排出される。
注入管34を柱用仕口部6のみに設けたので、注入管34の長さを短くすることができる。
図16に示す第5の実施例は、上目地22の形状以外は、図15に示す実施例と同じである。上目地22の上側内面は全体的に傾斜したテーパになっている。
この実施例では、下階のPCa製柱3の柱頭部25に設置され、上階のPCa製柱3の柱用接続鉄筋28が挿入された柱用スリーブ26に、グラウト10を充填して硬化させる。その後、図16(A)に示すように、注入管34にグラウト10を供給して、グラウト10を下目地21と貫通孔29とに充填する。
そして、図16(B)に示すように、グラウト10は、貫通孔29に充填された後、上目地22内に注入される。次いで、図16(C)に示すように、グラウト10は、上目地22に充填された後、接続位置P1を通って、排出管35を流れて排出される。
上目地22の上側内面全体がテーパになっているので、上目地22内の空気は最も高い位置にある接続位置P1に移動して排出されることになり、上目地22内に空気が残る恐れがない。
上述の図12〜図16に示す各実施例にかかるグラウト注入方法によれば、柱用仕口部6の柱用スリーブ26,下目地21,貫通孔29および上目地22に対する一連のグラウト注入作業を容易に行うことができる。
次に、各階における柱梁接合構造体4の組立手順について、図3ないし図5を参照して説明する。
図3〜図5において、下階(ここでは、基準階)ではPCa製柱3の施工が完了し、全てのPCa製柱3の柱頭部25上は、柱主筋,柱用接続鉄筋などは突出しておらず何もない状態になっている(図4(A1),(B1))。
なお、現場工事の手順として、下階における全てのPCa製柱3の施工が完了したのちPCa製水平構造体7を取付けるのが好ましいが、一部のPCa製柱3の取付けが完了していない場合であってもよい。また、下階に床スラブ31が打設された場合を図示しているが、床スラブ31や壁躯体の施工は柱梁接合構造体4を構築した後であってもよい。
まず、一のPCa製水平構造体7をPCa製柱3の上に水平方向(たとえば、桁行方向C)に取付ける(図4(A2),(B2),図5(A))。このPCa製水平構造体7は、柱用仕口部6に対して二つの大梁5と一つの大梁5aとが平面視でT字状をなして一体的に取付けられている。大梁5と大梁5aには、床スラブ31を打設するための多数の鉄筋32が、予め水平方向に突出して設けられている。
この一のPCa製水平構造体7の柱用仕口部6を、PCa製柱3の直上に位置させた状態で、PCa製水平構造体7を矢印E1に示すように下降させて、柱用仕口部6をPCa製柱3上に載置する。
この一のPCa製水平構造体7が位置決めされると、PCa製柱3の柱頭部25に配置された複数の柱用スリーブ26の位置に、柱用仕口部6の複数の貫通孔29の位置が一致した状態になっている。
こうして、一のPCa製水平構造体7が位置決めされた後、これと隣り合う他のPCa製水平構造体7を組み込む(図4(A3),(B3),図5(B))。すなわち、他のPCa製水平構造体7を、隣りのPCa製柱3の上方で、且つ一のPCa製水平構造体7とは平面視で所定距離以上離れた位置に供給する。
次に、他のPCa製水平構造体7を、一のPCa製水平構造体7とほぼ同じ高さ位置まで下降させながら(矢印E2)、PCa製柱3の上で水平方向(たとえば、桁行方向C)に移動させる(矢印E3)。
このとき、PCa製柱3の上には柱用接続鉄筋は突出していないので、柱用接続鉄筋が、他のPCa製水平構造体7の水平移動動作の邪魔になることはない。
他のPCa製水平構造体7の水平移動方向(たとえば、桁行方向C)は、これから接合しようとする梁接合部9における梁用接続鉄筋19や梁用スリーブ16の方向と平行な方向である。他のPCa製水平構造体7をこの水平移動方向に移動させて、梁用接続鉄筋19を梁用スリーブ16に挿入する。
