JP4287320B2 - 固体撮像装置、信号処理装置、カメラ及び分光装置 - Google Patents
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Description
従って、以下に、単板方式の固体撮像装置についてのみ説明し、多板方式の固体撮像については説明を省略する。
また、分解する色が異なるのみで、電気信号に変換するまでの方式は共通する為、単板方式の中でも原色系についてのみ説明し、補色系については説明を省略する。
図15(a)は、従来の固体撮像装置における光電変換部を上面から見た上面図であり、(b)は、切断面J−J'を矢印方向に向かって見た断面図である。
なお、図中では、簡略化して、光電変換部10を構成する多数の画素の集合である画素部のうち一部(水平垂直2×2画素)の画素部のみが示されている。
画素1〜4のそれぞれは、拡散プロセスで半導体基板11上に形成される受光素子12、絶縁膜13、及び遮光膜14と、遮光膜14に形成される開口部15と、平坦化のために遮光膜14の上面に形成される絶縁膜16と、オンチップカラーフィルタ製造プロセスで絶縁膜16の上面に形成されるカラーフィルタ17r,17g,17bとから構成される。
また、それぞれの画素には、ベイヤ型配列で色が割り当てられ、割り当てられた色のカラーフィルタが、3個で一組とする画素のそれぞれに一色ずつ形成されている。例えば、図中では、画素1,4には、緑色のカラーフィルタ17gが形成され、画素2には、青色のカラーフィルタ17bが形成され、画素3には、赤色のカラーフィルタ17rが形成されている。
そして、光電変換部10に入射する光は、赤外カットフィルタ18、さらに各色のカラーフィルタ17r,17g,17bのいずれかを透過した後に、開口部15を通過して、受光素子12で電子に光電変換される。
同図には、シリコンP−N接合を利用した受光素子の分光特性が分光特性曲線51で示され、人間の目の感受特性が比視感度曲線52で示されている。
分光特性曲線51にみられるように、シリコンP−N接合を利用した受光素子は、可視光から赤外線の波長範囲のうち、取り分け1100nm〜300nmの光に対して感度を有し、そのピークが750nm〜600nmにある。
これらの分光特性曲線51および比視感度曲線52から解る事は、デジタルカメラにおいて求められる固体撮像装置は、人間の可視領域での光量測定が重要であるため、可視領域外の赤外線が固体撮像装置の受光素子12に及ぼす影響を出来るだけ除く必要があることである。
また、光電変換部10では、色信号を得るために受光素子12の上方にカラーフィルタ17r,17g,17bのいずれか1つが形成され、さらにその上方に設けられた赤外線フィルタ18と相まって、一定性能の光電変換を実現している。
安藤隆男/菰淵寛仁 著 「固体撮像素子の基礎 −電子の目のしくみ−」 株式会社 日本理工出版会、1999年12月5日、p.183−188
またさらに、一定性能以上の光電変換部を製造しようとすると、分光特性の精度が良いカラーフィルタおよび赤外カットフィルタを製造する必要がある。即ち、歩留まりが低下し、製造コストが高くなるという問題もある。
前述の課題を解決するにあたり、本発明に係わる固体撮像装置は、受光した光を電気信号に変換する受光素子の上方に絶縁膜を挟んで形成された遮光膜に、当該受光素子が感度を有する波長範囲内における所定の波長以上の光は遮断され、当該所定の波長未満の光は通過する開口部が設けられているとする。
というのは、仮に、赤外カットフィルタを赤外線が透過したとしても、赤外カットフィルタを透過した赤外線は、開口部で遮断されることになり、受光素子には到達しないからである。
即ち、赤外カットフィルタの省略または赤外線を遮断する精度を大幅に緩和することができ、また、カラーフィルタの省略または各カラーフィルタの分光特性の精度を大幅に緩和することができることによって、固体撮像装置の製造プロセスの簡素化及び赤外カットカラーフィルタ、カラーフィルタの歩留まりの大幅改善が可能となる。
さらに、赤外カットフィルタおよびカラーフィルタの材料特性を緩和し、また材料選択の範囲を拡大することも可能となる。
<解決手段2>
さらに、解決手段1に記載の内容に加えて、撮像される画像を構成する最小単位である画素ごとに前記受光素子が設けられ、それぞれの受光素子の上方に前記開口部が設けられているとしてもよい。
<解決手段3>
さらに、解決手段2に記載の内容に加えて、前記所定の波長に基づいて、前記開口部の形状と寸法とが特定されているとしてもよい。
<解決手段4>
さらに、解決手段3に記載の内容に加えて、前記所定の波長がそれぞれ異なるN(Nは自然数)種類の開口部が、N個の受光素子のそれぞれの上方に1種類ずつ設けられているとしてもよい。
<解決手段5>
さらに、解決手段3に記載の内容に加えて、N(Nは自然数)個の受光素子で受光された光から生成されるN種類の電気信号を構成要素とする列ベクトルを、M(Mは自然数)種類の第1の表色系の色信号を構成要素とする列ベクトルに変換するM×N行列に基づいて、当該N種類の電気信号から当該第1の表色系の色信号を生成するとしてもよい。
<解決手段6>
さらに、解決手段5に記載の内容に加えて、前記第1の表色系の色信号を構成要素とする列ベクトルを補正するM×M行列に基づいて、前記N種類の電気信号から生成された前記第1の表色系の色信号に対して色補正を施すとしてもよい。
<解決手段7>
または、解決手段5に記載の内容に加えて、前記第1の表色系の色信号を構成要素とする列ベクトルを、L(Lは自然数)種類の第2の表色系の色信号を構成要素とする列ベクトルに変換するL×M行列に基づいて、前記N種類の電気信号から生成された前記第1の表色系の色信号を当該第2の表色系の色信号に変換するとしてもよい。
<解決手段8>
さらに、解決手段7に記載の内容に加えて、前記第2の表色系の色信号を構成要素とする列ベクトルを補正するL×L行列に基づいて、前記第1の表色系の色信号から変換された前記第2の表色系の色信号に対して色補正を施すとしてもよい。
<解決手段9>
または、解決手段3に記載の内容に加えて、前記受光素子は、前記開口部が複数設けられているとしてもよい。
<解決手段10>
さらに、解決手段9に記載の内容に加えて、前記開口部の一部の開口部は所定の波長以上の光は遮断し、当該所定の波長未満の光を通過させ、他の開口部は当該一部の開口部とは異なる所定の波長以上の光は遮断し、当該異なる所定の波長未満の光を通過させることとしてもよい。
従って、受光素子が受ける光の最長波長付近の分光特性が複数種類の最長波長で調整され、所望する波長の光を受光素子は受けることができるようになる。
または、解決手段9に記載の内容に加えて、前記開口部は、前記開口部の長手方向の寸法以下の間隔を空けて、長手方向に隣接するように設けられていることとしてもよい。
これによって、画素に設けられる開口部の数が増えて、開口面積が上がり、それとともに感度も上がるという効果がある。
または、解決手段9に記載の内容に加えて、前記開口部は、前記開口部の長手方向の寸法以上の間隔を空けて、長手方向に隣接するように設けられていることとしてもよい。
これによって、開口部が通過させる光の波長よりも長い波長の光が開口部を通過することを抑制することが可能という効果がある。
または、解決手段3に記載の内容に加えて、前記受光素子毎に、前記開口部を覆う1つのマイクロレンズが形成されていることとしてもよい。
これによって、開口部の光だけでなく遮光膜上の光も開口部に集められて、より多くの光量が受光素子で受光され、高感度化を実現するこが可能という効果がある。また、形成するマイクロレンズの大きさを調整することにより、各受光素子に求められる性能応じて各受光素子に入る光の量を調整することが可能となる。
さらに、解決手段3に記載の内容に加えて、前記開口部毎に、前記開口部を覆うマイクロレンズが形成されていることとしてもよい。
これによって、それぞれの開口部に対する集光率を大幅に改善でき、高感度化を実現することが可能という効果がある。また、開口部毎に光の量を調整することが出来るようになり、波長毎に光の量を調整することが可能となる。
または、解決手段3に記載の内容に加えて、前記絶縁膜の膜厚は、前記遮光膜に設けられた開口部において最小となる寸法以上であり、前記受光素子により電気信号に変換すべき光の波長以下であるとしてもよい。
これによって、開口部を通過する光の中でも、受光素子に到着するまでに減衰する波長の光(特に、最長波長に近い光)が受光素子に与える影響を小さくすることができ、色の混色の少ない高画質を実現することが可能という効果がある。
または、解決手段3に記載の内容に加えて、前記開口部の形状が方形であるならば、当該方形の長辺に基づき前記開口部の寸法が特定され、前記開口部の形状が円形であるならば、当該円形の直径に基づき前記開口部の寸法が特定されることとしてもよい。
これによって、開口部の寸法を容易に特定することが可能という効果がある。
または、解決手段3に記載の内容に加えて、前記所定の波長は、前記開口部の上面に形成された媒質内での近赤外光、赤色光、緑色光、青色光のいずれかの波長であるとしてもよい。
これによって、所定の波長がそれぞれ異なる3種類以上の分光信号を実現することができ、色の三原色を実現することができる。これにより、赤外カットフィルタおよびカラーフィルタに依存せずとも、カラー化を実現することが可能という効果がある。
または、解決手段2に記載の内容に加えて、それぞれの受光素子の上方に設けられている開口部の形状は、細長い矩形状であり、それらの長手方向は、一方向に揃えられているとしてもよい。
これによって、長手方向に電界を持つ光の偏光成分が受光素子に集められるので、光の乱反射による疑似信号の防止や、所望の偏光された光のみが受光素子で受光され、色信号の混色防止や偏光精度が高められ、高画質化を実現することが可能という効果がある。
または、解決手段2に記載の内容に加えて、それぞれの受光素子の上方に設けられている開口部の形状は、細長い矩形状であり、それらの長手方向は、画素ごとに、第1の方向と、第1の方向と交差する第2の方向とのうちいずれか一つの方向に向いているとしてもよい。
<解決手段20>
前述の課題を解決するにあたり、本発明に係わる信号処理装置は、固体撮像装置から出力されたN(Nは自然数)種類の電気信号を処理する信号処理装置であって、当該N種類の電気信号に属する第1の電気信号と、当該N種類の電気信号に属し当該第1の電気信号に隣接する第2の電気信号との要素間の差を取って、当該N種類の電気信号を構成要素とするベクトルを、M(Mは自然数)種類の第1の表色系の色信号を構成要素とするベクトルに変換する差分行列を保持する差分行列保持手段と、当該差分行列に基づいて、当該N種類の電気信号から当該第1の表色系の色信号を生成する色信号生成手段とを備えるとする。
<解決手段21>
さらに、解決手段20に記載の内容に加えて、前記第1の表色系の色信号を構成要素とするベクトルを補正する補正行列を保持する補正行列保持手段と、当該補正行列に基づいて、前記色信号生成手段で生成された第1の表色系の色信号を補正する色信号補正手段とを備えるとしてもよい。
<解決手段22>
または、解決手段20に記載の内容に加えて、前記第1の表色系の色信号を構成要素とするベクトルを、L(Lは自然数)種類の第2の表色系の色信号を構成要素とするベクトルに変換する表色系変換行列を保持する表色系変換行列保持手段と、当該表色系変換行列に基づいて、前記色信号生成手段で生成された第1の表色系の色信号を変換して当該第2の表色系の色信号を生成する表色系変換手段とを備えるとしてもよい。
<解決手段23>
さらに、解決手段22に記載の内容に加えて、前記第2の表色系の色信号を構成要素とするベクトルを補正する補正行列を保持する補正行列保持手段と、当該補正行列に基づいて、前記表色系変換手段で生成された第2の表色系の色信号を補正する色信号補正手段とを備えるとしてもよい。
<解決手段24>
前述の課題を解決するにあたり、本発明に係わるカメラは、受光した光を電気信号に変換する受光素子の上方に絶縁膜を挟んで形成された遮光膜に、当該受光素子が感度を有する波長範囲内における所定の波長以上の光は遮断され、当該所定の波長未満の光は通過する開口部が設けられ、撮像される画像を構成する最小単位である画素ごとに当該受光素子が設けられ、それぞれの受光素子の上方に当該開口部が設けられている固体撮像装置を備えるとする。
従って、固体撮像装置の製造時間の短縮、製造コストの低下、歩留まりの向上が図られることになる。
<解決手段25>
さらに、解決手段24に記載の内容に加えて、前記固体撮像装置は、前記所定の波長がそれぞれ異なるN(Nは自然数)種類の開口部がN個の受光素子のそれぞれの上方に1種類ずつ設けられ、それぞれの前記所定の波長に基づいて特定される形状と寸法との前記開口部が上方に設けられている当該N個の受光素子のそれぞれで受光された光から生成されるN種類の電気信号を処理する信号処理回路が設けられ、当該信号処理回路は、当該N種類の電気信号に属する第1の電気信号と、当該N種類の電気信号に属し当該第1の電気信号に隣接する第2の電気信号との要素間の差を取って、当該N種類の電気信号を構成要素とするベクトルを、M(Mは自然数)種類の第1の表色系の色信号を構成要素とするベクトルに変換する差分行列に基づいて、当該N種類の電気信号から当該第1の表色系の色信号を生成することとしてもよい。