こうして、取付け済みの一のPCa製水平構造体7の大梁5に設けられた梁用接続鉄筋19に、他のPCa製水平構造体7の大梁5に設けられた梁用スリーブ16が係合する。その結果、両方の大梁5,5同士が、梁接合部9で直接的に接合された梁を構成する(図4(A4), (B4),図5(C))。
次に、さらに他のPCa製水平構造体としての大梁5aを、矢印E4に示すように水平方向(たとえば、桁行方向Cと直交する梁間方向D)に移動させて、取付け済みの一のPCa製水平構造体7の大梁5aと梁接合部9で直接的に接合する。
これと同様に、さらに他のPCa製水平構造体としての大梁5aを、矢印E5に示すように水平方向(たとえば、梁間方向D)に移動させて、取付済みの他のPCa製水平構造体7の大梁5aと梁接合部9で直接的に接合する(図4(A4), (B4),図5(C),(D))。このとき、各梁接合部9では、梁用接続鉄筋19に梁用スリーブ16が係合する。
こうして接合された二つの大梁5aは、二つのPCa製柱3上にそれぞれ取付けられた二つのPCa製水平構造体7の大梁5に対して、平面視で直角に配置される。
上述のようにして、PCa製水平構造体を水平方向に移動させ、大梁5同士(および、大梁5a同士)を梁接合部9で直接的に接合している。
なお、図4,図5では、大梁5に対して直角に取付けられる二つのPCa製水平構造体が大梁5aのみにより構成された場合を示しているが、PCa製水平構造体は、大梁5のみにより構成された場合、柱用仕口部に大梁(または、小梁)が一体的に取付けられた場合などであってもよい。この柱用仕口部に大梁(または、小梁)が取付けられた場合には、柱用仕口部が、さらに他のPCa製柱の上に位置決めされることになる。
図1中の符号A1,A2,A3,A4,・・・は、その階におけるPCa製水平構造体7を組み込む際のPCa製水平構造体7の順番を示している。また、隣り合うPCa製水平構造体7の間の梁接合部9における矢印Eは、次に組み込むPCa製水平構造体7の水平移動方向を示している。
たとえば、最初のPCa製水平構造体7を、符号A1に示すように位置決めする。この最初のPCa製水平構造体7は平面視でL字状をなして、その柱用仕口部6がPCa製柱3の上に位置決めされている。
次いで、平面視で直線状をなす二番目のPCa製水平構造体7(符号A2)を、矢印Eに示すように水平方向(ここでは、桁行方向C)に移動させ、PCa製柱3上に位置決めして、大梁5同士を梁接合部9で直接的に接合する。
次に、平面視でT字状をなす三番目のPCa製水平構造体7(符号A3)を、矢印Eに示すように水平方向(ここでは、桁行方向C)に移動させて、PCa製柱3上に位置決めし、大梁5同士を梁接合部9で直接的に接合する。
次いで、平面視で直線状をなす四番目のPCa製水平構造体7(符号A4)を、矢印Eに示すように水平方向(ここでは、梁間方向D)に移動させて、PCa製柱3上に位置決めし、大梁5同士を梁接合部9で直接的に接合する。その後は同じようにして、その階における多数のPCa製水平構造体7が順次組み立てられる。
このようにして、PCa製水平構造体7を水平方向の一方向のみ(桁行方向Cまたは梁間方向D)に移動させて、梁接合部9で大梁5同士(および、大梁5a同士)を直接的に接合している。
ところで、隣り合うPCa製水平構造体7の間の梁接合部のうち、どうしても大梁5同士(または、大梁5a同士)を直接的に接合することができない箇所が必然的に生じる。これは、PCa製水平構造体7の水平移動方向が、その箇所の梁接合部における梁用接続鉄筋19と梁用スリーブ16との係合方向に対して直角になるからである。
このような箇所は、現場打ちコンクリートによる接合部となり、図1中の黒三角印Bで示されており、図1の例では9箇所の現場打ちコンクリート接合部が生じている。この現場打ちコンクリート接合部では、コンクリートを現場打ちして大梁5同士(および、大梁5a同士)を接合することになる。