または、解決手段24に記載の内容に加えて、前記カメラは、さらに、前記固体撮像装置から出力されたN(Nは自然数)種類の電気信号を処理する信号処理装置を備え、前記固体撮像装置は、前記所定の波長がそれぞれ異なるN種類の開口部がN個の受光素子のそれぞれの上方に1種類ずつ設けられ、それぞれの前記所定の波長に基づいて特定される形状と寸法との前記開口部が上方に設けられている当該N個の受光素子のそれぞれで受光された光から生成されるN種類の電気信号を前記信号処理装置に出力し、前記信号処理装置は、当該N種類の電気信号に属する第1の電気信号と、当該N種類の電気信号に属し当該第1の電気信号に隣接する第2の電気信号との要素間の差を取って、当該N種類の電気信号を構成要素とするベクトルを、M(Mは自然数)種類の第1の表色系の色信号を構成要素とするベクトルに変換する差分行列に基づいて、当該N種類の電気信号から当該第1の表色系の色信号を生成することとしてもよい。
<解決手段27>
または、解決手段24に記載の内容に加えて、前記カメラは、さらに、前記所定の波長がそれぞれ異なるN種類の開口部が受光素子の上方に1種類ずつ設けられているN個の前記固体撮像装置と、前記N個の固体撮像装置からそれぞれ出力されたN(Nは自然数)種類の電気信号を処理する信号処理装置とを備え、前記N個の固体撮像装置のそれぞれは、前記所定の波長に基づいて特定される形状と寸法との前記開口部が上方に設けられている受光素子で受光された光から生成される電気信号を前記信号処理装置にそれぞれ出力し、前記信号処理装置は、当該N種類の電気信号に属する第1の電気信号と、当該N種類の電気信号に属し当該第1の電気信号に隣接する第2の電気信号との要素間の差を取って、当該N種類の電気信号を構成要素とするベクトルを、M(Mは自然数)種類の第1の表色系の色信号を構成要素とするベクトルに変換する差分行列に基づいて、当該N種類の電気信号から当該第1の表色系の色信号を生成することとしてもよい。
<解決手段28>
また、本発明に係る分光装置は、光源からの光路と非平行に存在する遮光部材の光があたる部分に、所定の波長以上の光は遮断され、当該所定の波長未満の光は通過する開口部を設けて、光源からの光を分光する分光手段を備えることを特徴とする。
さらに、開口部の大きさを調整することや遮光部材の角度を変えることにより、容易に分光する光の周波数の種類を増やすことが可能となる。
<解決手段29>
また、前記分光装置は、更に、前記分光手段により分光された光をその強度に応じた電気信号に変換する光検出手段を備えることとしてもよい。
<解決手段30>
また、前記分光装置は、更に、前記光検出手段によって変換されたN(Nは自然数)種類の電気信号に属する第1の電気信号と、前記N種類の電気信号に属し前記第1の電気信号に隣接する第2の電気信号との要素間の差を取って、前記N種類の電気信号を構成要素とするベクトルを、M(Mは自然数)種類の電気信号を構成要素とするベクトルに変換するM×Nの差分行列を保持する差分行列保持手段と、前記差分行列に基づいて、前記N種類の電気信号から前記M種類の電気信号を生成する信号処理手段とを備えることとしてもよい。
以下、本発明の実施の形態1について、図面を参照しながら説明する。なお、従来の技術と同一の構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。また、実施の形態を通して、大体の目安として、赤外線(IR)を780nm〜3μmの光とし、赤色光(R)を610nm付近の光とし、緑色光(G)を540nm付近の光とし、青色光(B)を450nm付近の光とする。
図1は、デジタルカメラで用いられる固体撮像装置の概要を示す斜視図である。
同図にみられるように、デジタルカメラ100で用いられる固体撮像装置101は、従来の固体撮像装置と比べて、受光面を保護する封止ガラスを介して入射した光(以下、入射光と呼称する)が、光電変換部(図中の点ハッチングで示される領域)で電子に光電変換される点は同一である。
<導波管について>
ここで、マイクロ波帯の代表的な伝送線路である導波管について説明する。なお、マイクロ波も光も、共にマクスウェル方程式に従う電磁波である。
例えば、横幅aおよび高さbの方形導波管において、遮断周波数fcは、以下の式(1)で示される。また、遮断周波数に対する波長(以下、遮断波長と呼称する)λcは、以下の式(2)で示される。なお、ここでは、高さbより横幅aが大きい(a>b)とする。また、半径rの円形導波管においては、遮断周波数fcは、以下の式(3)で示され、遮断波長λcは、以下の式(4)で示される。なお、導波管の内部には、誘電率εおよび透磁率μの等方かつ均質な媒質が充填されているものとし、媒質中の平面波の速度vは、以下の式(5)で示される。
<実施の形態1における固体撮像装置の構成>
図2(a)は、実施の形態1の固体撮像装置における光電変換部を上面から見た上面図であり、(b)は、切断面A−A'を矢印方向に向かって見た断面図である。
なお、図中では、簡略化して、光電変換部110を構成する多数の画素部のうち一部(水平垂直2×2)の画素部のみが示されている。
以下、一例として、受光素子12は、1000nm〜270nmの波長を有する光に感度をもち、800nm〜700nmにピークがあるフォトダイオードとする。また、絶縁膜13,16は、シリコン酸化膜(SiO2)またはシリコン窒化膜(Si3N4)とし、遮光膜114は、アルミ膜(Al)またはタングステンシリサイド膜(W−Si)とする。
開口部115は、開口部15に比べて開口の寸法を小さくして、その寸法と形状とから特定される遮断波長λc以上の波長の光が遮断される。なお、屈折率Nrの絶縁膜16を介して、波長λiの光が開口部115に入射する際には、絶縁膜16の屈折率を考慮して、絶縁膜16におけるその光の波長λrは、以下の式(6)で示される。
同図にみられるように、一覧表130は、カラム131に材質、カラム132に材質の屈折率が示されている。
例えば、絶縁膜16をシリコン酸化膜(SiO2)とし、外部から絶縁膜16に入射された光の波長が780nm(赤外線)とすると、絶縁膜16を介して開口部115に入射する際には、屈折率は1.46から、その光の波長は約534.25nmになる。そして、開口部115の遮断波長λcが約534.25nm以下ならば、外部から入射した780nmの光は、開口部115で遮断される。
以下、所定の波長以上の光は開口部によって遮断され得るであろう遮断波長λrcと、開口部の上面に形成された媒質の屈折率Nrと、開口部の形状とによって特定される開口部の寸法を遮断寸法とする。そして、開口部の形状が方形であるならば、遮断寸法は、その長辺の寸法を指し、円形であるならば、その半径の寸法を指す。
なお、遮断寸法の上限は、受光素子12が感度を有する波長範囲の最長波長から特定される。これは、開口部の寸法をそれ以上大きくしても、受光素子12が感度を有さない波長の光が受光されるだけであり、結果的には、受光されていないのと同じであることに基づいている。
以上のように構成された光電変換部110について、その分光特性について説明する。
図4は、実施の形態1における固体撮像装置の分光特性を示すグラフである。
なお、横軸に波長が示され、縦軸に分光感度が示されている。
同図にみられるように、開口部115を通過し得る光の分光特性が分光特性曲線151で示されている。また、参考までに、赤色のカラーフィルタ17rを通過し得る光の分光特性が分光特性曲線152r(図中の破線で示される線)で示され、緑色のカラーフィルタ17gを通過し得る光の分光特性が分光特性曲線152g(図中の一点破線で示される線)で示され、青色のカラーフィルタ17bを通過し得る光の分光特性が分光特性曲線152b(図中の二点破線で示される線)で示されている。
分光特性曲線151にみられるように、開口部115は、760nm以上の光を遮断し、感度が現われだす760nm〜750nm付近から光を通過することが示されている。
分光特性曲線152rにみられるように、カラーフィルタ17rは、750nm〜520nmの波長範囲(以下、R錐状体と呼称する)の波長範囲の光を透過させ、それ以外の光をほとんど透過させない。特に、ピークが赤の波長(610nm)付近にあるように、赤の波長付近の光をよく透過させることが示される。
分光特性曲線152bにみられるように、カラーフィルタ17bは、570nm〜370nmの波長範囲(以下、B錐状体と呼称する)の波長範囲の光を透過させ、それ以外の光をほとんど透過させない。特に、ピークが青の波長(450nm)付近にあるように、青の波長付近の光をよく透過させることが示される。
以上のように、光電変換部110では、カラーフィルタ17r,17g,17bと開口部115とが組み合わされて、入射光のうち可視光は通過し、近赤外光は遮断される。これにより、赤外線カットフィルター18が省かれても、カラーフィルタ17rを通過し得る光の波長領域がR錐状体よりも長波長側に存在しても、その光は遮断される。
<実施の形態1におけるその他>
なお、ここでは、780nmの光を例に説明したが、実際には、用途に応じて、対象とする光の波長から遮断波長λrcが特定される。例えば、固体撮像装置で生成される色信号に感度を持たすことにより、790nm、800nmなどの光を対象に遮断波長λrcが特定されるとして、若干の赤外線が受光されるようにしてもよいし、特に、赤外領域を受光することに重きが置かれる赤外線カメラでは、積極的に、1000nmなどの赤外領域の光を対象に遮断波長λrcとするとしてもよい。
なお、固体撮像装置101は、MOS(Metal Oxide Semiconductor)型固体撮像素子としてもよいし、インタライン転送方式のCCD(Charge Coupled Device)型固体撮像素子としてもよいし、フレーム転送方式のCCD型固体撮像素子としてもよい。
なお、遮光膜からしみでるエバネッセント波の影響を考慮すると、絶縁膜13の膜厚は、受光素子12が感度を有する波長範囲における最長波長程度としてもよい。
<実施の形態2>
以下、本発明の実施の形態2について、図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態1と同一の構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。
実施の形態1においては、近赤外光を遮断することに主眼が置かれていた。実施の形態2においては、さらに、各色ごとに不要とする波長の光を遮断することに主眼が置かれる。
以上の点を踏まえて、実施の形態2における固体撮像装置について説明する。
図5(a)は、実施の形態2の固体撮像装置における光電変換部を上面から見た上面図であり、(b)は、切断面B−B'を矢印方向に向かって見た断面図である。
なお、図中では、簡略化して、光電変換部210を構成する多数の画素部のうち一部(水平垂直2×2)の画素部のみが示されている。
ここで、緑色光遮断寸法とは、青色光の波長(450nm)以下の光は通過し得るが緑色光の波長(540nm)以上の光は遮断され得るであろう遮断寸法を指す。
なお、赤外線遮断寸法、赤色光遮断寸法、緑色光遮断寸法の中では、赤外線遮断寸法が最も大きく、赤色光遮断寸法が二番目に大きく、緑色光遮断寸法が最も小さい。
以上のように構成された光電変換部210について、その分光特性について説明する。
なお、カラーフィルタ217r,217g,217bは、カラーフィルタ17r,17g,17bに比べて、分光特性の精度が緩いとする。
図6は、実施の形態2における固体撮像装置の分光特性を示すグラフである。
分光特性曲線251rにみられるように、開口部215rは、760nm以上の光を遮断し、感度が現われだす760nm〜750nm付近から光を通過することが示されている。
分光特性曲線251bにみられるように、開口部215bは、580nm以上の光を遮断し、感度が現われだす580nm〜570nm付近から光を通過することが示されている。
以上のように、開口部215r,215g,215bは、それぞれの色を再現する際に不要とされる光を遮断するハイパスフィルタとして機能する。
例えば、カラーフィルタ217rと開口部215rとを組み合わせると、赤色光の波長付近の光は通過し、赤外線の波長以上の光は遮断される。これは、分光特性曲線251r,252rとから示されるように、カラーフィルタ217rを透過し得る光の波長領域がR錐状体の長波長側より、さらに長波長側に存在しても、開口部215rによって760nm以上の光が遮断される。そして、これにより、図4に示された分光特性曲線152rに近い分光特性が実現される。
また、分光特性曲線251b,252bとから示されるように、カラーフィルタ217bと開口部215bとを組み合わせると、青色光の波長付近の光は通過し、緑色光の波長以上の光は遮断され、図4に示された分光特性曲線152bに近い分光特性が実現される。