次に、矢印E6に示すように、一のPCa製水平構造体7上に上階のPCa製柱(逆挿し柱)3を取付ける(図4(A5),(B5),図5(E))。その後、矢印E7に示すように、他のPCa製水平構造体7上に、他の上階のPCa製柱(逆挿し柱)3を取付ける(図4(A6),(B6),図5(F))。
これらPCa製柱3には、柱用接続鉄筋28が、柱脚部30から下方に突出して設けられている。上階のPCa製柱3は、柱用仕口部6の直上に配置されたのち真っ直ぐ下方に移動することにより(矢印E6,E7)、柱用仕口部6上に載置されて位置決めされる。すると、上階のPCa製柱3の柱用接続鉄筋28は、柱用仕口部6の貫通孔29を貫通し、且つ下階のPCa製柱3の柱用スリーブ26に挿入される。
こうして、その階(下階,基準階)および上階の柱梁接合構造体4やPCa製柱3の一部(または、全部)の組立が完了した後、本発明方法で、柱頭部25の柱用スリーブ26に、グラウト10を注入して固定する。その後、グラウト10を、各柱梁接合部8の柱用仕口部6の下目地21と貫通孔29と上目地22とに注入して固定する。
各梁接合部9においても、目地および梁用スリーブ16にグラウトを注入(圧入充填を含む)して固定する(図4(A7),(B7))。
このように、各階における柱梁接合部8および梁接合部9では、グラウトを注入する作業のみを行えばよいので、コンクリートの現場打ち作業は不要になる。
したがって、現場打ちコンクリートのための型枠や配筋が不要で、これらの作業のための足場を仮設する必要もない。その結果、現場作業が大幅に軽減され、超高層の建物の建設にも好都合である。
柱梁接合部8や梁接合部9に充填されたグラウトの強度が高いので、十分な接合強度が発揮される。グラウトのうちたとえばモルタルは、現場打ちコンクリートと比べると、硬化して十分な接合強度を発現するまでの時間が短時間(たとえば、3日間)なので、柱梁接合構造体4を構築するのに要する期間が短縮される。
現場作業の負担が軽減し、組み立てに要する期間も短縮されるので、工程管理が容易になるとともに建設コストも低減される。
柱梁接合部8や梁接合部9で接合作業のための型枠,配筋,足場が不要なので、これらの作業を行うための床スラブ31は打設されていなくてもよい。したがって、図2(A)〜(D)に示すように、多層建物1の主要構造体である柱梁接合構造体4のみを、床スラブ31や壁躯体などの施工に先行して立ち上げることができる。すなわち、いわば鉄骨造の多層建物と同じような組み立て手順で、柱梁接合構造体4を1階から最上階まで各階毎に順次組立施工することができる。
本実施例では、現場でコンクリート打ちを行う箇所が9箇所発生するが、従来必要であった現場打ちコンクリートの箇所と比べて大幅に少なくなっているので、現場作業の負担が軽減する。
現場打ちコンクリート接合部となる箇所は9箇所と少ないので、この9箇所では、コンクリートが硬化して所定の接合強度を発現するまで補強用の鉄骨部材などを仮設して、大梁5同士(および、大梁5a同士)を仮に接合しておけばよい。そして、その階(基準階,下階)における柱梁接合構造体4の組立が完了した後、上階での柱梁接合構造体4の組立工程に順次移行することができる。
このようにすれば、床スラブや壁躯体の施工を待たなくても、柱梁接合構造体のみを先行して立ち上げることができる。なお、補強用に仮設した鉄骨部材などは、後日取り除けばよい。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は、上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲で種々の変形,付加などが可能である。
なお、各図中同一符号は同一または相当部分を示す。
本発明は、集合住宅などの多層建物を構成する柱梁接合構造体の柱梁接合部におけるグラウト注入作業の軽減に有効である。