なお、画素部に割り当てられる色に応じて開口部の形状を変えるとしてもよい。
<実施の形態3>
以下、本発明の実施の形態3について、図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態2と同一の構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。
実施の形態2においては、各色ごとに不要とする光を遮断することに主眼が置かれていた。実施の形態3においては、不要とする光を遮断するために小さくした開口部によって減少した感度を増加することに主眼が置かれる。
以上の点を踏まえて、実施の形態3における固体撮像装置について説明する。
図7(a)は、実施の形態3の固体撮像装置における光電変換部を上面から見た上面図であり、(b)は、切断面C−C'を矢印方向に向かって見た断面図である。
なお、図中では、簡略化して、光電変換部310を構成する多数の画素部のうち一部(水平垂直2×2)の画素部のみが示されている。
また、開口部間の距離を短くすると、画素部に配置され得る開口部の数が増えて、開口面積が上がり、それとともに感度も上がる。しかし、開口部間が狭くなり長波長の光が透過されやすくなる。これから、隣接する開口部間の距離は、感度を優先するならば、遮光膜314に形成されるそれぞれの開口部に対する遮断寸法以下とし、長波長の光の混入を防止するならば、遮断寸法以上とし、目的に応じて特定される。
以上のように、それぞれの受光素子12の上方に同一の開口部が2つ以上設けられることにより、受光素子が受光し得る光量を増加し、感度を大幅に増加し得る。
<実施の形態3におけるその他>
なお、絶縁膜13の膜厚は、開口部315rにおいて減衰する光の影響を小さくするならば、赤外線遮断寸法と同程度とし、開口部315bにおいて減衰する光の影響を小さくするならば、緑色光遮断寸法と同程度としてもよい。
<実施の形態4>
以下、本発明の実施の形態4について、図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態3と同一の構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。
実施の形態3においては、開口部を小さくすることによって減少した感度を増加することに主眼が置かれた。実施の形態4においては、それぞれの画素部に属する遮光膜に遮断寸法がそれぞれ異なる2種類以上の開口部を形成することで、それぞれの画素部に設けられた開口部を通過する光の分光特性を調整することに主眼が置かれる。
<実施の形態4における固体撮像装置の構成>
図8(a)は、実施の形態4の固体撮像装置における光電変換部を上面からみた上面図であり、(b)は、切断面D−D'を矢印方向に向かってみた断面図である。
なお、図中では、簡略化して、光電変換部410を構成する多数の画素部のうち一部(水平垂直2×2)の画素部のみが示されている。
以上のように構成された光電変換部410について、その分光特性について説明する。
図9は、実施の形態4における固体撮像装置の分光特性を示すグラフである。
同図にみられるように、開口部415rと開口部416rとを通過し得る光の分光特性が分光特性曲線451rで示され、開口部415gと開口部416gとを通過し得る光の分光特性が分光特性曲線451gで示され、開口部415bと開口部416bとを通過し得る光の分光特性が分光特性曲線451bで示されている。また、参考までに、図4で示された、分光特性曲線152r(図中の破線で示される線)、分光特性曲線152g(図中の一点破線で示される線)、分光特性曲線152b(図中の二点破線で示される線)も示されている。
分光特性曲線451rにみられるように、開口部415rと開口部416rとの組み合わせは、760nm以上の光を遮断し、R錐状体の長波長側の斜面曲線に沿う形で、感度が現われだす760nm〜750nm付近から光を通過することが示されている。
分光特性曲線451bにみられるように、開口部415bと開口部416bとの組み合わせは、580nm以上の光を遮断し、B錐状体の長波長側の斜面曲線に沿う形で、感度が現われだす580nm〜570nm付近から光を通過することが示されている。
以上のように、カラーフィルタ217rと、開口部415rと、開口部416rとを組み合わせると、赤色光の波長付近の光は通過し、赤外線の波長以上の光は遮断される。さらに、開口部416rによって感度または混入が調整されることにより、図4に示された分光特性曲線152rに、より近い分光特性が実現される。
また、カラーフィルタ217bと、開口部415bと、開口部416bとを組み合わせると、青色光の波長付近の光は通過し、緑色光の波長以上の光は遮断される。さらに、開口部416bによって感度または混入が調整されることにより、図4に示された分光特性曲線152bに、より近い分光特性が実現される。
なお、開口部415r,416rのそれぞれは、赤外線遮断寸法を挟む前後の寸法としてもよい。同様に、開口部415g,416gのそれぞれは、赤色光遮断寸法を挟む前後の寸法としてもよいし、開口部415b,416bのそれぞれは、緑色光遮断寸法を挟む前後の寸法としてもよい。
なお、長辺と直径とが同一の方形形状の開口部と円形形状の開口部とを組み合わせて複数形成されるとしてもよい。また、長辺と直径とが異なる方形形状の開口部と円形形状の開口部とを組み合わせて複数形成されるとしてもよい。
以下、本発明の実施の形態5について、図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態1と同一の構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。
<実施の形態5の概要>
実施の形態1においては、入射光の偏光成分を分けることについて主眼が置かれていなかった。実施の形態5においては、開口部の形状を矩形として、その開口部の短辺の寸法によって入射光の偏光成分を分けることに主眼が置かれる。
<実施の形態5における固体撮像装置の構成>
図10(a)は、実施の形態5の固体撮像装置における光電変換部を上面から見た上面図であり、(b)は、切断面E−E'を矢印方向に向かって見た断面図である。
なお、図中では、簡略化して、光電変換部510を構成する多数の画素部のうち一部(水平垂直2×2)の画素部のみが示されている。
<導波管中の電磁波について>
ここで、長辺aおよび短辺bの開口部515を方形導波管に見た立てて、方形導波管中の電磁波について説明する。なお、方形導波管の管壁は完全導体であり、その内部には、誘電率ε、透磁率μの等方かつ均質な媒質が充填されているとする。
ここで、TE波(またはH波とも呼称する)とは、伝搬方向の電界がゼロである電磁波を指し、TM波(またはE波とも呼称する)とは、伝搬方向の磁界がゼロである電磁波を指す。
<TE波の場合>
先ず、導波管の内部を伝搬する電磁波がTE波である場合には、z方向の磁界Hzは、以下の式(9)で示される波動方程式を満たす。
ここで、固有モードとは、Ex,Ey,Ez,Hx,Hy,Hzの組を指す。なお、固有モードに対するkcを固有値(または遮断定数)と呼称する。
<TM波の場合>
次に、導波管の内部を伝搬する電磁波がTM波である場合には、z方向の電界Ezは、以下の式(13)で示される波動方程式を満たす。
<導波管の伝送特性>
続いて、導波管の伝送特性について説明する。
方形導波管においてTEmnモードおよびTMmnモードの遮断波長λc(mn)は、以下の式(17)で示される。そして、式(17)で示される様に、固有モードごとに特定される遮断波長λc(mn)以下の光であれば、開口部515を通過し得る。これから、開口部515は、多重モード導波管とみなされる。
ここで、高次モードとは、遮断波長が最も長くなる固有モード(以下、基本モードと呼称する)以外の固有モードを指す。
例えば、高次モードの遮断波長λc(mn)および基本モードの遮断波長λc(10)との間に、係数αを用いて以下の式(19)で示される関係式が成り立つとする。また、基本モードの遮断波長λc(10)は、方形導波管の長辺aを用いると、以下の式(20)で示される。そして、式(19)−式(20)を式(17)に代入すると、方形導波管の短辺bと長辺aとの間に、以下の式(21)で示される関係式が導出される。
以上のように、開口部を細長い矩形状にすることによって、長辺の寸法に応じた電界を持つ光の偏光成分が受光素子12に集められる。これは、一般に、開口部の長辺方向に電界を持つ光は、短辺方向に電界を持つ光よりもが通過し易いからである。これにより、開口部の短辺の寸法によって、入射する光の偏光成分を分けることができ、光の乱反射による擬似信号の防止や、所望の偏光された光のみが受光素子12で受光され、色信号の混色防止や偏光精度が高められ、高画質化が実現され得る。
なお、開口部515の長辺の寸法は、赤外線遮断寸法、赤色光遮断寸法、緑色光遮断寸法のいずれか1種類としてもよい。また、1種類の開口部の代わりに、長辺の寸法がそれぞれ異なる3種類の開口部を、それぞれの画素部に配置するとしてもよい。これにより、光電変換部510は、偏光の選択性が改善され、かつ実施の形態2において説明した光電変換部210の様に、3種類(三原色)の色信号が生成される。
なお、実施の形態3において説明した光電変換部310の様に、一つの受光素子に対して、開口部が複数形成されているとしてもよい。
<実施の形態6>
以下、本発明の実施の形態6について、図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態2と同一の構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。
実施の形態2においては、各色のカラーフィルタ217r,217g,217bを透過した光のうち、それぞれの色を再現する際に不要とされる光を、それぞれの遮断寸法が異なる3種類の開口部で遮断することに主眼が置かれていた。実施の形態6においては、各色のカラーフィルタ217r,217g,217bが省かれて、その代わりに、遮断寸法がそれぞれ異なる3種類の開口部を通過した光から光電変換された電気信号に信号処理を施して、それぞれの色を再現する際に必要とされるRGB形式の信号を生成することに主眼が置かれる。
<実施の形態6における固体撮像装置>
図11は、実施の形態6における固体撮像装置の構成を示す機能ブロック図である。
同図にみられるように、固体撮像装置601は、光電変換部610、信号増幅部620、A/D変換部630、信号処理部640とから構成される。
図12(a)は、実施の形態6の固体撮像装置における光電変換部を上面から見た上面図であり、(b)は、切断面F−F'を矢印方向に向かって見た断面図である。
図12(a),(b)にみられるように、光電変換部610は、光電変換部210と比べて、絶縁膜16を挟んで、遮断寸法がそれぞれ異なる開口部215r,215g,215bの上方に設けられるカラーフィルタ217r,217g,217bが省かれている点が異なる。なお、絶縁膜16も、省かれるとしてもよい。
以下、LICを増幅した信号をALICとし、LRCを増幅した信号をALRCとし、LGCを増幅した信号をALGCとする。そして、信号増幅部620からA/D変換部630に出力される各信号をALIC,ALRC,ALGCで表記する。
以下、ALICから変換されたデジタル信号をDLICとし,ALRCから変換されたデジタル信号をDLRCとし,ALGCから変換されたデジタル信号をDLGCとする。そして、A/D変換部630から信号処理部640に出力される各信号をDLIC,DLRC,DLGCで表記する。
以下、DLIC,DLRC,DLGCから、差分処理、補正処理などを施して変換されるRGB表色系で示される赤色信号をRとし、緑色信号をGとし、青色信号をBとする。そして、信号処理部640から出力される各信号をR,G,Bで表記する。
さらに、信号処理部640は、差分行列保持部641、色信号生成部642、補正行列保持部643、及び色信号補正部644とから構成される。
差分行列保持部641は、差分係数から構成される行列(以下、差分行列と呼称する)が保持されている。
色信号生成部642は、差分行列に基づく行列演算を施して、信号処理部640に入力された信号(DLIC,DLRC,DLGC)を、RGB表色系で示される色信号(R,G,B)に変換する。
ここで、補正係数とは、各色信号(R,G,B)に対して色補正が施されることが示される係数を指す。
色信号補正部644は、補正行列に基づく行列演算を施して、色信号生成部642で変換された色信号(R,G,B)を理想とされる色信号に補正する。なお、具体的には、カラーテレビやカラー写真などで用いられている色補正であり、詳細な説明は省略する。
<差分行列の例>
ここで、差分行列の構成例について説明する。なお、説明するにあたり、以下の条件1〜条件5を満たすものとする。
(条件2)その波長および光量は、受光素子の上方に設けられた開口部の寸法に応じて異なる。
(条件3)規格化された光は、赤色光、緑色光、青色光を加法混色して得られるとする。