図1ないし図16は本発明の実施例を示す図で、図1は多層建物の平面図である。 前記多層建物の柱梁接合構造体の組立手順を示す正面断面図である。 前記柱梁接合構造体の部分拡大正面断面図である。 前記柱梁接合構造体の組立手順を示す説明図である。 前記柱梁接合構造体の組立手順を示す斜視図である。 図6ないし図11は、柱梁接合部を模式的に示してグラウト注入の手順を説明するための断面図である。図6は、グラウト注入の状態を示す図である。 グラウト注入の状態を示す図である。 グラウト注入の状態を示す図である。 グラウト注入の状態を示す図である。 グラウト注入の状態を示す図である。 グラウト注入の状態を示す図である。 柱梁接合部の断面図で、第1の実施例にかかるグラウト注入方法を示している。 柱梁接合部の断面図で、第2の実施例にかかるグラウト注入方法を示している。 柱梁接合部の断面図で、第3の実施例にかかるグラウト注入方法を示している。 柱梁接合部の断面図で、第4の実施例にかかるグラウト注入方法を示している。 柱梁接合部の断面図で、第5の実施例にかかるグラウト注入方法を示している。
符号の説明
1 多層建物(建物)
3 PCa製柱
4 柱梁接合構造体
5,5a 大梁(梁)
6 柱用仕口部
7 PCa製水平構造体
8 柱梁接合部
10 グラウト
21 下目地
22 上目地
25 柱頭部
26 柱用スリーブ(柱継手部材)
27 柱主筋
28 柱用接続鉄筋
29 貫通孔
34 注入管
35 排出管
36 グラウトポンプ
P1 接続位置

Claims (4)

  1. 柱用仕口部と梁とを予め一体化したPCa製水平構造体が、建物のPCa製柱の上に水平方向に取付けられ、
    PCa製水平構造体を構成する柱用仕口部は、柱梁接合部で下階のPCa製柱と上階のPCa製柱とに直接的に接合され、
    上階のPCa製柱の柱主筋の柱用接続鉄筋を、柱用仕口部の貫通孔を貫通して下階のPCa製柱の柱継手部材に挿入し、上下階のPCa製柱を柱梁接合部で柱用仕口部を介して上下に配置することにより、柱用仕口部の下端と上端には下目地と上目地がそれぞれ形成された建物の柱梁接合構造体におけるグラウト注入方法であって、
    下階のPCa製柱の柱頭部に設置され上階のPCa製柱の柱用接続鉄筋が挿入された柱継手部材に、グラウトを充填して硬化させた後、
    グラウトを柱用仕口部の下目地に供給することにより、グラウトを、この下目地と、下目地と連通する貫通孔と、この貫通孔と連通する上目地とに順次連続的に充填することを特徴とする建物の柱梁接合構造体におけるグラウト注入方法。
  2. 下目地の平面視でそのほぼ中央部に連通してグラウトを供給するための注入管を、柱用仕口部に、または上階のPCa製柱と柱用仕口部の両方に、または下階のPCa製柱に設け、
    上階のPCa製柱には、柱用仕口部の上目地の平面視でそのほぼ中央部に連通して空気抜きとグラウトの排出とを行うための排出管を設け、
    グラウトをグラウトポンプまたは重力により注入管に供給するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の建物の柱梁接合構造体におけるグラウト注入方法。
  3. 柱用仕口部の上目地の上側内面は、排出管と接続されている接続位置が最も高くなるように、全体的に傾斜していることを特徴とする請求項2に記載の建物の柱梁接合構造体におけるグラウト注入方法。
  4. グラウトが排出管から排出を開始し、この排出されるグラウトに空気の混入がないことを確認した後、注入管へのグラウトの供給を停止するようにしたことを特徴とする請求項2または3に記載の建物の柱梁接合構造体におけるグラウト注入方法。
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