(条件5)紫外線は、固体撮像装置の封止ガラスなどによって減衰され、ほとんど受光されないとする。
また、色信号生成部642において、RGB表色系で示される色信号(R,G,B)からなる列ベクトルは、以下の式(22)で示されるように、信号処理部640に入力された信号(DLIC,DLRC,DLGC)からなる列ベクトルに、差分行列保持部641で保持されている差分行列[D]を掛けて得られる。
また、図6または図9などで示された理想に近い分光特性が得られる場合には、即ち、W13およびW23の重みが非常に小さくなり、D13はほぼ0の値になる。そして、この場合には、信号処理部640に入力される信号(DLIC,DLRC,DLGC)に対して、2つの信号間の差分を取るだけで、RGB表色系で示される色信号(R,G,B)が生成され得る。
同図にみられるように、赤外線遮断寸法の開口部を通過し得る光の分光特性が分光特性曲線651rで示され、赤色光遮断寸法の開口部を通過し得る光の分光特性が分光特性曲線651gで示され、緑色光遮断寸法の開口部を通過し得る光の分光特性が分光特性曲線651bで示されている。
しかしながら、実際には、分光特性曲線651r,651g,651bに示されるように、理想に近い分光特性から大きくズレる場合には、即ち、W13およびW23の重みが無視出来なくなり、D13は0の値になるとは限らない。そして、この場合には、2つの信号間の差分をとるだけでは、RGB表色系で示される色信号(R,G,B)が生成され難く、他の信号からの寄与も含める必要がある。
<実施の形態6のまとめ>
以上のように、遮断寸法がそれぞれ異なる開口部が上方に設けられた受光素子から、遮断寸法に応じた信号が出力されて、受光素子から出力された信号を信号処理部640で差分処理を施すことで、カラーフィルタが省かれた固体撮像装置601においても色信号を生成し得る。
<実施の形態6におけるその他>
なお、赤外線遮断寸法、赤色光遮断寸法、緑色光遮断寸法、および青色光遮断寸法の開口部を、4個で一組とする受光素子のそれぞれの上方に1種類ずつ設けて、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)、及び紫外線(UV)の四色を生成するとしてもよい。その際には、以下の式(25)に示されるように、受光素子から出力される4種類の信号に対して、信号処理部640で差分処理を施して色信号(R,G,B,UV)を生成すればよい。なお、この場合における差分行列は、4×4行列で示される。
なお、実施の形態3において説明した光電変換部310の様に、一つの受光素子に対して、開口部が複数形成されているとしてもよいし、さらに、実施の形態4において説明した光電変換部410の様に、2種類の開口部が複数形成されるとしてもよい。
<実施の形態7>
以下、本発明の実施の形態7について、図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態6と同一の構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。
実施の形態6においては、各色のカラーフィルタ217r,217g,217bが省かれて、その代わりに、遮断寸法がそれぞれ異なる3種類の開口部を通過した光から光電変換されて生成された電気信号に信号処理を施して、それぞれの色を再現する際に必要とされるRGB形式の信号を生成することに主眼が置かれていた。実施の形態7においては、より多くの光が開口部に取り込まれることに主眼が置かれる。
<実施の形態7における固体撮像装置の構成>
図14(a)は、実施の形態7の固体撮像装置における光電変換部を上面から見た上面図であり、(b)は、切断面G−G'を矢印方向に向かって見た断面図である。
なお、図中では、簡略化して、光電変換部710を構成する多数の画素部のうち一部(水平垂直2×2)の画素部のみが示されている。
<実施の形態7のまとめ>
以上のように、遮光膜214の上面に開口部を覆うマイクロレンズを形成することによって、遮光膜214上の光も開口部に集められて、より多くの光量が受光素子で受光され、高感度化が実現され得る。
なお、実施の形態3および実施の形態4において説明した光電変換部310および光電変換部410の様に、一つの受光素子に対して複数の開口部が形成される場合には、一つの受光素子にたいして形成された複数の開口部を全て覆う一つのマイクロレンズが遮光膜214の上面に形成されるとしてもよいし、それぞれの開口部を覆う複数のマイクロレンズが形成されるとしてもよい。
<実施の形態8>
以下、本発明の実施の形態8について、図を参照しながら説明する。
<実施の形態8の概要>
本実施の形態に係る発明は、分光装置である。
プリズムを利用した分光装置においては、プリズム1002の屈折率が波長により異なることから、入射光1001がプリズム1002を通過することで、入射光1001を波長ごとに分けることができる。
例では、プリズム1002を通過した光1003が、プリズムから離れた場所に置かれた分光表示板1004にあたる位置座標1005によって、入射光1001の波長を決定している。分光表示板1004の位置座標1005Rに光があたれば、入射光1001は赤、位置座標100Gならば緑、位置座標1005Bならば青であるようにである。
またさらに、固体撮像装置を構成する受光素子の光電変換特性の測定においては、受光素子への入射光の周波数及び量を細かく設定することが必要となることから、分光装置は操作の簡単なものが望ましい。
本実施の形態で説明する分光装置は、従来のプリズムを利用した分光装置に比べ、調整箇所が少なく、操作の簡単な分光装置である。
図17(a)は、一種類の光に分光する分光装置の一構成例である。図17(b)は、複数の光に分光する分光装置の一構成例である。
複数に分光する場合は、図17(a)の分光装置を複数個設けて、1つの分光装置を作ることになる(図17(b)参照)。
開口部1013を通過した光1030は、分光表示板1012に到達する。
例えば、開口部1013が方形でその長辺が約230nmである場合には、開口部を通過した光1030は、青色光の波長(450nm付近の光)以下の波長の光となる。
尚、分光板1010の材料として、例えば、アルミニウム(AL)やタングステン(W)が使用される。
次に、図17(a)の分光表示板の換わりに、光検出部を備えた図17(b)の分光装置、いわゆる分光測定装置について説明する。
また、各開口部は、それぞれ異なる波長以下の波長の光を通過させるものとし、各開口部の分光特性は、測定してあるものとする。
例えば、開口部1051を通過する光の波長が、青色光の波長未満であり、開口部1052を通過する光の波長が、緑色光の波長未満であり、開口部1053を通過する光の波長が、赤色光の波長未満であるとする。
処理の詳細は、実施の形態6の説明の通りである。
<実施の形態8におけるその他>
(1)本実施の形態の分光装置では、一枚の分光板に開口部を設けているが、開口部ごとに分光板を異なるものにすることとしてもよい。
(2)複数の開口部を有し、複数の光に分離する分光装置には、近くの開口部を通過した光と混合しないように、光分離版1011を設けることも有用である。
(3)本実施の形態の分光装置では、ある周波数以下の光を通過させる開口部は1つ設けているが、同じ形態の開口部を複数個設けてもよい。
開口部を複数設けることで、開口部を通過する光の量を大きくすることができ、分光装置または分光測定装置の光のSN比を改善することができる。実施の形態3の説明の通りである。
また、異なる形態の開口部を組合わせることで、必要とする分光特性に近い光を通すことができるようになる。実施の形態4の説明の通りである。
(4)本実施の形態の分光装置では、開口部は方形であるが、他の形状であってもよい。たとえば、円、スリット等である。
10 光電変換部
11 半導体基板
12 受光素子
13 絶縁膜
14 遮光膜
15 開口部
16 絶縁膜
17r,17g,17b カラーフィルタ
18 赤外カットフィルタ
51 分光特性曲線
52 視感度曲線
100 デジタルカメラ
101 固体撮像装置
110 光電変換部
114 遮光膜
115 開口部
151 分光特性曲線
152r,152g,152b 分光特性曲線
210 光電変換部
214 遮光膜
215r,215g,215b 開口部
217r,217g,217b カラーフィルタ
251r,251g,251b 分光特性曲線
252r,252g,252b 分光特性曲線
310 光電変換部
314 遮光膜
315r,315g,315b 開口部
410 光電変換部
414 遮光膜
416r,416g,416b 開口部
416r,416g,416b 開口部
451r,451g,451b 分光特性曲線
510 光電変換部
514 遮光膜
515 開口部
601 固体撮像装置
610 光電変換部
620 信号増幅部
630 A/D変換部
640 信号処理部
641 差分行列保持部
642 色信号生成部
643 補正行列保持部
644 色信号補正部
651r,651g,651b 分光特性曲線
710 光電変換部
719r,719g,719b マイクロレンズ
1001、1001、1040 入射光
1002 プリズム
1010 分光版
1011 分離版
1012 分光表示板
1013、1051、1052、1053 開口部
1061、1061、1062、1063 光検出部
1030 通過光
Claims (15)
- 受光した光を電気信号に変換する受光素子の上方に絶縁膜を挟んで形成された遮光膜に、当該受光素子が感度を有する波長範囲内における所定の波長以上の光は遮断され、当該所定の波長未満の光は通過するように特定された形状と寸法とを有する開口部が設けられている
ことを特徴とする固体撮像装置。 - 撮像される画像を構成する最小単位である画素ごとに前記受光素子が設けられ、それぞれの受光素子の上方に前記開口部が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。 - 前記受光素子は、前記開口部が複数設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載の固体撮像装置。 - 前記開口部の一部の開口部は所定の波長以上の光は遮断し、当該所定の波長未満の光を通過させ、他の開口部は当該一部の開口部とは異なる所定の波長以上の光は遮断し、当該異なる所定の波長未満の光を通過させる
ことを特徴とする請求項3に記載の固体撮像装置。 - 前記開口部は、前記開口部の長手方向の寸法以下の間隔を空けて、長手方向に隣接するように設けられている
ことを特徴とする請求項3に記載の固体撮像装置。 - 前記開口部は、前記開口部の長手方向の寸法以上の間隔を空けて、長手方向に隣接するように設けられている
ことを特徴とする請求項3に記載の固体撮像装置。 - 前記所定の波長がそれぞれ異なるN(Nは自然数)種類の開口部が、N個の受光素子のそれぞれの上方に1種類ずつ設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載の固体撮像装置。 - 前記受光素子毎に、前記開口部を覆う1つのマイクロレンズが形成されている
ことを特徴とする請求項2に記載の固体撮像装置。 - 前記開口部毎に、前記開口部を覆うマイクロレンズが形成されている
ことを特徴とする請求項2に記載の固体撮像装置。 - 前記絶縁膜の膜厚は、前記遮光膜に設けられた開口部において最小となる寸法以上であり、前記受光素子により電気信号に変換すべき光の波長以下である
ことを特徴とする請求項2に記載の固体撮像装置。 - 前記開口部の形状が方形であるならば、当該方形の長辺に基づき前記開口部の寸法が特定され、前記開口部の形状が円形であるならば、当該円形の直径に基づき前記開口部の寸法が特定される
ことを特徴とする請求項2に記載の固体撮像装置。 - 前記所定の波長は、前記開口部の上面に形成された媒質内での近赤外光、赤色光、緑色光、青色光のいずれかの波長である
ことを特徴とする請求項2に記載の固体撮像装置。 - それぞれの受光素子の上方に設けられている開口部の形状は、細長い矩形状であり、それらの長手方向は、一方向に揃えられている
ことを特徴とする請求項2に記載の固体撮像装置。 - それぞれの受光素子の上方に設けられている開口部の形状は、細長い矩形状であり、それらの長手方向は、画素ごとに、第1の方向と、第1の方向と交差する第2の方向とのうちいずれか一つの方向に向いている
ことを特徴とする請求項2に記載の固体撮像装置。 - 受光した光を電気信号に変換する受光素子の上方に絶縁膜を挟んで形成された遮光膜に、当該受光素子が感度を有する波長範囲内における所定の波長以上の光は遮断され、当該所定の波長未満の光は通過するように特定された形状と寸法とを有する開口部が設けられ、撮像される画像を構成する最小単位である画素ごとに当該受光素子が設けられ、それぞれの受光素子の上方に当該開口部が設けられている固体撮像装置
を備えることを特徴とするカメラ。
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